(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-04
(45)【発行日】2022-11-14
(54)【発明の名称】溝付き中空カソードを有するガスディフューザー
(51)【国際特許分類】
C23C 16/455 20060101AFI20221107BHJP
【FI】
C23C16/455
(21)【出願番号】P 2018532103
(86)(22)【出願日】2016-11-30
(86)【国際出願番号】 US2016064132
(87)【国際公開番号】W WO2017105838
(87)【国際公開日】2017-06-22
【審査請求日】2019-11-21
(32)【優先日】2015-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】クデラ, ジョゼフ
(72)【発明者】
【氏名】ラウ, アレン ケー.
(72)【発明者】
【氏名】ティナー, ロビン エル.
(72)【発明者】
【氏名】古田 学
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト, ジョン エム.
(72)【発明者】
【氏名】スターリング, ウィリアム ノーマン
(72)【発明者】
【氏名】リー, トンソ
(72)【発明者】
【氏名】アンウォー, スハール
(72)【発明者】
【氏名】栗田 真一
【審査官】今井 淳一
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-328021(JP,A)
【文献】特表2003-504866(JP,A)
【文献】特開2011-155308(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/455
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
堆積チャンバ用のディフューザーであって、
エッジ領域と中心領域とを有するプレートと、
各ガス通路が、前記プレートの上流側と下流側との間に形成された上流ボア及び前記上流ボアに流体連結されたオリフィス孔を含む、複数のガス通路と、
前記ガス通路を囲む複数の溝と
を含み、前記複数の溝の各々は、線形であり、互いに実質的に平行であり、かつ前記プレートの各個エッジに実質的に平行であり、前記溝の深さは前記プレートの前記エッジ領域から前記中心領域に向かって変化し、前記オリフィス孔は前記複数の溝のうちの一の底に形成され、かつ前記複数の溝のうちの一が一より多くのオリフィス孔に流体連結されている、ディフューザー。
【請求項2】
前記溝の深さは、前記プレートの前記中心領域から前記エッジ領域に向かって増加する、請求項1に記載のディフューザー。
【請求項3】
前記溝の幅は、前記プレートの前記エッジ領域から前記中心領域に向かって変化する、請求項1に記載のディフューザー。
【請求項4】
前記複数のガス通路は、前記プレートの前記下流側に
前記複数の溝の溝パターンを含む、請求項1に記載のディフューザー。
【請求項5】
堆積チャンバ用のディフューザーであって、
エッジ領域と中心領域とを有するプレートと、
各ガス通路が、前記プレートの上流側と下流側との間に形成された上流ボア及び前記上流ボアに流体連結されたオリフィス孔とを含む、複数のガス通路と、
前記ガス通路を囲む複数の中空カソードキャビティと
を含み、前記中空カソードキャビティは各々、複数の線形の溝を含み、各前記溝は、互いに実質的に平行であり、かつ前記プレートの各個エッジに実質的に平行であり、前記溝の幅は前記プレートの前記中心領域から前記エッジ領域に向かって増加し、前記オリフィス孔は前記複数の溝のうちの一の底に形成され、かつ前記複数の溝のうちの一が一より多くのオリフィス孔に流体連結されている、ディフューザー。
【請求項6】
前記溝の深さは、前記プレートの前記エッジ領域から前記中心領域に向かって変化する、請求項
5に記載のディフューザー。
【請求項7】
前記複数のガス通路は、前記プレートの前記下流側に
前記複数の溝の溝パターンを含む、請求項
5に記載のディフューザー。
【請求項8】
前記溝パターンは長方形パターンを含む、請求項
7に記載のディフューザー。
【請求項9】
堆積チャンバ用の電極であって、
エッジ領域と中心領域とを有するプレートと、
各ガス通路が、前記プレートの上流側と下流側との間に形成された上流ボア及び前記上流ボアに流体連結されたオリフィス孔とを含む、複数のガス通路と、
前記プレートの下流側に溝パターンに形成され、前記ガス通路を囲む複数の中空カソードキャビティと
を含み、前記溝パターンは複数の溝を含み、各溝は、互いに実質的に平行であり、かつ前記プレートの各個エッジに実質的に平行であり、前記複数の溝は、前記プレートの前記中心領域から前記エッジ領域に向かって変化するサイズを有し、前記オリフィス孔は前記複数の溝のうちの一の底に形成され、かつ前記複数の溝のうちの一が一より多くのオリフィス孔に流体連結されている、
電極。
【請求項10】
前記溝の各々は、前記ガス通路の各々からオフセットする、請求項1に記載のディフューザー。
【請求項11】
前記複数の溝の各々が、交差していない溝である、請求項1に記載のディフューザー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示の実施形態は概して、高周波電極として用いられうるガス分配プレート又はディフューザー、及び処理チャンバ内でガスを分配し、プラズマを形成するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]コンピュータのモニタ、モバイル機器のスクリーン及びTVスクリーン等のアクティブマトリクスディスプレイには一般に、液晶ディスプレイ又はフラットパネルスクリーンが使用される。薄膜トランジスタ(TFT)及びアクティブマトリクス有機発光ダイオード(AMOLED)はしかしながら、フラットパネルスクリーンを形成するための2種類のデバイスである。プラズマ化学気相堆積(PECVD)は概して、フラットパネルスクリーン用の例えば透明なガラス又はプラスチックの基板等の基板上に薄膜を堆積させるのに用いられる。PECVDは概して、基板を収容した真空チャンバ内へ前駆体ガス又は混合ガスを導入することによって達成される。前駆体ガス又はガス混合物は通常、チャンバ内に位置づけされたガスディフューザーを通って下の方へ方向づけされる。チャンバ内の前駆体ガス又はガス混合物は、チャンバに連結された一または複数のRF源からガスディフューザーへ高周波(RF)電力を印加することによって通電され(例:励起され)、プラズマが形成される。励起されたガス又はガス混合物は反応し、温度制御された基板支持体上に位置づけされた基板の表面上に材料の層が形成される。
【0003】
[0003]PECVD技法によって処理されたフラットパネルスクリーン用の基板は通常大きく、しばしば4平方メートルの表面積を超え、ガスディフューザーも基板の表面積と同様のサイズである。従来のガスディフューザーは、基板上に前駆体ガス又はガス混合物を分配するために形成された数千もの貫通孔を有するプレートを含む。各孔は通常、時間のかかる複数回の穿孔又はミリング工程によって形成される。ガスディフューザーはまた、前駆体ガス又はガス混合物のプラズマの形成において電極としても機能しうる。しかしながら、大きい表面積の基板全体のプラズマ密度の制御は困難である。
【0004】
[0004]したがって、ガスディフューザーを改善する必要がある。
【発明の概要】
【0005】
[0005]本開示は概して、プラズマによる基板上への膜のほぼ均一な堆積を確保するように構成された高周波(RF)電極として用いられうるガス分配プレートに関する。一実施形態では、堆積チャンバ用のディフューザーが提供される。ディフューザーは、エッジ領域と中心領域とを有するプレートと、プレートの上流側と下流側との間に形成された上流ボア及び上流ボアに流体連結されたオリフィス孔を含む複数のガス通路と、ガス通路を囲む複数の溝とを含み、溝の深さはプレートのエッジ領域から中心領域に向かって変化する。
【0006】
[0006]別の実施形態では、堆積チャンバ用のディフューザーが提供される。ディフューザーは、エッジ領域と中心領域とを有するプレートと、プレートの上流側と下流側との間に形成された上流ボア及び上流ボアに流体連結されたオリフィス孔とを含む複数のガス通路と、ガス通路を囲む複数の中空カソードキャビティとを含み、各中空カソードキャビティは溝を含み、溝の深さはプレートの中心領域からエッジ領域に向かって増加する。
【0007】
[0007]別の実施形態では、堆積チャンバ用のディフューザーが提供される。ディフューザーは、エッジ領域と中心領域とを有するプレートと、プレートの上流側と下流側との間に形成された上流ボア及び上流ボアに流体連結されたオリフィス孔とを含む複数のガス通路と、プレートの下流側に溝パターンに形成され、ガス通路を囲む複数の中空カソードキャビティとを含み、溝パターンは、プレートの中心領域からエッジ領域に向かって増加する深さを有する複数の溝を含む。
【0008】
[0008]別の実施形態では、堆積チャンバ用の電極が提供される。電極は、エッジ領域と中心領域とを有するプレートと、プレートの上流側と下流側との間に形成された上流ボア及び上流ボアに流体連結されたオリフィス孔とを含む複数のガス通路と、プレートの下流側に溝パターンに形成され、ガス通路を囲む複数の中空カソードキャビティとを含み、溝パターンは、プレートの中心領域からエッジ領域に向かって変化するサイズを有する複数の溝を含む。
【0009】
[0009]別の実施形態では、基板支持体上の基板を処理する方法が提供される。本方法は、ディフューザーを通して堆積ガスを送ることを含む。ディフューザーは、エッジ領域と中心領域とを有するプレートと、プレートの上流側と下流側との間に形成された上流ボア及び上流ボアに流体連結されたオリフィス孔とを含む複数のガス通路と、ガス通路を囲む複数の中空カソードキャビティとを含み、各中空カソードキャビティは溝を含み、溝のサイズはプレートの中心領域からエッジ領域に向かって増加する。本方法は更に、ディフューザーと基板支持体との間で堆積ガスを分離させることと、分離したガスから基板の上に膜を形成することとを含む。
【0010】
[0010]本開示の上述の特徴を詳細に理解しうるように、上記に簡単に要約された本開示のより具体的な説明が、実施形態を参照することによって得られ、一部の実施形態は、付随する図面に例示されている。しかし、本開示は他の等しく有効な実施形態も許容しうることから、付随する図面はこの開示の典型的な実施形態のみを例示するものであり、したがって、実施形態の範囲を限定すると見なすべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1A】堆積チャンバの一実施形態の概略断面図である。
【
図1B】溝パターンの一実施形態を有する
図1Aのディフューザーの拡大断面図である。
【
図2】溝パターンの別の実施形態を有する、
図1Aのディフューザーとして使用可能なディフューザーの断面図である。
【
図3A】溝パターンの別の実施形態を有する、
図1Aのディフューザーとして使用可能なディフューザーの図である。
【
図3B】溝パターンの別の実施形態を有する、
図1Aのディフューザーとして使用可能なディフューザーの図である。
【
図3C】溝パターンの別の実施形態を有する、
図1Aのディフューザーとして使用可能なディフューザーの図である。
【
図4A】溝パターンの別の実施形態を有する、
図1Aのディフューザーとして使用可能なディフューザーの図である。
【
図4B】溝パターンの別の実施形態を有する、
図1Aのディフューザーとして使用可能なディフューザーの図である。
【
図4C】溝パターンの別の実施形態を有する、
図1Aのディフューザーとして使用可能なディフューザーの図である。
【
図5A】溝パターンの別の実施形態を有する、
図1Aのディフューザーとして使用可能なディフューザーの図である。
【
図5B】溝パターンの別の実施形態を有する、
図1Aのディフューザーとして使用可能なディフューザーの図である。
【
図5C】溝パターンの別の実施形態を有する、
図1Aのディフューザーとして使用可能なディフューザーの図である。
【
図6A】溝パターンの別の実施形態を有する、
図1Aのディフューザーとして使用可能なディフューザーの図である。
【
図6B】溝パターンの別の実施形態を有する、
図1Aのディフューザーとして使用可能なディフューザーの図である。
【
図6C】溝パターンの別の実施形態を有する、
図1Aのディフューザーとして使用可能なディフューザーの図である。
【
図7A】溝パターンの別の実施形態を有する、
図1Aのディフューザーとして使用可能なディフューザーの図である。
【
図7B】溝パターンの別の実施形態を有する、
図1Aのディフューザーとして使用可能なディフューザーの図である。
【
図7C】溝パターンの別の実施形態を有する、
図1Aのディフューザーとして使用可能なディフューザーの図である。
【
図8A】溝パターンの別の実施形態を有する、
図1Aのディフューザーとして使用可能なディフューザーの図である。
【
図8B】溝パターンの別の実施形態を有する、
図1Aのディフューザーとして使用可能なディフューザーの図である。
【
図8C】溝パターンの別の実施形態を有する、
図1Aのディフューザーとして使用可能なディフューザーの図である。
【
図9】本書に記載されるディフューザーのうちのいずれか1つに形成されうる様々な溝形状の側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0021]理解を助けるため、可能な場合は図面に共通の同一要素を記号表示するのに同一の参照番号が使われている。追加の記載なしに他の実施形態に一実施形態の要素及び特徴を有益に組み込むことは可能であると考えられる。
【0013】
[0022]本開示の実施形態は概して、基板上へのほぼ均一な堆積を確保するように構成されたガスディフューザーに関する。ガスディフューザーは、その隅の領域におけるプラズマの非均一性を補うことができる。ガスディフューザーは、ガスディフューザーの表面積全体のプラズマ形成を制御することができるようにプラズマのパラメータを調整するために、本書に記載の実施形態に従って変更可能である。
【0014】
[0023]本書の実施形態を、カリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアルズ社の一部門であるAKTから入手可能なPECVDシステム等の大面積基板を処理するように構成されたPECVDシステムを参照しながら以下に例示的に説明する。しかしながら本開示は、エッチングシステム、他の化学気相堆積システム、物理的気相堆積システム、及び円形基板を処理するように構成されたシステムを含む、処理チャンバ内でガスを分配することが好ましい他のいかなるシステム等の他のシステム構成の実用性を有することを理解すべきである。
【0015】
[0024]
図1Aは、PECVDプロセスによってフラットパネルディスプレイを形成するための、薄膜トランジスタ(TFT)及びアクティブマトリクス有機発光ダイオード(AMOLED)等の電子デバイスを形成するための真空チャンバ100の一実施形態の概略断面図である。
図1Aが、基板上に電子デバイスを形成するのに使用可能な単なる例示的な装置であることに留意されたい。PECVDプロセス用のある好適なチャンバは、カリフォルニア州サンタクララに位置するアプライドマテリアルズ社から入手可能である。他の製造者からのものを含む他の堆積チャンバも、本開示の実施形態を実行するのに用いることができると考えられる。
【0016】
[0025]真空チャンバ100は概して、合わせてプロセス領域110を画定する壁102と、底部104と、バッキング板106とを含む。基板105を真空チャンバ100内外へ移送することができるように、壁102を通じて密閉可能なスリットバルブ109が形成されている。プロセス領域110内に位置づけされているのは、ガス分配プレート又はディフューザー(拡散器)108に対向する基板支持体112である。ディフューザー108は、真空チャンバ100内の堆積プロセス中は電極として機能する。基板支持体112は、基板105を支持するための基板受容面114を含み、ステム116は、基板支持体112を上げ下げするリフトシステム118に連結されている。シャドウフレーム120は、処理中に基板105周辺の上に配置されうる。リフトピン122は、基板移送プロセスにおいて基板受容面114の方へ、また基板受容面114から離れるように基板105を移動させるために、基板支持体112を通って移動可能に配置される。基板支持体112はまた、加熱及び冷却要素124の上に位置づけされた基板支持体112と基板105とを所望の温度に維持する加熱及び/又は冷却要素124も含みうる。基板支持体112はまた、基板支持体112周辺にRF接地を提供する接地ストラップ126も含みうる。
【0017】
[0026]ディフューザー108は、懸架装置128によってディフューザー108周辺においてバッキング板106に連結される。ディフューザー108はまた、たるみを防止しやすくする、及び/又はディフューザー108の真直度を制御しやすくために、一または複数の支持部材130によってバッキング板106にも連結されうる。ガス源132は、バッキング板106とディフューザー108の第1の主要面138との間に形成された空間136に流体を提供するバッキング板106を通して配置されたプロセス流体ポート134に連結される。流体は、空間136を通過してディフューザー108内に形成された複数のガス通路140へ、また薄膜が基板105上に形成されるプロセス領域110へ流れる。プロセス流体ポート134からの流体は、例えばイオン状態及び/又は分離状態等、一または複数の分子状態のガス、あるいは一または複数の励起状態のガスであってよい。
【0018】
[0027]プロセス領域110内の圧力を制御するために、真空ポンプ142が真空チャンバ100に連結されている。高周波(RF)電力をディフューザー108へ供給するために、バッキング板106及び/又はディフューザー108にRF電源144が連結されている。RF電力は、ディフューザー108と基板支持体112との間に存在するガスからプラズマが形成されうるようにディフューザー108と基板支持体112との間に電場を生成するために用いられる。ある実施形態では、プラズマを使用して、ディフューザー108と基板支持体112との間のガスの励起を維持しうる。例えば約0.3MHzと約200MHzとの間の周波数等の様々なRF周波数が使用されうる。一実施形態では、RF電源144は、13.56MHzの周波数でディフューザー108に電力を供給する。
【0019】
[0028]例えば誘導結合された遠隔プラズマ源等の遠隔プラズマ源146はまた、ガス源132とバッキング板106との間にも連結されうる。ガスはプロセス領域110に入る前に励起されてプラズマが形成され、上述した流れと同様の方法でディフューザー108を通って流れうる。ある実施形態では、遠隔プラズマ源146を処理基板間に用いることができる。例えば、洗浄ガスが遠隔プラズマ源146へ供給され、励起されて遠隔プラズマを形成し、ここから分離された洗浄ガス核種が生成され、チャンバの構成要素を洗浄するために供給されうる。洗浄ガスは、維持される、あるいはRF電源144によって更に励起され、分離された洗浄ガス核種の再結合が低減されうる。好適な洗浄ガスには、非限定的に三フッ化窒素(NF3)、フッ化物(F2)及び六フッ化硫黄(SF6)が含まれる。
【0020】
[0029]一実施形態では、加熱及び/又は冷却要素124を用いて、堆積中の基板支持体112とその上の基板105の温度を約摂氏400度以下に維持しうる。一実施形態では、加熱及び/又は冷却要素124を使用して、基板温度を例えば摂氏約20度と摂氏約90度の間等の摂氏約100度未満に制御することができる。堆積中の基板受容面114上に配置された基板105の上面とディフューザー108の第2の主要面150との間の間隔は、例えば400ミルと約800ミルとの間等、400ミル(0.001インチ)と約1200ミルとの間であってよい。
【0021】
[0030]従来のディフューザーでは、その中に形成された開口部(例:ガス通路140)の数は、数千から最大数万にも及びうる。開口部は通常、複数の穿孔工程によって形成され、これは各開口部の孔のサイズが多様でありうるからである。例えば、各開口部は3つ以上の半径を含んでいてよく、これには各開口部を形成するために3つ以上の穿孔サイズが必要とされる。自動化された機械工程においても、穿孔プロセスはかなり時間がかかるものである。多くの従来のディフューザーは、例えば凹凸面等の非平面の一または複数の主要面を有し、これは、少なくともディフューザーの基板に面する側のプラズマ密度を変化させるのに用いられうる。非平面の面を形成するために、追加の機械加工時間とコストが発生する。
【0022】
[0031]本書に記載されるディフューザー108により、ガス分配及び/又はプラズマパラメータは維持又は強化されつつも、従来のディフューザーと比べてかなりの機械加工時間が削減される。
図1Aに示す実施形態では、第1の主要面138と第2の主要面150はほぼ平行である。加えて、ガス通路140は、第2の主要面150において開いている複数の溝152を含む。ガス通路140は中空カソードキャビティを含んでいてよく、溝152を使用して、第2の主要面150と基板105との間に中空カソード効果がもたらされうる。溝152は、第2の主要面150の長さ及び/又は幅にわたって異なるサイズ(例:寸法及び/深さ)を含む。溝152のサイズは、第2の主要面150にわたって半径方向、方位方向及び/又は斜め方向に沿っても変化しうる。例えば、溝152のサイズは、第2の主要面150の中心からエッジに向かって増加しうる。加えて、ガス通路140の他の部分のサイズ(例:寸法(半径)及び/又は深さ)は第1の主要面138全体で変化しうる。
【0023】
[0032]
図1Bは、溝パターン155の一実施形態を有する、
図1Aのディフューザー108の拡大断面図である。ディフューザー108は、金属材料、例えばアルミニウム又は他の導電性材料等から製作されたプレート170を含む。プレート170の厚さは約0.8インチから約3.0インチ、例えば約0.8インチから約2.0インチであってよい。プレート170は、第1の主要面138(例:上流側)及び第2の主要面150(例:下流側)、及びエッジ156及び中心領域157を含む。ある実施形態では、プレート170は長方形であり、4つのエッジ156を含む。
【0024】
[0033]この溝パターン155の実施形態によれば、各ガス通路140は第2のボア又はオリフィス孔165によって溝152に連結された上流ボア160によって画定され、これらは結合してディフューザー108のプレート170を通る流体管路を形成する。上流ボア160はディフューザー108の第1の主要面138(例:上流側)から底部174までの深さ172だけ延びている。上流ボア160の底部174は、流体が上流ボア160からオリフィス孔165内へ流れるときの流量制限を最低限に抑えるために、四角形、テーパ形状、斜面、チャンファー、又は丸形であってよい。上流ボア160は一般に、約0.093から約0.174インチの半径、一実施形態では約0.156インチの半径を有する。半径は、全てのガス通路140間で同じであってよい、又は異なっていてよい。ガス通路140間のピッチ176は約0.3インチであってよい。ピッチ176は、全てのガス通路140間で同じであってよい、又は異なっていてよい。ある実施形態では、ピッチ176は、X方向、Y方向、及び斜めのうちの1つ、あるいは任意の組み合わせにおいてほぼ等しくてよい。
【0025】
[0034]オリフィス孔165は一般に、上流ボア160の底部174と溝152の底部178とを連結させる。オリフィス孔165は、約0.01インチから約0.3インチ、例えば約0.01インチから約0.1インチの半径を含み得、約0.02インチから約1.0インチ、例えば約0.02インチから約0.5インチの長さ180(又は第2の深さ)を含みうる。オリフィス孔165はチョーク孔であってよく、オリフィス孔165の長さ180と半径(又は他の幾何学的属性)は、ディフューザー108とバッキング板106(
図1Aに示す)との間の空間136の背圧の主要源であり、これにより、ディフューザー108の第1の主要面138全体のガスの均一な分配が促進される。オリフィス孔165は通常、複数のガス通路140のうちで均一に構成されているが、オリフィス孔165の制限は、別のエリア又は領域に対してより多くのガスがディフューザー108のあるエリア又は領域に流れやすくなるように、ガス通路140内で異なる構成であってよい。例えば、オリフィス孔165は、より多くのガスがディフューザー108のエッジを通って流れ、基板105の周辺エリアの一部の堆積速度が上がるように、ディフューザー108のこれらのガス通路140の真空チャンバ100の壁102(
図1Aに示す)に近づくほど大きい半径及び/又は短い長さ180を有しうる。ある実施形態では、上流ボア160の深さ172は第1の主要面138全体で変化するが、オリフィス孔165の長さ180はほぼ等しい。しかしながら、他の実施形態では、上流ボア160の深さ172はほぼ等しいが、オリフィス孔165の長さ180が変化しうる。ある実施形態では、上流ボア160の深さ172は、ディフューザー108の中心領域157からディフューザー108のエッジ156に向かって縮少している。
【0026】
[0035]各溝152は、ディフューザー108のオリフィス孔165から第2の主要面150(例:下流側)まで延びる2つの対向する側壁182を有する。側壁182は、オリフィス孔165によって形成された開口部で、又は溝152の底部178で合流しうる。底部178は、上流ボア160の底部174と同様に平坦、テーパ形状又は丸形であってよい。各溝152は、側壁182間に約10度から約50度、約18度から約25度等の例えば約22度の角度αを含みうる。溝152は、ディフューザー108内の約0.10インチから約2.0インチの深さ184に形成されうる。深さは1つの溝152内であるいはそれに沿って変化しうる、あるいは溝間で変化しうる。一実施形態では、深さ184は約0.1インチから約1.0インチであってよい。溝152の少なくとも一部の最大寸法又は長さ186は、約0.3インチ以下であってよい。ある実施形態では、各溝152は同じ角度αを含むが、長さ186及び/又は深さ184はディフューザー108の第2の主要面150全体で変化する。加えて、又は代替的に、溝152の底部178の幅は、1つの溝152内であるいはそれに沿って変化しうる、又は溝間で変化しうる。
【0027】
[0036]一実施形態では、各溝152の側壁182間の空間は、中空カソードキャビティ(空洞部)190を含む。例えば、オリフィス孔165はディフューザー108の第1の主要面138上に背圧を生成する。背圧のおかげで、プロセスガスがガス通路140を通過する前に、ディフューザー108の第1の主要面138上に均一に分配されうる。中空カソードキャビティ190の空間により、ガス通路140の特に各溝152の側壁182内でプラズマを発生させることが可能になる。加えて、プラズマは、第2の主要面150に、またプロセス量110(
図1Aに示す)にだけでなく、中空カソードキャビティ190内にも発生しうる。中空カソードキャビティ190の空間を変化させることにより、中空カソードキャビティが存在しない状況とは反対にプラズマ分配をよりうまく制御することが可能になる。更に、中空カソードキャビティ190に近い場所に形成されたプラズマは、中空カソードキャビティが存在しない場所と比べて高密度でありうる。第2の主要面150の中空カソードキャビティ190の少なくとも一部は、オリフィス孔165よりも大きい長さ186又は深さ184を有しうる。上流ボア160は、プラズマ暗空間よりも小さい幅又は半径を有するため、プラズマは中空カソードキャビティ190の上には形成されない。中空カソードキャビティ190の空間(例:長さ186及び深さ184)は、ディフューザー108の第2の主要面150全体で変化しうる。例えば、長さ186及び深さ184のいずれかあるいは両方が増加すると、プラズマ密度が増加する。一実施形態では、中空カソードキャビティ190の空間は、ディフューザー108の中心領域157からディフューザー108のエッジ156に向かって増加し、これによりディフューザー108の中心領域157のプラズマ密度と比べてディフューザー108のエッジ156のプラズマ密度はより高くなりうる。中空カソードキャビティ190の長さ186及び/又は深さ184は、ディフューザー108の製造中に変化させることができ、プラズマパラメータが局所的に改善される及び/又は安定化され、ディフューザー108全体に中空カソードの勾配が付与される。長さ186、幅、及び/又は深さ184の変化により、定在波効果及び電極のエッジ効果を補う又は低減させることができ、基板上へのより均一な膜の堆積が得られる。中空カソードの勾配は中心からエッジに向かって、エッジから中心に向かって、中心から隅に向かって、半径方向、又は斜め方向であってよい。
【0028】
[0037]
図2は、溝パターン202の別の実施形態を有する、
図1Aのディフューザー108として使用されうるディフューザー200の断面図である。溝パターン202は、ディフューザー108の溝パターン155とは、溝152がガス通路140からオフセットしているところが異なる。したがって、ガス通路140は上流ボア160を含み、対応するオリフィス孔165はプレート170を通る流路を提供する。加えて、上流ボア160の深さ172、及びオリフィス孔165の長さ180はほぼ等しい。この実施形態では、中空カソードキャビティ190は、溝152のサイズに基づいてプラズマ密度を局所的に高めうる。
【0029】
[0038]
図3A~3Cは、
図1Aのディフューザー108として使用されうる溝パターン302の別の実施形態を有する、ディフューザー300の様々な図である。
図3Aは、ディフューザー300の底部平面図である。
図3Bは、
図3Aのディフューザー300の部分側面断面図である。
図3Cは、
図3Aのディフューザー300の部分等角断面図である。
【0030】
[0039]ディフューザー300の上に図示した溝パターン302は斜めのパターンであってよく、溝152の少なくとも一部は他の溝152と交差する。一実施形態において(
図1Bに示し説明した溝パターン155と同様に)、交点305は溝152が接続するところで形成され、オリフィス孔165は交点305の一部に形成されうる。しかしながら、他の実施形態では、
図2に示し説明した溝パターン202は、ディフューザー300の溝パターン302に置き換え可能である。オリフィス孔165は、図示したように、X方向、Y方向及び斜めの1つあるいは全てに整列している、あるいは一または複数の方向にオフセットされうる。
図3Bには示していないが、溝152の深さ及び/又は幅、及びオリフィス孔165と上流ボア160の寸法は、
図1B及び
図2にそれぞれ示し説明したディフューザー108及び200の実施形態と同様に、ディフューザー300の長さ全体で変化させることができる。
【0031】
[0040]ある実施形態では、隣接するオリフィス孔165間のピッチ(310A、310B、及び310Cとして示す)は、ディフューザー300の第2の主要面150全体で異なっていてよい、あるいはほぼ等しくてよい。一実施形態では、ピッチ310A(斜め方向)及びピッチ310B(X方向)はほぼ等しくてよいが、ピッチ310C(Y方向)はピッチ310Aと310Bよりもわずかに小さい。ある実施形態では、オリフィス孔165の密度は、少なくとも半径方向においてディフューザー700の第2の主要面150全体でほぼ等しい。ほぼ等しいとはこの場合、+/-0.03インチ以内として定義されうる。加えて、又は代わりに、交互の(X方向の)オリフィス孔165のピッチ310Dは、ピッチ310A,310B及び310Cのいずれよりも大きくてよい。ある実施形態では、ピッチ310A、310B、310C及び310Dは、ディフューザー300の第2の主要面150全体で一定のままである。
【0032】
[0041]
図4A~4Cは、
図1Aのディフューザー108として使用されうる溝パターン402の別の実施形態を有する、ディフューザー400の様々な図である。
図4Aは、ディフューザー400の底部平面図である。
図4Bは、
図4Aのディフューザー400の部分側面断面図である。
図4Cは、
図4Aのディフューザー400の部分等角断面図である。
【0033】
[0042]ディフューザー400上に図示した溝パターン402は、溝152がほぼ平行であるが少なくとも一方向にオフセットしていてよい線形パターンでありうる。一実施形態では(
図1Bに図示し説明した溝パターン155と同様に)、オリフィス孔165は溝152の底部178に形成されうる。しかしながら、他の実施形態では、ディフューザー400の溝パターン402が
図2に図示し説明した溝パターン202に置き換えられうる。オリフィス孔165は、図示したように、X方向、Y方向及び斜めのうちの一方向又は全方向に整列していてよい、あるいは一または複数の方向にオフセットしていてよい。図示していないが、オリフィス孔165間のピッチは、
図3Aのピッチ310A,310B、310C及び310Dと同様に、ディフューザー400の第2の主要面150全体で同じであってよい、又は異なっていてよい。ある実施形態では、オリフィス孔165の密度は、ディフューザー400の第2の主要面150全体で少なくとも半径方向においてほぼ等しい。加えて、
図4Bには図示していないが、溝152の深さ及び/又は幅、及びオリフィス孔165と上流ボア160の寸法は、それぞれ
図1B及び
図2に示し説明したディフューザー108及び200の実施形態と同様に、ディフューザー400の長さ全体で変化しうる。
【0034】
[0043]
図5A~5Cは、
図1Aのディフューザー108として使用されうる溝パターン502の別の実施形態を有するディフューザー500の様々な図である。
図5Aは、ディフューザー500の底部平面図である。
図5Bは、
図5Aのディフューザー500の部分側面断面図である。
図5Cは、
図5Aのディフューザー500の部分等角断面図である。
【0035】
[0044]ディフューザー500上に図示した溝パターン502は、溝152が交差する交点305を形成する2つの直交方向に溝152がほぼ平行であってよいアレイ又はアレイのようなパターンでありうる。オリフィス孔165は、一実施形態において(
図1Bに図示し説明した溝パターン155と同様に)、溝152の底部178の交点305に形成されうる。しかしながら、他の実施形態では、ディフューザー500の溝パターン502が
図2に図示し説明した溝パターン202に置き換えられうる。オリフィス孔165は、図示したように、X方向、Y方向及び斜めのうちの一方向又は全方向に整列していてよい、あるいは一または複数の方向にオフセットしていてよい。図示していないが、オリフィス孔165間のピッチは、
図3Aのピッチ310A,310B、310C及び310Dと同様に、ディフューザー500の第2の主要面150全体で同じであってよい、又は異なっていてよい。ある実施形態では、オリフィス孔165の密度は、ディフューザー500の第2の主要面150全体で少なくとも半径方向においてほぼ等しい。加えて、
図5Bには図示していないが、溝152の深さ及び/又は幅、及びオリフィス孔165と上流ボア160の寸法は、それぞれ
図1B及び
図2に示し説明したディフューザー108及び200の実施形態と同様に、ディフューザー500の長さ全体で変化しうる。
【0036】
[0045]
図6A~6Cは、
図1Aのディフューザー108として使用されうる溝パターン602の別の実施形態を有するディフューザー600の様々な図である。
図6Aは、ディフューザー600の底部平面図である。
図6Bは、
図6Aのディフューザー600の部分側面断面図である。
図6Cは、
図6Aのディフューザー600の部分等角断面図である。
【0037】
[0046]ディフューザー600上に図示した溝パターン602は、溝152がほぼ平行であるが少なくとも一方向にオフセットしていてよいオフセットアレイ又はオフセットアレイのようなパターンでありうる。オリフィス孔165は、一実施形態において(
図1Bに図示し説明したパターン155と同様に)、溝152の底部178の交点305に形成されうる。しかしながら、他の実施形態では、ディフューザー600の溝パターン602が
図2に図示し説明した溝パターン202に置き換えられうる。オリフィス孔165は、図示したように、X方向、Y方向及び斜めのうちの一方向又は全方向に整列していてよい、あるいは一または複数の方向にオフセットしていてよい。図示していないが、オリフィス孔165間のピッチは、
図3Aのピッチ310A,310B、310C及び310Dと同様に、ディフューザー600の第2の主要面150全体で同じであってよい、又は異なっていてよい。ある実施形態では、オリフィス孔165の密度は、ディフューザー600の第2の主要面150全体で少なくとも半径方向にほぼ等しい。加えて、
図6Bには図示していないが、溝152の深さ及び/又は幅、及びオリフィス孔165と上流ボア160の寸法は、それぞれ
図1B及び
図2に示し説明したディフューザー108及び200の実施形態と同様に、ディフューザー600の長さ全体で変化しうる。
【0038】
[0047]
図7A~7Cは、
図1Aのディフューザー108として使用されうる溝パターン702の別の実施形態を有するディフューザー700の様々な図である。
図7Aは、ディフューザー700の底部平面図である。
図7Bは、
図7Aのディフューザー700の部分側面断面図である。
図7Cは、
図7Aのディフューザー700の部分等角断面図である。
【0039】
[0048]ディフューザー700上に図示した溝パターン702は、溝152がほぼ円であってよい円形又は同心リングパターンでありうる。オリフィス孔165は、一実施形態において(
図1Bに図示し説明した溝パターン155と同様に)、溝152の底部178に形成されうる。しかしながら、他の実施形態では、ディフューザー700の溝パターン702が
図2に図示し説明した溝パターン202に置き換えられうる。オリフィス孔165は、図示したように、中心ガス通路705から半径方向に直線的に整列していてよい、あるいは半径方向にオフセットしていてよい。オリフィス孔165のピッチ710A及び710Bは、ディフューザー700の第2の主要面150全体で同じであってよい、又は異なっていてよい。ある実施形態では、オリフィス孔165の密度は、ディフューザー700の第2の主要面150全体で少なくとも半径方向においてほぼ等しい。
図7Bには図示していないが、溝152の深さ及び/又は幅、及びオリフィス孔165と上流ボア160の寸法は、それぞれ
図1B及び
図2に示し説明したディフューザー108及び200の実施形態と同様に、ディフューザー700の長さ全体で変化しうる。ディフューザー700はほぼ円形の溝パターン702を有するが、溝パターンは同心円状でありうる長円形の溝であってもよい。一例では、代替的な溝パターンは、同心円状でありうる楕円形の溝であってよい。
【0040】
[0049]
図8A~8Cは、
図1Aのディフューザー108として使用されうる溝パターン802の別の実施形態を有するディフューザー800の様々な図である。
図8Aは、ディフューザー800の底部平面図である。
図8Bは、
図8Aのディフューザー800の部分側面断面図である。
図8Cは、
図8Aのディフューザー800の部分等角断面図である。
【0041】
[0050]ディフューザー800上に図示した溝パターン802は、溝152の一部がほぼ平行であってよい長方形パターンでありうる。ある実施形態では、中心溝805が溝パターン802に含まれうる。オリフィス孔165は、一実施形態において(
図1Bに図示し説明した溝パターン155と同様に)、溝152の底部178に形成されうる。しかしながら、他の実施形態では、ディフューザー800の溝パターン802が
図2に図示し説明した溝パターン202に置き換えられうる。オリフィス孔165は、中心ガス通路705から半径方向に直線的に整列していてよい、あるいは半径方向にオフセットしていてよい。オリフィス孔165はまた、X方向、Y方向及び斜めのうちの一方向又は全方向に整列していてよい、あるいは一または複数の方向にオフセットしていてよい。図示していないが、オリフィス孔165間のピッチは、
図7Aのピッチ710A及び710Bと同様に、ディフューザー700の第2の主要面150全体で同じであってよい、又は異なっていてよい。加えて、
図7Bには図示していないが、溝152の深さ及び/又は幅、及びオリフィス孔165と上流ボア160の寸法は、それぞれ
図1B及び
図2に示し説明したディフューザー108及び200の実施形態と同様に、ディフューザー700の長さ全体で変化しうる。図示していないが、代替的な溝パターンは、円形又は長円形の溝と混ざった長方形の溝であってよい。一例では、溝パターンは、同心円状の「レーストラック」のようなパターンの溝に似た、それぞれの半円形又はアーチ形の溝によって各端部で接続された複数の平行する溝を含んでいてよい。別の例では、溝パターンは、各々が同心円状の「フットボール」形のパターンの溝に似た同心円状の弓形の溝を含みうる。
【0042】
[0051]図示していないが、第2の主要面150に形成された複数の半径方向に配向された溝を有する溝パターンを有するディフューザーが考えられる。溝パターンは、一態様において車輪のスポークに似ていてよい。半径方向に配向された溝は、例えばプレート170の幾何学的中心等の第2の主要面150上の共通点から延びていてよい。ある実施形態では、半径方向に配向された溝は、プレート170の中心からエッジに向かって変化する深さ及び/又は幅を有する。他の実施形態では、半径方向に配向された溝は、プレート170の中心からエッジに向かって増加する深さ及び/又は幅を有する。
【0043】
[0052]ディフューザー上の溝パターンの他の例には、X/Yパターン、斜めパターン、半径方向パターン、長方形パターン、円形又は長円形パターン、螺旋パターン、又はこれらの組み合わせが含まれる。本書に開示される様々な溝パターンのうちでも、溝パターンのうちのいずれか1つあるいは組み合わせには交差している溝又は交差していない(分離した)溝、又はこれらの組み合わせが含まれうる。本書に開示される様々な溝パターンのうちでも、溝パターンのうちのいずれか1つあるいは組み合わせには一又は複数の溝が含まれていてよく、一または複数の溝の深さが変化する、一または複数の溝の幅が変化する、一または複数の溝のピッチが変化する、あるいはこれらが組み合わされる。
【0044】
[0053]
図9は、本書に記載されるように、ディフューザー108、200、300、400、500、600、700及び800のうちのいずれか1つにおいて形成されうるさまざまな溝形状の側面断面図である。
【0045】
[0054]溝形状900には、半径910によって接続された底部178と角度のついた側壁182とが含まれる。
【0046】
[0055]溝形状915には、本書に記載の溝152の実施形態と同様に、底部178と角度のついた側壁182とが含まれる。
【0047】
[0056]溝形状920には、延在する四角形の壁925によって接続された底部178と角度のついた側壁182とが含まれる。延在する四角形の壁925は、底部178に対してほぼ直角であってよい、及び/又はエッジ156の平面に対してほぼ平行であってよい。延在する四角形の壁925は、溝形状900に図示される四角形の壁902よりも大きい長さを有しうる。
【0048】
[0057]溝形状930には、テーパ形状の壁935と中心の四角形の壁940とによって接続された底部178と角度のついた側壁182とが含まれる。中心の四角形の壁940は、底部178の平面に対してほぼ直角であってよい、及び/又はエッジ156の平面に対してほぼ平行であってよい。テーパ形状の壁935は、角度のついた側壁182とほぼ同じ角度で、あるいは異なる角度で形成されうる。
【0049】
[0058]
図9に示すように、溝形状900、905、915、920及び930は、適切に成形されたエンドミルによって形成されうる。図示していない他の形状は、エンドミル又は他の切断ツールの形状又は形に基づいて形成されうる。
【0050】
[0059]本書に記載される例えばディフューザー108、200、300、400、500、600、700及び800等のディフューザーの製造は、数千もの孔を形成するための1つの穿孔工程がミルプロセスによって置き換えられるため、低コストで実施されうる。ミルプロセスは、穿孔工程と比べて短い時間で実施することができ、ツールの破損も少ない。
【0051】
[0060]固体プレートから開始し、自動ミル又は穿孔機械に、プレートの第1の側面(例:第1の主要面138)にオリフィス孔165を形成するための、オリフィス孔を穿孔するようにプログラミングされた所望のサイズの穿孔ビット(又は機械の能力に応じて複数の穿孔ビット)が配設されうる。例えば、コンピュータ数値制御(CNC)機は、プレートの第1の側面、又はプレート全体に所定のピッチでオリフィス孔165を穿孔するようにプログラミングされうる。
【0052】
[0061]次に、第1の側面に上流ボア160を形成するために、自動機械に特定のサイズの第2の穿孔ビット(又は機械の能力に応じて複数の穿孔ビット)が配設されうる。約0.093インチから約0.25インチの半径を有する上流ボアを形成するための穿孔ビットが使用されうる。一例では、約0.1インチの半径を有する上流ボア160を形成するときに、0.1インチの穿孔ビットが使用され、機械は、各ガス通路140に所望の深さの孔を穿孔するようにプログラミングされうる。上流ボア160の深さ172(
図1B及び
図2に示す)は、本書に記載されるように、同じであってよい、あるいは異なっていてよい。
【0053】
[0062]各上流ボア160が形成された後に、第2の側面(例:第2の主要面150)をミル加工して溝152を形成するために、プレートがひっくり返されうる。第2の側面に溝152を形成するために、所望のサイズ及び/又は形状のエンドミル(又は機械の能力に応じて複数のエンドミル)が自動機械に配設されうる。
図1Bと
図2に記載されるように、角度αを有する溝152を形成するためのエンドミルが使用されうる。機械は、溝152の深さ184(
図1B及び
図2に示す)を変化させるようにプログラミングされうる。溝152の深さ184を変化させることで、オリフィス孔165の長さ180(
図1B及び
図2に示す)も変化しうる。
【0054】
[0063]本書に記載の溝152を有するディフューザー108、200、300、400、500、600、700及び800の実施形態により、ガス流が増加し、基板の隅の領域及び/又はエッジ領域上の低い堆積速度を補うことができる。溝152を中空カソードキャビティ190として用いることで、第2の主要面150の局所的、又は全体的なプラズマ形成を増進、あるいは安定化させ、定在波効果を補う、及び/又は電極のエッジ効果を最小限に抑えることができる。したがって、全体的な膜厚の均一性が改善される。ディフューザー108、200、300、400、500、600、700及び800は、本書に記載の実施形態にしたがって製造されうる、あるいは、本書に記載の溝152を組込プロセスにおいて既存のディフューザーに加えることができる。
【0055】
[0064]以上の記述は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の基本的な範囲から逸脱せずに本開示の他の実施形態及び更なる実施形態が考案されてよく、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。