(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-25
(45)【発行日】2022-11-02
(54)【発明の名称】音出力装置及び音出力システム
(51)【国際特許分類】
H04R 3/00 20060101AFI20221026BHJP
G01R 31/00 20060101ALI20221026BHJP
【FI】
H04R3/00 310
G01R31/00
(21)【出願番号】P 2018143971
(22)【出願日】2018-07-31
【審査請求日】2021-04-27
(73)【特許権者】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】丸子 亜登
【審査官】堀 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-221511(JP,A)
【文献】特開平09-167926(JP,A)
【文献】特開2004-128662(JP,A)
【文献】特開2012-186675(JP,A)
【文献】国際公開第2016/111330(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 3/00- 3/14
G01R 31/00-31/01
H03F 1/00- 3/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル音情報を取得するインターフェイスユニットと、
当該インターフェイスユニットから出力されるデジタル音情報をアナログ音情報に変換するデジタルアナログコンバータと、
当該デジタルアナログコンバータから出力されるアナログ音情報を増幅する増幅回路と、
前記増幅回路から出力される前記アナログ音情報を診断用デジタル音情報に変換し、当該診断用デジタル音情報と前記デジタル音情報とを比較して差分値を算出し、当該差分値が予め設定された閾値を超えるときに、故障状態にある故障信号が出力される故障診断ユニットと、
前記インターフェイスユニットと前記デジタルアナログコンバータとの間に、
前記デジタル音情報のボリューム処理を実行するボリュームユニット、及び
前記デジタル音情報のノイズを除去するフィルタと、
を備えた音出力装置。
【請求項2】
前記故障診断ユニットは、
前記デジタル音情報を入力し、当該デジタル音情報の位相を前記診断用デジタル音情報の位相に合わせて出力するメモリユニット
を更に備えている請求項1に記載の音出力装置。
【請求項3】
前記故障診断ユニットは、
前記アナログ音情報を前記診断用デジタル音情報に変換するアナログデジタルコンバータと、
前記差分値を算出する減算ユニットと、
前記閾値を取得し、当該閾値に基づいて、故障状態にあるか否かを判定する判定ユニットと、
を含んで構成されている請求項1又は請求項2に記載の音出力装置。
【請求項4】
前記故障診断ユニットは、
前記アナログ音情報又は前記診断用デジタル音情報のノイズを除去する診断用フィルタ
を更に備えている請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の音出力装置。
【請求項5】
前記故障診断ユニットにおいて比較される前記デジタル音情報は、
前記ボリュームユニットへ入力される前記デジタル音情報、前記フィルタへ入力される前記デジタル音情報、又は前記デジタルアナログコンバータへ入力される前記デジタル音情報である
請求項1に記載の音出力装置。
【請求項6】
前記ボリュームユニットへ入力される前記デジタル音情報、前記フィルタへ入力される前記デジタル音情報、又は前記デジタルアナログコンバータへ入力される前記デジタル音情報のいずれかを選択するセレクタユニット
を更に備えている
請求項5に記載の音出力装置。
【請求項7】
請求項1~
請求項6のいずれか1項に記載の前記音出力装置と、
前記デジタル音情報を前記インターフェイスユニットへ出力し、前記故障診断ユニットから出力される前記故障信号を入力するマイクロコントロールユニットと、
を備えている音出力システム。
【請求項8】
前記増幅回路の出力に接続され、アナログ音情報に基づいて音を出力するスピーカ
を更に備えている
請求項7に記載の音出力システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音出力装置及び音出力システムに関し、特に故障診断機能を有する音出力装置及び音出力システムに適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、オーディオ機器の故障診断装置が開示されている。オーディオ機器には増幅器を通してスピーカが接続され、故障診断装置はスピーカに接続されている。
オーディオ機器に故障が生じて、音声出力がなくなったとき、故障診断装置はスピーカが故障しているか否かの故障診断を実行する。スピーカに故障が生じている場合、LED等の表示器が点滅し、ユーザに対して「故障」である旨の告知がなされる。
【0003】
ところで、上記故障診断装置では、音声出力があるか否か、スピーカが故障しているか否か、についての故障診断を行うことができる。しかしながら、オーティオ機器において取得した音情報(音源データ)から、クオリティが高い意図した音が出力されているか否かについて、オーディオ機器や増幅器の故障診断を実行することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の事実を考慮し、音情報からクオリティが高い意図した音が出力されているか否かについて、故障診断を実行することができる音出力装置及び音出力システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の一実施態様に係る音出力装置は、デジタル音情報を取得するインターフェイスユニットと、インターフェイスユニットから出力されるデジタル音情報をアナログ音情報に変換するデジタルアナログコンバータと、デジタルアナログコンバータから出力されるアナログ音情報を増幅する増幅回路と、増幅回路から出力されるアナログ音情報を診断用デジタル音情報に変換し、診断用デジタル音情報とデジタル音情報とを比較して差分値を算出し、差分値が予め設定された閾値を超えるときに、故障状態にある故障信号が出力される故障診断ユニットと、を備えている。
【0007】
また、本発明の他の実施態様に係る音出力システムは、上記音出力装置と、デジタル音情報をインターフェイスユニットへ出力し、故障診断ユニットから出力される故障信号を入力するマイクロコントロールユニットと、を備えている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、音情報からクオリティが高い意図した音が出力されているか否かについて、故障診断を実行することができる音出力装置及び音出力システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施の形態に係る音出力装置及び音出力システムのブロック構成図である。
【
図2】
図1に示される音出力装置に備えた故障診断ユニットの詳細なブロック構成図である。
【
図3】(A)第1実施の形態に係る故障診断ユニットにおいて音情報が意図した音として出力される正常な状態(非故障状態)を示す出力波形図、(B)は音情報が意図した音として出力されていない非正常な状態(故障状態)を示す出力波形図である。
【
図4】本発明の第2実施の形態に係る音出力装置及び音出力システムの
図1に対応するブロック構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1実施の形態]
以下、
図1~
図3を用いて、本発明の第1実施の形態に係る音出力装置及び音出力システムについて説明する。
【0011】
(音出力システム1の構成)
図1に示されるように、本実施の形態に係る音出力システム1は、音出力装置2と、マイクロコントロールユニット(MCU)3と、クロック信号発振器(CLK)4と、スピーカ5と、を含んで構築されている。すなわち、音出力装置2は、音出力システム1を構築する1つの装置として、音出力システム1に組み込まれている。
【0012】
マイクロコントロールユニット3は、音出力装置2へ、図示省略の音出力装置2に搭載されたマイクロコンピュータ(CPU)を選択し、制御するCSB信号、SCLK信号、SDATA信号、RESET信号等を出力する。さらに、マイクロコントロールユニット3は、音出力装置2へ、デジタル音情報を出力し、スピーカ5から音を出力するためのSAI LRCK信号、SAI BCK信号、SAI DIN信号等を出力する。つまり、マイクロコントロールユニット3は音出力装置2の動作を制御する。
クロック信号発振器4は、音出力装置2へ、音出力装置2の動作の制御に必要なMCLK信号を出力する。
【0013】
スピーカ5は、音出力装置2に外部素子として接続され、音出力装置2から増幅されて出力されるアナログ音情報を音(音声)として出力する。ここでは、2個(又は複数個)のスピーカ5が音出力装置2に接続され、音出力システム1はステレオ構成とされている。なお、音出力システム1はモノラル構成であってもよい。
【0014】
(音出力装置2の構成)
図1に示される音出力装置2は1つの半導体集積回路(1チップ)として構成されている。この音出力装置2は、シリアルオーディオインターフェイス(SAI)20と、ミキサ(MIXER)21、26と、ボリュームユニット(VOL)22と、フィルタ(FILTER)23と、デジタルアナログコンバータ(DAC)24と、増幅回路(AMP)27とを備えている。ミキサ26、増幅回路27は、ここではステレオ構成とされているので、それぞれ2個づつ配設されている。そして、音出力装置2は故障診断ユニット6を備えている。
【0015】
シリアルオーディオインターフェイス20は、音出力装置2のインターフェイスユニットとして使用されている。このシリアルオーディオインターフェイス20は、マイクロコントロールユニット3から出力されたデジタル音情報(SAI DIN信号)を取得する。
シリアルオーディオインターフェイス20はミキサ21に接続されている。また、ミキサ21は、音楽情報や音声情報が格納される記憶媒体に接続される図示省略のデコーダに接続されている。ミキサ21では、図示省略のデコーダでデコードされたデジタル音情報とシリアルオーディオインターフェイス20から入力されたデジタル音情報のミキシング処理が実行される。
ミキサ21はボリュームユニット22に接続されている。ボリュームユニット22では、ミキサ21から出力されるデジタル音情報に対してボリューム処理が実行される。
ボリュームユニット22はフィルタ23に接続されている。フィルタ23は、ボリュームユニット22から出力されるデジタル音情報に音響処理を加えるブロックである。
【0016】
フィルタ23はデジタルアナログコンバータ24に接続されている。デジタルアナログコンバータ24では、フィルタ23から出力されたデジタル音情報がアナログ音情報に変換される。
デジタルアナログコンバータ24は、ミキサ26、増幅回路27のそれぞれに接続されている。ミキサ26ではアナログ音情報にミキシング処理が実行される。
ミキサ26から出力されるアナログ音情報は増幅回路27に入力され、増幅回路27では、アナログ音情報が増幅される。増幅回路27にはスピーカ5が接続される構成とされ、増幅回路27において増幅されたアナログ音情報はスピーカ5へ出力され、スピーカ5ではアナログ音情報に基づいて音が出力される。
【0017】
(故障診断ユニット6の具体的な構成)
図1に示されるように、故障診断ユニット6では、ミキサ21から出力されるデジタル音情報及び増幅回路27から出力されるアナログ音情報が入力される。入力された音情報に基づいて、故障診断ユニット6では、「故障状態」にあるか否かが判定され、「故障状態にあるときに故障(ES)信号が出力される。このES信号はマイクロコントロールユニット3へ出力される。
【0018】
詳しく説明すると、
図2に示されるように、故障診断ユニット6は、FIFO60と、アナログデジタルコンバータ61と、診断用フィルタ(NOISE FILTER)62と、減算ユニット63と、判定ユニット64とを含んで構成されている。
アナログデジタルコンバータ61は、増幅回路27とスピーカ5との間において、増幅回路27から増幅されて出力されるアナログ音情報を取得し、このアナログ音情報を診断用デジタル音情報に変換する。
FIFO60は、メモリユニットとして使用され、ミキサ21から出力されるデジタル音情報を入力し、入力順にデジタル音情報を適宜出力する。FIFO60では、ミキサ21から出力されるデジタル音情報の位相をアナログデジタルコンバータ61から出力される診断用デジタル音情報の位相に合わせる構成とされている。表現を代えれば、FIFO60は、デジタル音情報と診断用デジタル音情報との位相差を無くす構成とされている。
【0019】
アナログデジタルコンバータ61は診断用フィルタ62に接続されている。診断用フィルタ62では、アナログデジタルコンバータ61から出力される診断用デジタル音情報のノイズが除去される。なお、診断用フィルタ62は、増幅回路27とアナログデジタルコンバータ61との間に配設され、増幅回路27から出力されるアナログ音情報のノイズを除去する構成としてもよい。
【0020】
診断用フィルタ62は減算ユニット63に接続され、FIFO60は同様に減算ユニット63に接続されている。減算ユニット63では、デジタル音情報と診断用デジタル音情報とを比較して差分値が算出される。
減算ユニット63は判定ユニット64に接続されている。判定ユニット64には「故障状態」であるか否かの判定を行う「閾値」が入力される。この閾値は例えばマイクロコントロールユニット3から取得され、ユーザにおいて、適宜、閾値の調整が可能とされている。判定ユニット64では、所定サンプリング時間内において、差分値が閾値を超える回数がカウントされる。判定ユニット64は、所定回数がカウントされると「故障状態」と判定する。
ここで、「閾値」は、例えばデジタル音情報の振幅に対して±20%~±30%の振幅範囲に設定されている。この設定された振幅範囲を超えると、「閾値を超える」ことになる。
また、差分値が閾値を超える回数とは、アナログ音情報にはノイズ成分が含まれており、瞬間的なパルスに反応すると誤検知になるので、差分値が連続して閾値を超えた回数という意味で使用されている。閾値を超えた回数はカウントされ、「故障状態」にあるか否かが判断される。
ここでは、例えば連続して10回以上にわたって閾値を超えた場合は「故障状態」であると判断される。デジタル音情報と診断用デジタル音情報との比較はサンプリング周波数以上の間隔をあけて行われる。
【0021】
判定ユニット64は、
図1及び
図2に示されるように、マイクロコントロールユニット3に接続されている。判定ユニット64において「故障状態」であると判定されたとき、判定ユニット64から「故障状態」であるES信号がマイクロコントロールユニット3へ出力される。マイクロコントロールユニット3では、ES信号が入力されると、「故障状態」である旨をユーザに報知する。
例えば、自動車に搭載される音出力システム1においては、操作パネルに「故障状態」がLED等により表示される。また、音出力システム1は、「故障状態」である旨の音声を出力してもよい。
【0022】
(本実施の形態の作用及び効果)
本実施の形態に係る音出力装置2は、
図1に示されるように、シリアルオーディオインターフェイス20と、デジタルアナログコンバータ24と、増幅回路27と、故障診断ユニット6とを備える。シリアルオーディオインターフェイス20は、デジタル音情報を取得する。デジタルアナログコンバータ24は、シリアルオーディオインターフェイス20から出力されるデジタル音情報をアナログ音情報に変換する。増幅回路27は、デジタルアナログコンバータ24から出力されるアナログ音情報を増幅する。
【0023】
ここで、音出力装置2は故障診断ユニット6を備える。故障診断ユニット6は、増幅回路27から出力されるアナログ音情報を診断用デジタル音情報に変換し、診断用デジタル音情報とデジタル音情報とを比較して差分値を算出し、差分値が予め設定された閾値を超えるときに、「故障状態」にあるES信号を出力する。
【0024】
図3(A)には、故障診断ユニット6において、ミキサ21から出力されるデジタル音情報と、増幅回路27から出力されたアナログ音情報を変換した診断用デジタル音情報とを比較した出力波形が示されている。縦軸は振幅、横軸は時間である。
図3(A)に示される出力波形では、デジタル音情報に対して設定された閾値を超えない範囲内において、デジタル音情報と診断用デジタル音情報とが一致している。診断用デジタル音情報に閾値を超えるパルス的な波形は存在するものの、デジタル音情報に対してクオリティが高い意図した状態のアナログ音情報が出力されているので、正常な状態(非故障状態)であると、故障診断ユニット6は判定する。このため、故障診断ユニット6はES信号を出力しない。
【0025】
一方、
図3(B)に示される出力波形では、デジタル音情報に対して診断用デジタル音情報は設定された閾値を超えている。この出力波形は、ボリュームユニット22が故障した場合を表現した一例である。ボリュームユニット22に入力されるPCM(Plus Code Modulation)は2の補数で表現されている。ボリュームユニット22内部の回路故障により最上位ビット(bit)が0固定とされた場合、ボリュームユニット22からの出力は期待する値ではなくなる。このボリュームユニット22から出力されたデータが診断用デジタル音情報として使用される。デジタル音情報と診断用デジタル音情報との比較をサンプリング周波数毎に実施したとすると、明らかに10回以上にわたって差分値が閾値を超えているため、非正常な状態(故障状態)であると、故障診断ユニット6は判定する。この結果、故障診断ユニット6はES信号を出力する。
【0026】
従って、故障診断ユニット6では、増幅回路27から出力されるアナログ音情報が診断用デジタル音情報に変換されて、この診断用デジタル音情報がアナログ音情報に変換する前の元のデジタル音情報と比較される。このため、音出力装置2では、クオリティの高い意図した音が出力されるか否かを簡単に診断することができる。
【0027】
また、本実施の形態に係る音出力装置2は、
図2に示されるように、メモリユニットとしてのFIFO60を備える。FIFO60は、デジタル音情報を入力し、デジタル音情報の位相を診断用デジタル音情報の位相に合わせて出力する。
このため、デジタル音情報と診断用デジタル音情報との位相差を無くして、意図した音が出力されるか否かの診断精度を向上させることができる。
【0028】
さらに、本実施の形態に係る音出力装置2では、
図2に示されるように、故障診断ユニット6は、アナログデジタルコンバータ61と、減算ユニット63と、判定ユニット64とを含んで構成される。アナログデジタルコンバータ61は、増幅回路27から出力されるアナログ音情報を診断用デジタル音情報に変換する。減算ユニット63は、アナログデジタルコンバータ61から出力される診断用デジタル音情報とミキサ21から出力されるデジタル音情報とを比較して差分値を算出する。判定ユニット64は、「故障状態」を判定する「閾値」を取得し、閾値に基づいて「故障状態」にあるか否かを判定する。つまり、判定ユニット64は、差分値が閾値を超えるときに、「故障状態」にあるES信号を出力する。
このため、アナログデジタルコンバータ61、減算ユニット63及び判定ユニット64を含んで、故障診断ユニット6を簡易に構築することができ、故障診断を実行するこができる。
【0029】
また、本実施の形態に係る音出力装置2では、
図2に示されるように、故障診断ユニット6は診断用フィルタ62を備える。診断用フィルタ62は診断用デジタル音情報のノイズを除去する。
このため、診断用デジタル音情報のノイズが除去されるので、意図した音が出力されるか否かの診断精度を向上させることができる。
【0030】
さらに、本実施の形態に係る音出力装置2では、シリアルオーディオインターフェイス20とデジタルアナログコンバータ24との間に、ボリュームユニット22と、フィルタ23とを備える。ボリュームユニット22はデジタル音情報のボリューム処理を実行する。フィルタ23はデジタル音情報のノイズを除去する。これらのボリュームユニット22及びフィルタ23を含んで音出力装置2を構築することができる。
【0031】
また、本実施の形態に係る音出力装置2では、
図1及び
図2に示されるように、故障診断ユニット6において比較されるデジタル音情報は、ボリュームユニット22へ入力されるデジタル音情報である。
このため、故障診断ユニット6では、シリアルオーディオインターフェイス20から出力された直後のデジタル音情報を基準として、意図した音が出力されるか否かが診断されるので、診断精度を向上させることができる。
ここで、故障診断ユニット6において、「故障状態」である診断がなされた場合、ボリュームユニット22以降の回路に故障の原因があると判定することができる。
【0032】
さらに、本実施の形態に係る音出力システム1は、
図1に示されるように、上記音出力装置2と、マイクロコントロールユニット3とを主体に構築される。マイクロコントロールユニット3は、デジタル音情報を音出力装置2のシリアルオーディオインターフェイス20へ出力し、音出力装置2の故障診断ユニット6から出力されるES信号を入力する。
このため、音出力装置2は、マイクロコントロールユニット3とは独立に開発し制作することができるので、音出力装置2の最適化並びに小型化を実現することができる。
【0033】
また、本実施の形態に係る音出力システム1は、
図1に示されるように、スピーカ5を備える。スピーカ5は、音出力装置2の増幅回路27に接続され、アナログ音情報に基づいて音を出力する。このため、音出力装置2の増幅回路27に単にスピーカ5を接続することにより、音出力システム1を簡易に構築することができる。
【0034】
[第2実施の形態]
次に、
図4を用いて、本発明の第2実施の形態に係る音出力装置2及び音出力システム1について説明する。なお、本実施の形態において、前述の第1実施の形態に係る音出力装置2及び音出力システム1の構成要素と同一の構成要素、又は実質的に同一の構成要素には同一符号を付し、その説明は重複するので省略する。
【0035】
図4に示されるように、本実施の形態に係る音出力装置2はセレクタ(SELECTOR)7を備えている。セレクタ7には、ミキサ21からボリュームユニット22へ入力されるデジタル音情報、ボリュームユニット22からフィルタ23へ入力されるデジタル音情報、フィルタ23からデジタルアナログコンバータ24へ入力されるデジタル音情報のそれぞれが入力される。セレクタ7は、マイクロコントロールユニット3から出力される選択信号に基づいて、いずれかのデジタル音情報を選択し、この選択されたデジタル音情報を故障診断ユニット6へ出力する。
故障診断ユニット6では、セレクタ7により選択されたデジタル音情報に基づいて、意図した音が出力されているか否かの診断が実行される。
【0036】
セレクタ7を備えた以外、音出力装置2の構成は前述の第1実施の形態に係る音出力装置2の構成と同様である。また、音出力システム1の構成は第1実施の形態に係る音出力システム1の構成と同様である。
【0037】
このように構成される本実施の形態に係る音出力装置2及び音出力システム1によれば、前述の第1実施の形態に係る音出力装置2及び音出力システム1により得られる作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
【0038】
また、本実施の形態に係る音出力装置2では、
図4に示されるように、セレクタ7が配設される。セレクタ7は、ボリュームユニット22、フィルタ23、デジタルアナログコンバータ24へ入力されるいずれかのデジタル音情報を故障診断ユニット6へ出力する。このため、セレクタ7により選択されたデジタル音情報が故障診断ユニット6へ出力されると、故障回路を特定することができる。
例えば、ボリュームユニット22へ入力されるデジタル音情報が故障診断ユニット6へ出力されたときに、「故障状態」ではないと判定される。引き続き、ボリュームユニット22から出力されるデジタル音情報が故障診断ユニット6へ入力されたときに、「故障状態」であると判定される。この場合には、ボリュームユニット22に故障の原因があると特定することができる。
【0039】
[他の実施の形態]
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々変更可能である。例えば、音出力装置には、他の回路、具体的には位相同期回路(PLL:phase locked loop)、CPUインターフェイス、デコーダ等が含まれていてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1…音出力システム、2…音出力装置、20…シリアルオーディオインターフェイス(インターフェイスユニット)、21、26…ミキサ、22…ボリュームユニット、23…フィルタ、24…デジタルアナログコンバータ、27…増幅回路、3…マイクロコントロールユニット、4…クロック信号発振器、5…スピーカ、6…故障診断ユニット、60…FIFO(メモリユニット)、61…アナログデジタルコンバータ、62…診断用フィルタ、63…減算ユニット、64…判定ユニット、7…セレクタ。