(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-27
(45)【発行日】2022-11-07
(54)【発明の名称】ポリエステル
(51)【国際特許分類】
C08G 63/688 20060101AFI20221028BHJP
C08G 63/685 20060101ALI20221028BHJP
C08L 67/02 20060101ALI20221028BHJP
C09J 167/02 20060101ALI20221028BHJP
A61Q 5/06 20060101ALI20221028BHJP
A61K 8/85 20060101ALI20221028BHJP
【FI】
C08G63/688
C08G63/685
C08L67/02
C09J167/02
A61Q5/06
A61K8/85
(21)【出願番号】P 2019561978
(86)(22)【出願日】2018-05-02
(86)【国際出願番号】 EP2018061104
(87)【国際公開番号】W WO2018206349
(87)【国際公開日】2018-11-15
【審査請求日】2021-04-28
(32)【優先日】2017-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シック,ミヒャエル ベルンハルト
(72)【発明者】
【氏名】山本 基儀
【審査官】牟田 博一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/125860(WO,A1)
【文献】特表2011-516709(JP,A)
【文献】特表2013-517340(JP,A)
【文献】特表2013-527263(JP,A)
【文献】国際公開第2018/114215(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G63/
C08L67/
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステルであって、
A)酸成分から誘導される繰り返し単位であって、前記酸成分が、
a1)成分a1、a2、及びa3の合計を基準として、30~90mol%の2,5-フランジカルボン酸、
a2)成分a1、a2、及びa3の合計を基準として、0~60mol
%の脂肪族C
4-C
36ジカルボン酸又は複数種の脂肪族C
4-C
36ジカルボン酸の混合物、及び
a3)成分a1、a2、及びa3の合計を基準として、10~60mol%のスルホネート基含有ジカルボン酸
からなり、
成分a1)~a3)のモル百分率が
、前記酸成分の合計を基準として、合計で100mol%に
なる、繰り返し単位と、
B)ジオール/アミン成分から誘導される繰り返し単位であって、前記ジオール/アミン成分が、
b1)C
2~C
12アルカンジオール又は複数種のC
2~C
12アルカンジオールの混合物、及び/又は
b2)式I
HO-[(CH
2)
n-O]
m-H (I)
(式中、nは、2、3又は4であり、mは、2~250の整数である)
のジヒドロキシ化合物若しくは複数種のそのようなジヒドロキシ化合物の混合物、
b3)任意選択的に、1種以上のアミノC
2~C
12アルカノール若しくは1種以上のアミノC
5~C
10シクロアルカノール又はそれらの混合物、並びに
b4)任意選択的に、1種以上のジアミノC
1~C
8アルカン
からなり、
A100mol毎に、BがD及びEのモル数を引いて100mol存在するように、Bの量が選択され、
B中のb1及びb2の割合の合計が、少なくとも50mol
%である、繰り返し単位と、
C)任意選択的に、
c1)式IIa
HO-C(O)-G-OH (IIa)
[式中、Gは、フェニレン、-(CH
2)
q-(式中、qは、1~5の整数である)、-C(R)H-及びC(R)HCH
2(式中、Rは、メチル又はエチルである)からなる群から選択される基を表す]
の1種以上のヒドロキシカルボン酸、並びに/又は
c2)カプロラクタム、1,6-アミノカプロン酸、ラウロラクタム、1,12-アミノラウリン酸及び1,11-アミノウンデカン酸からなる群から選択される1種以上のアミノカルボン酸又はその環式アミド
から誘導される繰り返し単
位と、
D)ジ-又はオリゴイソシアネート及びジ-又はオリゴイソシアヌレートからなる群から選択される少なくとも1種のジ-又はオリゴ官能性化合物から誘導される、成分A、B、及びCの合計を基準として0.1~4重量%の繰り返し単位と、
E)少なくとも3個の官能基を含む分岐成分から誘導される、成分A、B、及びCの合計を基準として0.1~4重量%の繰り返し単位であって、
前記官能基が、COOH、OH、NH
2、及びそれらの混合物からなる群から選択される、繰り返し単位と、
からなるポリエステル。
【請求項2】
前記ポリエステルの総質量を基準とするa2、b3、b4、c1、及びc2の割合の合計が、10重量%以
下である、請求項1に記載のポリエステル。
【請求項3】
a3が、スルホネート基が遊離酸として又は塩
としてのいずれか
で存在する、芳香族スルホネート基含有ジカルボン酸である、請求項1又は請求項2に記載のポリエステル。
【請求項4】
a3が、1,4-ベンゼンジカルボン酸-2-スルホン酸、1,3-ベンゼンジカルボン酸-5-スルホン酸(イソフタル酸-5-スルホン酸としても知られている)、1,2-ベンゼンジカルボン酸-3-スルホン酸、及び1,2-ベンゼンジカルボン酸-4-スルホン酸からなる群から選択され、各場合において、遊離酸又は塩の形
態であ
る、請求項3に記載のポリエステル。
【請求項5】
b1が、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2,4-ジメチル-2-エチルヘキサン-1,3-ジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、2-エチル-2-ブチル-1,3-プロパンジオール、2-エチル-2-イゾブチル-1,3-プロパンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、及び2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジオールからなる群から選択さ
れる、請求項1から4のいずれか一項に記載のポリエステル。
【請求項6】
b2が、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びポリテトラヒドロフランからなる群から選択さ
れる、請求項1から5のいずれか一項に記載のポリエステル。
【請求項7】
Dが、脂肪族ジイソシアネートから誘導される繰り返し単位で
ある、請求項1から6のいずれか一項に記載のポリエステル。
【請求項8】
Eが、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ポリエーテルトリオール、グリセロール、トリメシン酸、トリメリト酸、及びピロメリト酸からなる群から選択される分岐成分から誘導される繰り返し単位で
ある、請求項1から7のいずれか一項に記載のポリエステル。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載のポリエステルを含む水溶
液。
【請求項10】
請求項1から8のいずれか一項に記載のポリエステルを含むパーソナルケア製
剤。
【請求項11】
貼合せ用接着剤としての請求項9に記載の水溶液の使用。
【請求項12】
毛髪をセットするための、請求項1から8のいずれか一項に記載のポリエステル、又は請求項10に記載の製剤の使用。
【請求項13】
請求項1から8のいずれか一項に記載のポリエステルの製造方法であって、
Aに定義される酸成分、Bに定義されるジオール/アミン成分、任意選択的にc1に定義されるヒドロキシカルボン酸、任意選択的にc2に定義されるアミノカルボン酸及び/又はその環式アミド、並びにEに定義される分岐成分を含む混合物の反応であり、中間体を得る反応と、
前記中間体からの、Bに定義される前記ジオール/アミン成分の過剰分の除去と、
前記中間体とDに定義される化合物との反応と、
を含み、
a1、a2、及びa3が、それぞれ独立に遊離ジカルボン酸として又はジアルキルエステルとし
て使用され、
b1、b2、b3、及びb4が、b1、b2、b3、及びb4に定義されるように誘導体化されずに使用され、
c1が、遊離ヒドロキシカルボン酸として、又は式IIa又はIIb
【化1】
[式中、pは1~1500の整数であり、rは1~4の整数であり、Gはフェニレン、-(CH
2)
q-(式中、qは、1~5の整数である)、-C(R)H-、及びC(R)HCH
2(式中、Rは、メチル又はエチルである)からなる群から選択される基を表す]
に示す形態で使用され、
c2が、遊離アミノカルボン酸として、又はその環式アミドの形態で使用され、
Dが、ジ-若しくはオリゴイソシアネート又はジ-若しくはオリゴイソシアヌレートとして誘導体化されずに使用され、
Eが、誘導体化されずに使用される、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(A)酸成分から誘導される繰り返し単位であって、前記酸成分が(a1)2,5-フランジカルボン酸、(a2)脂肪族C4-C36ジカルボン酸若しくは複数種の脂肪族C4-C36ジカルボン酸の混合物、及び(a3)スルホネート基含有ジカルボン酸からなる、繰り返し単位、(B)ジオール/アミン成分から誘導される繰り返し単位、並びに(C)任意選択的にさらなる繰り返し単位、並びに/又は(E)分岐成分、並びに(D)ジ-若しくはオリゴイソシアネート及びジ-若しくはオリゴイソシアヌレートからなる群から選択される少なくとも一種のジ-若しくはオリゴ官能性化合物から誘導される繰り返し単位からなるポリエステルに関する。さらに、本発明は、これらのポリエステルの製造及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
フランジカルボン酸含有芳香族ポリエステルは、例えば国際公開第2010/077133号パンフレットで、フランジカルボン酸含有脂肪族-芳香族ポリエステルは、国際公開第2009/135921号パンフレットで開示されている。しかし、これらのポリエステルは、水溶性ではない。
【0003】
中国特許出願公開第102757552号は、実施例で12mol%超の高い含量のスルホネート基含有化合物を有する水溶性のフランジカルボン酸含有芳香族ポリエステルを開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
2,5-フランジカルボン酸は、再生可能原料から製造することができる。2,5-フランジカルボン酸に基づくポリマーは、多くの場合、生分解性である。多くの用途では、水溶性ポリマーが必要とされる。2,5-フランジカルボン酸に基づく水溶性のポリマーは、中国特許出願公開第102757552号で開示されている。2,5-フランジカルボン酸に基づく水溶性のポリマーは、2,5-フランジカルボン酸に加え、スルホイソフタル酸ナトリウムも含む。しかし、これらのポリマーの機械的特性は、多くの用途で十分ではない。
【0005】
したがって本発明の目的は、高い機械的強度値、例えば高い降伏応力を有し、それにより、高い機械的強度値を必要とする用途に好適な、2,5-フランジカルボン酸に基づく水溶性ポリマーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、本発明の対象である請求項1に記載のポリエステルにより達成される。従属請求項は、本発明の特定の実施形態を記載する。本発明のポリエステルを含む製品、本発明のポリエステルを含む使用、及び本発明のポリエステルの製造方法を対象とする従属請求項は、本発明のさらなる対象である。
【発明の効果】
【0007】
本発明のポリエステルは、通常は水溶性である。国際公開第2010/077133号パンフレット及び国際公開第2009/135921号パンフレットで開示されるポリエステルと比較して、本発明のポリエステルは、通常、より高い生分解性及び向上した機械的特性、例えば、引張り強度の向上を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、以下でより詳細に記載される。疑義がある場合、以下の記載は、本発明の特定の実施形態にのみに関連し、本発明の対象を限定しない。
【0009】
本発明のポリエステルは、特定の実施形態として、成分a1)及びa2)を基準として100mol%の2,5-フランジカルボン酸を含有し、したがって成分a2)を含有しない、芳香族ポリエステルを含み、また、成分a1)及びa2)を基準として、25~99mol%、好ましくは60~75mol%、特に好ましくは65~75mol%の2,5-フランジカルボン酸を含有し、したがって成分a1)及びa2)を基準として、1~75mol%、好ましくは25~40mol%、特に好ましくは25~35mol%の脂肪族C4-C36ジカルボン酸を含有する、脂肪族-芳香族ポリエステルを含む。
【0010】
2,5-フランジカルボン酸(成分a1)は、例えば、国際公開第2009/135921号パンフレットで開示されている。
【0011】
一実施形態では、2,5-フランジカルボン酸は、ポリエステル合成において、遊離酸としてではなくジ-C1-C8アルキルエステルとして使用され、ジエチル2,5-フランジカルボキシレート、特にジメチル2,5-フランジカルボキシレートが特に好ましい。
【0012】
脂肪族-芳香族ポリエステル中の脂肪族C4-C36ジカルボン酸(成分a2)として特に適切なのは、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,12-C12ジカルボン酸、ブラシル酸、1,16-C16ジカルボン酸、1,18-C18ジカルボン酸若しくは1,36-C36ジカルボン酸又はこれらのジカルボン酸の混合物を含めたα,ω-C4-C36ジカルボン酸である。コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸若しくは1,12-C12ジカルボン酸又はそれらの混合物が好適であり、コハク酸、アジピン酸若しくはセバシン酸又はそれらの混合物が特に好ましい。
【0013】
スルホネート基含有ジカルボン酸(成分a3)として特に適切なのは、芳香族スルホン酸及びその塩であり、そのアルカリ金属塩が特に好ましい。これらには、例えば1,4-ベンゼンジカルボン酸-2-スルホン酸、1,3-ベンゼンジカルボン酸-5-スルホン酸(以下でイソフタル酸-5-スルホン酸とも呼ばれる)、1,2-ベンゼンジカルボン酸-3-スルホン酸、1,2-ベンゼンジカルボン酸-4-スルホン酸、及びそれらの塩、特に好ましくはそれらのアルカリ金属塩が含まれる。イソフタル酸-5-スルホン酸ナトリウム塩(略してNaSiP)が、特に好ましい。
【0014】
上記の芳香族ポリエステル及び脂肪族-芳香族ポリエステルの両方の中では、成分a1)~a3)を基準として、10~60mol%、好ましくは15~40mol%のスルホネート基含有ジカルボン酸、特に好ましくはイソフタル酸-5-スルホン酸ナトリウム塩を含むものが好適であり、これらは水溶液の形成に適している。
【0015】
適切なジオール(成分b1)は、脂肪族C2-C12ジオール、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2,4-ジメチル-2-エチルヘキサン-1,3-ジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、2-エチル-2-ブチル-1,3-プロパンジオール、2-エチル-2-イゾブチル-1,3-プロパンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、及び2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジオールを含み、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、及び2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)が好ましい。後者は、再生可能原料として入手可能であるという利点も有する。異なるアルカンジオールの混合物を使用することもできる。
【0016】
本発明の好ましい芳香族ポリエステルは、ジオール成分として、エチレングリコール又はシクロヘキサンジメタノールを含み、又はb1)の代わりに、成分b2)として、ジエチレングリコール又はトリエチレングリコールを含むものであり、本発明の好ましい脂肪族-芳香族ポリエステルは、特に、ジオール成分として1,4-ブタンジオールを含むものである。
【0017】
適切なジオール(成分b1)は、脂環式C6-C12ジオール、例えば、シクロペンタンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール(シス/トランス)、1,4-ジ(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン又は2,5-テトラヒドロフランジメタノールも含み、1,4-シクロヘキサンジメタノールが、好ましい。
【0018】
一実施形態では、本発明のポリエステルは、成分Eとして、成分A、B、及びCの合計を基準として、0~4重量%、好ましくは0.01~1.0重量%、特に好ましくは0.05~0.3重量%の少なくとも3個の官能基を有する分岐成分(成分E)を含む。分岐成分は、好ましくは少なくとも三官能性のアルコール又は少なくとも三官能性のカルボン酸である。
【0019】
特に好ましい分岐成分は、3~6個の官能基を有する。例として、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ポリエーテルトリオール及びグリセロール、トリメシン酸、トリメリト酸、無水トリメリット酸、ピロメリト酸、及び無水ピロメリット酸が挙げられる。ポリオール、例えば、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、特にグリセロールが好適である。この成分により、構造粘性を有する生分解性ポリエステルを構築することが可能になる。これらの生分解性ポリエステルは、加工がより容易である。
【0020】
成分b2は、式I
【0021】
HO-[(CH2)n-O]m-H (I)
(式中、nは、2、3又は4であり、mは、2~250の整数である)
のエーテル官能基を有するジヒドロキシ化合物を含む。
【0022】
適切なジヒドロキシ化合物には、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びポリテトラヒドロフラン(ポリTHF)、特に好ましくはジエチレングリコール、トリエチレングリコール、及びポリエチレングリコールが含まれ、それらの混合物又は異なる変数n(式I参照)を有する化合物、例えば、それ自体知られている方法による、当初はエチレンオキシドの、次いでプロピレンオキシドの重合により入手可能な、プロピレン単位(n=3)を含むポリエチレングリコール、特に好ましくは、エチレンオキシドから形成される単位が優位を占める、異なる変数nを有するポリエチレングリコールに基づくポリマーを使用することも可能である。ポリエチレングリコールの選択される分子量(Mn)は、通常は250~8000g/mol、好ましくは600~3000g/molの範囲である。
【0023】
以下は、ヒドロキシカルボン酸c1)として使用し得る。グリコール酸、D-、L-又はD,L-乳酸、6-ヒドロキシヘキサン酸、その環式誘導体、例えば、グリコリド(1,4-ジオキサン-2,5-ジオン)、D-又はL-ジラクチド(3,6-ジメチル-1,4-ジオキサン-2,5-ジオン)、p-ヒドロキシ安息香酸、また、それらのオリゴマー及びポリマー、例えば、3-ポリヒドロキシ酪酸、ポリヒドロキシ吉草酸、ポリ乳酸(例えば、商品名Ingeo(登録商標)としてNatureWorksから販売されている製品)、また、3-ポリヒドロキシ酪酸及び4-ポリヒドロキシ酪酸塩又は3-ポリヒドロキシ吉草酸又は3-ポリヒドロキシヘキサン酸の混合物。それらの低分子量及び環式誘導体が、ポリエステルの製造に特に好ましい。
【0024】
ヒドロキシカルボン酸は、A及びBの量を基準として、例えば、0.01~50重量%、好ましくは0.1~30重量%の量で使用し得る。
【0025】
アミノC2-C12アルカノール又はアミノC5-C10シクロアルカノール(成分b3)(これは4-アミノメチルシクロヘキサンメタノールも含めると定義される)として好ましく使用されるのは、アミノC2-C6アルカノール、例えば、2-アミノエタノール、3-アミノプロパノール、4-アミノブタノール、5-アミノペンタノール、6-アミノヘキサノール、及びアミノC5-C6シクロアルカノール、例えば、アミノシクロペンタノール及びアミノシクロヘキサノール又はそれらの混合物である。
【0026】
ジアミノC1-C8アルカン(成分b4)として、ジアミノC4-C6アルカン、例えば、1,4-ジアミノブタン、1,5-ジアミノペンタン、及び1,6-ジアミノヘキサン(ヘキサメチレンジアミン、「HMD」)が、好ましくは使用される。
【0027】
c2は、好ましくはカプロラクタム、1,6-アミノカプロン酸、ラウロラクタム、1,12-アミノラウリン酸、及び1,11-アミノウンデカン酸からなる群から選択されるアミノカルボン酸である。
【0028】
カプロラクタム、1,6-アミノカプロン酸、ラウロラクタム、1,12-アミノラウリン酸、及び1,11-アミノウンデカン酸からなる群から選択されるアミノカルボン酸が、成分c2として使用可能である。
【0029】
c2は、通常、成分A及びBの総量を基準として0~20重量%、好ましくは0.1~10重量%の量で使用される。
【0030】
イソシアネート又はイソシアヌレート又は異なるイソシアネート及びイソシアヌレートの混合物が、成分Dとして通常使用される。使用可能なイソシアネートは、芳香族又は脂肪族ジイソシアネートである。しかし、より高次の官能性のイソシアネートを使用することも可能である。
【0031】
本発明との関連では、芳香族ジイソシアネートは、特にトリレン2,4-ジイソシアネート、トリレン2,6-ジイソシアネート、2,2'-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフチレン1,5-ジイソシアネート又はキシリレンジイソシアネートを意味すると理解される。
【0032】
これらの内、2,2'-、2,4'-、及び4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネートが特に好ましい。後者のジイソシアネートは、通常は混合物として使用される。
【0033】
トリアリールイソシアネートとして、トリス(4-イソシアナトフェニル)メタンも考慮することができる。ポリアリール芳香族ジイソシアネートは、例えば、モノアリール又はジアリールジイソシアネートの製造で生じる。
【0034】
成分d1は、成分Dの総重量を基準にして、少量の、例えば最大で5重量%の、例えば、イソシアネート基のキャッピング用のウレトジオン基も含み得る。
【0035】
本発明との関連では、脂肪族ジイソシアネートDは、特に、2~20個の炭素原子、好ましくは3~15個の炭素原子を有する、直鎖若しくは分岐鎖アルキレンジイソシアネート又はシクロアルキレンジイソシアネート、例えば1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート又はメチレンビス(4-イソシアナトシクロヘキサン)を意味すると理解される。特に好ましい脂肪族ジイソシアネートDは、イソホロンジイソシアネート、特に1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートである。
【0036】
好ましいイソシアヌレートは、2~20個の炭素原子、好ましくは3~15個の炭素原子を有する、アルキレンジイソシアネート又はシクロアルキレンジイソシアネートから誘導される脂肪族イソシアヌレート、例えば、イソホロンジイソシアネート又はメチレンビス(4-イソシアナトシクロヘキサン)を含む。アルキレンジイソシアネートは、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。n-ヘキサメチレンジイソシアネートに基づくイソシアヌレート、例えば、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートの環式トリマー、ペンタマー又はより高次のオリゴマーが、特に好適である。
【0037】
成分Dは、通常、成分A及びB及び任意選択的にCを基準として0.1~4重量%、好ましくは0.2~1.2重量%の量で使用される。
【0038】
本発明の芳香族ポリエステルは、成分a1)及びa2)を基準として、100mol%の2,5-フランジカルボン酸と、したがって0mol%の成分a2)とを含み得る。芳香族ポリエステルは、例えば、ポリ(アルキレン-2,5-フランジカルボキシレート)、例えば、ポリ(エチレン-2,5-フランジカルボキシレート)、ポリ(プロピレン-2,5-フランジカルボキシレート)、ポリ(ブチレン-2,5-フランジカルボキシレート)、ポリ(ヘキシレン-2,5-フランジカルボキシレート)、ポリ(オクチレン-2,5-フランジカルボキシレート)、又はポリ(アルコキシレン-2,5-フランジカルボキシレート)、例えば、ポリ(エトキシエチレン-2,5-フランジカルボキシレート)又はポリ(ジエトキシエチレン-2,5-フランジカルボキシレート)を含む。
【0039】
本発明の脂肪族-芳香族ポリエステルは、成分a1)及びa2)の合計を基準として、好ましくは25~99mol%、より好ましくは60~75mol%、特に好ましくは65~75mol%の2,5-フランジカルボン酸と、したがって、1~75mol%、好ましくは25~40mol%、特に好ましくは25~35mol%の脂肪族C4-C36ジカルボン酸とを含む。脂肪族-芳香族ポリエステルは、特に、ポリブチレン-2,5-フランジカルボキシレート-co-アジペート、ポリブチレン-2,5-フランジカルボキシレート-co-アゼレート、ポリブチレン-2,5-フランジカルボキシレート-co-セバケート、ポリブチレン-2,5-フランジカルボキシレート-co-ブラシレート、ポリブチレン-2,5-フランジカルボキシレート-co-1,12-C12-ジカルボキシレート、ポリブチレン-2,5-フランジカルボキシレート-co-1,18-C18-ジカルボキシレート、及びポリブチレン-2,5-フランジカルボキシレート-co-1,36-C36-ジカルボキシレートを含む。
【0040】
EN-ISO1628-1:2012-10による本発明のポリエステルの粘度数(フェノール/o-ジクロロベンゼン(1:1)に溶かした0.05g/ml溶液として測定)は、好ましくは50~450ml/g、より好ましくは70~250ml/g(o-ジクロロベンゼン/フェノール(50/50重量/重量)中で測定)である。融点は、好ましくは85~150℃の範囲、より好ましくは95~140℃の範囲である。
【0041】
本発明の意味では、物質又は物質の混合物が、DIN EN13432に従って百分率で少なくとも90%の生分解を示す場合、この物質又は物質の混合物は「生分解性」という特徴を満たす。
【0042】
生分解性は、一般に、適切な及び検証可能な時間枠内でのポリエステル(混合物)の分解を生じる。分解は、酵素的に、加水分解的に、酸化的に、及び/又は、電磁放射線、例えばUV照射の作用により起こり得、大部分は、微生物、例えば、バクテリア、酵母、菌類、及び藻類の作用により引き起こされる。生分解性は、例えば、ポリエステルを堆肥と混合し、それを一定時間貯蔵することにより定量化できる。例えば、DIN EN13432によれば、堆肥化中に、熟成した堆肥にCO2を含まない空気を通し、前記堆肥を規定された温度プログラムにかける。ここで生分解性は、試料からの正味CO2放出(試料なしの堆肥により放出されるCO2を差し引いたもの)と試料からの最大CO2放出(試料の炭素含量から算出したもの)の比から生分解率として定義される。生分解性ポリエステル(混合物)は、一般に、分解の明確なしるし、例えば、たった数日間の堆肥化の後の菌類の生育、並びに裂け目及び穴の形成を示す。
【0043】
生分解性を判定するための他の方法は、例えば、ASTM D5338及びASTM D6400、並びにOECD301に記載されている。
【0044】
本発明のポリエステル及びポリエステル混合物は、好ましくは、以下のフィラーを含み得る。
【0045】
炭酸カルシウムを、ポリマー混合物の総重量を基準にして、例えば10~25重量%、好ましくは10~20重量%、特に好ましくは12~28重量%使用し得る。Omya製の炭酸カルシウムがとりわけ適切であることがわかっている。炭酸カルシウムは、通常0.5~10マイクロメートル、好ましくは1~5マイクロメートル、特に好ましくは1~2.5マイクロメートルの平均粒径を有する。
【0046】
タルクを、ポリマー混合物の総重量を基準にして、例えば3~15重量%、好ましくは5~10重量%、特に好ましくは5~8重量%使用し得る。Mondo Minerals製のタルクがとりわけ適切であることがわかっている。タルクは、通常0.5~10マイクロメートル、好ましくは1~8マイクロメートル、特に好ましくは1~3マイクロメートルの平均粒径を有する。
【0047】
フィラーの炭酸カルシウム及びタルクに加えて存在し得るさらなる鉱物には、グラファイト、セッコウ、カーボンブラック、酸化鉄、塩化カルシウム、カオリン、シリカ(石英)、炭酸ナトリウム、二酸化チタン、シリケート、ウォラストナイト、マイカ、モンモリロナイト、鉱物繊維、及び天然繊維が含まれる。
【0048】
天然繊維は通常、セルロース繊維、ケナフ繊維、麻繊維、木粉、及びジャガイモの皮を含む。これらは、好ましくはポリマー混合物を基準として1~20重量%使用される。
【0049】
フィラーの炭酸カルシウム及びタルクを含めた鉱物は、ナノフィラーとしても使用し得る。ナノフィラーは、特に、微粉化フィロシリケート、好ましくは粘土質鉱物、特に好ましくはモンモリロナイト含有粘土質鉱物であり、その表面は1種以上の四級アンモニウム塩及び/又はホスホニウム塩及び/又はスルホニウム塩で改質されている。好ましい粘土質鉱物は、天然のモンモリロナイト及びベントナイトである。
【0050】
フィラーは、全体として、ポリエステル混合物に、ポリマー混合物の総重量を基準にして、例えば、10~35重量%添加してよい。
【0051】
本発明のポリエステルは、毛髪のセット(ヘアスタイリングとも呼ばれる)に使用し得る。このため、本発明のポリエステルは、ヘアスタイリング製剤に適した、当業者に熟知される成分を通常であれば含む、製剤の成分として使用し得る。
【実施例】
【0052】
名称、略語、及びモル質量M(g/mol)
2,5-FDCA 2,5-フランジカルボン酸
2,5-FDCA-DME 2,5-フランジカルボン酸ジメチルエステル、M=184g/mol
(別名:ジメチルフランジカルボキシレート)
NaSIP スルホイソフタル酸ナトリウム;構造式:
【0053】
【化1】
DMNaSIP ジメチルスルホイソフタル酸ナトリウム;M=296g/mol
(別名:ジメチルスルホイソフタル酸ナトリウム)
HDI ヘキサメチレンジイソシアネート
EG エチレングリコール、M=62g/mol
DEG ジエチレングリコール;M=106g/mol
BD 1,4-ブタンジオール;M=90g/mol
1,8-オクタンジオール M=146g/mol
トリエチレングリコール M=150g/mol
テトラエチレングリコール M=194g/mol
【0054】
試験方法
実施例により製造したポリエステルの特性は、以下の方法を使用して評価した。ここで、規格について言及する場合、各場合において、2016年8月1日に有効であった規格の版を指す。
【0055】
EN-ISO1628-1:2012-10、毛細管粘度法により、粘度数VNを測定した。Ubbelohde M-II マイクロ粘度計を使用した。使用した溶媒は、フェノール/o-ジクロロベンゼン混合物(50/50重量/重量)であった。
【0056】
ISO527-3:2003に従い、厚さ約420μmの引張試験片を使用する引張試験により、弾性率及び降伏応力を測定した。
【0057】
DIN EN ISO11357-3:2913-04に従い、ガラス転移温度Tgを測定した。
【0058】
ポリエステルの一般的製造方法
以下に示すmol%値は、100mol%に設定する、ジメチルフランジカルボキシレート及びジメチルスルホイソフタル酸ナトリウムのモル数の合計を基準とする。
【0059】
ポリエステルの製造では、70mol%のジメチル2,5-フランジカルボキシレート、30mol%のジメチルスルホイソフタル酸ナトリウム、130mol%の所定のジオール、及び任意選択的に所定の量のグリセロールを、所定の量のオルソチタン酸テトラブチル(TBOT)と混合した。反応混合物を180℃の温度に加熱し、この温度で2時間反応を行った。次いで、温度を240℃に上げ、過剰のジオールを1~2時間かけて減圧留去した。次いで、任意選択的に所定の量のヘキサメチレンジイソシアネートを、240℃で10分間かけてゆっくり添加した。
【0060】
このプロセスで、TBOTは、重縮合のための触媒として作用する。グリセロールは分岐成分として作用し、HDIは「鎖延長剤」として作用する。HDIを添加すると、存在するポリエステル鎖は、その末端OH基を介してHDIと反応し、ウレタン基を形成する。これにより、ポリエステルの平均モル質量が増加する。
【0061】
実施例によるポリエステルの製造方法
ポリエステルの一般的製造方法に従い、ポリエステルを製造した。以下に示す物質を使用した。得られたポリエステルは、所定の特性(Tg、VN、弾性率、降伏応力)を有した。グリセロール及びHDIの量は、g及び重量%で示され、重量%は、100%に設定した、2,5-FDCA、NaSIP、及び使用したジオールから誘導される繰り返し単位の質量の合計を基準とする。
【0062】
[実施例1-1]
2,5-FDCA-DME:64.3g(0.35mol)(70mol%)
DMNaSIP:44.3g(0.15mol)(30mol%)
エチレングリコール:40.3g(0.65mol)(130mol%)
グリセロール:0.11g(0.1重量%)(0.0012mol)
TBOT:0.08g
HDI:0.86g(0.8重量%)(0.0051mol)
Tg:84℃、VN:80、弾性率:2950MPa、降伏応力:65MPa
【0063】
[実施例1-2]
2,5-FDCA-DME:64.3g(0.35mol)(70mol%)
DMNaSIP:44.3g(0.15mol)(30mol%)
エチレングリコール:40.3g(0.65mol)(130mol%)
TBOT:0.08g
HDI:0.86g(0.8重量%)
Tg:82℃、VN:76、弾性率:2900MPa、降伏応力:60MPa
【0064】
[比較例1]
これは比較例である。これは、HDIもグリセロールも含まず、本発明ではない。
2,5-FDCA-DME:64.3g(0.35mol)(70mol%)
DMNaSIP:44.3g(0.15mol)(30mol%)
エチレングリコール:40.3g(0.65mol)(130mol%)
TBOT:0.08g
Tg:80℃、VN:35、弾性率:2900MPa、降伏応力:35MPa
【0065】
[実施例2]
2,5-FDCA-DME:54.0g(0.293mol)(70mol%)
DMNaSIP:37.2g(0.125mol)(30mol%)
ジエチレングリコール:57.8g(0.545mol)(130mol%)
グリセロール:0.11g(0.1重量%)
TBOT:0.08g
HDI:0.87g(0.8重量%)
Tg:61℃、VN:85
【0066】
[比較例2]
これは比較例である。これは、HDIもグリセロールも含まず、本発明ではない。
2,5-FDCA-DME:54.0g(0.293mol)(70mol%)
DMNaSIP:37.2g(0.125mol)(30mol%)
ジエチレングリコール:57.8g(0.545mol)(130mol%)
TBOT:0.08g
Tg:61℃、VN:43
【0067】
[実施例3]
2,5-FDCA-DME:57.3g(0.31mol)(70mol%)
DMNaSIP:39.5g(0.13mol)(30mol%)
1,4-ブタンジオール:52.1g(0.58mol)(130mol%)
グリセロール:0.11g(0.1重量%)
TBOT:0.08g
HDI:0.87g(0.8重量%)
Tg:57℃、VN:73
【0068】
[実施例4]
2,5-FDCA-DME:47.1g(0.256mol)(70mol%)
DMNaSIP:32.5g(0.11mol)(30mol%)
1,8-オクタンジオール:69.4g(0.475mol)(130mol%)
グリセロール:0.11g(0.1重量%)
TBOT:0.08g
HDI:0.88g(0.8重量%)
Tg:6℃、VN:83
【0069】
[実施例5]
2,5-FDCA-DME:46.5g(0.253mol)(70mol%)
DMNaSIP:32.1g(0.108mol)(30mol%)
トリエチレングリコール:70.4g(0.469mol)(130mol%)
グリセロール:0.11g(0.1重量%)
TBOT:0.08g
HDI:0.88g(0.8重量%)
Tg:29℃、VN:78
【0070】
[実施例6]
2,5-FDCA-DME:40.8g(0.2217mol)(70mol%)
DMNaSIP:28.1g(0.095mol)(30mol%)
テトラエチレングリコール:80.0g(0.41mol)(130mol%)
グリセロール:0.11g(0.1重量%)
TBOT:0.08g
HDI:0.88g(0.8重量%)
Tg:14℃、VN:75
【0071】
製造したポリエステルの組成
値(mol%)は、2,5-FDCA及びNa-SIPから誘導される繰り返し単位の合計を基準とする。この合計を100mol%とした。すべてのポリエステルは、
・2,5-FDCAから誘導される70mol%の繰り返し単位
・NaSIPから誘導される30mol%の繰り返し単位
・各ジオールから誘導される100mol%の繰り返し単位(当初存在した130%の過剰分を留去した。)
・グリセロールから誘導されるさらなる繰り返し単位及び/又は、存在する場合は、HDIから誘導される繰り返し単位、
からなる。グリセロールから誘導される繰り返し単位は、この場合、使用したジオールから誘導される繰り返し単位を犠牲にし、したがって、ポリエステル中のジオールから誘導される繰り返し単位の含量は、厳密には、グリセロールを使用する場合は、100mol%よりわずかに少ない。使用したグリセロールの量が少なかったので、これは、ジオールから誘導される繰り返し単位の数値に含んでいない。
【0072】
値の単位は、重量%で記載されていない場合は、mol%である。Eは実施例、CEは比較例である。
【0073】
【0074】
【0075】
【0076】
ポリエステルのガラス転移温度Tgは、使用するジオールに明らかに依存する。
【0077】
VN(粘度数、ポリエステルの平均モル質量(重量平均)の尺度)及び降伏応力の値は、本発明の実施例よりも比較例で大幅に低い。したがって、本発明の実施例のポリエステルは、より高い平均モル質量(重量平均)Mw及びより高い機械的強度を有する。
本開示の態様として、以下のものを挙げることができる。
[1]
ポリエステルであって、
A)酸成分から誘導される繰り返し単位であって、前記酸成分が、
a1)成分a1、a2、及びa3の合計を基準として、30~90mol%の2,5-フランジカルボン酸、 a2)成分a1、a2、及びa3の合計を基準として、0~60mol%、好ましくは0~50mol%の脂肪族C
4
-C
36
ジカルボン酸又は複数種の脂肪族C
4
-C
36
ジカルボン酸の混合物、及び
a3)成分a1、a2、及びa3の合計を基準として、10~60mol%のスルホネート基含有ジカルボン酸
からなり、
成分a1)~a3)のモル百分率が合計で100mol%になり、
好ましくは、a1の割合が55~85mol%であり、同時にa2の割合が0~30mol%であり、同時にa3の割合が15~45mol%である、繰り返し単位と、
B)ジオール/アミン成分から誘導される繰り返し単位であって、前記ジオール/アミン成分が、
b1)C
2
~C
12
アルカンジオール又は複数種のC
2
~C
12
アルカンジオールの混合物、及び/又は
b2)式I
HO-[(CH
2
)
n
-O]
m
-H (I)
(式中、nは、2、3又は4であり、mは、2~250の整数である)
のジヒドロキシ化合物若しくは複数種のそのようなジヒドロキシ化合物の混合物、
b3)任意選択的に、1種以上のアミノC
2
~C
12
アルカノール若しくは1種以上のアミノC
5
~C
10
シクロアルカノール又はそれらの混合物、並びに
b4)任意選択的に、1種以上のジアミノC
1
~C
8
アルカン
からなり、
A100mol毎に、BがD及びEのモル数を引いて100mol存在するように、Bの量が選択され、 B中のb1及びb2の割合の合計が、少なくとも50mol%、好ましくは少なくとも80mol%である、繰り返し単位と、
C)任意選択的に、
c1)式IIa
HO-C(O)-G-OH (IIa)
[式中、Gは、フェニレン、-(CH
2
)
q
-(式中、qは、1~5の整数である)、-C(R)H-及びC(R)HCH
2
(式中、Rは、メチル又はエチルである)からなる群から選択される基を表す]
の1種以上のヒドロキシカルボン酸、並びに/又は
c2)カプロラクタム、1,6-アミノカプロン酸、ラウロラクタム、1,12-アミノラウリン酸及び1,11-アミノウンデカン酸からなる群から選択される1種以上のアミノカルボン酸又はその環式アミド
から誘導される繰り返し単位であって、
前記ポリエステルの総質量中のCの割合が、好ましくは20重量%以下、特に好ましくは10重量%以下である、繰り返し単位と、
D)ジ-又はオリゴイソシアネート及びジ-又はオリゴイソシアヌレートからなる群から選択される少なくとも1種のジ-又はオリゴ官能性化合物から誘導される、成分A、B、及びCの合計を基準として0.1~4重量%の繰り返し単位と、
E)少なくとも3個の官能基を含む分岐成分から誘導される、成分A、B、及びCの合計を基準として0.1~4重量%の繰り返し単位であって、
前記官能基が、COOH、OH、NH
2
、及びそれらの混合物からなる群から選択される、繰り返し単位と、
からなるポリエステル。
[2]
前記ポリエステルの総質量を基準とするa2、b3、b4、c1、及びc2の割合の合計が、10重量%以下、好ましくは5重量%以下、特に好ましくは0重量%である、態様1に記載のポリエステル。
[3]
a3が、スルホネート基が遊離酸として又は塩、好ましくはアルカリ金属塩、特にナトリウム塩のいずれかとして存在する、芳香族スルホネート基含有ジカルボン酸である、態様1又は態様2に記載のポリエステル。
[4]
a3が、1,4-ベンゼンジカルボン酸-2-スルホン酸、1,3-ベンゼンジカルボン酸-5-スルホン酸(イソフタル酸-5-スルホン酸としても知られている)、1,2-ベンゼンジカルボン酸-3-スルホン酸、及び1,2-ベンゼンジカルボン酸-4-スルホン酸からなる群から選択され、各場合において、遊離酸又は塩の形態、好ましくはアルカリ金属塩の形態、特にナトリウム塩の形態であり、イソフタル酸-5-スルホン酸のモノナトリウム塩が特に好ましい、態様3に記載のポリエステル。
[5]
b1が、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2,4-ジメチル-2-エチルヘキサン-1,3-ジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、2-エチル-2-ブチル-1,3-プロパンジオール、2-エチル-2-イゾブチル-1,3-プロパンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、及び2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジオールからなる群から選択され、b1が、好ましくはエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、及び1,8-オクタンジオールからなる群から選択される、態様1から4のいずれか一つに記載のポリエステル。
[6]
b2が、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びポリテトラヒドロフランからなる群から選択され、b2が、好ましくはジエチレングリコール、トリエチレングリコール、及びテトラエチレングリコールからなる群から選択される、態様1から5のいずれか一つに記載のポリエステル。
[7]
Dが、脂肪族ジイソシアネートから誘導される繰り返し単位であり、前記ジイソシアネートが、好ましくは、いずれの場合も2~20個、特に3~15個の炭素原子を有する、直鎖若しくは分岐鎖アルキレンジイソシアネート又はシクロアルキレンジイソシアネートであり、Dが、特に好ましくは1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートである、態様1から6のいずれか一つに記載のポリエステル。
[8]
Eが、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ポリエーテルトリオール、グリセロール、トリメシン酸、トリメリト酸、及びピロメリト酸からなる群から選択される分岐成分から誘導される繰り返し単位であり、Eが、好ましくは、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール又はグリセロールから誘導される繰り返し単位であり、Eが、特に好ましくはグリセロールから誘導される繰り返し単位である、態様1から7のいずれか一つに記載のポリエステル。
[9]
態様1から8のいずれか一つに記載のポリエステルを含む水溶液であって、好ましくは貼合せ用接着剤である、水溶液。
[10]
態様1から8のいずれか一つに記載のポリエステルを含むパーソナルケア製剤であって、好ましくは毛髪セット用組成物である、製剤。
[11]
貼合せ用接着剤としての態様9に記載の水溶液の使用。
[12]
毛髪をセットするための、態様1から8のいずれか一つに記載のポリエステル、又は態様10に記載の製剤の使用。
[13]
態様1から8のいずれか一つに記載のポリエステルの製造方法であって、
Aに定義される酸成分、Bに定義されるジオール/アミン成分、任意選択的にc1に定義されるヒドロキシカルボン酸、任意選択的にc2に定義されるアミノカルボン酸及び/又はその環式アミド、並びにEに定義される分岐成分を含む混合物の反応であり、中間体を得る反応と、
好ましくは蒸留による、前記中間体からの、Bに定義される前記ジオール/アミン成分の過剰分の除去と、
前記中間体とDに定義される化合物との反応と、
を含み、
a1、a2、及びa3が、それぞれ独立に遊離ジカルボン酸として又はジアルキルエステルとして、特にジメチルエステルとして使用され、
b1、b2、b3、及びb4が、b1、b2、b3、及びb4に定義されるように誘導体化されずに使用され、
c1が、遊離ヒドロキシカルボン酸として、又は式IIa又はIIb
【化2】
[式中、pは1~1500の整数であり、rは1~4の整数であり、Gはフェニレン、-(CH
2
)
q
-(式中、qは、1~5の整数である)、-C(R)H-、及びC(R)HCH
2
(式中、Rは、メチル又はエチルである)からなる群から選択される基を表す]
に示す形態で使用され、
c2が、遊離アミノカルボン酸として、又はその環式アミドの形態で使用され、
Dが、ジ-若しくはオリゴイソシアネート又はジ-若しくはオリゴイソシアヌレートとして誘導体化されずに使用され、
Eが、誘導体化されずに使用される、
方法。