(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】磁壁移動型空間光変調器の開口率向上構造
(51)【国際特許分類】
G02F 1/09 20060101AFI20221101BHJP
H01L 29/82 20060101ALI20221101BHJP
H01L 43/02 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
G02F1/09 503
H01L29/82 Z
H01L43/02
(21)【出願番号】P 2018127489
(22)【出願日】2018-07-04
【審査請求日】2021-06-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】東田 諒
(72)【発明者】
【氏名】船橋 信彦
(72)【発明者】
【氏名】青島 賢一
(72)【発明者】
【氏名】町田 賢司
(72)【発明者】
【氏名】麻生 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】吉野 数馬
【審査官】井部 紗代子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-073871(JP,A)
【文献】特開2019-220544(JP,A)
【文献】特開2013-195589(JP,A)
【文献】特開2010-020114(JP,A)
【文献】特開2012-141402(JP,A)
【文献】国際公開第2009/001706(WO,A1)
【文献】特開2015-173186(JP,A)
【文献】特開2013-045091(JP,A)
【文献】特開2018-206900(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0192505(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第105405967(CN,A)
【文献】HIGASHIDA, Ryo et al.,Enhancement of a Diffracted Beam in a Domain-Wall-Motion-Type Light Modulator Array,IEEE Transactions on Magnetics,IEEE,2022年02月,Vol. 58, No. 2,pp. 1 - 5
【文献】RYU, Kwang-Su et al.,Current-Induced Domain-Wall Motion for Electron Flow in Ferromagnetic Pt/Co/Ni/Co/Pt Wires,IEEE Transaction on Magnetics,IEEE,2016年07月,Vol. 52, No. 7,pp. 1 - 4
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/00 - 1/125
G02F 1/21 - 7/00
H01L 27/22
H01L 29/82
H01L 43/00 -43/14
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射した光の偏光の向きを変化させて出射する光変調部と、前記光変調部の両端に平行に延びて配置され、互いに異なる保磁力を有する第1強磁性交換結合部及び第2強磁性交換結合部と、を有する磁壁移動型空間光変調素子を備える磁壁移動型空間光変調器であって、
前記磁壁移動型空間光変調器では、複数の前記磁壁移動型空間光変調素子が、前記第1強磁性交換結合部及び前記第2強磁性交換結合部が延びている第1方向と、前記第1方向に直交する第2方向と、に格子状に整列して配置され、
前記磁壁移動型空間光変調素子では、前記第1強磁性交換結合部及び前記第2強磁性交換結合部はいずれも、強磁性材料からなる磁化固定層と、前記磁化固定層上に形成され、強磁性材料からなることで前記磁化固定層と強磁性交換結合する光変調層と、を有し、
前記第1強磁性交換結合部における磁化固定層は、前記第2方向に隣接する2つの磁壁移動型空間光変調素子間で共有され
、
前記第1強磁性交換結合部及び前記第2強磁性交換結合部は、互いに反平行な初期磁化方向を外部磁界により実現することが可能である、磁壁移動型空間光変調器。
【請求項2】
前記第2方向に隣接する2つの磁壁移動型空間光変調素子の光変調部は、前記第2方向に隣接する2つの磁壁移動型空間光変調素子間で共有される磁化固定層上で繋がって構成される、請求項1に記載の磁壁移動型空間光変調器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁壁移動型空間光変調器の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、立体ホログラフィにおいて実用に足る30度以上の視域を確保するためには、表示装置である空間光変調器(SLM)の画素ピッチを1ミクロン以下にする必要がある。液晶やデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)など、既存のSLMは画素ピッチが5ミクロン程度であり、これ以上の微細化は困難である。一方で、画素の書き換えにスピン注入磁化反転や磁壁移動を用いた磁気光学式空間光変調器(以降、MOSLM)は、光利用効率や動作電流などの観点から性能改善の必要はあるものの、1ミクロン程度の画素ピッチを実現することができる。
【0003】
MOSLMは、磁化の向きに応じた光の偏光面の回転を明暗に割り当てることにより光の変調を実現するデバイスである。磁壁移動型SLMは、光変調層の両端に磁化固定層を配した構造により、光変調層に流す電流の向きによって磁区の拡大・縮小を制御することができる。スピン注入磁化反転を用いたMOSLMに比べて、低消費電力が期待できる一方で、光変調層・磁化固定層1・磁化固定層2という3種類の強磁性層に十分な保磁力差を与えるとともに、複雑なデバイス構造を精密に作製するなど、1ミクロン以下を前提とする1画素内で高度なデバイス設計を実現する必要がある。
【0004】
特許文献1に記載の第1実施例は、磁化固定層と光変調層が強磁性結合していることを特徴とする磁壁移動型SLMの一例だが、このような構成とすることで、作製が困難な磁壁移動型SLMを比較的容易に作製することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-141402号公報
【文献】特願2017-109478号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
磁壁移動型空間光変調器の1画素は磁化固定層と光変調層からなる。磁化固定層上部の光変調層は、素子の動作原理上、磁化の向きを変調することが出来ない。したがって、この素子の開口率は磁化固定層により制限されている。
【0007】
本発明は、磁壁移動型空間光変調器において、磁化固定層を隣接画素と共有することで開口率を向上させる構造を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1) 入射した光の偏光の向きを変化させて出射する光変調部と、前記光変調部の両端に平行に延びて配置され、互いに異なる保磁力を有する第1強磁性交換結合部及び第2強磁性交換結合部と、を有する磁壁移動型空間光変調素子を備える磁壁移動型空間光変調器であって、前記磁壁移動型空間光変調器では、複数の前記磁壁移動型空間光変調素子が、第1方向と、前記第1方向に直交する第2方向と、に格子状に整列して配置され、前記磁壁移動型空間光変素子では、前記第1強磁性交換結合部及び前記第2強磁性交換結合部はいずれも、強磁性材料からなる第1強磁性層と、前記第1強磁性層上に形成され、強磁性材料からなることで前記第1強磁性層と強磁性交換結合する第2強磁性層と、を有し、前記第1強磁性層は、前記第2方向に隣接する2つの磁壁移動型空間光変調素子間で共有される、磁壁移動型空間光変調器を提供する。
【0009】
(2) (1)の発明において、前記第2方向に隣接する2つの磁壁移動型空間光変調素子の光変調部は、前記第1強磁性層上で繋がって構成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、磁壁移動型SLMの開口率が向上し、有効な光変調領域が増加するため、より明るい立体像を再生することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】特許文献2に記載の磁壁移動型空間光変調器の構成を示す斜視図である。
【
図2】特許文献2に記載の磁壁移動型空間光変調器の構成を示す側面図である。
【
図3】特許文献2に記載の磁壁移動型空間光変調器の動作を示す図である。
【
図4】特許文献2に記載の磁壁移動型空間光変調器の上面図である。
【
図5】特許文献2の一実施形態に係る磁壁移動型空間光変調器の一例を示す断面図である。
【
図6】本発明の第1実施形態に係る磁壁移動型空間光変調器の上面図である。
【
図7】本発明の第1実施形態に係る磁壁移動型空間光変調器の断面図である。
【
図8A】上記実施形態に係る磁壁移動型空間光変調器の製造方法を示す図である。
【
図8B】上記実施形態に係る磁壁移動型空間光変調器の製造方法を示す図である。
【
図8C】上記実施形態に係る磁壁移動型空間光変調器の製造方法を示す図である。
【
図8D】上記実施形態に係る磁壁移動型空間光変調器の製造方法を示す図である。
【
図8E】上記実施形態に係る磁壁移動型空間光変調器の製造方法を示す図である。
【
図8F】上記実施形態に係る磁壁移動型空間光変調器の製造方法を示す図である。
【
図8G】上記実施形態に係る磁壁移動型空間光変調器の製造方法を示す図である。
【
図8H】上記実施形態に係る磁壁移動型空間光変調器の製造方法を示す図である。
【
図9】本発明の第2実施形態に係る磁壁移動型空間光変調器の上面図である。
【
図10】本発明の第3実施形態に係る磁壁移動型空間光変調器の上面図である。
【
図11】本発明の第2および第3実施形態に係る磁壁移動型空間光変調器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1実施形態]
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、共通する構成については同一の符号を付している。また、説明の便宜上、図中の上下左右を磁壁移動型空間光変調素子の上下左右として説明する。
【0013】
図1は、特許文献2に記載の磁壁移動型空間光変調器の構成を示す斜視図である。
図2は、特許文献2に記載の磁壁移動型空間光変調器の構成を示す側面図である。
図3は、特許文献2に記載の磁壁移動型空間光変調器の動作を示す図である。
図1及び
図3中の矢印は、磁化方向の向きを示している。
【0014】
これら
図1~
図3に示すように、特許文献2に記載の磁壁移動型空間光変調器90は、磁壁移動を利用した磁壁移動型空間光変調素子91を備える。本発明の一実施形態に係る磁壁移動型空間光変調器100の基本構成は、
図1~
図4に示す特許文献2に記載の磁壁移動型空間光変調器90の構成と同様であるため、以下、その基本構成について詳しく説明する。
【0015】
図1に示すように、磁壁移動型空間光変調素子91は、第1強磁性交換結合部1と、第2強磁性交換結合部2と、光変調部3と、を有し、図示しないSi等の基板上に形成される。
第1強磁性交換結合部1と第2強磁性交換結合部2は、それぞれ図示しないCu、Al、Au、Ag、Ru、Ta、Cr等の金属やその合金のような一般的な金属電極材料で形成される下部電極を最下層に有し、この下部電極にパルス電流源9が接続されることでパルス電流を印加可能となっている。
【0016】
磁壁移動型空間光変調素子91の形状については特に限定されないが、例えば
図1に示すように、光変調部3が所定方向に延びる平板状に形成され、その両端に第1強磁性交換結合部1及び第2強磁性交換結合部2が配置された形状が挙げられる。光変調部3と第1強磁性交換結合部1及び第2強磁性交換結合部2の上面は連続して面一とされ、第1強磁性交換結合部1及び第2強磁性交換結合部2の厚みは光変調部3の厚みよりも厚くなっている。
【0017】
図2に示すように、第1強磁性交換結合部1は、第1磁化固定層11と、非磁性金属層12及びバッファ層13と、光変調層30と、がこの順に積層されて構成される。
【0018】
第1磁化固定層11は、強磁性材料からなり、本発明の第1強磁性層に相当する。第1磁化固定層11は、磁化方向が一方向に固定された層であり、大きな保磁力を有する。第1磁化固定層11は、後述する光変調層30と同一方向の磁気異方性を有し、光変調層30に垂直磁気異方性を有する強磁性材料を用いた場合には、第1磁化固定層11も垂直磁気異方性を有する強磁性材料を用いる。好ましくは、第1磁化固定層11及び光変調層30ともに、垂直磁気異方性を有する強磁性材料で構成される。
【0019】
第1磁化固定層11は、磁化が垂直方向に固定された磁化固定層と磁化の方向が反転可能な磁化自由層で非磁性層を挟持する構造の垂直磁気異方性を有するCPP-GMR(Current Perpendicular to the Plane Giant MagnetoResistance:垂直通電型巨大磁気抵抗効果)素子やTMR素子等の磁化固定層として公知の強磁性材料で構成可能である。具体的には、Fe、Co、Niのような遷移金属及びそれらを含む合金、例えばTbFe系、TbFeCo系、CoCr系、CoPt系、CoPd系、FePt系の合金を用いることができる。これにより、第1磁化固定層11の保磁力を大きくすることができ、第1磁化固定層11の磁化方向が外部磁場によって容易に変化しないように固定することが可能となる。
【0020】
また、第1磁化固定層11は、これらの遷移金属の層と非磁性金属の層とを交互に積層した多層の積層体で構成してもよく、Co/Pt、Fe/Pt、Co/Pd等の多層膜を用いることができる。これらの強磁性材料を用いることにより、強い垂直磁気異方性を有するとともに、大きな保磁力を有する第1磁化固定層11が得られる。
【0021】
ここで、上述の多層膜は、熱処理することにより保磁力が増大する特性を有する。そのため、上述の多層膜からなる第1磁化固定層11を熱処理してその保磁力を増大させると、光変調層30と結合した後の強磁性交換結合部の保磁力もより大きくなり、光変調部3との保磁力差をより大きくすることができる。
【0022】
非磁性金属層12及びバッファ層13は、第1磁化固定層11と光変調層30との間に配置され、第1磁化固定層11と光変調層30の間の磁気的結合を保つようにすることができる。
【0023】
非磁性金属層12は、上述の第1磁化固定層11上に積層されて形成される。この非磁性金属層12は、後述する製造工程において、第1磁化固定層11にエッチングのダメージが及ばないようにするために設けられる。非磁性金属層12は、非磁性金属からなり、非磁性の各種金属の薄膜層を用いることができる。例えば、非磁性金属層12として、Ta、Mo、Ruを用いることができ、中でも、Taからなるものが好ましく用いられる。
【0024】
バッファ層13は、上述の非磁性金属層12上に積層されて形成される。バッファ層13は、磁壁移動を利用した空間光変調素子でもTMR素子でも電流を流せることが必要であるため、薄膜化したときに抵抗が大き過ぎず、適度な導電性を有するものである。また、バッファ層13は、後述する製造工程におけるエッチングのレートが遅く、且つSIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)の検出感度が高い元素を含み、SIMS式エンドポイントモニターで見える材料であることが望ましい。これにより、エッチングをバッファ層13で確実に止めることが可能となり、第1磁化固定層11にダメージが及ぶのを回避できる。
【0025】
バッファ層13は、酸化物又は窒化物からなるもので構成される。より具体的には、バッファ層13は、MgO、Al2O3、MgAl2O4、TiO2、ZnO又はRuO2から構成されることが好ましい。中でも、バッファ層13としては、MgOからなるものが好ましく用いられる。このMgOからなるMgO層によれば、適度な導電性を有し、エッチングのレートが遅いうえSIMS感度が高いバッファ層13を形成できる。
【0026】
光変調層30は、上述のバッファ層13上に積層されて形成される。この光変調層30は、強磁性材料からなり、本発明の第2強磁性層に相当する。光変調層30は、公知の強磁性材料を適用でき、好ましくは磁気光学効果(カー効果)の大きい材料を適用する。磁気光学効果を大きくするためには、垂直磁気異方性を有する磁性層を用いることが好ましく、具体的には、Co/Pd多層膜のような遷移金属とPd、Pt、Cuとを繰り返し積層した多層膜、又はTbFeCo、GdFe等の希土類金属と遷移金属との合金(RE-TM合金)が挙げられる。中でも、光変調層30としては、GdFeからなるGdFe層が好ましく用いられる。
【0027】
なお、光変調層30は、後述する第2強磁性交換結合部2における第2強磁性層を構成するとともに、光変調部3自体を構成する。
【0028】
上述の構成からなる第1強磁性交換結合部1では、第1磁化固定層11と光変調層30は、非磁性金属層12及びバッファ層13を介して強磁性交換結合されている。この強磁性交換結合により、第1磁化固定層11の磁化方向と第1強磁性交換結合部1における光変調層30の磁化方向は同時反転する。
【0029】
第2強磁性交換結合部2は、第2磁化固定層21と、非磁性金属層22及びバッファ層23と、光変調層30と、がこの順に積層されて構成される。
【0030】
また、第2強磁性交換結合部2では、第1強磁性交換結合部1と同様に、第2磁化固定層21と光変調層30は、非磁性金属層22及びバッファ層23を介して強磁性交換結合されている。この強磁性交換結合により、第2磁化固定層21の磁化方向と第2強磁性交換結合部2における光変調層30の磁化方向は同時反転する。
【0031】
第2磁化固定層21は、第1磁化固定層11で使用可能な材料の中から選択され、同様に、非磁性金属層22及びバッファ層23も、それぞれ非磁性金属層12及びバッファ層13で使用可能な材料の中から選択される。
【0032】
ここで、第1強磁性交換結合部1と第2強磁性交換結合部2は、後段で詳述するように磁壁33及び光変調領域300を形成するために、互いの保磁力が異なるように設計される。これにより、第1磁化固定層1と第2磁化固定層2の保磁力差により、光変調制御に必須となる光変調層30両端の互いに反平行な初期磁化方向を外部磁界により実現することが可能となっている。これについては、後段で詳述する。
【0033】
上述したように、光変調層30は、光変調部3を構成する。この光変調層30からなる光変調部3には、磁壁33と、磁区31,32が形成されている。これについては、後段で詳述する。
【0034】
なお、各磁化固定層(以下、第1磁化固定層11及び第2磁化固定層21を単に磁化固定層とも言う。)、各非磁性金属層、各バッファ層、及び光変調層30の各層間、又は下部電極との界面に、機能層を適宜設けてもよい。例えば、微細加工プロセス中に光変調層30が受けるダメージを防ぐために、光変調層30上に、Ta、Ru又はSiNを含む、あるいはTa、Ru又はSiNからなるキャップ層を設けてもよい。このキャップ層は、光変調層30の形成に用いられて酸化し易いGdFeやTbFeCoが、素子完成後に大気中で酸化するのを防止する機能を有する。
【0035】
次に、本実施形態に係る磁壁移動型空間光変調素子10の磁気特性について、詳しく説明する。
上述した通り、第1強磁性交換結合部1は、光変調層30と強磁性交換結合する第1磁化固定層11aを有し、第2強磁性交換結合部2は、同じく光変調層30と強磁性交換結合する第2磁化固定層21を有する。即ち、これら第1強磁性交換結合部1及び第2強磁性交換結合部2は、それぞれ内部に強磁性交換結合を有し、それぞれの磁化方向は同時に反転する。そして、
図1及び
図3に示すように、第1強磁性交換結合部1の磁化方向は下向きに設計されている一方で、第2強磁性交換結合部2の磁化方向は上向きに設計されている。
【0036】
光変調部3には、前記両強磁性交換結合部に垂直な方向に対して直交する面上に延びる磁壁33が形成されている。即ち、磁壁33の両側に形成される磁区31,32の磁化方向は互いに逆方向となっている。例えば
図1及び
図3に示すように、磁壁33よりも第1強磁性交換結合部1側の磁区31の磁化方向は上向きであり、磁壁33よりも第2強磁性交換結合部2側の磁区32の磁化方向は下向きとなっている。
【0037】
このように、磁壁33を介して磁化方向の向きが異なる磁区31,32を光変調部3に形成することにより、磁壁移動型空間光変調素子10を空間光変調素子として機能させることができる。より詳しくは、例えば磁壁移動型空間光変調素子10を反射型の空間光変調素子として構成した場合には、磁壁移動型空間光変調素子10の上方から光変調部3の上面に対して偏光の揃った光を入射すると、磁化方向の向きに応じて反射光の偏光面の回転角度が異なったものとなる。そのため、これら異なる偏光面の回転角度に応じた各反射光を、偏光フィルタを介してそれぞれ光の明暗に割り当てることにより、光の変調が可能となる。ただし、基板を、ガラスやサファイア等の透光性の材料で構成することにより、磁壁移動型空間光変調素子10を透過型の空間光変調素子として機能させることも可能である。
【0038】
ここで、
図2及び
図3を参照して、磁壁33の生成メカニズムについて説明する。
先ず、光変調部3に磁壁33を形成するためには、光変調層30と強磁性交換結合する第1磁化固定層11の保磁力と、同じく光変調層30と強磁性交換結合する第2磁化固定層21の保磁力とを、互いに異なるものとすることが必要である。
【0039】
特許文献2では、第1磁化固定層11の保磁力と第2磁化固定層21の保磁力を互いに異なるものとする手法として、第1磁化固定層11と第2磁化固定層21とで、互いに形状を異なるもの(例えば、第1磁化固定層11の幅を広くすると保磁力は小さくなる)とするか、一方のみ熱処理するか、あるいは互いの層構成を異なるものとするか、のいずれかが選択される。これにより、第1磁化固定層11の保磁力と第2磁化固定層21の保磁力を互いに異なるものとすることで、第1強磁性交換結合部1の保磁力と第2強磁性交換結合部2の保磁力を異なるものとすることができる。
【0040】
図4は、特許文献2の磁壁移動型空間光変調器90の構成を示す上面図である。
図4に示すように、複数の特許文献2に係る磁壁移動型空間光変調素子91は、図示しない基板上にそれぞれ独立して作製され、整列される。
【0041】
本実施形態において、第1磁化固定層11の保磁力と第2磁化固定層21の保磁力を互いに異なるものとする手法としては特に限定されるものではなく、例えば特許文献2と同様に、第1磁化固定層11と第2磁化固定層21とで、互いに形状を異なるもの(例えば、第1磁化固定層11の幅を広くすると保磁力は小さくなる)とするか、一方のみ熱処理するか、あるいは互いの層構成を異なるものとするか、のいずれかが選択される。これにより、第1磁化固定層11の保磁力と第2磁化固定層21の保磁力を互いに異なるものとすることで、第1強磁性交換結合部1の保磁力と第2強磁性交換結合部2の保磁力を異なるものとすることができる。
【0042】
例えば、上記の構成により、第1磁化固定層11aの保磁力を第2磁化固定層21の保磁力よりも小さく設計することができる。この場合、
図2に示すように第1強磁性交換結合部1の保磁力をHc1とし、第2強磁性交換結合部2の保磁力をHc2とし、光変調層の保磁力をHc_mとすると、Hc2>Hc1>Hc_mの関係が成立する。
【0043】
そして、上述のような保磁力の関係が成立する構造の素子に対して、磁場の強さHが、H>Hc2である磁場を、素子に対して上向きに印加する。すると、第1強磁性交換結合部1、第2強磁性交換結合部2及び光変調部3のいずれにおいても、磁化方向の向きは上向きとなる。
【0044】
次いで、磁場の強さH’が、Hc2>H’>Hc1である磁場を、素子に対して下向きに印加する。すると、第2強磁性交換結合部2の磁化方向の向きは上向きのままであるのに対して、第1強磁性交換結合部1及び光変調部3の磁化方向の向きは、いずれも下向きに変化する。
【0045】
このとき、
図3に示すように光変調部3の両端には、初期磁区31a,32aが生成する。より詳しくは、光変調部3の第1強磁性交換結合部1側の端部には、第1強磁性交換結合部1からの漏れ磁界(
図3中の破線矢印参照)により、第1強磁性交換結合部1の下向きの磁化とは反平行な上向きの磁化方向の初期磁区31aが生成する。また、光変調部3の第2強磁性交換結合部2側の端部には、第2強磁性交換結合部2からの漏れ磁界(
図3中の破線矢印参照)により、第2強磁性交換結合部2の上向きの磁化とは反平行な下向きの磁化方向の初期磁区32aが生成する。
【0046】
次いでこの状態で、パルス電流源9からパルス電流を印加し、第1強磁性交換結合部1から第2強磁性交換結合部2、又は第2強磁性交換結合部2から第1強磁性交換結合部1に向けてパルス電流を流す。すると、初期磁区31a,32aの生成により形成される磁壁33を、パルス電流の向きと逆向き(電子の流れと同じ向き)に移動させることができる。これにより、
図3に示すように、光変調部3の両端を除く光変調領域300の磁化の向きを反転(
図3の例では、光変調領域300の磁化の向きを上向きに反転)させることが可能となっている。
【0047】
次に、本実施形態に係る磁壁移動型空間光変調器100の詳細な構成について、
図5を参照して説明する。
図5は、特許文献2に係る磁壁移動型空間光変調器90の一例の構成を示す断面図である。
図5中、各層の括弧内の数値は、各層の好ましい厚み(nm)の一例を示している。本実施形態に係る磁壁移動型空間光変調器100は、素子中の強磁性交換結合部の配置が異なる以外は、特許文献2に係る磁壁移動型空間光変調器90と同様の構成を有する。本実施形態に係る磁壁移動型空間光変調器100の詳細な構成については、後段の
図7および
図8に示す。
【0048】
図5に示す例では、磁壁移動型空間光変調素子91は、Siバックプレーン41上に形成されている。
第1強磁性交換結合部1及び第2強磁性交換結合部2はいずれも、Siバックプレーン41側から順に、Ta層44、Ag層45、Co/Pd層11,21、Ta層12,22、MgO層13,23、GdFe層3が積層されて構成されている。
図7から明らかであるように、第1強磁性交換結合部1の幅と第2強磁性交換結合部2の幅は同一に設定されている。
【0049】
Siバックプレーン41には、図示しない下部電極が含まれている。下部電極は、Cu、Al、Au、Ag、Ru、Ta、Cr等の金属やその合金のような一般的な金属電極材料で形成される。
ただし、本実施形態では電流を流すことができればよく、例えばSiバックプレーン41と同様に、アクティブマトリックス駆動する構成としてTFTバックプレーンを用いてもよい。また、例えばSiバックプレーンの代わりに、単純マトリックス駆動する構成としてもよい。
【0050】
Ta層44及びAg層45は、上述の下部電極への密着性を向上させるために設けられる下地層である。これらTa及びAgであれば、Co/Pd多層膜11,21の磁気特性に悪影響を与えることがないため好ましい。なお、Taの代わりにRuを用いてもよい。
【0051】
Co/Pd層11,21はそれぞれ上述の第1,第2磁化固定層を構成し、Ta層12,22は上述の非磁性金属層を構成し、MgO層13,23は上述のバッファ層を構成する。
【0052】
なお、本実施形態では、第1磁化固定層11aと第2磁化固定層21とでは、材質・形状が異なることにより、第1強磁性交換結合部1の保磁力Hc1と第2強磁性交換結合部2の保磁力Hc2との間に、例えばHc2>Hc1となるような保磁力差が発生する。これにより、Hc2>Hc1>Hc_mという保磁力差が実現可能である。
【0053】
光変調部、即ち光変調層は、GdFe層3で構成されている。また、GdFe層3上には、キャップ層としてのRu層4が形成されている。Ru層の代わりに、Ta層、W層、Si3N4層を用いてもよい。
なお、第1強磁性交換結合部1の左右両側、及び第2強磁性交換結合部2の左右両側は、絶縁部材としてのSiO2層42が隣接して配置されている。
【0054】
図6および
図7は、本実施形態に係る磁壁移動型空間光変調器100の上面図および詳細な構成を示す断面図である。
本実施形態に係る磁壁移動型空間光変調器100は、上記の構成に加え、第1磁化固定層11aを前記第2方向に隣接する2つの素子間で共有して構成される。
【0055】
次に、本実施形態に係る磁壁移動型空間光変調器100の製造方法の一例について、
図8A~
図8Hを参照して詳しく説明する。
ここで、
図8A~
図8Hは、特許文献2の実施形態に係る磁壁移動型空間光変調器90の製造方法の一部を示す図である。本実施形態に係る磁壁移動型空間光変調器100は、これと同様の製造方法にて製造することができる。
【0056】
本実施形態に係る磁壁移動型空間光変調器100の製造方法は、第1強磁性層形成工程と、非磁性金属層形成工程と、バッファ層形成工程と、キャップ層形成工程と、処理工程と、除去工程と、第2強磁性層形成工程と、を有する。
以下、これらの各工程について説明する。
【0057】
先ず、
図8Aに示すように、Siバックプレーン41上に形成された絶縁部材のSiO
2層42に対して、従来公知の電子線リソグラフィ等を用いて、第1磁化固定層及び第2磁化固定層の各形状に対応したレジストパターニングを実施する。即ち、第1磁化固定層及び第2磁化固定層の各形状に対応したレジスト層40を、SiO
2層42上に形成する。そして、レジストパターニング後、高密度プラズマエッチングを実施する。この高密度プラズマエッチングは、イオンミリングより異方性エッチング特性が優れているため、本工程に特に好適に利用される。
【0058】
すると、
図8Bに示すように、レジスト層40が形成されていない領域のSiO
2層42がエッチングにより除去される。このSiO
2層42が除去された領域が、第1磁化固定層及び第2磁化固定層の形状にそれぞれ対応する。
【0059】
次いで、
図8Cに示すように、第1強磁性層を構成する磁化固定層、非磁性金属層、バッファ層、及びバッファ層の酸化を抑制するキャップ層をこの順に形成する(第1強磁性層形成工程、非磁性金属層形成工程、バッファ層形成工程、及びキャップ層形成工程)。具体的には、Ta層44、Ag層45、Co/Pd層11,21,51、Ta層12,22,52、MgO層13,23,53、及びSiO
2層14,24,54を、この順に連続して製膜する。製膜は、全てイオンビームスパッタ装置により実施可能である。ナノメートルオーダーと開口サイズが小さく、それに対して深さが深い領域の中に材料を製膜する必要があるため、スパッタ粒子の直進性が高いイオンビームスパッタ法が特に好ましいからである。ただし、これに限定されず、例えば分子線エピタキシー(MBE)法等の従来公知の方法を利用できる。
【0060】
次いで、
図8Dに示すように、リフトオフを実施し、残存しているレジスト層40を除去する(処理工程)。具体的には、素子を真空中から大気中に取り出した後、リフトオフを実施する。これにより、レジスト層40上に形成されていた層の全てが除去される。レジスト層40の除去には、従来公知のレジスト剥離剤を用いることができる。
【0061】
そして、リフトオフ後、必要に応じて、アニール炉にて350℃の熱処理を実施する(処理工程)。この熱処理により、各磁化固定層を構成するCo/Pd層11,21の保磁力が増大する。処理工程における熱処理温度は、例えば300℃以上であることが好ましい。
【0062】
次いで、
図8Eに示すように、イオンビームミリング(又は高密度プラズマエッチング)を実施する(除去工程)。これにより、最表面のSiO
2層14,24を全て除去するとともに、MgO層13,23の一部を除去する。即ち、エッチングを、MgO層13,23の途中まで実施する。このとき、MgO層13,23は、エッチングレートが遅いうえ、MgはSIMS感度が高い特性を有するため、SIMS式エンドポイントモニターでの検出に最適である。これにより、エッチングをMgO層13,23の途中で確実に止めることができるようになっている。
【0063】
イオンビームミリング(又は高密度プラズマエッチング)終了後、光変調層製膜装置まで素子を真空(例えば、1×10
-6[Pa])搬送する。そして、
図8Fに示すように、光変調層製膜装置内で、光変調層としてのGdFe層3を例えばイオンビームスパッタ装置により製膜する。加えて、GdFe層3上に、さらにキャップ層としてのRu層4を例えばイオンビームスパッタ装置により製膜する。
【0064】
次いで、
図8Gに示すように、電子線リソグラフィ等にて光変調層のレジストパターニングを実施する。即ち、Ru層4上に所望のパターンに対応したレジスト層40を形成する。そして、レジストパターニング後、イオンビームミリング(又は高密度プラズマエッチング)を実施する。
【0065】
すると、
図8Hに示すように、レジスト層40が形成されていない領域のGdFe層3及びRu層4がエッチングにより除去される。これにより、光変調層を構成するGdFe層3が所望のパターン形状に形成される(第2強磁性層形成工程)。
【0066】
最後に、最上層に残存しているレジスト層40を、従来公知のレジスト剥離剤で除去する。以上により、
図5に示す磁壁移動型空間光変調器90が得られる。同様の製造方法により、第1磁化固定層11aが前記第2方向に隣接する2つの素子間で共有される構成の磁壁移動型空間光変調器を製造することで、本実施形態に係る磁壁移動型空間光変調器100が得られる。
【0067】
以上説明した本実施形態に係る磁壁移動型空間光変調器100によれば、第1強磁性層上に、非磁性金属層、バッファ層、及びバッファ層の酸化を抑制するキャップ層をこの順に形成し、この状態で、リフトオフ処理と必要に応じて熱処理を実施する。そして、キャップ層の全部及びバッファ層の一部を除去した後に、第2強磁性層を形成する。
【0068】
ここで、本実施形態のように磁壁移動を利用した光変調素子を製造するためには、光変調層30の製膜前に、一旦素子を大気中に取り出してリフトオフする必要がある。そのため、従来の微細加工プロセスでは、その工程上、2つの強磁性薄膜を真空中一貫で連続して製膜できず、強磁性交換結合させることができなかったところ、本実施形態の製造方法によれば、処理工程と製膜工程とを分けることができるため、第1強磁性層と第2強磁性層を強磁性交換結合させることができる。従って、本実施形態によれば、各種微細加工プロセスに適用可能である。
【0069】
また、本実施形態によれば、バッファ層13上にバッファ層13以下の層の酸化を抑制するキャップ層を形成するため、素子を真空一貫装置から取り出した際に、別装置にて300℃~400℃程度で熱処理することもできる。そして、熱処理後、イオンビームミリング等でキャップ層全てとバッファ層13の途中までを除去し、もう一方の熱耐性の無いGdFe、Gd等の第2強磁性層を製膜することで、強磁性交換結合させることができる。
【0070】
図6に示すように、本実施形態に係る磁壁移動型空間光変調器100は、第1強磁性交換結合部1における第1強磁性層(第1磁化固定層11a)を前記第2方向に隣接する2つの磁壁移動型空間光変調素子10間で共有して構成される。
【0071】
これにより、隣接素子間の間隔を狭めて有効な光変調領域を増加させ、開口率を向上させることができる。
【0072】
[第2実施形態]
図9は、本発明の第2実施形態に係る磁壁移動型空間光変調器200aの一例の構成を示す上面図である。
本実施形態に係る磁壁移動型空間光変調器200aは、前記第1実施形態に係る磁壁移動型空間光変調器100における光変調部において、前記第2方向に隣接する2つの磁壁移動型空間光変調素子の光変調部は、前記第1強磁性層上で繋がって構成される。
【0073】
これにより、前記磁壁移動型空間光変調器100と比較して、第1磁化固定層11を微小化することが出来るため、更に開口率を向上させることが可能である。さらに素子1つあたりの有効面積を大きく採ることができるため、製造時に上記の位置合わせ回数が減少し、生産効率が向上する。
【0074】
[第3実施形態]
図10は、本発明の第3実施形態に係る磁壁移動型空間光変調器200bの一例の構成を示す上面図である。
本実施形態に係る磁壁移動型空間光変調器200bは、磁壁移動型空間光変調器200aにおいて、前記第1方向に隣接する複数の磁壁移動型空間光変調素子20b間で、第1強磁性層を共有して構成される。
【0075】
これにより、前記磁壁移動型空間光変調器200aと比較して、製造時に上記の位置合わせ回数がさらに減少し、生産効率がより向上する。また、第1強磁性交換結合部1における第1強磁性層(第1磁化固定層11c)を前記第1方向に長い形状にすることで、第2強磁性交換結合部2における第1強磁性層(第2磁化固定層21)との形状の違いにより保磁力差を設けることができる。
【0076】
図11は、本発明の第2および第3実施形態に係る磁壁移動型空間光変調素子20aおよび20bの一例の構成を示す断面図である。
磁壁移動型空間光変調器200は、1つの前記第1強磁性交換結合部の両側に2つの前記第2強磁性交換結合部を備えることで、例えば1つの磁壁移動型空間光変調素子20aおよび20bにおいて、上記第1実施形態に係る磁壁移動型空間光変調素子10の有する2倍の面積の光変調領域を有することができる。この時、前記面積あたりの磁壁移動型空間光変調素子10の有する強磁性交換結合部の合計数は4であり、磁壁移動型空間光変調素子20aおよび20bの有する強磁性交換結合部の数は3である。強磁性交換結合部においては光変調領域が開口していない。即ち、同面積の光変調領層30を有する素子において、強磁性交換結合部が少なければ有効な光変調領域300が増加し、光変調領域開口率が向上するため、第2実施形態に係る磁壁移動型空間光変調器200は、第1実施形態に係る磁壁移動型空間光変調器100よりも高い光変調領域開口率を得られる。
【0077】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良は本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0078】
1 第1強磁性交換結合部
2 第2強磁性交換結合部
3 光変調部
9 パルス電流源
10,20a,20b,91 磁壁移動型空間光変調素子
11,11a,11b,11c 第1磁化固定層(第1強磁性層)
12,22 非磁性金属層
13,23 バッファ層
21 第2磁化固定層(第1強磁性層)
30 光変調層(第2強磁性層)
31,32 磁区
31a,32a 初期磁区
33 磁壁
90,100,200a,200b 磁壁移動型空間光変調器
300 光変調領域