(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-26
(45)【発行日】2022-11-04
(54)【発明の名称】ウエーハの加工方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/301 20060101AFI20221027BHJP
B23K 26/53 20140101ALI20221027BHJP
B28D 7/04 20060101ALI20221027BHJP
B28D 5/00 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
H01L21/78 B
H01L21/78 V
B23K26/53
B28D7/04
B28D5/00 Z
(21)【出願番号】P 2018147137
(22)【出願日】2018-08-03
【審査請求日】2021-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 豊
【審査官】中田 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-098295(JP,A)
【文献】特開2014-033163(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
B23K 26/53
B28D 7/04
B28D 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の方向に伸びる複数の第一の分割予定ラインと複数の該第一の分割予定ラインと交差する複数の第二の分割予定ラインによって区画された各領域にデバイスが形成されたウエーハを、第一の分割予定ラインおよび第二の分割予定ラインに沿って加工するウエーハの加工方法であって、
ウエーハに対して透過性を有する波長のレーザービームを該第一の分割予定ラインに沿って照射し、該ウエーハの内部に該第一の分割予定ラインに沿って連続した第一の改質層を形成する第一の改質層形成工程と、
該ウエーハに対して透過性を有する波長のレーザービームを該第二の分割予定ラインに沿って照射し、該第一の分割予定ラインとの交差部を除いて第二の改質層を形成する第二の改質層形成工程と、
該第一の改質層形成工程および該第二の改質層形成工程を実施した後に、該ウエーハに外力を付与して該第一および第二の分割予定ラインに沿ってウエーハを個々のデバイスチップへと分割する分割工程と、を含み、
該第二の改質層形成工程は、
該第二の分割予定ラインに沿って該レーザービームを該第一の分割予定ラインとの交差部の手前まで照射した後、該第一の分割予定ラインとの交差部から隣接する次の該第一の分割予定ラインとの交差部まで該レーザービームの照射を停止し、次の該第一の分割予定ラインとの交差部を超えてから再び該レーザービームを照射する動作を繰り返して該第二の分割予定ラインを加工する第一のスキップ改質層形成工程と、
該第一のスキップ改質層形成工程で加工されなかった該第二の分割予定ラインの未加工部を、該第一の分割予定ラインおよび次の該第一の分割予定ラインとの各交差部を除いて加工する第二のスキップ改質層形成工程と、
を備え
、
該第一のスキップ改質層形成工程と該第二のスキップ改質層形成工程とでは、該第二の分割予定ラインの同一の直線上に該第二の改質層を形成することを特徴とするウエーハの加工方法。
【請求項2】
ウエーハを環状のフレームに装着された保護テープに貼着する保護テープ貼着工程を実施した後に、該第一の改質層形成工程、該第二の改質層形成工程、および分割工程を実施することを特徴とする、請求項1に記載のウエーハの加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエーハの加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、レーザービームを用いてウエーハを個々のデバイスチップに分割する方法が種々開発され、実用化されている。例えば、ウエーハに対して透過性を有する波長のレーザービームの集光点を分割予定ラインに対応するウエーハの内部に位置付けて、レーザービームを分割予定ラインに沿って照射してウエーハ内部に改質層を形成し、その後分割装置によりウエーハに外力を付与して改質層を分割起点としてウエーハを個々のデバイスチップに分割する加工方法が挙げられる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところが、上記の加工方法では、ウエーハの分割予定ラインが交差する近傍において、既に改質層が形成されている部分へレーザービームを重ねて照射するため、改質層が歪んだり十分に形成できない等、加工性が損なわれ、チップの分割不良が発生し易いという問題がある。また、後から入射したレーザービームが既に形成されている改質層によって散乱してしまい表面側のデバイスを傷つけるといった問題も想定された。
【0004】
これらの問題を解決するため、連続した第一の改質層が形成された第一の分割予定ラインと交差した第二の分割予定ラインには第一の分割予定ラインとの交差部を除いて第二の改質層を形成する加工方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第3408805号公報
【文献】特許第4767711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、第一の分割予定ラインに沿って形成された第一の改質層の幅は数[um]と非常に細く形成されている。このため、第一の分割予定ラインとの交差部を除いて、第二の分割予定ラインに沿って第二の改質層を形成する加工方法では、第一の改質層の幅に対するレーザービームの照射(発振)および停止の反応が間に合わず、交差部の近傍にレーザービームが照射されない未加工部が発生してチッピングを生じるおそれがあった。
【0007】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、表面に分割予定ラインが形成されたウエーハを、デバイスを傷つけることなく分割予定ラインに沿って精度良く分割することができるウエーハの加工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、所定の方向に伸びる複数の第一の分割予定ラインと複数の該第一の分割予定ラインと交差する複数の第二の分割予定ラインによって区画された各領域にデバイスが形成されたウエーハを、第一の分割予定ラインおよび第二の分割予定ラインに沿って加工するウエーハの加工方法であって、ウエーハに対して透過性を有する波長のレーザービームを該第一の分割予定ラインに沿って照射し、該ウエーハの内部に該第一の分割予定ラインに沿って連続した第一の改質層を形成する第一の改質層形成工程と、該ウエーハに対して透過性を有する波長のレーザービームを該第二の分割予定ラインに沿って照射し、該第一の分割予定ラインとの交差部を除いて第二の改質層を形成する第二の改質層形成工程と、該第一の改質層形成工程および該第二の改質層形成工程を実施した後に、該ウエーハに外力を付与して該第一および第二の分割予定ラインに沿ってウエーハを個々のデバイスチップへと分割する分割工程と、を含み、該第二の改質層形成工程は、該第二の分割予定ラインに沿って該レーザービームを該第一の分割予定ラインとの交差部の手前まで照射した後、該第一の分割予定ラインとの交差部から隣接する次の該第一の分割予定ラインとの交差部まで該レーザービームの照射を停止し、次の該第一の分割予定ラインとの交差部を超えてから再び該レーザービームを照射する動作を繰り返して該第二の分割予定ラインを加工する第一のスキップ改質層形成工程と、該第一のスキップ改質層形成工程で加工されなかった該第二の分割予定ラインの未加工部を、該第一の分割予定ラインおよび次の該第一の分割予定ラインとの各交差部を除いて加工する第二のスキップ改質層形成工程と、を備え、該第一のスキップ改質層形成工程と該第二のスキップ改質層形成工程とでは、該第二の分割予定ラインの同一の直線上に該第二の改質層を形成するものである。
【0009】
この構成によれば、第一のスキップ改質層形成工程および第二のスキップ改質層形成工程において、第二の分割予定ラインに沿って、隣接する第一の分割予定ライン間のデバイスチップ1つ分に相当する領域ごとに、レーザービームの照射と停止とを交互に繰り返すことにより、レーザービーム21Aの照射(発振)および停止の反応時間を十分に確保することができる。このため、既に第一の改質層が加工された、もしくは、後に第一の改質層が加工される第一の分割予定ラインとの交差部に対して、ぎりぎりまで加工することができ、デバイスを傷つけることなく、かつ精度良く分割することができる。
【0010】
この構成において、ウエーハを環状のフレームに装着された保護テープに貼着する保護テープ貼着工程を実施した後に、該第一の改質層形成工程、該第二の改質層形成工程、および分割工程を実施してもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、第一のスキップ改質層形成工程および第二のスキップ改質層形成工程において、第二の分割予定ラインに沿って、隣接する第一の分割予定ライン間のデバイスチップ1つ分に相当する領域ごとに、レーザービームの照射と停止とを交互に繰り返すことにより、レーザービーム21Aの照射(発振)および停止の反応時間を十分に確保することができる。このため、既に第一の改質層が加工された、もしくは、後に第一の改質層が加工される第一の分割予定ラインとの交差部に対して、ぎりぎりまで加工することができ、デバイスを傷つけることなく、かつ精度良く分割することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本実施形態に係るウエーハの加工方法の手順を示すフローチャートである。
【
図2】
図2は、本実施形態の加工対象であるウエーハの構成例を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、保護テープを介してウエーハを環状のフレームに装着した構成例を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、改質層を形成するために用いられるレーザー加工装置の要部斜視図である。
【
図5】
図5は、第一の改質層形成工程において、第一の改質層を形成する前のウエーハの側断面を示す図である。
【
図6】
図6は、第一の改質層形成工程において、第一の改質層が形成されたウエーハの側断面図である。
【
図7】
図7は、第一のスキップ改質層形成工程において、第二の改質層を形成する前のウエーハの側断面を示す図である。
【
図8】
図8は、第一のスキップ改質層形成工程において、第二の改質層が間欠的に形成されたウエーハの側断面図である。
【
図9】
図9は、第一のスキップ改質層形成工程において、第二の改質層を形成する際のレーザービームの照射タイミングを示すタイムチャートである。
【
図10】
図10は、第二のスキップ改質層形成工程において、第二の改質層を形成する前のウエーハの側断面を示す図である。
【
図11】
図11は、第二のスキップ改質層形成工程において、第二の改質層が形成されたウエーハの側断面図である。
【
図12】
図12は、第一のスキップ改質層形成工程において、第二の改質層を形成する際のレーザービームの照射タイミングを示すタイムチャートである。
【
図13】
図13は、ウエーハを分割する前の状態を示す図である。
【
図14】
図14は、ウエーハを分割した後の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0014】
本実施形態に係るウエーハの加工方法について説明する。
図1は、本実施形態に係るウエーハの加工方法の手順を示すフローチャートである。
図2は、本実施形態の加工対象であるウエーハの構成例を示す斜視図である。本実施形態に係るウエーハの加工方法は、ウエーハに対して透過性を有する波長のレーザービームを交差する複数の分割予定ラインに沿って照射して、ウエーハの内部に各分割予定ラインに沿って改質層を形成した後、ウエーハに外力を付与して分割予定ラインに沿ってウエーハを個々のデバイスチップへと分割するものである。本実施形態のウエーハの加工方法は、
図1に示すように、保護テープ貼着工程ST1と、第一の改質層形成工程ST2と、第二の改質層形成工程ST3と、分割工程ST4とを備える。第二の改質層形成工程ST3は、第一のスキップ改質層形成工程ST3Aと第二のスキップ改質層形成工程ST3Bとから構成される。
【0015】
本実施形態に係るウエーハの加工方法の加工対象であるウエーハ2は、
図2に示すように、例えばシリコンを母材とする円板状の半導体ウエーハや、サファイア、SiC(炭化ケイ素)などを母材とする光デバイスウエーハである。ウエーハ2の表面2Aには、所定の方向に延びる複数の第一の分割予定ライン3Aと、これら複数の第一の分割予定ライン3Aと直交する方向に交差して延びる複数の第二の分割予定ライン3Bとが形成されている。ウエーハ2の表面2Aには、第一の分割予定ライン3Aと第二の分割予定ライン3Bによって区画された複数の領域にIC、LSI等のデバイス4が形成されている。なお、第一の分割予定ライン3A及び第二の分割予定ライン3Bと区別する必要が無い場合には、単に分割予定ライン3と称する。次に、
図1のフローチャートに示す各工程について説明する。
【0016】
[保護テープ貼着工程ST1]
図3は、保護テープを介してウエーハを環状のフレームに装着した構成例を示す斜視図である。ウエーハ2は、
図3に示すように、保護テープ6を介して環状のフレーム7に装着される。保護テープ6は、伸縮性を有する合成樹脂で構成されたエキスパンドテープであり、ウエーハ2の表面2A側に貼着されて表面2Aのデバイス4を保護する。環状のフレーム7は、ウエーハ2よりも大径の開口を有し、この開口内にウエーハ2が保持される。本実施形態では、ウエーハ2、保護テープ6および環状のフレーム7を備えてウエーハユニット8を構成し、このウエーハユニット8の状態で加工が行われる。ウエーハ2は、保護テープ6に表面2A側が貼着されるため、裏面2Bが上側となって露出する。
【0017】
図4は、改質層を形成するために用いられるレーザー加工装置の要部斜視図である。保護テープ貼着工程ST1を実施した後、ウエーハユニット8のウエーハ2の内部には、
図4に示すレーザー加工装置20を用いて、分割予定ライン3に沿った改質層9が形成される。改質層とは、密度、屈折率、機械的強度やその他の物理的特性が周囲のそれとは異なる状態になった変質領域のことを意味し、溶融処理領域、クラック領域、絶縁破壊領域、屈折率変化領域、及びこれらの領域が混在した領域等を例示できる。レーザー加工装置20は、レーザービーム21Aをウエーハ2に向けて照射する照射ヘッド21と、この照射ヘッド21とX方向(加工送り方向)に横並びに配置された撮像部22とを備える。照射ヘッド21は、ウエーハ2に対して透過性を有する波長のレーザービームを発振する発振器(不図示)と、発振されたレーザービームを集光する集光器(不図示)とを備える。発振器は、例えば、YAGレーザー発振器またはYVO4レーザー発振器からなるパルスレーザー発振器である。照射ヘッド21は、ウエーハ2に向けて照射されるレーザービーム21Aの集光位置(フォーカス位置)をZ方向(鉛直方向)に調整する。撮像部22は、照射ヘッド21に対するウエーハ2の配置状況及びウエーハ2への加工状況などを撮像するカメラである。撮像部22は、可視光線によって撮像する通常の撮像素子(CCD)の外に、ウエーハ2に赤外線を照射する赤外線照明手段と、該赤外線照明手段によって照射された赤外線を捕らえる光学系と、該光学系によって捕らえられた赤外線に対応した電気信号を出力する撮像素子(赤外線CCD)等で構成されており、撮像した画像信号を制御手段(不図示)に送る。本実施形態では、レーザー加工装置20は、ウエーハ2(ウエーハユニット8)を保持するチャックテーブル10(後述する)がY方向(割出送り方向)に移動可能に構成されているが、ウエーハ2に対して、レーザー加工装置20がY方向に移動する構成としてもよい。
【0018】
ウエーハユニット8は、チャックテーブル10に吸引保持される。このチャックテーブル10は、例えばポーラスセラミック等で構成された保持面を備え、真空吸引源(不図示)の負圧により、保持面上にウエーハユニット8を吸引して保持する。また、チャックテーブル10は、移動機構(不図示)により上記したX方向に移動可能に構成される。また、チャックテーブルは、回転機構(不図示)により鉛直方向と平行な軸心10A回りに回転可能に構成されている。本実施形態では、ウエーハ2(ウエーハユニット8)を保持するチャックテーブル10がX方向に移動する構成としたが、ウエーハ2に対して、レーザー加工装置20がX方向に相対的に移動すれば、レーザー加工装置20がX方向に移動する構成としてもよい。なお、
図4に示すレーザー加工装置20は、チャックテーブル10の移動量を検出するための移動量検出手段(不図示)を備えており、この移動量検出手段は検出信号を制御手段に送る。また、制御手段は、ウエーハ2に形成された第一の分割予定ライン3Aと第二の分割予定ライン3Bとの交差部の座標値を格納するメモリを備えており、該交差部の座標値と移動量検出手段からの検出信号とを照合して照射ヘッド21に制御信号を出力する。
【0019】
[第一の改質層形成工程ST2]
本実施形態では、第一の改質層形成工程ST2として、第一の分割予定ライン3Aに沿ってウエーハ2の内部に第一の改質層9Aが形成される。
図5は、第一の改質層形成工程において、第一の改質層を形成する前のウエーハの側断面を示す図である。
図6は、第一の改質層形成工程において、第一の改質層が形成されたウエーハの側断面図である。これら
図5および
図6では、ウエーハユニット8は、保護テープ6が装着された環状のフレーム7を省いて示している。
図5に示すように、チャックテーブル10上にウエーハユニット8を載置して、該ウエーハユニット8をチャックテーブル10に吸引保持する。この際、ウエーハ2の裏面2Bが上に向いてチャックテーブル10上に保持され、チャックテーブル10は、移動機構によって撮像部22(
図4)の直下に位置付けられる。
【0020】
チャックテーブル10が撮像部22の直下に位置付けられると、撮像部22および制御手段(不図示)によってウエーハ2のレーザー加工すべき加工領域を検出するアライメント作業を実行する。すなわち、撮像部22および制御手段は、ウエーハ2の所定方向に形成されている第一の分割予定ライン3Aと、該第一の分割予定ライン3Aに沿ってレーザービームを照射する照射ヘッド21の集光器との位置合わせを行うためのパターンマッチング等の画像処理を実行し、レーザービームの照射位置のアライメントを遂行する。ここで、ウエーハ2は、第一の分割予定ライン3Aの形成されている表面2A側が下を向いて配置されているが、撮像部22は上述したように赤外線照明手段と赤外線を捕らえる光学系および赤外線に対応した電気信号を出力する撮像素子(赤外線CCD)等で構成されているため、裏面2Bから赤外線を透過して第一の分割予定ライン3Aを撮像することができる。
【0021】
ウエーハ2の第一の分割予定ライン3Aを検出し、レーザー加工装置20の照射ヘッド21のアライメントを実行すると、
図5に示すように、チャックテーブル10を照射ヘッド21が位置するレーザービーム照射領域に移動し、所定の第一の分割予定ライン3Aの一端(
図5の左端)を照射ヘッド21の直下に位置付ける。そして、照射ヘッド21の集光器からウエーハ2に対して透過性を有する波長のレーザービーム21Aを照射しつつチャックテーブル10を
図5の矢印X1で示す方向に所定の加工送り速度で移動する。
【0022】
そして、
図6に示すように、照射ヘッド21の照射位置が第一の分割予定ライン3Aの他端(
図6の右端)の位置に達したら、レーザービーム21A(
図5)の照射を停止するとともにチャックテーブル10の移動を停止する。ここで、1本の第一の分割予定ライン3Aに対して、レーザービーム21Aの集光点をウエーハ2の厚み方向に異ならせて複数回照射される。この結果、ウエーハ2の内部には、第一の分割予定ライン3Aに沿って表面2Aから内部に向けて連続した第一の改質層9Aが形成される。すべての第一の分割予定ライン3Aに沿って第一の改質層9Aが形成されると、第一の改質層形成工程ST2を終了する。
【0023】
ウエーハ2の所定方向に延在するすべての第一の分割予定ライン3Aに沿って連続する第一の改質層9Aを形成した後、続いて、第二の分割予定ライン3Bに沿って、第一の分割予定ライン3Aとの交差部12を除いて第二の改質層9Bを形成する。ここで、第一の分割予定ライン3Aに沿って形成された第一の改質層9Aの幅は、例えば数[um]と非常に細く形成されている。このため、上記交差部12の直前でレーザービーム21Aの照射を停止して該交差部12の直後にレーザービーム21Aの照射を再開する加工方法では、第一の改質層9Aの幅に対するレーザービームの照射(発振)および停止の反応が間に合わない。従って、交差部12の近傍にレーザービーム21Aが照射されない未加工領域が発生し、デバイスチップへの分割時にチッピングを生じるおそれがあった。
【0024】
本実施形態では、レーザー加工装置20を用いて、第一のスキップ改質層形成工程ST3Aと第二のスキップ改質層形成工程ST3Bとの二段階に分けることにより、第一の分割予定ライン3Aとの交差部12を除いて第二の改質層9Bを形成している。次に、第一のスキップ改質層形成工程ST3Aと第二のスキップ改質層形成工程ST3Bについてそれぞれ説明する。
【0025】
[第一のスキップ改質層形成工程ST3A(第二の改質層形成工程ST3)]
図7は、第一のスキップ改質層形成工程において、第二の改質層を形成する前のウエーハの側断面を示す図である。
図8は、第一のスキップ改質層形成工程において、第二の改質層が間欠的に形成されたウエーハの側断面図である。
図9は、第一のスキップ改質層形成工程において、第二の改質層を形成する際のレーザービームの照射タイミングを示すタイムチャートである。これら
図7および
図8では、ウエーハユニット8は、保護テープ6が装着された環状のフレーム7を省いて示している。また、
図8では、第二の改質層9Bは、便宜的に第一の改質層9Aよりも厚み方向に低く示しているが、第二の改質層9Bと第一の改質層9Aとは同等の高さに形成されている。
【0026】
第一のスキップ改質層形成工程ST3Aでは、
図7に示すように、第一の改質層9Aが形成されたウエーハ2を保持したチャックテーブル10を90度回動した位置に位置付ける。チャックテーブル10を90度回動した位置に位置付けると、チャックテーブル10を照射ヘッド21が位置するレーザービーム照射領域に移動し、所定の第二の分割予定ライン3Bの一端(
図7の左端)を照射ヘッド21の直下に位置付ける。本実施形態では、第一のスキップ改質層形成工程ST3Aは、所定の第二の分割予定ライン3Bの一端(
図7の左端)から他端(
図8の右端)まで、
図7の矢印X1で示す方向の移動(往路移動)する際に実行される。
【0027】
第二の分割予定ライン3Bの一端が照射ヘッド21の直下に位置付けられると、照射ヘッド21の集光器からウエーハ2に対して透過性を有する波長のレーザービーム21Aを照射しつつチャックテーブル10を
図7の矢印X1で示す方向に所定の加工送り速度で移動する。この場合、照射ヘッド21は、
図8に示すように、第二の分割予定ライン3Bに沿って、レーザービーム21Aを第一の改質層9Aが形成された第一の分割予定ライン3Aとの交差部12の手前まで照射した後、この第一の分割予定ライン3Aとの交差部12の手前から、この交差部12に隣接(加工方向の下流側に位置する)し、第一の改質層9Aが形成された次の第一の分割予定ライン3Aとの交差部12まで該レーザービーム21Aの照射を停止する。そして、この次の第一の分割予定ライン3Aとの交差部12の直後(交差部12を超えて)から再び該レーザービーム21Aの照射を開始するといった一連の動作を繰り返し実行し、照射ヘッド21の照射位置が第二の分割予定ライン3Bの他端(
図8の右端)の位置に達したら、レーザービーム21Aの照射を停止するとともにチャックテーブル10の移動を停止する。
【0028】
具体的には、照射ヘッド21(
図8)は、
図9に示すように、第一の改質層9Aが形成された第一の分割予定ライン3Aとの交差部12の直後(例えば、交差部12から1~150[μm]加工方向後側;
図9における第一の分割予定ライン3Aの右側)に位置する加工開始位置で、レーザービーム21Aの照射が開始(ON)するように、この照射開始のタイミングよりも所定時間T1A早くGate信号(制御信号)を出力(ON)する。交差部12からの距離は、チッピングの防止およびデバイス面のダメージ防止の観点から定められ、1[μm]以下とすると、交差部12(第一の改質層9A)と接触する可能性が生じ、チッピングを防止できる一方、反射光によってデバイス面がダメージ(損傷)するおそれがある。また、150[μm]以上とすると、交差部12(第一の改質層9A)から離間するため、デバイス面のダメージを抑える一方、チッピングが生じる可能性が高まる。このため、交差部12から1~150[μm]となる範囲で所定時間T1Aが設定される。
【0029】
次に、照射ヘッド21は、第一の改質層9Aが形成され、隣接する次の第一の分割予定ライン3Aとの交差部12の直前(例えば、交差部12から1~150[μm]加工方向前側;
図9における第一の分割予定ライン3Aの左側)に位置する加工停止位置でレーザービーム21Aの照射が停止(OFF)するように、この照射停止のタイミングよりも所定時間T1B早くGate信号(制御信号)の出力を停止(OFF)する。この所定時間T1Bは、チッピングの防止およびデバイス面のダメージ防止の観点から交差部12から1~150[μm]となる範囲で設定される。そして、照射ヘッド21は、第一の改質層9Aが形成された、更に次(加工方向前側)の第一の分割予定ライン3Aとの交差部12の直前の加工開始位置に達するとレーザービーム21Aの照射を再開するといった動作を繰り返し実行する。レーザービーム21Aの照射と停止は、メモリに格納されたウエーハ2の第一の分割予定ライン3Aと第二の分割予定ライン3Bとの交差部の座標値と移動量検出手段からの検出信号(加工開始位置の座標値、加工停止位置の座標値、および所定時間T1A、T1Bを含む)に基づいて、制御手段がレーザー加工装置20を制御することにより実行される。このように、第二の分割予定ライン3Bに沿って、第一の改質層9Aがそれぞれ形成された第一の分割予定ライン3A,3A間の領域に対して、レーザービーム21Aの照射と停止とを交互に繰り返すことにより、
図8に示すように、ウエーハ2の内部には、第一の分割予定ライン3Aとの交差部12を除いて、第二の分割予定ライン3Bに沿って第二の改質層9Bと未加工部13とが交互に形成される。なお、上記した交差部12からの距離(所定時間T1A、T1Bを含む)は、一例であり、ウエーハの厚みや、改質層の形成深さ、レーザー加工時の出力などによって適宜変更することができる。
【0030】
[第二のスキップ改質層形成工程ST3B(第二の改質層形成工程ST3)]
図10は、第二のスキップ改質層形成工程において、第二の改質層を形成する前のウエーハの側断面を示す図である。
図11は、第二のスキップ改質層形成工程において、第二の改質層が形成されたウエーハの側断面図である。
図12は、第一のスキップ改質層形成工程において、第二の改質層を形成する際のレーザービームの照射タイミングを示すタイムチャートである。これら
図10および
図11では、ウエーハユニット8は、保護テープ6が装着された環状のフレーム7を省いて示している。また、
図11では、第二の改質層9Bは、便宜的に第一の改質層9Aよりも厚み方向に低く示しているが、第二の改質層9Bと第一の改質層9Aとは同等の高さに形成されている。
【0031】
第二のスキップ改質層形成工程ST3Bでは、
図10に示すように、チャックテーブル10を照射ヘッド21が位置するレーザービーム照射領域に移動し、第一のスキップ改質層形成工程ST3Aが実行された第二の分割予定ライン3Bの他端(
図10の右端)を照射ヘッド21の直下に位置付ける。本実施形態では、第二のスキップ改質層形成工程ST3Bは、第一のスキップ改質層形成工程ST3Aが実行された第二の分割予定ライン3Bの他端(
図10の右端)から一端(
図11の左端)まで、
図10の矢印X2で示す方向の移動(復路移動)する際に実行される。
【0032】
第二の分割予定ライン3Bの他端が照射ヘッド21の直下に位置付けられると、照射ヘッド21の集光器からウエーハ2に対して透過性を有する波長のレーザービーム21Aを照射しつつチャックテーブル10を
図10の矢印X2で示す方向に所定の加工送り速度で移動する。この場合、照射ヘッド21は、
図10に示すように、第一のスキップ改質層形成工程ST3Aで加工されなかった第二の分割予定ライン3Bの未加工部13に対して、第一の改質層9Aがそれぞれ形成された第一の分割予定ライン3Aおよび次の第一の分割予定ライン3Aとの各交差部12を除いて、レーザービーム21Aを照射する。照射ヘッド21の照射位置が第二の分割予定ライン3Bの一端の位置に達したら、レーザービーム21Aの照射を停止するとともにチャックテーブル10の移動を停止する。
【0033】
具体的には、第一のスキップ改質層形成工程ST3Aとは反対に、照射ヘッド21(
図10)は、
図12に示すように、第一の改質層9Aが形成された第一の分割予定ライン3Aとの交差部12の直後(例えば、交差部12から1~150[μm]加工方向後側;
図12における第一の分割予定ライン3Aの左側)に位置する加工開始位置で、レーザービーム21Aの照射が開始(ON)するように、この照射開始のタイミングよりも所定時間T2A早くGate信号(制御信号)を出力(ON)する。
【0034】
次に、照射ヘッド21は、上記交差部12に隣接し、第一の改質層9Aが形成された次の第一の分割予定ライン3Aとの交差部12の直前(例えば、交差部12から1~150[μm]加工方向前側;
図12における第一の分割予定ライン3Aの右側)に位置する加工停止位置でレーザービーム21Aの照射が停止(OFF)するように、この照射停止のタイミングよりも所定時間T2B早くGate信号(制御信号)の出力を停止(OFF)する。この所定時間T2A、所定時間T2Bは、チッピングの防止およびデバイス面のダメージ防止の観点から、それぞれ交差部12から1~150[μm]となる範囲で設定される。なお、上記した交差部12からの距離(所定時間T2A、T2Bを含む)についても、一例であり、ウエーハの厚みや、改質層の形成深さ、レーザー加工時の出力などによって適宜変更することができる。そして、照射ヘッド21は、第一の改質層9Aが形成された、更に次(加工方向前側)の第一の分割予定ライン3Aとの交差部12の直前の加工開始位置に達するとレーザービーム21Aの照射を再開するといった動作を繰り返し実行する。これにより、第二のスキップ改質層形成工程ST3Bでは、未加工部13に対して、レーザービーム21Aが照射されることにより、この未加工部13に対して、第一の改質層9Aがそれぞれ形成された第一の分割予定ライン3Aおよび次の第一の分割予定ライン3Aとの各交差部12を除いて第二の改質層9Bが形成されため、
図11に示すように、ウエーハ2の内部に第二の分割予定ライン3Bに沿って、第一の改質層9Aが形成された第一の分割予定ライン3Aとの交差部12を除いて第二の改質層9Bを形成することができる。このように形成された第二の改質層9Bと第一の改質層9Aとは、第一の分割予定ライン3Aと第二の分割予定ライン3Bの交差部12において重ねて形成されない。さらに、第二の分割予定ライン3Bに沿って、第一の分割予定ライン3A,3A間のデバイスチップ1つ分に相当する領域ごとに、レーザービーム21Aの照射と停止とを交互に繰り返すことにより、このレーザービーム21Aの照射(発振)および停止の反応時間を十分に確保することができる。このため、既に第一の改質層9Aが加工された第一の分割予定ライン3Aとの交差部12に対して、ぎりぎりまで加工することができ、デバイス4を傷つけることなく、かつチッピングを防止した分割を実現することができる。ウエーハ2に形成されたすべての第二の分割予定ライン3Bに対して、第一のスキップ改質層形成工程ST3Aおよび第二のスキップ改質層形成工程ST3Bが実行された後、第二の改質層形成工程ST3を終了する。
【0035】
[分割工程ST4]
図13は、ウエーハを分割する前の状態を示す図である。
図14は、ウエーハを分割した後の状態を示す図である。上記した第一の改質層形成工程ST2と、第二の改質層形成工程ST3とを実行すると、続いて、ウエーハ2に径方向に沿って外力を付与して保護テープ6を拡張することにより、第一の分割予定ライン3Aおよび第二の分割予定ライン3Bに沿ってそれぞれウエーハ2を個々のデバイスチップ11へと分割する分割工程ST4を実施する。この分割工程ST4は、
図13に示す分割装置30を用いて実施する。
【0036】
分割装置30は、
図13に示すように、フレーム保持テーブル31と、昇降ユニット32と、テープ拡張ドラム33とを備える。フレーム保持テーブル31は環状に形成されており、環状のフレーム7を載置する載置面31Aと、環状のフレーム7を保持するクランプ31Bとが設けられている。昇降ユニット32は、フレーム保持テーブル31の下方に配置されて該フレーム保持テーブル31を昇降する。昇降ユニット32は、複数のエアシリンダ32Aを備えて構成され、各エアシリンダ32Aのピストンロッド32Bがフレーム保持テーブル31の下面に連結されている。昇降ユニット32は、ピストンロッド32Bを伸縮することにより、フレーム保持テーブル31の載置面31Aをテープ拡張ドラム33の上端33Aと略同一高さとなる基準位置と、該上端33Aより所定量下方の拡張位置との間を上下方向に移動させる。
【0037】
テープ拡張ドラム33は、上記した環状のフレーム保持テーブル31の内側に配置された筒状体であり、ウエーハユニット8のウエーハ2よりも大きく、環状のフレーム7の開口よりも小さい内径及び外径を備えている。このため、テープ拡張ドラム33の上端33Aは、ウエーハユニット8におけるウエーハ2と環状のフレーム7との間の保護テープ6に接触する。
【0038】
ウエーハ2を分割する場合、
図13に示すように、ウエーハユニット8を分割装置30のフレーム保持テーブル31に保持する。具体的には、フレーム保持テーブル31の載置面31Aに環状のフレーム7を載置するとともに、この環状のフレーム7をクランプ31Bで保持する。この際、フレーム保持テーブル31の載置面31Aは、テープ拡張ドラム33の上端33Aと略同一高さとなる基準位置に位置付けられるように、昇降ユニット32のピストンロッド32Bを伸長する。
【0039】
次に、
図14に示すように、昇降ユニット32のピストンロッド32Bを収縮させて、フレーム保持テーブル31の載置面31Aを拡張位置に低下させる。従って、フレーム保持テーブル31の載置面31Aに固定されている環状のフレーム7も下降するため、環状のフレーム7に装着された保護テープ6は、テープ拡張ドラム33の上端33Aに当接して拡張される。この結果、保護テープ6に貼着されているウエーハ2に対して放射状に外力(引張力)が付与されるため、ウエーハ2は分割予定ライン3に形成された改質層9(
図13)に沿ってデバイスチップ11に分割される。
【0040】
以上、本実施形態によれば、ウエーハ2に対して透過性を有する波長のレーザービーム21Aを第二の分割予定ライン3Bに沿って照射し、第一の改質層9Aが形成された第一の分割予定ライン3Aとの交差部12を除いて第二の改質層9Bを形成する第二の改質層形成工程ST3を有し、この第二の改質層形成工程ST3は、第二の分割予定ライン3Bに沿ってレーザービーム21Aを第一の改質層9Aが形成された第一の分割予定ライン3Aとの交差部12の直前まで照射した後、第一の分割予定ライン3Aとの交差部12から隣接すると共に第一の改質層9Aが形成された次の第一の分割予定ライン3Aとの交差部12までレーザービーム21Aの照射を停止し、次の第一の分割予定ライン3Aとの交差部12の直後から再びレーザービーム21Aを照射する動作を繰り返して第二の分割予定ライン3Bを加工する第一のスキップ改質層形成工程ST3Aと、第一のスキップ改質層形成工程ST3Aで加工されなかった第二の分割予定ライン3Bの未加工部13を、第一の改質層9Aがそれぞれ形成された第一の分割予定ライン3Aおよび次の第一の分割予定ライン3Aとの各交差部12を除いて加工する第二のスキップ改質層形成工程ST3Bとを備えるため、第一のスキップ改質層形成工程ST3Aおよび第二のスキップ改質層形成工程ST3Bにおいて、レーザービーム21Aの照射(発振)および停止の反応時間を十分に確保することができる。このため、既に第一の改質層9Aが加工された第一の分割予定ライン3Aとの交差部12に対して、ぎりぎりまで加工することができ、デバイス4を傷つけることなく、かつチッピングを防止した分割を実現することができる。
【0041】
また、本実施形態によれば、ウエーハ2を環状のフレーム7に装着された保護テープ6に貼着する保護テープ貼着工程ST1を実施した後に、第一の改質層形成工程ST2、第二の改質層形成工程ST3、および分割工程ST4を実施するため、ウエーハ2を容易に取り扱うことができる。
【0042】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。すなわち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、本実施形態では、一本の第二の分割予定ライン3B上を照射ヘッド21が相対的に往復移動することで第一のスキップ改質層形成工程ST3Aと第二のスキップ改質層形成工程ST3Bとを実行しているが、これに限るものではなく、ウエーハ2に形成されたすべての第二の分割予定ライン3Bに対して第一のスキップ改質層形成工程ST3Aを実行した後、すべての第二の分割予定ライン3Bに対してそれぞれ第二のスキップ改質層形成工程ST3Bを実行してもよい。また、本実施形態では、第一の改質層形成工程ST2を第二の改質層形成工程ST3よりも先に実施する構成としたが、第二の改質層形成工程ST3、すなわち、第一のスキップ改質層形成工程ST3Aと第二のスキップ改質層形成工程ST3Bとを実施した後、第一の分割予定ラインに沿って、後から第一の改質層9Aを形成してもよい。この場合には、後に第一の改質層9Aが加工される第一の分割予定ライン3Aとの交差部12に対して、予め第二の改質層9Bをぎりぎりまで加工することができる。
【符号の説明】
【0043】
2 ウエーハ
2A 表面
2B 裏面
3 分割予定ライン
3A 第一の分割予定ライン
3B 第二の分割予定ライン
4 デバイス
6 保護テープ
7 環状のフレーム
8 ウエーハユニット
9 改質層
9A 第一の改質層
9B 第二の改質層
10 チャックテーブル
10A 軸心
11 デバイスチップ
12 交差部
13 未加工部
20 レーザー加工装置
21 照射ヘッド
21A レーザービーム
22 撮像部
30 分割装置
31 フレーム保持テーブル
31A 載置面
31B クランプ
32 昇降ユニット
32A エアシリンダ
32B ピストンロッド
33 テープ拡張ドラム