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特許7169092焦点距離可変レンズ装置および焦点距離可変レンズ制御方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-01
(45)【発行日】2022-11-10
(54)【発明の名称】焦点距離可変レンズ装置および焦点距離可変レンズ制御方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 3/14 20060101AFI20221102BHJP
   G02B 21/00 20060101ALI20221102BHJP
   G02B 21/36 20060101ALI20221102BHJP
【FI】
G02B3/14
G02B21/00
G02B21/36
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018097135
(22)【出願日】2018-05-21
(65)【公開番号】P2019203924
(43)【公開日】2019-11-28
【審査請求日】2021-04-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 裕
(72)【発明者】
【氏名】酒井 裕志
【審査官】池田 博一
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-298755(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0285319(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0035673(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102004034956(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 3/14
G02B 21/00
G02B 21/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部の液体に定在波を発生させる周波数の駆動信号により周期的に焦点距離が変化する焦点距離可変レンズと、前記焦点距離可変レンズを通して測定対象物の画像検出を実行可能な画像検出部と、前記焦点距離可変レンズの前記焦点距離に関する画像検出条件に基づいて前記画像検出部に前記画像検出を実行させるレンズ制御部と、前記レンズ制御部に前記画像検出条件を設定する画像検出条件設定部と、を有する焦点距離可変レンズ装置であって、
前記画像検出条件設定部は、前記画像検出条件として、少なくとも1つのマルチプレーン画像検出動作と、少なくとも1つのシングルプレーン画像検出動作と、を含む画像検出ループを繰り返すコンバインドモードを設定可能であり、
前記マルチプレーン画像検出動作では、前記焦点距離可変レンズの前記焦点距離が変化する1周期の間に、前記画像検出を行う前記焦点距離を複数設定可能であり、
前記シングルプレーン画像検出動作では、前記焦点距離可変レンズの前記焦点距離が変化する1周期の間に、前記画像検出を行う前記焦点距離を1つ設定可能であることを特徴とする焦点距離可変レンズ装置。
【請求項2】
請求項1に記載した焦点距離可変レンズ装置において、
前記画像検出条件設定部は、複数の画像検出モードのいずれかを選択して前記レンズ制御部に設定可能であり、
前記画像検出モードは、前記コンバインドモードを含むとともに、シングルプレーンモードと、マルチプレーンモードと、フレームバイフレームモードとを含み、
前記シングルプレーンモードでは、前記焦点距離が1つ指定された前記シングルプレーン画像検出動作のみを含む画像検出ループを繰り返し実行させ、
前記マルチプレーンモードでは、前記焦点距離が複数指定された前記マルチプレーン画像検出動作のみを含む画像検出ループを繰り返し実行させ、
前記フレームバイフレームモードでは、前記焦点距離が互いに異なる複数の前記シングルプレーン画像検出動作を含む画像検出ループを繰り返し実行させることを特徴とする焦点距離可変レンズ装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載した焦点距離可変レンズ装置において、
前記焦点距離可変レンズが、入力される駆動信号に応じて屈折率が変化する液体レンズユニットと、前記液体レンズユニットと同じ光軸上に配置された対物レンズと、を有することを特徴とする焦点距離可変レンズ装置。
【請求項4】
内部の液体に定在波を発生させる周波数の駆動信号により周期的に焦点距離が変化する焦点距離可変レンズと、前記焦点距離可変レンズを通して測定対象物の画像検出を実行可能な画像検出部と、前記焦点距離可変レンズの前記焦点距離に関する画像検出条件に基づいて前記画像検出部に前記画像検出を実行させるレンズ制御部と、前記レンズ制御部に前記画像検出条件を設定する画像検出条件設定部と、を有する焦点距離可変レンズ装置を用い、
前記画像検出条件として、少なくとも1つのマルチプレーン画像検出動作と、少なくとも1つのシングルプレーン画像検出動作と、を含む画像検出ループを繰り返すコンバインドモードを設定し、
前記マルチプレーン画像検出動作では、前記焦点距離可変レンズの前記焦点距離が変化する1周期の間に、前記画像検出を行う前記焦点距離を複数設定し、
前記シングルプレーン画像検出動作では、前記焦点距離可変レンズの前記焦点距離が変化する1周期の間に、前記画像検出を行う前記焦点距離を1つ設定することを特徴とする焦点距離可変レンズ制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は焦点距離可変レンズ装置および焦点距離可変レンズ制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
焦点距離可変レンズ装置として、例えば特許文献1に記載された原理の液体レンズシステム(以下単にレンズシステムと呼ぶことがある)を利用した装置が開発されている。
液体レンズシステムは、圧電材料で形成された円筒状の振動部材を、透明な液体に浸漬して形成される。液体レンズシステムにおいて、振動部材の内周面と外周面とに交流電圧を印加すると、振動部材が厚み方向に伸縮し、振動部材の内側の液体を振動させる。液体の固有振動数に応じて印加電圧の周波数を調整すると、液体に同心円状の定在波が形成され、振動部材の中心軸線を中心として屈折率が異なる同心円状の領域が形成される。この状態で、振動部材の中心軸線に沿って光を通すと、この光は同心円状の領域ごとの屈折率に従って発散または収束する経路を辿ることになる。
【0003】
焦点距離可変レンズ装置は、前述した液体レンズシステムと、焦点を結ぶための対物レンズ(例えば通常の凸レンズあるいはレンズ群)とを、同じ光軸上に配置して構成される。液体レンズシステムは、液体レンズユニットとしてパッケージ化され、焦点距離可変レンズ装置に組み込まれる。
通常の対物レンズに平行光を入射させると、レンズを通過した光は所定の焦点距離にある焦点位置に焦点を結ぶ。これに対し、対物レンズと同軸に配置されたレンズシステムに平行光を入射させると、この光はレンズシステムで発散または収束され、対物レンズを通過した光は元の(レンズシステムがなかった状態の)焦点位置よりも遠くまたは近くにずれた位置に焦点を結ぶ。
従って、焦点距離可変レンズ装置においては、レンズシステムに入力される駆動信号(内部の液体に定在波を発生させる周波数の交流電圧)を印加し、この駆動信号の振幅を増減させることで、焦点距離可変レンズ装置としての焦点位置を一定の範囲内(対物レンズの焦点距離を基準としてレンズシステムにより増減できる所定の変化幅)で任意に制御することができる。
【0004】
焦点距離可変レンズ装置において、レンズシステムに入力される駆動信号としては、例えば正弦波状の交流信号が用いられる。このような駆動信号が入力されると、焦点距離可変レンズ装置の焦点距離(焦点位置)は正弦波状に変化する。この際、駆動信号の振幅が0のとき、レンズシステムを通る光は屈折されず、焦点距離可変レンズ装置の焦点距離は対物レンズの焦点距離となる。駆動信号の振幅が正負のピークにあるとき、レンズシステムを通る光は最も大きく屈折され、焦点距離可変レンズ装置の焦点距離は対物レンズの焦点距離から最も変化した状態となる。
このような焦点距離可変レンズ装置を用いて画像を取得する際には、駆動信号の正弦波の位相に同期して発光信号を出力してパルス照明を行う。これにより、正弦波状に変化する焦点距離のうち、所定の焦点距離に合焦した状態でパルス照明を行うことで、この焦点距離にある対象物の画像が検出される。一周期のうち複数の位相でパルス照明を行い、各位相に対応して画像検出を行えば、同時に複数の焦点距離の画像を得ることもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許出願公開第2010/0177376号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した焦点距離可変レンズ装置において、一周期のうち単一の位相でパルス照明および画像検出を行うと(シングルプレーン画像検出動作)、その位相に相当する焦点距離にある単一の合焦面(プレーン)に合焦した検出画像(シングルプレーン検出画像)が得られる。
シングルプレーン画像検出動作では、対象物の表面のうち合焦面にある部位は合焦した鮮明な状態で撮像される。ただし、合焦面から外れた部位(焦点距離が遠いまたは近い部位)は焦点がずれた(ぼけた)状態で撮像される。
【0007】
一方、一周期のうち複数の位相でパルス照明および画像検出を行うと(マルチプレーン画像検出動作)、各々の位相に相当する複数の焦点距離の各々で画像が順次検出され、順次重畳されて1つの検出画像(マルチプレーン検出画像)とされる。その結果、複数の合焦面に合焦した画像が得られる。
ただし、マルチプレーン画像検出動作では、対象物の一部がいずれかの合焦面で鮮明に撮像されても、他の合焦面ではぼけた状態で撮像される。このような各合焦面での画像情報が重畳されることで、例えば鮮明なエッジの周辺が滲んだような画像となるなど、鮮明な画像品質が保てないという問題があった。
【0008】
このような画像品質の低下に対し、前述したシングルプレーン画像検出動作を、複数の焦点距離に対して順次行うことがある(フレームバイフレーム画像検出動作)。
すなわち、指定された複数の焦点距離に対して、先ず第1の焦点距離についてシングルプレーン画像検出動作を行い、続いて第2の焦点距離についてシングルプレーン画像検出動作を行い、これらを指定された焦点距離の数だけ繰り返す。
このようなフレームバイフレーム画像検出動作では、各々の焦点距離に対する画像検出がシングルプレーン画像検出動作であるため、それぞれ合焦状態で鮮明な画像が得られる。
しかし、フレームバイフレーム画像検出動作では、指定する焦点距離の数だけのシングルプレーン画像検出動作を行うため、指定する焦点距離の数が増えた場合には、画像検出時間が長大化するという問題があった。
【0009】
本発明の目的は、複数の焦点距離に対して十分な画像品質が得られるとともに画像検出時間を短縮できる焦点距離可変レンズ装置および焦点距離可変レンズ制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の焦点距離可変レンズ装置は、周期的に焦点距離が変化する焦点距離可変レンズと、前記焦点距離可変レンズを通して測定対象物の画像検出を実行可能な画像検出部と、前記焦点距離可変レンズの前記焦点距離に関する画像検出条件に基づいて前記画像検出部に前記画像検出を実行させるレンズ制御部と、前記レンズ制御部に前記画像検出条件を設定する画像検出条件設定部と、を有する焦点距離可変レンズ装置であって、前記画像検出条件設定部は、前記画像検出条件として、少なくとも1つのマルチプレーン画像検出動作と、少なくとも1つのシングルプレーン画像検出動作と、を含む画像検出ループを繰り返すコンバインドモードを設定可能であり、前記マルチプレーン画像検出動作では、前記焦点距離可変レンズの前記焦点距離が変化する1周期の間に、前記画像検出を行う前記焦点距離を複数設定可能であり、前記シングルプレーン画像検出動作では、前記焦点距離可変レンズの前記焦点距離が変化する1周期の間に、前記画像検出を行う前記焦点距離を1つ設定可能であることを特徴とする。
【0011】
本発明では、画像検出条件設定部で設定した画像検出条件に基づいて、レンズ制御部が焦点距離可変レンズを制御し、画像検出部により画像検出を行うことができる。
この際、画像検出条件としてコンバインドモードを設定すると、画像検出部は、少なくとも1つのマルチプレーン画像検出動作と、少なくとも1つのシングルプレーン画像検出動作とを含む画像検出ループを繰り返し実行する。
【0012】
例えば、3つの焦点距離の画像検出を行う場合、コンバインドモードでは、一周期に3つの焦点距離が設定されたマルチプレーン画像検出動作と、各々1つの焦点距離が設定された2つのシングルプレーン画像検出動作とを含む画像検出ループを繰り返す。
このようなコンバインドモードで検出される画像は、マルチプレーン画像検出動作により、全ての焦点距離に合焦した画像情報を含むが、他の焦点距離の画像情報も含まれて必ずしも鮮明ではない。一方、シングルプレーン画像検出動作により、2つの焦点距離については鮮明な画像となる。
従って、マルチプレーン画像検出動作により、従来のマルチプレーン画像検出と同様な結果が得られるとともに、シングルプレーン画像検出動作により、従来のマルチプレーン画像検出動作では得られなかった高い画像品質を得ることができる。
【0013】
さらに、従来のフレームバイフレーム画像検出動作では、焦点距離の数だけの画像検出を繰り返す必要があり、焦点距離の数が増加すると画像検出時間が長大化していたが、本発明のコンバインドモードでは、シングルプレーン画像検出動作の数を抑制することができ、画像検出時間を短縮できる。すなわち、5つの焦点距離に対して従来のフレームバイフレーム画像検出を行うと、シングルプレーン画像検出の5フレーム分の時間が必要である。しかし、本発明のコンバインドモードでは、例えば5つの焦点距離に対して画像検出を行うが鮮明な画像は2つの焦点距離だけでよい場合、マルチプレーン画像検出動作で5つの焦点距離の画像情報を確保したうえで、2つのシングルプレーン画像検出動作を行えばよく、合計3フレーム分の時間で済ませることができる。
以上により、本発明の焦点距離可変レンズ装置によれば、複数の焦点距離に対して十分な画像品質が得られるとともに画像検出時間を短縮することができる。
【0014】
本発明の焦点距離可変レンズ装置において、前記画像検出条件設定部は、複数の画像検出モードのいずれかを選択して前記レンズ制御部に設定可能であり、前記画像検出モードは、前記コンバインドモードを含むとともに、シングルプレーンモードと、マルチプレーンモードと、フレームバイフレームモードとを含み、前記シングルプレーンモードでは、前記焦点距離が1つ指定された前記シングルプレーン画像検出動作のみを含む画像検出ループを繰り返し実行させ、前記マルチプレーンモードでは、前記焦点距離が複数指定された前記マルチプレーン画像検出動作のみを含む画像検出ループを繰り返し実行させ、前記フレームバイフレームモードでは、前記焦点距離が互いに異なる複数の前記シングルプレーン画像検出動作を含む画像検出ループを繰り返し実行させることが好ましい。
【0015】
本発明では、画像検出モードとして、本発明に基づくコンバインドモードが選択できるとともに、従来のシングルプレーンモード、マルチプレーンモード、フレームバイフレームモードを選択することができる。これにより、必要に応じて従来同様な画像検出動作が確保できるとともに、本発明のコンバインドモードの効果を得ることができる。
【0016】
本発明の焦点距離可変レンズ装置において、前記焦点距離可変レンズが、入力される駆動信号に応じて屈折率が変化する液体レンズユニットと、前記液体レンズユニットと同じ光軸上に配置された対物レンズと、を有することが好ましい。
【0017】
本発明では、対物レンズで基本的な結像が得られるとともに、液体レンズユニットにより焦点距離を変更可能である。液体レンズユニットを用いることで、焦点距離を可変とするための機械的な手段が必要なく、装置構成を簡素化できる。また、液体レンズユニットは、数十キロヘルツに及ぶ高速で焦点距離を周期的に変化させることができ、複数の焦点距離での画像を重畳したマルチプレーン画像も容易に得ることができ、本発明における焦点距離可変レンズとして最適である。
【0018】
本発明の焦点距離可変レンズ制御方法は、周期的に焦点距離が変化する焦点距離可変レンズと、前記焦点距離可変レンズを通して測定対象物の画像検出を実行可能な画像検出部と、前記焦点距離可変レンズの前記焦点距離に関する画像検出条件に基づいて前記画像検出部に前記画像検出を実行させるレンズ制御部と、前記レンズ制御部に前記画像検出条件を設定する画像検出条件設定部と、を有する焦点距離可変レンズ装置を用い、前記画像検出条件として、少なくとも1つのマルチプレーン画像検出動作と、少なくとも1つのシングルプレーン画像検出動作と、を含む画像検出ループを繰り返すコンバインドモードを設定し、前記マルチプレーン画像検出動作では、前記焦点距離可変レンズの前記焦点距離が変化する1周期の間に、前記画像検出を行う前記焦点距離を複数設定し、前記シングルプレーン画像検出動作では、前記焦点距離可変レンズの前記焦点距離が変化する1周期の間に、前記画像検出を行う前記焦点距離を1つ設定することを特徴とする。
本発明では、本発明の焦点距離可変レンズ装置で説明した通りの効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、複数の焦点距離に対して十分な画像品質が得られるとともに画像検出時間を短縮できる焦点距離可変レンズ装置および焦点距離可変レンズ制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態を示す模式図。
図2】前記実施形態の液体レンズユニットの構成を示す模式図。
図3】前記実施形態の液体レンズユニットの振動状態を示す模式図。
図4】前記実施形態の液体レンズユニットの焦点距離を示す模式図。
図5】前記実施形態の制御部分を示すブロック図。
図6】前記実施形態の画像検出動作を示すフローチャート。
図7】前記実施形態のシングルプレーンモードを示すグラフ。
図8】前記シングルプレーンモードでの合焦状態を示す模式図。
図9】前記シングルプレーンモードでの検出画像を示す模式図。
図10】前記実施形態のマルチプレーンモードを示すグラフ。
図11】前記マルチプレーンモードでの合焦状態を示す模式図。
図12】前記マルチプレーンモードでの検出画像を示す模式図。
図13】前記実施形態の別のマルチプレーンモードを示すグラフ。
図14】前記別のマルチプレーンモードでの合焦状態を示す模式図。
図15】前記マルチプレーンモードでの検出画像を示す模式図。
図16】前記実施形態のフレームバイフレームモードを示すグラフ。
図17】前記フレームバイフレームモードでの合焦状態を示す模式図。
図18】前記フレームバイフレームモードでの検出画像を示す模式図。
図19】前記実施形態のコンバインドモードを示すグラフ。
図20】前記コンバインドモードでの合焦状態を示す模式図。
図21】前記コンバインドモードでの検出画像を示す模式図。
図22】前記実施形態の別のコンバインドモードを示すグラフ。
図23】前記別のコンバインドモードでの合焦状態を示す模式図。
図24】前記別のコンバインドモードでの検出画像を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
〔焦点距離可変レンズ装置1〕
図1において、焦点距離可変レンズ装置1は、焦点距離を可変しつつ測定対象物9の表面の画像を検出するものである。
このために、焦点距離可変レンズ装置1は、当該表面に交差する同じ光軸A上に配置された対物レンズ2および液体レンズユニット3と、対物レンズ2および液体レンズユニット3を通して得られる測定対象物9の画像を検出する画像検出部4と、測定対象物9の表面をパルス照明するパルス照明部5と、を備えている。
焦点距離可変レンズ装置1においては、対物レンズ2および液体レンズユニット3により焦点距離可変レンズが構成される。
【0022】
さらに、焦点距離可変レンズ装置1は、液体レンズユニット3およびパルス照明部5の動作を制御するレンズ制御部6と、レンズ制御部6を操作するための制御用PC7と、を備えている。
制御用PC7は、既存のパーソナルコンピュータにより構成され、所定の制御用ソフトウェアを実行することで所期の機能が実現される。制御用PC7には、画像検出部4から画像を取り込んで処理する機能も含まれている。
【0023】
対物レンズ2は、既存の凸レンズで構成される。
画像検出部4は、既存のCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサあるいは他の形式のカメラ等で構成され、入射される画像Lgを所定の信号形式の検出画像Imとして制御用PC7へ出力することができる。
パルス照明部5は、LED(Light Emitting Diode)などの発光素子で構成され、レンズ制御部6から発光信号Ciが入力された際に、所定時間だけ照明光Liを発光させ、測定対象物9の表面に対するパルス照明を行うことができる。照明光Liは測定対象物9の表面で反射され、測定対象物9の表面からの反射光Lrが対物レンズ2および液体レンズユニット3を通して画像Lgを形成する。
【0024】
液体レンズユニット3は、内部に液体レンズシステムが構成され、レンズ制御部6から入力される駆動信号Cfに応じて屈折率が変化する。駆動信号Cfは、液体レンズユニット3に定在波を発生させる周波数の交流であって、正弦波状の交流信号である。
焦点距離可変レンズ装置1において、焦点位置Pfまでの焦点距離Dfは、対物レンズ2の焦点距離を基本としつつ、液体レンズユニット3の屈折率を変化させることで、任意に変化させることができる。
【0025】
〔液体レンズユニット3〕
図2において、液体レンズユニット3は、円筒形のケース31を有し、ケース31の内部には円筒状の振動部材32が設置されている。振動部材32は、その外周面33とケース31の内周面との間に介装されたエラストマ製のスペーサ39で支持されている。
振動部材32は、圧電材料を円筒状に形成したものであり、外周面33と内周面34との間に駆動信号Cfの交流電圧が印加されることで、厚み方向に振動する。
ケース31の内部には、透過性の高い液体35が充填されており、振動部材32は全体を液体35に浸漬され、円筒状の振動部材32の内側は液体35で満たされている。駆動信号Cfの交流電圧は、振動部材32の内側にある液体35に定在波を発生させる周波数(例えば70KHz)に調整されている。
【0026】
図3に示すように、液体レンズユニット3においては、振動部材32を振動させると、内部の液体35に定在波が生じ、屈折率が交替する同心円状の領域が生じる(図3(A)部および図3(B)部参照)。
このとき、液体レンズユニット3の中心軸線からの距離(半径)と液体35の屈折率との関係は、図3(C)部に示す屈折率分布Wのようになる。
【0027】
図4において、駆動信号Cfは正弦波状の交流信号であるため、液体レンズユニット3における液体35の屈折率分布Wの変動幅もこれに従って変化する。そして、液体35に生じる同心円状の領域の屈折率が正弦波状に変化し、これにより焦点位置Pfまでの焦点距離Dfが正弦波状に変動する。
図4(A)の状態では、屈折率分布Wの振れ幅が最大となり、液体レンズユニット3は通過する光を収束させ、焦点位置Pfは近く、焦点距離Dfは最短となっている。
図4(B)の状態では、屈折率分布Wが平坦となり、液体レンズユニット3は通過する光をそのまま通過させ、焦点位置Pfおよび焦点距離Dfは標準的な値となっている。
図4(C)の状態では、屈折率分布Wが図4(A)と逆極性で振れ幅が最大となり、液体レンズユニット3は通過する光を拡散させ、焦点位置Pfは遠く、焦点距離Dfは最大となっている。
図4(D)の状態では、再び屈折率分布Wが平坦となり、液体レンズユニット3は通過する光をそのまま通過させ、焦点位置Pfおよび焦点距離Dfは標準的な値となっている。
図4(E)の状態では、再び図4(A)の状態に戻っており、以下同様の変動を繰り返すことになる。
【0028】
このように、焦点距離可変レンズ装置1においては、駆動信号Cfは正弦波状の交流信号であり、焦点位置Pfおよび焦点距離Dfも図4の焦点変動波形Mfのように正弦波状に変動する。
この際、焦点変動波形Mfの任意の時点で焦点位置Pfにある測定対象物9をパルス照明し、その時点で照明された画像を検出すれば、任意の照明時点での焦点距離Dfにある焦点位置Pfの画像が得られることになる。
【0029】
〔レンズ制御部6〕
図5に示すように、焦点距離可変レンズ装置1において、液体レンズユニット3の振動、パルス照明部5の発光および画像検出部4の画像検出は、レンズ制御部6からの駆動信号Cfおよび発光信号Ciおよび画像検出信号Ccにより制御される。この際、レンズ制御部6には、液体レンズユニット3の振動状態Vfとして、液体レンズユニット3に加えられる有効電力あるいは駆動電流などが返される。
レンズ制御部6は、液体レンズユニット3に駆動信号Cfを出力する駆動制御部61と、パルス照明部5に発光信号Ciを出力する発光制御部62と、画像検出部4に画像検出信号Ccを出力する画像検出制御部63とを有する。
レンズ制御部6の設定などの画像検出条件を操作するために、制御用PC7が接続されている。
【0030】
〔制御用PC7〕
制御用PC7は、画像検出条件の設定などのレンズ制御部6に対する操作を行うレンズ操作部71と、画像検出部4から検出画像Imを取り込んで処理する画像処理部72と、焦点距離可変レンズ装置1に対するユーザの操作を受け付ける操作インターフェイス73と、を有する。
レンズ操作部71は、本発明に基づく画像検出条件設定部711を有する。
【0031】
画像検出条件設定部711は、操作インターフェイス73を介してユーザの操作を受け付け、画像検出条件として複数の画像検出モードのいずれかを選択する。複数の画像検出モードとしては、シングルプレーンモード、マルチプレーンモード、フレームバイフレームモードおよびコンバインドモードが選択可能である。
【0032】
これらの画像検出モードは、後に具体的に詳述するが、レンズ制御部6に設定されることで、レンズ制御部6が液体レンズユニット3、画像検出部4およびパルス照明部5に次のような画像検出動作を実行させる。
シングルプレーンモードでは、レンズ制御部6に、焦点距離Dfが1つ指定されたシングルプレーン画像検出動作のみを含む画像検出ループを繰り返し実行させる。
マルチプレーンモードでは、レンズ制御部6に、焦点距離Dfが複数指定されたマルチプレーン画像検出動作のみを含む画像検出ループを繰り返し実行させる。
フレームバイフレームモードでは、レンズ制御部6に、焦点距離Dfが互いに異なる複数のシングルプレーン画像検出動作を含む画像検出ループを繰り返し実行させる。フレームバイフレームモードにおいて、シングルプレーン画像検出動作の数(1ループで検出される画像の数)および各々における焦点距離Dfは、ユーザが選択することができる。
【0033】
コンバインドモードでは、レンズ制御部6に、少なくとも1つのマルチプレーン画像検出動作と、少なくとも1つのシングルプレーン画像検出動作と、を含む画像検出ループを繰り返し実行させる。
コンバインドモードにおけるマルチプレーン画像検出動作では、液体レンズユニット3の焦点距離Dfが変化する1周期(駆動信号Cfとされる正弦波状の焦点変動波形Mfの1周期)の間に、画像検出を行う焦点距離Dfを複数設定可能である。
コンバインドモードにおけるシングルプレーン画像検出動作では、液体レンズユニット3の焦点距離Dfが変化する1周期の間に、画像検出を行う焦点距離Dfを1つ設定可能である。コンバインドモードに複数のシングルプレーン画像検出動作がある場合、それぞれ異なる焦点距離Dfが設定可能である。
【0034】
画像検出条件設定部711は、選択された画像検出モードに必要なパラメータ(焦点距離Dfの数や値、シングルプレーン画像検出動作の数など)を設定し、画像検出条件としてレンズ制御部6に設定する。
画像検出条件を設定されたレンズ制御部6が、液体レンズユニット3、画像検出部4およびパルス照明部5を制御することで、指定された画像検出モードの画像検出ループを繰り返して焦点距離可変レンズ装置1に所望の画像検出を実行させることができる。
【0035】
〔画像検出条件設定〕
図6には、画像検出条件設定部711による設定操作および同設定に基づくレンズ制御部6の制御動作の手順が示されている。
画像検出条件設定部711では、先ず画像検出モードの指定を受け付ける(処理S1)。画像検出モードの指定は、ユーザが操作インターフェイス73(図5参照)を操作することで行われる。
ユーザの操作に基づいて、画像検出条件設定部711は、画像検出モードとして、シングルプレーンモードの設定(処理S11)、マルチプレーンモードの設定(処理S21)、フレームバイフレームモードの設定(処理S31)、コンバインドモードの設定(処理S41)のいずれかを行う。
【0036】
画像検出モードが設定されたら、画像検出条件設定部711は、画像検出モードごとにその画像検出モードに必要なパラメータを設定する。これらのパラメータの設定も、ユーザが操作インターフェイス73(図5参照)を操作することで行われる。
シングルプレーンモードが設定(処理S11)されている場合、画像検出動作の間繰り返し実行される画像検出ループがシングルプレーン画像検出動作だけで構成されるため、このシングルプレーン画像検出動作における1つの焦点距離Df(焦点距離D1)だけを設定する(処理S12)。
【0037】
マルチプレーンモードが設定(処理S21)されている場合、画像検出動作の間繰り返し実行される画像検出ループがマルチプレーン画像検出動作だけで構成されるため、このマルチプレーン画像検出動作における合焦面の数(焦点数np)と、各合焦面の焦点距離Df(焦点距離D1~Dnp)とを設定する(処理S22)。
フレームバイフレームモードが設定(処理S31)されている場合、画像検出動作の間繰り返し実行される画像検出ループが複数のシングルプレーン画像検出動作で構成されるため、シングルプレーン画像検出動作で検出する画面(フレーム)の数(画面数nf)と、各画面の焦点距離Df(焦点距離Df1~Dnf)とを設定する(処理S32)。
【0038】
コンバインドモードが設定(処理S41)されている場合、画像検出動作の間繰り返し実行される画像検出ループが、1つ以上のマルチプレーン画像検出動作と、1つ以上のシングルプレーン画像検出動作で構成される。このため、マルチプレーン画像検出動作のパラメータとして、合焦面の数(焦点数np)と、各合焦面の焦点距離Df(焦点距離D1~Dnp)とを設定する(処理S42)。併せて、シングルプレーン画像検出動作のパラメータとして、検出する画面(フレーム)の数(画面数nf)と、各画面の焦点距離Df(焦点距離Df1~Dnf)とを設定する(処理S43)。
これらの処理S42と処理S43とは、順番が逆でもよく同時並行でもよい。
【0039】
コンバインドモードにおいて、マルチプレーン画像検出動作の焦点数npおよびシングルプレーン画像検出動作の画面数nfは任意に選択できる。マルチプレーン画像検出動作における複数の焦点距離D1~Dnpとシングルプレーン画像検出動作で設定する焦点距離Df1~Dnfは、同じ値であってもよいし、異なる値としてもよい。主な用途としては、マルチプレーン画像検出動作において複数の焦点距離D1~Dnpについて概略検出を行い、そのうちいずれかを焦点距離Df1~Dnfとして設定し、シングルプレーン画像検出動作による詳細検出を行うという形態が挙げられる。
【0040】
画面検出モード毎のパラメータが設定されたら、画像検出条件設定部711は、設定された画像検出モードおよびそのパラメータをレンズ制御部6に送る。画像検出モードおよびパラメータが送られたレンズ制御部6は、その内容に基づいて液体レンズユニット3、画像検出部4およびパルス照明部5を制御し、ユーザが指定した画像検出動作を実行させる。
【0041】
シングルプレーンモードが設定(処理S11)されている場合、レンズ制御部6は、焦点距離D1のシングルプレーン画像検出動作だけで構成される画像検出ループを繰り返し実行させる(処理S13)。
マルチプレーンモードが設定(処理S21)されている場合、レンズ制御部6は、焦点距離D1~Dnpのマルチプレーン画像検出動作だけで構成される画像検出ループを繰り返し実行させる(処理S23)。
フレームバイフレームモードが設定(処理S31)されている場合、レンズ制御部6は、画面数nfのシングルプレーン画像検出動作(それぞれ焦点距離Df1~Dnf)が連続する画像検出ループを繰り返し実行させる(処理S33)。
コンバインドモードが設定(処理S41)されている場合、レンズ制御部6は、焦点距離D1~Dnpのマルチプレーン画像検出動作(処理S44)と、画面数nfのシングルプレーン画像検出動作(それぞれ焦点距離Df1~Dnf,処理S45)とが連続する画像検出ループを繰り返し実行させる。
【0042】
次に、本実施形態におけるシングルプレーンモード、マルチプレーンモード、フレームバイフレームモードおよびコンバインドモードの具体的な動作について説明する。
【0043】
〔シングルプレーンモード〕
図7から図9は本実施形態におけるシングルプレーンモードの動作を示す。
図7において、シングルプレーンモードでは、シングルプレーン画像検出動作Cmsのみを含む画像検出ループLPsを、レンズ制御部6に繰り返し実行させる。
ここで、駆動信号Cfは、液体レンズユニット3(図1参照)を駆動するためにレンズ制御部6から与えられる正弦波状の焦点変動波形Mf(図4参照)である。駆動信号Cfが最大値のとき、液体レンズユニット3および対物レンズ2(図1参照)の焦点距離Dfが最近の焦点距離Dtとなり、駆動信号Cfが最小値のとき焦点距離Dfが最遠の焦点距離Dbとなる。
シングルプレーンモードの画像検出ループLPsでは、駆動信号Cfの一周期のうち、指定された焦点距離D1に対応する位相θ1の位置でレンズ制御部6からパルス照明部5(図1参照)への発光信号Ciが送られることで、画像検出部4(図1参照)により、焦点距離D1に合焦したシングルプレーン検出画像Ims(図9参照)が得られる。
【0044】
図8において、測定対象物9は表面に高さが異なる部位91,92,93を有する。各部位91,92,93は、前述した最近焦点距離Dtと最遠焦点距離Dbとの間(各々に対応する合焦面Pt,Pbの間)に配置されている。従って、対物レンズ2および液体レンズユニット3は、各部位91,92,93に一致する合焦面P1,P2,P3にそれぞれ合焦させることができる。
シングルプレーン画像検出動作Cmsが焦点距離D1に設定されており、焦点距離D1が合焦面P1に対応しているとすると、合焦面P1に一致する部位91は合焦状態で画像検出される。一方、部位92,93(合焦面P2,P3に一致)は合焦面P1から外れており、合焦しない状態で画像検出される。
【0045】
図9において、シングルプレーン検出画像Imsのうち、部位91に対応する領域I91は、合焦した状態で検出されるため、明るく鮮明な画像として検出される。一方、部位92,93に対応する領域I92,I93は、合焦から外れた状態で検出されるため、それぞれ合焦面P1からの距離に応じて暗く不鮮明な画像として検出される。
従って、領域I91についての鮮明な画像が得られれば十分であり、領域I92,I93の画像の鮮明さが必要でない場合、このシングルプレーンモードを利用すればよい。
【0046】
〔マルチプレーンモード.1〕
図10から図12は本実施形態におけるマルチプレーンモードの動作を示す。
図10において、マルチプレーンモードでは、マルチプレーン画像検出動作Cmmのみを含む画像検出ループLPmを、レンズ制御部6に繰り返し実行させる。
ここで、図10および図11における駆動信号Cf、焦点距離Dt,Db、合焦面Pt,Pbは、図7および図8で説明した通りである。
マルチプレーンモードの画像検出ループLPmでは、焦点数np=2とすると、駆動信号Cfの一周期に2つの焦点距離D1,D2が指定され、各々に対応する位相θ1,θ2の位置でレンズ制御部6から発光信号Ciが送られ、焦点距離D1,D2に合焦したマルチプレーン検出画像Imm(図12参照)が得られる。
【0047】
図11において、マルチプレーン画像検出動作Cmmが焦点距離D1,D2(合焦面P1,P2)に設定されているとすると、合焦面P1,P2に一致する部位91,92はそれぞれ合焦状態で画像検出される。ただし、部位91(合焦面P1)に合焦した状態では、部位92(合焦面P2)は合焦しない状態で画像検出され、部位92(合焦面P2)に合焦した状態では、部位91(合焦面P1)は合焦しない状態で画像検出される。
【0048】
図12において、マルチプレーン検出画像Immのうち、部位91に対応する領域I91は、焦点距離D1のとき合焦した状態となり、明るく鮮明な画像として検出される。また、部位92に対応する領域I92は、焦点距離D2のとき合焦した状態となり、明るく鮮明な画像として検出される。つまり、領域I91,I92の2つともに鮮明な画像として検出することができる。
ただし、領域I91は、焦点距離D2のとき合焦しない暗く不鮮明な状態で検出され、これが焦点距離D1での鮮明な画像と重畳される結果、やや暗い不鮮明な画像(シングルプレーン検出画像Imsの領域I91に比べて)となる。領域I92についても同様である。
一方、部位93に対応する領域I93は、焦点距離D1,D2のいずれにおいても合焦から外れるため、領域I91,I92と比べて暗く不鮮明な画像として検出される。
【0049】
従って、マルチプレーンモードにより、複数の焦点距離D1,D2にある領域I91,I92について、比較的鮮明な画像を同時に得ることができる。
ただし、前述のように、比較的鮮明な領域I91,I92であっても、シングルプレーンモードに比べて鮮明さが低下するため、鮮明な画像を得るためには別途シングルプレーンモードの画像検出を行う必要がある。
【0050】
〔マルチプレーンモード.2〕
図13から図15はマルチプレーンモードの異なる設定における動作を示す。
図10から図12で説明したマルチプレーンモードでは、焦点数np=2とされ、マルチプレーン画像検出動作Cmmでは焦点距離D1,D2(合焦面P1,P2)で画像検出が行われ、合焦面P1,P2に一致する部位91,92が合焦状態で検出されていた。
これに対し、図13から図15のマルチプレーンモードでは、焦点数np=3とされ、マルチプレーン画像検出動作Cmmでは焦点距離D1,D2,D3(合焦面P1,P2,P3)で画像検出が行われ、合焦面P1,P2,P3に一致する部位91,92,93が合焦状態で画像検出される。
【0051】
図15において、マルチプレーン検出画像Immでは、部位91,92,93に対応する領域I91,I92,I93は、それぞれ焦点距離D1,D2,D3のいずれかで合焦し、明るく鮮明な画像として検出される。ただし、領域I91,I92,I93は、他の2つの焦点距離に合焦している状態では暗く不鮮明な状態で検出され、重畳された結果、相当に暗い不鮮明な画像(図12の領域I91,I92に比べて)となる。
従って、マルチプレーンモードでは、複数の焦点距離にある領域について、比較的鮮明な画像を同時に得られるものの、焦点数npを増加させるにつれて鮮明さが損なわれる点に注意する必要がある。
【0052】
〔フレームバイフレームモード〕
図16から図18は本実施形態におけるフレームバイフレームモードの動作を示す。
フレームバイフレームモードでは、複数(画面数nf)のシングルプレーン画像検出動作Cms(焦点距離Df1~Dnf)を含む画像検出ループLPfを、レンズ制御部6に繰り返し実行させる。
ここで、図16および図17における駆動信号Cf、焦点距離Dt,Db、合焦面Pt,Pbは、図7および図8で説明した通りである。
また、フレームバイフレームモードにおけるシングルプレーン画像検出動作Cmsは、前述したシングルプレーンモードにおけるものと同様である。
【0053】
図16において、画像検出ループLPfは、画面数nf=3とされ、3つのシングルプレーン画像検出動作Cms(画像検出動作Cm1,Cm2,Cm3)を連結して構成されている。画像検出動作Cm1,Cm2,Cm3では、それぞれ焦点距離D1,D2,D3に切り替えられる
図16の(A)部において、画像検出動作Cm1は焦点距離D1とされ、駆動信号Cfの一周期のうち位相θ1で画像検出が行われる。
図17の(A)部において、画像検出動作Cm1では、焦点距離D1に対応した合焦面P1に合焦され、測定対象物9の部位91が合焦状態で画像検出される。
図18の(A)部において、画像検出動作Cm1による検出画像Im1は、部位91に対応する領域I91が、合焦した状態で検出されるため、明るく鮮明な画像として検出される。一方、部位92,93に対応する領域I92,I93は、合焦から外れた状態で検出されるため、それぞれ合焦面P1からの距離に応じて暗く不鮮明な画像として検出される。
【0054】
同様に、図16の(B)部の画像検出動作Cm2では、焦点距離D2とされ、位相θ2でシングルプレーン画像検出動作Cmsが行われる。
そして、図17の(B)部のように、画像検出動作Cm2では、焦点距離D2に対応した合焦面P2に合焦され、測定対象物9の部位92が合焦状態で画像検出される。
その結果、図18の(B)部のように、画像検出動作Cm2による検出画像Im2は、部位92に対応する領域I92が明るく鮮明な画像として検出され、部位91,93に対応する領域I91,I93は暗く不鮮明な画像として検出される。
【0055】
さらに、図16の(C)部の画像検出動作Cm3では、焦点距離D3とされ、位相θ3でシングルプレーン画像検出動作Cmsが行われる。
そして、図17の(C)部のように、画像検出動作Cm3では、焦点距離D3に対応した合焦面P3に合焦され、測定対象物9の部位93が合焦状態で画像検出される。
その結果、図18の(C)部のように、画像検出動作Cm3による検出画像Im3は、部位93に対応する領域I93が明るく鮮明な画像として検出され、部位91,92に対応する領域I91,I92は暗く不鮮明な画像として検出される。
【0056】
図16において、画像検出ループLPfは、画像検出動作Cm1から画像検出動作Cm3までが実行されると、再び画像検出動作Cm1に戻って繰り返される。
その結果、フレームバイフレームモードにおいては、図18に示す検出画像Im1~Im3が順次繰り返し得られることになる。
従って、フレームバイフレームモードでは、それぞれ画像検出動作Cm1~Cm3において、シングルプレーン画像検出動作Cmsに相当する鮮明な検出画像Imsを得ることができる。とくに、マルチプレーンモードでは複数の焦点距離の検出画像の品質低下が避けられないのに対し、フレームバイフレームモードではこのような画像の劣化を避けることができる。
ただし、画像検出ループLPfが画像検出動作Cm1~Cm3を含むため、一連の処理に要する時間が増大する点に注意する必要がある。
【0057】
〔コンバインドモード.1〕
図19から図21は本実施形態におけるコンバインドモードの動作を示す。
コンバインドモードでは、少なくとも1つのマルチプレーン画像検出動作Cmmと、少なくとも1つのシングルプレーン画像検出動作Cmsとを含む画像検出ループLPcを、レンズ制御部6に繰り返し実行させる。
ここで、図19および図20における駆動信号Cf、焦点距離Dt,Db、合焦面Pt,Pbは、図7および図8で説明した通りである。
図19から図21に示すコンバインドモードは、1つのマルチプレーン画像検出動作Cmmと、2つのシングルプレーン画像検出動作Cmsとで画像検出ループLPcが構成される例である。
画像検出ループLPcを構成するシングルプレーン画像検出動作Cmsおよびマルチプレーン画像検出動作Cmmは、前述したシングルプレーンモードおよびマルチプレーンモードにおけるものと同様である。
【0058】
図19において、画像検出ループLPcは、1つのマルチプレーン画像検出動作Cmm(画像検出動作Cm1)と、2つのシングルプレーン画像検出動作Cms(画像検出動作Cm2,Cm3)とで構成される。
画像検出動作Cm1のマルチプレーン画像検出動作Cmmは、焦点数np=3とされ、焦点距離D1,D2,D3が設定されている。
画像検出動作Cm1のマルチプレーン画像検出動作Cmmに続くシングルプレーン画像検出動作Cmsは、画面数nf=2と指定され、この指定に基づき2つの画像検出動作Cm2,Cm3が設定されている。画像検出動作Cm2には焦点距離D1が設定され、画像検出動作Cm3には焦点距離D2が設定されている。
【0059】
図19の(A)部において、画像検出動作Cm1では、焦点距離D1,D2,D3のマルチプレーン画像検出動作Cmmが実行され、駆動信号Cfの一周期のうち位相θ1,θ2,θ3で画像検出が行われる。
図20の(A)部において、画像検出動作Cm1のマルチプレーン画像検出動作Cmmでは、焦点距離D1,D2,D3に対応した合焦面P1,P2,P3に合焦され、測定対象物9の部位91,92,93が合焦状態で画像検出される。
図21の(A)部において、画像検出動作Cm1による検出画像Im1は、マルチプレーン画像検出動作Cmmによるマルチプレーン検出画像Immとなり、部位91,92,93に対応する領域I91,I92,I93は、それぞれ焦点距離D1,D2,D3のいずれかで合焦し、明るく鮮明な画像として検出される。
【0060】
ただし、検出画像Im1における領域I91,I92,I93は、他の2つの焦点距離に合焦している状態では暗く不鮮明な状態で検出され、重畳された結果、相当に暗い不鮮明な画像となる。
このうち、領域I92は、合焦している合焦面P2に対して他の合焦面P1,P3がそれぞれ近い距離にあるため、重畳される領域I91,I93が比較的暗くならず、結果として領域I91,I93よりも明るい画像として検出される。
これに対し、領域I91,I93では、それぞれ重畳される領域I93,I91が遠く、重畳される領域I91,I93が領域I92よりも暗くなり、結果として領域I92よりも暗い画像として検出される。
このため、検出画像Im1において、暗い領域I91,I93どうしの境界線I94は不明瞭になり、比較的明るい領域I92と暗い領域I93との境界線I95よりも更に判別しにくくなる可能性がある。
【0061】
図19の(B)部において、画像検出動作Cm2では、焦点距離D1のシングルプレーン画像検出動作Cmsが実行され、駆動信号Cfの一周期のうち位相θ1で画像検出が行われる。
図20の(B)部において、画像検出動作Cm2のシングルプレーン画像検出動作Cmsでは、焦点距離D1に対応した合焦面P1に合焦され、測定対象物9の部位91が合焦状態で画像検出される。
図21の(B)部において、画像検出動作Cm2による検出画像Im2は、シングルプレーン画像検出動作Cmsによるシングルプレーン検出画像Imsとなり、部位91に対応する領域I91が、合焦した状態で検出されるため、明るく鮮明な画像として検出される。一方、部位92,93に対応する領域I92,I93は、合焦から外れた状態で検出されるため、合焦面P1からの距離に応じて暗く不鮮明な画像として検出される。
検出画像Im2においては、暗い領域I92,I93の境界線I95は不明瞭になるが、明るい領域I91と暗い領域I93との境界線I94は鮮明な画像として検出できる。
【0062】
同様に、図19の(C)部の画像検出動作Cm3では、焦点距離D2のシングルプレーン画像検出動作Cmsが実行され、駆動信号Cfの一周期のうち位相θ2でシングルプレーン画像検出動作Cmsが行われる。
そして、図20の(C)部のように、画像検出動作Cm3では、焦点距離D2に対応した合焦面P2に合焦され、測定対象物9の部位92が合焦状態で画像検出される。
その結果、図21の(C)部のように、画像検出動作Cm3による検出画像Im3は、部位92に対応する領域I92が明るく鮮明な画像として検出され、部位91,93に対応する領域I91,I93は暗く不鮮明な画像として検出される。
【0063】
図19において、画像検出ループLPfは、画像検出動作Cm1(マルチプレーン画像検出動作Cmm)および画像検出動作Cm2,Cm3(2つのシングルプレーン画像検出動作Cms)までが実行されると、再び画像検出動作Cm1に戻って繰り返される。
その結果、コンバインドモードにおいては、図21に示す検出画像Im1~Im3が順次繰り返し得られることになる。
【0064】
従って、コンバインドモードでは、画像検出動作Cm1により3つの焦点距離D1,D2,D3に合焦したマルチプレーン検出画像Immが得られるとともに、画像検出動作Cm2,Cm3により焦点距離D1,D2に合焦するシングルプレーン検出画像Imsが得られる。
このうち、画像検出動作Cm1では、他の合焦面に合焦した画像との重畳により検出画像の品質低下が避けられないものの、3つの焦点距離D1,D2,D3に合焦したマルチプレーン検出画像Immが得られる。
一方、画像検出動作Cm2,Cm3では、それぞれ1つの合焦面に合焦した画像しか得られないが、その合焦面にある領域I91または領域I92に合焦する画像は明るく鮮明にできる。
【0065】
コンバインドモードを利用する場合、高精度が要求されない領域や境界線についてはマルチプレーン検出画像Immでカバーし、高精度が要求される領域や境界線についてはシングルプレーン検出画像Imsを利用するように設定を行うことで、高精度を確保しつつ効率的な画像検出を行うことができる。
すなわち、図16のフレームバイフレームモードでは、3つの焦点距離D1,D2,D3に対して3つのシングルプレーン画像検出動作Cmsを行うことで、全ての焦点距離D1,D2,D3で高精度の画像検出を行っていた。
【0066】
もし、5つの焦点距離に対してフレームバイフレームモードで画像検出を行うとすると、画像検出ループLPfには5つのシングルプレーン画像検出動作Cmsを設定する必要があり、5フレームの画像検出を行うため、ループ処理時間も長くなる。しかし、5つの焦点距離のうち高精度を要求されるのが2つだけであり、他の3つについてはマルチプレーンモードでの画像検出動作で十分である場合、コンバインドモードを用いることで処理時間を短縮することができる。
すなわち、5つの焦点距離を設定した1つのマルチプレーン検出画像Immと、高精度が必要な2つの焦点距離に設定されたシングルプレーン検出画像Imsとを含む画像検出ループLPcを用いることで、合計3フレーム分の画像検出動作Cm1~Cm3により必要な検出画像を確保することができる。
このように、コンバインドモードを利用することで、必要な部分の高精度を確保しつつ、処理時間を短縮することができる。
【0067】
〔コンバインドモード.2〕
図22から図24はコンバインドモードの異なる設定における動作を示す。
図19から図21で説明したコンバインドモードでは、1つのマルチプレーン画像検出動作Cmm(画像検出動作Cm1、焦点数np=3)と、2つのシングルプレーン画像検出動作Cms(画像検出動作Cm2,Cm3、画面数nf=2)とで画像検出ループLPcを構成していた。
これに対し、図22から図24のコンバインドモードでは、1つのマルチプレーン画像検出動作Cmm(画像検出動作Cm1、焦点数np=3)と、1つのシングルプレーン画像検出動作Cms(画像検出動作Cm2、画面数nf=1)だけで画像検出ループLPcを構成している。このような画面数nf=1は、コンバインドモードの最小構成に相当する。
【0068】
図22の(A)部において、画像検出動作Cm1のマルチプレーン画像検出動作Cmmは、焦点数np=3とされ、焦点距離D1,D2,D3が設定されている。これは、前述した図19の(A)部の画像検出動作Cm1と同じであり、図23の(A)部に示す合焦面と焦点距離の関係は図20の(A)部と同じであり、図24の(A)部に示す検出画像Im1は図21の(A)部と同じである。
すなわち、画像検出動作Cm1による検出画像Im1は、マルチプレーン画像検出動作Cmmによるマルチプレーン検出画像Immとなり、部位91,92,93に対応する領域I91,I92,I93は、それぞれ焦点距離D1,D2,D3のいずれかで合焦し、明るく鮮明な画像として検出される。
【0069】
図22の(B)部において、画像検出動作Cm2では、焦点距離D3のシングルプレーン画像検出動作Cmsが実行され、駆動信号Cfの一周期のうち位相θ3で画像検出が行われる。
図23の(B)部において、画像検出動作Cm2のシングルプレーン画像検出動作Cmsでは、焦点距離D3に対応した合焦面P3に合焦され、測定対象物9の部位93が合焦状態で画像検出される。
図24の(B)部において、画像検出動作Cm2による検出画像Im2は、シングルプレーン画像検出動作Cmsによるシングルプレーン検出画像Imsとなり、部位93に対応する領域I93が合焦した状態で検出され、明るく鮮明な画像として検出される。一方、部位91,92に対応する領域I91,I92は、合焦から外れた状態で検出されるため、各々合焦面P3からの距離に応じて暗く不鮮明な画像として検出される。
検出画像Im2においては、境界線I94も境界線I95が、暗い領域I91と明るい領域I93との境界、および、暗い領域I92と明るい領域I93との境界となるため、それぞれ鮮明な画像として検出できる。
【0070】
このように、コンバインドモードを利用するとともに、シングルプレーン画像検出動作Cmsを行う焦点距離の設定を適切に行うことで、必要な部分の高精度を確保しつつ、処理時間を短縮することができる。
【0071】
〔実施形態の効果〕
以上に述べた実施形態によれば、次のような効果が得られる。
本実施形態では、画像検出条件設定部711で設定した画像検出条件に基づいて、レンズ制御部6が焦点距離可変レンズ(液体レンズユニット3および対物レンズ2)を制御し、画像検出部4により画像検出を行うことができる。
この際、画像検出条件としてコンバインドモードを設定すると、画像検出部4は、少なくとも1つのマルチプレーン画像検出動作Cmmと、少なくとも1つのシングルプレーン画像検出動作Cmsとを含む画像検出ループLPcを繰り返し実行する。
その結果、コンバインドモードで検出される画像は、マルチプレーン画像検出動作Cmmによるマルチプレーン検出画像Immでは、設定された全ての焦点距離に合焦した画像情報を含む。ただし、他の焦点距離の画像情報も含まれて必ずしも鮮明ではない。
一方、シングルプレーン画像検出動作Cmsによるシングルプレーン検出画像Imsでは、設定された焦点距離について鮮明な画像を得ることができる。
従って、コンバインドモードにおいては、マルチプレーン画像検出動作Cmmにより、従来のマルチプレーンモードと同様な結果が得られるとともに、シングルプレーン画像検出動作Cmsにより、従来のマルチプレーン画像検出動作Cmmでは得られなかった高い画像品質を得ることができる。
【0072】
さらに、従来のフレームバイフレームモードでは、焦点距離の数だけのシングルプレーン画像検出動作Cmsを繰り返す必要があり、焦点距離の数が増加すると画像検出時間が長大化していた。これに対し、本実施形態のコンバインドモードでは、シングルプレーン画像検出動作Cmsの数(画面数nf)を抑制することができ、画像検出時間を短縮できる。すなわち、5つの焦点距離に対して従来のフレームバイフレームモードの画像検出を行うと、シングルプレーン画像検出動作Cmsの5フレーム分の時間が必要である。しかし、コンバインドモードでは、例えば5つの焦点距離に対して画像検出を行うが鮮明な画像は2つの焦点距離だけでよい場合、マルチプレーン画像検出動作Cmmで5つの焦点距離の画像情報を確保したうえで、2つの焦点距離についてシングルプレーン画像検出動作Cmsを行えばよく、合計3フレーム分の時間で済ませることができる。
このように、本実施形態の焦点距離可変レンズ装置1によれば、複数の焦点距離に対して十分な画像品質が得られるとともに画像検出時間を短縮することができる。
【0073】
本実施形態において、画像検出条件設定部711は、シングルプレーンモード、マルチプレーンモード、フレームバイフレームモードおよびコンバインドモードとのいずれかの画像検出モードを選択可能であり、各画像検出モードに応じた画像検出ループをレンズ制御部6に設定できるようにした。
このため、本発明に基づくコンバインドモードと、従来のシングルプレーンモード、マルチプレーンモード、フレームバイフレームモードとを任意に選択することができ、必要に応じて従来同様な画像検出動作が確保できるとともに、本発明に基づくコンバインドモードの効果を得ることができる。
【0074】
本実施形態の焦点距離可変レンズ装置1では、焦点距離可変レンズとして、入力される駆動信号に応じて屈折率が変化する液体レンズユニット3と、液体レンズユニット3と同じ光軸A上に配置された対物レンズ2との組み合わせを用いた。
このため、対物レンズ2で基本的な結像が得られるとともに、液体レンズユニット3により焦点距離を変更可能である。液体レンズユニット3を用いることで、焦点距離を可変とするための機械的な手段が必要なく、装置構成を簡素化できる。また、液体レンズユニット3は、数十キロヘルツに及ぶ高速で焦点距離を周期的に変化させることができ、複数の焦点距離での画像を重畳したマルチプレーン検出画像Immも容易に得ることができ、本発明における焦点距離可変レンズとして最適である。
【0075】
〔変形例〕
なお、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形などは本発明に含まれる。
前述した実施形態では、コンバインドモードとして、1つのマルチプレーン画像検出動作Cmmと、2つまたは1つのシングルプレーン画像検出動作Cmsとの組み合わせを用いた。ただし、本発明のコンバインドモードとしては、少なくとも1つのマルチプレーン画像検出動作Cmmと、少なくとも1つのシングルプレーン画像検出動作Cmsとが含まれていればよく、各々の数は任意に設定することができる。
【0076】
例えば、マルチプレーン画像検出動作Cmmにおける焦点数npが多い場合など、1つのマルチプレーン画像検出動作Cmmに設定することが難しい場合など、2以上のマルチプレーン画像検出動作Cmmを設定すればよい。また、シングルプレーン画像検出動作Cmsについても、明るく鮮明な画像が必要な合焦面の数に応じて画面数nfを設定すればよい。この際、図22の例のように、2つの部位91,92に挟まれた部位93に対応する合焦面P3を選択することで、1つのシングルプレーン画像検出動作Cmsで2つの境界線I94,I95(図24参照)の検出が可能であり、シングルプレーン画像検出動作Cmsを実行する合焦面を選択する際にも適切な設定を行うことで、さらなる効率化を図ることができる。
【0077】
前述した実施形態では、画像検出条件設定部711において、シングルプレーンモード、マルチプレーンモード、フレームバイフレームモードおよびコンバインドモードとのいずれかの画像検出モードを選択可能としたが、コンバインドモード以外の画像検出モードは任意であり、シングルプレーンモード、マルチプレーンモード、フレームバイフレームモードのいずれかを適宜省略してもよい。
【0078】
前述した実施形態では、焦点距離可変レンズ装置1の焦点距離可変レンズとして、液体レンズユニット3と対物レンズ2との組み合わせを用いた。ただし、本発明はこの構成に限定されるものではなく、他の原理による焦点距離可変レンズを用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は焦点距離可変レンズ装置および焦点距離可変レンズ制御方法に利用できる。
【符号の説明】
【0080】
1…焦点距離可変レンズ装置、2…対物レンズ、3…液体レンズユニット、31…ケース、32…振動部材、33…外周面、34…内周面、35…液体、39…スペーサ、4…画像検出部、5…パルス照明部、6…レンズ制御部、61…駆動制御部、62…発光制御部、63…画像検出制御部、7…制御用PC、71…レンズ操作部、711…画像検出条件設定部、72…画像処理部、73…操作インターフェイス、9…測定対象物、91,92,93…部位、Cc…画像検出信号、Cf…駆動信号、Ci…発光信号、Cm1,Cm2,Cm3…画像検出動作、Cmm…マルチプレーン画像検出動作、Cms…シングルプレーン画像検出動作、D1,D2,D3,Df…焦点距離、Db…最遠焦点距離、Dt…最近焦点距離、I91,I92,I93…領域、I94,I95…境界線、Im,Im1,Im2,Im3…検出画像、Imm…マルチプレーン検出画像、Ims…シングルプレーン検出画像、Lg…画像、Li…照明光、LPc…コンバインドモードの画像検出ループ、LPf…フレームバイフレームモードの画像検出ループ、LPm…マルチプレーンモードの画像検出ループ、LPs…シングルプレーンモードの画像検出ループ、Lr…反射光、Mf…焦点変動波形、nf…画面数、np…焦点数、P1,P2,P3,Pt,Pb…合焦面、Pf…焦点位置、Vf…振動状態、W…屈折率分布、θ1,θ2,θ3…位相。
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