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  • 特許-ろ過装置、ろ過方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】ろ過装置、ろ過方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 25/12 20060101AFI20221101BHJP
【FI】
B01D25/12 G
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018124658
(22)【出願日】2018-06-29
(65)【公開番号】P2019010641
(43)【公開日】2019-01-24
【審査請求日】2021-06-10
(31)【優先権主張番号】P 2017129415
(32)【優先日】2017-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】田口 二郎
【審査官】壷内 信吾
(56)【参考文献】
【文献】特開昭56-013011(JP,A)
【文献】特開昭60-090014(JP,A)
【文献】特開2008-018359(JP,A)
【文献】実開昭58-116005(JP,U)
【文献】特開2007-275790(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 23/00-35/04,35/08-37/08
C01F 1/00-17/38
B30B 9/00-9/32
C01G 25/00-47/00,49/10-99/00
H01M 4/00-4/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルタープレスと、
前記フィルタープレスへのスラリーの供給配管に配置された、前記スラリー中の固体成分の濃度を測定するスラリー濃度測定手段と、
前記フィルタープレスからのろ液の排出用配管に配置された、前記ろ液中の固体成分の濃度を測定するろ液濃度測定手段と、
前記スラリー濃度測定手段により測定した前記スラリー中の固体成分の濃度に基づいて、前記フィルタープレスに充填した前記スラリー中の固体成分の量であるスラリー充填量を算出し、前記ろ液濃度測定手段により測定した前記ろ液中の固体成分の濃度に基づいて、前記スラリー充填量を補正する制御・演算手段と、を有するろ過装置。
【請求項2】
前記スラリー濃度測定手段が、濁度計、及び超音波測定装置から選択された1種類以上である請求項1に記載のろ過装置。
【請求項3】
フィルタープレスにスラリーを供給し、前記フィルタープレスにより前記スラリーをろ過するろ過方法であって、
前記フィルタープレスへの前記スラリーの供給配管に配置されたスラリー濃度測定手段により、前記フィルタープレスに供給する前記スラリー中の固体成分の濃度であるスラリー濃度を測定し、
前記スラリー濃度に基づいて、前記フィルタープレスに充填した前記スラリー中の固体成分の量であるスラリー充填量を算出するスラリー充填量算出工程と、
前記フィルタープレスからのろ液の排出用配管に配置された、前記ろ液中の固体成分の濃度を測定するろ液濃度測定手段により、前記ろ液中の固体成分の濃度を測定し、
前記ろ液中の固体成分の濃度に基づいて、前記スラリー充填量を補正する補正工程と、を有するろ過方法。
【請求項4】
前記スラリー濃度測定手段が、濁度計、及び超音波測定装置から選択された1種類以上である請求項に記載のろ過方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ろ過装置、ろ過方法に関する。
【背景技術】
【0002】
粉体を合成する方法は種々知られているが、原料を溶媒中で反応させて合成する湿式法は、主な合成法の一つである。
【0003】
湿式法においては、最終的に粉体を得るためには、粉体と液体を分離する固液分離の工程が必要となることが多い。固液分離の工程で用いる固液分離の方法としては、例えば、沈降法、減圧ろ過、加圧ろ過、遠心分離などを挙げることができる。
【0004】
フィルタープレスは加圧ろ過機の1種であり、スラリーのろ過を行うことや、ろ過後のケーキに洗浄水を供給し、再度ろ過することでケーキの洗浄を行うことが可能であるため、ろ過装置のろ過手段として従来から工業的に広く用いられている(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-230958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のフィルタープレスを備えたろ過装置によれば、フィルタープレスによりろ過を行った後に得られるケーキ内に残存する成分にバッチによりばらつきが生じる場合があった。そして、用途によっては得られるケーキや、該ケーキから得られる化学製品の性能が安定しないため問題であった。
【0007】
上記従来技術の問題に鑑み、本発明の一側面では、得られるケーキ内に残存する成分のばらつきを抑制できるろ過装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため本発明の一側面では、
フィルタープレスと、
前記フィルタープレスへのスラリーの供給配管に配置された、前記スラリー中の固体成分の濃度を測定するスラリー濃度測定手段と、
前記フィルタープレスからのろ液の排出用配管に配置された、前記ろ液中の固体成分の濃度を測定するろ液濃度測定手段と、
前記スラリー濃度測定手段により測定した前記スラリー中の固体成分の濃度に基づいて、前記フィルタープレスに充填した前記スラリー中の固体成分の量であるスラリー充填量を算出し、前記ろ液濃度測定手段により測定した前記ろ液中の固体成分の濃度に基づいて、前記スラリー充填量を補正する制御・演算手段と、を有するろ過装置を提供する。

【発明の効果】
【0009】
本発明の一側面によれば、得られるケーキ内に残存する成分のばらつきを抑制できるろ過装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係るろ過装置の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のろ過装置、及びろ過方法の一実施形態について説明する。
[ろ過装置]
本実施形態のろ過装置は、フィルタープレスと、フィルタープレスへのスラリーの供給配管に配置された、スラリー中の固体成分の濃度を測定するスラリー濃度測定手段と、を有することができる。
【0012】
本発明の発明者らは、従来のフィルタープレスを備えたろ過装置において、スラリーのろ過(固液分離)を行った後や、得られたケーキを洗浄水で洗浄し、再度ろ過した後に得られるケーキに残存する成分が、バッチによりばらつく原因について鋭意検討を行った。
【0013】
そして、フィルタープレスを備えたろ過装置により得られるケーキに液体成分が残存する程度や、洗浄度がフィルタープレスに充填したスラリー中の固体成分(固形分)の量であるスラリー充填量(以下、「スラリー充填量」と記載する)に依存する点に着目した。
【0014】
従来のフィルタープレスを備えたろ過装置においては、スラリー充填量を、ろ過開始前のスラリー原液槽内のスラリーのスラリー濃度、スラリー流量、及びスラリーの送液時間により管理していた。ただし、ろ過を開始する前、例えばスラリー調製直後にスラリー原液槽に貯留したスラリーのスラリー濃度を、沈降静水圧法、見かけ粘度測定、ヌッチェろ過/乾燥法等で測定し、該ろ過開始前のスラリー原液槽内のスラリー濃度を、ろ過の操作を行う間中継続して用いていた。なお、スラリー濃度とは、スラリー中の固体成分の濃度を意味する。以下、本明細書においてスラリー濃度は同様の意味を有する。
【0015】
しかしながら、スラリー濃度はフィルタープレスのろ布の逆洗水による水がスラリー原液槽へ水が戻ること等により、スラリーの供給開始後にも変化する。このため、従来のフィルタープレスを備えたろ過装置では、フィルタープレスに供給される際のスラリーのスラリー濃度を正確に評価できなかったため、スラリー充填量を正確に管理できず、スラリー充填量にばらつきが生じていた。そして、その結果得られるケーキに残存する成分にもばらつきが生じていることを見出し、本発明を完成させた。
【0016】
本実施形態のろ過装置を、図面を用いながら以下に説明する。
【0017】
図1は、本実施形態のろ過装置10の構成例を模式的に示した図である。図1に示す様に、本実施形態のろ過装置10は、フィルタープレス11へとスラリーを供給する供給配管12を有しており、供給配管12は一方の端部12aがフィルタープレス11に接続されており、他方の端部12bは、供給配管12にスラリーを供給するスラリー供給手段13が接続されている。そして、供給配管12上には、該配管内を流れるスラリーのスラリー濃度を測定できるスラリー濃度測定手段14が配置されている。
【0018】
フィルタープレス11の構成は特に限定されるものではなく、供給するスラリーの種類や、操作の内容等に応じて任意に選択することができる。例えば板枠形圧濾機や、凹板型圧濾機等から選択された1種類以上のフィルタープレスを用いることができる。
【0019】
フィルタープレス11では、スラリーを充填後、ろ過(固液分離)してケーキを得ることや、得られたケーキに対して、純水等の洗浄液を供給し、その後に再度ろ過(固液分離)することでケーキの洗浄を行うこともできる。フィルタープレス11は、必要に応じて例えば得られたケーキを乾燥させるための乾燥手段等と接続しておくこともできる。
【0020】
供給配管12は、スラリー供給手段13から、フィルタープレス11までスラリーを供給できる配管であれば良くその構成は特に限定されず、各種配管を用いることができる。
【0021】
スラリー供給手段13は供給配管12に対してスラリーを供給できる手段であれば良く、その構成は特に限定されない。スラリー供給手段13を構成する装置としては、例えばスラリーを貯留したスラリー原液槽や、スラリーを生成する反応槽等が挙げられる。なお、スラリー供給手段13は複数の装置から構成することもでき、例えばスラリーを生成する反応槽と、該反応槽で生成したスラリーを貯留するスラリー原液槽とから構成し、スラリー原液槽を供給配管12と接続する様に構成することもできる。
【0022】
そして、供給配管12にはスラリー濃度測定手段14を配置しておくことができる。なお、供給配管12にスラリー濃度測定手段14を配置するとは、供給配管12上のいずれかの位置に、該供給配管12内を流れるスラリーのスラリー濃度を測定できるようにスラリー濃度測定手段を配置することを意味する。
【0023】
スラリー濃度測定手段14は、供給配管12を流れるスラリーのスラリー濃度をインラインで測定できる手段であればよく、特に限定されるものではない。スラリー濃度測定手段としては、蛍光X線装置や、透過X線測定装置、差圧法によるスラリー濃度測定装置、濁度計、超音波測定装置等から選択された1種類以上を用いることが好ましい。
【0024】
蛍光X線装置や、透過X線測定装置は、供給配管12内を流れるスラリーに対して、X線発生器から発生したX線を照射し、供給配管12内で生じた蛍光X線、もしくは透過した透過X線を検出する装置である。蛍光X線装置、または透過X線装置をスラリー濃度測定手段として用いる場合、供給配管12内を流れるスラリーに対してX線を照射し、検出した蛍光X線または透過X線の強度と、予め作成しておいた、蛍光X線または透過X線の強度とスラリー濃度との関係を示す検量線とによりスラリー濃度を算出できる。
【0025】
差圧法によるスラリー濃度測定装置は、スラリー中に発生している圧力がスラリーの自重によりその深さ方向で大きく増加すること、スラリー濃度が高くなるほどスラリー中に含まれる材料の固体成分量が多くなりスラリーの比重が高くなることを利用した測定装置である。差圧法によるスラリー濃度測定装置をスラリー濃度測定手段として用いる場合、供給配管12内を流れるスラリーの一部を採取し、高低差を有する循環配管に通じて一定流量で連続的に循環させ、その循環配管の最低位と最高位の2点間で生じる循環スラリーの差圧を計測する。そして、測定した差圧と、予め作成しておいた差圧とスラリー濃度との関係を示す検量線とによりスラリー濃度を算出できる。
【0026】
濁度計としては、透過散乱光方式や、表面散乱光方式、積分球方式、透過光方式、散乱光方式、粒子数計測方式等が知られているが、いずれの方式の濁度計を用いても良い。濁度計をスラリー濃度測定手段として用いる場合、濁度計により測定した供給配管12内を流れるスラリーの濁度と、予め作成しておいた濁度とスラリー濃度との関係を示す検量線とによりスラリー濃度を算出することができる。
【0027】
超音波測定装置は、供給配管内を通るスラリーに対して超音波を照射し、反射、もしくは透過した超音波を測定する装置である。超音波測定装置をスラリー濃度測定手段として用いる場合、供給配管12内を流れるスラリーに対し超音波を照射し、測定した反射もしくは透過した超音波の強度と、予め作成しておいた超音波の強度とスラリー濃度との関係を示す検量線とによりスラリー濃度を算出できる。
【0028】
特にスラリー濃度測定手段は、濁度計、及び超音波測定装置から選択された1種類以上であることがより好ましい。これは濁度計や、超音波測定装置によれば、スラリー濃度に対して直線的な応答を示すため、容易にスラリー濃度を正確に測定することができ、かつ低コストだからである。
【0029】
なお、スラリー濃度の単位は特に限定さないが、該スラリー濃度を用いて算出するスラリー充填量は、例えばgや、kg等の固形分の質量で表すことが好ましい。このため、スラリー濃度はg/L、g/m、kg/L等のスラリーの単位体積当たりの固形分の質量で表されることが好ましい。
【0030】
また、供給配管12にスラリー濃度測定手段の全ての部材を配置しておく必要はなく、例えば検出部のみを配置し、検出部からの信号を用いて、例えば後述する制御・演算手段16等の内部に設けられた演算部等によりスラリー濃度を算出するように構成することもできる。また、スラリー濃度測定手段は1つの測定手段に限定されるものではなく、複数の同じ方式、もしくは異なる方式の測定手段を有することもできる。
【0031】
スラリー濃度測定手段14によりスラリー濃度を測定するタイミングは特に限定されるものではなく、任意のタイミングで測定することができる。ただし、供給配管12内を流れるスラリー濃度をより正確に把握できるように、フィルタープレスへのスラリーの供給を開始してから、2回以上、すなわち複数回スラリー濃度を測定するように構成することが好ましい。
【0032】
本実施形態のろ過装置は、上述の部材以外にも任意の部材をさらに有することもできる。
【0033】
本実施形態のろ過装置10は、例えばフィルタープレス11に供給するスラリーの量を制御するためのバルブ15を有することもできる。係るバルブ15は例えば後述する制御・演算手段16により開度を制御するように構成することもできる。なお、図1ではバルブを1つ設けた例を示しているが、係る形態に限定されず、複数のバルブを任意の位置に設けておくこともできる。
【0034】
また、本実施形態のろ過装置10は、制御・演算手段16を有することもできる。制御・演算手段16は、例えばスラリー濃度測定手段14により測定したスラリー濃度に基づいて、スラリーの供給量や、スラリーの供給時間を調整し、フィルタープレス11へのスラリー充填量を制御するように構成できる。制御・演算手段16は、具体的には例えばスラリー濃度測定手段14により測定したスラリー濃度と、フィルタープレス11へのスラリー流量の積算値との積により、フィルタープレス11へのスラリー充填量を算出することができる。スラリー充填量は、例えばスラリー濃度と、スラリー流量(送液速度)と、単位時間との積により、単位時間当たりのスラリー充填量を算出し、積算する等の方法で算出することもできる。また、例えばスラリー濃度と、スラリーの流速と、配管の断面積と、送液時間との積等によりスラリー充填量を算出することもできる。
【0035】
なお、フィルタープレス11へのスラリーの供給を開始後、供給を終了するまでに複数回スラリー濃度を測定する場合には、測定したタイミングや、演算するタイミングに応じて、スラリー濃度を新たに測定した値に更新してスラリー充填量の演算に用いることができる。また、測定したスラリー濃度の平均値を演算に用いることもできる。
【0036】
そして、制御・演算手段16は、例えば該スラリー充填量が目標値に達しているかを判断することができ、スラリー充填量が目標値に達していると判断した場合には、既述のバルブ15を閉めるように制御することもできる。制御・演算手段16は、所定のタイミングで、スラリー濃度測定手段14に対して、スラリー濃度の測定を要求するように構成することもできる。なお、制御・演算手段16は、制御手段と、演算手段とを分け、複数の部材とすることもできる。
【0037】
供給配管12に例えば図示しない流量計等も併せて設けておき、スラリー流量の積算値、または単位時間当たりのスラリー流量等のスラリーの流量も測定し、フィルタープレス11へのスラリー充填量をより正確に算出できるように構成することがより好ましい。この場合、制御・演算手段16は、流量計が算出したスラリー流量も併せて用い、スラリー充填量を算出することができる。
【0038】
また、本実施形態のろ過装置は、フィルタープレス11からのろ液の排出用配管17に、ろ液中の固体成分の濃度を測定するろ液濃度測定手段18をさらに有することもできる。
【0039】
フィルタープレス11から排出されるろ液にも固体成分が含まれている場合がある。そこで、フィルタープレス11に接続されたろ液の排出用配管17にろ液濃度測定手段18を配置し、ろ液中の固体成分の濃度を測定し、ろ液により流出した固体成分の量を算出し、係る流出した固体成分量をスラリー充填量から差し引く補正を行うことでより正確にスラリー充填量を算出できる。そして、係る補正を行う場合、例えば既述の様に制御・演算手段16が、スラリー充填量が目標値に達しているかを判断する際には、上記補正を行った後のスラリー充填量を用いることができる。
【0040】
なお、排出用配管17にろ液濃度測定手段18を配置するとは、排出用配管17上のいずれかの位置に、該排出用配管17内を流れるろ液中の固体成分の濃度を測定できるようにろ液濃度測定手段18を配置することを意味する。
【0041】
ろ液濃度測定手段18は、排出用配管17を流れるろ液中の固体成分の濃度をインラインで測定できる手段であればよく、特に限定されるものではない。例えば既述のスラリー濃度測定手段の場合と同様に、蛍光X線装置や、透過X線測定装置、差圧法によるスラリー濃度測定装置、濁度計、超音波測定装置等から選択された1種類以上を用いることが好ましい。これらの装置については既にスラリー濃度測定装置において説明したため、ここでは説明を省略する。
【0042】
特にろ液濃度測定手段は、濁度計、及び超音波測定装置から選択された1種類以上であることがより好ましい。これは濁度計や、超音波測定装置によれば、ろ液中の固体成分の濃度に対して直線的な応答を示すため、係る固体濃度を正確に測定することができ、かつ低コストだからである。
【0043】
スラリー濃度測定手段14と、ろ液濃度測定手段18とは同じ種類の測定装置であってもよく、異なる種類の測定装置であってもよい。
【0044】
ろ液濃度測定手段18に関しても、排出用配管17にろ液濃度測定手段18の全ての部材を配置しておく必要はなく、例えば検出部のみを配置し、検出部からの信号を用いて、例えば既述の制御・演算手段16等の内部に設けられた演算部等によりろ液中の固体成分の濃度を算出するように構成することもできる。
【0045】
ろ液濃度測定手段18を設ける場合、例えば制御・演算手段16は、ろ液濃度測定手段18により測定したろ液中の固体成分の濃度と、ろ液の通液量の積算値との積により、ろ液により流出した固体成分の量を算出できる。
【0046】
ろ液により流出した固体成分の量の算出方法は上記方法に限定されず、スラリー充填量の場合と同様に各種方法により算出できる。例えば、測定したろ液中の固体成分の濃度と、ろ液の流量(送液速度)と、単位時間との積により、単位時間当たりのろ液により流出した固体成分の量を算出し、積算する等の方法で、ろ液により流出した固体成分の量を算出することもできる。また、例えばろ液中の固体成分の濃度と、ろ液の流速と、排出用配管の断面積と、送液時間との積等によりろ液により流出した固体成分の量を算出することもできる。
【0047】
フィルタープレス11へのスラリーの供給を開始後、複数回ろ液中の固体成分の濃度を測定する場合には、測定したタイミングや、演算するタイミングに応じて、ろ液中の固体成分の濃度を新たに測定した値に更新してろ液により流出した固体成分の量の演算に用いることができる。また、測定したろ液中の固体成分の濃度の平均値を演算に用いることもできる。
【0048】
排出用配管17には必要に応じてろ液の通液量や流量等を測定するための流量計等を設けておくこともできる。
【0049】
そして、制御・演算手段16は、算出したろ液により流出した固体成分の量をスラリー充填量から差し引く補正を行うことで、より正確なスラリー充填量を算出できる。
【0050】
なお、既述のスラリー濃度測定手段14用の制御・演算手段16とは別に、ろ液濃度測定手段用の制御・演算手段を設け、上記計算、補正を行うこともできる。
【0051】
ろ液濃度測定手段は1つの測定手段に限定されるものではなく、複数の同じ方式、もしくは異なる方式の測定手段を有することもできる。
【0052】
ろ液濃度測定手段18によりろ液中の固体成分の濃度を測定するタイミングは特に限定されるものではなく、任意のタイミングで測定することができる。ただし、排出用配管17内を流れるろ液中の固体成分の濃度をより正確に把握できるように、フィルタープレスへのスラリーの供給を開始してから、2回以上、すなわち複数回ろ液中の固体成分の濃度を測定するように構成することが好ましい。
【0053】
本実施形態のろ過装置に供給するスラリーの種類は特に限定されるものではなく、各種スラリーに適用することができる。ただし、得られるケーキ内に残存する成分のばらつきを抑制することが特に求められるスラリーであることが好ましい。
【0054】
本発明の発明者らの検討によれば、リチウムイオン二次電池用の正極材料の原料として用いる正極活物質前駆体は、例えば晶析法により製造することができ、得られた正極活物質前駆体を含むスラリーをろ過することで該正極活物質前駆体を回収することになる。そして、リチウムイオン二次電池用の正極活物質前駆体中に含まれる硫酸根や、塩素根のばらつきによっては該正極活物質前駆体から作製した正極活物質や、それを用いたリチウムイオン二次電池の性能にばらつきを生じる場合がある。このため、リチウム二次電池用正極活物質前駆体を含むスラリーを、ケーキ中に残存する成分のばらつきを抑制できる本実施形態のろ過装置や後述するろ過方法に好ましく適用することができる。
【0055】
また、リチウム二次電池用正極活物質前駆体から正極活物質を製造した後、該正極活物質を純水中に分散したスラリーとし、ろ過することで洗浄する洗浄工程を行う場合がある。そして、洗浄工程後に回収した正極活物質内に残存する金属イオンの量にばらつきが生じると、該正極活物質を用いたリチウムイオン二次電池の性能にばらつきを生じる場合がある。このため、リチウムイオン二次電池用正極活物質を含むスラリーをケーキ中に残存する成分のばらつきを抑制できる本実施形態のろ過装置や後述するろ過方法に好ましく適用することができる。
【0056】
以上に説明した本実施形態のろ過装置によれば、スラリー濃度測定手段を備えているため、フィルタープレスへのスラリー充填量をより正確に算出することができる。このため、ろ過を行った後に得られるケーキ内に残存する成分のばらつきを抑制できる。
[ろ過方法]
次に、本実施形態のろ過方法について説明する。
【0057】
本実施形態のろ過方法は、フィルタープレスにスラリーを供給し、フィルタープレスによりスラリーをろ過するろ過方法であって、以下のスラリー充填量算出工程を有することができる。
【0058】
フィルタープレスへのスラリーの供給配管に配置されたスラリー濃度測定手段により、フィルタープレスに供給するスラリー中の固体成分の濃度であるスラリー濃度を測定し、スラリー濃度に基づいて、フィルタープレスに充填したスラリー中の固体成分の量であるスラリー充填量を算出するスラリー充填量算出工程。
【0059】
本実施形態のろ過方法は、既述のろ過装置を用いて実施することができる。このため、既に説明した事項の一部は説明を省略する。
【0060】
本実施形態のろ過方法は、例えば図1に示したろ過装置10を用いて実施することができる。そして、スラリー充填量算出工程では、スラリー供給手段13から供給され、供給配管12を通ったスラリーのスラリー濃度をスラリー濃度測定手段14により測定し、測定したスラリー濃度に基づいてフィルタープレス11へのスラリー充填量を算出することができる。
【0061】
なお、スラリー濃度測定手段14としては、特に限定されるものではないが、既述のように蛍光X線装置や、透過X線測定装置、差圧法によるスラリー濃度測定装置、濁度計、超音波測定装置等から選択された1種類以上を用いることが好ましい。特にスラリー濃度測定手段は、濁度計、及び超音波測定装置から選択された1種類以上であることがより好ましい。
【0062】
スラリー充填量算出工程において、スラリー濃度測定手段14によりスラリー濃度を測定する回数、タイミングは特に限定されるものではなく、任意のタイミング、任意の回数実施することができる。ただし、スラリー濃度をより正確に把握し、スラリー充填量を特に正確に算出するため、例えばフィルタープレス11へのスラリーの供給を開始後、2回以上行うことが好ましい。
【0063】
測定したスラリー濃度に基づいて、フィルタープレス11へのスラリー充填量を算出する具体的な手順は特に限定されないが、例えば測定したスラリー濃度と、スラリー流量の積算値との積によりスラリー充填量を算出することができる。また、スラリー充填量は、例えば測定したスラリー濃度と、スラリー流量(送液速度)と、単位時間との積により単位時間当たりのスラリー充填量を算出し、積算することで算出することもできる。スラリー充填量は、例えばスラリー濃度と、スラリーの流速と、配管の断面積と、送液時間との積等により算出することもできる。
【0064】
また、フィルタープレス11へのスラリーの供給を開始後、供給を終了するまでに複数回スラリー濃度を測定する場合には、測定したタイミングや、演算するタイミングに応じて、スラリー濃度を新たに測定した値に更新してスラリー充填量の演算に用いることができる。また、測定したスラリー濃度の平均値を演算に用いることもできる。
【0065】
なお、既述のように供給配管12等に流量計を設け、スラリー流量の積算値、または単位時間当たりのスラリー流量も測定する場合には、測定したタイミングや、演算するタイミングに応じて、スラリー流量を新たに測定した値に更新し、スラリー充填量の演算に用いることもできる。
【0066】
本実施形態のろ過方法は、スラリー充填量算出工程以外にも任意の工程を有することができる。例えば、予めフィルタープレスへのスラリー充填量の目標値を定めておき、スラリー充填量算出工程で算出したスラリー充填量が、目標値に達した場合に、フィルタープレス11へのスラリーの供給を停止する、スラリー供給停止工程を有することができる。スラリー供給停止工程は、例えば、図1に示したろ過装置10の場合であれば、供給配管12に設けたバルブ15を制御・演算手段16により閉めることで実施できる。
【0067】
また、本実施形態のろ過方法は、スラリー供給停止工程を実施した後、フィルタープレス11により、フィルタープレス11に供給したスラリーをろ過(加圧ろ過)するろ過工程や、ろ過工程により得られたケーキに対して洗浄水を供給し、再圧搾することで洗浄する洗浄工程等を有することもできる。
【0068】
また、本実施形態のろ過方法は、フィルタープレスからのろ液の排出用配管17に配置された、ろ液中の固体成分の濃度を測定するろ液濃度測定手段18により、ろ液中の固体成分の濃度を測定し、該ろ液中の固体成分の濃度に基づいて、スラリー充填量を補正する補正工程をさらに有することもできる。
【0069】
ろ液濃度測定手段18としては、特に限定されるものではないが、既述のように蛍光X線装置や、透過X線測定装置、差圧法によるスラリー濃度測定装置、濁度計、超音波測定装置等から選択された1種類以上を用いることが好ましい。特にろ液濃度測定手段は、濁度計、及び超音波測定装置から選択された1種類以上であることがより好ましい。
【0070】
補正工程において、ろ液濃度測定手段18によりろ液中の固体成分の濃度を測定する回数、タイミングは特に限定されるものではなく、任意のタイミング、任意の回数実施することができる。ただし、ろ液中の固体成分の濃度をより正確に把握し、スラリー充填量を特に正確に補正、算出するため、例えばフィルタープレス11へのスラリーの供給を開始後、2回以上行うことが好ましい。
【0071】
測定したろ液中の固体成分の濃度に基づいて、フィルタープレス11へのスラリー充填量を補正する具体的な手順は特に限定されないが、例えばまず測定したろ液中の固体成分の濃度と、ろ液の通液量の積算値との積によりろ液により流出した固体成分の量を算出することができる。そして、算出したろ液により流出した固体成分の量をスラリー充填量から差し引くことで、補正を行うことができる。
【0072】
なお、ろ液により流出した固体成分の量は、例えば測定したろ液中の固体成分の濃度と、ろ液の流量(送液速度)と、単位時間との積により単位時間当たりのろ液により流出した固体成分の量を算出し、積算することで算出することもできる。ろ液により流出した固体成分の量は、例えばろ液中の固体成分の濃度と、ろ液の流速と、排出用配管の断面積と、送液時間との積等により算出することもできる。
【0073】
また、フィルタープレス11へのスラリーの供給を開始後、複数回ろ液中の固体成分の濃度を測定する場合には、測定したタイミングや、演算するタイミングに応じて、ろ液中の固体成分の濃度を新たに測定した値に更新してろ液により流出した固体成分の量の演算に用いることができる。また、測定したろ液中の固体成分の濃度の平均値を演算に用いることもできる。
【0074】
排出用配管17等に流量計を設け、ろ液の通液量の積算値、または単位時間当たりのろ液の流量も測定する場合には、測定したタイミングや、演算するタイミングに応じて、ろ液流量を新たに測定した値に更新し、ろ液により流出した固体成分の量の演算に用いることもできる。
【0075】
以上に説明した本実施形態のろ過方法によれば、フィルタープレスへのスラリー充填量をより正確に算出、制御することができる。このため、固液分離や洗浄を行った後に得られるケーキ内に残存する成分のばらつきを抑制できる。
【実施例
【0076】
以下に具体的な実施例、比較例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
ろ液の排出用配管17にろ液濃度測定手段18を設けていない点以外は、図1に示したろ過装置10と同じ構成の装置を用いて、以下に示す手順でスラリーのろ過を行った。
【0077】
フィルタープレス11としては、凹板型圧濾機を用い、スラリー濃度測定手段14としては、積分球方式の濁度計(三菱化学アナリテック社製 型式:PT-200)を用いた。なお、スラリー濃度と、濁度計により検知する濁度との相関を予め測定し、検量線を作成しておいた。
【0078】
また、スラリー供給手段13としては、リチウムイオン二次電池用の正極活物質前駆体である、固体成分としてNi、Co、Alを含む複合水酸化物を含有するアルカリ性のスラリーを入れたスラリー原液槽を用いた。なお、スラリー濃度は100g/Lとなるように調製した。
【0079】
そして、スラリー供給手段13から、フィルタープレス11に対して供給配管12を通して上記スラリーを供給した。
【0080】
この際、スラリー濃度測定手段14によりフィルタープレス11に供給するスラリーのスラリー濃度を5分おきに測定した。そして、制御・演算手段16により、測定したスラリー濃度に基づいて、以下の様にしてフィルタープレスへのスラリー充填量を算出した。(スラリー充填量算出工程)
スラリー濃度を測定後、次にスラリー濃度を測定するまでの間は、測定した該スラリー濃度を用いて、スラリー濃度×単位時間(5分)×スラリー流量により、単位時間当たりのフィルタープレスへのスラリー充填量(以下、「単位スラリー充填量」と記載する。)を算出した。なお、新たにスラリー濃度を測定した後には、上記式中のスラリー濃度を最新のスラリー濃度に更新し、同様にして単位スラリー充填量を算出した。そして、算出した単位スラリー充填量を積算することで、スラリーの供給を開始してからのフィルタープレスへのスラリー充填量を算出した。
【0081】
また、スラリー流量は、供給配管12に設置した図示しない流量計により、スラリー濃度を測定するタイミングと同じタイミングで測定し、更新した。
【0082】
スラリー充填量が予め定めておいた目標値に達した時に、バルブ15を制御・演算手段16からの指令により閉め、フィルタープレス11へのスラリーの供給を停止した(スラリー供給停止工程)。
【0083】
次いで、フィルタープレス11により、フィルタープレス11に供給したスラリーをろ過(固液分離)した(ろ過工程)。
【0084】
ろ過工程後に得られたケーキを蛍光X線装置により分析し、塩素の含有量を測定した。
【0085】
同様にしてスラリーのろ過を10回行ったところ、得られたケーキ中の塩素の含有量のばらつきは5%であった。
[実施例2]
スラリー濃度測定手段として、超音波測定装置の一種である、超音波減衰式の濁度計(超音波工業製 型式:UAM-4 MKII)を用いた点以外は実施例1と同様にして、フィルタープレスへリチウムイオン二次電池用の正極活物質前駆体のスラリーを供給し、ろ過を行い、ケーキ中の塩素含有量のばらつきを評価した。
【0086】
実施例1の場合と同様にしてスラリーのろ過を10回行ったところ、得られたケーキ中の塩素の含有量のばらつきは5%であった。
[実施例3]
ろ液の排出用配管17にろ液濃度測定手段18、および図示しないろ液の流量を測定する流量計を配置したろ過装置10を用いた点と、ろ液濃度測定手段18により測定したろ液中の固体成分の濃度に基いて、スラリー充填量を補正する補正工程を実施した点以外は実施例1と同様にしてスラリーのろ過を行った。
【0087】
ろ液濃度測定手段18としてはスラリー濃度測定手段14と同じ積分球方式の濁度計(三菱化学アナリテック社製 型式:PT-200)を用いた。そして、ろ液中の固体成分の濃度と、濁度計により検知する濁度との相関を予め測定し、検量線を作成しておいた。
【0088】
また、ろ液濃度測定手段18、および排出用配管17に設置した流量計は、ろ液の濁度のデータから算出したろ液中の固体成分の濃度を、制御・演算手段16に送信できるように、制御・演算手段16に接続しておいた。
【0089】
ろ液濃度測定手段18、およびろ液の流量を測定する流量計は、それぞれフィルタープレス11から排出されるろ液中の固体成分の濃度、および流量を5分おきに測定した。そして、制御・演算手段16により、測定したろ液中の固体成分の濃度、ろ液の流量に基づいて、以下の様にしてフィルタープレスへのスラリー充填量を補正した。
(補正工程)
ろ液中の固体成分の濃度、ろ液の流量を測定後、次にろ液中の固体成分の濃度、ろ液の流量を測定するまでの間は、測定した該ろ液中の固体成分の濃度、流量を用いて、ろ液中の固体成分の濃度×単位時間(5分)×ろ液の流量により、単位時間当たりにフィルタープレスからろ液により流出した固体成分の量(以下、「単位流出固体成分量」と記載する。)を算出した。なお、新たにろ液中の固体成分の濃度、流量を測定した後には、上記式中のろ液中の固体成分の濃度、流量を最新のろ液中の固体成分の濃度、流量に更新し、同様にして単位流出固体成分量を算出した。そして、算出した単位流出固体成分量を積算し、スラリー充填量算出工程で算出したスラリー充填量から差し引くことで、スラリー充填量を補正した。
【0090】
そして、既述のスラリー供給停止工程は、補正後のスラリー充填量が予め定めておいた目標値に達した時に、バルブ15を制御・演算手段16からの指令により閉め、フィルタープレス11へのスラリーの供給を停止した。
【0091】
以上のようにしてフィルタープレスへリチウムイオン二次電池用の正極活物質前駆体のスラリーを供給し、ろ過を行い、ケーキ中の塩素含有量のばらつきを評価した。
【0092】
実施例1の場合と同様にしてスラリーのろ過を10回行ったところ、得られたケーキ中の塩素の含有量のばらつきは5%未満であった。
[実施例4]
スラリー濃度測定手段14、およびろ液濃度測定手段18として、超音波測定装置の一種である、超音波減衰式の濁度計(超音波工業製 型式:UAM-4 MKII)を用いた点以外は実施例3と同様にして、フィルタープレスへリチウムイオン二次電池用の正極活物質前駆体のスラリーを供給し、ろ過を行い、ケーキ中の塩素含有量のばらつきを評価した。
【0093】
実施例1の場合と同様にしてスラリーのろ過を10回行ったところ、得られたケーキ中の塩素の含有量のばらつきは5%未満であった。
[比較例1]
スラリー濃度測定手段14を有していない点以外は実施例1と同じ構造を有するろ過装置を用い、スラリーのろ過を行った。
【0094】
なお、スラリー供給手段13から、フィルタープレス11に対して供給配管12を通してスラリーの供給を開始後、スラリー充填量算出工程においてスラリー充填量を算出する際、スラリー濃度として、スラリーを調製した際のスラリー濃度(100g/L)を用いた。以上の点以外は、実施例1と同様の条件でのフィルタープレス11へのスラリーの供給、スラリーの供給停止、ろ過(ろ過工程)を実施した。
【0095】
そして、ろ過工程後に得られたケーキを蛍光X線により分析し、塩素の含有量を測定した。
【0096】
同様にしてスラリーのろ過を10回行ったところ、得られたケーキ中の塩素の含有量のばらつきは20%であった。
【0097】
実施例1~4の結果と比較すると、比較例1の方が、得られるケーキ中の塩素含有量のばらつきは大きくなっていることが確認できた。これは、フィルタープレスへのスラリー充填量を正確に評価できておらず、スラリーの充填量にばらつきを生じたためと考えられる。
【符号の説明】
【0098】
10 ろ過装置
11 フィルタープレス
12 供給配管
14 スラリー濃度測定手段
17 排出用配管
18 ろ液濃度測定手段
図1