(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】撮像素子、撮像装置、及び半導体素子
(51)【国際特許分類】
H04N 5/369 20110101AFI20221101BHJP
H04N 5/357 20110101ALI20221101BHJP
H04N 5/374 20110101ALI20221101BHJP
H01L 27/146 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
H04N5/369
H04N5/357
H04N5/374
H01L27/146 A
(21)【出願番号】P 2019019698
(22)【出願日】2019-02-06
【審査請求日】2021-10-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】石田 知久
【審査官】鈴木 明
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-061234(JP,A)
【文献】特開平05-160358(JP,A)
【文献】国際公開第2016/009832(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/30-5/378
H01L 27/14-27/148
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を光電変換して電荷を生成する第1の光電変換部を有し、前記第1の光電変換部で生成された電荷に基づく第1信号を生成する画素と、
前記画素を制御する又は前記画素の前記第1信号を処理する回路部と、
光を光電変換して電荷を生成する第2の光電変換部を有し、前記第2の光電変換部で生成された電荷に基づく第2信号を生成する生成部と、
前記第2の光電変換部への光の一部を遮光する遮光部と、
前記生成部の前記第2信号に基づいて、前記回路部におけるラッチアップの発生を検出する検出部と、
を備える撮像素子。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像素子において、
前記回路部は、前記画素を制御して、第1の期間において、前記第1の光電変換部に入射した光を光電変換して生成された電荷に基づく前記第1信号を生成させ、
前記回路部は、前記生成部を制御して、前記第1の期間とは異なる第2の期間において、前記第2の光電変換部に入射した光を光電変換して生成された電荷に基づく前記第2信号を生成させる撮像素子。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の撮像素子において、
前記検出部は、前記第2信号と基準レベルとを比較し、比較結果に基づいて前記ラッチアップの発生を検出する撮像素子。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記生成部は、複数の前記第2の光電変換部を有し、
前記回路部は、前記生成部を制御して、第3の期間において、複数の前記第2の光電変換部のうちの一部の前記第2の光電変換部で生成された電荷に基づく第3信号を生成させ、前記第3の期間とは異なる第4の期間において、前記複数の前記第2の光電変換部のうちの他の前記第2の光電変換部で生成された電荷に基づく第4信号を生成させ、
前記検出部は、前記第3信号及び前記第4信号に基づいて、前記ラッチアップの発生を検出する撮像素子。
【請求項5】
請求項2に記載の撮像素子において、
前記生成部は、複数の前記第2の光電変換部を有し、
前記回路部は、前記生成部を制御して、前記第2の期間において、複数の前記第2の光電変換部のうちの一部の前記第2の光電変換部で生成された電荷に基づく前記第2信号を生成するとともに、前記第1の期間において、複数の前記第2の光電変換部のうちの他の前記第2の光電変換部で生成された電荷に基づく第5信号を生成させる撮像素子。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の撮像素子において、
複数の前記画素が配置される第1の領域と、前記第1の領域と前記回路部との間に設けられ、複数の前記第2の光電変換部と前記遮光部とが配置される第2の領域とを有する撮像素子。
【請求項7】
請求項6に記載の撮像素子において、
前記第2の領域の少なくとも一部が、前記第1の領域に囲まれて配置されている撮像素子。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記画素が設けられる第1の基板と、
前記第1の基板に積層され、前記検出部が設けられる第2の基板と、を有する撮像素子。
【請求項9】
請求項8に記載の撮像素子において、
前記生成部のうち、少なくとも前記第2の光電変換部は、前記第2の基板に設けられる撮像素子。
【請求項10】
請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記回路部と前記第2の光電変換部との間隔は、2mm以下である撮像素子。
【請求項11】
請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第2の光電変換部は、2mm以下の間隔で複数配置される撮像素子。
【請求項12】
請求項1から請求項11までのいずれか一項に記載の撮像素子と、
前記画素の前記第1信号に基づいて画像データを生成する画像生成部と、
を備える撮像装置。
【請求項13】
光を光電変換して電荷を生成する第1の光電変換部を有する画素と、前記画素を制御する又は前記画素の信号を処理する回路部と、光を光電変換して電荷を生成する第2の光電変換部と、前記第2の光電変換部への光の一部を遮光する遮光部とを有する撮像部と、
前記第2の光電変換部で生成された電荷に基づく信号に基づいて、前記回路部におけるラッチアップの発生を検出する検出部と、
前記検出部による検出結果に基づいて、前記回路部への電力の供給を制御する制御部と、
を備える撮像装置。
【請求項14】
複数のトランジスタを有する回路部と、
光を光電変換して電荷を生成する光電変換部と、
前記光電変換部への光の一部を遮光する遮光部と、
前記光電変換部で生成された電荷に基づく信号に基づいて、前記回路部におけるラッチアップの発生を検出する検出部と、
を備える半導体素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像素子、撮像装置、及び半導体素子に関する。
【背景技術】
【0002】
ラッチアップ現象で発光した光を光電変換素子に導くための導波路を有し、ラッチアップ現象の発生を検知する半導体デバイスが知られている(特許文献1)。しかし、特許文献1の半導体デバイスでは、CMOS構造による回路から光電変換素子まで導波路が引き回されるため、チップ面積が増大するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
本発明の第1の態様によると、撮像素子は、光を光電変換して電荷を生成する第1の光電変換部を有し、前記第1の光電変換部で生成された電荷に基づく第1信号を生成する画素と、前記画素を制御する又は前記画素の前記第1信号を処理する回路部と、光を光電変換して電荷を生成する第2の光電変換部を有し、前記第2の光電変換部で生成された電荷に基づく第2信号を生成する生成部と、前記第2の光電変換部への光の一部を遮光する遮光部と、前記生成部の前記第2信号に基づいて、前記回路部におけるラッチアップの発生を検出する検出部と、を備える。
本発明の第2の態様によると、撮像装置は、光を光電変換して電荷を生成する第1の光電変換部を有する画素と、前記画素を制御する又は前記画素の信号を処理する回路部と、光を光電変換して電荷を生成する第2の光電変換部と、前記第2の光電変換部への光の一部を遮光する遮光部とを有する撮像部と、前記第2の光電変換部で生成された電荷に基づく信号に基づいて、前記回路部におけるラッチアップの発生を検出する検出部と、前記検出部による検出結果に基づいて、前記回路部への電力の供給を制御する制御部と、を備える。
本発明の第3の態様によると、半導体素子は、複数のトランジスタを有する回路部と、光を光電変換して電荷を生成する光電変換部と、前記光電変換部への光の一部を遮光する遮光部と、前記光電変換部で生成された電荷に基づく信号に基づいて、前記回路部におけるラッチアップの発生を検出する検出部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】第1の実施の形態に係る撮像装置の構成例を示す図である。
【
図2】第1の実施の形態に係る撮像素子の構成例を示す図である。
【
図3】第1の実施の形態に係る撮像素子の一部の構成例を示す図である。
【
図4】第1の実施の形態に係る画素の動作の一例を示す図である。
【
図5】第1の実施の形態に係る撮像素子の一部の構成例を示す図である。
【
図6】第1の実施の形態に係る撮像素子の一部の断面構造の一例を示す図である。
【
図7】第1の実施の形態に係る生成部の動作の一例を示す図である。
【
図8】変形例に係る撮像素子の一部の構成例を示す図である。
【
図9】変形例に係る撮像素子の一部の構成例を示す図である。
【
図10】変形例に係る生成部の動作の一例を示す図である。
【
図11】変形例に係る撮像素子の一部の構成例を示す図である。
【
図12】変形例に係る撮像素子の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係る撮像装置の一例であるカメラ1の構成例を示す図である。カメラ1は、撮影光学系(結像光学系)2、撮像素子3、制御部4、メモリ5、表示部6、及び操作部7を備える。撮影光学系2は、焦点調節レンズ(フォーカスレンズ)を含む複数のレンズ及び開口絞りを有し、撮像素子3に被写体像を結像する。なお、撮影光学系2は、カメラ1から着脱可能にしてもよい。
【0007】
撮像素子3は、CMOSイメージセンサやCCDイメージセンサである。撮像素子3は、撮影光学系2を通過した光束を受光して、被写体像を撮像する。撮像素子3には、光電変換部を有する複数の画素が二次元状(行方向及び列方向)に配置される。光電変換部は、フォトダイオード(PD)によって構成される。撮像素子3は、受光した光を光電変換して信号を生成し、生成した信号を制御部4に出力する。
【0008】
メモリ5は、メモリカード等の記録媒体である。メモリ5には、画像データや制御プログラム等が記録される。メモリ5へのデータの書き込みや、メモリ5からのデータの読み出しは、制御部4によって制御される。表示部6は、画像データに基づく画像、シャッター速度や絞り値等の撮影に関する情報、及びメニュー画面等を表示する。操作部7は、レリーズボタン、電源スイッチなどの各種設定スイッチ等を含み、それぞれの操作に応じた信号を制御部4へ出力する。
【0009】
制御部4は、CPUやFPGA、ASIC等のプロセッサ、及びROMやRAM等によって構成され、制御プログラムに基づいてカメラ1の各部を制御する。制御部4は、撮像制御部4aと、画像データ生成部4bとを有する。
【0010】
撮像制御部4aは、撮像素子3を制御する信号を撮像素子3に供給して、撮像素子3の動作を制御する。撮像制御部4aは、静止画撮影や動画撮影を行う場合、表示部6に被写体のスルー画像(ライブビュー画像)を表示する場合に、撮像素子3に被写体像を撮像させて、画像生成に用いる信号(撮像信号)を出力させる。
【0011】
画像データ生成部4bは、撮像素子3から出力される撮像信号に各種の画像処理を行って画像データを生成する。画像処理には、例えば、階調変換処理、色補間処理、輪郭強調処理等の公知の画像処理が含まれる。
【0012】
撮像素子3では、PMOSトランジスタ及びNMOSトランジスタのレイアウトによっては、寄生サイリスタが形成される場合がある。この場合、放射線が撮像素子3に入射すると、電流が流れ続けてしまう現象(ラッチアップ)が生じ得る。放射線が寄生サイリスタに入射することに起因して寄生サイリスタがオン状態となり、電源線から寄生サイリスタを介して接地線に過大な電流が流れ、画素の信号へのノイズの混入や撮像素子3の誤動作が生じてしまう。ラッチアップが発生して撮像素子3内のPN接合を電流が流れる際、赤外光が生じる。このラッチアップに起因する光(赤外線)や、大電流に伴う撮像素子3の発熱によって、撮像信号にノイズが混入して、撮像信号を用いて生成される画像の画質が低下することになる。また、ラッチアップが発生すると、撮像素子3の特性劣化(信頼性低下)が生じる場合や、撮像素子3の破壊に至る場合もある。
【0013】
そこで、本実施の形態に係る撮像素子3は、ラッチアップに起因して生じる光(赤外光)を受光するための光電変換部を有し、その光電変換部で変換された電荷に基づく信号(検出信号)を生成する。ラッチアップに伴う発光現象が生じると、検出信号の信号レベルが変化する。このため、撮像素子3は、生成された検出信号に基づいて、撮像素子3におけるラッチアップの発生の有無を推定することができる。以下に、撮像素子3の構成及びカメラ1が行う処理について説明する。
【0014】
図2は、第1の実施の形態に係る撮像素子の構成例を示す図である。撮像素子3は、複数の画素が二次元状(行方向及び列方向)に配置される画素部50を有する。画素部50は、有効画素領域55と、有効画素領域55の周囲に設けられるオプティカルブラック(OB)領域60とを有する。有効画素領域55には、被写体からの光を受光する画素が配置される。有効画素領域55の画素から出力される信号は、アナログ/デジタル変換部(AD変換部)によってデジタル信号に変換された後に、撮像信号として制御部4に出力される。
【0015】
画素部50外には、画素を制御する垂直制御部や画素の信号を処理するカラム回路部などの周辺回路が配置される周辺回路領域80が設けられる。この周辺回路には、画素の動作を制御する垂直制御部、及び、画素から出力される信号をデジタル信号に変換するAD変換部を有するカラム回路部が含まれる。
【0016】
OB領域60には、OB領域60の全体を覆うように遮光膜65が設けられる。OB領域60に配置される画素は、外から光が入射しないように遮光された状態の画素(OB画素)となる。OB領域60では、有効画素領域55を囲むようにOB画素が設けられる。OB画素から出力される信号は、AD変換部によってデジタル信号に変換された後に、撮像信号の補正に用いる信号(補正信号)として制御部4に出力される。
【0017】
制御部4の画像データ生成部4bは、撮像素子3から出力される補正信号を用いて、暗電流に起因する信号成分(暗電流成分)を検出する。画像データ生成部4bは、撮像信号から暗電流成分を減算することによって、撮像信号から暗電流によるノイズ成分を除去する。画像データ生成部4bは、補正後の撮像信号に基づいて画像データを生成する。
【0018】
OB領域60は、有効画素領域55と周辺回路領域80との間に設けられる複数の検出領域70(
図2においては4つの検出領域70)を有する。後述するが、各検出領域70には、それぞれ、ラッチアップに起因する光を受光する光電変換部を有する複数の生成部と、生成部により生成された信号を用いてラッチアップの発生を検出する検出部とが配置される。上述したようにOB領域60には遮光膜65が設けられるため、撮像素子3の外部から生成部及び検出部への光が遮光される。
【0019】
図3は、撮像素子3の有効画素領域55に設けられた複数の画素10のうちの一部の画素10と、周辺回路領域80に設けられた複数のカラム回路部22のうちの1つのカラム回路部22及び垂直制御部25とを示している。また、
図3では、列方向(垂直方向)及び列方向に交差する行方向(水平方向)に配置される複数の画素10のうち、列方向に配置された複数の画素列の一つの画素列の一部を示している。撮像素子3には、列方向、即ち垂直方向に並んだ複数の画素の列である画素列に対して、垂直信号線20が設けられる。垂直信号線20に対して電流源21及びカラム回路部22が設けられる。なお、他の画素列の構成も、
図3の画素列の構成と同様である。垂直制御部25は、複数の画素列に対して共通に設けられる。
【0020】
画素10は、光電変換部11と、転送部12と、フローティングディフュージョン(FD)13と、リセット部14と、増幅部15と、選択部16とを有する。光電変換部11は、フォトダイオードPDであり、入射した光を電荷に変換し、光電変換された電荷を蓄積する。転送部12は、信号ΦTG1により制御されるトランジスタM1から構成され、光電変換部11で光電変換された電荷をFD13に転送する。トランジスタM1は、転送トランジスタである。FD13は、FD13に転送された電荷を蓄積(保持)する。
【0021】
増幅部15は、FD13に蓄積された電荷による信号を増幅して出力する。増幅部15は、ドレイン(端子)、ゲート(端子)、及びソース(端子)がそれぞれ、電源VDD1、FD13、及び選択部16に接続されるトランジスタM3により構成される。増幅部15のソースは、選択部16を介して垂直信号線20に接続される。増幅部15は、電流源21を負荷電流源としてソースフォロワ回路の一部として機能する。トランジスタM3は、増幅トランジスタである。
【0022】
リセット部14は、信号ΦRST1により制御されるトランジスタM2から構成され、FD13に蓄積された電荷を排出し、FD13の電圧(電位)をリセットする。トランジスタM2は、リセットトランジスタである。選択部16は、信号ΦSEL1により制御されるトランジスタM4から構成され、増幅部15と垂直信号線20とを電気的に接続又は切断する。選択部16のトランジスタM4は、オン状態の場合に、増幅部15からの信号を垂直信号線20に出力する。トランジスタM4は、選択トランジスタである。
【0023】
上述のように、光電変換部11で光電変換された電荷は、転送部12によってFD13に転送される。FD13に転送された電荷に応じた信号(画素信号)が、垂直信号線20に出力される。画素10から出力される画素信号は、光電変換部11によって光電変換された電荷に基づいて生成されるアナログ信号である。
【0024】
垂直制御部25は、複数の画素列に対して共通に設けられる。垂直制御部25は、信号ΦTG1、信号ΦRST1、信号ΦSEL1を各画素に供給して、各画素の動作を制御する。垂直制御部25は、画素の各トランジスタのゲートに信号を供給して、トランジスタをオン状態(接続状態、導通状態、短絡状態)又はオフ状態(切断状態、非導通状態、開放状態、遮断状態)とする。
【0025】
カラム回路部22は、AD変換部を含んで構成され、各画素から垂直信号線20を介して入力されるアナログ信号をデジタル信号に変換し、変換後のデジタル信号を出力する。デジタル信号に変換された画素信号は、不図示の信号処理部に入力されて、相関二重サンプリングや信号量を補正する処理等の信号処理が施された後に、撮像信号としてカメラ1の制御部4に出力される。
【0026】
図4は、第1の実施の形態に係る画素の動作の一例を示す図である。
図4に示すタイミングチャートにおいて、横軸は時刻を示しており、撮像素子3の画素に入力される制御信号を示している。また、
図4において、制御信号がハイレベル(例えば電源電圧VDD1)の場合に制御信号が入力されるトランジスタがオン状態となり、制御信号がローレベル(例えば接地電圧GND)の場合に制御信号が入力されるトランジスタがオフ状態となる。
【0027】
図4に示す時刻t1では、信号ΦRST1がハイレベルになることで、リセット部14のトランジスタM2がオンになる。また、時刻t1では、信号ΦTG1がハイレベルになることで、転送部12のトランジスタM1がオンになる。信号ΦRST1及び信号ΦTG1が共にハイレベルであるため、電源線(電源電圧VDD1)とFD13と光電変換部11とが電気的に接続される。これにより、光電変換部11の電荷が排出され、光電変換部11の電圧がリセットされる。また、FD13の電荷が排出され、FD13の電圧がリセット電圧になる。また、時刻t1では、信号ΦSEL1がハイレベルになり、画素10は、リセット電圧に基づく信号を垂直信号線20に出力する。
【0028】
時刻t2において、信号ΦTG1がローレベルになることで、転送部12のトランジスタM1がオフになり、光電変換部11とFD13とが電気的に切り離される。光電変換部11は、被写体からの光を光電変換して生成された電荷を蓄積する。
【0029】
時刻t3において、信号ΦRST1がローレベルになることで、リセット部14のトランジスタM2がオフになる。時刻t3から時刻t4までの期間において、カラム回路部22は、画素10から出力される信号を、FD13の電圧をリセット電圧にリセットしたときの信号(ダーク信号)としてサンプリングする。カラム回路部22は、ダーク信号をデジタル信号に変換する。
【0030】
時刻t4では、信号ΦTG1がハイレベルになることで、転送部12のトランジスタM1がオンになり、光電変換部11で光電変換された電荷が、FD13に転送される。時刻t2から時刻t4までの期間T1は、電荷の蓄積動作が行われる期間(電荷蓄積期間)となる。また、時刻t4では、信号ΦSEL1がハイレベルであるため、光電変換部11で生成された電荷に基づく画素信号が、増幅部15及び選択部16によって垂直信号線20に出力される。画素10は、電荷蓄積期間T1の間に蓄積された電荷量に基づいて画素信号を生成して、垂直信号線20に出力する。カラム回路部22は、入力される画素信号をサンプリングし、デジタル信号に変換する。
【0031】
デジタル信号に変換されたダーク信号と画素信号とは、不図示の信号処理部に入力される。信号処理部は、ダーク信号と画素信号との差分処理を行う相関二重サンプリング等の信号処理を行った後に、処理後の画素信号を制御部4に出力する。
【0032】
なお、本実施の形態にあっては、OB画素の回路構成は、画素10の回路構成と同一である。また、OB画素の電荷蓄積期間は、上述した画素10の電荷蓄積期間T1と同じ長さとなる。OB画素から出力される信号は、デジタル信号に変換された後に、補正信号として制御部4に出力される。
【0033】
図5は、撮像素子3に設けられた複数の検出領域70のうちの1つの検出領域70と、制御回路部45とを示している。上述したように、検出領域70には、複数の生成部30と、検出部40とが設けられる。生成部30は、光電変換部31と、転送部32と、FD33と、リセット部34と、増幅部35と、電流源36とを有する。光電変換部31は、フォトダイオードPDであり、入射した光を電荷に変換し、光電変換された電荷を蓄積する。
【0034】
転送部32は、信号ΦTG2により制御されるトランジスタM11から構成され、光電変換部31で光電変換された電荷をFD33に転送する。FD33は、FD33に転送された電荷を蓄積する。増幅部35は、FD33に蓄積された電荷による信号を増幅して出力する。増幅部35は、ドレイン、ゲート、及びソースがそれぞれ、電源VDD1、FD33、及び電流源36に接続されるトランジスタM13により構成される。リセット部34は、信号ΦRST2により制御されるトランジスタM12から構成され、FD33に蓄積された電荷を排出し、FD33の電圧をリセットする。
【0035】
上述のように、光電変換部31で光電変換された電荷は、転送部32によってFD33に転送される。FD33に転送された電荷に応じた信号(検出信号)が、検出部40に出力される。検出信号は、光電変換部31によって光電変換された電荷に基づいて生成されるアナログ信号である。検出領域70の複数の生成部30において生成された検出信号は、それぞれ検出部40に入力される。
【0036】
制御回路部45は、複数の生成部30に対して共通に設けられる。制御回路部45は、信号ΦTG2、信号ΦRST2を各生成部30に供給して、各生成部30の動作を制御する。制御回路部45は、生成部30の各トランジスタのゲートに信号を供給して、トランジスタをオン状態又はオフ状態とする。なお、制御回路部45と垂直制御部25(
図3参照)とは、複数の生成部30及び画素10を制御する制御部として一体的に構成されてもよい。
【0037】
図6は、第1の実施の形態に係る撮像素子の一部の断面構造の一例を示す図である。
図6では、周辺回路領域80の一部と、検出領域70に設けられた複数の生成部30のうちの1つの生成部30とが示されている。周辺回路領域80に配置される垂直制御部25やAD変換部は、複数のPMOSトランジスタ及びNMOSトランジスタを用いて構成される。周辺回路領域80は、PMOSトランジスタ及びNMOSトランジスタが配置される領域(CMOS領域)となる。
【0038】
図6に示す例では、撮像素子3は、p型の半導体基板であるp基板100を有する。p基板100にはnウェル101が設けられ、nウェル101にはpウェル102が設けられる。また、nウェル101には、PMOSトランジスタ103が配置され、pウェル102には、NMOSトランジスタ104が配置される。nウェル101に形成されるp+領域83およびp+領域84は、それぞれp型の不純物を用いて形成され、PMOSトランジスタ103のソース・ドレイン領域として機能する。また、pウェル102に形成されるn+領域85およびn+領域86は、それぞれn型の不純物を用いて形成され、NMOSトランジスタ104のソース・ドレイン領域として機能する。
【0039】
PMOSトランジスタ103のソース(p+領域83)及びn+領域82には、電源線を介して電源電圧VDD2が供給される。NMOSトランジスタ104のソース(n+領域86)及びp+領域87には、接地線を介して接地電圧GNDが供給される。p基板100のp+領域81には、接地線を介して接地電圧GNDが供給される。
【0040】
nウェル101に設けられたn+領域71は、電源線を介して電源電圧VDD2が与えられる。また、p基板100に設けられたp+領域72及びp+領域73は、それぞれ接地線を介して接地電圧GNDが与えられる。n+領域71及びp+領域72は、周辺回路領域80と生成部30との間に設けられ、ガードリングとして機能し、隣接する領域に電荷が漏れることを抑制する。また、p+領域73も、ガードリングとして機能する。
【0041】
生成部30は、上述したように、光電変換部31と、転送部32と、FD33と、リセット部34と、増幅部35と、電流源36とを有する。遮光部(遮光膜)65は、検出領域70を含むOB領域60の全体を覆うように形成される。遮光部65は、導体膜等により構成され、例えばアルミニウム、銅、タングステン、又はこれらの膜の多層膜である。
【0042】
周辺回路領域80には、
図6に示すように、複数の寄生素子が形成される。PMOSトランジスタ103のソース(p+領域83)をエミッタ(端子)とし、nウェル101をベース(端子)とし、p基板100をコレクタ(端子)とする寄生PNPトランジスタ91が形成される。PMOSトランジスタ103のソース(p+領域83)をエミッタとし、nウェル101をベースとし、pウェル102をコレクタとする寄生PNPトランジスタ92が形成される。また、NMOSトランジスタ104のソース(n+領域86)をエミッタとし、pウェル102をベースとし、nウェル101をコレクタとする寄生NPNトランジスタ93が形成される。
【0043】
周辺回路領域80において、p+領域81と寄生PNPトランジスタ91との間には、寄生抵抗94が形成される。また、n+領域82と寄生PNPトランジスタ91との間には、寄生抵抗95が形成され、p+領域87と寄生NPNトランジスタ93との間には、寄生抵抗96が形成される。このように、周辺回路領域80には、複数の寄生トランジスタ及び寄生抵抗が形成されてしまう。
【0044】
寄生PNPトランジスタ92及び寄生NPNトランジスタ93は、寄生サイリスタを構成する。この寄生サイリスタに例えば自然界の放射線が入射すると、寄生PNPトランジスタ92及び寄生NPNトランジスタ93がオン状態となり、電源電圧VDD2が与えられる電源線と接地電圧GNDが与えられる接地線との間に大電流が流れうる。なお、寄生サイリスタに高電圧または大電流が入力されることによっても、寄生サイリスタがオン状態となってラッチアップが発生し得る。
【0045】
周辺回路領域80においてラッチアップが発生して、寄生サイリスタのPN接合部に大電流が流れる場合、赤外光が生じる。生成部30の光電変換部31は、ラッチアップに起因する光(赤外光)を受光し、受光した光を電荷に変換する。生成部30は、光電変換部31で変換された電荷に基づく検出信号を生成して、検出部40に出力する。
【0046】
検出部40は、生成部30から出力される検出信号に基づいて、撮像素子3におけるラッチアップの発生の有無を検出する。検出部40は、例えば検出信号の信号レベルが所定の基準レベル(閾値)を超えている場合に、ラッチアップが発生したと判断する。撮像素子3は、検出部40による判定結果を示す信号(判定信号)を、カメラ1の制御部4に出力する。
制御部4は、撮像素子3から出力される判定信号に基づきラッチアップが発生したことを把握すると、撮像素子3に対する電力の供給を停止させる。これにより、カメラ1は、寄生サイリスタの動作を停止させて、ラッチアップを解消することができる。
【0047】
上述したラッチアップに起因する光(赤外光)は、一般的に、約750nmから約900nmまでの波長域の微弱光となる。この波長域の赤外光に対しては基板材料(シリコン)による吸収は少ないので、ラッチアップを発生し得る回路部(例えば垂直制御部25やAD変換部等)と生成部30との間隔を、2mm程度まで広げることができる。ラッチアップを発生し得る回路部と生成部30との間隔を、2mm以下とすることで、生成部30の光電変換部31の受光量を確保して、ラッチアップの発生の検出精度が低下することを抑えることができる。ラッチアップを発生し得る回路部と生成部30との間隔を、1mm~2mmの範囲にしてもよい。また、光電変換部31を、2mm以下の間隔で離散的に配置するようにしてもよい。
以下では、本実施の形態に係る生成部の制御例について、図面を参照して説明する。
【0048】
図7は、第1の実施の形態に係る生成部の動作の一例を示す図である。
図7に示すタイミングチャートにおいて、横軸は時刻を示しており、撮像素子3の生成部30に入力される制御信号を示している。
【0049】
時刻t11では、信号ΦRST2がハイレベルになることで、リセット部34のトランジスタM12がオンになる。また、時刻t11では、信号ΦTG2がハイレベルになることで、転送部32のトランジスタM11がオンになる。これにより、光電変換部31の電荷が排出され、光電変換部31の電圧がリセットされる。また、FD33の電荷が排出され、FD33の電圧がリセット電圧になる。生成部30は、リセット電圧に基づく信号を検出部40に出力する。
【0050】
時刻t12において、信号ΦTG2がローレベルになることで、転送部32のトランジスタM11がオフになり、光電変換部31とFD33とが電気的に切り離される。光電変換部31は、ラッチアップに起因する光を光電変換して生成された電荷を蓄積する。
【0051】
時刻t13において、信号ΦRST2がローレベルになることで、リセット部34のトランジスタM12がオフになる。時刻t13から時刻t14までの期間において、検出部40は、生成部30から出力される信号を、FD33の電圧をリセット電圧にリセットしたときの信号(ダーク信号)としてサンプリングする。
【0052】
時刻t14では、信号ΦTG2がハイレベルになることで、転送部32のトランジスタM11がオンになり、光電変換部31で光電変換された電荷が、FD33に転送される。時刻t12から時刻t14までの期間T2は、電荷蓄積期間となる。生成部30は、電荷蓄積期間T2の間に蓄積された電荷量に基づいて検出信号を生成して、検出部40に出力する。この場合、制御回路部45は、生成部30に供給する信号ΦTG2のタイミングを制御して、画素10の電荷蓄積期間T1よりも時間が長い電荷蓄積時間T2を設定する。これにより、生成部30の光電変換部31の受光量を確保することができ、ラッチアップに起因する光が微弱光の場合にラッチアップの検出精度が低下することを防ぐことができる。
【0053】
検出部40は、生成部30から出力される検出信号をサンプリングする。検出部40は、生成部30の検出信号から生成部30のダーク信号を減算する処理を行う。検出部40は、減算処理後の検出信号を用いて、撮像素子3におけるラッチアップの発生の有無を検出する。例えば、検出部40は、検出信号の信号レベルが所定の基準レベル以上であるか否かを判定する。検出部40は、検出信号の信号レベルが所定の基準レベル以内であればラッチアップは発生していないと判断し、検出信号の信号レベルが所定の基準レベルを超えている場合にはラッチアップが発生したと判断する。検出部40は、判定結果を示す判定信号を、制御部4に出力する。
【0054】
上述のように、検出部40は、検出信号からダーク信号を減算し、減算後の検出信号を用いてラッチアップの発生の検出を行う。このため、生成部30から出力された検出信号のみを用いてラッチアップの判定処理を行う場合よりも、S/N比を向上させることができ、ラッチアップの検出精度を向上させることができる。なお、検出部40は、複数の異なる期間において生成部30から出力された検出信号を積算(加算)し、積算された検出信号を用いてラッチアップの判定処理を行うようにしてもよい。積算処理を行うことによって検出信号のS/N比を向上させ、ラッチアップの検出精度を向上させることができる。
【0055】
制御部4は、ラッチアップの発生が検出された場合、撮像素子3に対する電力の供給を停止させて、寄生サイリスタの動作を停止させる。これにより、ラッチアップを解消することができ、撮像素子3の誤動作や撮像素子3の破壊が生じることを防ぐことができる。また、制御部4は、撮像素子3への電力の供給を停止させてから所定時間後に、撮像素子3への電力の供給を再開させることで、撮像素子3を通常の状態に復帰(回復)させることが可能となる。
【0056】
また、本実施の形態に係る撮像素子3には、複数の検出領域70が設けられ、検出領域70毎に検出部40が設けられる。撮像素子3は、各検出部40の各々の判定結果を示す判定信号を制御部4に出力するようにしてもよい。この場合、制御部4は、判定信号に基づいて、撮像素子3においてラッチアップが発生した領域を推定することができる。この場合、制御部4は、ラッチアップが生じた撮像素子3の一部分への電力の供給を停止するようにしてもよい。
【0057】
なお、撮像素子3は、生成部30から出力される検出信号及びダーク信号を、制御部4に送信するようにしてもよい。この場合、制御部4が、検出信号及びダーク信号に基づいて、撮像素子3におけるラッチアップの発生の有無を検出するようにしてもよい。
【0058】
上述した実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)撮像素子3は、光を光電変換して電荷を生成する第1の光電変換部を有し、第1の光電変換部で生成された電荷に基づく第1信号(撮像信号)を生成する画素10と、画素を制御する又は画素の第1信号を処理する回路部と、光を光電変換して電荷を生成する第2の光電変換部を有し、第2の光電変換部で生成された電荷に基づく第2信号(検出信号)を生成する生成部30と、第2の光電変換部への光の一部を遮光する遮光部65と、生成部の第2信号に基づいて、回路部におけるラッチアップの発生を検出する検出部40と、を備える。ラッチアップにより発生した赤外光は、基板(シリコン基板)中を透過して生成部30の光電変換部31に達する。このため、生成部30から出力される検出信号を用いて撮像素子3におけるラッチアップの発生を検出することができる。また、特許文献1に記載のような導波路は配置されないため、チップ面積が増大することを抑制することができる。
【0059】
(2)撮像装置(カメラ1)は、光を光電変換して電荷を生成する第1の光電変換部を有する画素10と、画素を制御する又は画素の信号を処理する回路部と、光を光電変換して電荷を生成する第2の光電変換部と、第2の光電変換部への光の一部を遮光する遮光部65とを有する撮像部(撮像素子3)と、第2の光電変換部で生成された電荷に基づく信号に基づいて、回路部におけるラッチアップの発生を検出する検出部と、検出部による検出結果に基づいて、回路部への電力の供給を制御する制御部4と、を備える。本実施の形態では、制御部4は、検出部40による検出結果に基づき撮像素子3への電力の供給を制御する。これにより、撮像素子3におけるラッチアップを解消させることができる。また、撮像素子3の特性劣化や撮像素子3の破壊が生じることを防ぐことができる。
【0060】
次のような変形も本発明の範囲内であり、変形例の一つ、もしくは複数を上述の実施形態と組み合わせることも可能である。
【0061】
(変形例1)
上述した実施の形態では、生成部30に1つの光電変換部が配置される例について説明したが、生成部30の構成を、2つ以上の光電変換部を有する構成にしてもよい。
図8は、変形例1に係る生成部30の構成例を示す図である。本変形例では、信号ΦTG2がハイレベルとなることで、第1の光電変換部31a及び第2の光電変換部31bでそれぞれ生成された電荷が、それぞれ第1の転送部32a、第2の転送部32bを介してFD33に転送されて加算される。生成部30は、加算された電荷に基づく検出信号を検出部40に出力する。検出部40は、加算された電荷に基づく検出信号を用いて、ラッチアップの発生の検出を行う。このため、1つの光電変換部で変換された電荷に基づく検出信号のみを用いてラッチアップの検出を行う場合よりも、S/N比を向上させることができ、ラッチアップの検出精度を向上させることができる。
【0062】
(変形例2)
図9は、変形例2に係る生成部の構成例を示す図であり、
図10は、変形例に係る生成部の動作の一例を示す図である。
図9に示すように、本変形に係る制御回路部45は、第1の転送部32aと第2の転送部32bとを、互いに異なる制御信号(ΦTG2、ΦTG3)を用いてオンオフ制御する。
図10に示す例の場合、時刻t16において信号ΦTG2がハイレベルとなることで、生成部30は、電荷蓄積期間T3の間に第1の光電変換部31aで蓄積された電荷に基づく第1の検出信号を、検出部40に出力する。また、時刻t19において信号ΦTG3がハイレベルとなることで、生成部30は、電荷蓄積期間T4の間に第2の光電変換部31bで蓄積された電荷に基づく第2の検出信号を、検出部40に出力する。
【0063】
検出部40は、互いに異なる電荷蓄積期間の間に蓄積された電荷に基づく第1及び第2の検出信号を用いて、ラッチアップの発生の検出を行う。例えば、検出部40は、第1の検出信号の信号レベル及び第2の検出信号の信号レベルのうちの少なくとも一方が所定の基準レベル以内であればラッチアップは発生していないと判断する。一方、検出部40は、第1の検出信号の信号レベル及び第2の検出信号の信号レベルの両方が所定の基準レベルを超えている場合にはラッチアップが発生したと判断する。これにより、ラッチアップの誤検出が生じることを抑制することができる。
【0064】
(変形例3)
上述した実施の形態では、複数の生成部30の検出信号を、互いに異なる信号線に出力させる例について説明した。しかし、
図11に示すように、複数の生成部30の検出信号を1つの信号線38に出力させるようにしてもよい。この場合、複数の生成部30の各々の増幅部35のソース端子が、信号線38に電気的に接続される。信号線38に接続された電流源37の電流は、複数の生成部30に分流(分配)される。信号線38では、複数の生成部30の検出信号が加算(混合)され、加算検出信号となる。検出部40は、信号線38を介して入力される加算検出信号を用いて、ラッチアップの発生の検出を行う。このように、本変形例では、複数の生成部30の検出信号を加算して読み出すため、複数の生成部30と検出部40とに接続される信号線を削減することができ、チップ面積を低減させることができる。
【0065】
(変形例4)
上述した実施の形態および変形例で説明した撮像素子を、複数の基板(例えば、複数の半導体基板)を積層して構成される積層センサ(積層型の撮像素子)に適用してもよい。例えば、
図12(a)、(b)に示すように、複数の画素10を第1の基板110に配置し、生成部30を第2の基板120に離散的に配置してもよい。また、複数の生成部30を覆うように遮光部65を配置してもよいし、
図12(b)に示すように生成部30毎に遮光部65を配置してもよい。また、積層センサは3つ以上の基板を用いて構成してもよい。
【0066】
(変形例5)
OB領域60に配置された複数のOB画素のうちの一部のOB画素を、生成部30として用いるようにしてもよい。この場合、一部のOB画素は、OB画素として機能すると共に生成部としても機能する。この場合、OB画素としても機能する生成部の電荷蓄積期間は、OB画素の電荷蓄積期間T1と同じ長さとなる。なお、有効画素領域55に設けられた複数の画素10の一部に置換して、生成部30を配置するようにしてもよい。
【0067】
(変形例6)
上記の実施の形態および変形例では、撮像素子3に含まれる生成部30及び検出部40として示したが、これに限られない。上述の実施の形態及び変形例で説明した生成部及び検出部は、ラッチアップを発生し得る他の半導体素子にも適用可能である。
【0068】
(変形例7)
上述の実施の形態及び変形例で説明した撮像素子及び撮像装置は、カメラ、スマートフォン、タブレット、PCに内蔵のカメラ、車載カメラ、無人航空機(ドローン、ラジコン機等)に搭載されるカメラ等に適用されてもよい。
【0069】
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0070】
1…撮像装置、3…撮像素子、4…制御部、10…画素、30…生成部、40…検出部、65…遮光部