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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-26
(45)【発行日】2022-11-04
(54)【発明の名称】自動分析装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/02 20060101AFI20221027BHJP
【FI】
G01N35/02 B
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018176761
(22)【出願日】2018-09-21
(65)【公開番号】P2020046377
(43)【公開日】2020-03-26
【審査請求日】2021-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 太一郎
(72)【発明者】
【氏名】大草 武徳
(72)【発明者】
【氏名】坂入 進
【審査官】北条 弥作子
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-524190(JP,A)
【文献】国際公開第2015/025616(WO,A1)
【文献】特開2012-098139(JP,A)
【文献】特開2008-096221(JP,A)
【文献】国際公開第2015/141599(WO,A1)
【文献】特開2014-134484(JP,A)
【文献】国際公開第2015/105079(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/168993(WO,A1)
【文献】特開2001-343392(JP,A)
【文献】国際公開第2017/018163(WO,A1)
【文献】特表2013-502566(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00-35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試薬を収容する試薬容器を保持する試薬庫と、
鉛直方向に平行な第1の方向及び前記第1の方向に垂直な第2の方向に移動可能に構成された蓋開閉部材を備える蓋開閉装置と、を備え、
前記蓋開閉部材は、
前記試薬容器の蓋を開放する第1の部材と、前記蓋を閉じる第2の部材と、を一体で備え、
前記試薬容器の上方の位置である第1の位置と、前記第1の位置から前記蓋開閉部材の底面が前記試薬容器に接するまで前記第1の方向に下降した位置である第2の位置とを互いに移動可能に構成され、
前記第2の位置と、前記第2の位置から前記第2の方向に移動した位置である第3の位置とを互いに移動可能に構成され、
前記第2の位置から前記第3の位置に移動する際に、前記第1の部材により前記蓋を開放し、
前記第3の位置から前記第2の位置に移動する際に、前記第2の部材により前記蓋を閉じ、
前記蓋開閉装置は、
前記第2の方向に移動可能な第1のフレームと、
前記第1のフレームを駆動する第1のモータと、
前記第1のモータの駆動力を前記第1のフレームに伝達する第1の伝達手段と、
前記第1の方向に移動可能な第2のフレームと、
前記第1のフレームに設けられ、前記第2のフレームを駆動する第2のモータと、
前記第2のモータの駆動力を前記第2のフレームに伝達する第2の伝達手段と、を備え、
前記蓋開閉部材は、前記第2のフレームの下端部に接続されることにより、前記第1の方向及び前記第2の方向に移動可能である
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
試薬を収容する試薬容器を保持する試薬庫と、
鉛直方向に平行な第1の方向及び前記第1の方向に垂直な第2の方向に移動可能に構成された蓋開閉部材を備える蓋開閉装置と、を備え、
前記蓋開閉部材は、
前記試薬容器の蓋を開放する第1の部材と、前記蓋を閉じる第2の部材と、を一体で備え、
前記試薬容器の上方の位置である第1の位置と、前記第1の位置から前記蓋開閉部材の底面が前記試薬容器に接するまで前記第1の方向に下降した位置である第2の位置とを互いに移動可能に構成され、
前記第2の位置と、前記第2の位置から前記第2の方向に移動した位置である第3の位置とを互いに移動可能に構成され、
前記第2の位置から前記第3の位置に移動する際に、前記第1の部材により前記蓋を開放し、
前記第3の位置から前記第2の位置に移動する際に、前記第2の部材により前記蓋を閉じ、
前記蓋は、
前記第1の方向及び前記第2の方向に垂直な第3の方向に平行な第1の辺と、
前記第1の辺に対向する第2の辺に設けられ、前記第1の辺よりも前記第2の方向の長さが大きい突起部とを備え、
前記突起部は、前記蓋が有するヒンジに対して前記第2の方向において対向する側に配置されており、
前記第1の部材は、前記蓋を開放するとき前記突起部に対して当接する曲面を有し、
前記蓋開閉部材が前記第2の位置から前記第3の位置に移動する際に、前記突起部が前記曲面の下端部から上端部に向かって当接して前記突起部が前記第1の部材によって押し上げられることにより、前記蓋が開放されることを特徴とする自動分析装置。
【請求項3】
前記第2の部材は、
前記第2の方向に突出する第1の段差と、
前記第2の方向に突出し、前記第1の段差よりも突出量が小さい第2の段差と、を備え、
前記蓋開閉部材が前記第3の位置から前記第2の位置に移動する際に、前記第1の段差の上端部に対し、前記突起部が上方から下方に向かって順次当接した後、前記第2の段差の下端部に対し、前記蓋の上面が上方から下方に向かって順次当接することにより、前記蓋を半開状態とすることを特徴とする請求項2に記載の自動分析装置。
【請求項4】
前記蓋開閉部材は、前記試薬庫の内部に配置されることを特徴とする請求項1または2記載の自動分析装置。
【請求項5】
前記蓋開閉装置は、
前記蓋開閉部材を前記第3の位置から前記第2の位置に移動して前記蓋を半開状態とした後、前記第2の位置からさらに下方に前記蓋開閉部材を移動させ、前記第1の段差の下端部により前記蓋の上面を押圧することで、前記蓋を半開状態よりもさらに閉じて全閉状態に近づけることを特徴とする請求項3に記載の自動分析装置。
【請求項6】
前記試薬庫は、
前記試薬容器の開口部に対向する分注穴と、
前記分注穴の開閉を制御する分注穴開閉手段と、をさらに備え、
前記分注穴開閉手段は、前記蓋開閉部材が前記第2の位置から前記第3の位置に移動するのに連動して前記分注穴を開放し、前記蓋開閉部材が前記第3の位置から前記第2の位置に移動するのに連動して前記分注穴を被覆することを特徴とする請求項1または2記載の自動分析装置。
【請求項7】
前記試薬庫は、
前記第2のフレームが貫通する開口をさらに備え、
前記蓋開閉装置は、
前記開口を塞ぐ気密シールをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項8】
前記第2の伝達手段は、
前記第1のフレームに設けられたクランク支軸と、
前記クランク支軸のまわりに遊星運動を行う第1のピンと、
前記第2のフレームに設けられ、前記第1の方向に移動可能なスライダと、
前記第1のピンよりも上方において、前記スライダに設けられた第2のピンと、
前記第1のピンと前記第2のピンとを連結するコネクティングロッドと、を備え、
前記蓋開閉部材は、
前記クランク支軸、前記第1のピン及び前記第2のピンが略一直線上に配置された際に前記第1の位置に位置することを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項9】
前記蓋開閉装置は、
前記第1のフレームに設けられた第1の検知レバーと、
前記第1の検知レバーが脱着される第1の光路を有する第1の検知手段と、をさらに備え、
前記第1の検知レバーは、前記第1のフレームが前記第2の方向に最も移動した際に前記第1の光路を遮光状態とし、
前記第1の検知手段は、前記第1の光路が遮光状態であるか否かにより、前記第1のフレームの位置を検出することを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項10】
前記蓋開閉装置は、
前記第2のモータの駆動に従って回転する第2の検知レバーと、
前記第1のフレームに設けられ、前記第2の検知レバーが脱着される第2の光路を有する第2の検知手段と、をさらに備え、
前記第2の検知レバーは、前記第2のフレームが前記第1の方向の最も上部に位置する際に前記第2の光路を遮光状態とし、
前記第2の検知手段は、前記第2の光路が遮光状態であるか否かにより、前記第2のフレームの位置を検出することを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項11】
前記蓋は、
前記第1の方向及び前記第2の方向に垂直な第3の方向に平行な第1の辺と、
前記第1の辺に対向する第2の辺に設けられ、前記第1の辺よりも前記第2の方向の長さが大きい突起部とを備え、
前記突起部は、前記第1の辺よりも前記第2の方向の前記第2の位置側に配置され、
前記蓋開閉装置は、
前記第2のフレームに対して相対的に前記第1の方向に移動可能な移動部材と、
前記移動部材に設けられた第3の検知レバーと、
前記第2のフレームに設けられ、前記第3の検知レバーが脱着される第3の光路を有する第3の検知手段と、をさらに備え、
前記移動部材は、前記第2のフレームを下降する際に、前記蓋開閉部材の底面が前記蓋に接することにより前記蓋開閉部材が前記第2の位置よりも上方で停止した場合に、前記第2のフレームに対して下方に移動し、
前記第3の検知レバーは、前記移動部材が前記第2のフレームに対して下方に移動した場合に、前記第3の光路を遮光状態から透光状態とし、
前記第3の検知手段は、前記第2のフレームを下降する際に前記第3の光路が遮光状態のままであるか否かにより、前記突起部が前記第1の辺よりも前記第2の方向の前記第2の位置側に配置されているか否かを検出することを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置は、血液や尿などのサンプルを自動的に分析する装置であり、試薬保冷庫内の試薬容器から所定量の試薬を分注してサンプルと混合することにより、測定を実行する。一般に、試薬容器から試薬を吸引するための開口部には、試薬の蒸発や劣化、液もれ等を防止するための蓋が設けられており、自動分析装置には、試薬容器の蓋を開閉する蓋開閉装置が備えられる。
【0003】
このような蓋開閉装置を備える自動分析装置として、特許文献1には、「分析に使用する試薬を収容する試薬容器を保管する試薬保冷庫と、前記試薬保冷庫内に設けられ、前記試薬容器の上方に突出して配置された開口部に設けられた蓋を開閉する試薬容器蓋開閉装置と、前記試薬保冷庫への前記試薬容器の搬入及び搬出を行う試薬ローダ機構と、前記試薬容器が前記試薬ローダ機構に挿入される際に前記試薬容器の開口部の蓋を半開状態にする試薬容器制御機構に設けられ、予め定められた向き以外での前記試薬容器の前記試薬容器制御機構への挿入を制限する挿入方向制限機構とを備えたことを特徴とする自動分析装置」が開示されている(請求項1参照)。
【0004】
また、特許文献2には、「試料を化学分析する自動分析装置であって、試料の分析に使用する試薬を収容した複数一組の試薬容器を複数組搭載可能な容器搬送装置と、この容器搬送装置上の分注撹拌位置にある試薬容器の蓋を開閉する試薬容器蓋開閉装置とを備え、当該試薬容器蓋開閉装置は、ユニットベースと、このユニットベースに連結したフック基部と、このフック基部を前記ユニットベースに対して前記試薬容器の蓋の開閉方向に平行移動させる蓋開閉用駆動装置と、前記フック基部に設けた複数のフックと、これらフックを前記フック基部に対して個別に揺動させ、各試薬容器の蓋に対して対応するフックを係脱させる複数のフック用駆動装置とを備えたことを特徴とする自動分析装置」が開示されている(請求項1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-075789号公報
【文献】国際公開第2011/074472号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された試薬容器蓋開閉装置は、試薬ローダ機構に対して試薬容器を挿入又は排出する際に試薬容器全体が水平移動するための空間が必要であり、試薬容器蓋開閉装置の小型化には限界がある。
【0007】
また、特許文献2においては、フック基部を蓋の開閉方向に平行移動させる蓋開閉用駆動装置と、複数のフック用駆動装置とを備えるため、各試薬容器の蓋を個別に開閉可能であるものの、構造が複雑であり、小型化が困難である。
【0008】
そこで、本開示は、構造が簡単で小型化が可能な自動分析装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の自動分析装置は、試薬を収容する試薬容器を保持する試薬庫と、鉛直方向に平行な第1の方向及び前記第1の方向に垂直な第2の方向に移動可能に構成された蓋開閉部材を備える蓋開閉装置と、を備え、前記蓋開閉部材は、前記試薬容器の蓋を開放する第1の部材と、前記蓋を閉じる第2の部材と、を一体で備え、前記試薬容器の上方の位置である第1の位置と、前記第1の位置から前記蓋開閉部材の底面が前記試薬容器に接するまで前記第1の方向に下降した位置である第2の位置とを互いに移動可能に構成され、前記第2の位置と、前記第2の位置から前記第2の方向に移動した位置である第3の位置とを互いに移動可能に構成され、前記第2の位置から前記第3の位置に移動する際に、前記第1の部材により前記蓋を開放し、前記第3の位置から前記第2の位置に移動する際に、前記第2の部材により前記蓋を閉じることを特徴とする。
【0010】
本開示に関連する更なる特徴は、本明細書の記述、添付図面から明らかになるものである。また、本開示の態様は、要素及び多様な要素の組み合わせ及び以降の詳細な記述と添付される特許請求の範囲の様態により達成され実現される。
本明細書の記述は典型的な例示に過ぎず、本開示の特許請求の範囲又は適用例を如何なる意味に於いても限定するものではないことを理解する必要がある。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、構造が簡単で小型化が可能な自動分析装置を提供することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1の実施形態に係る自動分析装置の平面図である。
図2】第1の実施形態に係る自動分析装置の斜視図である。
図3】試薬容器の構成を示す斜視図である。
図4図3のA-A断面図である。
図5】蓋開閉装置の正面図であり、蓋開閉カム部材が第1の位置にある。
図6図5のB-B断面図であり、蓋開閉カム部材が第1の位置にある。
図7】蓋開閉装置の斜視図であり、蓋開閉カム部材が第1の位置にある。
図8】蓋開閉装置及び分注穴カバーの斜視図である。
図9】蓋開閉装置及び分注穴カバーの平面図である。
図10】蓋開閉装置及び分注穴カバーの分解斜視図である。
図11】分注穴カバーの構成を示す平面図であり、スライドシャッタが閉じられた状態を示す。
図12】分注穴カバーの構成を示す平面図であり、スライドシャッタが開閉途中の状態を示す。
図13】分注穴カバーの構成を示す平面図であり、スライドシャッタが開放された状態を示す。
図14】Zスライドフレームの構成を示す斜視図である。
図15】Zスライドフレームの構成を示す背面斜視図である。
図16図14のC-C断面図である。
図17】蓋開閉カム部材の構成を示す図であり、図17(a)は上面図、図17(b)は図17(a)のA矢視図、図17(c)は図17(a)のD-D断面図、図17(d)は図17(a)のB矢視図、図17(e)は下面図である。
図18図18(a)は図17(c)のC矢視図であり、図18(b)は図17(c)のD矢視図である。
図19】蓋と蓋開閉カム部材の関係を示す正面概略図である。
図20図17(a)のD-D断面図であり、蓋開閉カム部材が第1の位置にある状態を示す。
図21図17(a)のD-D断面図であり、蓋開閉カム部材が第2の位置にある状態を示す。
図22図17(a)のD-D断面図であり、蓋開閉カム部材が第2の位置から第3の位置に移動する途中にある状態を示す。
図23図17(a)のD-D断面図であり、蓋開閉カム部材が第2の位置から第3の位置に移動する途中にある状態を示す。
図24図17(a)のD-D断面図であり、蓋開閉カム部材が第3の位置にある状態を示す。
図25図17(a)のD-D断面図であり、蓋開閉カム部材が第3の位置から第2の位置に移動する途中にある状態を示す。
図26図17(a)のD-D断面図であり、蓋開閉カム部材が第3の位置から第2の位置に移動する途中にある状態を示す。
図27図17(a)のD-D断面図であり、蓋開閉カム部材が第3の位置から第2の位置に移動する途中にある状態を示す。
図28図17(a)のD-D断面図であり、蓋開閉カム部材が第2の位置にある状態を示す。
図29】蓋開閉装置の斜視図であり、蓋開閉カム部材が第2の位置にある状態を示す。
図30】蓋開閉装置の斜視図であり、蓋開閉カム部材が第2の位置にある状態を示す。
図31】蓋開閉装置の正面図であり、蓋開閉カム部材が第2の位置にある状態を示す。
図32】蓋開閉装置の斜視図であり、蓋開閉カム部材が第3の位置にある状態を示す。
図33】蓋開閉装置の斜視図であり、蓋開閉カム部材が第3の位置にある状態を示す。
図34】蓋開閉装置の正面図であり、蓋開閉カム部材が第3の位置にある状態を示す。
図35図34のB-B断面図であり、開閉カム部材が第3の位置にある状態を示す。
図36】蓋開閉装置の正面図であり、蓋開閉カム部材が第2の位置にある状態を示す。
図37】蓋開閉装置の正面図であり、蓋開閉カム部材が第2の位置にある状態から蓋を閉じる方向の力を付与した状態を示す。
図38】蓋開閉装置の正面図であり、試薬容器が逆向きにセットされて、蓋開閉カム部材が下降途中で蓋に当接した状態を示す。
図39】蓋開閉装置の正面図であり、試薬容器が逆向きにセットされて、蓋開閉カム部材が下降途中で蓋に当接した状態を示す。
図40】蓋開閉装置の正面図であり、試薬容器がセットされておらず、蓋開閉カム部材が第4の位置にある状態を示す。
図41】第1の実施形態に係る自動分析装置の構成を示すブロック図である。
図42】蓋開閉装置による蓋の開き動作を示すフローチャートである。
図43】蓋開閉装置による蓋の閉じ動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本開示の実施形態を説明する。
【0014】
[第1の実施形態]
以下において、鉛直方向(第1の方向)にZ軸をとり、Z軸に直交し、自動分析装置1の蓋開閉装置22の長手方向に平行な方向(第2の方向)にX軸をとり、X軸に直交する方向(第3の方向)にY軸をとる。また、X軸の正方向側及び負方向側をそれぞれ「右」及び「左」、Y軸の正方向側及び負方向側をそれぞれ「後」及び「前」、Z軸の正方向側及び負方向側をそれぞれ「上」及び「下」という場合がある。
【0015】
図1及び2を参照して、第1の実施形態に係る自動分析装置1の全体構成について説明する。図1は、第1の実施形態に係る自動分析装置1の平面図である。図2は、第1の実施形態に係る自動分析装置1の斜視図である。
【0016】
図1及び2に示すように、自動分析装置1は、試薬ディスク2、安全カバー4、サンプル搬送手段5、サンプル分注手段6、チップラック7、搬送手段8、インキュベータ9、サンプル分注チップバッファ11、廃棄孔12、撹拌手段13、試薬分注プローブ15、撹拌手段16、洗浄手段17、反応溶液分注プローブ18、検出部19、筐体21、蓋開閉装置22、廃棄ボックス23及び試薬保冷庫24(試薬庫)を備える。
【0017】
筐体21は、略直方体の形状を有し、サンプル搬送手段5、洗浄手段17、廃棄ボックス23、試薬保冷庫24、図示しない基板や流路などを内部に収容する。
【0018】
安全カバー4は、例えばヒンジ等により筐体21の上面の一辺に支持され、ヒンジのまわりに開閉可能に構成される。図1及び2中の一点鎖線は、安全カバー4を閉じた状態を示す。安全カバー4は、例えばソレノイドなどによるインターロックが設けられており、自動分析装置1の動作中はソレノイドに通電することによって閂をかけ、安全カバー4を閉じた状態に維持する。自動分析装置1の停止中は、ソレノイドへの通電が解除され、安全カバー4が開放可能となる。
【0019】
サンプル搬送手段5は、例えばベルトコンベヤやラックハンドラ等から構成され、自動分析装置1内においてサンプル5aを移動し、サンプル分注手段6の可動域まで搬送する。
【0020】
チップラック7は、自動分析装置1から着脱可能に構成され、複数のサンプル分注チップ10及び複数の反応容器14が載置された状態で操作者により自動分析装置1の上面に配置される。
【0021】
搬送手段8は、平面方向及びZ軸方向に移動可能に構成され、チップラック7、インキュベータ9の一部、サンプル分注チップバッファ11、廃棄孔12及び撹拌手段13の上方を移動可能に構成される。搬送手段8として、例えば三軸ロボット等を用いることができる。搬送手段8は、チップラック7から反応容器14を一つずつ把持し、インキュベータ9へ移動させる。また、搬送手段8は、チップラック7からサンプル分注チップ10を一つずつ把持し、サンプル分注チップバッファ11まで移動させる。
【0022】
サンプル分注チップバッファ11は、搬送手段8が把持したサンプル分注チップ10を一時的に載置するバッファである。サンプル分注チップバッファ11は、複数のサンプル分注チップ10を載置可能に構成される。
【0023】
インキュベータ9は、略円盤形状を有し、回転可能に構成される。インキュベータ9は、周方向に沿って複数の反応容器14を保持し、インキュベータ9の回転によって、各反応容器14を所定の位置まで移動させることができる。
【0024】
サンプル分注手段6は、サンプル分注チップバッファ11の上部に移動して、サンプル分注チップ10のいずれか1つを把持し、サンプル5aの上部に移動して、サンプル分注チップ10の内部にサンプル5aを吸引する。その後、インキュベータ9上の反応容器14の上部へ移動し、サンプル5aをサンプル分注チップ10内部から反応容器14内に吐出する。その後、サンプル分注手段6は、廃棄孔12の上部に移動し、サンプル分注チップ10を廃棄孔12の内部に落下させる。
【0025】
廃棄ボックス23は、廃棄孔12の下部に配置され、廃棄されたサンプル分注チップ10及び反応容器14を蓄積する。廃棄ボックス23が満杯となった際には、操作者は、廃棄ボックス23を引き出して中身を廃棄することができる。
【0026】
試薬保冷庫24は、略円筒形状を有し、試薬ディスク2を収容する。試薬保冷庫24の上面には、試薬ディスク2に対する試薬容器3の着脱を行うための試薬容器装填口20が設けられる。また、試薬容器装填口20には、開閉式の試薬容器装填口蓋(不図示)が設けられ、ソレノイド等を用いたインターロックが設けられる。試薬保冷庫24は、試薬容器3を一定の温度に制御するために、断熱機能を有する。
【0027】
試薬ディスク2は、周方向に沿って複数の試薬容器3を放射状に保持するスロットを形成する。試薬ディスク2は、Z軸方向に延びる中心軸のまわりに回転可能に構成され、試薬ディスク2を回転することで、各試薬容器3を所定の位置へ移動させる。例えば、試薬ディスク2の回転により、目的の試薬を収容する試薬容器3を試薬分注位置15aに移動させることができる。試薬容器3の構成については後述する。なお、試薬容器3は、試薬の撹拌のための磁気粒子を含んでいてもよい。
【0028】
蓋開閉装置22は、試薬分注位置15aの長手方向に沿って試薬保冷庫24の上部に配置される。蓋開閉装置22は、試薬分注位置15aに位置する試薬容器3の蓋25を開閉可能に構成される。蓋開閉装置22の詳細は後述する。
【0029】
試薬分注プローブ15は、例えばアクチュエータなどによりXY軸方向(水平方向)に移動可能に構成される。試薬分注プローブ15は、試薬分注位置15aに位置する試薬容器3の蓋25が蓋開閉装置22により開放された後、試薬容器3から、所定量の試薬を試薬分注ピペット(不図示)によって吸引し、インキュベータ9に保持された反応容器14に分注する。その後、蓋開閉装置22は、蓋25を閉じる。
【0030】
撹拌手段16は、試薬分注位置15aの上部に設けられ、Z軸方向に延びる中心軸のまわりに回転可能な磁気粒子攪拌アームを備える。磁気粒子攪拌アームの下端には、例えばパドル状や螺旋状の磁気粒子攪拌手段が設けられる。磁気粒子攪拌アームは、磁気粒子を含む試薬内に磁気粒子攪拌手段を下降させて回転させることによって試薬を攪拌する。試薬内の磁気粒子の沈殿を防止するために、磁気粒子攪拌アームは、試薬分注プローブ15により試薬が分注される直前に試薬を攪拌する。攪拌後、磁気粒子攪拌アームは、洗浄液が入った洗浄手段17へ移動し、磁気粒子攪拌手段を回転させて洗浄する。
【0031】
所定の試薬とサンプル5aが分注された反応容器14は、インキュベータ9により所定温度に管理され、所定の時間、反応を促進される。試薬とサンプル5aの反応溶液は、反応溶液分注プローブ18によって反応容器14から検出部19へ供給され、検出部19によってその物理特性が検出される。物理特性としては、例えば発光量、散乱光量、透過光量、電流値、電圧値などが挙げられるが、これらに限定されない。なお、検出部19は、反応容器14内に反応溶液を保持したまま分析を行っても良い。
【0032】
検出部19による分析が終了した反応溶液を収容する反応容器14は、搬送手段8によって廃棄孔12の上部まで移動され、廃棄孔12内に廃棄される。なお、測定の種類によっては、1つの反応容器14を複数回の測定に使用しても良い。その場合は、分析が終了した反応容器14内の反応溶液を廃棄した後で、反応容器14を洗浄する。
【0033】
図1に示すように、自動分析装置1には、ホストコンピュータ200が接続され、自動分析装置1の上記構成の一連の動作は、ホストコンピュータ200によって制御される。
【0034】
図3は、試薬容器3の構成を示す斜視図である。図3に示すように、試薬容器3は、蓋25、試薬容器ケース26及び容器28を備える。試薬容器ケース26は、略直方体の外形をなし、Z軸方向の長さが最大、Y軸方向の長さが最小である。試薬容器ケース26のY軸方向の長さをS3とする。
【0035】
各容器28の上面には、円筒状の開口部29と、開口部29に対応する蓋25が設けられる。蓋25のY軸方向の長さをS2とする。蓋25のX軸方向の左端(第1の辺)はヒンジ30となっており、蓋25は、ヒンジ30のまわりに開閉可能に構成される。蓋25のX軸方向の右端(第2の辺)には、Y軸方向の長さがS1(S1>S2)である蓋先端突起32(突起部)が設けられる。
【0036】
図3に示すように、試薬容器3は、例えば試薬の種類を記載したRFIDタグ33などの情報記載手段を備えていてもよく、試薬容器3を試薬ディスク2にセットする際に、RFIDタグリーダ34(図3及び4には不図示)などの情報識別手段によって試薬容器3内の試薬の種類を判別する構成であってもよい。試薬容器3が試薬ディスク2内に正しくセットされると、RFIDタグリーダ34がRFIDタグ33の情報を読み取って、その情報をホストコンピュータ200に送信し、ホストコンピュータ200は、試薬の種類をシステムに登録する。
【0037】
図4は、図3のA-A断面図であり、蓋25の全開状態(a)、半開状態(b)、及び全閉状態(c)を示す。図4に示すように、容器28は、試薬液27を収容し、試薬容器ケース26の内部に3つ、ピッチpで等間隔にX軸方向に沿って収納される。なお、容器28は、試薬容器ケース26から着脱可能であってもよい。3つの容器28は互いに近接して設けられているので、試薬容器3のX軸方向の長さWbは、(3×p)にほぼ等しい。蓋25の下面には、略円盤状の封止部31が設けられ、封止部31は、蓋25を閉じた際に開口部29の内周部と勘合して開口部29を密閉する。
【0038】
蓋25の全開状態(a)において、蓋25は、ヒンジ30のまわりに回動して、全開角度、例えば水平より75°以上開いた位置にある。このとき、蓋先端突起32の最大高さは、試薬容器ケース26の上面107からh4である。全開状態においては、開口部29が開放されており、試薬分注プローブ15を容器28内に下降させて、試薬液27を吸引可能な状態である。
【0039】
蓋25の半開状態(b)は、一旦開いた蓋25を開口部29に軽く押し込んだ程度に閉じた状態であり、封止部31の外周が開口部29の内周に接する。このとき、蓋先端突起32の最大高さは、試薬容器ケース26の上面107からh3である。半開状態において、試薬液27の蒸発を防止することができる。蓋25は、半開状態からは弱い力で開放することができる。
【0040】
蓋25の全閉状態(c)においては、封止部31が開口部29に一杯まで押し込まれており、蓋25が完全に閉じられた状態である。全閉状態において、蓋先端突起32の最大高さは、試薬容器ケース26の上面107からh2であり、蓋先端突起32の下面の高さはh1である(h4>h3>h2>h1)。
【0041】
未使用の試薬容器3においては、蓋25は全て全閉状態にあり、各容器28は密閉されている。全閉状態から蓋25を開放する際には、封止部31が完全に開口部29に嵌合した状態であるため、強い開き力を要し、封止部31が開口部29から離反した後は、蓋25は、ヒンジ30のまわりに弱い力で回動する。
【0042】
次に、図5~10を参照して、蓋開閉装置22の構成について説明する。図5~10は、試薬ディスク2に試薬容器3がセットされた状態を示す。図5は、蓋開閉装置22の正面図であり、図6は、図5のB-B断面図である。図7及び8は、蓋開閉装置22の斜視図である。ここで、図7は、試薬保冷庫24と、試薬保冷庫24の試薬分注位置15aに設けられた分注穴カバー69を省略した図であり、図8は、分注穴カバー69を図示する一方で、試薬容器3及び蓋開閉カム部材36を省略した図である。図9は、蓋開閉装置22の上面図であり、図10は蓋開閉装置22の分解斜視図である。
【0043】
蓋開閉装置22は、蓋開閉カム部材36(蓋開閉部材)、固定フレーム37、固定レール38a(第1のレール)、スライド部38b、Xスライドフレーム39(第1のフレーム)、固定レール40a(第2のレール)、スライド部40b及びZスライドフレーム41(第2のフレーム)を備える。
【0044】
蓋開閉カム部材36は、蓋25と試薬保冷庫24との間に配置され、蓋開閉カム部材36の底面と、蓋25の上面との間には隙間が設けられる。換言すれば、蓋開閉カム部材36のZ軸方向の高さは、蓋25と試薬保冷庫24との間の隙間より小さい。これにより、試薬容器3の入った試薬ディスク2を回転させることができる。
【0045】
固定フレーム37は、XZ平面に略平行であり、試薬保冷庫24の上面に固定される。固定フレーム37は、上方から見て略U字形状を有し、Y軸方向から見て略L字形状を有する。
【0046】
固定レール38aは、X軸方向に延伸し、固定フレーム37の下端部に固定される。スライド部38bは、固定レール38aに沿ってX軸方向に移動可能に構成される。固定レール38a及びスライド部38bは、Xスライドフレーム39のX軸方向への移動を可能とするXレール38を構成する。Xスライドフレーム39は、XZ平面に略平行であり、スライド部38bに固定され、スライド部38bとともに、固定フレーム37に対してX軸方向に移動可能に構成される。
【0047】
固定レール40aは、Z軸方向に延伸し、Xスライドフレーム39の中央部に固定される。スライド部40bは、固定レール40aに沿ってZ軸方向に移動可能に構成される。固定レール40a及びスライド部40bは、Zスライドフレーム41のZ軸方向への移動を可能とするZレール40を構成する。
【0048】
Zスライドフレーム41は、XZ平面に略平行であり、スライド部40bに固定され、Z軸方向に延伸し、下端部が試薬保冷庫24の内部に位置する。Zスライドフレーム41の下端部は蓋開閉カム部材36と接続され、蓋開閉カム部材36と一体としてZ軸方向に移動可能に構成される。以上の構成を有することにより、Xスライドフレーム39がX軸方向に移動し、Zスライドフレーム41がZ軸方向に移動することで、蓋開閉カム部材36は、Zスライドフレーム41とともにX軸方向及びZ軸方向に移動する。
【0049】
図6に示すように、Zスライドフレーム41は、試薬保冷庫24より上方は常温領域にあり、下方は低温の試薬保冷庫24内にあって、異なる温度領域に跨って設けられる。図6に示すように、蓋開閉装置22は、分注穴カバー69の下面にヒータ85を備える。ヒータ85は、分注穴70a~70cの周囲やスライドシャッタ35を加熱し、これらの結露を防止する。
【0050】
次に、Xスライドフレーム39をX軸方向に駆動する構成について説明する。蓋開閉装置22は、Xスライドフレーム39の駆動源であるXモータ43(第1のモータ)を備える。また、蓋開閉装置22は、Xモータ43の駆動力をXスライドフレーム39に伝達する第1の伝達手段として、モータピニオン44、アイドラギヤ45、アイドラ支軸46、Xピニオン47及びラック48を備える。
【0051】
Xモータ43は、固定フレーム37に固定される。Xモータ43は、一例としてステッピングモータであり、ホストコンピュータ200から入力される駆動信号に応じて所定の角度だけ回転駆動するものである。Xスライドフレーム39の移動量は、Xモータ43に入力される駆動信号のパルス数によって制御される。また、Xスライドフレーム39の移動速度は、Xモータ43に入力される駆動信号のパルス周波数によって制御される。Xモータ43は、Y軸方向に延伸する出力軸が固定フレーム37を貫通する。
【0052】
モータピニオン44は、Xモータ43の出力軸に固定される。アイドラ支軸46は、Y軸方向に延伸し、固定フレーム37に固定される。アイドラギヤ45は、アイドラ支軸46に対して回転可能に軸支される。アイドラギヤ45は、モータピニオン44よりも歯数の大きなギヤであり、モータピニオン44と噛み合ってXモータ43の回転を減速する。
【0053】
Xピニオン47は、アイドラギヤ45よりも歯数が小さく、アイドラ支軸46に軸支され、アイドラギヤ45と同軸に、且つ一体として回転する。
【0054】
ラック48は、Xスライドフレーム39の一端部(右端部)に設けられ、X軸方向に延伸し、Xピニオン47と噛み合う。
【0055】
このような構成を有することにより、Xモータ43を回転駆動すると、モータピニオン44、アイドラギヤ45、Xピニオン47及びラック48を介してXスライドフレーム39に駆動力が伝達され、Xスライドフレーム39がラック48とともにX軸方向に移動する。
【0056】
次に、Zスライドフレーム41をZ軸方向に駆動する構成について説明する。蓋開閉装置22は、Zスライドフレーム41の駆動源であるZモータ49(第2のモータ)を備える。また、蓋開閉装置22は、Zモータ49の駆動力をZスライドフレーム41に伝達する第2の伝達手段として、モータピニオン50、クランクギヤ51、クランクギヤ支軸52(クランク支軸)、クランクピン53(第1のピン)、第1の凸部54、第2の凸部55、スライダ軸56、スライダ57(移動部材)、スライダスプリング60、スライダピン61(第2のピン)及びコネクティングロッド62を備える。
【0057】
Zモータ49は、Xスライドフレーム39に固定される。Zモータ49は、一例としてステッピングモータであり、ホストコンピュータ200から入力される駆動信号に応じて所定の角度回転するものである。Zスライドフレーム41の移動量は、Zモータ49に入力される駆動信号のパルス数によって制御される。また、Zスライドフレーム41の移動速度は、Zモータ49に入力される駆動信号のパルス周波数によって制御される。Zモータ49の出力軸は、Y軸方向に延伸し、Xスライドフレーム39を貫通する。
【0058】
モータピニオン50は、Zモータ49の出力軸に固定される。クランクギヤ支軸52は、Y軸方向に延伸し、Xスライドフレーム39に固定される。クランクギヤ51は、クランクギヤ支軸52に対して回転可能に軸支される。クランクギヤ51は、モータピニオン50よりも歯数の大きなギヤであり、モータピニオン50と噛み合ってZモータ49の回転を減速する。クランクギヤ51の外周近傍には、Y軸方向に延伸するクランクピン53が設けられ、クランクピン53は、クランクギヤ支軸52のまわりに遊星運動する。
【0059】
第1の凸部54は、XY平面に平行な略板状に形成され、Zスライドフレーム41の上端部に設けられる。また、Zスライドフレーム41には、第1の凸部54の下方に、XY平面に平行な略板状の第2の凸部55が設けられる。
【0060】
第1の凸部54及び第2の凸部55には、スライダ軸56を貫通させるための貫通穴が設けられる。スライダ軸56は、第1の凸部54と第2の凸部55をZ軸方向に貫通するようZ軸方向に延伸する。
【0061】
スライダ57は、スライダ軸56に沿ってZ軸方向に移動可能に構成される。スライダ57の上端部は、XY平面に平行な略板状の第1のスライダ凸部58となっており、第1の凸部54の下面に接するよう配置される。スライダ57の下端部には、第1のスライダ凸部58と同様に、XY平面に平行な略板状の第2のスライダ凸部59が設けられる。
【0062】
第1のスライダ凸部58及び第2のスライダ凸部59には、スライダ軸56を貫通させるための貫通穴が設けられる。第1のスライダ凸部58の下面と、第2の凸部55との間には、スライダ軸56に沿ってスライダスプリング60が設けられ、第1のスライダ凸部58と第2の凸部55とを互いに離反する方向に付勢する。スライダスプリング60は、例えば圧縮ばねである。
【0063】
スライダ57の上端部のX軸負方向側には、Y軸方向に延伸するスライダピン61が設けられる。クランクギヤ51に設けられたクランクピン53には、コネクティングロッド62の一端が回転可能に接続され、スライダ57に設けられたスライダピン61には、コネクティングロッド62の他端が回転可能に接続される。このように、クランクギヤ51及びスライダ57は、コネクティングロッド62を介して連結される。
【0064】
このような構成を有することにより、Zモータ49が回転駆動すると、モータピニオン50、クランクギヤ51、コネクティングロッド62、スライダ57、スライダスプリング60の順に駆動力がZスライドフレーム41に伝達され、Zスライドフレーム41が固定レール40aに沿ってZ軸方向に移動する。
【0065】
ここで、Zモータ49の駆動力の伝達経路のうち、Zモータ49側を上流側、Zレール40側を下流側とする。Zスライドフレーム41は、スライダ57及びスライダスプリング60よりも下流側に位置し、Zレール40に直接取り付けられるため、スライダ57がスライダスプリング60を圧縮させるよう変位した場合であっても、精度よくZ軸方向に移動することができる。スライダ57及びスライダスプリング60の作用については後述する。
【0066】
Zモータ49を駆動することでZスライドフレーム41がZ軸方向に移動するのに伴って、蓋開閉カム部材36もZ軸方向に移動する。以下において、蓋開閉カム部材36が上昇する方向にZモータ49を駆動することを「上昇方向に駆動する」という場合がある。また、蓋開閉カム部材36が下降する方向にZモータ49を駆動することを「下降方向に駆動する」という場合がある。
【0067】
次に、Xスライドフレーム39及びZスライドフレーム41の位置、並びに試薬容器3の向きを判別する構成について説明する。蓋開閉装置22は、Xスライドフレーム39の位置を判別する第1の検知手段63及び第1の検知レバー64、Zスライドフレーム41の位置を判別する第2の検知手段65及び第2の検知レバー66、並びに試薬容器3の向きを判別する第3の検知手段67及び第3の検知レバー68を備える。
【0068】
検知手段63、65及び67は、光学的な検知手段であり、それぞれ略U字形状に形成され、凹部が光路を形成する。検知手段63、65及び67は、それぞれ光路に検知レバー64、66及び68が挿入されることにより遮光状態(OFF)となり、光路から検知レバー64、66及び68が退避した場合に透光状態(ON)となる。検知手段63、65及び67は、透光状態(ON)と遮光状態(OFF)とを判別する信号をホストコンピュータ200に出力する。
【0069】
第1の検知手段63は、固定フレーム37の上端部且つ右端部に配置される。図5に示すように、第1の検知レバー64は、Xスライドフレーム39のX軸方向端部(右端部)に設けられ、Xスライドフレーム39のX軸方向の位置が最大となる際に第1の検知手段63の光路(第1の光路)を遮る。このように、第1の検知手段63がOFFとなるXスライドフレーム39の位置を「X原点位置」という。Xモータ43が駆動されて、Xスライドフレーム39がX原点位置からX軸負方向に移動すると、第1の検知手段63がOFFからONになるため、ホストコンピュータ200は、Xスライドフレーム39が移動したと判断できる。
【0070】
第2の検知手段65は、Xスライドフレーム39のクランクギヤ51の下方に設けられる。図5に示すように、第2の検知レバー66は、クランクギヤ51の背面において、クランクギヤ支軸52に軸支され、Zモータ49の駆動に従ってクランクギヤ支軸52のまわりに回転する。第2の検知レバー66は、クランクギヤ51の外周よりも外側に延伸する。第2の検知レバー66は、クランクギヤ支軸52、クランクピン53及びスライダピン61が略一直線上に配置され、スライダ57及びZスライドフレーム41のZ軸方向の位置が最大となる際に、第2の検知手段65の光路(第2の光路)を遮る。このように、第2の検知手段65がOFFとなるZスライドフレーム41の位置を「Z原点位置」という。Zモータ49が駆動されて、クランクギヤ51が時計回りに回転すると、第2の検知手段65がOFFからONになるため、ホストコンピュータ200は、Zスライドフレーム41がZ原点位置から下降したと判断できる。
【0071】
Zスライドフレーム41がZ原点位置にある場合、クランクギヤ支軸52、クランクピン53及びスライダピン61が略一直線上に配置され、コネクティングロッド62がつっぱり棒となって、クランクギヤ支軸52に対してスライダピン61を強固に支持する。これにより、Zモータ49への通電を切断してZモータ49が駆動トルクを生じない状態となっても、Zスライドフレーム41が自重で下降せず、Z原点位置を維持できる。
【0072】
本明細書において、Xスライドフレーム39がX原点位置に位置し、且つZスライドフレーム41がZ原点位置に位置する際のZスライドフレーム41の位置を「原点位置」という。また、Zスライドフレーム41が原点位置に位置する際の蓋開閉カム部材36の位置を「第1の位置」という。
【0073】
第3の検知手段67は、Zスライドフレーム41の上端部、且つスライダ57の上方に設けられる。第3の検知レバー68は、スライダ57の第1のスライダ凸部58からZ軸方向に延伸し、第3の検知手段67の光路(第3の光路)を遮る。第3の検知手段67は、スライダ57がZスライドフレーム41に対して相対的に下降した場合に、第3の検知レバー68が光路から退避し、ONとなる。後述するように、試薬容器3が逆向きにセットされた場合に、スライダ57がZスライドフレーム41に対して相対的に下降し、第3の検知手段67がONとなる。
【0074】
次に、分注穴カバー69の構成について説明する。図5~10に示すように、試薬保冷庫24は、蓋開閉装置22の蓋開閉カム部材36の上方に分注穴カバー69を備える。図5及び6に示すように、分注穴カバー69は、例えばスポンジ状ゴム製のシール71を介して試薬保冷庫24の上面に取り付けられ、試薬保冷庫24内への外気の流入を防止する。
【0075】
分注穴カバー69は、試薬分注プローブ15を容器28内に下降させるための3つの分注穴70a~70cがX軸方向に沿って一列に穿設される。分注穴70a~70cは、試薬ディスク2にセットされた試薬容器3の開口部29に対向する。
【0076】
試薬保冷庫24の上面及び分注穴カバー69には、Zスライドフレーム41が貫通し、Zスライドフレーム41がX軸方向及びZ軸方向に移動するための支柱移動開口42(開口)が設けられる。支柱移動開口42は、X軸方向を長手方向とする略長方形をなし、Zスライドフレーム41との間に隙間を有する。
【0077】
Zスライドフレーム41の蓋開閉カム部材36との接続部分においては、Zスライドフレーム41の周囲に気密シール72が設けられる。気密シール72は、Zスライドフレーム41が原点位置に位置する際に、支柱移動開口42を下方から塞ぐ位置に配置される。気密シール72の上面側は、例えば薄肉の柔軟なヒレ状パッキンであり、試薬保冷庫24及び分注穴カバー69の下面側から支柱移動開口42の周囲に接した際に変形して、支柱移動開口42を隙間無く塞ぐ。これにより、支柱移動開口42から試薬保冷庫24内に温度差のある外気が侵入したり、外気中の湿気や異物等が侵入したりすることを防止できる。
【0078】
分注穴カバー69は、スライドシャッタ35(分注穴開閉手段)と、スライドシャッタ35を移動させるリンク機構として、アーム支軸73、シャッタ軸74、リンクアーム75、連結リンク軸76、連結リンク77、シャッタ連動アーム79、シャッタ連動ピン受け部80及びアームオサエツメ82を備える。
【0079】
スライドシャッタ35は、分注穴70a~70cを覆うように分注穴70a~70cの上部に配置され、XY平面において摺動可能に構成される。スライドシャッタ35には、Z軸方向に突出し、X軸方向に沿った前方の辺に配置される一対のシャッタ軸74が設けられる。分注穴カバー69には、Z軸方向に突出する一対のアーム支軸73がX軸方向に沿って並置される。一対のシャッタ軸74同士の間隔は、一対のアーム支軸73の間隔と等しい。
【0080】
一対のアーム支軸73には、それぞれリンクアーム75の一端が回動可能に軸支されており、他端はシャッタ軸74に軸支される。リンクアーム75は、アーム支軸73とシャッタ軸74とを結んだ線に対してX軸正方向に突出する略T字形状を有し、X軸正方向に突出した先端部には、Z軸方向に突出する連結リンク軸76が設けられる。
【0081】
連結リンク77は、X軸方向に延伸し、一対の連結リンク軸穴78がX軸方向両端部に設けられており、一対の連結リンク軸穴78同士の間隔は、分注穴カバー69に設けられた一対のアーム支軸73の間隔と等しい。連結リンク軸穴78には、連結リンク軸76が回動可能に軸支される。
【0082】
一対のアーム支軸73の間隔と、一対のシャッタ軸74の間隔と、一対の連結リンク軸76の間隔とは互いに等しいので、一対のリンクアーム75は、互いに平行を保ちつつ、それぞれアーム支軸73のまわりに回動する。また、連結リンク77とスライドシャッタ35とは互いに平行を維持しつつ、アーム支軸73のまわりに揺動する。
【0083】
シャッタ連動アーム79は、全体としてY軸方向に延伸し、スライドシャッタ35の全開時に分注穴70a~70cを塞がないように、屈曲した形状を有する。シャッタ連動アーム79の一端は連結リンク77に接続され、他端はZスライドフレーム41の右方に位置し、開口したシャッタ連動ピン受け部80が設けられる。シャッタ連動ピン受け部80は、Y軸方向の長さがX軸方向の長さよりも大きな略長円形を有する。
【0084】
Zスライドフレーム41には、下方に突出する略円筒状のシャッタ連動ピン81が設けられる。シャッタ連動ピン81は、シャッタ連動ピン受け部80の上方に位置し、Zスライドフレーム41を下降した際に、シャッタ連動ピン受け部80と隙間をもって勘合する。シャッタ連動ピン81がシャッタ連動ピン受け部80と嵌合した状態において、Zスライドフレーム41が移動すると、連結リンク77がシャッタ連動ピン81及びシャッタ連動ピン受け部80を介して移動し、リンクアーム75が連結リンク軸76を介してアーム支軸73のまわりに回動して、スライドシャッタ35が移動する。
【0085】
アームオサエツメ82は、シャッタ連動アーム79の上方に適度な隙間をもって設けられ、シャッタ連動アーム79が浮き上がることを防止する。
【0086】
図6及び8に示すように、アーム支軸73、シャッタ軸74、リンクアーム75、連結リンク軸76及び連結リンク77は、リンク部カバー120によって覆われる。
【0087】
次に、Zスライドフレーム41の動作とスライドシャッタ35の動作の関係について、図11~13を用いて説明する。図11~13は、分注穴カバー69の構成を示す平面図であり、モータやギヤなどの図示を省略している。
【0088】
図11は、Zスライドフレーム41を原点位置から下降して、シャッタ連動ピン81がシャッタ連動ピン受け部80と勘合した状態を示している。このとき、蓋開閉カム部材36は、「第2の位置」に位置する。第2の位置の詳細については後述する。
【0089】
図11に示すように、スライドシャッタ35が分注穴70a~70cを被覆した状態を「被覆状態」という。分注穴70a~70cの周囲には、例えば高さ1mm以下の分注穴リブ83a~83cが設けられ、分注穴70a~70cから異物が試薬ディスク2内に落下することを防止する。
【0090】
分注穴リブ83a~83cよりも外側、且つ、被覆状態のスライドシャッタ35の外周よりも内側には、分注穴リブ83a~83cよりもZ軸方向の高さが高い、例えば高さが1mmよりも大きいシャッタリブ84が設けられている。被覆状態のスライドシャッタ35は、シャッタリブ84に当接して支持され、スライドシャッタ35の下面は、分注穴リブ83a~83cとは隙間を有する。
【0091】
図12は、Xスライドフレーム39及びZスライドフレーム41がX軸負方向に移動する途中の状態を示している。シャッタ連動アーム79は、Zスライドフレーム41とともに、X軸負方向、すなわち分注穴70a~70cに近づく方向に移動する。一対の連結リンク軸76は、互いに平行を維持する一対のリンクアーム75を介してアーム支軸73のまわりに回動し、円弧状の軌跡を描くので、連結リンク77は、被覆状態と平行なまま、連結リンク軸76の円弧状の軌跡に沿って移動する。
【0092】
一対のシャッタ軸74は、互いに平行を維持する一対のリンクアーム75を介してアーム支軸73のまわりに回動する円弧状の軌跡を描くので、スライドシャッタ35は、被覆状態と平行なまま、シャッタ軸74の円弧状の軌跡に沿って移動する。
【0093】
図12において、スライドシャッタ35は、図11に示した被覆状態と比較すると左前方向に移動しており、分注穴70a~70cは一部が開放しつつある。
【0094】
図13は、Xスライドフレーム39及びZスライドフレーム41が最もX軸負方向に移動した状態を示している。このとき、蓋開閉カム部材36は、「第3の位置」に位置する。第3の位置の詳細については後述する。
【0095】
シャッタ軸74は、アーム支軸73に対して略X軸負方向に並ぶ位置にまで回動し、スライドシャッタ35は、分注穴70a~70cを全て開放した全開位置にある。図13に示すように、シャッタ連動アーム79は、屈曲した形状を有するため、スライドシャッタ35の全開時に分注穴70a~70cは塞がれない。スライドシャッタ35の全開時において、スライドシャッタ35は、シャッタリブ84に載置された状態を維持するとともに、リンク部カバー120に収納される。
【0096】
以上のように、蓋開閉カム部材36が第2の位置にある状態から、Zスライドフレーム41がX軸負方向に向かって移動すると、スライドシャッタ35は、被覆状態から全開位置に移動して、分注穴70a~70cを開放する。
【0097】
一方、蓋開閉カム部材36が第3の位置にある状態から、Zスライドフレーム41がX軸正方向に向かって移動すると、スライドシャッタ35は、全開位置から被覆状態となる位置にして、分注穴70a~70cを被覆する。
【0098】
スライドシャッタ35は、シャッタリブ84に載置された状態で移動するため、スライドシャッタ35の下面は、分注穴リブ83a~83cとは隙間を維持したまま移動する。従って、スライドシャッタ35が閉じる際に、スライドシャッタ35の後側の辺が異物を分注穴70a~70c内に押し込んで落下させる恐れがなく、信頼性の高い自動分析装置を提供することができる。
【0099】
Zスライドフレーム41が原点位置にある際には、スライドシャッタ35は、シャッタリブ84に載置されて分注穴70a~70cを被覆するため、分注穴70a~70cから、温度差のある外気が試薬保冷庫24内に侵入したり、外気中の湿気や異物が試薬保冷庫24内に侵入したりすることを防止できる。
【0100】
次に、Zスライドフレーム41の構成について、図14及び15を用いて説明する。図14は、Zスライドフレーム41を左前上方から見た斜視図である。
【0101】
図14に示すように、Zスライドフレーム41は、支持部86及び支柱部87から構成される。支持部86は、支柱部87の上方に配置され、スライド部40bに取り付けられる。支持部86は、試薬保冷庫24の外部に配置され、周囲温度は例えば20℃程度の常温である。
【0102】
支柱部87は、支持部86と蓋開閉カム部材36との間に配置され、下端が気密シール72を介して蓋開閉カム部材36と接続される。蓋開閉カム部材36は、試薬保冷庫24内に配置され、周囲温度は例えば5℃程度の低温である。すなわち、支柱部87は、上部は常温条件下、下部は低温条件下にあり、異なる温度帯を跨いで配置される。
【0103】
ここで、試薬保冷庫24の内部を安定して低温に維持することが望ましいので、支柱部87を経由した試薬保冷庫24外部からの熱伝導を小さくすることが望ましい。そのため、支柱部87の材料は、熱伝導率が小さいことが好適であり、金属材料ではなく樹脂材料であることが好ましい。
【0104】
図15は、Zスライドフレーム41を右下後方から見た斜視図である。図15に示すように、支柱部87は、格子状のリブ90で区切った空気層である複数のセル88を備える。支柱部87は、後面が支柱裏蓋89により塞がれ、これによりセル88内と外気との流通を阻止し、セル88を断熱層とすることができる。さらに、リブ90により、セル88内の空気のZ軸方向の対流を防止することができるので、支柱部87を経由して試薬保冷庫24内へ流入する熱量が低減され、試薬保冷庫24内の温度を安定的に維持することができる。
【0105】
さらに、図示しないネジを用いて、支柱裏蓋89の四隅に配置されたネジ穴91及び92において支柱裏蓋89を支柱部87にネジ留めすることで、支柱部87の曲げ剛性やねじり剛性が向上し、外力を受けた際の変形を防止できる。これにより、蓋25の開閉動作が安定して、信頼性の高い自動分析装置を提供できる。
【0106】
上述のように、本実施形態においては、Zスライドフレーム41の支柱部87の下端に蓋開閉カム部材36を一体に設けた構成を図示しているが、蓋開閉カム部材36はZスライドフレーム41と別体とし、ネジやリベットにより支柱部87と締結される構成であってもよい。この場合、異なる温度帯に跨がる支柱部87は樹脂材料で構成され、蓋開閉カム部材36は、例えばステンレスなどの金属材料で構成されてもよい。
【0107】
次に、蓋開閉カム部材36の構成について、図16~19を用いて説明する。図16は、図14のC-C断面図である。図16に示すように、蓋開閉カム部材36(蓋開閉部材)は、蓋開きカム部36a(第1の部材)及び蓋閉じカム部36b(第2の部材)を一体で備える。蓋開きカム部36aは、蓋25を全閉又は半開状態から全開状態まで開放する。蓋閉じカム部36bは、蓋25を全開状態から半開状態まで閉じる。
【0108】
図17は、蓋開閉カム部材36の構成を示す図であって、図17(a)は蓋開閉カム部材36の上面図、図17(b)は図17(a)のA矢視図、図17(c)は図17(a)のD-D断面図、図17(d)は図17(a)のB矢視図、及び図17(e)は下面図である。図18(a)は、図17(c)のC矢視図であり、図18(b)は、図17(c)のD矢視図である。
【0109】
図17(a)及び図18に示すように、蓋開閉カム部材36の上面には、ピッチpの間隔で上面開口93が設けられており、蓋25を開放した際に、上面開口93が試薬容器3の開口部29の直上に位置するよう配置される。
【0110】
後述するように、蓋開閉カム部材36がX軸方向に移動することで蓋25の開閉動作が行われるため、蓋開閉カム部材36は、第1の位置に移動した際に試薬ディスク2の外周内壁96と近接する角部94と、第3の位置に移動した際に試薬ディスク2の内周外壁97と近接する角部95とを削除した形状とする。これにより、試薬ディスク2と蓋開閉カム部材36との隙間を確保するとともに、試薬ディスク2を小型化しつつ蓋開閉カム部材36のX軸方向の移動を可能にする。
【0111】
図17(c)に示すように、蓋開きカム部36a及び蓋閉じカム部36bは、試薬容器3に3つの蓋25がピッチpでX軸方向に沿って配置されることに対応して、それぞれピッチpでX軸方向に沿って3対配置される。1対の蓋開きカム部36a及び1対の蓋閉じカム部36bは、それぞれ上面開口93を挟んでY軸方向に略対称に配置される。蓋開きカム部36a及び蓋閉じカム部36bは、互いに対向する。
【0112】
図17(e)に示すように、蓋開閉カム部材36の底面である蓋開閉カム部材底部98は、蓋25のY軸方向の長さS2より大きく、且つ蓋先端突起32のY軸方向の長さS1より小さい間隔V(S2<V<S1)の領域よりも外側に配置される。蓋先端突起32の上方に蓋開閉カム部材底部98が位置する状態から蓋開閉カム部材36を下降させると、蓋開閉カム部材底部98は、蓋先端突起32に当接する。一方、蓋開閉カム部材底部98が蓋先端突起32の上方以外に位置する状態から蓋開閉カム部材36を下降させると、蓋開閉カム部材底部98は、試薬容器ケース26の上面107に当接する。これにより、蓋開閉カム部材底部98が上面107に沿ってX軸方向に摺動することができる。
【0113】
蓋開きカム部36aは、蓋25の開き動作時に蓋先端突起32に当接する蓋開きカム曲面99を備える。蓋開きカム曲面99は、Y軸方向の間隔V(S2<V<S1)で設けられたv面と、Y軸方向の間隔U(S1<U)で設けられたu面とを仕切る曲面である。図17(c)、図18又は図19に示すように、蓋開きカム曲面99は、第1領域103及び第2領域104を滑らかに接続した略円弧状の曲面を有し、全体としてZ軸方向に延伸し、X軸方向に湾曲する。
【0114】
図19は、蓋開閉カム部材36と蓋25の概略正面図であり、蓋開きカム部36aと蓋閉じカム部36bの概略構成を示している。図19に示すように、蓋開きカム部36aの先端面101は、蓋開閉カム部材底部98からの高さh5(h5<h1)に配置された開き先端部100から、下方に延伸する。第1領域103は、蓋開閉カム部材底部98に対する角度θ1(0゜<θ1<90゜)で開き先端部100から延伸し、徐々に角度を変えて、高さh7で略90°になる曲面である。第2領域104は、高さh7よりも上方において、90°よりも大きな角度で延伸し、上端点102に至る曲面である。
【0115】
蓋開きカム曲面99は、上端点102より上方は、高さh8までZ軸方向に延伸しており、蓋25が全開状態となった際に蓋先端突起32が配置される空間105を形成する。高さh8は、蓋25が全開状態の蓋先端突起32の高さh4よりも大きい。
【0116】
ここで、第1領域103及び第2領域104は、高さh7で滑らかに接続されていることとしたが、第1領域103及び第2領域104の間は、Z軸方向に延伸する直線で接続されていてもよいし、鉛直とは異なる直線で接続されていてもよい。
【0117】
先端面101と、先端面101と対向する開きカム部材背面106との間の領域を領域wとする。蓋開閉カム部材36のY軸方向の長さUが蓋先端突起32の長さS1より大きいので、蓋先端突起32が領域wの下方に位置する位置関係においては、蓋開閉カム部材底部98が試薬容器ケース26の上面107に当接するまで蓋開閉カム部材36を下降することができる。
【0118】
蓋開きカム部36aは、以上のような構成を有することにより、蓋25の開き動作時に、蓋開きカム曲面99の第1領域103から第2領域104(下端部から上端部)に向かって蓋先端突起32が当接する。これにより、蓋開きカム部36aは、蓋25を開放することができる。
【0119】
蓋閉じカム部36bは、蓋25の閉じ動作時に蓋先端突起32に当接する第1の段差108と、蓋背面118に当接する第2の段差113とを備える。図17(e)に示すように、第1の段差108は、Y軸方向の間隔V(S2<V<S1)で設けられたk面と、Y軸方向の間隔U(S1<U)で設けられたu面との間を仕切る段差である。第1の段差108は、第2の段差113と比較して、X軸正方向に突出する。
【0120】
第1の段差108は、閉じ先端部109を基点として、X軸方向に略水平に延伸する第3領域110(下端部)と、第3領域110の右端に設けられた屈曲部111と、屈曲部111を境に、角度θ1よりも大きな角度θ2(0゜<θ2<90゜、θ1<θ2)で延伸して空間105と接続する第4領域112とを備える。閉じ先端部109は、蓋開きカム曲面99の先端面101よりもX軸負方向側に設けられ、蓋25が半開状態のときの蓋先端突起32の高さh3とほぼ等しい高さh6に配置される。なお、第3領域110は水平でなくともよく、微小に右上方向に傾斜していてもよい。
【0121】
第2の段差113は、閉じ先端部109から右上方向に延伸する第5領域114と、屈曲部115を境に、第5領域114よりも90°に近い角度で右上方向に延伸する第6領域116とを備える。第2の段差113は、蓋25のY軸方向の長さS2より小さな間隔J(J<S2、J<V<U)で設けられたj面と、k面との間に設けられた段差であって、蓋25の閉じ動作の際に蓋背面118と当接する。
【0122】
蓋閉じカム部36bは、以上のような構成を有することにより、蓋25の閉じ動作時に、第1の段差108の第4領域112(上端部)において、蓋先端突起32が上方から下方に向かって順次当接した後、第2の段差113の第5領域114(下端部)において、蓋背面118が上方から下方に向かって順次当接する。これにより、蓋閉じカム部36bは、蓋25を半開状態まで閉じることができる。
【0123】
次に、蓋開閉カム部材36による蓋25の開き動作について、図20~24を用いて説明する。図20~24は、図17(a)のD-D断面図であり、蓋25の開き動作における蓋25と蓋開閉カム部材36との関係を示す。
【0124】
図20は、開き動作の開始時における状態を示し、蓋開閉カム部材36がZスライドフレーム41と共に最も上昇した第1の位置にある。分注穴カバー69の支柱移動開口42は、気密シール72により下方から密閉されている。このとき、蓋開閉カム部材底部98は、蓋25の上面よりも上方に位置し、蓋先端突起32は、先端面101と開きカム部材背面106との間の領域wの下方に位置する。
【0125】
蓋開閉カム部材36のX軸方向の長さWcは、試薬容器3のX軸方向の長さWbとほぼ等しい。試薬容器3の右端面に対する蓋開閉カム部材36のX軸正方向への凸量は、容器28のピッチpと領域wとの差(p-w)より小であり、例えば容器28のピッチpの1/2以下である。従って、試薬ディスク2外壁の内面と試薬容器3との間隔を小さくすることができるため、試薬ディスク2の外径を小さくし、小型の自動分析装置を実現できる。
【0126】
図21は、Zモータ49を駆動して蓋開閉カム部材36を第1の位置から下降させ、蓋開閉カム部材底部98が試薬容器ケース26の上面107に当接した状態を示す。このとき、蓋開閉カム部材36は第2の位置にある。すなわち、第1の位置及び第2の位置は、X軸方向の位置は同一であり、Z軸方向の位置のみが異なる位置関係である。
【0127】
蓋閉じカム部36bを構成する第1の段差108及び第2の段差113は、蓋開閉カム部材36が第2の位置に位置する際は、蓋25よりも上方にある。
【0128】
図22は、Xモータ43を駆動して蓋開閉カム部材36を第2の位置からX軸負方向に移動させ、蓋開きカム曲面99の第1領域103が蓋先端突起32の下面に当接した状態を示す。蓋開閉カム部材36は、蓋開閉カム部材底部98が試薬容器ケース26の上面107に接しつつX軸負方向に移動する。
【0129】
このときの第1領域103の蓋先端突起32に対する接触角度は、角度θ1となる。角度θ1が小さいほど、蓋先端突起32に生じる上方への分力、すなわち蓋開き力が大きくなるので好適である。一方、角度θ1を小さくしすぎると、蓋25を開放するまでに要する蓋開閉カム部材36のX軸負方向への移動量が過大となるので、例えば角度θ1を30°程度とするのが好適である。
【0130】
図23は、Xモータ43を駆動して蓋開閉カム部材36をさらにX軸負方向に移動させ、蓋25が開放される途中の状態を示す。蓋開きカム曲面99と蓋先端突起32との接触点117は、高さh7よりも上方の第2領域104にある。蓋開きカム曲面99の第2領域104は、90°より大きな角度で傾斜するため、蓋開閉カム部材36のX軸負方向への移動量よりも蓋先端突起32のX軸負方向への移動量の方が大きくなる。これにより、蓋開閉カム部材36のX軸負方向へのわずかな移動量で、蓋25を大きく開放することができる。すなわち、蓋開閉カム部材36の移動量を低減できるので、X軸方向の小型化に適している。ここで、蓋先端突起32が接触点117から受ける力は、接触点117の法線方向に働き、蓋25を開放する方向に働く。接触点117の法線及びヒンジ30は距離r1だけ離れている。
【0131】
図24は、Xモータ43を駆動して蓋開閉カム部材36を最もX軸負方向に移動させ、蓋25が全開状態となった状態を示す。図24において、蓋開閉カム部材36は第3の位置にある。すなわち、第2の位置及び第3の位置は、Z軸方向の位置は同一であり、X軸方向の位置のみが異なる位置関係である。第2の位置から第3の位置までの蓋開閉カム部材36のX軸負方向への移動量は、容器28のピッチpにほぼ等しい。
【0132】
蓋先端突起32は、蓋開きカム曲面99の上端点102に当接して、上端点102より上方の空間105に配置される。蓋閉じカム部36bを構成する第6領域116は、蓋先端突起32が全開状態からさらに開放することを防止するストッパとしても機能する。
【0133】
全開状態においては、X軸方向における容器28の開口部29の位置と、蓋開閉カム部材36の上面開口93の位置と、分注穴70a~70cの位置とは一致するので、試薬分注プローブ15を容器28内に下降させることができる。
【0134】
蓋開きカム曲面99は、蓋25の開き始めにおいては、角度θ1で蓋先端突起32を下方から開き、第1領域103から鉛直を超えて傾斜した第2領域104を経由して上端点102にて全開状態に至るので、角度θ1を小さくすることで、蓋25を開き始める際の分力を大きくし、蓋開閉カム部材36の開き力を低減できる。さらに、蓋先端突起32が第2領域104に当接する際は、蓋開閉カム部材36のX軸負方向への移動量よりも蓋先端突起32のX軸負方向への移動量の方が大きいので、蓋開閉カム部材36の移動量を低減できる。すなわち、蓋25の開き力を大きくするともに、全開までに要する蓋開閉カム部材36の移動量を小さくすることができるので、小型化に好適である。
【0135】
ここで、上述のように、試薬容器3のX軸方向の長さWbと蓋開閉カム部材36のX軸方向の長さWcとはほぼ等しく、第2の位置から第3の位置までの蓋開閉カム部材36のX軸負方向への移動量は、容器28のピッチpにほぼ等しいため、蓋25の左端面からの蓋開閉カム部材36の凸量は、ピッチpの1/2程度に過ぎない。従って、試薬ディスク2内壁の外周と試薬容器3との間隔を小さくすることができ、小型の自動分析装置を実現できる。
【0136】
次に、蓋開閉カム部材36による蓋25の閉じ動作について、図25~28を用いて説明する。図25~28は、図17(a)のD-D断面図であり、蓋25の閉じ動作における蓋25と蓋開閉カム部材36との関係を示す。
【0137】
図25は、図24に示す状態から、Xモータ43を駆動して蓋開閉カム部材36を第3の位置からX軸正方向に移動させ、蓋閉じカム部36bによって蓋25を閉じ始めた状態を示す。このとき、蓋先端突起32の上面が第1の段差108の第4領域112と当接してX軸正方向に移動する。
【0138】
図26は、図25に示す状態から、さらにXモータ43を駆動して蓋開閉カム部材36をX軸正方向に移動させた状態を示す。このとき、第2の段差113の屈曲部115よりも下方にある第5領域114が蓋背面118に当接し、蓋先端突起32が第4領域112から離反する。
【0139】
図27は、図26に示す状態から、さらにXモータ43を駆動して蓋開閉カム部材36をX軸正方向に移動させた状態を示す。このとき、蓋閉じカム部36bの閉じ先端部109が蓋背面118に当接する。
【0140】
図28は、図27に示す状態から、さらにXモータ43を駆動して蓋開閉カム部材36をX軸正方向に移動させた状態を示す。図28において、蓋開閉カム部材36は第2の位置にある。このとき、蓋閉じカム部36bの閉じ先端部109が蓋背面118に上方から当接し、且つ第1の段差108の屈曲部111が蓋先端突起32に上方から当接して、蓋25を半開状態まで閉じることができる。
【0141】
上述のように、第2の位置とは、蓋開閉カム部材36を第1の位置から下方に移動させ、試薬容器3の上面107に蓋開閉カム部材底部98が接する位置であるので、その状態からZスライドフレーム41を上昇させても、蓋開閉カム部材36と蓋25とは接触することがなく、蓋25が半開状態のまま、蓋開閉カム部材36を第1の位置まで上昇させることができる。
【0142】
以上説明したように、蓋開閉カム部材36を第1の位置から第2の位置まで下方に移動させ、第2の位置から第3の位置までX軸負方向に移動させることで、蓋25を全閉状態又は半開状態から全開状態に開放させることができる。
【0143】
また、蓋開閉カム部材36を第3の位置から第2の位置までX軸正方向に移動させることで、蓋25を全開状態から半開状態にすることができる。その後、蓋開閉カム部材36を第2の位置から上方に移動させることで、第1の位置に復帰させることができる。
【0144】
上述のように、蓋開閉カム部材36は、蓋開きカム部36aと蓋閉じカム部36bとを一体で兼ね備えるので、蓋開閉カム部材36を第2の位置から第3の位置にX軸負方向に移動させるだけで複数の蓋25を開き、蓋開閉カム部材36を第3の位置から第2の位置にX軸正方向に移動するだけで複数の蓋25を閉じることができる。これにより、構成が簡単で信頼性の高い自動分析装置を提供できる。
【0145】
なお、未使用の試薬容器3(蓋25が全閉状態)を試薬ディスク2にセットした後、一度開閉動作を行った蓋25は半開状態となるので、2度目以降の開き動作に要する開き力は小さくて済む。
【0146】
次に、蓋25の開閉動作における蓋開閉装置22の一連の動作について、図29~37を用いて説明する。図29及び30は、蓋開閉装置22を示す斜視図である。図29は、試薬保冷庫24及び分注穴カバー69を省略した図であり、図30は、分注穴カバー69を図示する一方で、分注穴カバー69よりも下側の構成を省略した図である。図31は、蓋開閉装置22を示す正面図である。
【0147】
図29~31は、蓋開閉カム部材36が第2の位置にある状態を示している。蓋開閉カム部材36が第1の位置にある場合、全ての検知手段63、65及び67は遮光状態(OFF)である。蓋開閉カム部材36が第1の位置にある状態から、Zモータ49を所定のステップ数だけ駆動することで、蓋開閉カム部材36を第2の位置まで下降させることができる。このとき、シャッタ連動ピン81は、Zスライドフレーム41とともに下降して、シャッタ連動ピン受け部80に嵌合する。スライドシャッタ35は、分注穴70a~70cを被覆しており、気密シール72は、Zスライドフレーム41とともに下降している。支柱移動開口42は開口しており、試薬保冷庫24内部の低温領域と、試薬保冷庫24外部の常温領域とが連通する。
【0148】
蓋開閉カム部材36が第2の位置にある場合、第1の検知手段63は遮光状態(OFF)、第2の検知手段65は透光状態(ON)、第3の検知手段67は遮光状態(OFF)となる。
【0149】
図32及び33は、蓋開閉装置22を示す斜視図である。図32は、試薬保冷庫24及び分注穴カバー69を省略した図であり、図33は、分注穴カバー69を図示する一方で、分注穴カバー69よりも下側の構成を省略した図である。図34は、蓋開閉装置22を示す正面図である。
【0150】
図32~34は、蓋開閉カム部材36が第3の位置にある状態を示している。蓋開閉カム部材36が第2の位置にある状態から、Xモータ43を所定のステップ数だけ駆動することで、蓋開閉カム部材36を第3の位置まで移動させることができる。スライドシャッタ35は、シャッタ連動ピン81がシャッタ連動ピン受け部80に嵌合していることにより、Xスライドフレーム39と連動して移動し、これにより分注穴70a~70cが開放されている。このとき蓋25は全開状態にある。
【0151】
蓋開閉カム部材36が第3の位置にある場合、第1の検知手段63は透光状態(ON)、第2の検知手段65は透光状態(ON)、第3の検知手段67は遮光状態(OFF)となる。
【0152】
図35は、図34のB-B断面図であって、容器28内部に試薬分注プローブ15を挿入した状態を示している。図35に示すように、分注穴カバー69に設けられた分注穴70a~70cと、蓋開閉カム部材36に設けられた上面開口93と、容器28の開口部29とは、X軸方向の位置が同じである。これにより、試薬分注アーム119を下降して、試薬分注アーム119から下方に向けて延伸された試薬分注プローブ15を容器28内部に挿入して試薬液27を分注することができる。
【0153】
このとき、スライドシャッタ35は、連結リンク77の作用によって、分注穴70a~70cの上方から移動してリンク部カバー120の内部に収納されているので、試薬分注プローブ15の下降の妨げにはならない。
【0154】
図36は、蓋開閉装置22を示す正面図であって、蓋開閉カム部材36が第2の位置にある状態を示している。蓋開閉カム部材36が第3の位置にある状態から第2の位置へ移動させることによって、蓋25は半開状態となる。試薬液27の蒸発を防止するために、半開状態において、さらに上方から蓋25を押圧し、封止部31を開口部29に対して押し込んで、全閉状態とすることが望ましい。
【0155】
図37は、蓋開閉装置22の正面図であり、蓋開閉カム部材36が第2の位置にある状態からZモータ49をさらに下降方向に駆動した状態を示している。クランクギヤ51は、クランクピン53とともにさらに時計回りに回動してコネクティングロッド62を下降させ、スライダピン61とともにスライダ57を押し込み量Hだけ下降させる。
【0156】
スライダスプリング60の下端は、Zスライドフレーム41の第2の凸部55に当接し、スライダスプリング60の上端はスライダ57の第1のスライダ凸部58に当接するため、スライダスプリング60は、押し込み量Hだけ押し縮められ、ばね反力Fが増加する。
【0157】
ばね反力Fは、第2の凸部55を介してZスライドフレーム41に下向きに加わり、第1の段差108の第3領域110(下端部)を介して蓋25を押圧する。これにより、半開状態の蓋25をさらに閉じて全閉状態に近づけることができる。このように、第2の位置からさらにZ軸方向に下降した蓋開閉カム部材36の位置を「第4の位置」という場合がある。
【0158】
次に、試薬ディスク2内に、誤って逆向きに試薬容器3がセットされた場合の動作について、図38及び39を用いて説明する。図38及び39は、蓋開閉装置22の正面図である。
【0159】
図38に示すように、逆向きに試薬容器3がセットされると、ヒンジ30が開口部29のX軸正方向側に配置され、蓋先端突起32が開口部29のX軸負方向側に配置される。このように、試薬容器3が逆向きにセットされた状態で蓋開閉カム部材36を第1の位置から下降させると、蓋開閉カム部材底部98が蓋先端突起32に当接して、蓋開閉カム部材36の下降を妨げる。すなわち、Zスライドフレーム41も下降を妨げられる。
【0160】
図39に示すように、図38の状態からさらにZモータ49を下降方向に駆動すると、Zスライドフレーム41が下降しないまま、Zモータ49の回転とともにクランクギヤ51が時計回りに回動し、クランクピン53及びコネクティングロッド62を介して、スライダ57がスライダスプリング60の反力に抗って下降する。すなわち、スライダ57は、Zスライドフレーム41に対して相対的に下降する。
【0161】
上述のように、第3の検知手段67がZスライドフレーム41に設けられ、第3の検知レバー68がスライダ57に設けられるので、スライダ57がZスライドフレーム41に対して相対的に下降すると、第3の検知レバー68が第3の検知手段67から下降して、第3の検知手段67が遮光状態(OFF)から透光状態(ON)に変化する。このように、蓋開閉カム部材36を第1の位置から第2の位置に下降させる途中で第3の検知手段67が遮光状態(OFF)から透光状態(ON)に変化した場合、ホストコンピュータ200は、試薬容器3が逆向きにセットされたと判断できる。この場合、ホストコンピュータ200は、異常表示をして操作者に報知する。その後、Zモータ49を上昇方向に駆動して蓋開閉カム部材36を第1の位置に復帰させる。
【0162】
このように、第3の検知手段67により、試薬容器3が逆向きにセットされたことを検出できるので、信頼性の高い自動分析装置を提供できる。
【0163】
次に、試薬容器3がセットされていない場合の動作について、図40を用いて説明する。上述のように、正しく試薬容器3がセットされた状態で、Zモータ49を下降方向に所定量だけ駆動して、蓋開閉カム部材36を第1の位置から第2の位置まで下降させた後、さらに第4の位置まで下降させると、蓋開閉カム部材36は下降しないが、スライダスプリング60の反力に抗ってスライダ57が下降して、第3の検知手段67が遮光状態(OFF)から透光状態(ON)に変化する。
【0164】
一方、試薬容器3がセットされていない場合には、図40に示すように、蓋開閉カム部材36が第2の位置にある状態からさらにZモータ49を下降方向に駆動すると、蓋開閉カム部材36は、スライダ57とともに第4の位置までさらに押し込み量Hだけ下降するので、第3の検知手段67は遮光状態(OFF)のままである。
【0165】
蓋開閉カム部材36が第2の位置にある状態からさらにZモータ49を下降方向に駆動した際に、第3の検知手段67が遮光状態(OFF)のままである場合、ホストコンピュータ200は、試薬容器3がセットされていないと判断し、遮光状態(OFF)から透光状態(ON)に変化した場合は、試薬容器3が正しくセットされていると判断する。
【0166】
このように、第3の検知手段67により、試薬容器3の有無を判断することができるため、信頼性の高い自動分析装置を提供できる。
【0167】
図41を参照して、蓋開閉装置22を制御するハードウェア構成について説明する。図41は、自動分析装置1の構成を示すブロック図である。図41に示すように、自動分析装置1は、ドライバ201及び202、電源203、表示手段204、蓋開閉装置22及びRFIDタグリーダ34を備え、これらの各構成要素はホストコンピュータ200に接続される。
【0168】
ドライバ201は、Xモータ43を駆動し、ドライバ202は、Zモータ49を駆動する。
【0169】
電源203は、自動分析装置1、ホストコンピュータ200、ドライバ201及び202に電力を供給する。
【0170】
ホストコンピュータ200は、自動分析装置1全体の動作をプログラムに従って制御する。電源203からドライバ201及び202に電力が供給され、ホストコンピュータ200によりドライバ201及び202に駆動信号が送信されることにより、Xモータ43及びZモータ49は回転駆動する。
【0171】
蓋開閉装置22に設けられた第1の検知手段63、第2の検知手段65及び第3の検知手段67は、ホストコンピュータ200に接続され、それぞれ透光状態(ON)及び遮光状態(OFF)のいずれであるかをホストコンピュータ200に送信する。
【0172】
RFIDタグリーダ34は、試薬容器3に設けられたRFIDタグ33の情報を読み取り、ホストコンピュータ200に送信する。ホストコンピュータ200は、RFIDタグリーダ34が読み取ったRFIDタグ33の情報を例えば記憶部に記憶する。
【0173】
表示手段204は、自動分析装置1の動作状態や、異常を検知した際のアラームを表示する。
【0174】
次に、図42及び43を参照して、ホストコンピュータ200による蓋開閉装置22の動作処理について説明する。図42は、蓋25の開き動作を示すフローチャートである。
【0175】
ステップS101において、操作者は、電源203から電源を投入して自動分析装置1を起動する。
【0176】
ステップS102において、ホストコンピュータ200は、自動分析装置1の状態確認及び初期化を行う。このとき、ホストコンピュータ200は、ドライバ201及び202に駆動信号を送信し、Xモータ43及びZモータ49を駆動して、Xスライドフレーム39をX原点位置に移動し、Zスライドフレーム41をZ原点位置に移動する。これにより、蓋開閉カム部材36は、第1の位置に位置する。
【0177】
ステップS103において、ホストコンピュータ200は、検知手段63、65及び67の状態を確認する。全ての検知手段がOFFである場合(Yes)、ホストコンピュータ200は、蓋開閉カム部材36が第1の位置にあると判断し、ステップS104に移行する。
【0178】
ステップS104において、ホストコンピュータ200は、ドライバ202に駆動信号を送信し、Zモータ49を下降方向に駆動して、Zスライドフレーム41を下降させる。
【0179】
ステップS105において、ホストコンピュータ200は、第2の検知手段65がOFFからONへ変化したか否かを判断し、Zスライドフレーム41が下降したことを確認する。第2の検知手段65がOFFからONへ変化した場合(Yes)、ステップS106に移行する。
【0180】
ステップS106において、ホストコンピュータ200は、第3の検知手段67がOFFを維持しているか否かを確認する。第3の検知手段67がOFFを維持している場合(Yes)、ステップS107に移行する。
【0181】
ステップS107において、ホストコンピュータ200は、蓋開閉カム部材36が第4の位置となるまで、Zモータ49が所定のステップ数だけ下降方向に駆動したことを確認する。Zモータ49が所定のステップ数だけ下降方向に駆動した場合(Yes)、ステップS108に移行する。
【0182】
ステップS108において、ホストコンピュータ200は、第3の検知手段67がOFFからONに変化したか否かを判断する。第3の検知手段67がOFFからONに変化した場合(Yes)、ステップS109に移行する。
【0183】
ステップS109において、ホストコンピュータ200は、ステップS108の結果に基づいて、試薬容器3がセットされていることを確認する。
【0184】
ステップS110において、ホストコンピュータ200は、ドライバ202に駆動信号を送信し、Zモータ49を所定のステップ数だけ上昇方向に駆動する。
【0185】
ステップS111において、ホストコンピュータ200は、第3の検知手段67がONからOFFに変化したか否かを判断する。第3の検知手段67がONからOFFに変化した場合(Yes)、ステップS112に移行する。
【0186】
ステップS112において、ホストコンピュータ200は、ドライバ202に駆動信号を送信し、Zモータ49を停止する。このとき蓋開閉カム部材36は第2の位置にある。
【0187】
ステップS113において、ホストコンピュータ200は、ドライバ201に駆動信号を送信し、Xモータ43を所定のステップ数だけX軸負方向に駆動して、Xスライドフレーム39をX軸負方向に駆動する。
【0188】
ステップS114において、ホストコンピュータ200は、第1の検知手段63がOFFからONにしたか否かを判断し、Xスライドフレーム39がX軸負方向に移動したことを確認する。第1の検知手段63がOFFからONにした場合(Yes)、ステップS115に移行する。
【0189】
ステップS115において、ホストコンピュータ200は、Xモータ43が所定のステップ数だけ駆動したか否かを判断する。Xモータ43が所定のステップ数だけ駆動した場合(Yes)、ステップS116に移行する。このとき、蓋開閉カム部材36は第3の位置にあり、蓋25は全開状態である。スライドシャッタ35は全開位置にあり、分注穴70a~70cは開放され、容器28内に試薬分注プローブ15を下降可能な状態である。
【0190】
ステップS116において、蓋25の開放が完了して、蓋25の開き動作を終了する。引き続き、試薬分注プローブ15を容器28内に下降して試薬の分注を行うことができる。
【0191】
ステップS106においてNoの場合、ステップS117に移行し、Zモータ49が所定のステップ数だけ下降方向に駆動する以前に、第3の検知手段67は、OFFからONに変化したことを検出する。
ステップS118において、ホストコンピュータ200は、試薬容器3が逆向きにセットされていたと判断する。ホストコンピュータ200は、逆向きにセットされた試薬容器3のシステムへの登録は行わない。
ステップS119において、ホストコンピュータ200は、試薬容器3が逆向きにセットされていたことを表示手段204に表示し、操作者に報知する。
【0192】
ステップS108において、第3の検知手段67がOFFのままであると判断された場合(No)、ステップS120に移行し、ホストコンピュータ200は、蓋開閉カム部材36が第4の位置にあり、試薬容器3がセットされていないと判断する。
ステップS121において、ホストコンピュータ200は、試薬容器3がセットされていないことを表示手段204に表示し、操作者に報知する。
【0193】
ステップS114においてXモータ43を所定のステップ数だけX軸負方向に駆動したにも関わらず、第1の検知手段63がOFFのままであり、Xスライドフレーム39がX軸負方向に移動していないと判断された場合(No)においても、ステップS121に移行し、ホストコンピュータ200は、表示手段204に異常を表示し、操作者に報知する。
【0194】
図43は、蓋25の閉じ動作を示すフローチャートである。ステップS201において、蓋25の閉じ動作を開始する。このとき蓋開閉カム部材36は第3の位置にあり、蓋25は全開状態である。
【0195】
ステップS202において、ホストコンピュータ200は、試薬分注プローブ15による分注が完了したか否かを判断する。分注が完了している場合(Yes)、ステップS203に移行する。
【0196】
ステップS203において、ホストコンピュータ200は、ドライバ201に駆動信号を送信し、Xモータ43を所定のステップ数だけX軸正方向に駆動して、第3の位置から蓋開閉カム部材36をX軸正方向に移動させる。
【0197】
ステップS204において、ホストコンピュータ200は、第1の検知手段63がONからOFFに変化したか否かを判断する。第1の検知手段63がONからOFFに変化した場合(Yes)、蓋開閉カム部材36が第2の位置にあることが確認できるので、ステップS205に移行する。このとき、蓋25は半開状態である。
【0198】
ステップS205において、ホストコンピュータ200は、ドライバ201に駆動信号を送信し、Xモータ43を停止する。
【0199】
ステップS206において、ホストコンピュータ200は、ドライバ202に駆動信号を送信し、Zモータ49を下降方向に駆動し、スライダ57を下降してスライダスプリング60の押し力を増加して、蓋25を半開状態から全閉状態にする。
【0200】
ステップS207において、ホストコンピュータ200は、ドライバ202に駆動信号を送信し、Zモータ49を所定のステップ数だけ上昇方向に駆動して、蓋開閉カム部材36を上方に移動させる。
【0201】
ステップS208において、ホストコンピュータ200は、第2の検知手段65がONからOFFに変化したか否かを判断する。第2の検知手段65がONからOFFに変化した場合(Yes)、蓋開閉カム部材36が第1の位置にあることが確認できるので、ステップS209に移行する。
【0202】
ステップS209において、ホストコンピュータ200は、ドライバ202に駆動信号を送信し、Zモータ49を停止し、蓋25の閉じ動作を終了する。
【0203】
以上のように、本実施形態に係る自動分析装置1は、蓋開閉カム部材36が、蓋開きカム部36aと蓋閉じカム部36bとを一体で備え、蓋開閉カム部材36が第2の位置から第3の位置に移動する際に蓋開きカム部36aにより蓋を開放し、第3の位置から第2の位置に移動する際に蓋閉じカム部36bにより蓋25を閉じるという構成を有する。このように、1つの蓋開閉カム部材36の移動のみによって蓋25の開閉ができるため、本実施形態に係る自動分析装置1は、構造が簡単で小型化が可能である。
【0204】
[変形例]
なお、本開示は上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本開示を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0205】
例えば、上記の実施形態においては、試薬容器3には3つの容器28が直列に配置されるものとしたが、試薬容器3内の容器28は3つに限定されるものではなく、1つのみであってもよいし、4つ以上であってもよい。
【0206】
蓋開閉カム部材36に蓋開きカム部36a及び蓋閉じカム部36bが一対のみ設けられ、試薬容器3に複数の容器28が配置されてもよい。この場合、複数の蓋25のうちいずれか1つのみを選択して開閉動作を行って、順次ほかの容器28の蓋25の開閉動作を行ってもよい。
【0207】
上記の実施形態においては、蓋開閉カム部材36に設けられた複数の蓋開きカム曲面99は、複数の蓋25に対して同時に作用して、一斉に同期して蓋25の開き動作を行うものとして説明したが、このような構成に限定されるものではない。例えば蓋開きカム曲面99のピッチを容器28のピッチpとは異なるものとし、蓋開きカム曲面99が蓋25に対して一つずつ、タイミングをずらして順次開き動作を行ってもよい。このような構成とすることにより、蓋25を3つ同時に開放する場合と比較して、蓋25を開放する際の開き力の最大値を低減できる。
【0208】
さらに、蓋閉じカム部36bのピッチを容器28のピッチpと異なるものとし、蓋閉じカム部36bが蓋25に対して一つずつ、タイミングをずらして順次閉じ動作を行ってもよい。
【0209】
上記の実施形態においては、Xスライドフレーム39の移動とZスライドフレーム41の移動には、ステッピングモータであるXモータ43及びZモータ49をギヤを用いて減速する構成を示したが、そのような構成に限定されるものではない。例えば、ギヤの代わりに、あるいはギヤに加えて、タイミングベルトなどの駆動力伝達手段を用いても良い。また、Xモータ43及びZモータ49としてサーボモータ、あるいは直線動作を行うリニアモータや油圧シリンダを用いても良い。
【0210】
上記の実施形態においては、蓋25の開閉動作の際に試薬容器3は移動せず、蓋開閉カム部材36をZ軸方向及びX軸方向に移動する構成としたが、そのような構成に限定されるものではなく、蓋開閉カム部材36を固定して、試薬容器3をZ軸方向及びX軸方向に移動して蓋25を開閉する構成であっても良い。
【0211】
上記の実施形態においては、蓋25の閉じ動作の際に、蓋開閉カム部材36を第3の位置から第2の位置に移動して蓋25を半開状態にした後、Zモータ49をさらに下降方向に第4の位置まで駆動することで、スライダスプリング60を押し縮めることによって生じる反力を蓋25に加えて閉じ力を増加する構成とした。しかし、このような動作に限定されるものではなく、蓋開閉カム部材36を第2の位置からさらに下降することなくZモータ49を上昇方向に移動して第1の位置に復帰させてもよい。この場合、図43に示した閉じ動作のフローチャートのうち、ステップS206を省略する。
【0212】
上記の実施形態においては、蓋25を開放するために蓋開閉カム部材36を第1の位置から第2の位置に移動した後、さらに第4の位置まで下降して試薬容器3がセットされているか否かを判別するステップを行う構成としたが、このような動作に限定されるものではない。例えば試薬容器3がセットされているか否かを判別するステップを省略して、蓋開閉カム部材36を第1の位置から第2の位置に移動させた後、第3の位置に移動させてもよい。この場合、図42に示す開き動作のフローチャートにおいて、ステップS107において設定される所定のステップ数とは、蓋開閉カム部材36が第1の位置から第2の位置まで移動するステップ数であり、ステップS108~S111及びS120は省略する。
【符号の説明】
【0213】
1…自動分析装置、2…試薬ディスク、3…試薬容器、4…安全カバー、5…サンプル搬送手段、6…サンプル分注手段、7…チップラック、8…搬送手段、9…インキュベータ、10…サンプル分注チップ、11…サンプル分注チップバッファ、12…廃棄孔、13…撹拌手段、14…反応容器、15…試薬分注プローブ、15a…試薬分注位置、16…撹拌手段、17…洗浄手段、18…反応溶液分注プローブ、19…検出部、20…試薬容器装填口、21…筐体、22…蓋開閉装置、23…廃棄ボックス、24…試薬保冷庫(試薬庫)、25…蓋、26…試薬容器ケース、27…試薬液、28…容器、29…開口部、30…ヒンジ、31…封止部、32…蓋先端突起、33…RFIDタグ、34…RFIDタグリーダ、35…スライドシャッタ、36…蓋開閉カム部材(蓋開閉部材)、36a…蓋開きカム部(第1の部材)、36b…蓋閉じカム部(第2の部材)、37…固定フレーム、38…Xレール、38a…固定レール、38b…スライド部、39…Xスライドフレーム、40…Zレール、40a…固定レール、40b…スライド部、41…Zスライドフレーム、42…支柱移動開口(開口)、43…Xモータ、44…モータピニオン、45…アイドラギヤ、46…アイドラ支軸、47…Xピニオン、48…ラック、49…Zモータ、50…モータピニオン、51…クランクギヤ、52…クランクギヤ支軸、53…クランクピン、54…第1の凸部、55…第2の凸部、56…スライダ軸、57…スライダ(移動部材)、58…第1のスライダ凸部、59…第2のスライダ凸部、60…スライダスプリング、61…スライダピン、62…コネクティングロッド、63…第1の検知手段、64…第1の検知レバー、65…第2の検知手段、66…第2の検知レバー、67…第3の検知手段、68…第3の検知レバー、69…分注穴カバー、70a~70c…分注穴、71…シール、72…気密シール、73…アーム支軸、74…シャッタ軸、75…リンクアーム、76…連結リンク軸、77…連結リンク、78…連結リンク軸穴、79…シャッタ連動アーム、80…シャッタ連動ピン受け部、81…シャッタ連動ピン、82…アームオサエツメ、83…分注穴リブ、83a~83c…分注穴リブ、84…シャッタリブ、85…ヒータ、86…支持部、87…支柱部、88…セル、89…支柱裏蓋、90…リブ、91、92…ネジ穴、93…上面開口、94…角部、95…角部、96…外周内壁、97…内周外壁、98…蓋開閉カム部材底部、99…蓋開きカム曲面(曲面)、100…開き先端部、101…先端面、102…上端点、103…第1領域(曲面の下端部)、104…第2領域(曲面の上端部)、105…空間、106…開きカム部材背面、107…上面、108…第1の段差、109…閉じ先端部、110…第3領域(第1の段差の下端部)、111…屈曲部、112…第4領域(第1の段差の上端部)、113…第2の段差、114…第5領域(第2の段差の下端部)、115…屈曲部、116…第6領域、117…接触点、118…蓋背面、119…試薬分注アーム、120…リンク部カバー、200…ホストコンピュータ、201、202…ドライバ、203…電源、204…表示手段
図1
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