(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-02
(45)【発行日】2022-11-11
(54)【発明の名称】アライナ装置及び方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/68 20060101AFI20221104BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20221104BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20221104BHJP
【FI】
H01L21/68 G
H01L21/31 B
H01L21/205
(21)【出願番号】P 2019554970
(86)(22)【出願日】2018-03-29
(86)【国際出願番号】 US2018025001
(87)【国際公開番号】W WO2018187137
(87)【国際公開日】2018-10-11
【審査請求日】2021-03-29
(32)【優先日】2017-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】アハムド, ヤシール アラファス
(72)【発明者】
【氏名】シュトラスナー, ジェームズ ディー.
【審査官】湯川 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-039046(JP,A)
【文献】特開2003-100850(JP,A)
【文献】特表2010-512025(JP,A)
【文献】特表2009-515318(JP,A)
【文献】特開平08-181098(JP,A)
【文献】特開2001-093828(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/68
H01L 21/31
H01L 21/205
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
X-Y平面に延びる第1の端及び第2の端を有するアームを含むアライナチャックと、
ワークピースを
前記第1の端及び前記第2の端で保持するために離間している、前記第1の端の第1のエッジ把持要素及び前記第2の端の第2のエッジ把持要素と、
前記アームの中央領域に位置する中央ワークピースハンドリング要素であって、前記中央ワークピースハンドリング要素が前記第1のエッジ把持要素及び前記第2のエッジ把持要素よりもZ方向に高く延びるように、前記Z方向に高さを有する中央ワークピースハンドリング要素と
を含むワークピースアライナ装置。
【請求項2】
前記装置が、前記ワークピースを前記アームから持ち上げるための別個のワークピースリフティング機構を含まない、請求項1に記載のワークピースアライナ装置。
【請求項3】
前記第1のエッジ把持要素及び前記第2のエッジ把持要素が
、中央開口部を内部に有する平らなワークピー
スを保持するように構成される、請求項2に記載のワークピースアライナ装置。
【請求項4】
前記中央ワークピースハンドリング要素が、平らな中実のワークピースを保持するように構成されるが、中央開口部を内部に有する平らなワークピースを保持するようには構成されない、請求項3に記載のワークピースアライナ装置。
【請求項5】
前記中央ワークピースハンドリング要素が平らな中実のワークピースを保持しているとき、前記平らな中実のワークピースが、前記第1のエッジ把持要素及び前記第2のエッジ把持要素に接触しない、請求項4に記載のワークピースアライナ装置。
【請求項6】
前記アームの回転を制御するコントローラを更に含む、請求項5に記載のワークピースアライナ装置。
【請求項7】
前記コントローラは、ロボットブレードが前記第1のエッジ把持要素及び前記第2のエッジ把持要素によって保持される前記ワークピースを積載することができる第1の位置まで前記アームを回転させるように構成される、請求項6に記載のワークピースアライナ装置。
【請求項8】
前記コントローラは、前記第1のエッジ把持要素及び前記第2のエッジ把持要素が、前記ロボットブレードと干渉するだろう第2の位置にあるとき、前記ロボットブレードが前記ワークピースを積載するのを防ぐように構成される、請求項7に記載のワークピースアライナ装置。
【請求項9】
前記第1の位置及び前記第2の位置を記憶するメモリを更に含む、請求項8に記載のワークピースアライナ装置。
【請求項10】
アライナ装置でワークピースを処理する方法であって、
ロボットブレード上のワークピースを移動し、前記ロボットブレードを、第1の端及び前記第1の端の反対側の第2の端を有する
回転可能なアームを含むアライナチャックに向かって移動することであって、前記第1の端の第1のエッジ把持要素及び前記第2の端の第2のエッジ把持要素が
X-Y平面に延び、前記ワークピース
を前記第1の端及び前記第2の端で保持するために離間しており、
中央ワークピースハンドリング要素が前記第1のエッジ把持要素及び前記第2のエッジ把持要素よりもZ方向に高く延びるように、前記Z方向に高さを有し、前記
回転可能なアームが、前記ワークピースの前記アライナチャックへの積載を許可する第1の半径方向の位置から前記ワークピースの前記アライナチャックへの積載を許可しない第2の半径方向の位置へと移動可能である、ロボットブレード上のワークピースを移動し、ロボットブレードを、第1の端及び第1の端の反対側の第2の端を有する
前記回転可能なアームを含むアライナチャックに向かって移動することと、
前記アームが前記第1の半径方向の位置にあるか前記第2の半径方向の位置にあるかを確認することと、
前記アームが前記第1の半径方向の位置にあるときに、前記アライナチャックに前記ワークピースを積載することと
を含む方法。
【請求項11】
前記アライナチャックに前記ワークピースを積載した後に前記アームを回転させて、前記ワークピースを位置合わせすることを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記アームが前記第2の半径方向の位置にあるときに、前記ロボットブレードが前記アライナチャックに前記ワークピースを積載するのを防ぐことを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記アームが前記第1の半径方向の位置に入るまで前記アームを回転させ、次いで前記アームが前記第1の半径方向の位置にあるときに、前記アライナチャックに前記ワークピースを積載することを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記ワークピースを位置合わせすること
を更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ワークピースがキャリア上のEUVレチクルブランクである、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、一般に、基板及びキャリアなどのワークピースの処理及び位置合わせに関し、より具体的には、アライナを利用してワークピースを処理するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ワークピースハンドラは、製造の様々なプロセスを通じて基板(例えば、半導体ウエハ)などのワークピースを搬送するために、半導体製造で一般的に使用される。半導体処理装置は、ワークピース又は、半導体処理中に位置合わせ機能と基板識別機能を提供するために、基板アライナを利用する。これらのワークピース又は基板アライナは、通常、ファクトリインターフェース又は機器のフロントエンドモジュールの一端(例えば側面)に取り付けられる。製造業者は、基板又はキャリアを特定の配向で「中心探知(center find)」し、「配置(position)」して、プロセスの性能/均一性が適切に追跡されるようにアライナを使用する。
【0003】
現在、アライナは、「中心接触(center contact)」又は「エッジ/外側接触(edge/outer contact)」タイプのいずれかである。中心接触アライナは、レチクルなどの他の基板を保持する可能性のあるウエハ又はキャリアベースといった任意の中実の基板又はワークピースで動作することになる。ただし、中心接触アライナは、キャリアシールドなどの中央に大きな開口部又は孔があるワークでは機能しないことになる。中心に大きな孔があるワークピースを支持するには、エッジ/外側接触アライナが必要である。
図1は、中実のキャリアベース12の形態の中実のワークピース又は開口部16を内部に有するシールド14のいずれかを支持することができるエッジ/外側接触アライナ10を示す。
図2は、中実のキャリアベース12又はウエハを処理できるが、シールド14に開口部16を収容するのに十分な大きさのチャック22を有していないため、大きな開口部16を内部に有するシールド14は処理できない中心接触アライナ20を示す。
【0004】
現在のエッジ/外側接触アライナの問題は、ウエハ又はキャリアをアライナアーム17から持ち上げて取り外すことができるように、エッジ/外側接触アライナが
図1に示すリフトピン15などの追加の内部機構を必要とすることである。この追加の内部リフティング機構は、粒子を生成し、アライナ設計に複雑さとコストを追加する。内部リフティング機構なしで位置合わせすることができ、単一のアライナヘッド設計を利用した中心接触位置合わせ又はエッジ/外側接触位置合わせが可能なアライナを提供することが有用だろう。
【発明の概要】
【0005】
第1の実施形態は、X-Y平面に延びる第1の端及び第2の端を有するアームを含むアライナチャックと、ワークピースをそのエッジで保持するために離間している、第1の端の第1のエッジ把持要素及び第2の端の第2のエッジ把持要素と、アームの中央領域に位置する中央ワークピースハンドリング要素であって、中央ワークピースハンドリング要素が第1のエッジ把持要素及び第2のエッジ把持要素よりもZ方向に高く延びるようにZ方向に高さを有する中央ワークピースハンドリング要素とを含むワークピースアライナ装置を提供する。
【0006】
第2の実施態様は、第1の端と第1の端の反対側の第2の端とを有するアームを含むアライナチャックと、ワークピースをそのエッジで保持するために離間している、第1の端の第1のエッジ把持要素及び第2の端の第2のエッジ把持要素と、アームが第1の位置にあるときに、ロボットブレードが第1のエッジ把持要素及び第2のエッジ把持要素により保持されるワークピースの積載を妨げられるデッドゾーンと、アームが第2の位置にあるときに、ロボットブレードが第1のエッジ把持要素及び第2のエッジ把持要素によって保持されるワークピースの積載が許可される移送ゾーンと間で、アームの回転を制御するコントローラとを含むワークピースアライナ装置を提供する。
【0007】
例示的な方法の実施形態は、アライナ装置でワークピースを処理する方法であって、ロボットブレード上のワークピースを移動し、ロボットブレードを、第1の端と第1の端の反対側の第2の端とを有するアームを含むアライナチャックに向かって移動することであって、第1の端の第1のエッジ把持要素及び第2の端の第2のエッジ把持要素がワークピースをそのエッジで保持するために離間しており、アームが、ワークピースのアライナチャックへの積載を許可する第1の半径方向の位置、及びワークピースのアライナチャックへの積載を許可しない第2の半径方向の位置から移動可能である、ロボットブレード上のワークピースを移動し、ロボットブレードを、第1の端と第1の端の反対側の第2の端とを有するアームを含むアライナチャックに向かって移動することと、アームが第1の半径方向の位置にあるか第2の半径方向の位置にあるかを確認することと、アームが第1の半径方向の位置にあるときに、アライナチャックにワークピースを積載することとを含む方法を提供する。
【0008】
本開示の上述の特徴を詳細に理解できるように、上記で簡単に要約されている本開示のより詳細な説明が、実施形態を参照することによって得られ、それらの実施形態の一部が添付される図面に示されている。しかし、本開示は他の等しく有効な実施形態も許容しうることから、添付される図面はこの開示の実施形態を示しており、したがって、本開示の範囲を限定すると見なすべきではないことに、留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】本開示の実施形態によるアライナヘッド又はチャックの斜視図である。
【
図4】本開示の実施形態による、キャリアベースが上で支持されたアライナの側面図である。
【
図5】本開示の実施形態による、開口部を有するキャリアシールドが上で支持されたアライナ装置の側面図である。
【
図6】本開示の実施形態による、ロボットブレードが基板又はキャリアを積載することができない位置にあるアライナを備えたアライナ装置の上面図である。
【
図7】本開示の実施形態による、ロボットブレードが基板又はキャリアを積載することができる位置にあるアームを備えたアライナ装置の上面図である。
【
図8】本開示の実施形態による、ロボットブレードが開口部を有するキャリアを積載することができない位置にあるアームを備えたアライナ装置の上面図である。
【
図9】本開示の実施形態による、ロボットブレードが、位置合わせ及び中心補正後に、開口部を有するキャリアを積載することができる位置にあるアームを備えたアライナ装置の上面図である。
【
図10】本開示の実施形態によるアライナ装置及び較正基板の上面図である。
【
図11】本開示の実施形態によるアライナ装置を動作させる例示的な方法を示すフローチャートである。
【
図12】本開示の特定の態様による例示的なコーティングツールの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここで、本開示による様々な実施形態を、添付図面を参照して以下により十分に説明する。本明細書に記載されるワークピースアライナ装置及び方法は、多くの異なる形態で実施されてもよく、本明細書に記載される実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が網羅的かつ完全であり、システム及び方法の範囲を当業者に十分に伝えるように提示される。
【0011】
利便性と明確性のために、「上部(top)」、「底部(bottom)」、「上の(upper)」、「下の(lower)」、「垂直な(vertical)」、「水平な(horizontal)」、「横の(lateral)」、「縦の(longitudinal)」といった用語が本明細書で使用され、図示されるように、デバイスの構成要素の形状寸法と配向に関して、これらの構成要素とそれらの構成部品の相対的な配置と配向を説明する。用語は、具体的に言及された単語、その派生語、及び類似の意味及び/又は意義の単語を含むことになる。
【0012】
本明細書で使用されるように、単数形で列挙され、単語「a」又は「an」で始まる要素又は動作は、そのような除外が明示的に列挙されるまで、複数の要素又は動作を含むと理解されるべきである。更に、本開示の「1つの実施形態」への言及は、限定することを意図していない。追加の実施形態は、列挙された特徴を組み込んでもよい。
【0013】
上記を考慮すると、本開示の1つ又は複数の実施形態の利点は、現在のエッジ/外側接触アライナの問題が、ウエハやキャリアなどのワークピースをアライナアーム17から持ち上げて取り外しできるようにするために、
図1に示すリフトピン15などの追加の内部ワークピースリフティング機構を排除することで解決されるということである。1つ又は複数の実施形態において、この追加の内部ワークピースリフティング機構を排除することにより、粒子が減少する。更に、追加のワークピースリフティング機構は、アライナ装置に複雑さとコストを追加する。したがって、1つ又は複数の実施形態において、内部リフティング機構を必要としない又は含まないアライナ装置は、基板及びキャリアなどのワークピースの位置合わせ中のアライナ装置の設計を簡素化し、粒子の発生を低減する。加えて、1つ又は複数の実施形態は、単一のアライナヘッド設計を利用して中心接触位置合わせ又はエッジ/外側接触位置合わせのいずれかが可能なチャックを有するアライナ装置を提供することにより、多様なワークピースの位置合わせプロセスを簡素化する。
【0014】
粒子の発生を低減するアライナ装置を提供することは、軟X線投影リソグラフィとしても知られる極端紫外線リソグラフィ(EUV)の要素の製造に非常に有益である。EUVは、深さ0.13ミクロン以下の最小特徴サイズの半導体デバイスの製造に対する深紫外線リソグラフィに取って代わり始めた。EUVシステムは、光の透過ではなく反射によって動作する。一連のミラー又はレンズ要素、及び非反射吸収体マスクパターンでコーティングされた反射要素又はマスクブランクの使用により、パターン形成された化学光はレジストでコーティングされた半導体ウエハに反射される。
【0015】
従来のEUVブランクプロセスは、例えば、様々なコーティングを塗布するためにコーティングツールに配置される152mm×152mmのブランクレチクルを含みうる。構成されているように、正方形のレチクルは、キャリアアセンブリ(例えば、300mmのキャリアアセンブリ)内に挟まれ、レチクルが300mmのウエハのようなコーティングツールを介して移動可能となる。キャリアアセンブリは、キャリアベース、レチクルブランク、及びキャリアシールドを含みうる。レチクルの製造中、キャリアアセンブリは製造プロセス中に位置合わせされてもよい。
【0016】
ここで
図3を参照すると、ワークピースアライナの構成要素が示される。アライナチャック30は、X-Y平面に延びる第1の端31及び第2の端33を有するアーム32を含む。本明細書で使用される際、「ワークピース(workpiece)」は、半導体ウエハなどの基板、EUVレチクルなどの基板を保持する中実のキャリア若しくはシールド、又はEUVレチクルなどの基板を保持する開口部を内部に備えたキャリア又はシールドを指す。第1のエッジ把持要素34は第1の端31にあり、第2のエッジ把持要素36は第2の端33にある。第1のエッジ把持要素34及び第2のエッジ把持要素36は、図示のようなファスナ35を使用するなどの任意の適切な方法でアーム32に取り付けることができる。ファスナ35は、ねじ、ボルト、ねじ山、リベット、又は任意の他の適切なファスナデバイスでありうる。第1のエッジ把持要素34及び第2のエッジ把持要素36は、ワークピースをそのエッジで保持するために離間している。例示的なワークピースは、半導体基板、又は中実のキャリアベース12若しくは
図1及び
図2に示される開口部16を内部に有するシールド14といったキャリア/キャリアベース若しくはシールドを含む。特定の実施形態では、ワークピースが直径300mmの半導体基板、又は直径300mmの中実のキャリアベース12又は直径300mmのシールド14である場合、第1のエッジ把持要素34及び第2のエッジ把持要素36は、位置合わせプロセス中にエッジによって半導体基板、中実のキャリアベース12又はシールド14を保持するために、300mm離間している。もちろん、より小さな直径のワークピース(直径300mm未満)については、第1のエッジ把持要素34と第2のエッジ把持要素36との間の距離は、ワークピースの直径にほぼ等しくなるように減少し、より大きな直径のワークピース(直径300mmを超える)については、距離は増加するだろう。本開示は、エッジ把持要素の特定の間隔に限定されない。
【0017】
アライナチャック30は、アーム32の中央領域40に位置する中央ワークピースハンドリング要素38を更に含む。特定の実施形態では、中央ワークピースハンドリング要素38は、アーム32の中心にある。図示された実施形態では、中央ワークピースハンドリング要素38は、ファスナ45でアームに固定される。図示された実施形態において、中央ワークピースハンドリング要素38は、距離Hgだけ延びる第1のエッジ把持要素及び第2のエッジ把持要素がZ方向に延びるよりも高くZ方向に延びるように、Z方向に高さ(Hc)を有する。
【0018】
図3に示されるアライナチャック30は、内部リフト機構を含まない任意の標準的なロータリアライナに取り付けることができる。アライナチャックは、パッシブ(摩擦のみ)又はアクティブ(真空)のいずれかでありうる。2つの接触面(第1のエッジ把持要素34及び第2のエッジ把持要素36)並びに中央ワークピースハンドリング要素38は、異なるZ高さにあり、2つの表面間の粒子交差汚染を防止するのを助ける。
【0019】
図4は、
図3に示すアライナチャック30を含むワークピースアライナ装置50を示し、中実のキャリアベース12が中央ワークピースハンドリング要素38上の所定の位置に保持されている。
図4に見られるように、キャリアベース12は、第1のエッジ把持要素34及び第2のエッジ把持要素36に接触しない。ワークピースアライナ装置50は、ワークピースをアームから持ち上げるためのリフトピンなどの別個のワークピースリフティング機構を含まない。
【0020】
第1のエッジ把持要素34及び第2のエッジ把持要素36は、平らな中実のワークピース又は中央開口部を内部に有する平らなワークピースのいずれかを保持するように構成される。中央ワークピースハンドリング要素が平らな中実のワークピースを保持しているとき、平らな中実のワークピースは、第1のエッジ把持要素34及び第2のエッジ把持要素36に接触しない。
【0021】
図5は、
図3に示されるアライナチャック30を含むワークピースアライナ装置50を示し、キャリアシールドの形態でありうる、中央開口部16を内部に有する平らなシールド14を備える。
図6に見られるように、中央開口部は、シールド14を第1のエッジ把持要素34及び第2のエッジ把持要素36によって保持させる。したがって、中央ワークピースハンドリング要素38は、平らな中実のワークピースを保持するように構成されるが、中央開口部を内部に有する平らなワークピースを保持するようには構成されない。
【0022】
図6及び
図7は、ワークピース(図示せず)をワークピースアライナ装置50に積載するように構成されたロボットブレード60を備えたワークピースアライナ装置50を示す。中央処理装置(CPU)64、メモリ66、及びサポート回路68を含むコントローラ62は、ワークピースアライナ装置50に接続され、ワークピースの積載、ワークピースの積載解除、及びワークアライナ装置50に配置されたワークピースの位置合わせの制御を容易にする。メモリ66は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、フロッピーディスク、ハードディスク、又はワークピースアライナ装置50若しくはCPU64に対してローカル又はリモートの他の任意の形態のデジタルストレージといった、任意のコンピュータ可読媒体とすることができる。サポート回路68は、従来の方法でCPU64をサポートするためにCPU64に接続される。これらの回路は、キャッシュ、電源、クロック回路、入力/出力回路及びサブシステムなどが含むことができる。メモリ66に格納されたソフトウェアルーチン又は一連のプログラム命令は、CPU64によって実行されると、ロボットブレード60によってワークピースをワークアライナ装置50に積載し、アライナ装置にワークピースを位置合わせさせる。したがって、コントローラ62は、アーム32の回転を制御し、ワークピースを積載するためにロボットブレード60の動きを制御するコントローラと通信する。いくつかの実施形態では、アーム32の回転及びロボットブレード60の動きは、単一のコントローラ62によって制御されてもよい。
【0023】
図6及び
図7を参照すると、第1のエッジ把持要素34及び第2のエッジ把持要素36を使用してワークピース(図示せず)を積載するために、アライナの方に移動するロボットブレード(
図6)が示される。図
6では、アーム32が、32’及び32’’として
一点鎖線で示され、これらは、ロボットブレード60が第1のエッジ把持要素34及び第2のエッジ把持要素36によって保持されるワークピースを積載することができる第1の回転位置又は第1の回転位置の範囲を示す。
図7は、ロボットブレード60が第1のエッジ把持要素34又は第2のエッジ把持要素36からの干渉なしにワークピースを積載することができる回転位置を提供する、矢印72及び74により示される回転位置の範囲を示す。ゾーン71及び73は、ロボットブレード60が第1のエッジ把持要素34及び第2のエッジ把持要素36のいずれかと接触し、したがって、第1のエッジ把持要素34又は第2のエッジ把持要素36がロボットブレード60に干渉しワークピースの積載を妨げることになるだろうゾーンとして
図7に示される。単に例として、基板が第1のエッジ把持要素34及び第2のエッジ把持要素36に積載されるときに、アーム32が0度のホーム位置から135度~225度の位置にある可能性はないが、これは、ロボットブレードが第1のエッジ把持要素34又は第2のエッジ把持要素によって停止又は干渉されることになるからである。しかしながら、アーム32が225度から315度(又は45度から135度)の間にあるとき、ロボットブレードは第1の位置にあり、ロボットブレードは干渉なくワークピースを積載することができる。この例示的な実施形態で提示される位置は限定的なものではなく、ゾーン71及びゾーン73を画定するために他の位置が選択されてもよいことに留意されたい。
【0024】
したがって、コントローラ62は、第1のエッジ把持要素34及び第2のエッジ把持要素36がロボットブレードに干渉するだろう第2の位置にあるときに、ロボットブレード60がワークピースを積載するのを防ぐように構成される。メモリは、第1の位置と第2の位置を記憶する。別の言い方をすれば、コントローラ62は、アームが第1の位置にあるときに、ロボットブレード60が第1のエッジ把持要素34及び第2のエッジ把持要素36により保持されるワークピースの積載を妨げられるデッドゾーンと、アームが第2の位置にあるときに、ロボットブレード60が第1のエッジ把持要素34及び第2のエッジ把持要素36によって保持されるワークピースの積載が許可される移送ゾーンと間で、アーム32の回転を制御する。第1の位置は、ロボットブレードが第1のエッジ把持要素又は第2のエッジ把持要素に干渉しない半径方向の位置の第1の範囲を含む。第2の位置は、ロボットブレードが第1のエッジ把持要素又は第2のエッジ把持要素に干渉する半径方向の位置の第2の範囲を含む。
【0025】
図8は、中央開口部16を内部に有する平らなシールド14を保持するロボットブレード60を示し、アーム32は、ロボットブレードへの干渉によって積載が妨げられる第2の位置にある。
図9は、ロボットブレード60がワークアライナ装置50の位置合わせ及び中心補正後に開口部を備えたワークピースを積載することができる第1の位置にあるロボットブレード60を示す。
図10は、ロボットブレード60とアーム32がワークピースを積載する位置にあるワークピースアライナ装置50を示す。ダミーのワークピース80は、ワークピース位置合わせマーキング81、83及びブレード位置合わせマーキング82、84とともに示されており、それらのマーキングは、ロボットブレード60をダミーのワークピース80に位置合わせするために使用することができる。
【0026】
図11は、本開示の特定の態様による、ワークピースを位置合わせするための方法の例示的な実施形態のフロー図を示す。いくつかの実施形態では、方法は、コンピュータシステムを使用して部分的に実装又は指示されてもよい。したがって、方法は、本開示の様々な実施形態によるシステム、方法、及びコンピュータプログラム製品の可能な実装の機能及び/又は動作を提供しうる。これに関して、フローチャートのブロックは、指定された論理機能を実装するための1つ又は複数の実行可能な命令を含むモジュール、セグメント、又はコードの一部を表すことがある。また述べられたように、いくつかの代替的な実装形態では、ブロックに記載されている機能が、図に示されている順序から外れて生じることがある。例えば、連続して示される2つのブロックは、実際には同時に実行されてもよい。また述べられたように、方法200のブロックは、特定の機能又は作用を実行するための専用ハードウェアベースのシステム、又は専用ハードウェアとコンピュータ命令との組み合わせによって実装することができる。
【0027】
図11では、方法200は、例えば、ブロック201に示されるように、ロボットブレードに結合されたロボットがウエハをワークアライナ装置にハンドオフする準備ができているロボットブレード上に、基板又はウエハ又はキャリア若しくはシールドの形態でワークピースを配置することを含みうる。この方法は、ブロック202に示すように、アームを回転させるシャフト位置を検査するワークピースアライナ装置を更に含みうる。位置が「良い」とみなされる場合、つまり、前述のように、アームが半径方向の位置にあり、第1のエッジ把持要素34及び第2のエッジ把持要素36がロボットブレードに干渉することがない場合、ブロック204に示すように、ロボットブレードは、アライナ装置上にワークピースを配置する(例えば、ウエハをハンドオフする)ことができ、ロボットブレードは後退する。ただし、アームの位置が「悪い」とみなされる場合、コントローラによって制御されるアライナ装置は、ブロック207に示されるように、アームを回転させて「デッドゾーン(dead zone)」をクリアし、ブレードと第1のエッジ把持要素34及び第2のエッジ把持要素36とが互いに干渉しない半径方向の位置にアームを配置する。ブロック209に示すように、ワークピース位置合わせ装置が回転位置又は角度をメモリに記録し、ブロック211に示すように、ロボットブレードが延びてワークピースを持ち上げ、ブロック213に示すように、コントローラが信号を送信し、アライナ装置が部材に記憶された記録角度又は位置までチャックを時計回りに回転させ、ブロック215に示すように、ロボットブレードがワークピースをアライナ装置に落下させ、ブロック217に示すように、アライナ装置が反時計回りに回転してノッチの位置合わせを完了し、ブロック208及び210のプロセス完了前に、ブロック219に示すように、アライナ装置がチャック及びアームの回転位置を検証する。
【0028】
したがって、実施形態において、アライナ装置でワークピースを処理する方法は、ロボットブレード上のワークピースを移動し、ロボットブレードを、第1の端と第1の端の反対側の第2の端とを有するアームを含むアライナチャックに向かって移動することであって、第1の端の第1のエッジ把持要素及び第2の端の第2のエッジ把持要素がワークピースをそのエッジで保持するために離間しており、アームが、ワークピースのアライナチャックへの積載を許可する第1の半径方向の位置、及びワークピースのアライナチャックへの積載を許可しない第2の半径方向の位置から移動可能である、ロボットブレード上のワークピースを移動し、ロボットブレードを、第1の端と第1の端の反対側の第2の端とを有するアームを含むアライナチャックに向かって移動することと、アームが第1の半径方向の位置にあるか第2の半径方向の位置にあるかを確認することと、アームが第1の半径方向の位置にあるときに、アライナチャックにワークピースを積載することとを含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、方法は、チャックにワークピースを積載した後にアームを回転させて、ワークピースをノッチで位置合わせすることを更に含む。1つ又は複数の実施形態において、アームが第2の半径方向の位置にあるとき、方法は、ロボットブレードがアライナチャックにワークピースを積載するのを防止することを更に含む。いくつかの実施形態では、方法は、アームが第1の半径方向の位置に入るまでアームを回転させ、次いで、アームが第1の半径方向の位置にあるときにワークピースをチャックに積載することを更に含む。この方法は、ワークピースを位置合わせすることを更に含む。1つ又は複数の実施形態では、ワークピースは、キャリア上のEUVレチクルブランクである。
【0030】
基板アライナ装置は、ブロック205に示されるようにノッチの位置合わせを実行する。次に、コントローラは信号を送信し、シャフトの位置をチェックして、アームが半径方向の位置にあることを確認し、これにより、ブロック206に示すように、ワークピースアライナ装置からウエハを取り外すことができる。アームが、ロボットブレードと第1のエッジ把持要素34及び第2のエッジ把持要素36がロボットブレードに干渉しない第1の位置にある場合、ブロック208に示すように、ロボットブレードが延びてウエハを取り上げ、ブロック210に示すように、ロボットブレードが後退する。しかし、ブロック205でノッチの位置合わせが実行され、かつシャフト/アームの位置が「悪い」とみなされた後に、コントローラが信号を送信し、ワークピースアライナ装置がチャックを回転させてデッドゾーンをクリアする。
【0031】
別の態様は、ワークピースを位置合わせする方法であって、ワークピースを、第1の位置から、エッジでワークピースに接触する第1の接触面と中心でワークピースに接触する第2の接触面とを有するアライナに移動することと、ロボットブレードがワークピースをアライナに移送することができないデッドゾーンから離れてワークピースアライナを回転させることと、ワークピースを位置合わせすることと、デッドゾーンから離れてワークピースを回転させることと、アライナから基板を取り外すこととを含む方法に関する。
【0032】
上述のように、ワークピースアライナ装置及び方法は、EUVマスクなどのEUVデバイスの製造に有益である。
図12は、1つ又は複数の実施形態による、本明細書に記載のワークピースアライナ装置50とともに使用できるEUVマスク製造システム100を示す。EUVマスク製造システム100は、1つ又は複数のマスクブランク104を受け取るマスクブランク積載及びキャリアハンドリングシステム102を含みうる。エアロック106は、ウエハハンドリング真空チャンバ108へのアクセスを提供する。図示された実施形態では、ウエハハンドリング真空チャンバ108は、2つの真空チャンバ、例えば、第1の真空チャンバ110及び第2の真空チャンバ112を含む。第1の真空チャンバ110内には、第1のウエハハンドリングシステム114があり、第2の真空チャンバ112内には、第2のウエハハンドリングシステム116がある。
【0033】
ウエハハンドリング真空チャンバ108は、様々な他のシステムの取り付けのために、その周囲に複数のポートを有することがある。この非限定的な実施形態では、第1の真空チャンバ110は、ガス抜きシステム118、第1の物理的気相堆積システム120、第2の物理的気相堆積システム122、及び前洗浄システム124を有する。更に、第2の真空チャンバ112は、第1のマルチカソード源126、流動性化学気相堆積(FCVD)システム128、硬化システム130、及びそれに結合された第2のマルチカソード源132を含んでもよい。
【0034】
第1のウエハハンドリングシステム114は、エアロック106及び第1の真空チャンバ110の周囲の様々なシステム間で、連続真空内のスリットバルブを通して、ウエハ134などのウエハを移動させることができる。第2のウエハハンドリングシステム116は、ウエハを連続真空に維持しながら、ウエハ136などのウエハを第2の真空チャンバ112の周りに移動させることができる。統合EUVマスク製造システム100は、以下に説明するレチクル処理システムとともに動作しうる。ワークピースアライナ装置50は、キャリアハンドリングシステム102に隣接して又は接近して利用することができる。
【0035】
この明細書全体を通しての「1つの実施形態(one embodiment)」、「ある実施形態(certain embodiments)」、「1つ又は複数の実施形態(one or more embodiments)」、又は、「実施形態(an embodiment)」に対する言及は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、材料、又は特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。ゆえに、この明細書全体の様々な箇所での「1つ又は複数の実施形態では」、「ある実施形態では」、「1つの実施形態では」、又は「実施形態では」といった表現の表出は、本開示の同一の実施形態に必ずしも言及しているわけではない。更に、特定の特徴、構造、材料、又は特性は、1つ又は複数の実施形態において、任意の適した様態で組み合わせてもよい。
【0036】
本明細書の開示は特定の実施形態を参照して説明されているが、これらの実施形態は本開示の原理及び用途の例示にすぎないと理解すべきである。本開示の本質及び範囲から逸脱することなく、本開示の方法及び装置に対して様々な修正及び変形が実行可能であることが、当業者には明らかだろう。ゆえに、本開示は、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物に含まれる修正及び変形を含むことが意図される。