(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-28
(45)【発行日】2022-11-08
(54)【発明の名称】電圧生成回路、半導体記憶装置、及び電圧生成方法
(51)【国際特許分類】
H02M 3/07 20060101AFI20221031BHJP
【FI】
H02M3/07
(21)【出願番号】P 2018113132
(22)【出願日】2018-06-13
【審査請求日】2021-03-31
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079119
【氏名又は名称】藤村 元彦
(72)【発明者】
【氏名】赤堀 旭
【審査官】麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-372792(JP,A)
【文献】特開平05-062477(JP,A)
【文献】特開2011-211767(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流の電圧を出力ノードに生成する電圧生成回路であって、
第1電圧の状態及び第2電圧の状態を交互に繰り返す発振信号を生成する発振信号生成部と、
前記発振信号を一端で受け、他端に前記出力ノードが接続されているコンデンサと、
制御電圧を受け当該制御電圧に応じてオン状態又はオフ状態に設定され、オン状態に設定されたときに前記第1電圧を前記出力ノードに印加するスイッチ素子と、
前記発振信号が前記第1電圧の状態にある場合には前記出力ノードの電圧を前記制御電圧として前記スイッチ素子に供給することで前記スイッチ素子をオフ状態に設定し、前記発振信号が前記第2電圧の状態にある場合には前記第2電圧を前記制御電圧として前記スイッチ素子に供給することで前記スイッチ素子をオン状態に設定するスイッチ制御部と、を有
し、
前記スイッチ素子はトランジスタであり、前記トランジスタのドレインに前記第1電圧が印加されており、前記トランジスタのソースが前記出力ノードに接続されており、
前記スイッチ制御部は、夫々のゲートで前記発振信号の位相を反転させた信号を受けると共に夫々のドレインが前記トランジスタのゲートに接続されている一対のトランジスタを含み、前記一対のトランジスタのうちの一方のトランジスタのソースには前記第2電圧が印加されており、前記一対のトランジスタのうちの他方のトランジスタのソースは前記出力ノードに接続されていることを特徴とする電圧生成回路。
【請求項2】
前記第2電圧は前記第1電圧よりも高い正極性の電圧であり、
前記直流の電圧は負極性の電圧であることを特徴とする請求項
1に記載の電圧生成回路。
【請求項3】
前記第1電圧は前記第2電圧よりも高い正極性の電圧であり、
前記直流の電圧は前記第1電圧よりも高い電圧であることを特徴とする請求項
1に記載の電圧生成回路。
【請求項4】
直流の電圧を出力ノードに生成する電圧生成回路であって、
第1電圧の状態及び第2電圧の状態を交互に繰り返す第1の発振信号、及び前記第1の発振信号の位相を反転させた第2の発振信号を生成する発振信号生成部と、
第1及び第2のノードと、
前記第1の発振信号を一端で受け、他端に前記第1のノードが接続されている第1のコンデンサと、
前記第2の発振信号を一端で受け、他端に前記第2のノードが接続されている第2のコンデンサと、
第1の制御電圧に応じてオン状態又はオフ状態に設定され、前記オン状態に設定されたときに前記第1電圧を前記第1のノードに印加する第1のスイッチ素子と、
第2の制御電圧に応じてオン状態又はオフ状態に設定され、前記オン状態に設定されたときに前記第1電圧を前記第2のノードに印加する第2のスイッチ素子と、
前記第1の発振信号が前記第1電圧の状態にある場合には前記第2電圧を前記第1の制御電圧として前記第1のスイッチ素子に供給することで前記第1のスイッチ素子をオフ状態に設定し、前記第1の発振信号が前記第2電圧の状態にある場合には前記第2のノードの電圧を前記第1の制御電圧として前記第1のスイッチ素子に供給することで前記第1のスイッチ素子をオン状態に設定する第1のスイッチ制御部と、
前記第2の発振信号が前記第1電圧の状態にある場合には前記第2電圧を前記第2の制御電圧として前記第2のスイッチ素子に供給することで前記第2のスイッチ素子をオフ状態に設定し、前記第2の発振信号が前記第2電圧の状態にある場合には前記第1のノード
の電圧を前記第2の制御電圧として前記第2のスイッチ素子に供給することで前記第2のスイッチ素子をオン状態に設定する第2のスイッチ制御部と、
前記第1の制御電圧が前記第2電圧の状態にある場合にだけオン状態となって前記第1のノードの電圧を前記出力ノードに印加する第1の出力スイッチ素子と、
前記第2の制御電圧が前記第2電圧の状態にある場合にだけオン状態となって前記第2のノードの電圧を前記出力ノードに印加する第2の出力スイッチ素子と、を有することを特徴とする電圧生成回路。
【請求項5】
直流の電圧を出力ノードに生成する電圧生成回路であって、
第1電圧の状態及び第2電圧の状態を交互に繰り返す第1の発振信号、前記第1の発振信号の立ち上がりエッジの位相を所定時間だけ早めた第2の発振信号、前記第1の発振信号の位相を反転させた第3の発振信号、及び前記第3の発振信号の立ち上がりエッジの位相を所定時間だけ早めた第4の発振信号を生成する発振信号生成部と、
第1及び第2のノードと、
前記第1の発振信号を一端で受け、他端に前記第1のノードが接続されている第1のコンデンサと、
前記第3の発振信号を一端で受け、他端に前記第2のノードが接続されている第2のコンデンサと、
第1の制御電圧に応じてオン状態又はオフ状態に設定され、前記オン状態に設定されたときに前記第1電圧を前記第1のノードに印加する第1のスイッチ素子と、
第2の制御電圧に応じてオン状態又はオフ状態に設定され、前記オン状態に設定されたときに前記第1電圧を前記第2のノードに印加する第2のスイッチ素子と、
前記第2の発振信号が前記第1電圧の状態にある場合には前記第2電圧を前記第1の制御電圧として前記第1のスイッチ素子に供給することで前記第1のスイッチ素子をオフ状態に設定し、前記第2の発振信号が前記第2電圧の状態にある場合には前記第2のノードの電圧を前記第1の制御電圧として前記第1のスイッチ素子に供給することで前記第1のスイッチ素子をオン状態に設定する第1のスイッチ制御部と、
前記第4の発振信号が前記第1電圧の状態にある場合には前記第2電圧を前記第2の制御電圧として前記第2のスイッチ素子に供給することで前記第2のスイッチ素子をオフ状態に設定し、前記第4の発振信号が前記第2電圧の状態にある場合には前記第1のノードの電圧を前記第2の制御電圧として前記第2のスイッチ素子に供給することで前記第2のスイッチ素子をオン状態に設定する第2のスイッチ制御部と、
前記第1の制御電圧が前記第2電圧の状態にある場合にだけオン状態となって前記第1のノードの電圧を前記出力ノードに印加する第1の出力スイッチ素子と、
前記第2の制御電圧が前記第2電圧の状態にある場合にだけオン状態となって前記第2のノードの電圧を前記出力ノードに印加する第2の出力スイッチ素子と、を有することを特徴とする電圧生成回路。
【請求項6】
複数のメモリセルと、前記メモリセルにデータを書き込む又は前記メモリセルからデータを読出すための電圧を
出力ノードに生成する電圧生成回路と、を含む半導体記憶装置であって、
前記電圧生成回路は、
第1電圧の状態及び第2電圧の状態を交互に繰り返す発振信号を生成する発振信号生成部と、
前記発振信号を一端で受け、他端に前記出力ノードが接続されているコンデンサと、
制御電圧を受け当該制御電圧に応じてオン状態又はオフ状態に設定され、前記オン状態に設定されたときに前記第1電圧を前記出力ノードに印加するスイッチ素子と、
前記発振信号が前記第1電圧の状態にある場合には前記出力ノードの電圧を前記制御電圧として前記スイッチ素子に供給することで前記スイッチ素子をオフ状態に設定し、前記発振信号が前記第2電圧の状態にある場合には前記第2電圧を前記制御電圧として前記スイッチ素子に供給することで前記スイッチ素子をオン状態に設定するスイッチ制御部と、
を有
し、
前記スイッチ素子はトランジスタであり、前記トランジスタのドレインに前記第1電圧が印加されており、前記トランジスタのソースが前記出力ノードに接続されており、
前記スイッチ制御部は、夫々のゲートで前記発振信号の位相を反転させた信号を受けると共に夫々のドレインが前記トランジスタのゲートに接続されている一対のトランジスタを含み、前記一対のトランジスタのうちの一方のトランジスタのソースには前記第2電圧が印加されており、前記一対のトランジスタのうちの他方のトランジスタのソースは前記出力ノードに接続されていることを特徴とする半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所望の電圧値を有する電圧を生成する電圧生成回路、電圧生成回路を含む半導体記憶装置、及び電圧生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体記憶装置には、データの読出、書込又は消去を行うためにメモリセルに印加する正極性及び負極性の各種の電圧を生成する電圧生成回路が設けられている。
【0003】
また、このような電圧生成回路として、電源電圧よりも高い正極性の電圧のみならず、負極性の電圧を生成することが可能なチャージポンプ回路が知られている(例えば特許文献1の
図1及び
図5参照)。
【0004】
このチャージポンプ回路では、先ず、スイッチ手段としてのMOS型のトランジスタを介して接地電圧(0ボルト)をコンデンサの一端に印加する。更に、この間、当該コンデンサの他端に5ボルトの電源電圧を印加することにより、コンデンサを充電する。引き続き、上記トランジスタをオフ状態に切り替えると共に、コンデンサの他端に印加していた電源電圧を接地電圧に切り替えることにより、当該コンデンサの一端に負極性の電圧として-5ボルトの電圧を生成する。
【0005】
ところで、上記したトランジスタのソースはコンデンサの一端に接続されているので、当該トランジスタのソースには-5ボルトが印加されることになる。よって、このトランジスタをオフ状態に設定するには、そのゲートに-5ボルト以下の制御電圧を印加する必要がある。
【0006】
そこで、上記したチャージポンプ回路には、当該トランジスタをオフ状態に設定するために、そのゲートに供給する制御電圧を、接地電圧(0ボルト)から-5ボルトに変換するレベル変換回路が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、電圧生成回路としてチャージポンプ回路を採用した場合には、チャージポンプ動作を担うトランジスタを確実にオン・オフ制御させるためにレベル変換回路が必要となり、回路規模及び電力消費の増加を招いていた。
【0009】
本発明は、回路規模及び電力消費の増大を抑制することが可能な電圧生成回路、半導体記憶装置、及び電圧生成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る電圧生成回路は、直流の電圧を出力ノードに生成する電圧生成回路であって、第1電圧の状態及び第2電圧の状態を交互に繰り返す発振信号を生成する発振信号生成部と、前記発振信号を一端で受け、他端に前記出力ノードが接続されているコンデンサと、制御電圧を受け当該制御電圧に応じてオン状態又はオフ状態に設定され、オン状態に設定されたときに前記第1電圧を前記出力ノードに印加するスイッチ素子と、前記発振信号が前記第1電圧の状態にある場合には前記出力ノードの電圧を前記制御電圧として前記スイッチ素子に供給することで前記スイッチ素子をオフ状態に設定し、前記発振信号が前記第2電圧の状態にある場合には前記第2電圧を前記制御電圧として前記スイッチ素子に供給することで前記スイッチ素子をオン状態に設定するスイッチ制御部と、を有し、前記スイッチ素子はトランジスタであり、前記トランジスタのドレインに前記第1電圧が印加されており、前記トランジスタのソースが前記出力ノードに接続されており、前記スイッチ制御部は、夫々のゲートで前記発振信号の位相を反転させた信号を受けると共に夫々のドレインが前記トランジスタのゲートに接続されている一対のトランジスタを含み、前記一対のトランジスタのうちの一方のトランジスタのソースには前記第2電圧が印加されており、前記一対のトランジスタのうちの他方のトランジスタのソースは前記出力ノードに接続されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る電圧生成回路は、直流の電圧を出力ノードに生成する電圧生成回路であって、第1電圧の状態及び第2電圧の状態を交互に繰り返す第1の発振信号、及び前記第1の発振信号の位相を反転させた第2の発振信号を生成する発振信号生成部と、第1及び第2のノードと、前記第1の発振信号を一端で受け、他端に前記第1のノードが接続されている第1のコンデンサと、前記第2の発振信号を一端で受け、他端に前記第2のノードが接続されている第2のコンデンサと、第1の制御電圧に応じてオン状態又はオフ状態に設定され、前記オン状態に設定されたときに前記第1電圧を前記第1のノードに印加する第1のスイッチ素子と、第2の制御電圧に応じてオン状態又はオフ状態に設定され、前記オン状態に設定されたときに前記第1電圧を前記第2のノードに印加する第2のスイッチ素子と、前記第1の発振信号が前記第1電圧の状態にある場合には前記第2電圧を前記第1の制御電圧として前記第1のスイッチ素子に供給することで前記第1のスイッチ素子をオフ状態に設定し、前記第1の発振信号が前記第2電圧の状態にある場合には前記第2のノードの電圧を前記第1の制御電圧として前記第1のスイッチ素子に供給することで前記第1のスイッチ素子をオン状態に設定する第1のスイッチ制御部と、前記第2の発振信号が前記第1電圧の状態にある場合には前記第2電圧を前記第2の制御電圧として前記第2のスイッチ素子に供給することで前記第2のスイッチ素子をオフ状態に設定し、前記第2の発振信号が前記第2電圧の状態にある場合には前記第1のノードの電圧を前記第2の制御電圧として前記第2のスイッチ素子に供給することで前記第2のスイッチ素子をオン状態に設定する第2のスイッチ制御部と、前記第1の制御電圧が前記第2電圧の状態にある場合にだけオン状態となって前記第1のノードの電圧を前記出力ノードに印加する第1の出力スイッチ素子と、前記第2の制御電圧が前記第2電圧の状態にある場合にだけオン状態となって前記第2のノードの電圧を前記出力ノードに印加する第2の出力スイッチ素子と、を有する。
【0012】
また、本発明に係る電圧生成回路は、直流の電圧を出力ノードに生成する電圧生成回路であって、第1電圧の状態及び第2電圧の状態を交互に繰り返す第1の発振信号、前記第1の発振信号の立ち上がりエッジの位相を所定時間だけ早めた第2の発振信号、前記第1の発振信号の位相を反転させた第3の発振信号、及び前記第3の発振信号の立ち上がりエッジの位相を所定時間だけ早めた第4の発振信号を生成する発振信号生成部と、第1及び第2のノードと、前記第1の発振信号を一端で受け、他端に前記第1のノードが接続されている第1のコンデンサと、前記第3の発振信号を一端で受け、他端に前記第2のノードが接続されている第2のコンデンサと、第1の制御電圧に応じてオン状態又はオフ状態に設定され、前記オン状態に設定されたときに前記第1電圧を前記第1のノードに印加する第1のスイッチ素子と、第2の制御電圧に応じてオン状態又はオフ状態に設定され、前記オン状態に設定されたときに前記第1電圧を前記第2のノードに印加する第2のスイッチ素子と、前記第2の発振信号が前記第1電圧の状態にある場合には前記第2電圧を前記第1の制御電圧として前記第1のスイッチ素子に供給することで前記第1のスイッチ素子をオフ状態に設定し、前記第2の発振信号が前記第2電圧の状態にある場合には前記第2のノードの電圧を前記第1の制御電圧として前記第1のスイッチ素子に供給することで前記第1のスイッチ素子をオン状態に設定する第1のスイッチ制御部と、前記第4の発振信号が前記第1電圧の状態にある場合には前記第2電圧を前記第2の制御電圧として前記第2のスイッチ素子に供給することで前記第2のスイッチ素子をオフ状態に設定し、前記第4の発振信号が前記第2電圧の状態にある場合には前記第1のノードの電圧を前記第2の制御電圧として前記第2のスイッチ素子に供給することで前記第2のスイッチ素子をオン状態に設定する第2のスイッチ制御部と、前記第1の制御電圧が前記第2電圧の状態にある場合にだけオン状態となって前記第1のノードの電圧を前記出力ノードに印加する第1の出力スイッチ素子と、前記第2の制御電圧が前記第2電圧の状態にある場合にだけオン状態となって前記第2のノードの電圧を前記出力ノードに印加する第2の出力スイッチ素子と、を有する。
【0013】
本発明に係る半導体記憶装置は、複数のメモリセルと、前記メモリセルにデータを書き込む又は前記メモリセルからデータを読出すための電圧を出力ノードに生成する電圧生成回路と、を含む半導体記憶装置であって、前記電圧生成回路は、第1電圧の状態及び第2電圧の状態を交互に繰り返す発振信号を生成する発振信号生成部と、前記発振信号を一端で受け、他端に前記出力ノードが接続されているコンデンサと、制御電圧を受け当該制御電圧に応じてオン状態又はオフ状態に設定され、前記オン状態に設定されたときに前記第1電圧を前記出力ノードに印加するスイッチ素子と、前記発振信号が前記第1電圧の状態にある場合には前記出力ノードの電圧を前記制御電圧として前記スイッチ素子に供給することで前記スイッチ素子をオフ状態に設定し、前記発振信号が前記第2電圧の状態にある場合には前記第2電圧を前記制御電圧として前記スイッチ素子に供給することで前記スイッチ素子をオン状態に設定するスイッチ制御部と、を有し、前記スイッチ素子はトランジスタであり、前記トランジスタのドレインに前記第1電圧が印加されており、前記トランジスタのソースが前記出力ノードに接続されており、前記スイッチ制御部は、夫々のゲートで前記発振信号の位相を反転させた信号を受けると共に夫々のドレインが前記トランジスタのゲートに接続されている一対のトランジスタを含み、前記一対のトランジスタのうちの一方のトランジスタのソースには前記第2電圧が印加されており、前記一対のトランジスタのうちの他方のトランジスタのソースは前記出力ノードに接続されていることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る電圧生成方法は、第1電圧の状態及び第2電圧の状態を交互に繰り返す発振信号を生成する発振信号生成部と、前記発振信号を一端で受け、他端に前記出力ノードが接続されているコンデンサと、制御電圧を受け当該制御電圧に応じてオン状態又はオフ状態に設定され、前記オン状態に設定されたときに前記第1電圧を前記出力ノードに印加するスイッチ素子と、を含む電圧生成回路の電圧生成方法であって、前記発振信号が前記第1電圧の状態にある場合には前記出力ノードの電圧を前記制御電圧として前記スイッチ素子に供給することで前記スイッチ素子をオフ状態に設定し、前記発振信号が前記第2電圧の状態にある場合には前記第2電圧を前記制御電圧として前記スイッチ素子に供給することで前記スイッチ素子をオン状態に設定する。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、第1電圧の状態及び第2電圧の状態を交互に繰り返す発振信号をコンデンサの一端に供給する。尚、コンデンサの他端には、直流の電圧が生成される出力ノードが接続されている。
【0016】
更に、本発明では、発振信号が第1電圧の状態にある場合にはオフ状態、第2電圧の状態にある場合にはオン状態となって第1電圧を出力ノードに印加するスイッチ素子を以下のようにスイッチ制御部で制御することで、出力ノードに直流の電圧を生成する。
【0017】
すなわち、スイッチ制御部が、発振信号が第1電圧の状態にある場合には第2電圧を制御電圧としてスイッチ素子に供給することで当該スイッチ素子をオフ状態に設定する。一方、発振信号が第2電圧の状態にある場合には、スイッチ制御部は、出力ノードの電圧を制御電圧としてスイッチ素子に供給することで当該スイッチ素子をオン状態に設定する。
【0018】
かかるスイッチ制御部によれば、出力ノードに生成された直流の電圧が第1電圧及び第2電圧のいずれよりも高い又は低い場合にも、スイッチ素子を確実にオン状態又はオフ状態に設定することが可能となる。更に、上記発振信号を夫々のゲートで受ける一対のトランジスタからなるインバータで当該スイッチ制御部を構成できるので、回路規模及び電力消費量を抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に係る電圧生成回路を含む半導体記憶装置200の概略構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明に係る電圧生成回路10の構成の一例を示す回路図である。
【
図3】電圧生成回路10の構成の他の一例を示す回路図である。
【
図4】
図3に示す電圧生成回路10の内部動作の一例を示すタイムチャートである。
【
図5】
図4に示す電圧生成回路10の変形例を示す回路図である。
【
図6】
図5に示す電圧生成回路10の内部動作の一例を示すタイムチャートである。
【
図7】電源電圧を昇圧した正極性の電圧を生成する電圧生成回路20の構成を示す回路図である。
【
図8】
図7に示す電圧生成回路20の内部動作の一例を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明に係る電圧生成回路を含む半導体記憶装置200の概略構成を示すブロック図である。半導体記憶装置200は、電源部100、メモリセルアレイ101、ロウデコーダ102、メモリ制御部103及びカラムデコーダ104を有する。
【0022】
メモリセルアレイ101は、ビット線BL1~BLm(mは2以上の整数)と、これらビット線BL1~BLmと交叉して配列されたワード線WL1~WLn(nは2以上の整数)とを含む。更に、ビット線BLとワード線WLとによる各交叉部にメモリセル(図示せず)が形成されている。メモリセルの各々は、ワード線WLを介して供給された選択電圧、及びビット線BLを介して供給された書込電圧又は読出電圧に応じて、2値又は多値のデータの書き込み及び読み出しを行う。
【0023】
ロウデコーダ102は、メモリ制御部103から供給された制御信号に応じて、メモリセルアレイ101のワード線WL1~WLnに、データ読出又は書込用の選択電圧を印加する。
【0024】
カラムデコーダ104は、メモリ制御部103から供給された制御信号に応じて、メモリセルアレイ101のビット線BL1~BLmに接地電圧、読出電圧又は書込電圧を印加する。
【0025】
メモリ制御部103は、外部から書込指令、読出指令等を表すメモリ制御信号、及びアドレスに応じて、メモリセルアレイ101に対してデータの書込、読出又は消去を運促す各種制御信号をロウデコーダ102及びカラムデコーダ104に供給する。
【0026】
電源部100は、外部電源(図示せぬ)から供給された電源電圧VCCに基づき、メモリ制御部13を動作させる内部電源電圧を生成し、これをメモリ制御部13に供給する。また、電源部100は、電源電圧VCCに基づき書込電圧、読出電圧、及び消去電圧用の各種電圧を生成し、カラムデコーダ104に供給する。
【0027】
更に、電源部100は、電源電圧VCCに基づき、選択電圧用の負極性の電圧を生成し、これをロウデコーダ102に供給する。
【0028】
図2は、電源部100に含まれており、例えば選択電圧用の負極性の電圧として直流の電圧Voutを生成する電圧生成回路10の構成の一例を示す回路図である。
【0029】
図2に示すように、電圧生成回路10は、クロック生成部11、負電圧生成部12、及びスイッチ制御部13を含む。
【0030】
クロック生成部11は、正極性の電源電圧VCCの状態と、この電源電圧VCCよりも低い接地電圧VSS(例えば0ボルト)の状態とを交互に繰り返す発振信号としてクロック信号CK1、及びクロック信号CK1の位相を反転させた、いわゆる逆相信号であるクロック信号CK1Bを生成し、負電圧生成部12及びスイッチ制御部13に供給する。
【0031】
負電圧生成部12は、nチャネルMOS(Metal Oxide Semiconductor)型のトランジスタN0、コンデンサC1及びC2を含む、いわゆるチャージポンプ回路である。
【0032】
コンデンサC1は、その一端でクロック信号CK1を受ける。コンデンサC1の他端はノードn1に接続されている。コンデンサC2の一端はノードn1に接続されており、その他端には接地電圧VSSが印加されている。
【0033】
トランジスタN0のソースには接地電圧VSSが印加されており、そのドレインがノードn1に接続されている。トランジスタN0のゲートは、ノードn3を介してスイッチ制御部13と接続されている。
【0034】
スイッチ制御部13は、pチャネルMOS型のトランジスタP1、及びnチャネルMOS型のトランジスタN1を含む。
【0035】
トランジスタP1及びN1各々のゲートはクロック信号CK1の逆相信号であるクロック信号CK1Bを受ける。トランジスタP1及びN1各々のドレインはノードn3を介して、負電圧生成部12のトランジスタN0のゲートに接続されている。トランジスタN1のソースはノードn1に接続されており、トランジスタP1のソースには電源電圧VCCが印加されている。
【0036】
以下に、
図2に示す電圧生成回路10の動作について説明する。
【0037】
先ず、ノードn1が負極性の電圧となる状態において、クロック信号CK1が電源電圧VCCの状態(以下、論理レベル1の状態とも称する)にある間は、このクロック信号CK1に応じてコンデンサC1が充電される。尚、この間、当該クロック信号CK1Bは接地電圧VSSである。これにより、クロック信号CK1Bに応じてトランジスタP1がオン状態となり、電源電圧VCCが制御電圧として当該トランジスタP1及びノードn3を介してトランジスタN0のゲートに印加される。よって、トランジスタN0はオン状態となり、このトランジスタN0を介して接地電圧VSSがノードn1に印加される。
【0038】
その後、クロック信号CK1が電源電圧VCCの状態から接地電圧VSSの状態(以下、論理レベル0の状態とも称する)に遷移すると、コンデンサC1が放電し、ノードn1の電圧が低下する。その結果、当該ノードn1の電圧が負極性の状態となる。コンデンサC2は、ノードn1の負極性の電圧の状態を維持する。尚、この間、当該クロック信号CK1Bは電源電圧VCCである。これにより、クロック信号CK1Bに応じてトランジスタN1がオン状態となり、負電圧であるノードn1の電圧が制御電圧として、当該トランジスタN1及びノードn3を介してトランジスタN0のゲートに印加される。よって、トランジスタN0はオフ状態となる。
【0039】
このように、
図2に示す電圧生成回路10では、クロック信号CK1及びその位相反転信号であるクロック信号CK1Bに応じて上記した一連の動作を繰り返し行うことにより、ノードn1に負極性の電圧を生成し、これを直流の電圧Voutとして出力する。尚、コンデンサC1及びC2の静電容量により、電圧Voutの負極性の電圧値を任意の電圧値に設定することができる。
【0040】
ここで、負極性の電圧の状態になるノードn1に接続されているトランジスタN0を確実にオン状態及びオフ状態に設定する為に、
図2に示すスイッチ制御部13では、トランジスタP1及びN1からなるインバータ構成を採用している。
【0041】
すなわち、クロック信号CK1Bが論理レベル1の状態にある間は、トランジスタP1及びN1のうちのN1がオン状態となり、トランジスタN1及びノードn3を介して負極性の電圧が制御電圧としてトランジスタN0のゲートに供給される。この際、トランジスタN0のドレインにはノードn1の負極性の電圧が印加されているものの、そのゲートには負極性の電圧であるノードn1の電圧が印加されるので、トランジスタN0は確実にオフ状態に設定され、その状態を維持する。
【0042】
一方、クロック信号CK1Bが論理レベル0の状態にある間は、トランジスタP1及びN1のうちのP1がオン状態となり、トランジスタP1及びノードn3を介して、ノードn1の電源電圧であるVCCが制御電圧としてトランジスタN0のゲートに供給される。この際、そのゲートには電源電圧であるVCCが印加されるので、トランジスタN0は確実にオン状態に設定される。
【0043】
このように、電圧生成回路10では、クロック信号CK1Bが電源電圧VCCの状態にある場合にはオフ状態、接地電圧VSSの状態にある場合にはオン状態となって接地電圧VSSをノードn1に印加することでノードn1に直流の負極性の電圧を生成するトランジスタN0を、以下のように制御する。
【0044】
すなわち、スイッチ制御部13が、クロック信号CK1の逆相信号であるCK1Bが電源電圧VCCの状態にある場合にはノードn1の電圧を制御電圧としてトランジスタN0のゲートに供給することでトランジスタN0をオフ状態に設定する。一方、クロック信号CK1Bが接地電圧VSSの状態にある場合には、スイッチ制御部13は、電源電圧VCCを制御電圧としてトランジスタN0のゲートに供給することでトランジスタN0をオン状態に設定する。
【0045】
このようなスイッチ制御部によれば、出力ノードに生成された直流の電圧が接地電圧VSSよりも低い負極性の電圧であっても、トランジスタN0を確実にオフ状態に設定することが可能となる。更に、
図2に示すように、クロック信号CK1の逆相信号であるCK1Bを夫々のゲートで受ける一対のトランジスタ(P1、N1)からなるインバータで当該スイッチ制御部13を構成できるので、回路規模及び電力消費量を抑えることが可能となる。
【0046】
図3は、電圧生成回路10の構成の他の一例を示す回路図である。
【0047】
図3に示す電圧生成回路10は、クロック生成部11a、第1及び第2の回路ブロックBLK1及びBLK2を有する。
【0048】
クロック生成部11aは、
図4に示すように、正極性の電源電圧VCCの状態と、接地電圧VSS(例えば0ボルト)の状態とを交互に繰り返す発振信号としてクロック信号CK1を生成し、これを第1の回路ブロックBLK1に供給する。
【0049】
更に、クロック生成部11aは、
図4に示すように、クロック信号CK1の位相を反転させた発振信号としてクロック信号CK1Bを生成し、第2の回路ブロックBLK2に供給する。
【0050】
回路ブロックBLK1は、
図2に示す負電圧生成部12及びスイッチ制御部13と、nチャネルMOS型のトランジスタSW1と、を含む。尚、回路ブロックBLK1では、スイッチ制御部13のトランジスタN1のソースは、ノードn1には接続されておらず、回路ブロックBLK2に含まれるノードn2に接続されている。
【0051】
更に、回路ブロックBLK1では、ノードn1がトランジスタSW1のソースに接続されており、トランジスタSW1のゲートがノードn3を介してトランジスタP1及びN1各々のドレイン、並びにトランジスタP0のゲートに接続されている。トランジスタSW1のドレインはノードn0に接続されている。
【0052】
回路ブロックBLK2は、負電圧生成部22、スイッチ制御部23、及びnチャネルMOS型のトランジスタSW2を含む。
【0053】
尚、負電圧生成部22は、負電圧生成部12と同様な回路構成、つまりトランジスタP0、コンデンサC1及びC2を有する。スイッチ制御部23は、スイッチ制御部13と同様な回路構成、つまり、トランジスタP1及びN1からなるインバータ構成を採用している。
【0054】
負電圧生成部22では、コンデンサC1が、その一端でクロック信号CK1Bを受ける。当該コンデンサC1の他端はノードn2に接続されている。また、コンデンサC2の一端はノードn2に接続されており、その他端には接地電圧VSSが印加されている。
【0055】
更に、負電圧生成部22では、トランジスタP0のドレインに接地電圧VSSが印加されており、当該トランジスタP0のソースがノードn2に接続されている。また、当該トランジスタP0のゲートが、ノードn4を介して、スイッチ制御部23のトランジスタP1及びN1各々のドレインと、トランジスタSW2のゲートと、に接続されている。
【0056】
トランジスタSW2のソースには上記したノードn2が接続されており、そのドレインはノードn0に接続されている。
【0057】
スイッチ制御部23では、トランジスタP1及びN1各々のゲートでクロック信号CK1Bを受ける。更に、スイッチ制御部23では、トランジスタN1のソースは回路ブロックBLK1のノードn1に接続されており、トランジスタP1のソースには電源電圧VCCが印加されている。
【0058】
以下に、
図3に示す構成からなる電圧生成回路10の動作について、
図4に示すタイムチャートを参照しつつ説明する。
【0059】
例えば、
図4に示すように、クロック信号CK1が電源電圧VCCの状態となる偶数の周期CY2、CY4、CY6、・・・では、クロック信号CK1に応じて、回路ブロックBLK1に含まれる負電圧生成部12のコンデンサC1が充電される。更に、この間、当該クロック信号CK1に応じてスイッチ制御部13のトランジスタN1がオン状態となる。これにより、回路ブロックBLK2のノードn2の電圧、つまり後述する負極性の電圧Vaを有する制御電圧が、スイッチ制御部13のトランジスタN1及びノードn3を介して、負電圧生成部12のトランジスタP0のゲートに印加される。よって、トランジスタP0はオン状態となり、接地電圧VSSをノードn1に印加する。
【0060】
すなわち、
図4に示すように、偶数の周期CY2、CY4、CY6、・・・では、回路ブロックBLK1側のノードn1は接地電圧VSSの状態となり、ノードn3は負極性の電圧Vaの状態となる。
【0061】
その後、クロック信号CK1が電源電圧VCCの状態から接地電圧VSSの状態に遷移すると、負電圧生成部12のコンデンサC1が放電し、ノードn1の電圧が低下する。その結果、当該ノードn1には、
Va=-C1u・VCC/(C1u+C2u)
C1u:C1の静電容量
C2u:C2の静電容量
にて表される負極性の電圧Vaが生成される。
【0062】
更に、クロック信号CK1が接地電圧VSSの状態にある間、スイッチ制御部13のトランジスタP1がオン状態となり、電源電圧VCCがノードn3に印加される。
【0063】
よって、
図4に示すように、奇数の周期CY1、CY3、CY5、・・・では、回路ブロックBLK1側のノードn1は負極性の電圧Vaの状態となり、ノードn3は電源電圧VCCの状態となる。
【0064】
また、クロック信号CK1Bが電源電圧VCCの状態となる奇数の周期CY1、CY3、CY5、・・・では、クロック信号CK1Bに応じて、回路ブロックBLK2に含まれる負電圧生成部22のコンデンサC1が充電される。更に、この間、当該クロック信号CK1Bに応じてスイッチ制御部23のトランジスタN1がオン状態となり、回路ブロックBLK1側のノードn1の負極性の電圧が制御電圧として、スイッチ制御部23のトランジスタN1及びノードn4を介して、負電圧生成部22のトランジスタP0のゲートに印加される。これにより、トランジスタP0はオン状態となり、このトランジスタP0を介して接地電圧VSSがノードn2に印加される。
【0065】
すなわち、
図4に示すように、奇数の周期CY1、CY3、CY5、・・・では、回路ブロックBLK2側のノードn2は接地電圧VSSの状態となり、ノードn4は負極性の電圧Vaの状態となる。
【0066】
その後、クロック信号CK1Bが電源電圧VCCの状態から接地電圧VSSの状態に遷移すると、負電圧生成部22のコンデンサC1が放電し、ノードn2の電圧が低下する。その結果、当該ノードn2には、
Va=-C1u・VCC/(C1u+C2u)
C1u:C1の静電容量
C2u:C2の静電容量
にて表される負極性の電圧Vaが生成される。
【0067】
更に、クロック信号CK1Bが接地電圧VSSの状態にある間、スイッチ制御部23のトランジスタP1がオン状態となり、電源電圧VCCがノードn4に印加される。
【0068】
よって、
図4に示すように、偶数の周期CY2、CY4、CY6、・・・では、回路ブロックBLK2側のノードn2は負極性の電圧Vaの状態となり、ノードn4は電源電圧VCCの状態となる。
【0069】
ここで、
図4に示すように、ノードn3が電源電圧VCCの状態にある間は、回路ブロックBLK1の出力スイッチ素子としてのトランジスタSW1がオン状態となる。一方、ノードn4が電源電圧VCCの状態にある間は、回路ブロックBLK2の出力スイッチ素子としてのトランジスタSW2がオン状態となる。
【0070】
よって、
図4に示す奇数の周期CY1、CY3、CY5、・・・では、回路ブロックBLK1側のノードn1に生成された負極性の電圧Vaが、トランジスタSW1を介してノードn0に印加される。
【0071】
一方、
図4に示す偶数の周期CY2、CY4、CY6、・・・では、回路ブロックBLK2側のノードn2に生成された負極性の電圧Vaが、トランジスタSW2を介してノードn0に印加される。
【0072】
このように、
図3に示す電圧生成回路10では、クロック信号CK1及びCK1Bに応じて、回路ブロックBLK1及びBLK2が交互に負極性の電圧Vaを生成する。この際、回路ブロックBLK1及びBLK2は、自身が生成した負極性の電圧Vaを交互にノードn0に印加することで、当該負極性の電圧Vaを直流の電圧Voutとして出力する。
【0073】
よって、電圧生成回路10として
図3に示す構成を採用すれば、
図2に示す構成を採用した場合に比べて、電圧変動を抑えた負極性の直流の電圧Voutを生成することが可能となる。
【0074】
更に、
図3に示す構成による電圧生成回路10でも、
図2に示す構成と同様に、負電圧生成部12(22)に含まれるトランジスタP0と、出力スイッチ素子としてのトランジスタSW1及びSW2を、以下のように制御する。
【0075】
すなわち、スイッチ制御部13(23)が、クロック信号CK1(CK1B)が接地電圧VSSの状態にある場合には電源電圧VCCを制御電圧としてトランジスタP0、SW1及びSW2各々のゲートに供給する。これによりトランジスタP0をオフ状態、出力スイッチ素子としてのトランジスタSW1及びSW2をオン状態に設定する。一方、クロック信号CK1(CK1B)が電源電圧VCCの状態にある場合には、スイッチ制御部13(23)は、ノードn2(n1)の電圧を制御電圧としてトランジスタP0、SW1及びSW2各々のゲートに供給する。これによりトランジスタP0をオン状態、出力スイッチ素子としてのトランジスタSW1及びSW2をオフ状態に設定する。
【0076】
このようなスイッチ制御部によれば、ノードn1(n2)に生成された直流の電圧が接地電圧VSSよりも低い負極性の電圧Vaであっても、確実にトランジスタP0をオン状態、トランジスタSW1及びSW2をオフ状態に設定することが可能となる。
【0077】
更に、当該スイッチ制御部13(23)を、
図3に示すように、クロック信号CK1(CK1B)を夫々のゲートで受ける一対のトランジスタ(P1、N1)からなるインバータで構成できるので、回路規模及び電力消費量を抑えることが可能となる。
【0078】
図5は、
図3に示す電圧生成回路10の変形例を示す回路図である。
【0079】
図5に示す構成では、
図3に示すクロック生成部11aに代えてクロック生成部11bを採用している。尚、
図5に示す電圧生成回路10では、
図3に示す構成と同様に、負電圧生成部12、スイッチ制御部13及びトランジスタSW1を含む回路ブロックBLK1と、負電圧生成部22、スイッチ制御部23及びトランジスタSW2を含むBLK2と、を有する。
【0080】
クロック生成部11bは、上記したクロック信号CK1及びCK1Bと共に、クロック信号CK1と同一周波数を有する発振信号として、
図6に示すクロック信号CK2及びCK3を生成する。
【0081】
尚、クロック信号CK2は、
図6に示すように、その立ち上がりエッジの位相がクロック信号CK1の立ち上がりエッジよりも時間t1の分だけ早い。ただし、クロック信号CK2の立ち下がりエッジの位相は、クロック信号CK1の立ち下がりエッジの位相と同一である。
【0082】
クロック信号CK3は、
図6に示すように、その立ち上がりエッジの位相がクロック信号CK1Bの立ち上がりエッジよりも時間t2の分だけ早い。ただし、クロック信号CK3の立ち下がりエッジの位相は、クロック信号CK1Bの立ち下がりエッジの位相と同一である。
【0083】
クロック生成部11bは、クロック信号CK1を負電圧生成部12のコンデンサC1に供給し、クロック信号CK2をスイッチ制御部13のトランジスタP1及びN1各々のゲートに供給する。
【0084】
更に、クロック生成部11bは、クロック信号CK1Bを負電圧生成部22のコンデンサC1に供給し、クロック信号CK3をスイッチ制御部23のトランジスタP1及びN1各々のゲートに供給する。
【0085】
以下に、
図6に示すタイムチャートを参照しつつ、
図5に示す構成の動作を説明する。
図6に示すように、クロック信号CK2が論理レベル0の状態(VSS)から論理レベル1の状態(VCC)に遷移した時点から時間t1が経過するまでの間は、クロック信号CK1は論理レベル0の状態を維持している。
【0086】
よって、
図6に示す期間Taでは、スイッチ制御部13のトランジスタN1がオン状態となり、回路ブロックBLK2のノードn2の電圧、つまり接地電圧VSSがノードn3に印加される。したがって、期間Taでは、
図6に示すようにノードn3の電圧が一旦、接地電圧VSSに維持される。
【0087】
引き続き、クロック信号CK1が論理レベル0の状態から論理レベル1の状態に遷移し、クロック信号CK1Bが論理レベル1の状態から論理レベル0の状態に遷移する。この際、回路ブロックBLK2のノードn2の電圧が負極性の電圧Vaに遷移し、それに伴い、回路ブロックBLK1のノードn3も負極性の電圧Vaの状態になる。
【0088】
このように、クロック信号CK1の立ち上がりエッジのタイミングをCK2に対して遅らせることにより、ノードn3の電圧を一旦、電源電圧VCCの状態から接地電圧VSSの状態まで低下させ、その状態を維持させる。これにより、ノードn2に負極性の電圧を生成する過程で、ノードn3の電圧によってノードn2がプルアップされることで電圧変動を引き起こしてしまうという不具合が防止される。
【0089】
また、
図6に示すように、クロック信号CK3が論理レベル0の状態(VSS)から論理レベル1の状態(VCC)に遷移させた時点から時間t2が経過するまでの間は、クロック信号CK1Bは論理レベル0の状態を維持している。
【0090】
よって、
図6に示す期間Tbでは、スイッチ制御部23のトランジスタN1がオン状態となり、回路ブロックBLK1のノードn1の電圧、つまり接地電圧VSSがノードn4に印加される。したがって、期間Tbでは、
図6に示すようにノードn4の電圧が一旦、接地電圧VSSに維持される。
【0091】
引き続き、クロック信号CK1Bが論理レベル0の状態から論理レベル1の状態に遷移する。この際、回路ブロックBLK1のノードn1の電圧が負極性の電圧Vaに遷移し、それに伴い、回路ブロックBLK2のノードn4も負極性の電圧Vaの状態になる。
【0092】
このように、クロック信号CK1Bの立ち上がりエッジのタイミングをCK3に対して遅らせることにより、ノードn4の電圧を一旦、電源電圧VCCの状態から接地電圧VSSの状態まで低下させ、その状態を維持させる。これにより、ノードn1に負極性の電圧を生成する過程で、ノードn4の電圧によってノードn1がプルアップされることで電圧変動を引き起こしてしまうという不具合が防止される。
【0093】
従って、
図5に示す構成を採用することにより、負電圧生成部12及び22によってノードn1及びn2に生成された負極性の電圧の電圧変動を抑制することができる。
【0094】
尚、
図5では、負極性の電圧を生成する電圧生成回路10に本願発明を適用した場合の構成を示しているが、電源電圧を昇圧した正極性の電圧を生成する回路にも同様に適用可能である。
【0095】
図7は、電源電圧を昇圧した電圧を生成する電圧生成回路20の構成を示す回路図である。
図7に示す構成では、
図5に示す構成と同様にクロック生成部11bを採用し、
図5に示す回路ブロックBLK1及びBLK2に代えて、回路ブロックBLK10及びBLK20を採用する。
【0096】
図7に示す回路ブロックBLK10は、電圧昇圧部32、スイッチ制御部33、及び出力スイッチ素子としてのpチャネルMOS型のトランジスタSW3を含む。
【0097】
電圧昇圧部32は、コンデンサC3及びnチャネルMOS型のトランジスタN0を含む。コンデンサC3は、その一端でクロック信号CK1を受け、他端はノードn1に接続されている。
【0098】
トランジスタN0のドレインには電源電圧VCCが印加されており、そのソースがノードn1に接続されている。トランジスタN0のゲートは、ノードn3を介してスイッチ制御部33、及びトランジスタSW3のゲートに接続されている。
【0099】
スイッチ制御部33は、pチャネルMOS型のトランジスタP10、及びnチャネルMOS型のトランジスタN10を含む。
【0100】
トランジスタP10及びN10各々のゲートにはクロック信号CK2が供給されており、トランジスタP10及びN10各々のドレインはノードn3を介して、上記したトランジスタN0及びトランジスタSW3各々のゲートに接続されている。トランジスタP10のソースは回路ブロックBLK20のノードn2に接続されており、トランジスタN10のソースには接地電圧VSSが印加されている。トランジスタSW3のソースはノードn1に接続されており、そのドレインはノードn0に接続されている。
【0101】
回路ブロックBLK20は、電圧昇圧部42、スイッチ制御部43、及び出力スイッチ素子としてのpチャネルMOS型のトランジスタSW4を含む。
【0102】
電圧昇圧部42は、電圧昇圧部32と同様に、コンデンサC3及びnチャネルMOS型のトランジスタN0を含む。電圧昇圧部42のコンデンサC3は、その一端でクロック信号CK1Bを受け、他端はノードn2に接続されている。電圧昇圧部42のトランジスタN0のドレインには電源電圧VCCが印加されており、そのソースがノードn2に接続されている。トランジスタN0のゲートは、ノードn4を介してスイッチ制御部43、及びトランジスタSW4のゲートに接続されている。
【0103】
スイッチ制御部43は、スイッチ制御部33と同様に、pチャネルMOS型のトランジスタP10、及びnチャネルMOS型のトランジスタN10を含む。
【0104】
トランジスタP10及びN10各々のゲートにはクロック信号CK3が供給されており、トランジスタP10及びN10各々のドレインはノードn4を介して、電圧昇圧部42のトランジスタN0及びトランジスタSW4各々のゲートに接続されている。スイッチ制御部43のトランジスタP10のソースは回路ブロックBLK10のノードn1に接続されており、トランジスタN10のソースには接地電圧VSSが印加されている。トランジスタSW4のソースはノードn2に接続されており、そのドレインはノードn0に接続されている。
【0105】
以下に、
図7に示す電圧生成回路20の動作について、
図8に示すタイムチャートを参照しつつ説明する。
【0106】
図8に示すように、クロック信号CK1及びCK2が共に接地電圧VSS、クロック信号CK1B及びCK3が共に電源電圧VCCの状態にある場合、ノードn3が電圧(2・VCC)の状態となる。これにより、トランジスタSW3がオフ状態、トランジスタN0がオン状態となり、ノードn1が電源電圧VCCの状態となる。この間、電圧昇圧部32のコンデンサC3が充電される。
【0107】
次に、クロック信号CK1及びCK2が共に電源電圧VCC、クロック信号CK1B及びCK3が共に接地電圧VSSの状態に遷移すると、電圧昇圧部32のコンデンサC3が放電するので、それに伴いノードn1の電圧が2・VCCまで昇圧する。また、クロック信号CK2が電源電圧VCCの状態にある間、スイッチ制御部33のトランジスタN10がオン状態となり、接地電圧VSSがノードn3に印加される。これにより、トランジスタSW3がオン状態となり、ノードn1の電圧、つまり上記したように昇圧された電圧(2・VCC)がノードn0を介して直流の電圧VQoutとして出力される。
【0108】
ところで、クロック生成部11bは、
図8に示すように、クロック信号CK1を電源電圧VCCの状態から接地電圧VSSの状態に遷移させる時点よりも時間t2だけ早いタイミングでクロック信号CK2を電源電圧VCCから接地電圧VSSに遷移させる。よって、
図8に示す期間Tbでは、クロック信号CK2が接地電圧VSSの状態にあるので、トランジスタP10がオン状態となり、回路ブロックBLK20のノードn2の電圧、つまり電源電圧VCCがノードn3に印加される。尚、ノードn2に印加されている電源電圧VCCにより、電圧昇圧部42のコンデンサC3が充電される。
【0109】
そして、引き続きクロック信号CK1Bが電源電圧VCCの状態に遷移すると、電圧昇圧部42のコンデンサC3が放電するので、それに伴いノードn2の電圧が2・VCCまで昇圧する。また、この間、クロック信号CK2が接地電圧VSSの状態にあるので、スイッチ制御部33のトランジスタP10がオン状態となり、ノードn2の電圧、つまり電圧(2・VCC)がノードn3に印加される。よって、電圧昇圧部32のトランジスタN0がオン状態となり、トランジスタSW3がオフ状態となる。
【0110】
更に、この間、クロック信号CK3が電源電圧VCCの状態にあるので、スイッチ制御部43のトランジスタN10がオン状態となり、接地電圧VSSがノードn4に印加される。これにより、電圧昇圧部42のトランジスタN0がオフ状態となり、トランジスタSW4がオン状態となる。よって、上記したようにノードn2において昇圧された電圧(2・VCC)が、トランジスタSW4及びノードn0を介して電圧VQoutとして出力される。
【0111】
よって、
図8に示す奇数の周期CY1、CY3、・・・では、回路ブロックBLK10側のノードn1に生成された正極性の電圧(2・VCC)が、トランジスタSW3を介してノードn0に印加される。
【0112】
一方、
図8に示す偶数の周期CY2、CY4、・・・では、回路ブロックBLK20側のノードn2に生成された正極性の電圧(2・VCC)が、トランジスタSW4を介してノードn0に印加される。
【0113】
このように、電圧生成回路20では、クロック信号CK1、CK1B、CK2及びCK3に応じて、回路ブロックBLK10及びBLK20が交互に正極性の電圧(2・VCC)を生成する。この際、回路ブロックBLK10及びBLK20は、自身が生成した正極性の電圧(2・VCC)を交互にノードn0に印加することで、当該正極性の電圧(2・VCC)を直流の電圧Voutとして出力する。
【0114】
ここで、電圧生成回路20では、クロック信号CK2(CK3)が電源電圧VCCの状態にある場合にオフ状態、接地電圧VSSの状態にある場合にはオン状態となって電源電圧VCCをノードn1(n2)に印加するトランジスタN0を、以下のように制御する。
【0115】
すなわち、スイッチ制御部33(43)が、クロック信号CK2(CK3)が電源電圧VCCの状態にある場合には接地電圧VSSを制御電圧として、トランジスタN0、SW3及びSW4各々のゲートに供給する。これにより、トランジスタN0をオフ状態、出力スイッチ素子としてのトランジスタSW3及びSW4をオン状態に設定する。一方、クロック信号CK2(CK3)が接地電圧VSSの状態にある場合には、スイッチ制御部33(43)は、ノードn2(n1)の電圧を制御電圧として、トランジスタN0、SW3及びSW4各々のゲートに供給する。これにより、トランジスタN0をオン状態、出力スイッチ素子としてのトランジスタSW3及びSW4をオフ状態に設定する。
【0116】
かかるスイッチ制御部33(43)の動作によれば、ノードn1(n2)に生成された直流の電圧が電源電圧VCCよりも高い電圧であっても、確実にトランジスタN0をオン状態、出力スイッチ素子としてのトランジスタSW3及びSW4をオフ状態に設定することが可能となる。
【0117】
更に、当該スイッチ制御部33(43)を、
図7に示すように、クロック信号CK2(CK3)を夫々のゲートで受ける一対のトランジスタ(P10、N10)からなるインバータで構成できるので、回路規模及び電力消費量を抑えることが可能となる。
【0118】
尚、
図7に示す構成では、2系統の回路ブロックBLK10及びBLK20により、交互に正極性の電圧(2・VCC)を生成しているが、回路ブロックBLK10及びBLK20のうちの1系統だけで電圧生成回路20を構成しても良い。例えば、回路ブロックBLK10だけで電圧生成回路20を構成する場合には、スイッチ制御部33のトランジスタP10のソースをノードn1に接続する。
【0119】
要するに、本発明に係る電圧生成回路としては、以下の発振信号生成部、コンデンサ、スイッチ素子、及びスイッチ制御部を含むものであれば良い。
【0120】
つまり、発振信号生成部(11、11a、11b)は、第1電圧(例えばVCC及びVSSのうちの一方の電圧)の状態、及び第2電圧(例えばVCC及びVSSのうちの他方の電圧)の状態を交互に繰り返す発振信号(CK1、CK1B、CK2、CK3)を生成する。コンデンサは、その一端で発振信号を受け、他端には直流の電圧が生成される出力ノード(n1、n2、n0)が接続されている。スイッチ素子(P0、N0)は、制御電圧(Va、VSS、VCC、2・VCC)を受け当該制御電圧に応じてオン状態又はオフ状態に設定され、オン状態に設定されたときに第1電圧を出力ノードに印加する。スイッチ制御部(13、23、33、43)は、発振信号が第1電圧の状態にある場合には第2電圧を制御電圧としてスイッチ素子に供給することで、このスイッチ素子をオフ状態に設定する。また、発振信号が第2電圧の状態にある場合には出力ノードの電圧を制御電圧としてスイッチ素子に供給することで、このスイッチ素子をオン状態に設定する。
【符号の説明】
【0121】
10、20 電圧生成回路
11、11a、11b クロック生成部
12、22 負電圧生成部
13、23、33、43 スイッチ制御部
32、42 電圧昇圧部
C1、C3 コンデンサ