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特許7163921画像信号出力装置及び方法、画像データ変換装置及び方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】画像信号出力装置及び方法、画像データ変換装置及び方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/10 20060101AFI20221025BHJP
   A61B 3/12 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
A61B3/10 300
A61B3/12
A61B3/10 100
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019534512
(86)(22)【出願日】2018-07-30
(86)【国際出願番号】 JP2018028512
(87)【国際公開番号】W WO2019026861
(87)【国際公開日】2019-02-07
【審査請求日】2020-12-11
(31)【優先権主張番号】P 2017149212
(32)【優先日】2017-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田邉 泰士
(72)【発明者】
【氏名】藤原 朋春
(72)【発明者】
【氏名】廣川 真梨子
【審査官】北島 拓馬
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-198447(JP,A)
【文献】特開2006-122160(JP,A)
【文献】特開2015-192915(JP,A)
【文献】特開2014-217755(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/00 - 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の図法に従った第1眼底画像を取得する取得部と、
前記第1眼底画像を、前記所定の図法とは異なる正距図法に従い、第2眼底画像に変換する変換部と、
前記第2眼底画像を含む画面の画像信号を出力し、前記第2眼底画像により眼底の構造物間の距離を計算する処理部と、
を備えた画像信号出力装置。
【請求項2】
前記処理部は、前記距離の計算の指示をするユーザインターフェースを実行させるためのアイコンを前記第2眼底画像と共に、前記画像信号として出力する請求項1に記載の画像信号出力装置。
【請求項3】
所定の図法に従った第1眼底画像を取得する取得部と、
前記第1眼底画像を、前記所定の図法とは異なる正積図法に従い、第2眼底画像に変換する変換部と、
前記第2眼底画像を含む画面の画像信号を出力し、前記第2眼底画像により眼底の病変部の面積を計算する処理部と、
を備えた画像信号出力装置。
【請求項4】
前記処理部は、前記病変部を指定して前記病変部の面積を計算するユーザインターフェースを実行させるためのアイコンを前記第2眼底画像と共に、前記画像信号として出力する請求項に記載の画像信号出力装置。
【請求項5】
所定の図法に従った第1眼底画像を取得する取得部と、
前記第1眼底画像を、前記所定の図法とは異なる正角図法に従い、第2眼底画像に変換する変換部と、
前記第2眼底画像を含む画面の画像信号を出力し、前記第2眼底画像上の指定された2点で定まる線分の方向、あるいは、3点で定まる角度を計算する処理部と、
を備えた画像信号出力装置。
【請求項6】
前記第1眼底画像は、SLO(スキャニングレーザオプサルモスコープ)で撮影された眼底画像であることを特徴とする請求項1~請求項5の何れか1項に記載の画像信号出力装置。
【請求項7】
前記第1眼底画像は画像サーバに記憶されており、前記取得部は前記画像サーバから前記第1眼底画像を取得することを特徴とする請求項6に記載の画像信号出力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像信号出力装置及び方法、画像データ変換装置及び方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、眼底を撮影して表示部に表示し、表示された眼底画像上で2点が指定されると、被検眼視度、眼軸長に応じて算出されたサイズの眼底上でのマスクの表示画面での座標距離と、指定された2点間の表示画面上での座標距離とから、眼底上の実距離を演算することが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-122160号公報
【発明の概要】
【0004】
本開示の技術の第1の態様の画像信号出力装置は、眼底画像を取得する取得部と、前記取得された眼底画像を表示するための図法を複数の図法から選択する選択部と、前記選択された図法に前記眼底画像を変換する変換部と、前記変換された眼底画像の画像信号を出力する処理部と、を備えている。
【0005】
第2の態様の画像信号出力装置は、正角である眼底画像を取得する取得部と、眼底画像の図法を選択する選択部と、選択された図法に眼底画像を変換する変換部と、前記取得部により取得された前記正角である眼底画像の第1の画像信号を出力すると共に、前記選択部により図法の選択があった場合は選択された図法に変換された眼底画像の第2の画像信号を出力する処理部と、を備えている。
【0006】
第3の態様の画像データ変換装置は、眼底画像を取得する取得部と、前記取得された眼底画像の画像データを、三次元球面座標の仮想球面画像データに変換し、変換された仮想球面画像データを、正角図法に従った二次元座標の画像データ、正積図法に従った二次元座標の画像データおよび正距図法に従った二次元座標の画像データの少なくともいずれかに変換する変換部と、を備えている。
【0007】
第4の態様は、コンピュータを、第1の態様又は第2の態様の画像信号出力装置の前記取得部、前記選択部、前記変換部、及び前記処理部として機能させるためのプログラムである。
【0008】
第5の態様は、コンピュータを、第の態様の画像データ変換装置の前記取得部及び前記変換部として機能させるためのプログラムである。
【0009】
第6の態様の画像信号出力方法では、コンピュータが、眼底画像を取得し、前記コンピュータが、前記取得された眼底画像を表示するための図法を複数の図法から選択し、前記コンピュータが、前記選択された図法に前記眼底画像を変換し、前記コンピュータが、前記変換された眼底画像の画像信号を出力する。
【0010】
第7の態様の画像信号出力方法では、コンピュータが、正角である眼底画像を取得し、前記コンピュータが、眼底画像の図法を選択し、前記コンピュータが、選択された図法に眼底画像を変換し、前記コンピュータが、前記取得された前記正角である眼底画像の第1の画像信号を出力すると共に、図法に変換された眼底画像の第2の画像信号を出力する。
【0011】
第8の態様の画像データ変換方法では、コンピュータが、眼底画像を取得し、前記コンピュータが、前記取得された眼底画像の座標データを、三次元球面座標の三次元球面座標データに変換し、変換された三次元球面座標データを、正角図法に従った二次元座標の座標データ、正積図法に従った二次元座標の座標データおよび正距図法に従った二次元座標の座標データの少なくともいずれかに変換する。
【0012】
第9の態様の画像信号出力装置は、眼底画像を取得する取得部と、前記取得された眼底画像を、正距離モード、正積モードあるいは正角モードに変換した眼底画像の画像信号を出力する処理部と、を備えている。
【0013】
第10の態様は、コンピュータを、第9の態様の画像信号出力装置の前記取得部及び前記処理部として機能させるためのプログラムである。
【0014】
第11の態様の画像信号出力方法では、コンピュータが、眼底画像を取得し、前記コンピュータが、前記取得された眼底画像を、正距離モード、正積モードあるいは正角モードに変換した眼底画像の画像信号を出力する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】眼底画像表示システム100のブロック図である。
図2】眼科撮影装置110の全体構成の一例を示すブロック図である。
図3】眼科撮影装置110に含まれる走査装置の概略的な構成の一例を示す概念図である。
図4A】画像ビューワ150の電気系の構成のブロック図である。
図4B】画像ビューワ150の機能のブロック図である。
図5】画像ビューワ150のCPU162が実行する眼底画像表示プログラムを示すフローチャートである。
図6】正角表示モードの眼底画像表示画面300を示す図である。
図7】図法選択領域302がクリックされて、各図法を選択するための選択ボタンが表示された様子を示す眼底画像表示画面300を示す図である。
図8】UWF眼底画像を正距図法で表示した正距表示モードの眼底画像表示画面300を示す図である。
図9】UWF眼底画像を正積図法で表示した正積表示モードの眼底画像表示画面300を示す図である。
図10】第1の変形例にかかる正距表示モードの眼底画像表示画面300を示す図である。
図11】第2の変形例におけるUWF眼底画像を正角図法で表示した正角表示モードの眼底画像表示画面300を示す図である。
図12】第6の変形例における画像ビューワ150のCPU162が実行する眼底画像表示プログラムを示すフローチャートである。
図13】第7の変形例における画像ビューワ150のCPU162が実行する眼底画像表示プログラムを示すフローチャートである。
図14】第8の変形例における画像ビューワ150のCPU162が実行する眼底画像表示プログラムを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0017】
図1を参照して、眼底画像表示システム100の構成を説明する。図1に示すように、眼底画像表示システム100は、眼底画像を撮影する眼科撮影装置110と、眼科撮影装置110によって複数の被検者の眼底が撮影されることにより得られた複数の眼底画像を、被検者のIDに対応して記憶する画像管理サーバ140と、画像管理サーバ140により取得した眼底画像を表示する画像ビューワ150と、を備えている。眼科撮影装置110、画像管理サーバ140、画像ビューワ150は、ネットワーク130を介して、相互に接続されている。なお、画像ビューワ150は、本開示の技術の画像信号出力装置及び画像データ変換装置の1例である。
【0018】
次に、図2を参照して、眼科撮影装置110の構成の一例を説明する。図2に示すように、眼科撮影装置110は、被検眼の眼底を撮影する装置本体14および制御装置16を含む。制御装置16は、CPU、RAM、ROM、および入出力(I/O)ポートを備えたコンピュータで構成され、図示しない通信インターフェース(I/F)を介して、ネットワーク130に接続される。なお、以下の説明では、「撮影」とは、ユーザが眼科撮影装置110を用いて被写体を示す画像を取得することをいい、「撮像」と称する場合がある。装置本体14は、制御装置16の制御下で作動する。装置本体14は、SLOユニット18、走査装置19、およびOCTユニット20を含む。
【0019】
なお、以下の説明では、眼科撮影装置110が水平面に設置された場合の水平方向を「Y方向」、水平面に対する垂直方向を「X方向」とし、被検眼12の前眼部から眼球中心Oを介して眼底に向かう方向を「Z方向」とする。従って、Y方向およびZ方向の双方に対して垂直な方向が「X方向」となる。
【0020】
本実施形態にかかる眼科撮影装置110は、眼科撮影装置110で実現可能な主要な機能の一例として、2つの機能を有している。第1機能は、眼科撮影装置110を走査型レーザ検眼鏡(Scanning Laser Ophthalmoscope。以下、「SLO」という。)として作動させ、SLOによる撮影を行う機能(以下、SLO撮影系機能という。)である。第2機能は、眼科撮影装置110を光干渉断層計(Optical Coherence Tomography。以下、「OCT」という。)として作動させ、OCTによる撮影を行う機能(以下、OCT撮影系機能という。)である。
【0021】
SLO撮影系機能は、眼科撮影装置110の構成のうち、制御装置16、SLOユニット18および第1光学スキャナ22を含む走査装置19によって実現される。SLOユニット18は、光源、および検出素子等を含んで、被検眼12の眼底を撮像するように構成されている。つまり、眼科撮影装置110は、SLO撮影系機能として作動されることで、被検眼12の眼底(例えば撮影可能領域12A)が被写体として撮像される。具体的には、SLOユニット18からの光(以下、「SLO光」という。)が走査装置19によって被検眼12の瞳孔を通して撮影可能領域12Aに対して、第1光学スキャナ22によるX方向(鉛直方向)、および第3光学スキャナ29によるY方向(水平方向)に走査され、その反射光による眼底画像がSLOユニット18で取得される。なお、SLO撮影系機能は、周知の機能であるため、詳細な説明は省略する。
【0022】
【0023】
OCT撮影系機能は、制御装置16、OCTユニット20および第2光学スキャナ24を含む走査装置19によって実現される。OCTユニット20は、光源、分光器、センサ、および参照光学系等を含んで、眼底の膜厚方向に複数の断層領域を撮像するように構成されている。つまり、眼科撮影装置110は、OCT撮影系機能として作動されることで、眼底(例えば撮影可能領域12A)の膜厚方向の領域である断層領域が撮像される。具体的には、OCTユニット20からの光(以下、「測定光」という。)が走査装置19によって被検眼12の瞳孔を通して撮影可能領域12Aに対して、第2光学スキャナ24によるX方向(鉛直方向)、および第3光学スキャナ29によるY方向(水平方向)に走査され、測定光の反射光と参照光とを干渉させて干渉光が生成される。OCTユニット20は、干渉光の各スペクトル成分を検出し、検出結果を用いて制御装置16が断層領域を示す物理量(例えば断層画像)を取得する。なお、OCT撮影系機能は、周知の機能であるため、詳細な説明は省略する。
【0024】
以下の説明では、SLO光および測定光は共にX方向およびY方向に2次元的に走査される光であるので、SLO光および測定光を区別して説明する必要がない場合には、SLO光および測定光を総称して「走査光」という。
【0025】
なお、本実施形態では、走査光を用いた機能を含む眼科撮影装置110の一例を説明するが、走査光を用いた機能を含む眼科撮影装置に限定されるものではなく、被検眼12を観察可能な機能を有していればよい。例えば、走査光の照射に限らず、被検眼12の眼底へ向けて光を照射して被検眼12の眼底観察可能な機能を含む眼科撮影装置への適用が可能である。つまり、走査光を走査した際の被検眼12からの反射光を用いることに限定されず、単に光を照射して被検眼12を観察する機能を含むものである。また、被検眼12への光の照射にも限定されない。例えば、被検眼12に生じさせた蛍光などの光を用いて被検眼12を観察する機能を含むものである。このため、以下、被検眼12を観察する場合の光として、眼底からの反射光および眼底における発光を含む概念として、「被検眼12からの光」と称して説明する。
【0026】
次に、図3を参照して、眼科撮影装置110に含まれる走査装置の構成を説明する。図3に示すように、共通光学系28は、第3光学スキャナ29の他に、スリットミラー30および楕円鏡32を含む。なお、ダイクロイックミラー26、スリットミラー30、および楕円鏡32が側面視端面図で表されている。なお、共通光学系28は、スリットミラー30および楕円鏡32に代えて、複数のレンズ群を用いた構成でもよい。
【0027】
スリットミラー30は、楕円状の第1反射面30Aを有する。第1反射面30Aは、第1焦点P1および第2焦点P2を有する。楕円鏡32も、楕円状の第2反射面32Aを有する。第2反射面32Aは、第1焦点P3および第2焦点P4を有する。
【0028】
スリットミラー30、楕円鏡32、および第3光学スキャナ29は、第1焦点P3および第2焦点P2が第3光学スキャナ29で共通の位置になるように配置されている。また、スリットミラー30、楕円鏡32、および第3光学スキャナ29は、第2焦点P4が被検眼12の瞳孔の中心部に位置するように配置されている。更に、第1光学スキャナ22、第2光学スキャナ24、およびスリットミラー30は、第1焦点P1が第1光学スキャナ22および第2光学スキャナ24に位置するように配置されている。
【0029】
つまり、第1光学スキャナ22、第2光学スキャナ24、および第3光学スキャナ29は、被検眼12の瞳孔の中心部と共役な位置に配置されている。
【0030】
【0031】
なお、走査装置19にかかる基本構成は、特許第3490088号および特許第5330236号に開示されている構成を用いることができる。
【0032】
本実施の形態では、図3に示す走査装置により、眼底の視野角(FOV:Field of View)を従来の技術より大きな角度とし、従来の技術より広範囲の眼底領域を観察できる。当該広範囲の眼底領域を、眼科撮影装置110による外部からの照射光についての外部照射角と、これにより照射させる被検眼の内部での照射角としての内部照射角とを区別して説明する。
【0033】
外部照射角とは、眼科撮影装置110側から、すなわち被検眼12の外部からの光照射角である。つまり、被検眼12の眼底に対して照射光が被検眼12の瞳孔中心点27(すなわち、瞳孔の正対視中央点(図2も参照))へ向かう角度を外部照射角とする。この外部照射角はまた眼底から反射して瞳孔中心点27から被検眼12を射出して眼科撮影装置110へ向かう光の角度に等しい。
【0034】
一方、内部照射角とは、被検眼12の眼球中心Oを基準位置として、被検眼12の眼底が走査光により照射されて実質的に撮影される光照射角を表している。外部照射角Aと内部照射角Bとは、対応関係にあるが、以下の説明では、眼科撮影装置としての説明であるため、眼底の視野角に対応する照射角として、外部照射角を用いる。
【0035】
眼科撮影装置110は、外部照射角による被検眼12の眼底領域である撮影可能領域12A(図2も参照)内を撮像する。この撮影可能領域12Aは、例えば、走査装置19による走査光の走査可能な最大領域である。撮影可能領域12Aの一例には、外部照射角Aで、約120度の視野を提供する範囲が挙げられる。この場合の内部照射角は160度程度に対応する。
【0036】
例えば、撮影可能領域12Aは、第1撮影可能領域12A1および第2撮影可能領域12A2に大別することができる。第1撮影可能領域12A1とは、被検眼12の瞳孔中心点27と中心Oとを通る視軸CL近傍の視野の範囲であり、第2撮影可能領域12A2とは、第1撮影可能領域12A1の周辺領域で、視軸CLから離れた周辺視野の範囲である。第1撮影可能領域12A1に対応する外部照射角の一例としては約30度(内部照射角は45度程度に相当)が挙げられ、第2撮影可能領域12A2に対応する外部照射角の一例として約120度(内部照射角160度程度に相当)が挙げられる。
【0037】
眼科撮影装置110が被検眼12の撮影可能領域12Aを撮像して得た眼底画像は、従来の技術より広範であるので、以下、UWF(Ultra-Widefield:超広角)眼底画像という。
【0038】
次に、図4Aを参照して、画像ビューワ150の電気系の構成を説明する。図4Aに示すように、画像ビューワ150は、CPU162、RAM166、ROM164、入出力(I/O)ポート168を備えて構成されたコンピュータ本体152を備えている。コンピュータ本体152の入出力(I/O)ポート168には、2次記憶装置154、表示部156、マウス155M、キーボード155K、および通信インターフェース(I/F)158が接続されている。コンピュータ本体152の入出力(I/O)ポート168は、通信インターフェース(I/F)158を介して、ネットワーク130に接続され、眼科撮影装置110および画像管理サーバ140と通信する事ができる。ROM164または2次記憶装置154には、後述する眼底画像表示プログラムが記憶されている。なお、眼底画像表示プログラムは、本開示の技術のプログラムの1例である。
【0039】
次に、図4Bを参照して、画像ビューワ150のCPU162が実行する眼底画像表示プログラムの機能の構成を説明する。図4Bに示すように、眼底画像表示プログラムは、取得機能、選択機能、変換機能、処理機能、を備えている。画像ビューワ150のCPU162がこの各機能を有する眼底画像表示プログラムを実行することで、画像ビューワ150のCPU162は、取得部172、選択部174、変換部176、及び処理部178として機能する。処理部178は、後述するように画像信号を表示部156に出力し、表示部156が、処理部178により出力された画像信号に基づいて、眼底画像を表示する。
【0040】
なお、本実施の形態では、眼科撮影装置110が表示部156を備えているが、本開示の技術はこれに限定されず、眼科撮影装置110は表示部156を備えず、眼科撮影装置110とは物理的に独立した別個の表示装置を備えるようにしてもよい。この場合、当該表示装置は、CPU162の制御下で動作する画像処理プロセッサユニットを備え、画像処理プロセッサユニットが、処理部178により出力された画像信号に基づいて、眼底画像を表示するようにしてもよい。
【0041】
画像管理サーバ140の電気系の構成は、画像ビューワ150の電気系の構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0042】
次に本実施の形態の作用を説明する。
【0043】
本実施の形態では、UWF眼底画像を3つの図法の中の選択された1つの図法で表示する。
【0044】
次に、図5を参照して、画像ビューワ150のCPU162の取得部172、選択部174、変換部176、及び処理部178が実行する眼底画像表示プログラムの眼底画像表示処理を説明する。図5に示す眼底画像表示プログラムがスタートすると、図5のステップ200で、変換部176は、後述する変数F、G、Hを0に初期化する。
【0045】
ステップ201で、処理部178は、表示部156の画面に、図6に示す眼底画像表示画面300を表示する。
【0046】
ここで、眼底画像表示画面300には、図6に示すように、被検者ID、被検者情報(氏名・年齢・性別、撮影日時、右眼/左眼の区別、デイオプター等)を表示する領域、UWF眼底画像を表示する眼底画像表示領域304、上述した3つの図法の中から1つの図法を選択するための図法選択領域302、被検者を選択するための被検者選択ボタン306、UWF眼底画像の赤および緑の色度合いを指定するための赤緑色度合指定ボタン308、OCT画像を表示するためのOCT画像表示指示ボタン310、眼底画像表示処理を終了させるための終了指示ボタン312が含まれている。さらに、AF画像(AutoFluorescence自家蛍光)、FA(Fluorescein Angiography:フルオレセイン造影)、ICG画像(Indocyanine Green Chorioangiography:インドシアニングリーン造影)などのボタンもあってもよい。
【0047】
【0048】
また、画面端に各種アイコン(拡大・縮小、画面の移動、説明追加、メール添付、アノテーションフリーハンド、左右切り替えボタン、過去の履歴参照など、電子カルテ機能を作動させるアイコン類)を表示させるようにしてもよい。
【0049】
ここで、眼底画像表示画面300には、3つの図法を用いた表示モード(表示態様)があり、
UWF眼底画像を、正積図法に従って表示する正積表示モード、
正距図法に従って表示する正距表示モード、および
正角図法に従って表示する正角表示モード
がある。眼底画像表示画面300は処理部178で出力される画像信号に基づいて表示部156に表示される。
【0050】
正積表示モードの眼底画像表示画面300は、UWF眼底画像を、正積図法(ランベルト正積方位図法)に従って、眼底上の面積と、対応する画像上の面積との比がどこでもどんな広さでも同じになるように表示し、眼底の面積あるいは選択された眼底の所定領域を正しく把握するための表示モードである。
【0051】
正距表示モードの眼底画像表示画面300は、UWF眼底画像を、正距図法(正距方位図法)に従って、画像上の、眼底の眼軸中心に対応する点から他の点までの距離と、眼底の眼軸中心からの他の点までの距離との比がどこでもどんな距離でも同じになるように、表示し、眼底の任意の2点間の距離を正しく把握するための表示モードである。
【0052】
正角表示モードの眼底画像表示画面300は、UWF眼底画像を、正角図法(平方位図法)に従って、画像上の角度が、眼底上の角度に対応するように表示し、眼底上での方向(例えば血管の方向、視神経の配向など)を正しく把握するための表示モードである。
【0053】
ステップ202で、被検者のIDが入力され、被検者のIDに対応する眼底画像を表示する指示が入力されると、取得部172は、画像管理サーバ140から、通信インターフェース(I/F)158を介して、被検者のIDに対応するUWF眼底画像を取得する。上記のように、UWF眼底画像は、二次元座標形式の画像データである。
【0054】
ステップ204で、UWF眼底画像を表示部156に表示する。具体的には、処理部178は、UWF眼底画像の画像信号を表示部156に出力する。表示部156は、出力された画像信号に基づいてUWF眼底画像を眼底画像表示領域304に表示する。このステップ204で表示される眼底画像は、眼科撮影装置110により得られたUWF眼底画像である。このUWF眼底画像は二次元座標形式の座標データとなっている。これは、眼科撮影装置110は、眼底を、垂直方向(Y方向)および垂直方向に垂直な水平方向(X方向)に走査するためである。
【0055】
このUWF画像は眼科撮影装置110のSLO撮影系機能により得られた画像である。SLO撮影系機能は、眼球の瞳をピボットとして眼底へレーザ光を走査しているため、眼球の眼底面が、平面であるUWF眼底画像としてステレオ投影されていることになる。よって、UWF眼底画像は角度が眼球面上と同じであるが、面積や距離が眼球上と異なっている。つまり、SLO撮影系機能により得られたUWF眼底画像は角度が正しく表現されている正角図法の眼底画像である。
【0056】
ステップ206で、変換部176は、ステップ202で取得されたUWF眼底画像の画像データから、三次元球面座標の形式の仮想球面画像データを計算(変換)する。仮想球面とは眼球モデルの三次元形状を示すデータである。標準的な眼球モデルを被検者の年齢、人種、眼軸長などの被検者固有のデータを用いてカスタマイズした眼球モデルを仮想球面としてもよい。
【0057】
具体的には、まず、UWF眼底画像の二次元座標の座標データX0、Y0(単位:画素)を、X、Y(単位:rad)へ変換する。
【0058】
UWF眼底画像の二次元座標の縦幅の画素数をrows、横幅の画素数をcolsとする。
【0059】
眼科撮影装置110が眼底を走査する際の、眼軸に対する垂直方向(X方向)の最大の振れ幅(角度)をθrows、水平方向(Y方向)の最大の振れ幅(角度)をθcolsとする。
【0060】
X、Yは次のように表される。
【0061】
=((X0-(rows/2))/(rows))*(1/θrows
【0062】
=((Y0-(cols/2))/(cols))*(1/θcols
【0063】
θcols=100/180(rad)(外部照射角で100°相当の場合)である。
【0064】
そして、三次元球面座標の仮想球面画像データx、y、zを次のようにして得る。
【0065】
x=2X/(1+X2+Y2)
【0066】
y=2Y/(1+X2+Y2)
【0067】
z=(-1+X2+Y2)/(1+X2+Y2)
【0068】
なお、UWF眼底画像データを三次元球面座標の仮想球面画像データに変換する方法としては、米国特許8422750号、米国特許9649031号を用いることができる。2013年4月16日に公開された米国特許8422750号の開示及び2017年5月16日に公開された米国特許9649031号の開示の各々は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
【0069】
ステップ208で、選択部174は、別の画面への操作指示があるか否かを判断する。具体的には、選択部174は、被検者選択ボタン306、赤緑色度合指定ボタン308、OCT画像表示指示ボタン310などの何れかがクリックされたか否かを判断することにより、別の画面への操作指示があるか否かを判断する。
【0070】
ステップ208で、別の画面への操作指示があったと判断された場合には、ステップ210で、処理部178は、別の画面のためのデータを表示部156に出力し、表示部156は当該別の画面を表示する。
【0071】
例えば、被検者選択ボタン306がクリックされた場合には、複数の被検者の各々のIDおよび被検者情報を眼底画像表示画面300に重畳して表示される。
【0072】
赤緑色度合指定ボタン308がクリックされた場合には、眼底画像表示領域304に表示されているUWF眼底画像の赤および緑の色度合いを変更する図示しないスライダが眼底画像表示画面300に重畳して表示され、スライダの操作位置に従ってUWF眼底画像の赤および緑の色度合いを変更する。
【0073】
OCT画像表示指示ボタン310がクリックされた場合には、眼科撮影装置110にOCT撮影機能を実行させて、UWF眼底画像上で指定された部分の断層画像を取得させ、取得された断層画像を表示するための表示画面を表示する。
【0074】
ステップ210の後は、眼底画像表示処理はステップ244に進む。
【0075】
ステップ208で別の画面への操作指示がないと判断された場合には、選択部174は、正距図法が選択されたか否かを判断する。
【0076】
ここで、図6に示すように、図法選択領域302には、3つの図法の各項目を表す指示をするための項目表示指示ボタン303が表示される。項目表示指示ボタン303がクリックされると、図7に示すように3つの図法のプルダウンメニューが表示される。
【0077】
プルダウメニューには、正角図法を指示する正角図法指示ボタン303A、正積図法を指示する正積図法指示ボタン303B、および正距図法を指示する正距図法指示ボタン303Cが含まれている。
【0078】
ステップ212では、選択部174は、正距図法指示ボタン303Cがクリックされたか否かを判断することにより、正距表示モードが選択されたか否かを判断する。
【0079】
ステップ212で正距表示モードが選択されなかったと判断した場合には、ステップ224で、選択部174は、正積図法指示ボタン303Bがクリックされたか否かを判断することにより、正積表示モードが選択されたか否かを判断する
【0080】
ステップ224で正積表示モードが選択されたと判断されなかった場合には、正角図法指示ボタン303Aがクリックされて、正角表示モードが選択されたので、眼底画像表示処理は、ステップ236に進む。
【0081】
ステップ212で正距図法が選択されたと判断された場合には、ステップ213で、変換部176は、変数Fが0か否かを判断する。変数Fが0の場合には、ステップ214で、変換部176は、三次元球面座標データである仮想球面画像データを、次のように、正距図法に従った正距画像データ形式に変換する。
【0082】
具体的には、まず、仮想球面画像データx、y、zを、次のように極座標に変換する。
【0083】
ψ=sin-1(z/√(x2+y2+z2))
【0084】
λ=cos-1(x/√(x2+y2))(y≧0)
【0085】
=-cos-1(x/√(x2+y2+z2))(y<0)
【0086】
ここで、c=cos-1(sinψ。sinψ+cosψ。cosψcos(λ-λ。)である。
【0087】
k´=c/sin(c)とすると、正距図法に従った正距画像データX、Yは、次の通りである。
【0088】
X=-k´{cosψ。sinψ-sinψ。cosψcos(λ-λ。)}
【0089】
Y=-k´{cosψsinψ(λ-λ。)}
【0090】
ここで、ψ。=-π/2、λ。=πを代入し、正距画像データX、Yを得る。
【0091】
ステップ215で、変換部176は、変数Fに1をセットする。これにより、ステップ212が再度肯定判定となった場合に、ステップ214の変換処理を再度実行しないようにする。よって、ステップ213でFが0と判断されなかった場合には、眼底画像表示処理は、ステップ214、215をスキップして、ステップ216に進む。
【0092】
ステップ216で、処理部178は、図8に示すように、ステップ214で変換された正距画像データX、Yの画像信号を含む、変換されたUWF正距眼底画像を眼底画像表示領域304に表示する正距表示モードの眼底画像表示画面300を生成するための信号を表示部156に出力する。表示部156は、変換されたUWF正距眼底画像を眼底画像表示領域304に表示する正距表示モードの眼底画像表示画面300を表示する。
【0093】
ステップ218で、処理部178は、2点の指定、表示を行うための信号を表示部156に出力する。表示部156では、入力された信号に基づいて2点の指定、表示が行われる。
【0094】
ところで、正距表示モードの眼底画像表示画面300の場合には、図8に示すように、図法選択領域302の隣には、2点を指定して2点間の距離の計算の指示をするためのユーザインターフェースを実行させるための距離計算アイコン領域320が設けられている。距離計算アイコン領域320には、点を指定する点指定ボタン320A、2点間の距離の計算を指示する距離計算ボタン320Bが表示される。ユーザが、点指定ボタン320Aをドラッグして、眼底画像表示領域304の中の所望の点にドラッグする。これを2回繰り返すことで2点322A、322Bが指定される。
【0095】
ユーザが、距離計算ボタン320Bを、眼底画像表示領域304の上記2点の間にドラッグアンドドロップすると、ステップ220で、処理部178は、ステップ214で変換された正距画像データX、Yに基づいて、ステップ218で指定された2点間の距離を計算する。
【0096】
ステップ222で、処理部178は、眼底画像表示領域304における2点322A、322Bの隣に、ステップ220で計算した距離の値(例えば、12mm)を表示する。その後、眼底画像表示処理はステップ244に進む。
【0097】
なお、ステップ218~222を複数回繰り返し、複数の2点の組を指定し、各組の2点間の距離を計算し、計算された距離の値を各組の2点の隣に表示してもよい。
【0098】
また、2点を指定することに限定されず、被検者の眼底に病変の部分があることが診断され、当該病変の部分が予め記憶されている場合、ステップ218では、画像ビューワ150が予め記憶された部分の2点を表示するようにしてもよい。ユーザは、表示された2点の間を、現実の眼底画像の病変の部分を見て、調整する。調整不要の場合にはそのまま2点間の距離が計算される。
【0099】
ステップ224で正積図法が選択されたと判断された場合には、ステップ225で、変換部176は、変数Gが0か否かを判断する。変数Gが0の場合には、ステップ226で、変換部176は、仮想球面画像データを、次のように正積図法に従った正積画像データ形式に変換する。
【0100】
具体的には、変換部176は、仮想球面画像データx、y、zを、次のように変換することにより、正積図法に従った正積画像データに変換する。
【0101】
X=(√(2/(1-z)))*x
【0102】
Y=(√(2/(1-z)))*y
【0103】
ステップ227で、変換部176は、変数Gに1をセットする。眼底画像表示処理は、ステップ228に進む。
【0104】
ステップ225で変数Gが0でないと判断した場合には、眼底画像表示処理は、ステップ226、ステップ227をスキップして、ステップ228に進む。
【0105】
ステップ228で、処理部178は、ステップ226で変換された正積画像データX、Yに基づいて、正積図法に変換されたUWF正積眼底画像を眼底画像表示領域304に表示する正積表示モードの眼底画像表示画面300を生成し、変換された正積画像データの画像信号を含む、眼底画像表示画面300のデータを表示部156に出力する。表示部156は、眼底画像表示画面300を表示する。これにより、UWF眼底画像が正積図法で表示される。
【0106】
ステップ230で、処理部178は、領域の指定、表示を行うための信号を表示部156に出力する。表示部156では、入力された信号に基づいて領域の指定、表示が行われる。
【0107】
ところで、正積表示モードの眼底画像表示画面300の場合には、図9に示すように、図法選択領域302の隣には、エリアを指定してエリアの面積計算をするためのユーザインターフェースを実行させるための面積計算アイコン領域330が表示される。面積計算アイコン領域330には、エリアを指定するエリア指定ボタン330Aが表示される。ユーザは、エリア指定ボタン330Aをドラッグし、眼底画像表示領域304の所望の領域にドロップする。ユーザは、ドロップされたエリア指定ボタン330Aの大きさを調整する。
【0108】
ステップ232で、処理部178は、ステップ226で変換された正積画像データX、Yに基づいて、ステップ230で指定された領域330Bの面積を計算し、ステップ234で、表示部156画面における領域330Bの隣330Cに面積の値(例えば、200mm)を表示する。眼底画像表示処理はステップ244に進む。
【0109】
なお、ステップ230~234を複数回繰り返し、複数のエリアの組を指定し、各エリアの面積を計算し、計算された面積の値を各エリアの隣に表示してもよい。
【0110】
また、エリアを指定することに限定されず、被検者の眼底に病変の部分があることが診断され、当該病変の部分が予め記憶されている場合、ステップ218では、画像ビューワ150が予め記憶された部分の領域を表示するようにしてもよい。ユーザは、表示された領域を、現実の眼底画像の病変の部分を見て、調整する。調整不要の場合にはそのままエリアの面積が計算される。
【0111】
ところで、ステップ212で正距図法が選択されなかったと判断し、かつ、ステップ224で正積図法が選択されなかったと判断した場合には、正角図法指示ボタン303Aがクリックされて、正角図法が選択されたと判断することができる。眼底画像表示処理はステップ236に進む。
【0112】
ステップ236で、変換部176は、変数Hが0か否かを判断する。変数Hが0の場合には、ステップ238で、変換部176は、三次元球面座標データである仮想球面画像データを、次のように、正角図法に従った正角画像データ形式に変換する。なお、仮想球面画像データを正角画像データ形式に変換せずに、ステップ202で取得したUWF眼底画像をそのまま用いてもよい。
【0113】
仮想球面画像データを正角画像データ形式に変換することは次のようにして行う。
【0114】
具体的には、変換部176は、仮想球面画像データx、y、zは、次のように変換することにより、正角図法に従った正角画像データに変換される。
【0115】
X=x/(1-z)
【0116】
Y=y/(1-z)
【0117】
ステップ240で、変換部176は、変数Hに1をセットする。眼底画像表示処理は、ステップ242に進む。
【0118】
ステップ236で変数Hが0でないと判断された場合には、眼底画像表示処理は、ステップ238、240をスキップして、ステップ242に進む。
【0119】
ステップ242で、処理部178は、UWF眼底画像を、ステップ238で変換された正角画像データX、Yに基づいて、正角図法に変換されたUWF正角眼底画像を眼底画像表示領域304に表示する正角表示モードの眼底画像表示画面300を生成し、変換された正角画像データの画像信号を含む、眼底画像表示画面300のデータを表示部156に出力する。表示部156は、眼底画像表示画面300を表示する。これにより、UWF眼底画像が正角図法で表示される。眼底画像表示処理は、ステップ244に進む。
【0120】
また、図示はしていないが、正角画像データを用いて、指定された2点の方向(指定された2点で定められる直線の向き)を計算したり、指定された3点で定められる角度(例えば、点A、点B、点Cの3点が指定された場合は、∠ABCの角度)を計算したりするようにしてもよい。
【0121】
ステップ244で、選択部174は、終了指示ボタン312がクリックされたか否かを判断することにより、終了指示があるか否かを判断する。ステップ244で、終了指示がないと判断された場合には、本処理は、ステップ208に戻って、以上の処理(ステップ208~ステップ244)を実行する。ステップ244で終了指示があると判断した場合には、本処理は終了する。
【0122】
また、正距図法に従って変換した正距画像データを、正距離モードの眼底画像の表示と眼底上の二点間の距離を計算とに用いることを示した。これに限らず、眼底上の二点間の距離の計算には正距図法に従って変換した正距画像データを用い、正距離モードの眼底画像には正距離図法に従って変換された画像ではなく、正距モード画面であることをユーザに想起させるように変換した眼底画像(完全な正距図法による変換ではなく、正距図法に近い変換方法による眼底画像)にしてもよい。
【0123】
同様に、正積図法に従って変換した正積画像データを、正積モードの眼底画像の表示と眼底上の領域の面積計算とに用いることを示した。これに限らず、眼底上の面積の計算には正積図法に従って変換した正積画像データを用い、正積モードの眼底画像には正積図法に従って変換された画像ではなく、正積モード画面であることをユーザに想起させるように変換した眼底画像(完全な正積図法による変換ではなく、正積図法に近い変換方法による眼底画像)にしてもよい。
【0124】
さらに、同様に、正角図法に従って変換した正角画像データを、正角モードの眼底画像の表示と眼底上の二点間の方向や3点で定まる角度の計算とに用いることを示した。これに限らず、眼底上の角度の計算には正角図法に従って変換した正角画像データを用い、正角モードの眼底画像には正角図法に従って変換された画像ではなく、正角モード画面であることをユーザに想起させるように変換した眼底画像(完全な正角図法による変換ではなく、正角図法に近い変換方法による眼底画像)にしてもよい。
【0125】
以上説明したように本実施の形態によれば、UWF眼底画像を、正積図法に従って、眼底上の面積と、対応する画像上の面積との比がどこでもどんな広さでも同じになるように、変換した眼底画像を表示する。よって、面積を正確に計測および提示することができる。
【0126】
また、UWF眼底画像を、正距図法に従って、眼底上の二点間の距離が正しくなるように変換した眼底画像を表示する。よって、距離を正確に計測および提示することができる。
【0127】
また、本実施の形態では、UWF眼底画像を、正積図法、正距図法、および正角図法から選択された図法に変換してUWF眼底画像を表示する。よって、ユーザが所望する面積、方角、および距離の内の何れかが正しいUWF眼底画像を表示することができる。
【0128】
更に、本実施の形態では、眼科撮影装置110により得られたUWF眼底画像の二次元座標の画像データを、三次元球面座標の仮想球面画像データに変換し、変換された仮想球面画像データを、正積図法に従った画像データ、正距図法に従った画像データ、及び正角図法に従った画像データに変換する。よって、UWF眼底画像を、仮想球面画像データから変換した画像データで、正積図法、正距図法、及び正角図法に従った画像を表示することができる。
【0129】
(変形例)
次に変形例を説明する。
(第1の変形例)
図10を参照して、第1の変形例にかかる眼底画像表示画面300を説明する。前述した実施の形態では、眼底画像表示画面300には、3つの図法の中の選択された図法に従ったUWF眼底画像のみを表示している。本開示の技術は、これに限定されず、選択された図法ばかりではなく、選択されなかった図法でもUWF眼底画像を表示するようにしてもよい。具体的には、図10に示す変形例では、眼底画像表示画面300は、前述した実施の形態における眼底画像表示領域304と、眼底画像表示領域304より大きさが小さい2つの眼底画像表示領域350、360を有する。眼底画像表示領域304には、UWF眼底画像を、選択された図法で表示し、眼底画像表示領域350、360には、選択されなかった図法で表示する。
【0130】
なお、第1の本変形例では、眼科撮影装置110により得られたUWF眼底画像の二次元座標の座標データを、三次元球面座標の三次元球面座標データに変換し、変換された三次元球面座標データを、正積図法に従った二次元座標の座標データ、正距図法に従った二次元座標の座標データ、及び正角図法に従った二次元座標の座標データに予め変換しておく。そして、眼底画像表示領域304、350、360には、対応する表示モードに対応する画像データを用いて、UWF眼底画像を表示する。
【0131】
(第2の変形例)
次に、第2の変形例を説明する。前述した実施の形態および第1の変形例では、図8に示すように正距表示モードの眼底画像表示画面300を表示している場合に、指定された2点間の距離を、正距表示モードに対応する画像データに基づいて計算する。また、図9に示すように、正積表示モードの眼底画像表示画面300を表示している場合に、指定された領域に面積を、正積表示モードに対応する画像データに基づいて計算している。本開示の技術は、これに限定されず、正角表示モードの眼底画像表示画面300において距離やエリアの面積の計算及び表示をしたり、正距表示モードの眼底画像表示画面300において距離の他にエリアの面積の計算及び表示をしたり、正距表示モードのときの眼底画像表示画面300においてエリアの面積の他に距離の計算及び表示をしたり、してもよい。
【0132】
例えば、第2の変形例における正角表示モードの眼底画像表示画面300では、図11に示すように、図法選択領域302の隣に、点指定ボタン320A、距離計算ボタン320B、及びエリア指定ボタン330Aを表示する領域が設けられている。なお、図示しないが、正距表示モードの眼底画像表示画面300や正積表示モードの眼底画像表示画面300も同様に、図法選択領域302の隣に、点指定ボタン320A、距離計算ボタン320B、及びエリア指定ボタン330Aを表示する領域が設けられている。
【0133】
正角表示モード、正距表示モード、及び正積表示モードの各々の眼底画像表示画面300で、上記実施の形態のように、2点が指定されると、指定された2点間の距離を、正距表示モードに対応する画像データに基づいて計算し、エリアが指定されると、指定されたエリアの面積を、正積表示モードに対応する画像データに基づいて計算し、計算されたい値を表示するようにしてもよい。第2の変形例でも、第1の変形例のように、第1の本変形例では、眼科撮影装置110により得られたUWF眼底画像の二次元座標の画像データを、三次元球面座標の仮想球面画像データに変換し、変換された仮想球面画像データを、正積図法、正距図法、及び正角図法の画像データに予め変換しておく。このように変換しておいた画像データに基づいて、上記距離や面積の計算をする。
【0134】
【0135】
(第3の変形例)
上記実施の形態および第1および第2の変形例では、眼底画像としてUWF眼底画像を表示しているが、本開示の技術は、これに限定されず、UWF眼底画像より狭い範囲の眼底画像を表示するようにしてもよい。
【0136】
(第4の変形例)
上記実施の形態および第1~第3の変形例では、眼科撮影装置110、画像管理サーバ140、および画像ビューワ150を備えているが、本開示の技術は、これに限定されず、画像管理サーバ140を省略した第1のシステム構成と、画像ビューワ150を省略した第2のシステム構成と、画像管理サーバ140および画像ビューワ150を省略した第3のシステム構成が適用可能である。
【0137】
第1のシステム構成では、画像管理サーバ140を省略しているので、眼科撮影装置110によって得られた複数の被検者の各々の眼底画像を、眼科撮影装置110または画像ビューワ150が管理する。複数の被検者の各々の眼底画像を、眼科撮影装置110が管理する場合、画像ビューワ150は、眼科撮影装置110から眼底画像を取得して、眼底画像表示プログラムを実行する。
【0138】
第2のシステム構成では、画像ビューワ150を省略しているので、眼科撮影装置110によって得られた複数の被検者の各々の眼底画像を、眼科撮影装置110または画像管理サーバ140が管理する。複数の被検者の各々の眼底画像を、眼科撮影装置110が管理する場合、画像管理サーバ140が、眼科撮影装置110から眼底画像を取得して、眼底画像表示プログラムを実行する。
【0139】
第3のシステム構成では、画像管理サーバ140および画像ビューワ150を省略しているので、眼科撮影装置110によって得られた複数の被検者の各々の眼底画像は、眼科撮影装置110が記憶装置に記憶し、眼科撮影装置110は、記憶装置から眼底画像を取得して、眼底画像表示プログラムを実行する。
【0140】
(第5の変形例)
上記実施の形態および第1および第2の変形例では、眼底画像としてUWF眼底画像を表示しているが、本開示の技術は、これに限定されず、複数の眼底画像を合成したモンタージュ眼底画像であってもよい。また、OCT撮影系機能を用いて取得されたOCTデータを処理して得られた平面画像(enface画像)やOCT-アンジオグラフィー(OCT-ANGIOGRAPHY)により得られた平面画像であってもよい。
【0141】
(第6の変形例)
第6の変形例では、CPU162の取得部172、選択部174、変換部176、及び処理部178は、図5に示す眼底画像表示プログラムに代えて、図12に示す眼底画像表示プログラムを実行する。
【0142】
図12に示す眼底画像表示プログラムは、図6の眼底画像表示画面300が表示部156に表示されたときにスタートする。
【0143】
ステップ402で、取得部172は、ステップ202と同様に、画像管理サーバ140から、通信インターフェース(I/F)158を介して、被検者のIDに対応するUWF眼底画像を、第1眼底画像として、取得する。
【0144】
ステップ404で、選択部174は、表示モードの選択があったか否かを判断する。具体的には、図6の項目表示指示ボタン303がクリックされ、図7に示すように3つの図法のプルダウンメニューが表示され、ユーザが、正角図法指示ボタン303A、正積図法指示ボタン303B、または正距図法指示ボタン303Cがクリックされた場合、選択部174は、それぞれ正角表示モード、正積表示モード、または正距表示モードの選択があったかと判断する。
【0145】
ステップ406で、変換部17は、第1眼底画像を、選択された表示モードに応じた第2眼底画像に変換する。具体的には、変換部17は、ステップ206と同様に、第1眼底画像を眼球モデルに基づいた仮想球面画像データに変換する。正距表示モードが選択された場合、変換部17は、ステップ214と同様に仮想球面画像データを正距図法に従った正距画像データ形式に変換することにより、第2眼底画像を得る。正積表示モーが選択された場合には、変換部176は、ステップ226と同様に、仮想球面画像データを正積図法に従った正積画像データ形式に変換することにより、第2眼底画像を得る。正角表示モードが選択された場合には、変換部176は、ステップ238と同様に、仮想球面画像データを正角図法に従った正角画像データ形式に変換することにより、第2眼底画像を得る。
【0146】
ステップ408で、処理部178は、ステップ406の変換により得られた第2眼底画像を眼底画像表示領域304に表示し且つ選択された表示モードの眼底画像表示画面300を生成するための信号を表示部156に出力する。表示部156は、ステップ406の変換により得られた第2眼底画像を眼底画像表示領域304に表示し且つ選択された表示モードの眼底画像表示画面300を表示する。正距表示モードが選択された場合、ステップ216と同様に正距表示モードの眼底画像表示画面300が表示される。正積表示モーが選択された場合には、ステップ228と同様に正積表示モードの眼底画像表示画面300が表示される。正角表示モードが選択された場合には、ステップ242と同様に正角表示モードの眼底画像表示画面300が表示される。
【0147】
ところで、第6の変形例では、ステップ402(図12)で、正積表示モード、正距表示モード、および正角表示モードの何れかの画像を、第1眼底画像として、取得するようにしてもよい。具体的には、まず、取得部172は、ステップ202と同様に、画像管理サーバ140から、通信インターフェース(I/F)158を介して、被検者のIDに対応するUWF眼底画像を取得する。ステップ206と同様に、変換部176は、ステップ202で取得されたUWF眼底画像の画像データから、三次元球面座標の形式の仮想球面画像データを計算(変換)する。正距表示モードが予め指定されている場合には、ステップ214と同様に、変換部176は、仮想球面画像データを正距図法に従った正距画像データ形式に変換することにより、第1眼底画像を取得する。正積表示モードが予め指定されている場合には、ステップ226と同様に、変換部176は、仮想球面画像データを正積図法に従った正積画像データ形式に変換することにより、第1眼底画像を取得する。正角表示モードが予め指定されている場合には、ステップ238と同様に、変換部176は、仮想球面画像データを正角図法に従った正角画像データ形式に変換することにより、第1眼底画像を取得する。
【0148】
(第7の変形例)
第7の変形例では、CPU162の取得部172、選択部174、変換部176、及び処理部178は、図5に示す眼底画像表示プログラムに代えて、図13に示す眼底画像表示プログラムを実行する。
【0149】
図13に示す眼底画像表示プログラムは、図6の眼底画像表示画面300が表示部156に表示されたときにスタートする。
【0150】
ステップ412で、取得部172は、ステップ202(ステップ402)と同様に、画像管理サーバ140から、通信インターフェース(I/F)158を介して、被検者のIDに対応するUWF眼底画像を、第1眼底画像として、取得する。
【0151】
ステップ414で、選択部174は、解析モードの選択があったか否かを判断する。
【0152】
解析モードは、眼底画像を画像解析した結果を表示するモードである。例えば、視神経の走行方向の解析モード、病変部の大きさ(病変部の面積)を求める解析モード、及び眼底の構造物間の距離(例えば、黄斑と視神経乳頭との距離)を求める解析モードなどがある。
【0153】
第7の変形例では、図6の項目表示指示ボタン303(図7の正角図法指示ボタン303A、正積図法指示ボタン303B、および正距図法指示ボタン303Cのプルダウンメニュー)に代えて、解析モード指示ボタンが表示される。解析モード指示ボタンがクリックされると、視神経の走行方向の解析モードの指示ボタン、病変部の大きさを求める解析モードの指示ボタン、および眼底の構造物間の距離を求める解析モードの指示ボタンのプルダウンメニューが表示される。ユーザが何れかの指示ボタンがオンされると、選択部174は、解析モードの選択があったと判断する。
【0154】
ステップ416で、変換部17は、第1眼底画像を、選択された解析モードに応じた第2眼底画像に変換する。
【0155】
それぞれの解析モードには、各解析モードに適切な表示モードの画像データが定められている。
【0156】
眼底の構造物間の距離を求める解析モードには、距離を計算することから正距離画像データが適切である。眼底の構造物間の距離を求める解析モードが選択された場合、変換部17は、ステップ214と同様に仮想球面画像データを正距図法に従った正距画像データ形式に変換することにより、第2眼底画像を得る。
【0157】
病変部の大きさの解析モードには、面積を計算することから正積画像データが適切である。病変部の大きさの解析モードが選択された場合には、変換部176は、ステップ226と同様に、仮想球面画像データを正積図法に従った正積画像データ形式に変換することにより、第2眼底画像を得る。
【0158】
走行方向の解析モードは、方向を計算することから正角画像データが適切である。走行方向の解析モードが選択された場合には、変換部176は、ステップ238と同様に、仮想球面画像データを正角図法に従った正角画像データ形式に変換することにより、第2眼底画像を得る。
【0159】
ステップ418で、処理部178は、ステップ416の変換により得られた第2眼底画像を眼底画像表示領域304に表示し且つ選択された解析モードの眼底画像表示画面300を生成するための信号を表示部156に出力する。表示部156は、ステップ406の変換により得られた第2眼底画像を眼底画像表示領域304に表示し且つ選択された解析モードの眼底画像表示画面300を表示する。
【0160】
眼底の構造物間の距離を求める解析モードが選択された場合、ステップ216と同様に正距表示モードの眼底画像表示画面300が表示される。
【0161】
病変部の大きさの解析モードが選択された場合には、ステップ228と同様に正積表示モードの眼底画像表示画面300が表示される。
【0162】
走行方向の解析モードが選択された場合には、ステップ242と同様に正角表示モードの眼底画像表示画面300が表示される。
【0163】
ところで、第7の変形例では、ステップ412で、正積表示モード、正距表示モード、および正角表示モードの何れかの画像を、第1眼底画像として、取得するようにしてもよい。具体的には、まず、取得部172は、ステップ202と同様に、画像管理サーバ140から、通信インターフェース(I/F)158を介して、被検者のIDに対応するUWF眼底画像を取得する。ステップ206と同様に、変換部176は、ステップ202で取得されたUWF眼底画像の画像データから、三次元球面座標の形式の眼球モデルに基づく仮想球面画像データを計算(変換)する。正距表示モードが予め指定されている場合には、ステップ214と同様に、変換部176は、仮想球面画像データを正距図法に従った正距画像データ形式に変換することにより、第1眼底画像を取得する。正積表示モードが予め指定されている場合には、ステップ226と同様に、変換部176は、仮想球面画像データを正積図法に従った正積画像データ形式に変換することにより、第1眼底画像を取得する。正角表示モードが予め指定されている場合には、ステップ238と同様に、変換部176は、仮想球面画像データを正角図法に従った正角画像データ形式に変換することにより、第1眼底画像を取得する。
【0164】
画像ビューワ150のCPU162の処理部は、正距離モードにおいて、正距離図法に基づいて変換された正距画像データに基づいて、指定された2点間の距離を計算する。
【0165】
画像ビューワ150のCPU162の処理部は、正積モードにおいて、正積図法に基づいて変換された正積画像データに基づいて、指定された領域の面積を計算する。
【0166】
画像ビューワ150のCPU162の処理部は、正角モードにおいて、正角図法に基づいて変換された正角画像データに基づいて、指定された2点で定まる線分の方向、あるいは、3点で定まる角度を計算する。
【0167】
(第8の変形例)
第8の変形例では、CPU162の取得部172、選択部174、変換部176、及び処理部178は、図5に示す眼底画像表示プログラムに代えて、図14に示す眼底画像表示プログラムを実行する。
【0168】
ステップ422で、取得部172は、ステップ202(ステップ402、ステップ412)と同様に、画像管理サーバ140から、通信インターフェース(I/F)158を介して、被検者のIDに対応するUWF眼底画像を、第1眼底画像として、取得する。
【0169】
ステップ424で、変換部176は、第1眼底画像を仮想球面画像データに変換し、仮想球面画像データから正積表示モード、正距表示モード、および正角表示モードの各々の眼底画像を生成する。
【0170】
具体的には、まず、ステップ206と同様に、変換部176は、ステップ422で取得されたUWF眼底画像の画像データを眼球モデルに基づく仮想球面画像データに変換する。
【0171】
次に、変換部176は、ステップ214と同様に、仮想球面画像データを正距図法に従った正距画像データ形式に変換することにより、正距離画像を生成する。
【0172】
変換部176は、ステップ226と同様に、仮想球面画像データを正積図法に従った正積画像データ形式に変換することにより、正積画像を生成する。
【0173】
変換部176は、ステップ238と同様に、変換部176は、仮想球面画像データを正角図法に従った正角画像データ形式に変換することにより、正角画像を生成する。
【0174】
ステップ426で、処理部178は、第1眼底画像と、正距離画像、正積画像、及び正角画像の各々とを関連付けてメモリ(RAM166)に記憶する。
【0175】
ステップ428で、選択部174は、表示モードあるいは解析モードの選択がユーザによってなされたか否かを判断する。第8の変形例において、ステップ428で表示モードが選択される場合には、ステップ404(図12参照)と同様に判断する。第8の変形例において、ステップ428で、解析モードが選択される場合には、ステップ414(図13参照)と同様に判断する。
【0176】
ステップ430で、処理部178は、ステップ428により選択された表示モードまたは解析モードの眼底画像表示画面300を生成するための信号を表示部156に出力する。表示部156は、選択された表示モードまたは解析モードの眼底画像表示画面300を表示する。
【0177】
(第9の変形例)
第9の変形例では、CPU162の取得部172、変換部176、及び処理部178は、図5に示す眼底画像表示プログラムに代えて、次の処理を実行するようにしてもよい。
【0178】
取得部172は、ステップ202と同様に、画像管理サーバ140から、通信インターフェース(I/F)158を介して、被検者のIDに対応するUWF眼底画像を、第1眼底画像として、取得する。
【0179】
処理部178は、ステップ204と同様に、UWF眼底画像の画像信号を表示部156に出力する。表示部156は、出力された画像信号に基づいてUWF眼底画像をそのまま眼底画像表示領域304に表示する。
【0180】
ユーザが、表示されたUWF眼底画像において、2点を指定し、指定された2点間の距離を計算する指示を入力した場合、変換部176は、UWF眼底画像の画像データを仮想球面画像データに変換し、仮想球面画像データを正距図法に従った正距画像データ形式に変換する。処理部は、正距離モードにおいて、正距離図法に基づいて変換された正距画像データに基づいて指定された2点間の距離を計算し、2点間の距離の値を表示部156に出力する。表示部156は、2点と共に、2点間の距離を表示する。
【0181】
ユーザが、表示されたUWF眼底画像において、領域を指定し、指定された領域の面積を計算する指示を入力した場合、変換部176は、UWF眼底画像の画像データを眼球モデルに基づく仮想球面画像データに変換し、仮想球面画像データを正積図法に従った正積画像データ形式に変換する。処理部は、正積モードにおいて、正積図法に基づいて変換された正積画像データに基づいて指定された領域の面積を計算し、指定された領域の面積の値を表示部156に出力する。表示部156は、指定された領域と共に、指定された領域の面積の値を表示する。
【0182】
ユーザが、表示されたUWF眼底画像において、2点あるいは3点を指定し、指定された2点で定まる線分の方向、あるいは、3点で定まる角度する指示を入力した場合、変換部176は、UWF眼底画像の画像データを仮想球面画像データに変換し、仮想球面画像データを正角図法に従った正角画像データ形式に変換する。処理部は、正角図法に基づいて変換された正角画像データに基づいて指定された2点で定まる線分の方向、あるいは、3点で定まる角度を計算し、2点で定まる線分の方向、あるいは、3点で定まる角度を示す値を表示部156に出力する。表示部156は、指定された2点あるいは3点と共に、2点で定まる線分の方向、あるいは、3点で定まる角度を示す値を表示する。
【0183】
(その他の変形例)
上記実施の形態および第1~第9の変形例では、正積表示モード、正距表示モード、および正角表示モードの3つの表示モードを用いているが、本開示の技術は、これに限定されず、次のようなその他の表示モードを用いるようにしてもよい。例えば、モルワイデ図法、メルカトル図法、サンソン図法等に従った表示モードがある。また、選択する対象の表示モードは、3以外の複数の表示モードを対象とするようにしてもよい。
【0184】
第1の実施の形態及び各変形例では、コンピュータを利用したソフトウェア構成により制御処理が実現される形態例を示したが、本開示の技術はこれに限定されるものではない。例えば、コンピュータを利用したソフトウェア構成に代えて、FPGA(Field-Programmable Gate Array)又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェア構成のみによって、制御処理が実行されるようにしてもよい。制御処理がソフトウェア構成とハードウェア構成との組み合わせた構成によって実行されるようにしてもよい。
【0185】
本明細書に記載された全ての文献、特許出願及び技術規格は、個々の文献、特許出願及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
【符号の説明】
【0186】
100 眼底画像表示システム
110 眼科撮影装置
130 ネットワーク
140 画像管理サーバ
150 画像ビューワ
152 コンピュータ本体
156 表示部
172 取得部
174 選択部
176 変換部
178 処理部
300 眼底画像表示画面
302 図法選択領域
303 項目表示指示ボタン
303A 正角図法指示ボタン
303B 正積図法指示ボタン
303C 正距図法指示ボタン
304 眼底画像表示領域
320 距離計算アイコン領域
320A 点指定ボタン
320B 距離計算ボタン
330 面積計算アイコン領域
330A エリア指定ボタン
350、360 眼底画像表示領域
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14