(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-25
(45)【発行日】2022-11-02
(54)【発明の名称】電力伝送装置及び電力伝送方法
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20221026BHJP
H02J 50/12 20160101ALI20221026BHJP
【FI】
H02J7/00 301D
H02J50/12
(21)【出願番号】P 2016197287
(22)【出願日】2016-10-05
【審査請求日】2019-07-02
【審判番号】
【審判請求日】2021-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079119
【氏名又は名称】藤村 元彦
(72)【発明者】
【氏名】太矢 隆士
【合議体】
【審判長】井上 信一
【審判官】山本 章裕
【審判官】畑中 博幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-171714(JP,A)
【文献】特開2008-206305(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0295450(US,A1)
【文献】特開平6-52467(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00-7/12, 7/34-7/36
H02J 50/50-50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から電力を受電する受電部と、
前記受電部によって受電された受電電力をバッテリに伝送する電力伝送路と、
前記電力伝送路を遮断する伝送遮断スイッチと、
前記受電部の受電電力を動作電力とし、
制御回路から前記バッテリの状態を示すバッテリ状態信号を受信し、前記バッテリ状態信号に基づいて前記伝送遮断スイッチの導通及び非導通を切替える伝送制御回路と、
前記バッテリから電力供給を受けて前記受電部からの受電電力を監視し、前記
受電部からの受電電力が所定値未満の場合には、前記伝送制御回路による前記伝送遮断スイッチの切替えに無関係に前記伝送遮断スイッチを強制的に非導通状態とする遮断制御回路と、
を有することを特徴とする電力伝送装置。
【請求項2】
前記伝送制御回路と、前記バッテリ状態信号を出力する前記制御回路とを接続するインターフェース端子と、
前記伝送制御回路及び前記インターフェース端子間を遮断するインターフェース遮断スイッチと、を有し、
前記遮断制御回路は、前記受電部からの
受電電力が前記所定値未満の場合に前記インターフェース遮断スイッチを非導通状態とすることを特徴とする請求項1に記載の電力伝送装置。
【請求項3】
前記遮断制御回路は、前記バッテリからの電力供給を受けて基準電圧を生成する基準電圧生成回路と、前記基準電圧と前記受電部からの受電電圧とを比較するコンパレータとによって、前記受電部からの受電電力が
前記所定値未満であるか否かを判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の電力伝送装置。
【請求項4】
前記伝送遮断スイッチの導通及び非導通を切替える第1の制御スイッチと、前記第1の制御スイッチに直列に接続された第2の制御スイッチと、を有し、
前記伝送制御回路及び前記遮断制御回路は、それぞれ前記第1の制御スイッチ及び前記第2の制御スイッチの導通及び非導通を切替えることによって前記伝送遮断スイッチの導通及び非導通を切替えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の電力伝送装置。
【請求項5】
前記基準電圧生成回路及び前記コンパレータは、間欠動作指令信号によって間欠的に動作を行うように構成され、
前記遮断制御回路は、前記コンパレータの出力信号の出力レベルを保持するラッチ回路を有することを特徴とする請求項3に記載の電力伝送装置。
【請求項6】
前記伝送制御回路及び前記インターフェース端子間に設けられ、前記バッテリから電力供給を受けて前記伝送制御回路を静電気放電から保護する保護回路を有することを特徴とする請求項2に記載の電力伝送装置。
【請求項7】
前記受電部は、交流磁界を受けて交流電流に変換するコイル及びキャパシタと、前記交流電流を直流電圧に変換する整流回路とを有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1つに記載の電力伝送装置。
【請求項8】
前記伝送遮断スイッチ、前記伝送制御回路及び前記遮断制御回路が集積された集積回路を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1つに記載の電力伝送装置。
【請求項9】
受電部によって外部から受電した受電電力を伝送遮断スイッチを介してバッテリに伝送する電力伝送方法であって、
前記受電部の受電電力を動作電力とする伝送制御回路が、
制御回路から伝送された前記バッテリの状態を示すバッテリ状態信号に基づいて前記伝送遮断スイッチの導通及び非導通を切替えるステップと、
前記バッテリから電力供給を受けて前記受電部からの受電電力を監視する遮断制御回路が、前記受電部からの受電電力が所定値未満の場合には、前記伝送制御回路による前記伝送遮断スイッチの切替えに無関係に前記伝送遮断スイッチを強制的に非導通状態とするステップと、を含むことを特徴とする電力伝送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送電装置から電力をバッテリ等に伝送する電力伝送装置及び電力伝送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンやスマートウォッチ、腕時計、イヤホンなどの電子制御された電子機器のバッテリを非接触(無接点)で充電する技術が普及し始めている。また、太陽光や熱、振動などの環境エネルギによる発電、いわゆるエナジーハーベストを用いてバッテリの充電用の電源や電子機器の動作電源とする技術が一般化されつつある。
【0003】
例えば、特許文献1には、電磁誘導により電力が発生する少なくともループ状の導電体を備えた電子機器が開示されている。また、特許文献2には、充電台側の電源コイルと誘導コイルとを電磁結合させることで無接点充電可能な電池駆動機器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-206296号公報
【文献】特開2013-118719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非接触電力伝送やエナジーハーベストによる電力伝送は、接点式の電力伝送などに比べて大幅に利便性が向上した電力伝送方式と言える。しかし、これらの電力伝送方式は、伝送元となる送電側の電力が不安定になる場合があること、及び意図しないタイミングで受電を行う場合があるという課題を有している。
【0006】
例えば、非接触電力伝送の場合、無受電状態であっても、電子レンジやIH調理器などからの磁界の影響で、意図しないタイミングで不安定な受電を行う場合がある。また、エナジーハーベストでは、天候の変化などで太陽光の受光量が変化し、発電電圧(受電電圧)が不安定となる場合がある。これらの場合、バッテリへの充電状態が不安定となる場合や、バッテリからの電流の逆流によって無駄に電力を消費する場合、機器の動作が不安定となる場合がある。
【0007】
また、非接触電力伝送に限らず、接点式の電力伝送方法においても、例えば断線などの接続不良によって電力伝送が不安定となると、バッテリの充電状態や機器の動作状態が不安定となる場合がある。
【0008】
本発明は上記した点に鑑みてなされたものであり、無受電状態又は不安定な受電状態の場合に電力伝送路を確実に遮断することが可能な電力伝送装置及び電力伝送方法を提供することを課題の1つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による電力伝送置は、外部から電力を受電する受電部と、前記受電部によって受電された受電電力をバッテリに伝送する電力伝送路と、前記電力伝送路を遮断する伝送遮断スイッチと、前記受電部の受電電力を動作電力とし、制御回路から前記バッテリの状態を示すバッテリ状態信号を受信し、前記バッテリ状態信号に基づいて前記伝送遮断スイッチの導通及び非導通を切替える伝送制御回路と、前記バッテリから電力供給を受けて前記受電部からの受電電力を監視し、前記受電部からの受電電力が所定値未満の場合には、前記伝送制御回路による前記伝送遮断スイッチの切替えに無関係に前記伝送遮断スイッチを強制的に非導通状態とする遮断制御回路と、を有することを特徴としている。
【0010】
また、本発明による電力伝送方法は、受電部によって外部から受電した受電電力を伝送遮断スイッチを介してバッテリに伝送する電力伝送方法であって、前記受電部の受電電力を動作電力とする伝送制御回路が、制御回路から伝送された前記バッテリの状態を示すバッテリ状態信号に基づいて前記伝送遮断スイッチの導通及び非導通を切替えるステップと、前記バッテリから電力供給を受けて前記受電部からの受電電力を監視する遮断制御回路が、前記受電部からの受電電力が所定値未満の場合には、前記伝送制御回路による前記伝送遮断スイッチの切替えに無関係に前記伝送遮断スイッチを強制的に非導通状態とするステップと、を含むことを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明による電力伝送装置は、受電部からの受電電力が所定値未満である場合に、他の制御手段による制御状態に関わらずバッテリへの電力伝送路を強制的に遮断する。また、この遮断動作を行う遮断制御回路はバッテリによって動作する。従って、無受電状態又は不安定な受電状態の場合に確実に電力伝送路を遮断することができ、バッテリ20からの電流の逆流による無駄な電力消費を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施例1に係る電力伝送装置を含む電子機器の構成を示すブロック図である。
【
図2】実施例1に係る電力伝送装置の構成を示す回路図である。
【
図3】(a)は、実施例1に係る電力伝送装置の遮断制御回路の構成を示すブロック図であり、(b)は、当該遮断制御回路の構成例を示す回路図である。
【
図4】実施例1に係る電力伝送装置の電力伝送制御フローを示すフロー図である。
【
図5】実施例1の変形例に係る電力伝送装置におけるインターフェース遮断回路の構成を示す回路図である。
【
図6】実施例2に係る電力伝送装置の構成を示す回路図である。
【
図7】(a)は、実施例2に係る電力伝送装置の遮断制御回路の構成を示すブロック図であり、(b)は、当該遮断制御回路の構成例を示す回路図である。
【
図8】実施例3に係る電力伝送装置の構成を示す回路図である。
【
図9】実施例3に係る電力伝送装置の保護回路の構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明の実施例について詳細に説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は、実施例1に係る電力伝送装置30が受電部として搭載された電子機器10の構成を示すブロック図である。本実施例においては、電子機器10は、例えばスマートウォッチやスマートフォンなどの携帯端末である。例えば、本実施例においては、電子機器10は、ユーザインターフェースとしてのタッチパネル式ディスプレイ11、スピーカ12及びボタン13を有する。また、電子機器10は、外部との通信を行う通信部14、各種の演算を行い、ユーザインターフェースなどの動作制御を行う機器制御部15、及び各種の入出力情報及び演算情報を記憶するメモリ16を有する。機器制御部15は、例えばマイコンである。
【0015】
また、本実施例においては、電子機器10の動作電源となるバッテリ20と、外部の送電装置(外部電源)40から非接触で電力を受電し、バッテリ20に電力を伝送する電力伝送装置30とを有する。例えば、送電装置40は、例えば13.56MHzの交流磁界を生成するコイルアンテナを有する。電力伝送装置30はこの交流磁界を電力に変換して受電動作を行う。そして、電力伝送装置30は、受電した電力をバッテリ20に伝送するとともに、電子機器10内に電力を供給する。換言すれば、本実施例においては、電力伝送装置30は、ワイヤレス給電装置である。
【0016】
図2は、電力伝送装置30の構成を示す回路図である。電力伝送装置30は、外部から電力を受電する受電部REを有する。本実施例においては、受電部REは、送電装置40からの交流磁界を受けるコイルL、コイルLの両端間に接続されたキャパシタC1、及びキャパシタC1の両端に接続された整流回路RFを有する。受電部REは、コイルL及びキャパシタC1によって交流磁界を交流電流に変換し、整流回路RFによって直流電圧(電力)に変換する。
【0017】
本実施例においては、整流回路RFは集積回路IC内に集積され、コイルL及びキャパシタC1は集積回路ICの外付け部品として集積回路ICに接続されている。集積回路ICは、キャパシタC1の両端に接続された受電端子T1及びT2を有する。
【0018】
整流回路RFは、
図2に示すように、受電端子T1及びT2にそれぞれアノード端子が接続されたダイオードD1及びD2と、ダイオードD1及びD2のアノード端子にカソード端子がそれぞれ接続されたダイオードD3及びD4と、ダイオードD1及びD2のカソード端子に一端が接続されたキャパシタC2と、を有する。ダイオードD3及びD4のアノード端子及びキャパシタC2の他端は接地されている。
【0019】
また、電力伝送装置30は、受電部REからバッテリ20に電力を伝送する電力伝送路(以下、単に伝送路と称する)SLと、伝送路SLの接続及び非接続(遮断)を切替える伝送遮断スイッチSBとを有する。具体的には、集積回路IC内にはバッテリ20の一端(プラス端子)に接続された電力伝送端子(以下、給電端子と称する)T3が設けられ、受電部REは伝送路SLを介して給電端子T3に接続されている。
【0020】
また、本実施例においては、伝送路SLは、本実施例においては、受電部REの出力ノードN1及び給電端子T3間の集積回路IC内の配線である。また、伝送遮断スイッチSBは、伝送路SLにソース及びドレインが接続されたPチャネルMOSFETである。また、伝送遮断スイッチSBとしてのPチャネルMOSFETのソース及びゲート間には抵抗R1が接続されている。
【0021】
電力伝送装置30は、受電部REの受電電力を動作電力として動作し、バッテリ20の状態(例えば充電電圧)に基づいて伝送遮断スイッチSBの導通及び非導通を切替える伝送制御回路31を有する。伝送制御回路31は、本実施例においては機器制御部15から、バッテリ20の状態を示すバッテリ状態信号BSを受信し、バッテリ状態信号BSに基づいて伝送遮断スイッチSBの導通及び非導通(すなわち伝送路SLを遮断するか否か)を切替える。なお、伝送制御回路31は、例えばマイコンである。
【0022】
なお、受電部REは、整流回路RFからの出力電圧を昇降圧するレギュレータ(図示せず)を有していてもよい。すなわち、受電部REは、例えばバッテリ20の仕様に応じ、電圧レベルなどを調節した電圧を出力してもよい。この場合、当該レギュレータの動作制御は、伝送制御回路31によって行われることができる。例えば、伝送制御回路31は、バッテリ状態信号BSに基づいて受電部RE内で受電電圧として出力する電圧の電圧レベルを調節する信号を受電部REに出力することができる。
【0023】
また、電力伝送装置30は、バッテリ20から電力供給を受けて伝送遮断スイッチSBの導通及び非導通を切替える遮断制御回路32を有する。まず、本実施例においては、遮断制御回路32は、電源端子T4を介してバッテリ20に接続されている。また、遮断制御回路32は、受電部REからの受電電力を監視し、受電電力が所定値未満の場合、伝送遮断スイッチSBを強制的に非導通状態とする。
【0024】
つまり、本実施例においては、全く受電を行っていない無受電状態を含め、受電電力が所定値未満の場合、伝送遮断スイッチSBは、バッテリ20から電力供給を受けている遮断制御回路32によって、伝送制御回路31による伝送遮断スイッチSBの切替よりも優先されて非導通状態となる。
【0025】
例えば、
図2に示すように、電力伝送装置30は、伝送遮断スイッチSBの導通及び非導通を切替える制御スイッチ(第1の制御スイッチ)S1と、制御スイッチS1に直列に接続された制御スイッチ(第2の制御スイッチ)S2とを有する。伝送制御回路31及び遮断制御回路32は、それぞれ制御スイッチS1及びS2の導通及び非導通を切替える制御信号CS1及びCS2を生成して出力する。そして、伝送制御回路31及び遮断制御回路32は、制御スイッチS1及びS2の導通及び非導通を切替えることによって、伝送遮断スイッチSBの導通及び非導通、すなわち受電部RE及びバッテリ20間の接続及び非接続を切替える。
【0026】
また、本実施例においては、伝送遮断スイッチSBとしてのPチャネルMOSFETのゲートには、制御スイッチS1及びS2として、2つのNチャネルMOSFETが直列に接続されている。また、本実施例においては、制御スイッチS1としてのNチャネルMOSFETのソースは接地されている。なお、制御スイッチS1及びS2の接続順序は問わない。例えば制御スイッチS2の一端が接地されるように制御スイッチS1及びS2が直列に接続されていてもよい。
【0027】
伝送制御回路31の入力端子は伝送路SLにおける受電部REの出力ノードN1に接続され、出力端子は制御スイッチS1の制御端子(NチャネルMOSFETのゲート)に接続されている。また、遮断制御回路32の入力端子は受電部REの出力ノードN1に接続され、出力端子はスイッチS2の制御端子(NチャネルMOSFETのゲート)に接続されている。
【0028】
また、本実施例においては、伝送制御回路31は、電子機器10の機器制御部15に接続されている。具体的には、電力伝送装置30は、集積回路IC内に、伝送制御回路31と機器制御部15(外部回路)とを接続するインターフェース端子T5、T6、T7及びT8を有する。伝送制御回路31は、入出力回路IOを介してインターフェース端子T5~T8に接続されている。また、本実施例においては、電力伝送装置30は、入出力回路IO(伝送制御回路31)とインターフェース端子T5~T8(機器制御部15)との間にインターフェース遮断回路33を有する。
【0029】
本実施例においては、機器制御部15は、バッテリ20に接続され、バッテリ20における充電仕様(容量や許容充電電圧)や、バッテリ20の充電状態などを示すバッテリ状態信号BSを伝送制御回路31に送信する。伝送制御回路31は、受信したバッテリ20の状態信号BSに基づいて電力伝送を行う制御をなす。例えば、バッテリ状態信号BSは、機器制御部15からインターフェース端子T5を介して伝送制御回路31に送信される。また、伝送制御回路31は、機器制御部15に対し、例えば電力伝送状況などを外部に出力する(例えばディスプレイ11に表示する)ための情報を含む信号を送信する。
【0030】
伝送制御回路31及び機器制御部15間のこれらの信号の入出力は、入出力回路IOを介してインターフェース端子T5~T8によって行われる。インターフェース遮断回路33は、インターフェース端子T5、T6、T7及びT8と入出力回路IOとの間にそれぞれ設けられたインターフェース遮断スイッチS3、S4、S5及びS6からなる。本実施例においては、インターフェース遮断スイッチS3~S6の各々は、インターフェース端子T5、T6、T7及びT8と入出力回路IOとの間にそれぞれドレイン及びソースが設けられたNチャネルMOSFETからなる。
【0031】
本実施例においては、遮断制御回路32は、受電電力が所定値未満の場合、インターフェース遮断スイッチS3~S6を非導通状態とする制御信号CS2を生成する。遮断制御回路32は、インターフェース遮断スイッチS3~S6の制御端子(NチャネルMOSFETのゲート)に制御信号CS2を出力する。
【0032】
図3(a)は、遮断制御回路32の構成を示すブロック図であり、
図3(b)はその構成例を示す回路図である。遮断制御回路32は、基準電圧を生成する基準電圧生成回路32Aと、受電部REからの受電電圧及び基準電圧とを比較するコンパレータ32Bとを有する。遮断制御回路32は、コンパレータ32Bによる比較結果信号を制御信号CS2としてスイッチS2に供給する。また、
図3(a)に示すように、基準電圧生成回路32A及びコンパレータ32Bは、バッテリ20から電力供給を受けて動作する。
【0033】
図3(b)に基準電圧生成回路32A及びコンパレータ32Bの構成例を示す。基準電圧生成回路32Aは、電源端子T4を介してバッテリ20に一端が接続された抵抗R11と、抵抗R11の他端に接続されたトランジスタTR1とからなる。トランジスタTR1は、本実施例においてはNチャネルMOSFETであり、ドレイン及びゲートが抵抗R11の他端に接続され、ソースが接地されている。
【0034】
コンパレータ32Bは、バッテリ20に接続されたトランジスタTR2及びTR3と、トランジスタTR2及びTR3にそれぞれ接続されたトランジスタTR4及びTR5と、トランジスタTR4及び5に接続されたトランジスタTR6とからなる。本実施例においては、トランジスタTR2及びTR3はPチャネルMOSFETからなる。また、トランジスタTR4~TR6はNチャネルMOSFETからなる。トランジスタTR6のソースは接地されている。
【0035】
図3(b)に示すように、抵抗R11とトランジスタTR1のドレインとの接続端は、コンパレータ32BのトランジスタTR5のゲートに接続されている。また、トランジスタTR1のゲートはコンパレータ32BのトランジスタTR6のゲートに接続されている。また、コンパレータ32BのトランジスタTR4のゲートは受電部REに接続されている。また、トランジスタTR3のソースとトランジスタTR5のドレインとの接続端は制御スイッチS1及びインターフェース遮断回路33に接続されている。
【0036】
図4は、伝送制御回路31及び遮断制御回路32による電力伝送装置30の電力伝送フローの一例を示すフロー図である。まず、遮断制御回路32は、バッテリ20から電力供給を受け、受電部REによる外部からの受電状態(本実施例においては受電電圧)を監視する(ステップST1)。
【0037】
次に、遮断制御回路32は、受電部REが受電した受電電圧が所定の電圧値以上か否かを判定する(ステップST2)。具体的には、遮断制御回路32は、基準電圧生成回路32Aによって基準電圧を生成し、コンパレータ32Bによって当該基準電圧と受電電圧との比較を行う。本実施例においては、遮断制御回路32は、受電電圧が所定電圧値以上であると判定した場合、制御スイッチS2を導通状態とする。
【0038】
次に、本実施例においては、伝送制御回路31は、バッテリ20が満充電状態又は満充電状態とみなせる状態であるか否かを判定する(ステップST3)。具体的には、伝送制御回路31は、機器制御部15からバッテリ20の充電状態及び仕様などを示すバッテリ状態信号BSを受信し、バッテリ20が満充電状態であるか否かを判定する。伝送制御回路31は、バッテリ20が満充電状態であると判定した場合、制御スイッチS1を非導通状態とし、伝送遮断スイッチSBを非導通状態とする(ステップST4)。従って、伝送路SLが遮断され、受電部RE及びバッテリ20間が非接続状態となる。
【0039】
遮断制御回路32は、受電部REの受電電圧が所定電圧値未満であると判定した場合、制御スイッチS2を非導通状態とし、伝送遮断スイッチSBを非導通状態とする(ステップST4に進む)。この場合は、例えば、意図しない受電を行った場合、すなわち、例えば送電装置40以外の外部環境によって発生した磁界を受けた場合や、受電部REが受電を全く行っていない無受電状態の場合に相当する。
【0040】
なお、ステップST2において、遮断制御回路32は、バッテリ20からの電力供給を受けて基準電圧を生成する基準電圧生成回路32Aと、基準電圧と受電部REからの受電電圧とを比較するコンパレータ32Bとによって、受電部REからの受電電力が所定値未満であるか否かを判定する。
【0041】
一方、伝送制御回路31は、所定電圧値以上の受電を行っており、バッテリ20が満充電状態ではないと判定した場合、制御スイッチS1を導通状態とする。これによって制御スイッチS1及びS2の両方が導通状態となり、伝送遮断スイッチSBが導通状態となる(ステップST5)。従って、受電部REとバッテリ20とが接続状態となり、受電部REからの電力がバッテリ20に伝送される(バッテリ20が充電される)。なお、この場合は、例えば適正に電子機器10が送電装置40に接続(配置)され、送電装置40から電力を受けている場合に相当する。
【0042】
このように、電力伝送装置30は、受電部REから電力供給を受けて動作する伝送制御回路31と、バッテリ20から電力供給を受けて動作する遮断制御回路32とによって、電力伝送の制御を行う。また、遮断制御回路32は、少なくとも動作可能な電圧がバッテリ20に充電されている場合、受電部REの受電状態の監視及び伝送遮断スイッチSB(伝送路SL)の強制遮断(非導通化)を行うことができる。
【0043】
受電部REが無受電の場合、又は受電部REが十分な受電を行っていない場合(すなわち意図しない受電を行った場合)、受電部REからの電力を動作電力とする伝送制御回路31は不安定な動作を行う場合が想定される。仮に遮断制御回路32及び制御スイッチS2が設けられていない場合、制御スイッチS1の導通及び非導通が不安定となることで、伝送遮断スイッチSBの導通及び非導通も不安定となる。この場合、不意に接続状態となった伝送路SLを介してバッテリ20から受電部RE側に電流が逆流し、バッテリ20が無駄な電力消費を行う場合がある。
【0044】
しかし、本実施例においては、遮断制御回路32は、バッテリ20から電力供給を受け、伝送制御回路31による伝送遮断スイッチSBの切替に関わらず、伝送遮断スイッチSBを強制的に非導通状態とする。従って、遮断制御回路32は、伝送制御回路31によらずに伝送遮断スイッチSBの非導通状態を確定させ、伝送路SLを確実に遮断させる。従って、無受電状態又は不安定な受電状態の場合に伝送路SLを確実に遮断することが可能な電力伝送装置30を提供することができる。
【0045】
また、例えば伝送制御回路31及び遮断制御回路32を用いて上記したステップST4及びST5を行うことで、不安定な電力伝送状態を確実に防止することが可能な電力伝送方法を提供することができる。すなわち、本発明は、例えば、受電部RE及びバッテリ20間の接続及び非接続を切替えてバッテリ20への電力伝送を制御するステップと、受電部REからの受電電力が所定値未満の場合、受電部RE及びバッテリ20間を強制的に非接続状態とするステップと、を含むことを特徴とする電力伝送方法としても実施することができる。
【0046】
なお、スマートウォッチや腕時計、イヤホンなどは、消費電力(動作電力)が他の電子機器に比べて小さい。従って、他の電子機器に比べてバッテリ20からの電流の逆流による電力消費の影響が大きい。従って、電力伝送装置30を搭載し、不安定な受電時に確実に伝送路SLを遮断して電流の逆流を防止することが好ましい。
【0047】
なお、例えば電子機器10としての腕時計に電力伝送装置30が搭載される場合、受電部REのコイルL及びキャパシタC2以外(例えば伝送制御回路31及び遮断制御回路32)を集積回路IC内に集積し、
図3(b)に示すようにトランジスタを接続して遮断制御回路32を構成することが好ましい。この場合、機器全体としての消費電力を低減でき、また、遮断制御回路32の動作電圧も小さくすることができる。
【0048】
なお、バッテリ20が全く充電されていない場合、すなわちバッテリ20に電圧が生じていない場合は、遮断制御回路32の動作は不安定となる場合がある。しかし、この場合は、バッテリ20が無充電状態であり、バッテリ20からの電流の逆流は起こらない。また、バッテリ20が全く充電されていない場合に所定電圧以上の受電を行った場合、伝送遮断スイッチSBとしてのMOSFETが寄生ダイオードとなり、バッテリ20に向かって電流が流れる。従って、伝送制御回路31又は遮断制御回路32の動作が安定するまでバッテリ20への電力伝送は行われることとなる。
【0049】
また、本実施例においてはバッテリ20が満充電状態であるか否かに基づいて伝送制御回路31が伝送遮断スイッチSBの切替制御を行う場合について説明した。伝送制御回路31による制御スイッチS1は、バッテリ20の充電状態のみならず、他の条件によって切替られてもよい。例えば、伝送制御回路31は、バッテリ状態信号BSによって、バッテリ20の温度や充電時間などを機器制御部15から受信し、バッテリ20の温度や充電時間などに基づいて伝送遮断スイッチSBの切替制御を行ってもよい。
【0050】
さらに、本実施例においては、遮断制御回路32は、所定電圧未満の受電を行った場合、伝送制御回路31の機器制御部15とのインターフェースを遮断する信号をインターフェース遮断回路33(インターフェース遮断スイッチS3~S6)に供給する。無受電状態又は不安定な受電状態となって伝送制御回路31の動作が不安定となると、入出力回路IOが入出力する信号が不安定となる場合がある。例えば、入出力回路IOが入出力する信号が意図せずプルアップ又はプルダウンされて所望の信号が送受信できなくなる場合がある。従って、例えば、バッテリ20の充電仕様や充電状態が正確に伝送制御回路31に供給されなくなる場合がある。
【0051】
しかし、本実施例においては、遮断制御回路32は、受電状態が不安定となると伝送制御回路31の外部とのインターフェースを遮断する(インターフェース遮断スイッチS3~S6を非導通とする)。従って、伝送制御回路31の外部との信号の不安定な入出力が抑制され、不安定な信号の入出力動作及び電力伝送状態が防止される。
【0052】
図5は、実施例1の変形例に係る電力伝送装置30Aの構成を示す回路図である。電力伝送装置30Aは、入出力回路IO1の構成を除いては電力伝送装置30と同様の構成を有する。なお、
図5には、電力伝送装置30Aの入出力回路IO1の回路図を示し、他の一部の構成要素を省略している。また、
図5には、入出力回路IO1におけるインターフェース端子T5への入出力回路部分のみを示している。本変形例は、入出力回路IO1は、電力伝送装置30における入出力回路IO及びインターフェース遮断スイッチS3の他の構成例に相当する。
【0053】
入出力回路IO1は、AND回路LG1及びLG2、OR回路LG3、NOT回路LG4、AND回路LG5並びにトランジスタTR7及びTR8からなる。本実施例においては、トランジスタTR7はPチャネルMOSFETであり、トランジスタTR8はNチャネルMOSFETである。
【0054】
AND回路LG1の入力端子には、伝送制御回路31の出力端子及び遮断制御回路32の出力端子が接続されている。AND回路LG1の出力端子は、OR回路LG3の入力端子に接続されている。AND回路LG2の入力端子には、インターフェース端子T5及び遮断制御回路32の出力端子が接続されている。AND回路LG2の出力端子は、伝送制御回路31の入力端子に接続されている。
【0055】
NOT回路LG4の入力端子は、遮断制御回路32の出力端子に接続されている。NOT回路LG4の出力端子は、OR回路LG3の入力端子に接続されている。OR回路LG3の出力端子は、トランジスタTR7のゲートに接続されている。AND回路LG5の入力端子には、AND回路LG1の出力端子及び遮断制御回路32の出力端子が接続されている。AND回路LG5の出力端子はトランジスタTR8のゲートに接続されている。トランジスタTR7のソースは電源端子T4(バッテリ20)に接続されている。トランジスタTR7のドレインはインターフェース端子T5及びトランジスタTR8のソースに接続されている。トランジスタTR8のドレインは接地されている。
【0056】
本変形例においては、遮断制御回路32の出力信号(制御信号CS2)がLレベルの場合(すなわち受電電圧が所定電圧未満の場合)、トランジスタTR7及びTR8が非導通状態となり、機器制御部15とのインターフェースが遮断される。従って、インターフェース端子T5からの入力信号が不安定となった場合でも、入出力回路IO1内での論理状態が確定する。また、伝送制御回路31からの出力信号が不安定な場合でも、入出力回路IO1内の論理状態が確定する。また、遮断制御回路32へのバッテリ20からの電流の逆流が防止される。
【0057】
このように入出力回路IO1を構成した場合でも、伝送制御回路31の外部とのインターフェースが確実に遮断される。伝送制御回路31及び機器制御部15(外部回路)間の不安定な信号の入出力が防止される。なお、伝送制御回路31の外部とのインターフェースが確実に遮断されることで、機器制御部15が使用する端子数を少なくすることができる。
【実施例2】
【0058】
図6は、実施例2に係る電力伝送装置50の構成を示す回路図である。電力伝送装置50は、遮断制御回路51の構成を除いては、電力伝送装置30と同様の構成を有する。遮断制御回路50は、本実施例においては、機器制御部15A(外部回路)内に設けられているタイミング制御回路TCからの間欠動作指令信号OSに基づいて、断続的(間欠的)に伝送遮断スイッチSBの切替制御を行う。例えば、タイミング制御回路TCは、タイマを有し、当該タイマによって間欠動作指令信号OSを遮断制御回路51に供給する。
【0059】
本実施例においては、集積回路IC内には、タイミング制御回路TC(機器制御部15A)に接続された間欠動作用の制御端子T9が設けられている。遮断制御回路51は、入力された動作指令信号OSに基づいて制御スイッチS2の切替制御を行う。なお、タイミング制御回路TCは、例えば電子機器10内において機器制御部15Aの外部に設けられていてもよい。
【0060】
図7(a)は、遮断制御回路51の構成を示すブロック図であり、
図7(b)はその構成例を示す回路図である。本実施例においては、遮断制御回路51は、基準電圧生成回路51A、コンパレータ51B及びラッチ回路51Cからなる。タイミング制御回路TCからの間欠動作指令信号OSは、基準電圧生成回路51A及びコンパレータ51Bに供給され、NOT回路LG11によって反転された信号がラッチ回路51Cに供給される。
【0061】
基準電圧生成回路51A及びコンパレータ51Bは、タイミング制御回路TCからの制御信号によって間欠的に動作する。例えば、基準電圧生成回路51A及びコンパレータ51Bは、例えば間欠動作指令信号OSの立上がり毎に間欠動作を行う。ラッチ回路51Cは、コンパレータ51Bの出力信号の出力レベルを保持する。ラッチ回路51Cは、直前のコンパレータ51Bの出力信号の出力レベルを保持した信号を制御信号OS2として出力する。制御スイッチS2及びインターフェース遮断回路33は、ラッチ回路51Cからの出力信号に基づいて動作する。
【0062】
図7(b)に示すように、基準電圧生成回路51Aは、基準電圧生成回路32Aに、トランジスタTR11及びTR12を加えた構成を有する。本実施例においては、トランジスタTR11は、抵抗R11及びトランジスタTR1間に接続されたNチャネルMOSFETである。トランジスタTR11のゲートにはタイミング制御回路TCの出力端子が接続されている。本実施例においては、トランジスタTR12は、トランジスタTR1に並列に接続されたNチャネルMOSFETである。トランジスタTR12のゲートにはNOT回路LG11の出力端子が接続され、ソースは接地されている。
【0063】
コンパレータ51Bは、遮断制御回路32のコンパレータ32Bと同様の構成を有する。ラッチ回路51Cは、トランジスタTR13、TR14、TR15及びTR16と、NOT回路LG12及びLG13とからなる。本実施例においては、トランジスタTR13及び15はPチャネルMOSFETであり、トランジスタTR14及びTR16はNチャネルMOSFETである。
【0064】
本実施例においては、トランジスタTR13のドレインには、コンパレータ51Bの出力端子及びトランジスタ14のドレインが接続されている。トランジスタTR13のゲートにはNOT回路LG11の出力端子が接続されている。トランジスタTR13のソースはNOT回路LG12の入力端子に接続されている。トランジスタTR14のゲートにはタイミング制御回路TCの出力端子が接続されている。
【0065】
トランジスタTR15のドレインは、トランジスタTR13のソース及びトランジスタTR16のドレインに接続されている。トランジスタTR15のゲートにはタイミング制御回路TCの出力端子が接続されている。NOT回路LG12の出力端子はNOT回路LG13の入力端子に接続されている。トランジスタTR16のゲートにはNOT回路LG11の出力端子が接続されている。トランジスタTR15のソースはトランジスタTR16のソース及びNOT回路LG13の出力端子に接続されている。NOT回路LG13の出力端子は制御スイッチS2及びインターフェース遮断回路33に接続されている。
【0066】
本実施例においては、間欠動作制御信号がHレベルの場合、基準電圧生成回路51A及びコンパレータ51Bにバイアス電流が流れ、両者がそれぞれの動作を行う。一方、間欠動作制御信号がLレベルの場合、基準電圧生成回路51Aへのバイアス電流が遮断され、コンパレータ51Bへのバイアス電流が流れなくなるため、両者は動作を停止する。また、間欠動作制御信号がHレベルの場合、ラッチ回路51Cはコンパレータ51Bの出力をそのまま出力する(制御スイッチS2などに供給する)。一方、間欠動作制御信号がLレベルの場合、ラッチ回路51Cへの信号の入力が遮断され、直前のコンパレータ51Bの出力レベルを保持する(出力し続ける)。
【0067】
本実施例においては、遮断制御回路51が間欠動作を行うように構成されている。従って、遮断制御回路51が常時動作を行う場合に比べ、少ない消費電力で動作を行うことができる。
【実施例3】
【0068】
図8は、実施例3に係る電力伝送装置60の構成を示す回路図である。電力伝送装置60は、保護回路61を有する点を除いては、電力伝送装置30と同様の構成を有する。電力伝送装置60は、集積回路ICの内部素子等(例えば伝送制御回路31)を静電気放電から保護する保護回路61を有する。本実施例においては、保護回路61は、インターフェース端子T5~T8と入出力回路IOとの間に設けられている。また、保護回路61は、電源端子T4を介してバッテリ20に接続されている。
【0069】
図9は、保護回路61の構成例を示す回路図である。
図9に示すように、本実施例においては、保護回路61は、インターフェース端子T5~T8とインターフェース遮断回路33(インターフェース遮断スイッチS3~S6)との間に設けられたダイオードD11~D18からなる。ダイオードD11~D18は、各インターフェース端子T5~T8に生じた電流をバッテリ20(電源端子T4)側に逃がすように構成されている。
【0070】
本実施例においては、保護回路61は、バッテリ20から電力供給を受けて伝送制御回路31及び入出力回路IOをESDから保護する。従って、例えば受電を行っていない場合でも、確実に伝送制御回路31及び入出力回路IOをESDから保護することができる。
【0071】
なお、上記においては、電力伝送装置30、50及び60が、送電装置30から交流磁界を受けて受電動作を行う受電部REを有する場合について説明した。すなわち、電力伝送装置30、50及び60がワイヤレス給電を行う場合について説明した。しかし、受電部REは、例えば、太陽光によって受電を行う受電部であってもよい。この場合、例えば、受電部は太陽電池を含む。すなわち、受電部REの構成は一例に過ぎず、受電部REは外部から電力を受ける部分であればよい。
【0072】
上記においては、電力伝送装置30(又は50、60)は、受電部REによって受電された受電電力をバッテリ20に伝送する電力伝送路SLと、電力伝送路SLを遮断する伝送遮断スイッチSBと、受電部REからの受電電力によって動作し、バッテリ20の状態を示すバッテリ状態信号BSに基づいて伝送遮断スイッチSBの導通及び非導通を切替える伝送制御回路31と、バッテリ20から電力供給を受けて受電部REからの受電電力を監視し、受電電力が所定値未満の場合、伝送遮断スイッチSBを強制的に非導通状態とする遮断制御回路32(又は51)とを有する。従って、無受電状態となった場合や受電部REからの受電状態によって伝送制御回路31の動作が不安定となった場合でも確実に伝送路SLを遮断することができる。従って、例えばバッテリ20からの電流の逆流などによる無駄な電力消費が防止される。
【符号の説明】
【0073】
10 電子機器
20 バッテリ
30、30A、50、60 電力伝送装置
RE 受電部
SL 電力伝送路
SB 伝送遮断スイッチ
31 伝送制御回路
32、32A、51 遮断制御回路
33、33A、IO1 インターフェース遮断回路