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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-25
(45)【発行日】2022-11-02
(54)【発明の名称】パターンを層に転写する方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20221026BHJP
【FI】
H01L21/302 105A
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020545635
(86)(22)【出願日】2019-02-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-17
(86)【国際出願番号】 US2019020031
(87)【国際公開番号】W WO2019169122
(87)【国際公開日】2019-09-06
【審査請求日】2022-02-25
(31)【優先権主張番号】62/637,743
(32)【優先日】2018-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/666,751
(32)【優先日】2018-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】菊地 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】和田 敏治
(72)【発明者】
【氏名】前川 薫
(72)【発明者】
【氏名】高 明輝
【審査官】宇多川 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-094481(JP,A)
【文献】特開平07-209864(JP,A)
【文献】特表2019-514042(JP,A)
【文献】特表2017-506428(JP,A)
【文献】特表2017-513233(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板をエッチングする方法であって、
当該方法は、
前記基板上に第1の層を設けるステップと、
前記第1の層の上に1つ又は複数の介在層を設けるステップであって、少なくとも1つの介在層は第1の熱分解層である、ステップと、
前記介在層上に第1のパターンを有する第1のパターン形成層を設けるステップと、
前記第1の層をエッチングして前記第1の層に前記第1のパターンを形成するステップと、
熱処理ステップにおいて、前記第1の熱分解層に熱エネルギーを加えることにより、前記第1の熱分解層を除去するステップと、
この順に含み、
当該基板をエッチングする方法は、多重パターニングプロセスであり、前記多重パターニングプロセスは、前記第1の層を繰り返しエッチングして前記第1の層に複数のパターンを形成するステップを含み、
前記第1の熱分解層は、400℃以下の温度での前記熱処理ステップにおいて、熱エネルギーを加えることにより解重合する材料であり、前記第1の熱分解層は、前記熱処理ステップにより解重合され、除去される、方法。
【請求項2】
前記第1の熱分解層は、260℃以下での前記熱処理ステップにおける熱処理によって解重合し、除去される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の熱分解層は、尿素結合樹脂から構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
さらに、前記第1の熱分解層を除去するステップの前に、エッチング剥離を実施して、前記第1のパターン形成層を除去するステップを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
当該方法は、前記第1の熱分解層を除去するステップの後に、第2の熱分解層を形成するステップと、熱エネルギーを印加し、400℃以下の温度で前記第2の熱分解層を解重合し、除去することにより、前記第2の熱分解層を除去するステップと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の層は記憶層である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
基板をパターニングする方法であって、
当該方法は、
前記基板に、記憶層、第1の熱分解層、及びフォトレジストパターン形成層この順に含む構造を提供するステップであって、前記フォトレジストパターン形成層のパターンは、ライン、スペース、及び/又はビアを含む、ステップと、
前記第1の熱分解層上に前記パターンの前記ラインを残しながら、前記記憶層に、前記パターンのスペース及び/又はビアのパターン転写を実施するステップと、
第1の熱処理プロセスを実施して、前記第1の熱分解層の任意の残りの部分を除去するステップと、
この順に含み、
前記第1の熱分解層は、前記第1の熱処理プロセスにおいて、400℃以下の温度で熱エネルギーを加え、前記第1の熱分解層を解重合し除去することにより、解重合する材料である、方法。
【請求項8】
前記第1の熱分解層は尿素結合樹脂から構成される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の熱分解層は、平坦化層である、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
さらに、前記第1の熱処理プロセスを実施するステップの前に、エッチング剥離を実施して、前記フォトレジストパターン形成層を除去するステップを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
当該基板をパターニングする方法は、多重パターニングプロセスであり、前記多重パターニングプロセスは、2つ以上のパターンを前記記憶層に転写するステップを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
当該方法は、前記第1の熱分解層の任意の残りの部分を除去するステップの後、第2の熱分解層を形成するステップと、前記第2の熱分解層を400℃以下の温度で解重合し、除去する第2の熱処理プロセスを使用することにより、前記第2の熱分解層を除去するステップと、を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
基板をパターニングする方法であって、
当該方法は、
前記基板に、記憶層、第1の熱分解層、及びフォトレジストパターン形成層この順に有する構造を提供するステップであって、前記フォトレジストパターン形成層のパターンは、ライン、スペース、及び/又はビアを含む、ステップと、
前記第1の熱分解層上に前記パターンの前記ラインを残しながら、前記記憶層に、前記パターンのスペース及び/又はビアのパターン転写を実施するステップと、
第1の熱処理プロセスを実施して、400℃以下の温度で前記第1の熱分解層を解重合し、前記第1の熱分解を除去することにより、前記第1の熱分解層の任意の残りの部分を除去するステップと、
この順に有し、
当該基板をパターニングする方法は、多重パターニングプロセスであり、前記多重パターニングプロセスは、2つ以上のパターンを前記記憶層に転写するステップを含み、
当該方法は、
第2の熱分解層を形成するステップと、
前記第2の熱分解層を400℃以下で解重合し除去する第2の熱処理プロセスを用いて、前記第2の熱分解層を除去するステップと、を有し、
前記第1の熱分解層及び前記第2の熱分解層は、平坦化層である、方法。
【請求項14】
基板を多重パターニングする方法であって、
当該方法は、
前記基板に記憶層を提供するステップと、
前記記憶層の上に第1の熱分解層を提供するステップであって、前記第1の熱分解層は、第1の平坦化層である、ステップと、
前記第1の熱分解層の上に第1のパターン形成層を提供するステップであって、前記第1のパターン形成層は、第1のパターンを有する、ステップと
第1のパターン転写を実施して、前記記憶層に前記第1のパターンを転写するステップと、
前記第1の熱分解層に熱エネルギーを加え、400℃以下の温度で前記第1の熱分解層を解重合し、除去することにより、前記第1の熱分解層を除去するステップと、
前記第1の熱分解層を除去するステップの後、第2の熱分解層を提供するステップであって、前記第2の熱分解層は、第2の平坦化層である、ステップと、
第2のパターン形成層を提供するステップであって、前記第2の熱分解層は、前記第2のパターン形成層と前記記憶層の間となり、前記第2のパターン形成層は、第2のパターンを有する、ステップと、
第2のパターン転写を実施し、前記第2のパターンを前記記憶層に転写するステップと、
前記第2の熱分解層に熱エネルギーを加え、400℃以下の温度で前記第2の熱分解層を解重合し、除去することにより、前記第2の熱分解層を除去するステップと、
この順に含む、方法。
【請求項15】
さらに、前記第1の熱分解層を除去するステップの前に、エッチング剥離を実施し、前記第1のパターン形成層を除去するステップを有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の熱分解層及び前記第2の熱分解層は両方とも、300℃以下の熱処理によって解重合し、除去される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の熱分解層及び前記第2の熱分解層は両方とも尿素結合樹脂から構成される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
さらに、
前記第2の熱分解層を除去するステップの後、第3の熱分解層を設けるステップであって、前記第3の熱分解層は第3の平坦化層である、ステップと、
第3のパターン形成層を設けるステップであって、前記第3の熱分解層は、前記第3のパターン形成層と前記記憶層との間となり、前記第3のパターン形成層は、第3のパターンを有する、ステップと、
第3のパターン転写を実施して、前記第3のパターンを前記記憶層に転写するステップと、
前記第2の熱分解層に熱エネルギーを加え、400℃以下で前記第3の熱分解層を解重合し、除去することにより、前記第3の熱分解層を除去するステップと、
を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記熱エネルギーを加えるステップは、レーザーの使用により、又はマイクロ波の使用により、前記熱分解層の周りの周囲環境を加熱するステップを含む、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年3月2日に出願された「Method to Transfer Patterns to a Layer」と題された米国仮特許出願第62/637,743号明細書、及び2018年5月4日に出願された「Method to Transfer Patterns to a Layer」と題された米国仮特許出願第62/666,751号明細書の優先権を主張し、これらの明細書の開示は、その全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0002】
本開示は、基板の処理に関する。特に、本開示は基板にパターン形成するための方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
基板を処理するのにフォトリソグラフィ技術を使用することは、長い間知られていることである。歴史的にみて、フォトリソグラフィは、層、例えばフォトレジスト層にパターンを形成し、その後、そのパターンをエッチングプロセスを介して別の層に転写することを含んできた。
【0004】
基板上に形成されるフィーチャの限界寸法は縮小し続けているので、1つのパターンで達成可能な限界寸法よりも小さな限界寸法を実現することができるように、多重パターニング技術が使用されてきた。従って、例えば、二重パターニングプロセス、三重パターニングプロセス、四重パターニングプロセス等の使用が今では知られている。そのようなプロセスの一例では、複数のパターンが順次パターン形成され、その後、エッチング層においてエッチングされて、基板のエッチング層に最終的な所望のパターンが実現される。例えば、第1のフォトリソグラフィパターンがフォトレジスト層に形成され、その後、エッチングプロセスを介して基板のエッチング層に転写されることがある。一例では、エッチング層は多重パターニングプロセス(例えば、二重パターニングプロセス)の記憶層であり得る。次いで、第2のフォトリソグラフィパターンがフォトレジスト層に形成され、別のエッチングプロセスを介して同じエッチング層(例えば、記憶層)に転写されることがある。このようにして、2つのフォトリソグラフィパターンを、1つのフォトリソグラフィ層だけを使用することで実現可能な限界寸法よりも小さな限界寸法で、エッチング層(例えば、記憶層)に転写することができる。
【0005】
しかしながら、最終的なパターンが形成されることになるエッチング層(例えば、記憶層)に対して複数の処理ステップを実施することにより、エッチング層に望ましくない損傷が生じることがあることが分かった。一実施形態では、フォトリソグラフィプロセスフローの一部として、フォトレジスト層とエッチング層との間に他の層(平坦化層を含む)が形成されることがある。そのような他の層は、エッチング層の第1のエッチングの後で基板から除去されることがある。一例では、他の層は平坦化層を含むことがある。従来技術で知られているように、第1のパターンがエッチング層に形成された後、第1の平坦化層は基板から除去されることがある。次いで、第2のフォトレジスト層で基板をコーティングする前に、別の平坦化層を基板上に形成することがある。平坦化層に使用される典型的な材料には、有機平坦化層が含まれる。
【0006】
本明細書で説明するように、第1の平坦化層の除去により、エッチング層に望ましくない損傷が生じることがあることが分かっている。従って、エッチング層に望ましくない変化を引き起こすことなく、エッチング層から材料を除去することができるプロセスを利用することが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
パターン形成された層、介在層、及びパターン形成された層のパターンに従ってエッチングされることになる第1の層、が形成されるプロセスが提供される。介在層は、熱ベースの除去プロセスによって除去することができる熱分解層であり得る。第1の層をエッチングした後、熱ベースの除去プロセスの使用により、第1の層を変更することなく、基板から介在層を除去することが可能になる。一実施形態では、第1の層は記憶層であることがあり、プロセスは多重パターニングプロセスであることがある。
【0008】
一実施形態では、基板をエッチングする方法が提供される。この方法は、基板上に第1の層を設けるステップと、基板上に第1のパターンを有する第1のパターン形成された層を設けるステップと、第1のパターン形成された層と第1の層との間に1つ又は複数の介在層を設けるステップであって、少なくとも1つの介在層は第1の熱分解層であるステップと、を含むことがある。この方法は更に、第1の層をエッチングして第1の層に第1のパターンを形成するステップと、第1の熱分解層に熱エネルギーを加えることによって第1の熱分解層を除去するステップと、を含む。
【0009】
別の実施形態では、基板にパターン形成する方法が提供される。この方法は、基板に、フォトレジストパターン形成層、第1の熱分解層、及び記憶層を含む構造を提供するステップを含むことがあり、フォトレジストパターン形成層のパターンは、ライン、スペース、及び/又はビアを含む。この方法は、熱分解層上にパターンのラインを残しながら、パターンのスペース及び/又はビアの記憶層へのパターン転写を実施するステップと、第1の熱処理プロセスを実施して第1の熱分解層の残りの部分を除去するステップと、を更に含むことがある。
【0010】
更に別の実施形態では、基板を多重パターニングする方法が提供される。この方法は、基板に、第1のパターン形成された層を含む構造を提供するステップであって、この第1のパターン形成された層は第1のパターンを有するステップと、記憶層を設けるステップと、を含むことがある。この方法は更に、第1のパターン形成された層と記憶層との間に第1の熱分解層を設けるステップであって、第1の熱分解層は第1の平坦化層であるステップと、第1のパターン転写を実施して第1のパターンを記憶層に転写するステップと、を含む。この方法は更に、第1の熱分解層に熱エネルギーを加えることにより、第1の熱分解層を除去するステップを含む。第1の熱分解層を除去した後、この方法は、第2の熱分解層を設けるステップを含み、ここで第2の熱分解層は第2の平坦化層である。この方法は更に、第2の熱分解層が第2のパターン形成された層と記憶層との間になるように、第2のパターン形成された層を設けるステップを含み、第2のパターン形成された層は第2のパターンを有する。この方法は、第2のパターン転写を実施して第2のパターンを記憶層に転写するステップと、第2の熱分解層に熱エネルギーを加えることにより第2の熱分解層を除去するステップと、も含む。
【0011】
本発明及びその利点のより詳細な理解は、添付の図面と併せて以下の説明を参照することによって得られ、添付の図面では、同様の参照番号は同様の特徴を示す。しかしながら、添付の図面は、開示された概念の例示的な実施形態のみを示し、従って範囲を限定するものと見なされるべきではなく、開示された概念に対して他の同等に効果的な実施形態も許され得ることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A-C】熱分解層を利用したプロセスフローを示す。
図2B-C】図1A図1Cのプロセスフローに第2のパターニングプロセスの使用を追加するプロセスフローを示す。
図3A-C】図2A図2Cのプロセスフローに第3のパターニングプロセスの使用を追加するプロセスフローを示す。
図4】パターニングプロセスの一部として熱分解層を使用するための例示的なプロセスフローを示す。
図5】パターニングプロセスの一部として熱分解層を使用するための別の例示的なプロセスフローを示す。
図6】パターニングプロセスの一部として熱分解層を使用するための更に別の例示的なプロセスフローを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
パターン形成された層、介在層、及びパターン形成された層のパターンに従ってエッチングされることになる第1の層、が形成されるプロセスが提供される。介在層は、熱ベースの除去プロセスによって除去することができる熱分解層であり得る。第1の層をエッチングした後、熱ベースの除去プロセスの使用により、第1の層を変更することなく、基板から介在層を除去することが可能になる。一実施形態では、第1の層は記憶層であることがあり、このプロセスは多重パターニングプロセスであることがある。
【0014】
一実施形態では、このプロセスは、多重パターニングプロセスの一部として使用されることがある。しかしながら、エッチング層に損傷を与えることなく介在層を除去するという利点を、広範な基板処理ステップで望ましくも使用することができ、本明細書で説明する技術は、多重パターニングプロセスの使用に限定されない、ということが認識されるであろう。本明細書で説明する技術の使用の例示的な一実施形態では、エッチング層は記憶層であることがあるが、この技術は記憶層を用いた使用に限定はされない。例示的な一実施形態では、介在層は、フォトレジスト層で基板をコーティングする前に基板を平坦化するために利用される平坦化層であり得る。別の例示的な実施形態では、パターン転写プロセスは多重パターニングプロセスであることがあり、介在層は平坦化層であることがあり、エッチング層は記憶層であることがある。
【0015】
介在層を除去するための熱ベースの除去プロセスは、特定の熱ベースの除去メカニズムに限定されない。例えば、一実施形態では、介在層を取り囲む周囲環境に熱エネルギーを提供することにより、介在層にエネルギー熱エネルギーを提供することがある。別の実施形態では、電磁エネルギーを使用して介在層に熱エネルギーを提供することがあり、例えば一実施形態では、レーザーを使用して介在層を加熱することがあり、又は別の実施形態では、マイクロ波エネルギーを使用することがある。熱ベースの除去メカニズムが達成されるように、他の方法を使用して介在層を加熱することができることが、認識されるであろう。
【0016】
一実施形態では、介在層は熱分解材料である。本明細書で使用する場合、そのような材料は、材料に熱エネルギーを少なくとも部分的に印加することによって分解されることがあり、その結果、熱エネルギーの印加を介して基板から材料を除去することができる。熱エネルギーを、様々な方法で熱分解材料に加えることができる。例えば、分解材料の周りの周囲環境の加熱は、熱エネルギーを加える一つの方法である。別の例では、レーザー、マイクロ波、又は他の電磁エネルギーを使用して、熱分解材料中に熱エネルギーを生成することがある。
【0017】
本明細書で提供する図は、介在層を、下にあるエッチング層に損傷を与えることなく除去するための技術の使用について例示している。図に示すように、このプロセスの例示的な用途は、多重パターニングプロセスである。しかしながら、上述したように、本明細書で説明する技術は、多重パターニングプロセスに限定されない。本明細書で説明する熱分解技術を利用したプロセス統合フローの一実施形態を、図1A図3Cに示す。図1Aに示すように、構造100が設けられる。構造100は、基板105を含む。基板105は、パターン形成されたフィーチャの使用が望ましい任意の基板であり得る。例えば、一実施形態では、基板105は、上に1つ又は複数の半導体処理層が形成された半導体基板であり得る。一実施形態では、基板105は、幅広い種類の構造及び層をもたらす複数の半導体処理ステップを施された基板であることがあり、それらの全てが基板処理技術において知られている。例示的な一実施形態では、構造100は、半導体ウェハを処理するための配線工程(BEOL)処理ステップ又は基板工程(FEOL)処理ステップにおいて利用される三重パターニング技術の一部として、使用されることがある。
【0018】
多重パターニングプロセスの一部としてエッチングされることになる層も設けられる。この例では、エッチングされることになる層は記憶層110である。記憶層110の上には、フォトレジスト層125が形成されパターン形成されることもある。図1Aに示すように、フォトレジスト層125は、ライン、スペース、及び/又はビアのパターンを有するように形成されることがある。フォトレジスト層125と記憶層110との間には、1つ又は複数の介在層が設けられることがある。図示された例示的なプロセスでは、2つの介在層が利用されることがある。介在層は、例えば、反射防止コーティング層、ハードマスク層、平坦化層などの多様な種類の層のいずれかであり得ることが認識されるであろう。図1Aの例に示すように、介在層の1つは平坦化層である。従来技術では、平坦化層は有機平坦化層であることがあり、この有機平坦化層は、この有機平坦化層を除去するために反応性イオンエッチングの使用を必要とすることがある。対照的に、図1Aの実施形態では、介在層は、この実施形態では平坦化層を形成する熱分解層115を含む。次いで、図1Aに示すように、追加の層120も設けられる。追加の層120は、ハードマスク層、反射防止コーティング層、又はパターニングプロセスで利用される任意の他の層、のうちの1つ又は複数であり得る。図示していないが、熱分解層115と記憶層110との間に追加の層を利用することもある。例えば、熱分解層115と記憶層110との間に、底部反射防止層又は他の層を利用することがある。従って、図1Aに示した特定の層のスタックは例示に過ぎず、本明細書で説明するような熱分解材料を使用する利点を依然として得ながら、他の多数の層の変形例を利用することができることが、認識されるであろう。
【0019】
パターニング及びエッチングプロセスの間、フォトレジスト層125のパターンを、複数のパターンによってエッチングされることが望まれる層、即ち記憶層110に転写することが望ましい。図1Bは、フォトレジスト層125のパターンの記憶層110への転写を示す。そのようなパターン転写は、プラズマエッチングプロセスを介して実現することができるが、他の技術を利用することもできる。図に示すように、フォトレジスト層125及び追加の層120は除去されている。そのような除去は、当技術分野で知られている標準的なリソグラフィ-エッチング-ストリップ処理技術の結果であり得る。図示するように、基板105上には熱分解層115が残っている。次に図1Cに示すように、熱分解層115は、熱エネルギーを加えることによって除去することができる。上述したように、そのような熱エネルギーの印加は、レーザー、マイクロ波等の使用による、熱分解層の周りの周囲環境の加熱を含むがこれに限定はされない様々な方法によって、達成されることがある。熱除去プロセスの性質のおかげで、熱分解層115の除去は、記憶層110に損傷を与えることなく達成することができる。例えば、介在平坦化層が反応性イオンエッチングなどのエッチングによって除去された場合に生じることがある記憶層110への損傷と比べると、記憶層110へのプロファイル変化を最小限に抑えることができる。
【0020】
例示的な一実施形態では、熱分解層115は、この層を摂氏400度(C)未満の加熱プロセスにかけることによって、除去することができる。別の実施形態では、加熱プロセスは100℃~350℃の範囲内、更に別の実施形態では、200℃~260℃の間であり得る。一実施形態では、熱分解層除去プロセスは、5分間の間熱を加えることによって、生じることがある。しかしながら、他の温度及び時間を利用することもできることが認識されるであろう。
【0021】
上述したプロセスは、基板処理フローで利用される様々な処理ステップにおいて単独で使用されることがある。例示的な一実施形態では、上述したプロセスは、多重パターニングプロセスの一部であり得る(しかしながら、前述のように、本明細書で説明する技術は、多重パターニングプロセスに限定はされない)。多重パターニングプロセス内での使用について、上述した図1A図1Cのステップの後で使用することができるプロセスステップである、図2A図2C及び図3A図3Cに関して、以下に示す。より具体的には、図2A図2Cは第2のパターニングステップの使用を示し、図3A図3Cは第3のパターニングステップの使用を示している。図1について上述したプロセスは、第2及び第3のパターンが図2A図2C及び図3A図3Cに示すように記憶層に形成されるように、繰り返される。より具体的には、図2Aに示すように、構造200は、図1Cから得られる記憶層110の上に設けられる、第2のフォトレジスト層225、第2の追加の層220、及び第2の熱分解層215を含むことがある。図2Bに示すように、次いで、第2の熱分解層215及び記憶層110は、第2のフォトレジスト層225のパターンに従ってエッチングされることがある。次に、図2Cに示すように、上述したような熱プロセスによって、第2の熱分解層215が除去されることがある。従って、図2Cに示すように、フォトレジスト層125及び第2のフォトレジスト層225のパターンが記憶層110に転写され、第2の熱分解層は第2の熱処理プロセスによって除去される。
【0022】
図2A図2Cのプロセスは、図3A図3Cに示すように別のときに繰り返されることがある。より具体的には、図3Aに示すように、構造300は、図2Cから得られる記憶層110の上に設けられる、第3のフォトレジスト層325、第3の追加の層320、及び第3の熱分解層315を含むことがある。図示する例では、第3の熱分解層315は第3の平坦化層として機能する。図3Bに示すように、次いで、第3の熱分解層315及び記憶層110は、第3のフォトレジスト層325のパターンに従ってエッチングされることがある。次に、図3Cに示すように、上述したような熱プロセスによって、第3の熱分解層315が除去されることがある。従って、図3Cに示すように、フォトレジスト層125、第2のフォトレジスト層225、及び第3のフォトレジスト層325のパターンが記憶層110に転写される。このようにして、記憶層110のエッチングの繰り返しにより、記憶層に最終的なパターンがもたらされる。図示した例では、第3のパターン形成層(第3のフォトレジスト層325)の使用を通じて、第3のパターンが記憶層に追加される。
【0023】
図2A図2C及び図3A図3Cは、フォトレジスト層と記憶層との間の平坦化層として機能する追加の熱分解層の使用を示している。図示するように両方の追加の層は平坦化層として機能するが、熱分解層は平坦化層に限定されないことが認識されるであろう。図1A図1Cと同様に、熱分解層は、記憶層への損傷を最小限に抑える態様で熱エネルギーを加えることによって、除去することができる。このようにして、3つの平坦化層の除去を必要とする三重パターニングプロセスを、それら3つの平坦化層の除去により記憶層に損傷を与えることなく、達成することができる。更に、図1A図1Cに示すように、第1の熱分解層は熱を加えることによって解重合する。更に、図1A図2Cを含む実施形態では、第1の熱分解層及び第2の熱分解層は両方とも、熱処理によって解重合し、後続の熱分解層の各々(例えば、図3A図3Cのような)も同様に解重合する。しかしながら、全てのステップとは対照的に多重パターニングステップの一部でのみ使用される技術においても、本明細書で説明する技術の利点が依然として得られることがあることが、認識されるであろう。
【0024】
一実施形態では、熱分解層は、解重合能力を有し且つ400℃未満の熱処理によって、別の実施形態では300℃未満の熱処理によって除去できるという特性を有する、尿素結合樹脂、特にポリ尿素などの材料から構成されることがある。従って、熱エネルギーを加えることによって、この層は解重合する。そのような熱分解材料を使用することにより、標準的な有機平坦化層とは対照的に、有機平坦化除去の際のエッチングプロセスへの記憶層の露出がなくなる。熱分解層は熱処理によって除去できるので、除去プロセスの記憶層への影響をなくすことができる。従って、記憶層の形状は、複数のリソグラフィ及びエッチングプロセスの後であっても維持することができる。従って、平坦化層を熱分解材料とすることにより、平坦化層を除去するために反応性イオンエッチングプロセスを使用することは不要になり、記憶層の形状変化を抑制することができる。従って、パターニングが複数回実施されたとしても、記憶層の形状劣化を抑制することができる。
【0025】
本明細書で説明する技術は、特定の熱分解材料に限定はされない、というのも、記憶層が損傷を受けないように熱除去プロセスを利用するという利点を依然として得ながら、様々な材料を利用することができるからである。しかしながら、上述したように、一実施形態では、尿素結合樹脂が利用されることがある。そのような尿素結合樹脂の特定の一実施形態は、薄膜堆積を介して形成されることがあるポリ尿素である。ポリ尿素の形成、及びポリ尿素を熱分解するための解重合プロセスによるそのようなポリ尿素の除去、のための例示的な技術については、より詳細に、2017年7月19日に出願された、Yatsudaらによる「Method of Fabricating Semiconductor Device,Vacuum Processing Apparatus and Substrate Processing Apparatus」と題された米国特許出願第15/654,307号明細書に記載されており、該明細書の開示はその全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれる。米国特許出願第15/654,307号明細書に記載される技術は、これに限定するものではないが、尿素結合を形成するための原料モノマーとしてアミン及びイソシアネートを共重合することを含み、前述のように、例示的な蒸着重合プロセスが利用されることがある。米国特許出願第15/654,307号明細書に記載されているように、ポリ尿素を形成するために液体プロセスも使用されることがある。更に、記載されているように、ポリ尿素は引き続いてアミンに解重合され、熱処理を加えることにより気化することがある。しかしながら、本明細書で説明するような熱分解層の使用及びそのような層の熱除去の利点を依然として得ながら、他の形成プロセス及び他の除去プロセスを利用することもできることが、認識されるであろう。更に、本明細書で説明する技術は、ポリ尿素に限定はされず、他の材料及び/又はポリ尿素と他の材料との組み合わせ若しくは変形例を利用することもできることが、認識されるであろう。
【0026】
上述したプロセスフローは例示に過ぎず、他の多数のプロセス及び用途が有利にも本明細書で開示する技術を使用することができることが、認識されるであろう。図4図6は、本明細書に記載の処理技術を使用するための例示的な方法を示す。図4図6の実施形態は、単なる例示であり、追加の方法が、本明細書に説明された技術を利用できることが認識されるであろう。更に、説明されたステップは、排他的であることを意図していないため、図4図6に示す方法に追加の処理ステップを追加することができる。更に、ステップの順序は、異なる順序が生じてもよく、且つ/又は様々なステップが組み合わされるか若しくは同時に実行されてもよいため、図に示す順序には限定されない。
【0027】
図4には、基板をエッチングする方法が示されている。この方法は、基板上に第1の層を設けるステップ405と、基板上に第1のパターンを有する第1のパターン形成された層を設けるステップ410と、を含む。この方法は更に、第1のパターン形成された層と第1の層との間に1つ又は複数の介在層を設けるステップ415を含み、少なくとも1つの介在層は第1の熱分解層である。この方法は、第1の層をエッチングして第1の層に第1のパターンを形成するステップ420も含む。この方法は更に、第1の熱分解層に熱エネルギーを加えることにより、第1の熱分解層を除去するステップ425を含む。
【0028】
図5には、基板にパターン形成する方法が示されている。この方法は、基板に、フォトレジストパターン形成層、第1の熱分解層、及び記憶層を含む構造を提供するステップ505を含み、フォトレジストパターン形成層のパターンは、ライン、スペース、及び/又はビアを含む。この方法は、熱分解層上にパターンのラインを残しながら、パターンのスペース及び/又はビアの記憶層へのパターン転写を実施するステップ510も含む。この方法は更に、第1の熱処理プロセスを実施して第1の熱分解層の残りの部分を除去するステップ515を含む。
【0029】
図6には、基板を多重パターニングする方法が示されている。この方法は、基板に第1のパターン形成された層を含む構造を提供するステップ605を含むことがあり、第1のパターン形成された層は第1のパターンを有する。この方法は、記憶層を設けるステップ610も含む。この方法は、第1のパターン形成された層と記憶層との間に第1の熱分解層を設けるステップ615を含み、第1の熱分解層は第1の平坦化層である。この方法は、第1のパターン転写を実施して第1のパターンを記憶層に転写するステップ620と、第1の熱分解層に熱エネルギーを加えることにより第1の熱分解層を除去するステップ625と、を含む。第1の熱分解層を除去した後、この方法は、第2の熱分解層を設けるステップ630を含み、ここで第2の熱分解層は第2の平坦化層である。この方法は更に、第2の熱分解層が第2のパターン形成された層と記憶層との間になるように、第2のパターン形成された層を設けるステップ635を含み、第2のパターン形成された層は第2のパターンを有する。この方法は、第2のパターン転写を実施して第2のパターンを記憶層に転写するステップ640と、第2の熱分解層に熱エネルギーを加えることにより第2の熱分解層を除去するステップ645と、も含む。
【0030】
本発明の更なる修正形態及び代替的な実施形態は、この説明を考慮すれば当業者には明らかであろう。従って、この説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実施する方法を当業者に教示する目的のためのものである。本明細書に示され、且つ記載された本発明の形態及び方法は、現在好ましい実施形態として解釈されるべきであることを理解されたい。本明細書に例示及び説明されたものの代わりに等価な技術を使用することができ、且つ本発明の特定の特徴は、他の特徴の使用とは無関係に利用することができ、これらは、全て本発明のこの説明の利益を享受した後に当業者に明らかになるであろう。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6