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特許7168586高品質のボイド充填法のための流動性堆積及び高密度プラズマ処理工程サイクル
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  • 特許-高品質のボイド充填法のための流動性堆積及び高密度プラズマ処理工程サイクル 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】高品質のボイド充填法のための流動性堆積及び高密度プラズマ処理工程サイクル
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/316 20060101AFI20221101BHJP
   H01L 21/318 20060101ALI20221101BHJP
   C23C 16/42 20060101ALI20221101BHJP
   C23C 16/50 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
H01L21/316 P
H01L21/316 X
H01L21/318 B
H01L21/318 C
C23C16/42
C23C16/50
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2019562616
(86)(22)【出願日】2018-05-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-02
(86)【国際出願番号】 US2018030699
(87)【国際公開番号】W WO2018212999
(87)【国際公開日】2018-11-22
【審査請求日】2021-04-22
(31)【優先権主張番号】62/505,857
(32)【優先日】2017-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】リャン, チンメイ
(72)【発明者】
【氏名】スン, ヨン
(72)【発明者】
【氏名】クオ, チンルイ
(72)【発明者】
【氏名】ジャー, プラケット ピー.
(72)【発明者】
【氏名】リー, チュン チャン
(72)【発明者】
【氏名】グン, ツァ-ジン
(72)【発明者】
【氏名】スリニバサン, ムクン
【審査官】長谷川 直也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0149213(US,A1)
【文献】国際公開第2016/137606(WO,A1)
【文献】特開2010-153859(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2009-0066936(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/316
H01L 21/318
C23C 16/42
C23C 16/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する方法であって、
規定の堆積厚さに達するまで、動性層をトレンチの底面及び側壁面の上にボトムアップで形成するために、少なくとも1つのトレンチを有する基板に堆積処理を行うことと、
前記流動性層に、UV硬化処理である第1の硬化処理を行うことと、
次いで、UV硬化された前記流動性層に、プラズマ処理又はプラズマ支援処理である第2の硬化処理を行うことと、
プラズマ硬化された前記流動性層が、前記トレンチに充填され、前記トレンチの上面を超える規定の高さに達するまで、前記堆積処理と前記第1の硬化処理と前記第2の硬化処理とを連続的に繰り返し実施することと
を含む方法。
【請求項2】
前記第1の硬化処理が、酸素、窒素、又は不活性ガスを含むラジカル系雰囲気下で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の硬化処理が、酸素/ヘリウム雰囲気、酸素/アルゴン雰囲気、又は酸素/水素雰囲気下で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の硬化処理が、ラジカル系雰囲気下で実施される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記流動性層が、オングストローム/秒以下の堆積速度で堆積される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記流動性層が、シリコン含有誘電体層を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記流動性層が、SiC、SiO、SiCN、SiO 、SiOC、SiOCN、SiON、又はSiNを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
基板を処理する方法であって、
シリコン含有前駆体を酸素系ラジカル前駆体と窒素系ラジカル前駆体とに反応させて、基板のトレンチ内に流動性層を形成することによって、堆積処理を実施することと、
第1の硬化処理の間、酸素含有雰囲気窒素含有雰囲気、又は不活性ガス雰囲気の中でUVエネルギーで前記流動性層を硬化させることと、
第2の硬化処理の間、酸素含有雰囲気又は窒素含有雰囲気を有するプラズマチャンバ内で、前記UVエネルギーで硬化された前記流動性層を硬化させることと、
プラズマ硬化された前記流動性層が、前記トレンチに充填され、前記トレンチの上面を超える規定の高さに達するまで、前記堆積処理と前記第1の硬化処理と前記第2の硬化処理とを連続的に繰り返し実施することと
を含む方法。
【請求項9】
前記流動性層が、シリコン含有誘電体層を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記流動性層が、SiC、SiO、SiCN、SiO、SiOC、SiOCN、SiON、又はSiNを含む、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記シリコン含有前駆体が、シロキサン化合物、又は一若しくは複数のハロゲン部分を含むハロゲン化されたシロキサン化合物を含む、請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記流動性層を硬化させることが更に、
酸素/ヘリウム雰囲気、酸素/アルゴン雰囲気、又は酸素/水素雰囲気下で前記流動性層にイオンを衝突させることと、
不活性ガス雰囲気下で前記流動性層にイオンを衝突させることと
を含む、請求項に記載の方法。
【請求項13】
前記流動性層を硬化させることは、誘導結合プラズマ(ICP)チャンバで実施される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記流動性層を硬化させることは更に、
mTorr以下のチャンバ圧力において前記基板にバイアス電力を印加すること
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記堆積処理を実施した後、且つ前記流動性層を硬化させる前に、酸素含有雰囲気、窒素含有雰囲気、又は不活性ガス雰囲気下でUVエネルギーを用いて前記流動性層を硬化させること
を更に含む、請求項に記載の方法。
【請求項16】
UVエネルギーを用いて前記流動性層を硬化させることが、ラジカル系雰囲気下で実施される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
基板を処理する方法であって、
堆積処理の間、基板上のトレンチの底面及び側壁面の上にボトムアップで流動性層を形成することと、
第1の硬化処理の間、前記流動性層をUVエネルギーに曝して、UV硬化された流動性層を生成することと、
第2の硬化処理の間、UV硬化された前記流動性層をプラズマに曝して、プラズマ硬化された流動性層を生成することと、
プラズマ硬化された前記流動性層が、前記トレンチに充填され、前記トレンチの上面を超える規定の高さに達するまで、前記堆積処理と前記第1の硬化処理と前記第2の硬化処理とを連続的に繰り返し実施することと、
を含む方法。
【請求項18】
基板を処理するためのクラスタツールであって、
ロードロックチャンバと、
前記ロードロックチャンバの第1の側面に連結された移送チャンバと、
前記移送チャンバに連結された複数の第1の処理チャンバであって、各々が流動性層の堆積を実施することができる堆積チャンバであり、前記複数の第1の処理チャンバの少なくとも1つが高密度プラズマCVDチャンバである、複数の第1の処理チャンバと、
前記移送チャンバに連結された複数の第2の処理チャンバであって、各々が熱硬化処理を実施することができる硬化チャンバであり、前記複数の第2の処理チャンバの少なくとも1つがUV光硬化チャンバである、複数の第2の処理チャンバと、
前記移送チャンバに連結された複数の第3の処理チャンバであって、各々がプラズマ硬化処理を実施することができるプラズマチャンバであり、前記複数の第3の処理チャンバの少なくとも1つが誘導結合プラズマ(ICP)チャンバである、複数の第3の処理チャンバと、
前記ロードロックチャンバの第2の側面に連結されたファクトリインターフェースと
前記基板を、前記第1の処理チャンバ、前記第2の処理チャンバ、前記第3の処理チャンバの順に移送して処理するように構成された制御部と、
を備え、
前記複数の第1の処理チャンバが、前記複数の第2の処理チャンバ及び前記複数の第3の処理チャンバと隣り合い、
前記ロードロックチャンバが、前記複数の第2の処理チャンバ及び前記複数の第3の処理チャンバと隣り合う、
クラスタツール。
【請求項19】
基板を処理するためのクラスタツールであって、
ロードロックチャンバと、
前記ロードロックチャンバに連結された移送チャンバと、
前記移送チャンバに連結された複数の第1の処理チャンバであって、各々が流動性層の堆積を実施することができる堆積チャンバであり、前記複数の第1の処理チャンバの少なくとも1つが高密度プラズマCVDチャンバである、複数の第1の処理チャンバと、
前記移送チャンバに連結された複数の第2の処理チャンバであって、各々が熱硬化処理を実施することができる硬化チャンバである、複数の第2の処理チャンバと、
前記移送チャンバに連結された複数の第3の処理チャンバであって、各々がプラズマ硬化処理を実施することができるプラズマチャンバであり、前記複数の第3の処理チャンバの少なくとも1つが誘導結合プラズマ(ICP)チャンバである、複数の第3の処理チャンバと、
前記基板を、前記第1の処理チャンバ、前記第2の処理チャンバ、前記第3の処理チャンバの順に移送して処理するように構成された制御部と、
を備え、
前記複数の第1の処理チャンバが、前記複数の第2の処理チャンバ及び前記複数の第3の処理チャンバと隣り合い、
前記ロードロックチャンバが、前記複数の第2の処理チャンバ及び前記複数の第3の処理チャンバと隣り合う、
クラスタツール。
【請求項20】
基板を処理するためのクラスタツールであって、
ロードロックチャンバと、
前記ロードロックチャンバに連結された移送チャンバと、
前記移送チャンバに連結された複数の第1の処理チャンバであって、各々がシリコン含有誘電体層の流動性層堆積を実施することができるプラズマ化学気相堆積チャンバであり、前記複数の第1の処理チャンバの少なくとも1つが高密度プラズマCVDチャンバである、複数の第1の処理チャンバと、
前記移送チャンバに連結された複数の第2の処理チャンバであって、各々が熱硬化処理を実施することができるUV光硬化チャンバである、複数の第2の処理チャンバと、
前記移送チャンバに連結された複数の第3の処理チャンバであって、各々がプラズマ硬化処理を実施することができる誘導結合プラズマチャンバ(ICP)である、複数の第3の処理チャンバと、
前記基板を、前記第1の処理チャンバ、前記第2の処理チャンバ、前記第3の処理チャンバの順に移送して処理するように構成された制御部と、
を備え、
前記複数の第1の処理チャンバが、前記複数の第2の処理チャンバ及び前記複数の第3の処理チャンバと隣り合い、
前記ロードロックチャンバが、前記複数の第2の処理チャンバ及び前記複数の第3の処理チャンバと隣り合う、
クラスタツール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示の実行形態は概して、基板のトレンチを形成し、流動性誘電体材料を用いて充填するための方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
[0002]近代のデバイスのトレンチ幅は、誘電体材料を用いてトレンチを充填することが困難になるくらいトレンチの深さと幅のアスペクト比が高くなるほど、細くなってきている。誘電体材料を堆積させると、トレンチが完全に充填される前に上部で詰まってしまい、トレンチの真中にボイド又は継ぎ目ができやすい。この問題は特に、トレンチの上部と底部が異なる直径を有するトレンチを形成するときに、パターンローディング効果に起因して更に悪化する。
【0003】
[0003]したがって、当技術分野において、上述した課題に対処する新たな堆積処理が必要である。
【発明の概要】
【0004】
[0007]本書に開示の実行形態は、基板のトレンチを形成し、流動性誘電体材料を用いて充填するための方法に関するものである。ある実行形態では、本方法は、規定の堆積厚さに達するまで、流動性層をトレンチの底面及び側壁面の上にボトムアップで形成するために、少なくとも1つのトレンチを有する基板に堆積処理を行うことと、流動性層に、UV硬化処理である第1の硬化処理を行うことと、UV硬化された流動性層に、プラズマ処理又はプラズマ支援処理である第2の硬化処理を行うことと、プラズマ硬化された流動性層が、トレンチに充填され、トレンチの上面を超える規定の高さに達するまで、堆積処理と第1の硬化処理と第2の硬化処理とを連続的に繰り返し実施することとを含む。
【0005】
[0008]別の実行形態では、本方法は、シリコン含有前駆体を酸素系ラジカル前駆体と窒素系ラジカル前駆体とに反応させて、基板のトレンチ内に流動性層を形成することによって、堆積処理を実施することと、プラズマチャンバで流動性層を硬化させることであって、第2の処理チャンバが酸素含有雰囲気又は窒素含有雰囲気を有する、流動性層を硬化させることと、硬化された流動性層が、トレンチに充填され、トレンチの上面を超える規定の高さに達するまで、堆積処理と硬化処理とを連続的に繰り返し実施することとを含む。
【0006】
[0009]更に別の実行形態では、基板を処理するためのクラスタツールが提供される。クラスタツールは、ロードロックチャンバと、ロードロックチャンバの第1の側面に連結された移送チャンバと、移送チャンバに連結された複数の第1の処理チャンバであって、各々が流動性層の堆積を実施することができる堆積チャンバである、複数の第1の処理チャンバと、移送チャンバに連結された複数の第2の処理チャンバであって、各々が硬化処理を実施することができる硬化チャンバである、複数の第2の処理チャンバと、移送チャンバに連結された複数の第3の処理チャンバであって、各々がプラズマ硬化処理を実施することができるプラズマチャンバである、複数の第3の処理チャンバと、ロードチャンバの第2の側面に連結されたファクトリインターフェースとを含む。
【0007】
[0010]ある別の実行形態では、クラスタツールは、ロードロックチャンバと、ロードロックチャンバの第1の側面に連結された第1の真空移送チャンバと、第2の真空移送チャンバと、第1の真空移送チャンバと第2の真空移送チャンバとの間に配置された冷却ステーションと、ロードロックチャンバの第2の側面に連結されたファクトリインターフェースと、第1の真空移送チャンバに連結された複数の第1の処理チャンバであって、各々が流動性層の堆積を実施することができる堆積チャンバである、複数の第1の処理チャンバと、第2の真空移送チャンバに連結された複数の第2の処理チャンバであって、各々がプラズマ硬化処理を実施することができるプラズマチャンバである、複数の第2の処理チャンバとを含む。
【0008】
[0011]上述した本開示の特徴を詳細に理解できるように、一部が添付の図面に例示されている実行形態を参照しながら、上記に要約した本開示をより具体的に説明する。しかし、添付の図面は本開示の典型的な実行形態のみを示すものであり、したがって、実行形態の範囲を限定するものと見なすべきではなく、本開示は他の等しく有効な実行形態も許容しうることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】トレンチの充填を促進する流動性誘電体層を形成する例示の方法の選択工程を示すフロー図である。
図2A】基板の一部を示す概略三次元図である。
図2B図1のフロー図による様々な製造段階中の図2Aの基板を示す図である。
図2C図1のフロー図による様々な製造段階中の図2Aの基板を示す図である。
図2D図1のフロー図による様々な製造段階中の図2Aの基板を示す図である。
図2E図1のフロー図による様々な製造段階中の図2Aの基板を示す図である。
図2F図1のフロー図による様々な製造段階中の図2Aの基板を示す図である。
図2G図1のフロー図による様々な製造段階中の図2Aの基板を示す図である。
図3】本開示の実行形態に係る図1に示す処理シーケンスを実施するために使用可能な処理システムの概略上面図である。
図4】本開示の実行形態に係る図1に示す処理シーケンスの処理を実施するために使用可能な処理システムの概略上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0017]理解しやすくするために、可能な場合は図面に共通の同一要素を記号表示するのに同一の参照番号が使われている。具体的な記載がなくても、一実行形態で開示された要素を他の実行形態に有益に用いることは可能であると考えられる。
【0011】
[0018]図1は、トレンチの充填を促進する流動性誘電体層を形成する方法100における選択工程を示すフロー図である。図2Aに、基板200の一部の概略三次元図を示す。図2B~2Gは、図2AのラインA-Aに沿った半導体デバイス構造の一部の概略断面図である。図2B~2Gに、図1のフロー図による様々な製造段階中の図2Aの基板200を示す。説明をわかりやすくするために、図1及び図2A~2Gを合わせて説明する。
【0012】
[0019]方法100は、ブロック102において、図2Aに示す基板200等の基板を堆積チャンバの基板処理領域の中へ移送することによって開始される。適切な堆積チャンバには、高密度プラズマCVDチャンバ、プラズマ強化CVDチャンバ、低大気圧CVDチャンバ等を含みうる。流動性酸化物/窒化物層を形成するように適合されうる例示の堆積チャンバは、いずれもカリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアルズ社から市販されているProducer(登録商標)ETERNA CVD(登録商標)システム又はUltima HDP CVD(登録商標)システムを含む。他のメーカーからの他の好適な堆積チャンバも用いることが可能だと考えられる。
【0013】
[0020]基板200は、上に形成されたフィン202を有する。各フィン202は、一又は複数のデバイスが形成される作用面積として機能しうる。フィン202は、マスキング、フォトリソグラフィ、及び/又はエッチング処理を含む、基板200上で行われる適切な処理を使用して基板200にトレンチ204を形成し、基板200から上向きに延びるフィン202を残すことで作製される。
【0014】
[0021]トレンチ204のアスペクト比は、約1:1、約2:1、約3:1、約5:1、約10:1、約15:1、約20:1、約30:1、約50:1、約100:1以上であってよい。ある実行形態ではトレンチ204のアスペクト比は、約10:1~約30:1、例えば約15:1であってよい。本書に記載の「アスペクト比」という語は、特定の特徴、例えば基板200に形成されたトレンチ204の高さ寸法と幅寸法の比率を指すものである。
【0015】
[0022]基板200は、シリコン(ドープされた又はドープされていない)、結晶シリコン(例:Si<100>又はSi<111>)、酸化ケイ素、ドープされた又はドープされていないポリシリコン等のシリコン基板、ゲルマニウム基板、シリコンゲルマニウム(SiGe)基板、ヒ化ガリウム基板等のIII-V複合基板、炭化ケイ素(SiC)基板、パターン化された又はパターン化されていない絶縁層上の半導体(SOI)基板、炭素がドープされた酸化物、窒化ケイ素、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネセント(EL)ランプディスプレイ等のディスプレイ基板、ソーラアレー、ソーラーパネル、発光ダイオード(LED)基板、ガラス、サファイア、又は金属、金属合金及び他の導電性材料等の他のいずれかの材料等の、上に堆積された材料を有することができるいずれかの基板であってよい。一又は複数の電気デバイス、例えばトランジスタ、コンデンサ、抵抗器、ダイオード、フォトダイオード、ヒューズ等の様々なN型金属酸化膜半導体(NMOS)及び/又はP型金属酸化膜半導体(PMOS)デバイスを基板200に形成することができる。基板200は、任意の特定のサイズ又は形状に限定されないと考えられる。したがって、基板200は、中でも、200mmの直径、300mmの直径、又は450mm等の他の直径を有する円形基板であってよい。基板200はまた、任意の多角形、正方形、長方形、曲線状又は他の非円形ワークピースであってもよい。
【0016】
[0023]ブロック104において、基板200の上に流動性層206が形成される。流動性層206は、少なくともシリコンを含有する誘電体層であってよい。ある実施形態では、流動性層206は、少なくともシリコン及び酸素を含有する誘電体層である。ある実施形態では、流動性層206は、少なくともシリコンと窒素を含有する誘電体層である。ある実施形態では、流動性層206は、少なくともシリコン、酸素及び窒素を含有する誘電体層である。流動性層206がシリコン、酸素及び窒素を含有する誘電体層である場合、基板200の上に流動性層206を形成するために、堆積チャンバの中へシリコン含有前駆体、酸素系ラジカル前駆体は、及び窒素系ラジカル前駆体が導入されうる。基板200の露出した表面に流動性層206が堆積され、トレンチ204が充填されうる。一実施形態では、図2Bに示すように、トレンチ204の底面207の上、及び側壁面209に沿って流動性層206が形成される。適切な流動性層206は、非限定的に、SiC、SiO、SiCN、SiO、SiOC、SiOCN、SiON、又はSiNを含みうる。代替的に、流動性層206は、追跡可能な量の炭素を含まない(すなわち、炭素を含まない)場合がある。
【0017】
[0024]流動性層206は、トレンチ204を継ぎ目なしに又はボイドなしにボトムアップで(底から)充填することを可能にする流動性を提供する。流動性は少なくとも一部において、堆積された層に存在する短鎖ポリシラザンポリマーに起因しうる。例えば、堆積された層は、シラザンタイプのSi-NH-Siバックボーン(すなわち、Si-N-H層)を有しうる。短鎖ポリマーの形成と流動性を可能にする窒素は、ラジカル前駆体又はシリコン含有前駆体のいずれかから由来のものである。誘電体層は流動性であるため、誘電体層によりトレンチ204にボイドをつくらずに高アスペクト比を有するトレンチをボトムアップで充填することができる。流動性層206の堆積は、規定の堆積厚さに達したときに停止されうる。一実施形態では、規定の堆積厚さ「T1」は、約20オングストローム~約300オングストロームの範囲である。誘電体層の流動性は、堆積が進むにつれ減少し、後続の硬化/プラズマ処理段階の間に実質的に除去される。
【0018】
[0025]適切なシリコン含有前駆体は、酸素原子とシリコン原子の比率が0~約6の有機ケイ素化合物を含みうる。適切な有機ケイ素化合物は、シロキサン化合物、テトラクロロシラン、ジクロロジエトキシシロキサン、クロロトリエトキシシロキサン、ヘキサクロロジシロキサン、及び/又はオクタクロロトリシロキサン等の一又は複数のハロゲン部分(例:フッ化物、塩化物、臭化物、又はヨウ化物)を含むハロゲン化されたシロキサン化合物、及びトリシリルアミン(TSA)、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、シラトラン、テトラキス(ジメチルアミノ)シラン、ビス(ジエチルアミノ)シラン、トリス(ジメチル-アミノ)クロロシラン、及びメチルシラトラン等のアミノシランであってよい。他のシリコン含有前駆体、例えばシラン、ハロゲン化されたシラン、オルガノシラン、及びそれらいずれかの組み合わせも使用可能である。シランは、シラン(SiH)、及び実験式Si(2x+2)を有する高次シラン、例えばジシラン(Si)、トリシラン(Si)、及びテトラシラン(Si10)、又は他の高次シラン、例えばポリクロロシランを含みうる。
【0019】
[0026]酸素系ラジカル前駆体は、酸素(O)、オゾン(O)、NO、NO、又はNO等の窒素-酸素化合物、水又は過酸化物等の水素-酸素化合物、一酸化炭素又は二酸化炭素等の炭素-酸素化合物、及び他の酸素含有前駆体、及びそれらいずれかの組み合わせから形成された酸素ラジカルを含みうる。酸素ラジカルを、離れたところで生成し、シリコン含有前駆体と共に導入することが可能である。酸素系ラジカル前駆体は、堆積チャンバに導入する前に、例えばCCP(容量結合プラズマ)又はICP(誘導結合プラズマ)構成を有しうる遠隔プラズマ源を使用して活性化させることができる。
【0020】
[0027]窒素系ラジカル前駆体は、窒素(N)、亜酸化窒素(NO)、一酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO)、アンモニア(NH)、及びそれらいずれかの組み合わせから形成される窒素ラジカルを含みうる。窒素ラジカルを離れたところで生成し、シリコン含有前駆体及び酸素系ラジカル前駆体と共に導入することができる。窒素系ラジカル前駆体は、堆積チャンバに導入する前に、例えばCCP(容量結合プラズマ)又はICP(誘導結合プラズマ)構成を有しうる遠隔プラズマ源を使用して活性化させることができる。
【0021】
[0028]ある実行形態では、酸素系ラジカル前駆体が第1の体積流量で堆積チャンバの中へ流入され、シリコン含有前駆体が第2の体積流量で堆積チャンバの中へ流入され、第1の体積流量と第2の体積流量の比率は、約0.3:1と約0.9:1、例えば約0.5:1と約0.7:1との間、例えば約0.6:1に制御されうる。
【0022】
[0029]ある実行形態では、窒素系ラジカル前駆体が第1の体積流量で堆積チャンバの中へ流入され、シリコン含有前駆体が第2の体積流量で堆積チャンバの中へ流入され、第1の体積流量と第2の体積流量の比率は、約0.2:1と約0.8:1、例えば約0.4:1と約0.6:1との間、例えば約0.5:1に制御されうる。
【0023】
[0030]酸素及び窒素ラジカルの両方を含有するラジカル前駆体が使用される場合は、酸素系ラジカル前駆体、又は窒素系ラジカル前駆体を省くことができると考えられる。
【0024】
[0031]シリコン含有前駆体、酸素系ラジカル前駆体、及び窒素系ラジカル前駆体は、摂氏約150以下、例えば摂氏約100度以下、例えば摂氏約65度の温度で反応しうる。流動性誘電体層の形成中、堆積チャンバのチャンバ圧力は、約0.1トール~約10トール、例えば約0.5トール~約6トールに維持されうる。十分に薄い堆積を制御するために、堆積速度は約50オングストローム/秒以下に制御されうる。ある実行形態では、堆積速度は、約5オングストローム/秒以下、例えば約4オングストローム/秒に制御される。堆積速度が遅い(5Å/秒以下)ことで、ある用途においては、ボイドがなく、表面粗さの滑らかな流動性層の形成が可能になるため有利になりうる。
【0025】
[0032]ブロック106において、流動性層が規定の堆積厚さ「T1」(例:約20~300Å)に達したら、シリコン含有前駆体、酸素系ラジカル前駆体、及び窒素系ラジカル前駆体の流れが停止され、図2Cに示すように、硬化チャンバにおいて基板に第1の硬化処理231が行われる。硬化後の流動性層206は高い密度、良好な安定性を呈し、後続のプラズマ処理(ブロック108)において実施される高温に耐えることができる。硬化チャンバは、UV光硬化、熱硬化、マイクロ波硬化、プラズマ硬化、電子ビーム硬化、又は中性(粒子)ビーム硬化等のいずれかの好適な硬化技法を使用しうる。ある実行形態では、硬化処理はオプションであり、省略することが可能である。ある実行形態では、硬化チャンバはUV硬化チャンバである。例示の硬化チャンバは、いずれもカリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアルズ社から市販されているProducer(登録商標)NANOCURETM3 UV硬化チャンバを含みうる。他のメーカーからの他の好適な硬化チャンバを用いて本書に記載の処理を実施することも可能であると考えられる。
【0026】
[0033]硬化処理231は、酸素含有雰囲気、窒素含有雰囲気、及び/又は不活性ガス雰囲気下で実施されうる。酸素含有雰囲気は、分子状酸素(O)、オゾン(O)、水蒸気(HO)、一酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO)、亜酸化窒素(NO)、及びそれらいずれかの組み合わせ等の一又は複数の酸素含有ガスを硬化チャンバの中へ導入することによって作られうる。窒素含有雰囲気は、窒素(N)、アンモニア(NH)、及びそれらいずれかの組み合わせ等の一又は複数の窒素含有ガスを硬化チャンバの中へ導入することによって作られうる。不活性雰囲気は、ヘリウム、アルゴン、水素、クリプトン、キセノン、及びそれらいずれかの組み合わせを硬化チャンバの中へ導入することによって作られうる。必要に応じ、酸素/窒素原子を流動性層206の中に組み込みやすくするために、ラジカル系雰囲気下で、すなわち、酸素含有ガス、窒素含有ガス、又は不活性ガスからのラジカルを使用して硬化処理を実施することが可能である。
【0027】
[0034]流動性層が酸化物である幾つかの実施形態では、硬化処理231は、酸素含有雰囲気下で実施されうる。上記の場合、硬化処理は、酸素挿入及び膜架橋の目的でオゾン雰囲気下で熱又はUVを使用しうる。酸素含有雰囲気は、シリコン含有層でありうる流動性層を酸化ケイ素層に変換させる酸素を提供する。流動性層が窒化物である場合、硬化処理は、窒素含有雰囲気下で実施されうる。上記の場合、硬化処理は、窒素又はアンモニア雰囲気下でUVを使用して流動性層を窒化させ、堆積された層の窒素濃度を増加させうる。いずれの場合でも、硬化処理は、堆積された層の揮発性結合を安定化させ、これにより、プラズマ処理(ブロック108)前に熱的に安定した層を形成する助けとなりうる。通常、長いUV処理の結果、プラズマ処理後の収縮が低減し、膜応力が中立に近くなる。
【0028】
[0035]一実行形態では、硬化処理231は、UV光硬化技法を使用する。硬化処理により、所望の(反応的又は不活性)雰囲気、温度及び圧力下で熱的に又はUV光子の助けで膜架橋を可能にすることができる。例示のUV光硬化技法は、基板上に光を投射する一又は複数のUV光源から光又は光子エネルギーを供給することを含みうる。これらのUV光源には、UV波長(例:220nm)にピーク強度を有する広い波長スペクトル(UV波長以外を含む)にわたって光を放出するUVランプが含まれうる。UVランプの例には、他の種類のUVランプの中でも、キセノンランプ(ピーク発光波長:172nm)、水銀ランプ(ピーク:243nm)、重水素ランプ(ピーク:140nm)、塩化クリプトン(KrCl)ランプ(ピーク:222nm)が含まれる。更なるUV光源には、流動性層にコヒーレントな狭帯域のUV光を提供するレーザが含まれうる。レーザ光源には、エキシマレーザ(例:XeCl、KrF、F等、エキシマレーザ)及び/又は固体レーザ(例:Nd-YAGレーザ)の適切な高調波が含まれうる。UV光源は、ダイオードUV光源も含みうる。
【0029】
[0036]硬化処理231の間に、流動性層206は約10秒~約60分の間硬化され、これは用途によって変わりうる。硬化チャンバの圧力は、約1トールから約600トールまでの範囲、例えば約10トール~150トールであってよい。硬化温度は、摂氏約5度から摂氏約1100度の範囲、例えば摂氏約10度、摂氏約25度、摂氏約50度、摂氏約100度、摂氏約200度、摂氏約300度、摂氏約400度、摂氏約500度、摂氏約600度、摂氏約700度、摂氏約800度、摂氏約900度、摂氏約1000度であってよい。一例において、硬化処理は、約100秒の間、摂氏約350度の温度及び約500トールのオゾン雰囲気下で実施される熱硬化処理である。
【0030】
[0037]熱硬化が適合される幾つかの場合では、硬化処理は、硬化温度及び圧力に依存して、流動性層206が堆積される堆積チャンバにおいてインシトゥで実施されうる、又はプラズマ処理が実施されるプラズマチャンバ(ブロック108)において実施されうる。
【0031】
[0038]ブロック108において、堆積処理が完了した後(又は実施される場合はオプションの硬化処理後)に、図2Dに示すように、基板200上に形成された誘電体層を更に硬化させるために、プラズマチャンバにおいて基板200に第2の硬化処理233が行われる。一実施形態では、第2の硬化処理233は、プラズマ処理である。プラズマチャンバは、プラズマ又はプラズマ支援技術を使用するいずれかの好適なチャンバであってよい。プラズマチャンバは、高温において高密度プラズマを発生させ、高密度プラズマからのイオンを衝突させて、硬化処理する層(ブロック106)又は流動性誘電体層(ブロック104、硬化処理が実施されない場合)を高密度化し更に硬化させる。
【0032】
[0039]材料によっては、プラズマ処理は、酸素含有雰囲気(硬化処理する層又は流動性誘電体層が酸化物である場合)、又は窒素含有雰囲気(硬化処理する層又は流動性誘電体層が窒化物である場合)下で実施されうる。酸素含有雰囲気は、分子状酸素(O)、オゾン(O)、水蒸気(HO)、一酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO)、亜酸化窒素(NO)、及びそれらいずれかの組み合わせ等の一又は複数の酸素含有ガスをプラズマチャンバの中へ導入することによって作られうる。窒素含有雰囲気は、窒素(N)、アンモニア(NH)、及びそれらいずれかの組み合わせ等の一又は複数の窒素含有ガスをプラズマチャンバの中へ導入することによって作られうる。いずれの場合にも、プラズマチャンバの中へアルゴン、水素、又はヘリウム等の不活性ガスが導入されうる。例えば、硬化処理する層又は流動性誘電体層が酸化物である場合、プラズマ処理は、酸素/ヘリウム雰囲気、酸素/アルゴン雰囲気、又は酸素/水素雰囲気下で実施されうる。硬化処理する層又は流動性誘電体層が窒化物である場合、プラズマ処理は、窒素/アンモニア雰囲気、窒素/水素雰囲気、又は窒素/ヘリウム雰囲気下で実施されうる。
【0033】
[0040]ある実行形態では、プラズマ処理はラジカル系処理であってよい。例えば、酸素含有雰囲気は、離れたところで生成され、プラズマチャンバの中に搬送されうるラジカル酸素核種及び/又はラジカルヒドロキシル種であってよい、又は更にそれらを含みうる。同様に、窒素含有雰囲気は、離れたところで生成され、プラズマチャンバの中に搬送されうるラジカル窒素核種であってよい、又は更にそれらを含みうる。ラジカルを使用するプラズマ処理は、高圧力(例:1トール以上、例えば約10~40トール)下で、及び/又はパルスRF電力波形を用いて実施されうる。例えば、プラズマ処理は、標準モード(すなわち、同じRF周波数を使用し、コイルアンテナを通って流れる電流が同位相である)で動作するパルスソース電力を使用する誘導結合プラズマであってよい。
【0034】
[0041]プラズマ処理の間、硬化処理する層又は流動性誘電体層は更に、プラズマチャンバにおいて存在する酸素又は窒素雰囲気に起因して、酸化物又は窒化物に変換される。Si-N結合エネルギー(355KJ/mol)とN-H結合エネルギー(386KJ/mol)はSi-O結合エネルギー(452KJ/mol)よりも低いために、酸素雰囲気により、硬化処理する層又は流動性誘電体層のSi-N結合又はN-H結合のSi-O結合への置換が促される。したがって、プラズマ処理が酸素含有雰囲気下で実施される場合、硬化処理する層又は流動性誘電体層(Si-NH-Siバックボーンを有する)は更に、酸化ケイ素層に変換される。プラズマ処理が窒素含有雰囲気下で実施される場合、硬化処理する層又は流動性誘電体層(Si-NH-Siバックボーンを有する)は更に、窒化ケイ素層に変換される。したがって、プラズマ処理は、1つの工程に物質の変換と高密度化を組み合わせたものであり、従来、FCVD膜を形成する硬化処理後に層の中に更に酸素又は窒素原子を組み込むために通常実施される長時間の熱アニール処理は必要ない。また、高密度プラズマにより、熱アニールに比べて低いサーマルバジェットも可能になりうる。この結果、製造処理の全体的なサーマルバジェットが削減される。
【0035】
[0042]ある実行形態では、プラズマ処理は、酸素/ヘリウム雰囲気、酸素/アルゴン雰囲気、又は酸素/水素雰囲気(硬化処理する層又は流動性誘電体層が酸化物である場合)を使用する第1のプラズマ処理工程と、ヘリウム等の不活性ガス雰囲気を使用する第2のプラズマ処理工程を含む2つの工程処理である。硬化処理する層又は流動性誘電体層が窒化物である場合、プラズマ処理は、窒素/アンモニア雰囲気、窒素/水素雰囲気、又は窒素/ヘリウム雰囲気を使用する第1のプラズマ処理工程と、ヘリウム等の不活性環境を使用する第2のプラズマ処理工程とを含みうる。不活性環境(例:ヘリウム)下でのプラズマ処理は、高エネルギーイオンによる衝突により膜の既存の結合が外れて再構成が起き、膜応力が解放され、密度の高い網状組織が形成されうるため、膜の高密度化に効果的である。
【0036】
[0043]プラズマチャンバは、プラズマ源発生装置への電源入力及び基板バイアス装置への電源入力に対して別々の制御を有するいずれかの好適なプラズマリアクタであってよい。一実行形態では、プラズマチャンバは、誘導結合プラズマ(ICP)チャンバである。上記の場合、プラズマチャンバは、プラズマ密度(ソース電力)を決定する誘導結合RF電力の供給を制御するプラズマ源コントローラと、基板表面にバイアス電圧(バイアス電力)を発生させるために使用されるRF電力又はDC電力の供給を制御するバイアスコントローラとを有しうる。このバイアス電圧は、処理領域で形成されたプラズマからのイオンを基板200に引き付けるために使用される。このバイアス電圧を使用して、硬化処理する層(又は、硬化処理が実施されない場合は流動性誘電体層)へのイオン核種の衝突エネルギーを制御することができる。ソース電力及び圧力は、イオン化を制御する調整つまみ(knob)である。バイアス電力は、膜処理の深さ制御においてイオンエネルギーを調整するための追加の調整つまみを提供する。バイアス電力に加えて、低い圧力(例:約5ミリトール未満)により、長い平均自由路と、深いトレンチ層の処理が可能になる。ある好適なプラズマチャンバは、カリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアルズ社から市販されているCentura(登録商標)AdvantedgeTM MesaTMエッチングチャンバである。
【0037】
[0044]本開示においてプラズマを形成するための一例としてICPチャンバが使用されているが、容量結合プラズマ(CCP)源、分離されたプラズマ源(DPS)、マグネトロンプラズマ源、電子サイクロトロン共鳴(ECR)源、又はマイクロ波プラズマ源等の他のプラズマ源も使用可能であると考えられる。
【0038】
[0045]ICPチャンバが使用される場合、プラズマ処理を実施するために以下のチャンバ処理パラメータが使用されうる。これらのパラメータは、上述したように、硬化処理する層(ブロック106)又は流動性誘電体層(ブロック104)を処理するために使用されうる。様々な実行形態では、硬化処理する層は、酸化物又は窒化物である。チャンバの圧力は、約1ミリトール(mTorr)~約10トール、例えば約2ミリトール~約1トール、例えば約5ミリトール~約88ミリトールであってよい。ソース電力は、約50ワット(W)~約650W、例えば約100W~約500W、例えば約250W~約450Wであってよい。ソース電力は、約30MHz~約60MHzの高周波(RF)帯域で印加されうる。ICPチャンバの基板支持体に供給されるバイアス電力は、約10W~約450W、例えば約50W~約300W、例えば100W~約200Wであってよい。バイアス電力は、約10MHz~約30MHzの高周波(RF)帯域で印加されうる。基板温度は、摂氏約550度以下、例えば摂氏約300度~摂氏約500度、例えば摂氏約350度であってよい。第1のガス(例:酸素含有ガス又は窒素含有ガス)のガス流は、約60sccm~約5000sccm、例えば約100sccm~約2200sccm、例えば約300sccm~約1000sccmであってよい。第2のガス(例:不活性ガス)のガス流は、約5sccm~約250sccm、例えば約10sccm~約150sccm、例えば約20sccm~約100sccmであってよい。処理時間は、約10秒~約120秒、例えば約30秒~約90秒、例えば約45秒~約60秒であってよい。本書に記載の処理パラメータは、300mm基板に基づくものである。これらの処理パラメータは、硬化処理する層(ブロック106)又は流動性誘電体層(ブロック104)の厚さ、トレンチ204のサイズ、基板200のサイズ、プラズマチャンバの性能、及び用途等によって変化しうると考えられる。
【0039】
[0046]ブロック108の後に、図2Eに示すように、堆積された誘電体層(すなわち、硬化及び/又は処理された流動性層206)が目標の高さ「T2」に達したか否かの決定110がなされる。堆積された誘電体層の目標の高さ「T2」は、トレンチ204の底面207から堆積された誘電体層の上面211までを測って約500オングストローム~約8000オングストローム、例えば約1000オングストローム~約6000オングストロームであってよい。目標の高さ「T2」に達していない場合、硬化/プラズマ処理された層の厚さを再び目的の厚さと比較する前に、堆積/硬化/プラズマ処理(例:ブロック104~108)のサイクルがもう一度実施されうる。堆積された誘電体層がターゲットの高さ「T2」に達するまで、ブロック104、106、及び108の処理が繰り返されうる。
【0040】
[0047]目標の高さ「T2」に達したら、図2Cに示すように、堆積された誘電体層は、化学機械平坦化法(CMP)等によって平坦化されて、フィン202の上面208と堆積された誘電体層の上面210は、同一平面となる。次に、許容可能なエッチング処理等を使用することにより基板200に凹部が形成され、フィン202の上部213が現れうる又は露出しうる。プラズマ処理(ブロック108)が行われる同じプラズマチャンバにおいてエッチング処理が実施されうる。その後基板200は、プラズマチャンバからロードロックチャンバへ、そして次に一又は複数の前方開口型統一ポッド(FOUP)へ移送され、前方開口型統一ポッド(FOUP)において、集積回路チップを製造するのに要しうる置換ゲートの形成、エピタキシャル堆積、洗浄、アニーリング、熱、化学気相堆積、酸化又は窒化処理等の下流処理のために、他の処理システムへ移送される。
【0041】
[0048]図3は、本開示の実行形態に係る、図1に記載の処理シーケンスを実施するために使用されうる処理システム300の概略上面図である。処理システム300の一例は、カリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアルズ社から市販されているPRODUCER(登録商標)又はCENTRISTMシステムである。処理システム300は、真空気密処理プラットフォーム302と、ファクトリインターフェース304とを含む。プラットフォーム202は、真空基板移送チャンバ312に連結された複数の処理チャンバ306a~b、308a~b、310a~bと、真空基板移送チャンバ312とファクトリインターフェース304との間に配置され、それらに連結されたロードロックチャンバ314とを含む。
【0042】
[0049]ファクトリインターフェース304は、基板の移送を容易にする少なくとも1つのファクトリインターフェースロボット316、318を含む。ファクトリインターフェース304は、一又は複数の前方開口型統一ポッド(FOUP)320を受け入れるように構成される。一例では、3つのFOUPが適合されている。ファクトリインターフェースロボット316、318は、ファクトリインターフェース304から処理プラットフォーム302へ基板(例:ブロック102に記載の基板)を移送し、処理プラットフォーム302において少なくとも1つの移送ロボット322がファクトリインターフェースロボット316、318から基板を受け取って、次に、処理チャンバ306a~b、308a~b、310a~bのいずれかへそれらを移送する。一実行形態では、処理チャンバ306a~bは、ブロック104に記載の処理を実施するために使用されうる堆積チャンバである。処理チャンバ308a~bは、ブロック106に記載の処理を実施するために使用されうる硬化チャンバである。処理チャンバ310a~bは、ブロック108に記載の処理及びフィンを露出させる処理を実施するために使用されうるプラズマチャンバである。処理が完了すると、基板は移送ロボット322によってロードロックチャンバ314へ移送される。次に、ファクトリインターフェースロボット314、316はロードロックチャンバ314から基板を受け取って、それらを再びFOUP320へ搬送する。
【0043】
[0050]図4は、本開示の実行形態に係る、図1に示す処理シーケンスの処理を実施するために使用されうる処理システム400の概略上面図である。ある例示の実行形態では、処理システム400は、図1に示す特定の処理(例:ブロック102、104及び108)を実施するために使用されるハイボリューム製造(HVM)システムである。処理システム400は、真空気密処理プラットフォーム402と、ファクトリインターフェース404とを含む。プラットフォーム402は、それぞれ第1の真空基板移送チャンバ412と第2の真空基板移送チャンバ413とに連結された複数の処理チャンバ406a~d、408a~fと、第1の真空基板移送チャンバ412と第2の真空基板移送チャンバ413との間に配置された冷却ステーション415と、第1の真空基板移送チャンバ412とファクトリインターフェース404との間に配置され、それらに連結されたロードロックチャンバ414とを含む。
【0044】
[0051]ファクトリインターフェース404は、基板の移送を容易にする少なくとも1つのファクトリインターフェースロボット416、418を含む。ファクトリインターフェース404は、一又は複数の前方開口型統一ポッド(FOUP)420を受け入れるように構成される。一例では、4つのFOUPが適合されている。ファクトリインターフェースロボット416、418は、ファクトリインターフェース404から処理プラットフォーム402へ基板(例:ブロック102に記載の基板)を移送する。第1の真空基板移送チャンバ412の少なくとも1つの移送ロボット422は、ファクトリインターフェースロボット416、418から基板を受け取り、次に処理チャンバ406a~dのいずれかへそれらを移送する。一実行形態では、処理チャンバ406a~dはブロック108に記載の処理を実施するために使用されうるプラズマチャンバである。第1の真空基板移送チャンバ412と第2の真空基板移送チャンバ413との間で基板を移送するために、冷却ステーション415にオプションの移送ロボット417が配置されうる。第2の真空基板移送チャンバ413の少なくとも1つの移送ロボット419は冷却ステーション415から基板を受け取り、次に、処理チャンバ408a~fのいずれかへそれらを移送する。代替的に、移送ロボット417を省略することができ、移送ロボット417、422を協働させて、第1の真空基板移送チャンバ412と第2の真空基板移送チャンバ413との間で基板を移送することができる。一実行形態では、処理チャンバ408a~fは、ブロック104に記載の処理を実施するために使用されうる堆積チャンバである。堆積された誘電体層が目標の高さに達するまで、堆積チャンバ(すなわち、処理チャンバ408a~f)とプラズマチャンバ(すなわち、処理チャンバ406a~d)との間で基板が移送されうる。処理が完了すると、基板はロードロックチャンバ414へ移送される。次にファクトリインターフェースロボット414、416がロードロックチャンバ414から基板を受け取って、FOUP420へそれらを再び搬送する。
【0045】
[0052]概括すれば、本書に記載の実行形態は、流動性誘電体層を用いて基板にトレンチを形成し、充填するための方法に関するものである。本方法は、誘電体層をターゲット層の組成に変換し、高密度化するために、酸素含有/不活性ガス又は窒素含有/不活性ガス雰囲気下で高密度の誘導結合プラズマからのイオンを流動性誘電体層に衝突させることを含む。膜架橋と、酸素/窒素原子の流動性誘電体層への組み込みを助けるために、流動性堆積とプラズマ処理との間に硬化処理を挿入してもよい。これらの処理は、所望の厚さに達するまでサイクルとして実施される。サイクル処理により、トレンチの側壁への堆積を最小限に抑えながら、トレンチ底部の誘電体層の安定した良好な品質が可能になる。
【0046】
[0053]以上の記述は本開示の実行形態を対象としているが、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく本開示の他の実行形態及び更なる実行形態が考案されてよく、本開示の範囲は、下記の特許請求の範囲によって決定される。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図3
図4