IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社荏原製作所の特許一覧 ▶ インダストリー−ユニバーシティ・コーペレーション・ファウンデーション・ハニャン・ユニバーシティ・エリカ・キャンパスの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-01
(45)【発行日】2022-11-10
(54)【発明の名称】PVAブラシの洗浄方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20221102BHJP
   A46D 9/04 20060101ALI20221102BHJP
   A46B 17/06 20060101ALI20221102BHJP
【FI】
H01L21/304 644Z
H01L21/304 647A
A46D9/04
A46B17/06
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020515697
(86)(22)【出願日】2018-09-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-26
(86)【国際出願番号】 KR2018011169
(87)【国際公開番号】W WO2019059683
(87)【国際公開日】2019-03-28
【審査請求日】2021-04-09
(31)【優先権主張番号】10-2017-0121997
(32)【優先日】2017-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】519319521
【氏名又は名称】インダストリー-ユニバーシティ・コーペレーション・ファウンデーション・ハニャン・ユニバーシティ・エリカ・キャンパス
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジン-グ・パク
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・ファン・イ
(72)【発明者】
【氏名】濱田 聡美
【審査官】小池 英敏
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-323000(JP,A)
【文献】特開2010-021457(JP,A)
【文献】特開平10-223583(JP,A)
【文献】特開平11-207271(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0006204(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
A46D 9/04
A46B 17/06
C08J 9/36
B08B 3/04
B08B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
PVAブラシを用意する段階;
有機物を含む洗浄溶液で、前記PVAブラシ内のシロキサン(siloxane)化合物を除去する段階;及び
前記PVAブラシに振動を加えて、前記PVAブラシ内の不純物を除去する段階を含
前記洗浄溶液は、10wt%以上50wt%未満の濃度を有する前記有機物を含む、PVAブラシの洗浄方法。
【請求項2】
前記PVAブラシに振動を加えて、前記PVAブラシ内の前記不純物を除去する段階は、前記PVAブラシに10分間、振動を加えた場合、前記PVAブラシから除去された前記不純物の量が最大値を有することを含む、請求項1に記載のPVAブラシの洗浄方法。
【請求項3】
前記PVAブラシ内の前記シロキサン化合物及び前記不純物は、同時に除去されることを含む、請求項1に記載のPVAブラシの洗浄方法。
【請求項4】
前記PVAブラシ内の前記シロキサン化合物及び前記不純物は、前記シロキサン化合物が除去された後、前記不純物が除去されるか、又は前記不純物が除去された後、前記シロキサン化合物が除去されることを含む、請求項1に記載のPVAブラシの洗浄方法。
【請求項5】
前記有機物は、THF又はTMAHであることを含む、請求項1に記載のPVAブラシの洗浄方法。
【請求項6】
前記シロキサン化合物は、PDMSであることを含む、請求項1に記載のPVAブラシの洗浄方法。
【請求項7】
前記PVAブラシ内のシロキサン(siloxane)化合物を除去する段階;及び
前記PVAブラシに振動を加えて、前記PVAブラシ内の前記不純物を除去する段階をユニット工程(unitprocess)と定義し、
さらに、前記シロキサン化合物及び前記不純物が除去された前記PVAブラシの摩擦特性及び弾性特性を測定する段階を含み、
測定された前記PVAブラシの摩擦特性及び弾性特性が、基準範囲以下である場合、前記ユニット工程が、繰り返し行われることを含む、請求項1に記載のPVAブラシの洗浄方法。
【請求項8】
前記PVAブラシに振動を加えて、前記PVAブラシ内の前記不純物を除去する段階は、前記振動が伝達されたPVAブラシの粒子状の不純物を粒子測定器を用いて測定する過程を含む、請求項1に記載のPVAブラシの洗浄方法。
【請求項9】
前記粒子測定器は、単一粒子光学測定法(SPOS、singleparticleopticalsizing)、レーザー回折法(laserdiffraction)、動的光散乱法(dynamiclightscattering)、及び音響減衰分光学法(acousticattenuationspectroscopy)のうち少なくとも何れか1つを含む、請求項に記載のPVAブラシの洗浄方法。
【請求項10】
前記PVAブラシに振動を加えて、前記PVAブラシ内の前記不純物を除去する段階は、前記振動が伝達されたPVAブラシの有機性の不純物を、有機物測定器を用いて測定する過程を含む、請求項1に記載のPVAブラシの洗浄方法。
【請求項11】
前記有機物測定器は、紫外線検出器(ultraviolet detector)、伝導度検出器(conductivity analyzer)、電流充電検出器(current charge detector)、NDIR検出器(nondispersive infrared gas analyzer)及び総有機炭素分析器(total organic carbon analyzer)のうち少なくとも何れか1つを含む、請求項1に記載の洗浄用PVAブラシの洗浄方法。
【請求項12】
前記洗浄溶液は、前記PVAブラシとのREDが1以上の範囲を有する前記有機物を含む、請求項1に記載のPVAブラシの洗浄方法。
【請求項13】
PVAブラシ内のシロキサン化合物を除去する、有機物を含む洗浄溶液が配置される洗浄容器;
前記PVAブラシ内の不純物を除去する振動を、前記PVAブラシに提供し、前記洗浄容器内に配置される振動装置;
前記シロキサン化合物及び前記不純物が除去された前記PVAブラシの摩擦特性を測定する摩擦測定装置;及び
前記シロキサン化合物及び前記不純物が除去された前記PVAブラシの弾性特性を測定する弾性測定装置を含む、PVAブラシ洗浄装置。
【請求項14】
前記有機物は、THF又はTMAHであり、
前記洗浄溶液は、10wt%以上50wt%未満の濃度を有する前記有機物を含む、請求項1に記載のPVAブラシ洗浄装置。
【請求項15】
前記振動装置が10分間前記PVAブラシに振動を提供する場合、前記PVAブラシから除去された前記不純物の量が最大値を有することを含む、請求項1に記載のPVAブラシ洗浄装置。
【請求項16】
前記シロキサン化合物は、PDMSであることを含む、請求項1に記載のPVAブラシ洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PVAブラシの洗浄方法及び装置に関し、より詳しくは、使用前の状態におけるPVAブラシ内の不純物を除去するPVAブラシの洗浄方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
化学機械的平坦化(Chemical Mechanical Planarization、CMP)の後、基板上の粒子(particle)又は有機物(organic)の残留物(residue)を除去するためのCMP後洗浄(post CMP cleaning)工程が必要であり、このために、一般に、円筒状構造のPVA(Poly Vinyl Acetal)ブラシ(brush)が用いられている。従来、PVAブラシは、残留物の除去効率を増加するために、円柱状の結節 (nodule)構造物が、円筒状のPVAブラシの表面に突出されており、結節構造物が、回転運動により基板上と接触されることで、残留物を除去する。また、洗浄効率を増加するために、洗浄溶液(cleaning solution)を、分注(dispense)して用いてもよい。
【0003】
従来、PVAブラシは、PVAを架橋する(cross linking)ための樹脂 (resin)混合物に、気孔(pore)を形成するための気孔形成剤(pore-forming agent)を混合した後、表面上に結節構造物を形成するために、樹脂混合物を射出成形(injection molding)工程で成形製造されている。射出成形の後、PVAブラシ内部の気孔形成剤を、溶液などを用いて除去することにより、PVAブラシに気孔を形成することができる。
【0004】
PVAブラシは、製造工程で生じた粒子又は有機性の不純物(impurity)が、内部に存在するため、洗浄工程中、ブラシ内部の不純物が、基板上に転写されて、歩留まり(yield)を阻害する問題が発生し、使用前のブラシ内部の不純物を除去する前処理工程(break-in process)が、必ず必要である。製造工程の後に、気孔を形成するための気孔形成剤の除去が不完全になっているか、又は不完全の架橋などによる接合力の低いPVAデブリ(debris)や、射出成形後、PVAブラシ製品を金型(mold)から分離するための離型剤(mold release agent)の混合物などが、PVAブラシの内部に不純物として存在することがある。
【0005】
従来、PVAブラシの前処理工程では、CMP装置に装着の後、ブラシの内側に位置しているコア(core)を介して、超純水(DIW、de-ionized water)をPVAブラシの気孔を通って、外方向に押し出す超純水流入法(DIW flow-through)を用いるか、或いは未使用の基板の表面を擦るスクラブ洗浄(scrubbing)方法が用いられている。しかし、超純水流入法は、PVAブラシ内部の不純物を除去する効率が低く、スクラブ洗浄方法もまた、内部の不純物の除去効率が低く、15時間以上の時間がかかることで、CMP装置のスループット(throughput)を阻害する問題がある。従来、PVAブラシの前処理工程は、内部の不純物の除去効率が低いため、CMP後洗浄工程中、基板上に不純物が転写されて、収率を阻害する問題を解決できず、超純水のみを用いるため、超純水への非溶解性を有する不純物が除去できない。従って、内部の不純物を高効率で除去可能な前処理工程の技術の開発が必要な実情である。
【0006】
なお、従来、超純水流入法を用いたPVAブラシの前処理工程は、超純水内に含まれたPVAブラシの残留物の濃度が低いため、残留物の分析を行い難いという問題がある。したがって、PVAブラシの残留物を高濃度で捕集及び分析する技術の開発が求められる。
【0007】
これにより、PVAブラシ内の不純物を除去する方法及び装置について多くの研究が進まれている。例えば、韓国公開特許第10-2008-0073586号公報(出願番号:10-2007-0012361号、出願人:株式会社ハイニックス半導体)には、ポリシリコンウェーハを用意する段階;前記ポリシリコンウェーハの表面に、酸性化学溶液を噴射する段階;及び、前記酸性化学溶液が噴射されたポリシリコンウェーハの表面に、汚染されたPVAブラシを接触させる段階を含む、PVAブラシのクリーニング方法が開示されている。その他にも、レーザー結晶化方法に関する多様な技術が開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】韓国公開特許第10-2008-0073586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする一つの技術的課題は、粒子状の不純物を除去しやすいPVAブラシの洗浄方法及び装置を提供することである。
【0010】
本発明が解決しようとする他の技術的課題は、有機物が含まれた不純物を、除去しやすいPVAブラシの洗浄方法及び装置を提供することである。
【0011】
本発明が解決しようとするまた他の技術的課題は、洗浄効率が向上されたPVAブラシの洗浄方法及び装置を提供することである。
【0012】
本発明が解決しようとする技術的課題は、前述したものに限定されない。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記技術的課題を解決するために、本発明は、PVAブラシの洗浄方法を提供する。
【0014】
一実施形態によると、前記PVAブラシの洗浄方法は、PVAブラシを用意する段階、有機物を含む洗浄溶液で、前記PVAブラシ内のシロキサン(siloxane)化合物を除去する段階、及び前記PVAブラシに振動を加えて、前記PVAブラシ内の不純物を除去する段階を含んでもよい。
【0015】
一実施形態によると、前記洗浄溶液は、10wt%以上50wt%未満の濃度を有する前記有機物を含んでもよい。
【0016】
一実施形態によると、前記PVAブラシに振動を加えて、前記PVAブラシ内の前記不純物を除去する段階は、前記PVAブラシに10分間、振動を加えた場合、前記PVAブラシから除去された前記不純物の量が、最大値を有することを含んでもよい。
【0017】
一実施形態によると、前記PVAブラシ内の前記シロキサン化合物及び前記不純物は、同時に除去されることを含んでもよい。
【0018】
一実施形態によると、前記PVAブラシ内の前記シロキサン化合物及び前記不純物は、前記シロキサン化合物が除去された後、前記不純物が除去されるか、又は前記不純物が除去された後、前記シロキサン化合物が除去されることを含んでもよい。
【0019】
一実施形態によると、前記有機物は、THF又はTMAHであることを含んでもよい。
【0020】
一実施形態によると、前記シロキサン化合物は、PDMSであることを含んでもよい。
【0021】
一実施形態によると、前記PVAブラシの洗浄方法は、前記PVAブラシ内のシロキサン(siloxane)化合物を除去する段階、及び前記PVAブラシに振動を加えて、前記PVAブラシ内の前記不純物を除去する段階を、ユニット工程(unit process)と定義し、前記シロキサン化合物及び前記不純物が除去された前記PVAブラシの摩擦特性及び弾性特性を測定する段階をさらに含み、測定された前記PVAブラシの摩擦特性及び弾性特性が、基準範囲の以下である場合、前記ユニット工程が繰り返し行われることを含んでもよい。
【0022】
一実施形態によると、前記PVAブラシに振動を加えて、前記PVAブラシ内の前記不純物を除去する段階は、前記振動が伝達されたPVAブラシの粒子状の不純物を、粒子測定器を用いて測定する過程を含んでもよい。
【0023】
一実施形態によると、前記粒子測定器は、単一粒子光学測定法(SPOS、single particle optical sizing)、レーザー回折法(laser diffraction)、動的光散乱法(dynamic light scattering)、及び音響減衰分光学法(acoustic attenuation spectroscopy)のうち少なくとも何れか1つを 含んでもよい。
【0024】
一実施形態によると、前記PVAブラシに振動を加えて、前記PVAブラシ内の前記不純物を除去する段階は、前記振動が伝達されたPVAブラシの有機性の不純物を、有機物測定器を用いて測定する過程を含んでもよい。
【0025】
一実施形態によると、前記有機物測定器は、紫外線検出器(ultravilolet detector)、伝導度検出器(conductivity analyzer)、電流充電検出器(current charge detector)、NDIR検出器(nondispersive infrared gas analyzer)及び 総有機炭素分析器(total organic carbon analyzer)のうち少なくとも何れか1つを含んでもよい。
【0026】
一実施形態によると、前記洗浄溶液は、前記PVAブラシとのREDが、1未満の範囲を有する前記有機物を含んでもよい。
【0027】
前記技術的課題を解決するために、本発明は、PVAブラシ洗浄装置を提供する。
【0028】
一実施形態によると、前記PVAブラシ洗浄装置は、PVAブラシ内のシロキサン化合物を除去する、有機物含有洗浄溶液が配置される洗浄容器、前記PVAブラシ内の不純物を除去する振動を、前記PVAブラシに提供し、前記洗浄容器内に配置される振動装置、前記シロキサン化合物及び前記不純物が除去された前記PVAブラシの摩擦特性を測定する摩擦測定装置、及び前記シロキサン化合物及び前記不純物が除去された前記PVAブラシの弾性特性を測定する弾性測定装置を含んでもよい。
【0029】
一実施形態によると、前記有機物は、THF又はTMAHであり、前記洗浄溶液は、10wt%以上50wt%未満の濃度を有する前記有機物を含んでもよい。
【0030】
一実施形態によると、前記PVAブラシ洗浄装置は、前記振動装置が10分間、前記PVAブラシに振動を提供する場合、前記PVAブラシから除去された前記不純物の量が、最大値を有することを含んでもよい。
【0031】
一実施形態によると、前記シロキサン化合物は、PDMSであることを含んでもよい。
【発明の効果】
【0032】
本発明の一実施形態によるPVAブラシの洗浄方法は、PVAブラシを用意する段階、有機物を含む洗浄溶液で、前記PVAブラシ内のシロキサン(siloxane)化合物を除去する段階、及び、前記PVAブラシに振動を加えて、前記PVAブラシ内の不純物を除去する段階を含んでもよい。これにより、前記PVAブラシ内のシリコンのような有機性物質、及び、粒子状の不純物などが容易に除去され得る。結果的に、化学機械的平坦化工程、半導体工程、及びディスプレイ工程などから得られる生産物の収率が向上できる、PVAブラシの洗浄方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1図1は、本発明の一実施形態によるPVAブラシの洗浄方法を説明するフローチャートである。
図2図2は、本発明の一実施形態によるPVAブラシの洗浄方法を示す図である。
図3図3は、本発明の一実施形態によるPVAブラシの洗浄装置を示す図である。
図4図4は、本発明の一実施形態によるPVAブラシの洗浄装置が備える摩擦特性測定装置を示す図である。
図5図5は、本発明の一実施形態によるPVAブラシの洗浄装置が備える弾性特性測定装置を示す図である。
図6図6は、本発明の一実施形態によるPVAブラシの洗浄方法が行われる前、PVAブラシの特性を測定する方法の図面及び測定装置の写真である。
図7図7は、本発明の一実施形態によるPVAブラシの洗浄方法で洗浄された、PVAブラシの特性を測定する方法の図面及び測定装置の写真である。
図8図8は、本発明の一実施形態によるPVAブラシの洗浄方法中、振動時間に伴って除去された不純物の量を示すグラフである。
図9図9は、本発明の一実施形態によるPVAブラシの洗浄方法で除去された物質を、LC-MS測定したグラフである。
図10図10は、本発明の一実施形態によるPVAブラシの洗浄方法で除去された物質を撮影した電子顕微鏡写真である。
図11図11は、本発明の一実施形態によるPVAブラシの洗浄方法で除去された物質を撮影した電子顕微鏡写真である。
図12図12は、本発明の一実施形態によるPVAブラシの洗浄方法で除去された物質を、TOF-SIMS測定したグラフである。
図13図13は、本発明の一実施形態によるPVAブラシの洗浄方法中の洗浄溶液の効率を比較する写真である。
図14図14は、本発明の一実施形態によるPVAブラシの洗浄方法中の洗浄溶液の効率を比較する写真である。
図15図15は、本発明の一実施形態によるPVAブラシの洗浄方法で洗浄されたPVAブラシの特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、添付の図面を参照して本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。しかし、本発明の技術的思想は、ここで説明された実施形態に限定されず、他の形態で具体化されてもよい。もっぱら、ここで記述されている実施形態は、開示の内容が徹底で完全になるように、かつ当業者に本発明の思想が十分に伝われるようにするために提供されることである。
【0035】
本明細書において、ある構成要素が、他の構成要素上にあると言及される場合に、それは、他の構成要素上に直接形成されてもよく、又はそれらの間に、第3の構成要素が介在されてもよいことを意味する。また、図面において、膜及び領域の厚さは、技術的内容の効果的な説明のために誇張されたものである。
【0036】
また、本明細書の多様な実施形態において、第1、第2、第3などの用語が、多様な構成要素を記述するために使われているが、これらの構成要素が、このような用語により限定されてはいけない。これらの用語は、単にある構成要素を、他の構成要素と区別するために使われているだけである。したがって、ある一つの実施形態において第1構成要素と言われたものが、 別の実施形態では、第2構成要素と言われてもよい。ここで説明、例示される各実施形態は、その相補的な実施形態も含む。また、本明細書において、「及び/又は」とは、前後に並べた構成要素のうち、少なくとも一つを含む意味として使用されている。
【0037】
明細書において、単数の表現は、文脈上、断りのない限り、複数の表現を含む。また、「含む」又は「有する」などの用語は、明細書上に記載されている特徴、数字、段階、構成要素又はこれらの組合せが存在することを指定するだけであって、一つ又はこれ以上の別の特徴や数字、段階、構成要素又はこれらの組合せの存在又は付加の可能性を排除すると理解してはいけない。なお、本明細書において、「連結」とは、複数の構成要素を間接的に繋げること、及び直接的に繋げることを全て含む意味として使用される。
【0038】
さらに、以下に本発明を説明するにあたって、関連の公知の機能又は構成についての具体的な説明が、本発明の要旨を不要に曖昧にする恐れがあると判断する場合には、その詳細な説明は省略する。
【0039】
PVAブラシは、化学機械的平坦化(CMP)工程、半導体工程及びディスプレイ工程などで、基板上の残留物を除去するための用途で用いられる。このようなPVAブラシは、製造工程上の欠陥により、前記PVAブラシの内に気孔形成剤、離型剤、PVAデブリなどのような不純物を含み得る。このような不純物は、基板上の残留物を除去する中、基板に転写でき、これにより、化学機械的平坦化工程、半導体工程、及びディスプレイ工程などから得られる歩留まり(yield)を低下する問題が生じられる。以下、PVAブラシ内の不純物を除去する方法を、図1及び図2を参照して説明する。
【0040】
図1は、本発明の一実施形態によるPVAブラシの洗浄方法を説明するフローチャートであり、図2は、本発明の一実施形態によるPVAブラシの洗浄方法を示す図である。
【0041】
図1及び図2を参照すると、PVAブラシ100が用意される(S110)。 一実施形態によると、前記PVAブラシ100は、使用される前の状態であり得る。即ち、前記PVAブラシ100は、化学機械的平坦化(Chemical Mechanical Planarization、CMP)工程、半導体工程、及びディスプレイ工程などで、基板上の残留物(residue)を除去する前の状態であり得る。
【0042】
前記PVAブラシ100の製造工程において、シロキサン化合物が用いられてもよく、製造された前記PVAブラシ100の内に、シロキサン化合物及び不純物などが残っていてもよい。具体的には、前記PVAブラシ100が、射出成形などを通じて製造される場合、製造工程でシロキサン化合物が用いられてもよく、シロキサン化合物は、前記PVAブラシ100の表面及び内部に残存できる。
【0043】
以下、前記PVAブラシ100内のシロキサン化合物、及び不純物を除去する方法を具体的に説明する。
【0044】
前記PVAブラシ100内のシロキサン(siloxane)化合物110aが除去できる(S120)。 前記シロキサン化合物110aは、洗浄溶液200で除去できる。一実施形態によると、前記シロキサン化合物110aは、前記洗浄溶液200が満たされている容器内に、前記PVAブラシ100を浸漬する方法で除去できる。即ち、前記洗浄溶液200と、前記シロキサン化合物110aとが反応する場合、前記シロキサン化合物110aが、前記洗浄溶液200内に溶解され、前記PVAブラシ100から除去できる。
【0045】
一実施形態によると、前記洗浄溶液200は、有機物を含んでもよい。例えば、前記有機物は、THF(tetrahydrofuran)、又はTMAH(tetramethyl ammonium hydroxide)であってもよい。一実施形態によると、前記シロキサン化合物110aは、PDMS(polydimethylsiloxane)であってもよい。
【0046】
前記シロキサン化合物110aは、前記洗浄溶液200内の前記有機物の濃度が高くなるほど、除去される量が多くなり得る。しかし、前記洗浄溶液200内の前記有機物の濃度が、一定の範囲以上高くなると、前記PVAブラシ100が損傷される。これにより、一実施形態によると、前記洗浄溶液200は、10wt%以上50wt%未満の濃度を有する前記有機物を含んでもよい。
【0047】
他の実施形態によると、前記洗浄溶液200は、有機溶媒、塩基性溶液、及び酸性溶液を含んでもよい。例えば、前記有機溶媒は、トルエン(toluene)、キシレン(xylene)、ベンゼン(benzene)、ソルベントナフサ(solvent naptha)、ケロシン(kerosene)、シクロヘキサン(cyclohexane)、n-ヘキサン(n-hexane)、n-ヘプタン(n-heptane)、ジイソプロピルエーテル(diisopropyl ether)、へキシルエーテル(hexyl ether)、酢酸エチル(ethyl acetate)、酢酸ブチル(butyl acetate)、ラウリン酸イソプロピル(isopropyl laurate)、パルミチン酸イソプロピル(isopropyl palmitate)、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)、ミリスチン酸イソプロピル(isopropyl myristate)、ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide)、メチルエチルケトン(methyl ethyl ketone)、メチルイソブチルケトン(methyl isobutyl ketone)、メチルイソブチルケトン(methyl isobutyhl ketone)及びラウリルアルコール(lauryl alcohol)のうち少なくとも何れか1つを含んでもよい。例えば、前記塩基性溶液は、KOH、NaOH、CeOH、RbOH、NHOH、水酸化テトラメチルアンモニウム(tetramethylammonium hydroxide)、水酸化テトラエチルアンモニウム(tetraethylammonium hydroxide)、水酸化テトラブチルアンモニウム(tetrabutylammonium hydroxide)、水酸化テトラプロピルアンモニウム(tetrapropylammonium hydroxide)、エチレンジアミン(ethylene diamine)、ピロカテコール(pyrocatechol)、及びピラジン(pyrazine)のうち少なくとも何れか1つを含んでもよい。 例えば、前記酸性溶液は、HCl、HSO、HF、及びHNOのうち少なくとも何れか1つを含んでもよい。
【0048】
また、前記PVAブラシ100内の不純物110bが、除去され得る(S130)。 前記不純物は、前記PVAブラシ100に振動を加えて、除去することができる。 このために、前記PVAブラシ100内の不純物110bを除去する容器内に、振動装置300を用意してもよい。即ち、前記振動装置300により発生された振動が、前記PVAブラシ100に加えられる場合、前記PVAブラシ100内の不純物110bが脱落され、前記PVAブラシ100から除去できる。
【0049】
一実施形態によると、前記不純物110bは、気孔形成剤、及び不完全な架橋などによる接着力の低いPVAデブリなどであってもよい。例えば、前記気孔形成剤は、ポテト澱粉、又はコーンスターチなどであってもよい。 一実施形態によると、前記振動装置300は、超音波(ultrasonic)発生装置であってもよい。
【0050】
一実施形態によると、前記PVAブラシ100に10分間、振動を加えた場合、前記PVAブラシ100から除去された前記不純物110bの量が最大値を有してもよい。これにより、前記PVAブラシ100に振動を加えてから、10分内に前記PVAブラシ100内の不純物110bが、殆ど除去できる。
【0051】
また、一実施形態によると、前記PVAブラシ100に加えられる振動の振動数が低い場合、前記PVAブラシ100に加えられる振動の振動数が高い場合より、 前記PVAブラシ100内の前記不純物110bの量がより少ないことがある。即ち、前記PVAブラシ100に振動を加えて、前記不純物110bを除去する場合、高い振動数を有する振動を加えることより、低い振動数を有する振動を加えるのが、 前記PVAブラシ100内の前記不純物110bの除去効率が高いことがある。
【0052】
図1及び図2を参照して、前記PVAブラシ100内の前記シロキサン化合物110a及び前記不純物110bが除去される場合、前記シロキサン化合物110aが先に除去され、前記不純物110bが後で除去されると説明したが、前記不純物110bが除去された後、前記シロキサン化合物110aが除去されてもよい。即ち、前記PVAブラシ100に振動を加えて、前記不純物110bを先に除去し、その後、前記PVAブラシ100を、前記洗浄溶液200内に浸漬させ、前記シロキサン化合物110aを除去することができる。
【0053】
その上に、一実施形態によると、前記PVAブラシ100内の前記シロキサン化合物110a及び前記不純物110bが同時に除去できる。即ち、洗浄溶液200が入っている容器内に、前記振動装置300を配置し、前記PVAブラシ100が浸漬される間、振動を加えて、前記シロキサン化合物110a及び前記不純物110bが同時に除去できる。
【0054】
一実施形態によると、前記シロキサン化合物110a及び前記不純物110bが除去された前記PVAブラシ100は、リンス(rinsing)してもよい。即ち、前記PVAブラシ100の表面及び内部に残存する前記洗浄溶液200を、リンス溶液で除去できる。例えば、前記リンス溶液は、超純水(DI water)であってもよい。
【0055】
一実施形態によると、前記PVAブラシ100の洗浄方法は、前記シロキサン化合物110a及び前記不純物110bが除去された前記PVAブラシ100の摩擦特性及び弾性特性を測定する段階をさらに含んでもよい。
【0056】
例えば、シロキサン化合物110a及び前記不純物110bが除去された前記PVAブラシ100は、前記PVAブラシ100と、摩擦部材との間の摩擦特性の変化に従い、回転モーターの回転力の変化を測定することで、摩擦特性が測定できる。
【0057】
例えば、シロキサン化合物110a及び前記不純物110bが除去された前記PVAブラシ100は、前記PVAブラシ100と、摩擦部材との間の弾性特性の変化に従い、弾性特性装置の圧力の変化を測定することで、弾性特性が測定できる。
【0058】
前記PVAブラシ100内の前記シロキサン化合物110aを除去する段階、及び前記PVAブラシ100内の前記不純物110bを除去する段階は、ユニット工程(unit process)と定義してもよい。前記ユニット工程は、前記シロキサン化合物110a及び前記不純物110bが除去された前記PVAブラシ100の摩擦特性及び弾性特性が、基準範囲以下である場合、繰り返し行ってもよい。前記ユニット工程は、前記摩擦特性及び前記弾性特性が、基準範囲を有するまで、繰り返し行ってもよい。
【0059】
言い換えれば、前記PVAブラシ100は、前記PVAブラシ100内の前記シロキサン化合物110aを除去する段階、及び前記PVAブラシ100内の前記不純物110bを除去する段階が行われて、前記PVAブラシ100内の前記シロキサン 化合物110a及び前記不純物110bが除去できる。前記シロキサン化合物110a及び前記不純物110bが除去された前記PVAブラシ100は、摩擦特性及び弾性特性が測定され、測定された摩擦特性及び弾性特性が、基準範囲以下である場合、前記PVAブラシ100内の前記シロキサン化合物110aを除去する段階、及び前記PVAブラシ100内の前記不純物110bを除去する段階が、摩擦特性及び弾性特性が、前記基準範囲を有するまで、繰り返し行われてもよい。これにより、洗浄された前記PVAブラシ100の摩擦特性及び弾性特性が、容易に制御できる。
【0060】
前述の本発明の一実施形態によるPVAブラシ100の洗浄方法とは異なって、PVAブラシ内に、超純水(DI water)を通過させるPVAブラシの洗浄方法は、シリコンのような有機物が除去できない。また、超純水流体を通過させるPVAブラシの洗浄方法は、不純物の除去効率が低いため、前処理の時間が長くかかることにより、CMP装置のスループット(throughput)を阻害する問題があり、CMP後洗浄工程中、基板上に不純物が転写されて、収率を阻害する問題がある。
【0061】
これと異なり、本発明の一実施形態によるPVAブラシ100の洗浄方法は、前記PVAブラシ100を用意する段階、前記有機物を含む前記洗浄溶液200で、前記PVAブラシ100内の前記シロキサン(siloxane)化合物110aを除去する段階、及び前記PVAブラシ100に振動を加えて、前記PVAブラシ100内の不純物110bを除去する段階を含んでもよい。これにより、前記PVAブラシ100内のシリコンのような有機性物質及び粒子状の不純物などが容易に除去できる。結果的に、化学機械的平坦化工程、半導体工程、及びディスプレイ工程などから得られる歩留まり(yield)の向上可能なPVAブラシの洗浄方法が提供できる。
【0062】
以下、前記PVAブラシ100内の前記シリコン化合物110a、及び前記不純物110bを除去するためのPVAブラシ洗浄装置を、図3図5を参照して説明する。
【0063】
図3は、本発明の一実施形態によるPVAブラシ洗浄装置を示す図であり、図4は、本発明の一実施形態によるPVAブラシ洗浄装置が備える摩擦特性測定装置を示す図であり、図5は、本発明の一実施形態によるPVAブラシ洗浄装置が備える弾性特性測定装置を示す図である。
【0064】
図3を参照すると、本発明の一実施形態によるPVAブラシ洗浄装置10は、洗浄容器40、洗浄溶液供給装置50、粒子測定装置60a、有機物測定装置60b、摩擦特性測定装置70、及び弾性特性測定装置80を含んでもよい。
【0065】
前記洗浄容器40の内に、PVAブラシ20、洗浄溶液25、振動装置30、及び振動発生器31が配置されてもよい。
【0066】
前記PVAブラシ20及び前記洗浄溶液25は、図1及び図2を参照して説明された、前記PVAブラシの洗浄方法で説明したPVAブラシ及び前記洗浄溶液と同様であってもよい。一実施形態によると、前記PVAブラシは、コア21及び突起22からなってもよい。
【0067】
前記PVAブラシ20は、製造工程上の欠陥により、シロキサン化合物23a、及び不純物23bなどを含んでもよい。前記PVAブラシ20内の前記シロキサン化合物23aは、有機物を含む前記洗浄溶液25で除去され得る。一実施形態によると、前記PVAブラシ20内の前記シロキサン化合物23aは、前記洗浄溶液25の内に、前記PVAブラシ20を浸漬する方法で除去できる。
【0068】
前記シロキサン化合物23aは、前記洗浄溶液25内の前記有機物の濃度が高くなるほど、除去される量が多くなり得る。しかし、前記洗浄溶液25内の前記有機物の濃度が、一定の範囲以上高くなると、前記PVAブラシ20が損傷され得る。これにより、一実施形態によると、前記洗浄溶液25は、10wt%以上50wt%未満の濃度を有する前記有機物を含んでもよい。一実施形態によると、前記有機物は、THF又はTMAHであってもよい。一実施形態によると、前記シロキサン化合物は、PDMSであってもよい。
【0069】
前記ブラシ20内の前記不純物23bは、前記ブラシ20に振動が提供されることで除去できる。このために、前記振動発生器31は、振動を生成し、前記振動装置30は、生成された振動を、前記ブラシ20に提供できる。前記不純物23b及び振動は、図1及び図2を参照して説明した、前記PVAブラシの洗浄方法で説明した不純物及び振動と同様であってもよい。
【0070】
一実施形態によると、前記振動装置30が、前記PVAブラシ20に、10分間、振動を提供する場合、前記PVAブラシ20から除去された前記不純物23bの量が最大値を有することがある。これにより、前記PVAブラシ20に振動を加えてから、10分以下の時間内に、前記PVAブラシ20内の不純物23bが殆ど除去できる。
【0071】
一実施形態によると、前記振動発生器31は、前記振動発生器31を発振する発振器32、周波数制御装置33、及びパワー制御装置34と連結できる。一実施形態によると、前記振動装置30は、クォーツ 、アルミナ、セラミックス、及び金属のうち少なくとも何れか1つを含んでもよい。
【0072】
前記洗浄溶液供給装置50は、ノズル51、タンク52、ポンプ53、フィルタ54、圧力計55、流量計56、及びポンプ調節装置57を含んでもよい。
【0073】
具体的に、前記洗浄溶液供給装置50は、前記ノズル51を介して、前記PVAブラシ20上の前記コア21に、直接、前記洗浄溶液25を供給するか、前記洗浄容器40に、前記洗浄溶液25を供給してもよい。前記タンク52は、前記洗浄溶液25を貯蔵できる。前記ポンプ53は、前記タンク52と、前記洗浄容器40との間の圧力を調整することができる。例えば、前記ポンプ53は、ダイアフラムポンプ(diaphragm pump)、ベローズ定量ポンプ(bllows metering pump)、ぜん動ポンプ(peristaltic pump)、シリンジポンプ(syringe pump)、ソレノイドポンプ(solenoid diaphragm pump)、マグネットインペラー式ポンプ(magnetic drive impeller pump)、及び磁気浮上ポンプ(magnetically levitated centrifugal pump)などであってもよい。
【0074】
前記フィルタ54は、前記ポンプ53から前記洗浄容器40内に提供される前記洗浄溶液25内の不純物が除去できる。一実施形態によると、前記フィルタ54は、10nm~200nmのサイズの気孔を有してもよい。一実施形態によると、前記フィルタ54は、バルブ(図示せず)を含んでもよい。例えば、前記バルブは、ベントバルブ又は排出バルブであってもよい。一実施形態によると、前記フィルタ54は、PES(Polyethersulfone)、PTFE(polytetrafluorethylene)、SFCA(sufactant-free cellulose acetate)、PVDF(polyvinylidene fluoride)、セルロース、ナイロン、アセチルセルロース(cellulose acetate)、ニトロセルロース(cellulose nitrate)、ガラスマイクロファイバー(glass microfiber)、及びポリプロピレン(polypropylene )のうち少なくとも何れか1つを含んでもよい。
【0075】
前記圧力計55は、前記洗浄溶液25の供給圧力が確認できる。前記流量計56は、前記洗浄溶液25の供給流量が確認できる。前記ポンプ調節装置57は、前記洗浄溶液25の供給圧力及び供給流量の条件が調節できる 。
【0076】
前記粒子測定装置60aは、洗浄された前記PVAブラシ20内の前記不純物23bのサイズ及び個数が測定できる。例えば、前記粒子測定装置60aは、洗浄された前記PVAブラシ20内の残留の気孔形成剤、及び不完全な架橋などによる接合力の低いPVAデブリが測定できる。例えば、前記粒子測定装置60aは、消滅測定器(extinction detector)、単一粒子光学測定法(SPOS、single particle optical sizing)装置、レーザー回折法(laser diffraction)装置、動的光散乱法(dynamic light scattering)装置、及び音響減衰分光学法(acoustic attenuation spectroscopy)装置などであってもよい。
【0077】
前記有機物測定装置60bは、洗浄された前記PVAブラシ20内のシロキサン化合物23aの量が側的できる。例えば、前記有機物測定装置60bは、洗浄された前記PVAブラシ20内のPDMSの量が測定できる。例えば、前記有機物測定装置60bは、紫外線検出器(ultraviolet detector)、伝導度検出器(conductivity analyzer)、電流充電検出器(current charge detector)、NDIR検出器(nondispersive infrared gas analyzer)及び総有機炭素分析器(total organic carbon analyzer)などであってもよい。
【0078】
前記シロキサン化合物23a及び前記不純物23bが除去された前記PVAブラシ20は、前記摩擦特性測定装置70及び前記弾性特性測定装置80へ移動され、摩擦特性及び弾性特性が測定できる。以下、図4及び図5を参照して、前記摩擦特性測定装置70及び前記弾性特性測定装置80を、具体的に説明する。摩擦特性測定装置70を、まず、説明し、その後、弾性特性測定装置80を説明するが、前記PVAブラシ20の摩擦特性の測定及び弾性特性の測定の順序が、これに局限されることではない。
【0079】
図4を参照すると、前記摩擦特性測定装置70は、回転モーター70a、摩擦測定器70b、及び第1摩擦部材70cからなってもよい。前記PVAブラシ20は、前記コア21の一端が、前記回転モーター70aと連結され、前記突起22の一端が、前記第1摩擦部材70cと接触され得る。これにより、前記PVAブラシ20と、前記第1摩擦部材70cとの間の摩擦特性の変化、及び前記回転モーター70 aの回転力の変化を測定して、前記PVAブラシ20の摩擦特性が測定できる。
【0080】
例えば、前記摩擦測定器70bは、SAW(surface acoustic wave)トルク(torque)センサ、EMD(embedded magnetic domain)トルクセンサ、オプトエレクトロニクス(optical electronics)トルクセンサ、テレメトリー(telemetry)トルクセンサ、ライト(wire)トルクセンサ、 正弦固定式(stationary)トルクセンサ、接触回転式(slip ring rotational)トルクセンサ、及び非接触回転式(contactless rotational)トルクセンサのうちいずれか一つであってもよい。
【0081】
図5を参照すると、前記弾性特性測定装置80は、移動モーター80a、弾性測定器80b、及び第2摩擦部材80cからなってもよい。前記PVAブラシ20は、前記コア21の一端が、前記回転モーター 80aと連結され、前記突起22の一端が、前記第2摩擦部材80cと接触され得る。また、前記第2摩擦部材80cと接触する前記突起22の反対側に配置された前記突起22の他端は、前記弾性測定装置80と接触され得る。これにより、前記PVAブラシ20と、前記第2摩擦部材80cとの間の弾性特性の変化及び、前記弾性測定器80bの圧力の変化を測定して、前記PVAブラシ20の弾性特性が測定できる。
【0082】
例えば、前記弾性測定器80bは、ひずみゲージロードセル(strain gauge load cell)、ビームロードセル(beam load cell)、及びコラム型ロードセル(column load cell)のうち少なくとも一つであってもよい。
【0083】
本発明の一実施形態によるPVAブラシ洗浄装置10は、前記PVAブラシ20内の前記シロキサン化合物23aを除去する、前記有機物を含む前記洗浄溶液25が配置される前記洗浄容器40、前記PVAブラシ20内の前記不純物23bを除去する振動を、前記PVAブラシ20に提供し、前記洗浄容器40内に配置される前記振動装置30、前記シロキサン化合物23a及び前記不純物23bが除去された前記PVAブラシ20の摩擦特性を測定する前記摩擦特性測定装置70、前記PVAブラシ20の弾性特性を測定する弾性特性測定装置80を含んでもよい。これにより、前記PVAブラシ20内のシリコンのような有機性物質及び粒子状の不純物などが容易に除去できる。結果的に、化学機械的平坦化工程、半導体工程、及びディスプレイ工程などから得られる歩留まり(yield)が向上されたPVAブラシの洗浄装置が提供できる。
【0084】
以下、前記実施形態によるPVAブラシの洗浄方法の具体的な実験例及び特性評価を説明する。
【実施例
【0085】
図6は、本発明の一実施形態によるPVAブラシの洗浄方法が行われる前に、PVAブラシの特性を測定する方法の図面及び測定装置の写真である。
【0086】
図6を参照すると、PVAブラシの一部を、HPO溶液内でマイクロ波アッシング(microwave ashing)を行った後、 Agilent(USA)社の7900ICP-MSを用いて、PVAブラシ内の物質の特性を測定した。測定の結果は、以下の表1にまとめた。
【0087】
【表1】
【0088】
図6及び表1から分かるように、HPO溶液内でマイクロ波アッシングしたPVAブラシ内には、約88.65wt%濃度のSi、約10.85wt%濃度のTiなどが含まれていることが分かる。即ち、前記実施形態によるPVAブラシの洗浄方法が行われる前のPVAブラシ内には、多量のシロキサン及び不純物が含まれていることが分かる。
【0089】
図7は、本発明の一実施形態によるPVAブラシの洗浄方法で洗浄された、PVAブラシの特性を測定する方法の図面及び測定装置の写真であり、図8は、本発明の一実施形態によるPVAブラシの洗浄方法中、振動時間によって除去された不純物の量を示すグラフである。
【0090】
図7を参照すると、PVAブラシを、20wt%濃度のTHF及び80wt%濃度のDI waterが混合された溶液内に浸漬し、40kHzの周波数及び600Wのパワーを有する超音波を用いて、PVAブラシ内の不純物を除去し、除去した不純物の量を測定した。除去された不純物の測定には、PSS(USA)社のAccusizer 780ADが用いられた。
【0091】
図8を参照すると、図7で前述した方法で、PVAブラシを0~40分間、超音波を提供して洗浄した後、PVAブラシから除去された不純物の量を測定した。図8から分かるように、10分間、超音波が提供された場合、PVAブラシから除去された不純物の量が、顕著に多いことが確認できた。即ち、前記実施形態によるPVAブラシの洗浄方法を行う場合、超音波を提供する10分内の時間の間、殆どの 不純物が除去されることが分かる。また、PVAブラシに超音波を提供する場合、不純物を高濃度で捕集できるため、PVAブラシの不純物が容易に分析できる。
【0092】
図9は、本発明の一実施形態によるPVAブラシの洗浄方法で除去した物質を、 LC-MS測定したグラフである。
【0093】
図9を参照すると、図7で前述の方法で除去された物質を、LC-MS(liquid chromatography-mass spectrometry)で測定した。 図9のAから分かるように、前記実施形態によるPVAブラシの洗浄方法が行われ、PVAブラシから除去された物質の中にPDMSが含まれていることが確認できた。
【0094】
図10及び図11は、本発明の一実施形態によるPVAブラシの洗浄方法で除去された物質を撮影した電子顕微鏡の写真である。
【0095】
図10を参照すると、図7で前述の方法で除去された物質を乾燥した後、0.5kの倍率でFE-SEM(field emission-scanning electron microscope)撮影を行った。図10から分かるように、前記実施形態による方法で除去された物質の所々に、不純物の粒子(particle)が分布されていることが確認できた。
【0096】
図11を参照すると、図10のB部分を拡大して、5kの倍率でFE-SEM撮影を行った。図11から分かるように、前記実施形態による方法で除去された物質の所々に、不純物の粒子(particle)のみならず、PDMS(Organic Containment)も分布されていることが確認できた。
【0097】
図12は、本発明の一実施形態によるPVAブラシの洗浄方法で除去された物質を、TOF-SIMS測定したグラフである。
【0098】
図12を参照すると、図7で記述した方法で除去された物質を乾燥した後、TOF-SIMS(time of flight - secondary mass spectrometry)測定を行った。 図12のC及びDから分かるように、前記実施形態による方法で除去された物質が、シロキサンを含んでいることが分かる。
【0099】
図8図12を通じて分かるように、本発明の一実施形態によるPVAブラシの洗浄方法で、PVAブラシを洗浄した場合、PVAブラシからPDMS及び不純物が、容易に除去されることが分かる。
【0100】
図13及び図14は、本発明の一実施形態によるPVAブラシの洗浄方法中の洗浄溶液の効率を比較する写真である。
【0101】
図13の(a)及び(b)を参照すると、図7で記述した方法でPVAブラシを洗浄するものの、THFなしでDIwaterのみを含む洗浄溶液でPVAブラシを洗浄し、洗浄されたPVAブラシの表面を、1k及び5kの倍率でFE-SEM撮影を行った。図13の(a)及び(b)から分かるように、THFなしでDI waterのみを含む洗浄溶液でPVAブラシを洗浄した場合、PVAブラシの表面に多量のPDMSが残っていることが確認できた。
【0102】
図14の(a)及び(b)を参照すると、図7で記述した方法でPVAブラシを洗浄し、洗浄されたPVAブラシの表面を、1k及び5kの倍率でFE-SEM撮影を行った。図14の(a)及び(b)から分かるように、前記実施形態によるPVAブラシの洗浄方法でPVAブラシを洗浄した場合、PVAブラシの表面に、実質的にPDMSが残っていないことが確認できた。
【0103】
即ち、図13及び図14から分かるように、PVAブラシを洗浄する場合、THFによりPDMSが容易に除去されることが分かる。但し、THFの濃度が高くなるにつれ、PVAブラシが損傷されることがあって、適正のTHF濃度の調整が必要である。PVAブラシが損傷せず、PDMSが除去できるTHFの濃度を調べるための実験の結果を、以下の表2から表4にまとめた。
【0104】
【表2】
【0105】
【表3】
【0106】
【表4】
【0107】
表4のREDは、以下の数式1及び数式2により計算された。
【0108】
<数式1>
RA 2=4(δD1- δD2)2 + (δP1- δp2)2 + (δH1- δH2)2
(RA: 分子間距離(Distance between molecules)、1:溶媒(solvent)、2: 溶質(solute))
【0109】
<数式2>
RED = RA / R0
(RA: 分子間距離(Distance between molecules)、R0: 溶解球の半径(radius of solubility sphere))
【0110】
前述の表2~表4を通じて分かるように、THFの濃度が高くなるにつれ、PDMSの除去率も向上されるものの、THFの濃度が、50%以上となる場合、PVAブラシに損傷が与えられることが分かる。また、前述の表4におけるREDの値が1未満の場合、PVAブラシに損傷が与えられることが分かる。したがって、前記実施形態によるPVAブラシの洗浄方法に用いられる洗浄溶液は、10wt%以上50wt%未満の濃度を有するTHFを含むのが、PVAブラシが損傷されず、PDMSが除去できる効率的なTHF濃度の範囲であることが分かる。
【0111】
図15は、本発明の一実施形態によるPVAブラシの洗浄方法で洗浄されたPVAブラシの特性を示すグラフである。
【0112】
図15を参照すると、図7で記述した方法でPVAブラシを洗浄するものの、洗浄溶液に含まれたTHFの濃度を、0wt%~50 wt%に変化させ、THFの濃度によるポロシティ(porosity)(%)を測定した。
【0113】
図15から分かるように、前記実施形態によるPVAブラシの洗浄方法で洗浄されたPVAブラシは、洗浄溶液に含まれたTHFの濃度が、40%を超過する場合、漸次減少することが確認できた。洗浄されたPVAブラシのポロシティ(%)は、以下の数式3により計算された。
【0114】
<数式3>
ポロシティ(Porosity)(%)= W - W/(W - W)- (W/DPVA
( W:乾燥されたブラシの重さ、W:水に濡れているブラシの重さ、DPVA:PVAブラシの密度(1.3g/cm
【0115】
以上、本発明を好適な実施形態を用いて詳細に説明したが、本発明の範囲は、特定の実施形態に限定されることではなく、添付の特許請求の範囲により解釈されるべきである。また、この技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく、多くの修正と変形が可能であることが分かる。
【符号の説明】
【0116】
10 PVA洗浄装置、20 PVAブラシ、21 コア、22 突起、23aシロキサン化合物、23b 不純物、25 洗浄溶液、30 振動装置、31 振動発生器、32 発振器、33 周波数制御装置、34 パワー制御装置、50 洗浄溶液供給装置、51 ノズル、52 タンク、53 ポンプ、54 フィルタ、55 圧力計、56 流量計、57 ポンプ調節装置、70 圧力特性測定装置、80 弾性特性測定装置、100 PVAブラシ、110a シロキサン化合物、110b 不純物、200 洗浄溶液、300 振動装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13(a)】
図13(b)】
図14(a)】
図14(b)】
図15