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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-27
(45)【発行日】2022-11-07
(54)【発明の名称】ウエハ搬送保持装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20221028BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20221028BHJP
   B25J 15/06 20060101ALI20221028BHJP
【FI】
H01L21/68 A
H01L21/68 B
H01L21/68 P
B25J15/06 A
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018037599
(22)【出願日】2018-03-02
(65)【公開番号】P2019153688
(43)【公開日】2019-09-12
【審査請求日】2021-02-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(74)【代理人】
【識別番号】100169960
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 貴光
(72)【発明者】
【氏名】青木 仁
【審査官】内田 正和
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-004909(JP,A)
【文献】特開2008-063020(JP,A)
【文献】国際公開第2013/039080(WO,A1)
【文献】特開2005-079248(JP,A)
【文献】特開2009-107097(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
H01L 21/683
B25J 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視角形の角型ウエハをチャックテーブル上に受け渡し、前記チャックテーブル上に前記角型ウエハを吸引保持するウエハ搬送保持装置であって、
前記チャックテーブル上に搬送された前記角型ウエハを前記チャックテーブル上に、前記角型ウエハの中央側の領域部分内から前記角型ウエハの中央側の領域部分より外側に突き出た隅である前記角型ウエハの外周側の領域部分外周まで押し付けながら転動する転動ローラを備える、ことを特徴とするウエハ搬送保持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はウエハ搬送保持装置に関するものであり、特に、薄く加工された角型の半導体ウエハをチャックテーブル上に搬送し、吸引保持するウエハ搬送保持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造に使用される半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」という)は、半導体材料のインゴットを結晶軸の方向に応じて薄板状に切り出し、研磨したものである。
【0003】
また、半導体デバイスの製造において、ウエハ上にデバイスを形成するリソグラフィ等の生産工程では、ウエハを固定する必要がある。ウエハの固定には、通常は負の空気圧(負圧)を印加してウエハを吸着保持する、いわゆる真空吸着方式の吸着ステージ(通常、「チャックテーブル」という)に、ウエハを吸引保持して各種の処理を行う方法がとられている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
さらに、ウエハ上のデバイスが完成した後、プローバでテスタとデバイスの電極パッドを接続して電気的に動作検査を行う場合や、インスペクションマシンで形成したパターンの光学的な検査を行う場合も、同様に、ウエハをチャックテーブルに吸引保持した状態で検査を行う。
【0005】
近年、半導体デバイスの製造では、ウエハの直径を大きくして生産効率を向上させることが行われており、ウエハの外形は益々大きくなっている。また、1本のインゴットより取れるウエハの枚数を増加させれば、その分、ウエハの製造コストが低下するので、ウエハの厚さも小さく(薄く)なる傾向にある。
【0006】
さらに、従来では、一般に円柱状に形成したインゴットから平面視円板形をした円板型ウエハを切り出していた。しかし、円板型のウエハから四角形状をした半導体チップを製造した場合は、チップ収率(歩留まり)が悪い。そこで、今日では、角柱状のインゴットを製造して、その角柱状のインゴットから平面視四角形をした角型ウエハを切り出し、その角型ウエハに四角形の半導体チップを形成して、生産性の向上及びコストの向上を図るようにした技術も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2003-234392号公報
【文献】特開2014-76915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、チャックテーブル上に従来の円板型ウエハを吸引保持する場合、円板型ウエハには四隅がないので、ウエハの四隅が反ると言う問題は起きない。しかし、平面視四角形の角型ウエハでは、円板型のウエハと比べて四隅がそれぞれ外側に突き出しているので、チャックテーブルに角型ウエハを受け渡す時に、その四隅の部分がチャックテーブルのチャック面に対して反り返り、全体がチャックテーブルの面に密着しない。そのため、チャックテーブルによる吸引チャック時に、チャックテーブルとウエハとの間の隙間から空気が漏れて所望する吸着状態が得られないという問題点や、吸着時に角型ウエハのエッジ部分がチャックテーブルのチャック面に引っ掛かって破損するという問題点があった。
【0009】
そこで、角型ウエハであってもチャックテーブルへの受け渡しを行う際に、チャックテーブルと角型ウエハとの間の隙間から空気が漏れ出すことがないようにして受け渡しを可能にするウエハ搬送保持装置を提供するために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項に記載の発明は、平面視角形の角型ウエハをチャックテーブル上に受け渡し、前記チャックテーブル上に前記角型ウエハを吸引保持するウエハ搬送保持装置であって、前記チャックテーブル上に搬送された前記角型ウエハを前記チャックテーブル上に、前記角型ウエハの略中心から前記角型ウエハの外周側の領域部分外周まで押し付けながら転動する転動ローラを備える、ウエハ搬送保持装置を提供する。
【0019】
この構成によれば、角型ウエハの上からチャックテーブル上に転動ローラが押し付けられ、さらに転動ローラが角型ウエハの略中心から角型ウエハの外周側の領域部分外周まで転動されると、角型ウエハは略中心から外周側に向かって徐々に均されながらチャック面に連続して押し付けられて密着する。これにより、角型ウエハの外周側に反りがあってもその反りは容易に修正され、角型ウエハの全体を平たく均してチャック面に密着させることができる。
【発明の効果】
【0022】
発明によれば、所定のチャックテーブルのチャック面上に搬送された角型ウエハを、その角型ウエハの中央側の領域部分を押さえ付けて、その中央側の領域部分をチャックテーブルのチャック面に密着させた後から、外周側の領域部分をチャックテーブルのチャック面に押さえ付けて密着させるようにしている。したがって、角型ウエハであっても、チャックテーブルへの受け渡しを行う際に、仮に隅に反りがあっても、その反りは容易に修正されて角型ウエハの全体をチャック面に平たく密着配置させることができる。これにより、角型ウエハの損傷を低減できるとともに、チャックテーブルとウエハの間の隙間から空気が漏れ出すことがないようにして、チャックテーブルのチャック面上に搬送された角型ウエハを確実に吸着保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明に係る角型搬送保持装置の一実施例を示し、その搬送保持装置における要部構成の側面図で、(a)はその搬送保持装置の押さえ付け手段が角型ウエハを受け取るときの状態を示す図、(b)は押さえ付け手段が角型ウエハをチャックテーブルの上方の位置に搬送したときの状態を示す図である。
図2】同上搬送保持装置における押さえ付けパッドの下面構成を模式的に示す平面図である。
図3】同上搬送保持装置におけるチャックテーブルの構成を模式的に示す平面図である。
図4】同上搬送保持装置で用いられる角型ウエハの一例を示す平面図である。
図5】同上搬送保持装置の全体の動作を、制御部が制御する処理手順の一例を示すフローチャートである。
図6】同上搬送保持装置の動作説明図であり、搬送プレートに保持されて角型ウエハが押さえ付け手段の下側に運ばれて来た状態を示す図である。
図7】同上搬送保持装置の動作説明図であり、押さえ付け手段の下側に運ばれて来た角型ウエハを、押さえ付け手段の下面に搬送プレートが押さえ付けて受け渡している状態を示す図である。
図8】同上搬送保持装置の動作説明図であり、角型ウエハを受け取った押さえ付け手段がチャックテーブルの上方に配置された状態を示す図である。
図9】同上搬送保持装置の動作説明図であり、押さえ付け手段が下降されて、角型ウエハの中央側の領域部分をチャックテーブル上に押し付けている状態を示す図である。
図10】同上搬送保持装置の動作説明図であり、押さえ付け手段が下降されて、角型ウエハの中央側の領域部分の押し付けに続いて、角型ウエハの外周側の領域部分をチャックテーブル上に押し付けている状態を示す図である。
図11】同上搬送保持装置の動作説明図であり、押さえ付け手段による角型ウエハの全体の押し付けを終えて、押さえ付け手段がチャックテーブル上から離れて行く状態を示す図である。
図12】同上搬送保持装置の一変形例を示す側面図である。
図13図12図に示す同上搬送保持装置における押さえ付け手段の下面構成を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は角型ウエハであってもチャックテーブルへの受け渡しを行う際に、チャックテーブルと角型ウエハとの間の隙間から空気が漏れ出すことがないようにして受け渡しを可能にするウエハ搬送保持装置及びウエハ搬送保持方法を提供するという目的を達成するために、平面視角形の角型ウエハをチャックテーブル上に受け渡し、前記チャックテーブル上に前記角型ウエハを吸引保持するウエハ搬送保持装置であって、前記チャックテーブル上に搬送された前記角型ウエハを、前記角型ウエハの中央側の領域部分から前記角型ウエハの外周側の領域部分の順に、前記チャックテーブルに押さえ付ける押さえ付け手段を備える、構成として実現した。
【0025】
以下、本発明を実施するための形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の説明では、実施形態の説明の全体を通じて同じ要素には同じ符号を付している。また、上下や左右等の方向を示す表現は、絶対的なものではなく、本発明のウエハ搬送保持装置の各部が描かれている姿勢である場合に適切であるが、その姿勢が変化した場合には姿勢の変化に応じて変更して解釈されるべきものである。
【実施例
【0026】
図1は本発明の一実施例として示すウエハ搬送保持装置10の要部構成図であり、(a)はその搬送保持装置の押さえ付け手段11が角型ウエハWを搬送プレート12から受け取るときの状態を示す図、(b)は押さえ付け手段11が角型ウエハWをチャックテーブル13の上方の位置に搬送したときの状態を示す図である。なお、以下の説明において、図1の上下方向を上下として説明する。
【0027】
図1において、ウエハ搬送保持装置10は、搬送プレート12に保持されて所定の位置から搬送されて来た角型ウエハWを、搬送プレート12から受け取る押さえ付け手段11を有している。押さえ付け手段11は、搬送プレート12から受け取った角型ウエハWを、チャックテーブル13のチャック面13a上に配置する。チャックテーブル13は、チャック面13a上に配置された角型ウエハWを、チャック面13a上に吸引保持する構成となっている。この一連の動作は、制御部100により制御される。
【0028】
角型ウエハWは、半導体材料のインゴットを薄板状に切り出して研磨されたものであり、図4に示すように4つの辺50a、50b、50c、50dを有する平面視概略正四角形をした薄板状のウエハとして形成されている。なお、説明の便宜上、角型ウエハWの各部の説明は、図4において、4つの辺50a、50b、50c、50dにそれぞれ接して描かれる円51の内側の領域を「中央側の領域部分Wa」、円51の外側に各々突き出している四隅(4つの角)の領域を「外周側の領域部分Wb」として説明する。
【0029】
搬送プレート12は、前工程の所定の位置から角型ウエハWを受け取り、その後、押さえ付け手段11の下側の位置まで搬送して、その角型ウエハWを押さえ付け手段11に受け渡す装置である。
【0030】
チャックテーブル13は、角型ウエハWを加工する回転する加工台であり、上面には角型ウエハWが載置されるチャック面13aを有している。チャック面13aは、図3に示すように角型ウエハWの外形に合わせて平面視概略正四角形に形成されており、角型ウエハWの表面又は裏面の、一面全体を密着させて固定できるようになっている。なお、チャック面13aによる角型ウエハWの固定は、本実施例では真空吸着方式による固定であり、チャック面13aの表面を負圧にし、このチャック面13aに角型ウエハWを吸引して固定する方式を用いている。したがって、チャック面13aには、図示しないウエハ用真空ラインに通じる複数個の吸着孔が設けられている。
【0031】
押さえ付け手段11は、本体部11aと、本体部11aの下側に取り付けられた主押さえ付けパッド部11b及び副押さえ付けパッド部11cを有している。
【0032】
押さえ付け手段11の本体部11aは、図示しないアームに取り付けられて、そのアームと共に下上方向に移動可能になっている。そして、本体部11aが下降されると、主押さえ付けパッド部11b及び副押さえ付けパッド部11cも本体部11aと一緒に下降され、押さえ付け手段11が吸着保持している角型ウエハWを、チャックテーブル13のチャック面13a上に押さえ付け可能な位置まで移動される。
【0033】
主押さえ付けパッド部11bは、本体部11aの下面中央に位置して、本体部11aの下面に固定して取り付けられている。主押さえ付けパッド部11bは、図2に示すように角型ウエハWの中央側の領域部分Waの外径と略同じ大きさの外径を有して、平面視円板形に形成されている。また、主押さえ付けパッド部11bの下面111aには、押さえ付け面111bが設けられている。押さえ付け面111bは、搬送プレート12で搬送されて来る角型ウエハWを固定保持する保持面となっている。なお、押さえ付け面111bによる角型ウエハWの固定保持は、真空吸着方式による固定であり、押さえ付け面111bの表面を負圧にし、角型ウエハWを吸引固定する方式を用いている。したがって、押さえ付け面111bには、図示しないウエハ用真空ラインに通じる複数個の吸着孔が設けられている。
【0034】
副押さえ付けパッド部11cは、主押さえ付けパッド部11bの外周面に沿って略90度間隔で4つ形成されている。4つの副押さえ付けパッド部11cの各形状は、図2に示すように、角型ウエハWの外周側の領域部分Wbの平面視形状に各々対応して、平面視概略三角形状に形成されている。また、各副押さえ付けパッド部11cは、それぞれ伸縮シリンダ14を介して本体部11aに取り付けられている。
【0035】
伸縮シリンダ14は、本体部11aに固定して取り付けられたシリンダ本体14aと、シリンダ本体14aに対して伸縮可能で、かつ、先端(下端)に副押さえ付けパッド部11cを取り付けているシリンダアーム14bと、を有している。伸縮シリンダ14は、制御部100の指示で動作される。そして、制御部100の指示により、シリンダアーム14bを伸長させる指示が送られて来ると、シリンダアーム14bを伸長させる。また、シリンダアーム14bが伸長されると、副押さえ付けパッド部11cは、チャックテーブル13のチャック面13aの方向に移動されて、副押さえ付けパッド部11cが、角型ウエハWの外周側の領域部分Wbを押さえ付けできるようになっている。なお、伸縮シリンダ14は、図1に示すように通常はシリンダアーム14bをシリンダ本体14a内に収容した状態にして縮めている。このシリンダアーム14bが縮められている状態では、副押さえ付けパッド部11cの押さえ付け面111cは、主押さえ付けパッド部11bの下面(押さえ付け面111b)よりも上方に保持され、角型ウエハWの外周側の領域部分Wbと当接しない箇所に配置されている。
【0036】
制御部100は、ウエハ搬送保持装置10の全体の動作を制御する中心的処理機能を担うものであり、例えばコンピュータである。この制御部100には、ウエハ搬送保持装置10を予め決められた手順に従って制御するプログラムが組み込まれている。そして、制御部100には、押さえ付け手段11と、チャックテーブル13と、ウエハ用真空ライン(図示せず)等が、制御可能に接続されている。
【0037】
図5は、制御部100がウエハ搬送保持装置10の全体の動作を制御する処理手順の一例を示すフローチャートである。また、図6から図11は、図1及び図3に示したウエハ搬送保持装置10における搬送保持動作の、各動作時の状態を示す図である。そこで、ウエハ搬送保持装置10の一動作例を、以下、図5に示すフローチャートに従ってステップ1~ステップ6の順に、また図6から図11の動作状態図を使用して説明する。なお、図5に示す処理手順はあくまでも一例であり、この一例を持って本発明の処理手順が限定されるものではない。
【0038】
(ステップ1)
まず、加工処理前の角型ウエハWは、図6に示すように、搬送プレート12に真空吸着されて、押さえ付け手段11の下側に搬送されて来る。このときの押さえ付け手段11は、伸縮シリンダ14のシリンダアーム14bがシリンダ本体14a内に引き込まれて、副押さえ付けパッド部11cの押さえ付け面111cが、主押さえ付けパッド部11bの押さえ付け面111bよりも上方に退避された状態になっている。
【0039】
(ステップ2)
次に搬送プレート12を上昇させ、搬送プレート12上の角型ウエハWを押さえ付け手段11の下面に押さえ付けると共に、搬送プレート12の角型ウエハWに対する真空吸着保持が解かれる。また、ほぼ同時に、押さえ付け手段11における主押さえ付けパッド部11b側の押さえ付け面111bが負圧にされ、搬送プレート12上の角型ウエハWを主押さえ付けパッド部11bが真空吸着して受け取る。この主押さえ付けパッド部11bによる真空吸着は、角型ウエハWの中央側の領域部分Waを吸着して保持する。また押さえ付け手段11側に角型ウエハWが受け渡されたら、搬送プレート12は下降して初期位置に戻り、次の搬送指令を待つ。これにより、搬送プレート12から押さえ付け手段11への、角型ウエハWの受け渡し作業が終了する。
【0040】
(ステップ3)
搬送プレート12から角型ウエハWを受け取った押さえ付け手段11は、次に図8に示すようにチャックテーブル13の上方に移動され、さらにチャックテーブル13のチャック面13aに向かって下降される。そして、主押さえ付けパッド部11bは、図9に示すように角型ウエハWがチャックテーブル13のチャック面13aと当接するまで、副押さえ付けパッド部11cと一緒に下降される。また、この下降により主押さえ付けパッド部11bが角型ウエハWの中央側の領域部分Waをチャックテーブル13のチャック面13aに押さえ付け、まず中央側の領域部分Waをチャック面13aに対して密着させる。また、角型ウエハWの中央側の領域部分Waがチャックテーブル13のチャック面13aに押さえ付けられたら、主押さえ付けパッド部11bの角型ウエハWに対する真空吸着保持が解かれる。
【0041】
(ステップ4)
次いで、制御部100の制御で伸縮シリンダ14が操作され、シリンダ本体14aからシリンダアーム14bを突き出す。そして、図10に示すように、シリンダアーム14bが突き出されることにより、副押さえ付けパッド部11cが下降されて、角型ウエハWの外周側の領域部分Wbをチャック面13aに押さえ付け、外周側の領域部分Wbをチャック面13aに対して密着させる。これにより、角型ウエハWは中央側の領域部分Waに続いて外周側の領域部分Wbもチャックテーブル13のチャック面13aに密着され、角型ウエハWの全体がチャック面13aに対して密に押さえ付けられる。
【0042】
(ステップ5)
また、押さえ付け手段11の副押さえ付けパッド部11cによる角型ウエハWのチャック面13aへの押さえ付けとほぼ同時に、チャックテーブル13のチャック面13aが負圧にされ、チャックテーブル13上の角型ウエハWをチャック面13aが真空吸着して受け取る。これにより、押さえ付け手段11からチャックテーブル13への、角型ウエハWの受け渡し作業が終了する。
【0043】
(ステップ6)
そして、角型ウエハWをチャックテーブル13のチャック面13aに受け渡した押さえ付け手段11は、制御部100の制御により伸縮シリンダ14が、シリンダ本体14a内にシリンダアーム14bを収納するように操作されて、図11に示すように副押さえ付けパッド部11cの押さえ付け面111cが主押さえ付けパッド部11bの押さえ付け面111bよりも上側となるように退避される。また、これとほぼ同時に、押さえ付け手段11は上昇され、再び搬送プレート12から角型ウエハWを受け取ることが可能な位置まで戻される。なお、チャックテーブル13のチャック面13aに受け渡された角型ウエハWは、所定の加工を終えた後に、別の図示しない搬送プレートにより次の後処理工程へと移動される。そして、これにより、一連の搬送保持処理が終了し、以下、同じ動作が繰り返される。
【0044】
したがって、この実施例によるウエハ搬送保持装置10によれば、押さえ付け手段11の主押さえ付けパッド部11bが、角型ウエハWの中央側の領域部分Waをチャック面13aに押さえ付けてチャックテーブル13に密着させた後から、角型ウエハWの外周側の領域部分Wbをチャックテーブル13上に押し付けて密着させているので、チャックテーブル13上に角型ウエハWの全面を平たく密着させて配置することができる。すなわち、例えば角型ウエハWの厚みが薄く、かつ、搬送時に角型ウエハWの外周側の領域部分Waに反りが発生している状態であっても、角型ウエハWの中央の領域部分Waをチャック面13aに押さえ付けて密着させた後から、外周側の領域部分Wbをチャック面13aに押さえて密着させるので、外周側の反りも容易に修正され、角型ウエハWの全体をチャック面13aに平たく密着させて配置することができる。
【0045】
また、押さえ付け手段11を、角型ウエハWの中央側の領域部分Waをチャックテーブル13のチャック面13aに対して押さえ付ける平面視円板形の主押さえ付けパッド部11bと、主押さえ付けパッド部11bの外周外側に設けられ、主押さえ付けパッド部11bよりも外側に突出している外周側の領域部分Wbである角型ウエハWの角の隅部をチャック面13aに対して押さえ付ける副押さえ付けパッド部11cと、で構成している。したがって、平面視円板状の主押さえ付けパッド部11bの外形(直径)を、例えば平面視円板状をしたウエハの外形(直径)に合わせておけば、角型ウエハW以外の円板形をした円型ウエハの搬送保持装置としても使用することができ、装置の共通化が図れる。これにより、コスト向上が可能になる。
【0046】
図12及び図13は、ウエハ搬送保持装置10の一変形例を示し、図12はそのウエハ搬送保持装置20の側面図、図13はウエハ搬送保持装置20における押さえ付け手段11の下面構成を模式的に示した平面図である。なお、図12及び図13に示すウエハ搬送保持装置20の構成は、図1から図11に示した実施例における押さえ付け手段11の中の副押さえ付けパッド部11cの構成だけを変えたものであり、その他の構成は図1から図11に示した実施例のウエハ搬送保持装置10と同一である。したがって、同一の構成部分は同一符号を付して重複説明を省略し、図1から図11に示した実施例と相違する点について述べる。
【0047】
図12及び図13に示すウエハ搬送保持装置20において、押さえ付け手段11の副押さえ付けパッド部11cは、主押さえ付けパッド部11bの外周面の外側で、かつ、チャックテーブル13の四箇所の隅(四隅)、すなわち角型ウエハWの外周側の領域部分Wbに各々対応して、略90度間隔で4つ形成されている。各副押さえ付けパッド部11cは、それぞれ伸縮シリンダ14を介して本体部11aに取り付けられている。各副押さえ付けパッド部11cは、主押さえ付けパッド部11bとの隣接位置からチャックテーブル13の四隅に向かって連続して移動できるように、本体部11aに対して往復移動可能に取り付けられている。
【0048】
また、シリンダアーム14bの先端側には、副押さえ付けパッド部11cとしての転動ローラ21が取り付けられている。転動ローラ21は、図13に示すように、主押さえ付けパッド部11bの中心Oと本体部11aの四隅の先端11dとを結ぶ仮想線22に対して略直角に交差する状態にして、本体部11aの下面と略平行に配置されている。
【0049】
そして、上記ステップ4において、主押さえ付けパッド部11bが角型ウエハWを介してチャック面13aに当接された後から、制御部100の制御により、伸縮シリンダ14がシリンダ本体14aからシリンダアーム14bを突き出すように操作されると、副押さえ付けパッド部11cとしての転動ローラ21が、角型ウエハWを介してチャックテーブル13のチャック面13aに当接される。また、転動ローラ21が角型ウエハWを介してチャック面13aに当接された状態で、伸縮シリンダ14が主押さえ付けパッド部11bと隣接する位置からチャックテーブル13の四隅に先端に向かって連続して移動されると、伸縮シリンダ14と一体に転動ローラ21も転動しながら角型ウエハWの外周側の領域部分Wb上を移動する。そして、この転動ローラ21の移動により、角型ウエハWの全体がチャック面13aに密に押さえ付けられる。また、この状態でチャック面13aが負圧にされると、角型ウエハWの全体がチャック面13aに均された状態にして密に接触される。
【0050】
したがって、この変形例の構成でも、転動ローラ21が角型ウエハWの上からチャック面13aに押し付けられ、その転動ローラ21が、角型ウエハWの中央側の領域部分から角型ウエハWの角となる隅部の先端に向かって転動されると、角型ウエハWは中央側から外周側に向かって均されながら、チャック面13aに連続して押し付けられて密着されるので、外周側に反りがあってもその反りは容易に修正されて、角型ウエハWの全体を平たく均してチャック面13aに密着させることができる。
【0051】
なお、図12及び図13に示した変形例では、押さえ付け手段11が主押さえ付けパッド部11bと副押さえ付けパッド部11cを備え、副押さえ付けパッド部11cに転動ローラ21を設けた構造を開示した。しかし、実施するにあたっては、チャックテーブル13のチャック面13a上に搬送された角型ウエハWを、角型ウエハWの中央側の領域部分Waの中心Oから角型ウエハWの外周側の領域部分Waの外周まで押し付けながら転動する転動ローラ21を、それぞれ主押さえ付けパッド部11bと副押さえ付けパッド部11cの両方に設けた構造にしてもよい。すなわち、主押さえ付けパッド部11bに設けた転動ローラ21は、角型ウエハWの中央側の領域部分Waの中心Oから角型ウエハWの中央側の領域部分Waの外周まで押し付けながら転動し、副押さえ付けパッド部11cに設けた転動ローラ21は、角型ウエハWの外周側の領域部分Wbの内周から角型ウエハWの外周側の領域部分Wbの外周まで押し付けながら転動するようにして設けてもよい。この場合、主押さえ付けパッド部11bに設けた転動ローラ21が角型ウエハWの中央側の領域部分Waの外周付近に到達したら、続いて副押さえ付けパッド部11cに設けた転動ローラ21が角型ウエハWの外周側の領域部分Wbの内周から角型ウエハWの外周側の領域部分Wbの外周に向かって転動を開始するようにする。
【0052】
さらに、角型ウエハWの中央側の領域部分Waの中心Oから角型ウエハWの外周側の領域部分Wbの外周まで連続して、チャックテーブル13のチャック面13a上に角型ウエハWを押し付けながら転動する転動ローラ21を主押さえ付けパッド部11bに設けて、副押さえ付けパッド部11cに設ける転動ローラ21を省略した構造にしてもよい。
【0053】
また、上記各実施例では、角型ウエハWが正四角形の場合について説明したが、正四角形に限らず、長四角形、三角形、五角形等にも同様にして適用できるものである。
【0054】
また、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り、上記実施例に種々の改変を成すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【符号の説明】
【0055】
10 角型ウエハの搬送保持装置
10a 受け渡し機構
11 押さえ付け手段
11a 本体部
11aa 四隅の先端
11b 主押さえ付けパッド部
111a 下面
111b 押さえ付け面
11c 副押さえ付けパッド部
111c 押さえ付け面
12 搬送プレート
13 チャックテーブル
13a チャック面
14 伸縮シリンダ
14a シリンダ本体
14b シリンダアーム
20 角型ウエハの搬送保持装置
21 転動ローラ
22 仮想線
W ウエハ
Wa 中央側の領域部分
Wb 外周側の領域部分
50a、50b、50c、50d 辺
51 円
100 制御部
O 中心
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13