(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】レジスト組成物
(51)【国際特許分類】
G03F 7/039 20060101AFI20221025BHJP
G03F 7/004 20060101ALI20221025BHJP
C08F 20/26 20060101ALI20221025BHJP
C08F 12/22 20060101ALI20221025BHJP
C08F 8/00 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
G03F7/039 601
G03F7/004 504
G03F7/004 501
C08F20/26
C08F12/22
C08F8/00
(21)【出願番号】P 2016239160
(22)【出願日】2016-12-09
【審査請求日】2019-10-30
(31)【優先権主張番号】P 2015239949
(32)【優先日】2015-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113000
【氏名又は名称】中山 亨
(74)【代理人】
【識別番号】100151909
【氏名又は名称】坂元 徹
(72)【発明者】
【氏名】杉原 昌子
(72)【発明者】
【氏名】西村 崇
(72)【発明者】
【氏名】坂本 宏
【審査官】高橋 純平
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-205520(JP,A)
【文献】特開2012-128009(JP,A)
【文献】特開2012-063728(JP,A)
【文献】特開2015-194715(JP,A)
【文献】特開2009-229773(JP,A)
【文献】特開2008-007410(JP,A)
【文献】特開2013-068846(JP,A)
【文献】特開2008-007409(JP,A)
【文献】特開2009-093137(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004-7/18
C08F 20/26
C08F 12/22
C08F 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で表される構造単位を有する樹脂と、アルカリ可溶性樹脂と、
式(B1)で表される基を有する化合物である酸発生剤と、溶剤とを含有し、溶剤の含有量が、レジスト組成物の総量に対して、40~75質量%であるレジスト組成物。
[式(I)中、R
1は、水素原子、ハロゲン原子又はハロゲン原子を有してもよい炭素数1~6のアルキル基を表す。
R
2は、置換基を有してもよい炭素数1~42の炭化水素基を表す。]
[式中、R
b1
は、フッ素原子を有していてもよい炭素数1~18の炭化水素基を表し、該炭化水素基に含まれる-CH
2
-は-O-又は-CO-に置き換わっていてもよい。]
【請求項2】
式(I)で表される構造単位を有する樹脂と、アルカリ可溶性樹脂と、式(I)で表される構造単位を有さず式(a1-2)で表される構造単位を有する樹脂と、
式(B1)で表される基を有する化合物である酸発生剤と、溶剤とを含有するレジスト組成物。
[式(I)中、R
1は、水素原子、ハロゲン原子又はハロゲン原子を有してもよい炭素数1~6のアルキル基を表す。
R
2は、置換基を有してもよい炭素数1~42の炭化水素基を表す。]
[式(a1-2)中、
R
a1’及びR
a2’は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1~12の炭化水素基を表し、 R
a3’は、炭素数1~20の炭化水素基を表し、R
a2’及びR
a3’は互いに結合して炭素数2~20の2価の複素環基を形成してもよい。前記炭化水素基及び前記2価の複素環基に含まれるメチレン基は、酸素原子又は硫黄原子で置き換わっていてもよい。
R
a5は、水素原子又はメチル基を表す。
R
a6は、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数1~6のアルコキシ基を表す。
mは、0~4の整数を表す。mが2以上のとき、複数のR
a6は互いに同一であっても異なっていてもよい。]
[式中、R
b1
は、フッ素原子を有していてもよい炭素数1~18の炭化水素基を表し、該炭化水素基に含まれる-CH
2
-は-O-又は-CO-に置き換わっていてもよい。]
【請求項3】
さらに、界面活性剤を含有する請求項1又は2に記載のレジスト組成物。
【請求項4】
界面活性剤の含有量が、レジスト組成物の総量に対して、0.0001~0.5質量%である請求項3記載のレジスト組成物。
【請求項5】
溶剤の含有量が、レジスト組成物の総量に対して、40~75質量%である請求項2、請求項2を引用する請求項3、及び、請求項2を引用する請求項3を引用する請求項4のいずれかに記載のレジスト組成物。
【請求項6】
(1)請求項1~5のいずれか記載のレジスト組成物を基板に塗布する工程、
(2)塗布後のレジスト組成物を乾燥させて組成物層を形成する工程、
(3)組成物層に露光する工程、及び、
(4)露光後の組成物層を現像する工程、
を含むレジストパターンの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジスト組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップの多ピン薄膜実装において、バンプと称される接続用端子である高さ4~150μm程度の突起電極は、フォトリソグラフィ技術によって基板上に形成される。このような接続端子を形成する組成物として、特許文献1には、2-エトキシエチルアクリレートに由来する構造単位を含有する樹脂を含むレジスト組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来から知られているレジスト組成物から得られるレジストパターンの解像性が不十分な場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願は以下の発明を含む。
[1]式(I)で表される構造単位を有する樹脂、アルカリ可溶性樹脂、酸発生剤及び溶剤を含有するレジスト組成物。
[式(I)中、R
1は水素原子、ハロゲン原子又はハロゲン原子を有してもよい炭素数1~6のアルキル基を表す。
R
2は、置換基を有してもよい炭素数1~42の炭化水素基を表す。]
[2]さらに、界面活性剤を含有する[1]に記載のレジスト組成物。
[3]界面活性剤の含有量が、レジスト組成物の総量に対して、0.0001~0.5質量%である[2]記載のレジスト組成物。
[4]溶剤の含有量が、レジスト組成物の総量に対して、40~75質量%である[1]~[3]に記載のレジスト組成物。
[5]式(a1-2)で表される構造単位を有する樹脂をさらに含有する[1]~[4]に記載のレジスト組成物。
[式(a1-2)中、R
a1’及びR
a2’は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1~12の炭化水素基を表し、 R
a3’は、炭素数1~20の炭化水素基を表し、R
a2’及びR
a3’は互いに結合して炭素数2~20の2価の複素環基を形成してもよい。前記炭化水素基及び前記2価の複素環基に含まれるメチレン基は、酸素原子又は硫黄原子で置き換わっていてもよい。
R
a5は、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表す。
R
a6は、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数1~6のアルコキシ基を表す。
mは、0~4の整数を表す。mが2以上のとき、複数のR
a6は互いに同一であっても異なっていてもよい。]
【発明の効果】
【0006】
本発明のレジスト組成物によれば、良好な解像性を有するレジストパターンを製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート及びメタクリレートの少なくとも一種」を意味する。「(メタ)アクリル酸」等の表記も同様の意味を表す。
また、本明細書中に記載する基において、直鎖構造と分岐構造との双方をとり得るものは、そのいずれでもよい。立体異性体が存在する場合は、全ての立体異性体を含む。
また、本明細書において「固形分」とは、本発明のレジスト組成物から溶剤(D)を除いた成分の合計を意味する。
【0008】
<レジスト組成物>
本発明のレジスト組成物は、式(I)で表される構造単位を有する樹脂(以下「樹脂(A1)」という場合がある)、アルカリ可溶性樹脂(以下「樹脂(A2)」という場合がある)、酸発生剤(以下「酸発生剤(B)」という場合がある)及び溶剤(以下「溶剤(D)」という場合がある)を含む。
本発明のレジスト組成物は、さらに樹脂(A1)及び樹脂(A2)とは異なる樹脂(以下、樹脂(A3)という場合がある)、クエンチャー(C)、密着性向上剤(E)及び界面活性剤(F)等を含んでいてもよく、界面活性剤(F)を含むことが好ましい。
【0009】
<樹脂(A1)>
樹脂(A1)は、式(I)で表される構造単位を有する。式(I)で表される構造単位は、酸不安定基を有する構造単位(以下「構造単位(a1)」という場合がある)である。
酸不安定基とは、酸との接触により脱離して、親水性基(例えば、ヒドロキシ基又はカルボキシ基)を形成する基を意味する。言い換えると、酸の作用により、酸不安定基を有する構造単位のアルカリ水溶液への溶解性を増大させるものを意味する。従って、樹脂(A1)は、酸の作用によりアルカリ水溶液への溶解性が増大する樹脂である。
「酸の作用によりアルカリ水溶液への溶解性が増大する」とは、酸との接触によりアルカリ水溶液への溶解性が増大することを意味する。酸との接触前ではアルカリ水溶液に不溶又は難溶であり、酸との接触後にアルカリ水溶液に可溶となることが好ましい。
樹脂(A1)は、さらに、式(I)で表される構造単位以外の酸不安定基を有する構造単位、酸不安定基を有さない構造単位(以下「構造単位(a2)」という場合がある)等、当該分野で公知の構造単位を含んでいてもよい。
[式(I)中、R
1は水素原子、ハロゲン原子又はハロゲン原子を有してもよい炭素数1~6のアルキル基を表す。
R
2は、置換基を有してもよい炭素数1~42の炭化水素基を表す。]
【0010】
R1で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
R1で表される炭素数1~6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基等が挙げられる。
R1で表されるハロゲン原子を有する炭素数1~6のアルキル基としては、トリフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、ペルフルオロイソプロピル基、ペルフルオロブチル基、ペルフルオロsec-ブチル基、ペルフルオロtert-ブチル基、ペルフルオロペンチル基、ペルフルオロヘキシル基、ペルクロロメチル基、ペルブロモメチル基及びペルヨードメチル基等が挙げられる。
【0011】
R1は、水素原子又はメチル基が好ましい。
【0012】
R2で表される炭化水素基としては、炭素数1~20の脂肪族炭化水素基、炭素数6~42の芳香族炭化水素基及びこれらを組み合わせることにより形成される基が挙げられる。
脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐状及び環状を含み、鎖状及び環状の脂肪族炭化水素基が組み合わせられたものをも包含する。脂肪族炭化水素基は、炭素-炭素不飽和結合を有していてもよいが、飽和の脂肪族炭化水素基であることが好ましい。
鎖状の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デカニル基等の炭素数1~20の直鎖状脂肪族炭化水素基;1-メチルエチル基、1-メチルプロピル基、2-メチルプロピル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、1-エチルブチル基、2-エチルブチル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、4-メチルペンチル基等の炭素数3~20の分鎖状脂肪族炭化水素基が挙げられる。
脂肪族炭化水素基は、直鎖状脂肪族炭化水素基であることが好ましく、炭素数1~15の直鎖のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1~10の直鎖のアルキル基であることがさらに好ましい。
【0013】
環状の脂肪族炭化水素基(以下、場合により「脂環式炭化水素基」という。)は、単環であってもよいし、多環であってもよい。
脂環式炭化水素基は、好ましくは、炭素数3~20であり、より好ましくは、炭素数3~12である。
【0014】
単環の脂肪族炭化水素基としては、以下の式(KA-1)~式(KA-7)で表されるシクロアルカンの水素原子を1個取り去った基が挙げられる。
【0015】
多環の脂肪族炭化水素基としては、以下の式(KA-8)~式(KA-19)で表されるシクロアルカンの水素原子を1個取り去った基が挙げられる。
【0016】
芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ビフェニル基、フェナントリル基、フルオレニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、2,6-ジエチルフェニル基及び2-メチル-6-エチルフェニル等の炭素数6~42の芳香族炭化水素基が挙げられ、炭素数6~30の芳香族炭化水素基であることが好ましく、炭素数6~20の芳香族炭化水素基であることがより好ましく、炭素数6~12の芳香族炭化水素基であることがさらに好ましい。
【0017】
R2で表される炭化水素基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アリール基、アラルキル基及びアリールオキシ基が挙げられる。
【0018】
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、n-ヘプチルオキシ基、n-オクチルオキシ基、n-デシルオキシ基及びn-ドデシルオキシ基等の炭素数1~12のアルコキシ基が挙げられる。
アシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレイル基、ヘキシルカルボニル基、ヘプチルカルボニル基、オクチルカルボニル基、デシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基及びベンゾイル基等の炭素数2~12のアシル基が挙げられる。
アシルオキシ基としては、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基及びイソブチリルオキシ基等の炭素数2~14のアシルオキシ基が挙げられる。
アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基及びナフチルエチル基等の炭素数7~12のアラルキル基が挙げられる。
アリールオキシ基としては、フェニルオキシ基、ナフチルオキシ基、アントニルオキシ基、ビフェニルオキシ基、フェナントリルオキシ基及びフルオレニルオキシ基などのアリール基と酸素原子とが結合した、炭素数6~14のアリールオキシ基が挙げられる。
【0019】
R2は、炭素数1~15の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、炭素数1~15のアルキル基及び炭素数3~15の脂環式炭化水素基であることがより好ましい。
【0020】
式(I)で表される構造単位としては、例えば以下の構造単位が挙げられる。
【0021】
上述した式(I)で表される構造単位を誘導するモノマーは、例えば特開平3-192173号公報等の記載に準じて製造することができる。
【0022】
樹脂(A1)における式(I)で表される構造単位の含有量は、通常5~80モル%であり、好ましくは、10~70モル%であり、より好ましくは、15~60モル%である。
【0023】
樹脂(A1)は、式(I)で表される構造単位の他に、酸不安定基を有する構造単位を有してもよく、式(a1-1)で表される構造単位(以下「構造単位(a1-1)」という場合がある)及び式(a1-2)で表される構造単位(以下「構造単位(a1-2)」という場合がある)から選ばれる少なくとも1種をさらに含有することが好ましい。
【0024】
[式(a1-1)及び式(a1-2)中、
R
a1、R
a2、R
a3は、それぞれ独立して、炭素数1~8のアルキル基又は炭素数3~20の脂環式炭化水素基を表し、R
a1及びR
a2は互いに結合して炭素数2~20の2価の炭化水素基を形成してもよい。
R
a1’及びR
a2’は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1~12の炭化水素基を表し、 R
a3’は、炭素数1~20の炭化水素基を表し、R
a2’及びR
a3’は互いに結合して炭素数2~20の2価の複素環基を形成してもよい。前記炭化水素基及び前記2価の複素環基に含まれるメチレン基は、酸素原子又は硫黄原子で置き換わっていてもよい。
R
a4及びR
a5は、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表す。
R
a6は、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数1~6のアルコキシ基を表す。
mは、0~4の整数を表す。mが2以上のとき、複数のR
a6は互いに同一であっても異なっていてもよい。]
【0025】
Ra1、Ra2及びRa3で表される炭素数1~8のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基、sec-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基等が挙げられる。
Ra1、Ra2及びRa3で表される炭素数3~20の脂環式炭化水素基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の単環の脂環式炭化水素基;デカヒドロナフチル基、アダマンチル基、ノルボルニル基等の多環の脂環式炭化水素基が挙げられる。
【0026】
Ra1’及びRa2’で表される炭素数1~12の炭化水素基としては、炭素数1~12の脂肪族炭化水素基、炭素数6~12の芳香族炭化水素基及びこれらを組合せることにより形成される基等が挙げられる。
脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分鎖状及び環状を含み、鎖状の脂肪族炭化水素基及び脂環式炭化水素基が組み合わせられたものをも包含する。脂肪族炭化水素基は、炭素-炭素不飽和結合を有していてもよいが、飽和の脂肪族炭化水素基であることが好ましい。
鎖状の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基、sec-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基等の直鎖状又は分鎖状のアルキル基が挙げられる。
脂環式炭化水素基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の単環の脂環式炭化水素基;デカヒドロナフチル基、アダマンチル基、ノルボルニル基等の多環の脂環式炭化水素基が挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、トリル基等が挙げられる。
芳香族炭化水素基と脂肪族炭化水素基とを組み合わせた基としては、ベンジル基等のアラルキル基が挙げられる。
Ra3’で表される炭素数1~20の炭化水素基としては、R2で表される炭素数1~20の炭化水素基と同じものが挙げられる。
【0027】
Ra4は、好ましくはメチル基である。
Ra1’は、好ましくは水素原子である。
Ra2’は、好ましくは炭素数1~12の炭化水素基であり、より好ましくはメチル基及びエチル基である。
Ra3’は、好ましくは炭素数1~18のアルキル基、炭素数3~18の脂環式炭化水素基、炭素数6~18の芳香族炭化水素基又はこれらが組合せされた基であり、より好ましくは炭素数1~12のアルキル基、炭素数3~12の脂環式脂肪族炭化水素基又は炭素数7~18のアラルキル基である。
Ra5は、水素原子であることが好ましい。
Ra6は、炭素数1~4のアルコキシ基であることが好ましく、メトキシ基及びエトキシ基であることがより好ましく、メトキシ基であることがさらに好ましい。
mは、0又は1であることが好ましく、0であることがより好ましい。
【0028】
構造単位(a1-1)としては、例えば、式(a1-1-1)~式(a1-1-17)のいずれかで表される構造単位が挙げられる。
【0029】
【0030】
構造単位(a1-2)としては、例えば、式(a1-2-1)~式(a1-2-14)のいずれかで表される構造単位が挙げられる。
【0031】
上記構造単位においては、Ra4及びRa5に相当する水素原子がメチル基で置き換わった構造単位も、構造単位(a1-2)の具体例として挙げることができる。
構造単位(a1-2)は、式(a1-2-2)、式(a1-2-3)、式(a1-2-4)、式(a1-2-9)、式(a1-2-14)で表される構造単位が好ましく、式(a1-2-2)、式(a1-2-3)、式(a1-2-4)、式(a1-2-9)で表される構造単位がより好ましい。
【0032】
樹脂(A1)は、構造単位(a1-2)を有する樹脂であることが好ましい。
樹脂(A1)が構造単位(a1-1)及び/又は構造単位(a1-2)を有する場合、これらの合計含有割合は、樹脂(A1)の全構造単位に対して、1~60モル%が好ましく、3~50モル%がより好ましく、5~40モル%がさらに好ましい。
【0033】
<酸不安定基を有さない構造単位>
樹脂(A1)は、酸不安定基を有さない構造単位(以下、構造単位(a2)という場合がある。)を有していてもよい。樹脂(A1)は、構造単位(a2)を2種以上含有していてもよい。
【0034】
構造単位(a2)としては、例えば、式(a2-1)~式(a2-3)のいずれかで表される構造単位(以下、式番号に応じて「構造単位(a2-1)」等という場合がある。)が挙げられる。
[式(a2-1)、式(a2-2)及び式(a2-3)中、
R
a7、R
a8及びR
a9は、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表す。
R
a10は、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数1~6のアルコキシ基を表す。
m’は0~4の整数を表す。m’が2以上のとき、複数のR
a10は互いに同一であっても異なっていてもよい。
R
a11は、水素原子又は炭素数1~20の1級又は2級の炭化水素基を表す。
R
a12は、炭素数1~6の1級又は2級のアルキル基を表す。
L
a1は、炭素数2~6のアルカンジイル基を表す。ただし、酸素原子と結合する炭素原子は、1級又は2級の炭素原子である。
nは、1~30の整数を表す。nが2以上のとき、複数のL
a1は互いに同一であっても異なっていてもよい。]
【0035】
R
a10及びR
a12で表される炭素数1~6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基、sec-ブチル基、n-ペンチル基及びn-ヘキシル基等が挙げられる。
R
a10で表される炭素数1~6のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基及びn-ヘキシルオキシ基等が挙げられる。
R
a11で表される炭化水素基としては、炭素数1~20脂肪族炭化水素基、炭素数6~20の芳香族炭化水素基及びこれらを組合せることにより形成される基等が挙げられる。
脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐状及び環状を含み、鎖状の脂肪族炭化水素基及び脂環式炭化水素基が組み合わせられたものをも包含する。脂肪族炭化水素基は、炭素-炭素不飽和結合を有していてもよいが、飽和の脂肪族炭化水素基が好ましい。
鎖状の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプタン基、n-オクタン基、n-ノナン基、n-デカン基等の直鎖状又は分鎖状のアルキル基が挙げられる。
脂環式炭化水素基は、単環式及び多環式のいずれでもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、例えば、デカヒドロナフチル基、アダマンチル基、ノルボルニル基及び下記の基(*は結合手を表す。)等が挙げられる。
鎖状の脂肪族炭化水素基と脂環式炭化水素基とを組合せた基としては、例えば、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロへキシル基、メチルノルボルニル基、シクロヘキシルメチル基、アダマンチルメチル基、ノルボルニルエチル基等が挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基が挙げられる。
鎖状の脂肪族炭化水素基と芳香族炭化水素基とを組合せた基としては、ベンジル基等のアラルキル基が挙げられる。
【0036】
La1のアルカンジイル基としては、エチレン基、プロパン-1,3-ジイル基、プロパン-1,2-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基、エタン-1,1-ジイル基、プロパン-1,1-ジイル基及びプロパン-2,2-ジイル基;プロパン-1,2-ジイル基、ペンタン-2,4-ジイル基、2-メチルプロパン-1,3-ジイル基、ペンタン-1,4-ジイル基、2-メチルブタン-1,4-ジイル基等の直鎖又は分鎖状アルカンジイル基等が挙げられる。
【0037】
Ra7は、水素原子が好ましい。
Ra8及びRa9は、互いに独立に、メチル基であることが好ましい。
Ra10は、炭素数1~4のアルコキシ基であることが好ましく、メトキシ基又はエトキシ基であることがより好ましく、メトキシ基であることがさらに好ましい。
m’は、0又は1であることが好ましく、0であることがより好ましい。
Ra11は、炭素数1~6の1級又は2級のアルキル基であることが好ましい。
La1は、炭素数2~4のアルカンジイル基であることが好ましく、エタン-1,2-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基、プロパン-1,2-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基であることがより好ましく、エタン-1,2-ジイル基であることがさらに好ましい。
nは、1~10の整数であることが好ましい。
Ra12は、炭素数1~3の1級又は2級のアルキル基であることが好ましい。
【0038】
構造単位(a2-1)としては、式(a2-1-1)、式(a2-1-2)、式(a2-1-3)又は式(a2-1-4)で表される構造単位が好ましい。また、構造単位(a2-1)を導くモノマーは、例えば、特開2010-204634号公報に記載されている。
【0039】
【0040】
構造単位(a2-2)を導くモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;
シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;
アダマンチル(メタ)アクリレート等の多環式(メタ)アクリル酸エステル;
フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アリールエステル;が挙げられる。
【0041】
構造単位(a2-3)を導くモノマーとしては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノプロピルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノブチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ペンタエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、オクタエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
【0042】
さらに、構造単位(a2)を導くモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、スチレン、α-メチルスチレン、4-メチルスチレン、2-メチルスチレン、3-メチルスチレン、4-メトキシスチレン、4-イソプロポキシスチレン等が挙げられる。
【0043】
構造単位(a2)は、例えば、式(a2-4)で表される構造単位であってもよい。
[式(a2-4)中、
R
a13は、水素原子又はメチル基を表す。
R
a14は、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数1~6のアルコキシ基を表す。
R
a15は、炭素数1~12の1級又は2級の炭化水素基を表し、該炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基で置換されてもよい。ただし、酸素原子に結合するメチレン基は、酸素原子に置換されない。
m”は0~4の整数を表す。m”が2以上のとき、複数のR
a14は互いに同一であっても異なっていてもよい。
m'''は0~4の整数を表す。m'''が2以上のとき、複数のR
a15は互いに同一であっても異なっていてもよい。
ただし、m”とm'''との合計は、5以下である。
【0044】
Ra15における炭化水素基は、酸素原子との結合手が3級炭素原子とならない基、つまり、その結合炭素に水素原子等の炭素原子以外の原子が1つ以上結合されている基が挙げられる。
従って、式(a2-4)で表される構造単位は、構造単位(a1-2)は含まない。
【0045】
Ra14のアルキル基及びアルコキシ基としては、Ra10と同様の基が挙げられる。
Ra15の炭化水素基としては、Ra11と同様の基が挙げられる。
【0046】
Ra15は、なかでも、炭素数1~5の直鎖又は分鎖のアルキル基、炭素数5~10の脂環式炭化水素基、フェニル基又はこれらを組合せて形成される基、あるいは、これら基の酸素原子に隣接する炭素原子がカルボニル基に置き換わった基であることが好ましい。
【0047】
構造単位(a2-4)としては、例えば、式(a2-4-1)~式(a2-4-10)で表される構造単位が挙げられる。
【0048】
式(a2-4-1)~式(a2-4-10)でそれぞれ表される構造単位において、Ra13に相当する水素原子がメチル基で置き換わった構造単位も、構造単位(a2-4)の具体例として挙げることができる。
【0049】
構造単位(a2)としては、ラクトン環を有し、かつ酸不安定基を有さない構造単位も挙げられる。ラクトン環を有し、かつ酸不安定基を有さない構造単位としては、特開2010-204646号公報に記載されたモノマーから導かれる構造単位、特開2000-122294号公報に記載されたモノマーから導かれる構造単位、特開2012-41274号公報に記載されたモノマーから導かれる構造単位、さらに、以下に記載の構造単位等が挙げられる。
【0050】
樹脂(A1)が構造単位(a2)を有する場合、これらの合計含有率は、樹脂(A1)の全構造単位に対して、1~80モル%が好ましく、3~70モル%がより好ましく、5~60モル%が好ましい。
【0051】
樹脂(A1)としては、式(A1-1)~式(A1-27)で表される構造単位を有する樹脂が挙げられる。
【0052】
<樹脂(A2)>
樹脂(A2)は、アルカリ可溶性樹脂である。アルカリ可溶性樹脂とは、酸性基を含有し、アルカリ現像液に可溶な樹脂である。酸性基は、例えば、カルボキシ基、スルホ基、フェノール性ヒドロキシ基等が挙げられる。
アルカリ可溶性樹脂としては、レジスト分野で公知のアルカリ可溶性樹脂が挙げられ、ノボラック樹脂、ヒドロキシスチレン由来の構造単位からなる樹脂、(メタ)アクリル酸エステル由来の構造単位を有する樹脂及びポリアルキレングリコール等が挙げられる。好ましくは、ノボラック樹脂である。アルカリ可溶性樹脂は、2種以上の樹脂を組合せてもよい。
【0053】
ノボラック樹脂とは、フェノール化合物とアルデヒドとを触媒の存在下に縮合させて得られる樹脂である。フェノール化合物としては、例えば、フェノール;o-クレゾール、m-クレゾール又はp-クレゾール;2,3-キシレノール、2,5-キシレノール、3,4-キシレノール又は3,5-キシレノール;2,3,5-トリメチルフェノール;2-tert-ブチルフェノール、3-tert-ブチルフェノール又は4-tert-ブチルフェノール;2-tert-ブチル-4メチルフェノール-又は2-tert-ブチル-5-メチルフェノール;2-ジメトキシフェノール、4-ジメトキシフェノール又は5-メチルレゾルシノール;2-メトキシフェノール、3-メトキシフェノール又は4-メトキシフェノール;2,3-ジメトキシフェノール、2,5ジメトキシフェノール-又は3,5-ジメトキシフェノール;2-メトキシレゾルシノール;4-tert-ブチルカテコール;2-エチルフェノール、3-エチルフェノール又は4-エチルフェノール;2,5-ジエチルフェノール又は3,5-ジエチルフェノール;2,3,5-トリエチルフェノール;2-ナフトール;1,3-ジヒドロキシナフタレン、1,5-ジヒドロキシナフタレン又は1,7-ジヒドロキシナフタレン;キシレノールとヒドロキシベンズアルデヒドとの縮合により得られるポリヒドロキシトリフェニルメタン系化合物等が挙げられる。これらのフェノール化合物は、2種以上組合せて用いでもよい。なかでも、フェノール化合物としては、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、2,3-キシレノール、2,5-キシレノール、3,4-キシレノール、3,5-キシレノール、2,3,5-トリメチルフェノール、2-tert-ブチルフェノール、3-tert-ブチルフェノール、4-tert-ブチルフェノール、2-tert-ブチル-4-メチルフェノール、2-tert-ブチル-5-メチルフェノールが好ましい。
【0054】
アルデヒドとしては、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n-ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、アクロレイン又はクロトンアルデヒド等の脂肪族アルデヒド;シクロヘキサンアルデヒド、シクロペンタンアルデヒド、フルフラール又はフリルアクロレイン等の脂環式アルデヒド;ベンズアルデヒド、o-メチルベンズアルデヒド、m-メチルベンズアルデヒド、p-メチルベンズアルデヒド、p-エチルベンズアルデヒド、2,4-、2,5-、3,4-もしくは3,5-ジメチルベンズアルデヒド、o-ヒドロキシベンズアルデヒド、m-ヒドロキシベンズアルデヒド又はp-ヒドロキシベンズアルデヒド等の芳香族アルデヒド;フェニルアセトアルデヒド又はケイ皮アルデヒドのような芳香脂肪族アルデヒドが挙げられる。これらのアルデヒドも、2種以上組合せて用いてもよい。これらのアルデヒドのなかでは、工業的に入手しやすいことから、ホルムアルデヒドが好ましい。
【0055】
フェノール化合物とアルデヒドとの縮合に用いられる触媒の例としては、塩酸、硫酸、過塩素酸又は燐酸等の無機酸;蟻酸、酢酸、蓚酸、トリクロロ酢酸又はp-トルエンスルホン酸等の有機酸;酢酸亜鉛、塩化亜鉛又は酢酸マグネシウム等の二価金属塩等が挙げられる。これらの触媒は、2種以上組合せてもよい。かかる触媒の使用量は、アルデヒド1モルに対して通常0.01~1モルである。
【0056】
フェノール化合物とアルデヒドとの縮合反応は、例えば、フェノール化合物とアルデヒドとを混合した後、60~120℃の温度で2~30時間反応させることにより行うことができる。当該縮合反応は溶媒の存在下で行ってもよい。当該縮合反応における溶媒としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン等が挙げられる。反応終了後、例えば、必要に応じて反応混合物に水に不溶な溶媒を加え、反応混合物を水で洗浄した後、濃縮することにより、ノボラック樹脂を取り出すことができる。
【0057】
ノボラック樹脂の質量平均分子量は、通常3,000~50,000であり、好ましくは4,000~40,000、より好ましくは5,000~30,000である。ノボラック樹脂の重量平均分子量が上記の範囲であることにより、現像後に薄膜化及び残渣の残存を有効に防止することができる。
【0058】
ヒドロキシスチレン由来の重合単位を有する樹脂とは、定型的にはポリビニルフェノールであり、好ましくは、ポリp-ビニルフェノールである。具体的には、式(a2-1)で表される構造単位からなる樹脂が挙げられる。このようn-ポリビニルフェノールは、例えば、特開2010-204634号公報に記載されているモノマーを重合することにより得ることができる。
【0059】
(メタ)アクリル酸エステル由来の重合単位を有する樹脂としては、例えば、下記のような化合物を重合して得られる樹脂が挙げられる。
(メタ)アクリル酸;
2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート;
ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ペンタエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ヘプタエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、オクタエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレートなどのポリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート。
【0060】
上述のモノマーと、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;アダマンチル(メタ)アクリレートなどの多環式(メタ)アクリル酸エステル;エチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノプロピルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノブチルエーテル(メタ)アクリレートや、エチレングリコールモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート類等を組合せて使用してもよい。
【0061】
樹脂(A2)の含有量は、レジスト組成物に含まれる樹脂の総量に対して、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上であり、好ましくは70質量%以下、より好ましくは65質量%以下である。
【0062】
<樹脂(A3)>
樹脂(A3)は、樹脂(A1)及び樹脂(A2)以外の樹脂である。樹脂(A3)としては、例えば、式(I)で表される構造単位以外の酸不安定基を有する樹脂が挙げられ、式(a1-2)で表される構造単位を有する樹脂であることが好ましい。
【0063】
樹脂(A3)としては、式(A3-1)~式(A3-19)で表される構造単位を有する樹脂が挙げられる。
【0064】
樹脂(A3)は、上述した構造単位を導くモノマーを公知の重合法(例えばラジカル重合法)で重合することにより製造できる。
樹脂(A3)の重量平均分子量は、好ましくは8000以上、より好ましくは10000以上であり、好ましくは600,000以下、より好ましくは500,000以下である。
【0065】
本発明のレジスト組成物が樹脂(A3)を含む場合、その含有率は、レジスト組成物における全樹脂量に対して、好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは2質量%以上であり、さらに好ましくは3質量%以上である。また、好ましくは20質量%以下であり、より好ましくは15質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以下である。
【0066】
本発明のレジスト組成物における、樹脂(A1)及び樹脂(A2)、並びに任意の樹脂(A3)の含有量は、レジスト組成物の固形分の総量に対して、好ましくは80質量%以上99質量%以下である。固形分及び本発明のレジスト組成物に含まれる各成分の含有量は、例えば、液体クロマトグラフィー又はガスクロマトグラフィー等の公知の分析手段で測定することができる。
【0067】
<酸発生剤(B)>
本発明のレジスト組成物は酸発生剤(B)を含有する。酸発生剤は、露光により酸を発生し、発生した酸が、触媒的に働き、樹脂(A)の酸により脱離する基を脱離させる。酸発生剤は、非イオン系とイオン系とに分類されるが、本発明のレジスト組成物の酸発生剤(B)においては、いずれを用いてもよい。
非イオン系酸発生剤としては、有機ハロゲン化物、スルホネートエステル類(例えば2-ニトロベンジルエステル、芳香族スルホネート、オキシムスルホネート、N-スルホニルオキシイミド、N-スルホニルオキシイミド、スルホニルオキシケトン、ジアゾナフトキノン4-スルホネート)及びスルホン類(例えば、ジスルホン、ケトスルホン、スルホニルジアゾメタン)等が挙げられる。イオン系酸発生剤としては、オニウムカチオンを含むオニウム塩(例えば、ジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩)等が挙げられる。オニウム塩のアニオンとしては、スルホン酸アニオン、スルホニルイミドアニオン及びスルホニルメチドアニオン等が挙げられる。
【0068】
酸発生剤(B)としては、例えば、特開昭63-26653号、特開昭55-164824号、特開昭62-69263号、特開昭63-146038号、特開昭63-163452号、特開昭62-153853号、特開昭63-146029号、米国特許第3,779,778号、米国特許第3,849,137号、独国特許第3914407号、欧州特許第126,712号等に記載の放射線によって酸を発生する化合物を使用できる。また、酸発生剤(B)は、公知の方法により合成したものでもよいし、市販品でもよい。
【0069】
非イオン系酸発生剤は、式(B1)で表される基を有する化合物であることが好ましい。
[式中、R
b1は、フッ素原子を有していてもよい炭素数1~18の炭化水素基を表し、該炭化水素基に含まれる-CH
2-は-O-又は-CO-に置き換わっていてもよい。]
【0070】
R
b1で表される炭素数1~18の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の炭素数1~18のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、アダマンチル基などの炭素数3~18の脂環式炭化水素基;フェニル基、ナフチル基、アントリル基、p-メチルフェニル基、p-tert-ブチルフェニル基、p-アダマンチルフェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、2,6-ジエチルフェニル基、2-メチル-6-エチルフェニル等のアリール基などの炭素数6~18の芳香族炭化水素基が挙げられる。
R
b1は、好ましくは炭素数1~10のアルキル基又は炭素数1~10の芳香族炭化水素基であり、より好ましくは炭素数1~8のアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数1~4のアルキル基である。
R
b1で表される炭素数1~18の炭化水素基に含まれるメチレン基が酸素原子又はカルボニル基で置換された基としては、式(Y1)~式(Y12)で表される基が挙げられる。好ましくは、式(Y7)~式(Y9)で表される基であり、より好ましくは、式(Y9)で表される基である。
【0071】
フッ素原子を有する炭素数1~18の炭化水素基としては、フルオロメチル基、フルオロエチル基、フルオロプロピル基、フルオロブチル基、フルオロペンチル基、フルオロヘキシル基、フルオロヘプチル基、フルオロオクチル基、フルオロノニル基、フルオロデシル基等の炭素数1~18のフルオロアルキル基;シクロフルオロプロピル基、シクロフルオロブチル基、シクロフルオロペンチル基、シクロフルオロヘキシル基、シクロフルオロヘプチル、シクロフルオロオクチル基、フルオロアダマンチル基などの炭素数3~18の脂環式炭化水素基;フルオロフェニル基、フルオロナフチル基、フルオロアントリル基、等のアリール基などの炭素数6~18の芳香族炭化水素基が挙げられる。
フッ素原子を有する炭素数1~18の炭化水素基としては、好ましくは、フッ素原子を有する炭素数1~10のアルキル基又はフッ素原子を有する芳香族炭化水素基であり、より好ましくは炭素数1~8のペルフルオロアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数1~4のペルフルオロアルキル基である。
【0072】
式(B1)で表される基を有する化合物としては、式(b1)~式(b3)のいずれかで表される化合物が挙げられる。好ましくは式(b1)、式(b2)で表される化合物であり、より好ましくは式(b1)で表される化合物である。
[式(b1)~式(b3)中、R
b1は、上記と同じ意味を表す。
R
b3及びR
b4は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~5のアルキル基又はアルコキシ基を表す。
環W
b1は、置換基を有していてもよい炭素数6~14の芳香族炭化水素環又は置換基を有していてもよい炭素数6~14の芳香族複素環を表す。]
【0073】
R
b3及びR
b4で表される炭素数1~5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等が挙げられ、好ましくはメチル基である。
R
b3及びR
b4で表される炭素数1~5のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基等が挙げられ、好ましくはメトキシ基である。
環W
b1で表される炭素数6~14の芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ナフタレン環及びアントラセン環が挙げられる。
環W
b1で表される芳香族複素環としては、環を構成する原子数が6~14の環が好ましく、下記の環が挙げられる。
環W
b1が有していてもよい置換基としては、炭素数1~5のアルキル基等が挙げられる。
環W
b1は、好ましくは、ナフタレン環である。
【0074】
イオン系酸発生剤としては、式(b8)又は式(b9)で表される化合物が好ましい。
[式(b8)及び式(b9)中、A
b1及びA
b2は、互いに独立に、酸素原子又は硫黄原子を表す。
R
b8、R
b9、R
b10及びR
b11は、互いに独立に、炭素数1~10のアルキル基又は炭素数6~12の芳香族炭化水素基を表す。
X1
-及びX2
-は、有機アニオンを表す。]
【0075】
炭素数1~10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等が挙げられる。
炭素数6~12の芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、p-メチルフェニル基、p-tert-ブチルフェニル基、p-アダマンチルフェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、2,6-ジエチルフェニル基、2-メチル-6-エチルフェニル等のアリール基等が挙
げられる。
Rb8、Rb9、Rb10及びRb11は、それぞれ、好ましくは炭素数6~12の芳香族化合物であり、より好ましくはフェニル基である。
【0076】
X1
-及びX2
-としては、スルホン酸アニオン、ビス(アルキルスルホニル)アミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチドアニオンが挙げられる。好ましくはスルホン酸アニオンであり、式(b10)で表されるスルホン酸アニオンが好ましい。
[式(b10)中、R
b12は、フッ素原子を有してもよい炭素数1~18の炭化水素基を表し、該炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基で置換されてもよい。]
R
b12としては、式(B1)中のR
b1と同様の基が挙げられる
酸発生剤(B)の具体例としては、以下のものも挙げられる。
【0077】
【0078】
【0079】
【0080】
【0081】
酸発生剤(B)は、2種以上含有していてもよい。
酸発生剤(B)の含有量は、樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは0.3質量部以上であり、より好ましくは0.5質量部以上であり、さらに好ましくは1質量部以上であり、好ましくは30質量部以下であり、より好ましくは10質量部以下であり、さらに好ましくは5質量部以下である。
【0082】
<溶剤(D)>
溶剤(D)は、本発明のレジスト組成物に含まれる成分を溶解するものであれば、特に限定されず、例えば、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールエーテルエステル溶剤;プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル溶剤;乳酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル及びピルビン酸エチル等のエステル溶剤;アセトン、メチルイソブチルケトン、2-ヘプタノン及びシクロヘキサノン等のケトン溶剤;γ-ブチロラクトン等のラクトン類等、及びこれらの混合溶剤が挙げられる。好ましくは、グリコールエーテルエステルである。
溶剤(D)の含有率は、本発明のレジスト組成物の総量に対して、通常40質量%以上75質量%以下であり、好ましくは45質量%以上70質量%以下、より好ましくは50質量%以上68質量%以下である。
溶剤(D)の含有率が上記範囲内であると、レジストパターンを製造する際に、厚み3~150μm程度の組成物層を形成しやすい。
【0083】
<界面活性剤(F)>
界面活性剤(F)は、塗布性、消泡性、レベリング性を向上するものであれば特に限定されず、フッ素原子を有する界面活性剤、ケイ素原子及びフッ素原子を有する界面活性剤、ポリエーテル変性シリコーン化合物及びポリエーテル変性されていないシリコーン界面活性剤等が挙げられる。
ポリエーテル変性シリコーン化合物としては、例えば、BY16-201(商品名)、SF8427(商品名)、SF8428(商品名)、FZ-2162(商品名)、SH3749(商品名)、FZ-77(商品名)、FZ-2110(商品名)、SH8400(商品名)(東レ・ダウコーニング(株)製)などが挙げられる。
【0084】
フッ素原子を有する界面活性剤としては、例えば、フルオロカーボン鎖を有する界面活性剤などが挙げられる。具体的には、フロリナートFC430(商品名)、フロリナートFC431(商品名)(住友スリーエム(株)製)、メガファックF142D(商品名)、メガファックF171(商品名)、メガファックF172(商品名)、メガファックF173(商品名)、メガファックF177(商品名)、メガファックF183(商品名)、メガファックR30(商品名)(大日本インキ化学工業(株)製)、エフトップEF301(商品名)、エフトップEF303(商品名)、エフトップEF351(商品名)、エフトップEF352(商品名)(新秋田化成(株)製)、サーフロンS381(商品名)、サーフロンS382(商品名)、サーフロンSC101(商品名)、サーフロンSC105(商品名)(旭硝子(株)製)、E5844(商品名)((株)ダイキンファインケミカル研究所製)、BM-1000(商品名)、BM-1100(商品名)(BM Chemie社製)などが挙げられる。
【0085】
ケイ素原子及びフッ素原子を有する界面活性剤としては、例えば、メガファックR08(商品名)、メガファックBL20(商品名)、メガファックF475(商品名)、メガファックF477(商品名)、メガファックF443(商品名)(大日本インキ化学工業(株)製)などが挙げられる。
【0086】
ポリエーテル変性されていないシリコーン界面活性剤としては、トーレシリコーンDC3PA(商品名)、トーレシリコーンSH7PA(商品名)、トーレシリコーンDC11PA(商品名)、トーレシリコーンSH21PA(商品名)、トーレシリコーンSH28PA(商品名)、トーレシリコーン29SHPA(商品名)、トーレシリコーンSH30PA(商品名)、ポリエーテル変性シリコンオイルSH8400(商品名)(トーレシリコーン(株)製)、KP321(商品名)、KP322(商品名)、KP323(商品名)、KP324(商品名)、KP326(商品名)、KP340(商品名)、KP341(商品名)(信越シリコーン製)、TSF400(商品名)、TSF401(商品名)、TSF410(商品名)、TSF4300(商品名)、TSF4440(商品名)、TSF4445(商品名)、TSF-4446(商品名)、TSF4452(商品名)、TSF4460(商品名)(ジーイー東芝シリコーン(株)製)などが挙げられる。
界面活性剤(F)は、2種類以上含有していてもよい。
【0087】
界面活性剤(F)の含有率は、本発明のレジスト組成物の総量に対して、0.0001質量%以上0.5質量%以下であり、好ましくは0.0005質量%以上0.3質量%以下、より好ましくは0.001質量%以上0.2質量%以下、さらに好ましくは0.002質量%以上0.1質量%以下である。
【0088】
<クエンチャー(C)>
本発明のレジスト組成物が含有していてもよいクエンチャー(C)は、露光により酸発生剤から発生する酸を捕捉する作用を有する化合物である。クエンチャー(C)としては、塩基性の含窒素有機化合物が挙げられる。
塩基性の含窒素有機化合物としては、アミン及びアンモニウム塩が挙げられる。アミンとしては、脂肪族アミン及び芳香族アミン;第一級アミン、第二級アミン及び第三級アミンが挙げられる。
【0089】
アミンとしては、1-ナフチルアミン、2-ナフチルアミン、アニリン、ジイソプロピルアニリン、2-,3-又は4-メチルアニリン、4-ニトロアニリン、N-メチルアニリン、N,N-ジメチルアニリン、ジフェニルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミン、ジブチルメチルアミン、メチルジペンチルアミン、ジヘキシルメチルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、ジヘプチルメチルアミン、メチルジオクチルアミン、メチルジノニルアミン、ジデシルメチルアミン、エチルジブチルアミン、エチルジペンチルアミン、エチルジヘキシルアミン、エチルジヘプチルアミン、エチルジオクチルアミン、エチルジノニルアミン、エチルジデシルアミン、トリス〔2-(2-メトキシエトキシ)エチル〕アミン、トリイソプロパノールアミン、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’-ジアミノ-1,2-ジフェニルエタン、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジメチルジフェニルメタン、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジエチルジフェニルメタン等が挙げられる。
また、クエンチャー(C)として、式(C2-1)~式(C2-11)のいずれかで表される化合物も挙げられる。好ましくは式(C2-2)~式(C2-8)のいずれかで表される化合物である。
【0090】
クエンチャー(C)の含有率は、レジスト組成物の固形分中、好ましくは0.0001~5質量%であり、より好ましく0.0001~4質量%であり、特に好ましく0.001~3質量%であり、とりわけ好ましくは0.01~1.0質量%であり、特に好ましくは0.1~0.7質量%である。
【0091】
<密着性向上剤(E)>
密着性向上剤(E)は、基板又は配線等に用いられる金属等に対して腐食を防止し得るもの又は密着性を向上し得るものであれば特に限定されない。金属の腐食を防止することにより、防錆の作用を発揮する。また、これらの作用とともに、基板又は金属等とレジスト組成物との密着性を向上させることができる。
密着性向上剤(E)としては、例えば、含硫黄化合物、芳香族ヒドロキシ化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物及び含ケイ素系化合物等が挙げられる。
【0092】
含硫黄化合物としては、ジチオジグリセロール[S(CH2CH(OH)CH2(OH))2]、ビス(2,3-ジヒドロキシプロピルチオ)エチレン[CH2CH2(SCH2CH(OH)CH2(OH))2]、3-(2,3-ジヒドロキシプロピルチオ)-2-メチル-プロピルスルホン酸ナトリウム[CH2(OH)CH(OH)CH2SCH2CH(CH3)CH2SO3Na]、1-チオグリセロール[HSCH2CH(OH)CH2(OH)]、3-メルカプト-1-プロパンスルホン酸ナトリウム[HSCH2CH2CH2SO3Na]、2-メルカプトエタノール[HSCH2CH2(OH)]、チオグリコール酸[HSCH2CO2H]、3-メルカプト-1-プロパノール[HSCH2CH2CH2]等が挙げられる。また、特開2015-087759号公報に記載の含硫黄化合物も挙げられる。
【0093】
芳香族ヒドロキシ化合物としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、ピロカテコール(=1,2-ジヒドロキシベンゼン)、tert-ブチルカテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、ピロガロール、1,2,4-ベンゼントリオール、サリチルアルコール、p-ヒドロキシベンジルアルコール、o-ヒドロキシベンジルアルコール、p-ヒドロキシフェネチルアルコール、p-アミノフェノール、m-アミノフェノール、ジアミノフェノール、アミノレゾルシノール、p-ヒドロキシ安息香酸、o-ヒドロキシ安息香酸、2,4-ジヒドロキシ安息香酸、2,5-ジヒドロキシ安息香酸、3,4-ジヒドロキシ安息香酸、3,5-ジヒドロキシ安息香酸、没食子酸等が挙げられる。
【0094】
ベンゾトリアゾール系化合物としては、ベンゾトリアゾール、5,6-ジメチルベンゾトリアゾール、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、1-メチルベンゾトリアゾール、1-アミノベンゾトリアゾール、1-フェニルベンゾトリアゾール、1-ヒドロキシメチルベンゾトリアゾール、1-ベンゾトリアゾールカルボン酸メチル、5-ベンゾトリアゾールカルボン酸、1-メトキシ-ベンゾトリアゾール、1-(2,2-ジヒドロキシエチル)-ベンゾトリアゾール、1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)ベンゾトリアゾール、あるいは「イルガメット(登録商標)」シリーズとしてBASF社より市販されている、2,2’-{[(4-メチル-1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)メチル]イミノ}ビスエタノール、2,2’-{[(5-メチル-1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)メチル]イミノ}ビスエタノール、2,2’-{[(4-メチル-1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)メチル]イミノ}ビスエタン、または2,2’-{[(4-メチル-1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)メチル]イミノ}ビスプロパン等が挙げられる。
【0095】
トリアジン系化合物としては、例えば、1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリチオール等が挙げられる。
【0096】
含ケイ素系化合物としては、以下の化合物が挙げられる。
【0097】
密着性向上剤(E)の含有量は、レジスト組成物の固形分の総量に対して、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.002質量%以上、さらに好ましくは0.005質量%以上、特に好ましくは0.008質量%以上であり、また、好ましくは20質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下であり、さらに好ましくは4質量%以下であり、さらにより好ましくは3質量%以下、とりわけ好ましくは1質量%以下、特に好ましくは0.1質量%以下である。この範囲とすることにより、高精度のレジストパターンを形成することができるレジスト組成物とすることができ、レジストパターンと基板との密着性を確保することができる。
【0098】
<その他の成分(以下「その他の成分(G)」という場合がある)>
本発明のレジスト組成物は、必要に応じて、その他の成分(G)を含有していてもよい。その他の成分(G)に特に限定はなく、レジスト分野で公知の添加剤、例えば、増感剤、溶解抑止剤、可塑剤、安定剤及び染料等が挙げられる。
その他の成分(G)を用いる場合、その含有量は、その他の成分(G)の種類に応じて適宜選択する。
【0099】
<本発明のレジスト組成物の製造方法>
本発明のレジスト組成物は、樹脂(A1)、樹脂(A2)、酸発生剤(B)及び溶剤(D)並びに、必要に応じて用いられる樹脂(A3)、界面活性剤(F)、クエンチャー(C)、密着性向上剤(E)、その他の成分(G)を混合することにより調製できる。混合順は任意であり、特に限定されるものではない。混合する際の温度は、樹脂の種類や溶剤(D)への溶解度等に応じて、10~40℃の範囲で適宜選択できる。混合時間は、混合温度に応じて、0.5~24時間の範囲で適宜選択できる。混合手段は、攪拌混合等を用いることができる。各成分を混合した後は、孔径0.11~50μm程度のフィルターを用いてろ過することが好ましい。
【0100】
<レジストパターンの製造方法>
本発明のレジストパターンの製造方法は、
(1)本発明のレジスト組成物を基板に塗布する工程、
(2)塗布後のレジスト組成物を乾燥して組成物層を形成する工程、
(3)組成物層に露光する工程及び
(4)露光後の組成物層を現像する工程を含む。
【0101】
工程(1)における本発明のレジスト組成物の基板上への塗布は、スピンコーター等、通常、当該分野で用いられている塗布装置によって行うことができる。基板としては、例えば、シリコンウェハ等が挙げられ、基板上には予め半導体素子(例えば、トランジスタ、ダイオード等)等が形成されていてもよい。本発明のレジスト組成物をパンブ形成に用いる場合、基板としては、さらに導電材料が積層されているものが好ましい。導電材料としては、金、銅、ニッケル、スズ、パラジウム及び銀からなる群より選ばれる少なくとも一種の金属、又は当該群より選ばれる少なくとも一種の金属を含む合金が挙げられ、好ましくは銅又は銅を含む合金が挙げられる。
これらの基板は予め洗浄してもよいし、反射防止膜を形成してもよい。この反射防止膜の形成には、市販の有機反射防止膜用組成物を用いることができる。
【0102】
工程(2)では、塗布後の組成物を乾燥することにより、溶剤が除去され、基板上に組成物層が形成される。乾燥は、例えば、ホットプレート等の加熱装置を用いた加熱乾燥(いわゆるプリベーク)、減圧装置を用いた減圧乾燥、或いはこれらの手段を組合せて行われる。この場合の温度は、50~200℃程度であることが好ましい。また、圧力は、1~1.0×105Pa程度であることが好ましい。
工程(2)で得られた組成物層の膜厚は、好ましくは3~150μmであり、より好ましくは4~100μmである。
【0103】
工程(3)では、好ましくは露光機を用いて組成物層に露光する。この際、通常、求められるパターンに相当するマスクを介して露光が行われる。露光機の露光光源としては、製造しようとするレジストパターンの解像度に応じて選択すればよいが、波長345~436nmの光を放射する光源が好ましく、g線(波長:436nm)、h線(波長:405nm)又はi線(波長:365nm)がより好ましい。
【0104】
工程(3)の後、露光後の組成物層を加熱する工程(いわゆるポストエキスポジャーベーク)を加えてもよい。好ましくは、加熱装置により現像する工程である。加熱装置としては、ホットプレート等が挙げられる。加熱温度としては、通常、50~200℃、好ましくは60~120℃である。加熱時間としては、通常、40~400秒、好ましくは50~350秒である。
【0105】
工程(4)は、好ましくは露光後の組成物層を現像装置により現像する。前記加熱工程を行う場合は、加熱後の組成物層を現像する。現像には、通常、アルカリ現像液が利用される。該アルカリ現像液としては例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドや(2-ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド(通称コリン)の水溶液等が挙げられる。
現像後、超純水等でリンス処理を行い、さらに基板及びレジストパターン上に残存している水分を除去することが好ましい。
【0106】
<用途>
本発明のレジスト組成物は、厚膜のレジストフィルムの製造に有用である。厚膜のレジストフィルムとは、例えば、膜厚3~150μmのレジストフィルムが挙げられる。
また、本発明のレジスト組成物はバンプの製造に有用である。バンプは、レジスト組成物を用いて製造する場合、通常、以下の手順より形成することができる。これにより、特に優れた形状のレジストパターンを製造できる。
まず、半導体素子等が形成されたウェハ上に、導電材料(シードメタル)を積層して導電層を形成する。その後、導電層上に本発明のレジスト組成物によりレジストパターンを形成する。次いで、レジストパターンを鋳型として、メッキにより電極材料(例えば、Cu、Ni、はんだ等)を堆積させ、レジストパターンと、レジストパターンの下に残存する導電層をエッチング等により除去することにより、バンプを形成することができる。導電層を除去した後、必要に応じて、熱処理によって電極材料を溶融させたものをバンプとしてもよい。
【実施例】
【0107】
実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。例中、含有量ないし使用量を表す「%」及び「部」は、特記しないかぎり質量基準である。
樹脂の重量平均分子量は、下記の分析条件でゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより求めた値である。
装置:HLC-8120GPC型(東ソー(株)製)
カラム:TSKgel Multipore HXL-M x 3 + guardcolumn(東ソー(株)製)
溶離液:テトラヒドロフラン
流量:1.0mL/min
検出器:RI検出器
カラム温度:40℃
注入量:100μL
分子量標準:標準ポリスチレン(東ソー(株)製)
【0108】
合成例1[モノマーAの合成]
メタクリル酸86部、tert-メチルブチルエーテル516部及びクロロメチルエーテル99.2部を混合し、攪拌した。得られた混合物に、氷浴上で、トリエチルアミン111.2部を1時間滴下し、室温で6時間撹拌した。得られた反応溶液にtert-メチルブチルエーテル172部及びイオン交換水260部を加え、分液した。分液後、得られた有機層に1%シュウ酸260部加え、分液した。分液後、得られた有機層にイオン交換水260部を加え、分液洗浄を3回繰り返し、得られた有機層を濃縮し、減圧乾燥することにより、式(A)で表される化合物を131.3部得た。
合成例2[モノマーBの合成]
メタクリル酸60部、tert-メチルブチルエーテル480部及びクロロメチルシクロヘキシルエーテル103.6部を混合し、攪拌した。得られた混合物に、氷浴上で、トリエチルアミン74部を1時間滴下し、室温で6時間撹拌した。得られた反応溶液にtert-メチルブチルエーテル120部及びイオン交換水240部を加え分液した。分液後、得られた有機層に1%シュウ酸240部加え分液した。分液後、得られた有機層にイオン交換水240部を加え、分液洗浄を3回繰り返し、得られた有機層を濃縮し、減圧乾燥することにより、式(B)で表される化合物135.4部を得た。
【0109】
合成例3[樹脂A1-1の合成]
式(A)で表されるモノマー13.1部、式(C)で表されるモノマー15.7部、アゾビスイソブチロニトリル0.137部及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート12.8部を混合し、混合溶液(1)を得た。温度計及び攪拌装置を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート27.7部加え、80℃まで昇温し、撹拌しながら、得られた混合溶液(1)を1時間かけて滴下し、80℃で9時間加熱した。得られた反応溶液を40℃まで冷却し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート30.4部加え、さらに、メタノール168部と水336部を加え、析出した樹脂を濾取した。濾取した樹脂にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート129部加え、撹拌し、濃縮することで、樹脂A1-2のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液45.3部(固形分48.0%)を得た。樹脂A1-1の重量平均分子量は6.8×10
4であった。樹脂A1-1は下記の構造単位を有する。
【0110】
合成例4[樹脂A1-2の合成]
式(A)で表されるモノマー10.9部、式(C)で表されるモノマー19.6部、アゾビスイソブチロニトリル0.142部及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート13.9部を混合し、混合溶液(2)を得た。温度計及び攪拌装置を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート29.6部加え、80℃まで昇温し、撹拌しながら、得られた混合溶液(2)を1時間かけて滴下し、80℃で9時間加熱した。得られた反応溶液を40℃まで冷却し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート32.5部加え、さらに、メタノール179部と水359部を加え、析出した樹脂を濾取した。濾取した樹脂にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート138部加え、撹拌し、濃縮することで、樹脂A1-2のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液42.3部(固形分56.3%)を得た。樹脂A1-2の重量平均分子量は7.4×10
4であった。樹脂A1-2は下記の構造単位を有する。
【0111】
合成例5[樹脂A1-3の合成]
式(A)で表されるモノマー25.1部、式(C)で表されるモノマー19.6部、式(D)で表されるモノマー11.8部、アゾビスイソブチロニトリル0.285部及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート28.1部を混合し、混合溶液(3)を得た。温度計及び攪拌装置を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート56.4部加え、80℃まで昇温し、撹拌しながら、得られた混合溶液(3)を1時間かけて滴下し、80℃で9時間加熱した。得られた反応溶液を40℃まで冷却し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート62.0部加え、さらにメタノール342部と水684部を加え、析出した樹脂を濾取した。濾取した樹脂にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート263部加え、撹拌し、濃縮することで、樹脂A1-3のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液99.0部(固形分51.3%)を得た。樹脂A1-3の重量平均分子量は6.0×10
4であった。樹脂A1-3は下記の構造単位を有する。
【0112】
合成例6[樹脂A1-4の合成]
式(A)で表されるモノマー10.9部、式(C)で表されるモノマー10.4部、式(E)で表されるモノマー6.9部、アゾビスイソブチロニトリル0.068部及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート12.8部を混合し、混合溶液(4)を得た。温度計及び攪拌装置を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート27.4部加え、80℃まで昇温し、撹拌しながら、得られた混合溶液(4)を1時間かけて滴下し、80℃で9時間加熱した。得られた反応溶液を40℃まで冷却し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート30.1部加え、さらに、メタノール178部と水178部を加え、析出した樹脂を濾取した。濾取した樹脂にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート155部加え、撹拌し、濃縮することで、樹脂A1-4のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液53.1部(固形分34.1%)を得た。樹脂A1-4の重量平均分子量は16.0×10
4であった。樹脂A1-4は下記の構造単位を有する。
【0113】
合成例7[樹脂A1-5の合成]
式(B)で表されるモノマー32.1部、式(C)で表されるモノマー24.3部、式(D)で表されるモノマー5.5部、アゾビスイソブチロニトリル0.186部及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート30.8部を混合し、混合溶液(5)を得た。温度計及び攪拌装置を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート61.8部加え、80℃まで昇温し、撹拌しながら、得られた混合溶液(5)を1時間かけて滴下し、80℃で9時間加熱した。得られた反応溶液を40℃まで冷却し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート68.0部加え、さらにメタノール281部と水844部を加え、析出した樹脂を濾取した。濾取した樹脂にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート288部加え、撹拌し、濃縮することで、樹脂A1-5のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液113.7部(固形分44.8%)を得た。樹脂A1-5の重量平均分子量は13.3×10
4であった。樹脂A1-5は下記の構造単位を有する。
【0114】
合成例8[樹脂A1-6の合成]
式(A)で表されるモノマー26.1部、式(C)で表されるモノマー9.9部、式(D)で表されるモノマー4.5部、式(F)で表されるモノマー9.3部、アゾビスイソブチロニトリル0.129部及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート24.6部を混合し、混合溶液(6)を得た。温度計及び攪拌装置を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート49.6部加え、80℃まで昇温し、撹拌しながら、得られた混合溶液(6)を1時間かけて滴下し、80℃で9時間加熱した。得られた反応溶液を40℃まで冷却し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート54.5部加え、さらにメタノール271部と水632部を加え、析出した樹脂を濾取した。濾取した樹脂にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート264部加え、撹拌し、濃縮することで、樹脂A1-6のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液97.7部(固形分39.0%)を得た。樹脂A1-6の重量平均分子量は9.1×10
4であった。樹脂A1-6は下記の構造単位を有する。
【0115】
合成例9[樹脂A1-7の合成]
式(A)で表されるモノマー30.4部、式(C)で表されるモノマー11.4部、式(D)で表されるモノマー15.5部、アゾビスイソブチロニトリル0.164部及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート28.0部を混合し、混合溶液(7)を得た。温度計及び攪拌装置を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート56.9部加え、80℃まで昇温し、撹拌しながら、得られた混合溶液(7)を1時間かけて滴下し、80℃で9時間加熱した。得られた反応溶液を40℃まで冷却し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート62.5部加え、さらにメタノール310部と水724部を加え、析出した樹脂を濾取した。濾取した樹脂にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート303部加え、撹拌し、濃縮することで、樹脂A1-7のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液144.2部(固形分34.8%)を得た。樹脂A1-7の重量平均分子量は8.4×10
4であった。樹脂A1-7は下記の構造単位を有する。
【0116】
合成例10[樹脂A1-8の合成]
式(A)で表されるモノマー21.3部、式(G)で表されるモノマー4.6部、式(H)で表されるモノマー42.3部、アゾビスイソブチロニトリル0.261部及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート29.1部を混合し、混合溶液(8)を得た。温度計及び攪拌装置を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート58.8部加え、80℃まで昇温し、撹拌しながら、得られた混合溶液(8)を1.5時間かけて滴下し、80℃で9時間加熱した。得られた反応溶液を40℃まで冷却し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート88.3部加え、さらにメタノール371部と水865部を加え、析出した樹脂を濾取した。濾取した樹脂にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート362部加え、撹拌し、濃縮することで、樹脂A1-8のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液120.7部(固形分42.2%)を得た。樹脂A1-8の重量平均分子量は7.6×10
4であった。樹脂A1-8は下記の構造単位を有する。
【0117】
合成例11[樹脂A1-9の合成]
式(A)で表されるモノマー27.5部、式(G)で表されるモノマー4.1部、式(H)で表されるモノマー32.3部、アゾビスイソブチロニトリル0.232部及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート27.5部を混合し、混合溶液(9)を得た。温度計及び攪拌装置を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート55.8部加え、80℃まで昇温し、撹拌しながら、得られた混合溶液(9)を1.5時間かけて滴下し、80℃で9時間加熱した。得られた反応溶液を40℃まで冷却し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート83.6部加え、さらにメタノール351部と水819部を加え、析出した樹脂を濾取した。濾取した樹脂にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート343部加え、撹拌し、濃縮することで、樹脂A1-9のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液114.3部(固形分44.6%)を得た。樹脂A1-9の重量平均分子量は8.3×10
4であった。樹脂A1-9は下記の構造単位を有する。
【0118】
合成例12[樹脂A1-10の合成]
式(A)で表されるモノマー16.2部、式(G)で表されるモノマー3.5部、式(H)で表されるモノマー27.64部、式(E)で表されるモノマー20.0部、アゾビスイソブチロニトリル0.199部及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート28.9部を混合し、混合溶液(10)を得た。温度計及び攪拌装置を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート58.2部加え、80℃まで昇温し、撹拌しながら、得られた混合溶液(10)を1.5時間かけて滴下し、80℃で9時間加熱した。得られた反応溶液を40℃まで冷却し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート87.3部加え、さらにメタノール367部と水856部を加え、析出した樹脂を濾取した。濾取した樹脂にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート358部加え、撹拌し、濃縮することで、樹脂A1-10のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液119.4部(固形分44.8%)を得た。樹脂A1-10の重量平均分子量は10.8×10
4であった。樹脂A1-10は下記の構造単位を有する。
【0119】
合成例13[ノボラック樹脂A2-1の合成]
攪拌器、還流冷却管、温度計を備えた四つ口フラスコに、2,5-キシレノール413.5部、サリチルアルデヒド103.4部、p-トルエンスルホン酸20.1部、メタノール826.9部を仕込み、還流状態まで昇温し、4時間保温した。冷却後メチルイソブチルケトン1320部を仕込み、常圧で1075部留去した。そこにm-クレゾール762.7部と2-tert-ブチル-5-メチルフェノール29部を加え、65℃まで昇温し、37%ホルマリン678部を、滴下終了時に87℃になるように温調しながら1.5時間かけて滴下した。得られた混合物を87℃で10時間保温し、メチルイソブチルケトン1115部を加え、イオン交換水で3回分液水洗を行った。得られた樹脂液にメチルイソブチルケトン500部を加えて全量が3435部になるまで減圧濃縮を行った。得られた樹脂液にメチルイソブチルケトン3796部とn-ヘプタン4990部を加え60℃に昇温して1時間攪拌した。その後、分液を行い下層の樹脂液をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート3500部で希釈し、濃縮を行い、ノボラック樹脂A2-1のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液1690部(固形分43%)を得た。ノボラック樹脂A2-1の重量平均分子量は7×103であった。
【0120】
合成例11[樹脂A3-1の合成]
式(J)で表されるモノマー12.0部、式(C)で表されるモノマー21.4部、アゾビスイソブチロニトリル0.141部及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート16.7部の混合し、混合溶液(8)を得た。温度計及び攪拌装置を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート33.4部加え、80℃まで昇温し、撹拌しながら、得られた混合溶液(8)を1時間かけて滴下し、80℃で約9時間加熱した。得られた反応液を40℃まで冷却し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート62.5部加え、さらにメタノール203部と水406部を加え、析出した樹脂を濾取した。濾取した樹脂にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート156部加え、撹拌し、濃縮することで、樹脂A3-1のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液53.9部(固形分40.4%)を得た。樹脂A3-1の重量平均分子量は12.0×10
4であった。樹脂A3-1は下記の構造単位を有する。
【0121】
合成例14[樹脂A3-2の合成]
ポリビニルフェノール(VP-15000;日本曹達(株)製)20部をメチルイソブチルケトン240部に溶解し、エバポレーターで濃縮した。還流冷却管、攪拌器、温度計を備えた四つ口フラスコに、濃縮後の樹脂溶液及びp-トルエンスルホン酸1水和物0.003部を仕込み、20~25℃に保持したまま、エチルビニルエーテル5.05部を10分間かけて滴下した。得られた混合液を、同温度を保持したまま、2時間攪拌した。得られた混合物をメチルイソブチルケトン200部で稀釈した。得られた混合物をイオン交換水で分液洗浄を5回行った。得られた有機層を、エバポレーターを用いて45部まで濃縮した。得られた濃縮物にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート150部を加えて、再度濃縮を行い、樹脂A1-2のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液78部(固形分29%)を得た。樹脂A1-3の重量平均分子量は2.21×10
4、エトキシエチル基の導入率は38.5%であった。樹脂A3-2は、下記の構造単位を有する。
【0122】
合成例15[酸発生剤(B2)の合成]
3,5-ジヒドロキシナフトエ酸10.3部をアセトン95部に溶解させた。得られた混合物に、炭酸カリウム83.6部、ジメチル硫酸28.4部を加え、50℃で12時間撹拌した。得られた反応溶液をろ過して固体を除去した後、エバポレーターで溶媒を留去した。得られた残渣に、水50部、メタノール40部及び水酸化カリウム10部を加え、65℃で3時間撹拌した。得られた反応溶液に塩酸100部を加え、沈殿してきた固体を回収し、3,5-ジメトキシ-2-ナフトエ酸20部を得た。
得られた3,5-ジメトキシ-2-ナフトエ酸20部を、塩化チオニル160部に溶解させ、80℃で2時間撹拌した。得られた混合物を80℃で減圧にし、得られた混合物から塩化チオニルと系中で発生した塩酸とを留去して、3,5-ジメトキシ-2-ナフトイルクロリド20部を得た。
N-メチルヒドロキシアミン塩酸塩8.3部をメタノール50部に溶解させ、0℃で撹拌しながら、水酸化カリウムの10%メタノール溶液60gを滴下し、混合物(12)を得た。混合物(12)に、3,5-ジメトキシ-2-ナフトイルクロリド11.8部をテトラヒドロフラン30部に溶解させた溶液を加え、1時間撹拌した。得られた反応溶液を室温に戻し、さらに1時間撹拌した後、溶媒を留去した。得られた残渣を酢酸エチルと飽和食塩水で抽出し、有機層を分離した後、溶媒を留去して、白色固体を回収した。
得られた固体20部と(+)-10-カンファースルホニルクロリド3.8部とをクロロホルム75部に溶解させた。得られた混合物を0℃で撹拌しながら、得られた混合物ピリジン3.4部を滴下した。得られた混合物を50℃で8時間撹拌後、クロロホルム-水で抽出した後、有機層を減圧除去し溶剤を除去することで褐色油状物を得た。さらにメタノールで再結晶を行うことで、下記式で表される化合物3.5部を得た。
【0123】
実施例1~11、比較例1~4
(レジスト組成物の調製)
表1に示す成分の各々を表1に示す質量部で混合して溶剤に溶解した。
得られた溶液を、実施例1~4及び比較例1~2は、孔径5μmのフッ素樹脂製フィルターでろ過して、レジスト組成物を調製した。実施例6~11及び比較例3~4は、孔径15μmのフッ素樹脂製フィルターでろ過して、レジスト組成物を調製した。
【0124】
【0125】
本明細書において、表に示す各符号は以下の材料を表す。
<樹脂>
A1-1:樹脂A1-1
A1-2:樹脂A1-2
A1-3:樹脂A1-3
A1-4:樹脂A1-4
A1-5:樹脂A1-5
A1-6:樹脂A1-6
A1-7:樹脂A1-7
A2-1:ノボラック樹脂A2-1
A3-1:樹脂A3-1
A3-2:樹脂A3-2
【0126】
<酸発生剤>
B1:下記式で表される化合物
B2:下記式で表される化合物
<クエンチャー>
C1:2,4,5-トリフェニルイミダゾール (東京化成工業(株)製)
<界面活性剤>
F1:ポリエーテル変性シリコーンオイル(トーレシリコーンSH8400;東レ・ダウコーニング(株)製)
F2:メガファックF-477(DIC(株)社製)
<溶剤>
D1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
【0127】
実施例1~5、比較例1及び2
(レジストパターンの製造)
4インチのシリコンウェハ上に上記のレジスト組成物をプリベーク後の膜厚が5μmとなるようにスピンコートした。
その後、ダイレクトホットプレートで、表1の「PB」欄に示す温度で180秒間プリベークして組成物層を形成した。
次いで、該組成物層に、i-線ステッパー〔(株)ニコン製の“NSR 1755i7A”、NA=0.5〕を用い、露光量を段階的に変化させて1:1ラインアンドスペースパターンを形成するためのマスクを介して露光した。
露光後、ホットプレートにて表1の「PEB」欄に示す温度で60秒間ポストエキスポジャーベークを行い、さらに2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で180秒間のパドル現像を行うことにより、レジストパターンを得た。
得られたレジストパターンを走査型電子顕微鏡で観察し、線幅3μmのラインアンドスペースパターンのライン幅とスペース幅とが1:1となる露光量を実効感度とした。
【0128】
面内均一性評価:プリベーク後のレジスト組成物膜の膜厚を、光干渉式膜厚測定装置ラムダエース(株式会社SCREENセミコンダクターソリューションズ製)を用いて、5点測定し、膜厚の振れが0.2μm以上のものを×、膜厚の振れが0.2μm未満のものを○とした。その結果を表2に示した。
【0129】
解像度評価:実効感度において得られた3μmのラインアンドスペースパターンを走査型電子顕微鏡で観察し、レジストパターンが倒れずに解像する最小線幅を解像度とした。その結果を表2に示した。
【0130】
【0131】
実施例6~8、比較例3及び4
(レジストパターンの製造)
4インチのシリコンウェハ上に上記のレジスト組成物をプリベーク後の膜厚が50μmとなるようにスピンコートした。
その後、ダイレクトホットプレートで、表1の「PB」欄に示す温度で300秒間プリベークして組成物層を形成した。
次いで、該組成物層に、i-線ステッパー〔(株)ニコン製の“NSR 1755i7A”、NA=0.5〕を用い、露光量を段階的に変化させて1:1ラインアンドスペースパターンを形成するためのマスクを介して露光した。
露光後、ホットプレートにて表1の「PEB」欄に示す温度で60秒間ポストエキスポジャーベークを行い、さらに2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で180秒間のパドル現像を行うことにより、レジストパターンを得た。
得られたレジストパターンを走査型電子顕微鏡で観察し、線幅40μmのラインアンドスペースパターンのライン幅とスペース幅とが1:1となる露光量を実効感度とした。
【0132】
面内均一性評価:プリベーク後のレジスト組成物膜の膜厚を光干渉式膜厚測定装置ラムダエース(株式会社SCREENセミコンダクターソリューションズ製)を用いて、膜の中心から25mm離れた円上の5点測定し、膜厚の振れが2μm以上のものを×、膜厚の振れが2μm未満のものを○とした。その結果を表3に示した。
【0133】
解像性評価:実効感度において得られた40μmのラインアンドスペースパターンを走査型電子顕微鏡で観察し、レジストパターンが倒れずに解像する最小線幅を解像度とした。その結果を表3に示した。
【0134】
クラック耐性評価:4インチのシリコンウェハ上に上記のレジスト組成物をプリベーク後の膜厚が50μmとなるようにスピンコートした。その後、ダイレクトホットプレートで、表1の「PB」欄に示す温度で300秒間プリベークして組成物層を形成した。
得られた基板を130℃のホットプレートで5分間ベークし、その後23℃まで急冷しクラックの有無を確認した。クラックがないものを○、クラックの発生が10カ所以上のものを×とした。
【0135】
【0136】
上記の結果から、本発明のレジスト組成物によれば、解像性のよいレジストパターンが得られる。
【産業上の利用可能性】
【0137】
本発明のレジスト組成物は、良好な解像性を有するレジストパターンを製造することができる。