(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-02
(45)【発行日】2022-11-11
(54)【発明の名称】大オフセットダイ・ダイ検査用複数段階画像整列方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/66 20060101AFI20221104BHJP
G06T 7/70 20170101ALI20221104BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20221104BHJP
G06T 7/42 20170101ALI20221104BHJP
G01N 23/2251 20180101ALI20221104BHJP
G01N 21/956 20060101ALI20221104BHJP
【FI】
H01L21/66 J
G06T7/70 Z
G06T7/00 610C
G06T7/42
G06T7/00 350C
G01N23/2251
G01N21/956 A
(21)【出願番号】P 2020520821
(86)(22)【出願日】2018-10-19
(86)【国際出願番号】 US2018056600
(87)【国際公開番号】W WO2019079658
(87)【国際公開日】2019-04-25
【審査請求日】2021-10-14
(32)【優先日】2017-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ローバー ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァジャリア ヒマンシュ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ヨン
【審査官】今井 聖和
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/136359(WO,A1)
【文献】特開2006-266860(JP,A)
【文献】国際公開第2016/092640(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/144025(WO,A1)
【文献】特開2011-203080(JP,A)
【文献】ZHANG, Guangjun et al.,Novel template matching method with sub-pixel accuracy based on correlation and Fourier-Mellin transform,Optical Engineering,2009年05月,Vol.48, No.5,pp.057001-1-057001-13
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
G06T 7/00
G01N 23/2251
G01N 21/956
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
整列ダイ・ダイ検査画像取得方法であって、
ロー及びカラムをなす画素群を有する参照画像をプロセッサにて受領するステップと、
そのプロセッサを用いその参照画像から第1ローカルセクションを選択するステップと、
ロー及びカラムをなす画素群を有する供試画像をそのプロセッサにて受領するステップと、
そのプロセッサを用いその供試画像から第2ローカルセクションを選択するステップと、
そのプロセッサを用いそれら第1ローカルセクション及び第2ローカルセクションから推定回動オフセット及び推定並進オフセットを求めるステップと、
そのプロセッサを用い、供試画像デスキューを含む粗整列を実行することで、部分整列供試画像を作成するステップと、
その部分整列供試画像に対し区画並進を含む細整列を実行することで整列ダイ・ダイ検査画像を取得するステップと、
を有する方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記供試画像デスキューが、
前記プロセッサを用い前記供試画像のスキュー角を求めるステップと、
そのプロセッサを用いその供試画像をデスキューするステップと、
を含む方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、
前記参照画像のうち第1ローカルセクションと、前記供試画像のうち第2ローカルセクションとのスキュー比較を実行することでその供試画像のスキュー角を求める方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、
前記スキュー比較が、
前記プロセッサを用い前記参照画像のうち第1ローカルセクションに対し高速フーリエ変換を実行することで参照シーン関数を取得するステップと、
そのプロセッサを用い前記供試画像のうち第2ローカルセクションに対し高速フーリエ変換を実行することで供試シーン関数を取得するステップと、
そのプロセッサを用いその供試シーン関数をその参照シーン関数と比べることで前記スキュー角を求めるステップと、
を含む方法。
【請求項5】
請求項3に記載の方法であって、
前記スキュー比較が、前記供試画像内の1個又は複数個の卓越フィーチャのパターン認識を実行することで前記スキュー角を求めるステップを、含む方法。
【請求項6】
請求項3に記載の方法であって、
前記スキュー比較を、機械学習モジュールを用い実行することで、前記スキュー角を求める方法。
【請求項7】
請求項2に記載の方法であって、
前記供試画像をデスキューするステップが、
前記プロセッサを用い前記スキュー角に基づき前記供試画像内の画素毎にカラムシフトベクトル及びローシフトベクトル、即ち
その画素が含まれているカラムに対し共線的に画素がシフトする量及び方向で構成されるカラムシフトベクトル、並びに
その画素が含まれているローに対し共線的に画素がシフトする量及び方向で構成されるローシフトベクトル、
を求めるステップと、
そのプロセッサを用い、各画素を、自身のカラムシフトベクトル及びローシフトベクトルに従いシフトさせるステップと、
を含む方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、
前記区画並進が、
前記プロセッサを用い前記参照画像を少なくとも1個の参照画像サブセクションに区画するステップと、
そのプロセッサを用い前記供試画像を少なくとも1個の供試画像サブセクションに区画するステップと、
そのプロセッサを用いその供試画像サブセクションを並進させて、その供試画像サブセクションに対応する参照画像サブセクションと整列させるステップと、
を含む方法。
【請求項9】
ロー及びカラムをなす画素群を有する参照画像を受領するステップと、
その参照画像から第1ローカルセクションを選択するステップと、
ロー及びカラムをなす画素群を有する供試画像を受領するステップと、
その供試画像から第2ローカルセクションを選択するステップと、
それら第1ローカルセクション及び第2ローカルセクションから推定回動オフセット及び推定並進オフセットを求めるステップと、
その供試画像に対し供試画像デスキューを含む粗整列を実行することで部分整列供試画像を作成するステップと、
その部分整列供試画像に対し区画並進を含む細整列を実行することで整列ダイ・ダイ検査画像を取得するステップと、
を1個又は複数個の情報処理装置上で実行させる1個又は複数個のプログラムが備わる非一時的コンピュータ可読格納媒体。
【請求項10】
請求項9に記載の非一時的コンピュータ可読格納媒体であって、
前記供試画像デスキューが、
前記供試画像のスキュー角を求めるステップと、
その供試画像をデスキューするステップと、
を含み、供試画像をデスキューするそのステップが、
前記スキュー角に基づきその供試画像内の画素毎にカラムシフトベクトル及びローシフトベクトル、即ち
その画素が含まれているカラムに対し共線的に画素がシフトする量及び方向で構成されるカラムシフトベクトル、並びに
その画素が含まれているローに対し共線的に画素がシフトする量及び方向で構成されるローシフトベクトル、
を求めるステップと、
各画素を自身のカラムシフトベクトル及びローシフトベクトルに従いシフトさせるステップと、
を含む非一時的コンピュータ可読格納媒体。
【請求項11】
請求項10に記載の非一時的コンピュータ可読格納媒体であって、
前記参照画像のうち第1ローカルセクションと、前記供試画像のうち第2ローカルセクションと、のスキュー比較を実行することでその供試画像のスキュー角を求める非一時的コンピュータ可読格納媒体。
【請求項12】
請求項11に記載の非一時的コンピュータ可読格納媒体であって、
前記スキュー比較が、
前記参照画像のうち第1ローカルセクションに対し高速フーリエ変換を実行することで参照シーン関数を取得するステップと、
前記供試画像のうち第2ローカルセクションに対し高速フーリエ変換を実行することで供試シーン関数を取得するステップと、
その供試シーン関数をその参照シーン関数と比べることで前記スキュー角を求めるステップと、
を含む非一時的コンピュータ可読格納媒体。
【請求項13】
請求項9に記載の非一時的コンピュータ可読格納媒体であって、
前記区画並進が、
前記参照画像を少なくとも1個の参照画像サブセクションに区画するステップと、
前記供試画像を少なくとも1個の供試画像サブセクションに区画するステップと、
その供試画像サブセクションを並進させてその供試画像サブセクションに対応する参照画像サブセクションと整列させるステップと、
を含む非一時的コンピュータ可読格納媒体。
【請求項14】
ダイに備わるフィーチャの像を捉えるセンサと、情報処理システムと、を備える半導体ダイ・ダイ検査システムであって、
光源又は電子ビーム源であるビーム源と、
そのビーム源により生成されるビームの経路上でウェハを保持するよう構成されたステージ、但しそのビームが前記光源からの光ビーム又は前記電子ビーム源からの電子ビームであるステージと、
そのビームのうちそのウェハで反射された部分を受け取るよう構成された検出器と、
その検出器と電子通信するプロセッサであり、
供試画像について供試画像デスキューを含む粗整列を実行することで部分整列供試画像を作成し、且つ
その部分整列供試画像について区画並進を含む細整列を実行するよう、
構成されているプロセッサと、
を備える半導体ダイ・ダイ検査システム。
【請求項15】
請求項14に記載の半導体ダイ・ダイ検査システムであって、
前記プロセッサが、更に、
ロー及びカラムをなす画素群を有する参照画像を受領し、
その参照画像から第1ローカルセクションを選択し、
ロー及びカラムをなす画素群を有する供試画像を受領し、
その供試画像から第2ローカルセクションを選択し、且つ
それら第1ローカルセクション及び第2ローカルセクションから推定回動オフセット及び推定並進オフセットを求めるよう、
構成されている半導体ダイ・ダイ検査システム。
【請求項16】
請求項14に記載の半導体ダイ・ダイ検査システムであって、
前記供試画像デスキューにて、
前記供試画像のスキュー角を求め、且つ
その供試画像をデスキューする、
半導体ダイ・ダイ検査システム。
【請求項17】
請求項16に記載の半導体ダイ・ダイ検査システムであって、
ロー及びカラムをなす画素群を有する参照画像のうち第1ローカルセクションと、前記供試画像のうち第2ローカルセクションと、のスキュー比較を実行することでその供試画像のスキュー角を求める半導体ダイ・ダイ検査システム。
【請求項18】
請求項17に記載の半導体ダイ・ダイ検査システムであって、
前記スキュー比較にて、
前記参照画像のうち第1ローカルセクションに対し高速フーリエ変換を実行することで参照シーン関数を取得し、
前記供試画像のうち第2ローカルセクションに対し高速フーリエ変換を実行することで供試シーン関数を取得し、且つ
その供試シーン関数をその参照シーン関数と比べることで前記スキュー角を求める、
半導体ダイ・ダイ検査システム。
【請求項19】
請求項16に記載の半導体ダイ・ダイ検査システムであって、
前記供試画像をデスキューする際に、
前記スキュー角に基づきその供試画像内の画素毎にカラムシフトベクトル及びローシフトベクトル、即ち
その画素が含まれているカラムに対し共線的に画素がシフトする量及び方向で構成されるカラムシフトベクトル、並びに
その画素が含まれているローに対し共線的に画素がシフトする量及び方向で構成されるローシフトベクトル、
を求め、
各画素を自身のカラムシフトベクトル及びローシフトベクトルに従いシフトさせる、
半導体ダイ・ダイ検査システム。
【請求項20】
請求項15に記載の半導体ダイ・ダイ検査システムであって、
前記区画並進にて、
前記参照画像を少なくとも1個の参照画像サブセクションに区画し、
前記供試画像を少なくとも1個の供試画像サブセクションに区画し、且つ
その供試画像サブセクションを並進させてその供試画像サブセクションに対応する参照画像サブセクションと整列させる、
半導体ダイ・ダイ検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(開示の分野)
本件開示は、総じて半導体デバイスにおける欠陥の識別に関する。
【背景技術】
【0002】
(関連出願への相互参照)
本願は2017年10月20日付米国仮特許出願第62/575304号に基づく優先権を主張するものであり、ここに参照によってその開示内容が組み込まれるものとする。
【0003】
半導体製造業界の発展につれ歩留まり管理、とりわけ計量及び検査システムへの要請が強まっている。限界寸法が縮まり続けているのに、業界には短時間で高歩留まり高付加価値生産を達成することが求められている。歩留まり問題を察知してからそれを正すまでの合計時間を縮めることが、半導体製造業者にとり投資収益率の決め手となっている。
【0004】
半導体デバイス、例えば論理デバイス及び記憶デバイスを製造する際には、通常、多数の製造プロセスを用い半導体ウェハを処理することで、それら半導体デバイスに備わる様々なフィーチャ(外形特徴)及び複数の階層が形成される。例えばリソグラフィなる半導体製造プロセスにおいては、パターンがレティクルから半導体ウェハ上に配置されたフォトレジストへと転写される。半導体製造プロセスの更なる例としては、これに限られるものではないが化学機械研磨(CMP)、エッチング、堆積及びイオンインプランテーションがある。単一の半導体ウェハ上にある配列をなして複数個の半導体デバイスを作成した後、それらを個別の半導体デバイスへと分けるようにするとよい。
【0005】
検査プロセスは、半導体製造中の様々な工程にて用いられており、それによりウェハ側の欠陥を検出することで、その製造プロセスの歩留まり向上ひいては利益増進を促すことができる。検査は、常に、半導体デバイス例えば集積回路(IC)製造の重要部分とされてきた。しかしながら、半導体デバイスの寸法縮小につれ、より小さな欠陥でもデバイス不調につながりうることとなったため、許容しうる半導体デバイスの首尾よい製造のため、検査がかつてなく重要になっている。例えば、半導体デバイスの寸法縮小につれてより小さな欠陥の検出が必要になってきており、何故かといえば相対的に小さな欠陥でさえもそれら半導体デバイスに不要収差を引き起こしかねないからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許出願公開第2016/0093040号
【文献】米国特許出願公開第2017/0047195号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来用いられていたダイ・ダイ整列方法は、画像間オフセットが数画素を上回ると低速になる。より高速な方法としては周波数空間でのオフセット計測を伴うものがあるが、そうした方法では画像回動が全く考慮されず且つ情報処理集約的となる。大きなオフセット及び大きな回動を伴う画像のフル整列を、従来方法で以て行うのでは、1時間当たり検査可能ウェハ枚数が制限され、且つウェハ表面上の欠陥に対する感度が制約される。
【0008】
そのため、改善された欠陥識別方法及びシステムが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本件開示の一実施形態に係る整列ダイ・ダイ検査画像取得方法では、参照画像及び供試画像がプロセッサにて受領される。そのプロセッサを用い、その参照画像から第1ローカルセクション、供試画像から第2ローカルセクションが選択され、それら第1ローカルセクション及び第2ローカルセクションから推定回動オフセット及び推定並進オフセットが求められ、粗整列を実行することで部分整列供試画像が作成され、そしてその部分整列供試画像に対し細整列が実行される。
【0010】
本件開示のもう一つの実施形態に係る非一時的コンピュータ可読格納媒体は、1個又は複数個の情報処理装置上で諸ステップを実行させる1個又は複数個のプログラムを備える。それらステップには、参照画像及び供試画像を受領するステップと、その参照画像から第1ローカルセクション、供試画像から第2ローカルセクションを選択するステップと、それら第1ローカルセクション及び第2ローカルセクションから推定回動オフセット及び並進オフセットを求めるステップと、その供試画像に対し粗整列を実行することで部分整列供試画像を作成するステップと、その部分整列供試画像に対し細整列を実行することで整列ダイ・ダイ検査画像を取得するステップとを、何らかの適切な順序で含めることができる。
【0011】
本件開示のもう一つの実施形態に係る半導体ダイ・ダイ検査システムは、ダイに備わるフィーチャの像を捉えるセンサと、情報処理システムと、を備える。それらセンサ及び情報処理システムは、ビーム源、ステージ、検出器及びプロセッサを備えるものとすることができる。そのプロセッサはその検出器と電子通信することができる。そのプロセッサは、更に、参照画像及び供試画像を受領し、その参照画像から第1ローカルセクション、供試画像から第2ローカルセクションを選択し、そしてそれら第1ローカルセクション及び第2ローカルセクションから推定回動オフセット及び推定並進オフセットを求めるよう、構成することができる。そのプロセッサは、供試画像の粗整列を実行することで部分整列供試画像を作成するよう、且つその部分整列供試画像の細整列を実行するよう、構成することができる。
【0012】
前記ビーム源は光源又は電子ビーム源とすることができる。そのビーム源には、広帯域プラズマ光源、電子ビーム源、ランプ又はレーザを包含することができる。そのビーム源からは電子又は光子を放射させることができる。また、幾つかの実施形態ではビーム源から光、例えば赤外線、可視光、紫外線又はX線を放射させることができる。
【0013】
前記ビームは、光源からの光ビーム又は電子ビーム源からの電子ビームとすることができる。
【0014】
前記ステージは、前記ビーム源により生成されるビームの経路上でウェハを保持するよう構成することができる。
【0015】
前記検出器は、前記ビームのうち前記ウェハで反射された部分を受け取るよう構成することができる。
【0016】
本件開示には以下の様々な実施形態がある。
【0017】
前記供試画像の粗整列には供試画像デスキュー(捩れ削減)を含めることができる。その粗整列により部分整列供試画像を作成することができる。
【0018】
前記細整列には区画並進を含めることができる。前記部分整列供試画像に対する区画並進によって、整列ダイ・ダイ検査画像を取得することができる。
【0019】
前記参照画像又は供試画像は、ロー及びカラムをなす画素群を有するものとすることができる。
【0020】
前記供試画像デスキューは、前記供試画像のスキュー(捩れ)角を求め、その供試画像をデスキューするものと、することができる。
【0021】
前記スキュー比較は、前記供試画像内の1個又は複数個の卓越フィーチャのパターン認識を実行することで前記スキュー角を求めるものと、することができる。
【0022】
幾つかの例によれば、前記スキュー比較を、機械学習モジュールを用い実行することにより、前記スキュー角を求めることができる。
【0023】
前記供試画像のスキュー角は、前記参照画像のうち第1ローカルセクションと、前記供試画像のうち第2ローカルセクションと、のスキュー比較を実行することで求めることができる。そのスキュー比較は、その参照画像のうち第1ローカルセクションとその供試画像のうち第2ローカルセクションとに対し高速フーリエ変換を実行することで参照シーン関数及び供試シーン関数をそれぞれ取得し、その供試シーン関数をその参照シーン関数と比べることで前記スキュー角を求めるものと、することができる。
【0024】
前記供試画像のデスキューは、前記スキュー角に基づきその供試画像内の画素毎にカラムシフトベクトル及びローシフトベクトルを求め、各画素を自身のカラムシフトベクトル及びローシフトベクトルに従いシフトさせるものと、することができる。そのカラムシフトベクトルは、その画素が含まれているカラムに対し共線的に画素がシフトする量と、方向とで、構成することができる。そのローシフトベクトルは、その画素が含まれているローに対し共線的に画素がシフトする量と、方向とで、構成することができる。
【0025】
前記区画並進は、前記参照画像を少なくとも1個の参照画像サブセクション、供試画像を少なくとも1個の供試画像サブセクションに区画し、その供試画像サブセクションを並進させてその供試画像サブセクションに対応する参照画像サブセクションと整列させるものと、することができる。
【0026】
本件開示の性質及び目的をより遺漏なく理解頂くため、後掲の詳細記述と併せ以下の添付図面を参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本件開示に係る整列ダイ・ダイ検査画像取得方法を描いたフローチャートである。
【
図2】本件開示に係る供試画像デスキュー実行方法を描いたフローチャートである。
【
図3】本件開示に係るスキュー比較実行方法を描いたフローチャートである。
【
図4】本件開示に係る供試画像デスキュー方法を描いたフローチャートである。
【
図5】本件開示に係る区画並進実行方法を描いたフローチャートである。
【
図6】本件開示に係るスキュー比較の実行を描いた図である。
【
図7】本件開示に係る区画並進の実行を描いた図である。
【
図8】本件開示のシステム実施形態を描いた図である。
【
図9】本件開示の他のシステム実施形態を描いた図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
ある特定の諸実施形態によって特許請求の範囲記載の主題を記述するが、本願にて説明されている諸利益及び諸特徴が全ては提供されない諸実施形態を含め、他の諸実施形態も本件開示の技術的範囲内にあるものとする。様々な構造的、論理的、処理ステップ的及び電子的改変が、本件開示の技術的範囲から離隔せずになされることがある。従って、本件開示の技術的範囲は別項の特許請求の範囲への参照のみにより定まる。
【0029】
本願開示の諸実施形態で示される新規な方法によれば、大きなオフセット及び回動を伴うダイ画像を整列させることができる。例えば、ダイのダイシング又は再構成後にウェハを検査する際に、そのダイ配置を数十μmに亘り相互シフトさせることができる。本件開示で開示されるのは、ウェハ検査時画像整列プロセス向けの効率的なツーステップ法であり、周波数,空間両ドメインにおけるオフセット計測が組み合わされている。
【0030】
諸実施形態に係るこの新規な整列方法は情報処理効率が高い二段階プロセスであり、まずはオフセット及び回動を計測すること、例えば高速フーリエ変換(FFT)の使用を通じ周波数ドメインにてそうすることができる。その上で、その大域オフセット及び回動成分を補償すること、並びに第2段階にて一通り又は複数通りの残留オフセットを計測及び補償することができる。本願開示の諸実施形態によれば、ユーザが、ウェハ上にあり大きなオフセット及び回動を伴っているダイを、より高い感度及び精度で以て検査することが可能となる。
【0031】
本願開示の諸実施形態によれば、局所歪を伴う画像をも整列させることができる。従来であれば、こうした局所歪は整列問題を引き起こしていただろうし、それを克服するための情報処理コストが法外に大きくなっていたであろう。
【0032】
本件開示のある実施形態によれば、参照ウェハ画像に比した供試ウェハ画像のスキュー角を、求めることができる。参照ウェハ画像上のローカルセクション及び供試ウェハ画像上のローカルセクションから求まったスキュー角から、大域オフセット及び回動角を求めることができる。それら計測結果から、各画素のシフト所要量を求めることができる。回動角が1°の数分の1を上回っていれば粗整列が必要となろう。ある種の実施形態によれば、その粗整列において、参照ウェハ画像にマッチさせるべく相応角度に亘り供試ウェハ画像を回動させること、即ち画素群を内包するカラム及びローを所定量に亘りシフトさせて供試ウェハ画像をデスキューすることができる。このデスキュー方法は2D画像回動に比べ情報処理的に高速である。本件開示の幾つかの実施形態について試したところ、従来のダイ・ダイ整列方法に比し10倍~50倍の情報処理速度上昇が観測された。
【0033】
粗整列実行後に細整列を実行することで、ダイ・ダイ画像整列を完遂することができる。その細整列により、小さな局所誤整列を計測、補正することができる。区画並進例では、参照画像及び供試画像を小さなストライプ又はタイルへと分解して個別整列させることができ、それに用いる方法を、粗整列が実行済みであることから、その粗整列により多くの、更には大半のオフセットが解消されることを踏まえ、精度及び効率重視の方法とすることができる。
【0034】
本願記載の画像整列方法、ソフトウェア及びシステム実施形態では、旧来のダイ・ダイ整列プロセスが2段階に分解されるため、情報処理要件の軽減が実現される。これにより、より迅速な検査が秀逸な成果達成時間で以て実現されるため、半導体製造業者にとってはコストオブオーナーシップの低減となる。
【0035】
図1は、本件開示の一実施形態に係る方法100のフローチャートである。101では参照画像が受領される。102ではその参照画像から第1ローカルセクションが選択される。103では供試画像が受領される。104ではその供試画像から第2ローカルセクションが選択される。これら第1及び第2ローカルセクションは、就中、画像の象限を選択すること、画像の既定部分を選択すること、或いは強いフィーチャの存在を踏まえ選択を決定することで、選択することができる。それら参照画像及び供試画像は、ロー及びカラムをなす画素群を有するものにするとよい。105では、その第1回動オフセット及び第2回動オフセットに基づき推定回動オフセットが求められる。106では、その回動オフセットを用い供試画像に対し粗整列を実行することで部分整列供試画像がもたらされる。107では、その部分整列供試画像に対し細整列を実行することで整列ダイ・ダイ検査画像がもたらされる。
【0036】
実施形態によっては、その推定回動オフセットを用い粗整列の量が決定される。この決定は、三角関数を用い、供試画像内の任意の所与位置におけるx及びyオフセットを推定することで、実行することができる。
【0037】
ある実施形態によれば、粗整列ステップ106にて供試画像デスキュー200を行うことができる。
図2は、本件開示の一実施形態に係る供試画像デスキュー実行方法200のフローチャートである。201では供試画像のスキュー角が求められ、202ではその供試画像がデスキューされる。
【0038】
ある実施形態によれば、供試画像スキュー角判別201にてスキュー比較300を実行することができる。
図3には一実施形態に係るスキュー比較300が描かれている。301では、参照画像のうち第1ローカルセクションに対し高速フーリエ変換が実行され、それにより参照シーン関数がもたらされる。302では、供試画像のうち第2ローカルセクションに対し高速フーリエ変換が実行され、それにより供試シーン関数がもたらされる。303では、その供試シーン関数を参照シーン関数と比較することでスキュー角が求められる。スキュー比較300は位相の判別、即ち参照シーン関数及び供試シーン関数の正規化積の判別を、伴うものとすることができる。この位相に対し逆高速フーリエ変換を実行することで、オフセットを得ることができる。そのオフセットを画像上の一個所又は複数個所にて求めることができる。その上で、それらの間の距離でオフセット振幅の差を除したものを以て、スキュー角とすることができる。或いは、それらの間の距離で振幅差を除したものの逆正接を以て、スキュー角とすることができる。
【0039】
本件開示の他実施形態によれば、スキュー比較にて、供試画像内の1個又は複数個の卓越フィーチャについてパターン認識を実行してスキュー角を求めることができる。
【0040】
本件開示の他実施形態によれば、スキュー比較にて、機械学習モジュールを用いスキュー角を求めることができる。その機械学習モジュールを深層学習画像分類とすることで、最良の整列対象画像フィーチャを認識することができる。
【0041】
本件開示の他実施形態によれば、スキュー比較にて、投射コントラストを最大化させる方法、特殊ドメイン内の傑出した画像情報及び相関を用いる方法、或いは他の類似する方法を採ることができる。
【0042】
図4には、本件開示の一実施形態に係る供試画像デスキュー方法400が描かれている。実施形態によっては、供試画像デスキュー202にて方法400が実行されることもある。401では、カラムシフトベクトル及びローシフトベクトルがその供試画像内の画素毎に求められる。求まるカラムシフトベクトル及びローシフトベクトルはスキュー角に基づくものであり、そのスキュー角の正弦値,余弦値それぞれに原点からの距離の大きさを乗じたものを計算することで求められる。各カラムシフトベクトルは、その画素が含まれているカラムに対し共線的に画素をシフトさせる量と、方向とで、構成される。各ローシフトベクトルは、その画素が含まれているローに対し共線的に画素をシフトさせる量と、方向とで、構成される。幾つかの実施形態では、そのカラムベクトル方向が正又は負の方向、ローベクトル方向が正又は負の方向とされる。402では、その供試画像内の各画素が、自身のカラムシフトベクトル及びローシフトベクトルに従いシフトされる。これにより部分整列供試画像がもたらされる。
【0043】
本件開示の他実施形態によれば、細整列107にて区画並進500を実行することができる。
図5には、本件開示に係る区画並進方法500が描かれている。501では、参照画像が1個又は複数個の参照画像サブセクションへと区画される。502では、供試画像が1個又は複数個の供試画像サブセクションへと区画される。供試画像サブセクションはそれぞれ参照画像サブセクションに対応させる。503では各供試画像サブセクションを並進させ、それに対応する参照画像サブセクションと整列させる。参照及び供試画像サブセクションのサイズ及び量は、自動決定することも、ユーザが決めることもできる。
【0044】
実施形態における供試画像サブセクションの並進、ひいてはそれらに対応する参照画像サブセクションとの整列は、幾つかある方法のうち一つを用い実行すればよい。一つの方法は、画像間正規化相互相関を実行するものである。そうした正規化相互相関に係るサーチ範囲は、粗整列が既に実行されているため、情報処理リソースを節約すべく制限することができる。
【0045】
本件開示のある実施形態では、上掲の諸方法が情報処理装置上で、就中、プロセッサを備えるものの上で実行される。
【0046】
図6は、本件開示の幾つかの実施形態に係る比較セットアップ600を視覚化したものであり、参照画像601上の1個又は複数個の第1ローカルセクション603と、供試画像602上の1個又は複数個の第2ローカルセクション604と、の間でのものである。第1ローカルセクション603及び第2ローカルセクション604を用い、1個又は複数個のローカルセクション603内にある1個又は複数個のフィーチャ605と、1個又は複数個のローカルセクション604内にある1個又は複数個のフィーチャ606と、の間の比較607を実行することで、大域オフセット及び回動を計測することができる。幾つかの実施形態では、比較607にて、第1ローカルセクション603それぞれの高速フーリエ変換が実行され、それに対応する第2ローカルセクション604それぞれの高速フーリエ変換と比較される。並進及び回動オフセットがフィーチャ605及び606のうち何れかにあれば、ローカルセクション603及び604の高速フーリエ変換関数を比較することで、スキュー角計測結果を求めることができる。
図6に基づくこの計測結果を用いることで、その供試画像をデスキューすることができる。
【0047】
図7は、本件開示の一実施形態に係る区画並進セットアップ700を視覚化したものであり、1個又は複数個の参照画像サブセクション703を有する参照画像701と、1個又は複数個の供試画像サブセクション704を有する部分デスキュー済供試画像702とで、構成されている。それら画像がより小さなサブセクションへと区画されているので、1個又は複数個の参照画像サブセクション703内,1個又は複数個の供試画像サブセクション704内それぞれにおける1個又は複数個のフィーチャ705,706の居所差の計測結果に基づき、それらを整列させることができる。
図7に基づく計測結果を用いることで、欠陥検出実行前にその画像に最終補正を施すことができる。
【0048】
本件開示の他実施形態では、上掲の諸方法が、1個又は複数個の情報処理装置上で実行される1個又は複数個のプログラムとして実施される。この実施形態では、当該1個又は複数個のプログラムが非一時的コンピュータ可読格納媒体上に格納される。このコンピュータ実施方法には、本願記載のあらゆる方法(群)のあらゆるステップ(群)が組み込まれうる。
【0049】
一実施形態に係るシステム800を
図8に示す。本システム800は光学式サブシステム801を有している。大略、光学式サブシステム801は、試料802に光を差し向け(又はその上を光で走査し)そこから光を検出することで、試料802に係る光学ベース出力を生成するよう、構成されている。一実施形態に係る試料802はウェハである。このウェハは本件技術分野で既知な何れのウェハでもよい。他実施形態に係る試料はレティクルである。このレティクルは本件技術分野で既知な何れのレティクルでもよい。
【0050】
図8に示した実施形態に係るシステム800では、光学式サブシステム801が、試料802に光を差し向けるよう構成された照明サブシステムを有している。その照明サブシステムは少なくとも1個の光源を有している。例えば、
図8に示す照明サブシステムは光源803を有している。一実施形態に係る照明サブシステムは一通り又は複数通りの入射角、例えば一通り又は複数通りの斜め角及び/又は一通り又は複数通りの直交角を含むそれにて、試料802に光を差し向けるよう、構成されている。例えば、
図8に示すように、光源803からの光を、光学素子804、次いでレンズ805を通し、試料802へとある斜め入射角にて差し向ける。この斜め入射角は、好適であればどのような斜め入射角でもよく、例えばその試料802の特性次第で変わりうる。
【0051】
光源803即ちビーム源は、広帯域プラズマ光源、ランプ又はレーザを有するものとすることができる。幾つかの実施形態によれば、そのビーム源により放射されうる光又は光子の形態を、赤外線、可視光、紫外線又はX線とすることができる。
【0052】
光学式サブシステム801を、異なる時点では異なる入射角にて試料802に光を差し向けるよう、構成してもよい。例えば、光学式サブシステム801を、照明サブシステムに備わる1個又は複数個の素子の特性一通り又は複数通りを変化させるよう、ひいては
図8に示したそれとは異なる入射角にて光を試料802に差し向けうるよう、構成してもよい。その一例としては、光学式サブシステム801を、光源803、光学素子804及びレンズ805を動かせるよう、ひいては別の斜め入射角又は直交(又は近直交)入射角にて試料802に光を差し向けうるよう、構成するとよい。
【0053】
場合によっては、光学式サブシステム801を、同時に複数通りの入射角にて試料802に光を差し向けるよう、構成してもよい。例えば、その照明サブシステムが複数個の照明チャネルを有していてもよいし、それら照明チャネルのうち1個が
図8に示す如く光源803、光学素子804及びレンズ805を有していてもよいし、他の1個(図示せず)がそれに類する諸素子を有していてもよいし、それらが別様に構成されていても同様に構成されていてもよいし、また少なくとも1個の光源と恐らくは1個又は複数個の他部材例えば本願詳述のそれらとを有していてもよい。こうした光を他の光と同時に試料に差し向ける場合、異なる入射角にて試料802に差し向ける光に備わる一通り又は複数通りの特性(例.波長、偏向等々)を異ならせること、ひいては異なる入射角での試料802の照明に由来する光をその又はそれらの検出器にて互いに弁別することができる。
【0054】
また例えば、その照明サブシステムが1個しか光源を有しておらず(例.
図8に示した光源803)、その光源からの光が、その照明サブシステムに備わる1個又は複数個の光学素子(図示せず)によって(例.波長、偏向等々に基づき)相異なる光路へと分離されるように、してもよい。その後は、相異なる光路それぞれに沿い光を試料802へと差し向ければよい。複数個の照明チャネルを、同時に又は相異なる時点で試料802に光を同時に差し向けるよう構成してもよい(例.相異なる照明チャネルを用い試料を順次照明する際)。また例えば、それと同じ照明チャネルを、異なる時点では異なる特性で以て試料802に光を差し向けるよう、構成してもよい。例えば、光学素子804がスペクトルフィルタとして構成される例では、そのスペクトルフィルタの諸特性を多様な要領で(例.スペクトルフィルタの換装によって)変化させうるにすることで、異なる波長の光を異なる時点で試料802に差し向けることが可能となる。照明サブシステムは、異なる又は同じ特性を有する光を異なる又は同じ入射角にて順次又は同時に試料802に差し向けるのに適し、本件技術分野で既知な、他の何れの構成を有するものとしてもよい。
【0055】
一実施形態に係る光源803を広帯域プラズマ(BBP)光源を有するものとしてもよい。こうすることで、光源803により生成され試料802へと差し向けられる光に広帯域光を含めてもよい。しかしながら、光源が他の何らかの好適光源、例えばレーザ又はランプを有していてもよい。そのレーザは、本件技術分野にて既知なあらゆる好適レーザが含まれうるものであるところ、本件技術分野にて既知な何れの好適波長又は波長群にて光を生成するよう構成されていてもよい。加えて、そのレーザが、単色又は近単色な光を生成するよう構成されていてもよい。こうすることで、そのレーザを狭帯域レーザとしてもよい。光源803が、複数個の離散波長又は波帯にて光を生成する多色光源を有していてもよい。
【0056】
光学素子804からの光をレンズ805により試料802上に集束させてもよい。
図8ではレンズ805が単体の屈折性光学素子として示されているが、ご理解頂けるように、実際には、レンズ805に多数の屈折性及び/又は反射性光学素子が備わり、それらが協働して光学素子からの光を試料に集束させるようにしてもよい。
図8に示す本願記載の照明サブシステムに、他の何らかの好適な光学素子を組み込んでもよい(図示せず)。そうした光学素子の例としては、これに限られるものではないが、偏向部材(群)、スペクトルフィルタ(群)、空間フィルタ(群)、反射性光学素子(群)、アポダイザ(群)、ビームスプリッタ(群)(例えばビームスプリッタ813)、アパーチャ(群)等があり、これには本件技術分野にて既知なあらゆる好適光学素子が包含されうる。加えて、光学式サブシステム801を、その光学ベース出力を生成するのに用いられる照明の種類に基づき照明サブシステムの素子のうち1個又は複数個を変化させるように、構成してもよい。
【0057】
光学式サブシステム801が、試料802上を光で走査するよう構成された走査サブシステムを有していてもよい。例えば、光学式サブシステム801がステージ806を有し、光学ベース出力生成中にその上に試料802が配置されるようにしてもよい。走査サブシステムに何らかの好適な機械及び/又はロボットアセンブリ(ステージ806を有するそれ)を組み込み、試料802を動かせるようそれを構成することで、光で試料802上を走査できるようにしてもよい。これに加え又は代え、光学式サブシステム801を、その光学式サブシステム801に備わる1個又は複数個の光学素子が光による試料802の走査のうち幾ばくかを実行するよう、構成してもよい。光による試料802上の走査は、例えば蛇状路沿い又は螺旋路沿い等、好適であればどのような形式に則っていてもよい。
【0058】
光学式サブシステム801は、更に、1個又は複数個の検出チャネルを有している。当該1個又は複数個の検出チャネルのうち少なくとも1個が検出器を有していて、照明サブシステムにより試料802が照明されたことによる試料802からの光を検出するよう、且つ検出した光に応じた光を生成するよう、その検出器が構成されている。例えば、
図8に示す光学式サブシステム801は2個の検出チャネルを有しており、そのうち1個は集光器807、素子808及び検出器809、他の1個は集光器810、素子811及び検出器812で形成されている。
図8に示すように、それら2個の検出チャネルは、異なる集光角にて光を集め検出するよう構成されている。場合によっては、両検出チャネルが散乱光を検出するよう構成され、試料802にて相異なる角度にて散乱された光を検出するようそれら検出チャネルが構成される。とはいえ、検出チャネルのうち1個又は複数個を、試料802から他種の光(例.反射光)を検出するよう構成してもよい。
【0059】
図8に詳示されているものでは、図上で両検出チャネルが紙面内、照明サブシステムも紙面内に位置している。従って、本実施形態では両検出チャネルが入射面内に位置している(例.その中心に位置している)。しかしながら、検出チャネルのうち1個又は複数個が入射面外に位置していてもよい。例えば、集光器810、素子811及び検出器812で形成される検出チャネルを、入射面外に散乱された光を集め検出するよう構成してもよい。従って、そうした検出チャネル即ち「側方」チャネルと通称されうる側方チャネルを、入射面に対し実質的に垂直な面の中心に配置してもよい。
【0060】
図8に示す実施形態では光学式サブシステム801が2個の検出チャネルを有しているが、光学式サブシステム801が違う個数の検出チャネル(例.単一の検出チャネル又は2個以上の検出チャネル)を有していてもよい。そうした例の一つは、集光器810、素子811及び検出器812により形成された検出チャネルが上述の側方チャネルを1個形成し、光学式サブシステム801がもう1個の側方チャネルとして形成された付加的な検出チャネル(図示せず)を有し、それが入射面を挟み逆側に位置するものであろう。従って、この光学式サブシステム801では、集光器807、素子808及び検出器809を有し入射面の中心に位置する検出チャネルを設け、試料802の表面に対し直交するかそれに近い一通り又は複数通りの散乱角にて光を集め検出するようそれを構成することができる。この検出チャネルは従って「上方」チャネルと通称しうるものであり、その光学式サブシステム801には、上述の如く構成された2個以上の側方チャネルをも組み込むことができる。このように、光学式サブシステム801に、少なくとも3個のチャネル(即ち1個の上方チャネルと2個の側方チャネル)を設け、それら少なくとも3個のチャネルそれぞれにそれ自身の集光器を設け、その集光器それぞれを、他の集光器の何れとも異なる散乱角の光を集めるよう構成してもよい。
【0061】
先に詳述した通り、光学式サブシステム801内に備わる検出チャネルそれぞれを、散乱光を検出するよう構成してもよい。従って、
図8に示した光学式サブシステム801を、試料802に係る暗視野(DF)出力の生成向けに構成してもよい。とはいえ、その光学式サブシステム801を、これに加え又は代えて、試料802に係る明視野(BF)出力の生成向けに構成された1個又は複数個の検出チャネルを有するものとしてもよい。言い換えれば、光学式サブシステム801が、試料802にて鏡面反射された光を検出するよう構成された少なくとも1個の検出チャネルを有していてもよい。従って、本願記載の光学式サブシステム801は、DFイメージング専用、BFイメージング専用或いはDF及びBFイメージング両用に構成されうる。
図8では各集光器が単体の屈折性光学素子として示されているが、ご理解頂けるように、各集光器が1個又は複数個の屈折性光学ダイ及び/又は1個又は複数個の反射性光学素子を有していてもよい。
【0062】
1個又は複数個の検出チャネルを、本件技術分野にて既知な何れの好適検出器を有するものとしてもよい。例えば、それら検出器が、光電子増倍管(PMT)、電荷結合デバイス(CCD)、時間遅延積分(TDI)カメラその他、本件技術分野にて既知な何れの好適検出器を含んでいてもよい。それら検出器に含まれるのは非イメージング型検出器でもイメージング型検出器でもよい。その点、それら検出器が非イメージング型検出器であれば、各検出器が、散乱光の特定特性例えば強度を検出するよう構成されているが、その特性をイメージング面内位置の関数として検出するようには構成されていないことがある。この場合、光学式サブシステムの各検出チャネル内に備わる検出器それぞれにより生成される出力は、信号やデータではあれ、画像信号や画像データではありえない。こうした場合、プロセッサ例えばプロセッサ814を、それら検出器の非イメージング出力から試料802の画像を生成するよう構成すればよい。これに対し、別の諸例では、それら検出器がイメージング型検出器として構成され、イメージング信号又は画像データを生成するようそれらが構成されることがある。従って、光学式サブシステムは、光学像を生成するようにも本願記載の他の光学ベース出力を生成するようにも、多様なやり方で構成されうる。
【0063】
なお、本願に
図8を設けたのは、本願記載の諸システム実施形態に備わりうる、或いは本願記載の諸システム実施形態にて用いられる光学ベース出力を生成しうる、光学式サブシステム801の構成を大まかに描出するためである。市販の出力獲得システムの設計時に通常行われている通り、本願記載の構成を有する光学式サブシステム801を改変して、その光学式サブシステム801の性能を最適化させてもよい。加えて、本願記載の諸システムを、既存のシステムを用い(例.本願記載の機能を既存システムに付加することで)実施してもよい。そうした類のシステムにて、本願記載の諸方法を、(例.そのシステムの他の機能に加え)そのシステムのオプション的機能として提供してもよい。これに代え、本願記載のシステムを完全に新規なシステムとして設計してもよい。
【0064】
一例に係るプロセッサ814は本システム800と通信する。
【0065】
図9は、一実施形態に係るシステム900のブロック図である。本システム900は(電子カラム901を有する)ウェハ検査ツールを有しており、試料904の画像、例えばウェハ又はレティクルを含むそれを生成するよう、それが構成されている。
【0066】
そのウェハ検査ツールは、少なくともエネルギ源及び検出器を有する出力獲得サブシステムを有している。その出力獲得サブシステムを電子ビーム式出力獲得サブシステムとしてもよい。例えばある実施形態では、試料904に向かうエネルギが電子を含むものとされ、その試料904から検出されるエネルギが電子を含むものとなる。このようにして、エネルギ源を電子ビーム源にするとよい。
図9に示したこの種の実施形態では、出力獲得サブシステムが電子カラム901を有しており、それがコンピュータサブシステム902に結合されている。ステージ910は試料904を保持しうるものである。
【0067】
同じく
図9に示すように、電子カラム901は、電子を生成するよう構成された電子ビーム源903を有しており、それら電子が1個又は複数個の素子905により試料904へと集束されている。電子ビーム源903は、例えば、カソードソース又はエミッタチップを有している。1個又は複数個の素子905に含まれうるものとしては、例えばガンレンズ、アノード、ビーム制限アパーチャ、ゲートバルブ、ビーム流選択アパーチャ、対物レンズ及び走査サブシステムがあり、それらの何れにも、本件技術分野にて既知なあらゆる類種好適素子が含まれうる。
【0068】
試料904からの返戻電子(例.二次電子)を、1個又は複数個の素子906により検出器907に集束させてもよい。1個又は複数個の素子906に含まれうるものとしては例えば走査サブシステムがあり、これは1個又は複数個の素子905に含まれる走査サブシステムと同じものとされうる。
【0069】
電子カラム901が、本件技術分野にて既知な他の何れの好適素子を有していてもよい。
【0070】
図9に示した電子カラム901は、電子が試料904にある斜め入射角にて差し向けられその試料904から他の斜め角にて散乱されるように構成されているが、電子ビームが試料904に向かいそこから散乱される角度を、どのような好適角度にしてもよい。加えて、電子ビーム式出力獲得サブシステムを、複数個のモードを用い(例.異なる照明角、収集角等々で以て)試料904の画像を生成するよう構成してもよい。電子ビーム式出力獲得サブシステムに備わる複数個のモードでは、その出力獲得サブシステムの何らかの画像生成パラメタに違いがあることがある。
【0071】
コンピュータサブシステム902は、上述の如く検出器907に結合させればよい。試料904の表面からの返戻電子を検出器907にて検出することで、その試料904の電子ビーム画像を形成することができる。それら電子ビーム画像にはあらゆる好適な電子ビーム画像が包含されうる。コンピュータサブシステム902は、検出器907の出力及び/又は電子ビーム画像を用い本願記載の諸機能のうち何れを実行するよう構成してもよい。コンピュータサブシステム902を、本願記載の何れか付加的なステップ(群)を実行するよう構成してもよい。
図9に示す出力獲得サブシステムを有するシステム900を、更に、本願記載の如く構成してもよい。
【0072】
なお、本願に
図9を設けたのは、本願記載の諸実施形態にて用いうる電子ビーム式出力獲得サブシステムの構成を大まかに描出するためである。市販の出力獲得システムの設計時に通常行われている通り、本願記載の構成を有する電子ビーム式出力獲得サブシステムを改変して、その出力獲得サブシステムの性能を最適化することができる。加えて、本願記載の諸システムを、既存のシステムを用い(例.本願記載の機能を既存システムに付加することで)実施してもよい。そうした類のシステムにて、本願記載の諸方法を、(例.そのシステムの他の機能に加え)そのシステムのオプション的機能として提供してもよい。これに代え、本願記載のシステムを完全に新規なシステムとして設計してもよい。
【0073】
電子ビーム式出力獲得サブシステムたる出力獲得サブシステムを上述したが、出力獲得サブシステムをイオンビーム式出力獲得サブシステムとしてもよい。そうした出力獲得サブシステムは、本件技術分野にて既知な何れかの好適イオンビーム源で以て電子ビーム源が置換される点を除き、
図9に示した如く構成すればよい。加えて、その出力獲得サブシステムが他の何らかの好適なイオンビーム式出力獲得サブシステム、例えば市販の集束イオンビーム(FIB)システム、ヘリウムイオン顕微(HIM)システム及び二次イオン質量分析(SIMS)システムに組み込まれているそれらを有していてもよい。
【0074】
コンピュータサブシステム902は、プロセッサ908及び電子データ格納ユニット909を有している。プロセッサ908には、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラその他のデバイスが含まれうる。
【0075】
プロセッサ814又は908、或いはコンピュータサブシステム902は、そのプロセッサ814又は908がそれぞれ出力を受け取れるよう、何らかの好適要領にて(例.1個又は複数個の伝送媒体、例えば有線及び/又は無線伝送媒体を含むそれを介し)それぞれシステム800又は900の構成諸部材に結合させればよい。プロセッサ814又は908はその出力を用い多数の機能を実行するよう構成すればよい。システム800又は900は、それぞれそのプロセッサ814又は908から命令その他の情報を受け取ることができる。プロセッサ814又は908及び/又は電子データ格納ユニット815又は909は、それぞれ、付随的にウェハ検査ツール、ウェハ計量ツール又はウェハレビューツール(図示せず)と電子通信させ、付加的な情報を受け取り又は命令を送れるようにするとよい。例えば、プロセッサ814、908及び/又は電子データ格納ユニット815又は909を、それぞれ、走査型電子顕微鏡(SEM)と電子通信させることができる。
【0076】
プロセッサ814又は908はウェハ検査ツール、例えばその検出器809又は812或いは検出器907とそれぞれ電子通信する。プロセッサ814又は908は、それぞれ、検出器809又は812或いは検出器907からの計測結果を用い生成された画像を処理するよう、構成すればよい。例えば、そのプロセッサにて諸実施形態の方法100、200、300、400又は500を実行すればよい。
【0077】
プロセッサ814又は908、或いはコンピュータサブシステム902、他の1個又は複数個のシステム、或いは他の1個又は複数個のサブシステムであり、本願記載のものを、パーソナルコンピュータシステム、イメージコンピュータ、メインフレームコンピュータシステム、ワークステーション、ネットワーク機器、インターネット機器その他の装置を初め、様々なシステムの一部としてもよい。その又はそれらのサブシステム又はシステムは本件技術分野にて既知な何れの好適プロセッサを有するのでもよく、例えば並列プロセッサを有していてもよい。加えて、その又はそれらのサブシステム又はシステムを、スタンドアロンかネットワーク接続ツールかを問わず、高速処理プラットフォーム及びソフトウェアを有するものとしてもよい。
【0078】
プロセッサ814又は908及び電子データ格納ユニット815又は909を、それぞれ、システム800又は900内に配置しても、そのシステムの他部分に配置しても、或いは他装置内に配置してもよい。一例としては、プロセッサ814又は908及び電子データ格納ユニット815又は909を、それぞれ、スタンドアロン制御ユニットの一部とし又は集中品質制御ユニット内のものとするのがよい。複数個のプロセッサ814又は908、或いは電子データ格納ユニット815又は909を、それぞれ用いてもよい。
【0079】
プロセッサ814又は908は、実際、ハードウェア、ソフトウェア及びファームウェアのどのような組合せで実施してもよい。また、それらの機能であり本願記載のものを、単一ユニットで実行しても複数部材間で分かち合ってもよいし、それら部材それぞれが翻ってハードウェア、ソフトウェア及びファームウェアのどのような組合せで実施されてもよい。プロセッサ814又は908に様々な方法及び機能を実行・実施させるためのプログラムコード又は命令は可読格納媒体内、例えばそれぞれ電子データ格納ユニット815又は909内にあるメモリかその他のメモリ内に、格納すればよい。
【0080】
システム800又は900が複数個のプロセッサ814又は908或いはコンピュータサブシステム902を有している場合、それら異なるサブシステム同士を結合させ、それらサブシステム間で画像、データ、情報、命令等々を送れるようにするとよい。例えば、一サブシステムを1個又は複数個の他サブシステムに何れの好適伝送媒体により結合させてもよく、またそれを、本件技術分野にて既知な何れの好適有線及び/又は無線伝送媒体を含むものとしてもよい。そうしたサブシステムのうち2個以上を共有型コンピュータ可読格納媒体(図示せず)により実質結合させてもよい。
【0081】
プロセッサ814又は908は、それぞれ、システム800又は900の出力或いはその他の出力を用い多数の機能を実行するよう、構成すればよい。例えば、プロセッサ814又は908を、それぞれ電子データ格納ユニット815又は909へと、或いはその他の格納媒体へと、出力を送るよう構成してもよい。プロセッサ814又は908を、更に、本願記載の如く構成してもよい。
【0082】
プロセッサ814又は908、或いはコンピュータサブシステム902を、欠陥レビューシステム、検査システム、計量システムその他、幾つかの他種システムの一部としてもよい。即ち、本願開示の諸実施形態により記述されている幾つかの構成を、異なる能力を有するシステム向けに多様な要領にて仕立て上げ、異なるアプリケーション向けに多少の差はあれ適するものにすることができる。
【0083】
そのシステムが複数個のサブシステムを有している場合、それら異なるサブシステム同士を結合させ、それらサブシステム間で画像、データ、情報、命令等々を送れるようにするとよい。例えば、一サブシステムを1個又は複数個の他サブシステムに何れの好適伝送媒体により結合させてもよく、またそれを、本件技術分野にて既知な何れの好適有線及び/又は無線伝送媒体を含むものとしてもよい。それらサブシステムのうち2個以上を、やはり、共有型コンピュータ可読格納媒体(図示せず)により実質結合させてもよい。
【0084】
プロセッサ814又は908を、本願記載の諸実施形態のうち何れに従い構成してもよい。また、プロセッサ814又は908を、それぞれシステム800又は900の出力を用い、或いは他の源泉からの画像又はデータを用い、他の諸機能又は付加的ステップを実行するよう、構成してもよい。
【0085】
プロセッサ814又は908を、それぞれ、システム800又は900に備わる様々な部材又はサブシステムの何れに、本件技術分野で既知な何れの要領で可通信結合させてもよい。更に、プロセッサ814又は908を伝送媒体、例えば有線及び/又は無線区間を有するそれにより、他の諸システムからのデータ又は情報(例.検査システム例えばレビューツールからの検査結果、リモートデータベース内のデザインデータ等)を受領及び/又は獲得するよう、構成してもよい。このようにして、その伝送媒体を、プロセッサ814又は908と、それぞれシステム800又は900に備わるその他のサブシステム或いはそれぞれシステム800又は900外にあるシステムと、の間のデータリンクとして働かせるとよい。
【0086】
実施形態に係るプロセッサ814又はプロセッサ908を、方法100、200、300、400又は500のうち1個又は複数個の実施形態に従い諸ステップを実行するよう、構成してもよい。
【0087】
実施形態に係るプロセッサ814又はプロセッサ908を、供試画像デスキューを含む粗整列を供試画像について実行することで部分整列供試画像を作成し、区画並進を含む細整列をその部分整列供試画像について実行するよう、構成してもよい。
【0088】
実施形態に係るプロセッサ814又はプロセッサ908を、更に、ロー及びカラムをなす画素群を有する参照画像を受け取り、その参照画像から第1ローカルセクションを選択し、ロー及びカラムをなす画素群を有する供試画像を受け取り、その供試画像から第2ローカルセクションを選択し、そしてそれら第1ローカルセクション及び第2ローカルセクションから推定回動オフセット及び推定並進オフセットを求めるよう、構成してもよい。
【0089】
実施形態に係るプロセッサ814又はプロセッサ908を、更に、供試画像デスキューを実行するよう、更にその供試画像デスキューに当たり供試画像のスキュー角を求めそのスキュー角に基づきその供試画像をデスキューするよう、構成してもよい。
【0090】
実施形態に係るプロセッサ814又はプロセッサ908を、更に、参照画像のうち第1ローカルセクションを供試画像のうち第2ローカルセクションと比べるスキュー比較を実行することで、その供試画像のスキュー角を求めるように、構成してもよい。
【0091】
実施形態に係るプロセッサ814又はプロセッサ908を、更に、スキュー比較を実行するよう、またその際に、参照画像のうち第1ローカルセクションに対し高速フーリエ変換を実行することで参照シーン関数を取得し、供試画像のうち第2ローカルセクションに対し高速フーリエ変換を実行することで供試シーン関数を取得し、その供試シーン関数を参照シーン関数と比べることでスキュー角を求めるよう、構成してもよい。
【0092】
実施形態に係るプロセッサ814又はプロセッサ908を、更に、供試画像をデスキューするよう、また、供試画像をデスキューするに当たり、スキュー角に基づき供試画像内画素毎にカラムシフトベクトル及びローシフトベクトル、即ちそれぞれその画素が含まれているカラムに対し共線的に画素をシフトさせる量及び方向からなるカラムシフトベクトル並びにそれぞれその画素が含まれているローに対し共線的に画素をシフトさせる量及び方向からなるローシフトベクトルを求め、各画素を自身のカラムシフトベクトル及びローシフトベクトルに従いシフトさせるよう、構成してもよい。
【0093】
実施形態に係るプロセッサ814又はプロセッサ908を、更に、区画並進を含む細整列を実行するよう、またその区画並進に当たり、参照画像を1個又は複数個の参照画像サブセクションへと区画し、供試画像を1個又は複数個の供試画像サブセクション、即ちそれぞれ参照画像サブセクションに対応する供試画像サブセクションへと区画し、そして各供試画像サブセクションを並進させてそれに対応する参照画像サブセクションに整列させるよう、構成してもよい。
【0094】
本願開示のシステム800又はシステム900及び諸方法の様々なステップ、機能及び/又は動作は、電子回路、論理ゲート、マルチプレクサ、プログラマブル論理デバイス、ASIC、アナログ又はディジタルコントローラ/スイッチ、マイクロコントローラ、或いは情報処理システムのうち、1個又は複数個により実行される。方法例えば本願記載のそれらを実現するプログラム命令を、キャリア媒体上で伝送させてもキャリア媒体上に格納してもよい。そのキャリア媒体の例は格納媒体、例えばリードオンリメモリ、ランダムアクセスメモリ、磁気ディスク、光ディスク、不揮発性メモリ、固体メモリ、磁気テープ等であろう。キャリア媒体の例は伝送媒体、例えばワイヤ、ケーブル又は無線伝送リンクであろう。例えば、本件開示の随所に記載されている様々なステップを、単一のプロセッサ814又は単一のプロセッサ908(或いはコンピュータサブシステム902)で実行してもよいし、それに代え複数個のプロセッサ814又は複数個のプロセッサ908(或いは複数個のコンピュータサブシステム902)で実行してもよい。更に、システム800又はシステム900に備わる様々なサブシステムが1個又は複数個の情報処理又は論理システムを有していてもよい。従って、上掲の記述は本件開示に対する限定としてではなく、単なる例証として解されるべきである。
【0095】
付加的な実施形態は、コントローラ上で実行可能なプログラム命令が格納された非一時的コンピュータ可読媒体、特に本願開示の如く試料802又は904の表面上の照明領域の高さを判別するためのコンピュータ実施方法がその命令により実行されるそれに関するものである。具体的には、
図8又は
図9に示す電子データ格納ユニット815又は909、或いはその他の格納媒体を、それぞれプロセッサ814又は908上で実行可能なプログラム命令入りの非一時的コンピュータ可読媒体を含むものとすればよい。そのコンピュータ実施方法に、諸実施形態に係る方法100、200、300、400又は500を初め、本願記載の何れの方法(群)の何れのステップ(群)を含めてもよい。
【0096】
方法例えば本願記載のそれらを実現するプログラム命令はコンピュータ可読媒体上、例えば電子データ格納ユニット815内、電子データ格納ユニット909内、或いはその他の格納媒体内に格納すればよい。そのコンピュータ可読媒体を格納媒体、例えば磁気ディスク、光ディスク、磁気テープ等としてもよいし、本件技術分野にて既知な他の何れの好適非一時的コンピュータ可読媒体としてもよい。
【0097】
プログラム命令は、就中、手続きベース技術、要素ベース技術及び/又はオブジェクト指向技術を初め、多々あるやり方の何れで実施してもよい。例えば、それらプログラム命令を、ActiveX(登録商標)コントロール、C++オブジェクト、JavaBeans(登録商標)、Microsoft(登録商標)FoundationClasses(MFC)、ストリーミングSIMDエクステンション(SSE)その他のテクノロジ又は方法論を随意使用して実施すればよい。
【0098】
プロセッサにより実行される1個又は複数個の要素には、深層学習モジュール(例.畳込み(コンボリューション)ニューラルネットワーク(CNN)モジュール)を含めることができる。その深層学習モジュールは、本願詳述の構成のうち一つを有するものとすることができる。ニューラルネットワークテクノロジに根ざす深層学習は多くのニューロン層を伴う確率グラフモデルであり、深層アーキテクチャとして広く知られている。深層学習テクノロジでは情報、例えば画像、テキスト、音声等が階層的な要領で処理される。本件開示にて深層学習を用いる際には、データからの学習を用い特徴(フィーチャ)抽出が自動的に達成される。例えば、回動及び並進オフセットを求める際に参照される特徴を、その1個又は複数個の抽出済特徴に基づきその深層学習モジュールを用い抽出することができる。
【0099】
概述するなら、深層学習(深層構造化学習、階層学習又は深層機械学習としても知られるそれ)は機械学習の一分岐であり、データにおける高度抽象化をモデル化するよう試みる一組のアルゴリズムに依拠している。単純なケースでは、信号入力を受け取るものと出力信号を送るものを併せ、二組のニューロンを設ければよい。入力を受け取ると、入力層はその入力の修正版を次層へと引き渡す。深層ネットワークではそれら入出力間に多くの層があるので、そのアルゴリズムにて複数個の処理層を用いること、またそれを複数通りの線形変換及び非線形変換で構成することができる。
【0100】
深層学習は、データ表現学習に基づくより広範な機械学習ファミリの一員である。観測結果(例.参照用抽出対象特徴)は多様なやり方で、例えば画素毎強度値のベクトルで、或いはより抽象的なやり方で一組のエッジ、特定形状領域等々として、表現することができる。表現のなかには、学習タスク(例.顔認識又は表情認識)を単純化する上で他のものより良好なものがある。深層学習によれば、教師無し又は準教師付き特徴学習及び階層的特徴抽出に関し、効率的なアルゴリズムを提供することができる。
【0101】
この分野の研究では、より良好な表現を作成すること、並びにそれら表現を大規模データから学習するモデルを生成することが、試みられている。それら表現のうち幾つかは神経科学の進歩に鼓吹されたものであり、神経系における情報処理及び通信パターンの解釈、例えば様々な刺激とそれに関連する大脳内ニューロン反応との間の関係を定めるよう試みる神経コーディングに、緩く依拠している。
【0102】
深層アーキテクチャを有するニューラルネットワークにはその確率仕様及びネットワークアーキテクチャによって数多くの変種があり、そのなかには、これに限られるものではないが深層信念ネットワーク(DBN)、制限ボルツマンマシン(RBM)及びオートエンコーダがある。もう一種類の深層ニューラルネットワーク即ちCNNを特徴分析に用いることができる。実際の実現形態は、入力画像のサイズ、分析対象特徴の個数並びに問題の性質によって変わることがある。本願開示のニューラルネットワーク以外の深層学習モジュールに他層を含めてもよい。
【0103】
ある実施形態ではその深層学習モデルが機械学習モデルとされる。機械学習は、一般に、明示的にプログラミングすることなくコンピュータに学習能力を与える一種の人工知能(AI)として、定義することができる。機械学習で焦点となるのは、新規データにさらされたときに自分自身を教育して成長し変化することが可能なコンピュータプログラムの開発である。機械学習で探求されているのは、データから学びデータについて予測することができるアルゴリズムの研究及び構築である。そうしたアルゴリズムにより、標本入力からのモデル構築を通じ、データ駆動型予測又は決定をなすことで、厳密に静的なプログラム命令への追従が克服される。
【0104】
幾つかの実施形態ではその深層学習モデルが生成モデルとされる。生成モデルは、一般に、確率的な性質のモデルとして定義することができる。言い換えれば、生成モデルは、フォワードシミュレーション又はルールベース法を実行するものである。生成モデルは、適切な訓練セットのデータに基づき学ぶことができる(即ちそのパラメタ群が学ばれうる)。一実施形態に係る深層学習モデルは深層生成モデルとして構成される。例えば、そのモデルを、深層学習アーキテクチャを呈するように構成し、多数のアルゴリズム又は変換を実行する複数個の層がそのモデルに備わりうるようにすればよい。
【0105】
他実施形態ではその深層学習モデルがニューラルネットワークとして構成される。更なる実施形態によれば、その深層学習モデルが、訓練のためその深層ニューラルネットワークに供給されたデータに係る世界をモデル化する一組の荷重を有する、深層ニューラルネットワークとされることがある。ニューラルネットワークは、一般に、軸索により結合された生体ニューロンからなる相対的に大きなクラスタで以て生体脳が問題を解決するやり方を、比較的大きなニューラルユニット集団により緩くモデル化することを基礎とした情報処理手法として、定義することができる。各ニューラルユニットが他の多くのニューラルユニットに接続されるところ、接続先ニューラルユニットの活性化状態の影響を受けてリンクを形成又は禁止することができる。これらのシステムは、明示的にプログラミングされているというより自己学習的であり訓練されており、旧来のコンピュータプログラムでは解決又は特徴検出を示すのが難しかった分野に秀でている。
【0106】
ニューラルネットワークは、通常は複数個の層で構成されており、その信号路が前方から後方へとよぎっている。ニューラルネットワークの目標は人間の頭脳が行うであろうそれと同じやり方で問題を解決することであるが、ニューラルネットワークのなかにはかなり抽象的なものもある。昨今のニューラルネットワークプロジェクトは、通常、数千~数百万個のニューラルユニット及び数百万個所の接続で以て稼働している。ニューラルネットワークが、本件技術分野にて既知な何れの好適アーキテクチャ及び/又は構成を有していてもよい。
【0107】
ある実施形態では、本願開示の半導体検査アプリケーション向けに用いられる深層学習モデルがAlexNetとして構成される。例えば、AlexNetに、多数の畳込み層(例.5個)と、それに後続する多数の全結合層(例.3個)とを組み込み、特徴を分析して回動及び並進オフセットを求めるようそれらを共に構成及び訓練する。これに類する他の実施形態では、本願開示の半導体検査アプリケーション向けに用いられる深層学習モデルがGoogleNetとして構成される。例えば、GoogleNetに、本願詳述のそれらの如き畳込み層、プーリング層及び全結合層等の諸層を組み込み、特徴を分析して回動及び並進オフセットを求めるようそれらを構成及び訓練すればよい。GoogleNetアーキテクチャでは備わる層が比較的多数(特に本願記載の他の幾つかのニューラルネットワークに比し多数)となりうるところ、それらの層のうち幾つかを並列に動作させてもよく、互いに並列に機能する層群はインセプションモジュールと通称されている。他の諸層は順次動作させればよい。従って、GoogleNetは、本願記載の他のニューラルネットワークと、全ての層が順次構造に従い配列されるわけではないという点で、異なっている。それら並列な諸層は、Google(登録商標)のインセプションネットワークその他の構造と同様でよい。
【0108】
これに類する他の実施形態では、本願開示の半導体検査アプリケーション向けに用いられる深層学習モデルがビジュアル幾何グループ(VGG)ネットワークとして構成される。例えば、そのアーキテクチャの他パラメタを固定しておき畳込み層の個数を増やすことで、VGGネットワークが生成された。深さを増すための畳込み層追加が、それらの層全てで実質的に小さな畳込みフィルタを用いることで可能とされる。本願記載の他のニューラルネットワークと同じく、特徴を分析することで回動及び並進オフセットを求めるようにVGGネットワークが生成及び訓練された。VGGネットワークは、また、畳込み層及びそれに後続する全結合層を有する。
【0109】
これに類する幾つかの実施形態では、本願開示の半導体検査アプリケーション向けに用いられる深層学習モデルが深層残差ネットワーク(レズネット)として構成される。例えば、本願記載の他の幾つかのネットワークと同じく、深層残差ネットワークには、畳込み層及びそれに後続する全結合層を組み込み、特徴特性抽出に関しそれらを共に構成及び訓練すればよい。深層残差ネットワークでは、諸層が、非参照関数を学習するのに代え、層入力を参照して残差関数を学習するよう構成される。とりわけ、各数個のスタック層が所望の基礎マッピングに直にフィットするよう期待するのに代え、ショートカット接続を有するフィードフォワード型ニューラルネットワークにより実現された残差マッピングにそれらの層を明示的にフィット可能とされる。ショートカット接続とは1個又は複数個の層をスキップする接続のことである。深層残差ネットを生成するには、畳込み層を有するプレーンなニューラルネットワーク構造を取り上げ、ショートカット接続を挿入することで、取り上げたプレーンなニューラルネットワークを対応する残差学習ネットワークに転化させればよい。
【0110】
これに類する他の実施形態では、本願開示の半導体検査アプリケーション向けに用いられる深層学習モデルが、特徴を分析することで回動及び並進オフセットを求めるよう構成された1個又は複数個の全結合層を有するものとされる。全結合層は、概略、各ノードが前層内の各ノードに接続された層として定義すればよい。1個又は複数個の畳込み層、例えば本願詳述の如く構成されたそれにより抽出された特徴に基づき、その又はそれらの全結合層により分類を実行すればよい。その又はそれらの全結合層は特徴選択及び分類向けに構成される。言い換えれば、その又はそれらの全結合層により特徴マップから諸特徴が選択された後、選択された特徴に基づきその又はそれらの入力画像が分析される。選択される特徴のなかに、特徴マップ内の特徴全てが含まれていても(適切な場合)、特徴マップ内の特徴のうち一部しか含まれていなくてもよい。
【0111】
幾つかの実施形態では、深層学習モデルにより求められる情報が、その深層学習モデルにより抽出された特徴特性を含むものとされる。そうした実施形態の一つは、深層学習モデルが1個又は複数個の畳込み層を有するものである。その又はそれらの畳込み層が、本件技術分野にて既知な何れの好適構成を有していてもよい。このようにして深層学習モデル(又はその深層学習モデルの少なくとも一部)をCNNとして構成すればよい。例えば、その深層学習モデルをCNN、通常は畳込み層及びプーリング層の積層体であるそれとして構成し、それにより局所的な特徴を抽出すればよい。本願記載の諸実施形態によれば、深層学習概念例えばCNNの長所を利用することで、通常は手に負えない表現反転問題を解くことができる。その深層学習モデルが、本件技術分野で既知な何れのCNN構成又はアーキテクチャを有していてもよい。1個又は複数個備わるプーリング層も、本件技術分野にて既知な何れの好適構成(例.最多プーリング層)を有するのでもよいところ、一般には、最重要特徴を保ちつつ、1個又は複数個の畳込み層により生成される特徴マップの次元数を低減するよう構成される。
【0112】
一般に、本願記載の深層学習モデルは訓練された深層学習モデルである。例えば、深層学習モデルを予め1個又は複数個の他システム及び/又は方法により訓練すればよい。深層学習モデルを前以て生成及び訓練し、そのモデルの機能を本願記載の如く決定し、そしてそれを用いることで、その深層学習モデルに係る1個又は複数個の付加的機能を実行することができる。
【0113】
上述の通り、本願ではCNNを用い深層学習システムのアーキテクチャを描出しているが、本件開示はCNNに限定されない。他変種の深層学習アーキテクチャを諸実施形態にて用いてもよい。例えばオートエンコーダ、DBN及びRBMを用いることができる。ランダムフォレストを用いることもできる。
【0114】
訓練データを入力してモデル訓練(例.CNN訓練)を行えばよく、それを何れの好適要領にて実行してもよい。例えば、そのモデル訓練に際し、訓練データをその深層学習モデル(例.CNN)に入力し、そのモデルの出力が外部確認データと同じもの(又は実質的に同じもの)になるまでそのモデルの1個又は複数個のパラメタを修正していけばよい。モデル訓練により1個又は複数個の訓練済モデルを生成すればよく、確認データを用い実行されるモデル選択にその又はそれらのモデルを送ればよい。当該1個又は複数個の訓練済モデルに入力された確認データに関し、1個又は複数個の訓練済モデルそれぞれによりもたらされた結果を、その確認データと比較することで、そのモデルが最良モデルであるかを判別すればよい。例えば、その確認データに最密マッチする結果をもたらしたモデルを、最良モデルとして選択すればよい。その上で、供試データを用い、選択されたモデル(例.最良モデル)のモデル評価を行えばよい。モデル評価は何らかの好適な要領で実行すればよい。また、最良モデルをモデル展開に送ってもよく、そこでその最良モデルを半導体検査ツールに送って使用させてもよい(ポスト訓練モード)。
【0115】
本願記載の様々な実施形態及び例にて述べた方法の諸ステップは、本発明の方法を実行するのに十分なものである。即ち、一実施形態では、本方法が、本質的に、本願開示の諸方法の諸ステップの組合せにより構成される。他実施形態では、本方法がそれらステップのみで構成される。
【0116】
1個又は複数個の具体的実施形態及び/又は例を基準にして本件開示を記述してきたが、理解し得るように、本件開示の技術的範囲から離隔することなく本件開示の他の諸実施形態及び/又は例をなすこともできる。