(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-04
(45)【発行日】2022-11-14
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
A61F 13/515 20060101AFI20221107BHJP
A61F 13/472 20060101ALI20221107BHJP
A61F 13/511 20060101ALI20221107BHJP
A61F 13/537 20060101ALI20221107BHJP
【FI】
A61F13/515
A61F13/472
A61F13/511
A61F13/537 100
(21)【出願番号】P 2018192356
(22)【出願日】2018-10-11
【審査請求日】2020-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003247
【氏名又は名称】弁理士法人小澤知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】植田 隆宏
(72)【発明者】
【氏名】橋野 央
(72)【発明者】
【氏名】谷尾 俊幸
(72)【発明者】
【氏名】野田 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】横市 綾
【審査官】冨江 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-31079(JP,A)
【文献】特開2016-221135(JP,A)
【文献】特開2011-135979(JP,A)
【文献】特開2013-208320(JP,A)
【文献】特開2011-104014(JP,A)
【文献】特表2009-512489(JP,A)
【文献】実開平5-48924(JP,U)
【文献】国際公開第2018/029785(WO,A1)
【文献】特開2018-302(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15-13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向、前記前後方向に直交する幅方向、及び厚さ方向と、
吸収体と、
前記吸収体より肌面側に配置されており、着用者の肌に対向するトップシートと、
前記吸収体より非肌面側に配置されている非肌側シートと、
前記吸収体の前記幅方向の外側縁よりも前記幅方向の外側で前記トップシートに着色されている材料によって設けられており、疎水性を有する外側疎水部と、を有する吸収性物品であって、
前記トップシートは、前記トップシートの両側の側端部が非肌面側に折り返された一対の第1折り返し部を有し、
前記一対の第1折り返し部は、接合部によって前記非肌側シートと接合されており、
前記一対の第1折り返し部の前記幅方向の先端は、前記接合部の外側縁よりも前記幅方向の内側に位置
し、
前記トップシートと前記吸収体との間に配置されている中間シートを有し、
前記中間シートは、前記中間シートの両側の側端部が非肌面側に折り返された一対の第2折り返し部を有し、
前記一対の第2折り返し部の前記幅方向の先端は、前記吸収体よりも前記幅方向の外側に配置されている、吸収性物品。
【請求項2】
前記吸収性物品の前記幅方向及び前記厚さ方向に沿った断面において、前記トップシートは、前記幅方向の最も外側の端縁である肌側側端を有し、
前記外側疎水部の少なくとも一部は、前記肌側側端よりも肌面側に設けられている請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記吸収性物品の前記幅方向及び前記厚さ方向に沿った断面において、前記トップシートは、前記幅方向の最も外側の端縁である肌側側端を有し、
前記外側疎水部の少なくとも一部は、前記肌側側端よりも非肌面側に設けられている請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記外側疎水部は、前記トップシートの非肌面側に設けられている請求項1から3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記外側疎水部は、前記中間シートの肌面側に設けられている請求項1から3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記外側疎水部は、前記中間シートの非肌面側に設けられている請求項1から3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記中間シートは、前記中間シートの両側の側端部が非肌面側に折り返された一対の第2折り返し部を有し、
前記中間シートは、
前記吸収性物品の前記幅方向及び前記厚さ方向に沿った断面において、前記中間シートの前記幅方向における最も外側の端縁である中間肌側側端と、
前記吸収体の前記外側縁よりも前記幅方向の外側であって、且つ、前記厚さ方向において前記中間肌側側端より肌面側に位置する中間肌面部と、
前記吸収体の前記外側縁よりも前記幅方向の外側であって、且つ、前記厚さ方向において前記中間肌側側端より非肌面側に位置する中間非肌面部と、を有し、
前記外側疎水部は、前記中間肌面部と、前記中間非肌面部とを跨がって設けられている請求項6に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記中間肌面部上に設けられている前記外側疎水部と前記中間非肌面部上に設けられている前記外側疎水部とのうち一方の外側疎水部が、他方の外側疎水部よりも前記幅方向の内側に延びている請求項7に記載の吸収性物品。
【請求項9】
前側域と、後側域と、前記前側域と前記後側域との間に配置されている中央域と、を有し、
前記トップシートは、前記幅方向の最も外側の端縁である肌側側端を有し、
前記吸収体の前記幅方向の側端縁は、
前記前側域において最大の幅に位置する前側最大端縁と、
前記後側域において最大の幅に位置する後側最大端縁と、
前記中央域において最大の幅に位置する中央最大端縁と、を有し、
前記肌側側端から前記中央最大端縁までの距離は、前記肌側側端から前記前側最大端縁までの距離及び前記肌側側端から前記後側最大端縁までの距離よりも長い請求項1から
8のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項10】
前記吸収体の前記幅方向の前記外側縁よりも前記幅方向の内側に設けられている中央疎水部を有し、
前記中央疎水部は、前記吸収体よりも肌面側に設けられており、
前記中央疎水部と前記外側疎水部とは、前記吸収性物品に印刷されたインクが配置されている複数の網点により構成されており、
前記中央疎水部における前記複数の網点の単位面積当たりの密度は、前記外側疎水部における前記複数の網点の単位面積当たりの密度よりも小さい請求項1から
9のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項11】
前記吸収体の前記幅方向の前記外側縁よりも前記幅方向の内側に設けられている中央疎水部を有し、
前記中央疎水部は、前記吸収体よりも肌面側に設けられており、
前記中央疎水部及び前記外側疎水部は、前記吸収性物品に印刷されたインクが配置されている複数の網点により構成されており、
前記外側疎水部における前記複数の網点の単位面積当たりの密度は、前記中央疎水部における前記複数の網点の単位面積当たりの密度よりも小さい請求項1から
9のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項12】
前記吸収体の前記幅方向の前記外側縁よりも前記幅方向の内側に設けられている中央疎水部を有し、
前記中央疎水部は、前記吸収体よりも肌面側に設けられており、
前記吸収体は、液体吸収性繊維の集合体からなる吸収コアを有し、
前記幅方向における前記中央疎水部と前記外側疎水部との間には、前記トップシートと前記吸収コアとが前記厚さ方向に圧搾された圧搾部が設けられている請求項1から
11のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項13】
前記吸収体の前記外側縁よりも前記幅方向の外側において、前記トップシートどうしが、接合されていない請求項1から
12のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項14】
前記接合部は、前記外側疎水部と当接しない位置に配置されている請求項1から
13のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項15】
前側域と、後側域と、前記前側域と前記後側域との間に配置されている中央域と、
前記中央域において、前記吸収体の前記幅方向の前記外側縁よりも前記幅方向の内側に設けられており、疎水性を有する中央疎水部と、を有し、
前記吸収体よりも肌面側に配置されており且つ前記中央疎水部が設けられているシートにおいて、前記中央疎水部と重なる部分の最大厚さは、前記中央疎水部よりも前記幅方向の外側の部分の最大厚さよりも薄い請求項1から
14のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項16】
前後方向、前記前後方向に直交する幅方向、及び厚さ方向と、
吸収体と、
前記吸収体より肌面側に配置されており、着用者の肌に対向するトップシートと、
前記吸収体より非肌面側に配置されている非肌側シートと、
前記吸収体の前記幅方向の外側縁よりも前記幅方向の外側に設けられており、疎水性を有する外側疎水部と、を有する吸収性物品であって、
前記トップシートは、前記トップシートの両側の側端部が非肌面側に折り返された一対の第1折り返し部を有し、
前記一対の第1折り返し部は、接合部によって前記非肌側シートと接合されており、
前記一対の第1折り返し部の前記幅方向の先端は、前記接合部の外側縁よりも前記幅方向の内側に位置し、
前記吸収体の前記外側縁は、前記接合部の前記外側縁よりも前記幅方向の内側に位置する、吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、吸収体と、着用者の肌に対向するトップシートと、トップシートと吸収体との間に配置されている中間シートと、吸収体より非肌面側に配置されている非肌側シートと、を有する吸収性物品が開示されている。当該吸収性物品の中間シートの側端部は、吸収体の幅方向の外側縁よりも幅方向の外側に位置し、かつ疎水性のインクを有している。疎水性のインクによって、吸収体よりも幅方向の外側における排泄物の滲み出しを低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の吸収性物品では、中間シートの側端部には、疎水性のインクが配置されることによって、中間シートの剛性が高くなり易い。トップシートの側端部は、中間シートの側端部(及び非肌面側シートの側端部)と厚さ方向において接合されており、トップシートの側端部の剛性が高くなる。この場合、トップシートの側端部が着用者の肌に沿って曲がり難くなり、トップシートの側端部、特にトップシートの側端縁(エッジ)が、着用者の太ももと擦れて、肌触りが悪化するという問題があった。
【0005】
そこで、吸収体よりも幅方向の外側における排泄物の滲み出しを低減しつつ、肌触りの悪化を抑制できる吸収性物品が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様に係る吸収性物品は、前後方向、前記前後方向に直交する幅方向、及び厚さ方向と、吸収体と、前記吸収体より肌面側に配置されており、着用者の肌に対向するトップシートと、前記吸収体より非肌面側に配置されている非肌側シートと、前記吸収体の前記幅方向の外側縁よりも前記幅方向の外側に設けられており、疎水性を有する外側疎水部と、を有する。前記トップシートは、前記トップシートの両側の側端部が非肌面側に折り返された一対の第1折り返し部を有する。前記一対の第1折り返し部は、接合部によって前記非肌側シートと接合されている。前記一対の第1折り返し部の前記幅方向の先端は、前記接合部の外側縁よりも前記幅方向の内側に位置する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、生理用ナプキン1を肌面側から見た模式平面図(その1)である。
【
図2】
図2は、ナプキン1を非肌面側から見た模式平面図である。
【
図3】
図3は、
図1中のA1-A1線におけるナプキン1の概略模式断面図(その1)である。
【
図4】
図4は、
図3に示す概略断面図のうち幅方向Wの端部を説明する図である。
【
図5】
図5は、ナプキン1を肌面側から見た模式平面図(その2)である。
【
図6】
図6は、
図1中のA1-A1線におけるナプキン1の概略模式断面図(その2)である。
【
図7】
図7は、変更例に係るナプキン1を肌面側から見た模式平面図(その1)である。
【
図8】
図8は、
図7中のA2-A2矢視で示すナプキン1の概略模式断面図である。
【
図9】
図9は、変更例に係るナプキン1を肌面側から見た模式平面図(その2)である。
【
図10】
図10は、疎水部が塗布されている側(肌面側又は非肌面側)から見た拡大模式平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(1)実施形態の概要
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0009】
一態様に係る吸収性物品は、前後方向、前記前後方向に直交する幅方向、及び厚さ方向と、吸収体と、前記吸収体より肌面側に配置されており、着用者の肌に対向するトップシートと、前記吸収体より非肌面側に配置されている非肌側シートと、前記吸収体の前記幅方向の外側縁よりも前記幅方向の外側に設けられており、疎水性を有する外側疎水部と、を有する。前記トップシートは、前記トップシートの両側の側端部が非肌面側に折り返された一対の第1折り返し部を有する。前記一対の第1折り返し部は、接合部によって前記非肌側シートと接合されている。前記一対の第1折り返し部の前記幅方向の先端は、前記接合部の外側縁よりも前記幅方向の内側に位置する。
【0010】
本態様によれば、吸収性物品は、吸収体の外側縁よりも幅方向の外側に設けられている外側疎水部を有するため、親水性である排泄物は、外側疎水部210を通過し難く、吸収体よりも幅方向の外側における排泄物の滲み出しを低減できる。また、第1折り返し部の先端は、接合部の外側縁よりも幅方向の内側に位置するため、トップシートの先端(エッジ)が、露出していない。従って、トップシートの先端が、着用者の肌に当たらないため、肌触りの悪化を抑制できる。
【0011】
好ましい一態様によれば、前記吸収性物品の前記幅方向及び前記厚さ方向に沿った断面において、前記トップシートは、前記幅方向の最も外側の端縁である肌側側端を有してよい。前記外側疎水部の少なくとも一部は、前記肌側側端よりも肌面側に設けられてよい。これにより、吸収体に吸収された排泄物が、着用者の肌(股間)に触れ易い肌面側へ滲み出すことを抑制することができる。排泄物の滲み出しによる着用者の肌触りの悪化を抑制できる。
【0012】
好ましい一態様によれば、前記吸収性物品の前記幅方向及び前記厚さ方向に沿った断面において、前記トップシートは、前記幅方向の最も外側の端縁である肌側側端を有してよい。前記外側疎水部の少なくとも一部は、前記肌側側端よりも非肌面側に設けられてよい。これにより、吸収体に吸収された排泄物が、着用者の肌(太もも)に触れ易い非肌面側へ滲み出すことを抑制することができる。排泄物の滲み出しによる着用者の肌触りの悪化を抑制できる。
【0013】
好ましい一態様によれば、前記外側疎水部は、前記トップシートの非肌面側に設けられてよい。これにより、外側疎水部によって、トップシートの肌面側にまで排泄物が拡散することが制限されるため、着用者の肌に触れるトップシートの肌面側から排泄物が滲み出すことを抑制でき、排泄物の滲み出しによる着用者の肌触りの悪化を抑制できる。加えて、トップシートの肌面側には、外側疎水部が設けられていないため、トップシートの肌触りを損なわず、着用者の肌触りの悪化を抑制できる。
【0014】
好ましい一態様によれば、吸収性物品は、前記トップシートと前記吸収体との間に配置されている中間シートを有してよい。前記外側疎水部は、前記中間シートの肌面側に設けられてよい。これにより、外側疎水部によってトップシートにまで排泄物が拡散することが制限されるため、着用者の肌に触れるトップシートの肌面側から排泄物が滲み出すことを抑制でき、排泄物の滲み出しによる着用者の肌触りの悪化を抑制できる。
【0015】
好ましい一態様によれば、吸収性物品は、前記トップシートと前記吸収体との間に配置されている中間シートを有してよい。前記外側疎水部は、前記中間シートの非肌面側に設けられてよい。これにより、外側疎水部によってトップシートにまで排泄物が拡散することが制限されるため、着用者の肌に触れるトップシートの肌面側から排泄物が滲み出すことを抑制でき、排泄物の滲み出しによる着用者の肌触りの悪化を抑制できる。加えて、トップシート上で吸収体の外側縁よりも幅方向の外側に拡散した排泄物を中間シートの肌面側まで排泄物を引き込み易くなるため、排泄物による着用者の肌触りの悪化を抑制できる。
【0016】
好ましい一態様によれば、前記中間シートは、前記中間シートの両側の側端部が非肌面側に折り返された一対の第2折り返し部を有してよい。前記中間シートは、前記吸収性物品の前記幅方向及び前記厚さ方向に沿った断面において、前記中間シートの前記幅方向における最も外側の端縁である中間肌側側端と、前記吸収体の前記外側縁よりも前記幅方向の外側であって、且つ、前記厚さ方向において前記中間肌側側端より肌面側に位置する中間肌面部と、前記吸収体の前記外側縁よりも前記幅方向の外側であって、且つ、前記厚さ方向において前記中間肌側側端より非肌面側に位置する中間非肌面部と、を有してよい。前記外側疎水部は、前記中間肌面部と、前記中間非肌面部とを跨がって設けられてよい。外側疎水部が、中間肌面側と中間非肌面部とに跨がっているため、中間シートよりも幅方向の外側に排泄物が拡散することを制限でき、排泄物の滲み出しを低減できる。
【0017】
好ましい一態様によれば、前記中間肌面部上に設けられている前記外側疎水部と前記中間非肌面部上に設けられている前記外側疎水部とのうち一方の外側疎水部が、他方の外側疎水部よりも前記幅方向の内側に延びてよい。これにより、一方の外側疎水部を幅方向の内側に延ばすことにより、排泄物が滲み出す領域を低減しつつ、外側疎水部どうしが厚さ方向に重なる領域を減らすことで、剛性が高くなることを抑制し、着用者の肌触りの悪化を抑制できる。
【0018】
好ましい一態様によれば、吸収性物品は、前記トップシートと前記吸収体との間に配置されている中間シートを有してよい。前記中間シートは、前記中間シートの両側の側端部が非肌面側に折り返された一対の第2折り返し部を有してよい。前記一対の第2折り返し部の前記幅方向の先端は、前記吸収体よりも前記幅方向の外側に配置されてよい。第2折り返し部の先端が、吸収体と接触しないため、吸収体に吸収された排泄物が、第2折り返し部の先端からセカンドシート内を拡散せず、一対の第2折り返し部の先端から吸収体の幅方向の外側へ拡散することを抑制できる。これにより、吸収体よりも幅方向の外側における排泄物の滲み出しを低減できる。
【0019】
好ましい一態様によれば、吸収性物品は、前側域と、後側域と、前記前側域と前記後側域との間に配置されている中央域と、を有してよい。前記トップシートは、前記幅方向の最も外側の端縁である肌側側端を有してよい。前記吸収体の前記幅方向の側端縁は、前記前側域において最大の幅に位置する前側最大端縁と、前記後側域において最大の幅に位置する後側最大端縁と、前記中央域において最大の幅に位置する中央最大端縁と、を有してよい。前記肌側側端から前記中央最大端縁までの距離は、前記肌側側端から前記前側最大端縁までの距離及び前記肌側側端から前記後側最大端縁までの距離よりも長くてよい。着用者の太ももから幅方向の内側に向かう力が吸収性物品に働いた場合に、着用者の太ももが肌側側端(第1折り返し部)に触れてから、着用者の太ももによって幅方向の内側に押された当該第1折り返し部が、吸収体に当たるまでの距離が長い方が、着用者が、剛性の高い吸収体の感触を感じ難くなり、クッション性が高くなる。そこで、中央域において肌側側端から吸収体の側端縁までの距離を長くすることで、着用者の太ももから最も力を受ける中央域においてクッション性を高めて、着用者の肌触りの悪化を抑制できる。
【0020】
好ましい一態様によれば、吸収性物品は、前記吸収体の前記幅方向の外側縁よりも前記幅方向の内側に設けられている中央疎水部を有してよい。前記中央疎水部は、前記吸収体よりも肌面側に設けられてよい。前記疎水部は、前記吸収性物品に印刷されたインクが配置されている複数の網点により構成されてよい。前記中央疎水部における前記複数の網点の単位面積当たりの密度は、前記外側疎水部における前記複数の網点の単位面積当たりの密度よりも小さくてよい。中央疎水部では、複数の網点の密度が低いため排泄物の吸水性を確保しつつも、吸収体に吸収された排泄物が肌面側へ液戻りし難くなる。これにより、吸収体の外側縁よりも幅方向の内側においても、吸収体に吸収された排泄物の滲み出しによる着用者の肌触りの悪化を抑制できる。一方で、吸収体よりも幅方向の外側では、肌面側からの吸水性の必要性は低い。従って、外側疎水部では複数の網点の密度を高くして吸収体に吸収された排泄物の滲み出しをさらに抑制して、着用者の肌触りの悪化を抑制できる。
【0021】
好ましい一態様によれば、吸収性物品は、前記吸収体の前記幅方向の外側縁よりも前記幅方向の内側に設けられている中央疎水部を有してよい。前記中央疎水部は、前記吸収体よりも肌面側に設けられてよい。前記中央疎水部及び前記外側疎水部は、前記吸収性物品に印刷されたインクが配置されている複数の網点により構成されてよい。前記外側疎水部における前記複数の網点の単位面積当たりの密度は、前記中央疎水部における前記複数の網点の単位面積当たりの密度よりも小さくてよい。外側疎水部では、複数の網点の密度が低いため、外側疎水部が設けられても剛性が高くなりすぎず、吸収体の外側縁よりも幅方向の外側の部分が着用者の肌に沿って曲がり難くなることを抑制できる。着用者の肌触りの悪化を抑制できる。一方で、中央疎水部では、吸収体に吸収された排泄物が肌面側へ液戻りし難くなり、吸収体に吸収された排泄物の滲み出しによる着用者の肌触りの悪化を抑制できる。
【0022】
好ましい一態様によれば、吸収性物品は、前記吸収体の前記幅方向の外側縁よりも前記幅方向の内側に設けられている中央疎水部を有してよい。前記中央疎水部は、前記吸収体よりも肌面側に設けられてよい。前記吸収体は、液体吸収性繊維の集合体からなる吸収コアを有してよい。前記幅方向における前記中央疎水部と前記外側疎水部との間には、前記トップシートと前記吸収コアとが前記厚さ方向に圧搾された圧搾部が設けられてよい。中央疎水部が設けられている場合、中央疎水部が設けられていない場合と比べて、中央疎水部を通過して吸収体にまで到達する排泄物が減少するものの、中央疎水部を通過しなかった排泄物は、幅方向へ移動し、圧搾部へ到達する。排泄物は、圧搾部において吸収コアまで引き込まれるため、排泄物の吸収性を維持することができる。加えて、吸収コア内で排泄物が幅方向に拡散しても、中央疎水部及び外側疎水部が設けられているため、吸収体に吸収された排泄物が、中央疎水部及び外側疎水部を超えて肌面側へ液戻りし難くなる。従って、吸収体に吸収された排泄物の滲み出しによる着用者の肌触りの悪化を抑制できる。
【0023】
好ましい一態様によれば、前記吸収体の前記外側縁よりも前記幅方向の外側において、前記トップシートどうしが、接合されていなくてよい。トップシートどうしが接合されている場合、接合されているトップシートの部分は、剛性が高くなり、着用者の肌に沿って曲がり難くなる。そこで、吸収体の外側縁よりも幅方向の外側において、トップシートどうしを接合しないことによって、トップシートの剛性が高くならずに、着用者の肌触りを向上できる。
【0024】
好ましい一態様によれば、吸収性物品は、前記トップシートと前記非肌側シートとを接合する接合部を有してよい。前記接合部は、前記外側疎水部と当接しない位置に配置されてよい。接合部と外側疎水部とが当接する場合には、接合強度が低下することがある。そこで、接合部が外側疎水部と当接しない位置に配置することにより、トップシートと非肌側シートとの接合強度の低下を抑制でき、トップシートと非肌側シートとの間から排泄物が滲み出すことを抑制できる。
【0025】
好ましい一態様によれば、吸収性物品は、前側域と、後側域と、前記前側域と前記後側域との間に配置されている中央域と、前記中央域において、前記吸収体の前記幅方向の外側縁よりも前記幅方向の内側に設けられており、疎水性を有する中央疎水部と、を有してよい。前記吸収体よりも肌面側に配置されており且つ前記中央疎水部が設けられているシートにおいて、前記中央疎水部と重なる部分の最大厚さは、前記中央疎水部よりも前記幅方向の外側の部分の最大厚さよりも薄くてよい。中央疎水部と重なる部分の最大厚さを薄くすることにより、中央疎水部は、疎水性を有することにより、通気性の悪化を招き易いため、着用者の肌から中央疎水部を遠ざけることで、通気性を維持することができる。一方で、中央疎水部よりも幅方向の外側の部分の最大厚さを厚くすることにより、着用者の肌にトップシートが当接し易くなり、中央疎水部よりも幅方向の外側へ移動する排泄物を吸収し易くなる。
【0026】
本明細書において、「疎水性」とは、水となじみ難い或いは水分を保持し難い性質を意味し、例えば、イオン交換水との接触角が80°~100°程度となるものをいう。なお、イオン交換水との接触角は、特開2005-324010号公報における「初期接触角の測定」に記載された方法により測定することができる。
【0027】
(2)吸収性物品の全体概略構成
以下、本発明に係る吸収性物品として生理用ナプキンを例に挙げて実施形態を説明するが、生理用ナプキンに限らず、パンティーライナー、又は軽失禁用パッド等のように、吸収性物品であればよい。吸収性物品は、使用者の着用物品に固定して使用するものであってよい。
【0028】
図1は、生理用ナプキン1(以下「ナプキン」という)を肌面側から見た模式平面図(その1)である。
図2は、ナプキン1を非肌面側から見た模式平面図である。
図3は、
図1中のA1-A1線におけるナプキン1の概略模式断面図(その1)である。
図4は、
図3に示す概略断面図のうち幅方向Wの端部を説明する図である。
図5は、ナプキン1を肌面側から見た模式平面図(その2)である。
図5では、機能性材料が配置(塗布)されている機能領域R3を斜線で明示的に示している。
図6は、
図1中のA1-A1線におけるナプキン1の概略模式断面図(その2)である。なお、
図1及び
図5において、ウイング粘着部9が示されているが、ウイング粘着部9は、バックシート4の非肌面側T2に配置されていることに留意すべきである。
図3、
図4、
図6において、各方向についての寸法は必ずしも正確ではない。さらに、便宜上、
図4及び
図6において、本体接合部5aを除く接着剤HMAは省略している。
【0029】
図1に示すように、ナプキン1は、前後方向L及び前後方向に直交する幅方向Wを有する。前後方向Lは、身体前側と身体後側とに延びる方向によって規定される。言い換えると、前後方向Lは、展開されたナプキン1において前後に延びる方向である。また、ナプキン1は、前後方向Lと幅方向Wの両方の直交する厚さ方向Tを有する。
【0030】
ナプキン1の前後方向Lにおいて、着用者の下腹部に当接する側を「前側」といい、着用者の臀部に当接する側を「後側」という。また、ナプキン1の厚さ方向Tにおいて、着用者の肌に当接する側を「肌面側」T1といい、その反対側(着用者の肌とは反対に向けられる側)を「非肌面側」T2という。図中のX-X線は幅方向Wにおける中心線である。
【0031】
ナプキン1は、中央域S3、前側域S1及び後側域S2を有する。中央域S3は、一対のウイング1Wが配置されている領域である。従って、中央域S3は、ナプキン1を着用物品へ留めるウイング1Wが設けられる領域である。また、中央域S3は、着用者の排泄口(例えば膣口)に当接する排泄口当接部を有してよい。ナプキン1が着用物品(例えば、下着)に装着されたときに、中央域S3は、着用物品の股下部に位置してよい。従って、中央域は、着用者の股下、すなわち着用者の両足(太もも)の間に配置される領域である。前側域S1は、中央域S3よりも前側に位置する。後側域S2は、中央域S3よりも後側に位置する。
【0032】
ナプキン1は、一対のウイング1Wを有している。一対のウイング1Wは、幅方向Wにおける吸収体10(吸収コア)の外側縁10Eよりも幅方向の外側に延出している。従って、前後方向Lの中央部から幅方向Wの両外側に延出している。また、一対のウイング1Wは、ナプキン1が使用される際に折り返し可能である。
【0033】
なお、本明細書において、外側縁は、幅方向Wにおける外側端であり、内側縁は、幅方向Wにおける内側端である。
【0034】
ナプキン1は、トップシート2、セカンドシート3、吸収体10、バックシート4、及びサイドシート5を有している。
【0035】
図3に示すように、厚さ方向Tにおいて、トップシート2、セカンドシート3、吸収体10、サイドシート5及びバックシート4が積層されている。トップシート2、セカンドシート3、吸収体10、バックシート4及びサイドシート5は、接合部によって接合固定されている。接合部として、ホットメルト接着剤等の接着剤HMAを用いることができる。接着剤は、各部材の肌面側T1及び非肌面側T2のそれぞれに亘って任意の塗布パターンで塗布されており、Ωパターンやスパイラルパターン、ストライプパターン等の塗布パターンから選択することができる。接合部として、他の部材(例えば、ソニックシールなど)が用いられてもよい。
【0036】
トップシート2は、吸収体10より肌面側T1に配置されており、着用者の肌に対向する。トップシート2は、着用状態において、その大部分が着用者の肌に当接する「肌側シート」であってよい。
【0037】
トップシート2は、不織布、織布、有孔プラスチックシート、メッシュシート等、液体を透過する構造を有する任意のシート状の材料から構成されてよい。織布や不織布の素材としては、天然繊維、化学繊維のいずれも使用できる。トップシート2として用いられる不織布は、エアスルー不織布又はスパンボンド不織布であることが好ましい。
【0038】
また、トップシート2は、疎水性の熱可塑性の合成樹脂フィルムであってよい。例えば、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)のシート部材であってよい。この場合、トップシート2は、厚さ方向Tに貫通した略円形状の複数の貫通孔を複数有している。貫通孔を設けることで、着用中に膣口から排出された排泄物が貫通孔から吸収体10へ移動させやすくなり、トップシート2の肌側面で排泄物が広がってしまう恐れを軽減させる。なお、トップシート2に親水処理が行われたとしても、この疎水性の状態が担保されてもよい。
【0039】
セカンドシート3は、トップシート2と吸収体10との間に配置された「中間シート」である。セカンドシート3は、液透過性のシート部材であり、エアスルー不織布、スパンボンド不織布等を例示できる。
【0040】
本実施形態では、トップシート2とセカンドシート3は、接着剤HMAによって接着された一体の状態で、吸収体10を幅方向Wの端部を包むように巻き込んでいる。トップシート2は、吸収体10の非肌面側において、吸収体接合部10aで接着剤HMAによって接合固定されている。トップシート2、セカンドシート3及び吸収体10が一体となった吸収性本体100が構成されている。なお、各部材同士を接合固定する接着剤HMAにおいて、全領域に接着剤を塗布する必要はない。特に、トップシート2とセカンドシート3との間の接着剤HMAとして塗布する接着剤の量や領域、塗布パターンを調整することで、吸収性本体100のうち、後述の一対の本体接合部5aより幅方向Wの外側の柔軟性を確保することができ、肌触りを向上させることができる。
【0041】
本体接合部5aは、吸収性本体100と非肌側シートとを接合する。本実施形態では、吸収性本体100の非肌面側の面と、サイドシート5の肌面側の面とを本体接合部5aでホットメルト等の接着剤を用いて接合している。
図1に示すように、本体接合部5aは、前後方向Lに沿った連続形状である。本体接合部5aは、幅方向Wの両側の端部に、ナプキン1の幅方向Wの中心線X-X線について対称な位置に配置されている。本実施形態において、サイドシート5を非肌側シートとして説明するが、バックシート4を非肌側シートとしてもよいし、バックシート4とサイドシート5とを合わせたものを非肌側シートとしてもよい。また、バックシート4やサイドシート5とは異なる別のシート部材を配置して、トップシート2の幅方向Wの先端2heを含む端部と接合してもよい。
【0042】
図4に示すように、ナプキン1の幅方向W及び厚さ方向Tに沿った断面において、トップシート2の幅方向Wにおける最も外側の端縁が、肌側側端2eである。肌側側端2eから幅方向Wに沿った直線が、吸収体10の中心10cを通ってよい。トップシート2は、幅方向Wの両側の側端部が非肌面側T2に折り返された一対の第1折り返し部2hを有する。肌側側端2eは、第1折り返し部2hの幅方向Wの最も外側の端でもある。一対の第1折り返し部2hは、本体接合部5aによってサイドシート5と接合されている。一対の第1折り返し部2hの幅方向の先端2heは、本体接合部5aの外側縁5eよりも幅方向Wの内側に位置している。これにより、トップシート2(第1折り返し部2h)の先端2he(エッジ)が、露出していない。従って、トップシート2の先端2heが、着用者の肌に当たらないため、肌触りの悪化を抑制できる。
【0043】
トップシート2のうち、吸収体10より幅方向Wにおいて外側で、且つ、厚さ方向Tにおいて肌側側端2eより肌面側T1の部分は、肌面部2sである。トップシート2のうち、吸収体10より外側で、且つ、厚さ方向Tにおいて肌側側端2eより非肌面側T2の部分は、非肌面部2uである。なお、第1折り返し部2hは、第1折り返し部2hが折り返される起点である折れ起点(折れ開始点)FLから先端2heまでの部分である。折れ起点FLは、前後方向Lに延びている。トップシート2の幅方向Wの中央から折れ起点FLまでの領域は、トップシート2が折り返されていない非折り返し領域Nである。なお、トップシート2の幅方向Wの先端2heは、第1折り返し部2hの幅方向Wの内側に延びた端部の先端である。従って、トップシート2の幅方向Wの先端2heは、トップシート2が折り返された部分のうち幅方向Wの内側に延びる端部の内端縁である。
【0044】
図4に示すように、セカンドシート3の幅方向Wにおける最も外側の端縁は、中間側端3eである。中間側端3eから幅方向Wに沿った直線は、肌側側端2eを通ってよく、吸収体10の中心10cを通ってよい。セカンドシート3は、幅方向Wの両側の側端部が非肌面側T2に折り返された一対の第2折り返し部3hを有してよい。中間側端3eは、第2折り返し部3hの幅方向Wの最も外側の端でもある。前後方向Lにおけるトップシート2とセカンドシート3との長さは略同じであってよい。また、吸収性本体100の状態からトップシート2とセカンドシート3をそれぞれ展開した状態において、幅方向Wの長さは、セカンドシート3の方がトップシート2より短くてよい。
【0045】
図4に示すように、一対の第2折り返し部3hの幅方向の先端3heは、吸収体10よりも幅方向Wの外側に配置されてよい。これにより、第2折り返し部3hの先端3heが、吸収体10に接触しないため、吸収体10に吸収された排泄物が、第2折り返し部3hの先端3heからセカンドシート3内を拡散せず、吸収体10の幅方向Wの外側へ拡散することを抑制できる。これにより、吸収体よりも幅方向の外側における排泄物の滲み出しを低減できる。
【0046】
吸収性本体100の状態において、第2折り返し部3hの先端3heは、本体接合部5aの一部と厚さ方向Tで重なってよい。第2折り返し部3hの先端3heは、本体接合部5aの外側の外側縁5eより幅方向Wの内側に位置してよい。
【0047】
セカンドシート3のうち、吸収体10より幅方向Wにおいて外側で、且つ、厚さ方向Tにおいて肌側側端2eより肌面側T1の部分は、中間肌面部3sである。セカンドシート3のうち、吸収体10より外側で、且つ、厚さ方向Tにおいて肌側側端2eより非肌面側T2の部分は、非肌面部2uである。なお、第2折り返し部3hは、幅方向Wに延びる折れ起点FLから先端3heまでの部分である。
【0048】
バックシート4は、液不透過性のシート部材であり、ポリエチレン(PE)の樹脂フィルム等を例示できる。バックシート4は、平面サイズが吸収体10より大きく、吸収体10の平面全体を覆っている。サイドシート5は、疎水性のシート部材であり、エアスルー不織布、スパンボンド不織布等を例示できる。バックシート4及びサイドシート5は、一体となったトップシート2、セカンドシート3及び吸収体10より非肌面側T2に位置している。なお、本実施形態では、上述した通り、セカンドシート3を非肌側シートとして説明している。非肌側シートは、吸収体10よりも非肌面側に配置されているシートである。
【0049】
本実施形態では、ウイング1Wは、トップシート2等の幅方向Wの両側部から外側に延出しているバックシート4及びサイドシート5によって形成されている。なお、ナプキン1がウイング1Wを有さない形態であってもよい。
【0050】
ナプキン1の非肌側面(つまり、バックシート4の非肌側面)には、接着剤が塗布される等した中央粘着部8が設けられてよい。中央粘着部8は、
図2では前後方向Lに長辺を有する長方形状の10個の中央粘着部8が幅方向Wに間隔を空けて配置されているが、中央粘着部8の形状、数、及び配置はこれに限られない。中央粘着部8がナプキン1の使用時に下着等の着用物品の肌側面に貼り付けられることで、ナプキン1は下着等に固定される。
【0051】
同様に、各ウイング1Wの厚さ方向Tの非肌側面(バックシート4の非肌面側T2)には、ウイング粘着部9が設けられている。ウイング粘着部9は、
図2では、前後方向Lに長辺を有する長方形状のウイング粘着部9が配置されているが、ウイング粘着部9の形状、数、及び配置はこれに限られない。ナプキン1の使用時にウイング1Wは非肌側に折り曲げられ、ウイング粘着部9は、下着等の非肌側面に張り付けられる。これにより、ウイング1Wは下着等に固定される。
【0052】
吸収体10は、排泄物を吸収して内部に保持する部材である。本実施形態では、
図3、
図4、
図6に示すように、吸収体10は、吸収コア11と、吸収性ポリマーシート12と、カバーシート13と、を有している。吸収体10では、肌面側T1に吸収コア11が配置され、非肌面側T2に吸収性ポリマーシート12が配置されている。また、
図1に示すように、吸収コア11の幅方向Wの長さは、吸収性ポリマーシート12の幅方向Wの長さより長くてよい。吸収コア11の前後方向Lの長さは、吸収性ポリマーシート12の前後方向Lの長さより長くてよい。
【0053】
吸収コア11は、液体吸収性繊維を所定の形状に成形した集合体により構成されている。集合体の液体吸収性繊維としては、パルプ繊維やセルロース系吸収性繊維等を例示することができる。カバーシート13は、集合体の非肌側に配置されている。カバーシート13は、液透過性のシート部材であり、エアスルー不織布、スパンボンド不織布等を例示できる。吸収コア11は、カバーシート13に、ホットメルト等の接着剤で固定されている。カバーシート13は、吸収コア11の前後方向Lの長さと略同じで、且つ、吸収コア11の幅方向Wの長さと略同じであることが好ましい。本実施形態において、吸収コア11は、平面視で略砂時計形状に形成されている。吸収コア11は、前後方向Lの中央部に括れを有する形状である。なお、吸収コア11の形状はこれに限られない。長方形等の所定の形状の吸収コア11を用いることができる。
【0054】
なお、
図3に示すように、吸収コア11の肌側面に液体透過性のティッシュ等のシートを配置しなくてよい。集合体の液体吸収性繊維が、セカンドシート3に当接していてよい。一般的にティッシュ等の液体透過性シートにおいて液体は平面方向へ拡散しやすいため、吸収コア11の肌側面に液体透過性シートを配置しないことで、着用者の膣口に当接する股間部位で吸収した排泄物が吸収コア11の肌側面で拡散してしまって、ナプキン1の幅方向Wの外側から排泄物が漏れてしまう恐れを軽減させることができる。
【0055】
吸収性ポリマーシート12は、液体吸収性粒状物である高吸収性ポリマー121(所謂SAP)等を肌側面及び非肌側面からそれぞれティッシュ等の液体透過性シート122で挟んだシート状の部材であってよい。
【0056】
図3等に示すように、吸収性本体100のうち、一対の本体接合部5aより幅方向Wの外側は、サイドシート5に固定されていない。そのため、ウイング1Wが着用物品に固定された場合でも、着用状態において、着用者の身体に当接する状態とすることができる。これによって、着用者は、ウイング1W、つまり、ナプキン1を着用物品に固定しつつも、吸収性本体100を着用者の股間及び太ももの動きに追従させやすくなるため、ナプキン1の装着性を向上させることができる。
【0057】
また、ナプキン1は、吸収性本体100の幅方向Wの端部において排泄物が到達してしまう恐れを軽減させるために、疎水性の樹脂シートをトップシート2として用いてよい。疎水性の樹脂シートは、平面的に排泄物が拡散してしまうことを防ぎつつ、排泄物を、トップシート2に設けられた複数の貫通孔から厚さ方向Tの吸収体10に向かって落下させ、吸収体10に厚さ方向Tへ移動させやすくしている。これによって、排泄物をより早く吸収体10で排泄物を留めさせやすくすることができる。
【0058】
ナプキン1は、疎水性を有する疎水部200を有する。疎水部200を構成する材料として、疎水性及び/又は非水溶性の材料が挙げられ、例えば、疎水性インク、油剤などを例示できる。疎水部200は、ナプキン1を構成する部材に塗布されることにより設けることができる。例えば、疎水部200は、印刷によって設けられて(配置されて)よい。これにより、疎水部200を容易に設けることができるため、疎水部200にを設けることによる生産コストが増加することを抑制できる。
【0059】
なお、疎水部200を印刷する方法は、フレキソ印刷であってもよいし、グラビア印刷であってもよい。着色されている材料(例えば、疎水性のインク)が疎水部200を構成する材料として用いられる場合には、疎水部200は、着色されていてもよい。
【0060】
疎水部200を構成する材料は、紫外線(UV)が照射されることにより硬化する材料であってよい。これにより、疎水部200を、例えば、印刷により塗布した後に、UVを照射することで、短時間で硬化する。これにより、ナプキン1の製造時において、疎水部200が乾かずに、意図しない他の部材に疎水部200が設けられて、吸収性能が低下することを抑制できる。
【0061】
なお、疎水部200は、ナプキン1を構成する部材の肌面上又は非肌面上に設けられる場合、疎水部200は、当該部材の肌面上又は非肌面上に存在してもよく、ナプキン1を構成する部材の内部に染みこむことにより、ナプキン1を構成する部材の肌面側(の内部)又は非肌面側(の内部)に存在してよい。本実施形態では、
図6に示すように、疎水部200は、セカンドシート3の非肌面側T2に配置されている。なお、
図4に示すように、疎水部200が設けられているシート(セカンドシート3)が折り返されている部分(第2折り返し部3h)では、疎水部200は、肌面側T1に配置されてよい。
【0062】
疎水部200は、外側疎水部210と、中央疎水部220と、を有する。外側疎水部210は、吸収体10の幅方向Wの外側縁10Eよりも幅方向Wの外側に設けられている。これにより、排泄物は、親水性であり、外側疎水部210を通過し難いため、吸収体10の幅方向Wの外側における排泄物の滲み出しを低減できる。
【0063】
中央疎水部220は、吸収体10(吸収コア11)の幅方向Wの外側縁10Eよりも幅方向Wの内側に設けられている。中央疎水部220は、トップシート2と吸収コア11との間に配置されている。本実施形態では、
図6に示すように、中央疎水部220は、セカンドシート3の肌面側T1に配置されている。
【0064】
図1に示すように、ナプキン1の平面視において、疎水部200が配置されていない領域は、非疎水領域R1であり、疎水部200が配置されている領域は、疎水領域R2である。疎水領域R2のうち、外側疎水部210が配置されている領域は、外側疎水領域R21であり、中央疎水部220が配置されている領域は、中央疎水領域R22である。
【0065】
また、ナプキン1は、厚さ方向Tにおいてトップシート2と吸収コア11との間に配置されている機能性材料を有する。機能性材料は、機能性材料が揮発することにより効果が得られるものであってもよい。例えば、このような機能性材料として、冷感剤及び香料などの揮発性物質が挙げられる。
【0066】
冷感剤は、例えば、皮膚の神経にある受容体活性化チャネル(TRPM8)に作用するものであってよい。このような冷感剤として、例えば、メントール(例えば、l-メントール)及びその誘導体(例えば、乳酸メンチル)、サリチル酸メチル、カンファー、キュウリエキス、植物(例えば、ミント、ユーカリ、ナツメグ)由来の精油等が挙げられる。また、冷感剤は、気化熱により周囲の温度を下げるものであってもよい。このような冷感剤として、例えば、アルコール、例えば、メタノール及びエタノールが挙げられる。これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0067】
香料は、通常吸収性物品に使用されているものを使用することができ、沸点が約250℃以下の高揮発性のもの、又は沸点が約250~約300℃の中揮発性のものが好ましく用いられる。また長時間の効果を保持するという観点から、香料として複数の沸点を有する物質を使うことが好ましい。
【0068】
また、機能性材料は、排泄物(経血、尿など)と接触することにより効果が得られるものであってよい。例えば、このような機能性材料として、抗菌作用を有する抗菌剤、消臭作用を有する消臭剤などが挙げられる。なお、消臭剤は、揮発性を有してよい。
【0069】
抗菌剤として、ピロクトンオラミン(別名ピロクトンエタノールアミン)等のヒドロキサム酸誘導体、ピロミド酸、ピペミド酸、シノキサシン等のピリドンカルボン酸誘導体、セチルリン酸ベンザルコニウム等の四級アンモニウム化合物が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0070】
消臭剤としては、公知の材料を用いることができ、例えば、活性炭、ゼオライト、シリカゲル、アルミナ、多孔質ガラスなどが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0071】
図5に示すように、機能部300は、前後方向Lに沿って配置されている。機能部300は、ナプキン1の前端縁まで配置されてよく、ナプキン1の後端縁まで配置されてよい。機能部300は、冷感剤である場合、冷感効果を高めるために、ナプキン1の前端縁から後端縁まで連続的に配置されてよい。
【0072】
ナプキン1の平面視において、機能性材料からなる機能部300が配置されている領域が、機能領域R3である。機能性材料は、疎水部200と厚さ方向Tにおいて重なる重複領域R32と、疎水部200と厚さ方向Tにおいて重ならない非重複領域R31と、の両方に配置されている。後述するように、重複領域R32と非重複領域R31とで機能性材料が効果を発揮する時間がずれるため、機能性材料の効果の持続時間を向上することができる。
【0073】
吸収体10に対して厚さ方向Tに力を加えた場合、例えば、着用中において、着用者が座った状態等、着用者の体圧をナプキン1の厚さ方向Tに対して加えた場合において、吸収体10が押し潰されて、吸収体10に留められた排泄物がナプキン1の幅方向Wの外側に漏れてしまわないように、以下の構成を有してよい。
【0074】
図1中のY-Yは、ウイング1Wの前後方向Lにおけるウイング中央Y-Yであり、幅方向Wにおける、吸収体10の側端縁11eと第1折り返し部2hの肌側側端2eとの距離が最も長い部分である。なお、吸収コア11の幅方向Wの長さが、吸収性ポリマーシート12の幅方向Wの長さより長いことから、吸収体10の側端縁とは、吸収コア11の幅方向Wの側端縁11eである。
【0075】
図4等に示すように、ナプキン1の断面において、一対の本体接合部5aの幅方向Wの外側の外側縁5eが、吸収コア11の側端縁11eより幅方向Wの外側に配置されている。このとき、第2折り返し部3hを有するセカンドシート3が吸収コア11の端部の側面の全域を覆っている。なお、吸収コア11の側部とは、吸収コア11の幅方向Wにおける側部をいい、セカンドシート3が吸収コア11の幅方向Wの端部の側面の全域を覆っている。ただし、セカンドシート3が吸収コア11の前後方向Lの端部の側面を覆っていてもよい。
【0076】
また、
図1に示すように、吸収性ポリマーシート12の幅方向Wの長さが、吸収コア11の幅方向Wの長さより短くてよい。これにより、ナプキン1の幅方向Wの外側に排泄物が漏れてしまう恐れをより軽減させることができる。吸収性ポリマーシート12のように、ティッシュ等の液体透過性シート122で高吸収性ポリマー121を挟んでいる場合、液体透過性シート122によって幅方向Wの外側に排泄物が拡散してしまう恐れがある。このような場合においても、吸収性ポリマーシート12が備える液体透過性シート122より幅方向Wの長さが長い吸収コア11を備えることで、吸収コア11が吸収性ポリマーシート12の幅方向Wの外側に到達した排泄物を吸収コア11が吸収することができるため、ナプキン1の幅方向Wの外側に排泄物が漏れてしまう恐れを軽減させることができる。
【0077】
さらに、吸収性ポリマーシート12の幅方向Wの長さが、吸収コア11の幅方向Wの長さより短いことで、ナプキン1の肌側面に排泄物が存在する状態を軽減させやすくすることができる。一般的に、吸収コア11と吸収性ポリマーシート12を有する吸収体10が排泄物を吸収した状態においては、液体吸収性繊維を備えた吸収コア11より高吸収性ポリマーを備えた吸収性ポリマーシートの方がより多くの排泄物を貯留した状態であること場合が多い。このような吸収体10に対して厚さ方向Tに力を加えると、吸収性ポリマーシート12に留められた排泄物が肌側面に移動してしまう恐れがある。この点、吸収性ポリマーシート12より幅方向Wの長さが広い吸収コア11が肌側に設けられていることで、吸収性ポリマーシート12から肌面側T1に移動した排泄物を吸収コア11が吸収して、トップシート2の肌側面まで到達しづらくさせることができる。これによって、トップシート2に表面に排泄物が存在する状態を軽減させやすくなるため、着用者が着用中に肌で感じるべたつき等の不快感を軽減させやすくなる。
【0078】
図1に示すように、ナプキン1は、少なくともトップシート2と吸収コア11とが厚さ方向Tに圧搾された圧搾部Eを有してよい。本実施形態では、圧搾部Eは、トップシート2、セカンドシート3、及び吸収コア11を厚さ方向Tに圧搾した圧搾部である。圧搾部Eは、それぞれの部材における繊維の密度が、圧搾をしていない部分より高くなっている。そのため、圧搾部Eに到達した排泄物が、毛細管現状によって、厚さ方向Tに移動されやすくなる。つまり、ナプキン1のうち、着用者の膣口に当接する部分で吸収した排泄物が幅方向Wに拡散されて、圧搾部Eに到達すると、吸収コア11まで厚さ方向Tに排泄物を移動させやすくなる。また、圧搾部Eが前後方向Lに延びている場合には、排泄物が圧搾部Eに沿って拡散しやすくなる。一方、吸収性ポリマーシート12が、厚さ方向Tに圧搾されていないことで、圧搾によって吸収性ポリマーが潰れて硬くなってしまう恐れを軽減し、吸収コア11から移行された排泄物を素早く吸収することができる。
【0079】
圧搾部Eは、一対の内側圧搾部E1と、一対の外側圧搾部E2とを有してよい。一対の内側圧搾部E1は、中央域S3において、前後方向Lに延びている。ナプキン1の平面視において、一対の内側圧搾部E1は、前側において幅方向Wの内側に向かって延びている。一対の内側圧搾部E1は、前側域S1において繋がっている。同様に、一対の内側圧搾部E1は、後側において幅方向Wの内側に向かって延びている。一対の内側圧搾部E1は、後側域S2において繋がっている。従って、本実施形態では、内側圧搾部E1は、ナプキン1の平面視において、環状である。
【0080】
一対の外側圧搾部E2は、一対の内側圧搾部E1よりも幅方向Wの外側に配置されている。中央域S3において、前後方向Lに延びている。ナプキン1の平面視において、一対の外側圧搾部E2は、前側において幅方向Wの内側に向かって延びている。一対の外側圧搾部E2は、前側域S1において繋がっている。同様に、一対の外側圧搾部E2は、後側において幅方向Wの内側に向かって延びている。一対の外側圧搾部E2は、後側域S2において繋がっている。従って、本実施形態では、外側圧搾部E2は、ナプキン1の平面視において、環状である。また、ナプキン1の平面視において、一対の外側圧搾部E2は、内側圧搾部E1の周囲を囲んでいる。
【0081】
また、
図4に示すように、肌側側端2eよりも本体接合部5aの外側縁5eが幅方向Wの内側に位置してよい。これにより、吸収性本体100(第1折り返し部2h)が柔軟に動く量が増加するため、着用者への肌当たりも向上する。また、肌側側端2eから本体接合部5aの外側縁5eまでの距離D51は、本体接合部5aの外側縁5eから吸収体10の外側縁10E(
図4では、吸収コア11の外側縁11E)までの距離D52よりも長くてよい。これにより、吸収性本体100を着用者の身体の動きに沿い易くさせることができる。つまり、吸収性本体100において、柔らかい領域をより広くさせることで、吸収性本体100が柔軟に動きやすくなり、着用者への肌当たりも向上する。
【0082】
また、吸収体10の外側縁10Eは、本体接合部5aの外側縁5eよりも幅方向Wの内側へ位置してもよい。着用者の太ももから幅方向Wの内側に向かう力がナプキン1に働いた場合に、着用者の太ももが第1折り返し部2hに触れてから、着用者の太ももによって幅方向の内側に押された当該第1折り返し部2hが、吸収体10に当たるまでの距離が長い方が、着用者が、剛性の高い吸収体の感触を感じ難くなり、クッション性が高くなる。このため、第1折り返し部2hから吸収体の側端縁までの距離を長くすることで、クッション性を高めて、着用者の肌触りの悪化を抑制できる。
【0083】
また、肌側側端2eから吸収体10の外側縁10Eまでの距離D10は、距離D51よりも長くてよい。これにより、吸収体10に当たるまでの距離が長くなり、クッション性が高くなるため、着用者の肌触りの悪化を抑制できる。
【0084】
また、
図1に示すように、吸収体10の外側縁10Eは、前側最大端縁10E1と、後側最大端縁10E2と、中央最大端縁10E3と、を有する。前側最大端縁10E1は、前側域S1において最大の幅に位置する端縁である。後側最大端縁10E2は、後側域S2において最大の幅に位置する端縁である。中央最大端縁10E3は、中央域S3において最大の幅に位置する端縁である。
【0085】
肌側側端2eから中央最大端縁10E3までの距離D13は、肌側側端2eから前側最大端縁10E1までの距離D11及び肌側側端2eから後側最大端縁10E2までの距離D12よりも長い。これにより、距離D13を長くすることで、着用者の太ももから最も力を受ける中央域S3においてクッション性を高めて、着用者の肌触りの悪化を抑制できる。
【0086】
(3)疎水部200
次に、疎水部200について、
図1から
図6を用いて説明する。本実施形態では、
図4、
図6に示すように、疎水部200は、セカンドシート3の非肌面側T2に設けられている。
【0087】
まずは、外側疎水部210を中心に説明する。
図4及び
図6に示すように、外側疎水部210は、セカンドシート3の非肌面側T2に設けられている。これにより、外側疎水部210によってトップシート2にまで排泄物が拡散することが制限されるため、着用者の肌に触れるトップシート2の肌面側T1から排泄物が滲み出すことを抑制でき、排泄物の滲み出しによる着用者の肌触りの悪化を抑制できる。加えて、トップシート2上で吸収体10の外側縁10Eよりも幅方向Wの外側に拡散した排泄物をセカンドシート3の肌面側T1まで排泄物を引き込み易くなるため、排泄物による着用者の肌触りの悪化を抑制できる。
【0088】
中間肌面部3s上に設けられている第1外側疎水部210sは、肌側側端2eよりも肌面側T1に設けられている。このように、外側疎水部210の少なくとも一部は、肌側側端2eよりも肌面側T1に設けられてよい。これにより、着用者の太ももによって幅方向の内側に押された第1折り返し部2hを介して第2折り返し部3hが、吸収体10に接触したとしても、吸収体10に吸収された排泄物が、第1外側疎水部210sによってブロックされて、第2折り返し部3hへ拡散することを抑制できる。従って、着用者の肌(股間)に触れ易い肌面側T1へ滲み出すことを抑制することができる。排泄物の滲み出しによる着用者の肌触りの悪化を抑制できる。
【0089】
また、中間非肌面部3u上に設けられている第2外側疎水部210uは、肌側側端2eよりも非肌面側T2に設けられている。外側疎水部210の少なくとも一部は、肌側側端2eよりも非肌面側T2に設けられてよい。これにより、吸収体10に吸収された排泄物が、着用者の肌(太もも)に触れ易い非肌面側へ滲み出すことを抑制することができる。排泄物の滲み出しによる着用者の肌触りの悪化を抑制できる。
【0090】
また、第1外側疎水部210sと第2外側疎水部210uとのうち一方の外側疎水部210が、他方の外側疎水部210よりも幅方向Wの内側に延びてよい。これにより、一方の外側疎水部210を幅方向Wの内側に延ばすことにより、排泄物が滲み出す領域を低減しつつ、外側疎水部210どうしが厚さ方向Tに重なる領域を減らすことで、剛性が高くなることを抑制し、着用者の肌触りの悪化を抑制できる。
【0091】
また、外側疎水部210は、中間肌面部3sと中間非肌面部3uとを跨がって設けられている。これにより、着用者の太ももによって幅方向の内側に押された第1折り返し部2hを介して第2折り返し部3hが、吸収体10に接触したとしても、吸収体10に吸収された排泄物が、第1外側疎水部210sによってブロックされて、セカンドシート3よりも幅方向の外側に排泄物が拡散することを制限でき、排泄物の滲み出しを低減できる。
【0092】
また、外側疎水部210は、ナプキン1の幅方向W及び厚さ方向Tに沿った断面において、シート(実施形態では、セカンドシート3)上を連続的に設けられている。本実施形態では、非折り返し領域Nから折れ起点FLを経由して第2折り返し部3hの先端3heまで連続している。このため、ナプキン1の肌面側T1からの平面視において、第1外側疎水部210sと第2外側疎水部210uとが厚さ方向Tにおいて重なる領域(疎水部重複領域)の剛性が高くなる。これにより、第1折り返し部2hが、着用者の太ももによって幅方向の内側に力が加えられ場合であっても、吸収性本体100の幅方向Wの外側端部の形状を維持し易くなり、クッション性を維持し易くなる。
【0093】
本実施形態では、
図4に示すように、第1外側疎水部210sが、第2外側疎水部210uよりも幅方向Wの内側に延びている。着用者の肌に触れ易い肌面側T1に設けられる第1外側疎水部210sの領域を広くすることで、排泄物の滲み出しによる着用者の肌触りの悪化をより抑制できる。なお、第2外側疎水部210uが、第1外側疎水部210sよりも幅方向Wの内側に延びてもよい。この場合、着用者の股下に近い外側疎水部210を減らすことで、肌面側T1の剛性が高くなることを抑制し、着用者の肌触りの悪化を抑制できる。
【0094】
また、第1外側疎水部210sが、第2外側疎水部210uよりも幅方向Wの内側に延びているため、第1外側疎水部210sの幅方向Wの内側縁は、第2外側疎水部210uの幅方向Wの内側縁よりも幅方向Wの内側に位置している。ここで、外側疎水部210が設けられている部分(特に、疎水部重複領域)は、外側疎水部210が設けられていない部分に比べて、剛性が高くなるため、着用者の太ももによって幅方向の内側に力が加えられた場合、最初に、第2外側疎水部210uの内側縁を起点に、吸収性本体100の幅方向Wの外側端部が肌面側T1へ折れ易い。特に、本実施形態では、セカンドシート3の先端3heまで第2外側疎水部210uが設けられているため、第2外側疎水部210uの内側縁(先端3he)を起点に折れ易い。さらに、着用者の太ももによって幅方向の内側に力が加えられると、吸収性本体100の外側端部は形状を維持したまま、第1外側疎水部210sの内側縁を起点に折れ易い。このように、第1外側疎水部210sの幅方向Wの内側縁と、第2外側疎水部210uの幅方向Wの内側縁とを幅方向Wにズラすことによって、吸収性本体100の外側端部が潰れ難くなり、クッション性を維持し易くなる。従って、着用者の肌触りを向上できる。
【0095】
また、第1外側疎水部210sは、折れ起点FLよりも幅方向Wの内側に延びている。このように、第1折り返し部2hが折り返される折れ起点FLよりも幅方向Wの内側に、第1外側疎水部210sが設けられてよい。これにより、第1折り返し部2hよりも吸収体10に近くて吸収体10に接触し易い部分に第1外側疎水部210sを設けることによって、排泄物の滲み出しによる着用者の肌触りの悪化を抑制できる。
【0096】
また、外側疎水部210が着色されている場合、ナプキン1の肌面側T1からの平面視において、第1外側疎水部210sと第2外側疎水部210uとが厚さ方向Tにおいて重なる領域(疎水部重複領域)の外側疎水部210の色は、第1外側疎水部210sと第2外側疎水部210uとが厚さ方向Tにおいて重ならない領域(疎水部非重複領域)の外側疎水部210の色と比べて濃くなる。これにより、着用者が、吸収性本体100の幅方向Wの側部で外側疎水部210を認識し易くなり、着用者に対して、サイドから漏れ難いという安心感を与えることができる。また、上述のように、疎水部重複領域が存在することにより、クッション性を維持し易くなるため、着用者の肌触りに対する安心感を与えることもできる。
【0097】
また、
図4に示すように、吸収体10の外側縁10Eよりも幅方向Wの外側において、トップシート2どうしが接合されていない。これにより、トップシート2どうしが接合されている場合、接合されているトップシート2の部分は、剛性が高くなり、着用者の肌に沿って曲がり難くなる。そこで、トップシート2どうしを接合しないことによって、トップシート2の剛性が高くならずに、着用者の肌触りを向上できる。
【0098】
また、吸収体10の外側縁10Eよりも幅方向Wの外側において、セカンドシート3どうしが接合されていない。これにより、セカンドシート3の剛性が高くならずに、着用者の肌触りを向上できる。
【0099】
外側疎水部210が設けられているセカンドシート3において、吸収体10の外側縁10Eよりも幅方向Wの内側の部分(詳細には、疎水部200が設けられていない部分)のの最大厚さは、外側疎水部210と重なる部分の最大厚さよりも厚くてよい。これにより、ナプキン1の平面視において、吸収体10が配置されている領域では、セカンドシート3の厚さが厚くなることでトップシート2を着用者の肌に近づけて、排泄物を吸収し易くする。一方で、吸収体10が配置されていない領域では、トップシート2を着用者の肌から遠ざけることで、排泄物が着用者の肌に少しでも触れ難くして、着用者の肌触りの悪化を抑制できる。
【0100】
シートの厚さを調整する方法として、例えば、最大厚さを厚くしたい領域に熱を加えることで、シートの繊維を熱によって膨張させて、一部の領域の嵩を増してもよい。或いは、疎水部200が設けられている側から、当該シートに熱を加えてもよい。この場合、疎水部200と重なっている領域の繊維では、疎水部200に保護されて繊維の膨張が抑制される。このため、疎水部200が設けられていない領域の繊維の嵩が増しつつも、疎水部が設けられている領域の繊維の嵩を維持することができる。
【0101】
なお、シートの厚さは、例えば、以下の方法で測定することができる。
【0102】
ナプキン1がパッケージなどに封入されている場合には、パッケージから取り出し、その状態にて20℃±2℃、相対湿度60%±5%RHの雰囲気下において12時間放置したサンプルを用いる。
【0103】
尾崎製作所(株)製のダイアルゲージPEACOCKを測定装置として使用する。測定子には直径10mmのものを採用する。試片に対する測定圧が3g/cm2となるように、測定装置を調整する。ここで、10個のサンプルに対して、測定し、平均値をシート厚みとする。
【0104】
サンプルは、疎水部200が設けられた(塗布された)シート(トップシート2、セカンドシート3等)をコールドスプレー等を用いて、吸収体10から分離する。分離する際に触れていない部位において、シート厚みを測定する。なお、平面視において疎水部200の領域が10mm×10mmに達しない場合は、当該疎水部200の領域において測定可能な測定装置を別途用意して、測定してよい。
【0105】
次に、中央疎水部220を中心に説明する。
図6に示すように、重複領域R32において、機能性材料(機能部300)は、中央疎水部220よりも非肌面側T2に配置されている。これにより、機能性材料が揮発することにより効果が得られる場合には、重複領域R32の機能性材料は、中央疎水部220によって肌面側への移動が制限される。従って、重複領域R32の機能性材料は、中央疎水部220を通過するまでに時間がかかり、重複領域R32の機能性材料に比べると、機能性材料の効果を発揮するまでに時間がかかる。一方で、非重複領域R31の機能性材料は、中央疎水部220によって移動が制限されず、重複領域R32の機能性材料と比べて、肌面側へ移動し易い。従って、非重複領域R31の機能性材料の効果が先に発揮され、重複領域R32の機能性材料の効果が遅れて発揮される。従って、重複領域R32と非重複領域R31とで機能性材料が効果を発揮する時間がずれるため、機能性材料の効果の持続時間を向上することができる。
【0106】
また、機能性材料が排泄物(経血、尿など)と接触することにより効果が得られる場合には、重複領域R32において、排泄物は中央疎水部220よりも非肌面側へ拡散し難い。従って、非重複領域R31の機能性材料が、排泄物に接触して、機能性材料の効果を発揮し易い。一方で、排泄物の量が多い場合には、非重複領域R31において排泄物が、中央疎水部220よりも非肌面側で拡散して、重複領域R32の機能性材料にまで到達する。これにより、重複領域R32の機能性材料が、非重複領域R31の機能性材料よりも遅れて効果を発揮する。従って、重複領域R32と非重複領域R31とで機能性材料が効果を発揮する時間がずれるため、機能性材料の効果の持続時間を向上することができる。
【0107】
図6に示すように、中央疎水部220は、セカンドシート3の非肌面側T2に設けられている。これにより、トップシート2上に排泄された排泄物をセカンドシート3まで素早く吸収することができるため、排泄物による着用者の肌触りの悪化を抑制しつつ、機能性材料の効果の持続時間を向上できる。
【0108】
図5に示すように、ナプキン1は、一対のウイング1Wの間に挟まれている領域のうち吸収コア11が配置されている中央領域CRを有する。中央領域CRは、疎水領域R2(中央疎水領域R22)と、非疎水領域R1と、を有する。ナプキン1の平面視において、中央領域CRのいずれの場所であっても、非疎水領域R1が、前後方向Lに沿った直線と重なってよい。従って、ナプキン1の平面視において、中央領域CRにおいて、中央疎水領域R22は、中央領域CRの全面を覆っているのではなく、中央疎水領域R22が設けられていない非疎水領域R1も存在する。前後方向Lに沿った直線は、幅方向の中央付近(中央疎水領域R22によって非疎水領域R1による花柄模様が浮かぶように配置されている領域)では、中央疎水領域R22と非疎水領域R1と重なっている。一方で、前後方向Lに沿った直線は、内側圧搾部E1よりも幅方向の外側では、中央疎水領域R22が配置されていないため、非疎水領域R1のみと重なっている。
【0109】
一対のウイング間の領域のうち、吸収コア11が配置されている中央領域CRは、一般的に、排泄口(例えば、膣口)に対向する領域である。中央領域CRでは、非疎水領域R1が前後方向Lに沿った直線と重なるため、排泄物が前後方向Lに拡散することによって、非疎水領域R1に到達する。非疎水領域R1では、中央疎水部220が配置されていないため、排泄物が吸収コア11にまで到達し易い。従って、中央領域CRにおいて、中央疎水領域R22では、中央疎水部220によって機能性材料の効果の発現を制御しつつも、非疎水領域R1では、排泄物を素早く吸収コア11に吸収させることができる。
【0110】
また、非疎水領域R1は、ナプキン1の平面視において、内側圧搾部E1よりも前後方向L及び幅方向Wの内側に環状の領域を有する。これにより、中央疎水領域R22においてトップシート2上で排泄物が前後方向L及び幅方向Wに拡散した場合であっても、排泄物が非疎水領域R1に到達するため、吸収コア11にまで到達し易くなる。
【0111】
また、
図5に示すように、ナプキン1の平面視において、一対の内側圧搾部E1の間に中央疎水部220が配置されてよい。これにより、着用者の太ももによって幅方向の内側に向かう力がナプキン1に作用した場合に、一対の内側圧搾部E1に沿ってナプキン1が折れ易くなり、ナプキン1が着用者の肌に沿い易くなる。ナプキン1が着用者の肌に沿うことで、機能性材料が揮発性を有する場合、ナプキン1の肌面側が着用者の肌に近づき、揮発した機能性材料が、着用者の肌にすぐに到達し易くなる。着用者が、機能性材料の効果を早々に感じ易くなる。
【0112】
また、中央疎水部220が設けられていない場合と比べて、中央疎水部220を通過して吸収コア11にまで到達する排泄物が減少するものの、中央疎水部220を通過しなかった排泄物は、幅方向Wへ移動し、内側圧搾部E1へ到達する。排泄物は、内側圧搾部E1において吸収コア11まで引き込まれるため、排泄物の吸収性を維持することができる。
【0113】
中央疎水部220が設けられているシートであるセカンドシート3において、中央疎水部220と重なる部分の最大厚さは、中央疎水部220よりも幅方向Wの外側の部分の最大厚さよりも薄くてよい。具体的には、本実施形態では、中央疎水領域R22と重なる部分のセカンドシート3の最大厚さは、非疎水領域R1と重なる部分のセカンドシート3の最大厚さよりも薄くてよい。中央疎水部220は、疎水性を有することにより、通気性の悪化を招き易いため、着用者の肌から中央疎水部220を遠ざけることで、通気性を維持することができる。一方で、中央疎水部220よりも幅方向Wの外側の部分の最大厚さを厚くすることにより、着用者の肌にトップシートが当接し易くなり、中央疎水部220よりも幅方向Wの外側へ移動する排泄物を吸収し易くなる。
【0114】
また、
図1に示すように、幅方向Wにおける中央疎水部220と外側疎水部210との間には、圧搾部Eが設けられてよい。中央疎水部220が設けられている場合、中央疎水部220が設けられていない場合と比べて、中央疎水部220を通過して吸収体にまで到達する排泄物が減少するものの、中央疎水部220を通過しなかった排泄物は、幅方向Wへ移動し、圧搾部Eへ到達する。排泄物は、圧搾部Eにおいて吸収コア11まで引き込まれるため、排泄物の吸収性を維持することができる。加えて、吸収コア11内で排泄物が幅方向Wに拡散しても、中央疎水部220及び外側疎水部210が設けられているため、吸収体10に吸収された排泄物が、中央疎水部220及び外側疎水部210を超えて肌面側へ液戻りし難くなる。従って、吸収体10に吸収された排泄物の滲み出しによる着用者の肌触りの悪化を抑制できる。
【0115】
本実施形態では、中央疎水部220と外側疎水部210との間には、内側圧搾部E1と外側圧搾部E2とが設けられている。ナプキン1の平面視において、前後方向L及び幅方向Wの外側において、外側疎水部210が、内側圧搾部E1を囲っている。従って、排泄物が、内側圧搾部E1を超えて幅方向Wの外側へ拡散しても、外側圧搾部E2において吸収コア11まで引き込まれるため、排泄物の吸収性を維持することができる。
【0116】
(4)変更例
実施形態に係る各変更例について、
図7から
図10を用いて説明する。
図7は、変更例に係るナプキン1を肌面側から見た模式平面図(その1)である。
図8は、
図7中のA2-A2矢視で示すナプキン1の概略模式断面図である。
図9は、変更例に係るナプキン1を肌面側から見た模式平面図(その2)である。
図10は、疎水部が塗布されている側(肌面側又は非肌面側)から見た拡大模式平面図である。
図10Aは、疎水部が塗布されている側(肌面側又は非肌面側)から見た拡大模式平面図(その1)である。
図10Bは、疎水部が塗布されている側(肌面側又は非肌面側)から見た拡大模式平面図(その2)である。なお、上述の実施形態と同様の説明は、適宜省略する。
【0117】
図7に示すように、機能部300は、吸収体10の前端縁まで配置されてよい。また、機能部300は、吸収体10の後端縁まで配置されてよい。すなわち、機能部300は、吸収体10よりも前後方向Lの外側にまで配置されなくてよい。機能性材料が、排泄物と接触することにより効果が得られるものである場合、ナプキン1の平面視において、排泄物が到達する可能性が高い領域である吸収体10が配置されている領域のみに配置することで、機能性材料の機能を効率良く発揮させることができる。
【0118】
図8に示すように、セカンドシート3の非肌面側T2に疎水部200が設けられている。従って、外側疎水部210は、セカンドシート3(中間シート)の肌面側に設けられている。外側疎水部210によってトップシート2にまで排泄物が拡散することが制限されるため、着用者の肌に触れるトップシート2の肌面側T1から排泄物が滲み出すことを抑制でき、排泄物の滲み出しによる着用者の肌触りの悪化を抑制できる。
【0119】
また、中央疎水部220は、セカンドシート3の肌面側に設けられている。これにより、セカンドシート3内にまで到達した排泄物が、セカンドシート3内を拡散しても、中央疎水部220と重なる領域では、セカンドシート3の肌面側へ滲み出すことを抑制できる。従って、排泄物の滲み出しによる着用者の肌触りの悪化を抑制しつつ、機能性材料の効果の持続時間を向上できる。
【0120】
また、セカンドシート3の肌面側T1に機能部300が設けられている。従って、重複領域R32において、機能性材料(機能部300)は、中央疎水部220よりも肌面側T1に配置されている。これにより、機能性材料が揮発することにより効果が得られる場合には、重複領域R32の機能性材料は、中央疎水部220によって非肌面側T2への移動が制限される。このため、非肌面側T2へ移動する機能性材料の割合が減少し、肌面側T1へ移動する機能性材料の割合が増加する。従って、重複領域R32の機能性材料は、非重複領域R31の機能性材料に比べて、着用者が吸収性物品を着用するとすぐに揮発を開始するため、着用者が機能性材料の効果を早々に感じ易くなる。一方で、非重複領域R31の機能性材料は、重複領域R32の機能性材料に比べると、肌面側へ移動する機能性材料の割合が少ないため、重複領域R32の機能性材料よりも遅れて効果を発揮する。従って、重複領域R32と非重複領域R31とで機能性材料が効果を発揮する時間がずれるため、機能性材料の効果の持続時間を向上することができる。
【0121】
機能性材料が排泄物(経血、尿など)と接触することにより効果が得られる場合には、重複領域R32では、排泄物が中央疎水部220よりも非肌面側T2へ拡散し難くなり、排泄物が重複領域R32の機能性材料に接触し易くなる。このため、重複領域R32の機能性材料が排泄物に接触する割合は、非重複領域R31の機能性材料と比べて高くなり、機能性材料の効果を発揮し易くなる。一方で、非重複領域R31では、排泄物が非肌面側T2へ拡散し易いため、非重複領域R31の機能性材料が排泄物に接触する割合が、重複領域R32の機能性材料と比べると低くなる。このため、非重複領域R31では、効果を発揮する機能性材料が残り易く、吸収コア11に吸収された排泄物が肌面側T1へ戻った場合であっても、当該排泄物に対して効果を発揮することができる。従って、重複領域R32と非重複領域R31とで機能性材料が効果を発揮する時間がずれるため、機能性材料の効果の持続時間を向上することができる。
【0122】
また、
図8に示すように、疎水部200と機能性材料(機能部300)とが同一のシート部材(実施形態では、セカンドシート3)に設けられることにより、重複領域R32と非重複領域R31とで機能性材料が効果を発揮する時間をよりずれ易くしてもよい。
【0123】
図9に示すように、疎水部200は、トップシート2の非肌面側に設けられてよい。例えば、外側疎水部210は、トップシート2の非肌面側T2に設けられてよい。これにより、外側疎水部210によって、トップシート2の肌面側T1にまで排泄物が拡散することが制限されるため、着用者の肌に触れるトップシート2の肌面側T1から排泄物が滲み出すことを抑制でき、排泄物の滲み出しによる着用者の肌触りの悪化を抑制できる。加えて、トップシート2の肌面側T1には、外側疎水部210が設けられていないため、トップシート2の肌触りを損なわず、着用者の肌触りの悪化を抑制できる。
【0124】
また、外側疎水部210は、トップシート2の非肌面側T2に設けられている。ここで、疎水部200が、液状の材料を塗布することにより設けられる場合、トップシート2の内部に染みこんで、第1折り返し部2hにおいて疎水部200が非肌面側T2に設けられることがある。この場合、本体接合部5aが疎水部200と当接し、当接している部分の本体接合部5aが粘着性能を発揮できず、吸収性本体100(トップシート2)と非肌側シート(サイドシート5)との接合強度が低下することがある。そこで、本体接合部5aが外側疎水部210と当接しない位置に配置してよい。これにより、トップシート2とサイドシート5との接合強度の低下を抑制でき、トップシート2とサイドシート5との間から排泄物が滲み出すことを抑制できる。
【0125】
なお、本体接合部5aが、外側疎水部210と当接しない位置に配置するために、例えば、本体接合部5aを厚さ方向Tにおいて外側疎水部210と重ならない位置に配置してよい。
【0126】
また、中央疎水部220は、トップシート2の非肌面側T2に設けられている。これにより、トップシートの肌面側T1に中央疎水部220が設けられる場合と比べて、着用者の肌に中央疎水部220が直接当接しないため、着用者の肌触りの悪化を抑制できる。加えて、トップシート2よりも内側の部材(セカンドシート3、吸収体10など)に到達した排泄物が拡散しても、中央疎水部220と重なる領域では、トップシート2の肌面側T1へ排泄物が滲み出すことを抑制できる。従って、排泄物の滲み出しによる着用者の肌触りの悪化を抑制しつつ、機能性材料の効果の持続時間を向上できる。
【0127】
また、
図9に示すように、疎水部200と機能性材料(機能部300)とが、例えば、トップシート2及びセカンドシート3によって厚さ方向Tおいて挟まれるように配置されてよい。すなわち、トップシート2の非肌面側T2に疎水部200(又は機能部300)が設けられ、トップシート2に対向するセカンドシート3の肌面側T1に機能部300(又は疎水部200)が設けられてもよい。或いは、同一のシート部材の同一の面(肌面側T1又は非肌面側T2)に、疎水部200と機能性材料(機能部300)とを設けてもよい。例えば、セカンドシート3の肌面側に疎水部200(又は機能部300)を設けた後に、さらに、セカンドシート3の肌面側に機能部300(又は疎水部200)を設けてもよい。このように、疎水部200と機能部300とが隣接して配置されることで、疎水部200による機能性材料の移動を制限する効果が高まり、重複領域R32と非重複領域R31とで機能性材料が効果を発揮する時間をよりずれ易くできる。
【0128】
図10に示すように、疎水部200は、疎水部200を構成するインクが印刷によって配置されている場合、疎水領域R2は、非網点領域R24と網点領域R25とからなってよい。非網点領域R24は、インクにより構成される複数の網点250間の隙間の領域である。網点領域R25は、複数の網点250が配置されている領域である。
【0129】
図10Aに示すように、中央疎水領域R22に対する網点領域R25の割合(網点領域R25の面積/中央疎水領域R22の面積)は、中央疎水領域R22に対する非網点領域R24の割合(非網点領域R24の面積/中央疎水領域R22の面積)よりも大きくてよい。例えば、フレキソ印刷が用いられた場合、中央疎水領域R22に対する網点領域R25の割合は、50%より大きく、100%以下であってよい。中央疎水領域R22に対する非網点領域R24の割合が0%以上であり、50%以下であってよい。これにより、中央疎水領域R22において中央疎水部220を構成するインクの存在する割合が高くなるため、機能性材料が中央疎水部220を通過し難くなり、機能性材料の効果を制御し易くなる。従って、重複領域R32と非重複領域R31とで機能性材料が効果を発揮する時間がずれ易くなり、機能性材料の効果の持続時間を向上することができる。
【0130】
図10Bに示すように、中央疎水領域R22に対する網点領域R25の割合は、前記疎水領域に対する非網点領域R24の割合以下であってよい。例えば、フレキソ印刷が用いられた場合、中央疎水領域R22に対する網点領域R25の割合は、0%以上であり、50%以下であってよい。中央疎水領域R22に対する非網点領域R24の割合が50%より大きく、100%以下であってよい。これにより、中央疎水領域R22において中央疎水部220を構成するインクの存在する割合が低くなるため、中央疎水領域R22において、排泄物が中央疎水部220を通過し易くなるため、吸収コア11に比較的到達し易くなる。これにより、機能性材料の効果の発現の制御と、排泄物の吸収性との両立を図ることができる。
【0131】
なお、中央疎水領域R22に対する非網点領域R24/網点領域R25の割合は、中央疎水領域R22の単位面積当たりの非網点領域R24/網点領域R25の面積を測定することにより、算出することができる。
【0132】
また、疎水部200が、ナプキン1に印刷されたインクが配置されている複数の網点250により構成されている場合、中央疎水部220における複数の網点250の単位面積当たりの密度は、外側疎水部210における複数の網点250の単位面積当たりの密度よりも小さくよい。中央疎水部220では、複数の網点250の密度が低いため排泄物の吸水性を確保しつつも、吸収体10に吸収された排泄物が肌面側T1液戻りし難くなる。これにより、吸収体10の外側縁10Eよりも幅方向Wの内側においても、吸収体に吸収された排泄物の滲み出しによる着用者の肌触りの悪化を抑制できる。一方で、吸収体10よりも幅方向Wの外側では、肌面側T1からの吸水性の必要性は低い。従って、外側疎水部210では複数の網点の密度を高くして吸収体10に吸収された排泄物の滲み出しをさらに抑制して、着用者の肌触りの悪化を抑制できる。
【0133】
また、外側疎水部210における複数の網点250の単位面積当たりの密度は、中央疎水部220における複数の網点250の単位面積当たりの密度よりも小さくよい。外側疎水部210では、複数の網点250の密度が低いため、外側疎水部210が設けられても剛性が高くなりすぎず、吸収体10の外側縁10Eよりも幅方向Wの外側の部分が着用者の肌に沿って曲がり難くなることを抑制できる。着用者の肌触りの悪化を抑制できる。一方で、中央疎水部220では、吸収体10に吸収された排泄物が肌面側へ液戻りし難くなり、吸収体10に吸収された排泄物の滲み出しによる着用者の肌触りの悪化を抑制できる。
【0134】
なお、網点250の密度は、単位面積当たりの網点の数を計測することにより、算出することができる。
【0135】
(5)その他実施形態
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更や改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれるのはいうまでもない。例えば、以下に示すような変形が可能である。
【0136】
上述の実施形態においては、トップシート2として疎水性の熱可塑性の合成樹脂フィルムを用いたが、これに限られない。例えば、不織布等の親水性のシート部材を用いても良い。親水性のシート部材をトップシート2として用いた場合でも、貫通孔を備えることで、吸収体10への排泄物の吸収を誘導しやすくなる。
【0137】
また、上述の実施形態では、
図3に示すように、第1折り返し部2hは、吸収体10と非肌側シート(サイドシート5)との間に挟まれていたが、これに限られない。第1折り返し部2hの先端2heは、吸収体10の外側縁10Eよりも幅方向Wの外側に配置されてよい。この場合、吸収体10は、非肌側シート(サイドシート5)に接合されてよい。
【0138】
また、上述の実施形態においては、第2折り返し部3hの先端3heは、本体接合部5aの一部と厚さ方向Tで重なるものであったが、これに限られない。第2折り返し部3hの先端3heは、本体接合部5aの一部と厚さ方向Tで重ならなくてよい。第2折り返し部3hの先端3heが、本体接合部5aの外側縁5eより幅方向Wの外側に位置してもよい。本体接合部5aにセカンドシート3が重なっていないことで、本体接合部5a及び一体とされたトップシート2とセカンドシート3と吸収体10の幅方向Wの端部における剛性をより低くさせることができる。これによって、着用状態において、ナプキン1を着用物品に固定した状態で、一体とされたトップシート2とセカンドシート3と吸収体10とを着用者の身体に沿わせやすくなるため、着用者にとって装着性が向上する。
【0139】
上述の実施形態においては、一対の本体接合部5aは、ナプキン1の前後方向Lに沿った連続形状で、ナプキン1の幅方向Wの中心線X-X線について対称な位置に設けたが、これに限られない。本体接合部5aを間欠な状態で設けてもよく、また、中心線X-Xについて非対称である位置に設けてもよい。
【0140】
上述の実施形態においては、吸収コア11と吸収性ポリマーシート12とを厚さ方向Tに重ねた吸収体10を用いたが、これに限られない。例えば、吸収体10として、吸収コア11のみであってもよいし、吸収性ポリマーシート12のみであってもよい。また、吸収コア11が吸収性ポリマーを有していてもよい。
【0141】
上述の実施形態では、セカンドシート3が中間シートであったが、これに限られない。吸収体10は、吸収コア11を厚さ方向Tにおいて挟むコアラップシートを有してよい。コアラップシートのうち、吸収コア11よりも肌面側T1に配置されているシートが中間シートであってよい。この場合、セカンドシート3をコアラップシートに置き換えることが可能であることに留意すべきである。また、ナプキン1は、セカンドシート3とコアラップシートとを有してよい。
【0142】
また、疎水部200(外側疎水部210及び/又は中央疎水部220)が設けられるシートは、トップシート2、セカンドシート3、コアラップシートの少なくともいずれかである。疎水部200は、複数のシートに設けられてよいし、単一のシートに設けられてよい。疎水部200は、疎水部200が設けられるシートの肌面側T1と非肌面側T2とのうちいずれか一方にのみ設けられてよく、肌面側T1と非肌面側T2との両方に設けられてよい。
【0143】
また、機能部300(機能性材料)が設けられるシートは、トップシート2、セカンドシート3、コアラップシートの少なくともいずれかである。疎水部200は、複数のシートに設けられてよいし、単一のシートに設けられてよい。機能部300は、機能部300が設けられるシートの肌面側T1と非肌面側T2とのうちいずれか一方にのみ設けられてよく、肌面側T1と非肌面側T2との両方に設けられてよい。
【0144】
なお、機能性材料が排泄物と接触することにより効果が得られるものである(例えば、抗菌剤、消臭剤)場合、例えば、機能部300は、吸収コア11の非肌面側T2、カバーシート13の肌面側T1、カバーシート13の非肌面側T2、のいずれかに設けられてよい。
【0145】
上述の実施形態では、機能性材料は、吸収体10の外側縁10Eよりも幅方向Wの内側に設けられていたが、これに限られない。機能性材料(機能部300)は、吸収体10の外側縁10Eよりも幅方向Wの内側に設けられてもよい。この場合、機能性材料は、外側疎水部210と厚さ方向Tにおいて重ならなくてもよい。或いは、機能性材料は、外側疎水部210と厚さ方向Tにおいて重なる領域と、外側疎水部210と厚さ方向Tにおいて重ならない領域との両方に配置されてよい。
【0146】
上述の実施形態では、中央疎水部220が設けられていたが、これに限られない。中央疎水部220は設けられなくてもよい。また、ナプキン1は、機能性材料(機能部300)を有していたが、これに限られない。機能性材料を有さなくてよい。
【0147】
上述の実施形態及び各変更例に係るナプキン1に係る構成は、適宜組み合わせることが可能である。また、上述したように、ナプキン1を例に挙げて説明したが、吸収性物品であればよく、ナプキン1を吸収性物品に置き換えることが可能であることに留意すべきである。
【符号の説明】
【0148】
1 :生理用ナプキン(ナプキン)
1W :ウイング
2 :トップシート
2e :肌側側端
2h :第1折り返し部
2s :肌面部
2u :非肌面部
3 :セカンドシート
3e :中間側端
3h :第2折り返し部
4 :バックシート
5 :サイドシート
5a :本体接合部
5e :外側縁
8 :中央粘着部
9 :ウイング粘着部
10 :吸収体
10a :吸収体接合部
11 :吸収コア
12 :吸収性ポリマーシート
13 :カバーシート
100 :吸収性本体
121 :高吸収性ポリマー
122 :液体透過性シート
200 :疎水部
210 :外側疎水部
220 :中央疎水部
250 :網点
300 :機能部
CR :中央領域
E :圧搾部
E1 :内側圧搾部
E2 :外側圧搾部
R1 :非疎水領域
R2 :疎水領域
R21 :外側疎水領域
R22 :中央疎水領域
R24 :非網点領域
R25 :網点領域
R3 :機能領域
R31 :非重複領域
R32 :重複領域
S1 :前側域
S2 :後側域
S3 :中央域