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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-02
(45)【発行日】2022-11-11
(54)【発明の名称】成膜装置
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/34 20060101AFI20221104BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20221104BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20221104BHJP
【FI】
C23C14/34 L
C23C14/34 C
H05B33/14 A
H05B33/10
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020169055
(22)【出願日】2020-10-06
(65)【公開番号】P2022061206
(43)【公開日】2022-04-18
【審査請求日】2021-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】591065413
【氏名又は名称】キヤノントッキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 行生
【審査官】▲高▼橋 真由
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-253316(JP,A)
【文献】特開2020-105566(JP,A)
【文献】特表2017-521560(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/00-14/58
H05B 33/00-33/28
H05B 44/00
H05B 45/60
H01L 27/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバと、
前記チャンバ内に配される基板上に薄膜を形成するための成膜源と、
内部が大気環境に保たれ、かつ前記成膜源を支持して往復移動する支持台と、
両端がいずれも回動自在に軸支される複数の大気アームにより構成され、前記チャンバと前記支持台とを連結するように設けられると共に、前記チャンバの外部と前記支持台の内部とを連通させ、かつ前記支持台の移動に伴って移動する連結機構と、
前記支持台の内部に配されて、前記成膜源に冷却液を供給するための第1冷却管と、
前記連結機構の内部に配されると共に、前記第1冷却管に対して多岐管を介して接続され、かつ、いずれも前記第1冷却管よりも細い複数の第2冷却管と、
を備えることを特徴とする成膜装置。
【請求項2】
前記チャンバの外部に配されると共に、前記チャンバの外部に配された外部多岐管を介して、前記複数の第2冷却管に接続され、かつ前記第2冷却管よりも太い第3冷却管を備えることを特徴とする請求項1に記載の成膜装置。
【請求項3】
前記複数の大気アームは、
第1の端部が前記チャンバに回動自在に軸支される第1大気アームと、
第1の端部が前記第1大気アームの第2の端部に回動自在に軸支され、第2の端部が前記支持台に回動自在に軸支される第2大気アームと、
を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の成膜装置。
【請求項4】
前記複数の第2冷却管は、束にして捩じれた状態で前記連結機構の内部に配されていることを特徴とする請求項1~のいずれか一つに記載の成膜装置。
【請求項5】
前記成膜源は、スパッタリングによって、基板上に薄膜を形成するための粒子を放出し、かつ、スパッタリングの際に回転するように構成される少なくとも一つの円筒状のターゲットを備えることを特徴とする請求項1~のいずれか一つに記載の成膜装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に薄膜を形成する成膜装置に関する。
【背景技術】
【0002】
成膜装置において、面積の広い基板に薄膜を形成するために、成膜源が往復移動するように構成される技術が知られている。このような技術においては、成膜源を支持する支持台としての大気ボックスと、大気ボックスを往復移動させる移動機構と、大気ボックスの移動に伴って従動する複数の大気アームとを備えている。大気ボックスと複数の大気アームは、いずれも内部が大気に曝された状態となっており、チャンバの外部から電気配線や冷却液を供給する冷却管が、大気ボックス及び複数の大気アームの内部を通じて、成膜源に接続されるように構成されている。冷却管は、柔軟性を有する配管により構成されており、複数の大気アームの動作に伴って、冷却管自体も変形することで、配管としての機能を維持している。特に、大気アーム同士を接続する部分においては、冷却管は湾曲した状態を維持しながら変形可能に構成されている。
【0003】
成膜源に供給する冷却液の流量を増加する必要がある場合には、より太い冷却管を用いる必要がある。冷却管が太ければ太いほど、湾曲させる際の曲率半径を大きくしなければならない。従って、大気アーム同士を接続する部分において、太い冷却管を湾曲した状態で維持するためには、大気アームを大きくしなければならず、大気アームの設置スペースも広くなり、装置全体が大型化してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-299176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、装置の大型化を抑制しつつ、成膜源に供給する冷却液の流量の増加を可能とする成膜装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の成膜装置は、
チャンバと、
前記チャンバ内に配される基板上に薄膜を形成するための成膜源と、
内部が大気環境に保たれ、かつ前記成膜源を支持して往復移動する支持台と、
両端がいずれも回動自在に軸支される複数の大気アームにより構成され、前記チャンバと前記支持台とを連結するように設けられると共に、前記チャンバの外部と前記支持台の内部とを連通させ、かつ前記支持台の移動に伴って移動する連結機構と、
前記支持台の内部に配されて、前記成膜源に冷却液を供給するための第1冷却管と、
前記連結機構の内部に配されると共に、前記第1冷却管に対して多岐管を介して接続され、かつ、いずれも前記第1冷却管よりも細い複数の第2冷却管と、
を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、成膜源に供給する冷却液の流量を増加させるために第1冷却管を太くしても、複数の第2冷却管は曲率半径を小さな状態で湾曲させることができる。そのため、連結機構を大きくしなくても、複数の第2冷却管を連結機構の内部に配することが可能となる。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように、本発明によれば、装置の大型化を抑制しつつ、成膜源に供給する冷却液の流量の増加を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施例に係る成膜装置の内部構成を上方から見た概略構成図である。
図2】本発明の実施例に係る成膜装置の内部構成を断面的に見た概略構成図である。
図3】本発明の実施例に係る成膜装置の内部構成を断面的に見た概略構成図である。
図4】本発明の実施例に係る成膜源の概略構成図である。
図5】本発明の実施例に係る連結機構の一部を示す模式的断面図である。
図6】本発明の実施例に係る第2冷却管の動作説明図である。
図7】電子デバイスの一例を示す模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0011】
(実施例)
図1図6を参照して、本発明の実施例に係る成膜装置について説明する。なお、本実施例においては、成膜装置の一例として、スパッタ装置の場合を例にして説明する。図1は本発明の実施例に係る成膜装置の内部構成を上方から見た概略構成図である。図2は、図1において、矢印V1方向に見た断面図である。図3は、図1において、矢印V2方向に見た断面図である。図4は本発明の実施例に係る成膜源の概略構成図であり、同図(a)は成膜源の付近を正面から見た概略構成図であり、同図(b)は同図(a)中のAA断面図である。なお、図4(a)では、大気ボックスについては断面図で示している。図5は本発明の実施例に係る連結機構の一部を示す模式的断面図であり、大気アームの一部の付近を断面図にて示している。図6は本発明の実施例に係る第2冷却管の動作説明図である。
【0012】
<成膜装置の全体構成>
図1図3を参照して、本実施例に係る成膜装置1の全体構成について説明する。成膜装置1は、内部が真空雰囲気となるチャンバ10と、チャンバ10内に備えられる成膜源100と、成膜源100を移動させるための駆動装置200とを備えている。
【0013】
チャンバ10内には、基板Pを保持する基板保持機構11と、マスクMを保持するマスク保持機構12が備えられている。これらの保持機構により、基板PとマスクMは、成膜動作中(スパッタリング動作中)は静止した状態が保たれる。チャンバ10は気密容器であり、排気ポンプ20によって、その内部は真空状態(又は減圧状態)に維持される。ガス供給弁30を開き、チャンバ10内にガスを供給することで、処理に対する適切なガス雰囲気(又は圧力帯)に適宜変更することができる。チャンバ10全体は接地回路40により電気的に接地されている。
【0014】
駆動装置200は、成膜源100を支持する支持台としての大気ボックス210と、大気ボックス210の移動を案内する一対のガイドレール221,222と、大気ボックス210を往復移動させる移動機構230とを備えている。また、駆動装置200には、チ
ャンバ10と大気ボックス210とを連結するように設けられ、大気ボックス210の移動に伴って従動して移動する連結機構240も備えられている。大気ボックス210は、その内部が空洞となっており、連結機構240により、チャンバ10の外部と大気ボックス210の内部とを連通させることで、大気ボックス210の内部は大気環境に保たれるように構成されている。このような構成が採用されることで、チャンバ10の外部に設けられた冷却液供給装置50に接続される冷却管と、同じくチャンバ10の外部に設けられた電源60に接続される配線61を成膜源100に接続することができる。
【0015】
大気ボックス210は、移動機構230によって、一対のガイドレール221,222に沿って、往復移動するように構成されている。移動機構230は、ボールねじ機構を採用しており、ボールねじ231と、ボールねじ231を回転させるモータなどの駆動源232とを備えている。ただし、大気ボックス210を往復移動させるための移動機構については、ボールねじ機構に限定されることはなく、ラックアンドピニオン機構など、各種公知技術を採用し得る。移動機構230にラックアンドピニオン機構を採用する場合は、搬送ガイド部分に設けることができる。
【0016】
<成膜源>
図4を参照して、成膜源100について、より詳細に説明する。成膜源100は、ターゲット110と、ターゲット110の両端を支持するサポートブロック120及びエンドブロック130とを備えている。なお、本実施例においては、ターゲット110は、2本設けられており、サポートブロック120及びエンドブロック130も、2本のターゲット110にそれぞれ一つずつ設けられている。ターゲット110は、スパッタリング時に回転する円筒状の部材であり、ロータリーカソードとも呼ばれる。サポートブロック120及びエンドブロック130は、大気ボックス210の上面に固定されている。ターゲット110は、円筒状のターゲット本体111と、その内周に配される電極であるカソード112とを備えている。また、ターゲット110は、サポートブロック120及びエンドブロック130により回転自在に支持されており、エンドブロック130内に備えられた不図示のモータなどの駆動源により、スパッタリング時に回転するように構成されている。なお、マグネトロンスパッタリング方式のスパッタ装置の場合には、ターゲット110と基板Pとの間に磁場(漏洩磁場)を発生させるために、カソード112の内部に磁石が設けられる。
【0017】
以上のように構成される成膜源100においては、ターゲット110とアノードであるチャンバ10との間に一定以上の電圧を印加することにより、これらの間にプラズマが発生する。そして、プラズマ中の陽イオンがターゲット110に衝突することで、ターゲット110(ターゲット本体111)からターゲット材料の粒子が放出される。ターゲット110から放出された粒子は、衝突を繰り返しながら、放出された粒子のうちターゲット物質の中性の原子が基板Pに堆積していく。これにより、基板Pには、ターゲット110の構成原子による薄膜が形成される。また、マグネトロンスパッタリング方式の場合には、上記の漏えい磁場によって、ターゲット110と基板Pとの間の所定領域にプラズマを集中させることができる。これにより、効率的にスパッタリングが行われるため、基板Pへのターゲット物質の堆積速度を向上させることができる。更に、本実施例に係る成膜源100においては、スパッタリングの最中にターゲット110が回転するように構成されている。これにより、ターゲット110の消耗領域(エロ―ジョンによる浸食領域)が一部に集中することはなく、ターゲット110の利用効率を高めることができる。
【0018】
<連結機構>
連結機構240について、より詳細に説明する。連結機構240は、両端がいずれも回動自在に軸支され、かつ、内部が空洞である複数の大気アームにより構成される。より具体的には、連結機構240は、第1大気アーム241と第2大気アーム242とを備えて
いる。第1大気アーム241は、第1の端部がチャンバ10の底板に対して回動自在に構成されている。そして、第2大気アーム242は、第1の端部が第1大気アーム241の第2の端部に対して回動自在に軸支される。第2大気アーム242の第2の端部が大気ボックス210に対して回動自在に軸支されている。
【0019】
図5には第1大気アーム241の第1の端部付近の構造を模式的断面図にて示している。図示のように、チャンバ10の底板には貫通孔10aが設けられ、第1大気アーム241には円筒状の突出部241aが設けられている。そして、大気ボックス210の底板と第1大気アーム241との間には、これらを回動自在に接続するための段差付きの円筒状部材241bが設けられている。この円筒状部材241bの一端は、チャンバ10の底板に設けられた貫通孔10a内に挿入されている。また、第1大気アーム241に設けられた突出部241aが、円筒状部材241bの他端側から挿入されている。なお、貫通孔10aと円筒状部材241bとの間の環状隙間と、突出部241aと円筒状部材241bとの間の環状隙間は、それぞれシールリング241c,241dによって封止されている。
【0020】
以上のような構成により、第1大気アーム241はチャンバ10の底板に対して回動自在に支持されつつ、第1大気アーム241内の空洞部と、第1大気アーム241の外側の空間(チャンバ10の内部空間)とは隔てられる。つまり、チャンバ10の内部を真空状態(又は減圧状態)に維持することができる。なお、第1大気アーム241と第2大気アーム242とが回動自在に軸支されている機構と、第2大気アーム242と大気ボックス210とが回動自在に軸支されている機構についても、同様の機構であるので、その説明は省略する。また、本実施例においては、2つのアームにより構成される場合を示したが、大気ボックス210の移動距離を長くしたい場合には、3つ以上のアームを連結することもできる。
【0021】
以上のように構成される連結機構240を備える駆動装置200により、大気ボックス210に固定された成膜源100を、大気ボックス210と共に往復移動させることが可能となる。これにより、往路及び復路のうちの少なくともいずれか一方の移動中に、成膜源100を稼働させることによって、基板Pに対して、成膜動作(スパッタリング)を行うことができる。従って、面積の広い基板Pに成膜を形成する場合であっても、駆動装置200により、成膜源100を移動させながら成膜動作を行うことで、基板Pの一端側から他端側に向かって連続的に薄膜を形成することができる。
【0022】
<冷却管>
冷却管について、より詳細に説明する。本実施例に係る冷却管は、大気ボックス210の内部に配されて成膜源100に接続される第1冷却管51と、連結機構240の内部に配される複数の第2冷却管52と、冷却液供給装置50に接続される第3冷却管53とを備えている。また、冷却管は、大気ボックス210の内部に配され、第1冷却管51と複数の第2冷却管52とを接続する多岐管54と、チャンバ10の外部に配され、複数の第2冷却管52と第3冷却管53とを接続する外部多岐管55とを備えている。
【0023】
複数の第2冷却管52は、いずれも第1冷却管51よりも細く、かつ第3冷却管53よりも細い。そして、複数の第2冷却管52は、束にして捩じれた状態で連結機構240の内部に配されている。図2,3,6において、図中の符号52aは、複数の第2冷却管52が束にされて捩じれた状態の部位を示している。このような構成を採用することで、第1大気アーム241と第2大気アーム242とのなす角が大きくなり直線に近い状態に近づくと、束になった複数の第2冷却管52は捩じれがきつくなり、互いの間隔が狭い状態となる(図6(a)参照)。これに対して、第1大気アーム241と第2大気アーム242とのなす角が小さくなり、屈曲した状態になると、束になった複数の第2冷却管52は捩じれが緩くなり、互いの間隔が広い状態となる(図6(b)参照)。しかしながら、第
2冷却管52同士は、ある程度拘束されるため、無駄に弛んでしまうことを抑制でき、第2冷却管52同士、及び第2冷却管52とアーム内壁面との間で摺動摩擦が生じてしまうことを抑制することができる。なお、複数の第2冷却管52を束にして捩じれた状態にすることなく連結機構240の内部に配した場合には、各々の第2冷却管52は拘束されることなく個別に動作するため、局所的に摺動摩擦が生じて耐久性が低下するおそれがある。
【0024】
<本実施例に係る成膜装置の優れた点>
本実施例に係る成膜装置1によれば、成膜源100に供給する冷却液の流量を増加させるために第1冷却管51を太くしても、複数の第2冷却管52は、いずれも第1冷却管51よりも細い。そのため、個々の第2冷却管52については、曲率半径を小さな状態で湾曲させることができる。従って、連結機構240を大きくしなくても、複数の第2冷却管52を連結機構240の内部に配することが可能となる。これにより、装置の大型化を抑制しつつ、成膜源100に供給する冷却液の流量の増加を図ることができる。また、大気ボックス210内においては、1本の第1冷却管51によって冷却液を供給する構成を採用することで、大気ボックス210内の容積を有効利用することができる。すなわち、仮に、大気ボックス210内において、複数の第2冷却管52を配する構成を採用した場合には、管の被覆の分だけ、冷却管の占有容積が大きくなってしまう。ただし、本発明においては、必ずしも第1冷却管が1本のみ設けられる構成に限定される訳ではない。第3冷却管についても同様に、2本以上設けられる場合も含まれる。
【0025】
<電子デバイスの製造装置>
上記実施例で示した成膜装置1は、電子デバイスを製造するための製造装置として利用可能である。以下、電子デバイスの製造装置、及び、電子デバイスの製造装置により製造される電子デバイスについて、図7を参照して説明する。成膜装置1は、半導体デバイス、磁気デバイス、電子部品などの各種電子デバイスや、光学部品などの製造において基板P上(基板Pの表面に積層体が形成されているものも含む)に薄膜(有機膜、金属膜、金属酸化物膜など)を堆積形成するために用いることができる。より具体的には、成膜装置1は、発光素子や光電変換素子、タッチパネルなどの電子デバイスの製造において好ましく用いられる。中でも、本実施例に係る成膜装置1は、有機EL(ElectroLuminescence)素子などの有機発光素子や、有機薄膜太陽電池などの有機光電変換素子の製造において特に好ましく適用可能である。なお、電子デバイスは、発光素子を備えた表示装置(例えば有機EL表示装置)や照明装置(例えば有機EL照明装置)、光電変換素子を備えたセンサ(例えば有機CMOSイメージセンサ)も含むものである。
【0026】
電子デバイスの製造装置により製造される有機EL素子の一例を図7に示している。図示の有機EL素子は、基板P上に、陽極F1、正孔注入層F2、正孔輸送層F3、有機発光層F4、電子輸送層F5、電子注入層F6、陰極F7の順番に成膜されている。本実施例に係る成膜装置1は、特に、有機膜上に、スパッタリングによって、電子注入層や電極(陰極や陽極)に用いられる金属膜や金属酸化物等の積層被膜を成膜する際に好適に用いられる。また、有機膜上への成膜に限定されず、金属材料や酸化物材料等のスパッタで成膜可能な材料の組み合わせであれば、多様な面に積層成膜が可能である。
【0027】
(その他)
上記実施例においては、成膜装置1がスパッタ装置であり、成膜源100がターゲット110などを備える構成の場合を示した。しかしながら、本発明においては、例えば、成膜装置が真空蒸着装置で、成膜源が蒸発源の場合にも適用可能である。
【符号の説明】
【0028】
1 成膜装置
10 チャンバ
51 第1冷却管
52 第2冷却管
53 第3冷却管
54 多岐管
55 外部多岐管
100 成膜源
200 駆動装置
210 大気ボックス
230 移動機構
240 連結機構
241 第1大気アーム
242 第2大気アーム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7