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特許7165735DUV光源、放電チャンバ及びその動作方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-26
(45)【発行日】2022-11-04
(54)【発明の名称】DUV光源、放電チャンバ及びその動作方法
(51)【国際特許分類】
   H01S 3/038 20060101AFI20221027BHJP
   H01J 61/06 20060101ALI20221027BHJP
   H01J 61/16 20060101ALI20221027BHJP
   H05H 1/24 20060101ALI20221027BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
H01S3/038 A
H01J61/06 Z
H01J61/16 Z
H05H1/24
G03F7/20 521
G03F7/20 502
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020533024
(86)(22)【出願日】2018-12-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-04-22
(86)【国際出願番号】 US2018065832
(87)【国際公開番号】W WO2019139736
(87)【国際公開日】2019-07-18
【審査請求日】2020-08-05
(31)【優先権主張番号】62/616,357
(32)【優先日】2018-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513192029
【氏名又は名称】サイマー リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ラミン,レイラ
【審査官】大西 孝宣
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-500939(JP,A)
【文献】特表2005-503027(JP,A)
【文献】特開2001-274488(JP,A)
【文献】特表2015-527726(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0155501(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 3/03 - 3/038
H01S 3/097 - 3/0979
H01S 3/104
H01S 3/134
H01S 3/22 - 3/227
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
深紫外線(DUV)光源のための放電チャンバであって、
筐体と、
前記筐体内の第1の電極及び第2の電極と、を備え、前記第1の電極及び前記第2の電極は相互に分離されて前記第1の電極と前記第2の電極との間に放電領域を形成し、前記放電領域は、少なくとも1つの貴ガス及びハロゲンガスを含む利得媒質を受容するように構成され、
前記第1の電極はカソードであり、前記第2の電極はアノードであり、
前記第1の電極は、33重量%よりも多く40重量%よりも少ない亜鉛を含む金属合金を含み、
前記第2の電極は、33重量%よりも多く50重量%よりも少ない亜鉛を含む前記金属合金を含み、
前記第1の電極中の亜鉛の重量濃度は前記第2の電極中の亜鉛の重量濃度よりも少ない、
放電チャンバ。
【請求項2】
深紫外線(DUV)光源のための放電チャンバであって、
筐体と、
前記筐体内の第1の電極及び第2の電極と、を備え、前記第1の電極及び前記第2の電極は相互に分離されて前記第1の電極と前記第2の電極との間に放電領域を形成し、前記放電領域は、少なくとも1つの貴ガス及びハロゲンガスを含む利得媒質を受容するように構成され、
前記第1の電極はカソードであり、前記第2の電極はアノードであり、
記第2の電極は単一のバルク材料のみからなり、
前記バルク材料は、37重量%よりも多く50重量%よりも少ない亜鉛を含む金属合金を含む、
放電チャンバ。
【請求項3】
前記金属合金は更に銅を含む、請求項1又は2に記載の放電チャンバ。
【請求項4】
前記ハロゲンガスはフッ素を含む、請求項1~3のいずれかに記載の放電チャンバ。
【請求項5】
前記貴ガスは、アルゴン、クリプトン、ネオン、及び/又はキセノンを含む、請求項1~4のいずれかに記載の放電チャンバ。
【請求項6】
前記第2の電極の前記金属合金は40重量%から50重量%の亜鉛を含む、請求項1~5のいずれかに記載の放電チャンバ。
【請求項7】
深紫外線(DUV)光源であって、
第1の主発振器電極及び第2の主発振器電極を含む主発振器であって、前記第1の主発振器電極及び前記第2の主発振器電極は相互に分離されて主発振器放電領域を形成し、前記主発振器放電領域は、貴ガス及びハロゲンガスを含む利得媒質を受容するように構成され、前記第1の主発振器電極はカソードであり、前記第2の主発振器電極はアノードであり、前記第1の主発振器電極は、33重量%よりも多く40重量%よりも少ない亜鉛を含む金属合金を含み、前記第2の主発振器電極は、33重量%よりも多く50重量%よりも少ない亜鉛を含む前記金属合金を含み、前記第1の主発振器電極中の亜鉛の重量濃度は前記第2の主発振器電極中の亜鉛の重量濃度よりも少ない、主発振器と、
ビーム経路上の出力増幅器と、を備え、稼働使用時、前記主発振器は、前記ビーム経路上を伝搬し前記出力増幅器によって増幅されるシード光を生成する、
DUV光源。
【請求項8】
深紫外線(DUV)光源であって、
第1の主発振器電極及び第2の主発振器電極を含む主発振器であって、前記第1の主発振器電極及び前記第2の主発振器電極は相互に分離されて主発振器放電領域を形成し、前記主発振器放電領域は、貴ガス及びハロゲンガスを含む利得媒質を受容するように構成され、前記第1の主発振器電極はカソードであり、前記第2の主発振器電極はアノードであり、前記第2の主発振器電極は単一のバルク材料のみからなり、前記バルク材料は、37重量%よりも多く50重量%よりも少ない亜鉛を含む金属合金を含む、主発振器と、
ビーム経路上の出力増幅器と、を備え、稼働使用時、前記主発振器は、前記ビーム経路上を伝搬し前記出力増幅器によって増幅されるシード光を生成する、
DUV光源。
【請求項9】
前記出力増幅器は、
第1の出力増幅器電極と、
前記第1の出力増幅器電極から分離されて出力増幅器放電領域を形成する第2の出力増幅器電極と、を備え、前記出力増幅器放電領域は、貴ガス及びハロゲンガスを含む利得媒質を受容するように構成され、前記第1の出力増幅器電極及び前記第2の出力増幅器電極のうち少なくとも1つは、33重量%よりも多く50重量%よりも少ない亜鉛を含む金属合金を含む、請求項7又は8に記載のDUV光源。
【請求項10】
深紫外線光源の放電チャンバを動作させる方法であって、
第1の電極及び第2の電極を含む放電チャンバに電圧を印加することであって、前記電圧は、前記第1の電極と前記第2の電極との間の放電領域におけるハロゲンガスを含む気体利得媒質において反転分布を発生させるのに充分である、印加することと、
前記第1の電極及び/又は前記第2の電極中の金属成分を前記ハロゲンガスと反応させて、前記放電領域と向かい合う表面上に保護材料層を形成することと、
前記反転分布を発生させるのに充分な前記電圧を、時間間隔を空けて合計で少なくとも300億回前記放電チャンバに印加するように前記電圧の印加及び除去を継続して、パルス状光ビームを生成することと、
を含み、
前記第1の電極はカソードであり、前記第2の電極はアノードであり、
前記第1の電極は、33重量%よりも多く40重量%よりも少ない亜鉛を含む金属合金を含み、
前記第2の電極は、33重量%よりも多く50重量%よりも少ない亜鉛を含む前記金属合金を含み、
前記第1の電極中の亜鉛の重量濃度は前記第2の電極中の亜鉛の重量濃度よりも少ない、
方法。
【請求項11】
深紫外線光源の放電チャンバを動作させる方法であって、
第1の電極及び第2の電極を含む放電チャンバに電圧を印加することであって、前記電圧は、前記第1の電極と前記第2の電極との間の放電領域におけるハロゲンガスを含む気体利得媒質において反転分布を発生させるのに充分である、印加することと、
前記第1の電極及び/又は前記第2の電極中の金属成分を前記ハロゲンガスと反応させて、前記放電領域と向かい合う表面上に保護材料層を形成することと、
前記反転分布を発生させるのに充分な前記電圧を、時間間隔を空けて合計で少なくとも300億回前記放電チャンバに印加するように前記電圧の印加及び除去を継続して、パルス状光ビームを生成することと、
を含み、
前記第1の電極はカソードであり、前記第2の電極はアノードであり、
記第2の電極は単一のバルク材料のみからなり、
前記バルク材料は、37重量%よりも多く50重量%よりも少ない亜鉛を含む金属合金を含む、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
[0001] 本出願は、2018年1月11日に出願された米国仮特許出願番号第62/616,357号の優先権を主張する。これは援用により全体が本願に含まれる。
【0002】
[0002] 本開示は放電チャンバのための電極に関する。放電チャンバは、例えば深紫外線光(DUV:deep ultraviolet light)源の一部を形成し得る。
【背景技術】
【0003】
[0003] フォトリソグラフィは、シリコンウェーハ等の基板上に半導体回路をパターン形成するプロセスである。フォトリソグラフィ光源は、ウェーハ上のフォトレジストを露光するため用いられる深紫外線(DUV)光を提供する。フォトリソグラフィにおいて用いられるガス放電光源の1つのタイプは、エキシマ光源又はレーザとして知られている。エキシマ光源は典型的に、アルゴン、クリプトン、又はキセノンのような1つ以上の貴ガスと、フッ素又は塩素のような反応物質(reactive)と、の組み合わせを使用する。エキシマ光源という名前は、電気的刺激(供給されるエネルギ)及び(ガス混合物の)高い圧力の適切な条件下で、励起状態においてのみ存在し紫外線範囲の増幅光を発生させるエキシマと呼ばれる擬似分子が生成されるという事実に由来する。エキシマ光源は、深紫外線(DUV)範囲の波長を有する光ビームを生成し、この光ビームは、フォトリソグラフィ装置において半導体基板(又はウェーハ)にパターン形成するため用いられる。エキシマ光源は、単一ガス放電チャンバを用いて又は複数のガス放電チャンバを用いて構築することができる。
【発明の概要】
【0004】
[0004] 1つの全体的な態様において、深紫外線(DUV)光源のための放電チャンバは、筐体と、筐体内の第1の電極及び第2の電極と、を含む。第1の電極及び第2の電極は相互に分離されて第1の電極と第2の電極との間に放電領域を形成し、放電領域は、少なくとも1つの貴ガス及びハロゲンガスを含む利得媒質を受容するように構成されている。第1の電極及び第2の電極のうち少なくとも1つは、33重量%よりも多く50重量%よりも少ない亜鉛を含む金属合金を含む。
【0005】
[0005] 実施は、以下の特徴のうち1つ以上を含み得る。第1の電極はカソードであり、第2の電極はアノードであり、第2の電極は、33重量%よりも多く50重量%よりも少ない亜鉛を含む金属合金を含み得る。金属合金は銅も含み得る。ハロゲンガスはフッ素を含み得る。貴ガスは、アルゴン、クリプトン、ネオン、及び/又はキセノンを含み得る。第2の電極の金属合金は35重量%から50重量%の亜鉛を含み得る。第2の電極の金属合金は37重量%から50重量%の亜鉛を含み得る。第2の電極の金属合金は40重量%から50重量%の亜鉛を含み得る。第2の電極の金属合金は33重量%よりも多く45重量%よりも少ない亜鉛を含み得る。
【0006】
[0006] 第1の電極は33重量%よりも多く40重量%よりも少ない亜鉛を含み、第2の電極は33重量%よりも多く50重量%よりも少ない亜鉛を含み得る。
【0007】
[0007] 別の全体的な態様において、深紫外線(DUV)光源は、第1の主発振器電極及び第2の主発振器電極を含む主発振器を含む。第1の主発振器電極及び第2の主発振器電極は相互に分離されて主発振器放電領域を形成し、主発振器放電領域は、貴ガス及びハロゲンガスを含む利得媒質を受容するように構成されている。第1の主発振器電極及び第2の主発振器電極のうち少なくとも1つは、33重量%よりも多く50重量%よりも少ない亜鉛を含む金属合金を含み、また、ビーム経路上の電力増幅器を含み、稼働使用時、主発振器は、ビーム経路上を伝搬し電力増幅器によって増幅されるシード光を生成する。
【0008】
[0008] 実施は、以下の特徴のうち1つ以上を含み得る。電力増幅器は、第1の電力増幅器電極と、第1の電力増幅器電極から分離されて電力増幅器放電領域を形成する第2の電力増幅器電極と、を含み得る。電力増幅器放電領域は、貴ガス及びハロゲンガスを含む利得媒質を受容するように構成されている。第1の電力増幅器電極及び第2の電力増幅器電極のうち少なくとも1つは、33重量%よりも多く50重量%よりも少ない亜鉛を含む金属合金を含む。
【0009】
[0009] 別の全体的な態様において、深紫外線(DUV)光源のためのアノードは、少なくとも1つの金属成分を含む金属合金材料の基板と、基板の一方側の表面と、を含む。稼働使用時、表面は、カソードと、ハロゲンガスを含む利得媒質を有する放電領域と、に向かい合うように位置決めされ、表面における金属成分はハロゲンガスと反応して表面上に保護材料層を形成し、アノードとカソードとの間で放電が少なくとも300億回発生した後、保護材料層は表面全体を覆っている。
【0010】
[0010] 実施は、以下の特徴のうち1つ以上を含み得る。アノードとカソードとの間で放電が少なくとも300億回発生した後、保護材料層は実質的に均一の電気伝導度を有し得る。保護材料層は、表面の法線に平行な方向に沿って実質的に均一の厚さを有し得る。基板の少なくとも1つの金属成分は亜鉛を含み得る。基板の金属成分は33重量%よりも多く50重量%よりも少ない亜鉛であり得る。基板及び表面は金属合金の単一のバルク構造を形成し得る。金属合金は第2の金属成分を含み、第2の金属成分は銅を含み得る。金属合金はニッケルも含み得る。
【0011】
[0011] 別の全体的な態様において、深紫外線光源の放電チャンバを動作させる方法は、第1の電極及び第2の電極を含む放電チャンバに電圧を印加することであって、電圧は、第1の電極と第2の電極との間の放電領域におけるハロゲンガスを含む気体利得媒質において反転分布を発生させるのに充分である、印加することと、第1の電極及び/又は第2の電極中の金属成分をハロゲンガスと反応させて、放電領域と向かい合う表面上に保護材料層を形成することと、反転分布を発生させるのに充分な電圧を、時間間隔を空けて合計で少なくとも300億回放電チャンバに印加するように電圧の印加及び除去を継続して、パルス状光ビームを生成することと、を含む。
【0012】
[0012] 別の全体的な態様において、エキシマレーザ源において使用するために構成された電極は、33重量%よりも多く50重量%よりも少ない亜鉛を含む金属合金を含む。
【0013】
[0013] 上記及び本明細書において記載されている技法のいずれの実施も、プロセス、装置、電極、フォトリソグラフィシステム、DUV光源、及び/又は方法を含み得る。1つ以上の実施の詳細は添付図面及び以下の記載で述べられている。記載及び図面から、並びに特許請求の範囲から、他の特徴も明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】[0014] 放電チャンバの一例のブロック図である。
図2A】[0015] 放電チャンバの一例のブロック図である。
図2B】[0016] 定常状態動作中の、図2Aの放電チャンバのアノードのブロック図である。
図2C】[0017] 200億の放電イベントの後の、図2Bのアノードのブロック図である。
図3】[0018] 放電チャンバの別の例のブロック図である。
図4A】[0019] 例示的な電極の写真である。
図4B】[0019] 例示的な電極の写真である。
図4C】[0019] 例示的な電極の写真である。
図4D】[0020] 図4Aの電極に対応する線画である。
図4E】[0020] 図4Bの電極に対応する線画である。
図4F】[0020] 図4Cの電極に対応する線画である。
図5A】[0021] フォトリソグラフィシステムの一例のブロック図である。
図5B】[0022] 例えば図5Aのフォトリソグラフィシステムにおいて使用され得る投影光学系の一例のブロック図である。
図6A】[0023] 様々な重量の亜鉛を有する金属合金の材料損失についての例示的な実験結果に関する。
図6B】[0023] 様々な重量の亜鉛を有する金属合金の材料損失についての例示的な実験結果に関する。
図7】[0024] フォトリソグラフィシステムの別の例のブロック図である。
図8A】[0025] 時間の関数としてのウェーハ露光信号の一例の振幅である。
図8B】[0026] 時間の関数としてのゲート信号の一例の振幅である。
図8C】[0027] 時間の関数としてのトリガ信号の一例の振幅である。
図9】[0028] 放電イベントの関数としての測定ビーム品質(BQ:beam quality)率の例である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[0029] 図1を参照すると、放電チャンバ110のブロック図が示されている。放電チャンバ110は、図5A及び図7に示されているような深紫外線(DUV)光源の一部とすることができる放電チャンバの一例である。放電チャンバ110は、筐体112の内部にエネルギ源115及びガス混合物118を含む。ガス混合物118は、貴ガス及びハロゲンガスから形成された利得媒質を含む。エネルギ源115は、利得媒質において反転分布を引き起こすと共に誘導放出によって出力光ビーム111を発生できるのに充分なエネルギをガス混合物118に与える。出力光ビーム111は、図5A及び図7に示されているようなフォトリソグラフィシステムに、又は別の放電チャンバに提供することができる。エネルギ源115は、光ビーム111が相互に時間的に分離された複数の光パルスを含むパルス状光ビームであるように、規則的な時間間隔でガス混合物118にエネルギを与えるよう制御することができる。
【0016】
[0030] エネルギ源115は電極114を含み、電極114のうち少なくとも1つは金属合金119を含む。電極114は、一方がアノードであり他方がカソードである電極対とすることができる。金属合金119の化学組成によって、エネルギ源115(従って放電チャンバ110)は、DUV光源の放電チャンバにおいて従来用いられている金属合金から作製された電極を利用する放電チャンバよりも寿命が長くなる。
【0017】
[0031] 金属合金119の詳細について、例えば図3図4図6A、及び図6Bに関連付けて検討する。従来の材料から形成されるアノードを用いたDUV光源の放電チャンバの動作について、図2Aから図2Cに関連付けて検討する。
【0018】
[0032] 図2Aは、放電チャンバ210の側断面ブロック図である。放電チャンバ210は、DUV光源において使用され得る既存の又は既知の放電チャンバ210の一例である。放電チャンバ210はカソード214a及びアノード214bを含む。カソード214a及びアノード214bは概ね、放電チャンバ210の長手方向軸209に沿ってx-z面内に延出している。電極214a及び214bは従来の金属合金219から作製されている。従来の金属合金219は、例えば銅と亜鉛の合金とすることができ、30重量%の亜鉛又は30重量%未満の亜鉛を含む。
【0019】
[0033] カソード214a及びアノード214bはy軸に沿って距離dだけ相互に分離されており、カソード214aとアノードとの間には放電領域216がある。放電領域216は、図2Aにドットパターンで表されているガス混合物218を含む。ガス混合物218は、貴ガス及びハロゲンガスから形成された利得媒質を含む。貴ガスは、例えばアルゴン、クリプトン、及び/又はキセノンとすればよい。ハロゲンガスは、例えばフッ素とすればよい。ガス混合物218は緩衝ガスも含み得る。
【0020】
[0034] 電圧源220を用いて、カソード214aとアノード214bとの間に電位差及び電界を形成する。電位差は、ガス混合物218において放電(電子流、電荷、又は電流)を発生させてガス混合物218中のハロゲンガスの少なくとも一部を電離するのに充分な大きさである。「放電イベント」は、ガス混合物218において放電を発生させるのに充分な電位差を形成する電圧の印加である。電界は利得媒質中の電子を加速させ、電子はガス混合物218中の中性原子と衝突する。この衝突により、低いエネルギ状態の電子はより高いエネルギ状態にジャンプし、利得媒質内で反転分布が起きて、誘導放出によって出力光ビーム211を発生させることが可能となる。
【0021】
[0035] ガス混合物218の電離は、金属合金219と反応するハロゲンイオンを含むハロゲン含有プラズマを形成する。電離したガス混合物218は反応性ガス(reactive gas)とも呼ばれる。放電領域216と向かい合うアノード214bの表面上に層213bが形成される。層213bは、金属合金219と反応性ガスとの反応によって形成された反応生成物を含む。層213bは、最初の少数の放電イベントの後に形成される。例えば、層213bは10又は100の放電イベントの後に形成され得る。
【0022】
[0036] 層213bは、金属合金219よりも導電性が低い。金属合金219に比べ、層213bはハロゲン含有プラズマとの反応性も低い。従って、層213bはパッシベーション層又は保護層として作用する。合金219が亜鉛と銅を含み、ガス混合物218がフッ素を含む実施では、フッ素イオンは銅と反応する前に亜鉛と反応する(亜鉛の方が銅よりもフッ素との反応に対する親和性が高いからである)。従って、これらの実施における保護層213bは主としてフッ化亜鉛(ZnF)であるが、CuFも含む。また、カソード214a上には保護層213aが形成される。
【0023】
[0037] 図2Bは、放電チャンバ210の定常状態動作中のアノード214bの側面ブロック図を示す。定常状態動作では、規則的な時間間隔で放電イベントが起こって光パルスを形成する。保護層213bは、放電イベントに起因して亀裂が生じ、その下の金属合金219の大きい領域が露出する可能性がある。しかしながら、露出した金属合金219の表面は、主としてZnFである新しい保護層213b’によって再びコーティングされるので、定常状態動作中は放電領域216と向かい合う電極214bの実質的に全ての表面が覆われたままであり、放電チャンバ210の出力は影響を受けない。
【0024】
[0038] アノード214bの側面ブロック図である図2Cを参照すると、多くの放電イベント(例えば200億)の後、保護層213bはy方向で厚化(thicken)する。厚化は、保護層213bにおける大電流及び/又は高温によって発生し得る。保護層213bが厚化すると保護層213bにおける機械的応力が増大する。保護層213bの複数の部分が砕け始めるか又は剥がれ始め、コーティングされていない金属合金219の小さい領域(領域225等)を露出させる。領域225における金属合金219は隣接層213bに比べて反応性が極めて高いので、領域225は近くの電流を引き付け、このため領域225では温度が著しく上昇する。領域225における高い局所温度は金属合金219と反応性ガスの反応を増大させ、従って高率で腐食層が蓄積し始め、保護層213bの上に腐食生成物が成長又は蓄積する。この暴走(run-away)腐食プロセスで生じた腐食層及び蓄積した腐食生成物は、図2Cにおいて224で表されており、「岩状部(reef)」と呼ぶことができる。岩状部224は保護層213bと同一の材料から成り、ハロゲン含有プラズマによって生じた腐食生成物の局所的な蓄積であると考えられる。岩状部224はカソード214aの方へ延出し、保護層213bと同一の材料から成る。
【0025】
[0039] 金属合金219は保護層213bよりも電気伝導度が高い。従って、小さい露出領域225は、放電イベント中に形成されるアークを保護層213bよりも強く引き付けるので、結果として放電領域216で非均一な電界及びアーク形成が起こる。アークは、光ビーム211の形成に使用されるはずであったエネルギを利得媒質から吸収する可能性があるので、アーク形成は望ましくない。保護層213bの劣化が加速し、保護層213bは空間的及び電気的に非均一になってビーム211を信頼性高く生成できなくなる。ビーム211を信頼性高く生成できなくなった場合、放電チャンバ210は適正に機能することができず、寿命の終了に達している。従って、岩状部224の形成は放電チャンバ210の寿命を縮める。従来の金属合金219から作製されたカソード214a及びアノード214bを含む放電チャンバ210は、約180億の放電イベント後に岩状部を生じ始め、約300億以下の放電イベントの寿命を有する。
【0026】
[0040] 図3を参照すると、放電チャンバ310の側断面ブロック図が示されている。放電チャンバ310は、図5A及び図7に示されているような深紫外線(DUV)光源の一部とすることができる放電チャンバの一例である。放電チャンバ310は筐体312内に電極314a、314bを含む。図3の例では、電極314aはカソードであり、電極314bはアノードである。アノード314bは金属合金319bを含む。金属合金319bの化学組成によって更にロバストな保護層が得られ、これにより、放電チャンバ210に比べて放電チャンバ310の寿命が長くなる。
【0027】
[0041] カソード314a及びアノード314bは、概ねx-z面内で放電チャンバ310の長手方向軸309に平行な方向に沿って延出している。カソード314aはy軸に沿って距離dだけアノード314bから分離されており、カソード314aとアノード314bとの間には放電領域316がある。放電領域316はガス混合物218を含む。
【0028】
[0042] ガス混合物218の電離により、金属合金319bと反応するハロゲンイオンを含むハロゲン含有プラズマが形成される。金属合金319とハロゲンイオンとの反応によって、放電領域316と向かい合う電極314bの表面上に保護層313bが形成される。
【0029】
[0043] 金属合金319bは、図2Aから図2Cに関連付けて検討した保護層219bよりもロバストな保護層313bを生じる化学組成を有する。例えば、保護層219bに比べ、保護層313bはバルク金属合金319bに強固に付着するので、保護層219bほど容易に亀裂が発生しないようになっている。この結果、下にあるバルク金属合金319bの露出は低減するか又は解消される。更に、層313bは、DUV光源の放電チャンバにおいて従来用いられている金属合金で作製される電極よりも多くの放電イベントにわたって空間的及び/又は電気的に均一に保つことができる。保護層313bは、300~600億の放電イベントの後であっても、放電領域316と向かい合う電極314bの部分の実質的に全てを覆う及び/又は均一の伝導度を有することができる。これに対し、従来の金属合金で作製された電極によって形成される保護層は一般に、約200億の放電イベント後に亀裂が生じ、非均一な伝導度を有する。このように、金属合金319bを用いると、電極314bが耐えられる放電イベント数が増え、従って放電チャンバ310の寿命が延びる。
【0030】
[0044] 金属合金319bは例えば、33重量%~50重量%の亜鉛、33.5重量%~40重量%の亜鉛、35重量%~50重量%の亜鉛、37重量%~50重量%の亜鉛、40重量%~50重量%の亜鉛、又は33重量%~45重量%の亜鉛を含む、銅と亜鉛の合金とすればよい。金属合金319bは例えば、33.5重量%の亜鉛、37重量%の亜鉛、又は45重量%の亜鉛とすればよい。いくつかの実施では、金属合金319bはニッケルも含む。
【0031】
[0045] これに加えて又はこの代わりに、カソード314aは、図2Aから図2Cに関連付けて検討した従来の金属合金219とは異なる化学組成を有する金属合金319aを含み得る。金属合金319aは、例えば33重量%から40重量%までの亜鉛を含む銅と亜鉛の合金とすればよい。
【0032】
[0046] これらの組成は、図2Aから図2Cに関連付けて検討した合金219のような、DUV光源の放電チャンバ内の電極に使用される典型的な金属合金とは異なっている。DUV放電チャンバ内の電極用の典型的な金属合金は銅と亜鉛の合金を含むが、金属合金319bよりも亜鉛重量の割合が低い。例えば、DUV光源の放電チャンバで用いられる典型的なアノードは銅と亜鉛の合金で作製され、亜鉛は30重量%である。出願人は、亜鉛の重量を増大させると、よりロバストな保護層をサポートする電極が生成されることを発見した。亜鉛とフッ素の反応は、銅とハロゲンガスの反応よりも容易である。例えば、イオン化フッ素の存在下で銅と亜鉛の合金から形成される保護層はフッ化亜鉛である。金属合金中の亜鉛の割合を大きくすると、放電領域316内に形成されるハロゲン含有プラズマに暴露される亜鉛が増大すると考えられる。この結果、より多くのフッ化亜鉛が形成され、保護層313bはいっそうロバストになる。しかしながら、亜鉛は比較的高い蒸気圧を有するので、約50重量%を超える亜鉛を有する合金は容易に蒸発し、ロバストな保護層を形成しない。このため、金属合金319bの亜鉛含有量は従来の電極の亜鉛含有量よりも多いが、金属合金319bの亜鉛濃度は、保護層の形成よりも蒸発の方が支配的になるほど高くはない。
【0033】
[0047] また、図4Aから図4Cを参照すると、電極414_1、414_2、及び414_3上にそれぞれ形成された保護層413_1、413_2、及び413_3の走査電子顕微鏡写真が示されている。保護層413_1、413_2、413_3は、それぞれ、電極414_1、414_2、414_3のバルク基板419上の境界422_1、422_2、422_3に形成されている。図4Dは電極414_1の近似線画である。図4Eは電極414_2の近似線画である。図4Fは電極414_3の近似線画である。
【0034】
[0048] 電極414_1は亜鉛と銅を含む金属合金から形成され、亜鉛は5重量%であった。電極414_2は亜鉛と銅を含む金属合金から形成され、亜鉛は30重量%であった。電極414_3は亜鉛と銅を含む金属合金から形成され、亜鉛は45重量%であった。各電極414_1、414_2、414_3は、450℃の温度で2時間、イオン化フッ素ガスに暴露した。電極414_1、414_2、414_3上に形成された保護層の厚さが放電チャンバ内で用いられる電極上に形成された保護層の厚さに近いので、450℃の温度は実際のチャンバ動作中の放電チャンバ内の電極の表面温度とほぼ同じであると考えられる。
【0035】
[0049] 写真に示されているように、保護層413_3は保護層413_1及び413_2よりも空間的に均一である。また、保護層413_3は、保護層413_1及び413_2よりも密度が高く、下にあるバルク金属合金に対して堅固に接合されている。保護層413_3の外見は、電極414_1及び414_3上にそれぞれ形成された保護層413_1及び413_2よりもロバストであることを示している。
【0036】
[0050] 図5A及び図7は、合金119又は319bのような金属合金を含む電極を使用することができるDUV光源の例を与える。
【0037】
[0051] 図5A及び図5Bを参照すると、フォトリソグラフィシステム500は、光ビーム511をリソグラフィ露光装置569に提供する光学(又は光)源505を含む。リソグラフィ露光装置569は、ウェーハホルダ又はステージ571によって支持されたウェーハ570を処理する。光源505は、カソード514a及びアノード514bを収容している放電チャンバ510を含む。図5Aには1つのガス放電チャンバ510だけが示されているが、光源505は2つ以上の放電チャンバを含み得る。
【0038】
[0052] 光ビーム511は、相互に時間的に分離された光パルスを含むパルス状光ビームである。リソグラフィ露光装置569は投影光学システム575を含み、光ビーム511はこれを通過した後ウェーハ570に到達する。リソグラフィ露光装置569はメトロロジシステム572も含む。メトロロジシステム572は例えば、ウェーハ570の像及び/又はウェーハ570における光ビーム511を捕捉できるカメラもしくは他のデバイス、又は、ウェーハ570におけるx-y面内の光ビーム511の強度のような光ビーム511の特徴を記述するデータを捕捉できる光学検出器を含み得る。リソグラフィ露光装置569は、液浸システム又は乾式システム(dry system)とすることができる。また、フォトリソグラフィシステム500は、光源505及び/又はリソグラフィ露光装置569を制御するための制御システム550も含む。
【0039】
[0053] 例えば光ビーム511によってウェーハ570上の放射感応性フォトレジスト材料層を露光することにより、ウェーハ570上にマイクロエレクトロニクスフィーチャが形成される。図5Bも参照すると、投影光学システム575は、スリット576と、マスク574と、レンズシステム577を含む投影対物レンズと、を含む。レンズシステム577は1つ以上の光学要素を含む。光ビーム511は光学システム575に入射し、スリット576に当たり、ビーム511の少なくとも一部はスリット576を通過する。図5A及び図5Bの例では、スリット576は矩形であり、光ビーム511を細長い矩形の光ビームに整形する。マスク574にはパターンが形成されており、このパターンは、整形された光ビームのどの部分がマスク574を透過してどの部分がマスク574で遮断されるかを決定する。パターンの設計は、ウェーハ570上に形成される特定のマイクロエレクトロニクス回路設計によって決定される。
【0040】
[0054] カソード514a及び/又はアノード514bは、DUV光源の放電チャンバにおいて従来用いられている金属合金に比べ、よりロバストな保護層を形成する組成を有する金属合金を含む。例えばアノード514bは、33重量%~50重量%の亜鉛、33.5重量%~40重量%の亜鉛、35重量%~50重量%の亜鉛、37重量%~50重量%の亜鉛、40重量%~50重量%の亜鉛、又は33重量%~45重量%の亜鉛を含む、銅と亜鉛の合金とすればよい。アノード514bで用いられる金属合金は例えば、33.5重量%の亜鉛、37重量%の亜鉛、又は45重量%の亜鉛とすればよい。更に、様々な用途に適している電極組成は、約31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、40%、42%、44%、46%、48%、もしくは50%の亜鉛、又はそれらの間のいずれかの範囲(例えば33%~38%)を含み得ると考えられる。
【0041】
[0055] いくつかの実施では、亜鉛含有量を増大させた金属合金を使用するのはアノードだけである。他の実施では、カソード514a及びアノード514bは双方とも、DUV光源放電チャンバにおいて従来用いられている金属合金よりも亜鉛重量が多い金属合金を含む。カソード514a中の亜鉛量を増やすと、カソード514aの材料損失率は低下する。しかしながら、カソード514a中の亜鉛量を増やすと、アノード514bの材料損失率は増大する。従って、放電チャンバ510の最適な性能を達成するためには、カソード514a及びアノード514bに用いられる金属合金中の亜鉛量は、材料損失率が最低になることが予想される量とは異なる可能性がある。
【0042】
[0056] 図6A及び図6Bは、様々な亜鉛量を含む金属合金セグメントについて、イオン化フッ素ガスに暴露された後の材料損失率に関連した実験結果を検討する。材料損失率は、イオン化フッ素ガスに暴露されたことに起因する、セグメントからのy軸に沿った材料損失量の測定値を示す。材料損失量が多いことは、金属合金を含むセグメントの反応性が高いことを示している。
【0043】
[0057] 図6Aはカソード614a及びアノード614bの側面ブロック図である。カソード614a及びアノード614bは相互に平行であり、x軸に沿って延出している。カソード614aはセグメント1~7を含む。セグメント1~7は相互に物理的に接触し、x軸に沿って延出している。アノード614bは銅と亜鉛の金属合金を含み、亜鉛は金属合金の37重量%である。セグメント1~7も銅と亜鉛の金属合金であった。カソードの亜鉛含有量の効果を査定するため、セグメント1~7の各々における亜鉛量を変化させた。セグメント2及び5は15重量%の亜鉛を含み、セグメント3は33.5重量%の亜鉛を含み、セグメント4は37重量%の亜鉛を含み、セグメント1、6、及び7は30重量%の亜鉛を含んだ。アノード614bにおける亜鉛量は、アノード614b全体を通して37%であった。
【0044】
[0058] 100.35億の放電イベント(又は生成パルス)の後、腐食又は材料損失の量を測定した。電極スキャナを用いてセグメント1~7の高さプロファイルを測定した。セグメント1~7の高さはy軸に沿った範囲である。各セグメントについて、x軸に沿った2つ以上の位置で高さプロファイルを測定した。セグメントの測定高さを平均し、この平均をそのセグメントの測定高さとして用いた。セグメントの最初の高さと、イオン化フッ素ガスに暴露した後のそのセグメントの測定高さから、材料損失を決定した。
【0045】
[0059] 図6Bは、カソードセグメント2~4及び6、並びにアノード614bについて、10億パルス(BP:billion pulse)当たりの測定材料損失率をミクロン単位(μm)で示す。図6Bにおいて、材料損失率はセグメント識別子の関数としてプロットされている。プロット680はカソード614aの材料損失率を表し、プロット681はアノード614bの材料損失率を表す。
【0046】
[0060] 特定のカソードセグメントに対するアノード614bの材料損失率は、カソードセグメントとy軸で位置合わせしたアノード614bの部分について測定された材料損失率である。アノード614bはx軸に沿って一定の亜鉛量を有するが、アノード614bの材料損失率はセグメント1~7の亜鉛含有量の変化と共に変動する。セグメント2(15重量%の亜鉛)のカソード材料損失率は27μm/BPであり、アノード材料損失率は43μm/BPであった。セグメント6(30重量%の亜鉛)のカソード材料損失率は18μm/BPであり、アノード材料損失率は49μm/BPであった。セグメント3(33.5重量%の亜鉛)のカソード材料損失率は13μm/BPであり、アノード腐食率は51μm/BPであった。セグメント4(37重量%の亜鉛)のカソード腐食率は11μm/BPであり、アノード腐食率は55μm/BPであった。
【0047】
[0061] このように、カソード614a中の亜鉛量が増大するにつれてカソード材料損失率は低下した。材料損失率の低減は概ね有利であり、放電チャンバの長寿命化につながる。しかしながら、カソード中の亜鉛量の増大はアノード614bの材料損失率の上昇も引き起こした。このため、アノード及びカソードが双方ともDUV光源の放電チャンバにおいて従来用いられている金属合金よりも亜鉛重量が多い金属合金を含むいくつかの実施では、カソード中の亜鉛量をアノード中の亜鉛量よりも少なくして、カソード腐食とアノード腐食とのバランスを取ることができる。例えば、再び図5Aを参照すると、アノード514bは銅と亜鉛を含む金属合金から作製され、亜鉛は33重量%~50重量%であり、カソード514aは銅と亜鉛を含む金属合金から作製され、亜鉛は33重量%~40重量%であり得る。いくつかの実施では、アノード514bは銅と亜鉛を含む金属合金から作製され、亜鉛は37重量%であり、カソード514aは銅と亜鉛を含む金属合金から作製され、亜鉛は33重量%であり得る。
【0048】
[0062] 同量の亜鉛を有するが放電チャンバの異なる部分に位置付けられた2つのセグメントの材料損失量は、放電チャンバにおける非均一性のために異なる可能性がある。例えば、セグメント2及びセグメント5は双方とも銅と亜鉛の金属合金を含み、亜鉛は15重量%である。セグメント2の材料損失率は27μm/BPであり、セグメント5の材料損失率は24μm/BPであった。しかしながら、位置に起因する材料損失率の差は、亜鉛含有量に起因する材料損失率の差に比べて大きくないことが観察されたので、材料損失率に対する亜鉛含有量の効果に関する結論は変わらない。
【0049】
[0063] 図7を参照すると、フォトリソグラフィシステム700のブロック図が示されている。システム700はシステム500(図5A)の実施の一例である。例えばフォトリソグラフィシステム700では、光源505(図5A)として光源705が用いられる。光源705はパルス状光ビーム711を生成し、これはリソグラフィ露光装置569に提供される。フォトリソグラフィシステム700は制御システム750も含む。図7の例では、制御システム750は光源705のコンポーネントとリソグラフィ露光装置569に接続されて、システム700の様々な動作を制御する。他の実施では、制御システム750を2つの別個の制御システムとして実施し、その一方が光源705の様々な態様を制御し、他方がリソグラフィ露光装置を制御することも可能である。
【0050】
[0064] 図7に示されている例では、光源705は2段階レーザシステムであり、シード光ビーム706を電力増幅器(PA)702に与える主発振器(MO)701を含む。MO701及びPA702は、光源705のサブシステム、又は光源705の一部であるシステムと見なすことができる。電力増幅器702は主発振器701からシード光ビーム706を受光し、シード光ビーム706を増幅して、リソグラフィ露光装置569で用いるための光ビーム711を発生する。例えば主発振器701は、パルス当たり約1ミリジュール(mJ)のシードパルスエネルギを有するパルス状シード光ビームを発し、これらのシードパルスを電力増幅器702によって約10~15mJに増幅することができる。
【0051】
[0065] 主発振器701は、2つの細長い電極714a_1及び714b_1、ガス混合物である利得媒質718_1、及び電極714a_1と714b_1との間でガス混合物を循環させるためのファン(図示せず)を有する放電チャンバ710_1を含む。電極714a_1及び/又は電極714b_1は、銅と亜鉛を含む金属合金から形成され、DUV主発振器の放電チャンバにおいて典型的に用いられる金属合金よりも亜鉛の重量濃度が高い。図示されている例では、電極714a_1はカソードであり、電極714b_1はアノードである。カソード714a_1は33重量%~40重量%の亜鉛を含み、アノード714b_1は33重量%~50重量%の亜鉛を含み得る。
【0052】
[0066] 放電チャンバ710_1の一方側の狭帯域化モジュール(line narrowing module)780と放電チャンバ710_1の第2の側の出力カプラ781との間に、共振器が形成されている。狭帯域化モジュール780は、放電チャンバ710_1のスペクトル出力を微調整する格子等の回折光学部品を含むことができる。また、光源705は、出力カプラ781からの出力光ビームを受光するライン中心解析モジュール(line center analysis module)784と、ビーム結合光学システム738と、を含む。ライン中心解析モジュール784は、シード光ビーム706の波長を測定又は監視するために使用できる測定システムである。ライン中心解析モジュール784は、光源705内の他の位置に配置することも可能であり、又は光源705の出力に配置することも可能である。
【0053】
[0067] ガス混合物718_1は、用途のために必要な波長及び帯域幅の光ビームを生成するのに適した任意のガスとすることができる。エキシマ源では、ガス混合物は、例えばアルゴンもしくはクリプトン等の貴ガス(希ガス)、例えばフッ素もしくは塩素等のハロゲン、及びヘリウム等の緩衝ガスとは別の微量のキセノンを含み得る。ガス混合物の具体例には、約193nmの波長の光を発するフッ化アルゴン(ArF)、約248nmの波長の光を発するフッ化クリプトン(KrF)、又は約351nmの波長の光を発する塩化キセノン(XeCl)が含まれる。エキシマ利得媒質(ガス混合物)は、細長い電極714a_1、714b_1に電圧を印加することによる高電圧放電の短い(例えばナノ秒)電流パルスで励起される。
【0054】
[0068] 電力増幅器702は、主発振器701からシード光ビーム706を受光すると共にこの光ビーム706を放電チャンバ710_2を介してビーム調整光学要素782へ誘導するビーム結合光学システム783を含む。ビーム調整光学要素782は、シード光ビーム706を放電チャンバ710_2に戻すようにシード光ビーム706の方向を変更又は変化させる。ビーム調整光学要素及びビーム結合光学システム783は循環閉ループ経路を形成し、この経路において、リング増幅器への入力はビーム結合装置783でリング増幅器の出力と交差する。
【0055】
[0069] 放電チャンバ710_2は、1対の細長い電極714a_2及び714b_2、ガス混合物718_2、及び電極714a_2と714b_2との間でガス混合物718_2を循環させるためのファン(図示せず)を含む。ガス混合物718_2はガス混合物718_1と同一とすればよい。電極714a_2及び/又は電極714b_2は、銅と亜鉛を含む金属合金から作製され、DUV主発振器の放電チャンバにおいて典型的に用いられる金属合金よりも亜鉛の重量濃度が高い。図示されている例では、電極714a_2はカソードであり、電極714b_2はアノードである。カソード714a_2は33重量%~40重量%の亜鉛を含み、アノード714b_2は33重量%~50重量%の亜鉛を含み得る。
【0056】
[0070] 出力光ビーム711は、ビーム調製システム785を介して誘導された後、リソグラフィ露光装置569に到達することができる。ビーム調製システム785は、ビーム711の様々なパラメータ(帯域幅又は波長等)を測定する帯域幅解析モジュールを含み得る。ビーム調製システム785は、出力光ビーム711の各パルスを時間的に伸長するパルスストレッチャ(図示せず)も含み得る。ビーム調製システム785は、例えば反射性及び/又は屈折性光学要素(例えばレンズ及びミラー等)、フィルタ、及び光学アパーチャ(自動シャッタを含む)のような、ビーム711に作用することができる他のコンポーネントも含み得る。
【0057】
[0071] フォトリソグラフィシステム700は制御システム750も含む。制御システム750は、光源705に1つ以上の信号を送信することによって、光源705が1つの光パルス又は1つ以上の光パルスを含む光パルスバーストを発する時を制御できる。また、制御システム750はリソグラフィ露光装置569に接続されている。従って、制御システム750はリソグラフィ露光装置569の様々な態様も制御することができる。例えば、制御システム750はウェーハ570(図5B)の露光を制御できるので、制御システム750を用いてウェーハ570上に電子フィーチャがどのように印刷されるかを制御できる。いくつかの実施では、制御システム750は、x-y面(図5B)内でスリット576の移動を制御することによってウェーハ570のスキャンを制御できる。更に、制御システム750は、メトロロジシステム572及び/又は光学システム575(図5B)とデータを交換することも可能である。
【0058】
[0072] リソグラフィ露光装置569は、例えば、温度制御デバイス(空調デバイス及び/又は加熱デバイス等)及び/又は様々な電気的コンポーネントのための電力供給も含み得る。制御システム750はこれらのコンポーネントも制御できる。いくつかの実施において、制御システム750は2つ以上のサブ制御システムを含み、少なくとも1つのサブ制御システム(リソグラフィコントローラ)がリソグラフィ露光装置569の態様の制御専用であるように実施される。これらの実施では、リソグラフィコントローラを用いることの代わりに又はそれに加えて、制御システム750を用いてリソグラフィ露光装置569の態様を制御することができる。
【0059】
[0073] 制御システム750は、電子プロセッサ751、電子ストレージ752、及びI/Oインタフェース753を含む。電子プロセッサ751は、汎用又は特殊用途マイクロプロセッサ、及び任意の種類のデジタルコンピュータの1つ以上のプロセッサ等、コンピュータプログラムの実行に適した1つ以上のプロセッサを含む。一般に電子プロセッサは、読み取り専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、又はこれら双方から命令及びデータを受信する。電子プロセッサ751は任意のタイプの電子プロセッサとすればよい。
【0060】
[0074] 電子ストレージ752は、RAM等の揮発性メモリ又は不揮発性メモリとすればよい。いくつかの実施において、電子ストレージ752は、不揮発性及び揮発性の部分又はコンポーネントを含む。電子ストレージ752は、制御システム750、制御システム750のコンポーネント、及び/又は制御システム750によって制御されるシステムの動作に使用されるデータ及び情報を記憶することができる。この情報は、例えばルックアップテーブル又はデータベースに記憶すればよい。
【0061】
[0075] 電子ストレージ752は、おそらくはコンピュータプログラムとして、命令も記憶している可能性がある。この命令が実行された場合、プロセッサ751は、制御システム750、光学システム705、及び/又はリソグラフィ露光装置569内のコンポーネントと通信を行う。
【0062】
[0076] I/Oインタフェース753は任意の種類の電子インタフェースであり、オペレータ、光学システム705、リソグラフィ露光装置569、光学システム705及び/又はリソグラフィ露光装置569内の任意のコンポーネントもしくはシステム、及び/又は別の電子デバイス上で実行している自動化プロセスによって、制御システム750がデータ及び信号を受信及び/又は提供することを可能とする。例えばI/Oインタフェース753は、視覚的ディスプレイ、キーボード、及び通信インタフェースのうち1つ以上を含み得る。
【0063】
[0077] 図8Aから図8Cは、光源705におけるパルス及びバーストの生成の概要を示す。光ビーム711はパルス状光ビームであり、相互に時間的に分離された1つ以上のパルスバーストを含み得る。各バーストは1つ以上の光パルスを含み得る。いくつかの実施において、1つのバーストは数百のパルスを含み、例えば100~400パルスを含む。図8Aは時間の関数としてウェーハ露光信号800の振幅を示し、図8Bは時間の関数としてゲート信号815の振幅を示し、図8Cは時間の関数としてトリガ信号の振幅を示す。
【0064】
[0078] 制御システム850は、光ビーム711を生成するよう光源705を制御するため、光源705にウェーハ露光信号800を送信するように構成できる。図7Aに示す例において、ウェーハ露光信号800は、光源705が光パルスバーストを生成する時間期間807中は高い値805(例えば1)を有する。ウェーハ露光信号800は、ウェーハ570が露光されていない時は低い値810(例えば0)を有する。
【0065】
[0079] 図8Bを参照すると、光ビーム711はパルス状光ビームであり、光ビーム711はパルスバーストを含む。制御システム750は、光源705にゲート信号815を送信することによってバルスバーストの持続時間及び周波数も制御する。ゲート信号815は、パルスバースト中の高い値820(例えば1)と、連続するバーストとバーストとの間の時間の低い値825(例えば0)と、を有する。図示されている例では、ゲート信号815が高い値を有する持続時間はバースト816の持続時間でもある。バーストは、バースト間時間間隔によって時間的に分離されている。バースト間時間間隔中、リソグラフィ露光装置569は次のダイを露光のためウェーハ570上に位置決めすることができる。
【0066】
[0080] 図8Cを参照すると、制御システム750は、トリガ信号830によって各バースト内のパルスの繰り返し率も制御する。トリガ信号830はトリガ840を含み、トリガ840のうち1つが光源705に与えられて光源705に1つの光パルスを生成させる。制御システム750は、パルスを生成しようとするたびにトリガ840を光源705に送信することができる。従って、光源705が生成するパルスの繰り返し率(2つの連続するパルス間の時間)を、トリガ信号830によって設定できる。
【0067】
[0081] 電極714a_1、714b_1、又は714a_2、714b_2に電圧を印加することによってガス混合物718_1又はガス混合物718_2の利得媒質が励起されると、ガス混合物の利得媒質は光を発する。上記で検討したように、このような電圧の印加が放電イベントである。規則的な時間間隔で電極に電圧が印加された場合、光ビーム711はパルス状である。従って、パルス状光ビーム711の繰り返し率は、電極に電圧を印加する速度によって決定される。例えばトリガ信号830を用いて、電極に対する電圧の印加及びパルスの繰り返し率を制御することができる。パルスの繰り返し率は、ほとんどの用途では約500~約6,000Hzの範囲であり得る。いくつかの実施では、繰り返し率は6,000Hzよりも大きい可能性があり、例えば12,000Hz以上であり得る。
【0068】
[0082] 図9は、発生したパルス又は放電イベントの関数として測定主発振器ビーム品質(BQ)率を示すプロットである。図9のデータは図7のMO701のような主発振器から取得した。BQ率は、光源705においていくつのビーム品質イベントが発生したかを示す。ビーム品質イベントが発生するのは、シード光ビーム706又はビーム711の任意の態様が所定の仕様を満たさない場合である。例えば、ビーム品質イベントが発生するのは、ビーム706又は711の光エネルギ、スペクトル帯域幅、及び/又は波長が許容値範囲外である場合である。図9のBQ率は、10億の発生パルス又は放電イベント当たりのビーム品質イベント数(又はBQカウント)である。図9の例では、MO701の許容可能BQ率の上限は50であった。
【0069】
[0083] 図9の例において、プロット991(一点鎖線)は、MO701の電極714a_1及び714b_1が従来の銅と亜鉛の合金から作製され、亜鉛が30重量%であったシステムのBQ率(10億パルス当たりのBQカウント)を表す。プロット992(破線)は、アノード714b_1が銅と亜鉛の合金から作製され、亜鉛が33.5重量%であったシステムのBQ率を表す。プロット993(実線)は、アノード714b_1が銅と亜鉛の合金から作製され、亜鉛が37重量%であったシステムのBQ率を表す。
【0070】
[0084] プロット992及び993をプロット991と比較することで示されるように、電極714b_1の亜鉛含有量を増大させると、MO701は、BQ率上限を超えることなく、より多くのシード光ビーム706のパルスを生成できる。例えば従来の合金から作製されたアノードを備えたシステムは、22BP付近でBQ率上限を超える。33.5重量%の亜鉛及び37重量%の亜鉛を有するアノードを備えたシステムは、40BPまで及び40BP超でビーム品質率が低かった。33.5重量%の亜鉛を有する電極は35BP付近で岩状部を形成し、37重量%の亜鉛を有する電極は50BPで岩状部を形成しなかった。このように、放電チャンバの電極中の亜鉛量を増大させると、従来の金属合金を用いる場合に比べてMO701の性能が改善した。
【0071】
[0085] 以下の条項を用いて更に実施形態を記載することができる。
1. 深紫外線(DUV)光源のための放電チャンバであって、
筐体と、
筐体内の第1の電極及び第2の電極と、を備え、第1の電極及び第2の電極は相互に分離されて第1の電極と第2の電極との間に放電領域を形成し、放電領域は、少なくとも1つの貴ガス及びハロゲンガスを含む利得媒質を受容するように構成され、
第1の電極及び第2の電極のうち少なくとも1つは、33重量%よりも多く50重量%よりも少ない亜鉛を含む金属合金を含む、放電チャンバ。
2. 第1の電極はカソードであり、第2の電極はアノードであり、第2の電極は、33重量%よりも多く50重量%よりも少ない亜鉛を含む金属合金を含む、条項1に記載の放電チャンバ。
3. 金属合金は更に銅を含む、条項2に記載の放電チャンバ。
4. ハロゲンガスはフッ素を含む、条項3に記載の放電チャンバ。
5. 貴ガスは、アルゴン、クリプトン、ネオン、及び/又はキセノンを含む、条項4に記載の放電チャンバ。
6. 第2の電極の金属合金は35重量%から50重量%の亜鉛を含む、条項5に記載の放電チャンバ。
7. 第2の電極の金属合金は37重量%から50重量%の亜鉛を含む、条項5に記載の放電チャンバ。
8. 第2の電極の金属合金は40重量%から50重量%の亜鉛を含む、条項5に記載の放電チャンバ。
9. 第2の電極の金属合金は33重量%よりも多く45重量%よりも少ない亜鉛を含む、条項5に記載の放電チャンバ。
10. 第1の電極は33重量%よりも多く40重量%よりも少ない亜鉛を含み、第2の電極は33重量%よりも多く50重量%よりも少ない亜鉛を含む、条項2に記載の放電チャンバ。
11. 深紫外線(DUV)光源であって、
第1の主発振器電極及び第2の主発振器電極を含む主発振器であって、第1の主発振器電極及び第2の主発振器電極は相互に分離されて主発振器放電領域を形成し、主発振器放電領域は、貴ガス及びハロゲンガスを含む利得媒質を受容するように構成され、第1の主発振器電極及び第2の主発振器電極のうち少なくとも1つは、33重量%よりも多く50重量%よりも少ない亜鉛を含む金属合金を含む、主発振器と、
ビーム経路上の電力増幅器と、を備え、稼働使用時、主発振器は、ビーム経路上を伝搬し電力増幅器によって増幅されるシード光を生成する、
DUV光源。
12. 電力増幅器は、
第1の電力増幅器電極と、
第1の電力増幅器電極から分離されて電力増幅器放電領域を形成する第2の電力増幅器電極と、を備え、電力増幅器放電領域は、貴ガス及びハロゲンガスを含む利得媒質を受容するように構成され、第1の電力増幅器電極及び第2の電力増幅器電極のうち少なくとも1つは、33重量%よりも多く50重量%よりも少ない亜鉛を含む金属合金を含む、条項11に記載のDUV光源。
13. 深紫外線(DUV)光源のためのアノードであって、
少なくとも1つの金属成分を含む金属合金材料の基板と、
基板の一方側の表面と、
を備え、稼働使用時、表面は、カソードと、ハロゲンガスを含む利得媒質を有する放電領域と、に向かい合うように位置決めされ、
表面における金属成分はハロゲンガスと反応して表面上に保護材料層を形成し、
アノードとカソードとの間で放電が少なくとも300億回発生した後、保護材料層は表面全体を覆っている、アノード。
14. アノードとカソードとの間で放電が少なくとも300億回発生した後、保護材料層は実質的に均一の電気伝導度を有する、条項13に記載のアノード。
15. 保護材料層は表面の法線に平行な方向に沿って実質的に均一の厚さを有する、条項13に記載のアノード。
16. 基板の少なくとも1つの金属成分は亜鉛を含む、条項13に記載のアノード。
17. 基板の金属成分は33重量%よりも多く50重量%よりも少ない亜鉛である、条項16に記載のアノード。
18. 基板及び表面は金属合金の単一のバルク構造を形成する、条項13に記載のアノード。
19. 金属合金は第2の金属成分を含み、第2の金属成分は銅を含む、条項16に記載のアノード。
20. 金属合金は更にニッケルを含む、条項19に記載のアノード。
21. 深紫外線光源の放電チャンバを動作させる方法であって、
第1の電極及び第2の電極を含む放電チャンバに電圧を印加することであって、電圧は、第1の電極と第2の電極との間の放電領域におけるハロゲンガスを含む気体利得媒質において反転分布を発生させるのに充分である、印加することと、
第1の電極及び/又は第2の電極中の金属成分をハロゲンガスと反応させて、放電領域と向かい合う表面上に保護材料層を形成することと、
反転分布を発生させるのに充分な電圧を、時間間隔を空けて合計で少なくとも300億回放電チャンバに印加するように電圧の印加及び除去を継続して、パルス状光ビームを生成することと、
を含む方法。
22. エキシマレーザ源において使用するために構成された電極であって、33重量%よりも多く50重量%よりも少ない亜鉛を含む金属合金を含む、電極。
【0072】
[0086] 他の実施も特許請求の範囲内である。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8A
図8B-8C】
図9