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7168627物体マッピング及び/又は瞳マッピングのための光学系
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】物体マッピング及び/又は瞳マッピングのための光学系
(51)【国際特許分類】
   G02B 13/00 20060101AFI20221101BHJP
【FI】
G02B13/00
【請求項の数】 22
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020185432
(22)【出願日】2020-11-05
(62)【分割の表示】P 2018515553の分割
【原出願日】2016-08-31
(65)【公開番号】P2021039366
(43)【公開日】2021-03-11
【審査請求日】2020-12-03
(31)【優先権主張番号】102015218328.9
(32)【優先日】2015-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】503263355
【氏名又は名称】カール・ツァイス・エスエムティー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100202326
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 大佑
(72)【発明者】
【氏名】ホルガー ミュエンツ
【審査官】森内 正明
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-539569(JP,A)
【文献】特開2002-323658(JP,A)
【文献】特開2006-323345(JP,A)
【文献】特開昭63-75719(JP,A)
【文献】特開昭59-176716(JP,A)
【文献】国際公開第2006/091181(WO,A1)
【文献】特表2008-539589(JP,A)
【文献】特開2002-323652(JP,A)
【文献】特開2011-118159(JP,A)
【文献】特開2002-169098(JP,A)
【文献】特開昭61-90115(JP,A)
【文献】特開昭64-90115(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0248001(US,A1)
【文献】特開2006-267650(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00 - 17/08
G02B 21/02 - 21/04
G02B 25/00 - 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
顕微鏡又はマイクロリソグラフィに用いられる光学系(10)であって、
光軸(16;46)、絞り面(18;38)、像面(20;40)、及び各々が少なくとも1つのレンズ素子を持つ4つのレンズ素子群(14a、b、c、d;42a、b、c、d)を有するフーリエ光学ユニット(12;36)として具現化されるレンズ素子系(11;37)を備え、
前記レンズ素子群は前記絞り面(18;38)と前記像面(20;40)との間に光軸(16;46)に沿って相互に離間されて配置され、
前記フーリエ光学ユニット(12;36)の前記4つのレンズ素子群のうちの2つ(14a、c;42b、d)は、第一及び第二の色アンダー補正レンズ素子群として具現化され、前記フーリエ光学ユニット(12;36)の前記4つのレンズ素子群のうちの残りの2つ(14b、d;42a、c)は、第一及び第二の色オーバー補正レンズ素子群として具現化され、前記フーリエ光学ユニット(12;36)は、色アンダー補正及び色オーバー補正レンズ素子群の交互の配置を有し、
物体結像及び瞳結像の両方において、単純なアクロマートと比較して、改善された色補正を得る光学系において、
前記第一及び前記第二の色アンダー補正レンズ素子群(14a、c;42b、d)はそれぞれ、正の屈折力を持つ収束レンズ素子(22)を1つのみ有し、
前記第一及び前記第二の色オーバー補正レンズ素子群(14b、d;42a、c)はそれぞれ、正の屈折力を持つ収束レンズ素子(32)と負の屈折力を有する発散レンズ素子(34)を含む少なくとも2つのレンズ素子を有する、光学系。
【請求項2】
前記第一及び/又は前記第二の色アンダー補正レンズ素子群(14a、c;42b、d)はそれぞれ、第一のレンズ素子材料又は前記第一のレンズ素子材料と異なる第二のレンズ素子材料のみを有する、請求項に記載の光学系。
【請求項3】
前記第一及び/又は前記第二の色オーバー補正レンズ素子群(14b、d;42a、c)はそれぞれ、第一のレンズ素子材料及び前記第一のレンズ素子材料と異なる第二のレンズ素子材料を有する、請求項1又は2に記載の光学系。
【請求項4】
物体及び/又は射出瞳が前記絞り面(18;38)から無限遠に置かれている場合に、前記絞り面(18;38)と結像領域(20a;50)は実質的に同じ大きさである、請求項1~の何れか1項に記載の光学系。
【請求項5】
前記第一の色アンダー補正レンズ素子群(14a)は、前記絞り面(18)から見て、前記第二の色アンダー補正レンズ素子群(14c)の上流と前記第一及び前記第二の色オーバー補正レンズ素子群(14b、d)の上流に配置される、請求項1~の何れか1項に記載の光学系。
【請求項6】
前記第一の色アンダー補正レンズ素子群(14a)は、正の屈折力を持ち、前記絞り面(18)側を向く凸面(22a)を有する凹凸収束レンズ素子(22)として具現化される、請求項1~の何れか1項に記載の光学系。
【請求項7】
前記第二の色アンダー補正レンズ素子群(14c)は、正の屈折力を有する両凸収束レンズ素子(30)として具現化され、前記第一の色アンダー補正レンズ素子群(14a)は、前記絞り面(18)から見て、前記第二の色アンダー補正レンズ素子群(14c)の上流と前記第一及び前記第二の色オーバー補正レンズ素子群(14b、d)の上流に配置される、請求項1~の何れか1項に記載の光学系。
【請求項8】
前記第一の色オーバー補正レンズ素子群(14b)は、前記絞り面(18)から見て、前記第二の色オーバー補正レンズ素子群(14d)の上流に配置される、請求項1~の何れか1項に記載の光学系。
【請求項9】
前記第一の色オーバー補正レンズ素子群(14b)は、前記絞り面(18)側から順に、前記絞り面(18)と反対側を向く凹面(24b)を持つ凹凸発散レンズ素子(24)と、両凸収束レンズ素子(26)と、両凹発散レンズ素子(28)と、を有し、前記両凸収束レンズ素子(26)は、前記光軸(16)に沿って前記凹凸発散レンズ素子(24)から離れた位置で前記両凹発散レンズ素子(28)に結合される、請求項1~の何れか1項に記載の光学系。
【請求項10】
前記第二の色オーバー補正レンズ素子群(14d)は、前記絞り面(18)側から順に、前記絞り面(18)と反対側を向く凸面(32b)を持つ両凸収束レンズ素子(32)と、前記光軸(16)に沿ってそれに結合された両凹発散レンズ素子(34)と、を有し、前記両凹発散レンズ素子は前記絞り面(18)側を向く凹面(34a)を有する、請求項1~の何れか1項に記載の光学系。
【請求項11】
前記第一の色オーバー補正レンズ素子群(42a)は、前記絞り面(38)から見て、前記第二の色オーバー補正レンズ素子群(42c)の上流と、前記第一及び前記第二の色アンダー補正レンズ素子群(42b、d)の上流に配置される、請求項1~の何れか1項に記載の光学系。
【請求項12】
前記第一の色オーバー補正レンズ素子群(42a)は、前記絞り面(38)側から順に、前記絞り面(38)と反対側を向く凹面(54b)を持つ両凹発散レンズ素子(54)と、前記光軸(46)に沿ってそれに結合された両凸収束レンズ素子(56)と、を有し、前記両凸収束レンズ素子は前記絞り面(38)側を向く凸面(56a)を有する、請求項1~又は11の何れか1項に記載の光学系。
【請求項13】
前記第二の色オーバー補正レンズ素子群(42c)は、前記絞り面(38)側から順に、両凹発散レンズ素子(60)と、両凸収束レンズ素子(62)と、前記絞り面(38)側を向く凹面(64a)を持つ凹凸発散レンズ素子(64)と、を有し、前記両凸収束レンズ素子(62)は、前記光軸(46)に沿って前記凹凸発散レンズ素子(64)から離れた位置で前記両凹発散レンズ素子(60)に結合される、請求項1~及び1112の何れか1項に記載の光学系。
【請求項14】
前記第一の色アンダー補正レンズ素子群(42b)は、前記絞り面(38)から見て、前記第二の色アンダー補正レンズ素子群(42d)の上流に配置される、請求項1~及び1113の何れか1項に記載の光学系。
【請求項15】
前記第二の色アンダー補正レンズ素子群(42d)は、前記絞り面(38)と反対側を向く凸面(66b)を有する、正の屈折力を持つ凹凸収束レンズ素子(66)として具現化される、請求項1~及び1114の何れか1項に記載の光学系。
【請求項16】
前記フーリエ光学ユニット(12;36)は、二酸化シリコン及び/又はフッ化カルシウムを有する、請求項1~15の何れか1項に記載の光学系。
【請求項17】
前記フーリエ光学ユニット(12;36)は、偏向ミラー又はビームスプリッタを含む少なくとも1つの別の光学素子を有する、請求項1~16の何れか1項に記載の光学系。
【請求項18】
二次の縦色収差を物体結像又は瞳結像において、単純なアクロマートよりも改善するよう補正する、請求項1~17の何れか1項に記載の光学系。
【請求項19】
一次の縦色収差、一次の横色収差、及び二次の縦色収差を物体結像及び瞳結像の両方において、単純なレンズ素子又は単純なアクロマートよりも改善するよう補正する、請求項18に記載の光学系。
【請求項20】
前記フーリエ光学ユニット(12;36)は、190~250nmの波長範囲で使用される、請求項1~19の何れか1項に記載の光学系。
【請求項21】
物体結像において補正された色収差は、瞳結像において補正された色収差よりも小さい、請求項10の何れか1項に記載の光学系。
【請求項22】
瞳結像において補正された色収差は、物体結像において補正された色収差よりも小さい、請求項1115の何れか1項に記載の光学系。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2015年9月24日に出願された独国特許出願第10 2015 218
328.9号の優先権を主張するものであり、直接引用することにより、その内容全体を
本願の明細書に援用する。
【0002】
本発明は、物体結像(field imaging)及び/又は瞳結像のための光学系
に関し、光軸、絞り面、及び像面を持ち、また、各々が少なくとも1つのレンズ素子を有
する3つのレンズ素子群を有し、前記レンズ素子群は絞り面と像面との間に光軸に沿って
相互に離間されて配置されるレンズ素子系を持ち、3つのレンズ素子群は、第一のレンズ
素子材料及び/又は第一のレンズ素子材料と異なる第二のレンズ素子材料を有する。
【背景技術】
【0003】
このような光学系は、国際公開第2006/091181 A1号パンフレットから知
られている。
【0004】
例えば、この光学系は、光学結像、特に顕微鏡及びマイクロリソグラフィにおいて重要
な役割を果たす物体結像及び/又は瞳結像のために使用される。顕微鏡又はマイクロリソ
グラフィ装置の光学特性は、主として、そこにある光学系による光学結像の質に依存する
【0005】
光学結像のための典型的な光学系は通常、少なくとも1つの光学素子を有し、これは少
なくとも1種類の光透過性材料からなる。この材料の屈折率は、光学素子への入射光の波
長に依存する。屈折率のこの波長依存性は、分散とも呼ばれ、屈折光学素子における、例
えば特定の波長に関して特徴的な焦点位置を有する光学レンズ素子における色収差の原因
となる。色収差とは、レンズ素子の波長依存屈折力までたどることのできる光学収差と理
解される。光学レンズ素子の焦点位置の波長依存性は、異なる波長、すなわち色を持つ光
がその光学レンズ素子によって異なる程度に屈折させられることから生じる。写真では、
記録の中の、特に明/暗移行部に緑と赤のフリンジが生じ、前記フリンジは横色収差と呼
ばれ、画像はそのほかにピントがずれているように見え、これは縦色収差として知られる
【0006】
これらの色収差は、さらに一次及び二次の収差にさらに分類できる。収差が2種類の波
長の場合の結像の差のみに関している場合、これは一次の収差であり、3つ以上の波長に
関する収差は二次の収差である。
【0007】
色収差に対処するために、アクロマートを利用することによって異なる波長について同
じ焦点位置を得る。しかしながら、2種類の材料から製作される単純なアクロマートを使
用した場合、2つの波長について同じ焦点位置を得ることのみが可能である。ここで、一
次の縦色収差と一次の横色収差はこのアクロマートで補正できる。しかしながら、それら
の間にある波長の焦点は、使用される材料の分散特性に応じて、この焦点位置から多かれ
少なかれずれる。要求の非常に厳しい顕微鏡又はマイクロリソグラフィの場合、特に、二
次の縦色収差(二次スペクトルとも言われる)も補正する必要がある。
【0008】
近年、二次スペクトルはアポクロマートレンズ素子により最小化できるが、レンズ素子
材料、特に異常部分分散性を有するものを巧妙に選択しなければならない。部分分散性と
は、1種のレンズ素子材料の、2つの異なる波長ペアに関する屈折率の差の比と理解され
、異なるレンズ素子材料は異なる部分分散特性を有する。しかしながら、この選択肢は、
非常にわずかな光学材料しか利用できないUV範囲では存在しない。したがって、米国特
許第5754340号明細書は、石英ガラス及び/又はフッ化カルシウムで製作されたレ
ンズ素子と回折光学素子の組合せによって二次スペクトルを減少させることを提案してい
るが、これは非常に複雑な解決策である。
【0009】
文献は、二次スペクトルがまた、システムの設計パラメータを適切に選択すれば、2種
類のレンズ素子材料のみを使用しても補正できることを開示している。C.G.Wynn
e,“A comprehensive first-order theory of
chromatic aberration.Secondary spectrum
correction without special glasses”,Opt
ica Acta:International Journal of Optics
,24(1978)、627-636ページの文献はその一例を構成する。
【0010】
冒頭で引用した文書は、2種類のレンズ素子材料のみからなる3つのレンズ素子群を有
するレンズ素子系を開示している。このレンズ素子系は、各種の収差の、特に可視スペク
トル範囲内の二次の縦色収差の十分に良好な補正を助ける。しかしながら、この場合、従
来のように、また多くの用途においては十分であるが、物体(ここでは無限遠)から像面
への結像だけしかよく補正されず、瞳結像は色の観点から補正されない。例えば、焦点距
離が約560mm、絞りが80mmである上述の文献の図1に示されているシステムの場
合、波長436nm及び656nmの像側入射角度は、画角1°、像高さ9.5mmの場
合に約10%異なる。
【0011】
独国特許出願公開第101 13 612 A1号明細書は、結像領域を照明するため
の部分レンズを開示しており、この部分レンズは、1又は2種類のレンズ素子材料を有す
る2つのレンズ素子群からなる。その結果、物体結像及び瞳結像における収差が補正され
る。しかしながら、その中で開示されている部分レンズによって2つの結像の二次の収差
も同様に補正できることは、独国特許出願公開第101 13 612 A1号明細書か
ら推測できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明の根底にある目的は、冒頭に明記した光学系を、できるだけ良好な
光学結像の色補正を助け、上述の欠点を排除できるように発展させることである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、この目的は、フーリエ光学ユニットとして具現化されるレンズ素子系によって達成され、これはさらに、少なくとも1のレンズ素子を持つ別の1つのレズ素子群を有し、前記別のレンズ素子群は、絞り面と像面との間で光軸に沿って3つのレンズ素子群から離して配置され、第一のレンズ素子材料及び/又は第二のレンズ素子材料を有し、フーリエ光学ユニットの4つのレンズ素子群のうちの2つは、物体結像及び/又は瞳結像の縦色収差に関する第一及び第二の色補正不足(アンダー補正)のレンズ素子群として具現化され、フーリエ光学ユニットの4つのレンズ素子群のうちの残りの2つは、第一及び第二の色補正過剰(オーバー補正)のレンズ素子群として具現化され、フーリエ光学ユニットは、それぞれ色アンダー補正及び色オーバー補正のレンズ素子群の交互の配置を有する。
【0014】
本発明による光学系を用いることで、要求に応じて物体結像及び瞳結像に関する一次の
縦色収差、一次の横色収差、及び二次の縦色収差を補正できる、UV範囲の広帯域用フー
リエ光学ユニットを実現することが可能である。本発明による光学系はさらに、上述の色
補正に2種類のレンズ素子材料を使用すればよいという点で有利であり、一次の色収差に
加え、2つの結像の少なくとも一方に関する二次の色収差も補正できるという別の利点も
ある。
【0015】
フーリエ光学ユニットとは、無限遠にある物体を有限の距離に配置された像面に結像す
るのと同時に、入射瞳を無限遠に結像する光学装置を意味すると理解される。そのために
、最も単純なケースでは、変換レンズ素子(transformation lens
element)と呼ばれる1つのレンズ素子で十分であり、入射瞳と像面は、それぞれ
レンズ素子の前方及び後方焦点面内にある。
【0016】
米国特許第2,698,555号明細書は、ごく一般的に、二次スペクトルを色オーバ
ー補正群と、そこから離れている色アンダー補正群との組合せによってどのように補正で
きるかを示しており、アンダー補正群は好ましくは、システムの全体的な屈折力のほとん
どを担う。
【0017】
本発明による光学系で使用されるフーリエ光学ユニットはまた、両方の結像に関する前
述の収差を完全に補正できる。特に、本発明による光学系は、先行技術から知られている
単純なアクロマートから製作される光学系と比較して、少なくとも20倍改善された二次
スペクトルに関する2つの結像の補正を助ける。その結果、本発明による光学系を、例え
ば照明システムとして使用する顕微鏡又はマイクロリソグラフィの結像品質を実質的に向
上させることができる。
【0018】
また、特定の色収差を生じさせることによって、他の部分系のオーバー補正又はアンダ
ー補正を補償することも可能であり、また、これはシステム全体にとって有利であるかも
しれず、物体面と像面は必ずしも、その部分系の外でアクセス可能に存在しなくてもよい
【0019】
好ましい構成において、第一及び/又は第二の色アンダー補正レンズ素子群はそれぞれ
1つのレンズ素子のみ、好ましくは正の屈折力を持つ収束レンズを有する。
【0020】
この手段の利点は、フーリエ光学ユニットの少なくとも1つのレンズ素子群のレンズ素
子の数を最小限に減らすことができる点にある。その結果、本発明による光学系を製造す
るための経費が削減される。正の屈折力を持つ収束レンズ素子は通常、特定の補正手段が
なければアンダー補正の状態であり、そのため、収束レンズ素子は理想的には、色アンダ
ー補正レンズ素子群として使用できる。その代わりに、又はそれに加えて、第一及び/又
は第二の色アンダー補正レンズ素子群は、それぞれ2つのレンズ素子の組合せを有してい
てもよく、前記レンズ素子を相互に接着することが可能である。
【0021】
別の好ましい構成において、第一及び/又は第二の色アンダー補正レンズ素子群はそれ
ぞれ、1種類の材料のみ、好ましくは第一又は第二のレンズ素子材料を有する。
【0022】
この手段は、本発明による光学系を製造するためのレンズ素子材料の数を同様に最小限
に減らすことができるという点で有利である。これは、非常にわずかな光学材料しか利用
できないUV範囲に関して特に有利である。さらに、この手段は製造経費とコストに対す
る削減効果を有する。
【0023】
別の好ましい構成において、第一及び/又は第二の色オーバー補正レンズ素子群は各々
、少なくとも2つのレンズ素子、好ましくは正の屈折力を持つ収束レンズ素子と負の屈折
力を持つ発散レンズ素子を有する。
【0024】
有利な点として、これにより、収束レンズ素子と発散レンズ素子を組み合わせ、これら
2枚のレンズを相応に配置することによって光学結像のオーバー補正を得ることが可能で
ある。この手段の結果として、色オーバー補正レンズ素子群のためのレンズ素子の数を2
つに制限でき、これは、現時点でより成熟したレンズ素子製造技術により、本発明による
光学系のための製造経費を低く抑えることができる。
【0025】
別の好ましい構成において、第一及び/又は第二の色オーバー補正レンズ素子群はそれ
ぞれ2種類の材料、好ましくは第一及び第二のレンズ素子材料を有する。好ましくは、発
散レンズ素子はより大きい発散性を有する。
【0026】
この手段の結果として、色オーバー補正レンズ素子群を製造するためのレンズ素子材料
の数を2に限定することができ、これは、UV範囲に利用可能な光学材料がわずかである
ことを考慮すると特に有利である。さらに、本発明による光学系の色アンダー補正及び色
オーバー補正レンズ素子群の両方を製造するためのレンズ素子材料の調達は一緒に行うこ
とが可能であり、これによって、経済的な観点から、本発明による光学系の製造経費はさ
らに削減される。
【0027】
別の好ましい構成において、絞り面と結像領域は、物体及び/又は射出瞳が絞り面から
無限遠にある場合、実質的に同じ大きさを有する。
【0028】
有利な点として、この手段により、物体結像と瞳結像は、光軸に対する法線の周囲でフ
ーリエ光学ユニットを逆転させることによって交換できる。その結果、本発明による光学
系は使用者に対し、2つの結像のどちらの一方、すなわち物体結像又は瞳結像をよりよく
補正するかを特に容易に選択できるフーリエ光学ユニットを提供する。
【0029】
ここで、本発明による光学系は、物体及び/又は射出瞳が有限距離にある用途に容易に
適応させることができる。これは特に有利であるが、それは、本発明による光学系の適用
範囲がそれによって実質的に拡大され、顕微鏡又はマイクロリソグラフィにおける多面的
な要求を満たすことができるからである。
【0030】
別の好ましい構成において、絞り面から見て、第一の色アンダー補正レンズ素子群は、第二の色アンダー補正レンズ素子群の上流と、第一及び第二の色オーバー補正レンズ素子群の上流に配置され、好ましくは、第一の色アンダー補正レンズ素子群は、絞り面側を向く凸面を有する正の屈折力を持つ凹凸収束レンズ素子として具現化され、さらに好ましくは、第二のアンダー補正レンズ素子群は正の屈折力を持つ両凸収束レンズ素子として具現化される。
【0031】
この手段を使用して、それぞれが1つの収束レンズ素子のみを有する2つの色アンダー補正レンズ素子群を実現することができる。2つの色アンダー補正レンズ素子群にとってそれぞれ1つの収束レンズ素子が十分でありという利点に加え、それによって、そのための材料の選択を特定のレンズ素子材料に限定することもでき、その結果、同じく本発明による光学系のための設計及び製造経費が削減される。正の屈折力の凹凸収束レンズ素子を、光軸に沿って絞り面の下流の第一の色アンダー補正レンズ素子群として使用すると、第一の色アンダー補正レンズ素子群によって十分に強力に、光線、特に軸外光線をすでに色アンダー補正できるという選択肢がさらにある。
【0032】
別の好ましい構成において、第一の色オーバー補正レンズ素子群は、絞り面から見て、第二の色オーバー補正レンズ素子群の上流に配置され、好ましくは、第一の色オーバー補正レンズ素子群は、絞り面側から順に、絞り面の反対側を向く凹面を持つ凹凸発散レンズ素子と、両凸収束レンズ素子と、両凹発散レンズ素子と、を有し、両凸収束レンズ素子は、光軸に沿って凹凸発散レンズ素子から離れた位置で両凹発散レンズ素子に結合され、さらに好ましくは、第二の色オーバー補正レンズ素子群は、絞り面側から順に、絞り面と反対側を向く凸面を持つ両凸収束レンズ素子と、光軸に沿ってそれに結合された両凹発散レンズ素子と、を有し、前記両凹発散レンズ素子は絞り面側を向く凹面を有する。
【0033】
この手段を用いると、本発明による光学系のフーリエ光学ユニットの少なくとも1つの
色オーバー補正レンズ素子群を2つのレンズ素子で具現化することが可能であり、これに
よって、本発明による光学系の設計及び製造経費が低く保たれる。さらに、これによって
、2つの色オーバー補正レンズ素子群の製造に使用される材料の数を2種類に限定するこ
とが可能であり、これは、非常にわずかな光学材料しか利用できないUV範囲における用
途に有利である。
【0034】
別の好ましい構成において、第一の色オーバー補正レンズ素子群は、絞り面から見て、第二の色オーバー補正レンズ素子群の上流と、第一及び第二の色アンダー補正レンズ素子群の上流に配置され、好ましくは、第一の色オーバー補正レンズ素子群は、絞り面側から順に、絞り面と反対側を向く凹面を持つ両凹発散レンズ素子と、光軸に沿ってそれに結合された両凸収束レンズと、を有し、前記両凸収束レンズ素子は絞り面側を向く凸面を有し、さらに好ましくは、第二の色オーバー補正レンズ素子群は、絞り面側から順に両凹発散レンズ素子と、両凸収束レンズ素子と、絞り面側を向く凹面を持つ凹凸発散レンズ素子と、を有し、両凸収束レンズ素子は、光軸に沿って凹凸発散レンズ素子から離れた位置で両凹発散レンズ素子に結合される。
【0035】
この手段は特に有利であり、それは、これを使用することにより、本発明による光学系
のフーリエ光学ユニットの少なくとも1つの色オーバー補正レンズ素子群を、2つのレン
ズ素子により形成することができ、それによってさらに本発明による光学系の製造を費用
対効果の高い方法で実行できるからである。さらに、2つの色オーバー補正レンズ素子群
の製造に使用される材料の数を2種類に限定でき、これは非常にわずかな光学材料しか利
用できないUV範囲における用途に有利である。
【0036】
別の好ましい構成において、第一の色アンダー補正レンズ素子群は、絞り面から見て、第二の色アンダー補正レンズ素子群の上流に配置され、好ましくは、第一の色アンダー補正レンズ素子群は、正の屈折力を持つ両凸収束レンズ素子として具現化され、さらに好ましくは、第二の色アンダー補正レンズ素子群は、絞り面と反対側を向く凸面を有する、正の屈折力を持つ凹凸収束レンズ素子として具現化される。
【0037】
この手段を用いると、それぞれが1つの収束レンズ素子のみを有する2つの色アンダー
補正レンズ素子群を実現することが可能である。材料の選択は特定のレンズ素子材料に限
定でき、その結果、本発明による光学系の製造は、さらにより高い費用対効果で行うこと
ができる。
【0038】
別の好ましい構成において、フーリエ光学ユニットは、二酸化シリコン及び/又はフッ
化カルシウムを有する。
【0039】
本発明による光学系に関して、これらの材料の使用は特に有利であり、それは、これら
が特に対応する波長のUV範囲用のフーリエ光学ユニットの実現を助けるからである。
【0040】
別の好ましい構成において、フーリエ光学ユニットは、少なくとも1つの別の光学素子
、例えば偏向ミラー及び/又はビームスプリッタを有する。
【0041】
この手段により、本発明による光学系は、それによってその利用範囲を実質的に広げる
ことができるという点で有利である。特に、照明ビーム経路は、偏向ミラーを利用して9
0°偏向させることができる。あるいは、測定目的のために、ビームスプリッタを利用し
て照明光の一部を結合して出力することが可能である。フーリエ光学ユニットの上述のレ
ンズ素子群間に十分大きな距離があることを考えると、別の使用目的を助ける別の光学素
子も同様に使用できる。
【0042】
その他の利点と特徴は、以下の説明と添付の図面から推測できる。
【0043】
言うまでもなく、上述の特徴とこれから説明する特徴は、それぞれの明記された組合せ
においてだけでなく、他の組合せ又はそれら自体で使用されてもよく、それも本発明の範
囲から逸脱しない。
【0044】
本発明の例示的実施形態を図面に示し、それを参照しながら以下にさらに詳しく説明す
る。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】本発明による光学系の第一の例示的実施形態のレンズ素子の断面を示す。
図2】本発明による光学系の第二の例示的実施形態のレンズ素子の断面を示す。
図3図1の光学系の系のデータを記した表を示す。
図4図2の光学系の系のデータを記した表を示す。
図5図2の光学系による色補正を記した表を示す。
【発明を実施するための形態】
【0046】
図1は、全体を示す参照番号10が付された光学系の第一の例示的実施形態のレンズ素
子の断面図を示している。光学系10はレンズ素子系11を有し、これは4つのレンズ素
子群14a、b、c、dを有するフーリエ光学ユニット12を有し、レンズ素子群14a
、b、c、dは光軸16に関して回転対称に配置されている。この例示的実施形態では、
フッ化カルシウム及び石英ガラス又は二酸化シリコンがレンズ素子材料として使用されて
いる。193.3nmの動作波長で、フッ化カルシウムの屈折率は1.5014であり、
同じと動作波長での二酸化シリコンの屈折率は1.5603である。フーリエ光学ユニッ
ト12は絞り面18を有し、その直径は5mmである。フーリエ光学ユニット12は像面
20をさらに有し、4つのレンズ素子群14a、b、c、dは絞り面18と像面20との
間に、光軸16の周囲で回転対称に配置される。
【0047】
動作波長190~250nmで、フーリエ光学ユニット12の特徴的焦点距離は100
mmである。
【0048】
平行な光束が絞り面18を通って光学系10に入射し、前記光束は絞り面18の上流の
無限遠にある、ここには示されていない物体から発せられており、4つのレンズ素子群1
4a、b、c、dを通過し、最終的に像面20の複数の像点21に集束される。レンズ素
子群14a、b、c、dにより、物体は像面20内の結像領域20a上に結像され、結像
領域20aの直径は5mmである。結像領域20aの中で、像点21の幾何学直径は0.
2μm未満であり、物体結像の補正は非常に良好であるため、像点21の直径の大きさは
実質的に回折により決まる。「幾何学直径」とは、回折を無視した時の幾何学スポット径
であると理解すべきである。フーリエ光学ユニット12のほかに複数の光束が描かれてい
る。結像領域20aと絞り面18は同じ大きさを有する。絞り面18も同様に、レンズ素
子群14a、b、c、dにより結像され、前記絞り面は、絞り面18の後の無限遠に置か
れた射出瞳を有する(ここでは図示せず)。
【0049】
図1の光学系の個別の光学素子に関する系データ、特に曲率半径、隣接面間の距離、及
びレンズ素子の材料は、図3の表にまとめられている。
【0050】
絞り面18から見ると、フーリエ光学ユニット12は第一のレンズ素子群14aを有し、これは正の屈折力を持つ凹凸収束レンズ素子22として具現化される。第一のレンズ素子群14aは、絞り面18側を向く凸面22aと、絞り面18と反対側を向く凹面22bを有し、凸面22aの曲率半径は17.2mmである。凹凸収束レンズ素子22は、レンズ素子材料として石英ガラスを有し、それ22は、絞り面18から52.5mmの距離において光軸16の周囲で回転対称に配置される。
【0051】
フーリエ光学ユニット12は、絞り面18から見ると、第一のレンズ素子群14a後に第二のレンズ素子群14bを有し、前記第二のレンズ素子群は、絞り面18側から順に、絞り面18側を向く凸面24aと絞り面18と反対側を向く凹面24bを持つ凹凸発散レンズ素子24、両凸収束レンズ素子26と、両凹発散レンズ素子28と、を有し、両凸収束レンズ素子26は、光軸16に沿って凹凸発散レンズ素子24から離れた位置で両凹発散レンズ素子28に結合又は接着される。凹凸発散レンズ素子24の屈折力は-50dptであり、その凹面24の曲率半径は8.9mmである。凹凸発散レンズ素子24は、レンズ素子材料として石英ガラスをさらに有し、前記レンズ素子は光軸16の周囲で回転対称に配置される。両凸収束レンズ素子26は、絞り面18側を向く凸面26aと、絞り面18の反対側を向く凸面26bを有する。レンズ素子材料として、両凸収束レンズ素子26はCaF2を有し、それは光軸16の周囲で回転対称に配置される。光軸16の周囲で回転対称に両凸収束レンズ素子26に結合された両凹発散レンズ素子28は、絞り面18側を向く凹面28aと、絞り面18反対側を向く凹面28bを有し、凸面26bは凹面28に接続される。両凹発散レンズ素子28は、レンズ素子材料として石英ガラスを有する。
【0052】
絞り面18から見ると、フーリエ光学ユニット12は第三のレンズ素子群14cを有し、これは正の屈折力を持つ両凸収束レンズ素子30として具現化される。両凸収束レンズ素子30は、絞り面18側を向く凸面30aと絞り面18と反対側を向く凸面30bを有する。両凸収束レンズ素子30はレンズ素子材料として石英ガラスを有し、前記レンズ素子は光軸16の周囲で回転対称に配置される。
【0053】
絞り面18から見ると、フーリエ光学ユニット12は第四のレンズ素子群14dを有し、これは、絞り面18から見て、連続して、両凸収束レンズ素子32と光軸に沿ってそこに結合された両凹発散レンズ素子34を有する。両凸収束レンズ素子32は、絞り面18側を向く凸面32aと絞り面18と反対側を向く凸面32bを有する。両凹発散レンズ素子34は、絞り面18側を向く凹面34aと、絞り面18と反対側を向く凹面34bを有し、凸面32aは凹面34aに接続される。レンズ素子材料として、両凸収束レンズ素子32はCaF2を有する。レンズ素子材料として、両凹発散レンズ素子34は石英ガラスを有し、両凹発散レンズ素子34は光軸16の周囲で回転対称に配置される。
【0054】
フーリエ光学ユニット12の第一及び第三のレンズ素子群14a、cは、物体結像の縦
色収差に関する色アンダー補正レンズ素子群として具現化され、その一方で、フーリエ光
学ユニット12の第二及び第四のレンズ素子群14b、dは、物体結像の縦色収差に関す
る色オーバー補正レンズ素子群として具現化される。この例示的実施形態におけるフーリ
エ光学ユニット12は、190~250nmの波長範囲に使用でき、一次の縦色収差、一
次の横色収差、及び二次の縦色収差は物体結像と瞳結像において補正され、この場合、物
体結像のほうが瞳結像より良好に補正される。像面20上の2つの像点21は各々、幾何
学直径が<0.2μmであり、物体結像に関する上記の色収差はこのフーリエ光学ユニッ
ト12によって大幅に補正できる。
【0055】
図2は、図1の本発明による光学系10の第二の例示的実施形態のレンズ素子の断面を
示しており、前記光学系はレンズ素子系37を有し、これは絞り面38と像面40を持つ
フーリエ光学ユニット36を有する。フーリエ光学ユニット36は、4つのレンズ素子群
42a、b、c、dをさらに有し、4つのレンズ素子群42a、b、c、dは、図1の4
つのレンズ素子群14a、b、c、dを、光軸16(図1)に垂直な平面44に関する鏡
映とすることにより得られる。4つのレンズ素子群42a、b、c、dは、図2において
光軸46の周囲で回転対称に配置され、これらは相互から、及び絞り面38から、及び像
面40から離して、中心面44(図1)の周囲での鏡映に対応するように配置される。第
一及び第三のレンズ素子群42a、cは、絞り面38から見て、それぞれ瞳結像の縦色収
差に関する色オーバー補正レンズ素子として具現化され、その一方で、第二及び第四のレ
ンズ素子群42b、dは、絞り面38から見て、それぞれ瞳結像の縦色収差に関する色ア
ンダー補正レンズ素子群として具現化される。図1と同様に、この例示的実施形態におい
ても、物体(ここでは図示せず)は無限遠にあり、前記物体はレンズ素子群42a、b、
c、dにより像面40内の中の結像領域50に結像される。絞り面38は、レンズ素子群
42a、b、c、dによって射出瞳(ここでは図示せず)に結像され、絞り面38と結像
領域50は同じ大きさを有する。射出瞳は、この例示的実施形態において、絞り面40の
背後の無限遠に配置される。
【0056】
図2の光学系10の個々の光学素子に関する系データ、特に曲率半径、隣接面間の距離
、及びレンズ素子材料は、図4の表にまとめられている。
【0057】
第一のレンズ素子群42aは、絞り面38から見て、絞り面38側から順に両凹発散レンズ素子34と同じ構造の両凹発散レンズ素子54と、両凸収束レンズ素子32と同じ構造の両凸収束レンズ素子56を有し、両凸収束レンズ素子56は、光軸46に沿って両凹発散レンズ素子54に結合される。両凹発散レンズ素子54は、絞り面38側を向く凹面54aと、絞り面38と反対側を向く凹面54bを有する。両凸収束レンズ素子56は、絞り面38側を向く凸面56aと、絞り面38と反対側を向く凸面56bを有し、凸面56aは凹面54に接続される。両凹発散レンズ素子54は、光軸46の周囲で回転対称に配置され、両凸収束レンズ素子56も同様に、光軸46の周囲で回転対称に配置される。
【0058】
第二のレンズ素子群42bは、絞り面38から見ると、正の屈折力を持つ、両凸収束レンズ素子30と同じ構造を有する両凸収束レンズ素子58を有する。両凸収束レンズ素子58は、絞り面38側を向く凸面58aを有し、前記凸面は両凸収束レンズ素子30の凸面30bに対応する。さらに、両凸収束レンズ素子58は絞り面38と反対側を向く凸面58bを有し、前記凸面は両凸収束レンズ素子30の凸面30aに対応する。両凸収束レンズ素子58は、光軸46の周囲で回転対称に配置される。
【0059】
第三のレンズ素子群42cは、絞り面38から見ると、両凹発散レンズ素子28と同じ構造を有する両凹発散レンズ素子60と、両凸収束レンズ素子26と同じ構造を有する両凸収束レンズ素子62と、凹凸発散レンズ素子24と同じ構造を有する凹凸発散レンズ素子64を有する。両凹発散レンズ素子60は、光軸46に沿って凹凸発散レンズ素子64から離れた位置で両凸収束レンズ素子62に結合される。両凹発散レンズ素子60は、光軸46の周囲で回転対称に配置され、絞り面38側を向く凹面60aと、絞り面38の反対側を向く凹面60bを有し、凹面60aは凹面28bに対応し、凹面60bは凹面28aに対応する。両凸収束レンズ素子62は、光軸46の周囲で回転対称に配置され、絞り面38側を向く凸面62aと、絞り面38と反対側を向く凸面62bを有し、凸面62aは凸面26bに対応し、凸面62bは凸面26aに対応する。凹凸発散レンズ素子64は光軸46の周囲で回転対称に配置され、絞り面38側を向く凹面64aを有し、前記凹面は凹面24に対応する。
【0060】
第四のレンズ素子群42dは、絞り面38から見ると、正の屈折力を持つ、凹凸収束レンズ素子22と同じ構造を有する凹凸収束レンズ素子66を有し、絞り面38側を向く凹面66aと、絞り面38と反対側を向く凸面66bを有する。凹凸収束レンズ素子66は、光軸46の周囲で回転対称に配置される。
【0061】
表が図5に示され、前記表は、図2に示される光学系10で得られる色補正を示す。光
学波長190nm、210nm、及び250nmに関して、色補正は物体結像と瞳結像の
両方について明記されている。
【0062】
図5から明らかであるように、物体結像の場合の光軸に沿った像の焦点位置の変位は、
これらの波長に関して-2.3μm~1.1μmであり、正/負の符号は像面から遠ざか
る/像面に向かう変位に対応する。視野の縁部における像の焦点位置の変位は、物体結像
の場合に-0.5μm~1.7μmの範囲内にある。さらに、像内の横色収差は、物体結
像の場合に-36.4nm~18.9nmの範囲内にあり、正/負の符号はここでは、上
/下方向への縦方向の像点変位に対応する。
【0063】
-2.3μm~1.1μmという光軸に沿った物体側の焦点位置の変位が、瞳結像にお
いて生じる。瞳の縁における物体側の焦点位置の変位は、瞳結像の場合に-0.6μm~
1.5μmの範囲内にある。さらに、物体側の横色収差は、瞳結像の場合に-36.9n
m~20.8nmの範囲内にあり、正/負の符号はここでは、上/下方向への縦方向の像
点変位に対応する。
【0064】
本発明を用いることにより、先行技術から知られている装置と比較して、大幅に改善さ
れた色補正を得ることができる。例えば、焦点距離100mmの石英ガラスからなる単純
なレンズ素子の一次の縦色収差は11.2mmにある。焦点距離100mmの石英ガラス
とCaFからなる単純なアクロマートの二次の縦色収差は255μmである。
【0065】
図1の物体結像は図2の瞳結像に対応し、その一方で図1の瞳結像は図2の物体結像に
対応する。フーリエ光学ユニット36は、190~250nmの波長範囲に使用でき、一
次の縦色収差、一次の横色収差、及び二次の縦色収差は瞳結像及び物体結像において補正
され、この場合、瞳結像のほうが物体結像よりよく補正される。図2に示される光束は、
像面40内の複数の像点52に集束され、像点52の各々の幾何学直径は<0.2μmで
ある。これは、瞳結像のための上述の色収差はフーリエ光学ユニット36によってお大き
く補正できることを意味する。
図1
図2
図3
図4
図5