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特許7169049乳原料を添加して調理するための食品組成物及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-01
(45)【発行日】2022-11-10
(54)【発明の名称】乳原料を添加して調理するための食品組成物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 23/10 20160101AFI20221102BHJP
【FI】
A23L23/10
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2017095331
(22)【出願日】2017-05-12
(65)【公開番号】P2018191519
(43)【公開日】2018-12-06
【審査請求日】2020-02-19
(73)【特許権者】
【識別番号】713011603
【氏名又は名称】ハウス食品株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100196405
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 邦光
(72)【発明者】
【氏名】▲吉▼岡 夢
(72)【発明者】
【氏名】柴田 いづみ
(72)【発明者】
【氏名】小見山 雄介
【審査官】吉岡 沙織
(56)【参考文献】
【文献】Cheese Risotto Mix,Mintel GNPD, [online],ID#:2196683 ,2013年 10月,[Retrieved on 13-06-2022], Retrieved from the internet: <URL: https://portal.mintel.com>
【文献】酒かす シチューの素,クックパッド,2015年10月25日,https://cookpad.com/recipe/3470072,レシピID:3470072
【文献】酒かすドリア,クックパッド,2016年06月26日,https://cookpad.com/recipe/3942810,レシピID:3942810
【文献】鮭とエリンギの酒粕ドリア,クックパッド,2014年10月09日,https://cookpad.com/recipe/2016948,レシピID:2016948
【文献】酒かすと白味噌の万能合わせ味噌,クックパッド,2011年11月04日,https://cookpad.com/recipe/1019752,レシピID:1019752
【文献】NHKテレビテキスト きょうの料理,2009年01月,No. 551,p. 72
【文献】[杜氏流]クリームシチュー,クックパッド [online],2014年06月18日,[検索日 2021.10.18],インターネット<URL: https://cookpad.com/recipe/1632617>,レシピID: 1632617
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Mintel GNPD
Japio-GPG/FX
日経テレコン
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酒粕と乳素材とを含む、乳原料を添加して調理するための食品組成物であって、前記酒粕の量が、前記組成物に対して15質量%以下であり、ルウの形態である、組成物。
【請求項2】
前記酒粕の量が、前記組成物に対して0.05質量%以上である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記酒粕の前記乳素材に対する配合量比が、0.02~4である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記乳素材が、乳原料、乳加工品、マーガリン、クリーミングパウダー、及び植物油脂クリームからなる群より選択される1種以上の素材である、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記乳素材が、非発酵乳素材を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記乳素材が、サワークリームと、前記サワークリーム以外の乳素材とを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物を使用した加工食品。
【請求項8】
乳原料を添加して調理するための食品組成物の製造方法であって、酒粕と乳素材とを混合する工程を含み、
前記酒粕の量が、前記組成物に対して15質量%以下であり、
前記食品組成物が、ルウの形態である、方法。
【請求項9】
乳原料を添加して調理した加工食品の乳感を向上する方法であって、酒粕と乳素材とを混合して、乳原料を添加して調理するための食品組成物を調製する工程、及び、前記組成物を使用して前記加工食品を調製する工程を含むことを特徴とする、方法。
【請求項10】
乳原料を添加して調理した加工食品の白飯に対する相性を向上する方法であって、酒粕と乳素材とを混合して、乳原料を添加して調理するための食品組成物を調製する工程、及び、前記組成物を使用して前記加工食品を調製する工程を含むことを特徴とする、方法。
【請求項11】
前記酒粕が、酒粕粉末である、請求項8~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
酒粕と乳素材とを含む、乳原料を添加して調理するための食品組成物であって、乳原料を添加して調理した加工食品の乳感又は白飯に対する相性を向上するための、組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳原料を添加して調理するための食品組成物に関しており、特に乳原料を添加して調理した加工食品の乳感及び/又は白飯に対する相性を向上することのできる、乳原料を添加して調理するための食品組成物に関している。
【背景技術】
【0002】
乳原料を添加して調理した加工食品であるクリームシチューやクラムチャウダーなどは、白飯やパンなどの主食とは別皿のおかずとして広く知られており、当該加工食品について、これまでは口当たりや乳感を改善するための研究などが行われてきた(特許文献1及び2)。また、酒粕は、周知の食品材料であるが、クリームシチューのルウなどの乳原料を添加して調理するための食品組成物に、これを配合することは知られていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3718652号公報
【文献】特開2013-123377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来は、クリームシチューなどの乳原料を添加して調理した加工食品は、味が優しいため主菜にはなりにくく、ましてやカレーソースやハヤシソースなどのように白飯にかけて喫食するものでもないため、食卓に上る機会が限られていた。そこで、本発明は、乳原料を添加して調理した加工食品の新しい需要を創出すること目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、乳原料を添加して調理するための食品組成物中に、乳素材と併せて酒粕を配合することで、これを使用した加工食品の乳感及び/又は白飯に対する相性を向上することができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下に示す乳原料を添加して調理するための食品組成物、それを使用した加工食品、乳原料を添加して調理するための食品組成物の製造方法、並びに、乳原料を添加して調理した加工食品の乳感及び/又は白飯に対する相性を向上する方法を提供するものである。
〔1〕酒粕と乳素材とを含む、乳原料を添加して調理するための食品組成物。
〔2〕前記酒粕の量が、前記組成物に対して0.05質量%以上である、前記〔1〕に記載の組成物。
〔3〕前記酒粕の前記乳素材に対する配合量比が、0.02~4である、前記〔1〕又は〔2〕に記載の組成物。
〔4〕前記乳素材が、乳原料、乳加工品、マーガリン、クリーミングパウダー、及び植物油脂クリームからなる群より選択される1種以上の素材である、前記〔1〕~〔3〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔5〕前記乳素材が、非発酵乳素材である、前記〔1〕~〔4〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔6〕前記乳素材が、サワークリームと、前記サワークリーム以外の乳素材とを含む、前記〔1〕~〔5〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔7〕ルウ、顆粒、又は、ペーストの形態である、前記〔1〕~〔6〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔8〕前記〔1〕~〔7〕のいずれか一項に記載の組成物を使用した加工食品。
〔9〕乳原料を添加して調理するための食品組成物の製造方法であって、酒粕と乳素材とを混合する工程を含むことを特徴とする、方法。
〔10〕乳原料を添加して調理した加工食品の乳感及び/又は白飯に対する相性を向上する方法であって、酒粕と乳素材とを混合して、乳原料を添加して調理するための食品組成物を調製する工程、及び、前記組成物を使用して前記加工食品を調製する工程を含むことを特徴とする、方法。
〔11〕前記酒粕が、酒粕粉末である、前記〔9〕又は〔10〕に記載の方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明に従えば、乳原料を添加して調理するための食品組成物中に、乳素材と併せて酒粕を配合することで、これを使用した加工食品の乳感及び/又は白飯に対する相性を向上することができる。したがって、クリームシチューなどの乳原料を添加して調理した加工食品を、主菜として提供すること及び/又は白飯の上にかけて提供することが可能となり、例えば、当該加工食品を唯一の主菜又はワンプレート料理として作製するという新規な需要の創出を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の乳原料を添加して調理するための食品組成物は、酒粕と乳素材とを含むことを特徴としている。
【0008】
本明細書に記載の「乳原料を添加して調理するための食品組成物」とは、加工食品の調理のために使用される食品組成物であり、別に添加される乳原料と併せて使用される食品組成物のことをいう。本発明の食品組成物は、ルウ、顆粒、又は、ペーストの形態であってもよい。前記乳原料としては、当技術分野で通常使用されるものを特に限定されることなく使用できるが、例えば、牛乳、豆乳、全脂練乳、脱脂練乳、全脂粉乳、脱脂粉乳、又は、生クリームを使用してもよい。前記加工食品は、前記食品組成物及び前記別に添加される乳原料を使用して調理されるものである限り特に限定されないが、例えば、クリームシチューなどのシチュー、クラムチャウダーなどのスープ、又は、クリームスープパスタなどのスープパスタなどであってもいいし、それらを白飯にかけた料理、又はドリアであってもよい。
【0009】
本明細書に記載の「酒粕」とは、日本酒の製造工程において、発酵後のもろみを圧搾した際に残る固形の残渣のことをいう。前記酒粕としては、当技術分野で通常使用されるものを特に限定されることなく使用できるが、例えば、粉末状、固形状、ペースト状、又は、液状の酒粕を使用してもよい。前記酒粕は、乳原料を添加して調理した加工食品の乳感(乳風味)を向上し、かつ白飯に対する相性を向上することができる。このため、前記酒粕は、本発明の食品組成物及び前記別に添加される乳原料を使用して調理される加工食品を白飯にかけて喫食することを可能とするものである。前記酒粕の量は、前記加工食品の乳感又は白飯に対する相性を向上することができる限り特に限定されないが、例えば、前記食品組成物に対して0.05質量%以上であってもよく、好ましくは0.1質量%以上、特に好ましくは0.2質量%以上である。また、前記酒粕の量は、例えば、前記食品組成物に対して15質量%以下であってもよく、好ましくは10質量%以下、特に好ましくは5質量%以下、さらに特に好ましくは1質量%以下である。前記酒粕の量が上述の範囲内にあると、前記加工食品の乳感又は白飯に対する相性の向上作用が強く発揮され、かつ前記酒粕自身の風味が目立ちにくいため、前記加工食品の風味が全体として優れたものとなる。
【0010】
本明細書に記載の「乳素材」とは、本発明の食品組成物を使用した加工食品に基礎となる乳感(乳風味)を与えるために、当該食品組成物中に配合される原料のことをいう。前記乳素材としては、当技術分野で通常使用されるものを特に制限されることなく使用できるが、例えば、乳原料、乳加工品、マーガリン、クリーミングパウダー、及び植物油脂クリームからなる群より選択される1種以上の素材を使用してもよく、好ましくは、前記乳素材は、発酵されていない乳素材、すなわち非発酵乳素材を含む。前記乳原料は、例えば、牛乳、豆乳、全脂練乳、脱脂練乳、全脂粉乳、脱脂粉乳、又は、生クリームであってもよく、本発明の食品組成物を使用して加工食品を製造する際に併せて使用される前記別に添加される乳原料と同じであってもいいし、異なってもよい。前記乳加工品は、例えば、脂肪置換クリーム、チーズ、バター、バターミルク、又は、発酵乳であってもよい。前記乳素材の量は、前記加工食品に基礎となる乳感を与えることができる限り特に限定されないが、例えば、前記食品組成物に対して1質量%以上であってもよく、好ましくは2質量%以上、特に好ましくは3質量%以上である。また、前記乳素材の量は、例えば、前記食品組成物に対して20質量%以下、15質量%以下、又は、13質量%以下であってもよい。そして、前記酒粕の前記乳素材に対する配合量比は、例えば、0.02~4であってもよく、好ましくは0.03~3、特に好ましくは0.05~1、さらに特に好ましくは0.07~0.2である。
【0011】
好ましい態様では、前記乳素材は、サワークリームと、前記サワークリーム以外の乳素材とを含む。本明細書に記載の「サワークリーム」とは、生クリームを乳酸菌で発酵させた食品のことをいう。前記サワークリームとしては、当技術分野で通常使用されるものを特に限定されることなく使用できるが、例えば、粉末状、又は、ペースト状のサワークリームを使用してもよい。前記サワークリームの量は、前記加工食品の乳感又は白飯に対する相性を向上することができる限り特に限定されないが、例えば、前記食品組成物に対して0.03質量%以上であってもよく、好ましくは0.1質量%以上、特に好ましくは0.3質量%以上である。また、前記サワークリームの量は、例えば、前記食品組成物に対して15質量%以下であってもよく、好ましくは12質量%以下、特に好ましくは10質量%以下である。前記サワークリームの量が上述の範囲内にあると、前記加工食品の乳感又は白飯に対する相性が増強され、かつ前記サワークリーム自身の風味が目立ちにくいため、前記加工食品の風味が全体として向上する。すなわち、前記酒粕と前記サワークリームとを組み合わせて使用すると、それぞれを単独で使用したときと比較して、前記加工食品の乳感又は白飯に対する相性の向上作用が相乗的に発揮される。このような相乗効果は、酒粕と酸味を有する発酵乳とを併用すれば当然に奏されるものではなく、酒粕とサワークリームとを併用したときに初めて奏される特異的な効果である。
【0012】
本発明の食品組成物は、本発明が規定する成分以外にも、当技術分野で通常使用される任意の原料を含んでもよい。前記原料としては、例えば、食用油脂、小麦粉、食塩、砂糖、デキストリン、風味原料、コーンスターチ、畜肉素材、野菜素材、酵母エキス、及び、その他調味料などを使用することができる。
【0013】
ある態様では、本発明は、前記食品組成物を使用した加工食品にも関する。本発明の加工食品は、前記食品組成物及び前記別に添加される乳原料を使用して調理されるものである限り特に限定されないが、例えば、クリームシチューなどのシチュー、クラムチャウダーなどのスープ、又は、クリームスープパスタなどのスープパスタなどであってもいいし、それらを白飯にかけた料理であってもよい。従来は、クリームシチューなどの乳原料を添加して調理した加工食品は、味が優しく白飯との相性が劣っていたため、白飯にかけて喫食するということは通常は行わなかったが、本発明に従えば、乳感及び/又は白飯に対する相性が向上した加工食品を調製できるので、当該加工食品を白飯の上に乗せた料理又は白飯の横に沿えた料理という、新規なジャンルの料理を提供することが可能となる。
【0014】
ある態様では、本発明は、乳原料を添加して調理するための食品組成物の製造方法に関し、これは、酒粕と乳素材とを混合する工程を含む。前記混合工程で使用される酒粕としては、上述のとおり、当技術分野で通常使用されるものを特に限定されることなく使用できるが、前記食品組成物が、ルウ又は顆粒などの水分量の少ない形態である場合には、酒粕粉末を使用することが好ましい。
【0015】
また別の態様では、本発明は、乳原料を添加して調理した加工食品の乳感及び/又は白飯に対する相性を向上する方法に関し、これは、酒粕と乳素材とを混合して、乳原料を添加して調理するための食品組成物を調製する工程、及び、前記組成物を使用して前記加工食品を調製する工程を含む。前記混合工程で使用される酒粕としては、上述のとおり、当技術分野で通常使用されるものを特に限定されることなく使用できるが、前記食品組成物が、ルウ又は顆粒などの水分量の少ない形態である場合には、酒粕粉末を使用することが好ましい。
【0016】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
【実施例
【0017】
以下の表1に示すように、0.02質量部の酒粕粉末、1.4質量部の粉乳、1.0質量部の生クリーム、0.7質量部のチーズ加工品(酵素分解物)、35.7質量部の食用油脂、31.3質量部の小麦粉、7.1質量部の食塩、9.9質量部の砂糖、4.0質量部のデキストリン、4.2質量部の風味原料、及び、5.1質量部のその他調味料を使用して、実施例1の固形ルウを作製した。具体的には、食用油脂の一部及び小麦粉を119℃まで加熱した後、残りの材料を加えて80℃で加熱した。そして、冷却工程、充填工程、固化工程、及び包装工程を経て、固形ルウを作製した。また、表1に記載されている材料及び配合量を採用した以外は実施例1と同様にして、比較例1及び実施例2~7の固形ルウを作製した。なお、実施例5~7で使用したサワークリームパウダーは、乳糖及びデキストリンなどと組み合わせて32質量%のサワークリームを含む食品材料である。
【0018】
次に、各固形ルウを使用してクリームシチューを作製した。具体的には、40質量部の固形ルウ、225質量部の湯、及び75質量部の牛乳を加熱釜に投入し、沸騰させて、クリームシチューを作製した。
【0019】
作製したクリームシチューの「乳感」及び「白飯との相性」を、5名のパネリストの官能評価により、以下に示す基準に従って、基本的には5段階で評価した。結果を表1に示す。
「乳感」
5:風味に奥行及び深みのある乳様のまろやかさがある
4:深みのある乳様のまろやかさが感じられる
3:何口か食べるにつれ、乳様のまろやかさが感じられる
2:まろやかさが感じられるが、乳様とはいえない
1:まろやかさが感じられない
「白飯との相性」
5:香りや甘みが控えめで、かつ濃厚なコクがあり、白飯との相性が大変優れている
4:香りや甘みが控えめで、かつコクがあり、白飯との相性が優れている
3:香りや甘みが控えめだがコクが弱く、白飯との相性が優れているとはいえない
2:香りや甘みが控えめだがコクが明らかに不足し、白飯との相性がやや劣っている
1:香りや甘みが強く、白飯との相性が劣っている
【0020】
【表1】
5(※):香りや甘みが控えめで、濃厚なコクがあり、かつ爽やかな酸味も感じられるので、白飯との相性は「5」よりも優れている。
4(※):香りや甘みは控えめで、濃厚なコクも感じられるが、酒粕の風味がやや目立つので、白飯との相性は「4」よりも優れるが「5」には及ばない。
3(※):香りや甘みは控えめだが、酒粕の風味が目立つので、白飯との相性は「3」よりも優れるが「4」には及ばない。
【0021】
酒粕を含まない従来の固形ルウを使用したクリームシチューは、何口か食べるにつれ、乳様のまろやかさが感じられるものの、香りや甘みが強く、白飯との相性は劣っていた(比較例)。これに対して、酒粕を含む固形ルウを使用したクリームシチューでは、酒粕の量が増えるに従って、乳感が向上し、かつ香りや甘みが抑えられて、白飯との相性が向上した(実施例1~5)。特に、酒粕及びサワークリームを含む固形ルウを使用したクリームシチューでは、サワークリームの酸味が追加されることによって白飯との相性がさらに向上した(実施例5)。酒粕の配合量をさらに増やした固形ルウを使用したクリームシチューでは、酒粕の風味が目立ってしまったが、乳感は向上した(実施例6及び7)。
【0022】
以上より、乳原料を添加して調理するための食品組成物中に、乳素材と併せて酒粕を配合すると、これを使用した加工食品の乳感及び/又は白飯に対する相性を向上できることがわかった。したがって、クリームシチューなどの乳原料を添加して調理した加工食品を、主菜として提供すること及び/又は白飯の上にかけて提供することが可能となる。