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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-25
(45)【発行日】2022-11-02
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/50 20100101AFI20221026BHJP
   C09K 11/08 20060101ALI20221026BHJP
   C09K 11/72 20060101ALI20221026BHJP
   C09K 11/61 20060101ALI20221026BHJP
   C09K 11/80 20060101ALI20221026BHJP
   C09K 11/64 20060101ALI20221026BHJP
   A61L 2/08 20060101ALI20221026BHJP
【FI】
H01L33/50
C09K11/08 J
C09K11/72
C09K11/61
C09K11/80
C09K11/64
A61L2/08 104
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2017187604
(22)【出願日】2017-09-28
(65)【公開番号】P2019062145
(43)【公開日】2019-04-18
【審査請求日】2020-09-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100138863
【弁理士】
【氏名又は名称】言上 惠一
(72)【発明者】
【氏名】宇川 宏明
(72)【発明者】
【氏名】仲神 竜一
【審査官】大西 孝宣
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-111190(JP,A)
【文献】特開2017-117875(JP,A)
【文献】国際公開第2017/019933(WO,A1)
【文献】特開2017-034179(JP,A)
【文献】国際公開第2006/077740(WO,A1)
【文献】特開2003-332620(JP,A)
【文献】特開2005-101458(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0168127(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00 - 33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
400nm以上410nm以下の範囲に発光ピーク波長を有する発光素子と、蛍光部材とを備え、
前記蛍光部材は、
440nm以上470nm以下の範囲に発光ピーク波長を有し、Clを組成に有しEuで賦活されるアルカリ土類リン酸塩を含む第一蛍光体と、
500nm以上530nm以下の範囲に発光ピーク波長を有し、Euで賦活されるハロゲン含有アルカリ土類ケイ酸塩を含む第二蛍光体と、
530nm以上600nm以下の範囲に発光ピーク波長を有し、Ceで賦活される希土類アルミン酸塩を含む第三蛍光体と、
600nm以上660nm以下の範囲に発光ピーク波長を有し、Sr及びCaの少なくとも一方とAlとを組成に有しEuで賦活されるシリコンナイトライドを含む第四蛍光体と、を含み、
前記第一蛍光体が、下記式(1)で示される組成を有するアルカリ土類リン酸塩を含み、
前記第三蛍光体が、下記式(3)で示される組成を有する希土類アルミン酸塩を含む発光装置。
(Ca,Sr,Ba)(PO(Cl,Br):Eu (1)
(Y,Lu,Gd)(Al,Ga)12:Ce (3)
【請求項2】
400nm以上410nm以下の範囲に発光ピーク波長を有する発光素子と、蛍光部材とを備え、
前記蛍光部材は、
440nm以上470nm以下の範囲に発光ピーク波長を有し、Clを組成に有しEuで賦活されるアルカリ土類リン酸塩を含む第一蛍光体と、
500nm以上530nm以下の範囲に発光ピーク波長を有し、Euで賦活されるハロゲン含有アルカリ土類ケイ酸塩を含む第二蛍光体と、
530nm以上600nm以下の範囲に発光ピーク波長を有し、Ceで賦活される希土類アルミン酸塩を含む第三蛍光体と、
600nm以上660nm以下の範囲に発光ピーク波長を有し、Sr及びCaの少なくとも一方とAlとを組成に有しEuで賦活されるシリコンナイトライドを含む第四蛍光体と、を含み、
相関色温度が3000K以上4000K以下の光を発し、440nm以上470nm以下の範囲における発光強度の最大値が、400nm以上410nm以下の発光強度の最大値の0.001倍~0.04倍である発光装置。
【請求項3】
前記第一蛍光体が、下記式(1)で示される組成を有するアルカリ土類リン酸塩を含む請求項2に記載の発光装置。
(Ca,Sr,Ba)(PO(Cl,Br):Eu (1)
【請求項4】
前記第三蛍光体が、下記式(3)で示される組成を有する希土類アルミン酸塩を含む請求項2又は3に記載の発光装置。
(Y,Lu,Gd)(Al,Ga)12:Ce (3)
【請求項5】
前記第二蛍光体が、下記式(2)で示される組成を有するハロゲン含有アルカリ土類ケイ酸塩を含む請求項1から4のいずれか1項に記載の発光装置。
(Ca,Sr,Ba)MgSi16(F,Cl,Br):Eu (2)
【請求項6】
前記第四蛍光体が、下記式(4)で示される組成を有するシリコンナイトライドを含む請求項1から5のいずれか1項に記載の発光装置。
(Sr,Ca)AlSiN:Eu (4)
【請求項7】
600nmから660nmの波長範囲における発光強度の最大値が、440nmから470nmの波長範囲における発光強度の最大値の1.5倍~10倍である請求項1から6のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項8】
600nmから660nmの波長範囲における発光強度の最大値が、500nmから530nmの波長範囲における発光強度の最大値の1倍~2倍である請求項1から7のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項9】
特殊演色評価数R12が50以上である請求項1から8のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項10】
特殊演色評価数R9からR15の総和が550以上である請求項1から9のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項11】
前記第一蛍光体の前記第四蛍光体に対する含有比は、0.2倍以上1.2倍以下である請求項1から10のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項12】
前記蛍光部材中の総蛍光体量に対する第一蛍光体の含有率が、5質量%以上30質量%以下である請求項1から11のいずれか1項に記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(以下、「LED」とも記載する。)を用いて白色系の光を発する発光装置として、例えば、青色に発光するLEDと黄色に発光する蛍光体とを組み合わせた発光装置がある。この発光装置は、LEDの青色光と、その光によって励起された蛍光体による黄色光とが混色することにより白色系の光を発する。このような発光装置では、可視光領域における放射強度が強く発光効率は高いが、青緑色領域及び赤色領域における放射強度が充分に得られない場合がある。そのため照射物の色の見え方(以下、「演色性」と呼ぶ。)に更なる改良の余地がある。
【0003】
ここで、光源の演色性の評価手順は、JIS Z8726によって、所定の反射率特性を有する試験色(R1からR15)を、試験光源と基準光源とでそれぞれ測色した場合の色差ΔEi(iは1から15の整数)を数値計算して演色評価数を算出して行うと定められている。演色評価数Ri(iは1から15の整数)の上限は100である。つまり、試験光源とそれに対応する色温度の基準光源の色差が小さいほど、演色評価数は100に近づき高くなる。演色評価数のうち、R1からR8の平均値は平均演色評価数(以下、Raとも記載する。)と呼ばれ、R9からR15は特殊演色評価数と呼ばれる。特殊演色評価数について、R9は赤色、R10は黄色、R11は緑色、R12は青色、R13は西洋人の肌の色、R14は木の葉の色、R15は日本人の肌の色とされている。
【0004】
例えば、特許文献1には、光源の演色性を高めるため、LEDと、緑色から黄色に発光する2種類の蛍光体として例えば、クロロシリケート蛍光体と、Y又はTbのガーネット蛍光体とを用いた発光装置が提案されている。また、特許文献2には、さらに演色性を高めるため、緑色から黄色に発光する蛍光体に加え、赤色に発光する蛍光体を用いた発光装置が提案されている。
【0005】
また、特許文献3には、400nm~410nmに光強度の極大を有する光(近紫外光)を照射することで人体に悪影響を及ぼさず、殺菌する表面殺菌方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特表2003-535477号公報
【文献】特開2008-034188号公報
【文献】特開2010-207278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、優れた演色性を有し、菌の増殖抑制が可能な発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の発光装置は、400nm以上410nm以下の範囲に発光ピーク波長を有する発光素子と、蛍光部材とを備え、前記蛍光部材は、440nm以上470nm以下の範囲に発光ピーク波長を有し、Clを組成に有しEuで賦活されるアルカリ土類リン酸塩を含む第一蛍光体と、500nm以上530nm以下の範囲に発光ピーク波長を有し、Euで賦活されるハロゲン含有アルカリ土類ケイ酸塩を含む第二蛍光体と、530nm以上600nm以下の範囲に発光ピーク波長を有し、Ceで賦活される希土類アルミン酸塩を含む第三蛍光体と、600nm以上660nm以下の範囲に発光ピーク波長を有し、Sr及びCaの少なくとも一方とAlとを組成に有しEuで賦活されるシリコンナイトライドを含む第四蛍光体と、を含む。
【0009】
本開示の一実施形態によれば、優れた演色性を有し、菌の増殖抑制が可能な発光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態1に係る発光装置の概略正面図である。
図2図2は、図1の2A-2A線における概略端面図である
図3図3は、実施形態1に係る発光装置の変形例の概略正面図である。
図4図4は、第一蛍光体(CCA)の励起スペクトルを示すグラフである。
図5図5は、第二蛍光体(クロロシリケート)の励起スペクトルを示すグラフである。
図6図6は、第三蛍光体(YAG)の励起スペクトルを示すグラフである。
図7図7は、第四蛍光体(SCASN)の励起スペクトルを示すグラフである。
図8図8は、実施例1及び比較例1の発光スペクトルを示すグラフである。
図9図9は、実施例1及び比較例1の発光スペクトルを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための発光装置を例示するものであって、本発明は、以下の発光装置に限定されない。なお、本明細書において色名と色度座標との関係、光の波長範囲と単色光の色名との関係等は、JIS Z8110に従う。また、組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
【0012】
[発光装置]
本発明の実施形態に係る発光装置100を図1から図7に基づいて説明する。発光装置100は、400nm以上410nm以下の範囲に発光ピーク波長を有する発光素子10と、蛍光部材50とを備える。蛍光部材50は、蛍光体70として、第一蛍光体71、第二蛍光体72、第三蛍光体73及び第四蛍光体74の少なくとも4種を含む。第一蛍光体71は、440nm以上470nm以下の範囲に発光ピーク波長を有し、Clを組成に有しEuで賦活されるアルカリ土類リン酸塩を含む。第二蛍光体72は、500nm以上530nm以下の範囲に発光ピーク波長を有し、Euで賦活されるハロゲン含有アルカリ土類ケイ酸塩を含む。第三蛍光体73は、530nm以上600nm以下の範囲に発光ピーク波長を有し、Ceで賦活される希土類アルミン酸塩を含む。第四蛍光体74は、600nm以上660nm以下の範囲に発光ピーク波長を有し、Sr及びCaの少なくとも一方とAlとを組成に有しEuで賦活されるシリコンナイトライドを含む。
【0013】
特定の発光ピーク波長を有する発光素子10と、少なくとも4種の特定の蛍光体を含むことで、演色評価数の算出に係る可視光領域の短波側から長波側の極めて広い範囲において発光装置100の発光スペクトルを基準光源のスペクトルに近づけることができる。これにより、優れた演色性を達成することが可能となる。また、発光素子10が400nm以上410nm以下の範囲に発光ピーク波長を有することで、菌の増殖抑制が可能である。また、発光素子10の発光強度を上げることにより除菌や殺菌が可能になる。更に、発光素子10が400nm以上410nm以下の範囲に発光ピーク波長を有することで、発光素子が380nmより短波長である紫外領域に発光ピーク波長を有する場合よりも、人体に及ぼす影響が少ない安全な発光装置とすることができる。なお、380nmより短波長である紫外領域の光では視認することが困難で、発光されているか否かが判別し難いのに対し、400nm以上410nm以下に発光ピーク波長を有する発光素子を使用することで発光するか否かの判別がし易く、かつ、色度への影響を極力抑えることができる。
【0014】
平均演色評価数Raについて、CIE(国際照明委員会)は、蛍光ランプが具備すべき演色性の指針を1986年に公表している。その指針によれば、使用される場所に応じた好ましい平均演色評価数Raは、一般作業を行う工場では60以上80未満、住宅、ホテル、レストラン、店舗、オフィス、学校、病院、精密作業を行う工場などでは80以上90未満、高い演色性が求められる臨床検査を行う場所、美術館などでは90以上とされている。
【0015】
本実施形態に係る発光装置100のRaは、例えば80以上が好ましく、90以上がより好ましく、95以上がより更に好ましい。また発光装置100の特殊演色評価数R9からR15はそれぞれ、例えば50以上であることが好ましく、70以上がより好ましく、90以上が更に好ましい。特にR12は、例えば50以上であることが好ましく、70以上がより好ましく、90以上が更に好ましい。また特殊演色評価数R9からR15の総和(以下、Rtともいう)は、例えば550以上であることが好ましく、600以上がより好ましく、650以上が更に好ましい。
【0016】
発光装置100が発する光は、発光素子10の光と、第一蛍光体71、第二蛍光体72、第三蛍光体73及び第四蛍光体74が発する蛍光との混色光であり、例えば、CIE1931に規定される色度座標が、x=0.00から0.60且つy=0.00から0.50の範囲に含まれる光とすることができ、x=0.25から0.50且つy=0.25から0.50の範囲に含まれる光とすることもできる。また発光装置100が発する光の相関色温度は、例えば2000K以上又は2500K以上である。また相関色温度は7500K以下又は7000K以下である。
【0017】
発光装置100は、発光ピーク波長が400nm以上410nm以下の範囲内にある窒化ガリウム系化合物半導体の発光素子10と、発光素子10を載置する基体40と、を有する。基体40は、導電部材と、絶縁性の支持部材と、を有する。導電部材には、例えば、リード及び配線を構成する金属部材が挙げられる。支持部材には、例えば、樹脂及びセラミックス等の公知の材料を用いることができる。
【0018】
発光装置100の導電部材は、金属製の第一リード20及び第二リード30により形成されている。また、絶縁性の支持部材42は、樹脂で形成される。第一リード20と第二リード30は、一方が正極、他方が負極の外部接続端子として機能する。発光素子10は、第一リード20上に載置される。発光素子が金属製の第一リード20上に載置されることで、発光素子の熱が金属製の第一リードに伝わる。これにより発光装置の放熱性が向上する。また、第一リード20が側壁部46と底部45によって構成される凹部47を形成してなることが好ましい。発光素子が第一リードの底部45に載置されることで、発光素子からの光が第一リードの側壁部46及び/又は底部45で反射するので、発光装置の光取り出し効率を向上させることができる。
【0019】
また、第一リード20及び/又は第二リード30を支持部材42の側面から突出させることが好ましい。第一リード20及び/又は第二リード30体積が増えることで放熱性を向上させることができる。また、第一リード20の底部45の下面が支持部材12より露出していることが好ましい。このようにすることで、発光装置100を基板に実装した時に、基板と第一リード20が接触する面積が増えるので発光装置の放熱性を向上させることができる。
【0020】
発光素子10は一対の正負の電極を有しており、その一対の正負の電極はそれぞれ第一リード20及び第二リード30とワイヤ60を介して電気的に接続されている。発光素子10は蛍光部材50により被覆されている。蛍光部材50は例えば、発光素子10からの光を波長変換する蛍光体70として第一蛍光体71、第二蛍光体72、第三蛍光体73及び第四蛍光体74の少なくとも4種の蛍光体と、樹脂部51と、を含有してなる。
【0021】
発光素子10の発光ピーク波長は、400nm以上410nm以下の範囲にある。発光素子10を励起光源として用いることにより、発光素子10からの光と蛍光体70からの蛍光との混色光を発する発光装置100を構成することが可能となる。発光素子10が400nm以上410nm以下の範囲に発光ピーク波長を有することで、菌の増殖を抑制することが可能である。また、400nm以上410nm以下の範囲に発光ピーク波長があることで、発光素子が380nmより短波長である紫外領域に発光ピーク波長を有する場合よりも、人体に及ぼす影響が少なくない。また、400nm以上410nm以下の範囲に発光ピーク波長があることで、発光素子が380nmより短波長である紫外領域に発光ピーク波長を有する場合よりも、樹脂材料等の光劣化を低減させることができる。
【0022】
400nm以上410nm以下の範囲における発光装置100の単位時間当たりのエネルギー量は10mW以上60mW以下が好ましく、20mW以上50mW以下であることが好ましく、30mW以上45mW以下であることがより好ましい。400nm以上410nm以下の範囲における発光装置100の単位時間当たりのエネルギー量が上記範囲にあることで、菌の増殖を抑制し、人体に及ぼす影響を少なくすることができる。尚、発光装置に投入する電力は、例えば0.4Wが挙げられる。
【0023】
発光素子10の発光スペクトルの半値幅は例えば、30nm以下とすることができる。発光素子10にはLEDなどの半導体発光素子を用いることが好ましい。光源として半導体発光素子を用いることによって、高効率で入力に対する出力のリニアリティが高く、機械的衝撃にも強い安定した発光装置100を得ることができる。
発光素子は、例えば、窒化物系半導体(InAlGa1-X-YN、ここでX及びYは、0≦X、0≦Y、X+Y≦1を満たす)を用いた青色に発光する半導体発光素子を用いることができる。なお、発光装置100は、少なくとも1つの発光素子10を備えていればよい。例えば、図3に示すように、発光装置が2つ以上の発光素子10を備えていてもよい。また、発光装置が2つ以上の発光素子を備えている場合には、一方の発光素子と他方の発光素子とは、同じ発光ピーク波長でもよく、異なる発光ピーク波長を有していてもよい。
【0024】
蛍光部材50は、例えば、蛍光体70と樹脂部51とを含むことができる。蛍光部材50は蛍光体70として、発光素子10から発せられる光を吸収し、青色に発光する第一蛍光体71の少なくとも1種と、緑色に発光する第二蛍光体72の少なくとも1種と、緑色及び又は黄色に発光する第三蛍光体73の少なくとも1種と、赤色に発光する第四蛍光体74の少なくとも1種とを含む。第一蛍光体71、第二蛍光体72、第三蛍光体73及び第四蛍光体74は、互いに異なる組成を有している。第一蛍光体71、第二蛍光体72、第三蛍光体73及び第四蛍光体74の構成比率を適宜選択することで発光装置100の発光効率、演色性等の特性を所望の範囲とすることができる。
【0025】
第一蛍光体71は、440nm以上470nm以下の範囲に発光ピーク波長を有しClを組成に有しEuで賦活されるアルカリ土類リン酸塩を含む青色発光の蛍光体である。第一蛍光体71は、例えば下記式(1)で示される組成を有することが好ましく、下記式(1’)で示される組成を有することがより好ましい。これにより、以下に説明する第一蛍光体71の各発光特性を比較的容易に得ることができる。
(Ca,Sr,Ba)(PO(Cl,Br):Eu (1)
Ca(POCl:Eu (1’)
【0026】
図4に示すように、第一蛍光体71は、発光素子10の発光ピーク波長である400以上410nm以下の範囲において励起効率が高く、効率よく励起させることができる。第一蛍光体71の発光ピーク波長は、例えば440nm以上470nm以下の範囲であり、450nm以上470nm以下の範囲にあることが好ましい。このような範囲とすることにより、第一蛍光体71の発光スペクトルは、発光素子10の発光スペクトル及び第二蛍光体72の発光スペクトルとの重複が少なくなる。これにより、発光装置の発光スペクトルを基準光源に近づけることができるので、発光装置100の演色性をより向上させることができる。
【0027】
第一蛍光体71の発光スペクトルにおける半値幅は、例えば29nm以上49nm以下であり、34nm以上44nm以下が好ましい。このような半値幅の範囲にすることにより、色純度を向上させて、発光スペクトルを基準光源に近づけることができ、発光装置100の演色性を向上させることができる。
【0028】
相関色温度が3000K以上4000K以下の光を発する発光装置100の場合、440nm以上470nm以下の範囲における発光強度の最大値が、400nm以上410nm以下の発光強度の最大値の0.001倍~0.04倍であることが好ましい。400nm以上470nm以下の範囲における発光強度の最大値が上記範囲内のとき、発光装置の発光スペクトルを基準光源により近づけることができるので、演色性をより向上させることができる。
【0029】
相関色温度が3000K以上4000K以下の光を発する発光装置100の場合、蛍光部材50中の総蛍光体量に対する第一蛍光体71の含有率は、例えば5質量%以上30質量%以下であることが好ましく、10質量%以上25質量%以下であることがより好ましく、15質量%以上25質量%以下であることが更に好ましい。含有比率が上記範囲内のとき、発光装置の発光スペクトルを基準光源により近づけることができるので、演色性をより向上させることができる。
【0030】
相関色温度が3000K以上4000K以下の光を発する発光装置100の場合、第一蛍光体71の第四蛍光体74に対する含有比は、例えば0.2倍以上1.2倍以下であることが好ましく、0.3倍以上1倍以下であることがより好ましい。含有比が上記範囲内のとき、発光装置100の発光スペクトルをより基準光源に近づけることができるので、演色性をより向上させることができる。
【0031】
第二蛍光体72は、500nm以上530nm以下の範囲に発光ピーク波長を有し、Euで賦活されるハロゲン含有アルカリ土類ケイ酸塩を含む緑色発光の蛍光体である。第二蛍光体72は、例えば下記式(2)で示される組成を有することが好ましく、下記式(2’)で示される組成を有することがより好ましい。これにより、以下に説明する第二蛍光体72の各発光特性を比較的容易に得ることができる。
(Ca,Sr,Ba)8MgSi416(F,Cl、Br)2:Eu (2)
Ca8MgSi416l2:Eu (2’)
【0032】
図5に示すように、第二蛍光体72は、発光素子10の発光ピーク波長である400以上410nm以下の範囲において励起効率が高く、効率よく励起させることができる。第二蛍光体72の発光ピーク波長は、例えば500nm以上530nm以下の範囲であり、505nm以上525nm以下の範囲にあることが好ましい。このような範囲とすることにより、第二蛍光体72の発光スペクトルは、第一蛍光体71の発光スペクトル及び第三蛍光体73の発光スペクトルとの重複が少なくなる。これにより、発光装置の発光スペクトルを基準光源に近づけることができるので、発光装置100の演色性をより向上させることができる。
【0033】
第二蛍光体72の発光スペクトルにおける半値幅は、例えば52nm以上72nm以下であり、57nm以上67nm以下が好ましい。このような半値幅の範囲にすることにより、色純度を向上させて、発光スペクトルを基準光源に近づけることができ、発光装置100の演色性を向上させることができる。
【0034】
相関色温度が3000K以上4000K以下の光を発する発光装置100の場合、500nm以上530nm以下の範囲における発光強度の最大値が、400nm以上410nm以下の発光強度の最大値の0.1倍~0.3倍であることが好ましい。500nm以上530nm以下の範囲における発光強度の最大値が上記範囲内のとき、発光装置の発光スペクトルを基準光源により近づけることができるので、演色性をより向上させることができる。
【0035】
相関色温度が3000K以上4000K以下の光を発する発光装置100の場合、蛍光部材50中の総蛍光体量に対する第二蛍光体72の含有率は、例えば30質量%以上55質量%以下であることが好ましく、35質量%以上50質量%以下であることがより好ましく、38質量%以上48質量%以下であることが更に好ましい。含有比率が上記範囲内のとき、発光装置の発光スペクトルを基準光源により近づけることができるので、演色性をより向上させることができる。
【0036】
相関色温度が3000K以上4000K以下の光を発する発光装置100の場合、第二蛍光体72の第四蛍光体74に対する含有比は、例えば0.8倍以上2.5倍以下であることが好ましく、1倍以上2倍以下であることがより好ましい。含有比が上記範囲内のとき、発光装置100の発光スペクトルをより基準光源に近づけることができるので、演色性をより向上させることができる。
【0037】
第三蛍光体73は、530nm以上600nm以下の範囲に発光ピーク波長を有し、Ceで賦活される希土類アルミン酸塩を含む緑色及び又は黄色発光の蛍光体である。第三蛍光体73は、例えば下記式(3)で示される組成を有することが好ましく、下記式(3’)で示される組成を有することがより好ましい。これにより、以下に説明する第三蛍光体73の各発光特性を比較的容易に得ることができる。
(Y,Lu,Gd)(Al,Ga)12:Ce (3)
Al12:Ce (3’)
【0038】
図6に示すように、第三蛍光体73は、発光素子10の発光ピーク波長である400以上410nm以下の範囲において励起効率が、440nm以上470nm以下の範囲における励起効率よりも低い。発光装置100は、440nm以上470nm以下の範囲に発光ピーク波長を有する第一蛍光体を備えるので、第三蛍光体73は、第一蛍光体に励起された光を効率よく励起させることができる。つまり、発光装置100が、第一蛍光体及び第三蛍光体を備えることで、第三蛍光体を効率よく励起させることができる。第三蛍光体73の発光ピーク波長は、例えば530nm以上600nm以下の範囲であり、530nm以上560nm以下の範囲にあることが好ましい。このような範囲とすることにより、発光装置100の発光スペクトルは、第三蛍光体73の発光スペクトルと、第二蛍光体72の発光スペクトル及び第四蛍光体74の発光スペクトルとの重複が少なくなる。これにより、発光装置の発光スペクトルを基準光源に近づけることができるので、発光装置100の演色性をより向上させることができる。
【0039】
第三蛍光体73の発光スペクトルにおける半値幅は、例えば95nm以上115nm以下であり、100nm以上110nm以下が好ましい。このような半値幅の範囲にすることにより、色純度を向上させて、発光スペクトルを基準光源に近づけることができ、発光装置100の演色性を更に向上させることができる。
【0040】
相関色温度が3000K以上4000K以下の光を発する発光装置100の場合、蛍光部材50中の総蛍光体量に対する第三蛍光体73の含有率は、例えば5質量%以上35質量%以下であることが好ましく、10質量%以上30質量%以下であることがより好ましく、13質量%以上25質量%以下であることが更に好ましい。含有比率が上記範囲内のとき、発光装置の発光スペクトルを基準光源により近づけることができるので、演色性をより向上させることができる。
【0041】
相関色温度が3000K以上4000K以下の光を発する発光装置100の場合、第三蛍光体73の第四蛍光体74に対する含有比は、例えば0.4倍以上2.5倍以下であることが好ましく、0.6倍以上2倍以下であることがより好ましい。含有比が上記範囲内のとき、発光装置100の発光スペクトルをより基準光源に近づけることができるので、演色性をより向上させることができる。
【0042】
第四蛍光体74は、600nm以上660nm以下の範囲に発光ピーク波長を有し、Sr及びCaの少なくとも一方とAlとを組成に有しEuで賦活されるシリコンナイトライドを含む赤色発光の蛍光体である。第四蛍光体74は、例えば下記式(4)で示される組成を有することが好ましい。これにより、以下に説明する第四蛍光体74の各発光特性を比較的容易に得ることができる。
(Sr,Ca)AlSiN:Eu (4)
【0043】
第四蛍光体74が式(4)で示される組成を有する場合、第四蛍光体74はSr及びCaからなる群から選択される少なくとも1種を含むが、SrとCaの両方を含むことが好ましく、SrとCaの両方を含み、Sr及びCaのうちのSr含有率が0.8モル%以上であることがより好ましい。これにより、第四蛍光体74の発光ピーク波長を所望の範囲とすることができる。
【0044】
図7に示すように、第四蛍光体74は、発光素子10の発光ピーク波長である400以上410nm以下の範囲において励起効率が高く、効率よく励起させることができる。第四蛍光体74の発光ピーク波長は、例え600nm以上660nm以下の範囲であり、620nm以上660nm以下の範囲にあることが好ましい。このような範囲とすることにより、発光装置100の発光スペクトルは、第四蛍光体74の発光スペクトルと、第三蛍光体73の発光スペクトルとの重複が少なくなる。これにより、発光装置の発光スペクトルを基準光源に近づけることができるので、発光装置100の演色性をより向上させることができる。
【0045】
第四蛍光体74の発光スペクトルにおける半値幅は、例えば80nm以上100nm以下であり、85nm以上95nm以下が好ましい。このような半値幅の範囲にすることにより、色純度を向上させて、発光スペクトルを基準光源に近づけることができ、発光装置100の演色性を更に向上させることができる。
【0046】
相関色温度が3000K以上4000K以下の光を発する発光装置100の場合、600nm以上660nm以下の範囲における発光強度の最大値が、400nm以上410nm以下の発光強度の最大値の0.15倍~0.4倍であることが好ましい。600nm以上660nm以下の範囲における発光強度の最大値が上記範囲内のとき、発光装置の発光スペクトルを基準光源により近づけることができるので、演色性をより向上させることができる。
【0047】
相関色温度が3000K以上4000K以下の光を発する発光装置100の場合、蛍光部材50中の総蛍光体量に対する第四蛍光体74の含有率は、例えば15質量%以上45質量%以下であることが好ましく、20質量%以上40質量%以下であることがより好ましく、25質量%以上35質量%以下であることが更に好ましい。含有比率が上記範囲内のとき、発光装置の発光スペクトルを基準光源により近づけることができるので、演色性をより向上させることができる。
【0048】
相関色温度が3000K以上4000K以下の光を発する発光装置100の場合、600nm~660nmの波長範囲における発光強度の最大値が、440nmから470の波長範囲における発光強度の最大値の1.5倍~10倍であることが好ましく、1.5倍~6倍であることがより好ましい。発光強度が上記範囲内のとき、発光装置の発光スペクトルを基準光源により近づけることができるので、演色性をより向上させることができる。
【0049】
相関色温度が3000K以上4000K以下の光を発する発光装置100の場合、600nmから660nmの波長範囲における発光強度の最大値が、500nmから530nmの波長範囲における発光強度の最大値の1倍~2倍であることが好ましい。発光強度が上記範囲内のとき、発光装置の発光スペクトルを基準光源により近づけることができるので、演色性をより向上させることができる。
【0050】
第一蛍光体71、第二蛍光体72、第三蛍光体73及び第四蛍光体74のそれぞれの粒径は5μm以上50μm以下が好ましく、5μm以上40μm以下がより好ましく、5μm以上35μm以下がより好ましい。蛍光体の粒径が上記範囲よりも小さいことで、発光装置の製造時に硬化前の蛍光部材をノズルから吐出させて蛍光部材を形成する場合にノズルが詰まることを抑制できる。また、蛍光体の粒径が上記範囲よりも大きいことで、発光素子からの光が蛍光体により散乱されにくくなる。これにより、散乱された光の一部が、発光素子や蛍光体に吸収されることを抑制できるので、発光装置の光取り出し効率が向上する。
【0051】
尚、本明細書において、粒径とは、電気抵抗法によりコールターマルチサイザーII(コールター社製)を用いて粒径分布を測定した場合の50%粒子径(体積基準)を示す。電気抵抗法は、分散させた粉体が電極間を通過する際の電気抵抗と粒径との相関性を利用する方法であることから、粒子が強く凝集しており一次粒子にまで分散させることが難しい場合は、凝集した二次粒子の粒径を測定することになる。
【0052】
蛍光部材50は、第一蛍光体71から第4蛍光体74以外のその他の蛍光体を必要に応じて含んでいてもよい。その他の蛍光体としては、CaScSi12:Ce、CaSc:Ce、(La,Y)Si11:Ce、(Ca,Sr,Ba)Si:Eu、(Ca,Sr,Ba)Si12:Eu、(Ba,Sr,Ca)Si:Eu、(Ca,Sr,Ba)Si:Eu、(Ca,Sr,Ba)S:Eu、(Ba,Sr,Ca)Ga:Eu、K(Si,Ti,Ge)F:Mn、(Ca,Sr,Ba)(PO(Cl,Br):Eu、Ca(POCl:Eu等を挙げることができる。蛍光部材50がその他の蛍光体を含む場合、その含有率は本発明に係る発光特性が得られるように適宜調整される。その他の蛍光体の含有率は総蛍光体量に対して、例えば5質量%以下であり、3質量%以下が好ましい。
【0053】
(樹脂部)
蛍光部材50を構成する樹脂部としては、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂として、具体的には、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ変性シリコーン樹脂等の変性シリコーン樹脂などを挙げることができる。
【0054】
(その他成分)
蛍光部材50は、蛍光体70及び樹脂に加えてその他の成分を必要に応じて含んでいてもよい。その他の成分としては、シリカ、チタン酸バリウム、酸化チタン、酸化アルミニウム等のフィラー、光安定化剤、着色剤等を挙げることができる。蛍光部材がその他の成分を含む場合、その含有量は特に制限されず、目的等に応じて適宜選択することができる。例えば、その他の成分として、フィラーを含む場合、その含有量は樹脂100質量部に対して、0.01から20質量部とすることができる。
【実施例
【0055】
以下、本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0056】
発光装置100の作製に先立ち、以下に示す第一蛍光体71から第四蛍光体74をそれぞれ準備した。
第一蛍光体71として、Ca(POCl:Euで示される組成を有し、発光ピーク波長を460nm付近に有する蛍光体(以下、「CCA」ともいう。)を準備した。
第二蛍光体72として、Ca8MgSi416l2:Euで示される組成を有し、発光ピーク波長を515nm付近に有する蛍光体(以下、「クロロシリケート」ともいう。)を準備した。
第三蛍光体73として、YAl12:Ceで示される組成を有し、発光ピーク波長を544nm付近に有する蛍光体(以下、「YAG」ともいう。)を準備した。
第四蛍光体74として、(Sr,Ca)AlSiN:Euで示される組成を有し、発光ピーク波長を635nm付近に有する蛍光体(以下、「SCASN」ともいう。)を準備した。
【0057】
発光素子10として、発光ピーク波長が405nm付近であるLEDを準備した。
【0058】
(実施例1)
発光装置の作製
発光ピーク波長が405nm付近のLEDである発光素子10と、第一蛍光体71(CCA)、第二蛍光体72(クロロシリケート)、第三蛍光体73(YAG)及び第四蛍光体74(SCASN)を組合せて、実施例1の発光装置を作製した。実施例1の発光装置は、図3に示すように、発光素子10を2つ備えている。尚、2つの発光素子は共に405nm付近のLEDである。
【0059】
実施例1の発光装置は、総蛍光体量に対する第一蛍光体71の含有率は15.3質量%である。総蛍光体量に対する第二蛍光体72の含有率は42.1質量%である。総蛍光体量に対する第三蛍光体73の含有率は13.0質量%である。総蛍光体量に対する第四蛍光体74の含有率は29.6質量%である。相関色温度が3500K付近になるように配合した蛍光体70をシリコーン樹脂に添加し、混合分散した後、更に脱泡することにより蛍光体含有樹脂組成物を得た。この蛍光体含有樹脂組成物を発光素子10の上に注入、充填し、さらに加熱することで樹脂組成物を硬化させた。このような工程により実施例1の発光装置を作製した。
【0060】
(比較例1)
蛍光体70として、第一蛍光体71(CCA)を使用することなく、第二蛍光体72(クロロシリケート)と、第三蛍光体73(YAG)と、第四蛍光体74(SCASN)とを組み合わせて用いたこと以外は実施例1と同様にして比較例1の発光装置を作製した。
【0061】
比較例1の発光装置は蛍光体量に対する第二蛍光体72の含有率は48.3質量%である。総蛍光体量に対する第三蛍光体73の含有率は22.3質量%である。総蛍光体量に対する第四蛍光体74の含有率は29.4質量%である。相関色温度が3500K付近になるように配合している。
【0062】
図8及び図9に示すように、実施例1の発光装置は、第一蛍光体を有することで440nm以上470nm以下の範囲において発光スペクトルを基準光源のスペクトルに近づけることができる。これにより、実施例1の発光装置は、優れた演色性を達成することが可能となる。
【0063】
第一蛍光体71を含まない比較例1の発光装置のR12は6であったが、第一蛍光体71を含む実施例1の発光装置のR12は56であった。第一蛍光体71を含むことでR12の数値が上がっており発光装置の演色性が向上した。
【0064】
また、実施例1の発光装置の第三蛍光体73は、第一蛍光体71によって励起された光も励起する。このため、第三蛍光体73の発光ピーク波長である544nm付近において、実施例1の発光装置は比較例1の発光装置よりも発光強度が高くなった。発光装置が第一蛍光体及び第三蛍光体を有することで、発光スペクトルを基準光源のスペクトルに近づけることができので、実施例1の発光装置は、優れた演色性を達成することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本開示の発光装置は、発光ダイオードを励起光源とする発光特性に優れた照明器具、LEDディスプレイ、カメラのフラッシュライト、液晶バックライト光源などに利用することができる。特に、高度な演色性と、菌の増殖抑制が求められる医療用の照明や、食品用の照明等に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0066】
100 発光装置
10 発光素子
20 第一リード
30 第二リード
42 支持部材
50 蛍光部材
51 樹脂部
70 蛍光体
71 第一蛍光体
72 第二蛍光体
73 第三蛍光体
74 第四蛍光体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9