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<図1>
  • 特許-管継手 図1
  • 特許-管継手 図2
  • 特許-管継手 図3
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  • 特許-管継手 図5
  • 特許-管継手 図6
  • 特許-管継手 図7
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】管継手
(51)【国際特許分類】
   F16L 25/01 20060101AFI20221101BHJP
   F16L 33/00 20060101ALI20221101BHJP
   F16L 19/025 20060101ALI20221101BHJP
   F16L 33/26 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
F16L25/01
F16L33/00 B
F16L19/025
F16L33/26
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019545576
(86)(22)【出願日】2018-09-26
(86)【国際出願番号】 JP2018035747
(87)【国際公開番号】W WO2019065762
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2021-08-10
(31)【優先権主張番号】P 2017189342
(32)【優先日】2017-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】日立金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 善紀
(72)【発明者】
【氏名】毛利 昌宏
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-256108(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0145434(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0333066(US,A1)
【文献】特開2013-036503(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0123506(US,A1)
【文献】特開平10-257636(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 25/01
F16L 33/00
F16L 19/025
F16L 33/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性を有するとともに接地された第1の管と、コルゲート加工された金属製の管状部材および前記管状部材を構成する金属より低い電気抵抗を有するとともに前記管状部材を覆う導電層を備える第2の管と、を接続する管継手であって、
導電性を有し、前記第1の管と接続する接続部と、
導電性を有し、前記接続部と嵌まり合い、前記第2の管の軸方向に沿って前記第2の管が挿入されることにより前記第2の管を内側に収容する収容部と、
前記収容部の内側部分と接触する第1部分と、前記収容部の外側に露出して前記導電層と接触する第2部分と、を有する導電性部材と、を備え
前記第2部分は、前記導電層に向けて突出した突出部を介して前記導電層と接触する、管継手。
【請求項2】
請求項1に記載の管継手であって、
前記導電性部材は、さらに、
前記収容部の内側に収容された前記第2の管の外縁に嵌まる第3部分を有し、
前記第1部分は、少なくとも前記軸方向のうち一方の側を向いた面を含み、
前記収容部は、前記第2の管の外縁に前記第3部分が嵌まっている状態において、前記一方の側から前記接続部と嵌まり合い、前記導電性部材を介して前記第2の管を固定する、管継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管継手に関する。
【背景技術】
【0002】
管継手には、コルゲート加工された金属製の管状部材および該管状部材を構成する金属より低い電気抵抗を有するとともに該管状部材を覆う導電層を備えるコルゲート管を他の管に接続するために用いられるものがある。導電層は、誘導雷により生じた大電流が伝わることによりコルゲート管における管状部材が損傷することを防止するために、接地される必要がある。接地の態様としては、導電層が管継手を介して、予め接地された管に電気的に接続される態様が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開2014-0333066号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の管継手では、管継手にコルゲート管が接続された状態において、コルゲート管における導電層と管継手の内側部分とを接触させることによって、導電層の接地経路を確保している。しかし、特許文献1のような管継手では、管継手にコルゲート管が接続された状態において、導電層と管継手との接触部分が管継手の内側にあるため、導電層と管継手とが実際に接触しているかを外部から確認することができないという課題がある。また、管継手の内側では、管継手の外側と比べて空間が限定されるために導電層と管継手との接触面積を十分に確保しにくいことから、導電層から管継手に大電流を流しやすくできないという課題がある。このような課題を解決するために、導電層と管継手とが接触しているかを外部から確認することと、導電層から管継手に大電流を流しやすくすることと、を両立できる技術が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
(1)本発明の一形態によれば、管継手が提供される。この管継手は、導電性を有するとともに接地された第1の管と、コルゲート加工された金属製の管状部材および前記管状部材を構成する金属より低い電気抵抗を有するとともに前記管状部材を覆う導電層を備える第2の管と、を接続する管継手であって、導電性を有し、前記第1の管と接続する接続部と、導電性を有し、前記接続部と嵌まり合い、前記第2の管の軸方向に沿って前記第2の管が挿入されることにより前記第2の管を内側に収容する収容部と、前記収容部の少なくとも一部と接触する第1部分と、前記収容部の外側に露出して前記導電層と接触する第2部分と、を有する導電性部材と、を備える。この形態によれば、外部に露出した第2部分を介して管継手が第2の管であるコルゲート管における導電層と接触することから、コルゲート管が管継手に接続されてから導電層と管継手とが接触しているかを外部から確認することができる。また、管継手の外側において導電層と管継手とが接触しているため、管継手の内側において導電層と管継手とが接触している形態と比べて、導電層と管継手との接触面積を十分に確保しやすいことから、導電層から管継手に大電流を流しやすくできる。
【0007】
(2)上記形態における管継手において、前記第2部分は、前記導電層に向けて突出した突出部を有してもよい。この形態によれば、第2部分と導電層との接触が確保されやすい。
【0008】
(3)上記形態における管継手において、前記導電性部材は、さらに、前記収容部の内側に収容された前記第2の管の外縁に嵌まる第3部分を有し、前記第1部分は、少なくとも前記軸方向のうち一方の側を向いた面を含み、前記収容部は、前記第2の管の外縁に前記第3部分が嵌まっている状態において、前記一方の側から前記接続部と嵌まり合い、前記導電性部材を介して前記第2の管を固定してもよい。この形態によれば、第1部分に含まれる挿入方向を向いた面を、挿入方向とは反対方向に向けて収容部が押した状態で収容部が接続部と嵌まり合うため、収容部と導電性部材との接触を損なわれにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態における管継手の構成を示す斜視図である。
図2図1における管継手の断面図である。
図3】第1実施形態における2つの導電性部材の構成を示す斜視図である。
図4】導電性部材の周辺を拡大した拡大図である。
図5】接続工程を示す工程図である。
図6】接続工程を示す工程図である。
図7】接続工程のうちの1工程を行っている状態を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
A.第1実施形態:
A1.装置構成:
図1は、第1実施形態における管継手300の構成を示す斜視図である。図1において、管継手300は、第1の管100と、第2の管200とを接続している状態である。図1には、相互に直交するXYZ軸が図示されている。図1におけるX軸は、管継手300によって接続された第1の管100および第2の管200の軸線Aと平行に設定されている。図1のXYZ軸は、他の図のXYZ軸に対応する。尚、図示の便宜上、図1では、第1の管100および第2の管200のX軸方向に沿った一部のみを表している。
【0011】
図2は、図1における管継手300の断面図である。図2では、軸線Aを含んだXZ平面と平行な断面を示している。管継手300は、第1の管100と、第2の管200と、を接続する。第1の管100は、例えば、鋼管であり、接地されている。第2の管200は、いわゆるコルゲート管である。第2の管200は、管状部材210と、樹脂層220と、導電層230と、樹脂層240と、を有する。
【0012】
管状部材210は、コルゲート加工された管状部材である。コルゲート加工とは、管状部材の周面を波形形状に成形する加工のことである。管状部材210は、例えばステンレス鋼などの金属製の管状部材である。管状部材210の周面は、外径方向に突出している部分と内径方向に窪んでいる部分とが軸線A方向に沿って交互に繰り返す波形形状に成形されている。コルゲート加工された管状部材210は、平滑な周面を備える管状部材と比べて、屈曲性に優れる。管状部材210の厚さは、要求される屈曲性や耐久性に応じて決定することができる。
【0013】
樹脂層220は、絶縁性樹脂によって構成された層であるとともに、管状部材210を覆う。樹脂層220に用いられる絶縁性樹脂は、塩化ビニルである。他の実施形態では、樹脂層220に用いられる絶縁性樹脂は、ポリエチレン、フッ素樹脂、天然ゴムおよび合成ゴムのうちいずれかであってもよい。樹脂層220は、管状部材210のうちX軸方向+側の端側における部分を除いて、管状部材210を覆う。
【0014】
導電層230は、管状部材210を構成する金属より低い電気抵抗を有する層であるとともに、樹脂層220を介して管状部材210を覆う。導電層230は、樹脂層220の全体を覆うことによって間接的に管状部材210を覆う。本実施形態では、導電層230は、編組構造を成している。編組構造とは、線状部材を組み合わせて編むことにより形成される構造のことである。本実施形態では、編組構造を形成する線状部材は、樹脂製の線状部材の表面に箔状の銅が螺旋状に巻き付けられた構造を有する。他の実施形態では、編組構造は、銅製の線状部材と樹脂製の線状部材とが交互に配置されるように編み込まれて形成される構造であってもよいし、金属製の線状部材と金属製の線状部材とが交互に配置されるように編み込まれて形成される構造であってもよい。金属製の線状部材の例としては、銅の他に鉄などが挙げられる。本発明の管継手は、編組構造とは異なる形態の導電層を有する管にも適用できる。編組構造とは異なる形態の導電層とは、例えば、金属箔で構成される導電層やエキスバンドメタルから構成される導電層等である。
【0015】
樹脂層240は、絶縁性樹脂によって構成された層であるとともに、導電層230を覆う。樹脂層240は、導電層230のうちX軸方向+側の端側における部分を除いて、導電層230を覆う。
【0016】
第2の管200は、電線などを伝って屋内に侵入した誘導雷により生じた大電流を、導電層230を介して逃がす機能を備える。導電層230を流れる大電流は、接地へと逃がす必要がある。
【0017】
管継手300は、接続部310と、収容部320と、2つの導電性部材330と、を備える。接続部310、収容部320および2つの導電性部材330は、いずれも管状部材210より電気抵抗値の小さな金属で構成されている。管状部材210がステンレス鋼で構成されている場合には、接続部310、収容部320および2つの導電性部材330には、黄銅などを使用することができる。
【0018】
接続部310は、第1の管100と接続する。接続部310は、接続部310のうちX軸方向+側における外周面に形成された雄ねじ(図示しない)と、第1の管100のうちX軸方向-側における内周面に形成された雌ねじ(図示しない)と、が嵌まり合うことにより、第1の管100と接続する。
【0019】
収容部320は、接続部310と嵌まり合う。本実施形態では、収容部320は、X軸方向-側から接続部310に対してX軸方向に沿って嵌まることにより、接続部310と嵌まり合う。収容部320は、収容部320のうちX軸方向+側における内周面に形成された雌ねじFと、接続部310のうちX軸方向-側における外周面に形成された雄ねじMと、が嵌まり合うことにより、接続部310と嵌まり合う。また、収容部320は、X軸方向+側から第2の管200がX軸方向-側に向かって挿入されることにより、第2の管200を内側に収容する。
【0020】
接続部310は、シール部材315を有する。シール部材315は、接続部310の内側に配される。シール部材315は、収容部320が内側に第2の管200を収容した状態で接続部310と嵌まり合う際、管状部材210と接続部310との間をシールする。シール部材315は、例えば、有機物および無機物の少なくとも一方の繊維にニトリルブタジエンゴム等からなるゴムバインダーと充填材を混和し、圧延および加硫されたシート状のガスケットであってもよい。
【0021】
図3は、第1実施形態における2つの導電性部材330の構成を示す斜視図である。2つの導電性部材330は、収容部320の内側に配される。2つの導電性部材330は、いずれもYZ平面に沿って切断した断面形状が半円形状であるとともにその半円形状がX軸方向に沿って伸びた形状を有する。換言すると、2つの導電性部材330は、それぞれ軸線Aに沿った半割の筒状の外観形状を有する。2つの導電性部材330は、管状部材210を挟んでZ軸方向に互いに向かい合って管状部材210に嵌まり合うことにより、管状部材210の周囲を覆う。
【0022】
図4は、管継手300のうち導電性部材330の周辺を拡大した拡大図である。導電性部材330は、第1部分331と、第2部分332と、第3部分333と、を有する。第1部分331は、収容部320の少なくとも一部と接触する。本実施形態では、第1部分331は、収容部320の内側部分と接触する。第1部分331は、第2の管200の軸線Aと平行なX軸方向のうちX軸方向-側を向いた面S1を含む。X軸方向-側を向いた面S1は、課題を解決するための手段における「軸方向のうち一方の側を向いた面」に相当する。面S1は、収容部320の内側においてX軸方向+側を向いた面S2と接触している。第2部分332は、収容部320の外側に露出して導電層230と接触している。第2部分332は、導電層230に向けて突出した突出部Pを有する。第3部分333は、収容部320の内側に配された第2の管200のうち管状部材210の外縁に嵌まる。尚、図面を見やすくするため、第3部分333は、管状部材210から離れて図示されているが、第3部分333は、管状部材210の外縁に嵌まっているものとする。
【0023】
A2.接続工程:
図5は、管継手300が第1の管100と第2の管200とを接続する接続工程の作業手順を示す工程図である。接続工程を開始する際、管継手300は分解されて、接続部310と、収容部320と、2つの導電性部材330とが別個の部品として準備されている状態であるとする。
【0024】
接続工程が開始されると、まず、作業者は、接続部310を第1の管100と接続させる(工程P110)。接続部310が第1の管100と接続された後(工程P110)、作業者は、2つの導電性部材330を第2の管200に嵌める(工程P120)。2つの導電性部材330は、第3部分333が管状部材210のX軸方向+側における先端部分の外縁に嵌まることによって、第2の管200に嵌められる。
【0025】
2つの導電性部材330が第2の管200に嵌められた後(工程P120)、作業者は、収容部320に第2の管200を挿入する(工程P130)。第2の管200は、収容部320に対して、X軸方向-側に向かって挿入される。このとき、収容部320に挿入される第2の管200の外縁には、2つの導電性部材330が嵌められている状態である。第2の管200は、2つの導電性部材330における面S1が収容部320の内側における面S2と接触する地点まで、X軸方向-側に向けて収容部320に挿入される。
【0026】
収容部320に第2の管200が挿入された後(工程P130)、作業者は、収容部320を接続部310に嵌める(工程P140)。収容部320は、内側に収容された第2の管200の外縁に第3部分333を介して2つの導電性部材330が嵌まっている状態において、X軸方向-側から接続部310と嵌まり合う。このとき、収容部320に形成された雌ねじFが接続部310に形成された雄ねじMに螺合していくに連れて、収容部320は、導電性部材330の第3部分333を管状部材210に押し付ける。このように、収容部320は、接続部310に嵌まり合うことにより、導電性部材330を介して第2の管200を固定する。工程P140の完了により、接続工程は終了する。
【0027】
図4を用いて、第1部分331および第2部分332の接触状態について説明する。管継手300が第1の管100と第2の管200とを接続している状態において、第1部分331のうち面S1は、収容部320の内側における面S2と接触した状態である。接続工程の際、収容部320は、2つの導電性部材330が外縁に嵌まっている状態の第2の管200を内側に収容した状態で、X軸方向-側から接続部310と嵌まり合う。このため、面S2が面S1をX軸方向+側に押している状態で、収容部320は、接続部310と嵌まり合っている。
【0028】
管継手300が第1の管100と第2の管200とを接続している状態において、第2部分332は、収容部320の外側に露出して導電層230と接触する。また、第2部分332のうち突出部Pは、導電層230に向けて押し付けられている。導電性部材330において、突出部Pは、第3部分333が管状部材210の外縁に嵌まる状態において、導電層230に押し付けられるよう設計されている。
【0029】
A3.接地経路:
図2を用いて、誘導雷により生じた大電流を接地に逃がす接地経路について説明する。電線などを伝って屋内に侵入した誘導雷により生じた大電流が第2の管200に流れる場合、大電流は、管状部材210を構成する金属より低い電気抵抗を有する層である導電層230の方へ流れる。導電層230を流れた大電流は、突出部Pを有する第2部分332および第1部分331を介して収容部320に伝わったのち、収容部320と嵌まり合う接続部310を介して、接地されている第1の管100に流れる。本実施形態では、外部に露出した第2部分332を介して管継手300が第2の管200における導電層230と接触している。したがって、管継手の内側において導電層と管継手とが接触している形態と比べて、導電層230と導電性部材330との接触点からX軸方向+側の管状部材210の長さを長くすることができる。これにより、該接触点と、露出しているX軸方向+側の管状部材210と、の間の電気抵抗が大きくなるため、大電流が流れる経路として、管継手300(導電性部材330)ではなく管状部材210が選択されるリスクを軽減させることができる。
【0030】
A4.効果:
以上説明した第1実施形態の管継手300によれば、外部に露出した第2部分332を介して管継手300が第2の管200における導電層230と接触することから、第2の管200が管継手300に接続されてから導電層230と管継手300とが接触しているかを外部から確認することができる。また、管継手の内側において導電層と管継手とが接触している形態と比べて、導電層230と管継手300との接触面積を十分に確保しやすいことから、導電層230から管継手300に大電流を流しやすくできる。より具体的には、管継手の内側において導電層と管継手とが接触している形態では、導電層と接触する管継手側の導電性部材が配置される空間が管継手の内側であることから該空間の大きさに制限があるため、導電層と管継手(導電性部材)との接触面積を確保しにくいが、第1実施形態の管継手300では、管継手300の外側において導電層230と管継手300とが接触していることから、導電層230と管継手300(導電性部材330)との接触面積を十分に確保しやすいということである。導電層230から収容部320に向けて大電流を流しやすくすることができるのは、接触面積が大きいほど、その接触面を流れる電流を多くできるからである。よって、誘導雷により生じた大電流を接地された第1の管100に逃がしやすくすることができる。
【0031】
また、導電層230と第2部分332とが接触している部分では、大電流が流れることによって、導電層230もしくは第2部分332の焼失が起こりやすい。しかし、第1実施形態における管継手300の場合、導電層230と第2部分332との接触面積を十分に確保しやすいことから、より確実に且つ十分な接触面積をもって導電層230と第2部分332とを接触させることができる。このため、大電流が複数回流れても、導電層230と第2部分332との接触が焼失されにくい。
【0032】
また、第1実施形態の管継手300では、第2部分332は、導電層230に向けて突出した突出部Pを有している。このため、第2部分332と導電層230との接触が確保されやすい。第2部分332のうち突出部Pの部分がXY平面と平行な平面形状の面である場合、管継手300を構成する各部品における製造上の寸法誤差により、第2部分332と導電層230との接触が確保されない虞がある。しかし、第1実施形態における第2部分332の突出部Pのように、第2部分332が導電層230に向けて突出した形状を有する場合、製造上の寸法誤差があったとしても、第2部分332と導電層230との接触が確保されやすい。
【0033】
また、第1実施形態の管継手300では、第1部分331に含まれるX軸方向-側を向いた面S1を、X軸方向+側から収容部320が押した状態で接続部310と嵌まり合うため、収容部320と導電性部材330との接触を損なわれにくくすることができる。
【0034】
また、第1実施形態の管継手300では、管継手の内側において導電層と管継手とが接触している形態と比べて、導電層230と管継手300とが接触する接触点C1と、管状部材210と管継手300とが接触する接触点C2と、の間の距離であるL(図2に図示)を長くとることができる。距離Lを長くとることは、すなわち誘導雷によって生じる大電流のより上流側(第1実施形態の説明では、X軸方向-側)に接触点C1が設けられることを意味する。接触点C1が上流側に設けられると、接触点C1と接触点C2との間の距離が長くなり、その間の管状部材210の電気抵抗が大きくなるので管状部材210に電流が流れにくくなる。よって、誘導雷によって生じ導電層230を流れて接触点C1に到達した大電流を、より電流が流れやすい導電性部材330側に流すことができ、接触点C1と接触点C2との間の管状部材210に大電流が流れることを防止できる。したがって、誘導雷により生じた大電流が伝わることにより管状部材210が損傷することを抑制できる。
【0035】
B.他の実施形態:
第1実施形態における管継手300では、導電性部材330は、第3部分333を有していたが、本発明はこれに限られない。例えば、導電性部材330は、第3部分333を有さず、第1部分331とおよび第2部分332のみを有していてもよい。このような管継手300では、収容部320が第1部分331および第2部分332を介して第2の管200を固定してもよい。
【0036】
第1実施形態における管継手300では、第2部分332は、導電層230に向けて突出した突出部Pを有していたが、本発明はこれに限られない。例えば第2部分332は、XY平面と平行な平面形状の面を有し、その面を介して導電層230と接触してもよい。
【0037】
第1実施形態における管継手300では、管状部材210と、樹脂層220と、導電層230と、樹脂層240と、を有する第2の管200を第1の管100と接続していたが、本発明はこれに限られない。例えば、管継手300は、最外層に樹脂層240を有していない管と、第1の管100とを接続してもよい。
【0038】
第1実施形態における管継手300では、図5に示した接続工程によって、管継手300が第1の管100と第2の管200とを接続していたが、本発明はこれに限られない。例えば、管継手300は、図6に示した接続工程によって第1の管100と第2の管200とを接続してもよい。
【0039】
図6は、図5に示した接続工程とは異なる接続工程の作業手順を示す工程図である。図6に示した接続工程は、図5に示した接続工程と比べて、工程P120と工程P130との順が逆になっている点を除き、図5に示した接続工程と同じである。
【0040】
図7は、図6に示した接続工程のうち工程P130の後に、工程P120を行っている状態を示した説明図である。図6に示した接続工程では、接続部310が第1の管と接続された後(工程P110)、作業者は、収容部320に第2の管200を挿入する(工程P130)。第2の管200は、収容部320に対して、+X軸方向に向かって挿入される。このとき、収容部320に挿入される第2の管200の外側には、2つの導電性部材330が嵌められていない状態である。収容部320に第2の管200が挿入された後(工程P130)、作業者は、2つの導電性部材330を第2の管200に嵌める(工程P120)。2つの導電性部材330が第2の管200に嵌められた後(工程P120)、作業者は、収容部320を接続部310に嵌める(工程P140)。図6に示した接続工程によって管継手300が第1の管100と第2の管200とを接続した場合でも、面S2が面S1をX軸方向+側に押している状態で、収容部320は、接続部310と嵌まり合っている。
【0041】
本発明は、上述の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部または全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部または全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0042】
100…第1の管
200…第2の管
210…管状部材
220…樹脂層
230…導電層
240…樹脂層
300…管継手
310…接続部
315…シール部材
320…収容部
330…導電性部材
331…第1部分
332…第2部分
333…第3部分
A…軸線
C1…接触点
C2…接触点
L…距離
P…突出部
S1,S2…面
F…雌ねじ
M…雄ねじ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7