(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-28
(45)【発行日】2022-11-08
(54)【発明の名称】自閉症スペクトラム障害の予防または治療剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/423 20060101AFI20221031BHJP
A61K 31/428 20060101ALI20221031BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20221031BHJP
【FI】
A61K31/423
A61K31/428
A61P25/00
(21)【出願番号】P 2021069768
(22)【出願日】2021-04-16
(62)【分割の表示】P 2017560410の分割
【原出願日】2017-01-05
【審査請求日】2021-05-13
(32)【優先日】2016-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000002934
【氏名又は名称】武田薬品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(72)【発明者】
【氏名】平井 圭介
(72)【発明者】
【氏名】石川 崇
【審査官】高橋 樹理
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-541202(JP,A)
【文献】KUMAR, H. et al.,Benefits of agomelatine in behavioral, neurochemical and blood brain barrier alterations in prenatal,Neurochemistry International,2015年,Vol.91,p.34-45,ISSN 0197-0186
【文献】TORDJMAN, S. et al.,Advances in the Research of Melatonin in Autism Spectrum Disorders: Literature Review and New Perspe,International Journal of Molecular Sciences,2013年,Vol.14,p.20508-20542,ISSN 1422-0067
【文献】ROSSINGNOL, D.A. et al.,Melatonin in autism spectrum disorders: a systematic review and meta-analysis,Developmental Medicine & Child Neurology,2011年,Vol.53,p.783-792,ISSN 1469-8749
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトに対して0.03mg/kg体重の、
N-[2-(2-メチル-6,7-ジヒドロ-8H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イリデン)エチル]アセトアミド、
N-[2-(2-メチル-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
N-[2-(2-メチル-6,7-ジヒドロ-8H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イリデン)エチル]プロピオンアミド、
N-{2-[2-(4-フェニルブチル)-6,7-ジヒドロ-8H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イリデン]エチル}アセトアミド、
N-[2-(2-メチル-6,7-ジヒドロ-8H-インデノ[5,4-d][1,3]チアゾール-8-イリデン)エチル]アセトアミド、
N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
(R)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
(S)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]プロピオンアミド、
(R)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]プロピオンアミド、
(S)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]プロピオンアミド、
N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]チアゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
(R)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]チアゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
(S)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]チアゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
N-[2-(2-エチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
(R)-N-[2-(2-エチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
(S)-N-[2-(2-エチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
N-[2-(2-メトキシ-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
(R)-N-[2-(2-メトキシ-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、および
(S)-N-[2-(2-メトキシ-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド
から選ばれる化合物またはその塩
が、1日1回、14日間経口投与されるように用いられることを特徴とする、該化合物またはその塩を有効成分として含有する、自閉症スペクトラム障害の予防または治療剤。
【請求項2】
ヒトに対して0.03mg/kg体重の(S)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミドまたはその塩
が、1日1回、14日間経口投与されるように用いられることを特徴とする、(S)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミドまたはその塩を有効成分として含有する、自閉症スペクトラム障害の予防または治療剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メラトニン受容体親和性を有し得る化合物を含有する自閉症スペクトラム障害の予防または治療に有効であることが期待される薬剤に関する。
【0002】
(発明の背景)
自閉症スペクトラム障害は社会性障害(例、社会的コミュニケーション障害、対人相互反応障害など)、限定された反復的な様式(例、行動、興味、活動など)等を症状の特徴とする神経発達障害群の一つと言われている(非特許文献1)。現在はまだ治療方法は確立されていないが、薬剤の処方によって生活の改善を図っている。例えば、自閉症スペクトラム障害に伴う行動障害である攻撃的行動や自傷行動を防ごうという理由で、抗精神病薬が用いられるが、対症療法であり根治を目指すものではない。
従って、自閉症スペクトラム障害に有効な治療薬(特に、社会性障害に有効な薬剤)が医療の現場では待たれていた。
非特許文献2は、自閉症を伴う不眠症患者2名に、ラメルテオン(ramelteon)の睡眠障害治療効果を確認するためラメルテオンを投与したことを開示し、睡眠障害に関連した項目について評価している。
特許文献1は、5HTR剤等とラメルテオンの併用を開示し、適用用途として、自閉症を開示している。
特許文献2は、(S)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミドを開示している。
非特許文献3は、自閉症スペクトラム障害患者でメラトニンの量が減少しており、生体内のメラトニン合成に関与するASMTが関与することを示唆している。
非特許文献4は、自閉症患者の尿中のメラトニン代謝物(6-SM)が日中、夜間、一日を通じて減少している結果、夜間の尿中6-SM量と言語能力等の自閉症の重篤度が負の相関を示す結果、および日中の尿中6-SM量とIQスコア等が正の相関を示す結果を開示している。
非特許文献5は、自閉症スペクトラム障害及び脆弱性X(Fragile X)症候群を伴う子供の不眠症患者の睡眠障害で、メラトニンが睡眠障害に治療効果を有することを示唆している。
非特許文献6は、メラトニンの夜間投与により自閉症スペクトラム障害患者において、日中行動の改善が報告された試験が過去に6つあること等を報告している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】WO2007/134077
【文献】WO2007/148808
【非特許文献】
【0004】
【文献】Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, 5th Edition [DSM-5], p. 50-59
【文献】Stigler K. A., et., J Child Adolesc Psychopharmacol. 2006 Oct;16(5):631-6
【文献】Melke J et. al., Abnormal melatonin synthesis in autism spectrum disorders., Mol Psychiatry. 2008 Jan;13(1):90-8
【文献】Tordjman S et. al., Day and nighttime excretion of 6-sulphatoxymelatonin in adolescents and young adults with autistic disorder., Psychoneuroendocrinology. 2012 Dec;37(12):1990-7
【文献】Wirojanan J et. al., The efficacy of melatonin for sleep problems in children with autism, fragile X syndrome, or autism and fragile X syndrome., J Clin Sleep Med. 2009 Apr 15;5(2):145-50
【文献】Rossignol DA et. al., Melatonin in autism spectrum disorders: a systematic review and meta-analysis. Dev Med Child Neurol., 2011 Sep;53(9):783-92
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、メラトニン受容体親和性を有し得る化合物を含有する自閉症スペクトラム障害の予防または治療に有効であることが期待される薬剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、鋭意検討の結果、後述の本発明化合物が、自閉症スペクトラム障害の予防または治療に有効であり得る事を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
[1]N-[2-(2-メチル-6,7-ジヒドロ-8H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イリデン)エチル]アセトアミド、
N-[2-(2-メチル-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
N-[2-(2-メチル-6,7-ジヒドロ-8H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イリデン)エチル]プロピオンアミド、
N-{2-[2-(4-フェニルブチル)-6,7-ジヒドロ-8H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イリデン]エチル}アセトアミド、
N-[2-(2-メチル-6,7-ジヒドロ-8H-インデノ[5,4-d][1,3]チアゾール-8-イリデン)エチル]アセトアミド、
N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
(R)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
(S)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]プロピオンアミド、
(R)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]プロピオンアミド、
(S)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]プロピオンアミド、
N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]チアゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
(R)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]チアゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
(S)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]チアゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
N-[2-(2-エチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
(R)-N-[2-(2-エチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
(S)-N-[2-(2-エチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
N-[2-(2-メトキシ-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
(R)-N-[2-(2-メトキシ-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、および
(S)-N-[2-(2-メトキシ-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド
から選ばれる化合物またはその塩(本明細書中、「本発明化合物」と略記する場合がある)を有効成分として含有する、自閉症スペクトラム障害の予防または治療剤(本明細書中、「本発明の剤」と略記する場合がある);
[2](S)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミドまたはその塩を有効成分として含有する、自閉症スペクトラム障害の予防または治療剤;
[3]哺乳動物に対して、
(N-[2-(2-メチル-6,7-ジヒドロ-8H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イリデン)エチル]アセトアミド、
N-[2-(2-メチル-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
N-[2-(2-メチル-6,7-ジヒドロ-8H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イリデン)エチル]プロピオンアミド、
N-{2-[2-(4-フェニルブチル)-6,7-ジヒドロ-8H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イリデン]エチル}アセトアミド、
N-[2-(2-メチル-6,7-ジヒドロ-8H-インデノ[5,4-d][1,3]チアゾール-8-イリデン)エチル]アセトアミド、
N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
(R)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
(S)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]プロピオンアミド、
(R)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]プロピオンアミド、
(S)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]プロピオンアミド、
N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]チアゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
(R)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]チアゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
(S)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]チアゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
N-[2-(2-エチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
(R)-N-[2-(2-エチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
(S)-N-[2-(2-エチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
N-[2-(2-メトキシ-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
(R)-N-[2-(2-メトキシ-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、および
(S)-N-[2-(2-メトキシ-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド
から選ばれる化合物またはその塩を有効量投与することを特徴とする、自閉症スペクトラム障害の予防または治療方法;
[4]哺乳動物に対して、(S)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミドまたはその塩を有効量投与することを特徴とする、自閉症スペクトラム障害の予防または治療方法;
[5]自閉症スペクトラム障害の予防または治療剤として使用するための、
N-[2-(2-メチル-6,7-ジヒドロ-8H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イリデン)エチル]アセトアミド、
N-[2-(2-メチル-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
N-[2-(2-メチル-6,7-ジヒドロ-8H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イリデン)エチル]プロピオンアミド、
N-{2-[2-(4-フェニルブチル)-6,7-ジヒドロ-8H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イリデン]エチル}アセトアミド、
N-[2-(2-メチル-6,7-ジヒドロ-8H-インデノ[5,4-d][1,3]チアゾール-8-イリデン)エチル]アセトアミド、
N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
(R)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
(S)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]プロピオンアミド、
(R)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]プロピオンアミド、
(S)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]プロピオンアミド、
N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]チアゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
(R)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]チアゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
(S)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]チアゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
N-[2-(2-エチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
(R)-N-[2-(2-エチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
(S)-N-[2-(2-エチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
N-[2-(2-メトキシ-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
(R)-N-[2-(2-メトキシ-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、および
(S)-N-[2-(2-メトキシ-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド
から選ばれる化合物またはその塩;
[6]自閉症スペクトラム障害の予防または治療における使用のための、(S)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミドまたはその塩;
[7]自閉症スペクトラム障害の予防または治療剤を製造するための、
(N-[2-(2-メチル-6,7-ジヒドロ-8H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イリデン)エチル]アセトアミド、
N-[2-(2-メチル-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
N-[2-(2-メチル-6,7-ジヒドロ-8H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イリデン)エチル]プロピオンアミド、
N-{2-[2-(4-フェニルブチル)-6,7-ジヒドロ-8H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イリデン]エチル}アセトアミド、
N-[2-(2-メチル-6,7-ジヒドロ-8H-インデノ[5,4-d][1,3]チアゾール-8-イリデン)エチル]アセトアミド、
N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
(R)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
(S)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]プロピオンアミド、
(R)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]プロピオンアミド、
(S)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]プロピオンアミド、
N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]チアゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
(R)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]チアゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
(S)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]チアゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
N-[2-(2-エチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
(R)-N-[2-(2-エチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
(S)-N-[2-(2-エチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
N-[2-(2-メトキシ-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
(R)-N-[2-(2-メトキシ-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、および
(S)-N-[2-(2-メトキシ-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド
から選ばれる化合物またはその塩の使用;
[8]自閉症スペクトラム障害の予防または治療薬を製造するための、(S)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミドまたはその塩の使用;
などに関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、メラトニン受容体親和性を有し得る化合物を有効成分として含有し、自閉症スペクトラム障害の予防・治療に有効であることが期待される薬剤を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】ラットバルプロ酸暴露自閉症モデルの社会性障害に対する本発明化合物の効果(スニッフィングインデックス(Sniffing index)および物体 (無生物)の入ったシリンダーへのスニッフィング時間(Sniffing time to object))を示すグラフである。
【0009】
(発明の詳細な説明)
本発明化合物のなかでも、(S)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミドが好ましい。
【0010】
本発明化合物の塩としては、例えば薬理学的に許容される塩などが用いられる。例えば、無機塩基との塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性または酸性アミノ酸との塩などがあげられる。無機塩基との塩の好適な例としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、ならびにアルミニウム塩、アンモニウム塩などが挙げられる。有機塩基との塩の好適な例としては、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、2,6-ルチジン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N’-ジベンジルエチレンジアミンなどとの塩があげられる。無機酸との塩の好適な例としては、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸などとの塩が挙げられる。有機酸との塩の好適な例としては、例えばギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フタル酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸などとの塩があげられる。塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアルギニン、リジン、オルニチンなどとの塩が挙げられ、酸性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアスパラギン酸、グルタミン酸などとの塩があげられる。
中でも薬学的に許容可能な塩が好ましく、その例としては、本発明化合物内に塩基性官能基を有する場合には、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸などの無機酸との塩、例えば酢酸、フタル酸、フマル酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸などの有機酸との塩があげられ、酸性官能基を有する場合には、例えばナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩などがあげられる。
また、本発明化合物は、水和物であっても、非水和物であってもよい。
【0011】
本発明化合物は、自体公知の方法、例えば、2007年6月18日にPCT出願され公開されたWO2007/148808に記載の製造法またはそれに準じた方法に従って製造することができる。
【0012】
本発明化合物は、結晶であってもよく、結晶形が単一であっても結晶形混合物であっても本発明化合物に包含される。結晶は、自体公知の結晶化法を適用して、結晶化することによって製造することができる。
本発明化合物またはその塩は、薬学的に許容され得る共結晶または共結晶塩であってもよい。ここで、共結晶または共結晶塩とは、各々が異なる物理的特性(例えば、構造、融点、融解熱、吸湿性、溶解性および安定性等)を持つ、室温で二種またはそれ以上の独特な固体から構成される結晶性物質を意味する。共結晶または共結晶塩は、自体公知の共結晶化法に従い製造することができる。
本発明化合物は、溶媒和物(例えば、水和物)および無溶媒和物をその範囲内に包含する。なお、本発明化合物は、同位元素(例、2H、3H、11C、14C、18F、35S、125Iなど)などで標識または置換された化合物であってもよい。同位元素で標識または置換された化合物は、例えば、陽電子断層法(Positron Emission Tomography,PET)において使用するトレーサー(PETトレーサー)として用い得、医療診断などの分野において有用であり得る。
【0013】
本発明化合物が不斉中心を有する場合、エナンチオマーあるいはジアステレオマーなどの異性体が存在しうる。このような異性体およびそれらの混合物はすべて本発明の範囲内に包含される。また、コンホメーションあるいは互変異性による異性体が生成する場合があるが、このような異性体あるいはその混合物も本発明化合物に含まれる。
【0014】
なお、本発明化合物は置換基の種類如何によっては立体異性体が生ずるが、この異性体が単独の場合も、それらの混合物の場合も本発明に含まれる。
【0015】
本発明化合物はプロドラッグとして用いてもよい。本発明化合物のプロドラッグは、生体内における生理条件下で酵素、胃酸等による反応により本発明化合物に変換する化合物、すなわち酵素的に酸化、還元、加水分解等を起こして本発明化合物に変化する化合物、胃酸等により加水分解等を起こして本発明化合物に変化する化合物をいう。
【0016】
本発明化合物は、哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ヒツジ、サル、ヒトなど)に対して、自閉症スペクトラム障害[例、社会性障害(例、社会的コミュニケーション障害、対人相互反応障害など)を伴う自閉症スペクトラム障害、限定された反復的な様式(例、行動、興味、活動など)を伴う自閉症スペクトラム障害、広汎性発達障害、自閉症(例、小児自閉症、幼児自閉症、高機能自閉症、小児精神病、カナー症候群、非定型自閉症など)、レット(Rett)症候群、アスペルガー症候群(例、自閉性精神病質、統合失調質障害など)、小児期崩壊性障害(例、幼児性認知症、崩壊性精神病、ヘラー症候群、共生精神病など)、ダウン症候群、歌舞伎症候群、脆弱性X症候群、クリーフストラ(Kleefstra)症候群、ルビンシュタイン(Rubinstein)-タイビー(Taybi)症候群、神経線維腫症1型(NF1)、ヌーナン(Noonan)症候群、結節性硬化症、コフィン・ローリー症候群、ソトス症候群、スミス・マギニス症候群、ウィーバー症候群、コルネリア・デランゲ症候群、ベックウィズ・ヴィーデマン症候群、アンジェルマン症候群、5p症候群、4p症候群、18トリソミー症候群、13トリソミー症候群、常染色体異常症候群、CFC症候群、マルフィン症候群、コステロ症候群、チャージ症候群、ウェルドニッヒ・ホフマン病、デュボビッツ病、クーゲルベルグ・ウェランダー病、知的能力障害群(例、知的能力障害、全般的発達遅延、知恵遅れ、知能低格、精神薄弱、魯鈍、痴愚、白痴、知能欠陥など)、コミュニケーション障害群(例、言語症、語音症、小児期発症候流暢症、社会的コミュニケーション症など)、局所性学習障害、運動障害群(例、発達性協調運動症、常同運動症など)、チック障害群(例、タウレット症、持続性運動または音声チック症、暫定的チック症など)、学習障害(例、読字障害、算数障害、書字表出障害など)、選択性緘黙、境界知能、知能障害を伴う自閉症スペクトラム障害、言語障害を伴う自閉症スペクトラム障害、緊張症を伴う自閉症スペクトラム障害、他の神経発達症、精神疾患または行動障害(例、注意欠陥/多動性障害、協調運動障害、破壊的行動、衝動制御障害、行為障害、不安、抑うつ、双極性障害、チック症、トゥレット障害、攻撃行動、自傷行動、摂食障害、排泄障害、睡眠障害など)を伴う自閉症スペクトラム障害、てんかんを伴う自閉症スペクトラム障害]の予防・治療剤として有用であり得る。
【0017】
本発明化合物は、メラトニン受容体(MT1受容体、MT2受容体)に対し高い親和性を示し得る。本発明化合物は、メラトニンアゴニストとして作用し得、メラトニン受容体親和性組成物、特にメラトニン受容体作動薬として有用であり得るため、上記疾患に対して優れた治療効果が期待できる。
【0018】
なお、1995年9月11日にPCT出願され公開されたWO96/08466、1996年6月26日にPCT出願され公開されたWO97/01539、1996年7月25日にPCT出願され公開されたWO97/05098、1997年3月5日にPCT出願され公開されたWO97/32871、2007年12月7日にPCT出願され公開されたWO2008/069311、2007年12月27日にPCT出願され公開されたWO2008/084717、および2008年4月25日にPCT出願され公開されたWO2008/136382の出願明細書にそれぞれ記載されているメラトニン受容体親和性を有する化合物も上記に記載した疾患、具体的には自閉症スペクトラム障害などの予防、症状改善、進展抑制または治療に有用であり得る。
さらに、WO2007/148808に記載の式
【0019】
【0020】
〔式中、
R1は、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよいアミノ、置換基を有していてもよいヒドロキシまたは置換基を有していてもよい複素環基を示し;
R5は、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよいアミノ、置換基を有していてもよいヒドロキシまたは置換基を有していてもよいメルカプトを示し;
R6は、水素原子または置換基を有していてもよい炭化水素基を示し;
Xは、酸素原子または硫黄原子を示し;
mは0、1または2を示し;
環Aは置換基を有していてもよい5員環を示し;
環Bは置換基を有していてもよい6員環を示し;
環Cは置換基を有していてもよい5員環を示し;
【0021】
【0022】
は単結合または二重結合を示す。〕で表される化合物またはその塩(本明細書中、「化合物(I)」と略記する場合がある)も、自閉症スペクトラム障害の予防または治療に有用であり得る。
化合物(I)のなかでも、式
【0023】
【0024】
で表され、
R1が、置換基を有していてもよいC1-6アルキル、置換基を有していてもよいC3-6シクロアルキルまたは置換基を有していてもよいC2-6アルケニルであり;
R2が、水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基または置換基を有していてもよい複素環基であり;
R3が、水素原子、置換基を有していてもよいC1-6アルキル、置換基を有していてもよいC2-6アルケニルまたは置換基を有していてもよいアミノであり;
R4aおよびR4bが、それぞれ同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいヒドロキシまたは置換基を有していてもよいC1-6アルキルであり;
R5が、水素原子または置換基を有していてもよいC1-6アルキルであり;および
R6が、水素原子または置換基を有していてもよいC1-6アルキルである化合物またはその塩が好ましい。
【0025】
前記式中、
【0026】
【0027】
で表される環は、
【0028】
【0029】
を意味する。
化合物(I)のなかでも、特に式
【0030】
【0031】
〔式中、
R1aが、(a)C1-6アルキル-カルボニルオキシ、ヒドロキシおよびハロゲン原子から選ばれる1~3個の置換基を有していてもよいC1-6アルキル、(b)C3-6シクロアルキル、(c)フェニルまたは(d)モノ-もしくはジ-C1-6アルキルアミノであり;
R2aが水素原子またはC1-6アルキルであり;
R2bが水素原子またはヒドロキシであり;
R3aが、(a)水素原子、(b)フェニル、ヒドロキシ、ハロゲン原子、C1-6アルキル-カルボニル、C7-13アラルキルオキシおよびピリジルから選ばれる1~3個の置換基を有していてもよいC1-6アルキル、(c)C3-6シクロアルキル、(d)フェニル、(e)C1-6アルコキシ、(f)メルカプト、(g)C1-6アルキルチオまたは(h)モノ-もしくはジ-C1-6アルキルアミノである。〕
で表される化合物またはその塩が好ましい。
前記式中、
【0032】
【0033】
で表される環は、
【0034】
【0035】
を意味する。
【0036】
また、タシメルテオン(tasimelteon)、アゴメラチン、メラトニン徐放製剤、小児用メラトニン徐放製剤などの薬剤も自閉症スペクトラム障害の予防または治療に有用であり得る。
【0037】
本発明化合物は、水、日本薬局方溶出試験第2液、または日本薬局方崩壊試験第2液に対する溶解性に優れることが期待でき、体内動態(例、血中薬物半減期、脳内移行性、代謝安定性、CYP阻害)に優れることが期待でき、毒性が低いことが期待でき(例えば、急性毒性、慢性毒性、遺伝毒性、生殖毒性、心毒性、薬物相互作用、癌原性、光毒性等の点から医薬として、より優れている)、かつ副作用も少ないことが期待できる等の医薬品として優れた性質も有し得るので、哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ヒツジ、サル、ヒトなど)に対して、経口的、又は非経口的に安全に投与し得る。「非経口」には、静脈内、筋肉内、皮下、臓器内、鼻腔内、皮内、点眼、脳内、直腸内、膣内、腹腔内、腫瘍内部、腫瘍の近位などへの投与及び直接的な病巣への投与を含む。
【0038】
本発明の剤は、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、口腔内崩壊フィルムなどの固形製剤、シロップ剤、乳剤、注射剤などの液剤のいずれの形態であってもよい。
【0039】
本発明の剤は、その形態に応じて、例えば、混和、混練、造粒、打錠、コーティング、滅菌処理、乳化などの慣用の方法で製造し得る。なお、製剤の製造に関して、例えば日本薬局方製剤総則の各項などを参照し得る。また本発明の剤は、有効成分と生体内分解性高分子化合物とを含む徐放剤に成形してもよい。該徐放剤の調製は、特開平9-263545号公報に記載の方法に準じ得る。
【0040】
本発明の剤において、本発明化合物の含有量は、製剤の形態によって相違するが、通常、製剤全体(医薬全体)に対する本発明化合物またはその塩の量として0.01~100重量%、好ましくは0.1~50重量%、さらに好ましくは0.5~20重量%程度である。
【0041】
本発明化合物は、そのまま、或いは適宜の薬理学的に許容され得る担体、例えば、賦形剤(例えば、デンプン、乳糖、白糖、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムなど)、結合剤(例えば、デンプン、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース、アルギン酸、ゼラチン、ポリビニルピロリドンなど)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルクなど)、崩壊剤(例えば、カルボキシメチルセルロースカルシウム、タルクなど)、希釈剤(例えば、注射用水、生理食塩水など)、必要に応じて添加剤(例えば、安定剤、保存剤、着色剤、香料、溶解助剤、乳化剤、緩衝剤、等張化剤など)などと常法により混合し、散剤、細粒剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤などの固形剤または注射剤などの液剤の形態で経口的または非経口的に投与し得る。また、本発明化合物またはその塩は局所投与製剤に成形して投与すると関節疾患等の患部に直接投与し得る。この場合は、注射剤とするのが好ましい。局所投与用の非経口剤(例、筋肉内、皮下、臓器、関節部位などへの注射剤、埋め込み剤、顆粒剤、散剤等の固形製剤、懸濁剤等の液剤、軟膏剤等)などとして投与し得る。
【0042】
例えば、注射剤とするには、本発明化合物を分散剤(例、Tween 80、HCO-60等の界面活性剤、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ヒアルロン酸等の多糖類、ポリソルベート等)、保存剤(例、メチルパラベン、プロピルパラベン等)、等張化剤(例、塩化ナトリウム、マンニトール、ソルビトール、ブドウ糖等)、緩衝剤(例、炭酸カルシウム等)、pH調整剤(例、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム等)等と共に水性懸濁剤とすることにより実用的な注射用製剤が得られ得る。また、ゴマ油、コーン油などの植物油あるいはこれにレシチンなどのリン脂質を混合したもの、あるいは中鎖脂肪酸トリグリセリド(例、ミグリオール812等)と共に分散して油性懸濁剤として実際に使用し得る注射剤とし得る。
【0043】
本発明化合物の投与量は、投与対象、投与ルート、対象疾患、症状などによっても異なるが、例えば、成人に経口投与する場合、通常1回量として約0.01~100mg/kg体重、好ましくは0.1~50mg/kg体重、さらに好ましくは0.5~20mg/kg体重であり、この量を1日1回~3回投与し得る。
【0044】
本発明の剤は、医薬製剤の製造法として自体公知の方法(例、日本薬局方記載の方法等)に従って、本発明化合物を単独で、又は本発明化合物と薬理学的に許容される担体とを混合した医薬組成物として使用し得る。本発明の剤は、例えば錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠、舌下錠、口腔内崩壊錠、バッカル錠等を含む)、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤(ソフトカプセル剤、マイクロカプセル剤を含む)、トローチ剤、シロップ剤、液剤、乳剤、懸濁剤、放出制御製剤(例、速放性製剤、徐放性製剤、徐放性マイクロカプセル剤)、エアゾール剤、フィルム剤(例、口腔内崩壊フィルム、口腔粘膜貼付フィルム)、注射剤(例、皮下注射剤、静脈内注射剤、筋肉内注射剤、腹腔内注射剤)、点滴剤、経皮吸収型製剤、軟膏剤、ローション剤、貼付剤、坐剤(例、肛門坐剤、膣坐剤)、ペレット、経鼻剤、経肺剤(吸入剤)、点眼剤等の医薬組成物として、経口的又は非経口的(例、静脈内、筋肉内、皮下、臓器内、鼻腔内、皮内、点眼、脳内、直腸内、膣内、腹腔内、病巣等)に安全に投与し得る。
【0045】
前記の「薬理学的に許容される担体」としては、製剤素材(starting material)として慣用されている各種の有機あるいは無機担体が用いられ得る。例えば、固形製剤においては、賦形剤、滑沢剤、結合剤及び崩壊剤等が用いられ得、液状製剤においては、溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、及び無痛化剤等が用いられ得る。また必要に応じて、防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤等の製剤添加物を用い得る。
【0046】
賦形剤としては、例えば、乳糖、白糖、D-マンニトール、デンプン、コーンスターチ、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸等が挙げられる。
【0047】
滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、コロイドシリカ等が挙げられる。
【0048】
結合剤としては、例えば、結晶セルロース、白糖、D-マンニトール、デキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、デンプン、ショ糖、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等が挙げられる。
【0049】
崩壊剤としては、例えば、デンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、L-ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。
【0050】
溶剤としては、例えば、注射用水、アルコール、プロピレングリコール、マクロゴール、ゴマ油、トウモロコシ油、オリーブ油等が挙げられる。
【0051】
溶解補助剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D-マンニトール、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0052】
懸濁化剤としては、例えば、ステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリン等の界面活性剤;例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の親水性高分子等が挙げられる。
【0053】
等張化剤としては、例えば、ブドウ糖、D-ソルビトール、塩化ナトリウム、グリセリン、D-マンニトール等が挙げられる。
【0054】
緩衝剤としては、例えば、リン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩等の緩衝液等が挙げられる。
【0055】
無痛化剤としては、例えば、ベンジルアルコール等が挙げられる。
【0056】
防腐剤としては、例えば、パラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸等が挙げられる。
【0057】
抗酸化剤としては、例えば、亜硫酸塩、アスコルビン酸、α-トコフェロール等が挙げられる。
【0058】
医薬組成物は、剤型、投与方法、担体などにより異なるが、本発明化合物を製剤全量に対して通常0.01~100%(w/w)、好ましくは0.1~95%(w/w)の割合で添加することにより、常法に従って製造し得る。
【0059】
本発明化合物は、毒性が極めて低いことが期待でき、他の薬剤と組み合わせて、自閉症スペクトラム障害の予防または治療に用い得、このような他の薬剤との併用による優れた予防・治療効果が期待できる。また、かかる併用療法により他の自閉症スペクトラム障害の予防または治療剤の用量を下げて、これらが有する副作用を低減することも期待できる。
このような本発明化合物と組み合わせて用いられ得る薬剤(以下、併用薬剤と略記する)としては、例えば、「他の自閉症スペクトラム障害の予防または治療剤」(例、セロトニン・ドパミン拮抗薬(リスペリドン、オランザピン、クエチアピン、クロザピン、ジプラシドンなど)、ドパミン部分作動薬(アリピプラゾールなど)など)が挙げられる。
以下、本発明化合物と併用薬剤を併用して使用することを「本発明における併用剤」と称する。
【0060】
上記併用薬剤は、2種以上を適宜の割合で組み合せて用い得る。
本発明化合物が併用薬剤と組み合せて使用される場合には、お互いの剤の量は、それらの剤の反対効果を考えて安全な範囲内で低減し得る。したがって、これらの剤により引き起こされるであろう反対効果は安全に防止し得る。
本発明化合物は、非薬剤療法と併用し得る。ここで、非薬剤療法の具体例としては、(1)手術;(2)アンジオテンシンII等を用いる昇圧化学療法;(3)遺伝子療法;(4)温熱療法;(5)凍結療法;(6)レーザー焼灼法;(7)放射線療法;(8)免疫療法;(9)再生医療法;(10)細胞治療法;(11)精神療法または心理社会的療法が挙げられる。
【0061】
これらの併用薬剤は、フリー体であっても、医薬上許容される塩であってもよい。かかる塩としては、例えば、当該薬剤が酸性官能基を有する場合にはアルカリ金属塩(例、ナトリウム塩、カリウム塩など)、アルカリ土類金属塩(例、カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩など)などの無機塩、アンモニウム塩など、また、当該薬剤が塩基性官能基を有する場合には、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸などの無機酸との塩、または酢酸、フタル酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸などの有機酸との塩が挙げられる。なお、ここで例示した併用薬剤は、市販品にて容易に入手するか、または公知の方法に従って製造し得る。
【0062】
本発明化合物と、併用薬剤とを組み合わせて用いる場合、投与形態としては、例えば、
(1)本発明化合物と併用薬剤とを同時に製剤化して得られる単一の製剤の投与、
(2)本発明化合物と併用薬剤とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での同時投与、
(3)本発明化合物と併用薬剤とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での時間差をおいての投与、
(4)本発明化合物と併用薬剤とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での同時投与、
(5)本発明化合物と併用薬剤とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での時間差をおいての投与(例えば、本発明化合物→併用薬剤の順序での投与、あるいは逆の順序での投与)、
などが挙げられる。
患者の利便性の観点からは、本発明化合物と併用薬剤とを同時に製剤化して得られる単一の製剤の投与が、特に好ましい態様と言える。
【0063】
併用薬剤の投与量は、臨床上用いられている用量を基準として適宜選択し得る。また、本発明化合物と併用薬剤との配合比は、投与対象、投与ルート、症状、用いる併用薬剤の種類などにより適宜選択し得る。通常は、用いる併用薬剤の一般的な用量を基準にして決定し得る。投与対象がヒトである場合、例えば、本発明化合物1重量部に対し、併用薬剤を0.01~100重量部用い得る。
【0064】
本発明における併用剤は、本発明の剤と同様に、本発明化合物又は(及び)上記併用薬剤とを薬理学的に許容される担体とを混合した医薬組成物として使用し得る。
【0065】
本発明における併用剤における本発明化合物と併用薬剤との配合比は、投与対象、投与ルート、対象疾患、症状、組み合わせ等により適宜選択し得る。
例えば、本発明における併用剤における本発明化合物の含有量は、製剤の形態によって相違するが、通常製剤全体に対して約0.01~100重量%、好ましくは約0.1~50重量%、さらに好ましくは約0.5~20重量%程度である。
【0066】
本発明における併用剤における併用薬剤の含有量は、製剤の形態によって相違するが、通常製剤全体に対して約0.01~100重量%、好ましくは約0.1~50重量%、さらに好ましくは約0.5~20重量%程度である。
【0067】
本発明における併用剤における担体等の添加剤の含有量は、製剤の形態によって相違するが、通常製剤全体に対して約1~99.99重量%、好ましくは約10~90重量%程度である。
【0068】
また、本発明化合物及び併用薬剤をそれぞれ別々に製剤化する場合も同様の含有量でよい。
【実施例】
【0069】
本発明は、更に以下の製造例、実施例および製剤例によって詳しく説明されるが、これらの例は単なる製造例、実施例または製剤例であって、本発明を限定するものではない。
【0070】
以下の製造例の化合物は、自体公知の方法、例えば、2007年6月18日にPCT出願され公開されたWO2007/148808に記載の参考例および実施例またはそれに準じた方法に従って製造することができる。
【0071】
以下の実施例および製剤例において、(S)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド(製造例12の化合物)を化合物Aという。
【0072】
製造例1
N-[2-(6,7-ジヒドロ-8H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イリデン)エチル]アセトアミド
【0073】
【0074】
製造例2
N-[2-(6,7-ジヒドロ-8H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イリデン)エチル]プロピオンアミド
【0075】
【0076】
製造例3
N-[2-(2-メチル-6,7-ジヒドロ-8H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イリデン)エチル]アセトアミド
【0077】
【0078】
製造例4
N-[2-(2-メチル-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド
【0079】
【0080】
製造例5
N-[2-(2-メチル-6,7-ジヒドロ-8H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イリデン)エチル]プロピオンアミド
【0081】
【0082】
製造例6
N-{2-[2-(4-フェニルブチル)-6,7-ジヒドロ-8H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イリデン]エチル}アセトアミド
【0083】
【0084】
製造例7
N-{2-[2-(4-フェニルブチル)-6,7-ジヒドロ-8H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イリデン]エチル}プロピオンアミド
【0085】
【0086】
製造例8
N-[2-(2-メチル-6,7-ジヒドロ-8H-インデノ[5,4-d][1,3]チアゾール-8-イリデン)エチル]アセトアミド
【0087】
【0088】
製造例9
N-[2-(7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド
【0089】
【0090】
製造例10
N-[2-(7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]プロピオンアミド
【0091】
【0092】
製造例11
N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド
【0093】
【0094】
製造例12
(S)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド
【0095】
【0096】
製造例13
(R)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド
【0097】
【0098】
製造例14
N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]プロピオンアミド
【0099】
【0100】
製造例15
(S)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]プロピオンアミド
【0101】
【0102】
製造例16
(R)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]プロピオンアミド
【0103】
【0104】
製造例17
N-{2-[2-(4-フェニルブチル)-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル]エチル}アセトアミド
【0105】
【0106】
製造例18
N-{2-[2-(4-フェニルブチル)-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル]エチル}プロピオンアミド
【0107】
【0108】
製造例19
N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]チアゾール-8-イル)エチル]アセトアミド
【0109】
【0110】
製造例20
(S)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]チアゾール-8-イル)エチル]アセトアミド
【0111】
【0112】
製造例21
(R)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]チアゾール-8-イル)エチル]アセトアミド
【0113】
【0114】
製造例22
N-[2-(2-エチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド
【0115】
【0116】
製造例23
N-{2-[2-(ヒドロキシメチル)-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル]エチル}アセトアミド
【0117】
【0118】
製造例24
N-[2-(2-イソプロピル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド
【0119】
【0120】
製造例25
N-{2-[2-(トリフルオロメチル)-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル]エチル}アセトアミド
【0121】
【0122】
製造例26
N-{2-[2-(4-ヒドロキシブチル)-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル]エチル}アセトアミド
【0123】
【0124】
製造例27
N-{2-[2-(3-ヒドロキシブチル)-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル]エチル}アセトアミド
【0125】
【0126】
製造例28
N-{2-[2-(3-オキソブチル)-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル]エチル}アセトアミド
【0127】
【0128】
製造例29
N-[2-(2-シクロプロピル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド
【0129】
【0130】
製造例30
N-[2-(2-フェニル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド
【0131】
【0132】
製造例31
N-[2-(2-ベンジル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド
【0133】
【0134】
製造例32
N-{2-[2-(2-フェニルエチル)-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル]エチル}アセトアミド
【0135】
【0136】
製造例33
N-{2-[2-(3-フェニルプロピル)-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル]エチル}アセトアミド
【0137】
【0138】
製造例34
N-(2-{2-[(ベンジルオキシ)メチル]-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル}エチル)アセトアミド
【0139】
【0140】
製造例35
N-(2-{2-[4-(ベンジルオキシ)ブチル]-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル}エチル)アセトアミド
【0141】
【0142】
製造例36
N-(2-{2-[3-(ベンジルオキシ)ブチル]-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル}エチル)アセトアミド
【0143】
【0144】
製造例37
N-{2-[2-(4-ピリジン-2-イルブチル)-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル]エチル}アセトアミド
【0145】
【0146】
製造例38
N-[2-(2-メトキシ-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド
【0147】
【0148】
製造例39
N-{2-[2-(メチルチオ)-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル]エチル}アセトアミド
【0149】
【0150】
製造例40
N-{2-[2-(ジメチルアミノ)-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル]エチル}アセトアミド
【0151】
【0152】
製造例41
1-メチル-2-{[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アミノ}-2-オキソエチル アセタート
【0153】
【0154】
製造例42
2-ヒドロキシ-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]プロパンアミド
【0155】
【0156】
製造例43
N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]シクロプロパンカルボキサミド
【0157】
【0158】
製造例44
N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]ベンズアミド
【0159】
【0160】
製造例45
2,2,2-トリフルオロ-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド
【0161】
【0162】
製造例46
1-エチル-3-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]尿素
【0163】
【0164】
製造例47
N-[2-(2-メルカプト-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド
【0165】
【0166】
製造例48
N-[2-(8-ヒドロキシ-7-イソプロピル-2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド
【0167】
【0168】
製造例49
N-[2-(7-イソプロピル-2-メチル-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド
【0169】
【0170】
実施例1
ラットバルプロ酸暴露自閉症モデルの社会性障害に対する本発明化合物の効果
試験には、ラット胎生期バルプロ酸暴露自閉症モデルを使用した。Sprague-Dawley系妊娠ラットの胎生期12.5日目にバルプロ酸ナトリウム(VPA)500 mg/kg(mpk)を腹腔内投与した。産仔は生後21日に離乳し、雄性ラットのみ実験に使用した。離乳後の3週齢から1日1回18時に化合物A(0.2または1 mg/kg) を14日間経口投与し、5週齢で行動試験を行った。見知らぬラット(Stranger rat)は、同系統、同週齢の購入した雄性ラットを使用し、被験ラット(test rat)と試験日までコンタクトが一切ないようにした。
実験には、黒色プラスチック製3チャンバー実験装置(90×60×34 cm、各チャンバー30×60×34 cm) を使用した。各チャンバーの仕切りは、透明プラスチック製で、下部には10×12 cm の開口部を作り、この開口部を通ってラットが各コンパートメント間を自由に行き来できるようにした。実験装置内の左右のコンパートメントには、透明アクリル製のシリンダー (直径12 cm、高さ25 cm、側面に直径1.5 cmの穴が等間隔で開いている、黒色半球状金属製蓋付) 各1個を設置し、直接見知らぬラットとコンタクト出来ないようにした。
試験当日、被験ラットおよび見知らぬラットは試験環境へ1時間以上馴化後、試験を開始した。3チャンバー装置は左右のコンパートメントに進入できないよう開口部のない透明仕切り板を置き、中央のコンパートメントに被験ラットを5分間入れた。5分経過後、一方のシリンダーに見知らぬラット、もう一方のシリンダーに物体(object) (白球体) を入れ、開口部のない透明仕切り板を静かに外し、被験ラットが左右のコンパートメントに自由に行き来出来るようにした。目視により各シリンダーへのスニッフィング(sniffing)(物体や動物を嗅ぐ行動)時間を10分間計測した。別な動物に対する興味を示す指標であるスニッフィングインデックス(Sniffing index)は、10分間の各シリンダーへのスニッフィング時間を基に下記に示した式を用いて算出した。結果を
図1に示す。
スニッフィングインデックス = ((見知らぬラットの入ったシリンダーへのスニッフィング時間 (sec)) - (物体の入ったシリンダーへのスニッフィング時間 (sec))) / ((見知らぬラットの入ったシリンダーへのスニッフィング時間 (sec)) + (物体の入ったシリンダーへのスニッフィング時間 (sec)))
社会性行動(Sociability)試験において、胎生期バルプロ酸暴露ラットはコントロールに比して別な動物に対する興味を示す指標であるスニッフィングインデックスの有意 (
***P
< 0.001) な低下、および物体 (無生物) を入れたシリンダーへのスニッフィング時間の有意 (
**P
< 0.01) な増加を示し、社会性障害が認められた。それらに対して、化合物A (0.2または1 mg/kg) の慢性投与は、有意 (
#P
< 0.025) な社会性の改善効果を示した。
化合物Aの慢性投与はラット胎生期バルプロ酸暴露自閉症モデルの社会性障害に対して有効性を示した。
【0171】
製剤例1
流動層造粒乾燥機中で化合物A 160g、乳糖4064g、およびトウモロコシデンプン640gを均一に混合後、機内でヒドロキシプロピルセルロース160gを溶解した水溶液を噴霧して造粒し、ついで同機で乾燥する。得られた造粒物をパワーミルを用い、1.5mmφパンチングスクリーンで解砕して整粒末とする。この整粒末を3894gとり、これにトウモロコシデンプン124gとステアリン酸マグネシウム12.4gを加え、混合して打錠用顆粒とする。この顆粒を打錠機で7.0mmφの杵を用いて重量130mgに打錠し素錠とする。得られた素錠はフィルムコーティング機中で酸化チタン、黄色三二酸化鉄を分散したヒドロキシプロピルメチルセルロース2910、コポリビドン溶液を噴霧し、1錠当たり化合物Aを4mg含有する表1に示す処方のフィルム錠、約25000錠を得る。
【0172】
【産業上の利用可能性】
【0173】
本発明によれば、メラトニン受容体親和性を有し得る化合物を有効成分として含有し、自閉症スペクトラム障害の予防・治療に有効であることが期待される薬剤を提供できる。
【0174】
本出願は、米国で出願された仮出願第62/276,354号を基礎としており、その内容は本明細書にすべて包含されるものである。