(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-28
(45)【発行日】2022-11-08
(54)【発明の名称】せん妄の予防または治療剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/423 20060101AFI20221031BHJP
A61K 31/428 20060101ALI20221031BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20221031BHJP
【FI】
A61K31/423
A61K31/428
A61P25/00
(21)【出願番号】P 2021069771
(22)【出願日】2021-04-16
(62)【分割の表示】P 2017560411の分割
【原出願日】2017-01-05
【審査請求日】2021-05-13
(32)【優先日】2016-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000002934
【氏名又は名称】武田薬品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(72)【発明者】
【氏名】マハブレッシュウォーカー、アテュル アール
(72)【発明者】
【氏名】西村 章
【審査官】高橋 樹理
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-541202(JP,A)
【文献】OHTA, T. et al.,Melatonin Receptor Agonists for Treating Delirium in Elderly Patients with Acute Stroke,Journal of Stroke and Cerebrovascular Diseases,2013年,Vol.22, No.7,p.1107-1110,ISSN 1052-3057
【文献】TSUDA, A. et al.,Ramelteon for the Treatment of Delirium Elderly Patients: A Consecutive Case Series Study,The International Journal of Psychiatry in Medicine,2014年,Vol.47, No.2,p.97-104,ISSN 0091-2174
【文献】FURUTA, M. et al.,Marked Improvement in Deliriuim with Ramelteon: Five Case Reports,Psychogeriatrics,Vol.12,2012年,p.259-262,ISSN 1479-8301
【文献】HATTA, K. et al.,Preventive Effects of Ramelteon on Delirium, A Randomized Placebo-Controlled Trial,JAMA Psychiatry,2014年,Vol.71, No.4,p.397-403,ISSN 2168-622X
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトに対して0.02mg/kg体重の、
N-[2-(2-メチル-6,7-ジヒドロ-8H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イリデン)エチル]アセトアミド、
N-[2-(2-メチル-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
N-[2-(2-メチル-6,7-ジヒドロ-8H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イリデン)エチル]プロピオンアミド、
N-{2-[2-(4-フェニルブチル)-6,7-ジヒドロ-8H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イリデン]エチル}アセトアミド、
N-[2-(2-メチル-6,7-ジヒドロ-8H-インデノ[5,4-d][1,3]チアゾール-8-イリデン)エチル]アセトアミド、
N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
(R)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
(S)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]プロピオンアミド、
(R)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]プロピオンアミド、
(S)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]プロピオンアミド、
N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]チアゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
(R)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]チアゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
(S)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]チアゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
N-[2-(2-エチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
(R)-N-[2-(2-エチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
(S)-N-[2-(2-エチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
N-[2-(2-メトキシ-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
(R)-N-[2-(2-メトキシ-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、および
(S)-N-[2-(2-メトキシ-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド
から選ばれる化合物またはその塩
が、1日1回、7日間経口投与されるように用いられることを特徴とする、該化合物またはその塩を有効成分として含有する、せん妄の予防または治療剤。
【請求項2】
ヒトに対して0.02mg/kg体重の(S)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミドまたはその塩
が、1日1回、7日間経口投与されるように用いられることを特徴とする、(S)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミドまたはその塩を有効成分として含有する、せん妄の予防または治療剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メラトニン受容体親和性を有し得る化合物を含有するせん妄の予防または治療に有効であることが期待される薬剤に関する。
【0002】
(発明の背景)
せん妄は注意障害(注意の方向付け、集中、維持、転換する能力の低下)、意識障害(環境に対する見当識の低下)、認知障害(例、記憶欠損、失見当識、言語、空間認知、知覚)等を症状の特徴とする神経認知障害群の一つと言われている。また、これらの症状が短期間のうちに出現し、もととなる注意および意識水準からの変化を示し、さらに一日の経過中で重症度が変動する傾向があるといわれている。入院中の患者での発症はまれでなく、14から24%の患者に認められ、一般の入院患者が入院中にせん妄を生じる確率は6から56%といわれている。また術後の高齢患者では15から53%、集中治療室の高齢患者では70から87%の患者でせん妄が生じるといわれている。加えて養護施設や後急性期医療の患者では60%以上、寿命末期の患者では83%以上の患者でせん妄が生じるといわれている。さらに、入院中のせん妄患者の死亡率は高く、40%ものせん妄患者が診断されてから1年で亡くなるといわれている(非特許文献1)。
従って、介護する家族や医療現場にとってはせん妄の症状で悩まされる事が多く、せん妄を予防または治療する医薬の開発が望まれている。
また、せん妄の発生の背景として、入院患者のおかれている環境が患者の概日リズムを乱し、その結果せん妄を引き起こしていることが示唆されている。概日リズムを調節するメラトニンの投与や光療法がせん妄の発生を抑制するといった報告があり、概日リズムを調整したり、内因性のメラトニンのレベルを上昇させるような治療がせん妄の抑制には有効であるのではないかと考えられている(非特許文献2)。
非特許文献3は、ラメルテオン(ramelteon)を高齢者に臨床で投与し、せん妄の予防効果を検証し、ラメルテオンのせん妄の予防効果について示唆している。
非特許文献4は、ラメルテオンをせん妄と診断した5患者に投与し、当該5患者では翌日にせん妄の症状が回復した事例を報告し、ラメルテオンのせん妄治療への使用について示唆している。
非特許文献5は、過去のラメルテオンまたはラメルテオンのせん妄の予防または処置に関係する論文等を調査している。2つのラメルテオン試験で高齢者のせん妄の予防または処置に一定の効果を示唆した試験があり、1つのラメルテオン試験で高齢者せん妄の予防を示唆した試験があることを報告している。
非特許文献6は、ラメルテオンを65歳以上の急性心不全および不眠で入院する7人の患者に投与した際の、せん妄の治療効果を報告し、急性心不全を患う高齢者のせん妄の治療にメラトニン受容体作動薬が効果的であることを示唆している。
非特許文献7は、ラメルテオンを65歳以上の心不全等でせん妄を引き起こした10患者に投与した際、6患者でせん妄の改善が見られたことを報告し、ラメルテオンが高齢者のせん妄治療でメラトニンに変わる安全で有用な選択となることを示唆している。
非特許文献8は、ラメルテオンをせん妄を引き起こした3患者に投与し、せん妄の治療効果を検証し、ラメルテオンがせん妄の治療に有用である可能性を示唆している。
非特許文献9は、メラトニンを脊髄麻酔による股関節置換手術前後の患者に投与し、せん妄の予防または治療効果を有することを示唆している。
特許文献1は、(S)-N-[2-(1,6,7,8-テトラヒドロ-2H-インデノ[5,4-b]フラン-8-イル)エチル]プロピオンアミド(ラメルテオン)の認知症に伴う夜間の行動障害の予防または治療剤としての用途を開示している。
特許文献2は、(S)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミドを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】WO2006/107027
【文献】WO2007/148808
【非特許文献】
【0004】
【文献】Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, 5th Edition [DSM-5], p. 50-59
【文献】Fitzgerald, J.M., et. al., Med. Hypotheses, 81 (4) (2013), p. 568-76
【文献】Kotaro Hatta, et. al., JAMA Psychiatry. 2014;71(4):397-403
【文献】Motohide Furuya, et. al., Psychogeriatrics. 2012;12:259-262
【文献】Dwaipayan Chakraborti, et. al., American Journal of Alzheimer's Disease & Other Dementias. 2015;30(2):119-129
【文献】Tsuyoshi Ohta, et. al., Journal of Stroke and Cerebrovascular Disease. 2013;22(7):1107-1110
【文献】Akihiro Tsuda, et. al., Int'l. J. Psychiatry In. Medicine. 2014;47(2):97-104
【文献】Ryo Kimura, et. al., General Hospital Psychiatry. 2011;33:407-409
【文献】Sherif S. Sultan, et. al., Saudi Journal of Anaesthesia. 2010;4(3):169-173
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、メラトニン受容体親和性を有し得る化合物を含有するせん妄の予防または治療に有効であることが期待される薬剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、鋭意検討の結果、後述の本発明化合物が、せん妄の予防または治療に有効であり得る事を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
[1]N-[2-(2-メチル-6,7-ジヒドロ-8H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イリデン)エチル]アセトアミド、
N-[2-(2-メチル-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
N-[2-(2-メチル-6,7-ジヒドロ-8H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イリデン)エチル]プロピオンアミド、
N-{2-[2-(4-フェニルブチル)-6,7-ジヒドロ-8H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イリデン]エチル}アセトアミド、
N-[2-(2-メチル-6,7-ジヒドロ-8H-インデノ[5,4-d][1,3]チアゾール-8-イリデン)エチル]アセトアミド、
N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
(R)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
(S)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]プロピオンアミド、
(R)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]プロピオンアミド、
(S)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]プロピオンアミド、
N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]チアゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
(R)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]チアゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
(S)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]チアゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
N-[2-(2-エチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
(R)-N-[2-(2-エチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
(S)-N-[2-(2-エチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
N-[2-(2-メトキシ-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
(R)-N-[2-(2-メトキシ-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、および
(S)-N-[2-(2-メトキシ-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド
から選ばれる化合物またはその塩(本明細書中、「本発明化合物」と略記する場合がある)を有効成分として含有する、せん妄の予防または治療剤(本明細書中、「本発明の剤」と略記する場合がある);
[2](S)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミドまたはその塩を有効成分として含有する、せん妄の予防または治療剤;
[3]哺乳動物に対して、
(N-[2-(2-メチル-6,7-ジヒドロ-8H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イリデン)エチル]アセトアミド、
N-[2-(2-メチル-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
N-[2-(2-メチル-6,7-ジヒドロ-8H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イリデン)エチル]プロピオンアミド、
N-{2-[2-(4-フェニルブチル)-6,7-ジヒドロ-8H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イリデン]エチル}アセトアミド、
N-[2-(2-メチル-6,7-ジヒドロ-8H-インデノ[5,4-d][1,3]チアゾール-8-イリデン)エチル]アセトアミド、
N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
(R)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
(S)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]プロピオンアミド、
(R)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]プロピオンアミド、
(S)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]プロピオンアミド、
N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]チアゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
(R)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]チアゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
(S)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]チアゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
N-[2-(2-エチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
(R)-N-[2-(2-エチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
(S)-N-[2-(2-エチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
N-[2-(2-メトキシ-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
(R)-N-[2-(2-メトキシ-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、および
(S)-N-[2-(2-メトキシ-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド
から選ばれる化合物またはその塩を有効量投与することを特徴とする、せん妄の予防または治療方法;
[4]哺乳動物に対して、(S)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミドまたはその塩を有効量投与することを特徴とする、せん妄の予防または治療方法;
[5]せん妄の予防または治療剤として使用するための、
N-[2-(2-メチル-6,7-ジヒドロ-8H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イリデン)エチル]アセトアミド、
N-[2-(2-メチル-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
N-[2-(2-メチル-6,7-ジヒドロ-8H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イリデン)エチル]プロピオンアミド、
N-{2-[2-(4-フェニルブチル)-6,7-ジヒドロ-8H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イリデン]エチル}アセトアミド、
N-[2-(2-メチル-6,7-ジヒドロ-8H-インデノ[5,4-d][1,3]チアゾール-8-イリデン)エチル]アセトアミド、
N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
(R)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
(S)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]プロピオンアミド、
(R)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]プロピオンアミド、
(S)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]プロピオンアミド、
N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]チアゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
(R)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]チアゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
(S)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]チアゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
N-[2-(2-エチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
(R)-N-[2-(2-エチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
(S)-N-[2-(2-エチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
N-[2-(2-メトキシ-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
(R)-N-[2-(2-メトキシ-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、および
(S)-N-[2-(2-メトキシ-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド
から選ばれる化合物またはその塩;
[6]せん妄の予防または治療における使用のための、(S)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミドまたはその塩;
[7]せん妄の予防または治療薬を製造するための、
(N-[2-(2-メチル-6,7-ジヒドロ-8H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イリデン)エチル]アセトアミド、
N-[2-(2-メチル-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
N-[2-(2-メチル-6,7-ジヒドロ-8H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イリデン)エチル]プロピオンアミド、
N-{2-[2-(4-フェニルブチル)-6,7-ジヒドロ-8H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イリデン]エチル}アセトアミド、
N-[2-(2-メチル-6,7-ジヒドロ-8H-インデノ[5,4-d][1,3]チアゾール-8-イリデン)エチル]アセトアミド、
N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
(R)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
(S)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]プロピオンアミド、
(R)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]プロピオンアミド、
(S)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]プロピオンアミド、
N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]チアゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
(R)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]チアゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
(S)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]チアゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
N-[2-(2-エチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
(R)-N-[2-(2-エチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
(S)-N-[2-(2-エチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
N-[2-(2-メトキシ-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、
(R)-N-[2-(2-メトキシ-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド、および
(S)-N-[2-(2-メトキシ-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド
から選ばれる化合物またはその塩の使用;
[8]せん妄の予防または治療薬を製造するための、(S)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミドまたはその塩の使用;
などに関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、メラトニン受容体親和性を有し得る化合物を有効成分として含有し、せん妄の予防・治療に有効であることが期待される薬剤を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】Clock変異マウスにおける化合物Aの回転かご運動に対する効果を示す(実施例1)。
【
図2】Clock変異マウスにおける化合物Aの運動開始時間に対する効果を示す(実施例1)。
【
図3】Clock変異マウスにおける化合物Aの回転かご運動に対する効果を示す(実施例2)。
【
図4】Clock変異マウスにおける化合物Aの運動開始時間に対する効果を示す(実施例2)。
【
図5】ラットにおける化合物Aの夜間血漿メラトニン濃度に対する効果を示す。
【0009】
(発明の詳細な説明)
本発明化合物のなかでも、(S)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミドが好ましい。
【0010】
本発明化合物の塩としては、例えば薬理学的に許容される塩などが用いられる。例えば、無機塩基との塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性または酸性アミノ酸との塩などがあげられる。無機塩基との塩の好適な例としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、ならびにアルミニウム塩、アンモニウム塩などが挙げられる。有機塩基との塩の好適な例としては、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、2,6-ルチジン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N’-ジベンジルエチレンジアミンなどとの塩があげられる。無機酸との塩の好適な例としては、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸などとの塩が挙げられる。有機酸との塩の好適な例としては、例えばギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フタル酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸などとの塩があげられる。塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアルギニン、リジン、オルニチンなどとの塩が挙げられ、酸性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアスパラギン酸、グルタミン酸などとの塩があげられる。
中でも薬学的に許容可能な塩が好ましく、その例としては、本発明化合物内に塩基性官能基を有する場合には、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸などの無機酸との塩、例えば酢酸、フタル酸、フマル酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸などの有機酸との塩があげられ、酸性官能基を有する場合には、例えばナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩などがあげられる。
また、本発明化合物は、水和物であっても、非水和物であってもよい。
【0011】
本発明化合物は、自体公知の方法、例えば、2007年6月18日にPCT出願され公開されたWO2007/148808に記載の製造法またはそれに準じた方法に従って製造することができる。
【0012】
本発明化合物は、結晶であってもよく、結晶形が単一であっても結晶形混合物であっても本発明化合物に包含される。結晶は、自体公知の結晶化法を適用して、結晶化することによって製造することができる。
本発明化合物またはその塩は、薬学的に許容され得る共結晶または共結晶塩であってもよい。ここで、共結晶または共結晶塩とは、各々が異なる物理的特性(例えば、構造、融点、融解熱、吸湿性、溶解性および安定性等)を持つ、室温で二種またはそれ以上の独特な固体から構成される結晶性物質を意味する。共結晶または共結晶塩は、自体公知の共結晶化法に従い製造することができる。
本発明化合物は、溶媒和物(例えば、水和物)および無溶媒和物をその範囲内に包含する。なお、本発明化合物は、同位元素(例、2H、3H、11C、14C、18F、35S、125Iなど)などで標識または置換された化合物であってもよい。同位元素で標識または置換された化合物は、例えば、陽電子断層法(Positron Emission Tomography,PET)において使用するトレーサー(PETトレーサー)として用い得、医療診断などの分野において有用であり得る。
【0013】
本発明化合物が不斉中心を有する場合、エナンチオマーあるいはジアステレオマーなどの異性体が存在しうる。このような異性体およびそれらの混合物はすべて本発明の範囲内に包含される。また、コンホメーションあるいは互変異性による異性体が生成する場合があるが、このような異性体あるいはその混合物も本発明化合物に含まれる。
【0014】
なお、本発明化合物は置換基の種類如何によっては立体異性体が生ずるが、この異性体が単独の場合も、それらの混合物の場合も本発明に含まれる。
【0015】
本発明化合物はプロドラッグとして用いてもよい。本発明化合物のプロドラッグは、生体内における生理条件下で酵素、胃酸等による反応により本発明化合物に変換する化合物、すなわち酵素的に酸化、還元、加水分解等を起こして本発明化合物に変化する化合物、胃酸等により加水分解等を起こして本発明化合物に変化する化合物をいう。
【0016】
本発明化合物は、哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ヒツジ、サル、ヒトなど)に対して、中枢疾患の予防または治療剤として用い得る。
例えば、
(1)せん妄[例、注意障害を伴うせん妄、意識障害を伴うせん妄、認知障害(例、記憶欠損、失見当識、言語、空間認知、知覚など)を伴うせん妄、物質中毒せん妄(例、アルコール、大麻、フェンシンクリジン、幻覚薬、吸入剤、オピオイド、鎮痛薬、睡眠薬、抗不安薬、アンフェタミン、精神刺激、コカイン、デキサメタゾンなど)、物質離脱せん妄(例、アルコール、大麻、フェンシンクリジン、幻覚薬、吸入剤、オピオイド、鎮痛薬、睡眠薬、抗不安薬、アンフェタミン、精神刺激、コカインなど)、医薬品誘発性せん妄(例、アルコール、大麻、フェンシンクリジン、幻覚薬、吸入剤、オピオイド、鎮痛薬、睡眠薬、抗不安薬、アンフェタミン、精神刺激、コカインなど)、医学的疾患によるせん妄(例、肝性脳症など)、急性せん妄、持続性せん妄、過活動型せん妄、低活動型せん妄、活動水準混合型せん妄、弱いせん妄症候群、認知障害を伴わないせん妄、亜急性感染症性精神病、亜急性器質性反応、亜急性器質精神症候群、亜急性脳症候群、急性感染症性精神病、急性器質性反応、急性器質精神症候群、急性錯乱状態、急性脳症候群、非アルコール性急性錯乱状態、夜間せん妄、老人性夜間せん妄、術後せん妄、術後認知機能障害、特定不能のせん妄(例、断眠に起因する特定不能のせん妄など)]、
(2)精神疾患[例、うつ病、大うつ病(認知機能障害を伴う、不安性の苦痛を伴う、混合症の特徴を伴う、急性交代型、メランコリアの特徴を伴う、非定型の特徴を伴う、気分に一致する精神病性の特徴を伴う、気分に一致しない精神病性の特徴を伴う、緊張病を伴う、周産期発症、季節型など)、双極性障害(例、双極1型障害(例、躁病エピソード、軽躁病エピソード、抑うつエピソード、不安性の苦痛を伴う、混合症の特徴を伴う、急性交代型、メランコリアの特徴を伴う、気分に一致する精神病性の特徴を伴う、気分に一致しない精神病性の特徴を伴う、緊張病を伴う、周産期発症、季節型など)、双極2型障害(例、軽躁病エピソード、抑うつエピソード、不安性の苦痛を伴う、混合症の特徴を伴う、急性交代型、メランコリアの特徴を伴う、非定型の特徴を伴う、気分に一致する精神病性の特徴を伴う、気分に一致しない精神病性の特徴を伴う、緊張病を伴う、周産期発症、季節型など)、気分循環性障害(例、不安性の苦痛を伴う、混合症の特徴を伴うなど)、物質・医薬品誘発性双極性障害(例、中毒中の発症、解脱中の発症など)など)、物質・医薬品誘発性抑うつ障害、気分変調障害、情動障害(季節性情動障害など)、重篤気分調節症、再発性うつ病、産後うつ病、ストレス性障害、うつ症状、躁病、躁病エピソード、うつ病エピソード、軽躁病、季節的憂鬱病、粘液水腫瘍性精神障害、マッドハッター症候群、悲嘆、哀悼、反復性うつ病性障害、持続性気分障害、気分障害、不安、全般性不安障害、不安症候群(例、分離不安症、局所性恐怖症、社交不安症、パニック障害、パニック発作、広場恐怖症、全般不安症、物質・医薬品誘発性不安症など)、恐怖症、社会性恐怖症、社会性不安障害、強迫性障害および関連症群(例、脅迫症、醜形恐怖症、ためこみ症、抜毛症、皮膚むしり症など)、恐怖症性不安障害、重度ストレス反応および適応障害、解離性障害(例、解離性同一症、解離性健忘症、解離性とん走、離人感現実感消失症、混合性解離症状の慢性および反復性症候群、長期及び集中的な威圧的説得による同一性の混乱、ストレスの強い出来事に対する急性解離反応、解離性トランス、ガンザー症候群、回復記憶症候群など)、身体症状症および関連症群(例、身体症状症、病気不安症、変換症、作為症、想像妊娠など)、身体表現性障害(例、身体化障害、性転換障害、心気症、身体醜形障害、疼痛性障害など)、心的外傷後ストレス症候群、外傷後ストレス障害、反応性アタッチメント障害、脱抑制型対人交流障害、急性ストレス障害、類適応障害、持続性複雑死別障害、適応障害、双極性うつ病、神経症、統合失調症(例、陽性症状、陰性症状、認知機能障害など)、統合失調症スペクトラム障害(例、パーソナリティ障害、妄想性障害、短期精神病性障害、統合失調症様障害、統合失調感情障害、物質・医薬品誘発性精神病障害など)、減弱精神病症候群、持続性妄想性障害、急性一過性精神病性障害、感応性妄想性障害、統合失調感情障害、非器質性精神病性障害、カプグラ症候群、コタール症候群、アモク、アタケ・デ・ネルビオス、ビリス、急性錯乱、脳疲労、ダート、意識喪失、記憶喪失、悪霊病、憤怒症候群、コロ、ラター、ロクラ、マル・デ・オホ、ネルビオス、ピブロクト、気功精神病、ルートワーク、眠れる血、神経衰弱、腎虚、シン・ビュン、スペル、ススト、対人恐怖症、ザー、慢性疲労症候群、不安神経症、強迫神経症、恐慌性障害、てんかん、不安症状、不快精神状態、情緒異常、感情循環気質、神経過敏症、失神、耽溺、性機能不全群(例、射精遅延、インポテンス、女性オルガズム障害、女性の性的関心興奮障害、性器骨盤挿入障害、性欲低下、早漏、物質・医薬品誘発性性機能不全、性欲欠如、過剰性欲など)、多動性障害、注意欠陥障害、注意欠陥多動性障害(ADHD)、活動性および注意の障害、他動性行為障害、行為障害(例、反抗挑戦性障害など)、行為および情緒の混合性障害(抑うつ性行為障害など)、情緒障害、社会的機能障害、精神病性大うつ病、難治性大うつ病、治療抵抗性うつ病、月経前不快気分障害、排泄症群(例、遺尿症、遺糞症など)、性別違和(例、小児の性別違和、青年及び成人の性別違和など)、秩序破壊的・衝動制御・素行症群(例、反抗挑発症、間欠爆発症、素行症、放火症、窃盗症、病的賭博、買い物脅迫、インターネット嗜癖、脅迫的性行動など)、虚偽性障害(例、ミュンヒハウゼン症候群など)、詐病、パーソナリティ障害群(例、猜疑性パーソナリティ障害、シゾイドパーソナリティ障害、統合失調型パーソナリティ障害、反社会性パーソナリティ障害、境界性パーソナリティ障害、演技性パーソナリティ障害、自己愛性パーソナリティ障害、回避性パーソナリティ障害、依存性パーソナリティ障害、強迫性パーソナリティ障害など)、パラフィリア障害群(例、窃視障害、露出障害、窃触障害、性的マゾヒズム障害、性的サディズム障害、小児性愛障害、フェティシズム障害、異性装障害など)]、
(3)神経変性疾患[例、アルツハイマー病、アルツハイマー型老人性認知症、パーキンソン病、ハンチントン病、多発脳梗塞性認知症、前頭側頭認知症、パーキンソン型前頭側頭認知症、進行性核上麻痺、ピック症候群、ニーマン-ピック症候群、大脳皮質基底核変成症、ダウン症候群、血管性認知症、脳炎後のパーキンソン病、レヴィー小体型認知症、HIV性認知症、筋萎縮性脊髄側索硬化症(ALS)、運動神経原性疾患(MND)、クロイツフェルト・ヤコブ病又はプリオン病、脳性麻痺、進行性核上麻痺、多発性硬化症、脊髄小脳変性症(例、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症など)、脳外傷に付随する神経変性、脳卒中に付随する神経変性、脳梗塞に付随する神経変性、低血糖に付随する神経変性、てんかん発作に付随する神経変性、神経毒中毒症に付随する神経変性、脳腫瘍に付随する神経変性、多系統萎縮症、血管性認知症(例、多発性梗塞性認知症、ビン スワンガー病など)、アルコール性認知症または他の薬物関連認知症、頭蓋内腫瘍または脳外傷に付随する認知症、ハンチントン病またはパーキンソン病に付随する認知症、認知症の行動心理症状(BPSD)(例、せん妄、弄便、妄想、幻覚、錯覚、日没症候群など)]、
(4)疼痛[例、神経因性疼痛(例、有痛性神経障害、糖尿病性ニューロパチー、ヘルペス後神経痛、帯状疱疹後疼痛、バックペイン、三叉神経痛、手根管症候群、幻肢痛、脊髄損傷など)、慢性疼痛(例、癌性疼痛など)、炎症性疼痛、線維筋痛症、滑液包炎、腱炎、筋肉痛、関節疾患(例、シャルコー関節、変形性関節症、関節リウマチ、椎間板ヘルニアなど)、慢性頭痛、非定型顔面痛、慢性腹痛、しびれ、麻痺、かゆみ、痛覚過敏、片頭痛、群発頭痛、痛覚脱失]、
(5)加齢に伴う認知・記憶障害[例、加齢性記憶障害、老人性認知症]、
(6)睡眠障害[例、内在因性睡眠障害(例、精神生理性不眠など)、外在因性睡眠障害、概日リズム障害(例、時間帯域変化症候群(時差ボケ)、交代勤務睡眠障害、不規則型睡眠覚醒パターン、睡眠相後退症候群、睡眠相前進症候群、非24時間睡眠覚醒など)、睡眠時随伴症(例、ノンレム睡眠からの覚醒障害(例、睡眠時遊行症、睡眠時驚愕症、悪夢症、レム睡眠行動障害、睡眠時の歯ぎしり、寝言、律動性運動障害など)、レストレスレッグス症候群、物質・医薬品誘発性睡眠障害など)、内科又は精神科障害(例、慢性閉塞性肺疾患、アルツハイマー病、パーキンソン病、脳血管性痴呆、統合失調症、うつ病、不安神経症など)に伴う睡眠障害、ストレス性不眠症、不眠症(例、原発性不眠症など)、不眠性神経症、ナルコレプシー、カタプレキシー、睡眠時無呼吸症候群(例、閉塞性睡眠時無呼吸低呼吸、中枢性睡眠時無呼吸(例、特発性中枢性睡眠時無呼吸、チェーンストークス呼吸、オピオイド使用に並存する中枢性睡眠時無呼吸など)、睡眠関連低喚起(例、特発性低換気、先天性中枢性肺胞低換気、中枢性肺胞低換気、併存性睡眠関連低換気など)など)、過眠症(例、原発性過眠症など)、睡眠麻痺、周期性四肢運動障害、夜間ミオクローネス、クライネ・レヴィン症候群、月経関連症候群、非回復性睡眠、睡眠酩酊、高地不眠症、錯乱性覚醒、睡眠ひきつけ、夜間下肢こむらがえり、睡眠関連勃起障害、睡眠関連疼痛性勃起、レム睡眠関連洞停止、夜尿症、夜間発作性ジストニア、睡眠関連異常嚥下症候群、いびき、睡眠関連群発性頭痛、睡眠関連片頭痛、睡眠関連ぜんそく、睡眠関連心血管症状(例、心律動障害、うっ血性心不全、弁疾患、血圧変動など)、睡眠関連胃食道逆流、食道裂孔ヘルニア、睡眠関連溶血]、
(7)麻酔薬、外傷性疾患、又は神経変性疾患などに起因する呼吸抑制、
(8)てんかん(例、ドラベ(Dravet)症候群など)、外傷性脳損傷、脳卒中、神経性食欲不振、摂食障害(例、反芻症、回避制限性食物摂取症、神経性やせ症、神経性過食症、過食性障害、非定型性神経性やせ症、排出性障害、夜間食行動異常症候群など)、クッシング病、その他の摂食障害、アルコール依存症、アルコール乱用、アルコール性健忘症、アルコール妄想症、アルコール嗜好性、アルコール離脱、アルコール性精神病、アルコール中毒、アルコール性嫉妬、アルコール性躁病、アルコール依存性精神障害、アルコール精神病、薬物嗜好、薬物恐怖症、薬物狂、薬物離脱、急性中毒、薬物依存、薬物乱用、依存症候群、せん妄を伴う離脱症状、神経遮断薬悪性症候群、精神病性障害、健忘症候群、残遺性および遅発性精神病性障害、ジストニア、アカシジア、ジスキネジア、姿勢振戦、高熱症候群、パーキソニズム、球脊髄性筋萎縮症、脊髄性筋萎縮症(SMA)、原発性側索硬化症(PLS)、神経有棘赤血球症、シャルコー・マリー・トゥース病(CMT)、重症筋無力症、先天性筋無力症候群、視神経脊髄炎、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、封入体筋炎、クロウ・深瀬症候群、多系統萎縮症(MSA)、ライソゾーム病、副腎白質ジストロフィー、ミトコンドリア病、亜急性硬化性全脳炎、進行性多巣性白質脳症、HTLV1関連脊髄症、特発性基底核石灰化症、全身性アミロイドーシス、ウルリッヒ病、ウィリス動脈輪閉塞症、遠位型ミオパチー、ベスレムミオパチー、自己貪食空胞性ミオパチー、ダノン病、X連鎖性ミオパチー、シュワルツ・ヤンペル症候群、先天性ミオパチー、マリネスコ・シェーグレン症候群、筋ジストロフィー、ジストロフィー性ミオトニー症候群、遺伝性周期性四肢麻痺、アトピー性脊髄炎、脊髄空洞症、脊髄髄膜瘤、アイザックス症候群、神経フェリチン症、脳表ヘモジデリン沈着症、ペリー症候群、前頭側頭葉変性症、ビッカースタッフ脳幹脳炎、痙攣重積型急性脳症、先天性無痛無汗症、アレキサンダー病、メビウス症候群、ドモルシア症候群、アイカルディ症候群、片側巨脳症、限局性皮質異形成、神経細胞移動異常症、先天性大脳白質形成不全症、スタージ・ウェーバー症候群、有馬症候群、モワット・ウィルソン症候群、ATRX症候群、ロスムンド・トムソン症候群、コフィン・シリス症候群、プラダー・ウィリ症候群、ヤング・シンプソン症候群、1p36欠失症候群、第14番染色体父親性ダイソミー症候群、エマヌエル症候群、ペルオキシソーム病、黄斑ジストロフィー、片頭痛、ストレス性頭痛、緊張性頭痛、筋肉痙攣、メニエール病、自律神経失調症、脱毛症、緑内障、難聴、心臓病、頻脈、うっ血性心不全、過呼吸、気管支喘息、無呼吸、乳幼児突然死症候群、炎症性疾患、アレルギー疾患、インポテンス、更年期障害、不妊症、癌、HIV感染による免疫不全症候群、ストレスによる免疫不全症候群、脳脊髄膜炎、末端肥大症、失禁、メタボリック・シンドローム、骨粗しょう症、消化性潰瘍、過敏性腸症候群、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、ストレス性胃腸障害、神経性嘔吐、下痢、便秘、術後イレウス、中枢神経損傷(例、頭部外傷、脊髄損傷、むち打ち症など)、虚血性の中枢神経障害(例、脳梗塞、脳出血、脳浮腫など)、高インスリン血症、肥満、糖尿病(例、1型糖尿病、2型糖尿病など)、糖尿病合併症(例、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経症、糖尿病性腎症など)、高TG血症(高脂血症)、高血圧、循環器系疾患〔例、虚血性心疾患(例、心筋梗塞、狭心症など)、脳卒中、動脈硬化症、PTCA後の動脈再狭窄など〕、下部尿路の疾患または障害(例、排尿障害、尿失禁など)、生殖および神経内分泌疾患、痙攣、免疫調節、排卵調整(例、避妊など)、癌(例、脳腫瘍、下垂体腺腫、神経膠腫、聴神経鞘腫、網膜肉腫、甲状腺癌、咽頭癌、喉頭癌、舌癌、胸腺腫、中皮腫、乳癌、肺癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、胃癌、食道癌、十二指腸癌、大腸癌、結腸癌、直腸癌、肝臓癌、肝細胞癌、膵癌、膵内分泌腫瘍、胆管癌、胆嚢癌、陰茎癌、腎臓癌、腎盂癌、尿管癌、腎細胞癌、精巣腫瘍、前立腺癌、膀胱癌、外陰癌、子宮癌、子宮頚部癌、子宮体部癌、子宮肉腫、絨毛性疾患、膣癌、卵巣癌、卵巣胚細胞腫瘍、皮膚癌、悪性黒色腫、菌状息肉症、基底細胞腫、軟部肉腫、悪性リンパ腫、ホジキン病、骨髄異形成症候群、多発性骨髄腫、白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、成人T細胞白血病、慢性骨髄増殖性疾患、膵内分泌腫瘍、線維性組織球腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、原発不明癌など)等の疾患の予防・治療剤として有用であり得る。
【0017】
本発明化合物は、特に、せん妄の疾患の予防・治療剤として有用であり得る。
【0018】
本発明化合物は、メラトニン受容体(MT1受容体、MT2受容体)に対し高い親和性を示し得る。本発明化合物は、メラトニンアゴニストとして作用し得、メラトニン受容体親和性組成物、特にメラトニン受容体作動薬として有用であり得るため、上記疾患に対して優れた治療効果が期待できる。
【0019】
なお、1995年9月11日にPCT出願され公開されたWO96/08466、1996年6月26日にPCT出願され公開されたWO97/01539、1996年7月25日にPCT出願され公開されたWO97/05098、1997年3月5日にPCT出願され公開されたWO97/32871、2007年12月7日にPCT出願され公開されたWO2008/069311、2007年12月27日にPCT出願され公開されたWO2008/084717、および2008年4月25日にPCT出願され公開されたWO2008/136382の出願明細書にそれぞれ記載されているメラトニン受容体親和性を有する化合物も上記に記載した疾患、具体的にはせん妄などの予防、症状改善、進展抑制または治療に有用であり得る。
さらに、WO2007/148808に記載の式
【0020】
【0021】
〔式中、
R1は、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよいアミノ、置換基を有していてもよいヒドロキシまたは置換基を有していてもよい複素環基を示し;
R5は、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよいアミノ、置換基を有していてもよいヒドロキシまたは置換基を有していてもよいメルカプトを示し;
R6は、水素原子または置換基を有していてもよい炭化水素基を示し;
Xは、酸素原子または硫黄原子を示し;
mは0、1または2を示し;
環Aは置換基を有していてもよい5員環を示し;
環Bは置換基を有していてもよい6員環を示し;
環Cは置換基を有していてもよい5員環を示し;
【0022】
【0023】
は単結合または二重結合を示す。〕で表される化合物またはその塩(本明細書中、「化合物(I)」と略記する場合がある)も、上記に記載した疾患、具体的にはせん妄の予防または治療に有用であり得る。
化合物(I)のなかでも、式
【0024】
【0025】
で表され、
R1が、置換基を有していてもよいC1-6アルキル、置換基を有していてもよいC3-6シクロアルキルまたは置換基を有していてもよいC2-6アルケニルであり;
R2が、水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基または置換基を有していてもよい複素環基であり;
R3が、水素原子、置換基を有していてもよいC1-6アルキル、置換基を有していてもよいC2-6アルケニルまたは置換基を有していてもよいアミノであり;
R4aおよびR4bが、それぞれ同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいヒドロキシまたは置換基を有していてもよいC1-6アルキルであり;
R5が、水素原子または置換基を有していてもよいC1-6アルキルであり;および
R6が、水素原子または置換基を有していてもよいC1-6アルキルである化合物またはその塩が好ましい。
【0026】
前記式中、
【0027】
【0028】
で表される環は、
【0029】
【0030】
を意味する。
化合物(I)のなかでも、特に式
【0031】
【0032】
〔式中、
R1aが、(a)C1-6アルキル-カルボニルオキシ、ヒドロキシおよびハロゲン原子から選ばれる1~3個の置換基を有していてもよいC1-6アルキル、(b)C3-6シクロアルキル、(c)フェニルまたは(d)モノ-もしくはジ-C1-6アルキルアミノであり;
R2aが水素原子またはC1-6アルキルであり;
R2bが水素原子またはヒドロキシであり;
R3aが、(a)水素原子、(b)フェニル、ヒドロキシ、ハロゲン原子、C1-6アルキル-カルボニル、C7-13アラルキルオキシおよびピリジルから選ばれる1~3個の置換基を有していてもよいC1-6アルキル、(c)C3-6シクロアルキル、(d)フェニル、(e)C1-6アルコキシ、(f)メルカプト、(g)C1-6アルキルチオまたは(h)モノ-もしくはジ-C1-6アルキルアミノである。〕
で表される化合物またはその塩が好ましい。
前記式中、
【0033】
【0034】
で表される環は、
【0035】
【0036】
を意味する。
【0037】
また、タシメルテオン(tasimelteon)、アゴメラチン、メラトニン徐放製剤、小児用メラトニン徐放製剤などの薬剤も、上記に記載した疾患、具体的にはせん妄などの予防または治療に有用であり得る。
【0038】
本発明化合物は、水、日本薬局方溶出試験第2液、または日本薬局方崩壊試験第2液に対する溶解性に優れることが期待でき、体内動態(例、血中薬物半減期、脳内移行性、代謝安定性、CYP阻害)に優れることが期待でき、毒性が低いことが期待でき(例えば、急性毒性、慢性毒性、遺伝毒性、生殖毒性、心毒性、肝毒性、薬物相互作用、癌原性、光毒性等の点から医薬として、より優れている)、かつ副作用も少ないことが期待できる等の医薬品として優れた性質も有し得る。従って、本発明化合物は、哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ヒツジ、サル、ヒトなど)に対して、経口的、又は非経口的に安全に投与し得る。「非経口」には、静脈内、筋肉内、皮下、臓器内、鼻腔内、皮内、点眼、脳内、直腸内、膣内、腹腔内、腫瘍内部、腫瘍の近位などへの投与及び直接的な病巣への投与を含む。
【0039】
本発明の剤は、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、口腔内崩壊フィルムなどの固形製剤、シロップ剤、乳剤、注射剤などの液剤のいずれの形態であってもよい。
【0040】
本発明の剤は、その形態に応じて、例えば、混和、混練、造粒、打錠、コーティング、滅菌処理、乳化などの慣用の方法で製造し得る。なお、製剤の製造に関して、例えば日本薬局方製剤総則の各項などを参照し得る。また本発明の剤は、有効成分と生体内分解性高分子化合物とを含む徐放剤に成形してもよい。該徐放剤の調製は、特開平9-263545号公報に記載の方法に準じ得る。
【0041】
本発明の剤において、本発明化合物の含有量は、製剤の形態によって相違するが、通常、製剤全体(医薬全体)に対する本発明化合物またはその塩の量として0.01~100重量%、好ましくは0.1~50重量%、さらに好ましくは0.5~20重量%程度である。
【0042】
本発明化合物は、そのまま、或いは適宜の薬理学的に許容され得る担体、例えば、賦形剤(例えば、デンプン、乳糖、白糖、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムなど)、結合剤(例えば、デンプン、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース、アルギン酸、ゼラチン、ポリビニルピロリドンなど)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルクなど)、崩壊剤(例えば、カルボキシメチルセルロースカルシウム、タルクなど)、希釈剤(例えば、注射用水、生理食塩水など)、必要に応じて添加剤(例えば、安定剤、保存剤、着色剤、香料、溶解助剤、乳化剤、緩衝剤、等張化剤など)などと常法により混合し、散剤、甘味剤、細粒剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤などの固形剤または注射剤などの液剤の剤形に加工し、経口的または非経口的に安全に投与し得る。また、本発明化合物を局所投与製剤に成形すると、関節疾患等の患部に直接投与し得る。この場合は、注射剤とするのが好ましい。当該化合物は、局所投与用の非経口剤(例、筋肉内注射剤、皮下注射剤、臓器注射剤、関節などの近位への注射剤、埋め込み剤、顆粒剤、散剤等の固形製剤、懸濁剤等の液剤、軟膏剤等)などとして投与し得る。
【0043】
例えば、注射剤とするには、本発明化合物を分散剤(例、Tween 80、HCO-60等の界面活性剤、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ヒアルロン酸等の多糖類、ポリソルベート等)、保存剤(例、メチルパラベン、プロピルパラベン等)、等張化剤(例、塩化ナトリウム、マンニトール、ソルビトール、ブドウ糖等)、緩衝剤(例、炭酸カルシウム等)、pH調整剤(例、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム等)等と共に水性懸濁剤とすることにより実用的な注射用製剤が得られ得る。また、当該化合物を、ゴマ油、コーン油などの植物油あるいはこれにレシチンなどのリン脂質を混合したもの、あるいは中鎖脂肪酸トリグリセリド(例、ミグリオール812等)と共に分散して油性懸濁剤を得、実際に使用し得る注射剤とし得る。
【0044】
本発明化合物の投与量は、投与対象、投与ルートおよび症状によって異なるが、特に限定されない。例えば、せん妄の成人患者(体重約40~80kg、例えば、60kg)に経口投与する場合、本発明化合物として1日当たり、例えば、0.001~1000mg/kg体重、好ましくは0.01~100mg/kg体重、さらに好ましくは0.1~10mg/kg体重である。この量を1日1回~3回投与し得る。
【0045】
本発明の剤は、医薬製剤の製造法として自体公知の方法(例、日本薬局方記載の方法等)に従って、本発明化合物を単独で、又は本発明化合物と薬理学的に許容される担体とを混合して、例えば錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠、舌下錠、口腔内崩壊錠、バッカル錠等を含む)、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤(ソフトカプセル剤、マイクロカプセル剤を含む)、トローチ剤、シロップ剤、液剤、乳剤、懸濁剤、放出制御製剤(例、速放性製剤、徐放性製剤、徐放性マイクロカプセル剤)、エアゾール剤、フィルム剤(例、口腔内崩壊フィルム、口腔粘膜貼付フィルム)、注射剤(例、皮下注射剤、静脈内注射剤(例、ボーラス)、筋肉内注射剤、腹腔内注射剤)、点滴剤、経皮吸収型製剤、軟膏剤、ローション剤、貼付剤、坐剤(例、肛門坐剤、膣坐剤)、ペレット、経鼻剤、経肺剤(吸入剤)、点眼剤等の医薬組成物として、経口的又は非経口的(例、静脈内、筋肉内、皮下、臓器内、鼻腔内、皮内、点眼、脳内、直腸内、膣内、腹腔内投与、および病巣への投与)に安全に投与し得る。
【0046】
前記の「薬理学的に許容される担体」としては、製剤素材(starting material)として慣用されている各種の有機あるいは無機担体が用いられ得る。例えば、固形製剤においては、賦形剤、滑沢剤、結合剤及び崩壊剤等が用いられ得、液状製剤においては、溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、及び無痛化剤等が用いられ得る。必要に応じて、防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤等の製剤添加物を用い得る。
【0047】
賦形剤としては、例えば、乳糖、白糖、D-マンニトール、デンプン、コーンスターチ、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸等が挙げられる。
【0048】
滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、コロイドシリカ等が挙げられる。
【0049】
結合剤としては、例えば、結晶セルロース、白糖、D-マンニトール、デキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、デンプン、ショ糖、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等が挙げられる。
【0050】
崩壊剤としては、例えば、デンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、L-ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。
【0051】
溶剤としては、例えば、注射用水、等張食塩水、5%デキストロース、アルコール、プロピレングリコール、マクロゴール、ゴマ油、トウモロコシ油、オリーブ油等が挙げられる。
【0052】
溶解補助剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D-マンニトール、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0053】
懸濁化剤としては、例えば、ステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリン等の界面活性剤;例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の親水性高分子等が挙げられる。
【0054】
等張化剤としては、例えば、ブドウ糖、D-ソルビトール、塩化ナトリウム、グリセリン、D-マンニトール等が挙げられる。
【0055】
緩衝剤としては、例えば、リン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩等の緩衝液等が挙げられる。
【0056】
無痛化剤としては、例えば、ベンジルアルコール等が挙げられる。
【0057】
防腐剤としては、例えば、パラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸等が挙げられる。
【0058】
抗酸化剤としては、例えば、亜硫酸塩、アスコルビン酸、α-トコフェロール等が挙げられる。
【0059】
医薬組成物は、剤型、投与方法、担体などにより異なるが、本発明化合物を製剤全量に対して通常0.01~100%(w/w)、好ましくは0.1~95%(w/w)の割合で添加することにより、常法に従って製造し得る。
【0060】
本発明化合物は、毒性が極めて低いことが期待でき、他の薬剤と組み合わせて、せん妄の予防または治療に用い得、このような他の薬剤との併用による優れた予防・治療効果が期待できる。また、かかる併用療法により他の薬剤の用量を下げて、これらが有する副作用を低減することも期待できる。
このような本発明化合物と組み合わせて用いられ得る薬剤(以下、併用薬剤と略記する)としては、以下が挙げられる。
ベンゾジアゼピン(クロルジアゼポキシド、ジアゼパム、クロラゼブ酸カリウム、ロラゼパム、クロナゼパム、アルプラゾラム等)、L-型カルシウムチャネル阻害薬(プレガバリン等)、三環性又は四環性抗うつ薬(塩酸イミプラミン、塩酸アミトリプチリン、塩酸デシプラミン、塩酸クロミプラミン等)、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(マレイン酸フルボキサミン、塩酸フロキセチン、臭酸シタロプラム、塩酸セルトラリン、塩酸パロキセチン、シュウ酸エスシタロプラム等)、セロトニン-ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(塩酸ベンラファキシン、塩酸ドュロキセチン、塩酸デスベンラファキシン等)、ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(メシル酸レボキセチン等)、ミルタザピン、塩酸トラゾドン、塩酸ネファゾドン、塩酸ブプロピオン、マレイン酸セチプチリン、5-HT1A作動薬、(塩酸ブスピロン、クエン酸タンドスピロン、塩酸オセモゾタン等)、5-HT3拮抗薬(シアメマジン等)、心臓選択的ではないβ阻害薬(塩酸プロプラノロール、塩酸オキシプレノロール等)、ヒスタミンH1拮抗薬(塩酸ヒドロキシジン等)、統合失調症治療薬(クロルプロマジン、ハロペリドール、スルプリド、クロザピン、塩酸トリフルオペラジン、塩酸フルフェナジン、オランザピン、フマル酸クエチアピン、リスペリドン、アリピプラゾール等)、CRF拮抗薬、その他の抗不安薬(メプロバメート等)、タキキニン拮抗薬(アプレピタント(Aprepitant)、サレデュタント等)、代謝型グルタミン酸受容体に作用する薬剤、CCK拮抗薬、β3アドレナリン拮抗薬(塩酸アミベグロン等)、GAT-1阻害薬(塩酸チアガビン等)、N-型カルシウムチャネル阻害薬、2型炭酸脱水素酵素阻害薬、NMDAグリシン部位作動薬、NMDA拮抗薬(メマンチン等)、末梢性ベンゾジアゼピン受容体作動薬、バソプレッシン拮抗薬、バソプレッシンV1b拮抗薬、バソプレッシンV1a拮抗薬、ホスホジエステラーゼ阻害薬、オピオイド拮抗薬、オピオイド作動薬、ウリジン、ニコチン酸受容体作動薬、チロイドホルモン(T3、T4)、TSH、TRH、MAO阻害薬(硫酸フェネルジン、硫酸トラニルシプロミン、モクロベミド等)、5-HT2A拮抗薬、5-HT2A逆作動薬、COMT阻害薬(エンタカポン等)、双極性障害治療薬(炭酸リチウム、バルプロ酸ナトリウム、ラモトリジン、リルゾール、フェルバメート等)、カンナビノイドCB1拮抗薬(リモナバント等)、FAAH阻害薬、ナトリウムチャネル阻害薬、抗ADHD薬(塩酸メチルフェニデート、塩酸メタンフェタミン等)、アルコール依存症治療薬、自閉症治療薬、慢性疲労症候群治療薬、痙攣治療薬、線維筋痛症治療薬、頭痛治療薬、不眠症治療薬(エチゾラム、ゾピクロン、トリアゾラム、ゾルピデム、ラメルテオン、インジプロン等)、禁煙のための治療薬、重症筋無力症治療薬、脳梗塞治療薬、躁病治療薬、過眠症治療薬、疼痛治療薬、気分変調症治療薬、自律神経失調症治療薬、男性及び女性の性機能障害治療薬、片頭痛治療薬、病的賭博治療薬、下肢静止不能症候群治療薬、物質依存症治療薬、アルコール関連症の治療薬、過敏性腸症候群治療薬、アルツハイマー病治療薬(ドネペジル、ガランタミン等)、パーキンソン病治療薬、ハンチントン舞踏病の治療薬、ALS治療薬(リルゾール等、神経栄養因子等)、コレステロール低下薬のような脂質異常症治療薬(スタチンシリーズ(プラバスタチンナトリウム、アトロバスタチン、シンバスタチン、ロスバスタチン等)、フィブレート(クロフィブレート等)、スクワレン合成阻害薬)、異常行動治療薬又は痴呆症による放浪癖の抑制薬(鎮静薬、抗不安薬等)、アポトーシス阻害薬、抗肥満薬、糖尿病治療薬、高血圧治療薬、低血圧治療薬、リューマチ治療薬(DMARD)、抗癌剤、副甲状腺治療薬(PTH)、カルシウム受容体拮抗薬、性ホルモン又はその誘導体(プロゲステロン、エストラジオール、安息香酸エストラジオール等)、神経分化促進薬、神経再生促進薬、非ステロイド系抗炎症薬(メロキシカム、テノキシカム、インドメタシン、イブプロフェン、セレコキシブ、ロフェコキシブ、アスピリン、インドメタシン等)、ステロイド(デキサメタゾン、酢酸コルチゾン等)、抗サイトカイン薬(TNF阻害薬、MAPカイネース阻害薬等)、抗体医薬、核酸又は核酸誘導体、アプタマー薬など。
以下、本発明化合物と併用薬剤を併用して使用することを「本発明における併用剤」と称する。
【0061】
上記併用薬剤は、2種以上を適宜の割合で組み合せて用い得る。
本発明化合物が併用薬剤と組み合せて使用される場合には、お互いの剤の量は、それらの剤の反対効果を考えて安全な範囲内で低減し得る。したがって、これらの剤により引き起こされるであろう反対効果は安全に防止し得る。
本発明化合物は、非薬剤療法と併用し得る。ここで、非薬剤療法の具体例としては、(1)手術;(2)アンジオテンシンII等を用いる昇圧化学療法;(3)遺伝子療法;(4)温熱療法;(5)凍結療法;(6)レーザー焼灼法;(7)放射線療法;(8)免疫療法;(9)再生医療法;(10)細胞治療法;(11)精神療法または心理社会的療法が挙げられる。
【0062】
これらの併用薬剤は、フリー体であっても、医薬上許容される塩であってもよい。かかる塩としては、例えば、当該薬剤が酸性官能基を有する場合にはアルカリ金属塩(例、ナトリウム塩、カリウム塩など)、アルカリ土類金属塩(例、カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩など)などの無機塩、アンモニウム塩など、また、当該薬剤が塩基性官能基を有する場合には、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸などの無機酸との塩、または酢酸、フタル酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸などの有機酸との塩が挙げられる。なお、ここで例示した併用薬剤は、市販品にて容易に入手するか、または公知の方法に従って製造し得る。
【0063】
本発明の併用剤の投与形態は、特に限定されず、投与時に、本発明の化合物と併用薬物とが組み合わされ得る。このような投与形態としては、例えば、(1)本発明化合物と併用薬物とを同時に製剤化して得られる単一の製剤の投与、(2)本発明化合物と併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での同時投与、(3)本発明化合物と併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での時間差をおいての投与、(4)本発明化合物と併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での同時投与、(5)本発明化合物と併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での時間差をおいての投与(例えば、本発明化合物;併用薬物の順序での投与、あるいは逆の順序での投与)などが挙げられる。
【0064】
併用薬剤の投与量は、臨床上用いられている用量を基準として適宜選択し得る。また、本発明化合物と併用薬剤との配合比は、投与対象、投与ルート、症状、用いる併用薬剤の種類などにより適宜選択し得る。通常は、用いる併用薬剤の一般的な用量を基準にして決定し得る。投与対象がヒトである場合、例えば、本発明化合物1重量部に対し、併用薬剤を0.01~100重量部用い得る。
【0065】
本発明における併用剤は、毒性が低いことが期待される。例えば、本発明化合物又は(及び)上記併用薬剤を公知の方法に従って、薬理学的に許容される担体と混合して医薬組成物、例えば錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠を含む)、散剤、顆粒剤、カプセル剤(ソフトカプセルを含む)、液剤、注射剤、坐剤、徐放剤等を調製し得る。これらの組成物は、経口的又は非経口的(例、局所、直腸、静脈投与等)に安全に投与し得る。注射剤は、静脈内、筋肉内、皮下又は臓器内投与あるいは直接病巣に投与し得る。
【0066】
本発明における併用剤の製造に用いられてもよい薬理学的に許容される担体としては、製剤素材として慣用の各種有機あるいは無機担体物質が挙げられる。例えば、固形製剤では、賦形剤、滑沢剤、結合剤及び崩壊剤を用い得る。液状製剤では、溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤及び無痛化剤等を用い得る。必要に応じ、通常の防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤、吸着剤、湿潤剤等を適宜用い得る。
【0067】
賦形剤としては、例えば、乳糖、白糖、D-マンニトール、デンプン、コーンスターチ、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸等が挙げられる。
【0068】
滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、コロイドシリカ等が挙げられる。
【0069】
結合剤としては、例えば、結晶セルロース、白糖、D-マンニトール、デキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、デンプン、ショ糖、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等が挙げられる。
【0070】
崩壊剤としては、例えば、デンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、L-ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。
【0071】
溶剤としては、例えば、注射用水、等張食塩水、5%デキストロース、アルコール、プロピレングリコール、マクロゴール、ゴマ油、トウモロコシ油、オリーブ油等が挙げられる。
【0072】
溶解補助剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D-マンニトール、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0073】
懸濁化剤としては、例えば、ステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリン等の界面活性剤;例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の親水性高分子等が挙げられる。
【0074】
等張化剤としては、例えば、ブドウ糖、D-ソルビトール、塩化ナトリウム、グリセリン、D-マンニトール等が挙げられる。
【0075】
緩衝剤としては、例えば、リン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩等の緩衝液等が挙げられる。
【0076】
無痛化剤としては、例えば、ベンジルアルコール等が挙げられる。
【0077】
防腐剤としては、例えば、パラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸等が挙げられる。
【0078】
抗酸化剤としては、例えば、亜硫酸塩、アスコルビン酸、α-トコフェロール等が挙げられる。
【0079】
本発明における併用剤における本発明化合物と併用薬剤との配合比は、投与対象、投与ルート、疾患等により適宜選択し得る。
例えば、本発明における併用剤における本発明化合物の含有量は、製剤の形態によって相違するが、通常製剤に対して約0.01~約100重量%、好ましくは約0.1~約50重量%、さらに好ましくは約0.5~約20重量%である。
【0080】
本発明における併用剤における併用薬剤の含有量は、製剤の形態によって相違するが、通常製剤に対して約0.01~約100重量%、好ましくは約0.1~約50重量%、さらに好ましくは約0.5~約20重量%である。
【0081】
本発明における併用剤における担体等の添加剤の含有量は、製剤の形態によって相違するが、通常製剤に対して約1~約99.99重量%、好ましくは約10~約90重量%である。
【0082】
本発明化合物及び併用薬剤を別々に製剤化する場合、それらの含有量は上記と同様である。
【実施例】
【0083】
本発明は、更に以下の製造例、実施例および製剤例によって詳しく説明されるが、これらの例は単なる製造例、実施例または製剤例であって、本発明を限定するものではない。
【0084】
以下の製造例の化合物は、自体公知の方法、例えば、2007年6月18日にPCT出願され公開されたWO2007/148808に記載の参考例および実施例またはそれに準じた方法に従って製造することができる。
【0085】
以下の実施例および製剤例において、(S)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド(製造例12の化合物)を化合物Aという。
【0086】
製造例1
N-[2-(6,7-ジヒドロ-8H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イリデン)エチル]アセトアミド
【0087】
【0088】
製造例2
N-[2-(6,7-ジヒドロ-8H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イリデン)エチル]プロピオンアミド
【0089】
【0090】
製造例3
N-[2-(2-メチル-6,7-ジヒドロ-8H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イリデン)エチル]アセトアミド
【0091】
【0092】
製造例4
N-[2-(2-メチル-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド
【0093】
【0094】
製造例5
N-[2-(2-メチル-6,7-ジヒドロ-8H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イリデン)エチル]プロピオンアミド
【0095】
【0096】
製造例6
N-{2-[2-(4-フェニルブチル)-6,7-ジヒドロ-8H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イリデン]エチル}アセトアミド
【0097】
【0098】
製造例7
N-{2-[2-(4-フェニルブチル)-6,7-ジヒドロ-8H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イリデン]エチル}プロピオンアミド
【0099】
【0100】
製造例8
N-[2-(2-メチル-6,7-ジヒドロ-8H-インデノ[5,4-d][1,3]チアゾール-8-イリデン)エチル]アセトアミド
【0101】
【0102】
製造例9
N-[2-(7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド
【0103】
【0104】
製造例10
N-[2-(7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]プロピオンアミド
【0105】
【0106】
製造例11
N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド
【0107】
【0108】
製造例12
(S)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド
【0109】
【0110】
製造例13
(R)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド
【0111】
【0112】
製造例14
N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]プロピオンアミド
【0113】
【0114】
製造例15
(S)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]プロピオンアミド
【0115】
【0116】
製造例16
(R)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]プロピオンアミド
【0117】
【0118】
製造例17
N-{2-[2-(4-フェニルブチル)-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル]エチル}アセトアミド
【0119】
【0120】
製造例18
N-{2-[2-(4-フェニルブチル)-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル]エチル}プロピオンアミド
【0121】
【0122】
製造例19
N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]チアゾール-8-イル)エチル]アセトアミド
【0123】
【0124】
製造例20
(S)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]チアゾール-8-イル)エチル]アセトアミド
【0125】
【0126】
製造例21
(R)-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]チアゾール-8-イル)エチル]アセトアミド
【0127】
【0128】
製造例22
N-[2-(2-エチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド
【0129】
【0130】
製造例23
N-{2-[2-(ヒドロキシメチル)-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル]エチル}アセトアミド
【0131】
【0132】
製造例24
N-[2-(2-イソプロピル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド
【0133】
【0134】
製造例25
N-{2-[2-(トリフルオロメチル)-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル]エチル}アセトアミド
【0135】
【0136】
製造例26
N-{2-[2-(4-ヒドロキシブチル)-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル]エチル}アセトアミド
【0137】
【0138】
製造例27
N-{2-[2-(3-ヒドロキシブチル)-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル]エチル}アセトアミド
【0139】
【0140】
製造例28
N-{2-[2-(3-オキソブチル)-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル]エチル}アセトアミド
【0141】
【0142】
製造例29
N-[2-(2-シクロプロピル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド
【0143】
【0144】
製造例30
N-[2-(2-フェニル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド
【0145】
【0146】
製造例31
N-[2-(2-ベンジル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド
【0147】
【0148】
製造例32
N-{2-[2-(2-フェニルエチル)-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル]エチル}アセトアミド
【0149】
【0150】
製造例33
N-{2-[2-(3-フェニルプロピル)-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル]エチル}アセトアミド
【0151】
【0152】
製造例34
N-(2-{2-[(ベンジルオキシ)メチル]-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル}エチル)アセトアミド
【0153】
【0154】
製造例35
N-(2-{2-[4-(ベンジルオキシ)ブチル]-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル}エチル)アセトアミド
【0155】
【0156】
製造例36
N-(2-{2-[3-(ベンジルオキシ)ブチル]-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル}エチル)アセトアミド
【0157】
【0158】
製造例37
N-{2-[2-(4-ピリジン-2-イルブチル)-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル]エチル}アセトアミド
【0159】
【0160】
製造例38
N-[2-(2-メトキシ-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド
【0161】
【0162】
製造例39
N-{2-[2-(メチルチオ)-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル]エチル}アセトアミド
【0163】
【0164】
製造例40
N-{2-[2-(ジメチルアミノ)-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル]エチル}アセトアミド
【0165】
【0166】
製造例41
1-メチル-2-{[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アミノ}-2-オキソエチル アセタート
【0167】
【0168】
製造例42
2-ヒドロキシ-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]プロパンアミド
【0169】
【0170】
製造例43
N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]シクロプロパンカルボキサミド
【0171】
【0172】
製造例44
N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]ベンズアミド
【0173】
【0174】
製造例45
2,2,2-トリフルオロ-N-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド
【0175】
【0176】
製造例46
1-エチル-3-[2-(2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]尿素
【0177】
【0178】
製造例47
N-[2-(2-メルカプト-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド
【0179】
【0180】
製造例48
N-[2-(8-ヒドロキシ-7-イソプロピル-2-メチル-7,8-ジヒドロ-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド
【0181】
【0182】
製造例49
N-[2-(7-イソプロピル-2-メチル-6H-インデノ[5,4-d][1,3]オキサゾール-8-イル)エチル]アセトアミド
【0183】
【0184】
実施例1
Clock変異マウスにおける化合物Aの位相遅延に対する効果
1.方法
1.1動物
雄Clock変異マウス(Trans Genic Inc.)および雄ICRマウス(CLEA Japan Inc.)を、野生型コントロールとしてこの研究に用いた。全ての動物を、行動試験の前に、光制御室(7:00に点灯して12時間の明/暗サイクル)中、1ケージ当たり4~5匹のグループで飼育した。食物および水道水を自由に提供した。
1.2測定
21週齢および23週齢マウスを、それぞれ実験1および実験2で用いた(各実験において、Clock変異マウス;n=36、ICRマウス;n=12)。両方の実験で、動物を試験室に移し、10時間/14時間の明/暗サイクル(7:00に点灯、17:00に消灯)下、回転かご(直径14.5cm)を備えたケージ中で個々に飼育した。さらに、15匹のClock変異マウスおよび10匹のICRマウスを、各実験において同室で予備動物として調製した。回転かご運動のデータを、1分ごとに集め、Clocklab(登録商標)(Actimetrics, Evanston, IL, USA)を用いて分析した。
動物を、最初に、約2週間、新たな明/暗サイクルに慣れさせた。この慣らし期間において、各日あたり合計24時間の運動数(全数)および全数を含む明期間(7:00~17:00)における運動数の百分率(明期間における%数)を測定した。以下の基準、すなわち、明期間における平均%数がICRマウスについて10以下、Clock変異マウスについて25以下、および平均合計数(数/分)がICRマウスについて10以上、Clock変異マウスについて5以上、を満たさない動物を省き、予備動物と置き換えた。
予備処置期間において、薬物処置期間前の投与への順化のために、2週間にわたり、1日1回15:45~16:19に、マウスに溶媒(0.5%メチルセルロール溶液)を経口投与した。次いで、上記基準を満たさない動物を省き、Clock変異マウスを、溶媒処置(本明細書および図面中、Vehと略記することがある)、0.3、1 mg/kgの用量の化合物A(実験1)または0.003、0.03 mg/kgの用量の化合物A(実験2)の3つの群(n=8-9)にグループ分けし、全数(最初の暗期間における%数)を含む3時間の最初の暗期間(17:00~20:00)における運動数の百分率、および薬物処置前のグループの平均全数(数/分)に有意な差異がないようにした。7日にわたり、1日1回15:45~16:13に溶媒または化合物Aを動物に経口投与した。
薬物処置期間において、最初の暗期間における%数を測定し、Clock変異マウスにおける追加指標として運動開始時間を測定した。前述のパラメーターを用いてこの実験(実験1および2)における化合物Aの最少有効用量を決定した。
1.3統計
データを平均± SEMとして示した。ICRマウスとClock変異マウスとの間の統計的有意性を、P
< 0.05を有意として、Student’s t検定(実験1)またはAspin-Welch検定(実験2)により決定した。化合物Aの複数回投与の分析のため、統計的有意性を、P
< 0.025を有意として、片側Williams’検定(実験1および2)により決定した。
2.結果および議論
実験1での慣らし期間の間、1匹のClock変異マウスが死亡した。死亡はこの実験の結果に影響を与えなかった。なぜなら、予備処置期間の前にマウスを予備動物に置き換えたからである。
溶媒処置Clock変異マウスは、ICRマウスよりも最初の暗期間において有意に低い%値を示し(
図1および3)、これはClock変異マウスが回転かご運動における位相遅延を特徴的に示唆する。この減少は、用量依存的に化合物Aの処置によって回復され、改善効果は0.3および1 mg/kgの両方の用量で有意であった(
図1)。低用量(0.003および0.03 mg/kg)での化合物Aは、そのパラメーターに有意な効果を有しなかった(
図3)。化合物Aの繰り返し投与は、0.03(
図4)、0.3および1 mg/kg(
図2)の用量でのClock変異マウスにおいて、7日の予備処置期間(8~14日目)の平均と比較して、運動開始時間を有意に前進させた。
これらの結果は、化合物Aが0.03 mg/kgの最少有効用量でClock変異マウスにおける位相遅延を進行させたことを示し、また化合物Aがせん妄を改善することを示唆する。
【0185】
実施例2
ラットにおける夜間血漿メラトニン濃度に対する化合物Aの効果
1.方法
1.1動物
9週齢の雄Wistarラット(CLEA Japan Inc.)をこの研究に用いた。全てのラット(n=12)を、試験の前に、光制御室(7:00に点灯して12時間の明/暗サイクル)中、1ケージ当たり2~5匹のグループで飼育し、約2週間慣れさせた。食物および水道水を自由に提供した。
1.2測定
11週齢のラットに、7日にわたり、1日1回、17:00~17:15に、3 mg/kgの用量で溶媒または化合物Aのいずれかを経口投与した。最後の処置後、各ラットの尾動脈から血液サンプル(500μL)を、20:00(ZT(ツァイトゲーバー時間(Zeitgeber Time))13)、22:00(ZT15)、0:00(ZT17)、2:00(ZT19)、4:00(ZT21)、6:00(ZT23)および8:00(ZT25)に連続してEDTA-2Na含有チューブ(Lot No. MP0831、CAPIJECT(登録商標)、Terumo Corporation, Japan)中に採取した。血液サンプルを、15,000 rpm、4℃で5分間遠心分離し、上澄み(200μL)を、サンプルをラジオイムノアッセイのために処理するまで-80℃で保存した。メラトニン濃度を、T. N. TECHNOS., Limited, Japanにおいて、市販されているキット(Lot No. 2428.10、BUHLMANN Laboratories AG、Switzerland)を用いて測定した。
1.3統計
データを平均± SEMとして示した(各グループに6匹のラット)。被検体間および被検体内の統計的有意性を、P
< 0.05を有意として、反復測定ANOVAにより決定した。
2.結果および議論
3 mg/kgの用量の化合物Aでの7日にわたる繰り返し処置は、ビヒクル処置コントロールと比較した場合、血漿メラトニン開始を進行させ、メラトニン濃度の量を有意に増大させた(
図5)。なお、図中の時間は明サイクルの開始時刻をZT0、暗サイクルの開始時刻をZT12とするツァイトゲーバー時間(Zeitgeber Time)を示す。
これらの結果は、化合物Aがラットにおける内因性血漿メラトニンの増大を誘起したことを示し、また化合物Aがせん妄を改善することを示唆する。
【0186】
製剤例1
流動層造粒乾燥機中で化合物A 160g、乳糖4064g、およびトウモロコシデンプン640gを均一に混合後、機内でヒドロキシプロピルセルロース160gを溶解した水溶液を噴霧して造粒し、ついで同機で乾燥する。得られた造粒物をパワーミルを用い、1.5mmφパンチングスクリーンで解砕して整粒末とする。この整粒末を3894gとり、これにトウモロコシデンプン124gとステアリン酸マグネシウム12.4gを加え、混合して打錠用顆粒とする。この顆粒を打錠機で7.0mmφの杵を用いて重量130mgに打錠し素錠とする。得られた素錠はフィルムコーティング機中で酸化チタン、黄色三二酸化鉄を分散したヒドロキシプロピルメチルセルロース2910、コポリビドン溶液を噴霧し、1錠当たり化合物Aを4mg含有する表1に示す処方のフィルム錠、約25000錠を得る。
【0187】
【産業上の利用可能性】
【0188】
本発明によれば、メラトニン受容体親和性を有し得る化合物を有効成分として含有し、せん妄の予防・治療に有効であることが期待される薬剤を提供できる。
【0189】
本出願は、米国で出願された仮出願第62/276,366号を基礎としており、その内容は本明細書にすべて包含されるものである。