(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】半導体フォトレジスト用組成物およびこれを利用したパターン形成方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/004 20060101AFI20221101BHJP
G03F 7/40 20060101ALI20221101BHJP
G03F 7/11 20060101ALI20221101BHJP
C09K 3/00 20060101ALI20221101BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
G03F7/004 501
G03F7/004 504
G03F7/40 521
G03F7/11 503
G03F7/004 503A
G03F7/004 531
C09K3/00 K
G03F7/20 501
G03F7/20 521
(21)【出願番号】P 2021056503
(22)【出願日】2021-03-30
【審査請求日】2021-03-30
(31)【優先権主張番号】10-2020-0040507
(32)【優先日】2020-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】禹 昌 秀
(72)【発明者】
【氏名】姜 恩 美
(72)【発明者】
【氏名】金 宰 賢
(72)【発明者】
【氏名】金 智 敏
(72)【発明者】
【氏名】金 兌 鎬
(72)【発明者】
【氏名】南宮 爛
(72)【発明者】
【氏名】文 京 守
(72)【発明者】
【氏名】田 桓 承
(72)【発明者】
【氏名】蔡 承 龍
(72)【発明者】
【氏名】韓 承
【審査官】高橋 純平
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/140057(WO,A1)
【文献】特開2020-021071(JP,A)
【文献】特開2018-017780(JP,A)
【文献】特表2019-500490(JP,A)
【文献】国際公開第2017/169440(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004
G03F 7/40
G03F 7/11
C09K 3/00
G03F 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される有機金属化合物、光酸発生剤(PAG)、
有機酸、および溶媒を含む半導体フォトレジスト用組成物:
【化1】
前記化学式1中、
Rは、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、1つ以上の二重結合もしくは三重結合を含む置換もしくは非置換の炭素数2~20の脂肪族不飽和有機基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数7~31のアリールアルキル基、エトキシ基、プロポキシ基、またはこれらの組み合わせであり、
X、Y、およびZは、それぞれ独立して、-OR
1または-OC(=O)R
2であり、
この際、R
1は、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数7~31のアリールアルキル基、またはこれらの組み合わせであり、
R
2は、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数7~31のアリールアルキル基、またはこれらの組み合わせである。
【請求項2】
前記光酸発生剤(PAG)は、下記化学式2~化学式4で表される陽イオン化合物から選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載の半導体フォトレジスト用組成物:
【化2】
前記化学式2~化学式4中、
M
1は、F、Cl、Br、またはIであり、
M
2は、O、S、Se、またはTeであり、
M
3は、N、P、As、またはSbであり、
R
3~R
11は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、1つ以上の二重結合もしくは三重結合を含む置換もしくは非置換の炭素数2~20の脂肪族不飽和有機基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせである。
【請求項3】
前記光酸発生剤(PAG)は、下記化学式5または化学式6で表される陽イオン化合物を含む、請求項1または2に記載の半導体フォトレジスト用組成物:
【化3】
前記化学式5および化学式6中、
R
3~R
7は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、1つ以上の二重結合もしくは三重結合を含む置換もしくは非置換の炭素数2~20の脂肪族不飽和有機基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせである。
【請求項4】
前記化学式1で表される有機金属化合物と前記光酸発生剤(PAG)とが、99:1~60:40の質量比で含まれる、請求項1~3のいずれか1項に記載の半導体フォトレジスト用組成物。
【請求項5】
前記化学式1で表される有機金属化合物と前記光酸発生剤(PAG)とが、95:5~85:15の質量比で含まれる、請求項1~4のいずれか1項に記載の半導体フォトレジスト用組成物。
【請求項6】
前記半導体フォトレジスト用組成物は、下記化学式7で表される有機金属化合物、下記化学式8で表される有機金属化合物、またはこれらの組み合わせをさらに含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の半導体フォトレジスト用組成物:
【化4】
前記化学式7および化学式8中、
X
aおよびX
bは、それぞれ独立して、-OR
12または-OC(=O)R
13であり、
この際、R
12は、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
R
13は、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
M
4およびM
5は、それぞれ独立して、スズ(Sn)、インジウム(In)、およびアンチモン(Sb)のうちのいずれか1つであり、
Lは、単結合、置換もしくは非置換の2価の炭素数1~20の飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の2価の炭素数3~20の飽和もしくは不飽和の脂環式炭化水素基、1つ以上の二重結合もしくは三重結合を含む置換もしくは非置換の2価の炭素数2~20の不飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の2価の炭素数6~20の芳香族炭化水素基、-O-、-C(=O)-、またはこれらの組み合わせである。
【請求項7】
前記化学式7で表される有機金属化合物、前記化学式8で表される有機金属化合物、またはこれらの組み合わせと、前記化学式1で表される有機金属化合物とは、1:1~1:20の質量比で含まれる、請求項6に記載の半導体フォトレジスト用組成物。
【請求項8】
前記化学式1中のRは、置換もしくは非置換の炭素数1~8のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~8のシクロアルキル基、1つ以上の二重結合もしくは三重結合を含む置換もしくは非置換の炭素数2~8の脂肪族不飽和有機基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数7~21のアリールアルキル基、エトキシ基、プロポキシ基、またはこれらの組み合わせであり、
前記化学式1中のX、Y、およびZで用いられる-OR
1中のR
1は、置換もしくは非置換の炭素数1~8のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~8のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~8のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~8のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数7~21のアリールアルキル基、またはこれらの組み合わせであり、
前記化学式1中のX、Y、およびZで用いられる-OC(=O)R
2中のR
2は、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~8のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~8のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~8のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~8のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数7~21のアリールアルキル基、またはこれらの組み合わせである、請求項1~7のいずれか1項に記載の半導体フォトレジスト用組成物。
【請求項9】
前記化学式1中のRは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、2,2-ジメチルプロピル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、フェニル基、トリル基、キシレニル基、ベンジル基、エトキシ基、プロポキシ基、またはこれらの組み合わせであり、
前記化学式1中のX、Y、およびZで用いられる-OR
1中のR
1は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、2,2-ジメチルプロピル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、フェニル基、トリル基、キシレニル基、ベンジル基、またはこれらの組み合わせであり、
前記化学式1中のX、Y、およびZで用いられる-OC(=O)R
2中のR
2は、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、2,2-ジメチルプロピル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、フェニル基、トリル基、キシレニル基、ベンジル基、またはこれらの組み合わせである、請求項1~8のいずれか1項に記載の半導体フォトレジスト用組成物。
【請求項10】
前記化学式1で表される有機金属化合物は、下記化学式9で表される化合物、下記化学式10で表される化合物、下記化学式11で表される化合物、下記化学式12で表される化合物、またはこれらの組み合わせを含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の半導体フォトレジスト用組成物:
【化5】
前記化学式9~化学式12中、
Rは、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、1つ以上の二重結合もしくは三重結合を含む置換もしくは非置換の炭素数2~20の脂肪族不飽和有機基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、エトキシ基、プロポキシ基、またはこれらの組み合わせであり、
R
a、R
b、R
c、R
i、R
k、およびR
lは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
R
d、R
e、R
f、R
g、R
h、およびR
jは、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせである。
【請求項11】
前記組成物は、界面活性剤、架橋剤、レベリング剤
、クエンチャー、またはこれらの組み合わせの添加剤をさらに含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の半導体フォトレジスト用組成物。
【請求項12】
基板上にエッチング対象膜を形成する段階;
前記エッチング対象膜上に請求項1~11のいずれか1項に記載の半導体フォトレジスト用組成物を塗布してフォトレジスト膜を形成する段階;
前記フォトレジスト膜をパターニングしてフォトレジストパターンを形成する段階;および
前記フォトレジストパターンをエッチングマスクとして利用して前記エッチング対象膜をエッチングする段階、を含むパターン形成方法。
【請求項13】
前記フォトレジストパターンを形成する段階は、波長5~150nmの光を使用する、請求項12に記載のパターン形成方法。
【請求項14】
前記基板と前記フォトレジスト膜との間に形成されるレジスト下層膜を形成する段階をさらに含む、請求項12または13に記載のパターン形成方法。
【請求項15】
前記フォトレジストパターンは、5~100nmの幅を有する、請求項12~14のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体フォトレジスト用組成物およびこれを利用したパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
次世代の半導体デバイスを製造するための要素技術の一つとして、EUV(extreme ultraviolet、極端紫外線)リソグラフィが注目されている。EUVリソグラフィは、露光光源として波長13.5nmのEUV光を利用するパターン形成技術である。EUVリソグラフィによれば、半導体デバイス製造プロセスの露光工程で、極めて微細なパターン(例えば、20nm以下の幅)を形成できることが実証されている。
【0003】
極端紫外線リソグラフィの実現は、16nm以下の空間解像度で行うことができる互換可能なフォトレジストの現像を必要とする。現在、伝統的な化学増幅型(CA:chemically amplified)フォトレジストは、次世代デバイスのための解像度、光速度、およびフィーチャー粗さ(feature roughness、ラインエッジ粗さ(line edge roughnessまたはLER)に対する仕様を充足させるために努力している。
【0004】
これら高分子型フォトレジストで起きる酸触媒反応に起因した固有のイメージぼやけ(intrinsic image blur)は、小さいフィーチャー大きさで解像度を制限するが、これは電子線リソグラフィで長い間に知られてきた事実である。化学増幅型フォトレジストは、高い感度のために設計されたが、それらの典型的な元素構成が13.5nmの波長でフォトレジストの吸光度を低下させ、その結果、感度を減少させるため、部分的にはEUV露光下でさらに困難を経験することがある。
【0005】
CAフォトレジストは、また、小さいフィーチャー大きさで粗さの問題によって困難を経験することがあり、部分的に酸触媒工程の本質に起因して、光速度が減少することによってラインエッジ粗さ(LER)が増加することが実験で現れた。CAフォトレジストの欠点および問題に起因して、半導体産業では新たな類型の高性能フォトレジストに対する要求がある。
【0006】
タングステン、ニオブ、チタン、および/またはタンタルと混合されたタングステンのペルオキソポリ酸に基づいた無機フォトレジストは、パターニングのための感放射線性材料用として報告されてきた(特許文献1および非特許文献1参照)。
【0007】
これらの材料は、ディープ紫外線(deep UV)、X線、および電子線源で、二重層構造に大きいフィーチャーをパターニングするのに効果的であった。さらに最近は、プロジェクションEUV露光によって、15nmハーフピッチをイメージング(image)するために、ペルオキソ錯化剤と共に陽イオン性ハフニウムメタルオキシドスルフェート(cationic hafnium metal oxide sulfate、HfSOx)材料を使用する場合、印象的な性能を示した(特許文献2および非特許文献2参照)。このシステムは、非CAフォトレジスト(non-CA photoresist)の最上の性能を示し、実行可能なEUVフォトレジストのための要件に近い光速度を有する。しかし、ペルオキソ錯化剤を有するハフニウムメタルオキシドスルフェート材料は、いくつかの現実的な欠点を有する。第一に、この材料は、高い腐食性の硫酸/過酸化水素混合物でコーティングされ、保存安定性(stability)が良くない。第二に、複合混合物として性能改善のための構造変更が容易ではない。第三に、25質量%程度の極めて高い濃度のTMAH(tetramethylammonium hydroxide)溶液などで現像されなければならない。
【0008】
前述した化学増幅型有機系感光性組成物の短所を克服するために、無機系感光性組成物が研究されてきた。無機系感光性組成物の場合、主に非化学増幅型機構による化学的変性により、現像剤組成物による除去に耐性を有するネガティブトーンパターニングに使用される。無機系感光性組成物の場合、炭化水素に比べて高いEUV吸収率を有する無機系元素を含有しており、非化学増幅型機構でも感度が確保され、ストキャスティクス効果も少なく敏感であるため、ラインエッジ粗さおよび欠陥の個数も少ないと知られている。
【0009】
最近、スズを含む分子が、極端紫外線吸収に優れるということが知られて、活発な研究が行われている。そのうちの1つである有機スズ高分子の場合、光吸収またはこれによって生成された二次電子によってアルキル配位子が解離され、周辺鎖とのオキソ結合を通じた架橋を通じて有機系現像液で除去されないネガティブトーンパターニングが可能である。このような有機スズ高分子は、解像度、ラインエッジ粗さを維持しながらも飛躍的に感度が向上することをみせたが、商用化のためには上記パターニング特性の追加的な向上が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】米国特許第5061599号明細書
【文献】米国特許出願公開第2011/0045406号明細書
【非特許文献】
【0011】
【文献】H. Okamoto, T. Iwayanagi, K. Mochiji, H. Umezaki, T. Kudo, Applied Physics Letters, 49(5), 298-300, 1986
【文献】J. K. Stowers, A. Telecky, M. Kocsis, B. L. Clark, D. A. Keszler, A. Grenville, C. N. Anderson, P. P. Naulleau, Proc. SPIE, 7969, 796915, 2011
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、エッチング耐性、感度、解像度、およびパターン形成性に優れた半導体フォトレジスト用組成物を提供することにある。
【0013】
本発明の他の目的は、上記半導体フォトレジスト用組成物を利用したパターン形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物は、下記化学式1で表される有機金属化合物、光酸発生剤(PAG)および溶媒を含む。
【0015】
【0016】
上記化学式1中、
Rは、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、1つ以上の二重結合もしくは三重結合を含む置換もしくは非置換の炭素数2~20の脂肪族不飽和有機基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数7~31のアリールアルキル基、エトキシ基、プロポキシ基、またはこれらの組み合わせであり、
X、Y、およびZは、それぞれ独立して、-OR1または-OC(=O)R2であり、
この際、R1は、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数7~31のアリールアルキル基、またはこれらの組み合わせであり、
R2は、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20シクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数7~31のアリールアルキル基、またはこれらの組み合わせである。
【0017】
上記光酸発生剤(PAG)は、下記化学式2~化学式4で表される陽イオン化合物から選択される少なくとも1種を含むことができる。
【0018】
【0019】
上記化学式2~化学式4中、
M1は、F、Cl、Br、またはIであり、
M2は、O、S、Se、またはTeであり、
M3は、N、P、As、またはSbであり、
R3~R11は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、1つ以上の二重結合もしくは三重結合を含む置換もしくは非置換の炭素数2~20の脂肪族不飽和有機基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせである。
【0020】
上記光酸発生剤(PAG)は、下記化学式5または化学式6で表される陽イオン化合物を含むことができる。
【0021】
【0022】
上記化学式5および化学式6中、
R3~R7は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、1つ以上の二重結合もしくは三重結合を含む置換もしくは非置換の炭素数2~20の脂肪族不飽和有機基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせである。
【0023】
上記化学式1で表される有機金属化合物と光酸発生剤(PAG)とは、99:1~60:40の質量比で含まれ得る。
【0024】
上記化学式1で表される有機金属化合物と光酸発生剤(PAG)とは、95:5~85:15の質量比で含まれ得る。
【0025】
上記半導体フォトレジスト用組成物は、下記化学式7で表される有機金属化合物、化学式8で表される有機金属化合物、またはこれらの組み合わせをさらに含むことができる。
【0026】
【0027】
上記化学式7および化学式8中、
XaおよびXbは、それぞれ独立して、-OR12または-OC(=O)R13であり、
この際、R12は、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
R13は、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
M4およびM5は、それぞれ独立して、スズ(Sn)、インジウム(In)、およびアンチモン(Sb)のうちのいずれか1つであり、
Lは、単結合、置換もしくは非置換の2価の炭素数1~20の飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の2価の炭素数3~20の飽和もしくは不飽和の脂環式炭化水素基、1つ以上の二重結合もしくは三重結合を含む置換もしくは非置換の2価の炭素数2~20の不飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の2価の炭素数6~20の芳香族炭化水素基、-O-、-C(=O)-、またはこれらの組み合わせである。
【0028】
上記化学式7で表される有機金属化合物、上記化学式8で表される有機金属化合物、またはこれらの組み合わせ(即ち、混合物)および上記化学式1で表される有機金属化合物は、1:1~1:20の質量比で含まれ得る。
【0029】
上記化学式1中のRは、置換もしくは非置換の炭素数1~8のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~8のシクロアルキル基、1つ以上の二重結合もしくは三重結合を含む置換もしくは非置換の炭素数2~8の脂肪族不飽和有機基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、エトキシ基、プロポキシ基、またはこれらの組み合わせであり、
上記化学式1中のX、Y、およびZで用いられる-OR1中のR1は、置換もしくは非置換の炭素数1~8のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~8のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~8のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~8のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数7~21のアリールアルキル基、またはこれらの組み合わせであり、
上記化学式1中のX、Y、およびZで用いられる-OC(=O)R2中のR2は、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~8のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~8のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~8のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~8のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数7~21のアリールアルキル基、またはこれらの組み合わせであり得る。
【0030】
上記化学式1中のRは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、2,2-ジメチルプロピル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、フェニル基、トリル基、キシレニル基、ベンジル基、エトキシ基、プロポキシ基、またはこれらの組み合わせであり、
上記化学式1中のX、Y、およびZで用いられる-OR1中のR1は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、2,2-ジメチルプロピル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、フェニル基、トリル基、キシレニル基、ベンジル基、またはこれらの組み合わせであり、
上記化学式1中のX、Y、およびZで用いられる-OC(=O)R2中のR2は、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、2,2-ジメチルプロピル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、フェニル基、トリル基、キシレニル基、ベンジル基、またはこれらの組み合わせであり得る。
【0031】
上記化学式1で表される化合物は、下記化学式9で表される化合物、下記化学式10で表される化合物、下記化学式11で表される化合物、下記化学式12で表される化合物、またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0032】
【0033】
上記化学式9~化学式12中、
Ra、Rb、Rc、Ri、Rk、およびRlは、それぞれ独立して、上記R1の定義と同義であり、
Rd、Re、Rf、Rg、Rh、およびRjは、それぞれ独立して、上記R2の定義と同義である。
【0034】
上記半導体フォトレジスト用組成物は、界面活性剤、架橋剤、レベリング剤、有機酸、クエンチャー、またはこれらの組み合わせの添加剤をさらに含むことができる。
【0035】
本発明の他の実施形態によるパターン形成方法は、基板上にエッチング対象膜を形成する段階、前記エッチング対象膜上に前述した半導体フォトレジスト用組成物を適用してフォトレジスト膜を形成する段階、前記フォトレジスト膜をパターニングしてフォトレジストパターンを形成する段階、および前記フォトレジストパターンをエッチングマスクとして利用して前記エッチング対象膜をエッチングする段階を含む。
【0036】
上記フォトレジストパターンを形成する段階は、波長5~150nmの光を使用することができる。
【0037】
上記パターン形成方法は、上記基板と上記フォトレジスト膜との間に形成されるレジスト下層膜を形成する段階をさらに含むことができる。
【0038】
上記フォトレジストパターンは、5~100nmの幅を有することができる。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、エッチング耐性、感度、解像度、およびパターン形成性に優れた半導体フォトレジスト用組成物、ならびにこれを利用したパターン形成方法が提供されうる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物を利用したパターン形成方法を説明するための断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物を利用したパターン形成方法を説明するための断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物を利用したパターン形成方法を説明するための断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物を利用したパターン形成方法を説明するための断面図である。
【
図5】本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物を利用したパターン形成方法を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。ただし、本発明を説明するに当たり、既に公知となった機能または構成に関する説明は、本発明の要旨を明瞭にするために省略する。
【0042】
本発明を明確に説明するために、説明上不要な部分を省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一の参照符号を付す。また、図面に示された各構成の大きさおよび厚さは、説明の便宜のために任意に示したため、本発明が必ずしも図示されたものに限定されるのではない。
【0043】
図面において、複数の層および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。そして図面での説明の便宜のために、一部の層および領域の厚さを誇張して示した。層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上に」あるというとき、これは他の部分の「直上に」ある場合だけでなく、その中間にまた他の部分がある場合も含む。
【0044】
本明細書で、「置換」とは、水素原子が、重水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、-NRR’(ここで、RおよびR’は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~30の飽和もしくは不飽和の脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数3~30の飽和もしくは不飽和の脂環式炭化水素基、または置換もしくは非置換の炭素数6~30の芳香族炭化水素基である)、-SiRR’R”(ここで、R、R’、およびR”は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~30の飽和もしくは不飽和の脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数3~30の飽和もしくは不飽和の脂環式炭化水素基、または置換もしくは非置換の炭素数6~30の芳香族炭化水素基である)、炭素数1~30のアルキル基、炭素数1~10のハロアルキル基、炭素数1~10のアルキルシリル基、炭素数3~30のシクロアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数1~20のアルコキシ基、またはこれらの組み合わせで置換されたことを意味する。「非置換」とは、水素原子が他の置換基で置換されずに水素原子で残っていることを意味する。
【0045】
本明細書において、「アルキル(alkyl)基」とは、別途の定義がない限り、直鎖状または分枝鎖状脂肪族炭化水素基を意味する。アルキル基は、如何なる二重結合や三重結合を含んでいない「飽和アルキル(saturated alkyl)基」であり得る。
【0046】
上記アルキル基は、炭素数1~8のアルキル基であり得る。例えば、上記アルキル基は、炭素数1~7のアルキル基、炭素数1~6のアルキル基、または炭素数1~5のアルキル基であり得る。例えば、炭素数1~5のアルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、または2.2-ジメチルプロピル基(ネオペンチル基)であり得る。
【0047】
本明細書で、「シクロアルキル(cycloalkyl)基」とは、別途の定義がない限り、1価の環状脂肪族飽和炭化水素基を意味する。
【0048】
シクロアルキル基は、炭素数3~8のシクロアルキル基、例えば、炭素数3~7のシクロアルキル基、炭素数3~6のシクロアルキル基、炭素数3~5のシクロアルキル基、炭素数3~4のシクロアルキル基であり得る。例えば、シクロアルキル基は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基であり得るが、これらに制限されない。
【0049】
本明細書で、「脂肪族不飽和有機基」とは、分子中の炭素と炭素原子間の結合が二重結合、三重結合、またはこれらの組み合わせである結合を含む炭化水素基を意味する。
【0050】
上記脂肪族不飽和有機基は、炭素数2~8の脂肪族不飽和有機基であり得る。例えば、上記脂肪族不飽和有機基は、炭素数2~7の脂肪族不飽和有機基、炭素数2~6の脂肪族不飽和有機基、炭素数2~5の脂肪族不飽和有機基、炭素数2~4の脂肪族不飽和有機基であり得る。例えば、炭素数2~4の脂肪族不飽和有機基は、ビニル基、エチニル基、アリル基、1-プロペニル基、1-メチル-1-プロペニル基、2-プロペニル基、2-メチル-2-プロペニル基、1-プロピニル基、1-メチル-1プロピニル基、2-プロピニル基、2-メチル-2-プロピニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、1-ブチニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基であり得る。
【0051】
本明細書で、「アリール(aryl)基」とは、環状である置換基の全ての元素がp-軌道を有しており、これらp-軌道が共役(conjugation)を形成している置換基を意味し、単環または縮合多環(つまり、炭素原子の隣接した対を共有する環)官能基を含む。
【0052】
本明細書で、「アルケニル(alkenyl)基」とは、別途の定義がない限り、直鎖状または分枝鎖状の脂肪族炭化水素基として、1つ以上の二重結合を含んでいる脂肪族不飽和アルケニル(unsaturated alkenyl)基を意味する。
【0053】
本明細書で、「アルキニル基(alkynyl)基」とは、別途の定義がない限り、直鎖状または分枝鎖状の脂肪族炭化水素基として、1つ以上の三重結合を含んでいる脂肪族不飽和アルキニル基(unsaturated alkynyl)基を意味する。
【0054】
以下、本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物を説明する。
【0055】
本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物は、下記化学式1で表される有機金属化合物、光酸発生剤(PAG)および溶媒を含む。
【0056】
【0057】
上記化学式1中、
Rは、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、1つ以上の二重結合または三重結合を含む置換もしくは非置換の炭素数2~20の脂肪族不飽和有機基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、エトキシ基、プロポキシ基、またはこれらの組み合わせであり、
X、Y、およびZは、それぞれ独立して、-OR1または-OC(=O)R2であり、
この際、R1は、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
R2は、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせである。
【0058】
上記化学式1で表される有機金属化合物は、スズ原子に1個のR基と3個の-OR1または-OC(=O)R2が置換された構造を有する。
【0059】
上記化学式1で表される化合物は、有機スズ化合物であるが、スズは波長13.5nmの極端紫外線を強く吸収して高エネルギーを有する光に対する感度に優れることができ、上記化学式1のRは、化学式1で表される化合物に感光性を付与することができ、Rがスズに結合されてSn-R結合を形成することによって、有機スズ化合物に有機溶媒に対する溶解性を付与することができる。
【0060】
上記化学式1のRと関連して、上記有機金属化合物が共重合して形成された上記化学式1で表される構造単位を有する有機スズ共重合体は、極端紫外線露光時にSn-R結合からR官能基が解離されながらラジカルを生成し、このように生成されたラジカルは追加の-Sn-O-Sn-結合を形成して、有機スズ共重合体間の縮重合反応を開始することによって、本発明の一実施形態による組成物から半導体フォトレジストが形成されるようにする。
【0061】
このとき、上記化学式1で表される有機金属化合物において、Rで表される置換基は、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、1つ以上の二重結合もしくは三重結合を含む置換もしくは非置換の炭素数2~20の脂肪族不飽和有機基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、エトキシ基、プロポキシ基、またはこれらの組み合わせであり得る。
【0062】
上記化学式1で表される有機金属化合物は、加水分解されてそれぞれSn-O結合を形成する3個の有機リガンドであるX、Y、およびZをさらに含んでいる。X、Y、およびZは、それぞれ独立して、-OR1または-OC(=O)R2であり得、X、Y、およびZは、酸性もしくは塩基性触媒下で熱処理するか、または熱処理しないことによって加水分解および脱水縮合されて、有機スズ化合物間のSn-O-Sn結合を形成し、これによって上記化学式1で表される有機金属化合物を含む有機スズ共重合体を形成するようになる。
【0063】
また、X、Y、およびZは、上記化学式1で表される有機金属化合物の溶媒に対する溶解性を決定する。
【0064】
本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物は、上記化学式1で表される有機金属化合物および溶媒以外に光酸発生剤(PAG)をさらに含む。上記半導体フォトレジスト用組成物が上記光酸発生剤(PAG)をさらに含むことによって、半導体フォトレジスト用組成物の感度および解像度特性のうちのいずれか1つの特性が低下する問題なしに、感度および解像度特性を同時に向上させることができる。
【0065】
具体的には、上記化学式1で表される有機金属化合物間の共重合反応によって形成された有機金属共重合体が基材の上に塗布された後、基材の上にEUV(極端紫外線)が照射され、照射されたEUV(極端紫外線)に光酸発生剤が感応して酸が発生するようになり、この酸によって有機金属共重合体の溶解性が変更されて、溶解しながら最終的に露光部での樹脂組成物の現像が容易になる。
【0066】
上記光酸発生剤(PAG)は、下記化学式2~化学式4で表される陽イオン化合物から選択される少なくとも1種を含むことができる。
【0067】
【0068】
上記化学式2~化学式4中、
M1は、F、Cl、Br、またはIであり、
M2は、O、S、Se、またはTeであり、
M3は、N、P、As、またはSbであり、
R3~R11は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、1つ以上の二重結合もしくは三重結合を含む置換もしくは非置換の炭素数2~20の脂肪族不飽和有機基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせである。
【0069】
上記光酸発生剤(PAG)は、より具体的には、下記化学式5または化学式6で表される陽イオン化合物を含むことができる。
【0070】
【0071】
上記化学式1で表される有機金属化合物と光酸発生剤(PAG)とは、99:1~60:40の質量比、例えば、98:2、例えば、95:5、例えば、93:7、例えば、90:10、例えば、87:13、例えば、85:15、例えば、83:17、例えば、80:20、例えば、77:23、例えば、75:25、例えば、73:27、例えば、70:30、例えば、67:33、例えば、65:35、例えば、63:37、例えば、60:40の質量比で含まれ得る。上記光酸発生剤(PAG)が上記質量比の範囲で半導体フォトレジスト用組成物に含まれる場合、感度および解像度特性のうちのいずれか1つの特性が低下する問題なしに、感度および解像度特性を同時に向上させることができる。
【0072】
本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物は、下記化学式7で表される有機金属化合物、下記化学式8で表される有機金属化合物、またはこれらの組み合わせをさらに含むことができる。
【0073】
【0074】
上記化学式7および化学式8中、
XaおよびXbは、それぞれ独立して、-OR12または-OC(=O)R13であり、
この際、R12は、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
R13は、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
M4およびM5は、それぞれ独立して、スズ(Sn)、インジウム(In)、およびアンチモン(Sb)のうちのいずれか1つであり、
Lは、単結合、置換もしくは非置換の2価の炭素数1~20の飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の2価の炭素数3~20の飽和もしくは不飽和の脂環式炭化水素基、1つ以上の二重結合もしくは三重結合を含む置換もしくは非置換の2価の炭素数2~20の不飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の2価の炭素数6~20の芳香族炭化水素基、-O-、-C(=O)-、またはこれらの組み合わせである。
【0075】
本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物は、上記化学式1で表される有機金属化合物および光酸発生剤(PAG)と、上記化学式7で表される有機金属化合物および/または上記化学式8で表される有機金属化合物とを同時に含むことによって、優れた感度およびパターン形成性を有することができる。
【0076】
有機金属共重合体に含まれる上記化学式7で表される有機金属化合物、および/または上記化学式8で表される有機金属化合物の比率を適切に調節することによって、上記共重合体からRで表したリガンドが解離される程度を調節することができ、それによって、上記リガンドが解離されながら発生するラジカルによって、周辺鎖とのヨウ素結合を通じた架橋結合程度を調節し、結果的に、感度に優れると共に、ラインエッジ粗さが少なく、優れた解像度を有する半導体フォトレジストを提供することができる。つまり、上記化学式1で表される有機金属化合物と、上記化学式7で表される有機金属化合物および/または上記化学式8で表される有機金属化合物とを同時に含むことによって、優れた感度、ラインエッジ粗さ、および解像度を有する半導体フォトレジストを提供できるようになる。
【0077】
上記化学式7で表される有機金属化合物、上記化学式8で表される有機金属化合物、またはこれらの混合物および上記化学式1で表される有機金属化合物の質量比は、1:1~1:20の質量比であり得る。質量比は、例えば、1:1~1:19、例えば、1:1~1:18、例えば、1:1~1:17、例えば、1:1~1:16、例えば、1:1~1:15、例えば、1:1~1:14、例えば、1:1~1:13、例えば、1:1~1:12、例えば、1:1~1:11、例えば、1:1~1:10、例えば、1:1~1:9、例えば、1:1~1:8、例えば、1:1~1:7、例えば、1:1~1:6、例えば、1:1~1:5、例えば、1:1~1:4、例えば、1:1~1:3、例えば、1:1~1:2であり得るが、これらに制限されない。上記化学式1で表される有機金属化合物と、上記化学式7で表される化合物、上記化学式8で表される有機金属化合物、またはこれらの組み合わせと、の質量比が上記範囲を満たす場合、優れた感度および解像度を有する半導体フォトレジスト用組成物を提供することができる。
【0078】
上記化学式1中のRは、例えば、置換もしくは非置換の炭素数1~8のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~8のシクロアルキル基、1つ以上の二重結合もしくは三重結合を含む置換もしくは非置換の炭素数2~8の脂肪族不飽和有機基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数7~21のアリールアルキル基、エトキシ基、プロポキシ基、またはこれらの組み合わせであり得る。より具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、2,2-ジメチルプロピル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、フェニル基、トリル基、キシレニル基、ベンジル基、エトキシ基、プロポキシ基、またはこれらの組み合わせであり得る。
【0079】
上記化学式1中のX、Y、およびZで用いられる-OR1中のR1は、置換もしくは非置換の炭素数1~8のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~8のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~8のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~8のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数7~21のアリールアルキル基、またはこれらの組み合わせであり得る。より具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、2,2-ジメチルプロピル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、フェニル基、トリル基、キシレニル基、ベンジル基、またはこれらの組み合わせであり得る。
【0080】
上記化学式1中のX、Y、およびZで用いられる-OC(=O)R2中のR2は、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~8のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~8のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~8のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~8のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数7~21のアリールアルキル基、またはこれらの組み合わせであり得る。より具体的には、例えば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、2,2-ジメチルプロピル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、フェニル基、トリル基、キシレニル基、ベンジル基、またはこれらの組み合わせであり得る。
【0081】
上記化学式1で表される化合物は、下記化学式9で表される化合物、下記化学式10で表される化合物、下記化学式11で表される化合物、下記化学式12で表される化合物、またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0082】
【0083】
上記化学式9~化学式12中、
Ra、Rb、Rc、Ri、Rk、およびRlは、それぞれ独立して、上記R1の定義と同義であり、
Rd、Re、Rf、Rg、Rh、およびRjは、それぞれ独立して、上記R2の定義と同義である。
【0084】
本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト組成物に含まれる溶媒は、有機溶媒であり得る。有機溶媒の例としては、例えば、芳香族化合物類(例えば、キシレン、トルエン)、アルコール類(例えば、4-メチル-2-ペンタノール、4-メチル-2-プロパノール、1-ブタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、1-プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル)、エーテル類(例えば、アニソール、テトラヒドロフラン)、エステル類(酢酸n-ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸エチル、乳酸エチル)、ケトン類(例えば、メチルエチルケトン、2-ヘプタノン)、またはこれらの混合物などを含むことができるが、これらに限定されるのではない。
【0085】
本発明の一実施形態において、上記半導体フォトレジスト組成物は、上記有機金属化合物と溶媒以外に、樹脂をさらに含むことができる。
【0086】
上記樹脂としては、下記グループ1に列記された芳香族部分構造を少なくとも1つ含むフェノール系樹脂であり得る。
【0087】
【0088】
上記樹脂は、重量平均分子量が500~20,000であり得る。当該重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定され得る。
【0089】
上記樹脂は、上記半導体フォトレジスト用組成物の総含有量に対して0.1~50質量%で含まれ得る。
【0090】
上記樹脂が上記含有量の範囲で含有される場合、優れた耐エッチング性および耐熱性を有することができる。
【0091】
一方、本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物は、前述した有機金属化合物、溶媒、および樹脂を含むことが好ましい。ただし、前述した実施形態による半導体フォトレジスト用組成物は、場合によって添加剤をさらに含むことができる。上記添加剤の例としては、界面活性剤、架橋剤、レベリング剤、有機酸、クエンチャー、またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0092】
界面活性剤の例としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルピリジニウム塩、ポリエチレングリコール、第4級アンモニウム塩、またはこれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0093】
架橋剤の例としては、例えば、メラミン系架橋剤、置換尿素系架橋剤、アクリル系架橋剤、エポキシ系架橋剤、またはポリマー系架橋剤などを挙げることができるが、これらに限定されるのではない。少なくとも2個の架橋形成置換基を有する架橋剤として、例えば、メトキシメチル化グリコルリル、ブトキシメチル化グリコルリル、メトキシメチル化メラミン、ブトキシメチル化メラミン、メトキシメチル化ベンゾグアナミン、ブトキシメチル化ベンゾグアナミン、4-ヒドロキシブチルアクリレート、アクリル酸、ウレタンアクリレート、アクリルメタクリレート、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、グリシドール、ジグリシジル1,2-シクロヘキサンジカルボキシレート、トリメチルプロパントリグリシジルエーテル、1,3-ビス(グリシドキシプロピル)テトラメチルジシロキサン、メトキシメチル化尿素、ブトキシメチル化尿素、またはメトキシメチル化チオ尿素などの化合物を使用することができる。
【0094】
レベリング剤は、印刷時にコーティング平坦性を向上させるためのものであり、商業的な方法で入手可能な公知のレベリング剤を使用することができる。
【0095】
有機酸は、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-ドデシルベンゼンスルホン酸、1,4-ナフタレンジスルホン酸、メタンスルホン酸、フッ化スルホニウム塩、マロン酸、クエン酸、プロピオン酸、メタクリル酸、シュウ酸、乳酸、グリコール酸、コハク酸、またはこれらの組み合わせであり得るが、これらに限定されるものではない。
【0096】
クエンチャーは、トリ-p-トリルアミン(tri-p-tolylamine)、メチルジフェニルアミン、トリフェニルアミン、フェニレンジアミン、ナフチルアミン、ジアミノナフタレン、またはこれらの組み合わせであり得る。
【0097】
これら添加剤の使用量は、所望する物性により容易に調節することができ、省略することもできる。
【0098】
また、上記半導体フォトレジスト用組成物は、基板との密着性などの向上のために(例えば、半導体フォトレジスト用組成物の基板との接着力向上のために)、接着力向上剤としてシランカップリング剤を添加剤としてさらに使用することができる。シランカップリング剤の例としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン;または3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルメチルジエトキシシラン;トリメトキシ[3-(フェニルアミノ)プロピル]シランなどの炭素-炭素不飽和結合含有シラン化合物などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0099】
上記半導体フォトレジスト用組成物は、高いアスペクト比を有するパターンを形成してもパターン崩壊を抑制することができる。したがって、例えば、5~100nmの幅を有する微細パターン、例えば、5~80nmの幅を有する微細パターン、例えば、5~70nmの幅を有する微細パターン、例えば、5~50nmの幅を有する微細パターン、例えば、5~40nmの幅を有する微細パターン、例えば、5~30nmの幅を有する微細パターン、例えば、5~20nmの幅を有する微細パターンを形成するために、波長5~150nmの光を使用するフォトレジスト工程、例えば、波長5~100nmの光を使用するフォトレジスト工程、例えば、波長5~80nmの光を使用するフォトレジスト工程、例えば、波長5~50nmの光を使用するフォトレジスト工程、例えば、波長5~30nmの光を使用するフォトレジスト工程、例えば、波長5~20nmの光を使用するフォトレジスト工程に使用することができる。したがって、本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物を利用すれば、波長が約13.5nmであるEUV光源を使用する極端紫外線リソグラフィを実現することができる。
【0100】
また、本発明の他の一実施形態によれば、前述した半導体フォトレジスト用組成物を使用してパターンを形成する方法が提供され得る。一例として、製造されたパターンは、フォトレジストパターンであり得る。
【0101】
本発明の一実施形態によるパターン形成方法は、基板上にエッチング対象膜を形成する段階、前記エッチング対象膜上に前述した半導体フォトレジスト用組成物を適用してフォトレジスト膜を形成する段階、前記フォトレジスト膜をパターニングしてフォトレジストパターンを形成する段階、および前記フォトレジストパターンをエッチングマスクとして利用して前記エッチング対象膜をエッチングする段階を含む。
【0102】
以下、前述した半導体フォトレジスト用組成物を使用してパターンを形成する方法について、
図1~5を参照して説明する。
図1~5は、本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物を利用したパターン形成方法を説明するための断面図である。
【0103】
図1を参照すると、まずエッチング対象物を設ける。エッチング対象物の例としては、半導体基板100上に形成される薄膜102であり得る。以下、エッチング対象物が薄膜102である場合に限り説明する。薄膜102上に残留する汚染物などを除去するために、薄膜102の表面を洗浄する。薄膜102は、例えば、シリコン窒化膜、ポリシリコン膜、またはシリコン酸化膜であり得る。
【0104】
次に、洗浄された薄膜102の表面上にレジスト下層膜104を形成するためのレジスト下層膜形成用組成物を、スピンコーティング方式を適用してコーティングする。ただし、本発明の実施形態は必ずしもこれに限定されるものではなく、公知の多様なコーティング方法、例えばスプレーコーティング、ディップコーティング、ナイフエッジコーティング、プリンティング法、例えばインクジェットプリンティングおよびスクリーンプリンティングなどを利用することもできる。
【0105】
上記のレジスト下層膜コーティング工程は省略することができ、以下では、レジスト下層膜をコーティングする場合について説明する。
【0106】
その後、乾燥およびベーキング工程を行って、薄膜102上にレジスト下層膜104を形成する。ベーキング処理は、100~500℃の温度で行うことができ、例えば100~300℃の温度で行うことができる。
【0107】
レジスト下層膜104は、基板100とフォトレジスト膜106との間に形成されて、基板100とフォトレジスト膜106との界面または層間ハードマスク(hardmask)から反射される光(活性エネルギー線)が、意図しないフォトレジスト領域へ散乱される場合、フォトレジスト線幅の不均一およびパターン形成性を妨害することを防止することができる。
【0108】
図2を参照すると、レジスト下層膜104の上に前述した半導体フォトレジスト用組成物をコーティングして、フォトレジスト膜106を形成する。フォトレジスト膜106は、基板100上に形成された薄膜102の上に、前述した半導体フォトレジスト用組成物をコーティングした後、熱処理工程を通じて硬化した形態であり得る。
【0109】
より具体的には、半導体フォトレジスト用組成物を使用してパターンを形成する段階は、前述した半導体フォトレジスト用組成物を薄膜102が形成された基板100上にスピンコーティング、スリットコーティング、インクジェットプリンティングなどで塗布する工程、および塗布された半導体フォトレジスト用組成物を乾燥してフォトレジスト膜106を形成する工程を含むことができる。
【0110】
半導体フォトレジスト用組成物については既に詳細に説明したため、重複する説明は省略する。
【0111】
次に、フォトレジスト膜106が形成されている基板100を加熱する第1ベーキング工程を行う。第1ベーキング工程は、80~120℃の温度で行うことができる。
【0112】
図3を参照すると、フォトレジスト膜106を選択的に露光する。
【0113】
一例として、上記露光工程で使用することができる光(活性エネルギー線)の例としては、i-線(波長365nm)、KrFエキシマレーザ(波長248nm)、ArFエキシマレーザ(波長193nm)などの短波長(即ち、可視スペクトルより短い波長)を有する光だけでなく、EUV(Extreme UltraViolet;波長13.5nm)、E-Beam(電子線)などの高エネルギー波長を有する光などが挙げられる。
【0114】
より具体的に、本発明の一実施形態による露光用光は、5~150nmの波長範囲を有する短波長光であり得、EUV(Extreme UltraViolet;波長13.5nm)、E-Beam(電子線)などの高エネルギー波長を有する光であり得る。
【0115】
フォトレジスト膜106中の露光された領域106bは、有機金属化合物間の縮合など架橋反応によって重合体を形成することによって、フォトレジスト膜106の未露光領域106aと互いに異なる溶解度を有するようになる。
【0116】
次に、基板100に第2ベーキング工程を行う。第2ベーキング工程は、90~200℃の温度で行うことができる。第2ベーキング工程を行うことによって、フォトレジスト膜106の露光された領域106bは、現像液に溶解がし難い状態となる。
【0117】
図4には、現像液を利用して未露光領域に該当するフォトレジスト膜106aを、溶解して除去することによって形成されたフォトレジストパターン108が図示されている。具体的に、2-ヘプタノンなどの有機溶媒を使用して、未露光領域に該当するフォトレジスト膜106aを溶解した後に除去することによって、ネガティブトーンイメージに該当するフォトレジストパターン108が完成される。
【0118】
前述したように、本発明の一実施形態によるパターン形成方法で使用される現像液は、有機溶媒であり得る。本発明の一実施形態によるパターン形成方法で使用される有機溶媒の一例としては、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノン、2-ヘプタノンなどのケトン類、4-メチル-2-プロパノール、1-ブタノール、イソプロパノール、1-プロパノール、メタノールなどのアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルアセテート、エチルラクテート、n-ブチルアセテート、ブチロラクトンなどのエステル類、ベンゼン、キシレン、トルエンなどの芳香族化合物、またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0119】
ただし、一実施形態によるフォトレジストパターンが、必ずしもネガティブトーンイメージで形成されることに制限されるのではなく、ポジティブトーンイメージを有するように形成されることもできる。この場合、ポジティブトーンイメージ形成のために使用され得る現像剤としては、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、またはこれらの組み合わせなどの第4級アンモニウムヒドロキシド組成物などが挙げられる。
【0120】
前述したように、i-線(波長365nm)、KrFエキシマレーザ(波長248nm)、ArFエキシマレーザ(波長193nm)などの波長を有する光だけでなく、EUV(Extreme UltraViolet;波長13.5nm)、E-Beam(電子線)などの高エネルギーを有する光などによって露光されて形成されたフォトレジストパターン108は、5~100nmの厚さの幅を有することができる。一例として、フォトレジストパターン108は、5~90nm、5~80nm、5~70nm、5~60nm、10~50nm、10~40nm、10~30nm、10~20nmの厚さの幅で形成され得る。
【0121】
一方、フォトレジストパターン108は、50nm以下、例えば40nm以下、例えば30nm以下、例えば25nm以下のハーフピッチ(half-pitch)および、10nm以下、5nm以下のラインエッジ粗さを有するピッチを有することができる。
【0122】
次に、フォトレジストパターン108をエッチングマスクとして、レジスト下層膜104をエッチングする。このようなエッチング工程で有機膜パターン112が形成される。形成された有機膜パターン112も、フォトレジストパターン108に対応する幅を有することができる。
【0123】
図5を参照すると、フォトレジストパターン108をエッチングマスクとして適用して、露出された薄膜102をエッチングする。その結果、薄膜102は薄膜パターン114として形成される。
【0124】
薄膜102のエッチングは、例えば、エッチングガスを使用した乾式エッチングで行うことができ、エッチングガスとしては、例えば、CHF3、CF4、Cl2、BCl3、およびこれらの混合ガスを使用することができる。
【0125】
先に行われた露光工程において、EUV光源を使用して行われた露光工程によって形成されたフォトレジストパターン108を利用して形成された薄膜パターン114は、フォトレジストパターン108に対応する幅を有することができる。一例として、フォトレジストパターン108と同様に、5~100nmの幅を有することができる。例えば、EUV光源を使用して行われた露光工程によって形成された薄膜パターン114は、フォトレジストパターン108と同様に5~90nm、5~80nm、5~70nm、5~60nm、10~50nm、10~40nm、10~30nm、10~20nmの幅を有することができ、より具体的に20nm以下の幅で形成され得る。
【実施例】
【0126】
以下、前述した半導体フォトレジスト用組成物の製造に関する実施例を通じて本発明をより詳細に説明する。しかし、下記の実施例によって本発明の技術的特徴が限定されるものではない。
【0127】
合成例1
250mLの2口丸底フラスコ中で、Ph3SnCl 20g(51.9mmol)を70mlのTHFに溶かし、アイスバス(ice bath)で温度を0℃に下げた。その後、ブチルマグネシウムクロリド(BuMgCl)1M THF溶液(62.3mmol)を徐々に滴下した。滴下が完了した後、25℃で12時間攪拌して、下記化学式13で表される化合物を85%の収率で得た。
【0128】
【0129】
合成例2
ブチルマグネシウムクロリド(BuMgCl)1M THF溶液の代わりに、イソプロピルマグネシウムクロリド(iPrMgCl)2M THF溶液(62.3mmol)を使用したことを除いては、合成例1と同様の方法で合成を行い、下記化学式14で表される化合物を88%の収率で得た。
【0130】
【0131】
合成例3
ブチルマグネシウムクロリド(BuMgCl)1M THF溶液の代わりに、ネオペンチルマグネシウムクロリド1M THF溶液(62.3mmol)を使用したことを除いては、合成例1と同様の方法で合成を行い、下記化学式15で表される化合物を76%の収率で得た。
【0132】
【0133】
合成例4
上記合成例1の化学式13の化合物(10g、24.6mmol)を50mLのCH2Cl2に溶かし、2M HCl ジエチルエーテル溶液3当量(73.7mmol)を-78℃で30分間徐々に滴下した。その後、25℃で12時間攪拌した後、溶媒を濃縮し、真空蒸留して、下記化学式16で表される化合物を80%の収率で得た。
【0134】
【0135】
合成例5
化学式13で表される化合物を使用する代わりに、上記合成例2の化学式14で表されるの化合物を使用したことを除いては、合成例4と同様の方法で合成を行い、下記化学式17で表される化合物を75%の収率で得た。
【0136】
【0137】
合成例6
化学式13で表される化合物を使用する代わりに、上記合成例3の化学式15で表される化合物を使用したことを除いては、合成例4と同様の方法で合成を行い、下記化学式18で表される化合物を70%の収率で得た。
【0138】
【0139】
合成例7
上記合成例4の化学式16で表される化合物10g(25.6mmol)に、25mLの酢酸を25℃で徐々に滴下した後、12時間加熱還流した。温度を25℃に下げた後、酢酸を真空蒸留して、下記化学式19で表される化合物を90%の収率で得た。
【0140】
【0141】
合成例8
上記合成例5の化学式17で表される化合物10g(25.4mmol)に、25mLのアクリル酸を25℃で徐々に滴下した後、80℃で6時間加熱還流した。温度を25℃に下げた後、アクリル酸を真空蒸留して、下記化学式20で表される化合物を50%の収率で得た。
【0142】
【0143】
合成例9
上記合成例6の化学式18で表される化合物10g(23.7mmol)に、25mLのプロピオン酸を25℃で徐々に滴下した後、110℃で12時間加熱還流した。温度を25℃に下げた後、プロピオン酸を真空蒸留して、下記化学式21で表される化合物を40%の収率で得た。
【0144】
【0145】
合成例10
上記合成例4の化学式16で表される化合物10g(35.4mmol)に、無水ペンタン30mLを加え、温度を0℃に下げた。ジエチルアミン 7.8g(106.3mmol)を徐々に滴下した後、tert-ブタノール 7.9g(106.3mmol)を添加し、25℃で1時間攪拌した。反応終了後、濾過して、濾液を濃縮し真空乾燥して、下記化学式22で表される化合物を60%の収率で得た。
【0146】
【0147】
合成例11
上記合成例5の化学式17で表される化合物10g(37.3mmol)に、無水ペンタン30mLを加え、温度を0℃に下げた。ジエチルアミン 8.2g(111.9mmol)を徐々に滴下した後、イソプロパノール 6.7g(111.9mmol)を添加し、25℃で1時間攪拌した。反応終了後、濾過して、濾液を濃縮し真空乾燥して、下記化学式23で表される化合物を65%の収率で得た。
【0148】
【0149】
合成例12
上記合成例6の化学式18の化合物10g(18.7mmol)に、無水ペンタン30mLを加え、温度を0℃に下げた。ジエチルアミン 7.4g(101.3mmol)を徐々に滴下した後、エタノール 6.1g(101.3mmol)を添加し、25℃で1時間攪拌した。反応終了後、濾過して、濾液を濃縮し真空乾燥して、下記化学式24で表される化合物を60%の収率で得た。
【0150】
【0151】
合成例13
100mLの丸底フラスコに、上記化学式14で表される化合物(10g、25.4mmol)を加えた後、25mlのギ酸を25℃で徐々に滴下し、100℃で24時間加熱還流した。その後、温度を25℃に下げ、ギ酸を真空蒸留して、下記化学式25で表される化合物を90%の収率で得た。
【0152】
【0153】
実施例1~48
合成例7~合成例13で得られた化学式19~化学式25で表される化合物、光酸発生剤としてPAG-1(San Apro社製、ヨードニウム系)またはPAG-2(Sigma-Aldrich社製、スルホニウム系)、および有機酸として乳酸(Sigma-Aldrich社製)を下記表1~6に記載された質量比で、4-メチル-2-ペンタノールに3質量%の濃度で溶かした、0.1μm PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)シリンジフィルターで濾過して、実施例1~実施例48による半導体フォトレジスト用組成物を製造した。
【0154】
なお、下記表1~6の空欄は、その化合物を使用してないことを表す。
【0155】
自然酸化膜表面を有する直径4インチの円形シリコンウエハーを薄膜コーティング用基材として使用し、薄膜のコーティング前にUVオゾンクリーニングシステムで10分間処理した。処理された基材上に、実施例1~実施例48による半導体フォトレジスト用組成物を1500rpmで30秒間スピンコーティングし、100℃で120秒焼成(塗布後焼成、post-apply bake、PAB)して、フォトレジスト薄膜を形成した。
【0156】
コーティングおよびベーキング後、フォトレジスト薄膜の厚さをエリプソメトリーにより測定したところ、25nmであった。
【0157】
【0158】
【0159】
【0160】
【0161】
【0162】
【0163】
比較例1
合成例7で得られた化学式19で表される化合物を4-メチル-2-ペンタノール(4-methyl-2-pentanol)に3質量%の濃度で溶かし、0.1μm PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)シリンジフィルターで濾過して、比較例1による半導体フォトレジスト用組成物を製造した。
【0164】
上記実施例1と同様にして、比較例1による半導体フォトレジスト用組成物を含むフォトレジスト薄膜を製造した。コーティングおよびベーキング後のフォトレジスト薄膜の厚さは25nmであった。
【0165】
比較例2
化学式19で表される化合物の代わりに、nBuSnOOH(東京化成工業株式会社製)を使用したことを除いては、比較例1と同様にして、比較例2による半導体フォトレジスト用組成物およびこれを含むフォトレジスト薄膜を製造した。コーティングおよびベーキング後のフォトレジスト薄膜の厚さは25nmであった。
【0166】
評価
円形シリコンウエハー上に上記コーティング方法によって製造された実施例1~実施例48、比較例1、および比較例2によるフォトレジスト薄膜を、エネルギーおよびフォーカスを別にして12~100nmのライン/スペースパターンを形成するように極端紫外線で露光した。露光後、180℃で120秒間焼成し、次いで、2-ヘプタノンが入ったペトリ皿に60秒間浸漬して取り出した後、同一の溶剤で10秒間洗浄した。最終的に、150℃で5分間焼成した後、SEM(scanning electron microscopy、走査型電子顕微鏡)によってパターンイメージを得た。SEMイメージから確認された最高解像度、最適エネルギー、およびラインエッジ粗さ(LER)の結果を、下記表7および表8に示す。
【0167】
【0168】
【0169】
上記表7および表8を参照すると、実施例1~48による半導体フォトレジスト用組成物を利用したフォトレジスト薄膜は、解像度、感度、およびラインエッジ粗さ(LER)が全て優れていることを確認することができる。
【0170】
一方、光酸発生剤を含まず、化学式19で表される化合物だけを含む比較例1と、光酸発生剤を含まず、nBuSnOOHの化合物だけを含む比較例2による半導体フォトレジスト用組成物を利用したフォトレジスト薄膜は、実施例と比較すると、最高解像度、最適エネルギー、ラインエッジ粗さ(LER)の評価が、全て実施例に比べて高い数値で測定されることを確認することができた。したがって、解像度、感度、およびラインエッジ粗さ(LER)特性が、実施例に比べて全てよくないことを確認することができる。
【0171】
以上、本発明の特定の実施例が説明され、図示されたが、本発明は記載された実施例に限定されるものではなく、本発明の思想および範囲を逸脱せずに多様に修正および変形できることは、当該技術分野における通常の知識を有する者に自明なことである。したがって、このような修正例または変形例は、本発明の技術的な思想や観点から個別的に理解されてはならず、変形された実施例は本発明の特許請求の範囲に属するといえる。
【符号の説明】
【0172】
100 基板、
102 薄膜、
104 レジスト下層膜、
106 フォトレジスト膜、
106a 未露光領域、
106b 露光された領域、
108 フォトレジストパターン、
112 有機膜パターン、
114 薄膜パターン。