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特許7170450付加硬化型シリコーン樹脂組成物及び半導体装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-04
(45)【発行日】2022-11-14
(54)【発明の名称】付加硬化型シリコーン樹脂組成物及び半導体装置
(51)【国際特許分類】
   C08L 83/07 20060101AFI20221107BHJP
   C08L 83/05 20060101ALI20221107BHJP
   H01L 33/56 20100101ALI20221107BHJP
   H01L 21/312 20060101ALI20221107BHJP
   H01L 23/29 20060101ALI20221107BHJP
   H01L 23/31 20060101ALI20221107BHJP
【FI】
C08L83/07
C08L83/05
H01L33/56
H01L21/312 C
H01L23/30 F
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2018143326
(22)【出願日】2018-07-31
(65)【公開番号】P2020019857
(43)【公開日】2020-02-06
【審査請求日】2020-06-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 光夫
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100160738
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 由加里
(74)【代理人】
【識別番号】100114591
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 英文
(72)【発明者】
【氏名】水梨 友之
【審査官】尾立 信広
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-179541(JP,A)
【文献】特開2016-121290(JP,A)
【文献】特開昭52-013547(JP,A)
【文献】特開2003-213133(JP,A)
【文献】特開2014-019798(JP,A)
【文献】特開2017-001900(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00-13/08
C09D 101/00-201/10
C09J 9/00-201/10
H01L 23/28-23/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)~(C)成分を含む付加硬化型シリコーン樹脂組成物
(A)RSiO2/2単位及びR SiO1/2単位から選ばれる1以上と、R2’ SiO2/2単位、R2’ SiO1/2単位、及びR2’SiO3/2単位から選ばれる1以上とを有し、全シロキサン単位の合計個数に対するRSiO2/2単位及びR SiO1/2単位の合計個数が0.001%以上かつ50%以下であり、全シロキサン単位の合計モル数に対するR2’SiO3/2単位のモル数が0%以上かつ30モル%以下であり、全シロキサン単位の合計個数に対しSiO4/2単位量は5%以下であり、且つ、RSiO2/2単位及びR2’ SiO2/2単位を合計1~204000個有し、及び、R SiO1/2単位及びR2’ SiO1/2単位を合計2~102個有する、アルケニル基を少なくとも1個有する直鎖又は分岐状オルガノポリシロキサン
(前記シロキサン単位において、Rは互いに独立に、水酸基又は炭素数1~30のアルコキシ基であり、Rは互いに独立に、炭素数1~12の置換または非置換の飽和炭化水素基、炭素数6~12の置換または非置換の芳香族炭化水素基、炭素数2~10のアルケニル基、及びRの選択肢から選ばれる基であり、R2’は上記Rの選択肢のうちRの選択肢以外から選ばれる基であり、R及びR2’のうち少なくとも1個はアルケニル基である)
(B)ヒドロシリル基を少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン;(A)成分中のアルケニル基の合計個数に対する(B)成分中のヒドロシリル基の個数比が0.1~4となる量、及び
(C)ヒドロシリル化反応触媒 触媒量。
【請求項2】
前記(A)成分が、JIS K 7117-1:1999に規定する方法で測定したB型粘度計による25℃での粘度10mPa・s以上100,000mPa・s以下を有する、請求項1記載の付加硬化型シリコーン樹脂組成物。
【請求項3】
(D)下記式(3)で表される網目状オルガノポリシロキサンを更に含む、請求項1又は2記載の付加硬化型シリコーン樹脂組成物
(R SiO1/2(R SiO2/2(RSiO3/2(SiO4/2
(3)
(式中、Rは互いに独立に、炭素数1~12の置換または非置換の飽和炭化水素基、炭素数6~12の置換または非置換の芳香族炭化水素基、炭素数2~10のアルケニル基、炭素数1~10のケイ素原子に結合したアルコキシ基及び水酸基から選ばれる基であり、前記Rの少なくとも2個はアルケニル基であり、rは0~100の整数、sは0~300の整数、tは0~200の整数、uは0~200の整数であり、1≦t+u≦400、2≦r+s+t+u≦800である) (A)成分100質量部に対して10~10,000質量部。
【請求項4】
前記(A)成分が、上記RSiO2/2単位を少なくとも1つ有する、直鎖状又は分岐状のオルガノポリシロキサンである、請求項1~3のいずれか1項に記載の付加硬化型シリコーン樹脂組成物。
【請求項5】
前記(A)成分が分岐状オルガノポリシロキサンである、請求項1~4のいずれか1項記載の付加硬化型シリコーン樹脂組成物。
【請求項6】
前記(A)成分が、ケイ素原子に結合する芳香族炭化水素基を少なくとも1つ有し、(A)成分が有するケイ素原子に結合する全置換基の合計個数のうち、ケイ素原子に結合する芳香族炭化水素基の個数割合が3%以上90%以下である、請求項1~5のいずれか1項記載の付加硬化型シリコーン樹脂組成物。
【請求項7】
前記(A)成分が、ケイ素原子に結合する芳香族炭化水素基を有さない、請求項1~5のいずれか1項記載の付加硬化型シリコーン樹脂組成物。
【請求項8】
前記(B)成分が下記式(4)で表される、請求項1~7のいずれか1項記載の付加硬化型シリコーン樹脂組成物。
(R SiO1/2r’(R SiO2/2s’(RSiO3/2t’(SiO4/2u’
(4)
(式中、Rは互いに独立に、水素原子、または炭素数1~12の置換または非置換の飽和炭化水素基、及び炭素数6~12の置換または非置換の芳香族炭化水素基から選ばれる基であり、但し、Rのうち少なくとも2個は水素原子であり、r’は0~100の整数であり、s’は0~300の整数であり、t’は0~200の整数であり、u’は0~200の整数であり、但し、2≦r’+s’+t’+u’≦800である)。
【請求項9】
前記(A)成分が、分岐鎖のシロキサン単位数が1~4個である分岐状オルガノポリシロキサンである、請求項5記載の付加硬化型シリコーン樹脂組成物。
【請求項10】
(A)成分が下記式から選ばれる、請求項1~3及び8のいずれか1項記載の付加硬化型シリコーン樹脂組成物
【化1】
(式中、s1は1~2,000の整数であり、s2は、0~2,000の整数である)
【化2】
(式中、sは1~2,000の整数であり、tは2~1,000の整数である)
【化3】
(式中、sは1~1,000の整数であり、t’は1~2,000の整数である)
【化4】
(式中、sは1~1,000の整数であり、tは1~1,000の整数であり、uは1~2,000の整数である)
【化5】
(式中、sは1~1,000の整数であり、tは1~1,000の整数であり、uは1~100の整数であり、pは1~500の整数である)
【化6】
(式中、sは1~1,000の整数であり、tは1~2,000の整数であり、uは1~100の整数であり、pは1~500の整数である)
【化7】
(式中、sは1~1,000の整数であり、tは1~2,000の整数であり、uは1~1,000の整数であり、pは0~100の整数であり、q及びrは、0~1,000の整数である)。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の付加硬化型シリコーン樹脂組成物を硬化して成る硬化物を備える半導体装置。
【請求項12】
前記硬化物で被覆された半導体素子を有する、請求項11記載の半導体装置。
【請求項13】
前記半導体素子が発光素子である、請求項12記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は付加硬化型シリコーン樹脂組成物、および該組成物を硬化して成る硬化物で被覆された半導体素子を有する半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
付加硬化型シリコーン樹脂は耐熱、耐光性、速硬化性などに優れることから、以前よりLED等の半導体素子を封止するための封止材として用いられてきた。例えば、特開2006-256603号公報ではPPAなどの熱可塑性樹脂で作られたLEDパッケージに高い接着力を示す付加硬化型シリコーン樹脂が記載されている。また、特開2006-93354号公報では、光半導体素子を付加硬化型シリコーン樹脂組成物の圧縮成型によって封止する方法が記載されている。
【0003】
このように、半導体封止材料として広く一般的に付加硬化型シリコーン樹脂が使用されているが、その特性は未だ満足できるものではない。特に、光半導体装置のON/OFFによる温度変化の内部的なストレスに加えて気温や湿度の変化などの外部ストレスにも晒されるLED封止材にあっては、耐熱、耐光性に加え、半導体装置基材面との接着も重要であり、一般的なシリコーン樹脂は低温特性にやや劣るために、それらのストレスに耐えられず樹脂剥離を生じてしまう問題がある。
【0004】
低温特性を改善するための一つの手段として、直鎖状のシリコーン鎖中に分岐構造を持たせることが効果的であることが知られており、その製造方法について様々な研究が成されてきた(特開2000-351949号公報、特開2001-163981号公報、特開2002-348377号公報)。しかしながら、このようなRSiO1/2単位[M単位]とRSiO3/2単位[T単位]を含む加水分解性シランを酸触媒やアルカリ触媒を用いて縮合・平衡化する方法では、主鎖と側鎖の鎖長を独立して制御することができないため、所望する構造のシロキサンを得ることが困難であった。
【0005】
特開2016-204426号公報には分岐鎖長の短いアルケニル基含有分岐状オルガノポリシロキサンを含む付加硬化型シリコーン組成物の硬化物が、低温及び高温特性が良好であり、温度変化耐性に優れ、高信頼性を有する半導体装置を提供すると記載している。
【0006】
また、付加硬化型シリコーン樹脂は蛍光体、白色顔料、無機充填材を添加することによって付加価値をつけることができ、波長変換層、光散乱材料、白色反射材料、高屈折率材料、補強材料として用いられている(特開2013-79328号公報、特許5844252号)。しかし、一般的にシリコーンと金属酸化物などの無機充填剤はシリコーンと馴染みが悪く反射率を上げるため無機充填材を高充填すると、粘度が増加し作業性が悪くなるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2013-067677号公報
【文献】特開2006-93354号公報
【文献】特開2000-351949号公報
【文献】特開2001-163981号公報
【文献】特開2002-348377号公報
【文献】特開2016-204426号公報
【文献】特開2013-79328号公報
【文献】特許5844252号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで上記特許文献に記載の組成物よりも優れた接着性を有し、無機充填剤との馴染みが良く、高信頼性の半導体装置を与える硬化物を提供することが要求されている。本発明は当該問題を鑑み成されたものであり、基材との接着が良好であり無機充填剤との馴染みが良い付加硬化型シリコーン樹脂組成物およびその硬化物ならびにその硬化物によって封止された高信頼性の半導体装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
オルガノポリシロキサンがアルコキシ基又はシラノール基を有すると硬化物の表面タックが生じるため、従来、特に半導体封止用の付加硬化型シリコーン樹脂組成物においては、アルコキシ基及びシラノール基を積極的に残存することはされていなかった。本発明者らは、敢えてアルコキシ基及び/又はシラノール基をオルガノポリシロキサン中に残したところ、特定量のアルコキシ基及び/又はシラノール基有するオルガノポリシロキサンを含む付加硬化型シリコーン樹脂組成物の硬化物が基材に対する優れた接着性を有し、上記課題を解決できることを見出し、本発明を成すに至った。
【0010】
即ち、本発明は、下記(A)~(C)成分を含む付加硬化型シリコーン樹脂組成物を提供する。
(A)RSiO2/2単位及びR SiO1/2単位から選ばれる1以上と、R2' SiO2/2単位、R2' SiO1/2単位、及びR2'SiO3/2単位から選ばれる1以上とを有し、全シロキサン単位の合計個数に対するRSiO2/2単位及びR SiO1/2単位の合計個数が0.001%以上かつ50%以下であり、全シロキサン単位の合計モル数に対するR 2' SiO 3/2 単位のモル数が0%以上かつ30モル%以下である、アルケニル基を少なくとも1個有する直鎖状又は分岐状オルガノポリシロキサン
(前記シロキサン単位において、Rは互いに独立に、水酸基又は炭素数1~30のアルコキシ基であり、Rは互いに独立に、炭素数1~12の置換または非置換の飽和炭化水素基、炭素数6~12の置換または非置換の芳香族炭化水素基、炭素数2~10のアルケニル基、及びRの選択肢から選ばれる基であり、R2'は上記Rの選択肢のうちRの選択肢以外から選ばれる基であり、R及びR2' のうち少なくとも1個はアルケニル基である)
(B)ヒドロシリル基を少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン;(A)成分中のアルケニル基の合計個数に対する(B)成分中のヒドロシリル基の個数比が0.1~4となる量、及び
(C)ヒドロシリル化反応触媒 触媒量。
更に、本発明は上記シリコーン樹脂組成物の硬化物で被覆された半導体素子を有する半導体装置を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の付加硬化型シリコーン樹脂組成物は、基材に対する接着性に優れる。また、本発明の付加硬化型シリコーン樹脂組成物は無機充填剤との馴染みが良好であり、流動性が良好であり作業性に優れる組成物を提供することができる。該組成物の硬化物で半導体素子を封止することにより、信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0013】
[(A)アルケニル基含有オルガノポリシロキサン]
(A)成分は、アルケニル基含有オルガノポリシロキサンであり、シリコーン樹脂組成物の主成分であり、(B)成分と共に、後述する(C)成分とヒドロシリル化反応して硬化物を形成する。該(A)成分は、1分子中に少なくとも1個のケイ素原子結合アルケニル基を有する、直鎖状又は分岐状オルガノポリシロキサンである。
【0014】
(A)成分は、RSiO2/2単位及びR SiO1/2単位の1以上と、R2’ SiO2/2単位、R2’ SiO1/2単位、及びR2’SiO3/2単位から選ばれる1以上とを有し、該全シロキサン単位の合計個数に対するRSiO2/2単位及びR SiO1/2単位の合計個数が0.001%以上50%以下である、アルケニル基を少なくとも1個有する直鎖状又は分岐状オルガノポリシロキサンである。RSiO2/2単位及び/又はR SiO1/2単位を、シロキサン単位の合計個数に対して0.001%以上50%以下、好ましくは0.01%以上40%以下、更に好ましくは0.02%以上30%以下、特には0.1%以上20%以下で有することを特徴とする。前記シロキサン単位において、Rは水酸基又は炭素数1~30、好ましくは1~10のアルコキシ基であり、Rは互いに独立に、炭素数1~12の置換または非置換の飽和炭化水素基、炭素数6~12の置換または非置換の芳香族炭化水素基、炭素数2~10のアルケニル基、又はRの選択肢から選ばれる基である。シラノール基及び/又はアルコキシシリル基を有する単位を上記範囲内で有することにより、得られる硬化物は基材に対する優れた接着性を有することができる。更には、オルガノポリシロキサンが所定量のシラノール基及び/又はアルコキシシリル基を有することにより無機充填剤との馴染みが良好となり、無機充填剤を高配合した場合においても流動性が良好な組成物を提供することができる。RSiO2/2単位及びR SiO1/2単位の含有割合が上記下限値未満では銀版等の基材に対する良好な接着性が得られない。また、上記上限値超では硬化物が表面タック性を有し、埃の付着等が起こるため好ましくない。
【0015】
は水酸基、炭素数1~30、好ましくは1~10、より好ましくは1~6のアルコキシ基である。Rは互いに独立に、炭素数1~12、好ましくは1~6の置換または非置換の飽和炭化水素基、炭素数6~12、好ましくは6~8の置換または非置換の芳香族炭化水素基から選ばれる基、炭素数2~10のアルケニル基、又はRの選択肢から選ばれる基である。前記飽和炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;これらの基の炭素原子に結合する水素原子の一部又は全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子またはシアノ基で置換したもの、例えば、トリフルオロプロピル基、クロロプロピル基等のハロゲン化1価炭化水素基;β-シアノエチル基、γ-シアノプロピル基等のシアノアルキル基、3-メタクリルオキシプロピル基、3-グリシジルオキシプロピル基、3-メルカプトプロピル基、3-アミノプロピル基が例示される。この中でも、メチル基、シクロヘキシル基などが好ましく、メチル基が特に好ましい。また、芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基等のアリール基やベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基などが挙げられる。中でも、フェニル基、トリル基が好ましく、フェニル基が特に好ましい。またアルケニル基の例としてはビニル基、アリル基、プロペニル基、ヘキセニル基、スチリル基、及びエチニル基などが挙げられ、ビニル基、アリル基が好ましく、特にビニル基が好ましい。またアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、ヘキソキシ基、ペントキシ基、ヘプトキシ基、オクトキシ基、ノナノキシ基、デカノキシ基、及びウンデカノキシ基などが挙げられる。これらの中では、メトキシ基、エトキシ基、プロピル基、イソプロピル基、ブトキシ基、及びイソブトキシ基が好ましい。
【0016】
(A)成分はRSiO2/2(D単位)またはR SiO1/2(M単位)で表される基を少なくとも1つ有する。即ち、ケイ素原子に結合するアルコキシ基又は水酸基を少なくとも1つ有する上記D単位又はM単位を少なくとも1つ、好ましくは2個以上有する。特に好ましくは、ケイ素原子に結合するアルコキシ基又は水酸基を側鎖に有するのがよい。即ち、ケイ素原子に結合するアルコキシ基又は水酸基を少なくとも1つ有するRSiO2/2(D単位)を、少なくとも1個、好ましくは1個~100個有していることが好ましい。側鎖にアルコキシ基及び/又は水酸基を有することにより、保存安定性が良好となるため好ましい。
【0017】
(A)成分は直鎖状又は分岐状オルガノポリシロキサンであり、上記RSiO2/2(D単位)及びR SiO1/2(M単位)以外のシロキサン単位としては、R2’ SiO2/2(D単位)、R2’ SiO1/2(M単位)、及びR2’SiO3/2(T単位)から選ばれる単位を有すればよい。R2’は上記Rの選択肢のうちRの選択肢以外から選ばれる基である。すなわち、R2’は互いに独立に、炭素数1~12、好ましくは1~6の置換または非置換の飽和炭化水素基、炭素数6~12、好ましくは6~8の置換または非置換の芳香族炭化水素基から選ばれる基、及び炭素数2~10のアルケニル基から選ばれる基である。詳細には上記Rにて例示した基が挙げられる。また、SiO4/2単位を少量含んでいてもよい。SiO4/2単位は、例えば、該全シロキサン単位の合計個数に対し5%以下、好ましくは0.001~3%となる量で含むことができる。
【0018】
及びR2’のうち少なくとも1個がアルケニル基である。アルケニル基の含有割合は特に制限されるものでないが、好ましくは該全シロキサン単位の合計個数に対し0.001%~20%となる量で有するのがよい。アルケニル基の結合箇所は制限されないが、好ましくは末端に少なくとも1個、好ましくは両末端に1個ずつ有するのがよい。
【0019】
(A)成分は芳香族炭化水素基を有していなくてもよく、前記(A)成分が有するケイ素原子に結合する全置換基(即ち、R、R、及びR2’)の合計個数のうちケイ素原子に結合する芳香族炭化水素基の割合は0%であってもよい。芳香族炭化水素基を有する場合には、好ましくは前記(A)成分が有するケイ素原子に結合する全置換基(即ち、R、R、及びR2’)の合計個数のうちケイ素原子に結合する芳香族炭化水素基の割合が90%以下であるのがよく、より好ましくは90%以下であり、より好ましくは85%以下、さらには83%以下であり、80%以下で有することが最も好ましい。芳香族炭化水素基を上記上限値以下で有することにより、(A)成分中にある上記RSiO2/2(D単位)及びR SiO1/2(M単位)にあるアルコキシ基及び水酸基を効率よく導入することができ、分子の自由度が確保され、良好な機械特性を確保できるので、より好ましい。下限値は特に制限されるものでないが、有する場合には3%以上が好ましく、より好ましくは5%以上であり、さらに好ましくは15%以上であり、特には25%以上であってもよい。
【0020】
(A)成分は、JIS K 7117-1:1999に規定する方法で測定したB型粘度計による25℃での粘度が10mPa・s以上100,000mPa・s以下であることが好ましく、より好ましくは100mPa・s以上50,000mPa・s以下、更に好ましくは500mPa・s以上30,000mPa・s以下であるのがよい。粘度が上記下限値以上であれば組成物が脆くなる恐れがなく、また上記上限値以下であれば作業性が悪くなる恐れがない。
【0021】
(A)成分は例えば下記式で表されるが、これらに限定されるものではない。
【化1】
(上記式において、s1及びs2は、0~2,000の整数である。好ましくはs1は 1~2,000の整数である。)
【化2】
(上記式において、sは0~2,000の整数であり、好ましくは1~2,000の整数である。tは1~2,000の整数であり、好ましくは2~1,000の整数である。)
【化3】
(上記式において、s、及びt’は0~2,000の整数であり、sは好ましくは1~1,000の整数であり、t’は好ましくは1~2,000の整数である)
【化4】
(上記式において、s及びuは0~2,000の整数であり、tは1~2,000の整数である。sは好ましくは1~1,000の整数であり、tは好ましくは1~1,000の整数であり、uは好ましくは1~2,000の整数である。)
【化5】
(上記式において、s及びuは0~2,000の整数であり、tは1~2,000の整数である。sは好ましくは1~1,000の整数であり、tは好ましくは1~1,000の整数であり、uは好ましくは1~100の整数である。pは0~1,000の整数であり、好ましくは1~500の整数である。)
【化6】
(式中、s及びtは0から2,000の整数であり、uは1~2,000の整数である。sは好ましくは1~1,000の整数であり、tは好ましくは1~2,000の整数であり、uは好ましくは1~100の整数である。pは0~1,000の整数であり、好ましくは1~500の整数である。)
【化7】
(式中、s、t、p、qおよびrは0から2,000の整数であり、uは1~2,000の整数である。sは好ましくは1~1,000の整数であり、tは好ましくは1~2,000の整数であり、uは好ましくは1~1,000の整数であり、pは好ましくは0~100の整数であり、q及びrは、好ましくは0~1,000の整数である。)
【0022】
(A)成分として特に好ましい態様としては、上記の通り分岐鎖を有するオルガノポリシロキサンである。中でも、分岐鎖のシロキサン単位数が1~4個であるオルガノポリシロキサンが特に好ましい。当該オルガノポリシロキサンはガラス転移温度が低く、シロキサン単位数が5個以上である長い分岐鎖を有するオルガノポリシロキサンに比較して優れた温度変化耐性を有する。従って、上述した本発明の効果に加えて耐クラック性に優れる硬化物を与えることができる。
【0023】
[(B)オルガノハイドロジェンポリシロキサン]
(B)成分はオルガノハイドロジェンポリシロキサンである。前記(B)成分及び任意の(D)成分のアルケニル基とヒドロシリル化反応することによって架橋構造を形成して硬化物を与えるための架橋剤として機能する。該(B)成分は、ヒドロシリル基を分子内に少なくとも2つ有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンであればよい。例えば、下記式(4)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンを挙げることができる。

(R SiO1/2r’(R SiO2/2s’(RSiO3/2t’(SiO4/2u’
(4)
(式中、Rは互いに独立に、水素原子、又は、炭素数1~12の置換または非置換の飽和炭化水素基、及び炭素数6~12の置換または非置換の芳香族炭化水素基から選ばれる基であり、但し、Rのうち少なくとも2個は水素原子であり、r’は0~100の整数であり、s’は0~300の整数であり、t’は0~200の整数であり、u’は0~200の整数であり、但し、2≦r’+s’+t’+u’≦800である)
【0024】
において、炭素数1~12の置換または非置換の飽和炭化水素基、及び、炭素数6~12の置換または非置換の芳香族炭化水素基は、上記Rの為に例示した基が挙げられる。Rのうち少なくとも2つ、好ましくは2~50個は水素原子である。水素原子以外の基としては、メチル基又はフェニル基が好ましい。
【0025】
r’は0~100の整数であり、好ましく0~75の整数であり、さらに好ましくは0~50の整数である。s’は0~300の整数であり、好ましくは0~200の整数であり、さらに好ましくは0~100の整数である。t’は0~200の整数であり、好ましくは0~100の整数であり、さらに好ましくは0~50の整数である。u’は0~200の整数であり、好ましくは0~100の整数であり、さらに好ましくは0~50の整数である。但し、2≦r’+s’+t’+u’≦800であり、好ましくは2≦r’+s’+t’+u’≦400であり、さらに好ましくは2≦r’+s’+t’+u’≦200であるのがよい。
【0026】
前記(B)成分において、オルガノポリシロキサンが有するケイ素原子に結合する全置換基(即ち、R)の合計個数のうちケイ素原子に結合する芳香族炭化水素基の割合が3%以上90%以下であることが好ましく、5%以上80%以下であることが更に好ましく、5%以上60%以下であってもよい。上記範囲内であれば(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンが(A)成分及び(D)成分と良好に相溶するため、透明性にも優れた硬化物を与えることができる。そのため、半導体装置の封止用途などに好適に用いることができる。なお、(B)成分は芳香族炭化水素基を有していなくてもよく、下限値は0%であってもよい。
【0027】
(B)成分のヒドロシリル基を分子内に少なくとも2つ有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンの添加量は、(A)成分と任意の(D)成分のアルケニル基の合計数に対して(B)成分のヒドロシリル基の数が0.1~4となる量であり、好ましくは0.4~3となる量であり、好ましくは0.6~2となる量であり、更に好ましくは0.8~1.6となる量である。上記下限値未満ではヒドロシリル基が不足するため硬化不良となるため好ましくない。また、上記上限値超では残存ヒドロシリル基による脱水素などの副反応が生じやすくなるので好ましくない。
【0028】
[(C)ヒドロシリル化触媒]
(C)成分はヒドロシリル化触媒である。該触媒は、上記(A)成分及び(D)成分と(B)成分との付加反応を進行させるものであればよく、特に限定されるものでない。従来公知の付加反応触媒であればよいが、中でも、白金族金属単体および白金族金属化合物から選ばれる触媒が好ましい。例えば、白金(白金黒を含む)、塩化白金、塩化白金酸、白金-ジビニルシロキサン錯体等の白金-オレフィン錯体、白金-カルボニル錯体等の白金触媒、パラジウム触媒、ロジウム触媒等が挙げられる。これらの触媒は、単独で使用しても2種以上を組み合わせても良い。中でも特に好ましくは、塩化白金酸、および、白金-ジビニルシロキサン錯体等の白金-オレフィン錯体である。
【0029】
(C)成分の量は触媒量であればよい。触媒量とは、ヒドロシリル化反応を進行できる量であり、希望する硬化速度に応じて適宜調整すればよい。例えば白金族金属触媒である場合には、反応速度の観点から、上記(A)及び(B)成分、並びに含む場合は(D)成分の合計100質量部に対して、白金族金属原子に換算した質量基準で1.0×10-4質量部以上1.0質量部以下となる量が好ましく、更には1.0×10-3質量部以上1.0×10-1質量部以下となる量がより好ましい。
【0030】
[(D)アルケニル基含有オルガノポリシロキサン]
本発明の組成物は(D)下記式(3)で表される、網目状構造を有するアルケニル基含有オルガノポリシロキサンを更に含むのが好ましい。該(D)成分を前記(A)成分と併用することによって、硬化物である樹脂の強度を上げる効果をもたらすものである。
(R SiO1/2(R SiO2/2(RSiO3/2(SiO4/2 (3)
(式中、Rは互いに独立に、炭素数1~12の置換または非置換の飽和炭化水素基、炭素数6~12の置換または非置換の芳香族炭化水素基、炭素数2~10のアルケニル基、炭素数1~10のケイ素原子に結合したアルコキシ基及び水酸基から選ばれる基であり、前記Rの少なくとも2個はアルケニル基であり、rは0~100の整数、sは0~300の整数、tは0~200の整数、uは0~200の整数であり、1≦t+u≦400、2≦r+s+t+u≦800である)
【0031】
は、互いに独立に、水酸基、炭素数1~10、好ましくは1~6のアルコキシ基、炭素数1~12、好ましくは1~6の置換または非置換の飽和炭化水素基、炭素数6~12、好ましくは6~8の置換または非置換の芳香族炭化水素基、及び、炭素数2~10のアルケニル基から選ばれる基である。飽和炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;これらの基の炭素原子に結合する水素原子の一部又は全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子またはシアノ基で置換したもの、例えば、トリフルオロプロピル基、クロロプロピル基等のハロゲン化1価炭化水素基;β-シアノエチル基、γ-シアノプロピル基等のシアノアルキル基、3-メタクリルオキシプロピル基、3-グリシジルオキシプロピル基、3-メルカプトプロピル基、3-アミノプロピル基等が挙げられる。中でも、メチル基及びシクロヘキシル基などが好ましく、メチル基が特に好ましい。また、芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トリル基、及びナフチル基等のアリール基やベンジル基、フェニルエチル基、及びフェニルプロピル基等のアラルキル基などが挙げられる。中でも、フェニル基、及びトリル基が好ましく、フェニル基が特に好ましい。またアルケニル基としてはビニル基、アリル基、プロペニル基、ヘキセニル基、スチリル基、及びエチニル基などが挙げられ、ビニル基、及びアリル基が好ましく、特にビニル基が好ましい。またアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、及びブトキシ基が挙げられる。中でも、メトキシ基、エトキシ基、プロピル基、及びイソプロピル基が好ましい。
【0032】
rは0~100の整数であり、好ましくは0~75の整数であり、さらに好ましくは0~50の整数である。sは0~300の整数であり、好ましくは0~200の整数であり、さらに好ましくは0~100の整数である。tは0~200の整数であり、好ましくは3~100の整数であり、さらに好ましくは5~50の整数であり、uは0~200の整数であり、好ましくは0~100の整数であり、さらに好ましくは0~50の整数である。但し、1≦t+u≦400であり、好ましくは1≦t+u≦200であり、より好ましくは3≦t+u≦100であり、2≦r+s+t+u≦800であり、好ましくは2≦r+s+t+u≦400であり、より好ましくは2≦r+s+t+u≦200である。
【0033】
前記(D)成分において、オルガノポリシロキサンが有するケイ素原子に結合する全置換基(即ち、R)の合計個数のうちケイ素原子に結合する芳香族炭化水素基の割合が3%以上90%以下であることが好ましく、5%以上80%以下であることが更に好ましく、10%以上60%以下であってもよい。芳香族炭化水素基を上記範囲で有することにより、(D)成分のオルガノポリシロキサンを含有する組成物の硬化物が高屈折率であったり、ガス透過性が低かったりするだけでなく、(A)成分と良好に相溶し、透明性及び機械的強度に優れた硬化物を与えることができる。そのため、半導体装置の封止用途などに好適に用いることができる。なお、(D)成分は芳香族炭化水素基を有していなくてもよく、下限値は0%であってもよい。
【0034】
(D)成分の量は、前記(A)成分100質量部に対して、10~10,000質量部であり、好ましくは30~3,000質量部、更に好ましくは80~1,000質量部であり、特には100~500質量部である。
【0035】
[その他の成分]
本発明の硬化性組成物は、上記(A)~(D)成分以外に、必要に応じて、蛍光体、無機充填材、接着助剤、及び硬化抑制剤等を含有してもよい。以下、各成分について説明する。
【0036】
[蛍光体]
蛍光体は、特に制限されるものでなく、従来公知の蛍光体を使用すればよい。例えば、半導体素子、特に窒化物系半導体を発光層とする半導体発光ダイオードからの光を吸収し、異なる波長の光に波長変換するものであることが好ましい。このような蛍光体としては、例えば、Eu、Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される窒化物系蛍光体・酸窒化物系蛍光体、Eu等のランタノイド系、Mn等の遷移金属系の元素により主に賦活されるアルカリ土類金属ハロゲンアパタイト蛍光体、アルカリ土類金属ホウ酸ハロゲン蛍光体、アルカリ土類金属アルミン酸塩蛍光体、アルカリ土類金属ケイ酸塩蛍光体、アルカリ土類金属硫化物蛍光体、アルカリ土類金属チオガレート蛍光体、アルカリ土類金属窒化ケイ素蛍光体、ゲルマン酸塩蛍光体、又は、Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される希土類アルミン酸塩蛍光体、希土類ケイ酸塩蛍光体又はEu等のランタノイド系元素で主に賦活される有機及び有機錯体蛍光体、Ca-Al-Si-O-N系オキシ窒化物ガラス蛍光体等から選ばれる1種以上であることが好ましい。
【0037】
Eu、Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される窒化物系蛍光体としては、MSi:Eu(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、Znから選ばれる少なくとも1種である)が挙げられる。また、MSi10:Eu、M1.8Si0.2:Eu、及びM0.9Si0.110:Eu(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、Znから選ばれる少なくとも1種である)などが挙げられる。
【0038】
Eu、Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される酸窒化物系蛍光体としては、MSi:Eu(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、Znから選ばれる少なくとも1種である)が挙げられる。
【0039】
Eu等のランタノイド系、Mn等の遷移金属系の元素により主に賦活されるアルカリ土類金属ハロゲンアパタイト蛍光体としては、M(POX:R(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、Znから選ばれる少なくとも1種である。Xは、F、Cl、Br、Iから選ばれる少なくとも1種である。Rは、Eu、Mn、Eu及びMnのいずれか1以上である)が挙げられる。
【0040】
アルカリ土類金属ホウ酸ハロゲン蛍光体としては、MX:R(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、Znから選ばれる少なくとも1種である。Xは、F、Cl、Br、Iから選ばれる少なくとも1種である。Rは、Eu、Mn、Eu及びMnのいずれか1以上である)が挙げられる。
【0041】
アルカリ土類金属アルミン酸塩蛍光体としては、SrAl:R、SrAl1425:R、CaAl:R、BaMgAl1627:R、BaMgAl1612:R、及びBaMgAl1017:R(Rは、Eu、Mn、Eu及びMnのいずれか1以上である)が挙げられる。
【0042】
アルカリ土類金属硫化物蛍光体としては、LaS:Eu、YS:Eu、及びGdS:Euなどが挙げられる。
【0043】
Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される希土類アルミン酸塩蛍光体としては、YAl12:Ce、(Y0.8Gd0.2Al12:Ce、Y(Al0.8Ga0.212:Ce、及び(Y,Gd)(Al,Ga)12の組成式で表されるYAG系蛍光体が挙げられる。また、Yの一部若しくは全部をTb、Lu等で置換したTbAl12:Ce、LuAl12:Ceなどもある。
【0044】
その他の蛍光体には、ZnS:Eu、ZnGeO:Mn、MGa:Eu(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、Znから選ばれる少なくとも1種である。Xは、F、Cl、Br、Iから選ばれる少なくとも1種である)などが挙げられる。
上記蛍光体は、所望に応じてEuに代えて、又は、Euに加えてTb、Cu、Ag、Au、Cr、Nd、Dy、Co、Ni、Tiから選択される1種以上を含有させることができる。
【0045】
Ca-Al-Si-O-N系オキシ窒化物ガラス蛍光体とは、モル%表示で、CaCOをCaOに換算して20モル%から50モル%、Alを0モル%から30モル%、SiOを25モル%から60モル%、AlNを5モル%から50モル%、希土類酸化物または遷移金属酸化物を0.1モル%から20モル%とし、5成分の合計が100モル%となるオキシ窒化物ガラスを母体材料とした蛍光体である。尚、オキシ窒化物ガラスを母体材料とした蛍光体では、窒素含有量が15質量%以下であることが好ましく、希土類酸化物イオンの他に増感剤となる他の希土類元素イオンを希土類酸化物として蛍光ガラス中に0.1モル%以上10モル%以下の範囲の含有量で共賦活剤として含むことが好ましい。
【0046】
また、上記蛍光体以外の蛍光体であって、同様の性能、効果を有する蛍光体を使用することもできる。
【0047】
蛍光体の量は、蛍光体以外の成分、例えば(A)、(B)、(C)及び(D)成分100質量部に対して、0.1質量部から2,000質量部が好ましく、より好ましくは0.1質量部から100質量部である。本発明の硬化物を蛍光体含有波長変換フィルムとする場合は、蛍光体の含有量を10質量部から2,000質量部とするのが好ましい。また、蛍光体は、平均粒径10nm以上を有することが好ましく、より好ましくは10nmから10μm、更に好ましくは10nmから1μmを有するのがよい。上記平均粒径は、シーラスレーザー測定装置などのレーザー光回折法による粒度分布測定で測定される。
【0048】
[無機充填材]
無機充填材としては、例えば、シリカ、ナノシリカ、ヒュームドシリカ、ヒュームド二酸化チタン、アルミナ、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、二酸化チタン、酸化第二鉄、酸化ジルコニウム、ナノジルコニア及び酸化亜鉛等を挙げることができる。これらは、1種単独または2種以上を併用することができる。無機充填材の配合量は特に制限されないが、(A)、(B)、(C)及び任意の(D)成分の合計100質量部あたり9,000質量部以下、好ましくは0.1質量部~6,000質量部、より好ましくは0.5質量部~2,000質量部、さらに好ましくは1~800質量部、特には5~500質量部の範囲で適宜配合すればよい。本発明の付加硬化型シリコーン樹脂組成物は無機充填剤との馴染みが良好であり、無機充填剤を高含有量で配合した場合にも流動性が良好な組成物を提供することができ、作業性に優れる。
【0049】
[接着助剤]
本発明の硬化性組成物は、接着性を付与するため、必要に応じて接着助剤を含有してよい。接着助剤としては、例えば、1分子中にケイ素原子に結合した水素原子、アルケニル基、アルコキシ基、エポキシ基から選ばれる官能性基を少なくとも2種、好ましくは3種有するオルガノシロキサンオリゴマーが挙げられる。該オルガノシロキサンオリゴマーは、ケイ素原子数4個から50個であることが好ましく、より好ましくは4個から20個である。また、接着助剤として、下記一般式(5)で示されるイソシアヌレート化合物、及びその加水分解縮合物を使用することができる。
【化8】
上記式(5)中、Rは互いに独立に、下記(6)で示される有機基、又は炭素数2~10の脂肪族不飽和炭化水素基、またはイソシアネート基を含有する1価炭化水素基である。
【化9】
は水素原子又は炭素数1から6の1価炭化水素基であり、kは1から6の整数、好ましくは1から4の整数である。
【0050】
接着助剤の量は、(A)、(B)、(C)及び(D)成分の合計100質量部に対して、10質量部以下が好ましく、より好ましくは0.1質量部から8質量部、特に好ましくは0.2質量部から5質量部である。配合量が上記上限値以下であれば硬化物硬度が高いものとなり、表面タック性も抑えられる。
【0051】
[硬化抑制剤]
本発明の硬化性組成物は、反応性を制御して貯蔵安定性を高めるために、硬化抑制剤を含んで良い。硬化抑制剤としては、トリアリルイソシアヌレート、アルキルマレエート、アセチレンアルコール類、及びそのシラン変性物及びシロキサン変性物、ハイドロパーオキサイド、テトラメチルエチレンジアミン、ベンゾトリアゾール、及びこれらの混合物からなる群から選ばれる化合物が挙げられる。硬化抑制剤の配合量は、(A)、(B)、(C)及び(D)成分の合計100質量部あたり、0.001質量部から1.0質量部が好ましく、より好ましくは0.005質量部から0.5質量部である。
【0052】
[その他の添加剤]
本発明の硬化性組成物には、上記成分のほかに、その他の添加剤を配合することができる。その他の添加剤としては、例えば、老化防止剤、ラジカル禁止剤、難燃剤、界面活性剤、オゾン劣化防止剤、光安定剤、増粘剤、可塑剤、酸化防止剤、熱安定剤、導電性付与剤、帯電防止剤、放射線遮断剤、核剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、金属不活性化剤、物性調整剤、有機溶剤等が挙げられる。これらの任意成分は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0053】
本発明の硬化性組成物の好適な実施形態は、(A)成分、(B)成分、(C)成分、および(D)成分からなる組成物である。好ましくは(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、及び蛍光体からなる組成物である。高い透明性を有する硬化物を得るためにはシリカ充填材等の無機充填材を含有しないのがよい。該無機充填材の例は上述の通りである。
【0054】
本発明の硬化性組成物の調製方法は特に制限されるものでなく、従来公知の方法に従えばよい。例えば、(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び(D)成分を任意の方法により混合して調製することができる。または、(A)、(B)、(C)、(D)成分と蛍光体、もしくは(A)、(B)、(C)、(D)成分、及び任意成分を任意の方法により混合して調製すればよい。例えば、市販の攪拌機(THINKY CONDITIONING MIXER((株)シンキー製)等)に入れて、1分間から5分間程度、均一に混合することによって調製することができる。
【0055】
本発明の硬化性組成物を硬化する方法は特に制限されるものでなく従来公知の方法に従えばよい。例えば、60℃から180℃、1時間から12時間程度で硬化することができる。特には、60℃から150℃でステップキュアによって硬化させることが好ましい。ステップキュアでは、以下の2段階を経ることがより好ましい。まず、硬化性組成物を60℃から100℃の温度で0.5時間から2時間加熱し、十分に脱泡させる。次いで、硬化性組成物を120℃から180℃の温度で1から10時間加熱硬化させる。これらの段階を経ることにより、硬化物が厚い場合であっても十分に硬化し、気泡の発生がなく、無色透明を有することができる。本発明において無色透明の硬化物とは、1mm厚に対する450nmにおける光透過率が80%以上、好ましくは85%以上、特に好ましくは90%以上であるものを意味する。
【0056】
本発明の硬化性組成物は高い光学的透過性を有する硬化物を与える。従って、本発明の硬化性組成物は、LED素子封止用、特に青色LEDや紫外LEDの素子封止用として有用なものである。本発明の硬化性組成物でLED素子等を封止する方法は従来公知の方法に従えばよい。例えば、ディスペンス法、コンプレッションモールド法などによって行うことができる。
【0057】
本発明の硬化性組成物及び硬化物は、その他にも、その優れた耐クラック性、耐熱性、耐光性、透明性等の特性から、ディスプレイ材料、光記録媒体材料、光学機器材料、光部品材料、光ファイバー材料、光・電子機能有機材料、半導体集積回路周辺材料等の用途にも有用である。
【実施例
【0058】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。下記において部は質量部を意味し、Meはメチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基の意味である。また、以下において、SiH/SiVi比とは、(A)成分中のケイ素原子結合ビニル基の合計個数に対する(B)成分中のケイ素原子結合水素原子の合計個数の比、または(D)成分を含む組成においては、(A)及び(D)成分中のケイ素原子結合ビニル基の合計個数に対する(B)成分中のケイ素原子結合水素原子の合計個数の比である。
【0059】
下記実施例に示した重量平均分子量(Mw)はポリスチレンを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定した値である。以下に測定条件を示す。
[GPC測定条件]
展開溶媒:テトラヒドロフラン
流速:0.6mL/min
カラム:TSK Guardcolumn SuperH-L
TSKgel SuperH4000(6.0mmI.D.×15cm×1)
TSKgel SuperH3000(6.0mmI.D.×15cm×1)
TSKgel SuperH2000(6.0mmI.D.×15cm×2)
(いずれも東ソー社製)
カラム温度:40℃
試料注入量:20μL (試料濃度:0.5質量%-テトラヒドロフラン溶液)
検出器:示差屈折率計(RI)
【0060】
[実施例1]
(A)成分として、MeSiO3/2単位3.99モル%、PhMeSiO2/2単位84モル%、ViMeSiO1/2単位12モル%、および、Me(CHO)SiO2/2単位0.01モル%からなる分岐鎖状のフェニルメチルポリシロキサン(Mw=5,200、全置換基に対する芳香族基の個数割合42%)を10部、
(D)成分として、PhSiO3/2単位78モル%、ViPhMeSiO1/2単位22モル%からなるレジン構造のフェニルメチルポリシロキサン(Mw=2,200、全置換基に対する芳香族基の個数割合54%)を30部、及び
(B)成分として、下記式(8)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンをSiH/SiVi比が1.0となる量
【化10】
(式中、p=1(平均値)である。全置換基に対する芳香族基の個数割合25%)
を容器内で混合し、該混合容器内へ(C)成分として、塩化白金酸のオクチルアルコール変性溶液(白金元素含有率:1質量%)0.01部(上記(A)、(B)及び(D)成分の合計質量部に対して、白金族金属原子に換算した質量基準として2ppm)を加え、よく撹拌して、シリコーン樹脂組成物を得た。
【0061】
[実施例2]
実施例1で用いた(A)成分を、MeSiO3/2単位3.999モル%、PhMeSiO2/2単位84モル%、ViMeSiO1/2単位12モル%、およびMe(CHO)SiO2/2単位0.001モル%からなる分岐鎖状のフェニルメチルポリシロキサン(Mw=6,200、全置換基に対する芳香族基の個数割合40%)10部に替えた他は実施例1を繰り返してシリコーン樹脂組成物を得た。
【0062】
[実施例3]
実施例1で用いた(A)成分を、PhMeSiO2/2単位40モル%、ViMeSiO1/2単位10モル%、およびMe(CO)SiO2/2単位50モル%からなる直鎖状のフェニルメチルポリシロキサン(Mw=7,500、全置換基に対する芳香族基の個数割合19%)10部に替えた他は実施例1を繰り返してシリコーン樹脂組成物を得た。
【0063】
[実施例4]
実施例1で用いた(A)成分を、PhMeSiO2/2単位90モル%、ViMeSiO1/2単位9.99モル%、およびMe(OH)SiO1/2単位0.01モル%からなる直鎖状のフェニルメチルポリシロキサン(Mw=3,200、全置換基に対する芳香族基の個数割合43%)10部に替えた他は実施例1を繰り返してシリコーン樹脂組成物を得た。
【0064】
[実施例5]
実施例1で用いた(A)成分を、SiO4/2単位0.3モル%、PhSiO2/2単位30モル%、MeSiO2/2単位60モル%、ViMeSiO1/2単位9モル%、および(CO)SiO2/2単位0.7モル%からなる分岐状のフェニルメチルポリシロキサン(Mw=3,200、全置換基に対する芳香族基の個数割合29%)10部に替えた他は実施例1を繰り返してシリコーン樹脂組成物を得た。
【0065】
[実施例6]
(A)成分として、PhSiO3/2単位30モル%、PhSiO2/2単位60モル%、ViMeSiO1/2単位9.9モル%、およびMe(OH)SiO1/2単位0.1モル%からなる分岐状のフェニルメチルポリシロキサン(Mw=5,200、全置換基に対する芳香族基の個数割合83%)を10部、
(D)成分として、SiO4/2単位50モル%、ViPhMeSiO1/2単位22モル%、及びMeSiO1/2単位28モル%からなるレジン構造のフェニルメチルポリシロキサン(Mw=5,200、全置換基に対する芳香族基の個数割合15%)を20部、及び
(B)成分として、下記式(14)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンをSiH/SiVi比が1.2となる量
【化11】
(全置換基に対する芳香族基の個数割合5%)
を容器内で混合し、該混合容器内へ(C)成分として、塩化白金酸のオクチルアルコール変性溶液(白金元素含有率:1質量%)0.01部(上記(A)、(B)及び(D)成分の合計質量部に対して、白金族金属原子に換算した質量基準として2ppm)を加え、よく撹拌して、シリコーン樹脂組成物を得た。
【0066】
[実施例7]
(A)成分として、MeSiO2/2単位88モル%、ViMeSiO1/2単位2モル%およびMe(i-C(CH)CHO)SiO1/2単位10モル%からなる直鎖状のジメチルポリシロキサン(Mw=14,200)を10部、及び
(B)成分として、下記式(16)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンをSiH/SiVi比が1.2となる量
【化12】
を容器内で混合し、該混合容器内へ(C)成分として塩化白金酸のオクチルアルコール変性溶液(白金元素含有率:1質量%)0.01部(上記(A)及び(B)成分の合計質量部に対して、白金族金属原子に換算した質量基準として2ppm)を加え、よく撹拌して、シリコーンゴム組成物を調製した。
【0067】
[比較例1]
実施例1で用いた(A)成分を、PhMeSiO2/2単位88モル%、ViMeSiO1/2単位12モル%からなる直鎖状のフェニルメチルポリシロキサン(Mw=3,000、全置換基に対する芳香族基の個数割合42%)に替えた他は実施例1を繰り返してシリコーン樹脂組成物を得た。
【0068】
[比較例2]
実施例1で用いた(A)成分を、MeSiO3/2単位3.9995モル%、PhMeSiO2/2単位84モル%、ViMeSiO1/2単位12モル%、およびMe(CHO)SiO2/2単位0.0005モル%からなる分岐鎖状のフェニルメチルポリシロキサン(Mw=5,300、全置換基に対する芳香族基の個数割合40%)10部に替えた他は実施例1を繰り返してシリコーン樹脂組成物を得た。
【0069】
[比較例3]
実施例1で用いた(A)成分を、PhMeSiO2/2単位30モル%、ViMeSiO1/2単位10モル%、及びMe(CO)SiO2/2単位60モル%からなる直鎖状のフェニルメチルポリシロキサン(Mw=7,700、全置換基に対する芳香族基の個数割合14%)10部に替えた他は実施例1を繰り返してシリコーン樹脂組成物を得た。
【0070】
上記実施例及び比較例にて得た各シリコーン樹脂組成物を150℃にて4時間加熱成形して、120mm×110mm×1mmを有する硬化物を得た。各シリコーン組成物及び硬化物について、下記に従い各物性を評価した。結果を表1及び2に示す。
【0071】
[各物性測定・評価方法]
(1)外観
各組成物を150℃で4時間硬化して得られた硬化物(厚さ1mm)の色と透明性を目視にて確認した。
(2)性状
硬化前の各組成物の流動性を確認した。100mlのガラス瓶に50gの組成物を入れて密栓し、ガラスビンを横に倒して25℃で10分間静置した。その間に樹脂が流れ出せば液状であると判断した。
(3)粘度
25℃における硬化前の各組成物の粘度をJIS K 7117-1:1999記載のB型回転粘度計による方法で測定した。
(4)屈折率
各組成物を150℃で4時間硬化して得られた硬化物の589nm、25℃における屈折率を、JIS K 7142:2008に準拠して、アッベ型屈折率計により測定した。
(5)硬さ(タイプD)
各組成物を150℃で4時間硬化して得られた硬化物の硬さを、JIS K 6249:2003に準拠して、デュロメータD硬度計を用いて測定した。
(6)切断時伸び及び引張強さ
各組成物を150℃で4時間硬化して得られた硬化物の切断時伸び及び引張強さを、JIS K 6249:2003に準拠して測定した。
(7)表面タック性
各組成物を150℃で4時間硬化して得られた硬化物の表面における埃の付着の有無を目視にて確認し、表面タック性の有無を判定した。
(8)接着性
各組成物0.25gを、面積180mmの銀板に底面積が45mmとなるように成形し、150℃で4時間硬化させた後、ミクロスパチュラを用いて硬化物を破壊し、銀板から剥ぎ取る際に、凝集破壊の部分と剥離部分との割合を求めて、その接着性を判定した。
(判定基準)
○:凝集破壊の割合60%以上であり、接着性が良好である
×:凝集破壊の割合60%未満であり、接着性が不良である
(9)無機充填材混合時の流動性
各組成物10gに、無機充填材として酸化チタン(CR-95 石原産業製)を25g混合し、ガラス基板上に上記混合物を1g塗布した後に、ガラス基板を30°の角度で傾け、5分間放置して樹脂の流動性を判定した。
(判定基準)
○:樹脂が流れ、流動性が良好である
×:樹脂が流れず、流動性が不良である
【0072】
【表1】
【0073】
【表2】
【0074】
表1に示す通り、(A)成分として特定のアルコキシ基及び/又は水酸基を有するオルガノポリシロキサンを含む実施例1~7のシリコーン樹脂組成物は無色透明であり、十分な硬さ、切断時伸び、及び引張強さ、良好な屈折率、及び接着性を有する硬化物を提供する。また、該硬化物は表面タックによる埃の付着がなかった。これに対し、表2に示す通り、アルコキシ基及び/又は水酸基量が本願発明の下限値未満である、又はこれらを有さないオルガノポリシロキサンを含むシリコーン樹脂組成物から得られる硬化物は接着性に劣り、さらに、酸化チタンを添加した際に流動性を失った(比較例1及び2)。また、アルコキシ基及び/又は水酸基量が本願発明の上限値を超えるオルガノポリシロキサンを含むシリコーン組成物では表面タック性を有し、埃が付着した(比較例3)。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明の付加硬化型シリコーン樹脂組成物は、銀版等の基材に対する接着性に優れる。また、本発明の付加硬化型シリコーン樹脂組成物は無機充填剤との馴染みが良好であり、無機充填剤を高配合しても流動性が良好であり作業性に優れる。さらに、本発明のシリコーン樹脂組成物の硬化物は表面タックを有さず、該硬化物で半導体素子を封止することにより、信頼性の高い半導体装置を提供することができる。