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特許7166932半導体レーザモジュールおよび半導体レーザモジュールの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-28
(45)【発行日】2022-11-08
(54)【発明の名称】半導体レーザモジュールおよび半導体レーザモジュールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/02326 20210101AFI20221031BHJP
   G02B 6/42 20060101ALI20221031BHJP
   H01S 5/02253 20210101ALI20221031BHJP
   H01S 5/02385 20210101ALI20221031BHJP
   H01S 5/40 20060101ALI20221031BHJP
【FI】
H01S5/02326
G02B6/42
H01S5/02253
H01S5/02385
H01S5/40
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018558086
(86)(22)【出願日】2017-12-22
(86)【国際出願番号】 JP2017046089
(87)【国際公開番号】W WO2018117251
(87)【国際公開日】2018-06-28
【審査請求日】2020-09-24
(31)【優先権主張番号】P 2016250076
(32)【優先日】2016-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】有賀 麻衣子
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 悠介
(72)【発明者】
【氏名】山岡 一樹
(72)【発明者】
【氏名】菅谷 俊雄
【審査官】大和田 有軌
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-028273(JP,A)
【文献】特開2016-018121(JP,A)
【文献】国際公開第2013/180291(WO,A1)
【文献】特開2012-164737(JP,A)
【文献】特表2009-522757(JP,A)
【文献】特開2008-090129(JP,A)
【文献】特開2008-090128(JP,A)
【文献】国際公開第2007/108508(WO,A1)
【文献】国際公開第2007/032182(WO,A1)
【文献】特開2006-269846(JP,A)
【文献】特開2005-019820(JP,A)
【文献】特開2005-017839(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0303109(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00 - 5/50
G02B 6/12 - 6/14
G02B 6/42 - 6/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体レーザ素子と、
前記半導体レーザ素子から出射されたレーザ光を入射端に入射して、導波させる導波路を有する導波路型光機能素子と、
前記半導体レーザ素子から出射されたレーザ光の光路の、前記導波路型光機能素子の導波路の前記入射端に関する延長線上に設けられた突起物と、を備え、
前記突起物は、前記レーザ光を反射または散乱し得る構造物であり
前記突起物の高さは、前記導波路型光機能素子の高さよりも高く、
前記半導体レーザ素子と前記導波路型光機能素子との間において、前記半導体レーザ素子の側にコリメートレンズが配置され、前記導波路型光機能素子の側に集光レンズが配置され、
前記半導体レーザ素子から出射されたレーザ光が、前記コリメートレンズと前記集光レンズとを介して、前記導波路型光機能素子の導波路の入射端に空間結合し、
前記集光レンズが配置されていない状態では、前記コリメートレンズによって平行光化されたレーザ光の径は、前記導波路型光機能素子の厚さより大きく、光路を進むレーザ光の一部は、前記導波路型光機能素子の上部を通過して前記突起物に到達し、
前記コリメートレンズによって平行光化されたレーザ光を前記導波路型光機能素子の導波路の入射端に集光するように、前記集光レンズの位置が調整されている
ことを特徴とする半導体レーザモジュール。
【請求項2】
前記導波路型光機能素子が固定されるサブマウントをさらに備え、前記突起物が前記サブマウント上に固定されている
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザモジュール。
【請求項3】
前記導波路型光機能素子の導波路は、前記入射端近傍に曲げ導波路を有し、前記導波路型光機能素子全体が前記半導体レーザ素子から出射されたレーザ光の光路に対して斜めに配置されている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の半導体レーザモジュール。
【請求項4】
前記導波路型光機能素子は、入射された前記レーザ光を増幅する半導体光増幅器である
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の半導体レーザモジュール。
【請求項5】
前記突起物は、半球状の形状をしている
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の半導体レーザモジュール。
【請求項6】
前記突起物は、柱状の形状をしている
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の半導体レーザモジュール。
【請求項7】
前記突起物は、金属でできている
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の半導体レーザモジュール。
【請求項8】
前記突起物は、金(Au)でできている
ことを特徴とする請求項7に記載の半導体レーザモジュール。
【請求項9】
半導体レーザ素子と、前記半導体レーザ素子から出射されたレーザ光を入射して、導波させる導波路を有する導波路型光機能素子と、を備える半導体レーザモジュールの製造方法であって、
前記半導体レーザ素子を前記半導体レーザモジュールの基板に対して固定するレーザ素子配置工程と、
前記半導体レーザ素子と前記導波路型光機能素子との間に、前記半導体レーザ素子から出射するレーザ光を平行光化するコリメートレンズを前記半導体レーザ素子に対して固定するコリメートレンズ配置工程と、
前記導波路型光機能素子と前記導波路型光機能素子の導波路の入射端から入射方向の延長線上に設けられた突起物とが共に固定された第1サブマウントを、前記コリメートレンズによって平行光化されたレーザ光が前記突起物に到達するように位置決めして前記基板に対して固定する導波路型光機能素子配置工程と、
前記コリメートレンズによって平行光化されたレーザ光を前記導波路型光機能素子の導波路の入射端に集光させるための集光レンズを、前記コリメートレンズと前記導波路型光機能素子との間に固定する集光レンズ配置工程と、
を含み、
前記突起物を、前記レーザ光を反射または散乱し得る構造物とし、
前記突起物の高さを前記導波路型光機能素子の高さよりも高くし、
前記コリメートレンズによって平行光化されたレーザ光の径が、前記導波路型光機能素子の厚さより大きくなるようにして、光路を進むレーザ光の一部を前記導波路型光機能素子の上部を通過して前記突起物に到達させるようにする
ことを特徴とする半導体レーザモジュールの製造方法。
【請求項10】
前記コリメートレンズ配置工程は、前記半導体レーザ素子が固定された第2サブマウントに対して前記コリメートレンズを固定する工程であり、
前記レーザ素子配置工程は、前記コリメートレンズ配置工程の後に、前記半導体レーザ素子と前記コリメートレンズとを固定した前記第2サブマウントを前記基板に対して固定する工程である、
ことを特徴とする請求項9に記載の半導体レーザモジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体レーザモジュールおよび半導体レーザモジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光通信用の光源として用いられる半導体レーザモジュールでは、半導体レーザ素子(LD)で発振されたレーザ光を半導体光増幅器(SOA)にて増幅し、半導体レーザモジュールから出力されるレーザ光を高出力化する構成が広く採用されている。このとき、半導体レーザ素子と半導体光増幅器とを同一の素子に集積することも広く一般的に採用されている(例えば特許文献1~4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-216791号公報
【文献】特開2006-216695号公報
【文献】米国特許第9054480号明細書
【文献】国際公開2013/180291号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、近年は光通信における高出力化への要求がますます高まり、半導体レーザ素子および半導体光増幅器へ供給される電流も増大している。結果、半導体レーザ素子および半導体光増幅器からの発熱量も増大し、半導体レーザ素子と半導体光増幅器とを分離して温度制御する半導体レーザモジュールの構成への需要も高まっている。半導体レーザ素子と半導体光増幅器とを分離して別の熱電素子にて温度制御すれば、熱電素子の温度調節に用いられる消費電力の総和を低く抑えることにもつながる。
【0005】
一方、半導体レーザ素子と半導体光増幅器とを分離する構成を採用した場合、半導体レーザ素子から出射したレーザ光を、半導体光増幅器に精度よく空間結合する必要がある。つまり、半導体レーザ素子と半導体光増幅器との相対的位置合わせを精度良く行うという新たな技術課題も生じる。なお、この空間結合における位置合わせという課題は、半導体光増幅器に限らず、光変調器、石英・シリコン・ポリマーなどによる光導波路デバイスなどの他の導波路型光機能素子と半導体レーザ素子とを備える半導体レーザモジュールにおいても同様である。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、その目的は、半導体レーザ素子と導波路型光機能素子との相対的位置合わせを精度良く行うことができる半導体レーザモジュールおよび半導体レーザモジュールの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様に係る半導体レーザモジュールは、半導体レーザ素子と、前記半導体レーザ素子から出射されたレーザ光を入射端に入射して、導波させる導波路を有する導波路型光機能素子と、前記半導体レーザ素子から出射されたレーザ光の光路の、前記入射端に関する延長線上に設けられた突起物と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の一態様に係る半導体レーザモジュールは、前記導波路型光機能素子が固定されるサブマウントをさらに備え、前記突起物が前記サブマウント上に固定されていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の一態様に係る半導体レーザモジュールは、前記突起物が前記導波路型機能素子上に固定されていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の一態様に係る半導体レーザモジュールは、前記導波路型光機能素子の導波路は、前記入射端近傍に曲げ導波路を有し、前記導波路型光機能素子全体が前記半導体レーザ素子から出射されたレーザ光の光路に対して斜めに配置されている、ことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の一態様に係る半導体レーザモジュールは、前記導波路型光機能素子は、入射された前記レーザ光を増幅する半導体光増幅器であることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の一態様に係る半導体レーザモジュールは、前記突起物は、半球状の形状をしていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の一態様に係る半導体レーザモジュールは、前記突起物は、柱状の形状をしていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の一態様に係る半導体レーザモジュールは、前記突起物は、金属でできていることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の一態様に係る半導体レーザモジュールは、前記突起物は、金(Au)でできていることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の一態様に係る半導体レーザモジュールは、前記半導体レーザ素子と前記導波路型光機能素子との間には、コリメートレンズと集光レンズとが配置され、前記半導体レーザ素子から出射されたレーザ光が、前記コリメートレンズと前記集光レンズとを介して、前記導波路型光機能素子の導波路の入射端に空間結合する、ことを特徴とする。
【0017】
また、本発明の一態様に係る半導体レーザモジュールは、前記コリメートレンズによって平行光化されたレーザ光の径は、前記導波路型光機能素子の厚さより大きく、前記サブマウントに関する前記突起物の高さは、前記導波路型光機能素子の高さよりも高い、ことを特徴とする。
【0018】
また、本発明の一態様に係る半導体レーザモジュールは、半導体レーザ素子と、前記半導体レーザ素子から出射されたレーザ光を入射端に入射して、導波させる導波路を有する導波路型光機能素子と、前記導波路型光機能素子と突起物とが共に固定されるサブマウントと、を備え、前記突起物は、前記半導体レーザ素子から出射されたレーザ光の光路の、前記入射端に関する延長線と平行な直線上に設けられている、ことを特徴とする。
【0019】
また、本発明の一態様に係る半導体レーザモジュールの製造方法は、半導体レーザ素子と、前記半導体レーザ素子から出射されたレーザ光を入射して、導波させる導波路を有する導波路型光機能素子と、を備える半導体レーザモジュールの製造方法であって、前記半導体レーザ素子を前記半導体レーザモジュールの基板に対して固定するレーザ素子配置工程と、前記半導体レーザ素子から出射するレーザ光を平行光化するコリメートレンズを前記半導体レーザ素子に対して固定するコリメートレンズ配置工程と、前記導波路型光機能素子と前記導波路型光機能素子の導波路の入射端から入射方向の延長線上に設けられた突起物とが共に固定された第1サブマウントを、前記コリメートレンズによって平行光化されたレーザ光が前記突起物に到達するように位置決めして前記基板に対して固定する導波路型光機能素子配置工程と、前記コリメートレンズによって平行光化されたレーザ光を前記導波路型光機能素子の導波路の入射端に集光するための集光レンズを、前記コリメートレンズと前記導波路型光機能素子との間に固定する集光レンズ配置工程と、を有することを特徴とする。
【0020】
また、本発明の一態様に係る半導体レーザモジュールの製造方法は、前記コリメートレンズ配置工程は、前記半導体レーザ素子が固定された第2サブマウントに対して前記コリメートレンズを固定する工程であり、前記レーザ素子配置工程は、前記コリメートレンズ配置工程の後に、前記半導体レーザ素子と前記コリメートレンズとを固定した前記第2サブマウントを前記基板に対して固定する工程である、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る半導体レーザモジュールおよび半導体レーザモジュールの製造方法は、半導体レーザ素子と導波路型光機能素子との相対的位置合わせを精度良く行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、第1実施形態に係る半導体レーザモジュールの概略構成を示す図である。
図2図2は、第1実施形態に係る半導体レーザモジュールの製造方法の要旨を示すフローチャートである。
図3図3は、半導体光増幅器の位置決め工程における半導体レーザモジュールの側面概略構成を示す図である。
図4図4は、集光レンズの配置工程における半導体レーザモジュールの側面概略構成を示す図である。
図5図5は、第2実施形態に係る半導体レーザモジュールの概略構成を示す図である。
図6A図6Aは、各構成部品を基板上で組み立てた後に基板を筐体へ入れる方法を例示する図である。
図6B図6Bは、各構成部品を基板上で組み立てた後に基板を筐体へ入れる方法を例示する図である。
図6C図6Cは、各構成部品を基板上で組み立てた後に基板を筐体へ入れる方法を例示する図である。
図6D図6Dは、各構成部品を基板上で組み立てた後に基板を筐体へ入れる方法を例示する図である。
図6E図6Eは、各構成部品を基板上で組み立てた後に基板を筐体へ入れる方法を例示する図である。
図6F図6Fは、各構成部品を基板上で組み立てた後に基板を筐体へ入れる方法を例示する図である。
図7A図7Aは、各構成部品を筐体内の基板上に順次配置する方法を例示する図である。
図7B図7Bは、各構成部品を筐体内の基板上に順次配置する方法を例示する図である。
図7C図7Cは、各構成部品を筐体内の基板上に順次配置する方法を例示する図である。
図7D図7Dは、各構成部品を筐体内の基板上に順次配置する方法を例示する図である。
図8図8は、第3実施形態に係る半導体レーザモジュールを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る半導体レーザモジュールおよびその製造方法を詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態により本発明が限定されるものではない。また、各図面において、同一または対応する構成要素には適宜同一の符号を付している。また、図面は模式的なものであり、各構成の寸法などは現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることがある。
【0024】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る半導体レーザモジュールの概略構成を示す図である。図1に示される第1実施形態に係る半導体レーザモジュールは、基本構成のみを示すものであり、実際の半導体レーザモジュールは、後述する実施形態のように、様々な追加の構成を備え得る。
【0025】
図1に示すように、第1実施形態に係る半導体レーザモジュール100は、半導体レーザ素子11と、半導体光増幅器21と、突起物22と、SOAサブマウント20とを備えている。さらに、図1に示すように、半導体レーザモジュール100は、コリメートレンズ12と、集光レンズ30と、LDサブマウント10とを備えている。これらは、半導体レーザモジュール100の筐体に収容される基板101上に設けられる構成としてもよいし、半導体レーザモジュール100の筐体の底板を基板101として、底板上に設けられる構成としてもよい。
【0026】
半導体レーザ素子11は、電流の注入によりレーザ発振をしてレーザ光を出射するものであり、温度制御によって発振波長を変更することができる、例えば分布帰還型半導体レーザ素子を用いる。
【0027】
半導体光増幅器21は、半導体レーザ素子11から出射されたレーザ光を入射して、導波させる導波路23を有する導波路型光機能素子の代表例であり、導波路型光機能素子の他の例として、光変調器などが挙げられる。図1に示すように、半導体光増幅器21は、素子全体が半導体レーザ素子11から出射されたレーザ光の光路L1に対して斜めに配置されている。このために、半導体光増幅器21の導波路は、入射端24の近傍に曲げ導波路が形成されている。また、図1に示される半導体光増幅器21の例では、出射端25の近傍にも曲げ導波路が形成され、半導体光増幅器21から出射されるレーザ光の光路L2が光路L1に対して略平行となるように構成されている。導波路を有する導波路型光機能素子のさらに他の例としては、プレーナ光波回路(PLC)などの石英ガラス系光導波路デバイス、シリコン導波路デバイス、ポリマー導波路デバイスなども挙げられる。
【0028】
突起物22は、半導体レーザ素子11から出射されたレーザ光の光路L1の半導体光増幅器21の導波路の入射端24に関する延長線L3上に設けられたワイヤボールである。突起物22は、配線を接続するために金(Au)などの金属で形成された通常のワイヤボンディングの半球状の構造物であり、ここでは、配線の接続に用いるのではなく、後述するように、半導体光増幅器21の位置決め(粗調整)に用いられる。突起物22をワイヤボールとすれば、通常の配線処理の際に形成することができるので簡便であるが、突起物22はワイヤボールに限定されず、例えば一旦形成したワイヤを切断した柱状(曲がった場合も含む)であったり、レーザ光を反射や散乱し得る構造物であれば適切に利用可能である。
【0029】
SOAサブマウント20は、半導体光増幅器21と突起物22とが共に固定されるサブマウントである。SOAサブマウント20上における、半導体光増幅器21と突起物22との高さ関係は、突起物22の高さが半導体光増幅器21の高さよりも高いように構成されている。半導体光増幅器21と突起物22とがSOAサブマウント20の同一平面上に固定される場合、突起物22の高さが、半導体光増幅器21の厚さよりも大きいことになる。なお、一般に半導体光増幅器21は板状の形状であり、略一定の厚さを有するが、厚さが一定でない場合は、最厚部をもって厚さを定義する。
【0030】
また、突起物22は、上述のように、半導体レーザ素子11から出射されたレーザ光の光路L1の半導体光増幅器21の導波路の入射端24に関する延長線L3上に設けられ、半導体光増幅器21と突起物22との相対的位置関係が確定している。したがって、突起物22を目標としてSOAサブマウント20の位置決めを行うことにより、結果的に、半導体光増幅器21の位置決めを行うことが可能となる。なお、突起物22の固定箇所はサブマウント(SOAサブマウント20)上には限定されない。導波路型光機能素子が各光学部品と共にベース上に固定される場合、メタライズの施された熱電素子上に固定される場合がある。これらの場合は突起物も導波路デバイス(導波路型光機能素子)が固定されたベース上に固定される。さらに、導波路型光機能素子に含まれる導波路が当該素子の上面に近い場合、導波路型光機能素子上に突起物を固定しても良い。光変調器やその他の導波路型光機能素子の場合は、導波路が当該素子の上面に近く、当該素子の面積も大きいために、当該素子上に突起物を固定することが可能である。
【0031】
コリメートレンズ12は、半導体レーザ素子11から出射するレーザ光を平行光化するための光学素子である。ここで、コリメートレンズ12によって平行光化されたレーザ光の径は、半導体光増幅器21の厚さより大きくなるよう設計されている。また、図1に示される半導体レーザモジュール100の構成例では、コリメートレンズ12と半導体レーザ素子11とが同一のLDサブマウント10の上に配置されている。しかしながら、コリメートレンズ12の配置位置はこれに限定されず、半導体レーザ素子11と独立して半導体レーザモジュール100に固定されてもよい。また、コリメートレンズ12は半導体レーザ素子11と独立した素子とは限らず、半導体レーザ素子11の出射端面にコリメートレンズ12が形成される構成を採用することも可能である。
【0032】
集光レンズ30は、コリメートレンズ12によって平行光化されたレーザ光を半導体光増幅器21の導波路の入射端24に集光するための光学素子である。後述するように、集光レンズ30は、半導体レーザモジュールの製造工程の途中で配置されるものである。集光レンズ30が配置された状態では、コリメートレンズ12によって平行光化された光路L1のレーザ光は、半導体光増幅器21の導波路の入射端24に集光し、半導体光増幅器21の導波路23を導波して、半導体光増幅器21の出射端25から光路L2へ出射される。
【0033】
一方、集光レンズ30が配置されていない状態では、コリメートレンズ12によって平行光化されたレーザ光の径が半導体光増幅器21の厚さより大きいので、光路L1を進むレーザ光の一部は、半導体光増幅器21の上部を通過し、半導体光増幅器21の導波路の入射端24に関する光路L1の延長線L3上に設けられた突起物22にまで到達することになる。突起物22は、ワイヤボールなどのレーザ光を反射や散乱し得る構造物であるので、突起物22にまで到達したレーザ光は、突起物22によって反射や散乱され、レーザ光が突起物22にまで到達したことを確認することができる。
【0034】
以上の関係を用いれば、集光レンズ30が配置されていない状態で、コリメートレンズ12によって平行光化されたレーザ光が突起物22に照射されるようにSOAサブマウント20の位置決めを行えば、集光レンズ30が配置された状態では、半導体レーザ素子11から出射されたレーザ光が半導体光増幅器21の導波路の入射端24に空間結合するような粗調整が実現できる。後は、集光レンズ30の配置を微調整することによって、半導体レーザ素子11から出射されたレーザ光が半導体光増幅器21の導波路の入射端24に適切に空間結合する配置が実現できる。この微調整は、半導体光増幅器21から出力されるレーザ光の強度を観察しながら行うことができる。
【0035】
次に、上記説明した第1実施形態に係る半導体レーザモジュール100の構成例を用いて、半導体レーザモジュールの製造方法を説明する。
【0036】
図2は、第1実施形態に係る半導体レーザモジュールの製造方法の要旨を示すフローチャートである。図3は、半導体光増幅器の位置決め工程における半導体レーザモジュールの側面概略構成を示す図である。図4は、集光レンズの配置工程における半導体レーザモジュールの側面概略構成を示す図である。
【0037】
図2に示すように、第1実施形態に係る半導体レーザモジュールの製造方法は、半導体レーザ素子11とコリメートレンズ12とを配置する工程から始まる(ステップS1)。この工程は、図2に示されるフローチャートでは一つの工程として記載されているが、二つの工程に分離することも可能である。
【0038】
先述したように、半導体レーザモジュール100の構成例では、コリメートレンズ12と半導体レーザ素子11とが同一のLDサブマウント10の上に配置されているが、コリメートレンズ12を半導体レーザ素子11と独立して配置することも可能であり、また、半導体レーザ素子11の出射端面にコリメートレンズ12が形成される構成を採用することも可能である。
【0039】
したがって、コリメートレンズ12と半導体レーザ素子11とを同一のLDサブマウント10の上に配置する場合、半導体レーザ素子11が固定されたLDサブマウント10に対してコリメートレンズ12を固定した後に、LDサブマウント10を半導体レーザモジュール100の基板101に対して固定することによって、ステップS1の工程を実現する。また、半導体レーザ素子11の出射端面にコリメートレンズ12が形成される構成を採用する場合、半導体レーザ素子11を半導体レーザモジュール100の基板101に対して固定すれば、自動的にコリメートレンズ12を半導体レーザモジュール100の基板に対して固定することになり、ステップS1の工程が実現される。コリメートレンズ12を半導体レーザ素子11と独立して配置する構成の場合、半導体レーザ素子11を半導体レーザモジュール100の基板101に対して固定し、その後、コリメートレンズ12を半導体レーザモジュール100の基板101に対して固定することで、ステップS1の工程を実現する。
【0040】
次に、図2に示すように、第1実施形態に係る半導体レーザモジュールの製造方法では、半導体光増幅器21の位置決め工程が行われる(ステップS2)。本工程の説明は、図3を共に参照すると理解が容易となるので、ここに参照する。
【0041】
半導体光増幅器21の位置決め工程では、事前に用意された半導体光増幅器21と突起物22とが共に固定されたSOAサブマウント20を半導体レーザモジュール100の基板101に対して固定することによって行われる。先述のように、突起物22は、SOAサブマウント20上にて、半導体レーザ素子11から出射されたレーザ光の光路L1の半導体光増幅器21の導波路の入射端24に関する延長線上に設けられている。また、コリメートレンズ12によって平行光化されたレーザ光の径は、半導体光増幅器21の厚さより大きくなるよう設計され、突起物22の高さが半導体光増幅器21の高さよりも高いように構成されている。
【0042】
したがって、図3に示すように、半導体光増幅器21の位置決め工程では、光路L1を進むレーザ光の一部は、半導体光増幅器21の上部を通過し、突起物22にまで到達することになる。ここで、突起物22が半導体レーザ素子11から出射されたレーザ光の光路L1の半導体光増幅器21の導波路の入射端24に関する延長線上に設けられ、半導体光増幅器21と突起物22との相対的位置関係が確定していることを利用すれば、突起物22を目標としてSOAサブマウント20の位置決めを行うことにより、半導体光増幅器21の位置決め(粗調整)を行うことが可能となる。
【0043】
次に、図2に示すように、第1実施形態に係る半導体レーザモジュールの製造方法では、集光レンズ30の配置工程が行われる(ステップS3)。本工程の説明は、図4を共に参照すると理解が容易となるので、ここに参照する。
【0044】
集光レンズ30の配置工程では、集光レンズ30がコリメートレンズ12と半導体光増幅器21との間に固定される。集光レンズ30は、コリメートレンズ12によって平行光化されたレーザ光を半導体光増幅器21の導波路の入射端24に集光するための光学系である。このとき、集光レンズ30の配置工程は、コリメートレンズ12によって平行光化されたレーザ光を半導体光増幅器21の導波路の入射端24に集光するように、集光レンズ30の位置を微調整する工程を含んでいる。先述のように、この微調整は、半導体光増幅器21から出力されるレーザ光の強度を観察しながら行うことができる。半導体レーザモジュールの製造方法は、ステップS2にて半導体光増幅器21の位置の粗調整が完了しているので、集光レンズ30の位置を微調整することが容易となっている。
【0045】
以上説明した構成の半導体レーザモジュール100およびその製造方法に従えば、半導体レーザ素子11と半導体光増幅器21との相対的位置合わせを精度よく行うことができる。
【0046】
(第2実施形態)
次に、より実際的な構成の半導体レーザモジュールの例示を行う。図5は、第2実施形態に係る半導体レーザモジュールの概略構成を示す図である。図5に示される第2実施形態に係る半導体レーザモジュール200の構成は、第1実施形態と共通のものが多い。したがって、以下で説明する半導体レーザモジュール200の構成では、第1実施形態と同一の参照符号を付することによって、その説明を省略する。同一の参照符号を付することによって省略された部位の構成および機能は、第1実施形態と実質的に同一であるものと理解することが可能である。
【0047】
図5に示すように、半導体レーザモジュール200は、半導体レーザ素子11とコリメートレンズ12とを備えるLDサブマウント10と、半導体光増幅器21と突起物22とを備えるSOAサブマウント20と、集光レンズ30とを備えている。これら半導体レーザモジュール200の構成は、第1実施形態と実質的に同一である。
【0048】
半導体レーザ素子11とコリメートレンズ12とを備えるLDサブマウント10は、LD用熱電素子41の上に配置されている。LD用熱電素子41は、例えばペルチェ素子であり、LD用熱電素子41に供給される電流の強さおよび方向によって、半導体レーザ素子11を加熱および冷却することができる。先述したように、半導体レーザ素子11は、温度制御によって発振波長を変更することができる例えば分布帰還型半導体レーザ素子であり、LD用熱電素子41に供給される電流の強さおよび方向を制御することによって、半導体レーザ素子11から出射されるレーザ光の波長を制御することが可能である。
【0049】
半導体光増幅器21と突起物22とを備えるSOAサブマウント20は、SOA用熱電素子42の上に配置されている。SOA用熱電素子42は、例えばペルチェ素子であり、SOA用熱電素子42に供給される電流の強さおよび方向によって、半導体光増幅器21を加熱および冷却することができる。半導体光増幅器21は、大きな発熱源であるので積極的に加熱する状況は限定されるが、本構成の半導体レーザモジュール200では、半導体レーザ素子11の温度制御に用いるLD用熱電素子41と、半導体光増幅器21の温度制御に用いるSOA用熱電素子42とを、独立して備えているので、半導体レーザ素子11と半導体光増幅器21とのそれぞれを最適に温度制御することが可能である。すなわち、半導体レーザ素子11および半導体光増幅器21の温度制御に無駄な電力が消費されることも減り、LD用熱電素子41とSOA用熱電素子42との総和の消費電力も低く抑えることができる。
【0050】
図5に示すように、第2実施形態に係る半導体レーザモジュール200は、コリメートレンズ12と集光レンズ30との間に、第1ビームスプリッタ31とアイソレータ32とを備えている。第1ビームスプリッタ31とアイソレータ32との配置順は、図5に示されるものに限定されるものではないが、コリメートレンズ12と集光レンズ30との間のレーザ光が平行光となる箇所に配置することが好ましい。
【0051】
第1ビームスプリッタ31は、半導体レーザ素子11から出射されるレーザ光の一部を波長ロッカー50へ分岐するための光学素子であり、プリズム型のものやフィルタ型のものなど一般的な分岐用光学素子を用いることができる。アイソレータ32は、光学素子の反射等に起因して光路を逆行するレーザ光が半導体レーザ素子11に入射してしまうことを防ぐための素子であり、レーザ光の偏光性を用いて、逆行するレーザ光の光路のみを変化させることができる光学素子である。
【0052】
波長ロッカー50は、第1ビームスプリッタ31で分岐されたレーザ光の波長を測定し、半導体レーザ素子11が出射しているレーザ光の波長をモニタするための装置である。波長ロッカー50がモニタしたレーザ光の波長は、LD用熱電素子41の温度制御へフィードバックされ、半導体レーザ素子11が所望の波長のレーザ光を出射し続けるように、フィードバック制御が行われる。
【0053】
波長ロッカー50は、第2ビームスプリッタ51と、第2ビームスプリッタ51によって分岐されたレーザ光の強度を直接モニタする第1受光素子52と、第2ビームスプリッタによって分岐されたレーザ光の強度をエタロンフィルタ53を介してモニタする第2受光素子54と、を備えている。エタロンフィルタ53は、光の波長に対して周期的な透過特性を有する光学素子である。したがって、エタロンフィルタ53を透過した光と透過していない光との強度比を測定することによって当該光の波長を特定することが可能である。波長ロッカー50は、第1受光素子52が取得するレーザ光の強度と第2受光素子54が取得するレーザ光の強度との比を用いて、第1ビームスプリッタ31で分岐されたレーザ光の波長を測定する。
【0054】
さらに、図5に示すように、第2実施形態に係る半導体レーザモジュール200は、半導体光増幅器21から射出されたレーザ光を半導体レーザモジュール200の外部へ導出する光ファイバ60と、半導体光増幅器21から射出されたレーザ光を光ファイバ60へ結合させるための結合光学系61とを備えている。なお、図5に示される結合光学系61は、1つのレンズよって構成されているよう描かれているが、コリメートレンズと集光レンズなど複数に分離される構成とすることも可能であり、配置される位置も同図に示される位置に限定されるものではない。光ファイバ60は、半導体レーザ素子11から射出されるレーザ光に対して適切な伝搬特性を有する一般的なシングルモードのガラス光ファイバを用いればよい。
【0055】
以下、図6A~6Fおよび図7A~7Dを参照しながら、第2実施形態に係る半導体レーザモジュール200の組み立て方法について、2つの例を説明する。図6A~6Fは、各構成部品を基板上で組み立てた後に基板を筐体へ入れる方法を例示する図であり、図7A~7Dは、各構成部品を筐体内の基板上に順次配置する方法を例示する図である。
【0056】
(第1の組み立て方法)
各構成部品を基板上で組み立てた後に基板を筐体へ入れる方法では、図6Aに示すように、最初にLDサブマウント10の上に半導体レーザ素子11とコリメートレンズ12とを配置する。
【0057】
その後、図6Bに示すように、基板201の上にLD用熱電素子41とSOA用熱電素子42とを配置し、LD用熱電素子41の上にLDサブマウント10を配置し、SOA用熱電素子42の上に第1ビームスプリッタ31とアイソレータ32とを配置する。
【0058】
そして、図6Cに示すように、半導体光増幅器21と突起物22とを備えるSOAサブマウント20をSOA用熱電素子42に位置決めしながら固定する。このときの位置決め方法は、先述したように、半導体レーザ素子11から出射されてコリメートレンズ12によって平行光化されたレーザ光が突起物22まで到達することをもって半導体光増幅器21の位置決めを行う方法である。
【0059】
その後、図6Dに示すように、基板201を筐体202の中に収容する。このとき、基板201上に配置された各構成部品に対して配線を施して電気的接続を確立してしまうことが好ましい。
【0060】
次に、図6Eに示すように、集光レンズ30を配置する。この集光レンズ30の配置工程は、半導体レーザ素子11から出射されてコリメートレンズ12によって平行光化されたレーザ光が半導体光増幅器21の導波路の入射端に集光させるための微調整を含んでいる。当該微調整は、半導体光増幅器21から出力されるレーザ光の強度をモニタしながら集光レンズ30の位置を微調整することで行うことができる。
【0061】
最後に、図6Fに示すように、波長ロッカー50を取り付け、さらに、結合光学系61と光ファイバ60とを取り付けて第2実施形態に係る半導体レーザモジュールが完成する。なお、波長ロッカー50の内部構成は先述の通りである。
【0062】
(第2の組み立て方法)
各構成部品を筐体内の基板上に順次配置する方法では、筐体内で作業を行うので、以下の工夫をすることが好ましいが、第1の組み立て方法と実質的に異なるものではない。したがって、ここでは、第1の組み立て方法とは異なる部分に着目して説明をする。
【0063】
最初に、図7Aに示すように、筐体202の内部に、LD用熱電素子41とSOA用熱電素子42とを配置し、LD用熱電素子41の上に、半導体レーザ素子11とコリメートレンズ12とを備えたLDサブマウント10を配置し、SOA用熱電素子42の上に第1ビームスプリッタ31とアイソレータ32とを配置する。
【0064】
そして、位置決め作業時に用いる観察用ミラーMを筐体202の内部に配置する。なお、観察用ミラーMの位置は、図に示される位置に限定されず、位置決め作業時に突起物を観察するのに適切な位置に配置すればよい。また、位置決め作業時に突起物を観察することが容易であれば、必ずしも観察用ミラーMを筐体202の内部に配置する必要はない。また、筐体202の一部に観察用の窓を設けるなどの別の手段によって代用することも可能である。
【0065】
そして、図7Bに示すように、半導体光増幅器21と突起物22とを備えるSOAサブマウント20をSOA用熱電素子42に位置決めしながら固定する。このときの位置決め方法は、先述したように、半導体レーザ素子11から出射されてコリメートレンズ12によって平行光化されたレーザ光が突起物22まで到達することをもって半導体光増幅器21の位置決めを行う方法である。上述のように、観察用ミラーMを筐体202の内部に配置してあるので、突起物22まで到達したレーザ光の反射や散乱を容易に確認することができる。
【0066】
その後、図7Cに示すように、観察用ミラーMを撤去し、集光レンズ30を配置する。この集光レンズ30の配置工程は、半導体レーザ素子11から出射されてコリメートレンズ12によって平行光化されたレーザ光が半導体光増幅器21の導波路の入射端に集光させるための微調整を含んでいる。
【0067】
最後に、図7Dに示すように、波長ロッカー50を取り付け、さらに、結合光学系61と光ファイバ60とを取り付けて第2実施形態に係る半導体レーザモジュールが完成する。
【0068】
(第3実施形態)
次に、突起物の位置が異なる第3実施形態に係る半導体レーザモジュールについて図8を用いて説明する。図8においては、簡単のために基板や集光レンズは図示を省略している。半導体レーザ素子11から出射されたレーザ光の光路L1の半導体光増幅器21の導波路の入射端24に関する延長線L3上には突起物はなく、SOAサブマウント20A上にある、延長線L3と平行な線L4上に突起物22が形成されている。延長線L3と平行な線L4との間の距離Dをあらかじめ測定しておき、SOAサブマウント20Aを突起物22によって位置決めした後、SOAサブマウント20Aをその距離Dだけ図面上側にシフトし、延長線L3と平行な線L4とを一致させて基板に固定する。これにより、半導体レーザ素子11から出射されたレーザ光の光路L1と、半導体光増幅器21の導波路の入射端24との容易な調芯が可能となる。
【0069】
以上、本発明を実施形態に基づいて説明したが、上記実施形態により本発明が限定されるものではない。上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明の範疇に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0070】
以上のように、本発明は、例えば光通信の分野に適用して好適なものである。
【符号の説明】
【0071】
100,200 半導体レーザモジュール
101,201 基板
202 筐体
10 LDサブマウント
11 半導体レーザ素子
12 コリメートレンズ
20、20A SOAサブマウント
21 半導体光増幅器
22 突起物
23 導波路
24 入射端
25 出射端
30 集光レンズ
31 第1ビームスプリッタ
32 アイソレータ
41 LD用熱電素子
42 SOA用熱電素子
50 波長ロッカー
51 第2ビームスプリッタ
52 第1受光素子
53 エタロンフィルタ
54 第2受光素子
60 光ファイバ
61 結合光学系
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図7A
図7B
図7C
図7D
図8