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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-01
(45)【発行日】2022-11-10
(54)【発明の名称】研削装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20221102BHJP
   B24B 49/12 20060101ALI20221102BHJP
   B24B 7/04 20060101ALI20221102BHJP
【FI】
H01L21/304 622S
B24B49/12
B24B7/04 A
H01L21/304 631
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018205073
(22)【出願日】2018-10-31
(65)【公開番号】P2020072172
(43)【公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-08-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 真也
【審査官】渡井 高広
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-146868(JP,A)
【文献】特開2012-135853(JP,A)
【文献】米国特許第06572444(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B24B 49/12
B24B 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
格子状に形成された複数の分割予定ラインによって区画された領域にデバイスが形成された表面を有する被加工物が所望の厚さを有するように、該被加工物の裏面を研削砥石によって研削する研削装置であって、
該被加工物の該表面に貼着された表面保護部材を保持する保持面を有するチャックテーブルと、該チャックテーブルを回転させる鉛直方向に延びる第1の回転軸とを備える保持手段と、
該保持面と直交する第2の回転軸と、研削水の供給を受けながら該第2の回転軸によって回転されて該被加工物の該裏面を研削する研削砥石と、を備える研削手段と、
該研削手段と該保持手段とが相対的に接近及び離反する方向である研削送り方向に沿って、該研削手段を研削送りする研削送り手段と、
互いに対向するように配置された発光素子および受光素子を備え、該研削砥石の先端位置を検出する研削砥石検出手段と、
先端に該研削砥石検出手段が取り付けられており該研削送り方向に移動可能な移動軸を備え、該研削砥石検出手段の検出位置を該被加工物の仕上げ厚さに対応する位置に移動する検出器位置調整手段と、を備え、
該研削砥石検出手段が該研削砥石の先端を検出した時点で研削を終了することを特徴とする研削装置。
【請求項2】
該研削砥石検出手段は、透過センサであることを特徴とする請求項1記載の研削装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研削装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ICあるいはLSI等のデバイスが複数形成された被加工物は、研削装置によって裏面が研削されることにより、所定の厚さに形成される。さらに、被加工物は、ダイシング装置等の分割装置によって、個々のデバイスを含む複数のチップに分割される。各チップは、携帯電話あるいはパソコン等の電子機器に利用される。
【0003】
被加工物の裏面を研削する研削装置は、被加工物を保持するチャックテーブルと研削手段とを備えている。研削手段は、回転可能に支持されている研削砥石により、チャックテーブルに保持された被加工物を研削する。これにより、研削装置は、被加工物を効率よく研削することができる。
被加工物を研削する際、被加工物の厚さが測定される。このために、たとえば、被加工物にプローブを接触させて該被加工物の厚さを測定する接触式厚さ測定器が使用される(たとえば、特許文献1および2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-006018号公報
【文献】特開2001-009716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、接触式厚さ測定器による厚さ測定では、被加工物に接触痕が残る。昨今のデバイスの顕著な薄型化に応じて、ウェーハ等の被加工物は一層薄く加工されているため、接触痕による被加工物の抗折強度の低下が懸念される。
【0006】
また、このような被加工物の抗折強度の低下を抑制するため、非接触式厚さ測定器を用いることが考えられる。この測定器では、被加工物の上面に向けて、測定光が照射される。照射された測定光の一部は、該被加工物の上面で反射されて上面反射光となる一方、測定光の他の一部は、該被加工物を透過して該被加工物の下面で反射されて、下面反射光となる。測定器は、上面反射光と下面反射光とを受光し、両反射光の受光時間の差に基づいて、該被加工物の厚さを算出する。しかし、このような非接触式厚さ測定器では、測定可能な厚さに限界がある。
本発明の目的は、被加工物の厚さを、非接触で、広い範囲にわたって厚さ制御することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の研削装置(本研削装置)は、格子状に形成された複数の分割予定ラインによって区画された領域にデバイスが形成された表面を有する被加工物が所望の厚さを有するように、該被加工物の裏面を研削砥石によって研削する研削装置であって、該被加工物の該表面に貼着された表面保護部材を保持する保持面を有するチャックテーブルと、該チャックテーブルを回転させる鉛直方向に延びる第1の回転軸とを備える保持手段と、該保持面と直交する第2の回転軸と、研削水の供給を受けながら該第2の回転軸によって回転されて該被加工物の該裏面を研削する研削砥石と、を備える研削手段と、該研削手段と該保持手段とが相対的に接近及び離反する方向である研削送り方向に沿って、該研削手段を研削送りする研削送り手段と、互いに対向するように配置された発光素子および受光素子を備え、該研削砥石の先端位置を検出する研削砥石検出手段と、先端に該研削砥石検出手段が取り付けられており該研削送り方向に移動可能な移動軸を備え、該研削砥石検出手段の検出位置を該被加工物の仕上げ厚さに対応する位置に移動する検出器位置調整手段と、を備え、該研削砥石検出手段が該研削砥石の先端を検出した時点で研削を終了することを特徴とする。
本研削装置では、該研削砥石検出手段は、透過センサであってもよい。
【発明の効果】
【0008】
本研削装置では、被加工物の厚さが研削砥石の先端位置に対応していることを利用して、被加工物が所望の厚さとなったことを、研削砥石の先端位置を検出することにより検知している。したがって、本研削装置では、被加工物の厚さを直接的に測定することなく、被加工物を所望の厚さとすることが可能である。
【0009】
このように、本研削装置では、被加工物に、厚さ測定のためのプローブを接触させる必要がないので、接触跡による被加工物の抗折強度の低下を回避することができる。また、被加工物を透過する測定光を用いる必要もないので、被加工物を、任意の厚さとすることが可能である。したがって、本研削装置では、被加工物の厚さを、非接触で、広い範囲にわたって制御することができる。
【0010】
また、研削砥石検出手段として透過センサを用いることにより、研削砥石検出手段を容易に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態にかかる研削装置によって加工される被加工物の一例であるウェーハを示す斜視図である。
図2】表面保護テープを備えたウェーハを示す断面図である。
図3】本発明の一実施形態にかかる研削装置を示す斜視図である。
図4図2に示した研削装置における研削ホイールの近傍の構成を示す断面図である。
図5図2に示した研削装置における検出装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
まず、本実施形態にかかる研削装置によって加工される被加工物について説明する。図1に示すように、被加工物の一例であるウェーハ1は、たとえば、円板状のシリコン基板である。ウェーハ1の表面2には、デバイス領域5および外周余剰領域6が形成されている。表面2のデバイス領域5では、格子状に形成された複数の分割予定ライン3によって区画された領域のそれぞれに、デバイス4が形成されている。外周余剰領域6は、デバイス領域5を取り囲んでいる。
【0013】
ウェーハ1の裏面8は、デバイス4を有しておらず、研削砥石などによって研削される被研削面となっている。ウェーハ1の外周縁7には、ウェーハ1の結晶方位を示すノッチ9が設けられている。
【0014】
さらに、ウェーハ1の表面2に、表面保護部材としての表面保護テープ10が貼着される。これにより、デバイス4が形成されたデバイス領域5が、表面保護テープ10によって覆われる。表面保護テープ10は、ウェーハ1の表面2に形成されたデバイス4を保護する。
【0015】
次に、本実施形態にかかる研削装置の構成について説明する。図3に示すように、本実施形態にかかる研削装置12は、直方体状の基台14、上方に延びる支持柱13、研削水を供給する研削水供給源46、および、研削装置12の各部材を制御する制御部71を備えている。
【0016】
基台14の上面前側には、チャックテーブル18を含む保持手段15、保持手段15をX軸方向に移動させるX軸移動機構(図示せず)、および、X軸移動機構を覆う防水カバーCが配置される。
【0017】
保持手段15は、ウェーハ1(図1および2参照)を保持するチャックテーブル18、チャックテーブル18を回転させる回転シャフト18a(図4参照)、および、チャックテーブル18を保持するX軸移動テーブル17を含んでいる。X軸移動テーブル17は、その上面にチャックテーブル18が配置されており、チャックテーブル18とともに、X軸移動機構により、X軸に沿って移動する。本実施形態では、X軸移動テーブル17およびチャックテーブル18は、ウェーハ1が搬入および搬出される前方の搬入出位置と、ウェーハ1が研削される後方の研削位置との間を移動する。
【0018】
チャックテーブル18は、図4に示す回転シャフト18aによって回転される。回転シャフト18aは、モータ等の回転駆動源(図示せず)と連結されており、Z軸方向(鉛直方向)に延びている。回転シャフト18aは、第1の回転軸の一例に相当する。
チャックテーブル18は、その上面中央に、ウェーハ1を吸引保持する保持面19を有している。保持面19は、図示しない吸引源に連通されており、図4に示すように、ウェーハ1の裏面8が露出するように、ウェーハ1の表面保護テープ10を吸引保持する。
【0019】
支持柱13は、図3に示すように、基台14の後部に立設されている。支持柱13の前面には、ウェーハ1を研削する研削手段26、および、研削手段26を研削送り方向であるZ軸方向に移動させる研削送り手段16が設けられている。研削送り方向は、研削手段26と保持手段15とが相対的に接近及び離反する方向である。
【0020】
研削送り手段16は、Z軸方向に平行な一対のZ軸ガイドレール21、このZ軸ガイドレール21上をスライドするZ軸移動テーブル20、Z軸ガイドレール21と平行なZ軸ボールネジ22、および、Z軸ボールネジ22に接続されているナット部(図示せず)およびZ軸パルスモータ24を備えている。
【0021】
Z軸移動テーブル20は、Z軸ガイドレール21にスライド可能に設置されている。図示しないナット部が、Z軸移動テーブル20の後面側(裏面側)に固定されている。このナット部には、Z軸ボールネジ22が螺合されている。Z軸パルスモータ24は、Z軸ボールネジ22の一端部に連結されている。
【0022】
研削送り手段16では、Z軸パルスモータ24がZ軸ボールネジ22を回転させることにより、Z軸移動テーブル20が、Z軸ガイドレール21に沿って、Z軸方向に移動する。
【0023】
研削手段26は、Z軸移動テーブル20の前面(表面)に取り付けられている。研削手段26は、研削送り手段16のZ軸移動テーブル20に固定された支持構造28、支持構造28に固定されたスピンドルハウジング30、スピンドルハウジング30に保持されたスピンドル32、スピンドル32の下端に取り付けられたホイールマウント34、および、ホイールマウント34に支持された研削ホイール36を備えている。研削手段26は、研削ホイール36を回転可能に支持する。
【0024】
支持構造28は、研削手段26の他の部材を支持した状態で、研削送り手段16のZ軸移動テーブル20に取り付けられている。スピンドルハウジング30は、Z軸方向に延びるように支持構造28に保持されている。スピンドル32は、保持面19と直交するようにZ軸方向に延び、スピンドルハウジング30に回転可能に支持されている。スピンドル32は、第2の回転軸の一例に相当する。
スピンドル32の上端側には、モータ等の回転駆動源(図示せず)が連結されている。この回転駆動源により、スピンドル32は、Z軸方向に延びる回転軸心の周りに回転する。
【0025】
ホイールマウント34は、円盤状に形成されており、スピンドル32の下端(先端)に固定されている。図4に示すように、ホイールマウント34は、スピンドル装着面34aを有している。スピンドル32は、スピンドル装着面34aを介して、ホイールマウント34の中心に連結される。
さらに、ホイールマウント34は、スピンドル装着面34aの反対面であるホイール装着面34bを介して、研削ホイール36を支持する。
【0026】
研削ホイール36は、ホイールマウント34と略同径を有するように形成されている。図4に示すように、研削ホイール36は、ステンレス等の金属材料から形成された円環状のホイール基台(環状基台)38を含む。ホイール基台38の下面には、全周にわたって、環状に配置された複数の研削砥石40が固定されている。研削砥石40は、チャックテーブル18に保持されたウェーハ1を研削する。
【0027】
なお、研削装置12は、ウェーハ1の裏面8および研削砥石40に研削水を供給するための、研削水供給システムを備えている。図3に示すように、研削水供給システムは、研削装置12の水源である研削水供給源46、研削水供給源46から延びる供給管42、および、スピンドル32およびホイールマウント34内に形成された流路(図示せず)を備えている。
【0028】
研削水は、これらを介して、ウェーハ1の裏面8と研削砥石40とが接触する箇所に供給される。このようにして、研削砥石40は、研削水の供給を受けながらスピンドル32によって回転されて、ウェーハ1の裏面8を研削する。
【0029】
また、研削装置12は、図4に示すように検出装置50を備えており、検出装置50は、研削砥石40の先端位置を検出する研削砥石検出手段51、および、研削砥石検出手段51を移動させる検出器位置調整手段53を備えている。
【0030】
研削砥石検出手段51は、透過センサであり、上部が開口されたコの字形状の断面を有している。研削砥石検出手段51は、図5に示すように、第1センサ柱61および第2センサ柱63を備えている。第1センサ柱61と第2センサ柱63とは、互いに対向した状態で、Z軸方向に沿って延びている。そして、第1センサ柱61には発光素子65が備えられている一方、第2センサ柱63には、受光素子67が備えられている。
【0031】
発光素子65と受光素子67とは、X軸方向に沿って互いに対向するように配置されている。発光素子65は、受光素子67に向けて測定光Lを照射する。受光素子67は、光電変換素子(図示せず)を備えており、発光素子65からの測定光Lを受光可能に構成されている。
【0032】
すなわち、透過センサである研削砥石検出手段51では、発光素子65と受光素子67との間が検出位置であり、これらの間に物体が配されると、測定光Lが遮断され、受光素子67によって受光される測定光Lの光量が減少する。その結果、受光素子67に内蔵された光電変換素子の電気的特性が変化する。受光素子67は、この変化を検出したときに、検出信号を送信する。
【0033】
検出器位置調整手段53は、いわゆる電動シリンダであり、ハウジング57、および、ハウジング57内に配されたロッド55を備えている。
移動軸であるロッド55は、ハウジング57内に、Z軸方向に沿って移動可能に設けられている。ロッド55の先端には、研削砥石検出手段51が取り付けられている。
【0034】
ハウジング57は、研削装置12における研削手段26の下方に固定されている。具体的には、ハウジング57は、研削砥石検出手段51の発光素子65と受光素子67との間の上方に、ロッド55に取り付けられた研削手段26の研削砥石40が位置するように、研削手段26の下方に配置されている。
【0035】
このような構成を有する検出器位置調整手段53は、ロッド55を移動させることにより、研削砥石検出手段51におけるZ方向の位置を調整する。具体的には、検出器位置調整手段53は、研削砥石検出手段51の検出位置を、ウェーハ1の仕上げ厚さに対応する位置に移動する。
【0036】
制御部71は、各種の処理を実行し、研削装置12の各構成要素を統括制御する。たとえば、制御部71は、保持手段15、研削送り手段16および研削手段26を制御して、ウェーハ1に対する研削加工を実施する。さらに、制御部71は、検出器位置調整手段53を制御して、研削砥石検出手段51の位置を調整する。さらに、制御部71は、研削砥石検出手段51の受光素子67からの検出信号を受信して、この検出信号に基づいた制御を実施する。
【0037】
ここで、上記のような構成を有する研削装置12における研削加工について説明する。
まず、搬入出位置において、ウェーハ1が、図4に示したチャックテーブル18の保持面19に載置される。そして、図示しない吸引源により生み出される吸引力が保持面19に伝達されることにより、保持面19が、ウェーハ1の裏面8が露出するように、ウェーハ1の表面保護テープ10を吸引保持する。
【0038】
その後、制御部71が、X軸移動機構によって、チャックテーブル18を保持するX軸移動テーブル17を、研削手段26の下の研削位置まで、X軸方向に沿って移動させる。そして、制御部71は、研削手段26の研削ホイール36とチャックテーブル18に保持されたウェーハ1との、X軸方向における位置合わせを実施する。この位置合わせは、たとえば、研削ホイール36の回転中心がウェーハ1(チャックテーブル18)の回転中心に対して所定の距離だけずれて、研削砥石40の回転軌跡がウェーハ1の回転中心を通るように行われる。なお、保持面19が、研削砥石40の下面である研削面と平行になるように、チャックテーブル18の傾きがあらかじめ調整されている。これにより、ウェーハ1の裏面8が、研削砥石40の研削面と平行になる。
【0039】
研削ホイール36とウェーハ1との位置合わせが行われた後、制御部71からの指示に基づいて、検出器位置調整手段53が、ロッド55を移動させることにより、研削砥石検出手段51におけるZ方向の位置を調整する。この調整では、研削砥石検出手段51の位置がZ軸方向に沿って移動されることにより、研削砥石検出手段51の検出位置が、ウェーハ1における所望の仕上げ厚さ(研削後の厚さ)に対応する位置、すなわち、ウェーハ1における研削後の裏面8の高さに対応する位置とされる。
【0040】
研削ホイール36とウェーハ1との位置合わせ、および、研削砥石検出手段51の位置調整が行われた後、制御部71は、図示しない回転駆動源によりスピンドル32を矢印A方向に回転駆動し、これに伴って、研削ホイール36も矢印A方向に回転する。また、制御部71は、図示しない回転駆動源により回転シャフト18aを矢印A方向に回転駆動し、これに伴って、ウェーハ1を保持したチャックテーブル18も、矢印A方向に回転する。
【0041】
その後、制御部71は、研削送り手段16により、所定の待機位置にある研削手段26を下方に送り、これに伴って研削ホイール36も降下する。そして、研削砥石40がウェーハ1の裏面8に当接することで、研削加工が行われる。研削装置12では、研削砥石40およびウェーハ1の双方が回転するので、研削砥石40が、ウェーハ1の全面を研削加工することができる。
また、研削装置12では、研削加工の際、制御部71は、上記の研削水供給システムによって、ウェーハ1の裏面8と研削砥石40とが接触する箇所に、研削水を供給する。
【0042】
また、研削ホイール36およびチャックテーブル18の回転の開始とともに、制御部71の制御により、研削砥石検出手段51における発光素子65から受光素子67に向けて、測定光Lが照射される。
【0043】
研削加工が進むにつれて、ウェーハ1は徐々に薄くなり、研削砥石40の先端が少しずつ下降してゆく。そして、研削砥石40の先端が、研削砥石検出手段51の検出位置である発光素子65と受光素子67との間に到達すると、研削砥石40が、発光素子65から照射されている測定光Lを遮断する。すなわち、研削砥石検出手段51が、研削砥石40の先端を検出する。これに伴い、受光素子67は、制御部71に、検出信号を送信する。
【0044】
検出信号を受信した制御部71は、ウェーハ1が所望の厚さとなったと判断し、研削加工を終了する。すなわち、制御部71は、研削手段26におけるスピンドル32、および、保持手段15の回転シャフト18aの回転を停止する。さらに、制御部71は、研削手段26を、研削送り手段16によって上方に送り、所定の待機位置に配置する。
【0045】
以上のように、研削装置12では、ウェーハ1の厚さが研削砥石40の先端位置に対応していることを利用して、ウェーハ1が所望の厚さとなったことを、研削砥石40の先端位置を検出することにより検知している。したがって、研削装置12では、ウェーハ1の厚さを直接的に測定することなく、ウェーハ1を所望の厚さとすることが可能である。
【0046】
このため、研削装置12では、ウェーハ1に、厚さ測定のためのプローブを接触させる必要がないので、接触跡によるウェーハ1の抗折強度の低下を抑制することができる。
また、ウェーハ1を透過する測定光を用いる必要もないので、ウェーハ1の厚さを、任意の厚さとすることが可能である。すなわち、従来の非接触式厚さ測定器では厚さを測定できないような薄いウェーハであっても、その厚さを制御することができる。
このように、研削装置12では、ウェーハ1の厚さを、非接触で、広い範囲にわたって制御することができる。
また、研削装置12では、研削砥石検出手段51として、透過センサを用いている。これにより、研削砥石検出手段51を容易に実現することができる。
【0047】
なお、研削砥石検出手段51の位置調整を容易にするために、研削砥石検出手段51の検出位置とウェーハ1の仕上げ厚さとの関係を示すテーブルを、事前に作成し、制御部71によって参照可能なメモリに記憶しておいてもよい。この構成では、制御部71は、たとえば、ユーザによって設定されたウェーハ1の仕上げ厚さに応じて、テーブルを参照して研削砥石検出手段51の適切な検出位置を取得し、これに基づいて検出器位置調整手段53を制御してもよい。
【0048】
また、本実施形態では、1枚のウェーハを研削加工する例について示している。これに限らず、研削装置12は、チャックテーブル18の保持面において複数枚のウェーハを保持してそれらのウェーハを並行して研削してもよい。この構成では、1つのチャックテーブルが複数枚のウェーハを吸着した状態で回転するため、従来使用していた接触式厚さ測定器及び非接触式厚さ測定器を用いると、ウェーハが存在する部分及びウェーハが存在しない部分の両方の高さを測定することになる。このため、高さ測定値が頻繁に変化し、ウェーハの厚さを正確に計測することが困難であるという問題が生じていた。特に、接触式厚さ測定器を用いた場合は、測定用のゲージがウェーハの外周部に接触してウェーハを損傷させるおそれがあった。
一方、このような場合(多枚貼りの場合)、上記のような問題が生じないようにするためには、研削手段を上方の待機位置にいったん戻してからウェーハの厚さを測定するポストプロセスを実施する必要があった。
【0049】
しかしながら、研削装置12では、複数のウェーハがチャックテーブル18において保持されている場合でも、研削砥石検出手段51を用いることにより、チャックテーブル18上のウェーハ1の厚さを直接的に測定することなく、複数枚のウェーハが所望の厚さとなったことを検知することが可能である。このため、ポストプロセスを実施することなく、複数のウェーハに対する研削加工を実施することができる。
【符号の説明】
【0050】
1:ウェーハ、2:表面、3:分割予定ライン、4:デバイス、8:裏面、
10:表面保護テープ、
12:研削装置、
15:保持手段、18:チャックテーブル、18a:回転シャフト、
19:保持面、
16:研削送り手段、
26:研削手段、30:スピンドルハウジング、32:スピンドル、
34:ホイールマウント、36:研削ホイール、
38:ホイール基台、40:研削砥石、
50:検出装置、
53:検出器位置調整手段、55:ロッド、57:ハウジング、
51:研削砥石検出手段、65:発光素子、67:受光素子、
71:制御部
図1
図2
図3
図4
図5