(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-04
(45)【発行日】2022-11-14
(54)【発明の名称】灯具および建築物を建設する方法
(51)【国際特許分類】
F21S 8/04 20060101AFI20221107BHJP
F21V 19/02 20060101ALI20221107BHJP
F21V 23/06 20060101ALI20221107BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20221107BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20221107BHJP
【FI】
F21S8/04 320
F21V19/02 400
F21V23/06
F21V23/00 160
F21V23/00 170
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2020020053
(22)【出願日】2020-02-07
【審査請求日】2021-11-18
(31)【優先権主張番号】P 2019053180
(32)【優先日】2019-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019144009
(32)【優先日】2019-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100157901
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【氏名又は名称】内田 敬人
(72)【発明者】
【氏名】二宮 進
(72)【発明者】
【氏名】石田 哲敏
(72)【発明者】
【氏名】原口 圭
【審査官】竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-134956(JP,A)
【文献】特開2019-016432(JP,A)
【文献】特開2009-295544(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/04
F21V 19/02
F21V 23/06
F21V 23/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源配置面と、前記光源配置面の反対側の裏面とを有するシャーシと、前記シャーシの前記光源配置面に配置された複数の光源と、を有する灯具本体と、
建材に形成された取付穴に嵌め込まれる嵌合アダプタと、
前記嵌合アダプタに固定されたアダプタ固定部材と、
前記シャーシの前記裏面に固定されたアダプタ押さえ部材と、
を備え、
前記アダプタ固定部材は、前記シャーシの前記裏面と前記アダプタ押さえ部材との間に挟まれ、且つ前記シャーシの前記裏面に平行な方向に移動可能である灯具。
【請求項2】
前記シャーシの前記裏面に配置された取外し部材をさらに備え、
前記嵌合アダプタは、前記建材の前記取付穴に嵌め込まれた取付金具に引っ掛かる爪部を有し、
前記取外し部材は、前記爪部に連結する一端部と、前記嵌合アダプタが前記取付金具に取り付けられた状態で前記灯具に重なる他端部とを有し、
前記灯具本体を前記アダプタ固定部材に対して第1方向に移動させることで、前記取外し部材の前記他端部が前記灯具の側面より外側に突出する請求項1記載の灯具。
【請求項3】
前記取外し部材を前記第1方向の反対の第2方向に移動させることで、前記嵌合アダプタの前記爪部が前記取付金具から外れる請求項2記載の灯具。
【請求項4】
前記アダプタ押さえ部材は開口を有し、前記開口内に前記嵌合アダプタが配置され、
前記取外し部材の前記他端部が前記灯具に重なっている状態において、前記嵌合アダプタの前記第2方向に向く側面と前記開口の縁との離間距離は、前記嵌合アダプタの前記第1方向に向く側面と前記開口の縁との間の離間距離よりも大きい請求項3記載の灯具。
【請求項5】
前記アダプタ押さえ部材は、前記アダプタ固定部材に接触する凸部を有する請求項1~4のいずれか1つに記載の灯具。
【請求項6】
建築物を建設する方法であって、
複数の天井材を配して形成される天井の天井裏に配される複数の配線のうち、天井への設置に際して吊り材による固定を有さない照明灯具である軽量大型照明灯具と電気的に接続するための配線として、コネクタ付き配線を設ける工程と、
前記天井材に設けられた開口を介して、形成された天井の上方にある天井裏空間に配された前記コネクタ付き配線と、電源アダプタとを、前記コネクタ付き配線のコネクタにより接続する工程と、
形成された天井の下方にある居室空間において用意された前記軽量大型照明灯具と、前記電源アダプタと、を電気的に接続する工程と、
前記コネクタ付き配線と電気的に接続された前記軽量大型照明灯具または前記コネクタ付き配線と電気的に接続された前記電源アダプタが有する留め具を前記天井材の開口に通して、前記軽量大型照明灯具を前記天井材に設置する工程と、
前記天井材に設置された前記軽量大型照明灯具の前記天井材に対する位置を、前記軽量大型照明灯具として移動が可能な所定の範囲内で調整する工程と、
を有する方法。
【請求項7】
前記コネクタ付き配線と、前記電源アダプタとを、前記コネクタ付き配線のコネクタにより接続し、前記コネクタ付き配線と電気的に接続された前記電源アダプタを前記天井裏空間に配置する工程と、
取付補助部材が有する留め具を前記天井材の開口に通して、前記取付補助部材を前記天井材に設置する工程と、
をさらに有し、
前記軽量大型照明灯具と、前記電源アダプタと、を電気的に接続する工程において、前記取付補助部材の開口を通して、前記天井裏空間に配された前記電源アダプタの電気ケーブルを居室空間に引き込み、前記電気ケーブルを前記軽量大型照明灯具に接続して、前記コネクタ付き配線と前記軽量大型照明灯具とを電気的に接続し、
前記軽量大型照明灯具を前記天井材に設置する工程において、前記コネクタ付き配線と電気的に接続された前記軽量大型照明灯具が有する留め具を前記取付補助部材の開口に通して、前記軽量大型照明灯具を前記天井材に設置する請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記電源アダプタを天井裏空間に配置する工程において、前記天井裏に配された前記コネクタ付き配線のコネクタを、前記天井材の開口を通して居室空間に引き込み、当該コネクタを前記電源アダプタが有する端子台に接続してから、前記電源アダプタを天井裏空間に配置する請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記取付補助部材を前記天井材に設置する工程は、前記電源アダプタと当該電源アダプタに接続される前記コネクタ付き配線とが前記天井裏空間に配置された状態で、取付補助部材が有する留め具を前記天井材の開口に通す請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記電源アダプタを天井裏空間に配置する工程において、前記電源アダプタは、当該電源アダプタと接続する前記軽量大型照明灯具が設置される前記天井材に配置される請求項7~9のいずれか1つに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、灯具および建築物を建設する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、反射板に形成された長穴に沿う方向にけい光ランプを移動させて固定位置を調整可能な照明器具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、灯具本体を建材に取り付けた後に、灯具本体を建材の取付面に沿う方向に移動させて取付位置の調整が可能な灯具および建築物を建設する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によれば、灯具は、光源配置面と、前記光源配置面の反対側の裏面とを有するシャーシと、前記シャーシの前記光源配置面に配置された複数の光源と、を有する灯具本体と、建材に形成された取付穴に嵌め込まれる嵌合アダプタと、前記嵌合アダプタに固定されたアダプタ固定部材と、前記シャーシの前記裏面に固定されたアダプタ押さえ部材と、を備えている。前記アダプタ固定部材は、前記シャーシの前記裏面と前記アダプタ押さえ部材との間に挟まれ、且つ前記シャーシの前記裏面に平行な方向に移動可能である。
また、本開示の一態様によれば、建築物を建設する方法は、複数の天井材を配して形成される天井の天井裏に配される複数の配線のうち、天井への設置に際して吊り材による固定を有さない照明灯具である軽量大型照明灯具と電気的に接続するための配線として、コネクタ付き配線を設ける工程と、前記天井材に設けられた開口を介して、形成された天井の上方にある天井裏空間に配された前記コネクタ付き配線と、電源アダプタとを、前記コネクタ付き配線のコネクタにより接続する工程と、形成された天井の下方にある居室空間において用意された前記軽量大型照明灯具と、前記電源アダプタと、を電気的に接続する工程と、前記コネクタ付き配線と電気的に接続された前記軽量大型照明灯具または前記コネクタ付き配線と電気的に接続された前記電源アダプタが有する留め具を前記天井材の開口に通して、前記軽量大型照明灯具を前記天井材に設置する工程と、前記天井材に設置された前記軽量大型照明灯具の前記天井材に対する位置を、前記軽量大型照明灯具として移動が可能な所定の範囲内で調整する工程と、を有する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、灯具本体を建材に取り付けた後に、灯具本体を建材の取付面に沿う方向に移動させて取付位置の調整が可能な灯具および建築物を建設する方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】本発明の一実施形態の灯具の発光面の平面図である。
【
図3】本発明の一実施形態の灯具の裏面の平面図である。
【
図4】本発明の一実施形態の灯具の短手方向に沿った断面図である。
【
図8】本発明の一実施形態の灯具における天井材の裏側に位置する要素の斜視図である。
【
図9】本発明の一実施形態の灯具を天井材に取り付けるための取付金具の斜視図である。
【
図10】本発明の一実施形態の取付金具と嵌合アダプタとの嵌合構造を表す斜視図である。
【
図11】本発明の一実施形態の取付金具と嵌合アダプタとの嵌合構造を表す断面斜視図である。
【
図12】本発明の一実施形態の嵌合アダプタと取外し部材との連結構造を表す斜視図である。
【
図13】本発明の一実施形態の嵌合アダプタと取外し部材との連結構造を表す斜視図である。
【
図14】本発明の一実施形態の灯具を取り外す動作を説明する
図5と同様の平面図である。
【
図15】本発明の他の実施形態の灯具の裏面の平面図である。
【
図16】本発明の他の実施形態の灯具の端部の拡大断面図である。
【
図18】建築物が建設されるまでの工程における照明設置の流れを説明するためのフロー図である。
【
図19】実施形態に係る建築物の居室の構造の一例を記した模式図である。
【
図20】実施形態に係る建築物の居室の構造の他の一例を記した模式図である。
【
図21】実施形態に係る建築物の建設における天井裏空間の構造を示す図である。
【
図22】実施形態に係る照明灯具の設置方法を説明するための図である。
【
図23】実施形態に係る照明灯具の設置方法を説明するための図である。
【
図24】実施形態に係る照明灯具の設置方法の他の一例を説明するための図である。
【
図25】実施形態に係る照明灯具の設置方法の他の一例を説明するための図である。
【
図26】本発明の他の実施形態の灯具の光源モジュールについて、発光面を模式的に示す平面図である。
【
図27】本発明の他の実施形態の灯具の複数の光源のうちの1つを模式的に示す断面図である。
【
図28】本発明の他の実施形態の灯具の発光スペクトルを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照し、実施形態について説明する。なお、各図面中、同じ要素には同じ符号を付している。
【0009】
図1は、本発明の一実施形態の灯具100の側面図である。
図2は、灯具100の発光面の平面図である。
図3は、灯具100の裏面の平面図である。
図4は、灯具100の短手方向に沿った断面図である。
【0010】
灯具100の外形は例えば矩形状に形成され、矩形状の発光面を有する。灯具100は、灯具本体10と、透光性カバー30と、嵌合アダプタ40とを有する。
【0011】
図4に示すように、灯具本体10は、シャーシ11と、光源モジュール20とを有する。シャーシ11は、例えば金属板が好ましい。
【0012】
図3に示すように、シャーシ11の裏面11bに、嵌合アダプタ40が設けられている。嵌合アダプタ40の上面に、例えばソケット構造の灯具側コネクタ43が固定されている。また、シャーシ11の裏面11bには、クッション材13が設けられている。
【0013】
図4に示すように、光源モジュール20は、シャーシ11の裏面11bの反対側の光源配置面11aに取り付けられている。光源モジュール20はシャーシ11に例えばねじ止めされている。シャーシ11は、光源モジュール20の補強板および放熱板として機能する。また、シャーシ11の裏面11bには、矩形状のシャーシ11の長手方向に延びる複数の凹凸が形成されている。これら凹凸は、シャーシ11の面強度を高める。
【0014】
光源モジュール20は、基板21と、複数の光源22とを有する。基板21の裏面は、シャーシ11の光源配置面11aに接している。複数の光源22が、基板21の光源実装面(シャーシ11に接する裏面の反対側の面)に周期配列されている。例えば、複数の光源22は等ピッチで格子配列されている。
【0015】
光源22は、例えばLED(Light Emitting Diode)等の発光素子を含む。また、光源22は、その他に、蛍光体層と樹脂部材とを含むことができる。
図3に示す灯具側コネクタ43は、基板21に形成された導体パターンを通じて、光源22と電気接続している。
【0016】
透光性カバー30は、光源22が発する光に対する透光性を有する。透光性カバー30は、例えばアクリルなどの樹脂材に酸化チタン等を分散させた光拡散性を有する乳白色に形成されている。透光性カバー30は、光源22を覆うように、灯具本体10に支持されている。
【0017】
図4に示すように、透光性カバー30は、主面部31と、側面部32と、上辺部33とを有する。主面部31は、空間90を隔てて光源22に対向している。主面部31、側面部32、および上辺部33は、例えば押出成形により一体形成される。側面部32は、主面部31の端部に連続し、空間90の側方を覆っている。側面部32は、灯具本体10の外縁部よりも外側に位置し、光源モジュール20よりも上方に延びている。
【0018】
上辺部33は、側面部32の上端に連続し、側面部32からシャーシ11に向かって突出している。側面部32および上辺部33は、透光性カバー30の長手方向(
図4において紙面を貫く方向)に沿って延びている。透光性カバー30の長手方向の両端は開放されている。
【0019】
シャーシ11の裏面11bにおける短手方向(
図4における左右方向)の両端部には、カバー挿入部11cが設けられている。カバー挿入部11cは、シャーシ11の裏面11bとの間に隙間を形成するようにシャーシ11の外側に突出している。そのカバー挿入部11cの下の隙間に、透光性カバー30の上辺部33が挿入される。カバー挿入部11c、およびその下の隙間は、シャーシ11の長手方向(
図4において紙面を貫く方向)に沿って延びている。
【0020】
シャーシ11と透光性カバー30とを相対的に長手方向にスライドさせて、透光性カバー30の上辺部33をシャーシ11のカバー挿入部11cの下の隙間に挿入する。透光性カバー30の上辺部33が、シャーシ11の裏面11bの短手方向の両端部の上に載置され、透光性カバー30が灯具本体10に対して支持される。
【0021】
透光性カバー30の長手方向の開放された両端には、
図1~
図3に示すサイドキャップ36が装着される。
【0022】
図5は、
図3における一部分(嵌合アダプタ40が設けられた部分)の拡大図である。
図6は、
図5におけるX-X断面図である。
【0023】
図6に示すように、嵌合アダプタ40は、アダプタ固定部材80の上に固定されている。嵌合アダプタ40は、アダプタ固定部材80に例えばネジ止めされている。アダプタ固定部材80は、例えばアルミニウムの板である。
【0024】
シャーシ11の裏面11bには、アダプタ押さえ部材70が固定されている。アダプタ押さえ部材70は、例えば電気亜鉛めっき鋼板である。
【0025】
アダプタ押さえ部材70は、下段部72と、上段部71とを有する。下段部72は、シャーシ11に対して例えばネジ止めされている。上段部71は、下段部72よりもシャーシ11の裏面11bから離れた位置にあり、上段部71とシャーシ11の裏面11bとの間にスペースが形成される。そのスペースに、アダプタ固定部材80が配置されている。
【0026】
アダプタ固定部材80は外縁部80aを有する。その外縁部80aと、アダプタ押さえ部材70の下段部72との間には、隙間73が形成されている。
図6における紙面を貫く方向には下段部72は設けられず、上段部71とシャーシ11の裏面11bとの間のスペースは、
図6における紙面を貫く方向において開放されている。
【0027】
図5に示すように、アダプタ押さえ部材70の上段部71には開口71aが形成されている。嵌合アダプタ40は、その開口71a内に位置する。アダプタ固定部材80の外縁部80aは、開口71aの縁よりも外側に位置する。
図5に示す上面視において、アダプタ固定部材80は、嵌合アダプタ40の下およびアダプタ押さえ部材70の上段部71の下に隠れている。
図5にアダプタ固定部材80の外形を破線で表す。
【0028】
開口71aは、直線部71dを介してつながった第1の縁71bと第2の縁71cとを有する。嵌合アダプタ40は筒状に形成され、この例では第1の縁71bは、嵌合アダプタ40の側面の環状形状に沿って形成されている。第2の縁71cは、第1の縁71bから直線部71dを介して
図5における下方(下方向B)に突出している。
【0029】
図5における上方向Aは、後述するように、嵌合アダプタ40を天井材から取り外す際に、灯具本体10をアダプタ押さえ部材70とともに、アダプタ固定部材80に対して相対的に移動させる方向(第1方向)であり、
図5における下方向(第2方向)Bは、灯具本体10を上方向(第1方向)Aに移動させた後(
図14に示す状態)において、嵌合アダプタ40を天井材から取り外す際に操作する取外し部材12を引っ張る方向である。
【0030】
図6に示すように、アダプタ固定部材80は、アダプタ押さえ部材70の上段部71と、シャーシ11の裏面11bとの間に挟まれ、シャーシ11に対しては固定されていない。すなわち、アダプタ固定部材80に固定された嵌合アダプタ40と、灯具本体10とは、シャーシ11の裏面11bに平行な方向に相対的に移動可能となっている。ここでの移動は、直線移動に限らず、回転移動も含む。
【0031】
アダプタ固定部材80の外縁部80aと、アダプタ押さえ部材70の下段部72との間の隙間73や、上段部71に形成された開口71aの縁と、嵌合アダプタ40の側面との間の隙間によって、嵌合アダプタ40に対する灯具本体10の相対移動が許容される。アダプタ固定部材80の外縁部80aとアダプタ押さえ部材70の下段部72との当接や、嵌合アダプタ40の側面と開口71aの縁との当接により、嵌合アダプタ40に対する灯具本体10の相対移動が規制される。
【0032】
図7に示すように、アダプタ押さえ部材70の上段部71の下面には凸部75が形成され、アダプタ固定部材80の上面には、凸部75が嵌合可能な凹部81が形成されている。複数の凸部75が上段部71に形成され、複数の凸部75に対応した複数の凹部81がアダプタ押さえ部材80に形成されている。
【0033】
嵌合アダプタ40と灯具本体10との相対位置の初期位置においては、凸部75が凹部81に嵌合している。すなわち、天井材に嵌合アダプタ40を介して灯具本体10が取り付けられ、灯具本体10の位置(天井面に沿う方向の位置)を調整する必要がない場合には、凸部75が凹部81に嵌合した状態が保持される。
【0034】
取り付け後において、灯具本体10の位置調整が必要な場合には、天井材に対して固定された嵌合アダプタ40およびアダプタ固定部材80に対して、灯具本体10を上記初期位置から取付面(天井面)に沿う方向にスライド移動(回転も含む)させることで、灯具本体10の取付位置を調整できる。このとき、凸部75と凹部81との嵌合が外れ、凸部75がアダプタ固定部材80の上面に接触する。すなわち、複数の凸部75がアダプタ固定部材80の上面に接触する点接触の状態で、灯具本体10は、天井材に対して固定されたアダプタ固定部材80に支持される。アダプタ押さえ部材70とアダプタ固定部材80とが点接触することで、面接触する場合に比べて、アダプタ押さえ部材70とアダプタ固定部材80との間の摩擦力が小さくなり、アダプタ押さえ部材70とアダプタ固定部材80との相対移動が容易になる。
【0035】
本実施形態によれば、嵌合アダプタ40を灯具本体10に固定させるのではなく、嵌合アダプタ40と灯具本体10とを相対移動可能な状態とすることによって、アダプタ固定部材80の外縁部80aと、アダプタ押さえ部材70の下段部72との間の隙間73や、上段部71に形成された開口71aの縁と、嵌合アダプタ40の側面との間の隙間によって形成される位置調整代の分、天井材に取り付け後において、灯具本体10の位置調整が可能になる。
【0036】
これにより、複数の灯具本体10を並べて設置する際に、天井材に形成した複数の取付穴の位置のばらつきが発生しても、複数の灯具本体10、すなわち発光面をシームレスに均等配置することが可能になる。
【0037】
また、壁際の取付穴の位置がずれると、壁際の設置スペースに灯具本体10が収まらなくなることが起こり得る。しかしながら、本実施形態によれば、壁際の取付穴の位置を、初期位置の灯具本体10が壁から離れるような位置にしておき、嵌合アダプタ40を介して天井材に灯具本体10を取り付けた後に、灯具本体10を壁側に移動させて寄せることで、壁際の設置スペースに灯具本体10を確実に収めることができる。
【0038】
シャーシ11の裏面11bに設けられた
図3に示すクッション材13は、シャーシ11の裏面11bと天井面との間で圧縮され、灯具本体10は、クッション材13を介して天井面に密着している。クッション材13と天井面との摩擦力によって、灯具本体10の天井面に沿った方向の位置が保持される。その摩擦力に抗する力を灯具本体10に加えることで、灯具本体10を移動させて位置調整できる。
【0039】
灯具本体10の嵌合アダプタ40に対する相対移動の許容範囲は、アダプタ固定部材80の外縁部80aとアダプタ押さえ部材70の下段部72との間の隙間73の大きさ、および上段部71に形成された開口71aの縁と嵌合アダプタ40の側面との間の隙間の大きさによって決まる。嵌合アダプタ40がアダプタ押さえ部材70に形成された開口71aの範囲内で移動した際に、アダプタ固定部材80がアダプタ押さえ部材70の下段部72に干渉しないクリアランスが、アダプタ固定部材80と下段部72との間に確保されていればよい。
【0040】
次に、嵌合アダプタ40の天井材への取り付け構造および方法について説明する。嵌合アダプタ40は、取付金具によって、天井材に取り付けられる。
【0041】
図8は、灯具100における天井材300の裏側に位置する要素の斜視図である。
図9は、取付金具60の斜視図である。
図10は、取付金具60と嵌合アダプタ40との嵌合構造を表す斜視図である。
図11は、取付金具60と嵌合アダプタ40との嵌合構造を表す断面斜視図である。
【0042】
図9に示すように、取付金具60は環状に形成され、その内側に開口64を有する。取付金具60の側面には、板ばね構造の複数の取付ばね63が設けられている。取付金具60の下面には、環状のフランジ61が設けられている。フランジ61の外径は、天井材300に形成された円形の取付穴の直径よりも大きい。フランジ61の上面には、開口64の縁に沿って受け板62が設けられている。
【0043】
取付金具60は、天井材300に形成された取付穴300a(
図11に示す)に嵌め込まれる。取付金具60の側面と天井材300の取付穴300aの内壁との間に、取付ばね63が自然状態から変形した状態で配置される。この取付ばね63の復元力により、取付金具60は上方に付勢され、フランジ61の外縁部側の上面が天井材300の表側の面に押し当たることで(
図11参照)、取付金具60が取付穴300aに嵌合した状態が保持される。
【0044】
取付金具60を天井材300の取付穴300aに嵌め込む前に、必要に応じて、天井材300の裏側に、
図8に示す電源ユニット50が配置される。電源ユニット50は、取付穴300aから天井材300の裏側に通され、天井材300の裏側において取付穴300aに重ならない位置に配置される。
【0045】
または、既に天井材300の裏側に設置済みの電源ユニット50をそのまま使う場合には、電源ユニット50を天井材300の裏側に設置する作業は不要となる。
【0046】
図8に示すように、電源ユニット50は、外部電源(商用電源)と接続可能な端子台52、53を有する。電源ユニット50からは電気ケーブル51が導出されている。端子台52、53の端子は、電源ユニット50の回路基板に電気接続され、その回路基板に電気ケーブル51が電気接続されている。電気ケーブル51の端部には、電源側コネクタ51aが設けられている。
【0047】
灯具本体10が天井材300に取り付けられる前の状態において、電気ケーブル51は、天井材300の取付穴300a、およびその取付穴300aに嵌め込まれた取付金具60の内側の開口64を通され、電源側コネクタ51aが天井材300の表側に位置する。
【0048】
灯具100の取付作業を行う作業者は、灯具100を天井材300に近づけ、灯具100を片手で保持しつつ、もう一方の手で、取付穴300aから垂下する電気ケーブル51の電源側コネクタ51aをつかんで、灯具本体10の裏面に設けられた嵌合アダプタ40の上面に固定された灯具側コネクタ43に電源側コネクタ51aを接続する。
【0049】
電源側コネクタ51aを灯具側コネクタ43に接続した後、嵌合アダプタ40を、天井材300の取付穴300aに嵌め込まれた取付金具60の内側の開口64に嵌め込む。
【0050】
図11に示すように、嵌合アダプタ40は、上ケース41と、下ケース42と、2つのスライド部材45と、2つのスライド部材45を連結するばね47とを有する。
【0051】
それぞれのスライド部材45の先端には、傾斜面をもつ爪部44が設けられている。ばね47の伸縮に伴う2つのスライド部材45のスライド移動により、爪部44は上ケース41と下ケース42との間に形成された開口を通じてケース41、42の内側に引っ込んだり、ケース41、42の外側に突出することが可能となっている。
【0052】
図11は、爪部44がケース41、42の外側に突出して、取付金具60の受け板62の上面に乗り上がった状態を示す。
図11に示すように、上ケース41から下方に突出するストッパー41aがスライド部材45の上面に形成された凹部46内に位置し、ストッパー41aと凹部46の壁面との当接により、2つのスライド部材45の互いに離間する方向への移動が規制される。
【0053】
通常、爪部44はケース41、42の外側に突出している。嵌合アダプタ40を取付金具60の内側に嵌め込むときに、取付金具60のフランジ61の内周壁および受け板62の内周壁に、爪部44の傾斜面を当接させる。爪部44がフランジ61の内周壁および受け板62の内周壁から受ける力により、2つのスライド部材45はばね47を圧縮させて互いに近づくようにスライド移動する。爪部44はケース41、42の内側に引っ込み、取付金具60の内側への嵌合アダプタ40の嵌め込みを許容する。
【0054】
そして、爪部44が受け板62よりも上方の位置まで移動すると、爪部44が受け板62の内周壁から受ける力が解除され、ばね47の復元力により2つのスライド部材45は互いに離間する方向に付勢される。爪部44はケース41、42の外側に突出し、爪部44の下面が受け板62の上面に乗り上げる(引っ掛かる)。これにより、嵌合アダプタ40、および嵌合アダプタ40と固定された灯具本体10の、取付金具60からの落下が防止される。
【0055】
嵌合アダプタ40が取付金具60に嵌合した状態において、
図3に示すシャーシ11の裏面11bに設けられたクッション材13が、天井材300の表側の面に密着する。透光性カバー30の主面部31は、天井材300の表側の面に平行となり、天井材300の下方の空間に向けられる。
【0056】
または、実施形態の灯具100は、天井材300に対する取付方法と同様の方法で、壁材に対しても取り付けることができる。灯具100が壁材に取り付けられると、カバー30の主面部31は壁面に平行となり、壁材の側方空間に向けられる。
【0057】
光源モジュール20における複数の光源22は、天井材300の取付穴300aの面積および取付金具60の開口64の面積よりも広い領域にわたって配置され、灯具本体10において嵌合アダプタ40に重なる領域にも光源22が配置されている。このため、透光性カバー30の主面部31において、取付穴300aおよび嵌合アダプタ40に重なる領域である中央部も光らせることができ、広い面積にわたって発光面が得られる。
【0058】
図5に示すように、シャーシ11の裏面11bには、取外し部材12が配置されている。取外し部材12の一端部は、嵌合アダプタ40のスライド部材45に連結されている。
【0059】
図12および
図13は、嵌合アダプタ40と取外し部材12との連結構造を表す斜視図である。
図12は、嵌合アダプタ40の上ケース41を取り外した状態を示す。
図13は、
図12においてさらに下ケース42も取り外し、取外し部材12とスライド部材45との連結構造を裏側から見た斜視図である。
【0060】
取外し部材12とスライド部材45とは、2つのアーム部材48を介して連結されている。それぞれのアーム部材48は、下ケース42に設けられた軸部42aを支点に回動することができる。
【0061】
それぞれのアーム部材48の一端部には貫通孔48aが形成され、その貫通孔48a内に、取外し部材12の一端部に設けられたピン12aが係合している。
【0062】
作業者が取外し部材12の他端部12bを例えば治具または直接指で引っ張ることで、取外し部材12の長手方向に沿って取外し部材12をスライドさせることができる。
【0063】
取外し部材12の他端部が灯具100の側面より外側に突出する方向に取外し部材12を引っ張ると、取外し部材12のピン12aに係合している一対のアーム部材48が軸部42aを支点に回動する。このアーム部材48の回動により、
図13に示すアーム部材48の他端部48bが、スライド部材45の下面に設けられた突出部49を押す。これにより、2つのスライド部材45は、ばね47を圧縮させて互いに近づく方向にスライド移動する。
【0064】
このスライド部材45のスライド移動により、爪部44が、
図11に示す取付金具60の受け板62に乗り上げた状態が解除され、嵌合アダプタ40が取付金具60から外れ、灯具本体10を天井材300から取り外すことができる。
【0065】
灯具本体10が天井材に取り付けられた状態、すなわち、嵌合アダプタ40が取付金具60を介して天井材に取り付けられた状態で、
図5に示すように、取外し部材12の他端部12bは灯具に重なっている。
図5に示す例では、取外し部材12の他端部12bは、透光性カバー30の上辺部33に重なっている。この状態で灯具は天井材に設置された状態が維持され、使用される。すなわち、取外し部材12は発光面側から見えない。
【0066】
図5の状態の灯具本体10を、嵌合アダプタ40およびアダプタ固定部材80に対して第1方向Aに移動させることで、
図14に示すように、取外し部材12の他端部12bが灯具の側面(透光性カバー30の側面)より外側に突出する。そして、その突出した他端部12bを治具または手でつかんで取外し部材12を第1方向Aの反対の第2方向Bに移動させることで、嵌合アダプタ40の爪部44が取付金具60から外れる。
【0067】
図5の状態において、嵌合アダプタ40の第2方向Bに向く側面と、アダプタ押さえ部材70に形成された開口71aの縁71cとの第2方向Bに沿った離間距離は、嵌合アダプタ40の第1方向Aに向く側面とアダプタ押さえ部材70に形成された開口71aの縁71bとの間の第1方向Aに沿った離間距離よりも大きい。
図5の状態から灯具本体10を第2方向Bに移動させても、取外し部材12は灯具の裏側に隠れたままである。
【0068】
このような構成により、取り外す際に灯具本体10を移動させる方向を一方向Aに定めることができ、作業者への明確な操作指示となる。
【0069】
以上説明した実施形態によれば、灯具本体10の形状およびサイズに合わせた角穴を建材(天井材や壁材)にあけなくてもよく、建材への施工は、灯具本体10のサイズよりも小さく、嵌合アダプタ40のサイズに合わせた1つの取付穴をあけるだけでよい。そして、取付穴に嵌め込まれた取付金具60に対して、嵌合アダプタ40を嵌め込むことで灯具本体10を簡単に建材に取り付けることができる。
【0070】
灯具側コネクタ43は、ケーブルの一端に接続されてぶらぶらしているのではなく、嵌合アダプタ40の上面に固定されている。一方で、電源側コネクタ51aは電気ケーブル51によって電源ユニット50から導出されている。したがって、電源側コネクタ51aを天井材300の取付穴300aおよび取付金具60の開口64を通して天井材300の表側における作業者の手元に位置させ、作業者はその電源側コネクタ51aを片手でつかみ、もう一方の手を透光性カバー30の主面部31に添えて灯具100を支えつつ、灯具側コネクタ43に電源側コネクタ51aを接続させることができる。灯具側コネクタ43自体を手でつかまなくてもよい。そのため、灯具本体10の平面サイズが大型化しても、1人の作業者によって、電源ユニット50と灯具100との電気接続、および灯具100の天井材300への取り付けを容易に行うことができる。
【0071】
灯具100を天井材300から取り外す際にも、一方の手を灯具100の主面部31に添えて灯具100を支えつつ、前述した取り外し部材12の他端部12bをもう片方の手で例えば治具を使って引っ張ることで嵌合アダプタ40の爪部44と取付金具60との係合が解除され、灯具100を天井材300から取り外すことができる。この後、片手で灯具100を支えた状態を維持しつつ、もう片方の手を取り外し部材12から電源側コネクタ51aに移動させて電源側コネクタ51aを引っ張って灯具側コネクタ43から引き抜くことができる。すなわち、灯具100の天井材300からの取り外し、および電源ユニット50と灯具100との電気接続の解除も1人の作業者によって容易に行うことができる。
【0072】
このような実施形態によれば、多品種の灯具本体10を、これらに共通の電源ユニット50に対してワンタッチで簡単に接続できるため、手間をかけずに他種の灯具本体10への変更が可能となる。この灯具本体10の変更に際して、共通の電源ユニット50は天井材300から外す必要がない。
【0073】
図15は、本発明の他の実施形態の灯具200の裏面の平面図である。
図16は、灯具200の端部の拡大断面図である。
【0074】
この灯具200は、正方形状の発光面を有する。灯具本体10の外形形状も正方形状である。また、灯具本体10、嵌合アダプタ40、アダプタ固定部材80、アダプタ押さえ部材70、取外し部材12などの構成は、上記実施形態と同じであり、その機能および効果も同じである。
【0075】
透光性カバー130は、光源22が発する光に対する透光性を有する。透光性カバー130は、例えばアクリルなどの樹脂材に酸化チタン等を分散させた光拡散性を有する乳白色に形成されている。透光性カバー130は、光源22を覆うように、灯具本体10に支持されている。
【0076】
図16に示すように、透光性カバー130は、主面部131と、側面部132とを有する。主面部131は、空間90を隔てて光源22に対向している。側面部132は、主面部131の端部に連続し、空間90の側方を覆っている。側面部132は、光源モジュール20よりも上方に延びている。側面部132は、灯具200の4辺に沿って設けられている。側面部132の上端には上方に突出する突出部133が設けられている。側面部132の上部には、溝132aが形成されている。溝132aは、側面部132の内側面に開口している。
【0077】
主面部131、側面部132、突出部133、および溝132aは、例えば射出成形により一体形成される。
【0078】
灯具200の背面には、灯具200の4辺に沿って4つの背面カバー15が設けられている。背面カバー15は、光源22が発する光に対する透光性を有する。背面カバー15は、例えば樹脂部材である。
【0079】
背面カバー15は、灯具本体10に例えばネジ止めされた下段部16と、下段部16よりも灯具本体10から上方に離れた位置にあり、且つ灯具本体10よりも外側に突出する上段部17とを有する。下段部16と上段部17との間に、貫通孔18が形成されている。上段部17の先端には孔17aが形成され、その孔17a内に透光性カバー130の突出部133が挿入されている。上段部17は、シャーシ11の外周に形成されたシャーシ11の側壁部11dよりも上方で、灯具本体10の外側に向けて突出している。
【0080】
背面カバー15の上にはカバー保持部材14が配置され、カバー保持部材14は灯具本体10に対して例えばネジ止めされている。1つの背面カバー15につき、例えば2つのカバー保持部材14が配置されている。
【0081】
カバー保持部材14は、背面カバー15に形成された貫通孔18、およびシャーシ11の裏面11bと側壁部11dとの間に形成された貫通孔を通って、透光性カバー130の側面部132に向けて突出している。1つのカバー保持部材14は、例えば2つの突出部14aを有する。突出部14aの先端は、透光性カバー130の側面部132に形成された溝132aに入り込んでいる。
【0082】
透光性カバー130の側面部132における溝132aが形成された部分が、カバー保持部材14の先端に重なる(引っ掛かる)ことで、透光性カバー130が灯具本体10に支持されている。
【0083】
灯具200を天井材に取り付ける際に作業者が透光性カバー130を押すといった取り扱い要因や、透光性カバー130の膨張といった環境要因により、側面部132が外側に開くように変形してしまうと、透光性カバー130が灯具本体10から外れてしまうおそれがある。
図16に示す例によれば、透光性カバー130の側面部132の上端に設けた突出部133が、背面カバー15に形成された孔17a内に位置しているため、側面部132が外側に開くように変形しようとしても、突出部133が孔17aの内壁に当接して、側面部132の変形を阻止する。
【0084】
灯具本体10の背面の外周に透光性の背面カバー15を設けることによって、透光性カバー130の内部で反射して背面カバー15を透過した光で、灯具の背面外周を照らすことができ、天井面を明るくすることができる。
【0085】
また、透光性カバー130における側面部132の厚さを主面部131の厚さよりも厚くすることで、光源22を側面部132側に寄せて配置してもその光源22の粒状の視認を抑制することができる。光源22を側面部132側に寄せることで、側面部132側の暗部の発生を抑制し、主面部131における全体を均一発光させることができる。
【0086】
なお、
図16に示す灯具200の断面構造は、前述した灯具100の断面構造にも適用することができる。
【0087】
図17は、
図5及び
図14に示すアダプタ押さえ部材70の他の例の平面図である。
図17において嵌合アダプタ40を2点鎖線で仮想的に表す。
【0088】
図17に示す例においても、嵌合アダプタ40と灯具本体10との相対位置が初期位置においては、
図5及び
図14に示す例と同様に、嵌合アダプタ40の第2方向Bに向く側面と、アダプタ押さえ部材70に形成された開口71aの縁71cとの第2方向Bに沿った離間距離は、嵌合アダプタ40の第1方向Aに向く側面とアダプタ押さえ部材70に形成された開口71aの縁71bとの間の第1方向Aに沿った離間距離よりも大きい。
【0089】
さらに
図17に示す例では、嵌合アダプタ40の方向A及びBに直交する方向に向く側面と、アダプタ押さえ部材70に形成された開口71aの縁71dとの上記直交方向に沿った離間距離は、嵌合アダプタ40の第1方向Aに向く側面とアダプタ押さえ部材70に形成された開口71aの縁71bとの間の第1方向Aに沿った離間距離よりも大きい。
【0090】
上記直交方向は、矩形状の灯具本体10の長手方向に沿う方向である。したがって、灯具本体10の長手方向の位置調整幅に余裕をもたせることができ、複数の灯具本体10を長手方向に隣接させて取り付けた場合において、隣接する灯具本体10間の隙間の調整がしやすくなる。
【0091】
次に、実施形態として、灯具に用いる光源モジュール20の具体例について、
図15の灯具200に用いられる光源モジュールを説明する。
【0092】
図26は、他の実施形態の灯具の光源モジュール20について、発光面を模式的に示す平面図である。光源モジュール20は、基板21上に複数の光源22を有する。なお、光源モジュール20を備えた灯具としてみたとき、嵌合アダプタ40は、
図26の点線で囲んだZのシャーシの裏面側に配置されている。
【0093】
図27は、
図26の灯具の複数の光源22のうちの1つを模式的に示す断面図である。
図27に示す基板21は、光源モジュール全体のうち、一部だけを示している。
【0094】
光源22は、半導体積層体511と一対の電極512とを有する発光素子510と、半導体積層体511の側面を覆う透光性部材520と、一対の電極512を露出させるよう、透光性部材520の外面を覆い、発光素子510からの光を反射する光反射性部材530と、発光素子510の上面と、透光性部材520と、光反射性部材530とを覆い、側面を有する波長変換部材540と、光反射性部材530の側面および波長変換部材540の側面に接する側面被覆部材551と、上面にレンズ部550Aを有し、側面被覆部材551と波長変換部材540を被覆する被覆部材550と、を有している。なお、光源22は、導体配線570と導体配線570の上面の一部を覆う絶縁層580とを有する基板21の、導体配線570の露出部に、一対の電極512が電気的に接続されて実装されている。
【0095】
半導体積層体511の一例としては、第1導電型半導体層(例えばn型半導体層)、発光層(活性層)および第2導電型半導体層(例えばp型半導体層)の3つの半導体層を含むことができる。半導体層には、例えば、III-V族化合物半導体、II-VI族化合物半導体等の半導体材料から形成することができる。具体的には、InXAlYGa1-X-YN(0≦X、0≦Y、X+Y≦1)等の窒化物系の半導体材料(例えばInN、AlN、GaN、InGaN、AlGaN、InGaAlN等)を用いることができる。発光素子510は、例えば、発光ピーク波長が430nm以上490nm未満の範囲にあることが好ましい。発光素子510の電極512としては、電気良導体を用いることができ、例えばCu等の金属が好適である。
【0096】
透光性部材520は、透光性樹脂、ガラス等の透光性材料から形成することができる。透光性樹脂としては、特に、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性の透光性樹脂であるのが好ましい。またフィラーが添加されていてもよい。
【0097】
光反射性部材530は、光反射性樹脂から形成することができる。光反射性樹脂とは、発光素子510からの光に対する反射率が70%以上の樹脂材料を意味する。光反射性部材530に達した光が反射されて、被覆部材550のレンズ部550Aに向かうことにより、光源22の光取出し効率を高めることができる。樹脂材料としては、特に、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性の透光性樹脂であるのが好ましい。さらに光反射性物質を分散させたものが使用でき、光反射性物質としては、例えば、酸化チタン、酸化ケイ素、二酸化ジルコニウム、チタン酸カリウム、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ムライトなどが好適である。
【0098】
波長変換部材540は、その内部を透過する光によって励起される蛍光体を含有している。光源22が波長変換部材540を備えることにより、発光素子510の発光色とは異なる発光色を有する光源22を得ることができる。例えば、青色光を発する発光素子510と、青色光を吸収して黄色の蛍光を発する波長変換部材540とを組み合わせたり、青色光を発する発光素子510と、青色光を吸収して、緑色と赤色の蛍光を発する波長変換部材540とを組み合わせたりすることにより、白色光を発する光源22を得ることができる。
【0099】
具体的な材料としては、例えば、蛍光体として、イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(Y3(Al,Ga)5O12:Ce)、ルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(Lu3(Al,Ga)5O12:Ce)、テルビウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(Tb3(Al,Ga)5O12:Ce)系蛍光体、βサイアロン系蛍光体(Si6-zAlzOzN8-z:Eu(0<z<4.2))、αサイアロン系蛍光体(Mz(Si,Al)12(O,N)16(但し、0<z≦2であり、MはLi、Mg、Ca、Y、及びLaとCeを除くランタニド元素)、窒素含有アルミノ珪酸カルシウム(CASN又はSCASN)系蛍光体(例えば(Sr,Ca)AlSiN3:Eu)などの窒化物蛍光体、KSF系蛍光体(K2SiF6:Mn)又はMGF系蛍光体(3.5MgO・0.5MgF2・GeO2:Mn)等のフッ化物系蛍光体、シリケート系蛍光体(例えば(Ba,Sr)2SiO4:Eu)、クロロシリケート系蛍光体(例えばCa8Mg(SiO4)4Cl2:Eu)等の窒化物蛍光体、量子ドット蛍光体などを用いることができる。波長変換部材540は、複数種類の蛍光体を含んでいてもよい。また、波長変換部材540は、異なる種類の蛍光体の層を複数積層させた構成であってもよい。
【0100】
被覆部材550は、透光性を有する材料から形成することができる。また、上面にレンズ部550Aを有することが好ましい。被覆部材550の材料としては、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂あるいはそれらを混合させた樹脂などの透光性樹脂や、ガラスなどを用いることができる。被覆部材550のレンズ部は、凸面レンズ、凹面レンズ、フレネル等公知のレンズ形状を備えることができる。さらに、被覆部材550は、被覆部材550の幅(W)に対する高さ(H)の比(H/W)が0.3以下となる形状であったり、発光素子510の直上に凹部550Bを有する形状であったり、直上に凹部550Bを有してかつもっとも高い最頂部に複数の突起550Cを有する形状であったり、被覆部材550の幅(W)に対する高さ(H)の比(H/W)が2.0以上となる形状であったり、種々の形状とすることができる。また、被覆部材550を形成する前に、光反射性部材530の側面もしくは光反射性部材530の側面と波長変換部材の側面540を覆う側面被覆部材551を形成することができる。側面被覆部材551は光反射性部材530と同様に、光反射性物質が分散された透光性樹脂を用いることができる。
【0101】
さらに、波長変換部材540に含有する蛍光体として、具体的に、次の第1蛍光体、第2蛍光体、第3蛍光体を用いて、これらと、発光素子として、440nm以上470nm以下の範囲に発光ピーク波長を有する発光素子510を用いた光源22とすることができる。この光源22、さらには光源モジュール20は、
図28に示すような発光スペクトルの特性を有する光源モジュール、ひいてはその光源モジュールを備えた灯具とすることができる。これは、人間の眼疲労を低減し視覚作業に優れた発光スペクトルの一例であると考えられる。
【0102】
第1蛍光体として、480nm以上518nm以下の範囲に発光ピーク波長を有する蛍光体であって、下記式(1A)及び下記式(1B)で表される組成を有する蛍光体から選ばれる少なくとも1種の蛍光体を用いる。
【0103】
(Sr1-vM1
v)4Al14O25:Eu (1A)
式(1A)中、M1は、Mg、Ca、Ba及びZnからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、vは、0≦v≦0.5を満たす数である。
【0104】
M2
8MgSi4O16X1
2:Eu (1B)
式(1B)中、M2はCa、Sr、Ba及びZnからなる群から選択される少なくとも1種であり、X1はF、Cl、Br及びIからなる群から選択される少なくとも1種の元素である。
【0105】
第2蛍光体として、510nm以上590nm未満の範囲に発光ピーク波長を有し、CIE1931における色度座標のx値が0.27以上0.40以下である、下記式(2A)で表される組成を有する蛍光体を用いる。
【0106】
(Ln1-aCea)3(Al1-bGab)5O12 (2A)
式(2A)中、Lnは、Y、Gd、Lu及びTbからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、a、bは、それぞれ、0.001≦a≦0.20、0≦b≦1.0を満たす数である。
【0107】
第3蛍光体として、590nm以上670nm以下の範囲に発光ピーク波長を有する第三蛍光体であって、下記式(3A)、(3B)及び(3C)で表される組成を有する蛍光体を用いる。
【0108】
(Ca1-pSrp)AlSiN3:Eu (3A)
式(3A)中、pは、0≦p≦1.0を満たす数である。
【0109】
(Ca1-q-rSrqBar)2Si5N8:Eu (3B)
式(3B)中、q及びrは、それぞれ、0≦q≦1.0、0≦r≦1.0、q+r≦1.0を満たす数である。
【0110】
M4kSi12-(m+n)Alm+nOnN16-n:Eu (3C)
式(3C)中、M4は、Li、Mg、Ca、Sr、Y及びランタニド元素(LaとCeを除く。)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、k、m及びnは、それぞれ、0<k≦2.0、2.0≦m≦6.0、0≦n≦1.0、を満たす数である。
【0111】
次に、実施形態として、オフィスビル、工場、または、商業施設などの建築物の建設に際して、上述した灯具100や灯具200などの照明灯具400が設置される工程を説明する。そこでまずは、このような建築物の建設における従来の工程を説明する。
図18は、従来の建築物が建設されるまでの工程における照明設置の流れを説明するためのフロー図である。ここでは一般的なオフィスビルのように、複数階の構造を有し、通路と居室を有する建築物を対象とする。オフィスビルのような大規模な建築物の建設では、総合建設業者が建設工事の発注を請負い、種々の業者によって作業される建設工事全体の取りまとめを行う。
【0112】
まず、設計士やデザイナーが建築物の設計を行う(ステップS1)。この工程において、通路や居室のレイアウトなどが決められ、建築物の全体的なデザインが設計図面に記される。また、採用する建築材料や、照明灯具などの電気設備資材についてもある程度決められ、その配置についても図面に記される。
【0113】
次に、決められた設計に基づいて、建築材料や建設機械が用意され、基礎工事が行われる(ステップS2)。この工程では、杭工事や土工事により建築物の荷重に耐え得る安定した地盤を確保する。ここでは主に、土木工事を行う業者の作業員が作業を行う。なお、土木工事業者の作業員に限らず、他の業者の作業員も作業を行っている。
【0114】
次に、安定した地盤の上に建築物の躯体を形成する躯体工事が行われる(ステップS3)。躯体工事としては、基礎部分や地下階を有する場合には地下階など地下の工事から始まり、地上階へと進んでいく。コンクリートの打設、柱の建込み、鉄骨の組み立てなどを行い、建築物全体の骨組みが完成する。また、外壁、屋上、各階の床等にもコンクリートが打設される。
【0115】
また、躯体工事では、後の内装工事において吊りボルトを下げるために、インサートが埋め込まれる。例えば、吊りボルトを固定するための天井インサートを、上階の床スラブ(鉄筋コンクリートの床板など)の打設時にスラブの一部として固定する。ここでは主に、土木工事を行う業者の作業員や、とび・土工・コンクリート工事を行う業者の作業員などが作業を行う。次に、建築物の外装工事が行われる(ステップS4)。外壁のタイル張りや、窓サッシ、窓ガラス、カーテンウォールなどが取り付けられる。また、塗装なども行われる。
【0116】
次に、内装工事が行われる(ステップS5)。内装工事では、天井、壁、床を作り上げる。天井を設置する天井工事では、ステップS3の躯体工事で設けられた天井インサートから吊りボルトを下げ、軽量鉄骨材を組み合わせた下地に、天井板や天井下地材などの天井面を構成する部材である天井材が取り付けられる。天井材の支持には、吊りボルトやハンガー等の吊り材及び斜め部材などが用いられ、これにより天井板の脱落といった危険防止措置が取られる。
【0117】
例えば日本国では、建築基準法や施行令などにより、このような天井脱落を防止するための規定が設けられている。その一つに、既定の条件を満たす天井材を設けるときには吊り材等により固定を行うなどの脱落防止措置を施しておくことが規定されている。照明灯具についても、その大きさや重量などによって、吊り材に固定されずに天井に設置できるものや、吊り材による固定を有するものがある。
【0118】
なお、吊りボルトを固定するための天井インサートは、コンクリートの打設の際に設置する代わりに、打設後にコンクリートにアンカーを打ち吊りボルトを固定することも可能ではある。しかし、効率面や安全面を考慮すれば事前に設置される方が好ましく、吊り材が設けられることがわかっている場所については、設計の段階で天井インサートの配置が決められ、コンクリートの打設の際に埋め込まれるのが望ましい。
【0119】
また、内装工事では、天井を張る前、つまり天井材による天井の形成が完了する前に、配管や空調のダクトの吊り込みをしておき、電線などを配管内に通す作業も行われる。そのため、天井裏には、電気配線やダクト、空調機器などを設置するために必要な空間が設けられる。またさらに、照明や空調が設置される場所に合わせて天井材に開口が設けられる。ここで、天井内のダクト設置や吊り材による天井材の固定といった作業は、内装工事を行う業者の作業員などが作業を行う。一方で、電気配線を設ける作業は、感電等の危険があるため、電気工事を行うことのできる専門的な作業員によって行われる。
【0120】
天井を設置する天井工事の作業者と、天井裏に電気配線を通す配線工事の作業者と、は多くの場合は別人であることが想定される。なお、日本国では、電気工事士の資格を有さない者による配線工事などの電気工事は許可されていない。このように建築物の建設は、種々の専門的な業者から作業員が派遣され、それぞれが専門的な作業を行うことで安全面に配慮している。
【0121】
本明細書において、建築物の建設のために天井材を準備して天井工事を行う業者の作業員を天井設置作業者と呼ぶ。また、建築物の建設のために電気配線を準備して配線工事を行う業者の作業員を配線工事作業者と呼ぶ。なお、建築物の建設における各工程の工事は、通常複数の作業者によって行われる。従って、天井設置作業者とは一人の作業者に限らず、建築物の建設において天井工事を行う1以上の作業者を指す。配線工事作業者などについても同様である。
【0122】
次に、内装工事を終え、床や壁や天井が出来上がると、設置工事が行われる(ステップS6)。設置工事では、建築物を実際に利用する際に必要になる設備が設置される。例えば、電気、ガス、水道、排水、空調、トイレ、防災、放送などのための設備や、照明、エスカレーター、エレベーターなどの設備が配置される。これらの作業は、電気工事、電気通信工事、水道施設工事、消防施設工事、清掃施設工事などの事業者の作業員が行う。
【0123】
照明の設置工事においても、照明灯具を電気的に接続する必要があるため電気工事士の資格者による作業を要する。なお、照明が設置される場所は天井に限らないが、天井に設置される照明灯具は、通常であれば電気工事士の資格者によって天井裏に用意された配線に接続され、電気的に接続される。空調の設備工事において天井に空調機器を設置する場合も、電気工事士の資格者によって天井裏に用意された配線に接続される。
【0124】
通常では、オフィスビルのような建築物の居室において、天井に配置される大型の照明灯具や空調機器は吊り材によって固定される。従って、このような大型の照明灯具や空調機器の設置工事を行う作業員は、大型の照明灯具や空調機器を天井インサートから吊り下げられた吊り材に固定して天井に設置する作業も行うことになる。
【0125】
照明の設置工事に間に合わせるように、照明灯具の製造者は建設に必要な照明灯具を製造し、電気設備資材を管理する電材商社に納品する(ステップS7)。また電材商社は、照明灯具に限らず、スイッチ、コンセント、電線、ケーブル、配電盤、アンテナなどの資材や、分電盤、インターホン、火災報知器などの資材の在庫を管理しており、工事に必要な電気設備資材を必要な分だけ供給する(ステップS8)。本明細書において、照明灯具を製造し、あるいは照明灯具を納品する業者の従業員を照明灯具供給者と呼ぶ。
【0126】
なお、設置工事の工程において、照明の設置工事と、空調の設置工事とは別々に行われる。なお、同時に行うことも、あるいは、同一人が両方の設置工事を行うことも可能だが、作業効率を考慮して分担して作業を進める方が一般的である。このようにして建築物は建設される。
【0127】
なお、本明細書において、設置工事の作業者と言う場合は、照明や空調などの設置工事を行う一人以上の作業者を指すものとし、上述したような同一人が照明及び空調の設置工事を行う場合も含み得るものとする。一方で、照明の設置工事の作業者と言う場合は、照明の設置工事を行う一人以上の作業者を指し、かつ、空調の設置工事は行わない作業者を指すものとする。空調の設置工事の作業者と言う場合は、空調の設置工事を行う一人以上の作業者を指し、かつ、照明の設置工事は行わない作業者を指すものとする。
【0128】
次に、実施形態として、建築物を建設する工程と、この建設において照明灯具400を設置する工程と、について説明する。ここでの照明灯具400には、既に説明された灯具100、または、灯具200を用いることができる。実施形態に係る建築物410は、複数階の構造を有し、通路と居室を有する。なお、一階建ての建築物であってもよい。
図19及び
図20は、建築物410の特定の階における居室の構造の一例を記した模式図である。
【0129】
建築物410は、床420と、壁421と、天井422と、窓423と、により居室空間を形成する。なお、窓423が無く側面が壁421だけの居室であっても構わない。また、天井には、複数の照明灯具400と、複数の空調機器430とが設置されている。なお、空調機器430は一台でもよい。
【0130】
ここで、天井に設置される照明灯具や空調機器などの天井設置器具には、吊り材によって直接固定される必要があるものと不要なものとがある。例えば、監視カメラや、ダウンライト、非常用照明、あるいは煙感知器センサーなど、小型の天井設置器具については、吊りボルト等の吊り材や斜め部材に直接接続されることによって固定されずに設置される。このような小型の天井設置器具は、天井材に掛かる荷重が小さいため吊り材を要さずに設置することが認められる。以下、このような天井設置器具は、吊り材による固定を要さない天井設置器具という。
【0131】
一方で、天井面設置型のベース照明や、天井埋込型のベース照明、あるいは空調機器430などは、吊り材に直接繋がれることによって固定されて設置される。このような天井設置器具は、天井材に掛かる荷重が大きいため、吊り材で固定されていないと、例えば地震が起こった場合に脱落する危険性が高くなる。よって、天井材に全ての荷重を掛けるような設置構造とはせずに、天井設置器具そのものを吊り材で支えるようにする。以下、このような天井設置器具は、吊り材による固定を要する天井設置器具という。
【0132】
例えば、オフィスビルのような建築物の場合、通路などの狭い空間における照明にはダウンライトなどの小型の天井設置器具が設けられ、居室などの広い空間ではベース照明などの大型の照明灯具が設けられることが考えられる。居室の一部に小型の照明灯具が設けられることはあり得るが、居室全体に設置される照明灯具の設置数で見ると、大多数は大型の照明灯具である。
【0133】
本実施形態に係る照明灯具400は、照明灯具の性能としてはベース照明に相当する性能を有しており、かつ、照明の設置工事においては吊り材による固定を要さない照明灯具とすることができる。つまり、照明灯具400は、ベース照明相当として取り扱えるほど大型でありながら、吊り材を要さないほど軽量である、軽量大型照明灯具である。
【0134】
ここで、本明細書における軽量大型照明灯具とは、全光束が2500lm以上であるか、床に最も近い面である発光面の面積が45000mm2以上であるか、光源素子が100個以上配されているか、の少なくとも一を満たす照明灯具を指すものとする。またあるいは、これに加えて、重量が0.5kg以上から2.5kg未満であるという条件により、軽量大型照明灯具の特性をさらに特定してもよい。
【0135】
軽量大型照明灯具である照明灯具400としては、例えば、縦450mm、横450mm、天井設置面から発光面までの高さが20mmの、発光面が正方形の照明灯具とすることができる。また、発光面が、縦600mm、横600mmの正方形の照明灯具であってもよい。また、発光面が、縦150mm、横600mmの長方形の照明灯具であってもよく、縦75mm、横600mmの長方形の照明灯具であってもよい。
【0136】
このように、600mmや、これを自然数で割った長さで縦横の長さが設計することで、天井材300との相性がよくなる。日本国の建築基準では、天井材などの建築材料は尺単位で扱われており、天井材の縦横の長さもおよそ300mm単位で設計されている。従って、天井材300の縦幅あるいは横幅に照明灯具400の縦幅や横幅を合わせることで、照明灯具400を並べて配置するような場合でも設置がしやすくなる。
【0137】
吊り材による固定を要さない照明灯具400は、天井材300に照明灯具400の荷重を掛けることになる。そのため、1の天井材300に1の照明灯具400を設置することが望ましい。また、荷重のバランスを考慮すると、照明灯具400の重心が、天井材300の中央にくるようにするのがよい。建築材料の基準に合わせて、照明灯具400の縦または横の寸法を、天井材の縦横の寸法に対応させることで、これらの設置条件を満たす設計がしやすくなる。
【0138】
特に、
図20に示すように、照明灯具400を連結して設置するような場合、照明灯具400の縦または横の寸法が、天井材の縦横の寸法に合っていないと、隣同士の天井材300における照明灯具400の設置個所が異なってしまう。連結される数が増えるほど、このずれが連結方向に連鎖していくことになるため荷重のバランスが悪くなる。
【0139】
次に、建築物410の建設において照明灯具400が設置されるまでの工程を説明する。なお、
図18を利用して既に説明した建築物が建設されるまでの工程と異なる点を詳細に説明し、重複する点については説明を簡易的にするか、あるいは省略する。
【0140】
照明灯具400は、吊り材470により固定される必要がないため、ステップS1において、設計士やデザイナーは、照明灯具400の設置位置に合わせて吊り材の配置位置を決定しておく必要はない。また、天井インサートが設けられ、吊り材470の配置位置が確定した後に、従来の吊り材による固定を要するベース照明の配置位置を変更する場合は、新たに吊りボルトを設置する必要がある一方で、照明灯具400の場合はその必要がない。従って、設計士やデザイナーは、工事がある程度進んだ後でも、照明灯具400の設置場所を柔軟に変更することができる。
【0141】
ステップS2~ステップS4までの工程については、既にした説明と概ね同様である。次に、ステップS5の内装工事では、天井を設ける天井工事が行われる。また、天井を張る前に、あるいは、天井を張った後に、天井裏に配される配線が天井よりも高い位置に通される。
図21は、天井工事が行われた状態の天井裏の一例を示している。
【0142】
図21にあるように、天井裏は、コンクリートが打設された躯体424によって上面と側面が、天井材300が配された天井422によって下面が形成された空間を有している。また、天井422を形成する各天井材300は、躯体の天井インサートに繋がれた吊り材470によって固定され、支えられている。なお、図が煩雑になるため、
図21では吊り材470の表示を一部省略している。天井裏の空間には、配管を通って設けられた配線440及び配線441がある。この配線は、設計図面に基づき、天井裏に設置される照明や空調などの電気接続機器の設置台数に応じて設けられる。電気接続機器への電源供給に十分な数の配線が用意された上で、天井422は設けられる。
【0143】
ここで、天井裏に配線を通す作業は、電気工事士の資格を有する配線工事作業者によって行われる。また、この作業において、照明灯具400に接続される予定の配線440については、電気工事士の資格を有する配線工事作業者によってコネクタが設けられる。コネクタは、電気接続機器を電気的に接続するための電気接続機器と配線440との接続作業において感電を防止するための、感電防止接続器具の一例である。
【0144】
コネクタ等の感電防止接続器具を有していれば、照明灯具400に配線440を接続する作業は、電気工事士の資格を有する者でなくても行うことができる。
図21の例では、照明灯具400に接続する予定の配線440についてはコネクタが設けられる一方で、空調機器430に接続される予定の配線441についてはコネクタ等の感電防止接続器具は設けられていない。従って、出願時点の日本国の法令に遵守すると、空調機器430に配線441を接続する作業は、電気工事士の資格を有する者によって行われる必要がある。なお、図が煩雑になるため、
図21では配線440の表示を一部省略している。
【0145】
このように、天井裏に配される配線を設ける作業において、天井裏に配される複数の配線のうち、天井への設置に際して吊り材による固定を有さない照明灯具400と電気的に接続するための配線として、コネクタなどの感電防止接続器具を付した配線440を設ける作業が行われる。
【0146】
また、空調機器430は吊り材によって固定されるため、空調機器430を固定するための吊り材として、吊り材471が設けられている。
図21の時点では、まだ空調機器430は取り付けられていないため、吊り材471は空調機器430を固定していない。
【0147】
天井材300には、空調機器430や照明灯具400など、天井設置器具を設置するために開口が設けられている。
図21に示される四角の開口は、空調機器430のための開口である。また、円形の開口は、照明灯具400のための取付穴300aである。
図21の例では、6×3の計18枚の天井材300のうち、2枚の天井材300のそれぞれに空調機器430を設置するための開口が、12枚の天井材300のそれぞれに照明灯具400を設置するための開口が設けられている。
【0148】
図21に示されるように、照明灯具400を設置するために設けられる取付穴300aは天井材300に比べて小さい。また、照明灯具400の発光面と比べても十分に小さい開口である。この点については、ダウンライトや非常用照明は対照的に、その照明灯具の大きさと同等の開口を有している。照明灯具400では、発光面の面積に対して取付穴300aを1/3以下とすることができる。またあるいは、1/5以下とすることができる。またあるいは、1/10以下とすることができる。
【0149】
照明灯具400を設置するための取付穴300aは、例えば、直径10cm~15cmの円形で形成される。また、取付穴300aの形状は円形でなくてもよく、最大径が15cm以下の多角形であってもよい。また、電源アダプタ450等の大きさや形状に基づいて決定されればよい。なお、照明灯具400の取り付けのために、居室側から配線440を手に取ることが出来るように、取付穴300aは作業員の腕が通せるだけの大きさを確保するのが好ましい。
【0150】
なお、天井材300は予め開口が設けられたものである必要はない。開口の無い状態の天井材300を用意し、内装工事を行う現場で作業員が天井材300に穴を空けて開口を設ける方が一般的である。開口のない天井材300に対し、適宜開口を設ける作業を行えばよい。どのような天井設置器具を設置するかによって用意すべき開口の形状も異なり得る。よって、開口は、天井材300を吊り材470で固定して天井に取り付けるときに設ければよく、あるいは、天井を形成した後で設けてもよい。
【0151】
このようにして天井422が設けられた上で、ステップS6の設備工事において、照明の設置工事が行われる。
図22は、コネクタ付き配線440、天井材300、電源アダプタ450、及び、照明灯具400の接続関係を表す図である。なお、照明の設置作業は、電気工事士の資格を有さない者であっても作業を行うことができる。
【0152】
なお、建築物410に天井422が設けられた時点で、
図19で示した居室を形成する空間である居室空間と、
図21で示した天井裏を形成する空間である天井裏空間と、は区別された空間として扱うことができる。ここで、天井材300の開口の有無については考慮しない。具体的には、建築物410において開口を有さない天井材300により天井422が形成された場合に、空間を形成する一部分として天井422を有する空間であって天井422の上方にある空間を天井裏空間、空間を形成する一部分として天井422を有する空間であって天井422の下方にある空間を居室空間として区別する。
【0153】
まず、居室空間に存在する作業員によって居室空間内に照明灯具400と電源アダプタ450とが準備される。照明灯具400は、居室空間に存在する作業員が、照明灯具400の取付アダプタを電源アダプタ450に嵌め込むことで、電源アダプタ450に接続される。また、電源アダプタ450のDCハーネス480と接続することで、照明灯具400は電源アダプタ450からのDC電源の電力供給を受ける。例えば、100Vの直流電圧が供給される。DCハーネス480との接続についても、電気工事士の資格を有していない作業員が行うことができる。なお、嵌合アダプタ40は、取付アダプタの一形態に相当する。また、電源ユニット50は、電源アダプタ450の一形態に相当する。また、電気ケーブル51は、DCハーネス480の一形態に相当する。
【0154】
なお、配線440を介してAC電源が供給されるため、電源アダプタ450はAC/DC変換機能を有している。また、電源アダプタ450は、コネクタ付き配線440とコネクタを介して電気的に接続するための接続部としてのAC端子台460を有する。居室空間に存在する作業員は、開口に腕を通し、開口から天井裏空間に設けられたコネクタ付き配線440を引っ張って、居室空間内に引き込む。そして、居室空間においてコネクタ付き配線440のコネクタとAC端子台460とを接続する。なお、端子台52または53は、AC端子台460の一形態に相当する。
【0155】
なお、照明灯具400が発光の強度や色調を調節する調光機能を有する場合に備えて、電源アダプタ450は調光の制御を行う調光ドライバ装置と接続するための接続部としての調光端子台を有する。調光機能を有さない照明灯具400を使用する場合には、調光端子台は不要である。
【0156】
このように、天井材300に設けられた開口を介して、形成された天井422の上方にある天井裏空間に配されたコネクタ付き配線440と、電源アダプタ450とを、コネクタ付き配線のコネクタによって接続する作業が行われる。
【0157】
また、
図23に示すように、居室空間に存在する作業員が、電源アダプタ450を天井材300に設置する。居室空間に存在する作業員は、コネクタ付き配線440と接続した電源アダプタ450を、接続するコネクタ付き配線440が通った開口を介して天井裏に配置する。コネクタ付き配線440も天井裏に戻り、開口からは電源アダプタ450のDCハーネス480が居室空間に飛び出す形となる。照明灯具400は、DCハーネス480と接続し、電源の供給を受ける。このように、形成された天井422の下方にある居室空間において用意された照明灯具400と、電源アダプタ450と、を電気的に接続する作業が行われる。
【0158】
また、照明灯具400は、留め具490を有し、留め具490を開口に通して天井材300の天井裏に掛けることで、天井422に取り付けられる。照明灯具400の留め具63はバネ性(弾性)を有しており、これを天井面側(居室空間側)から天井材300の開口に通して貫通させる。貫通した後は、留め具63が天井材300の天井裏面に掛かり、従って荷重が天井材300に掛かるようになる。天井422に照明灯具400が取り付けられると、1の照明灯具400及び1の電源アダプタ450の荷重は、1の天井材300に掛かることとなる。なお、爪部44は、留め具490の一形態に相当する。また、留め具63は、バネ性を有する構造に限らず、天井材300に荷重が掛かる構造であればよい。
【0159】
また、
図24及び
図25に示すように、照明灯具400の留め具490が天井材300の開口に取り付けられる代わりに、電源アダプタ451の留め具491が天井材300の開口に取り付けられるようにしてもよい。
【0160】
なお、コネクタ付き配線440と電源アダプタ450を接続する作業と、電源アダプタ450と照明灯具400とを接続する作業と、はいずれが先であってもよい。また、電源アダプタ450を天井材300に取り付ける作業は、照明灯具400が電源アダプタ450に接続する前でも、接続した後であってもよい。
【0161】
このように、コネクタ付き配線440と電気的に接続された照明灯具400が有する留め具490を天井材300の開口に通して、照明灯具400を天井材300に設置する作業が行われる。または、コネクタ付き配線440と電気的に接続された電源アダプタ451が有する留め具491を天井材300の開口に通して、照明灯具400を天井材300に設置する作業が行われる。
【0162】
また、コネクタ付き配線440と、電源アダプタ450とを、コネクタ付き配線440のコネクタにより接続し、コネクタ付き配線440と電気的に接続された電源アダプタ451を天井裏空間に配置する作業が行われ、照明灯具400を天井材300に設置する作業が行われる。
【0163】
なお、灯具100に係る実施形態で説明したように、留め具としての取付ばね63を有する取付金具60を介して、照明灯具400を天井材300に取り付けるようにしてもよい。この場合、コネクタ付き配線440と電気的に接続された電源アダプタ450を天井裏空間に配置する作業を行った後に、取付金具160が留め具により天井材300に設置される。
【0164】
また、天井裏空間に配置された電源アダプタ450のDCハーネス480を、取付金具60の開口64を通して居室空間に引き込み、居室空間においてDCハーネス480を照明灯具400に接続することで、電源アダプタ450と照明灯具400とが電気的に接続される。また、電源アダプタ450と電気的に接続することで、照明灯具400はコネクタ付き配線440と電気的に接続する。
【0165】
また、電源アダプタ450と照明灯具400とが電気的に接続された状態で、照明灯具400を取付金具60に設置する。嵌合アダプタ40の爪部44は、照明灯具400を取付金具60に設置するための留め具に相当する。つまり、天井材300への設置には取付金具60の留め具が用いられ、取付金具60への設置には照明灯具400の留め具が用いられる。
【0166】
このように、照明灯具400の留め具を取付金具60の開口64に通して、取付金具60を介した照明灯具400の天井材300への設置作業が行われる。取付金具60は照明灯具400の天井材300への設置を補助する取付補助部材の一形態と言える。取付補助部材は、例えば、取付金具60と同様の形状及び構造を有し、かつ、金属以外の材料で形成されたものであってもよい。
【0167】
また、灯具100及び灯具200に係る実施形態で説明したように、照明灯具400が天井材300に設置された状態で移動可能となっていることで、天井材300に対する照明灯具400の位置が調整できる。
【0168】
図20のように照明灯具400を連結して配置する場合、各天井材300に連結する複数の照明灯具400がそれぞれ設置された状態では、天井材300の開口の位置ずれなどから、意図した設置位置から僅かにずれてしまうことが考えられる。特に、このような連結照明は、美感の面からも、精度良く一直線に並ぶ方が好ましい。
【0169】
そのため、連結する隣同士の照明灯具400(ここでは、隣り合う照明灯具400をそれぞれ第1照明灯具、第2照明灯具と呼ぶものとする)をそれぞれの天井材300に設置する作業を行った後に、第1照明灯具または第2照明灯具を移動させて、第1照明灯具と第2照明灯具との連結を調整する作業を行う。
【0170】
なお、天井422に設置する段階で、第1照明灯具と第2照明灯具は連結して設置されることが考えられる。一方で、この段階での連結は、意図した状態よりもずれが生じている可能性がある。そのため、この照明灯具400を連結して天井422に設置する作業としては、第1照明灯具と第2照明灯具とを連結させてそれぞれの天井材300に設置する第1連結作業と、第1連結作業の後に、天井材300に設置された第1照明灯具または第2照明灯具を移動させて、第1照明灯具と第2照明灯具との連結を調整する第2連結作業と、の二段階に分けて行われることとなる。
【0171】
また、第1照明灯具の位置調整を先に行った後に、第2照明灯具を第1照明灯具に連結させるようにしてもよい。つまり、第2照明灯具と連結していない状態で、第1照明灯具を1の天井材300に設置する作業、及び、位置を調整する作業を行った後に、第2照明灯具を隣の天井材300に設置して第1照明灯具に連結する作業を行ってもよい。この場合、第2照明灯具は、位置を調整しながら第1照明灯具に連結してもよいし、連結作業を行ってから、位置の調整作業を行ってもよい。
【0172】
例えば、天井422において連結して設置される複数の照明灯具400のうちの少なくとも1つに、壁421の壁際に配置され壁421に接触して設置される照明灯具がある場合、壁際に設置される方の照明灯具400を第1照明灯具とし、その照明灯具400に連結する方の照明灯具400を第2照明灯具として、このような作業を行うとよい。
【0173】
図20の例によると、壁際に設置される方の照明灯具400は、連結方向の端に位置する照明灯具400である。また、対向する側面のうちの一方の側面が他の照明灯具400と連結する連結面であり、他方の側面が他の照明灯具400と連結せずに壁際に設置される壁際設置面である。連結する照明灯具400が3つ以上ある場合、壁際に設置された照明灯具400の隣に設置される照明灯具400は、対向する側面のいずれも他の照明灯具400と連結する連結面となる。
【0174】
設置工事の作業者は、壁際に設置される天井材300に開口を形成する。この開口は、壁421方向に位置の調整が可能な状態の第1照明灯具を設置した場合に、第1照明灯具の壁際設置面が壁421に接触せず、かつ、壁421の近傍に設けられる位置に設けられる。壁421の近傍とは、位置の調整によって壁421に接触させることができる範囲である。例えば、位置調整が可能な移動範囲が10mmであったとすると、誤差や公差に配慮して壁421から5mm程度離れた位置に壁際設置面がくるように開口の位置を設計するとよい。
【0175】
次に、設置工事の作業者は、壁際に設置される第1照明灯具を、天井材300の開口を通して、壁際から離れた位置で天井材300に設置する。このとき、壁421方向に位置の調整が可能な状態で第1照明灯具は設置される。
【0176】
次に、天井材300に設置された状態で、第1照明灯具を、壁421の壁際に近付く位置へと移動し、第1照明灯具の壁際設置面の所定の部位を壁421に接触させる。次に、第2照明灯具を、第1照明灯具に連結する。また、第2照明灯具を移動させて、第1照明灯具と第2照明灯具との連結を調整する。第1照明灯具は壁421に接触させるように位置調整がされているため、第2照明灯具との位置調整においては、第1照明灯具は移動させずに、第2照明灯具を移動させる方が好ましい。
【0177】
なお、天井材300に設置された照明灯具400の位置調整が可能な移動範囲は、一方向について、10mm~15mmを上限とする程度でよい。または、少なくとも10mmは移動可能にする程度でよい。取付穴300aの位置ずれや、照明灯具400の部材公差などの影響分を移動範囲としてカバーできればよいためである。なお、この範囲でなくてもよい。
【0178】
いずれにしても、この移動範囲は、照明灯具400そのものの機構によって得られ、照明灯具400として移動が可能な所定の範囲である。つまり、取付穴300aの穴の大きさや、取付金具60の開口の大きさとなどと、照明灯具400の嵌合部分の大きさとの違いから移動が可能となるといった他の部材との関係によるものではなく、照明灯具400そのものの仕組みとして予め定められた移動の許容範囲である。
【0179】
一方向の移動範囲が、その方向における照明灯具400の幅を超えるような調整や、1の天井材300の幅を超えるような調整は、ここでいう公差やずれの影響をカバーする位置の調整とは異なる意味の調整である。なお、このような異なる意味の調整をさらに含んで、どちらの調整も可能とする照明灯具400であってもよい。
【0180】
なお、電源アダプタ451は、自ら通った開口の付近で、その開口を有する天井材300の天井裏に配置される。従って、1の照明灯具400を1の天井材300に取り付ける場合、その照明灯具400に接続する1の電源アダプタ451が、その1の天井材300に配置される。従って、第一実施形態と変わらず、1の電源アダプタ451及び1の照明灯具210が、1の天井材300に掛かる荷重となる。
【0181】
なお、電源アダプタ451は、照明灯具400が取り付けられない天井材300に配置されるようにしてもよい。例えば、開口を有していない天井材300に配置されるように、電源アダプタ451を移動してもよい。こうすることで、1の天井材300に掛かる荷重を軽減することができる。例えば、
図23で2枚の天井材300にそれぞれ配置されている計2つの電源アダプタ451を、開口を有していない1の天井材に配置してもよい。但し、天井材300までの距離が腕を伸ばしても届かないくらいに遠いと、電源アダプタ451を配置する作業は困難あるいは面倒になることも考えられる。
【0182】
このように、照明灯具400の設置工事は、吊り材470による固定を有さないため、天井裏にあるコネクタ付き配線440を居室空間に引っ張り出せるだけの開口が設けられていればよい。言い換えると、照明灯具400を天井422に設置する作業をするには、腕が通せるサイズの開口があればよい。一方で、吊り材470で固定する作業が必要な照明灯具になると、腕が通る程度の大きさの開口だけを利用して、居室空間側から照明灯具を取り付けることは困難な作業になる。
【0183】
また、照明灯具400の設置工事前に、予めコネクタ付き配線440を天井裏に用意しておくことで、電気工事士の資格を有する者でなくても照明灯具400と天井裏の配線とを電気的に接続する作業を行うことができる。従って、天井材300に穴を空けて天井の一部として設置する作業員が、そのまま照明灯具400の設置作業を行うことも可能となる。
【0184】
このことはつまり、建築物410の建設において、照明灯具供給者が電材商社に照明灯具400を供給する代わりに天井設置作業者に供給し、天井設置作業者が照明灯具400の天井工事を行うことができるということである。
【0185】
以上、具体例を参照しつつ、本開示の実施形態について説明した。しかし、本開示は、これらの具体例に限定されるものではない。本開示の上述した実施形態を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての形態も、本開示の要旨を包含する限り、本開示の範囲に属する。その他、本開示の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本開示の範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0186】
10…灯具本体、11…シャーシ、12…取外し部材、14…カバー保持部材、15…背面カバー、20…光源モジュール、22…光源、30,130…透光性カバー、40…嵌合アダプタ、44…爪部、60…取付金具、70…アダプタ押さえ部材、75…凸部、80…アダプタ固定部材、100…灯具、400…照明灯具、510…発光素子、511…半導体積層体、512…電極、520…透光性部材、530…光反射性部材、540…波長変換部材、550…被覆部材、550A…レンズ部、550B…凹部、550C…突起、551…側面被覆部材、570…導体配線、580…絶縁層