(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】カメラボディ
(51)【国際特許分類】
G03B 17/14 20210101AFI20221025BHJP
【FI】
G03B17/14
(21)【出願番号】P 2022010833
(22)【出願日】2022-01-27
(62)【分割の表示】P 2019144444の分割
【原出願日】2017-10-26
【審査請求日】2022-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】長岡 弘仁
(72)【発明者】
【氏名】小谷 徳康
【審査官】▲うし▼田 真悟
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-193332(JP,A)
【文献】特開2004-102005(JP,A)
【文献】特開2013-003390(JP,A)
【文献】特開平8-43910(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 17/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズとアクセサリ側マウントとアクセサリ側端子を有するアクセサリに対して着脱可能なカメラボディであって、
前記レンズの光軸を中心とする円環状であり、前記アクセサリ側マウントと接触するボディ側マウントと、
前記アクセサリを装着した時に前記アクセサリ側端子と接触する複数のボディ側端子からなるボディ側端子群と、
前記ボディ側マウントから前記ボディ側マウントの内周方向に向けて突出し、前記光軸を中心とした円周方向に延在する第1ボディ側突出部と、
前記ボディ側マウントから前記ボディ側マウントの内周方向に向けて突出し、前記光軸を中心とした円周方向に延在する第2ボディ側突出部と、
前記ボディ側マウントから前記ボディ側マウントの内周方向に向けて突出し、前記光軸を中心とした円周方向に延在する第3ボディ側突出部と、
前記ボディ側マウントから前記ボディ側マウントの内周方向に向けて突出し、前記光軸を中心とした円周方向に延在する第4ボディ側突出部と、を備え、
横位置に構えた際に前記光軸を通り垂直方向に延びるボディ側第1直線と前記光軸において略45度で交差するボディ側第3直線上に前記第2ボディ側突出部と前記第4ボディ側突出部とが配置され、前記ボディ側第3直線と前記光軸で直交するボディ側第4直線上に前記第1ボディ側突出部と前記第3ボディ側突出部が配置されるカメラボディ。
【請求項2】
前記第1ボディ側突出部の前記円周方向の中心と前記第3ボディ側突出部の前記円周方向の中心との少なくとも一方は前記ボディ側第4直線と異なる位置に配置される請求項1に記載のカメラボディ。
【請求項3】
前記第2ボディ側突出部の前記円周方向の中心と前記第4ボディ側突出部の前記円周方向の中心との少なくとも一方は前記ボディ側第3直線と異なる位置に配置される請求項1又は請求項2に記載のカメラボディ。
【請求項4】
前記ボディ側第1直線と前記光軸において直交するボディ側第2直線とで分割される4つの領域に前記第1ボディ側突出部と前記第2ボディ側突出部と前記第3ボディ側突出部と前記第4ボディ側突出部がそれぞれ配置される請求項1から請求項3の何れか1項に記載のカメラボディ。
【請求項5】
前記第1ボディ側突出部の前記円周方向の一端と前記光軸とを結ぶ直線と前記第1ボディ側突出部の前記円周方向の他端と前記光軸とを結ぶ直線とのなす第1中心角度と、前記第2ボディ側突出部の前記円周方向の一端と前記光軸とを結ぶ直線と前記第2ボディ側突出部の前記円周方向の他端と前記光軸とを結ぶ直線とのなす第2中心角度と、前記第3ボディ側突出部の前記円周方向の一端と前記光軸とを結ぶ直線と前記第3ボディ側突出部の前記円周方向の他端と前記光軸とを結ぶ直線とのなす第3中心角度と、前記第4ボディ側突出部の前記円周方向の一端と前記光軸とを結ぶ直線と前記第4ボディ側突出部の前記円周方向の他端と前記光軸とを結ぶ直線とのなす第4中心角度とは、少なくとも一つの中心角度が他の中心角度とは異なる請求項1から請求項4の何れか1項に記載のカメラボディ。
【請求項6】
前記第1ボディ側突出部の前記円周方向の一端と前記光軸とを結ぶ直線と前記第1ボディ側突出部の前記円周方向の他端と前記光軸とを結ぶ直線とのなす第1中心角度は、前記第3ボディ側突出部の前記円周方向の一端と前記光軸とを結ぶ直線と前記第3ボディ側突出部の前記円周方向の他端と前記光軸とを結ぶ直線とのなす第3中心角度より大きく、
前記第3中心角度は、前記第4ボディ側突出部の前記円周方向の一端と前記光軸とを結ぶ直線と前記第4ボディ側突出部の前記円周方向の他端と前記光軸とを結ぶ直線とのなす第4中心角度より大きく、
前記第4中心角度は、前記第2ボディ側突出部の前記円周方向の一端と前記光軸とを結ぶ直線と前記第2ボディ側突出部の前記円周方向の他端と前記光軸とを結ぶ直線とのなす第2中心角度より大きい請求項1から請求項5の何れか1項に記載のカメラボディ。
【請求項7】
前記第1ボディ側突出部から前記第4ボディ側突出部のそれぞれが複数のアクセサリ側突出部の間に挿入される挿入位置から、前記第1ボディ側突出部から前記第4ボディ側突出部のそれぞれが前記複数のアクセサリ側突出部のうち対応するアクセサリ側突出部と対向する装着位置まで、前記光軸上の所定位置で前記光軸に略直交する面内において第1方向に第1角度回転させることにより前記アクセサリに装着される請求項1から請求項6の何れか1項に記載のカメラボディ。
【請求項8】
周方向において前記挿入位置とは位置が異なる誤挿入位置において、前記第1ボディ側突出部と前記第2ボディ側突出部と前記第3ボディ側突出部と前記第4ボディ側突出部のうちの少なくとも2つは、前記複数のアクセサリ側突出部のうちの少なくとも2つと当接する請求項7に記載のカメラボディ。
【請求項9】
周方向において前記挿入位置とは位置が異なる誤挿入位置において、前記複数のアクセサリ側突出部のうちいずれか1つは、前記ボディ側端子群の上部に位置する前記第1ボディ側突出部と対向する請求項7又は請求項8に記載のカメラボディ。
【請求項10】
周方向において前記挿入位置とは位置が異なる誤挿入位置において、前記アクセサリ側端子の中心に最も近いアクセサリ側突出部は、前記第1ボディ側突出部と前記第2ボディ側突出部と前記第3ボディ側突出部と前記第4ボディ側突出部のうちの少なくとも1つと対向する請求項7から請求項9の何れか1項に記載のカメラボディ。
【請求項11】
前記第1ボディ側突出部と前記第2ボディ側突出部との間に配置されるボディ側挿抜部は、前記円周方向の一端と前記光軸とを結ぶ直線と前記円周方向の他端と前記光軸とを結ぶ直線とのなす中心角度が、前記第1角度より小さい請求項7から請求項10の何れか1項に記載のカメラボディ。
【請求項12】
前記ボディ側端子群は、
横位置に構えた際に上辺と下辺および右辺と左辺を有する矩形状であって被写体光が入射する撮像素子の前記上辺の上部に円弧状に配置される請求項1から請求項11の何れか1項に記載のカメラボディ。
【請求項13】
前記アクセサリは、交換レンズである請求項1から請求項12の何れか1項に記載のカメラボディ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラボディに関する。
【背景技術】
【0002】
カメラボディに着脱可能なアクセサリが知られている(例えば特許文献1)。従来から、カメラボディにアクセサリを適正に使用可能な状態で装着する必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
発明の第1の態様によるカメラボディは、レンズとアクセサリ側マウントとアクセサリ側端子を有するアクセサリに対して着脱可能なカメラボディであって、前記レンズの光軸を中心とする円環状であり、前記アクセサリ側マウントと接触するボディ側マウントと、前記アクセサリを装着した時に前記アクセサリ側端子と接触する複数のボディ側端子からなるボディ側端子群と、前記ボディ側マウントから前記ボディ側マウントの内周方向に向けて突出し、前記光軸を中心とした円周方向に延在する第1ボディ側突出部と、前記ボディ側マウントから前記ボディ側マウントの内周方向に向けて突出し、前記光軸を中心とした円周方向に延在する第2ボディ側突出部と、前記ボディ側マウントから前記ボディ側マウントの内周方向に向けて突出し、前記光軸を中心とした円周方向に延在する第3ボディ側突出部と、前記ボディ側マウントから前記ボディ側マウントの内周方向に向けて突出し、前記光軸を中心とした円周方向に延在する第4ボディ側突出部と、を備え、横位置に構えた際に前記光軸を通り垂直方向に延びるボディ側第1直線と前記光軸において略45度で交差するボディ側第3直線上に前記第2ボディ側突出部と前記第4ボディ側突出部とが配置され、前記ボディ側第3直線と前記光軸で直交するボディ側第4直線上に前記第1ボディ側突出部と前記第3ボディ側突出部が配置される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】カメラシステムの構成を模式的に示す断面図である。
【
図2】交換レンズ側から見たカメラボディのマウント面の正面図である。
【
図3】交換レンズ側から見たカメラボディのマウント面の正面図である。
【
図4】ボディ側マウントにおける板バネの正面図である。
【
図5】カメラボディ側から見た交換レンズのマウント面の正面図である。
【
図6】カメラボディ側から見た交換レンズのマウント面の正面図である。
【
図8】交換レンズ側から見た、挿入位置におけるボディ側爪部とレンズ側爪部の正 面図である。
【
図9】交換レンズ側から見た、装着位置におけるボディ側爪部とレンズ側爪部の正 面図である。
【
図10】交換レンズ側から見た、装着方向の過回転状態におけるボディ側爪部とレ ンズ側爪部との正面図と側面図である。
【
図11】交換レンズ側から見た、取り外し方向の過回転状態におけるボディ側爪部 とレンズ側爪部との側面図である。
【
図12】交換レンズ側から見た、第1誤挿入状態におけるボディ側爪部とレンズ側 爪部との正面図である。
【
図13】交換レンズ側から見た、第2誤挿入状態、第3誤挿入状態、第4誤挿入状 態におけるボディ側爪部とレンズ側爪部との正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
図1は、発明の一実施の形態に係るカメラシステム1の構成の概略を示す断面図である。カメラシステム1は、カメラボディ2と、カメラボディ2に着脱可能なアクセサリの一例としての交換レンズ3とを含む。カメラボディ2に着脱可能な他のアクセサリの例は、マウントアダプター、テレコンバーター、ワイドコンバーターなどが挙げられる。
【0007】
交換レンズ3は、レンズ側マウント310、レンズ側端子保持部320、レンズ側CPU330、レンズ側通信部340、レンズ側記憶部350、撮像光学系360、および駆動部370を有する。レンズ側マウント310およびレンズ側端子保持部320については後に詳述する。
【0008】
レンズ側CPU330は、マイクロコンピュータおよびその周辺回路等から構成される。レンズ側通信部340は、カメラボディ2との間で所定のデータ通信を行う。レンズ側通信部340は、レンズ側端子保持部320に設けられたレンズ側端子(後述)とレンズ側CPU330とに接続される。レンズ側記憶部350は不揮発性の記憶媒体である。レンズ側記憶部350は、レンズ側CPU330に接続される。レンズ側記憶部350には、レンズ側CPU330が実行する所定の制御プログラム等が予め記憶される。レンズ側CPU330は、レンズ側記憶部350から制御プログラムを読み込んでプログラムを実行することにより、交換レンズ3の制御を行う。
【0009】
撮像光学系360は、後述する撮像素子270の撮像面に被写体像を結像させる。撮像光学系360の光軸Oは、レンズ側マウント310および後述するボディ側マウント210の中心位置と一致する。
図1の撮像光学系360は、概略的にレンズ361、フォーカシングレンズ362、およびレンズ363を含む。フォーカシングレンズ362は、被写体像の結像位置を調節するレンズである。駆動部370は、レンズ側CPU330に接続され、不図示のアクチュエータ等を有する。駆動部370は、このアクチュエータ等により、フォーカシングレンズ362を光軸Oの方向(+Z、-Z方向)に進退移動させる。
【0010】
カメラボディ2は、ボディ側マウント210、ボディ側端子保持部220、ボディ側CPU230、ボディ側通信部240、ボディ側記憶部250、給電部260、および撮像素子270を有する。ボディ側マウント210およびボディ側端子保持部220については後に詳述する。
【0011】
ボディ側CPU230は、マイクロコンピュータおよびその周辺回路等から構成される。尚、ボディ側CPU230は、ボディの種々の制御を行う。ボディ側通信部240は、交換レンズ3との間で所定のデータ通信を行う。ボディ側通信部240は、ボディ側端子保持部220に設けられた複数のボディ側端子(後述)とボディ側CPU230とに接続される。
【0012】
ボディ側記憶部250は不揮発性の記憶媒体である。ボディ側記憶部250は、ボディ側CPU230に接続される。ボディ側記憶部250には、ボディ側CPU230が実行する所定の制御プログラム等が予め記憶される。ボディ側CPU230は、ボディ側記憶部250から制御プログラムを読み込んでプログラムを実行することにより、カメラボディ2の制御を行う。
【0013】
給電部260は電源を有し、カメラボディ2内および交換レンズ3に対して電力の供給を行う。給電部260は、ボディ側端子保持部220に設けられたボディ側端子(後述)とボディ側CPU230とに接続される。撮像素子270は、例えばCCDやCMOS等の固体撮像素子である。撮像素子270は、ボディ側CPU230に接続され、被写体を撮像して撮像信号を出力する。出力された撮像信号の処理については説明を省略する。
【0014】
(レンズマウント機構の説明)
本実施の形態のカメラシステム1は、いわゆるバヨネット式のレンズマウント機構を備える。以下、カメラボディ2が有するボディ側マウント210と、交換レンズ3が有するレンズ側マウント310とについて順に説明する。
【0015】
(ボディ側マウント210)
図2、
図3は、交換レンズ3側から見たカメラボディ2のマウントを模式的に示す図である。
図2、3は、カメラボディ2を横位置に構えた状態を示す。
図2に示すように、矩形状の撮像素子270は、カメラボディ2を横位置に構えた際に、横長すなわち長辺が上辺と下辺になり、短辺が右辺と左辺になる。
図2に実線で示す、カメラボディ2の垂直方向Yに延びるボディ側第1直線B1は、カメラシステム1を使用する撮影者がカメラボディ2を横位置に構えた際に、撮影者から見た上下方向である。
図2に実線で示す、カメラボディ2の水平方向Xに延びるボディ側第2直線B2は、カメラシステム1を使用する撮影者がカメラボディ2を横位置に構えた際に、撮影者から見た左右方向である。
【0016】
ボディ側第1直線B1とボディ側第2直線B2とは光軸O(中心)上で直交する。
図2に一点鎖線で示すように、ボディ側第1直線B1およびボディ側第2直線B2と撮像素子270の光軸O上で45度で交差する方向に延びる線を、ボディ側第3直線B3、ボディ側第4直線B4とする。
【0017】
カメラボディ2のマウントは、
図1で前述したボディ側マウント210およびボディ側端子保持部220を備える。ボディ側マウント210は、一定の幅を有し光軸Oと直交する面に沿って配置される環状の基準面211を有する。さらにボディ側マウント210は、ボディ側第1爪部290a、ボディ側第2爪部290b、ボディ側第3爪部290c、およびボディ側第4爪部290dを有する。
以下の説明において、これら4つの突出部であるボディ側第1爪部290a~第4爪部290dを、ボディ側爪部290と総称する。
【0018】
ボディ側爪部290は、ボディ側マウント210の円形の開口212に沿って、互いに間隔を置いて配置される。
図2に示すように、ボディ側第1爪部290aは右上の位置に、ボディ側第2爪部290bは左上の位置に、ボディ側第3爪部290cは左下の位置に、ボディ側第4爪部290dは右下の位置に、それぞれ配置される。ボディ側第1爪部290aはボディ側第2直線B2より上側でかつボディ側第1直線B1の右側の領域に、ボディ側第2爪部290bはボディ側第2直線B2より上側でかつボディ側第1直線B1の左側の領域に、ボディ側第3爪部290cはボディ側第2直線B2より下側でかつボディ側第1直線B1の左側の領域に、ボディ側第4爪部290dはボディ側第2直線B2より下側でかつボディ側第1直線B1の右側の領域に、それぞれ配置される。
【0019】
ボディ側第1爪部290aとボディ側第3爪部290cは、ボディ側第4直線B4の線上であって光軸Oを中心にして略対象となる領域に、それぞれ配置される。ボディ側第2爪部290bとボディ側第4爪部290dは、ボディ側第3直線B3の線上であって光軸Oを中心として略対象となる領域に、それぞれ配置される。
なお、
図2に示すように、ボディ側第1爪部290a~ボディ側第4爪部290dそれぞれの円周方向に沿った中心位置は、ボディ側第3直線B3、ボディ側第4直線B4とは重ならない。
【0020】
図3に示すように、ボディ側第1爪部290a~ボディ側第4爪部290dの円周方向の長さは、それぞれ異なっている。具体的には、ボディ側第1爪部290aが最も長く、ボディ側第3爪部290cが2番目に長く、ボディ側第4爪部290dが3番目に長く、ボディ側第2爪部290bが最も短い。
ボディ側第1爪部290aの一端と光軸Oとを結ぶ直線と、ボディ側第1爪部290aの他端と光軸Oとを結ぶ直線とのなす角度α1は約47度であり、46.5度から47.5度の間である。
ボディ側第3爪部290cの一端と光軸Oとを結ぶ直線と、ボディ側第3爪部290cの他端と光軸Oとを結ぶ直線とのなす角度α3は約42.5度であり、42.0度から43.0度の間である。
【0021】
ボディ側第4爪部290dの一端と光軸Oとを結ぶ直線と、ボディ側第4爪部290dの他端と光軸Oとを結ぶ直線とのなす角度α4は約42度であり、41.5度から42.5度の間である。
ボディ側第2爪部290bの一端と光軸Oとを結ぶ直線と、ボディ側第2爪部290bの他端と光軸Oとを結ぶ直線とのなす角度α2は約40度であり、40.0度から41.0度の間である。
ボディ側第1爪部290a~ボディ側第4爪部290dの径方向の長さ(爪部の高さ)は、それぞれ同じである。また、ボディ側第1爪部290a~ボディ側第4爪部290dの光軸O方向の長さ(爪部の厚み)は、それぞれ同じである。
【0022】
ボディ側爪部290は、ボディ側マウント210の開口212から光軸O(撮像素子270の中心)に向かって突出し、開口212の円周上には、ボディ側爪部290が存在する部分と、ボディ側爪部290が存在しない部分がある。以下の説明において、ボディ側マウント210の開口212の円周上における、ボディ側第1爪部290aとボディ側第4爪部290dとの間の空間280aをボディ側第1挿抜部280aと称する。
【0023】
同様に、ボディ側第1爪部290aとボディ側第1爪部290bとの間の空間280bをボディ側第2挿抜部280b、ボディ側第2爪部290bとボディ側第3爪部290cとの間の空間280cをボディ側第3挿抜部280c、ボディ側第3爪部290cとボディ側第4爪部290dとの間の空間280dをボディ側第4挿抜部280dと、それぞれ称する。これら4つの空間であるボディ側第1挿抜部280a~第4挿抜部280dを、ボディ側挿抜部280と総称する。
【0024】
ボディ側第1挿抜部280a~ボディ側第4挿抜部280dの円周方向の長さは、それぞれ異なっている。具体的には、ボディ側第3挿抜部280cが最も長く、ボディ側第1挿抜部280aが2番目に長く、ボディ側第4挿抜部280dが3番目に長く、ボディ側第2挿抜部280bが最も短い。
ボディ側第3挿抜部280cの一端と光軸Oとを結ぶ直線と、ボディ側第3挿抜部280cの他端と光軸Oとを結ぶ直線とのなす角度β3は約51度であり51.0度から52.0度の間である。
ボディ側第1挿抜部280aの一端と光軸Oとを結ぶ直線と、ボディ側第1挿抜部280aの他端と光軸Oとを結ぶ直線とのなす角度β1は約50度であり、50.0度から51.0度の間である。
【0025】
ボディ側第4挿抜部280dの一端と光軸Oとを結ぶ直線と、ボディ側第4挿抜部280dの他端と光軸Oとを結ぶ直線とのなす角度β4は約46度であり、45.5度から46.5度の間である。
ボディ側第2挿抜部280bの一端と光軸Oとを結ぶ直線と、ボディ側第2挿抜部280bの他端と光軸Oとを結ぶ直線とのなす角度β2は約39度であり、39.0度から40.0度の間である。
もちろん、4つのボディ側第1爪部290a~ボディ側第4爪部290dの角度α1~α4と、4つのボディ側第1挿抜部280a~ボディ側第4挿抜部280dの角度β1~β4とを合計した値は360度である。
【0026】
ボディ側第1挿抜部280aはボディ側第3直線B3の上側でかつボディ側第4直線B4の下側の領域に、ボディ側第2挿抜部280bはボディ側第3直線B3の上側でかつボディ側第4直線B4の上側の領域に、ボディ側第3挿抜部280cはボディ側第3直線B3の下側でかつボディ側第4直線B4の上側の領域に、ボディ側第4挿抜部280dはボディ側第3直線B3の下側でかつボディ側第4直線B4の下側の領域に、それぞれ配置される。
【0027】
ボディ側第1挿抜部280aとボディ側第3挿抜部280cは、ボディ側第2直線B2の線上であって光軸Oを中心として略対象となる領域に、それぞれ配置される。ボディ側第2挿抜部280bとボディ側第4挿抜部280dは、ボディ側第1直線B1の線上であって光軸Oを中心として略対象となる領域に、それぞれ配置される。
なお、
図2に示すように、ボディ側第1挿抜部280a~ボディ側第4挿抜部280dそれぞれの円周方向に沿った中心位置は、ボディ側第1直線、ボディ側第2直疎遠B2とは重ならない。
【0028】
ボディ側マウント210の開口212の内側には、複数のボディ側端子からなるボディ側端子保持部220が設けられる。ボディ側端子保持部220は、環状のボディ側マウント210の形状に対応する円弧状の形状を有する。ボディ側端子保持部220は、ボディ側マウント210の開口212の内周側であって撮像素子270の上部に配置され、
図2および
図3に示すように撮像素子270の上部の中央に配置することが好ましい。つまり、ボディ側端子保持部220の周方向における中心は、ボディ側第1直線B1上に位置するのが好ましい。
【0029】
ボディ側端子保持部220の右上にはボディ側第1爪部290aが配置され、ボディ側端子保持部220の左上にはボディ側第2挿抜部280bが配置される。よって、ボディ側端子保持部220の一端と光軸Oとを結ぶ直線と、ボディ側端子保持部220の他端と光軸Oとを結ぶ直線とのなす角度は、ボディ側第1爪部290aの角度α1とボディ側第2挿抜部280bの角度β2とを合わせた角度より小さい。
【0030】
ボディ側端子保持部220は、上述したように複数のボディ側端子を有する。複数のボディ側端子(ボディ側端子群と称する)は、撮像素子270の上辺の上部に円弧状に並べて配置される。ボディ側端子群は、それぞれ導電性のピンである。ボディ側端子群は、不図示のバネ等により、-Z方向(
図1)に向かって押されている。
ここで、-Z方向とはすなわち、カメラボディ2から交換レンズ3に向かう方向であり、被写体へ向かう方向である。また、+Z方向とはすなわち、交換レンズ3からカメラボディ2へ向かう方向であり、撮像素子270へ向かう方向である。
【0031】
ボディ側マウント210は、ロックピン214が貫通する孔を有する。ロックピン214が貫通する孔は、ボディ側第4爪部290dの右上に配置される。つまり、ボディ側マウント210の環状の基準面211において、ロックピン214の孔は、ボディ側第4爪部290dが存在する領域とボディ側第1爪部290aが存在する領域との間に配置される。ロックピン214は、不図示のバネ等により、-Z方向(被写体側)に向かって押されている。ロックピン214は、不図示のロック解除ボタンを押すことにより、バネの付勢力に抗って+Z方向(撮像素子270側)に移動可能である。
【0032】
図4は、ボディ側マウント210を取り外したカメラボディ2のマウントを交換レンズ3側からみた模式図である。第1ボディ側爪部290aと対応した位置(第1ボディ側爪部290aの裏側)には、第1板バネ213aが設けられる。
同様に、第2ボディ側爪部290bと対応した位置(第2ボディ側爪部290bの裏側)には、第2板バネ213bが設けられ、第3ボディ側爪部290cと対応した位置(第3ボディ側爪部290cの裏側)には、第3板バネ213cが設けられ、第4ボディ側爪部290dと対応した位置(第4ボディ側爪部290dの裏側)には、第4板バネ213dが設けられる。
以下の説明において、これら4つの第1板バネ213a~第4板バネ213dを、板バネ213と総称する。板バネ213は、ボディ側爪部290の撮像素子270側の面に配置され、対向するレンズ側爪部(後述)390の被写体側の面を撮像素子270側(+Z方向)に押し付ける。
【0033】
図4に示すように、光軸Oと第1板バネ213aの装着方向44(後述)の後端部とを結ぶ直線B5付近に、ボディ側端子保持部220の装着方向44の後端部が配置される。第2板バネ213b、第3板バネ213c、第4板バネ213dは、第1板バネ213aを起点として光軸O周りに略90度間隔で配置される。
【0034】
(レンズ側マウント310)
図5、
図6は、カメラボディ2側から見た(交換レンズ3の後ろから見た)交換レンズ3のマウントを模式的に示す図である。
図5に実線で示す、交換レンズ3の垂直方向Yに延びるレンズ側第1直線L1は、カメラシステム1を使用する撮影者がカメラボディ2を横位置に構えた際に、撮影者から見た上下方向である。また、
図5に実線で示す、交換レンズ3の水平方向Xに延びるレンズ側第2直L2線は、カメラシステム1を使用する撮影者がカメラボディ2を横位置に構えた際に、撮影者から見た左右方向である。
【0035】
レンズ側第1直線L1とレンズ側第2直線L2とは交換レンズ3の光軸O(中心)上で直交する。
図5に一点鎖線で示すように、レンズ側第1直線L1およびレンズ側第2直線L2と光軸O上で45度で交差する方向に延びる線を、レンズ側第3直線L3、レンズ側第4直線L4とする。カメラボディ2に交換レンズ3を使用可能状態で装着した際は、ボディ側第1直線B1とレンズ側第1直線L1とが一致し、ボディ側第2直線B2とレンズ側第2直線L2とが一致し、ボディ側第3直線B3とレンズ側第4直線L4とが一致し、ボディ側第4直線B4とレンズ側第3直線L3とが一致する。なお、各直線同士は完全に一致しなくとも、交換レンズ3をカメラボディ2に適正に使用可能な状態で装着できる範囲でズレが生じていてもよい。
【0036】
交換レンズ3のマウントは、
図1で前述したレンズ側マウント310およびレンズ側端子保持部320を備える。レンズ側マウント310は、交換レンズ3の光軸Oを中心とする円環形状に形成され、光軸Oと直交する面に沿って配置される。レンズ側マウント310は、カメラボディ2に交換レンズ3を装着した際に、ボディ側マウント210の基準面211と接触する基準面311を有する。基準面311は、光軸Oを中心とする円環形状であり、光軸Oと直交する面に沿って配置される。基準面311の光軸O方向後端面には、後述するロックピン214が装着中状態で摺動されるロックピン用摺動面309が、Z方向に沿った断面上で-Z方向に向かって凹形状に形成されている。ロックピン用摺動面309は、光軸Oを中心とする円環形状であり、光軸Oを直交する面に沿って配置される。
【0037】
レンズ側マウント310は、交換レンズ3の内部に配置される固定部材に対してビス313を用いてビス止めすることにより固定される。レンズ側マウント310をカメラボディ2側から見た場合、ビス313は光軸O周りに略90度間隔で配置されている。また、4つのビス313は後述する4つのレンズ側爪部390の外周にそれぞれ配置されている。また、ビス313はレンズ側端子保持部320の周方向における両端部の外周に配置されている。
【0038】
レンズ側マウント310は、その内周縁部(基準面311の内周縁部)から光軸O方向に延びた円筒部312を有する。カメラボディ2に交換レンズ3を装着した際に、円筒部312の光軸O方向後端は、基準面311よりもカメラボディ2側に突出する方向に位置する。レンズ側マウント310は、円筒部312の光軸O方向の後端部の外周に沿って互いに間隔を置いてレンズ側第1爪部390a、レンズ側第2爪部390b、レンズ側第3爪部390c、およびレンズ側第4爪部390dを有する。
以下の説明において、これら4つの突出部であるレンズ側第1爪部390a~第4爪部390dを、レンズ側爪部390と総称する。
【0039】
レンズ側爪部390は、レンズ側マウント310の円筒部312の外周縁部からレンズ側マウント310の外周方向に向かって突出する方向に設けられ、光軸Oに対して略直交する。また、レンズ側爪部390は、光軸Oを中心とした円周方向に延在する。
図5および
図6に示すように、レンズ側第1爪部390aは左上の位置に、レンズ側第2爪部390bは右上の位置に、レンズ側第3爪部390cは右下の位置に、レンズ側第4爪部390dは左下の位置に、それぞれ配置される。つまり、レンズ側第1爪部390aはレンズ側第2直線L2より上側でかつレンズ側第1直線L1の左側の領域に、レンズ側第2爪部390bはレンズ側第2直線L2より上側でかつレンズ側第1直線L1の右側の領域に、レンズ側第3爪部390cはレンズ側第2直線L2より下側でかつレンズ側第1直線L1の右側の領域に、レンズ側第4爪部390dはレンズ側第2直線L2より下側でかつレンズ側第1直線L1の左側の領域に、それぞれ配置される。
【0040】
また、レンズ側第1爪部390aとレンズ側第3爪部390cは、レンズ側第3直線L3の線上であって光軸Oを中心にして略対象となる領域に、レンズ側第2爪部390bとレンズ側第4爪部390dは、レンズ側第4直線L4の線上であって光軸Oを中心として略対象となる領域に、それぞれ配置される。
なお、レンズ側第3直線L3、レンズ側第4直線L4は、レンズ側第1爪部390a~レンズ側第4爪部390dそれぞれの円周方向に沿った中心位置を通るとは限らない。
【0041】
カメラボディ2に交換レンズ3を装着した際、光軸O方向において、レンズ側マウント310とレンズ側爪部390との間にはボディ側爪部290が配置される。この際、レンズ側第1爪部390aはボディ側第1爪部290aの板バネ213aに接触し、レンズ側第2爪部390bはボディ側第2爪部290bの板バネ213bに接触し、レンズ側第3爪部390cはボディ側第3爪部290cの板バネ213cに接触し、レンズ側第4爪部390dはボディ側第4爪部290dの板バネ213dに接触する。
【0042】
レンズ側爪部390は、板バネ213に接触されてボディ側爪部290から離れる方向に付勢される接触部としての被付勢部を有する。なお、被付勢部の形状は、レンズ側爪部390が板バネ213から十分な付勢力を受けられればよく、板バネ213と被付勢部との接触は、点接触、線接触、面接触のいずれでもよい。板バネ213の形状や材質は、レンズ側爪部390を十分押し付けることができればよく、適宜変更可能である。
【0043】
ボディ側爪部290の板バネ213とレンズ側爪部390とが接触すると、レンズ側爪部390は、板バネ213から光軸Oに沿ってボディ側爪部290から離れる方向(+Z方向)に押し付けられる。レンズ側爪部390が+Z方向(撮像素子270側)に押し付けられることにより、レンズ側マウント310はボディ側マウント210に向かって押し付けられ、カメラボディ2と交換レンズ3との装着が安定する。
【0044】
なお、レンズ側爪部390とボディ側爪部290とは、円周方向の長さを一致させる必要は無く、レンズ側爪部390の円周方向の長さは、板バネ213が押し付けることができる範囲で変更可能である。また、カメラボディ2に交換レンズ3が装着された状態で、レンズ側爪部390の全面とボディ側爪部290の全面とが対向する必要はなく、レンズ側爪部の周方向端部の位置がボディ側爪部の周方向端部の位置と異なっていてもよい。
また、レンズ側爪部390とボディ側挿抜部280とは、円周方向の長さを略一致させる必要は無く、ボディ側挿抜部280の円周方向の長さに対して挿入されるレンズ側爪部390の円周方向の長さが、それ以下ならばよい。
同様に、ボディ側爪部290とレンズ側挿抜部380とは、円周方向の長さを一致させる必要は無く、レンズ側挿抜部380の円周方向の長さに対して挿入されるボディ側爪部290の円周方向の長さが、それ以下ならばよい。
【0045】
図6に示すように、レンズ側第1爪部390a~レンズ側第4爪部390dの円周方向の長さは、それぞれ異なっている。また、レンズ側第1爪部390a~レンズ側第4爪部390dの円周方向の一端と光軸Oとを結ぶ直線とレンズ側第1爪部390a~レンズ側第4爪部390dの円周方向の他端と光軸Oとを結ぶ直線とのなす角度は、それぞれ異なっている。具体的には、レンズ側第3爪部390cが最も長く、レンズ側第1爪部390aが2番目に長く、レンズ側第4爪部390dが3番目に長く、レンズ側第2爪部390bが最も短い。
レンズ側第3爪部390cの一端と光軸Oとを結ぶ直線と、レンズ側第3爪部390cの他端と光軸Oとを結ぶ直線とのなす角度α7は約48.5度であり、48.0度から49.0度の間である。
レンズ側第1爪部390aの一端と光軸Oとを結ぶ直線と、レンズ側第1爪部390aの他端と光軸Oとを結ぶ直線とのなす角度α5は約48度であり、47.5度から48.5度の間である。
【0046】
レンズ側第4爪部390dの一端と光軸Oとを結ぶ直線と、レンズ側第4爪部390dの他端と光軸Oとを結ぶ直線とのなす角度α8は約44度であり、43.0度から45.0度の間である。
レンズ側第2爪部390bの一端と光軸Oとを結ぶ直線と、レンズ側第2爪部390bの他端と光軸Oとを結ぶ直線とのなす角度α6は約36度であり、35.5度から36.5度の間である。
なお、レンズ側第2爪部390bの一端と光軸Oとを結ぶ直線と、レンズ側第2爪部390bの他端と光軸Oとを結ぶ直線とのなす角度α6は、後述する回転角度より小さい。
【0047】
レンズ側第1爪部390a~レンズ側第4爪部390dの径方向の長さ(爪部の高さ)は、略同一である。また、レンズ側第1爪部390a~レンズ側第4爪部390dの光軸O方向の長さ(爪部の厚み)は、略同一である。
【0048】
なお、レンズ側爪部390の少なくとも一つは、カメラボディ2との装着状態に影響を与えない範囲で一部を切り欠いたりしてもよい。仮にレンズ側第1爪部390aの一部を切り欠いた場合であっても、ボディ側第1爪部290aに対向する領域に配置される突出部および切り欠た部分を合わせた全体をレンズ側第1爪部390aとする。他のレンズ側第2~第4爪部390b~390dでも同様である。切り欠き方としては、レンズ側第1爪部390aを周方向に2以上に分割するように切り欠いてもよく、レンズ側第1爪部390aの一部を欠くように切り欠いてもよく、レンズ側第1爪部390aの少なくとも一部の径方向の長さが短くなるように切り欠いてもよい。従って、レンズ側爪部390は、レンズ側第3直線L3またはレンズ側第4直線L4上の一部を切り欠いてもよい。
また、レンズ側第1爪部390aの周方向の長さは、挿入時に対応するボディ側第1挿抜部280aを通過する範囲で変更してもよい。レンズ側第2爪部390b、レンズ側第3爪部390c、レンズ側第4爪部390dについても同様である。
さらにまた、円筒部312の径方向の厚さは適宜変更可能であり、本実施形態の円筒部312より内径側に少なくとも一部が突出する形状であってもよい。
【0049】
レンズ側爪部390は、円筒部312の外周から径方向外側に向かって突出し、円筒部312の外周上には、レンズ側爪部390が存在する部分と、レンズ側爪部390が存在しない空間部分がある。
【0050】
以下の説明において、円筒部312の外周上における、レンズ側第1爪部390aとレンズ側第4爪部390dとの間の空間380dをレンズ側第1挿抜部380aと称する。
同様に、レンズ側第1爪部390aとレンズ側第2爪部390bとの間の空間380bをレンズ側第2挿抜部380bと、レンズ側第2爪部390bとレンズ側第3爪部390cとの間の空間380cをレンズ側第3挿抜部380cと、レンズ側第3爪部390cとレンズ側第4爪部390dとの間の空間380dをレンズ側第4挿抜部380dと、それぞれ称する。
これら4つのレンズ側第1挿抜部380a~第4挿抜部380dを、レンズ側挿抜部380と総称する。
【0051】
レンズ側第1挿抜部380a~レンズ側第4挿抜部380dの円周方向の長さは、それぞれ異なっている。具体的には、レンズ側第2挿抜部380bが最も長く、レンズ側第1挿抜部380aが2番目に長く、レンズ側第4挿抜部380dが3番目に長く、レンズ側第3挿抜部380cが最も短い。
レンズ側第2挿抜部380bの一端と光軸Oとを結ぶ直線と、レンズ側第2挿抜部380bの他端と光軸Oとを結ぶ直線とのなす角度β6は約50度であり、49.5度から50.5度の間である。
レンズ側第1挿抜部380aの一端と光軸Oとを結ぶ直線と、レンズ側第1挿抜部380aの他端と光軸Oとを結ぶ直線とのなす角度β5は約45度であり、44.5度から45.5度の間である。
【0052】
レンズ側第4挿抜部380dの一端と光軸Oとを結ぶ直線と、レンズ側第4挿抜部380bの他端と光軸Oとを結ぶ直線とのなす角度β8は約44.5度であり、44.0度から45.0度の間である。
レンズ側第3挿抜部380cの一端と光軸Oとを結ぶ直線と、レンズ側第3挿抜部380cの他端と光軸Oとを結ぶ直線とのなす角度β7は約44度である。43.5度から44.5度の間である。
もちろん、4つのレンズ側第1爪部390a~レンズ側第4爪部390dの角度α5~α8と、4つのレンズ側第1挿抜部380a~レンズ側第4挿抜部380dの角度β5~β8とを合計した値は360度である。
【0053】
また、レンズ側第1挿抜部380aとレンズ側第3挿抜部380cは、レンズ側第2直線L2の線上であって光軸Oを中心にして略対象となる領域に、レンズ側第2挿抜部380bとレンズ側第4挿抜部380dは、レンズ側第1直線L1の線上であって光軸Oを中心として略対象となる領域に、それぞれ配置される。
なお、レンズ側第1直線L1とレンズ側第2直線L2は、レンズ側第1挿抜部380a~レンズ側第4挿抜部380dの円周方向に沿った中心位置を通るとは限らない。
【0054】
円筒部312の内側には、複数のレンズ側端子からなるレンズ側端子保持部320が設けられる。レンズ側端子保持部320は、環状のレンズ側マウント310の形状に対応する円弧状の形状を有する。レンズ側端子保持部320は、レンズ側マウント310の開口に並行して、レンズ側マウント310の上部に配置され、
図5および
図6に示すように上部の中央に配置することが好ましい。つまり、レンズ側端子保持部320の周方向における中心は、レンズ側第1直線L1上に位置するのが好ましい。
【0055】
レンズ側端子保持部320の左上にはレンズ側第1爪部390aが配置され、レンズ側端子保持部320の右上にはレンズ側第2挿抜部380bが配置される。よって、レンズ側端子保持部320の一端と光軸Oとを結ぶ直線と、レンズ側端子保持部320の他端と光軸Oとを結ぶ直線とのなす角度は、レンズ側第1爪部390aの角度α5とレンズ側第2挿抜部380bの角度β6とを合わせた角度より小さい。
【0056】
レンズ側端子保持部320は、上述したように複数のレンズ側端子を有する。複数のレンズ側端子(レンズ側端子群と称する)は、レンズ側端子保持部320に、レンズ側マウント310の内側に一列に並べて円弧状に配置される。レンズ側端子群は、それぞれ導電性の接触面が+Z方向(
図1)に向かって露出するように配置される。
【0057】
複数のレンズ側端子の全ての接触面は、レンズ側爪部390の光軸O方向後端より+Z方向に位置してもよく、レンズ側爪部390の光軸O方向後端より‐Z方向に位置してもよい。
また、複数のレンズ側端子の一部の接触面を、レンズ側爪部390の光軸O方向後端より+Z方向に位置してもよく、残りの接触面をレンズ側爪部390の光軸O方向後端より‐Z方向に位置してもよい。
【0058】
レンズ側マウント310は、ロックピン受部314を有する。ロックピン受部314は、
図5および
図6に示すように、レンズ側第4爪部390dの左上に配置される。つまり、ロックピン受部314は、レンズ側マウント310のロックピン用摺動面309のうちレンズ側第1爪部390aの外周側に対応する部分とレンズ側第4爪部390dの外周側に対応する部分の間に配置されている。
【0059】
ロックピン受部314は、交換レンズ3をカメラボディ2に装着した際にカメラボディ2のロックピン214が収まる溝である。この溝は、レンズ側マウント310のロックピン用摺動面309から-Z方向(
図1)に向かって凹形状に設けられている。
カメラボディ2のロック解除ボタンが押されていない状態で、ロックピン214の-Z方向端部(被写体側の前端)は、レンズ側マウント310のロックピン受部314に収まる。また、カメラボディ2のロック解除ボタンが押されている状態では、ロックピン214の-Z方向端部は、ロックピン用摺動面309より+Z方向に位置する。従って、カメラボディ2のロック解除ボタンを押しながら交換レンズ3とカメラボディ2とを相対回転させるときは、ロックピン214はロックピン用摺動面309に接触しない。
【0060】
カメラボディ2に交換レンズ3が装着されると、複数のボディ側端子がそれぞれ対応する複数のレンズ側端子に物理的に接触する。この接触により、複数のボディ側端子と複数のレンズ側端子とが電気的に接続される。すなわち、複数のボディ側端子と複数のレンズ側端子とが電気的に導通する。
【0061】
図7に示すように、レンズ側マウント310の基準面311とレンズ側第4爪部390dとの間には、円筒部312の外周面から突出する方向に制限ピン315が配置されている。制限ピン315は、レンズ側第4爪部390dの装着方向44の後端側(レンズ側第3爪部390cに近い位置)に配置されている。制限ピン315の一部は、レンズ側第4爪部390dを交換レンズ3の後ろから見た際に、レンズ側第4爪部390dの裏側に配置されている。
なお、本実施形態では制限ピン315にネジ部材を用いて円筒部312に径方向外側からねじ止めしているが、制限ピン315の形状や材質はこの限りではない。
【0062】
(カメラボディ2への交換レンズ3の装着方法)
次に、
図8、
図9を参照して、カメラボディ2への交換レンズ3の装着方法について説明する。
図8、
図9は、カメラボディ2のボディ側爪部290と交換レンズ3のレンズ側爪部390との位置関係を示す図であり、爪部同士の当接状態がわかるようにしたものである。また、
図8、
図9は、ボディ側マウント210とレンズ側マウント310とを、被写体側から撮像素子270側に向かって見た(+Z方向に見た)図であり、レンズ側マウント310は
図5、
図6と左右が反転している。
【0063】
交換レンズ3をカメラボディ2に取り付ける際、まず、交換レンズ3の外周面に付された指標(不図示)とカメラボディ2の外装面に付された指標(不図示)との位置を合わせ、ボディ側マウント210とレンズ側マウント310とを対向させて、各ボディ側挿抜部280に各レンズ側爪部390を挿入する。つまり、
図8に示すように、レンズ側第1爪部390aをボディ側第1挿抜部280aに挿入し、レンズ側第2爪部390bをボディ側第2挿抜部280bに挿入し、レンズ側第3爪部390cをボディ側第3挿抜部280cに挿入し、レンズ側第4爪部390dをボディ側第4挿抜部280dに挿入する。このとき、ボディ側第1爪部290aはレンズ側第2挿抜部380bに挿入され、ボディ側第2爪部290bはレンズ側第3挿抜部380cに挿入され、ボディ側第3爪部290cはレンズ側第4挿抜部380dに挿入され、ボディ側第4爪部290dはレンズ側第1挿抜部380aに挿入される。この際のカメラボディ2に対する交換レンズ3の位置を挿入位置と称する。
【0064】
上記の挿入位置から、交換レンズ3を
図8に示す装着方向44に回転させる。装着方向44は光軸Oと略直交する面内において、光軸Oを中心とする円周方向に沿った方向である。交換レンズ3の回転に伴い、レンズ側第1爪部390aと基準面311との間の空間にボディ側第1爪部290aおよび板バネ213aが進入する。
【0065】
すなわち、レンズ側第1爪部390aがボディ側第1爪部290aの撮像素子270側(+Z側)に進入し、レンズ側第1爪部390aが板バネ213aの撮像素子270側(+Z側)に対向する。あわせて、レンズ側第1爪部390aと基準面311との間の空間にボディ側第1爪部290aおよび板バネ213aが進入する。同様に、レンズ側第2爪部390bと基準面311との間の空間にボディ側第2爪部290bおよび板バネ213bが進入し、レンズ側第3爪部390cと基準面311との間の空間にボディ側第3爪部290cおよび板バネ213cが進入し、レンズ側第4爪部390dと基準面311との間の空間にボディ側第4爪部290dおよび板バネ213dが進入する。このとき、レンズ側端子群は、ボディ側端子群と順に接触していく。
なお、交換レンズ3をカメラボディ2に対して装着方向44に回転させることとしたが、カメラボディ2を交換レンズ3に対して装着方向44と反対方向に回転させてもよい。
【0066】
図9は、
図8の挿入位置から交換レンズ3をカメラボディ2に対して装着方向44に第1角度回転させた図であり、交換レンズ3をカメラボディ2に装着完了した状態を示す。このときの交換レンズ3の位置を装着位置という。第1角度は、本実施形態では約40度であり、38.5度から41.5度である。
【0067】
装着位置において、カメラボディ2のロックピン214は-Z方向へ押されて交換レンズ3のロックピン受部314に進入する。ロックピン214がロックピン受部314に進入すると、交換レンズ3はカメラボディ2に対して取り外すための回転を規制する。つまり、各ボディ側爪部290および各レンズ側爪部390が装着位置に到達すると、ボディ側マウント210とレンズ側マウント310との周方向における相対位置が定まる。
【0068】
また、レンズ側爪部390は板バネ213によって撮像素子270側(+Z方向)に押され、レンズ側マウント310の基準面311がボディ側マウント210の基準面211と接触する。レンズ側マウント310がボディ側マウント210と面接触し、かつ、板バネ213により付勢されることにより、交換レンズ3とカメラボディ2とが強固に装着される。
装着位置において、複数のレンズ側端子の各々は、それぞれ対応する複数のボディ側端子の各々に接触し、電気的に接続される。
【0069】
また、
図8の各レンズ側爪部390が挿入位置で対応する各ボディ側挿抜部280に挿入した状態から
図9の装着位置の直前までの状態を装着中状態と呼ぶ。カメラボディ2のロックピン214は-Z方向に押圧されているので、装着中状態のとき、ロックピン214の-Z方向端部はレンズ側マウント310のロックピン用摺動面309と接触する。
【0070】
交換レンズ3の回転に伴って、ロックピン214の-Z方向端部は、交換レンズ3のロックピン用摺動面309上をスライドする。それゆえ、ロックピン用摺動面309のロックピン受部314から装着方向44と逆方向の第1角度範囲には、レンズ側マウント310を固定する固定ビスを配置しない。上記逆方向の第1角度範囲に固定ビスを配置しないことにより、ロックピン214の-Z方向端部がロックピン用摺動面309上でスライドする際に固定ビスに当たることはないので、滑らかに交換レンズ3を着脱できる。
【0071】
(カメラボディ2からの交換レンズ3の取り外し方法)
装着位置において、ユーザーがカメラボディの不図示のロック解除ボタンを押下すると、ロックピン214がロックピン受部314から撮像素子270側に退避する。これにより、交換レンズ3のカメラボディ2に対する回転規制が解除され、ボディ側マウント210に対してレンズ側マウント310を回転させられるようになる。不図示のロック解除ボタンを押しながら交換レンズ3をカメラボディ2に対して装着方向44とは逆の方向(取り外し方向)に回転させると、各レンズ側爪部390は、各ボディ側爪部290の像側面に対向する位置から各ボディ側挿抜部280の位置に移動し、
図8に示す挿入位置に到達する。
【0072】
(装着方向の過回転状態の説明)
次に、
図10を参照して、交換レンズ3をカメラボディ2に対して装着方向44に第1角度以上回転させた過回転状態について説明する。
図10はカメラボディ2のボディ側第4爪部290dと交換レンズ3のレンズ側第4爪部390dとの位置関係を示す模式図であり、一点鎖線の上部(a)は被写体側から撮像素子270側に向かって見た図であり、一点鎖線の下部(b)はレンズマウント機構を側面から見た図である。交換レンズ3をカメラボディ2に装着する際、ユーザーがロック解除ボタンを押しながら交換レンズ3を装着方向44に回転させると、装着位置でロックピン214がロックピン受部314に進入しない。よって、
図9に示す装着位置からさらに交換レンズ3をカメラボディ2に対して回転させることができる。交換レンズ3をカメラボディ2に対して装着位置よりさらに装着方向44に回転させた場合、制限ピン315がボディ側第4爪部290dの装着方向44の後端に当接して、交換レンズ3がそれ以上カメラボディ2に対して回転するのを防止する。
【0073】
(取り外し方向の過回転状態の説明)
次に、
図11を参照して、交換レンズ3をカメラボディ2対して装着方向44とは逆方向(取り外し方向)に挿入位置よりも回転させた過回転状態について説明する。
図11は取り外し方向への過回転状態においてレンズマウント機構の一部を側面から見た図である。制限ピン315は、レンズ側第4爪部390dの装着方向44の後端部に配置されているので、交換レンズ3をカメラボディ2に対して挿入した後にユーザーが逆回転させようとすると、制限ピン315はボディ側第3爪部290cの装着方向44の先端に当接して、交換レンズ3がそれ以上カメラボディ2に対して取り外し方向に回転するのを防止する。
【0074】
このように、制限ピン315は、ボディ側爪部290の周方向端部に当接することにより、装着方向44の過回転と取り外し方向の過回転との両方を防止する。制限ピン315は、装着方向44の過回転と取り外し方向の過回転との両方を防止するので、装着方向44の過回転を防止する部材と取り外し方向の過回転を防止する部材との2つを用意する必要がない。
また、制限ピン315はボディ側爪部290の周方向端部を利用して過回転を防止するので、過回転時に制限ピン315に当接する部材を別途設ける必要がない。
【0075】
(誤挿入状態の説明)
次に、交換レンズ3の指標とカメラボディ2の指標とを合わせずに、ユーザーが誤った位置で交換レンズ3をカメラボディ2に挿入させようとしてしまう誤挿入状態について説明する。誤挿入状態でレンズ側爪部390はボディ側挿抜部280を通過しないので、レンズ側爪部390とボディ側爪部290との光軸O上の位置関係は、挿入位置での位置関係とは異なる。
図12、
図13は、カメラボディ2のボディ側爪部290と交換レンズ3のレンズ側爪部390との位置関係を示す模式図であり、爪部同士の当接状態がわかるようにしたものである。また、
図12、
図13は、ボディ側マウント210とレンズ側マウント310とを、被写体側から撮像素子270側に向かって見た(+Z方向に見た)図であり、レンズ側マウント310は
図5、
図6と左右が反転している。誤挿入状態の例として、交換レンズ3の指標とカメラボディ2の指標とを挿入位置から取り外し方向に15度ずれた状態を
図12に示す。また、交換レンズ3の指標とカメラボディ2の指標とを、挿入位置から90間隔でずれた状態を
図13(a)~(c)に示す。
【0076】
図12に、挿入位置から取り外し方向に15度ずれた状態(第1誤挿入状態)を示す。
図12にハッチングで示すように、ボディ側爪部290にレンズ側爪部390が4つの符号γ1~γ4に示す部分で当接するので、ボディ側挿抜部280にレンズ側爪部390が挿入されない。つまり、第1誤挿入状態では、レンズ側爪部390とボディ側爪部290とが4か所で当接することにより、誤挿入を確実に防止する。
【0077】
図13(a)は、交換レンズ3の指標とカメラボディ2の指標とを挿入位置から取り外し方向に略90度ずれた状態(第2誤挿入状態)を示す図である。
図13(b)は、交換レンズ3の指標とカメラボディ2の指標とを挿入位置から取り外し方向に略180度ずれた第3誤挿入状態を示す図である。
図13(c)は、交換レンズ3の指標とカメラボディ2の指標とを挿入位置から取り外し方向に略270度ずれた第4誤挿入状態を示す図である。
【0078】
図13(a)に示すように、第2誤挿入状態の場合、レンズ側第3爪部390cは、ボディ側第1爪部290aに符号γ5で示す部分が当たるとともにボディ側第2爪部290bにγ7で示す部分が当たってしまい、ボディ側第2挿抜部280bに挿入できない。また、レンズ側第1爪部390aは、ボディ側第4爪部290dに符号γ6で示す部分が当たってしまい、ボディ側第4挿抜部280dに挿入できない。このように、第2誤挿入状態において、レンズ側爪部390はボディ側爪部290と3か所で当接して誤挿入を防止する。
【0079】
図13(b)に示すように、第3誤挿入状態の場合、レンズ側第4爪部390dは、ボディ側第1爪部290aに符号γ8で示す部分が当たってしまい、ボディ側第2挿抜部280bに挿入できない。また、レンズ側第1爪部390aは、ボディ側第3爪部290cに符号γ9で示す部分が当たってしまい、ボディ側第1挿抜部280aに挿入できない。このように、第3誤挿入状態において、レンズ側爪部390はボディ側爪部290と2か所で当接して誤挿入を防止する。
【0080】
図13(c)に示すように、第4誤挿入状態の場合、レンズ側第1爪部390aは、ボディ側第1爪部290aに符号γ10で示す部分が当たるとともにボディ側第2爪部290bにγ11で示す部分が当たってしまい、ボディ側第2挿抜部280bに挿入できない。また、レンズ側第3爪部390cは、ボディ側第3爪部290cに符号γ12で示す部分が当たってしまい、ボディ側第4挿抜部280dに挿入できない。このように、第4誤挿入状態において、レンズ側爪部390はボディ側爪部290と3か所で当接して誤挿入を防止する。
【0081】
上記のように、挿入位置以外の誤挿入状態において、レンズ側爪部390はボディ側爪部290と少なくとも2か所で当接することで、挿入位置以外ではレンズ側爪部390がボディ側挿抜部280へ挿入することが禁止される。したがって、誤挿入位置で交換レンズ3をカメラボディ2に装着しようとしても、少なくとも2か所で爪部同士が当接することにより、誤挿入を確実に防止できる。
【0082】
また、第1誤挿入状態~第4誤挿入状態において、2か所以上の当接箇所のうち1つは撮像素子270の上側に位置する。つまり、誤挿入位置では、ボディ側第1爪部290aの装着方向44先端側の端部にレンズ側第1爪部390a~レンズ側第3爪部390cのいずれかが当接し、レンズ側第1爪部390a~レンズ側第3爪部390cがボディ側第2挿抜部280bへ挿入することを防止する。上述したように、ボディ側マウント210の開口212内であって撮像素子270の上部には、ボディ側端子保持部220が配置されている。ボディ側端子保持部220の上部にはボディ側第1爪部290aがあり、ボディ側第1爪部290aは4つのボディ側爪部290のうち最も円周方向の長さが長い。また、ボディ側端子保持部220の上部にはボディ側第2挿抜部280bがあり、ボディ側第2挿抜部280bは4つのボディ側挿抜部280のうち最も短い。それゆえ、ボディ側第2挿抜部280bには正規の挿入位置でレンズ側第2爪部390bが挿入されるのみであり、ボディ側第2挿抜部280bに他のレンズ側第1爪部390a~レンズ側第3爪部390cが誤挿入されることはない。また、ボディ側第2挿抜部280bにレンズ側第1爪部390a~レンズ側第3爪部390cが傾斜して(光軸O方向に交差する方向に傾いて)進入することもない。これにより、誤挿入状態でレンズ側爪部390a~390cがボディ側端子保持部220にぶつかってボディ側端子を傷つけることを防止している。また、ボディ側第1爪部290aは、誤挿入状態においてレンズ側爪部390のいずれかが当たって誤挿入を防止しているが、ボディ側第1爪部290aは4つのレンズ側爪部290のうち最も円周方向の長さが長く耐性が高いので、誤挿入時にボディ側第1爪部290aが破損してしまう可能性も低くできる。また、第2~4誤挿入状態において、当接箇所のうち少なくとも一つは、ボディ側端子保持部220と光軸Oを挟んで対向する位置にある。つまり、当接箇所の1つはボディ側端子保持部220の近傍であり光軸Oを通るボディ側第2直線B2より上側であるとともに、当接箇所の1つは光軸Oを通るボディ側第2直線B2より下側である。したがって、第2~4誤挿入状態では当接箇所は2か所または3か所であるが、光軸Oを通るボディ側第2直線B2の上下でそれぞれ当接するので誤挿入の可能性を低くすることができる。
また、第1~4誤挿入状態において、2か所以上の当接箇所のうち1つはレンズ側端子保持部320の外周側に位置する。つまり、誤挿入位置において、レンズ側第1爪部390aの装着方向44先端側の端部にボディ側第1~4爪部290a~290dのいずれかが当接する。それゆえ、レンズ側第2挿抜部380bに他のボディ側第2~4爪部290b~290dが誤挿入されることを防止する。上述したように、レンズ側端子保持部320の上部にはボディ側第1爪部290aの装着方向44先端側の端部がある。これにより、レンズ側第1爪部290aがボディ側第1挿抜部280a以外のボディ側挿抜部280b~280dを通過してしまい、レンズ側端子保持部320にぶつかってレンズ側端子を傷つけることを防止している。また、レンズ側第1爪部390aは、誤挿入状態においてボディ側爪部290のいずれかに当たって誤挿入を防止しているが、レンズ側第1爪部390aは4つのレンズ側爪部390のうち2番目に円周方向の長さが長く耐性が比較的高いので、誤挿入時にレンズ側第1爪部390aが破損してしまう可能性も低くできる。
【0083】
ここで、
図8に示すように、レンズ側第2爪部390bは、ボディ側第2挿抜部280bを通過して挿入位置に配置され、装着位置でボディ側第2爪部290bに対向する。レンズ側第2爪部390bの角度α6(
図6)はボディ側第2挿抜部280bの角度β2(
図3)より小さい。ボディ側第2挿抜部280bの角度β2は挿入位置から装着位置までの第1角度より小さい。したがって、レンズ側第2爪部390bを第1角度より小さくすることにより、ボディ側第2挿抜部280bをより小さくして誤挿入状態でレンズ側第2爪部390b以外の他のレンズ側爪部390が通過することを防止することができる。特に、レンズ側爪部390とボディ側爪部290との当接箇所が2か所または3か所になる第2誤挿入状態~第4誤挿入状態で、レンズ側第2爪部390b以外の他のレンズ側爪部390a、390c、390dがボディ側第2挿抜部280bを通過することを防止することができる。ボディ側第2挿抜部290bの内径側にはボディ側端子保持部220が配置されているので、上記他のレンズ側爪部390a、390c、309dが通過するのを防止することにより、当該他のレンズ側爪部390や円筒部312がボディ側端子保持部220にあたってボディ側端子を破損することを防止することもできる。
なお、レンズ側第2爪部390bの角度α6は、レンズ側第1爪部390a、レンズ側第3爪部390c、レンズ側第4爪部390dの角度α5、α7、α8より小さくてもよい。ボディ側第2挿抜部280bの角度β2は、上記レンズ側第1爪部390a、レンズ側第3爪部390c、レンズ側第4爪部390dの角度α5、α7、α8より小さくてもよい。
【0084】
上述した実施の形態によれば、カメラボディ2に交換レンズ3を適正に使用可能な状態で装着することができる。特に、カメラボディ2と交換レンズ3との装着時には、4つのレンズ側爪部390は4つのボディ側爪部290の板バネ213のそれぞれから+Z方向に押し付けられるので、交換レンズ3とカメラボディ2とのいずれか一方に衝撃を受けた場合でも突出部(レンズ側爪部390、ボディ側爪部290)がそれぞれ4つあるので、耐衝撃性が高い。
【0085】
また、カメラボディ2に交換レンズ3を装着した際に、カメラボディ2および交換レンズ3のそれぞれの端子を通じてカメラボディ2と交換レンズ3との間で通信、給電、制御を行うことができ、カメラシステム1を適正に使用することができる。
【0086】
交換レンズ3の4つの突出部は、接点保持部の中心と光軸Oとを結ぶ直線に対して光軸O上で略45度で交差する直線上に配置し、光軸O周りに略90度間隔で配置した4つの板バネ213に接触してカメラボディ2の4つの突出部と対向することとした。これにより、カメラシステム1を横位置に構えた際でも縦位置に構えた際でも耐衝撃性が高い。特に、交換レンズ3とカメラボディ2とのいずれか一方に上下方向の衝撃を受けても、接点保持部の中心と光軸Oとを結ぶ直線(B1、L1)の右側と左側とにそれぞれ2つずつ突出部を配置したので、上下方向の衝撃を2以上の突出部で受けることができる。
【0087】
ボディ側第3直線B3上にボディ側第2爪部290bとボディ側第4爪部290dとを配置し、ボディ側第4直線B4上にボディ側第1爪部290aとボディ側第3爪部290cとを配置した。ここで、ボディ側第4爪部290dの角度α4は4つのボディ側爪部290のうち3番目に角度が大きく、ボディ側第2爪部290bの角度α2は4つのボディ側爪部290のうち最も角度が小さい(4番目に大きい)。また、ボディ側第1爪部290aの角度α1は4つのボディ側爪部290のうち最も角度が大きく、ボディ側第3爪部290cの角度α3は4つのボディ側爪部のうち2番目に角度が大きい。
【0088】
よって、交換レンズ3とカメラボディ2とのいずれか一方に上下方向の衝撃を受けた場合、上側の2つの突出部(ボディ側第1爪部290aとボディ側第2爪部290b)の組み合わせと、下側の2つの突出部(ボディ側第4爪部290dとボディ側第3爪部290c)の組み合わせに加わる力が略均等となる。左右方向に衝撃を受けた場合であっても、左側の2つの突出部(ボディ側第3爪部290cとボディ側第2爪部290b)の組み合わせと、右側の2つの突出部(ボディ側第1爪部290aとボディ側第4爪部290d)の組み合わせに加わる力が略均等となる。
【0089】
レンズ側第3直線L3上にレンズ側第1爪部390aとレンズ側第3爪部390cとを配置し、レンズ側第4直線L4上にレンズ側第2爪部390bとレンズ側第4爪部390dとを配置した。ここで、レンズ側第4爪部390dの角度α8は4つのレンズ側爪部390のうち3番目に角度が大きく、レンズ側第2爪部390bの角度α6は4つのレンズ側爪部390のうち最も角度が小さい(4番目に大きい)。また、レンズ側第1爪部390aの角度α5は4つのレンズ側爪部のうち2番目に角度が大きく、レンズ側第3爪部390cの角度α7は4つのレンズ側爪部のうち最も角度が大きい。
【0090】
よって、交換レンズ3とカメラボディ2とのいずれか一方に上下方向の衝撃を受けた場合、上側の2つの突出部(レンズ側第1爪部390aとレンズ側第2爪部390b)の組み合わせと、下側の2つの突出部(レンズ側第4爪部390dとレンズ側第3爪部390c)の組み合わせに加わる力が略均等となる。左右方向に衝撃を受けた場合であっても、左側の2つの突出部(レンズ側第1爪部390aとレンズ側第4爪部390d)の組み合わせと、右側の2つの突出部(レンズ側第3爪部390cとレンズ側第2爪部390b)の組み合わせに加わる力が略均等となる。
【0091】
また、本実施形態では、レンズ側第3直線L3上に配置されたレンズ側第1爪部390aとレンズ側第3爪部390cとではレンズ側第3爪部390cの方が角度が大きく、レンズ側第4直線L4上に配置されたレンズ側第2爪部390bとレンズ側第4爪部390dとではレンズ側第4爪部390dの方が角度が大きい。すなわち、光軸Oを挟んで対向する2つのレンズ側爪部390同士は、レンズ側第2直線L2(水平方向)より下側の2つのレンズ側爪部390が大きい。それゆえ、カメラシステムを横位置で構えた状態で、交換レンズ3に下方向から受けた衝撃を、レンズ側第2直線L2より下側の大きな角度のレンズ側爪部390の2つが広い面積で受けることができる。また、カメラシステムを横位置で構えた状態で、交換レンズ3に下方向からの衝撃を受けた場合、レンズ側第2直線L2より下側のレンズ側爪部390はボディ側爪部290に近づく方向(-Z方向)に衝撃を受ける。ここで、板バネ213は、レンズ側爪部390をボディ側爪部290から離れる方向(+Z方向)に押し付ける。それゆえ、カメラシステムを横位置で構えた状態で、交換レンズ3に下方向からの衝撃を受けても、レンズ側第2直線L2より下側のレンズ側爪部390は、広い面積で、かつ、それぞれ対向するボディ側爪部290の板バネ213の付勢力でも衝撃を吸収することができるので、耐衝撃性が高い。
【0092】
カメラボディ2に交換レンズ3を装着した状態において、レンズ側端子保持部320は撮像素子270の上部に配置される。カメラシステム1を横位置に構えた状態で、交換レンズ3に入射する太陽光は、交換レンズ3の射出側において下側に入射するので、撮像素子270の下側はゴーストが生じやすいが、本実施形態では撮像素子270の下側ではなく上側にレンズ側端子保持部320を配置したので、ゴーストを抑えることができる。
【0093】
4つの板バネ213は、光軸O回りに略90度間隔で配置される。よって、4つの板バネ213のうち光軸Oを挟んで少なくとも2つの板バネ213は2つのレンズ側爪部390と接触し、その2つのレンズ側爪部390は+Z方向に押し付けられる。本実施形態では交換レンズ3が4つのレンズ側爪部390を備えることとしたが、交換レンズ3の4つのレンズ側爪部390のうち1つのレンズ側爪部390が破損した場合であっても、少なくとも2つのレンズ側爪部390が光軸Oを挟んで対向する位置に配置されているので、光軸Oを挟んで対向する位置に配置された2つの板バネ213で押し付けられる。したがって、交換レンズ3のレンズ側爪部390が破損して数が足りなくなったとしても、交換レンズ3をカメラボディ2に使用可能な状態で装着することができるカメラシステム1を提供することができる。
また、板バネ213が直線B5上(
図4)にあるので、直線B5近傍のレンズ側端子をボディ側端子に強く押し付けることができる。
【0094】
次のような変形も可能であり、一つもしくは複数の変形例を上述の実施形態と組み合わせることも可能である。
(変形例)
【0095】
4つのレンズ側爪部390のうち1つを外し、3つのレンズ側爪部を備える構成としてもよい。3つのレンズ側爪部であっても、カメラボディ2の板バネ213が光軸O回りに90度間隔で配置されるので、少なくとも3つの板バネ213からレンズ側爪部が押し付けられて使用可能な状態に装着することができる。
【0096】
4つのレンズ側爪部390のうち光軸Oを挟んで対向する2つを外し、光軸Oを挟んで対向する2つのレンズ側爪部を備える構成としてもよい。2つのレンズ側爪部であっても、光軸Oを挟んで対向し、かつ、カメラボディ2の板バネが光軸回りに90度間隔で配置されるので、少なくとも光軸Oを挟んで対向する板バネ213からレンズ側爪部が押し付けられて使用可能な状態に装着することができる。なお、光軸Oを挟んで対向する2つのレンズ側爪部を備える構成とする場合、2つのレンズ側爪部のうちの1つは、レンズ側端子保持部320の中心に近い位置に配置するのが好ましい。レンズ側端子保持部320の中心に近い位置にレンズ爪部を配置して板バネ213と接触させることにより、レンズ側端子とボディ側端子とを接触させてカメラシステム1を適正に使用することができる。
【0097】
レンズ側マウント310の材料に特に限定は無く、金属でも樹脂でもよい。またレンズ側マウント310の端部(レンズ側爪部390の外周側端部、レンズ側爪部390の円周方向端部、円筒部312の光軸O方向端部など)は少なくとも一部を傾斜して形成してもよい。レンズ側マウント310の端部は、傾斜していなくてもよく、一部に段差があってもよい。
【0098】
レンズ側端子保持部320の形状に特に限定は無く、適宜変更可能である。特に、レンズ側端子保持部320の円周方向の端部を傾斜させることにより、挿入位置から装着位置に回転させる際のボディ側端子保持部220との接触を滑らかに行うことができる。
また、レンズ側端子保持部320は円弧状に配置された複数のレンズ側端子を備えることとしたが、交換レンズ3をカメラボディ2に装着時にボディ側端子に接触する範囲でレンズ側端子の位置をずらしても良い。
【0099】
レンズ側爪部390の円周方向における中心位置や長さは、装着位置において板バネ213から押し付けられる範囲で適宜変更可能である。レンズ側爪部390の円周方向における中心位置と被付勢部の円周方向における中心位置とは、異なる位置に配置してもよい。つまり、レンズ側爪部390が板バネ213の円周方向における中心位置から押し付けられる位置は、レンズ側爪部390の円周方向における中心位置とは異なる位置でもよい。同様に、レンズ側爪部390の円周方向における中心位置とボディ側爪部290の円周方向における中心位置とは、装着位置において一致しなくても良い。また、レンズ側爪部390の円周方向の長さと対応するボディ側爪部290の円周方向における長さとは、一致しなくても良い。
【0100】
なお、本実施形態においては、アクセサリとしてカメラシステム1の交換レンズ3を例に挙げて説明したが、アクセサリは交換レンズ3に限らない。例えば、カメラボディ2と交換レンズ3との間に装着され、交換レンズ3の焦点距離を変更するテレコンバーターやワイドコンバーター、接写リングなどでもよい。あるいは、上述したカメラボディ2のマウント規格に他のマウント規格の交換レンズ3を含むアクセサリを装着可能にするマウントアダプターなどにでも適用できる。すなわち、カメラボディ2のマウントに装着して使用するアクセサリであればいずれにも同様に適用できる。その場合、レンズ側爪部、レンズ側端子などは、それぞれのアクセサリのアクセサリ側突出部、アクセサリ側端子などに相当する。
【0101】
上記実施形態では、カメラボディ2に着脱可能なアクセサリとしたが、上記のカメラボディ2は、上述したマウント規格とは異なるカメラボディに上述したマウント規格の交換レンズ3を装着可能にするマウントアダプターであってもよく、そのマウントアダプターに上述したアクセサリを装着可能とする構成としてもよい。
【0102】
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0103】
1…カメラシステム、2…カメラボディ、3…交換レンズ、44…装着方向、210…ボディ側マウント、211…基準面、212…開口、213…板バネ、220…ボディ側端子保持部、270…撮像素子、290…ボディ側爪部、309…ロックピン用摺動面、310…レンズ側マウント、311…基準面、312…円筒部、320…レンズ側端子保持部、360…撮像光学系、390…レンズ側爪部、B1~B4…ボディ側第1直線~第4直線、L1~L4…レンズ側第1直線~第4直線、B5…直線、O…光軸