(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-27
(45)【発行日】2022-11-07
(54)【発明の名称】微生物検査キット、微生物検査方法及び微生物検査装置
(51)【国際特許分類】
C12M 1/34 20060101AFI20221028BHJP
G01N 21/76 20060101ALI20221028BHJP
G01N 1/00 20060101ALI20221028BHJP
G01N 1/10 20060101ALI20221028BHJP
C12Q 1/04 20060101ALI20221028BHJP
C12Q 1/66 20060101ALI20221028BHJP
G01N 21/11 20060101ALN20221028BHJP
【FI】
C12M1/34 B
G01N21/76
G01N1/00 101H
G01N1/10 B
G01N1/10 F
C12Q1/04
C12Q1/66
G01N21/11
(21)【出願番号】P 2019055355
(22)【出願日】2019-03-22
【審査請求日】2021-03-26
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野田 英之
(72)【発明者】
【氏名】石丸 真子
【審査官】井関 めぐみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-038162(JP,A)
【文献】特開2005-229956(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/34
G01N 21/76
G01N 1/00
G01N 1/10
C12Q 1/04
C12Q 1/66
G01N 21/11
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体を採取可能であり、第1のシリンジ針を有する第1のシリンジと、
ATP抽出試薬が収容され、第2のシリンジ針を有する第2のシリンジと、
第1の開口部と、前記第1の開口部に嵌合された第1の封止部材と、ノズルと、前記ノズルを覆うノズルキャップと、前記第1の開口部及び前記ノズルの間を仕切るように配置されたフィルタと、を有し、密閉された反応容器と、
第2の開口部と、前記第2の開口部に嵌合された第2の封止部材と、を有し、減圧密閉された廃液容器と、
第3の開口部と、前記第3の開口部に嵌合された第3の封止部材と、を有し、ATPの存在下で発光する発光試薬が収容され、減圧密閉された発光計測容器と、を備え、
前記第1の封止部材は、前記反応容器が密閉された状態を保ったまま前記第1のシリンジ針及び前記第2のシリンジ針が貫通可能であり、
前記第2の封止部材は、前記廃液容器が密閉された状態を保ったまま前記ノズルが貫通可能であり、
前記第3の封止部材は、前記発光計測容器が密閉された状態を保ったまま前記ノズルが貫通可能であることを特徴とす
る微生物検査キット。
【請求項2】
検体を採取可能であり、第1のシリンジ針を有する第1のシリンジと、
ATP抽出試薬が収容され、第2のシリンジ針を有する第2のシリンジと、
第1の開口部と、前記第1の開口部に嵌合された第1の封止部材と、ノズルと、前記ノズルを覆うノズルキャップと、前記第1の開口部及び前記ノズルの間を仕切るように配置されたフィルタと、を有し、密閉された反応容器と、
第2の開口部と、前記第2の開口部に嵌合された第2の封止部材と、を有し、減圧密閉された廃液容器と、
第3の開口部と、前記第3の開口部に嵌合された第3の封止部材と、を有し、ATPの存在下で発光する発光試薬が収容され、減圧密閉された発光計測容器と、
ATP消去試薬が収容され、第3のシリンジ針を有する第3のシリンジ
と、を備え、
前記第1の封止部材は、前記反応容器が密閉された状態を保ったまま前記第3のシリンジ針が貫通可能であることを特徴とす
る微生物検査キット。
【請求項3】
前記反応容器の内部が減圧されていることを特徴とする請求項1記載の微生物検査キット。
【請求項4】
前記フィルタの孔径が0.20μm以上であることを特徴とする請求項1記載の微生物検査キット。
【請求項5】
前記反応容器に培地成分を含む試薬が収容されていることを特徴とする請求項1記載の微生物検査キット。
【請求項6】
前記試薬がATP消去試薬をさらに含むことを特徴とする請求項6記載の微生物検査キット。
【請求項7】
前記試薬が液体状であることを特徴とする請求項6記載の微生物検査キット。
【請求項8】
前記試薬が粉末状であり、
前記試薬の溶媒が収容され、第4のシリンジ針を有する第4のシリンジをさらに備えることを特徴とする請求項6記載の微生物検査キット。
【請求項9】
洗浄試薬が収容され、第5のシリンジ針を有する第5のシリンジをさらに備えることを特徴とする請求項1記載の微生物検査キット。
【請求項10】
(1)検体を採取可能であり、第1のシリンジ針を有する第1のシリンジと、(2)ATP抽出試薬が収容され、第2のシリンジ針を有する第2のシリンジと、(3)第1の開口部と、前記第1の開口部に嵌合された第1の封止部材と、ノズルと、前記ノズルを覆うノズルキャップと、前記第1の開口部及び前記ノズルの間を仕切るように配置されたフィルタと、を有し、密閉された反応容器と、(4)第2の開口部と、前記第2の開口部に嵌合された第2の封止部材と、を有し、減圧密閉された廃液容器と、(5)第3の開口部と、前記第3の開口部に嵌合された第3の封止部材と、を有し、ATPの存在下で発光する発光試薬が収容され、減圧密閉された発光計測容器と、を備える微生物検査キットを準備することと、
前記第1のシリンジにより前記検体を採取することと、
前記第1のシリンジ針を前記第1の封止部材に貫通させ、前記検体を前記反応容器に導入することと、
前記ノズルを前記第2の封止部材に貫通させ、前記反応容器と前記廃液容器との圧力差により、前記検体を前記フィルタによりろ過し、前記検体中の微生物を捕捉することと、
前記第2のシリンジ針を前記第1の封止部材に貫通させ、前記ATP抽出試薬を前記反応容器に導入して、前記微生物からATPを抽出することと、
前記ノズルを前記第3の封止部材に貫通させ、前記反応容器と前記発光計測容器との圧力差により、前記ATPの抽出液を前記発光計測容器に導入し、前記発光試薬と接触させることと、を含むことを特徴とする微生物検査方法。
【請求項11】
前記微生物検査キットは、
ATP消去試薬が収容され、第3のシリンジ針を有する第3のシリンジをさらに備え、
前記微生物検査方法は、
前記検体を前記フィルタによりろ過し、前記検体中の微生物を捕捉した後に、
前記第3のシリンジ針を前記第1の封止部材に貫通させ、前記ATP消去試薬を前記反応容器に導入することと、
前記ノズルを前記第2の封止部材に貫通させ、前記反応容器と前記廃液容器との圧力差により、前記ATP消去試薬を前記廃液容器に排出することと、をさらに含むことを特徴とする請求項
10記載の微生物検査方法。
【請求項12】
前記反応容器は、培地成分を含む試薬を収容し、
前記微生物検査方法は、
前記検体を前記反応容器に導入した後に、前記検体を培養することをさらに含むことを特徴とする請求項
10記載の微生物検査方法。
【請求項13】
前記試薬が粉末状であり、前記微生物検査キットは、前記試薬の溶媒が収容され、第4のシリンジ針を有する第4のシリンジをさらに備え、
前記微生物検査方法は、
前記検体を前記反応容器に導入する前に、前記第4のシリンジ針を前記第1の封止部材に貫通させ、前記溶媒を前記反応容器に導入することをさらに含むことを特徴とする請求項
12記載の微生物検査方法。
【請求項14】
前記微生物検査キットは、洗浄試薬が収容され、第5のシリンジ針を有する第5のシリンジをさらに備え、
前記微生物検査方法は、
前記検体を前記フィルタによりろ過し、前記検体中の微生物を捕捉した後に、前記第5のシリンジ針を前記第1の封止部材に貫通させ、前記洗浄試薬を前記反応容器に導入することと、
前記ノズルを前記第2の封止部材に貫通させ、前記反応容器と前記廃液容器との圧力差により、前記洗浄試薬を前記廃液容器に排出することと、をさらに含むことを特徴とする請求項
10記載の微生物検査方法。
【請求項15】
前記微生物検査キットは、洗浄試薬が収容され、第5のシリンジ針を有する第5のシリンジをさらに備え、
前記微生物検査方法は、
前記ATP消去試薬を前記廃液容器に排出した後に、
前記第5のシリンジ針を前記第1の封止部材に貫通させ、前記洗浄試薬を前記反応容器に導入することと、
前記ノズルを前記第2の封止部材に貫通させ、前記反応容器と前記廃液容器との圧力差により、前記洗浄試薬を前記廃液容器に排出することと、をさらに含むことを特徴とする請求項
11記載の微生物検査方法。
【請求項16】
請求項1
又は2記載の微生物検査キットと、
前記反応容器と、前記第1のシリンジ、前記第2のシリンジ、前記廃液容器及び前記発光計測容器との相対位置を変化させる第1の駆動手段と、
前記第1のシリンジ及び前記第2のシリンジを駆動させる第2の駆動手段と、
前記発光計測容器からの発光を検出する発光計測装置と、
前記第1の駆動手段及び前記第2の駆動手段の駆動を制御する制御部と、を備えることを特徴とする微生物検査装置。
【請求項17】
前記制御部は、
前記第2の駆動手段を駆動して前記第1のシリンジにより前記検体を採取させ、
前記第1の駆動手段を駆動して前記第1のシリンジ針を前記第1の封止部材に貫通させ、前記第2の駆動手段を駆動して前記検体を前記反応容器に導入させ、
前記第1の駆動手段を駆動して前記ノズルを前記第2の封止部材に貫通させ、前記反応容器と前記廃液容器との圧力差により、前記検体を前記フィルタによりろ過し、前記検体中の微生物を捕捉させ、
前記第1の駆動手段を駆動して前記第2のシリンジ針を前記第1の封止部材に貫通させ、前記第2の駆動手段を駆動して前記ATP抽出試薬を前記反応容器に導入し、前記微生物からATPを抽出させ、
前記第1の駆動手段を駆動して前記ノズルを前記第3の封止部材に貫通させ、前記反応容器と前記発光計測容器との圧力差により、前記ATPの抽出液を前記発光計測容器に導入し、前記発光試薬と接触させることを特徴とする請求項
16記載の微生物検査装置。
【請求項18】
前記微生物検査キットは、ATP消去試薬が収容され、第3のシリンジ針を有する第3のシリンジをさらに備え、
前記第1の駆動手段は、さらに、前記反応容器と、前記第3のシリンジとの相対位置を変化させ、
前記第2の駆動手段は、さらに、前記第3のシリンジを駆動させ、
前記制御部は、
前記検体を前記フィルタによりろ過し、前記検体中の微生物を捕捉させた後に、
前記第1の駆動手段を駆動して前記第3のシリンジ針を前記第1の封止部材に貫通させ、前記第2の駆動手段を駆動して前記ATP消去試薬を前記反応容器に導入させ、
前記第1の駆動手段を駆動して前記ノズルを前記第2の封止部材に貫通させ、前記反応容器と前記廃液容器との圧力差により、前記ATP消去試薬を前記廃液容器に排出させることを特徴とする請求項
16記載の微生物検査装置。
【請求項19】
前記第1のシリンジ及び前記第2のシリンジが設置される第1の設置テーブルと、
前記第1の設置テーブルの下方に配置され、前記反応容器が設置される第2の設置テーブルと、
前記第2の設置テーブルの下方に配置され、前記廃液容器及び前記発光計測容器が載置される第3の設置テーブルと、をさらに備え、
前記第1の駆動手段は、前記第1の設置テーブル、前記第2の設置テーブル又は前記第3の設置テーブルのうちいずれか1以上を駆動することを特徴とする請求項
16記載の微生物検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、微生物検査キット、微生物検査方法及び微生物検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品工場や飲料工場では、無菌環境を実現した製造施設内において製品の製造が行われる。従来、製造施設や製品の無菌性を保証するための微生物検査において、培養法が採用されている。培養法は、培地を添加した検体を恒温機中にて数日~14日間培養し、生育した菌のコロニー数を目視で計数する方法である。そのため、検査結果を得るのに時間がかかり、製品を出荷するまで検査結果を待つ必要がある。このような背景から、無菌判定を迅速に行う微生物検査方法の開発が望まれている。
【0003】
迅速かつ簡便な微生物検査方法の1つに、Adenosine triphosphate(ATP)生物発光法(以下、ATP法という)がある。ATP法は、ホタルの発光反応を利用して、菌体内に存在するATPを光に変換して測定する方法である。より具体的には、ルシフェラーゼにルシフェリンとATP分子とを取り込ませ、ATPの消費とともに酸化されたルシフェリン(オキシルシフェリン)が励起状態から基底状態に遷移するときの発光量を計測する。このとき、ATP1分子の消費が1フォトン(光子)の生成に対応するため、光子発生数がATPの個数に比例する。1個の生菌中にはエネルギー源として1アトモル(amol=10-18mol)相当のATP分子が存在するため、検体中のATPによる発光量から、生菌の総数を推定することができる。
【0004】
ルシフェリン-ルシフェラーゼ反応は生物発光及び化学発光のうちで最も優れた量子効率(ΦBL:≒0.5)であることから、細胞1個を数十万個相当のフォトンとして検出できる。したがって、ATP法は、細胞1個相当の光を検出することが原理的に可能な方法である。
【0005】
しかしながら、検体に混入した極微量(数個レベル)の菌を高感度、高精度で検出するためには、発光計測装置の性能を高感度とするだけではなく、環境中に存在するATPや菌、ヒトが保有している微生物、ATPを吸着した塵などのコンタミネーションを防止しなければならない。また、一般に、検体には死菌由来のATPや遊離ATPが混在しているため、検体をそのまま発光計測に用いた場合には、正確な生菌数を見積もることができない。
【0006】
特許文献1には、検体中の遊離ATPを除去するために、検体液のろ過や、アピラーゼなどのATP分解酵素を用いて微生物や死菌を予め分解することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の方法を含め、ATP法は一般に反応操作が煩雑であり、検査環境や作業者のスキルが検査結果に影響しやすい。したがって、検査環境や作業者からのコンタミネーションを受けて検査精度が低下し、偽陽性となりやすい。たとえ、安全キャビネット内において無菌操作を実施してもコンタミネーションを完全に防ぐことは困難であり、特に、無菌試験のような陰性/陽性判定検査では、偽陽性か真陽性かを明確に証明することが困難であった。
【0009】
そこで、本開示は、高精度の微生物検査を容易に実施可能な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の微生物検査キットは、検体を採取可能であり、第1のシリンジ針を有する第1のシリンジと、ATP抽出試薬が収容され、第2のシリンジ針を有する第2のシリンジと、第1の開口部と、前記第1の開口部に嵌合された第1の封止部材と、ノズルと、前記ノズルを覆うノズルキャップと、前記第1の開口部及び前記ノズルの間を仕切るように配置されたフィルタと、を有し、密閉された反応容器と、第2の開口部と、前記第2の開口部に嵌合された第2の封止部材と、を有し、減圧密閉された廃液容器と、第3の開口部と、前記第3の開口部に嵌合された第3の封止部材と、を有し、ATPの存在下で発光する発光試薬が収容され、減圧密閉された発光計測容器と、を備えることを特徴とする。
【0011】
本開示に関連する更なる特徴は、本明細書の記述、添付図面から明らかになるものである。また、本開示の態様は、要素及び多様な要素の組み合わせ及び以降の詳細な記述と添付される特許請求の範囲の様態により達成され実現される。
本明細書の記述は典型的な例示に過ぎず、本開示の特許請求の範囲又は適用例を如何なる意味に於いても限定するものではない。
【発明の効果】
【0012】
本開示の微生物検査キットによれば、高精度の微生物検査を容易に実施することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1の実施形態に係る微生物検査キットの反応ボトルを示す模式図である。
【
図2】第1の実施形態に係る微生物検査キットの廃液ボトルを示す模式図である。
【
図3】第1の実施形態に係る微生物検査キットの発光計測容器を示す模式図である。
【
図4A】第1の実施形態に係る微生物検査キットのサンプリングシリンジを示す模式図である。
【
図4B】第1の実施形態に係る微生物検査キットの試薬充填シリンジを示す模式図である。
【
図5A】第1の実施形態に係る微生物検査キットを用いた微生物検査方法を示す図である。
【
図5B】第1の実施形態に係る微生物検査キットを用いた微生物検査方法を示す図である。
【
図5C】第1の実施形態に係る微生物検査キットを用いた微生物検査方法を示す図である。
【
図5D】第1の実施形態に係る微生物検査キットを用いた微生物検査方法を示す図である。
【
図5E】第1の実施形態に係る微生物検査キットを用いた微生物検査方法を示す図である。
【
図5F】第1の実施形態に係る微生物検査キットを用いた微生物検査方法を示す図である。
【
図5G】第1の実施形態に係る微生物検査キットを用いた微生物検査方法を示す図である。
【
図5H】第1の実施形態に係る微生物検査キットを用いた微生物検査方法を示す図である。
【
図5I】第1の実施形態に係る微生物検査キットを用いた微生物検査方法を示す図である。
【
図6】第1の実施形態に係る微生物検査キットを用いた微生物検査方法の一例を示すフローチャートである。
【
図7】フォトンカウンティングタイムコースを示す図である。
【
図8】第4の実施形態に係る微生物検査装置の構成を示す模式図である。
【
図9】第5の実施形態に係る微生物検査装置の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して本開示の実施形態について説明する。ただし、各実施形態は本開示を実現するための一例に過ぎず、本開示を限定するものではないことに注意すべきである。また、各図において共通の構成については同一の参照番号が付されている。
【0015】
[第1の実施形態]
<微生物検査キット>
第1の実施形態に係る微生物検査キットは、後述するように、反応ボトル1(反応容器)、廃液ボトル8(廃液容器)、発光計測容器12、サンプリングシリンジ22(第1のシリンジ)、試薬充填シリンジ15(第2~第5のシリンジ)を備える。
【0016】
図1は、第1の実施形態に係る微生物検査キットの反応ボトル1を示す模式図である。
図1に示すように、反応ボトル1(反応容器)は、封止キャップ2(第1の封止部材)、ノズル4、フィルタ5、ノズルキャップ6、フィッティング部7を有する。
【0017】
反応ボトル1は、一端に開口部3(第1の開口部)を有し、開口部3には封止キャップ2が嵌合されている。封止キャップ2としては、例えばセプタムを用いることができ、その材質としては、例えば天然ゴム、ブチルゴム、PTFE(Polytetrafluoroethylene)/天然ゴム、PTFE/ブチルゴム、シリコン/シリコンゴム、PTFE/シリコン、PTFE/シリコン/PTFE、ポリエチレン、バイトンなどが挙げられる。このような材質であることにより、封止キャップ2には、後述する各種シリンジのノズル(シリンジ針)が貫通することができる。
【0018】
反応ボトル1は、開口部3と反対側の端部が先端に向かって先細り、先端にはノズル4が接続されている。反応ボトル1とノズル4との境界には、フィッティング部7が設けられる。ノズルキャップ6は、フィッティング部7と嵌合することにより、反応ボトル1を密閉するようにノズル4を覆う。ノズルキャップ6は着脱可能であり、ユーザーには、ノズルキャップ6が取り付けられた状態で提供される。
【0019】
反応ボトル1及びノズルキャップ6の材質は、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン等の樹脂材とすることができ、射出成形により反応ボトル1を製造することができる。ノズル4の材質は、ステンレス材(SUS304)などの金属製とすることができるが、樹脂製であっても良い。ノズル4の外径は、例えば0.3~0.9mmΦとすることができ、内径は例えば0.07~0.6mmとすることができる。ノズル4の長さは例えば13~38mmとすることができる。ノズル4の先端は、斜めにカットされていてもよい。
【0020】
フィルタ5は、開口部3とノズル4との間を2つの空間に仕切るように、反応ボトル1の内部に配置される。フィルタ5の位置は、開口部3とフィルタ5との間に十分な量の検体を導入できるような位置である。
【0021】
フィルタ5としては、検査対象の微生物を捕捉可能なものであればよく、例えばメンブレンフィルタを用いることができる。フィルタ5の材質としては、例えばセルロース混合エステル、PTFE、PVDF(Polyvinylidene Fluoride)、ポリカーボネートなどが挙げられる。
【0022】
フィルタ5の孔径は、検査対象の微生物のサイズや、微生物検査の諸条件に応じて適宜選択することができ、例えば0.20μm以上とすることができる。具体的には、フィルタ5として、孔径が0.22μmや0.45μm等のメンブレンフィルタが挙げられる。
【0023】
開口部3とフィルタ5との間には、試薬10が予め導入されている。
図1においては、試薬10が液状である場合を示しているが、粉末であっても良い。試薬10として、培地成分又はATP分解酵素などのATP消去試薬が単独で収容されていてもよいし、これらの混合物が収容されていてもよい。また、試薬10には、培地成分やATP消去試薬以外の成分が含有されていてもよい。
【0024】
培地としては、検査対象の微生物や微生物検査の諸条件に応じて、例えばソイビーン・カゼイン・ダイジェスト培地、チオグリコール酸培地、R2A培地、標準培地、サブロー・ブドウ糖培地、モーゼル腸内細菌増菌ブイヨン培地、マッコンキー培地、ラパポート・バシリアジス・サルモネラ増菌培地、セレナイト・シスチン培地、テトラチオネート培地、ラパポート培地、乳糖ブイヨン培地、ミューラーヒントン培地などを用いることができる。
【0025】
微生物検査の実施時に、検体は、開口部3とフィルタ5との間の空間に導入される。
図1に示すように、反応ボトル1には、導入された検体の容量を示す目盛が印字又は刻印されていてもよく、これにより検体の液量を容易に把握することができる。試薬10が液体である場合、その液面にゼロの目盛が合わせられる。試薬10が粉末である場合は、所定量の溶媒が添加された際の液面がゼロとなるように目盛が合わせられる。
【0026】
反応ボトル1の容量として、例えば1mL仕様、10mL仕様、50mL仕様、100mL仕様など、複数の容量のものが微生物検査キットに含まれていてもよい。これにより、微生物検査に用いる検体に応じて、ユーザーが反応ボトル1の容量を選択することができる。
図1に示す反応ボトル1は、50mL仕様である。
【0027】
反応ボトル1の内部は、減圧されていてもよい。この場合、減圧環境下で封止キャップ2とノズルキャップ6が嵌合されることにより、反応ボトル1の内部が減圧された状態で密閉される。ノズルキャップ6を取り外すことで、反応ボトル1の内部は大気圧となる。
【0028】
図2は、本実施形態に係る微生物検査キットの廃液ボトル8(廃液容器)を示す模式図である。
図2に示すように、廃液ボトル8は、開口部11(第2の開口部)に封止キャップ9(第2の封止部材)が嵌合されており、内部が減圧され、密閉されている。廃液ボトル8の製造時には、減圧環境下で開口部11に封止キャップ9が嵌合される。封止キャップ9として例えばセプタムを用いることができ、その材質は上述の通りである。
【0029】
封止キャップ9には、反応ボトル1のノズル4を貫通させることができ、これにより、反応ボトル1内部の圧力と廃液ボトル8内部の圧力との圧力勾配(圧力差)によって、反応ボトル1内部の液体をフィルタ5によりろ過し、廃液ボトル8に回収することができる。したがって、廃液ボトル8内部の圧力は、反応ボトル1内の液体を排出可能な程度に減圧されていればよい。なお、反応ボトル1内部の液体の排出時には、ノズルキャップ6が取り外されることにより反応ボトル1が大気開放されるため、廃液ボトル8内部の初期圧力は、大気圧よりも低く設定される。ここで、例えば廃液ボトル8内部の初期圧力を0気圧と仮定し、一定の圧力を保って反応ボトル1中の液体が廃液ボトル8に排出されることとすると、反応ボトル1内の液体のフィルタ5によるろ過は、1気圧(大気圧)の一定圧力下で実施される。
【0030】
図3は、本実施形態に係る微生物検査キットの発光計測容器12を示す模式図である。
図3に示すように、発光計測容器12は、開口部14(第3の開口部)に封止キャップ13(第3の封止部材)が嵌合され、内部が減圧されており、密閉されている。発光計測容器12の製造時には、減圧環境下で開口部14に封止キャップ13が嵌合される。発光計測容器12内部の圧力については、上述の廃液ボトル8内部の圧力と同様に設定することができる。封止キャップ13として例えばセプタムを用いることができ、その材質は上述の通りである。
【0031】
発光計測容器12には、予め発光試薬20が導入されている。発光試薬20は、ATPと混合されることにより発光する試薬であり、例えばルシフェラーゼ及びルシフェリンを含む試薬を用いることができる。なお、ルシフェラーゼは発光試薬20に導入され、ルシフェリンは後述する試薬充填シリンジ15のATP抽出試薬に混合されていてもよい。
【0032】
図4Aは、本実施形態に係る微生物検査キットのサンプリングシリンジ22(第1のシリンジ)を示す模式図である。
図4Aに示すように、サンプリングシリンジ22は、検体を採取可能なシリンジであり、ピストン23、ノズル24(第1のシリンジ針)及びノズルキャップ25を有する。
図4Aに示す例においては、サンプリングシリンジ22は、最大100mLまで検体を採取できる。
【0033】
ノズル24は、ノズルキャップ25に覆われた状態でユーザーに提供される。ノズルキャップ25は着脱可能であり、ユーザーには、ノズルキャップ25が取り付けられた状態で提供される。
【0034】
図4Bは、本実施形態に係る微生物検査キットの試薬充填シリンジ15(第2~第5のシリンジ)を示す模式図である。
図4Bに示すように、試薬充填シリンジ15は、ピストン17、ノズル18(第2~第5のシリンジ針)及びノズルキャップ19を有する。
【0035】
試薬充填シリンジ15には、1回の検査に必要とされる液量分のATP検査試薬30が充填されている。ATP検査試薬30の例としては、例えばATP抽出試薬、ATP消去試薬、溶媒、洗浄試薬などが挙げられる。試薬充填シリンジ15は、ATP検査試薬30の種類ごとに、予め試薬充填シリンジ15に導入された状態でユーザーに提供される。なお、本実施形態の微生物検査キットは、少なくともATP抽出試薬が収容された試薬充填シリンジ15(第2のシリンジ)を有する。
【0036】
ATP抽出試薬としては、例えば塩化ベンザルコニウムや塩化ベンゼトニウムなどの界面活性剤、トリクロロ酢酸(TCA)、トリス緩衝液、エタノール、プロテアーゼ活性を有する溶菌酵素又はリゾチーム等を含む水溶液を用いることができる。
【0037】
反応ボトル1中の試薬10にATP消去試薬が含まれていない場合には、ATP消去試薬が収容された試薬充填シリンジ15(第3のシリンジ)が微生物検査キットに含まれていてもよい。
【0038】
また、試薬10が粉末状である場合には、試薬10の溶媒が収容された試薬充填シリンジ15(第4のシリンジ)が微生物検査キットに含まれていてもよい。試薬10の溶媒としては、例えば、培地に通常用いられる緩衝液などを用いることができる。
【0039】
さらに、洗浄試薬が収容された試薬充填シリンジ15(第5のシリンジ)についても、微生物検査キットに含まれていてもよいし、含まれていなくてもよい。洗浄試薬は、反応ボトル1を洗浄し、検体中の遊離ATPや死菌由来のATP(生菌由来のATP以外のATP)を除去するために用いられる。洗浄試薬としては、例えば、pHが7~9程度に調整された緩衝液(例えばペプトン溶液、リン酸緩衝生理食塩水など)、微生物を分解しない界面活性剤(例えばラウリル硫酸ナトリウムなど)を含む緩衝液、プロテアーゼなどの酵素を含む緩衝液などを用いることができる。
【0040】
ノズル18は、ノズルキャップ19に覆われた状態でユーザーに提供される。ノズルキャップ19は着脱可能であり、ユーザーには、ノズルキャップ19が取り付けられた状態で提供される。
【0041】
試薬充填シリンジ15は、シリンジケース16に収納された状態でユーザーに提供されてもよく、これによりピストン17が使用前に不意に押されてATP検査試薬30が漏れることを防止することができる。
【0042】
反応ボトル1、ノズルキャップ6、廃液ボトル8、発光計測容器12、試薬充填シリンジ15、サンプリングシリンジ22、ピストン17及び23、並びにノズルキャップ19及び25の材質は、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン等の樹脂材とすることができ、これらは射出成形により製造することができる。ノズル18及び24の材質やサイズは、反応ボトル1のノズル4と同様とすることができるため、説明を省略する。
【0043】
反応ボトル1、廃液ボトル8、発光計測容器12、試薬充填シリンジ15及びサンプリングシリンジ22は、全て滅菌された状態でユーザーに提供されてもよい。これにより、偽陽性を防止し、検体中の菌の検出精度を向上することができる。滅菌方法としては、例えば高圧蒸気滅菌、煮沸消毒、流通蒸気消毒、酸化エチレンガス滅菌(EOG滅菌)、放射線滅菌(ガンマ線滅菌)、紫外線滅菌などが挙げられる。材質の劣化を防止するためには、EOG滅菌又はガンマ線滅菌を採用することができる。
【0044】
反応ボトル1、発光計測容器12、試薬充填シリンジ15は、試薬10、発光試薬20、ATP検査試薬30を充填後、再度、滅菌処理されてもよい。一般に発光試薬20やATP消去試薬は酵素を含むので、発光計測容器12及び試薬充填シリンジ15の滅菌法としてはEOG滅菌を採用することができる。さらに、反応ボトル1に収容される試薬10や、試薬充填シリンジ15に収容されるATP検査試薬30も、ろ過滅菌したものを使用することで、無菌性をより担保できる。
【0045】
なお、本実施形態の微生物検査キットには、反応ボトル1、廃液ボトル8、発光計測容器12、試薬充填シリンジ15及びサンプリングシリンジ22がそれぞれ1つずつ含まれていてもよいし、それぞれ複数個含まれていてもよい。それぞれ複数個含まれる場合は、異なる容積のものが含まれていてもよいし、同じ容積のものが含まれていてもよい。
【0046】
<微生物検査方法>
図5A~5Iは、本実施形態に係る微生物検査キットを用いた微生物検査方法を示す図であり、
図6は、本実施形態に係る微生物検査方法を示すフローチャートである。なお、本実施形態においては、ユーザーがマニュアルで微生物検査を行う方法について説明する。
【0047】
製薬用水の微生物管理基準は、各国の薬局方に基づいて、水に含まれる微生物量の許容量で処置基準値として管理されている。日本薬局方においては、常水は100CFU/mL、精製水は10CFU/mL、注射用水は10CFU/100mLを超えたときに、製薬用水製造ラインのメンテナンスが必要となる。米国薬局方における処置基準値は、飲料水が500CFU/mL、精製水が100CFU/mL、注射用水が10CFU/100mLであり、欧州薬局方における処置基準値は、精製水が100CFU/mL、高度精製水が10CFU/100mL、注射用水が10CFU/100mLと定められている。
【0048】
そこで、以下においては、日本薬局方の検査に準拠した製薬用水の微生物検査を行うため、常水、精製水及び注射用水の3つを検体102として、各検体102に1つの微生物検査キットを使用する。1つの微生物検査キットには、後述するように10mLのR2A液体培地101が予め充填された反応ボトル1、サンプリングシリンジ22(第1のシリンジ)、200mL容量の廃液ボトル8a、10mL容量の廃液ボトル8b、ATP消去試薬301を収容する試薬充填シリンジ15a(第3のシリンジ)及びATP抽出試薬302を収容する試薬充填シリンジ15b(第2のシリンジ)が含まれることとする。また、常水用及び精製水用の微生物検査キットにおいては、反応ボトル1の容量は1mLとし、注射用水用の微生物検査キットにおいては、反応ボトル1の容量は100mLとする。
【0049】
まず、ユーザーは、サンプリングシリンジ22を用いて、一定量の検体102を採取する(ステップS1)。ここで、常水の場合及び精製水の場合は、それぞれ1mL採取し、注射用水の場合は、100mL採取する。
【0050】
次に、
図5Aに示すように、ユーザーは、サンプリングシリンジ22のノズル24(第1のシリンジ針)を反応ボトル1の封止キャップ2に貫通させ、検体102を反応ボトル1に導入する(ステップS2)。このとき、反応ボトル1内部が減圧されておらず大気圧である場合は、ユーザーがピストン23を押して検体102を反応ボトル1に導入する。反応ボトル1が減圧されている場合は、サンプリングシリンジ22内部の圧力と反応ボトル1内部の圧力との圧力差により検体102が吸引され、反応ボトル1に導入される。
【0051】
なお、封止キャップ2が上記の材質で形成されたセプタムであることにより、ノズル24を貫通させ、その後ノズル24を抜いたとしても、貫通穴が弾性力により塞がれるため、反応ボトル1が密閉された状態を保つことができる。
【0052】
次に、
図5Bに示すように、ユーザーは、サンプリングシリンジ22のノズル24を封止キャップ2から抜き、検体102とR2A液体培地101との混合液103を収容する反応ボトル1をインキュベータ40(恒温槽)に導入して、一定時間培養を行う(ステップS3)。インキュベータ40の温度は、例えば25~37℃とすることができる。
【0053】
インキュベータ40で一定時間培養後、ユーザーは、反応ボトル1をインキュベータ40の中から取り出す(ステップS4)。
【0054】
次に、
図5Cに示すように、ユーザーは、反応ボトル1からノズルキャップ6を外し(ステップS5)、これにより反応ボトル1内を大気開放して、ノズル4を廃液ボトル8aの封止キャップ9aに貫通させる。ノズル4が減圧された廃液ボトル8aの内部と密閉状態で連絡するとき、大気開放された反応ボトル1との間に圧力勾配が生み出される。これによって、混合液103は、フィルタ5を通過してろ過され、廃液ボトル8aへ移動する(ステップS6)。このとき、フィルタ5は、検体102に含まれていた細菌、真菌(カビ、酵母)などの微生物104(生菌)を捕捉する。なお、混合液103に含まれる遊離ATP及び死菌由来のATPは、基本的には廃液ボトル8aへ流れるが、わずかにフィルタ5に捕捉される。
【0055】
図5Dに示すように、ユーザーは、ノズル4を封止キャップ9aから抜き、ATP消去試薬301が充填されている試薬充填シリンジ15aのノズル18a(第3のシリンジ針)を反応ボトル1の封止キャップ2に貫通させ、ピストン17aを押して反応ボトル1に注入する(ステップS7)。また、ユーザーは、ノズルキャップ6を反応ボトル1に取付ける(ステップS8)。
【0056】
次に、
図5Eに示すように、ユーザーは、試薬充填シリンジ15aのノズル18aを封止キャップ2から抜き、反応ボトル1をインキュベータ40に導入して、ATP消去試薬301の注入後約30分間、室温~37℃の範囲で消去反応させる(ステップS9)。なお、このとき、静置した状態で反応させてもよいし、振とうさせながら反応させてもよい。また、インキュベータ40に限らず、ヒートブロックなどの温調された空間に反応ボトル1を設置して反応させてもよいし、室温放置であってもかまわない。
【0057】
30分間のATP消去反応後、
図5Fに示すように、ユーザーは、反応ボトル1をインキュベータ40から取り出して反応ボトル1のノズルキャップ6を外し、ノズル4を廃液ボトル8bの封止キャップ9bに貫通させ、ATP消去試薬301を廃液ボトル8bに移動させる(ステップS10)。このとき、廃液ボトル8bの内部は減圧されているため、反応ボトル1の内部との圧力差により、ATP消去試薬301が吸引される。
【0058】
このように、検体102のろ過及びATP消去試薬301の廃棄のために、異なる2つの廃液ボトル8a及び8bを使用することにより、封止キャップ9a及び9bに付着した菌や環境中に浮遊していたATPからのノズル4への汚染を防止することができる。なお、1つの廃液ボトル8を繰り返し使用する場合は、ノズル4が封止キャップ9を貫通する位置を異ならせることで、汚染を防止することができる。
【0059】
図5D~5Fに示したように、ATP消去試薬301を反応ボトル1に導入し、フィルタ5に捕捉された遊離ATP及び死菌由来のATPを分解し、除去することで、微生物検査の精度をより向上することができる。
【0060】
次に、
図5Gに示すように、ユーザーは、ノズル4を廃液ボトル8bの封止キャップ9bから抜き、ATP抽出試薬302が充填されている試薬充填シリンジ15bのノズル18b(第2のシリンジ針)を反応ボトル1の封止キャップ2に貫通させ、ピストン17bを押し、ATP抽出試薬302を反応ボトル1に注入する(ステップS11)。
【0061】
ATP抽出試薬302を注入後、室温で約1分反応させることで、フィルタ5に捕捉された生菌が破砕、溶菌されて放出されたATPがATP抽出試薬302中に分散し、ATP抽出液105が得られる(ステップS12)。
【0062】
次に、
図5Hに示すように、ユーザーは、試薬充填シリンジ15bのノズル18bを封止キャップ2から抜き、反応ボトル1のノズル4を発光計測容器12の封止キャップ13に貫通させて、ATP抽出液105を発光計測容器12に移動する(ステップS13)。このとき、発光計測容器12の内部は減圧されているため、ATP抽出液105が吸引されてフィルタ5を通過して発光計測容器12に導入される。ATP抽出液105が発光計測容器12に予め導入されている発光試薬20と接触すると、生物発光が生じる。
【0063】
図5Iに示すように、ユーザーは、ATP抽出液105が導入された発光計測容器12を発光計測装置35に設置する。発光計測装置35の検出器36は、発光試薬20と生菌由来のATPとの発光反応により生じた光の量を計測する(ステップS14)。発光計測装置35としては、発光試薬20の発光量を検出することができる装置であればよく、例えばルミノメータなどを用いることができる。検出器36としては、例えば光電子増倍管が用いられ、光電子増倍管の信号をデジタル処理するフォトンカウンティング法により発光計測を実施することができる。発光計測装置35は、発光計測の結果を表示する表示部(図示せず)を備えていてもよい。
【0064】
図7は、発光計測装置35の検出器36で得られたフォトンカウンティングタイムコースの一例を示すグラフである。ATP量は、フォトンカウンティングタイムコースの一定時間の発光量を積算するか、あるいは発光量の平均値をRLU(Relative Light Unit)として規格化することにより算出することができる。ユーザーは、ATP量がある閾値を超えた際に、微生物が存在したと判断することができる。
【0065】
なお、本実施形態の微生物検査キットを用いた微生物検査は、クリーンベンチや、安全キャビネット内で実施することもできる。これにより、偽陽性をより確実に防止することができ、検査の精度を向上することができる。
【0066】
<技術的効果>
以上のように、本実施形態の微生物検査キットは、内部にフィルタ5を有する密閉された反応ボトル1と、検体を採取可能なサンプリングシリンジ22と、減圧密閉された廃液ボトル8と、減圧密閉され、発光試薬20が収容される発光計測容器12と、ATP検査試薬30が収容される試薬充填シリンジ15と、を備える。このような構成を有することにより、ATP法による微生物検査において無菌操作を容易に実施することができる。したがって、高精度の微生物検査を容易に実施することができる。
【0067】
[第2の実施形態]
第1の実施形態においては、反応ボトル1に検体を導入した後、培養を行ってから生菌由来のATPを抽出し、発光計測を行う微生物検査方法について説明したが、第2の実施形態においては、反応ボトル1に検体を導入した後、培養を行わずに生菌由来のATPを抽出する点で、第1の実施形態と異なっている。
【0068】
<微生物検査キット>
第2の実施形態に係る微生物検査キットは、第1の実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0069】
<微生物検査方法>
第2の実施形態の微生物検査方法においては、第1の実施形態と異なり、
図6に示すステップS3及びS4(
図5B)を実施しない。このように、検体の培養を省略することで、検体中の微量の生菌に由来するATPの検出を迅速に行うことができる。
【0070】
なお、本実施形態においては検体の培養を実施しないため、反応ボトル1には、試薬10が収容されていなくてもよい。これにより、試薬10のコストを削減することができる。
【0071】
また、本実施形態においては検体の培養を実施しないため、極微量の生菌由来のATPを検出する必要がある。したがって、本実施形態の微生物検査方法は、検体中の遊離ATPや死菌由来のATP(生菌由来のATP以外のATP)を反応ボトル1から除去するために、ATP検査試薬30として洗浄試薬が充填された試薬充填シリンジ15(第5のシリンジ)を使用して、反応ボトル1を洗浄する工程を有していてもよい。
【0072】
洗浄試薬による反応ボトル1の洗浄は、例えば、
図6に示すステップS6とS7の間(ATP消去反応前)、あるいはステップS10とS11の間(ATP消去反応後)において、ATP消去試薬の場合と同様の方法で実施することができる。このように、生菌由来のATP以外のATPを洗浄することにより、微生物検査の信頼性をより向上することができる。
【0073】
<技術的効果>
以上のように、本実施形態においては、第1の実施形態に係る微生物検査キットを用いた微生物検査方法において、検体中の微生物の培養を省略するため、より迅速に高い信頼性の微生物検査を実施することができる。
【0074】
[第3の実施形態]
<微生物検査キット>
第1の実施形態においては、反応ボトル1に収容される試薬10が液状である場合について説明した。第3の実施形態に係る微生物検査キットは、反応ボトル1に収容される試薬10が粉末状の培地であり、ATP検査試薬30として、試薬10の溶媒が収容される試薬充填シリンジ15(第4のシリンジ)をさらに備える点で、第1の実施形態と異なっている。試薬10の溶媒としては、例えば、培地に通常用いられる緩衝液などを用いることができる。
【0075】
<微生物検査方法>
第3の実施形態の微生物検査方法は、粉末状の試薬10を溶媒に溶解する工程をさらに備える点で、第1の実施形態に係る微生物検査方法と異なっている。具体的には、本実施形態においては、
図6に示すステップS1の前に、ユーザーが、溶媒が収容された試薬充填シリンジ(図示せず)から反応ボトル1に溶媒を導入し、均一化されるまで、5~30分程度、室温で放置又は攪拌して溶解させ、液体培地を得る。その後は、
図6に示す各ステップを実施する。
【0076】
なお、本実施形態においても第2の実施形態と同様に、検体の培養(ステップS3及びS4)を省略してもよい。
【0077】
<技術的効果>
以上のように、本実施形態においては、反応ボトル1に収容される試薬10が粉末状の培地である。これにより、液体培地の場合と比較して、より長期的な保存が可能となる。
【0078】
[第4の実施形態]
第1~第3の実施形態においては、ユーザーが微生物検査キットを用いてマニュアルで微生物検査を行う方法について説明したが、本実施形態においては、微生物検査キットの各構成の駆動手段を備える微生物検査装置により、自動で微生物検査が行われる。
【0079】
<微生物検査装置>
図8は、第4の実施形態に係る微生物検査装置400の構成を示す模式図である。本実施形態の微生物検査装置400は、第1の実施形態の微生物検査キットを備える自動化装置である。
【0080】
図8に示すように、微生物検査装置400は、上段に配置される設置テーブル41(第1の設置テーブル)、中段に配置される設置テーブル42(第2の設置テーブル)、下段に配置される設置テーブル43(第3の設置テーブル)を備える。
【0081】
設置テーブル41は、アクチュエータ44(第1の駆動手段)によりZ方向に任意に移動可能である。設置テーブル41には、シリンジホルダ48a~48cがY方向に沿って配置されている。シリンジホルダ48aは、サンプリングシリンジ22(第1のシリンジ)を保持し、シリンジホルダ48bは、試薬充填シリンジ15a(第3のシリンジ)を保持し、シリンジホルダ48cは、試薬充填シリンジ15b(第2のシリンジ)を保持する。
【0082】
さらに、設置テーブル41上には、サンプリングシリンジ22のピストン23を駆動するアクチュエータ45a(第2の駆動手段)、試薬充填シリンジ15aのピストン17aを駆動するアクチュエータ45b(第2の駆動手段)、及び試薬充填シリンジ15bのピストン17bを駆動するアクチュエータ45c(第2の駆動手段)がY方向に沿って設置されている。
【0083】
設置テーブル42は、アクチュエータ46及び47(第1の駆動手段)によりY方向及びZ方向に任意に移動可能である。設置テーブル42には、反応ボトル1が保持される反応ボトルホルダ50が設けられる。反応ボトルホルダ50は、反応ボトル1の内部を温度調整するヒーター(図示せず)を有していてもよい。また、図示は省略しているが、検体102を収容した容器は、設置テーブル42上においてサンプリングシリンジ22により検体102を採取可能な位置に載置される。
【0084】
設置テーブル43には、廃液ボトル8aが保持される廃液ボトルホルダ51a、廃液ボトル8bが保持される廃液ボトルホルダ51b、発光計測容器12が保持される発光計測容器ホルダ53、遮光ケース54、発光計測装置57が設けられる。発光計測装置57は、発光計測容器12からの発光を検出可能なように、発光計測容器ホルダ53の底部に設置される。遮光ケース54は、発光計測を行う際に、発光計測容器ホルダ53に発光計測容器12をセットした後、これらを覆うように設置される。遮光ケース54の天井部には、反応ボトル1のノズル4が通過可能なスリット55が設けられている。
【0085】
微生物検査装置400は、反応ボトル1のノズルキャップ6、試薬充填シリンジ15a及び15bのノズルキャップ、サンプリングシリンジ22のノズルキャップ25を着脱するためのキャップ着脱機構(図示せず)を有していてもよい。
【0086】
微生物検査装置400は、無線又は有線により制御装置100(制御部)に接続される。制御装置100は、例えばパーソナルコンピュータ、タブレット、スマートフォンなどのコンピュータ端末であり、微生物検査装置400の各構成の駆動を制御して、
図6の各ステップを自動で実施させるようにプログラムされている。
【0087】
図示は省略しているが、制御装置100は、演算部、記憶部、表示部などを備える。演算部は、発光計測装置57から受信した検出信号から発光量を求め、発光量に基づいて検体102中のATP量を算出する。また、演算部は、算出した発光量又はATP量と所定の閾値とを比較して、陽性(検体中に菌が存在する)か陰性(検体中に菌が存在しない)かの判定を行う。記憶部は、発光量又はATP量の所定の閾値などの各種データを記憶する。表示部は、算出された発光量及びATP量、陽性か陰性かの判定結果などを表示する。
【0088】
微生物検査装置400は、クリーンベンチや、安全キャビネット内に設置されてもよい。これにより、偽陽性をより確実に防止することができ、検査の精度を向上することができる。
【0089】
<微生物検査方法>
本実施形態の微生物検査方法は、
図6に示す方法と同様であるが、制御装置100により微生物検査装置400の各構成の動作を自動的に制御することによって微生物検査を実施する点で、第1の実施形態と異なっている。以下、
図6に示した各ステップに沿って、本実施形態の微生物検査方法について説明する。
【0090】
ステップS1において、制御装置100は、アクチュエータ46を駆動して、設置テーブル42上に載置された検体容器(図示せず)をサンプリングシリンジ22の下方に移動させる。次に、制御装置100は、アクチュエータ44を下方に駆動してノズル24を検体102に浸たし、アクチュエータ45aを駆動してピストン23を動かすことにより、サンプリングシリンジ22に所定量の検体102を採取する。その後、アクチュエータ44を上方に駆動して、検体容器からサンプリングシリンジ22を退避させる。
【0091】
ステップS2において、制御装置100は、アクチュエータ46を駆動して、反応ボトル1をサンプリングシリンジ22の下方に移動させる。次に、制御装置100は、アクチュエータ44を下方に駆動して、ノズル24を反応ボトル1の封止キャップ2に貫通させる。このとき、反応ボトル1内部が減圧されておらず大気圧である場合は、制御装置100は、アクチュエータ45aを駆動してピストン23を押し、検体102を反応ボトル1に導入する。反応ボトル1が減圧されている場合、検体102は、サンプリングシリンジ22と反応ボトル1との圧力差により吸引され、反応ボトル1に導入される。
【0092】
次に、ステップS3において、制御装置100は、アクチュエータ44を上方に駆動して、ノズル24を封止キャップ2から抜く。その後、制御装置100は、反応ボトルホルダ50の温度を例えば25~37℃に調整して、一定時間培養を行う。
【0093】
一定時間培養後、制御装置100は、ステップS4の代わりに、反応ボトルホルダ50による温調を停止する。
【0094】
ステップS5において、制御装置100は、キャップ着脱機構(図示せず)を駆動して反応ボトル1からノズルキャップ6を外す。
【0095】
ステップS6において、制御装置100は、アクチュエータ47を下方に駆動して、ノズル4を廃液ボトル8aの封止キャップ9aに貫通させる。ノズル4が減圧された廃液ボトル8aの内部と密閉状態で連絡するとき、大気開放された反応ボトル1との間に圧力勾配が生み出される。これによって、検体102と試薬10との混合液は、フィルタ5を通過してろ過され、廃液ボトル8aへ移動する。このとき、フィルタ5は、検体102に含まれていた細菌、真菌(カビ、酵母)などの微生物を捕捉する。
【0096】
ステップS7において、制御装置100は、アクチュエータ47を上方に駆動して、ノズル4を廃液ボトル8aの封止キャップ9aから抜き、アクチュエータ46をY方向に駆動して反応ボトル1を試薬充填シリンジ15aの下方に移動させる。次に、アクチュエータ44を下方に駆動して、試薬充填シリンジ15aのノズル18aを封止キャップ2に貫通させる。次に、アクチュエータ45bを駆動して、試薬充填シリンジ15aのピストン17aを押し、所定量のATP消去試薬301を反応ボトル1に注入する。
【0097】
ステップS8において、制御装置100は、キャップ着脱機構を駆動してノズルキャップ6を反応ボトル1に取付ける。
【0098】
ステップS9において、制御装置100は、アクチュエータ44を上方に駆動して、試薬充填シリンジ15aのノズル18aを封止キャップ2から抜く。次に、反応ボトルホルダ50の温度を調整して、例えばATP消去試薬301の注入後30分間、室温~37℃の範囲で消去反応させる。
【0099】
ステップS10において、30分間のATP消去反応後、制御装置100は、キャップ着脱機構を駆動して反応ボトル1のノズルキャップ6を外し、アクチュエータ47を下方に駆動してノズル4を廃液ボトル8bの封止キャップ9bに貫通させる。これにより、ATP消去試薬301を廃液ボトル8bに移動させる。
【0100】
ステップS11において、制御装置100は、アクチュエータ47を上方に駆動して、ノズル4を廃液ボトル8bの封止キャップ9bから抜く。次に、アクチュエータ46を駆動して、反応ボトル1を試薬充填シリンジ15bの下方に移動させ、アクチュエータ47を下方に駆動して、試薬充填シリンジ15bのノズル18bを封止キャップ2に貫通させ、アクチュエータ45cを下方に駆動してピストン17bを押す。これにより、所定量のATP抽出試薬302を反応ボトル1に注入する。
【0101】
ステップS12において、ATP抽出試薬302を注入後、室温で約1分反応させることで、フィルタ5に捕捉された生菌が破砕、溶菌されて放出されたATPが、ATP抽出試薬302中に分散し、ATP抽出液105が得られる。
【0102】
ステップS13において、制御装置100は、アクチュエータ47を下方に駆動して、ノズル4を発光計測容器12の封止キャップ13に貫通させる。このとき、遮光ケース54は発光計測容器12及び発光計測容器ホルダ53を覆った状態であり、ノズル4はスリット55を通過する。これにより、ATP抽出液105は、発光計測容器12に移動する。このとき、制御装置100は、発光計測装置57に発光計測を開始させる。ATP抽出液105が発光計測容器12に予め導入されている発光試薬20と接触すると、生物発光が生じる。
【0103】
ステップS14において、発光計測装置57は、発光試薬20の発光を検出し、検出信号を制御装置100へ出力する。制御装置100は、受信した検出信号に基づいて、発光量を算出し、検体102中のATP量を算出する。また、制御装置100は、算出された発光量又はATP量と、記憶部に予め記憶されている所定の閾値とを比較し、陽性(検体中に菌が存在する)か陰性(検体中に菌が存在しない)かの判定を行う。表示部などに判断結果を出力してもよい。
【0104】
なお、本実施形態においては、設置テーブル41をアクチュエータ44により移動させ、設置テーブル42をアクチュエータ46及び47により移動させることととしたが、反応ボトル1と、サンプリングシリンジ22、試薬充填シリンジ15a及び15b、廃液ボトル9a及び9b、発光計測容器9との相対位置を変化することができれば、これに限定されない。例えば、反応ボトル1が設置される設置テーブル42を固定して、設置テーブル41及び43が移動するようにしてもよい。また、設置テーブル41及び43を固定して、設置テーブル42のみが上下方向及び水平方向に移動するようにしてもよい。
【0105】
<技術的効果>
以上のように、本実施形態の微生物検査装置400は、第1の実施形態に係る微生物検査キットを用いた微生物検査を自動化した構成を有する。これにより、信頼性の高い微生物検査をより容易に、より迅速に実施することができる。
【0106】
[第5の実施形態]
<微生物検査装置>
図9は、第5の実施形態に係る微生物検査装置500の構成を示す模式図である。本実施形態の微生物検査装置500は、複数の微生物検査キットがX方向に配列されている点で、第4の実施形態と異なっている。
【0107】
図9に示す微生物検査装置500においては、微生物検査キットの各構成がX方向に3つずつ配列されている。なお、アクチュエータ45a~45c、シリンジホルダ48a~48c、反応ボトルホルダ50、廃液ボトルホルダ51a及び51b、発光計測容器ホルダ53についても、X方向に3つずつ配列されているが、正面に位置するアクチュエータ45a、シリンジホルダ48a、反応ボトルホルダ50及び廃液ボトルホルダ51aのみを図示している。
【0108】
<技術的効果>
以上のように、本実施形態の微生物検査装置500は、第1の実施形態に係る微生物検査キットを用いた微生物検査を自動化した装置であり、複数の検体102について同時に微生物検査を実施することができる。これにより、信頼性の高い微生物検査をより容易に、より迅速に実施することができ、かつ、微生物検査のスループットを向上することができる。
【0109】
[変形例]
本開示は、上述した実施形態に限定されるものでなく、様々な変形例を含んでいる。例えば、上述した実施形態は、本開示を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備える必要はない。また、ある実施形態の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることもできる。また、各実施形態の構成の一部について、他の実施形態の構成の一部を追加、削除又は置換することもできる。
【0110】
第4及び第5の実施形態においては、第1の実施形態に係る微生物検査方法を自動で行う微生物検査装置について説明したが、変形例として、例えば、第2の実施形態又は第3の実施形態に係る微生物検査方法を自動で実施するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0111】
1…反応ボトル、2…封止キャップ、3…開口部、4…ノズル、5…フィルタ、6…ノズルキャップ、7…フィッティング部、8、8a、8b…廃液ボトル、9、9a、9b…封止キャップ、10…試薬、11…開口部、12…発光計測容器、13…封止キャップ、14…開口部、15、15a、15b…試薬充填シリンジ、16…シリンジケース、17、17a、17b…ピストン、18、18a、18b…ノズル、19…ノズルキャップ、20…発光試薬、22…サンプリングシリンジ、23…ピストン、24…ノズル、25…ノズルキャップ、30…ATP検査試薬、35…発光計測装置、36…検出器、40…インキュベータ、41~43…設置テーブル、44、45a~45c、46、47…アクチュエータ、48a~48c…シリンジホルダ、50…反応ボトルホルダ、51a、51b…廃液ボトルホルダ、53…発光計測容器ホルダ、54…遮光ケース、55…スリット、57…発光計測装置、100…制御装置、101…R2A液体培地、102…検体、103…混合液、104…微生物、105…ATP抽出液、301…ATP消去試薬、302…ATP抽出試薬、400、500…微生物検査装置