(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-04
(45)【発行日】2022-11-14
(54)【発明の名称】オルガノポリシロキサンエマルション組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 83/14 20060101AFI20221107BHJP
C08K 5/00 20060101ALI20221107BHJP
C08G 77/50 20060101ALN20221107BHJP
【FI】
C08L83/14
C08K5/00
C08G77/50
(21)【出願番号】P 2018136386
(22)【出願日】2018-07-20
【審査請求日】2020-06-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【氏名又は名称】松井 光夫
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【氏名又は名称】村上 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100160738
【氏名又は名称】加藤 由加里
(74)【代理人】
【識別番号】100114591
【氏名又は名称】河村 英文
(72)【発明者】
【氏名】多和田 華子
(72)【発明者】
【氏名】小林 亮広
(72)【発明者】
【氏名】井口 良範
【審査官】常見 優
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-124083(JP,A)
【文献】特開平11-246769(JP,A)
【文献】特開2000-034205(JP,A)
【文献】特開2003-128926(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/16
C08K 3/00- 13/08
C08G77/00- 77/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記(A-1)成分におけるヒドロシリル基と下記(A-2)成分におけるアルケニル基とが付加反応して成る、25℃における粘度5,500万mPa・s以上500万Pa・s以下を有するオルガノポリシロキサン
(A-1)分子鎖両末端にヒドロシリル基を有し分子鎖末端にヒドロシリル基以外の 官能基を有さない直鎖状オルガノポリシロキサン、又は、前記ヒドロシリル基含有直鎖 状オルガノポリシロキサンと、分子鎖末端にヒドロシリル基以外の官能基を少なくとも 1つ有する(任意的に分子鎖末端にヒドロシリル基を有してもよい)直鎖状オルガノポ リシロキサンと、の混合物であり、(A-1)成分中にある全オルガノポリシロキサン が有する末端ケイ素原子の合計個数に対するヒドロシリル基以外の官能基が結合する末 端ケイ素原子の個数の割合が5%未満である
(A-2)分子鎖両末端にアルケニルシリル基を有し分子鎖末端にアルケニルシリル 基以外の官能基を有さない直鎖状オルガノポリシロキサン、又は、前記アルケニルシリ ル基含有直鎖状オルガノポリシロキサンと、分子鎖末端にアルケニルシリル基以外の官 能基を少なくとも1つ有する(任意的に分子鎖末端にアルケニルシリル基を有してもよ い)直鎖状オルガノポリシロキサンと、の混合物であり、(A-2)成分中にある全オ ルガノポリシロキサンが有する末端ケイ素原子の合計個数に対するアルケニルシリル基 以外の官能基が結合する末端ケイ素原子の個数の割合が5%未満であ
る
(A-1)成分中のヒドロシリル基の個数に対する(A-2)成分中のアルケニルシリ ル基の個数比:0.5~2
(B)界面活性剤:前記(A)成分100質量部に対し0.1~12質量部、及び
(C)水:前記(A)成分100質量部に対し10~200質量部
を含む、エマルション組成物であり、
前記エマルション組成物に含まれる、前記オルガノポリシロキサンの分散粒子が体積平均粒子径1,000nm以下を有することを特徴とする、前記エマルション組成物(ただし、25℃の粘度10万mPa・s以下である、ヒドロシリル化反応性基を有さないシリコーンオイルを含むエマルション組成物と、25℃の粘度10万mPa・s以下である有機オイルを含むエマルション組成物とを除く)。
【請求項2】
前記(A-1)成分および/又は(A-2)成分がオクタメチルシクロテトラシロキサンを含み、該オクタメチルシクロテトラシロキサンの含有量が(A-1)成分および(A-2)成分の合計質量に対して1,000質量ppm以下である、請求項1記載のエマルション組成物。
【請求項3】
(A-1)分子鎖両末端にヒドロシリル基を有し分子鎖末端にヒドロシリル基以外の官能基を有さない直鎖状オルガノポリシロキサンが、下記一般式(1)で示され、
【化1】
(式中のR
1は、互いに独立に、アルケニル基を除く、置換又は非置換の炭素数1~30の1価の炭化水素基である。nは0以上の整数であり、該ジオルガノポリシロキサンの25℃における粘度が10mm
2/s以上100,000mm
2/s未満となる数である)
(A-2)分子鎖両末端にアルケニルシリル基を有し分子鎖末端にアルケニルシリル基以外の官能基を有さない直鎖状オルガノポリシロキサンが、下記一般式(3)で示される
【化2】
(式中のR
2は
互いに独立に、アルケニル基を除く、置換又は非置換の炭素数1~30の1価炭化水素基であ
り、R
3
は互いに独立に、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、又はヘキセニル基であり、mは0以上の整数であり、上記オルガノポリシロキサンの25℃における粘度が10mm
2/s以上100,000mm
2/s未満となる整数である)
請求項1又は2記載のエマルション組成物。
【請求項4】
前記分子鎖末端にヒドロシリル基以外の官能基を少なくとも1つ有する直鎖状オルガノポリシロキサンが、上記一般式(1)において末端にあるケイ素原子に結合する水素原子のうち少なくとも一つがヒドロキシル基、メトキシ基、又はエトキシ基に置き換わっている化合物であり、前記分子鎖末端にアルケニルシリル基以外の官能基を少なくとも1つ有する直鎖状オルガノポリシロキサンが、上記一般式(3)において、末端にあるR
3のうち少なくとも一つがヒドロキシル基、メトキシ基、又はエトキシ基に置き換わっている化合物である、請求項3記載のエマルション組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料、パーソナルケア組成物、ホームケア組成物、離型剤、すべり剤、コーティング剤、繊維処理剤等の製品に用いるオルガノポリシロキサンエマルションに関するものである。
【背景技術】
【0002】
化粧料、パーソナルケア組成物、ホームケア組成物、離型剤、すべり剤、コーティング剤、繊維処理剤等の製品に用いる高粘度オルガノポリシロキサンを小粒径、かつ、経時安定性良好なエマルションとする要求がある。そのため、高粘度オルガノポリシロキサンエマルション組成物を製造する方法については種々検討されてきた。
【0003】
例えば、高粘度オルガノポリシロキサンを機械乳化すると、エマルション粒子の粒径は数ミクロン程度が限界で、それより小粒径なものは得難く、得られたエマルションの経時安定性が悪い。また、特許文献1:特公昭34-2041号公報、及び特許文献2:特公昭41-13995号公報には、環状シロキサンオリゴマーを乳化した状態で強酸あるいは強塩基によって開環重合を行う方法が記載されている。これらの手法を用いると小粒径のエマルションを得ることができる。この環状シロキサンオリゴマーの乳化重合では長時間の重合工程を要するため製造コストが高くなる。また、近年、オクタメチルシクロテトラシロキサンの含有量を抑制した製品が求められるようになっているが、環状シロキサンの乳化重合ではオクタメチルテトラシロキサンを含有することが知られている。
【0004】
また、特許文献3:特許第5382273号公報には、分子鎖両末端がシラノール基で封鎖されたオルガノポリシロキサンを乳化した後、酸触媒の存在下、40℃未満の低い温度で縮合重合を行う方法が記載されている。該方法によれば、該オルガノポリシロキサン中のオクタメチルシクロテトラシロキサンの量を低減することが可能であるが、重合中にオクタメチルシクロテトラシロキサンが副生する。
【0005】
上記特許文献に記載の乳化重合では、重合を進行させるには乳化剤種がアニオン性またはカチオン性である必要がある。さらに高粘度のオルガノポリシロキサンとするには、乳化剤種がアニオン性である必要がある。しかしアニオン性エマルションは、カチオン性エマルションやカチオン性乳化剤の水溶液と混合するとエマルションが破壊してしまうため、それらと混合して使用することができず、用途が制限される。また、化粧料用途においては、このアニオン性乳化剤が皮膚への刺激を及ぼす恐れがあることから敬遠される場合がある。
【0006】
特許文献4:特許第3927692号公報には、分子鎖両末端にヒドロシリル基を有するオルガノポリシロキサンと、分子鎖両末端にアルケニルシリル基を有するオルガノポリシロキサンを乳化した後に、付加重合する方法が提案されている。この付加重合では、重合中にオクタメチルシクロテトラシロキサンが副生せず、またノニオン性界面活性剤の使用でも重合することが可能である。しかしながら、特許文献4記載の方法においても、原料のシロキサンの種類や製造ロットによってオルガノポリシロキサンの粘度が高くならない場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特公昭34-2041号公報
【文献】特公昭41-13995号公報
【文献】特許第5382273号公報
【文献】特許第3927692号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記事情を鑑みなされたもので、オルガノポリシロキサンに含まれるオクタメチルシクロテトラシロキサンが少なく、小粒径であり、且つ、経時安定性が良好な、高粘度を有するオルガノポリシロキサンエマルション組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、付加重合型オルガノポリシロキサン組成物において、分子鎖両末端にのみヒドロシリル基を有するオルガノポリシロキサンと分子鎖両末端にのみアルケニルシリル基を有するオルガノポリシロキサンから得られる分子は、全ての分子がその末端にヒドロシリル基及びアルケニルシリル基を有していないことを見出した。さらには、原料化合物がヒドロシリル基またはアルケニルシリル基以外の官能基を分子鎖末端に多く有すると、付加重合が収束する可能性が高くなり、目的とする粘度が達成できなくなることを見出した。
すなわち、分子鎖両末端にヒドロシリル基を有するオルガノポリシロキサンとして、分子鎖両末端のヒドロシリル基以外の官能基量が少ないものを原料とし、かつ分子鎖両末端にアルケニルシリル基を有するオルガノポリシロキサンとして、分子鎖両末端にアルケニルシリル基以外の官能基量が少ないものを原料として得られるオルガノポリシロキサンが、小粒径を有し、且つ、経時安定性が良好な高粘度を有するエマルション組成物となることを見出し、本発明を成すに至った。
【0010】
従って、本発明は、下記エマルション組成物を提供する。
(A)下記(A-1)成分におけるヒドロシリル基と下記(A-2)成分におけるアルケニル基とが付加反応して成る、25℃における粘度5,500万mPa・s以上500万Pa・s以下を有するオルガノポリシロキサン
(A-1)分子鎖両末端にヒドロシリル基を有し分子鎖末端にヒドロシリル基以外の 官能基を有さない直鎖状オルガノポリシロキサン、又は、前記ヒドロシリル基含有オル ガノポリシロキサンと分子鎖末端にヒドロシリル基以外の官能基を少なくとも1つ有す る直鎖状オルガノポリシロキサンとの混合物であり、(A-1)成分中にある全オルガ ノポリシロキサンが有する末端ケイ素原子の合計個数に対するヒドロシリル基以外の官 能基末端ケイ素原子の個数の割合が5%未満である
(A-2)分子鎖両末端にアルケニルシリル基を有し分子鎖末端にアルケニルシリル 基以外の官能基を有さない直鎖状オルガノポリシロキサン、又は、前記アルケニルシリ ル基含有オルガノポリシロキサンと分子鎖末端にアルケニルシリル基以外の官能基を少 なくとも1つ有する直鎖状オルガノポリシロキサンとの混合物であり、(A-2)成分中 にある全オルガノポリシロキサンが有する末端ケイ素原子の合計個数に対するアルケニ ルシリル基以外の官能基末端ケイ素原子の個数の割合が5%未満である
(A-1)成分中のヒドロシリル基の個数に対する(A-2)成分中のアルケニルシリ ル基の個数比:0.5~2
(B)界面活性剤:前記(A)成分100質量部に対し0.1~12質量部、及び
(C)水:前記(A)成分100質量部に対し10~200質量部
を含む、エマルション組成物であり、
前記エマルション組成物に含まれる、前記オルガノポリシロキサンの分散粒子が体積平均粒子径1,000nm以下を有することを特徴とする、前記エマルション組成物(ただし、25℃の粘度10万mPa・s以下である、ヒドロシリル化反応性基を有さないシリコーンオイルを含むエマルション組成物と、25℃の粘度10万mPa・s以下である有機オイルを含むエマルション組成物とを除く)。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、オルガノポリシロキサンに含まれるオクタメチルシクロテトラシロキサンが少なく、小粒径で経時安定性が良好な高粘度のオルガノポリシロキサンエマルション組成物が得られる。該高粘度オルガノポリシロキサンエマルション組成物は、化粧料、パーソナルケア組成物、ホームケア組成物、離型剤、すべり剤、コーティング剤、繊維処理剤等の製品の主成分または添加剤として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について詳細に説明する。
<(A)成分>
(A)成分は、分子鎖両末端にヒドロシリル基を有し分子鎖末端にヒドロシリル基以外の官能基を有さない直鎖状オルガノポリシロキサンを主成分とする(A-1)成分におけるヒドロシリル基と、分子鎖両末端にアルケニルシリル基を有し分子鎖末端にアルケニルシリル基以外の官能基を有さない直鎖状オルガノポリシロキサンを主成分とする(A-2)成分におけるアルケニルシリル基とが付加反応してなるオルガノポリシロキサンである。
【0013】
本発明における(A-1)成分は、分子鎖両末端にヒドロシリル基を有し分子鎖末端にヒドロシリル基以外の官能基を有さない直鎖状オルガノポリシロキサン、又は、前記ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサンと分子鎖末端にヒドロシリル基以外の官能基を少なくとも1つ有する直鎖状オルガノポリシロキサンとの混合物である。分子鎖両末端にヒドロシリル基以外の官能基を有さないオルガノポリシロキサンの製造において、末端にヒドロシリル基以外の官能基を有するオルガノポリシロキサンを混在しないように製造するのは困難である。本発明において、該官能基含有オルガノポリシロキサンの割合は、(A-1)成分中にある全オルガノポリシロキサンが有する末端ケイ素原子の合計個数に対する官能基末端ケイ素原子の個数の割合として5%未満、好ましくは2%未満となる量である。ヒドロシリル基以外の官能基の含有割合が5%以上では、付加重合が収束する確率が高くなり、(A)成分が目的とする粘度に達しなくなる恐れがある。
【0014】
ヒドロシリル基以外の官能基とは、例えば、ヒドロキシル基、及び、メトキシ基やエトキシ基等のアルコキシ基等が挙げられる。たとえば、テトラメチルジシロキサンとオクタメチルシクロテトラシロキサンの重合から製造されたオルガノポリシロキサンは、原料および重合触媒に含まれる水分等の影響により、一部の末端にヒドロキシル基等の官能基を含有したものとなる。また、触媒がメタノールやエタノールを含有する場合にはメトキシ基やエトキシ基を有する化合物が副生することがある。このような末端にヒドロシリル基以外の官能基を有する化合物の割合を減らす方法として、原料の製造時に水分等の不純物を減らすことや、分子量の小さい原料を使用することが有効である。
【0015】
分子鎖両末端にヒドロシリル基を有し分子鎖末端にヒドロシリル基以外の官能基を有さない直鎖状オルガノポリシロキサンは、好ましくは分子鎖両末端にのみヒドロシリル基を有する。例えば、下記一般式(1)で示される。該直鎖状オルガノポリシロキサンは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【化1】
式中のR
1は、互いに独立に、アルケニル基を除く、置換又は非置換の炭素数1~30の1価の炭化水素基である。nは0以上の整数であり、該ジオルガノポリシロキサンの25℃における粘度が0.1mm
2/s以上100,000mm
2/s未満となる数である。nは、好ましくは、25℃における粘度が1mm
2/s以上10,000mm
2/s未満となる数がよく、より好ましくは1mm
2/s以上1,000mm
2/s未満となる数であり、更に好ましくは10mm
2/s以上500mm
2/s未満となる数である。
【0016】
R1としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘニコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラシル基、トリアコンチル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基;及びこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)等の原子及び/又はヒドロキシル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、エポキシ基、グリシドキシ基、カルボキシル基等の置換基で置換した炭化水素基等が挙げられる。中でも、工業的には全R1基中の50モル%以上がメチル基であることが好ましい。
【0017】
例えば、R
1が全てメチル基の場合は下記式(2)となる。
【化2】
nは上記の通りである。
【0018】
分子鎖末端にヒドロシリル基以外の官能基を少なくとも1つ有する直鎖状オルガノポリシロキサンとは、例えば、上記一般式(1)において、末端にあるケイ素原子に結合する水素原子のうち少なくとも一つがヒドロキシル基、メトキシ基、及びエトキシ基等の官能基に置き換わっている化合物である。従って、片末端のみにヒドロシリル基を有し、他の末端にヒドロシリル基以外の官能基を有する直鎖状オルガノポリシロキサン、及び、両末端にヒドロシリル基以外の官能基を有しヒドロシリル基を有さない直鎖状オルガノポリシロキサンが挙げられる。
【0019】
本発明における(A-2)成分は、分子鎖両末端にアルケニルシリル基を有し分子鎖末端にアルケニルシリル基以外の官能基を有さない直鎖状オルガノポリシロキサン、又は、前記アルケニルシリル基含有オルガノポリシロキサンと分子鎖末端にアルケニルシリル基以外の官能基を少なくとも1つ有する直鎖状オルガノポリシロキサンとの混合物である。分子鎖両末端にアルケニル基以外の官能基を有さないオルガノポリシロキサンの製造において、末端にアルケニル基以外の官能基を有するオルガノポリシロキサンを混在しないように製造するのは困難である。従って、本発明において、該官能基含有オルガノポリシロキサンの割合は、(A-2)成分中にある全オルガノポリシロキサンが有する末端ケイ素原子の合計個数に対する官能基末端ケイ素原子の個数の割合として5%未満、好ましくは2%未満となる量である。アルケニル基以外の官能基の含有割合が5%以上では、付加重合が収束する確率が高くなり、(A)成分が目的とする粘度に達しなくなる恐れがある。
【0020】
アルケニル基以外の官能基とは、例えば、ヒドロキシル基、及び、メトキシ基やエトキシ基等のアルコキシ基等が挙げられる。たとえば、テトラメチルジシロキサンとオクタメチルシクロテトラシロキサンの重合から製造されたオルガノポリシロキサンは、原料および重合触媒に含まれる水分等の影響により、一部の末端にアルケニル基等の官能基を含有したものとなる。また、触媒がメタノールやエタノールを含有する場合にはメトキシ基やエトキシ基を有する化合物が副生することがある。このような末端にアルケニル基以外の官能基を有する化合物の割合を減らす方法として、原料の製造時に水分等の不純物を減らすことや、分子量の小さい原料を使用することが有効である。
【0021】
分子鎖両末端にアルケニルシリル基を有し分子鎖末端にアルケニルシリル基以外の官能基を有さない直鎖状オルガノポリシロキサンとしては、好ましくは分子鎖両末端にのみアルケニルシリル基を有する。例えば、下記一般式(3)で示される。該直鎖状ジオルガノポリシロキサンは、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【化3】
式中のR
2は独立に、アルケニル基を除く、置換又は非置換の炭素数1~30の1価炭化水素基である。mは0以上の整数であり、上記オルガノポリシロキサンの25℃における粘度が0.1mm
2/s以上100,000mm
2/s未満、好ましくは1mm
2/s以上10,000mm
2/s未満となる整数であり、より好ましくは5mm
2/s以上6,000mm
2/s未満となる整数であり、さらには10mm
2/s以上1,000mm
2/s未満となる整数がより好ましい。なお、R
2としては、上述したR
1と同じものが例示される。
【0022】
R
3としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等が挙げられるが、工業的にはビニル基であることが好ましい。例えば、R
2が全てメチル基、R
3がいずれもビニル基の場合は下記式(4-1)で表される化合物となり、R
2が全てメチル基、R
3がいずれもヘキセニル基の場合は下記式(4-2)で表される化合物となる。
【化4】
mは上記の通りである。
【0023】
分子鎖末端にアルケニル基以外の官能基を少なくとも1つ有する直鎖状オルガノポリシロキサンとは、例えば、上記一般式(3)において、末端にあるR3のうち少なくとも一つがヒドロキシル基、メトキシ基、及びエトキシ基等の官能基に置き換わっている化合物である。従って、片末端のみにアルケニル基を有し、他の末端にアルケニル基以外の官能基を有する直鎖状オルガノポリシロキサン、及び、両末端にアルケニル基以外の官能基を有しアルケニル基を有さない直鎖状オルガノポリシロキサンが挙げられる。
【0024】
(A-1)成分及び(A-2)成分を混合して得られる溶解液は、25℃における粘度100,000mm2/s未満を有するのがよく、10,000mm2/s以下であることが好ましく、1,000mm2/s以下であることがより好ましい。混合溶解液の粘度が上記上限値を超えると、得られるエマルションの粒径を小さくすることが難しくなる恐れがある。
【0025】
(A-1)ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサンと、(A-2)アルケニルシリル基含有オルガノポリシロキサンとの質量比は、(A-1)成分中のヒドロシリル基の個数に対する(A-2)成分中のアルケニルシリル基の個数比が、0.5~2となる範囲が好ましく、より好ましくは0.8~1.5の範囲である。
【0026】
(A-1)成分および(A-2)成分は不純物としてオクタメチルシクロテトラシロキサンを更に含んでもよいが、その含有量は、(A-1)成分及び(A-2)成分の合計質量に対して1000質量ppm以下であるのがよく、特には500質量ppm以下であるのが好ましい。下限は特に限定されず、少なければ少ないほど好ましく、従って0質量ppmでもよい。
【0027】
(A)成分は、上記(A-1)ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサンと上記(A-2)アルケニルシリル基含有オルガノポリシロキサンとの付加反応生成物である。該付加反応には、公知の白金族金属系触媒を用いることができる。例えば、白金(白金黒を含む)、ロジウム、パラジウム等の白金族金属単体;H2PtCl4・kH2O、H2PtCl6・kH2O、NaHPtCl6・kH2O、KHPtCl6・kH2O、Na2PtCl6・kH2O、K2PtCl4・kH2O、PtCl4・kH2O、PtCl2、Na2HPtCl4・kH2O(但し、式中、kは0~6の整数であり、好ましくは0又は6である)等の塩化白金、塩化白金酸及び塩化白金酸塩;アルコール変性塩化白金酸(米国特許第3,220,972号明細書参照);塩化白金、塩化白金酸とオレフィンとのコンプレックス(米国特許第3,159,601号明細書、同第3,159,662号明細書、同第3,775,452号明細書参照)、塩化白金酸とビニル基含有シロキサンとのコンプレックス、白金とビニル基含有シロキサンとのコンプレックス;白金黒、パラジウム等の白金族金属をアルミナ、シリカ、カーボン等の担体に担持させたもの;ロジウム-オレフィンコンプレックス;クロロトリス(トリフェニルフォスフィン)ロジウム(ウィルキンソン触媒)等が挙げられる。
【0028】
白金族金属系触媒の配合量は、付加反応を進行するための有効量でよい。例えば、白金を含有する触媒においては、(A-1)成分及び(A-2)成分の合計質量に対する触媒中の白金の質量換算量が、0.1~100ppm(質量)程度、好ましくは0.5~50ppm程度、さらに好ましくは1~30ppm程度となる量である。
【0029】
<(B)成分>
(B)界面活性剤は、水性シリコーン分散液における(A)成分の分散剤として機能する。また、上記(A-1)成分と上記(A-2)成分とを、界面活性剤を用いて水に乳化した後に白金族金属系触媒を添加して付加反応する製造方法において、該(A-1)及び(A-2)成分の乳化における乳化剤や白金族金属系触媒の分散剤としても機能する。
【0030】
界面活性剤としては、独立にノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤の中から1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0031】
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレン変性オルガノポリシロキサン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン変性オルガノポリシロキサン等が挙げられる。2種以上を併用する場合には、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等のポリエーテルを含有しないノニオン性界面活性剤も併用してもよい。
【0032】
カチオン性界面活性剤としては、例えば、ハロゲン化アルキルジメチルアンモニウムのようなアンモニウム基を含む界面活性剤、ならびに化学式R4R5R6R7N+X-
(前記式中R4、R5、R6、R7は独立に、アルキル基、アリール基、アルキルアルコキシ基、アリールアルコキシ基及びアルコキシ基の群より選択され、Xはアニオンである)を有する化合物が挙げられる。
【0033】
アニオン性界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、脂肪酸アルキロールアミドの硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、α-スルホ脂肪酸エステル塩、アルキルナフタレンスルホン酸、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、N-アシルタウリン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、モノアルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸塩、脂肪酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、N-アシルアミノ酸塩、モノアルキルリン酸エステル塩、ジアルキルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩等が挙げられる。
【0034】
両性界面活性剤としては、例えば、アニオン基、ベタイン誘導体、及びそれらの組み合わせを含む二級および/または三級アミンの両性誘導体が挙げられる。
【0035】
使用する界面活性剤としては、限定されないが、アミンを含む化合物は前記の白金族金属系触媒の働きを阻害する恐れがあるため、ノニオン系界面活性剤、及びアニオン系界面活性剤の使用が好ましい。
【0036】
(B)成分の配合量は、(A)成分100質量部に対して、0.1~12質量部であり、好ましくは0.5~10質量部である。0.1質量部より少ないと後記する(A)成分の原料の乳化で、粒径が大きくなったり、乳化できなくなったりする。
【0037】
[(C)成分]
本発明において、(C)水は、(A)成分の分散媒である。(C)成分の配合量は、(A)成分100質量部に対し10~200質量部であり、25~150質量部が好ましい。10質量部より少ないと水性シリコーン分散液の粘度が高くなり、製造が困難になったり取扱いにくくなったりする。
【0038】
[その他成分]
本発明のエマルション組成物には、(A)成分の分散性を向上させる目的等で、水溶性高分子化合物を含んでいてもよい。水溶性高分子化合物は、特に限定されず、非イオン性水溶性高分子化合物、アニオン性水溶性高分子化合物、カチオン性水溶性高分子化合物、及び両イオン性水溶性高分子化合物が挙げられる。
【0039】
非イオン性水溶性高分子化合物としては、例えば、ビニルアルコールの重合体、ビニルアルコールと酢酸ビニルの共重合体、アクリルアミドの重合体、ビニルピロリドンの重合体、ビニルピロリドンと酢酸ビニルの共重合体、ポリエチレングリコール、イソプロピルアクリルアミドの重合体、メチルビニルエーテルの重合体、デンプン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、グアーガム、キサンタンガム等が挙げられる。
【0040】
アニオン性水溶性高分子化合物としては、例えば、アクリル酸ナトリウムの重合体、アクリル酸ナトリウムとマレイン酸ナトリウムとの共重合体、アクリル酸ナトリウムとアクリルアミドの共重合体、スチレンスルホン酸ナトリウムの重合体、ポリイソプレンスルホン酸ナトリウムとスチレンとの共重合体、ナフタレンスルホン酸ナトリウムの重合体、カルボキシメチルデンプン、リン酸デンプン、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、アラビアガム、カラギーナン、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0041】
カチオン性水溶性高分子化合物としては、例えば、ジメチルジアリルアンモニウムクロライドの重合体、ビニルイミダゾリンの重合体、メチルビニルイミダゾリウムクロライドの重合体、アクリル酸エチルトリメチルアンモニウムクロライドの重合体、メタクリル酸エチルトリメチルアンモニウムクロライドの重合体、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライドの重合体、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライドの重合体、エピクロルヒドリン/ジメチルアミン重合体、エチレンイミンの重合体、エチレンイミンの重合体の4級化物、アリルアミン塩酸塩の重合体、ポリリジン、カチオンデンプン、カチオン化セルロース、キトサン、及びこれらに非イオン性基やアニオン性基を持つモノマーを共重合する等したこれらの誘導体等が挙げられる。
【0042】
両イオン性水溶性高分子化合物としては、例えば、アクリル酸エチルトリメチルアンモニウムクロライドとアクリル酸とアクリルアミドの共重合体、メタアクリル酸エチルトリメチルアンモニウムクロライドとアクリル酸とアクリルアミドの共重合体、アクリルアミドの重合体のホフマン分解物等が挙げられる。
【0043】
本発明のエマルション組成物には、防菌防腐剤や抗菌剤を含んでいてもよい。防菌防腐剤としては、パラオキシ安息香酸アルキルエステル、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、フェノキシエタノール等、抗菌剤としては、安息香酸、サリチル酸、石炭酸、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸アルキルエステル、パラクロルメタクレゾール、ヘキサクロロフェン、塩化ベンザルコニウム、塩化クロルヘキシジン、トリクロロカルバニリド、感光素、フェノキシエタノール等が挙げられる。
【0044】
<製造方法>
本発明のエマルション組成物は、上記(A-1)ヒドロシリル基含有直鎖状オルガノポリシロキサンと上記(A-2)アルケニルシリル基含有直鎖状オルガノポリシロキサンとを、(B)界面活性剤を用いて(C)水に乳化した後、白金族金属系触媒を添加し、付加反応を行うことによって製造できる。
【0045】
乳化は一般的な乳化分散機を用いて行えばよい。該乳化分散機としては、例えば、ホモディスパー等の高速回転遠心放射型撹拌機、ホモミキサー等の高速回転剪断型撹拌機、圧力式ホモジナイザー等の高圧噴射式乳化分散機、コロイドミル、超音波乳化機等が挙げられる。
【0046】
白金族金属系触媒は、前記したとおり乳化工程後に添加してもよいが、予め(A)成分の原料(即ち、(A-1)成分及び(A-2)成分の混合液)に溶解させておいてもよい。白金族金属系触媒を乳化工程後に添加する場合には、溶媒に溶解して添加してもよい。また、水に対する分散性が悪い場合には、白金族金属系触媒をノニオン性界面活性剤に溶解した状態で添加することがよい。白金族金属系触媒を予め(A)成分の原料に溶解させておく場合には、乳化工程が終了するまでの間に付加反応が起こらないように、例えば5℃以下の低温に冷却しておくのがよい。付加反応は、例えば15~60℃で行うことができる。反応が完結しない場合には、100℃未満の加熱下で行ってもよい。反応の為の撹拌時間は特に制限されないが、通常、1~24時間である。
【0047】
<エマルション組成物>
本発明のエマルション組成物には(A-1)分子鎖両末端にヒドロシリル基を有する直鎖状のオルガノポリシロキサンと(A-2)分子鎖両末端にアルケニルシリル基を有する直鎖状のオルガノポリシロキサンとの付加反応生成物である(A)オルガノポリシロキサンが分散されている。
【0048】
該付加反応生成物は、(A-1)分子鎖両末端にヒドロシリル基を有するオルガノポリシロキサンと、(A-2)分子鎖両末端にアルケニルシリル基を有するオルガノポリシロキサンとの付加反応部分で、シルアルキレン結合が形成されることにより鎖長延長する。例えば、(A-1)成分として上記した式(2)で表される化合物と、(A-2)成分として上記した式(4-1)で表される化合物との付加反応生成物は下記一般式(5)で示される構造を有するオルガノポリシロキサンである。
【化5】
l、m、及びnは互いに独立に、0以上の整数である。
【0049】
エマルション組成物中に分散される上記(A)オルガノポリシロキサンは、25℃における粘度1,000万mPa・s以上を有し、好ましくは3,000万mPa・s以上を有する。上限は制限されるものでないが、例えば500万Pa・s以下、好ましくは300万Pa・s以下である。
【0050】
エマルション組成物における分散粒子は体積平均粒子径1,000nm以下を有するのが好ましく、より好ましくは700nm以下である。下限は特に限定されず、30nm以上程度である。なお、本発明において、体積平均粒径はレーザー回折/散乱法粒径測定装置LA-960(株式会社堀場製作所製)による体積平均粒子径の値である。
【0051】
上記(A)成分中に不純物として含まれるオクタメチルシクロテトラシロキサンの含有量は1,000ppm以下、特に500ppm以下が好ましい。オクタメチルシクロテトラシロキサンの含有量は少なければ少ないほどよく、下限は特に限定されず、0ppmであるのが最も好ましい。
【実施例】
【0052】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
下記において、「部」は質量部を意味する。「末端不純物量」とは、(A-1)成分において全オルガノポリシロキサンの末端ケイ素原子の合計個数に対するヒドロシリル基以外の官能基(ヒドロキシル基)を有するケイ素原子の個数の割合を意味する。又は、(A-2)成分において全オルガノポリシロキサンの末端ケイ素原子の合計個数に対するアルケニルシリル基以外の官能基(ヒドロキシル基)を有するケイ素原子の個数の割合を意味する。該末端不純物量は29Si-NMRスペクトルから算出した。
詳細には(A-1)成分については、全末端Si原子由来のピーク面積[即ち、ヒドロシリル基を有するSi原子由来のピーク面積+ヒドロシリル基以外の官能基(ヒドロキシル基)を有するSi原子由来のピーク面積]に対する、ヒドロシリル基以外の官能基(ヒドロキシル基)を有する末端Si原子由来のピーク面積の割合により算出した。
(A-2)成分については、全末端Si原子由来のピーク面積[即ち、アルケニルシリル基を有するSi原子由来のピーク面積+アルケニルシリル基以外の官能基を有するSi原子由来のピーク面積]に対する、アルケニルシリル基以外の官能基を有する末端Si原子由来のピーク面積の割合により算出した。ピーク面積はSi原子の個数およびモルと比例関係になる。
【0053】
下記実施例及び比較例で使用したヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサンは、以下の通りである。
(1)実施例1及び
参考例2で使用した(A-1)成分:ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサン1
下記一般式(1)で表されR
1の全てがメチル基である分子鎖両末端ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサンを主成分とし、下記式(1)で表され分子鎖末端にあるケイ素原子に結合する水素原子の少なくとも1つがヒドロキシル基に置換わっているオルガノポリシロキサンを末端不純物量1.0mol%で含む。
ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサン1は、粘度16mm
2/sを有し、オクタメチルシクロテトラシロキサン含有量200ppm以下であり、水素価=0.13mol/100gを有する。
【化6】
【0054】
(2)実施例3で使用した(A-1)成分:ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサン2
上記一般式(1)で表されR1の全てがメチル基である分子鎖両末端ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサンを主成分とし、上記式(1)で表され分子鎖末端にあるケイ素原子に結合する水素原子の少なくとも1つがヒドロキシル基に置換わっているオルガノポリシロキサンを末端不純物量0.8mol%で含む。
ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサン2は、粘度136mm2/sを有し、オクタメチルシクロテトラシロキサン含有量200ppm以下であり、水素価=0.033mol/100gを有する。
【0055】
(3)実施例4及び比較例4で使用した(A-1)成分:ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサン3
上記一般式(1)で表されR1の全てがメチル基である分子鎖両末端ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサンを主成分とし、上記式(1)で表され分子鎖末端にあるケイ素原子に結合する水素原子の少なくとも1つがヒドロキシル基に置換わっているオルガノポリシロキサンを末端不純物量1.0mol%で含む。
ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサン3は、粘度131mm2/sを有し、オクタメチルシクロテトラシロキサン含有量200ppm以下であり、水素価=0.033mol/100gを有する。
【0056】
(4)比較例1で使用した(A-1)成分:ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサン4
上記一般式(1)で表されR1の全てがメチル基である分子鎖両末端ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサンを主成分とし、上記式(1)で表され分子鎖末端にあるケイ素原子に結合する水素原子の少なくとも1つがヒドロキシル基に置換わっているオルガノポリシロキサンを末端不純物量9.0mol%で含む。
ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサン4は、粘度2,330mm2/sを有し、オクタメチルシクロテトラシロキサン含有量200ppm以下であり、水素価=0.0061mol/100gを有する。
【0057】
(5)比較例2で使用した(A-1)成分:ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサン5
上記一般式(1)で表されR1の全てがメチル基である分子鎖両末端ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサンを主成分とし、上記式(1)で表され分子鎖末端にあるケイ素原子に結合する水素原子の少なくとも1つがヒドロキシル基に置換わっているオルガノポリシロキサンを末端不純物量6.4mol%で含む。
ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサン5は、粘度5,990mm2/sを有し、オクタメチルシクロテトラシロキサン含有量200ppm以下であり、水素価=0.0050mol/100gを有する。
【0058】
(6)比較例3で使用した(A-1)成分:ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサン6
上記一般式(1)で表されR1の全てがメチル基である分子鎖両末端ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサンを主成分とし、上記式(1)で表され分子鎖末端にあるケイ素原子に結合する水素原子の少なくとも1つがヒドロキシル基に置換わっているオルガノポリシロキサンを末端不純物量6.4mol%で含む。
ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサン6は、粘度130mm2/sを有し、オクタメチルシクロテトラシロキサン含有量200ppm以下であり、水素価=0.033mol/100gを有する。
【0059】
下記実施例及び比較例で使用したアルケニルシリル基含有オルガノポリシロキサンは、以下の通りである。
(1)実施例1及び3及び比較例1で使用した(A-2):アルケニル基含有オルガノポリシロキサン1
下記一般式(3)で表されR
2の全てがメチル基であり、R
3が共にビニル基である、分子鎖両末端アルケニルシリル基含有オルガノポリシロキサンを主成分とし、式(3)で表され分子鎖末端にあるR
3の少なくとも1つがヒドロキシル基に置換わっているアルケニルシリル基含有オルガノポリシロキサンを末端不純物量1.4mol%で含む。
アルケニル基含有オルガノポリシロキサン1は、粘度9,950mm
2/sを有し、オクタメチルシクロテトラシロキサン含有量200ppm以下であり、ビニル価=0.0052mol/100gを有する。
【化7】
【0060】
(2)参考例2で使用した(A-2):アルケニル基含有オルガノポリシロキサン2
上記一般式(3)で表されR2の全てがメチル基であり、R3が共にビニル基である、分子鎖両末端アルケニルシリル基含有オルガノポリシロキサンを主成分とし、式(3)で表され分子鎖末端にあるR3の少なくとも1つがヒドロキシル基で置換わっているアルケニルシリル基含有オルガノポリシロキサンを末端不純物量1.9mol%で含む。
アルケニル基含有オルガノポリシロキサン2は、粘度5,040mm2/sを有し、オクタメチルシクロテトラシロキサン含有量200ppm以下であり、ビニル価=0.0064mol/100gを有する。
【0061】
(3)実施例4及び比較例3で使用した(A-2):アルケニル基含有オルガノポリシロキサン3
上記一般式(3)で表されR2の全てがメチル基であり、R3が共にビニル基である、分子鎖両末端アルケニルシリル基含有オルガノポリシロキサンを主成分とし、式(3)で表され分子鎖末端にあるR3の少なくとも1つがヒドロキシル基で置換わっているアルケニルシリル基含有オルガノポリシロキサンを末端不純物量0.7mol%で含む。
アルケニル基含有オルガノポリシロキサン3は、粘度126mm2/sを有し、オクタメチルシクロテトラシロキサン含有量200ppm以下であり、ビニル価=0.035mol/100gを有する。
【0062】
(4)比較例2で使用した(A-2):アルケニル基含有オルガノポリシロキサン4
上記一般式(3)で表されR2の全てがメチル基であり、R3が共にビニル基である、分子鎖両末端アルケニルシリル基含有オルガノポリシロキサンを主成分とし、式(3)で表され分子鎖末端にあるR3の少なくとも1つがヒドロキシル基で置換わっているアルケニルシリル基含有オルガノポリシロキサンを末端不純物量2.0mol%で含む。
アルケニル基含有オルガノポリシロキサン4は、粘度9,950mm2/sを有し、オクタメチルシクロテトラシロキサン含有量200ppm以下であり、ビニル価=0.0052mol/100gを有する。
【0063】
(5)比較例4で使用した(A-2):アルケニル基含有オルガノポリシロキサン5
上記一般式(3)で表されR2の全てがメチル基であり、R3が共にビニル基である、分子鎖両末端アルケニルシリル基含有オルガノポリシロキサンを主成分とし、式(3)で表され分子鎖末端にあるR3の少なくとも1つがヒドロキシル基で置換わっているアルケニルシリル基含有オルガノポリシロキサンを末端不純物量6.0mol%で含む。
アルケニル基含有オルガノポリシロキサン5は、粘度126mm2/sを有し、オクタメチルシクロテトラシロキサン含有量200ppm以下であり、ビニル価=0.030mol/100gを有する。
【0064】
[実施例1]
(A-1)上記ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサン1を4.1部、(A-2)上記アルケニルシリル基含有オルガノポリシロキサン1を95.9部(SiVi基/SiH基=0.91(個数比))、(B)ポリオキシエチレンラウリルエーテル(エマルゲン109P、花王株式会社)5.0部、(C)水5.8部をホモミキサーおよびホモディスパーにより乳化させた後、(C)水53.8部を添加し、ホモミキサーにより希釈分散した。得られたエマルションを50±2℃に温調した後、撹拌下で白金-ビニル基含有シロキサンコンプレックスのイソドデカン溶液(白金含有量0.5%)0.13部とポリオキシエチレンラウリルエーテル0.27部の混合溶解物を添加し、同温度で2時間撹拌することにより上記(A-1)成分と上記(A-2)成分を付加反応させて、オルガノポリシロキサンを含むエマルション組成物を得た。
【0065】
[参考例2]
(A-1)上記ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサン1を5.0部、(A-2)上記アルケニルシリル基含有オルガノポリシロキサン2を95.0部(SiVi基/SiH基=0.91(個数比))、(B)ポリオキシエチレンラウリルエーテル(エマルゲン109P、花王株式会社)5.8部、(C)水5.8部をホモミキサーおよびホモディスパーにより乳化させた後、(C)水52.6部を添加し、ホモミキサーにより希釈分散した。得られたエマルションを25±2℃に温調した後、撹拌下で白金-ビニル基含有シロキサンコンプレックスのイソドデカン溶液(白金含有量0.5%)0.13部とポリオキシエチレンラウリルエーテル0.27部の混合溶解物を添加し、同温度で2時間撹拌することにより上記(A-1)成分と上記(A-2)成分を付加反応させて、オルガノポリシロキサンを含むエマルション組成物を得た。
【0066】
[実施例3]
(A-1)上記ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサン2を14.9部、(A-2)上記アルケニルシリル基含有オルガノポリシロキサン1を85.1部(SiVi基/SiH基=0.91(個数比))、(B)ポリオキシエチレンラウリルエーテル(エマルゲン109P、花王株式会社)5.0部、(C)水6.7部をホモミキサーおよびホモディスパーにより乳化させた後、(C)水52.6部を添加し、ホモミキサーにより希釈分散した。得られたエマルションを50±2℃に温調した後、撹拌下で白金-ビニル基含有シロキサンコンプレックスのイソドデカン溶液(白金含有量0.5%)0.13部とポリオキシエチレンラウリルエーテル0.27部の混合溶解物を添加し、同温度で2時間撹拌することにより上記(A-1)成分と上記(A-2)成分を付加反応させて、オルガノポリシロキサンを含むエマルション組成物を得た。
【0067】
[実施例4]
(A-1)上記ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサン3を53.6部、(A-2)上記アルケニルシリル基含有オルガノポリシロキサン3を46.4部(SiVi基/SiH基=0.91(個数比))、(B)ポリオキシエチレンステアリルエーテル(エマレックス615、日本エマルジョン株式会社)1.3部、およびポリオキシエチレンステアリルエーテル(エマレックス640、日本エマルジョン株式会社)3.8部、(C)水20.9部をホモミキサーにより乳化させた後、(C)水36.0部を添加し、ホモミキサーにより希釈分散し、高圧乳化装置により処理圧力100MPaで1度高圧処理を行った。得られたエマルションを25±2℃に温調した後、撹拌下で白金-ビニル基含有シロキサンコンプレックスのイソドデカン溶液(白金含有量0.5%)0.13部とポリオキシエチレンラウリルエーテル0.27部の混合溶解物を添加し、同温度で2時間撹拌することにより上記(A-1)成分と上記(A-2)成分を付加反応させて、オルガノポリシロキサンを含むエマルション組成物を得た。
【0068】
[比較例1]
(A-1)上記ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサン4を48.3部、(A-2)上記アルケニルシリル基含有オルガノポリシロキサン1を51.7部(SiVi基/SiH基=0.91(個数比))、(B)ポリオキシエチレンラウリルエーテル(エマルゲン109P、花王株式会社)5.8部、(C)水7.5部をホモミキサーおよびホモディスパーにより乳化させた後、(C)水50.9部を添加し、ホモミキサーにより希釈分散した。得られたエマルションを50±2℃に温調した後、撹拌下で白金-ビニル基含有シロキサンコンプレックスのイソドデカン溶液(白金含有量0.5%)0.05部とポリオキシエチレンラウリルエーテル0.09部の混合溶解物を添加し、同温度で2時間撹拌することにより上記(A-1)成分と上記(A-2)成分を付加反応させて、オルガノポリシロキサンを含むエマルション組成物を得た。
【0069】
[比較例2]
(A-1)上記ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサン5を53.1部、(A-2)上記アルケニルシリル基含有オルガノポリシロキサン4を46.9部(SiVi基/SiH基=0.91(個数比))、(B)ポリオキシエチレンラウリルエーテル(エマルゲン109P、花王株式会社)5.8部、(C)水5.8部をホモミキサーおよびホモディスパーにより乳化させた後、(C)水52.6部を添加し、ホモミキサーにより希釈分散した。得られたエマルションを25±2℃に温調した後、撹拌下で白金-ビニル基含有シロキサンコンプレックスのイソドデカン溶液(白金含有量0.5%)0.3部とポリオキシエチレンラウリルエーテル0.6部の混合溶解物を添加し、同温度で2時間撹拌することにより上記(A-1)成分と上記(A-2)成分を付加反応させて、オルガノポリシロキサンを含むエマルション組成物を得た。
【0070】
[比較例3]
(A-1)上記ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサン6を53.8部、(A-2)上記アルケニルシリル基含有オルガノポリシロキサン3を46.2部(SiVi基/SiH基=0.91(個数比))、(B)ポリオキシエチレンラウリルエーテル(エマルゲン104P、花王株式会社)2.4部、およびポリオキシエチレンラウリルエーテル(エマルゲン123P、花王株式会社)3.6部、(C)水32.0部をホモミキサーにより乳化させた後、(C)水59.6部を添加し、ホモミキサーにより希釈分散し、高圧乳化装置により処理圧力100MPaで1度高圧処理を行った。得られたエマルションを25±2℃に温調した後、撹拌下で白金-ビニル基含有シロキサンコンプレックスのイソドデカン溶液(白金含有量0.5%)0.16部とポリオキシエチレンラウリルエーテル0.32部の混合溶解物を添加し、同温度で2時間撹拌することにより上記(A-1)成分と上記(A-2)成分を付加反応させて、オルガノポリシロキサンを含むエマルション組成物を得た。
【0071】
[比較例4]
(A-1)上記ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサン3を55.0部、(A-2)上記アルケニルシリル基含有オルガノポリシロキサン5を45.0部(SiVi基/SiH基=0.91(個数比))、(B)ポリオキシエチレンラウリルエーテル(エマルゲン104P、花王株式会社)2.4部、およびポリオキシエチレンラウリルエーテル(エマルゲン123P、花王株式会社)3.6部、(C)水32.0部をホモミキサーにより乳化させた後、(C)水59.6部を添加し、ホモミキサーにより希釈分散し、高圧乳化装置により処理圧力100MPaで1度高圧処理を行った。得られたエマルションを25±2℃に温調した後、撹拌下で白金-ビニル基含有シロキサンコンプレックスのイソドデカン溶液(白金含有量0.5%)0.16部とポリオキシエチレンラウリルエーテル0.32部の混合溶解物を添加し、同温度で2時間撹拌することにより上記(A-1)成分と上記(A-2)成分を付加反応させて、オルガノポリシロキサンを含むエマルション組成物を得た。
【0072】
上記実施例及び比較例で得た各エマルション組成物の物性を、以下に示す方法に従い、測定又は評価した。結果を表1に示す。
[エマルションの体積平均粒子径]
レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置LA-960(株式会社堀場製作所)により測定した、メジアン径の値である。
[オルガノポリシロキサンの粘度]
各エマルション組成物200gにイソプロピルアルコール200gを撹拌しながら添加し、析出したオルガノポリシロキサンのみを分取し、105℃で3時間乾燥した。その後オルガノポリシロキサン10gをトルエン90gに溶解させた。25℃における上記希釈液の回転粘度計によって測定した粘度η1および比重Dから下式によって粘度ηを算出した。下式は経験式であり、レオメータによりニュートン流体領域での生ゴム粘度を直接測定した値と下式から算出した値が一致することが確認されている。
η2=η1×D
η3=0.5385×ln(η2)+0.1033
η4=10E、E=1.19973×η3+0.974
η={462.55ln(η4)-3405.2}×10000 (η4<10000)
η={1256.2ln(η4)-10506}×10000 (η4>10000)
[オルガノポリシロキサン中のオクタメチルシクロテトラシロキサン含有量]
各エマルション組成物0.1gを、テトラデカンを内部標準として20ppm(質量)含有するアセトン10mlで抽出(3時間振とう)した後、一晩放置した後にアセトン層を採取してガスクロマトグラフィー分析によりオクタメチルシクロテトラシロキサンを定量した。
[エマルションの安定性]
100mlガラス瓶にエマルション組成物100gを入れ、40℃で1ヶ月放置した後に外観を観察した。エマルションが均一な一相を形成し分離が認められない場合に安定性「良好」と評価し、「○」で示し、二相への分離が認められた場合に安定性「不良」と評価し、「×」で示した。
【0073】
【0074】
本発明のエマルション組成物は、特定のオルガノポリシロキサンを原料として製造することにより、小粒径を有し、且つ、高粘度を有するオルガノポリシロキサンを含むエマルションを提供することができる。該エマルション組成物は経時安定性を有する。上記比較例1~4に示す通り、原料オルガノポリシロキサンが、末端にヒドロシリル基以外の官能基を多く有すると、所望の高粘度を有するオルガノポリシロキサンを含むエマルション組成物が得られない。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明によれば、オルガノポリシロキサンに含まれる不純物であるオクタメチルシクロテトラシロキサンが少なく、小粒径で経時安定性が良好な高粘度のオルガノポリシロキサンを含むエマルション組成物が得られる。該高粘度オルガノポリシロキサンエマルション組成物は、化粧料、パーソナルケア組成物、ホームケア組成物、離型剤、すべり剤、コーティング剤、繊維処理剤等の製品の主成分または添加剤として有用である。