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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-04
(45)【発行日】2022-11-14
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/551 20060101AFI20221107BHJP
   A61F 13/476 20060101ALI20221107BHJP
   A61F 13/56 20060101ALI20221107BHJP
【FI】
A61F13/551 200
A61F13/476
A61F13/56 110
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2017182499
(22)【出願日】2017-09-22
(62)【分割の表示】P 2017549106の分割
【原出願日】2017-06-20
(65)【公開番号】P2018000993
(43)【公開日】2018-01-11
【審査請求日】2020-06-18
(31)【優先権主張番号】P 2016126082
(32)【優先日】2016-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003247
【氏名又は名称】弁理士法人小澤知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川 青
(72)【発明者】
【氏名】野田 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】橋野 央
(72)【発明者】
【氏名】北川 雅史
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 裕一
【審査官】冨江 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-138527(JP,U)
【文献】特表2008-541925(JP,A)
【文献】特開2010-75249(JP,A)
【文献】実開平5-53624(JP,U)
【文献】特開2011-200337(JP,A)
【文献】特開2010-220747(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15-13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向と、
前記前後方向に直交する幅方向と、
着用者の肌とは反対側に向けられる裏面シートと、
前記裏面シートの非肌面側に設けられ、使用時に着衣に固定される粘着部と、を有する吸収性物品であって、
前記裏面シートの非肌面側に、前記吸収性物品の外縁よりも内側に配置されたテープ部材をさらに有し、
前記テープ部材は、前記粘着部に粘着して前記吸収性物品を丸めた状態に維持するように構成されており、
着用者の排泄口と対向する領域よりも後方で前記幅方向の外側へ膨らんだヒップフラップを有し、
前記テープ部材は前記ヒップフラップに設けられており、
前記テープ部材は、前記幅方向における前記ヒップフラップの外側縁よりも外側に延出可能に構成されている、吸収性物品。
【請求項2】
前記粘着部は、前記前後方向に間隔をあけて設けられており、
前記前後方向における前記テープ部材の幅は、前記前後方向における前記粘着部どうしの間隔より大きい、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記粘着部の少なくとも一部は、前記テープ部材よりも前側に設けられている、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
使用時に着用物品のクロッチ部の非肌面側に折り返されるウイングを有し、
前記ヒップフラップは、前記ウイングよりも後方に配置されており、
前記粘着部は、前記ウイングに設けられたウイング粘着部と、前記ヒップフラップに設けられたフラップ粘着部と、を有し、
前記前後方向における前記ウイング粘着部と前記フラップ粘着部の間には、前記幅方向に沿って延びた少なくとも2つの折り線が設けられている、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記ヒップフラップと重なる領域において前記幅方向に沿って延びる折り線を有し、
前記テープ部材は、前記ヒップフラップと重なる領域に設けられた折り線よりも後側に設けられている、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記裏面シートの、前記テープ部材に接する面が、静電気防止処理されている、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記幅方向に沿って延びた少なくとも2つの折り線を有し、
前記テープ部材は、前記折り線のうちの最も前側の折り線よりも前側、又は最も後側の折り線よりも後側に設けられている、請請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記テープ部材は、前記前後方向における前記吸収性物品の縁から、前記前後方向における前記吸収性物品の長さの1/3の長さの範囲内に設けられている、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記テープ部材は、前記前後方向における前記吸収性物品の縁から、前記前後方向における前記吸収性物品の長さの15%の長さの範囲内に設けられている、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項10】
前記テープ部材は、前記吸収性物品の前側縁よりも前側、又は前記吸収性物品の後側縁よりも後側に、延出可能に構成されている、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項11】
前記粘着部は、前記テープ部材を前記前後方向に延長した仮想線上に設けられている、請求項10に記載の吸収性物品。
【請求項12】
前記粘着部は、前記幅方向に間隔をあけて複数設けられており、
前記幅方向における前記テープ部材の幅は、前記幅方向における前記粘着部どうしの間隔より大きい、請求項10に記載の吸収性物品。
【請求項13】
前記粘着部の少なくとも一部は、前記前後方向における前記吸収性物品の両縁のうち前記テープ部材に近い方の縁から、前記前後方向における前記吸収性物品の長さの2/3の長さの範囲に設けられている、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項14】
前記粘着部の少なくとも一部は、前記前後方向における前記吸収性物品の両縁のうち前記テープ部材に近い方の縁から、前記前後方向における前記吸収性物品の長さの4/5の長さの範囲に設けられている、請求項13に記載の吸収性物品。
【請求項15】
前記テープ部材は前記吸収性物品の非肌面に固定された固定部を有しており、
延出方向における前記テープ部材の先端部は、前記固定部とは反対側に向けられている、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項16】
前記裏面シートよりも肌面側に設けられた吸収体を有し、
前記テープ部材は前記吸収性物品の非肌面に固定された固定部を有しており、
前記固定部の少なくとも一部は、前記吸収体と厚み方向に重なっている、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項17】
前記裏面シートよりも肌面側に設けられた吸収体を有し、
前記テープ部材は、前記吸収体に形成されたエンボス又は前記吸収体に設けられた低目付領域と厚み方向に重なっている、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項18】
前記テープ部材は前記吸収性物品の非肌面に固定された固定部を有しており、
前記テープ部材の少なくとも前記固定部を除く領域は、前記粘着部と重ならない位置に設けられている、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項19】
前記テープ部材は、Z型に折り畳まれたシートによって構成されている、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生理用ナプキン、パンティライナー、母乳パッド、大人用失禁パッド、糞便パッド又は汗取りシートのように、裏面シート側に着衣に固定する粘着部を有する吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
生理用ナプキンやパンティライナーのような吸収性物品は、使用時に、着用者に着用される着用物品の内側に取り付けられる。一般に、着用物品の内側に取り付けられる吸収性物品は、着用物品に対する吸収性物品のずれを防止するための粘着部を有する。この粘着部は、吸収性物品の肌面側(着用者の肌に面する側)とは反対側の面に設けられる。このような吸収性物品では、使用後に着用物品から外した着用物品を長手方向に巻くと、粘着部が吸収性物品の肌面に当たる。しかし、使用後の吸収性物品の肌面(表面シート)には体液が付着しているため、体液が粘着部と表面シートとの接合を阻害し、吸収性物品をコンパクトに巻くことができない場合があった。
【0003】
特許文献1は、後処理テープ部分を備えた生理用ナプキンを開示している。この生理用ナプキンは、使用時に着用者の肌に面するナプキン吸収面と、使用時に下着に面するナプキンガード面と、を有する。生理用ナプキンを下着に接着するための接着テープが、ナプキンガード面に設けられている。また、後処理テープ部分は、ナプキンの長手方向においてナプキン吸収面から外側に突出した部分に設けられている。さらに、後処理テープ部分は、ナプキン吸収面と同じ方向、すなわち着用者の肌の方向に向けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開平04-35422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の生理用ナプキンでは、後処理テープ部分がナプキン吸収面と同じ方向に向けられている。この後処理テープ部分は、生理用ナプキンの使用中に着用者の肌に接触してしまう。したがって、着用者に違和感や不快感を与えてしまう。
【0006】
したがって、非肌面側に粘着部を有する吸収性物品に関し、使用後に丸めた状態で維持することができ、かつ使用中の違和感や不快感を低減することができる吸収性物品が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様に係る吸収性物品は、前後方向と、前記前後方向に直交する幅方向と、着用者の肌とは反対側に向けられる裏面シートと、前記裏面シートの非肌面側に設けられた粘着部と、を有する吸収性物品であって、前記裏面シートの非肌面側に、前記吸収性物品の外縁よりも内側に配置されたテープ部材をさらに有し、前記テープ部材は、前記吸収性物品の外縁よりも外側に延出可能に構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、肌面側から見た第1実施形態に係る吸収性物品の平面図である。
図2図2は、非肌面側から見た第1実施形態に係る吸収性物品の平面図である。
図3図3は、前後方向に巻かれた状態の第1実施形態に係る吸収性物品の斜視図である。
図4図4は、非肌面側から見た第2実施形態に係る吸収性物品の平面図である。
図5図5は、非肌面側から見た第3実施形態に係る吸収性物品の平面図である。
図6図6は、前後方向に巻かれた状態の第3実施形態に係る吸収性物品の斜視図である。
図7図7は、テープ部材で止められた状態の第3実施形態に係る吸収性物品の図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0010】
一態様に係る吸収性物品は、前後方向と、前記前後方向に直交する幅方向と、着用者の肌とは反対側に向けられる裏面シートと、前記裏面シートの非肌面側に設けられた粘着部と、を有する吸収性物品であって、前記裏面シートの非肌面側に、前記吸収性物品の外縁よりも内側に配置されたテープ部材をさらに有し、前記テープ部材は、前記吸収性物品の外縁よりも外側に延出可能に構成されている。
【0011】
本態様では、使用者は、使用後に吸収性物品を前後方向に巻いた後、テープ部材を吸収性物品の外縁よりも外側に延出させることができる。使用中においては、テープ部材は、裏面シートの非肌面側で吸収性物品の外縁よりも内側に配置されているため、テープ部材に経血のような体液が付着しない。使用者は、吸収性物品の使用後に、外側に延出させたテープ部材を、裏面シートの別の部分に設けられた粘着部に取り付けることによって、吸収性物品を丸めた状態に維持することができる。ここで、テープ部材に経血のような体液が付着しないため、テープ部材と粘着部との接合力の低下を防止することができ、これにより吸収性物品を小さく丸めた状態に維持し易くすることができる。
【0012】
なお、吸収性物品は、経血等の体液が付着した面を内側にして巻かれるので、巻かれた吸収性物品の表面には、体液は付着していない。これにより、使用者は、使用後の吸収性物品を清潔に処理することができる。
【0013】
また、使用者は、使用後の吸収性物品を小さく丸めた状態で一端近くの小スペース上に置いておくことができる。したがって、使用者は、新しい吸収性物品を下着のような着用物品に取り付け、下着や服を着用した後に、使用後の吸収性物品をゴミ箱等に廃棄することができる。また、吸収性物品を廃棄するゴミ箱が近くにない状況下において、使用者は、小さく丸めた吸収性物品をかばんにしまって持ち帰ることもできる。
【0014】
さらに、吸収性物品の使用中においては、テープ部材は、裏面シートの非肌面側に設けられ、吸収性物品の外縁より外側へ延びていないため、テープ部材は、着用者の肌に直接当たらない。したがって、使用中の違和感や不快感を低減することができる。
【0015】
好ましい一態様によれば、吸収性物品は、前記幅方向に沿って延びた少なくとも2つの折り線を有し、前記テープ部材は、前記折り線のうちの最も前側の折り線よりも前側、又は最も後側の折り線よりも後側に設けられている。
【0016】
使用者によっては、使用後の吸収性物品を巻く際に、幅方向に沿った折り線に従って吸収性物品を巻き始めることがある。この場合、少なくとも2つの折り線のうちの最も前側の折り線よりも前側、又は最も後側の折り線よりも後側の領域は、巻かれた吸収性物品の表面に露出し、かつ巻き取り方向の終端側に位置し得る。この巻き取り方向の終端側で露出する場所にテープ部材が配置されるため、使用者は、容易にテープ部材を認識することができ、かつ容易に吸収性物品を丸めた状態でテープ部材を粘着部に止めることができる。
【0017】
好ましい一態様によれば、前記テープ部材は、前記前後方向における前記吸収性物品の縁から、前記前後方向における前記吸収性物品の長さの1/3の長さの範囲内に設けられている。
【0018】
吸収性物品の肌面に付着した体液を隠すということを考慮しつつ、使用後の吸収性物品を緩く巻く場合、使用者は、吸収性物品の略1/3の領域が内側に配置されるように吸収性物品を巻くことがある(3つ折り又は4つ折りのような状態)。この場合、前後方向における吸収性物品の縁から、前後方向における吸収性物品の長さの1/3の長さの範囲が、丸められた吸収性物品の表面に露出した領域のうち、巻き取り方向の終端側の領域となる。この巻き取り方向の終端側で露出する場所にテープ部材が配置されるため、使用者は、容易にテープ部材を認識することができ、かつ容易に吸収性物品を丸めた状態でテープ部材を止めることができる。
【0019】
好ましい一態様によれば、前記テープ部材は、前記前後方向における前記吸収性物品の縁から、前記前後方向における前記吸収性物品の長さの15%の長さの範囲内に設けられている。
【0020】
吸収性物品の肌面に付着した体液を隠すということを考慮しつつ、使用後の吸収性物品をきつく巻く場合、前後方向における吸収性物品の縁から、前後方向における吸収性物品の長さの10%~15%程度の長さの範囲が、丸められた吸収性物品の表面に露出した領域のうち、かつ巻き取り方向の終端側の領域となる。この巻き取り方向の終端側で露出する場所にテープ部材が配置されるため、使用者は、容易にテープ部材を認識することができ、かつ容易に吸収性物品を丸めた状態でテープ部材を止めることができる。
【0021】
好ましい一態様によれば、前記テープ部材は、前記吸収性物品の前側縁よりも前側、又は前記吸収性物品の後側縁よりも後側に延出可能に構成されている。
【0022】
使用者は、通常、使用後の吸収性物品を前側又は後側から前後方向に巻き始める。テープ部材が吸収性物品の前側縁よりも前側、又は吸収性物品の後側縁よりも後側に延出可能に構成されていることにより、使用者は、巻き取り方向に沿ってテープ部材を延出させて、テープ部材を取り付けることができる。
【0023】
なお、約8割の使用者は、使用後の吸収性物品を前側から巻き始める。よって、テープ部材は、吸収性物品の後側縁よりも後側に延出可能に構成されていることがより好ましい。
【0024】
好ましい一態様によれば、前記粘着部は、前記テープ部材を前記前後方向に延長した仮想線上に設けられている。
【0025】
これにより、テープ部材を吸収性物品の前側縁よりも前側、又は吸収性物品の後側縁よりも後側に延出させ、巻かれた吸収性物品に真っ直ぐテープ部材を沿わせると、テープ部材に粘着部が付着する。したがって、使用者は、テープ部材を粘着部の位置へ向けて斜めに引っ張ることなく容易に吸収性物品を丸めた状態に維持することができる。
【0026】
好ましい一態様によれば、前記粘着部は、前記幅方向に間隔をあけて複数設けられており、前記幅方向における前記テープ部材の幅は、前記幅方向における前記粘着部どうしの間隔より大きい。
【0027】
これにより、使用者がテープ部材を引き出した先に粘着部が存在しないということを防ぐことができる。したがって、使用者は、テープ部材を粘着部へ容易に取り付けることができる。
【0028】
好ましい一態様によれば、吸収性物品は、着用者の排泄口と対向する領域よりも後方で前記幅方向の外側へ膨らんだヒップフラップを有し、前記テープ部材は前記ヒップフラップに設けられており、前記テープ部材は、前記幅方向における前記ヒップフラップの外側縁よりも外側に延出可能に構成されている。
【0029】
ヒップフラップは、吸収性物品の後方に位置する。ここで、約8割の使用者は、使用後の吸収性物品を前側から巻き始める。よって、テープ部材は、丸められた吸収性物品の表面に露出することになる。使用者は、ヒップフラップから幅方向の外側へテープ部材を延出させ、裏面シートの別の位置に設けられた粘着部にテープ部材を付着させることによって、吸収性物品を丸めた状態に維持することができる。
【0030】
また、ヒップフラップは幅方向に膨らんだ部分であるため、テープ部材を粘着部に付着させる際に、ヒップフラップが巻かれた吸収性物品の側面を覆うことになる。これにより、巻かれた吸収性物品の側面からの体液の漏れを防止することができる。また、ヒップフラップが巻かれた吸収性物品の側面を覆うため、吸収性物品の肌面側に付着した体液を覆い隠すことができ、清潔感を向上させることができる。
【0031】
好ましい一態様によれば、前記粘着部は、前記前後方向に間隔をあけて設けられており、前記前後方向における前記テープ部材の幅は、前記前後方向における前記粘着部どうしの間隔より大きい。
【0032】
これにより、使用者がテープ部材を引き出した先に粘着部が存在しないということを防ぐことができる。したがって、使用者は、テープ部材を粘着部へ容易に取り付けることができる。
【0033】
好ましい一態様によれば、前記粘着部の少なくとも一部は、前記テープ部材よりも前側に設けられている。
【0034】
テープ部材よりも前側に粘着部が存在するため、使用者は、ヒップフラップから幅方向の外側へ延出させたテープ部材を、裏面シートの別の位置に存在する粘着部に取り付けたときに、吸収性物品を丸めた状態で維持することができる。
【0035】
好ましい一態様によれば、前記粘着部の少なくとも一部は、前記前後方向における前記吸収性物品の両縁のうち前記テープ部材に近い方の縁から、前記前後方向における前記吸収性物品の長さの2/3の長さの範囲に設けられている。
【0036】
使用後の吸収性物品を緩く巻く場合、使用者は、吸収性物品の略1/3の領域が内側に配置されるように吸収性物品を巻くことがある(3つ折り又は4つ折りのような状態のような状態)。この場合、前後方向における吸収性物品の縁から、前後方向における吸収性物品の長さの2/3の長さの範囲が、丸められた吸収性物品の表面に露出する。この露出する領域に粘着部が配置されるため、使用者は、容易にテープ部材を粘着部に付着させることができる。
【0037】
好ましい一態様によれば、前記粘着部の少なくとも一部は、前記前後方向における前記吸収性物品の両縁のうち前記テープ部材に近い方の縁から、前記前後方向における前記吸収性物品の長さの4/5の長さの範囲に設けられている。
【0038】
使用後の吸収性物品をきつく巻く場合、前後方向における吸収性物品の縁から、前後方向における吸収性物品の長さの20%~30%程度の長さの範囲が、丸められた吸収性物品の表面に露出する。この露出する領域に粘着部が配置されるため、使用者は、容易にテープ部材を粘着部に付着させることができる。
【0039】
好ましい一態様によれば、前記テープ部材は前記吸収性物品の非肌面に固定された固定部を有しており、延出方向における前記テープ部材の先端部は、前記固定部とは反対側に向けられている。
【0040】
テープ部材を吸収性物品の外縁よりも外側に延出させる際に、テープ部材の固定部には延出方向にのみ力が働くことになる。これにより、固定部にかかる力をなるべく小さくすることができるため、テープ部材の固定強度を維持することができる。
【0041】
好ましい一態様によれば、前記テープ部材の前記裏面シートに接する面と、前記裏面シートの前記テープ部材に接する面と、の少なくとも一方が、静電気防止処理されている。
【0042】
これにより、テープ部材が裏面シートに静電気によって張り付くことを抑制することができる。したがって、吸収性物品を巻いたときにテープ部材がより裏面シートから浮き上がり易くなり、使用者は、テープ部材をより容易につまんで操作できるようになる。
【0043】
好ましい一態様によれば、吸収性物品は、前記裏面シートよりも肌面側に設けられた吸収体を有し、前記テープ部材は前記吸収性物品の非肌面に固定された固定部を有しており、前記固定部の少なくとも一部は、前記吸収体と厚み方向に重なっている。
【0044】
吸収体が存在する領域は、吸収性物品の中で特に剛性が高い領域になる。テープ部材の固定部が吸収体と厚み方向に重なっているため、吸収性物品を巻いたときに、剛性の高い領域に位置するテープ部材の固定部は、吸収性物品とともにしっかりと湾曲する。このように、テープ部材の固定部がしっかりと湾曲することで、テープ部材の自由端がより裏面シートから浮き上がり易くなる。よって、使用者は、テープ部材をより容易につまんで操作できるようになる。
【0045】
好ましい一態様によれば、吸収性物品は、前記裏面シートよりも肌面側に設けられた吸収体を有し、前記テープ部材は、前記吸収体に形成されたエンボス又は前記吸収体に設けられた低目付領域と厚み方向に重なっている。
【0046】
テープ部材が、吸収体に形成されたエンボス又は吸収体に設けられた低目付領域と厚み方向に重なっていると、テープ部材と裏面シート(吸収体)との間に隙間ができ易い。したがって、吸収性物品を巻いたときにテープ部材がより裏面シートから浮き上がり易くなり、使用者は、テープ部材をより容易につまんで操作できるようになる。
【0047】
好ましい一態様によれば、吸収性物品は、前記テープ部材は前記吸収性物品の非肌面に固定された固定部を有しており、前記テープ部材の少なくとも前記固定部を除く領域は、前記粘着部と重ならない位置に設けられている。
【0048】
これにより、吸収性物品を巻いたときにテープ部材が裏面シートから浮き上がり易くなる。したがって、使用者は、テープ部材の非固定部をより容易につまんで操作できるようになる。
【0049】
以下、図面を参照して、実施形態に係る吸収性物品ついて説明する。吸収性物品は、生理用ナプキン、パンティライナー、母乳パッド、大人用失禁パッド、糞便パッド又は汗取りシートのような吸収性物品であってよい。特に、吸収性物品は、使用者の下着のような着用物品の内側に取り付けられて使用される物品であってよい。
【0050】
なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なる場合があることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれる場合がある。
【0051】
(1)第1実施形態
図1は、肌面側から見た第1実施形態に係る吸収性物品の平面図である。図2は、非肌面側から見た第1実施形態に係る吸収性物品の平面図である。ここで、「肌面側」は、使用中に着用者の肌に面する側に相当する。「非肌面側」は、使用中に着用者の肌とは反対に向けられる側に相当する。
【0052】
吸収性物品は、前後方向L及び幅方向Wを有する。前後方向Lは、着用者の前側(腹側)から後側(背側)に延びる方向、又は着用者の後側から前側に延びる方向である。幅方向Wは、前後方向Lと直交する方向である。
【0053】
吸収性物品10は、表面シート20と、裏面シート22と、表面シート20と裏面シート22との間の吸収体30と、を有する。表面シート20は、使用中に着用者の肌の方に向く。裏面シート22は、使用中に、着用者の肌とは反対側に向けられる。吸収体30は、吸収性物品の前後方向Lに沿って延びている。
【0054】
吸収性物品10は、ウイング40及びヒップフラップ50を有していてもよい。ウイング40は、使用時に着用物品のクロッチ部の非肌面側に折り返される。ヒップフラップ50は、ウイング40よりも後方で、幅方向Wに膨らんだ部分である。ヒップフラップ50は、幅方向Wにおける吸収体30の外縁よりも外側に膨らんだ部分である。
【0055】
吸収性物品10は、使用中に着用者の排泄口(例えば膣口)に対向する排泄口対向域S1を有する。排泄口対向域S1は、着用者の股下、すなわち着用者の両足の間に配置される領域であって、吸収体30が存在する領域に相当する。なお、ウイング40を有する吸収性物品10では、排泄口対向域S1は、ウイング40どうしの間であって、吸収体30が存在する領域に相当する。
【0056】
図2に示すように、吸収性物品10は、裏面シート22の非肌面側に設けられた粘着部42,52,70を有する。粘着部42,52,70は、吸収性物品10を着用物品に止めるための粘着剤が設けられた領域である。粘着部は、本体粘着部70と、ウイング粘着部42と、フラップ粘着部52と、を含む。
【0057】
本体粘着部70は、吸収性物品の厚み方向において、吸収体30と重なる領域に設けられている。本体粘着部70は、少なくとも排泄口対向域S1から吸収性物品10の後方へ連続的又は断続的に延びていることが好ましい。本体粘着部70は、前後方向Lに延びており、幅方向Wに間隔をあけて複数設けられていてよい。
【0058】
ウイング粘着部42はウイング40に設けられている。ウイング40は、使用中に着用者の着用物品に折り返され、ウイング粘着部42によって着用物品の非肌面側に取り付けられる。フラップ粘着部52はヒップフラップ50に設けられている。
【0059】
吸収性物品10は、幅方向Wに沿って延びた少なくとも2つの折り線を有していてもよい。図1,2に示す例では、吸収性物品10は、3つの折り線F1~F3を有している。これらの折り線F1~F3は、吸収性物品の包装時に、吸収性物品を折り畳むためのラインである。
【0060】
吸収性物品10は、裏面シート22の非肌面側に、吸収性物品10の外縁よりも内側に配置されたテープ部材60をさらに有する。したがって、テープ部材60は、肌面側から見ると、吸収性物品10に隠れた状態となる。
【0061】
テープ部材60は、吸収性物品10の外縁よりも外側に延出可能に構成されている。一例として、テープ部材60は、伸縮性シートから構成されていてよい。この場合、着用者がテープ部材60を引っ張ることによって、テープ部材60が吸収性物品10の外縁よりも外側に延出する。
【0062】
別の例として、テープ部材60は、Z型に折り畳まれたシートから構成されていてもよい。この場合、着用者がテープ部材60の先端を引っ張ることによって、折り畳まれたテープ部材60が展開され、これによりテープ部材60が吸収性物品10の外縁よりも外側に延出する。
【0063】
テープ部材60は、後処理用のテープであり、吸収性物品10を丸めた状態で本体粘着部70に取り付けられる程度に延出可能であればよい。また、テープ部材60は、本体粘着部70に取り付け可能な材料であれば、どのような材料から構成されていてもよい。好ましくは、テープ部材60は、表面シート20よりも本体粘着部70に粘着し易い材料からなる。なお、テープ部材60は、粘着剤を有していなくてもよい。
【0064】
テープ部材60は吸収性物品10の非肌面に固定された固定部62を有しており、延出方向におけるテープ部材60の先端部は、固定部62とは反対側に向けられている。この場合、テープ部材60を吸収性物品10の外縁よりも外側に延出させる際に、テープ部材60の固定部62には延出方向にのみ力が働くことになる。これにより、固定部62にかかる力をなるべく小さくすることができるため、テープ部材60の固定強度を維持することができる。
【0065】
使用者は、吸収性物品10の使用後に吸収性物品10を前後方向Lに巻いた後、テープ部材60を吸収性物品10の外縁よりも外側に延出させることができる(図3参照)。使用中においては、テープ部材60は、裏面シート22の非肌面側で吸収性物品10の外縁よりも内側に配置されているため、テープ部材60に経血のような体液が付着しない。使用者は、吸収性物品10の使用後に、外側に延出させたテープ部材60を、裏面シート22の別の部分に設けられた粘着部70に取り付けることによって、吸収性物品10を丸めた状態に維持することができる。ここで、テープ部材60に経血のような体液が付着しないため、テープ部材60と粘着部70との接合力の低下を防止することができ、これにより吸収性物品10を小さく丸めた状態に維持し易くすることができる。
【0066】
なお、吸収性物品10は、経血等の体液が付着した面を内側にして巻かれるので、巻かれた吸収性物品10の表面には、体液は付着していない。これにより、使用者は、使用後の吸収性物品10を清潔に処理することができる。
【0067】
また、使用者は、使用後の吸収性物品10を小さく丸めた状態で一端近くの小スペース上に置いておくことができる。したがって、使用者は、新しい吸収性物品10を下着のような着用物品に取り付け、下着や服を着用した後に、使用後の吸収性物品10をゴミ箱等に廃棄することができる。また、吸収性物品10を廃棄するゴミ箱が近くにない状況下において、使用者は、小さく丸めた吸収性物品10をかばんにしまって持ち帰ることもできる。
【0068】
さらに、吸収性物品10の使用中においては、テープ部材60は、裏面シート22の非肌面側に設けられ、吸収性物品10の外縁より外側へ延びていないため、テープ部材60は、着用者の肌に直接当たらない。したがって、使用中の違和感や不快感を低減することができる。
【0069】
テープ部材60は、吸収性物品10の後側縁よりも後側に延出可能に構成されていることが好ましい。約8割の使用者は、使用後の吸収性物品10を前側から巻き始める。テープ部材60が吸収性物品10の後側縁よりも後側に延出可能に構成されていることにより、多くの使用者は、巻き取り方向に沿ってテープ部材60を延出させて、テープ部材60を本体粘着部70へ取り付けることができる。
【0070】
テープ部材60は、折り線F1~F3のうちの最も後側の折り線F3よりも後側に設けられていることが好ましい。使用者によっては、使用後の吸収性物品10を巻く際に、幅方向Wに沿った折り線F1~F3に従って吸収性物品10を巻き始めることがある。この場合、少なくとも3つの折り線のうちの最も後側の折り線F3よりも後側の領域は、巻かれた吸収性物品10の表面に露出し、かつ巻き取り方向の終端側に位置する。この巻き取り方向の終端側で露出する場所にテープ部材60が配置されるため、使用者は、容易にテープ部材60を認識することができ、かつ容易に吸収性物品を丸めた状態でテープ部材60を本体粘着部70に止めることができる。
【0071】
テープ部材60は、前後方向Lにおける吸収性物品の後側縁E2から、前後方向Lにおける吸収性物品の長さの1/3の長さの範囲内に設けられていることが好ましい。使用者は、吸収性物品の表面シート20に付着した体液に触れたくないという観点から、使用後の吸収性物品10を緩く巻くことがある。吸収性物品10の肌面に付着した体液を隠すということを考慮しつつ、使用後の吸収性物品10を緩く巻く場合、使用者は、吸収性物品10の約1/3の領域が内側に配置されるように吸収性物品を巻くことがある(3つ折りのような状態)。この場合、吸収性物品10の後側縁E2から、前後方向Lにおける吸収性物品10の長さの1/3の長さの範囲が、丸められた吸収性物品10の表面に露出した領域のうち、巻き取り方向の終端側の領域となる。この巻き取り方向の終端側で露出する場所にテープ部材60が配置されるため、使用者は、容易にテープ部材60を認識することができ、かつ容易に吸収性物品10を丸めた状態でテープ部材60を本体粘着部70に止めることができる。
【0072】
テープ部材60は、前後方向Lにおける吸収性物品10の後側縁から、前後方向における吸収性物品の長さの好ましくは15%、より好ましくは10%の長さの範囲内に設けられている。吸収性物品10の肌面に付着した体液を隠すということを考慮しつつ、使用後の吸収性物品10をきつく巻く場合、前後方向Lにおける吸収性物品10の後側縁E2から、前後方向Lにおける吸収性物品10の長さの10%~15%程度の長さの範囲が、丸められた吸収性物品10の表面に露出した領域のうち、かつ巻き取り方向の終端側の領域となる。この巻き取り方向の終端側で露出する場所にテープ部材60が配置されるため、使用者は、容易にテープ部材60を認識することができ、かつ容易に吸収性物品10を丸めた状態でテープ部材60を本体粘着部70に止めることができる。
【0073】
本体粘着部70は、テープ部材60を前後方向Lに延長した仮想線上に設けられていることが好ましい。これにより、テープ部材60を吸収性物品の後側縁E2よりも後側に延出させ、巻かれた吸収性物品10に真っ直ぐテープ部材60を沿わせると、テープ部材60に本体粘着部70が付着する。したがって、使用者は、テープ部材60を本体粘着部70の位置へ向けて斜めに引っ張ることなく容易に吸収性物品10を丸めた状態に維持することができる。
【0074】
本体粘着部70は、幅方向Wに間隔をあけて複数設けられていてよい。この場合、幅方向Wにおけるテープ部材60の幅W1は、幅方向Wにおける本体粘着部70どうしの間隔W2より大きいことが好ましい。これにより、使用者がテープ部材60を引き出した先に本体粘着部70が存在しないということを防ぐことができる。したがって、使用者は、テープ部材60を粘着部70へ容易に取り付けることができる。
【0075】
なお、本体粘着部70が幅方向Wに3つ以上設けられている場合、幅方向Wにおけるテープ部材60の幅W1は、本体粘着部70どうしの間の複数の間隔のうち、テープ部材60を延長した仮想線上に位置する間隔、又は仮想線に最も近い間隔の大きさよりも大きければよい。この代わりに、幅方向Wにおけるテープ部材60の幅W1が、本体粘着部70どうしの間隔のうちの最大の間隔より大きくてもよい。
【0076】
本体粘着部70の少なくとも一部は、前後方向Lにおける吸収性物品10の両縁のうちテープ部材60に近い方の縁、本実施形態では後側縁E2から、前後方向Lにおける吸収性物品10の長さの2/3の長さの範囲に設けられていることが好ましい。使用後の吸収性物品10を緩く巻く場合、使用者は、吸収性物品10の略1/3の領域が内側に配置されるように吸収性物品を巻くことがある(3つ折り又は4つ折りのような状態のような状態)。この場合、前後方向Lにおける吸収性物品10の後側縁から、前後方向Lにおける吸収性物品の長さの2/3の長さの範囲が、丸められた吸収性物品10の表面に露出する。この露出する領域に本体粘着部70が配置されるため、使用者は、容易にテープ部材60を本体粘着部70に付着させることができる。
【0077】
本体粘着部70の少なくとも一部は、前後方向Lにおける吸収性物品10の両縁のうちテープ部材60に近い方の縁、本実施形態では後側縁E2から、前後方向Lにおける吸収性物品10の長さの4/5の長さの範囲に設けられていることがより好ましい。使用後の吸収性物品をきつく巻く場合、前後方向Lにおける吸収性物品10の縁、本実施形態では後側縁E2から、前後方向Lにおける吸収性物品の長さの20%~30%程度の長さの範囲が、丸められた吸収性物品10の表面に露出する。この露出する領域に本体粘着部70が配置されるため、使用者は、容易にテープ部材60を本体粘着部70に付着させることができる。
【0078】
裏面シート22とテープ部材60の両方が、フィルム、例えば合成樹脂フィルムから構成されていてよい。また、テープ部材60の裏面シート22に接する面と、裏面シート22のテープ部材60に接する面と、の少なくとも一方が、静電気防止処理されていることが好ましい。静電気防止処理は、例えばコロナ処理やエンボス加工のような表面処理であってよい。静電気によって、テープ部材60が裏面シート22に張り付くことがある。静電気防止処理によって、テープ部材60が裏面シート22に張り付くことを抑制することができる。したがって、吸収性物品10を巻いたときにテープ部材60がより裏面シート22から浮き上がり易くなり、使用者は、テープ部材60をより容易につまんで操作できるようになる。
【0079】
テープ部材60の固定部62の少なくとも一部は、吸収体30と厚み方向に重なっていることが好ましい。吸収体30が存在する領域は、吸収性物品10の中で特に剛性が高い領域になる。テープ部材60の固定部62が吸収体30と厚み方向に重なっているため、吸収性物品10を巻いたときに、剛性の高い領域に位置するテープ部材60の固定部62は、吸収性物品10とともにしっかりと湾曲する。このように、テープ部材60の固定部62がしっかりと湾曲することで、テープ部材60の自由端がより裏面シート22から浮き上がり易くなる。よって、使用者は、テープ部材60をより容易につまんで操作できるようになる。
【0080】
テープ部材60の少なくとも固定部62を除く領域は、粘着部42,52,70と重ならない位置に設けられていることが好ましい。これにより、吸収性物品10を巻いたときにテープ部材60が裏面シート22から浮き上がり易くなる。したがって、使用者は、テープ部材60をより容易につまんで操作できるようになる。
【0081】
吸収体30には、所定パターンのエンボス(圧縮部)が形成されていてもよい。また、吸収体30は、周囲の吸収体30の目付よりも低い目付を有する低目付領域を有していてもよい。この場合、テープ部材60は、吸収体30に形成されたエンボス又は吸収体30に設けられた低目付領域と厚み方向に重なっていることが好ましい。テープ部材60が、吸収体30に形成されたエンボス又は吸収体30に設けられた低目付領域と厚み方向に重なっていると、テープ部材60と裏面シート22(吸収体30)との間に隙間ができ易い。したがって、吸収性物品10を巻いたときにテープ部材60がより裏面シート22から浮き上がり易くなり、使用者は、テープ部材60をより容易につまんで操作できるようになる。
【0082】
(2)第2実施形態
次に、第2実施形態に係る吸収性物品について図4を参照して説明する。図4は、非肌面側から見た第2実施形態に係る吸収性物品の平面図である。
【0083】
なお、第1実施形態と同様の構成については、同様の符号が付されており、その説明を省略することがある。以下では、第1実施形態と異なる構成について詳細に説明する。第2実施形態では、テープ部材60の位置が第1実施形態と異なっている。第2実施形態では、テープ部材60は、吸収性物品10の前方に設けられている。テープ部材60は、吸収性物品の前側縁E1よりも前側に延出可能に構成されている。
【0084】
テープ部材60は、折り線F1~F3のうちの最も前側の折り線よりも前側に設けられていることが好ましい。使用者の約30%は、使用後の吸収性物品10を巻く際に、吸収性物品10の前側から巻き始める。また、使用者によっては、使用後の吸収性物品10を巻く際に、幅方向Wに沿った折り線F1~F3に従って吸収性物品10を巻き始めることがある。この場合、最も前側の折り線F1よりも前側の領域は、巻かれた吸収性物品10の表面に露出し、かつ巻き取り方向の終端側に位置し得る。この巻き取り方向の終端側で露出する場所にテープ部材60が配置されるため、使用者は、容易にテープ部材60を認識することができ、かつ容易に吸収性物品10を丸めた状態でテープ部材60を本体粘着部70に止めることができる。
【0085】
上記のように、吸収性物品10を前側から巻くことを考慮すると、テープ部材60の位置、及びテープ部材60の位置と本体粘着部70との位置関係は、第1実施形態で説明した状態を前後に逆転した構成をとることが好ましい。
【0086】
すなわち、テープ部材60は、前後方向Lにおける吸収性物品10の前側縁から、前後方向Lにおける吸収性物品の長さの1/3の長さの範囲内に設けられていることが好ましい。また、テープ部材60は、前後方向Lにおける吸収性物品の前側縁E1から、前後方向Lにおける吸収性物品10の長さの15%の長さの範囲内に設けられていることがより好ましく、吸収性物品10の長さの10%の長さの範囲内に設けられていることが一層好ましい。
【0087】
本体粘着部70の少なくとも一部は、前後方向Lにおける吸収性物品の前側縁E1から、前後方向Lにおける吸収性物品10の長さの2/3の長さの範囲に設けられていることが好ましい。また、本体粘着部70の少なくとも一部は、吸収性物品10の前側縁E1から、前後方向Lにおける吸収性物品10の長さの4/5の長さの範囲に設けられていることがより好ましい。
【0088】
(3)第3実施形態
次に、第3実施形態に係る吸収性物品について図5図7を参照して説明する。図5は、非肌面側から見た第3実施形態に係る吸収性物品の平面図である。図6は、前後方向に巻かれた状態の第3実施形態に係る吸収性物品の斜視図である。図7は、テープ部材で止められた状態の第3実施形態に係る吸収性物品の図である。
【0089】
なお、第1実施形態と同様の構成については、同様の符号が付されており、その説明を省略することがある。以下では、第1実施形態と異なる構成について詳細に説明する。
【0090】
第3実施形態では、テープ部材60の位置が第1実施形態と異なっている。第3実施形態では、テープ部材60は、ヒップフラップ50に設けられている。テープ部材60は、幅方向Wにおけるヒップフラップ50の外側縁よりも外側に延出可能に構成されている。
【0091】
ヒップフラップ50は、吸収性物品10の後方に位置する。ここで、約8割の使用者は、使用後の吸収性物品10を前側から巻き始める。よって、テープ部材60は、丸められた吸収性物品10の表面に露出することになる。なお、図6では、テープ部材60を引き延ばした状態が示されている。使用者は、ヒップフラップ50から幅方向Wの外側へテープ部材60を延出させ(図6参照)、裏面シート22の別の位置に設けられた粘着部にテープ部材60を付着させることによって、吸収性物品を丸めた状態に維持することができる(図7参照)。
【0092】
また、ヒップフラップ50は幅方向Wに膨らんだ部分であるため、テープ部材60を粘着部に付着させる際に、ヒップフラップ50が巻かれた吸収性物品10の側面を覆うことになる(図7参照)。これにより、巻かれた吸収性物品10の側面からの体液の漏れを防止することができる。また、ヒップフラップ50が巻かれた吸収性物品10の側面を覆うため、吸収性物品10の肌面側に付着した体液を覆い隠すことができ、清潔感を向上させることができる。
【0093】
第3実施形態において、本体粘着部70は、前後方向Lに間隔をあけて設けられていてよい。この場合、前後方向Lにおけるテープ部材60の幅W1は、前後方向Lにおける本体粘着部70どうしの間隔W3より大きいことが好ましい。これにより、使用者がテープ部材60を引き出した先に本体粘着部70が存在しないということを防ぐことができる。したがって、使用者は、テープ部材60を本体粘着部70へ容易に取り付けることができる。
【0094】
なお、前後方向Lにおける本体粘着部70の間隔が複数存在する場合、テープ部材60の幅W1は、前後方向Lにおける複数の間隔のうちの最大の間隔より大きいことがより好ましい。
【0095】
本体粘着部70の少なくとも一部は、テープ部材60よりも前側に設けられていることが好ましい。テープ部材60よりも前側に本体粘着部70が存在するため、使用者は、ヒップフラップ50から幅方向Wの外側へ延出させたテープ部材60を、裏面シート22の別の位置(前後方向Lにおける別の位置)に存在する本体粘着部70に取り付けたときに、吸収性物品10を丸めた状態で維持することができる。
【0096】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【0097】
例えば、上述した各実施形態に記載された構成及び特徴は、可能な限り組合せ及び/又は置き換え可能であることに留意されたい。
【0098】
また、上記実施形態では、吸収性物品10の使用後にテープ部材60を本体粘着部70に取り付けることについて説明した。しかしながら、これに限らず、テープ部材60は、吸収性物品10を丸めた状態で維持することができれば、ウイング粘着部42やフラップ粘着部52に取り付けられてもよい。なお、吸収性物品10は比較的柔らかい物品であるため、必ずしもテープ部材60を真っ直ぐに延ばした位置に粘着部42,52,70が位置していなくても、テープ部材60を粘着部42,52,70に取り付けることができることに留意されたい。
【0099】
なお、2016年6月24日に出願された日本国特許出願第2016-126082号の全内容が、参照により、本明細書に組み込まれる。
【産業上の利用可能性】
【0100】
上記態様に係る吸収性物品によれば、使用後に丸めた状態で維持することができ、かつ使用中の違和感や不快感を低減することができる。
【符号の説明】
【0101】
10 吸収性物品
20 表面シート
22 裏面シート
30 吸収体
40 ウイング
42 ウイング粘着部
50 ヒップフラップ
52 フラップ粘着部
60 テープ部材
62 固定部
70 本体粘着部
E1 吸収性物品の前側縁
E2 吸収性物品の後側縁
F1 第1折り線
F2 第2折り線
F3 第3折り線
S1 排泄口対向域
L 前後方向
W 幅方向
W1 テープ部材の幅
W2 幅方向における本体粘着部どうしの間隔
W3 前後方向における本体粘着部どうしの間隔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7