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特許7167770ケーブルの端末処理方法、及びケーブルハーネスの製造方法
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  • 特許-ケーブルの端末処理方法、及びケーブルハーネスの製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】ケーブルの端末処理方法、及びケーブルハーネスの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01B 13/00 20060101AFI20221101BHJP
   H02G 1/12 20060101ALI20221101BHJP
   H02G 1/14 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
H01B13/00 521
H02G1/12 078
H02G1/12 080
H02G1/14
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019033862
(22)【出願日】2019-02-27
(65)【公開番号】P2020140806
(43)【公開日】2020-09-03
【審査請求日】2021-06-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】日立金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】特許業務法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】熊倉 崇
【審査官】中嶋 久雄
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-071310(JP,A)
【文献】実公平07-013193(JP,Y2)
【文献】特開2001-161017(JP,A)
【文献】特開昭59-025509(JP,A)
【文献】特開平02-213074(JP,A)
【文献】実開昭61-160401(JP,U)
【文献】特開平03-054508(JP,A)
【文献】特開2005-129317(JP,A)
【文献】特開2014-207834(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 13/00
H02G 1/12
H02G 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号導体、前記信号導体の周囲を覆う絶縁体、及び前記絶縁体の周囲を覆う金属めっき層からなるシールド導体を備えたケーブルの端末処理方法であって、
前記絶縁体の融点以上の温度に加熱された把持部材により、前記ケーブルの端末部分を把持する把持工程と、
前記把持部材を前記ケーブルの先端側へと移動させることで、前記シールド導体と前記把持部材の熱によって溶融した前記絶縁体とを、前記絶縁体の一部が前記信号導体の周囲に残存するように除去する加熱ストリップ工程と、
前記信号導体の周囲に残存させた前記絶縁体を除去する残存絶縁体ストリップ工程と、を備えた、
ケーブルの端末処理方法。
【請求項2】
前記加熱ストリップ工程の後、前記信号導体の周囲に残存した前記絶縁体にレーザ光を照射して、前記絶縁体に切れ目を入れる切れ目形成工程と、
前記切れ目よりも先端側の前記絶縁体を除去する前記残存絶縁体ストリップ工程と、をさらに備えた、
請求項1に記載のケーブルの端末処理方法。
【請求項3】
前記把持工程では、前記把持部材によって、所定の配列方向に沿って配列された複数の前記ケーブルを、前記配列方向と垂直な方向において一括して挟み込み把持する、
請求項1または2に記載のケーブルの端末処理方法。
【請求項4】
前記ケーブルは、一対の前記信号導体を備え、前記絶縁体は、一対の前記信号導体の周囲を一括して覆うように形成されている、
請求項1乃至の何れか1項に記載のケーブルの端末処理方法。
【請求項5】
前記把持部材は、前記ケーブルを挟み込み把持する一対のクランプ部を有し、前記クランプ部は、前記ケーブルを把持した際に前記絶縁体内に押し込まれる突起部を一体に有する、
請求項に記載のケーブルの端末処理方法。
【請求項6】
信号導体、前記信号導体の周囲を覆う絶縁体、及び前記絶縁体の周囲を覆う金属めっき層からなるシールド導体を備えたケーブルと、前記ケーブルの少なくとも一方の端部に設けられた回路基板と、を備えたケーブルハーネスの製造方法であって、
前記ケーブルの端末部分から前記シールド導体と前記絶縁体を除去し、前記信号導体を露出させる端末処理工程と、
露出させた前記信号導体と、前記シールド導体とを、前記回路基板の電極にそれぞれ接続する接続工程と、を備え、
前記端末処理工程は、
前記絶縁体の融点以上の温度に加熱された把持部材により、前記ケーブルの端末部分を把持する把持工程と、
前記把持部材を前記ケーブルの先端側へと移動させることで、前記シールド導体と前記把持部材の熱によって溶融した前記絶縁体とを、前記絶縁体の一部が前記信号導体の周囲に残存するように除去する加熱ストリップ工程と、
前記信号導体の周囲に残存させた前記絶縁体を除去する残存絶縁体ストリップ工程と、を有する、
ケーブルハーネスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルの端末処理方法、及びケーブルハーネスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
差動信号を伝送するためのケーブルとして、一対の信号導体を絶縁体で一括被覆し、絶縁体の周囲をシールド導体で覆ったものが知られている。このようなケーブルとして、絶縁体の周囲に金属めっきを施すことでシールド導体を形成したものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
金属めっきによりシールド導体を形成したケーブルは、回路基板に実装された状態で使用されることが多い。ケーブルの端部に回路基板を設けたものをケーブルハーネスと呼称する。回路基板にケーブルを接続する際には、まず、ケーブルの端末部分からシールド導体と絶縁体を除去し、一対の信号導体を露出させる端末処理を行う。
【0004】
従来のケーブルの端末処理方法では、ケーブルの端末部において絶縁体とシールド導体とにカッター等で切れ目を入れ、絶縁体とシールド導体とを除去(ストリップ)して一対の信号導体を露出させる。このような端末処理の後、露出させた一対の信号導体を回路基板の信号電極にそれぞれ接続すると共に、シールド導体を回路基板のグランド電極に接続すると、ケーブルハーネスが得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6245402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の従来のケーブルの端末処理方法では、カッターで切れ目を入れる際に、信号導体まで刃が到達して信号導体を傷つけてしまうおそれがあった。
【0007】
COレーザ等のレーザ光を照射して絶縁体に切れ目を入れる方法も知られているが、上述のような金属めっきからなるシールド導体を備えたケーブルにおいては、レーザ光がシールド導体で反射してしまうため絶縁体に切れ目を入れることが困難である。なお、金属めっきによりシールド導体を形成しているために、絶縁体からシールド導体を除去することも困難である。
【0008】
そこで、本発明は、信号導体を傷つけることなく信号導体を露出させることが可能なケーブルの端末処理方法、及びケーブルハーネスの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決することを目的として、信号導体、前記信号導体の周囲を覆う絶縁体、及び前記絶縁体の周囲を覆うシールド導体を備えたケーブルの端末処理方法であって、前記絶縁体の融点以上の温度に加熱された把持部材により、前記ケーブルの端末部分を把持する把持工程と、前記把持部材を前記ケーブルの先端側へと移動させることで、前記シールド導体と、前記絶縁体の少なくとも一部とを除去する加熱ストリップ工程と、を備えた、ケーブルの端末処理方法を提供する。
【0010】
また、本発明は、上記課題を解決することを目的として、信号導体、前記信号導体の周囲を覆う絶縁体、及び前記絶縁体の周囲を覆うシールド導体を備えたケーブルと、前記ケーブルの少なくとも一方の端部に設けられた回路基板と、を備えたケーブルハーネスの製造方法であって、前記ケーブルの端末部分から前記シールド導体と前記絶縁体を除去し、前記信号導体を露出させる端末処理工程と、露出させた前記信号導体と、前記シールド導体とを、前記回路基板の電極にそれぞれ接続する接続工程と、を備え、前記端末処理工程は、前記絶縁体の融点以上の温度に加熱された把持部材により、前記ケーブルの端末部分を把持する把持工程と、前記把持部材を前記ケーブルの先端側へと移動させることで、前記シールド導体と、前記絶縁体の少なくとも一部とを除去する加熱ストリップ工程と、を有する、ケーブルハーネスの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、信号導体を傷つけることなく信号導体を露出させることが可能なケーブルの端末処理方法、及びケーブルハーネスの製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】(a)は、本発明の一実施の形態に係るケーブルハーネスの製造方法で製造するケーブルハーネスの斜視図、(b)は、ケーブルの長手方向に垂直な断面を示す断面図である。
図2】(a)は、ケーブルハーネスの製造方法の手順を示すフロー図であり、(b)は、本発明の一実施の形態に係るケーブルの端末処理方法を適用した端末処理工程の手順を示すフロー図である。
図3】(a)~(h)は、本発明の一実施の形態に係るケーブルの端末処理方法を適用した端末処理工程の各工程を説明する説明図である。
図4】(a),(b)は、把持部材の変形例を示す図である。
図5】(a)~(c)は、ケーブルの端末処理方法の一変形例を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[実施の形態]
以下、本発明の実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
【0014】
図1(a)は、本実施の形態に係るケーブルハーネスの製造方法で製造するケーブルハーネスの斜視図、図1(b)はケーブルの長手方向に垂直な断面を示す断面図である。
【0015】
(ケーブルハーネスとケーブル)
図1(a),(b)に示すように、ケーブルハーネス1は、複数本のケーブル2と、複数本のケーブル2の端部に設けられた回路基板3と、を備えている。
【0016】
ケーブル2は、差動信号を伝送する差動信号伝送用のケーブルであり、平行に配置された一対の信号導体(内部導体)21と、一対の信号導体21の周囲を一括して覆う絶縁体22と、絶縁体22の周囲を覆うシールド導体(外部導体)23と、を備えている。絶縁体22は、断面視で略楕円形状に形成されている。本実施の形態では、シールド導体23が、絶縁体22の周囲を覆うように形成された金属めっき層からなるケーブル2を用いた。
【0017】
回路基板3には、ケーブル2の信号導体21がはんだ等により接続される信号電極31と、ケーブル2のシールド導体23がはんだ等により接続されるグランド電極32と、が形成されている。図1(a)では、回路基板3の一方の面に4本のケーブル2が接続されると共に、回路基板3の他方の面に4本のケーブル2が接続される場合について示している。回路基板3に接続される8本のケーブル2は、同じ方向(図示右奥の方向)に延出されている。
【0018】
回路基板3の一方及び他方の面には、4本のケーブル2(8本の信号導体21)に対応した8個の信号電極31がそれぞれ形成されている。なお、図1では、信号導体21と信号電極31とを接続する前の状態を示している。また、回路基板3の一方及び他方の面の縁部近傍には、2本のケーブル2で共通の2個のグランド電極32がそれぞれ形成されている。ここでは、回路基板3に8本のケーブル2を接続する場合を示しているが、回路基板3に接続するケーブル2の本数は図示のものに限定されず、例えば1本でもよい。また、ケーブル2の延出方向や電極31,32の配置についても、図示のものに限定されない。
【0019】
(ケーブルハーネスの製造方法)
図2(a)は、ケーブルハーネスの製造方法の手順を示すフロー図である。図2(a)に示すように、ケーブルハーネス1を製造する際には、まず、ステップS1にて、ケーブル2の端末部分からシールド導体23と絶縁体22を除去し、一対の信号導体21を露出させる端末処理工程を行う。その後、ステップS2にて、露出させた一対の信号導体21を回路基板3の信号電極31に、シールド導体23を回路基板3のグランド電極32に、それぞれはんだ等により接続する接続工程を行う。ステップS1の端末処理工程では、本実施の形態に係るケーブルハーネスの端末処理方法により、ケーブル2の端末加工を行う。
【0020】
(ケーブルの端末処理方法)
図2(b)は、本実施の形態に係るケーブルの端末処理方法を適用した端末処理工程の手順を示すフロー図である。図3(a)~(h)は、本実施の形態に係るケーブルの端末処理方法を適用した端末処理工程の各工程を説明する説明図である。なお、図3(a),(c),(f),及び(h)は、ケーブル配列方向における一方から見た側面図を示し、図3(b),(d),及び(g)は、ケーブル先端側から見た正面図を示している。
【0021】
図2(b)に示すように、ステップS1の端末処理工程では、まず、ステップS11にて、複数本のケーブル2を配列する配列工程を行う。ステップS11の配列工程では、図3(a),(b)に示すように、一対の信号導体21の配列方向に沿って複数のケーブル2を配列する。つまり、複数のケーブル2は、各ケーブル2の信号導体21が正面視で一直線上に並ぶように配列される。
【0022】
その後、ステップS12にて、絶縁体22の融点以上の温度に加熱された把持部材4により、ケーブル2の端末部分を把持する把持工程を行う。図3(c),(d)に示すように、把持部材4は、ケーブル2を挟み込み把持するための一対のクランプ部41を有している。クランプ部41は、その少なくともケーブル2に接触する部分が、絶縁体22の融点以上の温度に加熱される。ここでは、クランプ部41が平板状である場合を示しているが、クランプ部41の形状は図示のものに限定されない。ステップS12の把持工程では、把持部材4の一対のクランプ部41により、複数のケーブル2を、一対の信号導体21の配列方向(ケーブル2の配列方向)と垂直な方向において一括して挟み込み把持する。把持工程を行うことにより、クランプ部41の熱によって、絶縁体22の少なくとも一部が溶融する。
【0023】
その後、ステップS13にて、把持部材4をケーブル2の先端側へと移動させることで、シールド導体23と、絶縁体22の少なくとも一部とを除去する加熱ストリップ工程を行う。図3(e)に示すように、クランプ部41の熱によって絶縁体22が溶融しているで、把持部材4の移動にともなって絶縁体22の一部とシールド導体23とが除去される。
【0024】
その後、ステップS14にて、信号導体21の周囲に残存した絶縁体22にレーザ光を照射して、絶縁体22に切れ目を入れる切れ目形成工程を行う。図3(f),(g)に示すように、レーザ光は、一対の信号導体21の配列方向(ケーブル2の配列方向)と垂直な方向に照射される。レーザ光を照射するレーザ照射装置5は、ケーブル2の配列方向に移動され、各ケーブル2へのレーザ照射及び切れ目の形成が順次行われる。レーザ照射装置5としては、例えば、COレーザ装置を用いることができる。
【0025】
その後、ステップS15にて、切れ目よりも先端側の絶縁体22を除去する残存絶縁体ストリップ工程を行う。図3(h)に示すように、切れ目形成工程により切れ目が形成されているため、残存している絶縁体22を容易に除去することができる。絶縁体22の除去は、作業者が手作業で行ってもよいし、切り離された絶縁体22を把持し引き抜く装置を用いて自動で行ってもよい。以上により、ステップS1の端末処理工程が完了する。
【0026】
ステップS1の後、ステップS2の接続工程(図2(a)参照)を行い、各ケーブル2の信号導体21を回路基板3の信号電極31にはんだ等によりそれぞれ接続し、各ケーブル2のシールド導体23を回路基板3のグランド電極32にはんだ等によりそれぞれ接続すると、ケーブルハーネス1が得られる。
【0027】
(変形例)
本実施の形態では、平板状のクランプ部41を有する把持部材4を用いたが、図4(a),(b)に示すように、クランプ部41は、ケーブル2を把持した際に絶縁体22内に押し込まれる突起部42を一体に有していてもよい。突起部42を有することにより、絶縁体22のより深い位置まで熱が伝わって溶融する。さらに、突起部42に未溶融の絶縁体22を引っ掛けて引き抜くことができるため、加熱ストリップ工程後に残存する絶縁体22を少なくすることが可能になる。なお、ここでは絶縁体22の引抜き方向に対して後方側のクランプ部41の端部に突起部42を形成したが、突起部42の位置は適宜変更可能である。また、突起部42を複数形成してもよい。
【0028】
また、本実施の形態では、加熱ストリップ工程後に、切れ目形成工程及び残存絶縁体ストリップ工程を行ったが、これら切れ目形成工程及び残存絶縁体ストリップ工程は省略可能である。例えば、図5(a)~(c)に示すように、把持工程においてクランプ部41をケーブル2に強く押し当て、強く押し当てた状態を保持しつつケーブル先端側へとクランプ部41をスライドさせるように加熱ストリップ工程を行うことで、絶縁体22の全体を除去することも可能である。
【0029】
(実施の形態の作用及び効果)
以上説明したように、本実施の形態に係るケーブルの端末処理方法では、信号導体21、信号導体21の周囲を覆う絶縁体22、及び絶縁体22の周囲を覆うシールド導体23を備えたケーブル2の端末処理方法であって、絶縁体22の融点以上の温度に加熱された把持部材4により、ケーブル2の端末部分を把持する把持工程と、把持部材4をケーブル2の先端側へと移動させることで、シールド導体23と、絶縁体22の少なくとも一部とを除去する加熱ストリップ工程と、を備えている。
【0030】
熱により絶縁体22を溶融させつつ絶縁体22を除去することで、信号導体21を傷つけることなく信号導体21を露出させることができる。また、本実施の形態に係るケーブルの端末処理方法では、把持部材4で複数本のケーブル2を一括して把持させることで、複数本のケーブル2を一括して端末処理することが可能であり、効率的にケーブル2の端末処理を行って生産性を高めることができる。本発明は、絶縁体22からシールド導体23を除去することが困難なケーブル2、特にシールド導体23が金属めっき層からなるケーブル2の端末処理に好適に用いることができる。
【0031】
(実施の形態のまとめ)
次に、以上説明した実施の形態から把握される技術思想について、実施の形態における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号等は、特許請求の範囲における構成要素を実施の形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
【0032】
[1]信号導体(21)、前記信号導体(21)の周囲を覆う絶縁体(22)、及び前記絶縁体(22)の周囲を覆うシールド導体(23)を備えたケーブル(2)の端末処理方法であって、前記絶縁体(22)の融点以上の温度に加熱された把持部材(4)により、前記ケーブル(2)の端末部分を把持する把持工程と、前記把持部材(4)を前記ケーブル(2)の先端側へと移動させることで、前記シールド導体(23)と、前記絶縁体(22)の少なくとも一部とを除去する加熱ストリップ工程と、を備えた、ケーブルの端末処理方法。
【0033】
[2]前記加熱ストリップ工程の後、前記信号導体(21)の周囲に残存した前記絶縁体(22)にレーザ光を照射して、前記絶縁体(22)に切れ目を入れる切れ目形成工程と、前記切れ目よりも先端側の前記絶縁体(22)を除去する残存絶縁体ストリップ工程と、をさらに備えた、[1]に記載のケーブルの端末処理方法。
【0034】
[3]前記シールド導体(23)は、前記絶縁体(22)の周囲を覆うように形成された金属めっき層である、[1]または[2]に記載のケーブルの端末処理方法。
【0035】
[4]前記把持工程では、前記把持部材(4)によって、所定の配列方向に沿って配列された複数のケーブル(2)を、前記配列方向と垂直な方向において一括して挟み込み把持する、[1]乃至[3]の何れか1項に記載のケーブルの端末処理方法。
【0036】
[5]前記ケーブル(2)は、一対の前記信号導体(21)を備え、前記絶縁体(22)は、一対の前記信号導体(21)の周囲を一括して覆うように形成されている、[1]乃至[4]の何れか1項に記載のケーブルの端末処理方法。
【0037】
[6]前記把持部材(4)は、前記ケーブル(2)を挟み込み把持する一対のクランプ部(41)を有し、前記クランプ部(41)は、前記ケーブル(2)を把持した際に前記絶縁体(23)内に押し込まれる突起部(42)を一体に有する、[5]に記載のケーブルの端末処理方法。
【0038】
[7]信号導体(21)、前記信号導体(21)の周囲を覆う絶縁体(22)、及び前記絶縁体(22)の周囲を覆うシールド導体(23)を備えたケーブル(2)と、前記ケーブル(2)の少なくとも一方の端部に設けられた回路基板(3)と、を備えたケーブルハーネス(1)の製造方法であって、前記ケーブル(2)の端末部分から前記シールド導体(23)と前記絶縁体(22)を除去し、前記信号導体(21)を露出させる端末処理工程と、露出させた前記信号導体(21)と、前記シールド導体(23)とを、前記回路基板(3)の電極(31,32)にそれぞれ接続する接続工程と、を備え、前記端末処理工程は、前記絶縁体(22)の融点以上の温度に加熱された把持部材(4)により、前記ケーブル(2)の端末部分を把持する把持工程と、前記把持部材(2)を前記ケーブル(2)の先端側へと移動させることで、前記シールド導体(23)と、前記絶縁体(22)の少なくとも一部とを除去する加熱ストリップ工程と、を有する、ケーブルハーネスの製造方法。
【0039】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【0040】
本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。例えば、上記実施の形態では、ケーブル2が、一対の信号導体21を有し、一対の信号導体21を一括して被覆する絶縁体22とを有する差動信号伝送用のケーブルである場合を説明したが、これに限らず、ケーブル2は、1本の信号導体21の周囲に、絶縁体22、シールド導体23を順次設けた同軸ケーブルであってもよい。
【符号の説明】
【0041】
1…ケーブルハーネス
2…ケーブル
21…信号導体
22…絶縁体
23…シールド導体
3…回路基板
31…信号電極(電極)
32…グランド電極(電極)
4…把持部材
41…クランプ部
42…突起部
5…レーザ照射装置
図1
図2
図3
図4
図5