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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-26
(45)【発行日】2022-11-04
(54)【発明の名称】洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20221027BHJP
【FI】
H01L21/304 643Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2017241358
(22)【出願日】2017-12-18
(65)【公開番号】P2019110176
(43)【公開日】2019-07-04
【審査請求日】2020-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(74)【代理人】
【識別番号】100169960
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 貴光
(72)【発明者】
【氏名】丹治 雅人
【審査官】河合 俊英
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-009342(JP,A)
【文献】特開2009-164346(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106040627(CN,A)
【文献】特開2003-340718(JP,A)
【文献】特開2004-247582(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗浄面に向けて、洗浄ノズルの噴出口から洗浄流体を噴射させて前記被洗浄面を洗浄する洗浄装置であって、
前記被洗浄面に向かって突出しているブラシを有して前記洗浄ノズルに外装されるブラシヘッドを備え、
前記ブラシは、底面から視て前記噴出口の外周に略等間隔で複数配置され、前記被洗浄面で跳ね返って生成される前記洗浄流体の噴霧を液滴下させ
前記ブラシヘッドは、前記噴出口を中心として前記ブラシを配置して形成された内側ブラシ列と、前記内側ブラシ列の外側に前記ブラシを配置して形成された外側ブラシ列とを有し、
前記洗浄ノズルの径方向において、前記外側ブラシ列の前記各ブラシが前記内側ブラシ列の前記各ブラシの間にそれぞれ位置するとともに、前記外側ブラシ列の前記各ブラシ及び前記内側ブラシ列の前記各ブラシが前記中心から放射状の隙間なく配置されている、ことを特徴とする洗浄装置。
【請求項2】
前記ブラシが、糸状をした複数のブラシ素体を束ねて形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項3】
前記ブラシヘッドは、前記洗浄ノズルに対し前記洗浄ノズルの中心軸線方向に往復摺動可能である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の洗浄装置。
【請求項4】
前記ブラシヘッドと前記洗浄ノズルとの間に、前記被洗浄面に向かって前記ブラシヘッドを突出付勢しているバネ部材を更に備える、ことを特徴とする請求項に記載の洗浄装置。
【請求項5】
前記ブラシ素体は、プラスチック材である、ことを特徴とする請求項2、3又は4に記載の洗浄装置。
【請求項6】
前記被洗浄面は、半導体製造工程で使用されるポーラスチャックテーブルである、ことを特徴とする請求項1、2、3、4又は5に記載の洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は洗浄装置に関するものであり、例えば、半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」という)を吸引保持するチャックテーブルの保持面等を洗浄する洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程では、ICやLSI等のデバイスが複数表面に形成されたウエハの裏面を研削装置で研削して、ウエハを所定の厚みに加工する。その後、ウエハを分割予定ラインに沿ってダイシングして個々のデバイスチップが製造される。このようにして得られたデバイスチップは、樹脂封止によりパッケージングされ、各種の電子機器に広く利用されている。
【0003】
ウエハをダイシングする装置としては、チャックテーブルに吸引保持したウエハに対して、高速回転する円板状の薄い切削ブレードを切り込ませていくブレード式の切削装置がある。このブレード式の切削装置では、チャックテーブルにポーラスチャックが組み込まれ、テーブル表面のポーラス(多孔質体)と負圧を利用することによってウエハをチャックテーブル上に吸着保持して加工を行うのが一般的である(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、ブレード式の切削装置では、10μ~20μm程度の幅でウエハを切断していくため、ウエハ吸着面には高い平面度が求められる。このようにポーラスチャックは、高精度な平面性が求められているため、吸着保持面の平面度を保つ必要があり、吸着保持面に対する定期的な研磨と洗浄が行われている。
【0005】
また、ポーラスチャックの研磨と洗浄では、ポーラスチャックをチャックテーブルと一緒に回転させるとともに、回転しているポーラスチャックに回転しているチャック洗浄砥石を当接させて研磨を行うとともに、チャック洗浄砥石に付随している洗浄ノズルから洗浄水とエアとの混合流体を噴出して、噴出した混合流体によりポーラスチャックの外周側に移動されて来る研磨屑等の洗浄を実施する。
【0006】
洗浄ノズルから洗浄水とエアの混合流体を噴射する、いわゆる二流体洗浄では、混合流体を被洗浄物に対して洗浄ノズルから噴射すると、汚れを含む水しぶきやミスト(以下、これらを総称して「噴霧」という)の飛散が生じ、予期しない場所へと飛散し、他の加工装置の機器や鉄等の非水耐性の部品に悪い影響を及ぼす恐れがある。そのため、洗浄ノズルを覆うチャンバーを設置した構造も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
洗浄ノズルを覆うチャンバーを設置している特許文献2に示す洗浄装置では、被洗浄面との接触を避けつつ、噴霧の飛散が起こらないようにするため、チャンバー内を排気で引く方法が採られている。
【0008】
洗浄ノズルを覆うチャンバーとして、洗浄ノズルの周囲に洗浄水を噴出して擬似的なチャンバーを作るようにして、噴霧の飛散が起こらないようにした方法も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開平8-25209号公報
【文献】特開2015-109324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記特許文献2で知られる、洗浄ノズルを覆うチャンバーを設置するとともに、チャンバー内を排気で引く方法では、構造が複雑でコスト高になるとともに、構造が大形化するという問題点があった。
【0011】
一方、洗浄ノズルの周囲に洗浄水を噴出して、洗浄ノズルを覆うチャンバーを擬似的に作る方法では、多量の水を使用する問題点があった。
【0012】
そこで、洗浄時における噴霧の舞い上がりによる噴霧を無くして被洗浄面の洗浄を行うことができるとともに、簡単な構造で低コスト化並びに小型化が可能な洗浄装置を提供するために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1に記載の発明は、被洗浄面に向けて、洗浄ノズルの噴出口から洗浄流体を噴射させて前記被洗浄面を洗浄する洗浄装置であって、前記被洗浄面に向かって突出しているブラシを有して前記洗浄ノズルに外装されるブラシヘッドを備え、前記ブラシは、底面から視て前記噴出口の外周に略等間隔で複数配置され、前記被洗浄面で跳ね返って生成される前記洗浄流体の噴霧を液滴下させる、洗浄装置を提供する。
【0014】
この構成によれば、洗浄ノズルの噴出口から噴射されて被洗浄面に当たり跳ね返る水しぶきやミストで作られた噴霧は、洗浄ノズルの噴出口の外周に略等間隔で複数配置されているブラシに当たる。そして、それぞれのブラシに当たった噴霧は、ブラシヘッド内において各ブラシを伝わって液滴下し、予期せぬ場所に飛散するのを防ぐ。また、内側ブラシ列の各ブラシ間と外側ブラシ列の各ブラシとの間にそれぞれ互いのブラシが配置され、洗浄ノズルの径方向において、噴出口の外周全体をブラシで囲んだ状態にすることができる。しかも、洗浄ノズルの径方向において、各ブラシが噴出口の外周全体を囲んでいても、各ブラシとの間にはエアを逃がす隙間が形成できる。したがって、例えばエアと洗浄水との混合流体を洗浄ノズルの噴出口から噴射させた場合、被洗浄面に当って跳ね返る水しぶきやミストで作られた噴霧は、内側ブラシ列と外側ブラシ列で作られる壁に当たってブラシヘッド内で液滴下する。一方、エアは、内側ブラシ列のブラシと外側ブラシ列のブラシとの間の隙間を通ってブラシヘッドの外側へスムーズに流すことができる。これにより、被洗浄面に当たって跳ね返った水しぶきやミストで作られた噴霧が予期せぬ場所へ飛散するのを防ぐ。
【0015】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成において、前記ブラシが、糸状をした複数のブラシ素体を束ねて形成されている、洗浄装置を提供する。
【0016】
この構成によれば、ブラシが撓み易く、各ブラシ素体が、撓んで被洗浄面上のダストを除去し易くなる。また、ポーラスチャックの表面を洗浄するような場合は、ブラシ素体がポーラス内部に入り込んで、ポーラス内部の汚れも除去する。
【0019】
請求項に記載の発明は、請求項1又は2に記載の構成において、前記ブラシヘッドは、前記洗浄ノズルに対し前記洗浄ノズルの中心軸線方向に往復摺動可能である、洗浄装置を提供する。
【0020】
この構成によれば、ブラシヘッドを被洗浄面に押し当てて洗浄するような場合、押し当て量に応じてブラシヘッドの摺動量を容易に調整することができる。
【0021】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の構成において、前記ブラシヘッドと前記洗浄ノズルとの間に、前記被洗浄面に向かって前記ブラシヘッドを突出付勢しているバネ部材を更に備える、洗浄装置を提供する。
【0022】
この構成によれば、ブラシヘッドを被洗浄面に押し当てて洗浄するような場合、押し当て量に応じてブラシヘッドの摺動量を容易に調整できるとともに、押し当てての洗浄が終了するとバネ部材によるバネ力でブラシヘッドを再び元の位置へ自動的に戻すことが可能になる。
【0023】
請求項に記載の発明は、請求項2、3又は4に記載の構成において、前記ブラシ素体は、プラスチック材である、洗浄装置を提供する。
【0024】
この構成によれば、プラスチック材で形成されたブラシ素体を複数束ねて棒状をした結束ブラシ素体を用いるので、被洗浄面に結束ブラシ素体を接触させて洗浄することが可能になる。
【0025】
請求項に記載の発明は、請求項1、2、3、4又は5に記載の構成において、前記被洗浄面は、半導体製造工程で使用されるポーラスチャックテーブルである、洗浄装置を提供する。
【0026】
この構成によれば、半導体製造工程で、例えば半導体ウエハウエハを吸引保持するポーラスチャックテーブルの保持面を洗浄する洗浄装置として適用できる。
【発明の効果】
【0027】
発明によれば、洗浄ノズルの噴出口から噴射されて被洗浄面に当たり跳ね返る水しぶきやミスト等を含む噴霧を、洗浄ノズルの噴出口の外周を囲って配置したブラシヘッドの結束ブラシ素体に当ててブラシヘッド内に液滴下させ、予期せぬ場所への飛散を防ぐことができる。また、結束ブラシ素体を設けたブラシヘッドを使用するので、構造が簡単になり、低コスト並びに小型化が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の洗浄装置を備えた半導体製造工程で使用可能なポーラスチャックテーブル洗浄ユニットの要部構成配置図である。
図2図1のA-A線に相当する部分での断面として示すポーラスチャックテーブル洗浄ユニットの概略断面図である。
図3図2に示す洗浄装置における拡大断面図である。
図4図3のB-B線矢視方向より見た洗浄装置の要部底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、洗浄時における噴霧の舞い上がりによる噴霧を無くして洗浄を行うことが可能であるとともに、簡単な構造で低コスト化並びに小型化が可能な洗浄装置を提供するという目的を達成するために、被洗浄面に向けて、洗浄ノズルの噴出口から洗浄流体を噴射させて前記被洗浄面を洗浄する洗浄装置であって、前記被洗浄面に向かって突出しているブラシを有して前記洗浄ノズルに外装されるブラシヘッドを備え、前記ブラシは、前記噴出口の外周に略等間隔で複数配置されている、構成としたことにより実現した。
【0030】
以下、本発明を実施するための形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の説明では、実施形態の説明の全体を通じて同じ要素には同じ符号を付している。また、以下の説明では、上下や左右等の方向を示す表現は、絶対的なものではなく、本発明の洗浄装置の各部が描かれている姿勢である場合に適切であるが、その姿勢が変化した場合には姿勢の変化に応じて変更して解釈されるべきものである。
【実施例
【0031】
図1は本発明に係る洗浄装置31を備えた半導体製造工程で使用可能なポーラスチャックテーブル洗浄ユニット10の要部構成配置で、図2図1のA-A線に相当する部分での断面として示すポーラスチャックテーブル洗浄ユニット10の概略断面図である。
【0032】
図1及び図2において、ポーラスチャックテーブル洗浄ユニット10は、図示せぬモータの駆動により水平に回転する円板状をしたポーラスチャックテーブル11と、同じく図示せぬモータの駆動により水平に回転する円板状をしたチャック洗浄砥石部材12と、ポーラスチャックテーブル11上を洗浄する洗浄装置13と、を備えている。
【0033】
ポーラスチャックテーブル11は、例えば半導体製造工程で使用されるダイシングソーに組み込まれるものであり、円板状をした回転テーブル11Aと、回転テーブル11Aに一体回転可能に取り付けられた円板状のポーラスチャック11Bを有している。ポーラスチャック11Bは、多孔質体で形成されており、回転テーブル11Aを通って裏面側から表面(ウエハ吸着面)側に負圧が付与され、この負圧によりウエハ吸着面側にウエハ(W1,W2)を吸着保持することができる。ここでのポーラスチャック11Bのウエハ吸着面は、ダイシングソーでは10μ~20μm程度の幅でウエハを切断していくため、高い平面度が求められている。
【0034】
チャック洗浄砥石部材12は、ポーラスチャック11Bのウエハ吸着面と対向する下面にチャック洗浄砥石12aを有し、支軸14を介してユニット本体10Aに回転可能に取り付けられている。支軸14は、ユニット本体10A内に配置された図示しない前記モータの回転軸と連結されている。すなわち、チャック洗浄砥石部材12は、支軸14を介して前記モータと連結されていて、そのモータの回転を受けて回転する。また、その回転をしながら、チャック洗浄砥石12aをポーラスチャック11Bのウエハ吸着面に当接させて、チャック洗浄砥石12aでウエハ吸着面を研磨して平面度を出す。
【0035】
洗浄装置13は、支持アーム21を介してユニット本体10Aに取り付けられており、洗浄流体を吹き付けながらユニット本体10Aと一体に移動し、ポーラスチャック11B上のウエハ吸着面上に付着しているダストと、ウエハ吸着面上にウエハが吸着保持されている場合には、ウエハ吸着面上に吸着保持されているウエハの表面に付着しているダストを洗浄流体で除去することができる。
【0036】
なお、図1中での洗浄装置13は、符号13(W1)と符号13(W2)の2つの洗浄装置13を示している。これら2つの洗浄装置13(W1)と13(W2)のうち、例えば洗浄装置13(W1)は12インチのウエハW1に対応する洗浄装置で、洗浄装置13(W2)は8インチのウエハW2に対応する洗浄装置である。これら、2つの洗浄装置13(W1)と13(W2)は、洗浄時、ウエハW1、W2に関わらず常に洗浄動作をしている。
【0037】
図3及び図4は洗浄装置13の構成を説明するための図であり、図3図2に示す洗浄装置13における拡大断面図で、図4図3のB-B線矢視方向より見た洗浄装置13の要部底面図である。
【0038】
図3及び図4において、洗浄装置13は、切削加工後のウエハの表面又はポーラスチャック11Bの吸着面(以下、これを総称して「被洗浄面」という)を洗浄するための洗浄ノズル15を備え、また、洗浄ノズル15にはブラシヘッド16とバネ部材としてのコイルスプリング17と、ヘッドホルダー18が取り付けられている。
【0039】
洗浄ノズル15は、例えば0.2MPa程度に加圧された純水等の洗浄水と0.15MPa程度に加圧された空気(エア)との混合流体を被洗浄面に向けて噴出する噴出口15aを有している。また、噴出口15aを設けている下端側は円柱筒状に形成されている。この洗浄ノズル15は、洗浄水注入口15bから注入された洗浄水と、エア注入口15cから注入されたエアを混合して混合流体とし、この混合流体を噴出口15aから噴出するようになっている。
【0040】
ブラシヘッド16は、ヘッド本体19と、ヘッド本体19に取り付けられたブラシ20と、を有している。
【0041】
ヘッド本体19は、洗浄ノズル15の円柱筒状に形成された下端部15Aの外周に取り付けられる。ヘッド本体19には、上端開口側から、洗浄ノズル15の下端部15Aが上下方向摺動自在に挿入配置されている。これにより、ヘッド本体19は、洗浄ノズル15に対して、噴出口15aの外周を囲った状態にして洗浄ノズル15の下端部15Aに取り付けられている。そして、ヘッド本体19の下端面19dにブラシ20を取り付けている。
【0042】
ヘッドホルダー18は、両端が開口されている筒状をした部材である。ヘッドホルダー18は、上端部18aが洗浄ノズル15の上部外周部分に支持アーム21と固定ボルト22を介して固定され、下端部がヘッド本体19の上部外周部分19aに摺動自在に係合されている。なお、ヘッド本体19の上部外周部分19aの上端には、係止段部19cが形成されている。そして、係止段部19cとヘッドホルダー18の下端部18bとの係合により、洗浄ノズル15に対するヘッド本体19の下方(被洗浄面方向)への移動が規制されるようになっている。
【0043】
バネ部材としてのコイルスプリング17は、洗浄ノズル15の下端部15Aの外周に配置され、洗浄ノズル15とヘッド本体19の上端との間に圧縮された状態で配置されており、この圧縮された状態によりヘッド本体19を常に下方(被洗浄面方向)へバネ付勢した状態にしている。したがって、ヘッドホルダー18は、平時はコイルスプリング17の付勢力により、ヘッド本体19の係止段部19cとヘッドホルダー18の下端部18bが係合された状態の位置まで移動された状態で保持されている。
【0044】
ブラシ20は、ポリ塩化ビニル(PVC)等のプラスチック材で、線径が0.16ミリ程の糸状をした複数のブラシ素体を束ねて、概略円柱棒状にしたものである。ブラシ20は、ヘッド本体19の下面に形成されている取付穴19bに圧入されて、その後、接着等して固定される。
【0045】
図4に示すように、ヘッド本体19の下面に形成されている取付穴19bは、洗浄ノズル15の噴出口15aを中心として描かれる内側円周上に、略等間隔で複数形成されている取付穴19b1と、同じく洗浄ノズル15の噴出口15aを中心として描かれる外側円周上に、略等間隔で複数形成されている取付穴19b2とでなる。なお、実施例では、内側円周上の取付穴19b1と外側円周上の取付穴19b2とは、洗浄ノズル15の径方向において外側円周上の各取付穴19b2が内側円周上の各取付穴19b1の間にそれぞれ配置されている。そして、内側円周上の取付穴19b1と外側円周上の取付穴19b2には、それぞれ円柱棒状に形成されたブラシ20が下方(被洗浄面方向)に突出された状態にして取り付けられている。
【0046】
したがって、このようにしてヘッド本体19の下端面19dにブラシ20を取り付けたブラシヘッド16は、外側ブラシ列の各ブラシ20が内側ブラシ列の各ブラシ20の間にそれぞれ位置している状態となる。そして、ブラシヘッド16の内側から各ブラシ20の全体を見た場合に、それら全体のブラシ20は同心円上で互いに連続して繋がれ、円周状のブラシ20の壁を有する形状となる。しかし、下側から平面的に見た場合には、図4に示すように各ブラシ20の間には隙間Sが設けられ、エアは隙間Sを通って外部に排出できるようになっている。図4中に符号100で示す矢印は、そのエアが排出されて行く流れの一例を示す。
【0047】
このように形成されたブラシヘッド16を設けた洗浄装置13を用いてポーラスチャックテーブル11の被洗浄面を洗浄する場合は、洗浄装置13を下降させて回転しているポーラスチャックテーブル11の被洗浄面にブラシ20を当接させる。この際、余分な押し付け力はコイルスプリング17が圧縮されて、ブラシヘッド16が上方に逃がされることにより取り除かれる。なお、コイルスプリング17は必ずしも無くてもよく、ブラシ20をブラシヘッド16の自重で押し当てるようにしてもよい。また、当接と同時に、洗浄ノズル15の噴出口15aから0.2MPa程度に加圧された純水等の洗浄水と0.15MPa程度に加圧された空気(エア)との混合流体がポーラスチャックテーブル11の被洗浄面に向けて噴出させて洗浄を開始する。
【0048】
洗浄ノズル15の噴出口15aから混合流体が噴射されると、混合流体が被洗浄面に当たり、跳ね返って水しぶきやミストで噴霧が作られる。そして、この噴霧は、洗浄ノズル15の噴出口15aの外周を囲って壁状に配置されているブラシヘッド16のブラシ20に当ってブラシヘッド16内で液滴下し、予期せぬ場所に飛散するのが防止される。一方、エアは、図4に示すように各ブラシ20の間の隙間Sを通って外部に排出される。
【0049】
したがって、この洗浄装置13を用いた高圧洗浄により、被洗浄面上のダストが除去される。また、ポーラスチャック11Bの場合は、ポーラス内部の汚れも同時に除去できる。
【0050】
また、この洗浄装置13では、ブラシ20を設けたブラシヘッド16を使用するので、構造が簡単になり、低コスト並びに小型化が可能になる。
【0051】
なお、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を成すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【符号の説明】
【0052】
10 ポーラスチャックテーブル洗浄ユニット
10A ユニット本体
11 ポーラスチャックテーブル
11A 回転テーブル
11B ポーラスチャック
12 チャック洗浄砥石部材
12a チャック洗浄砥石
13 洗浄装置
14 支軸
15 洗浄ノズル
15A 下端部
15a 噴出口
15b 洗浄水
15c エア注入口
16 ブラシヘッド
17 コイルスプリング(バネ部材)
18 ヘッドホルダー
18a 上端部
18b 下端部
19 ヘッド本体
19a 上部外周部分
19b 取付穴
19c 係止段部
19d 下端面
19b1 内側円周上の取付穴
19b2 外側円周上の取付穴
19c 係止段部
20 ブラシ
21 支持アーム
100 エアの流れ
図1
図2
図3
図4