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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-26
(45)【発行日】2022-11-04
(54)【発明の名称】基板処理装置及び半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/22 20060101AFI20221027BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20221027BHJP
   F27D 9/00 20060101ALI20221027BHJP
   H01L 21/02 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
H01L21/22 511A
H01L21/205
H01L21/22 501C
F27D9/00
H01L21/02 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021044447
(22)【出願日】2021-03-18
(65)【公開番号】P2022143759
(43)【公開日】2022-10-03
【審査請求日】2021-09-24
(73)【特許権者】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大野 幹雄
【審査官】船越 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-171657(JP,A)
【文献】特開2020-155625(JP,A)
【文献】特開2016-151235(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/22
H01L 21/205
F27D 9/00
H01L 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する処理炉若しくはその周辺に設けられ、冷却流体によって冷却を行う複数の第1冷却ユニットと、
基板を処理する処理炉若しくはその周辺に設けられ、前記冷却流体によって冷却を行う、前記複数の第1冷却ユニットに含まれない第2冷却ユニットと、
冷却流体供給口から供給される冷却流体を、前記複数の第1冷却ユニットおよび前記複数の第1冷却ユニットをバイパスする補助系統へ分配する分配部と、
前記複数の第1冷却ユニットおよび前記補助系統をそれぞれ通過した冷却流体を合流させ、前記第2冷却ユニットに供給する合流部と、
を有する基板処理装置。
【請求項2】
前記第2冷却ユニットは、前記複数の第1冷却ユニットおよび前記第2冷却ユニットの中で、最も冷却流体の必要流量が多い、若しくは冷却流体への熱の放出量が大きい請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記第2冷却ユニットは、熱を受ける量が変動する対象を冷却するものであり、前記補助系統は、前記対象が受ける熱の量に応じて、前記分配部と前記合流部の間の連通を開閉するように構成される請求項1記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記合流部と前記第2冷却ユニットの間に設けられ、冷却流体を冷却する熱交換器を更に備える請求項1記載の基板処理装置。
【請求項5】
基板を処理する処理炉若しくはその周辺に設けられ、冷却流体によって冷却を行う複数の第1冷却ユニットと、基板を処理する処理炉若しくはその周辺に設けられ、前記冷却流体によって冷却を行う、前記複数の第1冷却ユニットに含まれない第2冷却ユニットと、を有する基板処理装置を用いて半導体装置を製造する半導体装置の製造方法において、
冷却流体供給口から供給される冷却流体を、分配部において前記複数の第1冷却ユニットおよび補助系統へ分配する工程と、
前記複数の第1冷却ユニットおよび補助系統をそれぞれ通過した冷却流体を合流部において合流させ、前記第2冷却ユニットに供給する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造方法において、処理炉内を加熱して所定のプロセス処理を行う基板処理装置が用いられ、加熱された処理炉の冷却必要箇所に冷却水を流して冷却を行う場合がある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-171657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
冷却必要箇所である冷却ユニットによって、必要な冷却水の流量は異なるが、冷却ユニットが複数ある場合に、1つの冷却ユニットに供給する冷却水の流量を多くした場合、冷却水の流量の多い冷却ユニットに供給する冷却水の弁の開閉により、一定の流量に調整された他の冷却ユニットに供給する冷却水の流量が変動してしまう場合がある。また、冷却水の総消費量を低減したいという要求もある。
【0005】
本開示は、冷却流体の総消費量を低減しつつ、複数の冷却ユニットへ安定して冷却流体を供給することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によれば、
基板を処理する処理炉若しくはその周辺に設けられ、冷却流体によって冷却を行う複数の第1冷却ユニットと、
基板を処理する処理炉若しくはその周辺に設けられ、前記冷却流体によって冷却を行う、前記複数の第1冷却ユニットに含まれない第2冷却ユニットと、
冷却流体供給口から供給される冷却流体を、前記複数の第1冷却ユニットおよび前記複数の第1冷却ユニットをバイパスする補助系統へ分配する分配部と、
前記複数の第1冷却ユニットおよび前記補助系統をそれぞれ通過した冷却流体を合流させ、前記第2冷却ユニットに供給する合流部と、
を有する技術が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、冷却流体の総消費量を低減しつつ、複数の冷却ユニットへ安定して冷却流体を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の一実施形態で好適に用いられる基板処理装置を示す斜視図である。
図2】本開示の一実施形態で好適に用いられる基板処理装置を示す側面図である。
図3】本開示の一実施形態で好適に用いられる処理炉の縦断面図である。
図4】本開示の一実施形態で好適に用いられる水冷システムを示す構成図である。
図5】本開示の一実施形態で好適に用いられる基板処理装置のコントローラの概略構成図であり、コントローラの制御系をブロック図で示す図である。
図6】本開示の一実施形態で好適に用いられる基板処理工程のフローを示す図である。
図7】本開示の一実施形態で好適に用いられる処理炉の変形例であり、縦断面図で示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の説明において用いられる図面は、いずれも模式的なものであり、図面に示される、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。また、複数の図面の相互間においても、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は必ずしも一致していない。
【0010】
(1)基板処理装置の構成
図1図2に示されるように、基板処理装置1は筐体13を備え、該筐体13の正面壁14の下部にはメンテナンス可能なように設けられた開口部としての正面メンテナンス口15が開設され、該正面メンテナンス口15は正面メンテナンス扉16によって開閉される。
【0011】
筐体13の正面壁14にはポッド搬入搬出口17が筐体13の内外を連通するように開設されており、ポッド搬入搬出口17はフロントシャッタ18によって開閉され、ポッド搬入搬出口17の正面前方側にはロードポート19が設置されており、該ロードポート19は載置されたポッド21を位置合せするように構成されている。
【0012】
該ポッド21は密閉式の基板収容器であり、図示しない工程内搬送装置によってロードポート19上に搬入され、又、該ロードポート19上から搬出されるようになっている。
【0013】
筐体13内の前後方向の略中央部に於ける上部には、回転式ポッド棚22が設置されており、該回転式ポッド棚22は複数個のポッド21を格納するように構成されている。又、正面メンテナンス口15内であり、ロードポート19の下方には予備ポッド棚23が設置されており、該予備ポッド棚23は複数個のポッド21を格納するように構成されている。
【0014】
回転式ポッド棚22は垂直に立設されて間欠回転される支柱24と、該支柱24に上中下段の各位置において放射状に支持された複数段の棚板25とを備えている。棚板25はポッド21を複数個載置した状態で格納するように構成されている。
【0015】
回転式ポッド棚22の下方には、ポッドオープナ26が設けられ、ポッドオープナ26はポッド21を載置し、ポッド21の蓋を開閉可能な構成を有している。
【0016】
ロードポート19と回転式ポッド棚22、ポッドオープナ26との間には、ポッド搬送装置27が設置されている。又、ポッド搬送装置27は、ポッド21を保持して昇降可能、進退可能、横行可能となっており、ロードポート19、回転式ポッド棚22、ポッドオープナ26との間でポッド21を搬送するように構成されている。
【0017】
筐体13内の前後方向の後方寄りに於ける下部には、サブ筐体28が後端に亘って設けられている。サブ筐体28の正面壁29にはウエハ(基板)31をサブ筐体28内に対して搬入搬出する為のウエハ搬入搬出口32が一対、垂直方向に上下2段に並べられて開設されており、上下段の該ウエハ搬入搬出口32に対してポッドオープナ26がそれぞれ設けられている。
【0018】
ポッドオープナ26はポッド21を載置する載置台33と、ポッド21の蓋を開閉する開閉機構34とを備えている。ポッドオープナ26は載置台33に載置されたポッド21の蓋を開閉機構34によって開閉することにより、ポッド21のウエハ出入口を開閉するように構成されている。
【0019】
サブ筐体28はポッド搬送装置27や回転式ポッド棚22が配設されている空間(ポッド搬送空間)から気密となっている移載室(ローディングエリア)35を構成している。該移載室35の前側領域には移載機(ウエハ搬送機構)36が設置されており、移載機36は、ウエハ31を保持する所要枚数(図示では5枚)のウエハ載置プレート(基板支持部)37を具備し、該ウエハ載置プレート37は水平方向に直動可能、水平方向に回転可能、又垂直方向に昇降可能となっている。移載機36はボート(基板保持具)38に対してウエハ31を装填及び払出しするように構成されている。
【0020】
移載室35の上方には、スカベンジャ74を挟んでヒータ室45が設けられ、その中に縦型の処理炉12が設置される。処理炉12は内部に処理室を形成し、処理室の下寄りの炉口部はスカベンジャ74内に位置する。炉口部の下端は開口しており、炉口シャッタ41により開閉されるようになっている。
【0021】
サブ筐体28の側面にはボート38を昇降させる為のボートエレベータ42が設置されている。ボートエレベータ42の昇降台に連結されたアーム43には蓋体としてのシールキャップ44が水平に取付けられており、該シールキャップ44はボート38を垂直に支持し、ボート38を処理炉12に装入した状態で炉口部を気密に閉塞可能となっている。ボート38は、複数枚(例えば、50枚~175枚程度)のウエハ31をその中心に揃えて水平姿勢で多段に保持するように構成されている。
【0022】
ボートエレベータ42側と対向した位置にはクリーンユニット(図示せず)が配設され、該クリーンユニットは、清浄化した雰囲気もしくは不活性ガスであるクリーンエアを供給するよう供給ファン及び防塵フィルタで構成されている。移載機36とクリーンユニットとの間には、ウエハ31の円周方向の位置を整合させる基板整合装置としてのノッチ合せ装置(図示せず)が設置されている。
【0023】
次に、基板処理装置1の作動について説明する。
【0024】
ポッド21がロードポート19に供給されると、ポッド搬入搬出口17がフロントシャッタ18によって開放される。ロードポート19上のポッド21はポッド搬送装置27によって筐体13の内部へポッド搬入搬出口17を通して搬入され、回転式ポッド棚22の指定された棚板25へ載置される。ポッド21は回転式ポッド棚22で一時的に保管された後、ポッド搬送装置27により棚板25からいずれか一方のポッドオープナ26に搬送されて載置台33に移載されるか、もしくはロードポート19から直接載置台33に移載される。
【0025】
載置台33に載置されたポッド21はその開口側端面がサブ筐体28の正面壁29に於けるウエハ搬入搬出口32の開口縁辺部に押付けられると共に、蓋が開閉機構34によって取外され、ウエハ出入口が開放される。
【0026】
ポッド21がポッドオープナ26によって開放されると、移載機36はウエハ31をポッド21から取出し、ボート38に装填(チャージング)する。ボート38にウエハ31を受渡した移載機36はポッド21に戻り、次のウエハ31をボート38に装填する。
【0027】
予め指定された枚数のウエハ31がボート38に装填されると炉口シャッタ41によって閉じられていた処理炉12の炉口部が炉口シャッタ41によって開放される。続いて、ボート38はボートエレベータ42によって上昇され、処理炉12に搬入(ローディング)される。
【0028】
ローディング後は、処理炉12にてウエハ31に任意の処理が実施される。処理後は、上述の手順と逆の手順により、ウエハ31及びポッド21が筐体13の外部へと搬出される。
【0029】
(2)処理炉(空冷システム)の構成
図3は、処理炉12周辺の縦断面図を示している。処理炉12は円筒形状であり、ボート38が装入される反応管203と、反応管203が内部に収容される均熱管204と、均熱管204を収容する反応器収容室の一例としての円筒状の反応管収容室205が内側に形成されているとともに、反応管収容室205の側壁面を成す側面断熱材300Aと反応管収容室205の天井面を成す天井面断熱材300Bとからなる断熱壁300と、断熱壁300における反応管収容室205の内壁に設けられたヒータ206と、側面断熱材300Aの内部に反応管収容室205の内壁面と同心円状に上下方向に沿って形成された空気流通流路302と、空気流通流路302の上端において空気流通流路302と連通するとともに、後述する空気循環流路306の一部を形成する上側チャンバ304と、空気流通流路302の下端において空気流通流路302と連通するとともに、後述する空気循環流路306の一部を形成する下側チャンバ308と、上側チャンバ304と下側チャンバ308とを連通する空気循環流路306と、を有する。
【0030】
下側チャンバ308には、外気と連通する開閉弁である吸気弁310が設けられている。
【0031】
一方、空気循環流路306上における上側チャンバ304寄りには、空気冷却手段の一例としてのラジエータ312が、下側チャンバ308寄りには空気流通手段の一例としてのファン314が介装されている。
【0032】
空気循環流路306における上側チャンバ304とラジエータ312との間には開閉弁316が、ファン314と下側チャンバ308との間には開閉弁318が設けられている。そして、ラジエータ312とファン314との間には、設備排気系に連通する開閉弁である排気弁320および外気と連通する開閉弁である吸気弁322が設けられている。さらに、ファン314と開閉弁318との間には設備排気系に連通する開閉弁である排気弁324が、排気弁320と吸気弁322との間には開閉弁326が設けられている。
【0033】
処理炉12において、吸気弁310、322、および開閉弁318は本願発明の第1弁に、排気弁320、324、および開閉弁316は第2弁に相当する。
【0034】
すなわち、処理炉12は、炉体を冷却する熱媒体である空気を循環させる空冷システムを有している。
【0035】
処理炉12には、さらに、反応管203内に原料ガス又は/及び不活性ガスを導入するガス導入管路328および反応管203に導入された原料ガス又は/及び不活性ガスを反応管203外部に導出するガス導出管路330が設けられている。処理炉12の下方には、反応管203と同心円状に、インレットフランジ332が配設されている。インレットフランジ332と、反応管203との間には、シール部材としてのOリングが設けられている。ガス導入管路328とガス導出管路330がインレットフランジ332の側壁を貫通するように設けられている。
【0036】
シールキャップ44における反応管203内の反対側には、ウエハ31を収容するボート38を回転させるボート回転機構334が設置されている。ボート回転機構334の回転軸335は、シールキャップ44を貫通してボート38に接続されている。ボート回転機構334は、ボート38を回転させることでウエハ31を回転させるように構成されている。
【0037】
(3)水冷システムの構成
次に、本開示の一実施形態で好適に用いられる水冷システムについて、図4を用いて説明する。
【0038】
水冷システム400は、基板処理装置1の冷却を必要とする箇所である複数のユニットに冷却水等の冷却流体(ブライン)を供給して各ユニットを冷却する。
【0039】
水冷システム400は、主に、供給管404と、分配部としての給水側マニホールド408と、複数の第1冷却ユニットである第1ユニット440、第2ユニット442、第3ユニット444及び第4ユニット446と、後述する補助系統と、合流部としての排水側マニホールド450と、排水管452と、第2冷却ユニットである第5ユニット456と、により構成される。
【0040】
供給管404には、冷却流体を提供する工場設備との接続部に、開閉弁または調節弁である弁406が設けられている。弁406は、例えばグローブ弁やボール弁であり、冷却流体の全体の使用量を複数の基板処理装置1の間で微調整したり、メンテナンス時に冷却流体を遮断したりするために用いられうる。
【0041】
給水側マニホールド408は、冷却流体供給口402から供給された冷却流体を、第1ユニット440、第2ユニット442、第3ユニット444、第4ユニット446および補助系統である配管418へ分配する。
【0042】
排水側マニホールド450は、第1ユニット440、第2ユニット442、第3ユニット444、第4ユニット446および配管418をそれぞれ通過した冷却流体を合流させ、排水管452を通じて第5ユニット456に供給する。
【0043】
給水側マニホールド408と、排水側マニホールド450と、の間には、配管410,412,414,416,418がそれぞれ並列して接続されている。
【0044】
配管410,412,414及び416には、上流側から順にニードル弁420,422,424及び426、流量計430,432,434及び436、第1ユニット440、第2ユニット442、第3ユニット444及び第4ユニット446がそれぞれ設けられている。第1ユニット440、第2ユニット442、第3ユニット444及び第4ユニット446は、冷却流体を並列に供給させる。ここで、ニードル弁420,422,424,426は、コントローラ600によって自動で開閉される調節弁であり、後述する開度を電動制御で連続的に変更可能に構成される。ニードル弁は、各ユニットの必要流量を確保するように流量調整したら、固定で運用し、コントローラ600が流量計の流量を監視する。そして、監視している流量が既定範囲から外れた場合にアラームを発生させたり、自動で再調整を行うよう構成されている。ここで、必要流量とは、各ユニットまたはその冷却対象を所望の温度以下に維持するために必要な流量である。
【0045】
また、配管418には、ニードル弁428が設けられている。つまり、配管418は、給水側マニホールド408と排水側マニホールド450の間をニードル弁428を介して直結するよう構成される。配管418は、必要に応じてニードル弁428が開閉されて冷却流体が給水側マニホールド408から排水側マニホールド450へ流れる第1~第4ユニットをバイパスする補助系統として用いられる。配管418の流量は、後述するように、空冷と水冷に消費されるエネルギーを最小にするように設定されうる。
【0046】
排水管452には、上流側から順に熱交換器454と、第5ユニット456と、流量計458と、弁460が設けられている。熱交換器454は、給水側マニホールド408と第5ユニット456の間に設けられ、冷却流体を冷却する。熱交換器454は、排水側マニホールド450により合流された冷却流体を、周辺空気若しくは移載室35から設備排気系へ排出される気体との熱交換により冷却するよう構成されている。弁460は弁406と同様の目的で用いられうる。なお、熱交換器454は、設けなくても良い。この場合、補助系統である配管418のニードル弁428を制御することにより、冷却流体の流量を多くするようにしてもよい。
【0047】
第1ユニット440、第2ユニット442、第3ユニット444及び第4ユニット446は、それぞれ異なる対象を冷却し、少なくとも1つは処理炉12の炉口部を冷却する。第1ユニット440、第2ユニット442、第3ユニット444及び第4ユニット446は、ウエハ31を処理する処理炉12若しくはその周辺に設けられ、小流量の冷却流体により冷却を行うユニットである。
【0048】
第5ユニット456は、ウエハ31を処理する処理炉12若しくはその周辺に設けられ、大流量の冷却流体により冷却を行うユニットである。言い換えると、第5ユニット456は、第1ユニット440、第2ユニット442、第3ユニット444、第4ユニット446及び第5ユニット456の中で、最も冷却流体の必要流量が多い、若しくは冷却流体への熱の放出量が大きい。
【0049】
第5ユニットは、処理炉12の炉体、若しくは炉体を冷却した熱媒体である空気等を、冷却流体で冷却する。これにより、空冷で排出される空気が低減され、空気に費やされるエネルギーを低減することができる。また、第5ユニット456は、熱を受ける量が変動する対象を冷却するものであり、熱媒体である空気と冷却流体との間で熱交換する。
【0050】
第1ユニット440、第2ユニット442、第3ユニット444、第4ユニット446は、例えば、処理炉12の炉口部を冷却したり、インレットフランジ332や、シールキャップ44、ボート回転機構334、処理炉12のケーシング、移載室35内の雰囲気等を冷却するために用いられる。
【0051】
インレットフランジ332には、例えば冷却流体の埋め込み流路が形成され、処理炉12の炉口部を密閉するOリング等を冷却するよう構成されている。また、シールキャップ44、ボート回転機構334、処理炉12のケーシング、移載室等には、それらの周辺を冷却流体が通過して冷却するよう構成されている。また、移載室35内の雰囲気を冷却するラジエータを冷却するように構成してもよい。また、冷却を必要とする部分に取り付け可能な冷却ジャケットとして用いてもよい。
【0052】
第5ユニット456は、例えばラジエータ312であり、処理炉12の急冷の際に、処理炉12内を流通する空気を冷却するよう構成されている。補助系統は、ラジエータ312が受ける最大の熱の量に応じて、ニードル弁428の開度が半固定的に設定され、ラジエータ312を通過した後の空気が所定温度以下に保たれる。或いは、ラジエータ312が受ける熱の量の変化に応じてニードル弁428の開度が変更されるように構成することができ、急冷時以外はニードル弁428の開度はゼロにされうる。これにより、処理炉12を急冷する際の冷却能力を実質的に維持しながら冷却流体の使用を節約することができる。なお第5ユニット456の稼働状況に応じて補助系統の水量を切り替えるため、ニードル弁428と直列に開閉弁を設けても良い。その場合、補助系統は、配管418、ニードル弁428及び開閉弁を有する。
【0053】
すなわち、冷却流路システム400は、冷却流体供給口402から取り入れた冷却流体を、ニードル弁406、給水側マニホールド408を介して5つの配管410,412,414,416,418に分配する。
【0054】
そして、配管410,412,414,416にそれぞれ分配された冷却流体は、それぞれニードル弁420,422,424,426、流量計430,432,434,436を介して、第1ユニット440、第2ユニット442、第3ユニット444、第4ユニット446を通過して、排水側マニホールド450において合流する。また、配管418に分配された冷却流体は、ニードル弁428を介して、排水側マニホールド450において合流する。
【0055】
そして、排水側マニホールド450において合流された冷却流体は、第5ユニット456を通過して、流量計458、弁460を介して工場設備へ戻される。
【0056】
すなわち、小流量の第1ユニット440、第2ユニット442、第3ユニット444、第4ユニット446に供給された冷却流体を合流させて、最大流量の第5ユニット456に供給するよう構成されている。これにより、全てのユニットに冷却流体を並列に供給した場合に比べ、冷却流体の使用を削減できる。また、冷却流体の節約のために、第5ユニット456の冷却流体をオンオフさせた場合に比べ、基板処理装置1全体の冷却流体の流量の変動を小さくできる。これにより、各ユニットへ安定して冷却流体を供給することができ、またウォータハンマー現象やそれに起因する配管損傷や漏水を抑制することができる。
【0057】
ここで、第5ユニット456の冷却流体の最低必要流量は、第1ユニット440、第2ユニット442、第3ユニット444、第4ユニット446の最低必要流量の合算値以下とするのが好ましい。これにより、通常は、補助系統を用いずに、冷却流体の使用量を最小にすることができる。
【0058】
なお、第1ユニット440、第2ユニット442、第3ユニット444、第4ユニット446における冷却流体の必要流量の合算値が、第5ユニット456における冷却流体の必要流量に満たない場合には、補助系統における配管418のニードル弁428の開度を調整することにより冷却流体を補充することができる。冷却ユニットをバイパスする補助系統の配管418からの冷たい冷却流体は、第5ユニット456における冷却流体の温度を下げることができる。
【0059】
すなわち、各ユニットにおいて使用する冷却流体の流量を低減させることができ、水冷システム400において使用する冷却流体の総消費量を低減させることができる。
【0060】
また、水冷システム400において、節水時においても、全ての配管において冷却流体の流量を0にせず、微流量を維持することが可能である。これにより、冷却流体の腐敗や藻の繁殖、錆の蓄積を防止することができる。また、冷却流体に放出される熱量が変わらなくても冷却流体の流量が減ると省エネルギーとなることは、SEMI/ISMI規格S23にエネルギー換算係数(Energy conversion factors、ECF)として示されている。冷却塔から供給される冷却水(25℃以上)の場合には、排水温度の上昇に依存せず、使用流量で消費エネルギーが決定され、チラーから供給される冷却水(25℃未満)の場合であっても、使用流量に依存する。本開示による処理炉12では、冷却流体により処理炉12からの空気を冷却する構成のため、冷却流体の流量を多くするほど、循環する空気が冷え外気から取り入れる空気の量や排気の量を減らすことができる。
【0061】
(4)コントローラの構成
基板処理装置1は、基板処理装置1の各部の動作を制御するコントローラ600を有している。
【0062】
コントローラ600の概略を図5に示す。制御部(制御手段)であるコントローラ600は、CPU(Central Processing Unit)600a、RAM(Random Access Memory)600b、記憶装置600c、I/Oポート600dを備えたコンピュータとして構成されている。RAM600b、記憶装置600c、I/Oポート600dは、内部バス600eを介して、CPU600aとデータ交換可能なように構成されている。コントローラ600には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置602や、サムメモリ等の外部記憶装置603が接続されうる。
【0063】
記憶装置600cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶装置600c内には、基板処理装置1の動作を制御する制御プログラムや、後述する基板処理の手順や条件等が記載されたプロセスレシピ等が、読み出し可能に格納されている。プロセスレシピは、後述する基板処理工程における各手順をコントローラ600に実行させ、所定の結果を得ることが出来るように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、このプロセスレシピや制御プログラム等を総称して、単に、プログラムともいう。本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、プロセスレシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。RAM600bは、CPU600aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0064】
I/Oポート600dは、上述のポッド搬送装置27、移載機36、ボートエレベータ42、ヒータ206、ラジエータ312、ファン314、吸気弁310,322、排気弁320,324、開閉弁316,318,326、ニードル弁420,422,424,426,428、流量計430,432,434,436,458、弁406,460、熱交換器454等に接続されている。
【0065】
CPU600aは、記憶装置600cから制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置602からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置600cからプロセスレシピを読み出すように構成されている。CPU600aは、読み出したプロセスレシピの内容に沿うように、ポッド搬送装置27によるポッド搬送動作、移載機36によるウエハ31の移載動作、ボートエレベータ42によるボート38の昇降動作、ボート回転機構334によるボート38の回転動作、ヒータ206の温度調整動作、吸気弁310,322、開閉弁316,318,326、排気弁320,324の開閉動作、ラジエータ312、ファン314の起動および停止、ニードル弁420,422,424,426,428、弁406,460の開閉動作、流量計430、432,434,436,458による冷却流体の流量調整動作、熱交換器454の起動および停止等を制御するように構成されている。
【0066】
(5)基板処理装置を用いた基板処理工程
次に、上述の基板処理装置1を用い、半導体装置(デバイス)の製造工程の一工程として、ウエハ31上に膜を形成する処理(以下、成膜処理ともいう)のシーケンス例について説明する。ここでは、ウエハ31に対して、原料ガスを供給することで、ウエハ31上に膜を形成する例について説明する。なお、以下の説明において、基板処理装置1を構成する各部の動作はコントローラ600により制御される。
【0067】
(S10:ウエハチャージおよびボートロード)
最初に、装置のスタンバイの状態が解除され、複数枚のウエハ31がボート38に装填(ウエハチャージ)され、そのボート38はボートエレベータ42によって処理炉12内に搬入(ボートロード)される。
【0068】
(S11:圧力調整)
反応管203内、すなわち、ウエハ31が存在する空間が所定の圧力(真空度)となるように、ガス導出管路330に設けられた真空ポンプによって真空排気(減圧排気)される。この際、反応管203内の圧力は、圧力センサにより測定され、この測定された圧力情報に基づきAPCバルブが、フィードバック制御される。真空ポンプは、少なくともウエハ31に対する処理が終了するまでの間は常時作動させた状態を維持する。
【0069】
(S12:昇温)
また、反応管203内のウエハ31が所定の温度となるように、ヒータ206によって反応管203内が加熱される。この際、反応管203内が所定の温度分布となるように、温度検出部が検出した温度情報に基づきヒータ206への通電具合がフィードバック制御される。ヒータ206による反応管203内の加熱は、少なくともウエハ31に対する処理が終了するまでの間は継続して行われる。
【0070】
ウエハ31の昇温を開始してから反応管203内部の温度、換言すればウエハ31の温度が目標温度に達するまでは、コントローラ600は、吸気弁310、開閉弁316、開閉弁318を閉止する。このとき、ラジエータ312には所定量の冷却流体が流通している。一方、電力消費量削減の観点から、開閉弁320、排気弁320,324も閉止し、ファン314を停止した状態とするのが好ましい。
【0071】
これにより、空気流通流路302は外気および設備排気系との連通が断たれるから、空気流通流路302における空気の流通も停止する。断熱壁300を形成する断熱材だけでなく、空気流通流路302内の空気も断熱材として機能し、反応管203内部の温度は急速に上昇する。
【0072】
(S13:原料ガス供給)
反応管203内の温度が予め設定された処理温度に維持されたら、反応管203内のウエハ31に対し、原料ガスを供給する。ガス導入管路328により反応管203内に導入された原料ガスは、反応管203内を流下し、ガス導出管路330を介して反応管203外部に導出される。原料ガスは反応管203内を通過する際にウエハ31の表面と接触し、ウエハ31に対して、例えば、酸化、拡散等の処理がなされる。
【0073】
(S14:降温)
このステップでは、成膜処理の間続けられていたステップS12の昇温が停止され、反応管203内の温度が急冷される。
【0074】
コントローラ600は、開閉弁316を開放しファン314を起動させ、また吸気弁310、開閉弁326と排気弁324を開放する。これにより空気流通流路302を出てラジエータ312で冷却された熱媒体としての空気が吸引され、排気弁324から設備排気系(設備排気ダクト)に排出される。或いは、ラジエータ312とファン314の間に設けられる吸気弁322と排気弁320を開放し、吸気弁322から取り入れた空気を空気流通流路302内に圧送し、空気流通流路302を出てラジエータ312で冷却された空気を排出する。前者の流通順路の場合、開閉弁326と吸気弁322を開けて常温の空気を排気に混合することで設備排気系への排気温度等を下げることができる。後者の流通順路では、開閉弁326を開けて空気の一部又は全部を循環させることで、設備排気系へ排出する量を削減できる。コントローラ600は、反応管収容室205の温度が所望のレートで低下し、且つ、設備排気系(設備排気ダクト)に排出される空気の温度やファン314における空気の温度を所定以下に維持しながら、取り入れる若しくは排出させる空気の量を最小(極小)にするように、流通順路やファン314の速度、吸気弁310,322と、排気弁320,324、開閉弁326の開度を最適化するよう制御する。
【0075】
このとき、水冷システム400は、コントローラ600により、冷却流体供給口402から取り入れた冷却流体を、供給管404、ニードル弁406、給水側マニホールド408を介して5つに分配して、処理炉12の炉口部や、インレットフランジ332、シールキャップ44、ボート回転機構334等の周辺を通過した冷却流体を排水側マニホールド450において合流させて、ラジエータ312に供給するよう制御される。これにより、ラジエータ312に冷却流体が供給されて空気循環流路306を流れる空気との間で熱交換され、処理炉12内の空気が冷却される。なお、処理炉12の炉口部や、インレットフランジ332、シールキャップ44、ボート回転機構334等の周辺を通過して供給される冷却流体の流量の合算値が、ラジエータ312において必要な流量に満たない場合には、補助系統における配管418のニードル弁428の開度が調整され、合流した冷却流体の温度が高い場合には、ラジエータ312が、熱媒体である空気と冷却流体との間で熱交換し、冷却流体の温度を下げる。
【0076】
コントローラ600は、更に空冷システムと水冷システム400との間で、消費エネルギーを最小化する最適制御を行うことができる。消費エネルギーCと、急冷時に排出することができる熱Hは、以下のように表される。
C=f(Uair, Uwater)=ECFair×Uair+ECFwater×Uwater
H=g(Uair, Uwater)=Const
ここで、UairとUwaterはそれぞれ空気と水の使用量[m]であり、Uair=0.1507[kWh/m]、Uwater=0.26[kWh/m]である。HはUairとUwaterの関数であり、所望の降温レートを得るために一定値であり、UairとUwaterの関係は経験的に得られる。Cを最小化するUairとUwaterは、ラグランジュの未定乗数法等により数値的に解くことができる。また、ECFairとECFwaterは、上述したエネルギー換算係数であり、装置の使用中に消費されるエネルギーを算出するための係数であり、SEMI/ISMI規格S23に定義されている。本実施形態では、ECFairは、クリーンルームのクリーンドライエアを用意するのに必要なエネルギー(0.147kWh/m)と排気に必要なエネルギー(0.0037kWh/m)の和であり、ECFwaterは、循環冷却水を用意(供給および回収)するのに必要なエネルギーで、冷却塔や循環ポンプの電気代に相当する。なおg(Uair, Uwater)を
【数1】
【0077】
などとモデル化すると、解析解を得ることができる。上記式において、a、b、c、dは、定数を示している。コントローラ600はこのようにして得たUairとUwaterに一致するように、ファン314の速度やニードル弁428の開度等を制御することができる。
【0078】
(S15:大気圧復帰)
予め設定された処理時間が経過すると、ガス導入管路328により不活性ガスが供給され、反応管203内が不活性ガスに置換されるとともに、反応管203内の圧力が大気圧に復帰される。なおステップS14とS15は並行して行ったり、開始順序を入れ替えたりしてもよい。
【0079】
(S16:ボートアンロードおよびウエハディスチャージ)
ボートエレベータ42によりボート38がゆっくりと下降され、インレットフランジ332の下端が開口される。そして、処理済のウエハ31が、ボート38に支持された状態で、インレットフランジ332の下端から反応管203の外部に搬出される(ボートアンロード)。処理済のウエハ31は、移載機36によってボート38より取出される(ウエハディスチャージ)。
【0080】
(6)他の実施形態
次に、図7を用いて、本開示の一実施形態における処理炉の変形例について説明する。ここでは、主として、上述した実施形態との相違点について説明し、その他の点については説明を省略する。
【0081】
処理炉72には、上側チャンバ304と下側チャンバ308とを連通する空気循環流路306が設けられていない。
【0082】
上側チャンバ304には、排気流路706が接続され、排気流路706には、ラジエータ712Aと、ラジエータ712Bが設けられている。排気流路706における上側チャンバ304とラジエータ712Aとの間には開閉弁316が設けられている。
【0083】
ラジエータ712Bには、上述した水冷システム400における補助系統である配管418からの冷却流体が供給される。ラジエータ712Aには、ラジエータ712Bを冷却し補助系統である配管418を流れた冷却流体と、小流量の第1ユニット440、第2ユニット442、第3ユニット444、第4ユニット446を流れた冷却流体が合流されて供給される。これにより、ラジエータ712A,712Bに冷却流体が供給されて排気流路706を流れる熱媒体である空気との間で熱交換され、冷却された空気が排気される。すなわち、本変形例では、第1ユニット~第4ユニットを流れた冷却流体を合流させる合流部をラジエータ712A内に設けている。
【0084】
上述した処理炉72を用いる場合においても、上述の処理炉12を用いた場合と同様な基板処理工程、処理条件にて成膜を行うことができ、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0085】
なお、上記実施形態では、一度に複数枚の基板を処理するバッチ式の縦型装置である基板処理装置を用いて成膜する例について説明したが、本開示はこれに限定されず、一度に1枚または数枚の基板を処理する枚葉式の基板処理装置を用いて成膜する場合にも、好適に適用できる。つまり、枚葉式の基板処理装置を用いる場合においても、上述の実施形態と同様な処理手順、処理条件にて基板処理を行うことができ、これらと同様の効果が得られる。
【0086】
また、基板処理工程において用いられるレシピは、処理内容に応じて個別に用意し、電気通信回線や外部記憶装置603を介して記憶装置600c内に格納しておくことが好ましい。そして、基板処理を開始する際、CPU600aが、記憶装置600c内に格納された複数のレシピの中から、基板処理の内容に応じて、適正なレシピを適宜選択することが好ましい。これにより、1台の基板処理装置で様々な膜種、組成比、膜質、膜厚の膜を、再現性よく形成することができるようになる。また、オペレータの負担を低減でき、操作ミスを回避しつつ、処理を迅速に開始できるようになる。
【0087】
上述のレシピは、新たに作成する場合に限らず、例えば、基板処理装置に既にインストールされていた既存のレシピを変更することで用意してもよい。レシピを変更する場合は、変更後のレシピを、電気通信回線や当該レシピを記録した記録媒体を介して、基板処理装置にインストールしてもよい。また、既存の基板処理装置が備える入出力装置602を操作し、基板処理装置に既にインストールされていた既存のレシピを直接変更するようにしてもよい。
【0088】
以上、本開示の種々の典型的な実施形態を説明してきたが、本開示はそれらの実施形態に限定されず、適宜組み合わせて用いることもできる。
【0089】
<本開示の好ましい態様>
以下に、本開示の好ましい態様について付記する。
【0090】
(付記1)
本開示の一態様によれば、
基板を処理する処理炉若しくはその周辺に設けられ、冷却流体によって冷却を行う複数の第1冷却ユニットと、
基板を処理する処理炉若しくはその周辺に設けられ、前記冷却流体によって冷却を行う、前記複数の第1冷却ユニットに含まれない第2冷却ユニットと、
冷却流体供給口から供給される冷却流体を、前記複数の第1冷却ユニットおよび前記複数の第1冷却ユニットをバイパスする補助系統へ分配する分配部と、
前記複数の第1冷却ユニットおよび前記補助系統をそれぞれ通過した冷却流体を合流させ、前記第2冷却ユニットに供給する合流部と、
を有する基板処理装置が提供される。
【0091】
(付記2)
付記1に記載の装置であって、
前記第2冷却ユニットは、前記複数の第1冷却ユニットおよび前記第2冷却ユニットの中で、最も冷却流体の必要流量が多い、若しくは冷却流体への熱の放出量が大きい。
【0092】
(付記3)
付記1に記載の装置であって、
前記第2冷却ユニットは、熱を受ける量が変動する対象を冷却するものであり、前記補助系統は、前記対象が受ける熱の量に応じて、前記分配部と前記合流部の間の連通を開閉するように構成される。
【0093】
(付記4)
付記1に記載の装置であって、
前記合流部と前記第2冷却ユニットの間に設けられ、冷却流体を冷却する熱交換器を更に備える。
【0094】
(付記5)
付記2又は3に記載の装置であって、
前記第2冷却ユニットは、前記処理炉の炉体、若しくは前記炉体を冷却した熱媒体を、冷却流体で冷却する。
【0095】
(付記6)
付記1に記載の装置であって、
前記補助系統は、前記分配部と前記合流部の間を開閉弁を介して直結するよう構成される。
【0096】
(付記7)
付記1に記載の装置であって、
前記補助系統の流量は、空冷と水冷に消費されるエネルギーを最小にするように設定される。
【0097】
(付記8)
付記5に記載の装置であって、
前記炉体を冷却する熱媒体を循環させる冷却システムを更に有し、前記第2冷却ユニットは、前記熱媒体と冷却流体との間で熱交換する。
【0098】
(付記9)
付記8に記載の装置であって、
前記冷却システムは、前記第2冷却ユニットで冷却された熱媒体を吸引して前記処理炉に圧送するファンと、前記第2冷却ユニットと前記ファンの間に設けられ外から熱媒体を取り入れる第1弁と、前記ファンと前記処理炉の間に設けられ、外(設備排気ダクト)に熱媒体を放出させる第2弁と、前記ファンにおける熱媒体の温度を所定以下に維持しながら、取り入れる若しくは放出させる熱媒体の量を最小(極小)にするように、前記ファンの速度と前記第1弁、前記第2弁の開度を最適化する制御部と、を更に備える。
【0099】
(付記10)
付記2に記載の装置であって、
前記複数の第1冷却ユニットは、冷却流体を並列に供給させる。
【0100】
(付記11)
付記2に記載の装置であって、
前記第2冷却ユニットの冷却流体の最低必要流量は、前記複数の第1冷却ユニットの最低必要流量の合算値以下である。
【0101】
(付記12)
付記2に記載の装置であって、
前記複数の第1冷却ユニットは、それぞれ異なる対象を冷却し、少なくとも1つは前記処理炉の炉口部を冷却する。
【0102】
(付記13)
付記2に記載の装置であって、
前記複数の第1冷却ユニットは、前記処理炉の炉口部に設けられるインレットフランジ、蓋(シールキャップ)、ボート回転機構、前記処理炉のケーシング、移載室内の雰囲気の内の少なくとも4つをそれぞれ冷却する。
【0103】
(付記14)
付記1に記載の装置であって、
前記合流部は、前記第2冷却ユニット内に設けられる。
【0104】
(付記15)
本開示の他の態様によれば、
基板を処理する処理炉若しくはその周辺に設けられ、冷却流体によって冷却を行う複数の第1冷却ユニットと、基板を処理する処理炉若しくはその周辺に設けられ、冷却流体によって冷却を行う、前記複数の第1冷却ユニットに含まれない第2冷却ユニットと、を有する基板処理装置を用いて半導体装置を製造する半導体装置の製造方法において、
冷却流体供給口から供給される冷却流体を、分配部において前記複数の第1冷却ユニットおよび補助系統へ分配する工程と、
前記複数の第1冷却ユニットおよび補助系統をそれぞれ通過した冷却流体を合流部において合流させ、前記第2冷却ユニットに供給する工程と、
を有する半導体装置の製造方法が提供される。
【符号の説明】
【0105】
1 基板処理装置
12、72 処理炉
31 ウエハ(基板)
400 水冷システム
600 コントローラ(制御部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7