IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社KOKUSAI ELECTRICの特許一覧

特許7170692基板処理装置、半導体装置の製造方法及びプログラム
<>
  • 特許-基板処理装置、半導体装置の製造方法及びプログラム 図1
  • 特許-基板処理装置、半導体装置の製造方法及びプログラム 図2
  • 特許-基板処理装置、半導体装置の製造方法及びプログラム 図3
  • 特許-基板処理装置、半導体装置の製造方法及びプログラム 図4
  • 特許-基板処理装置、半導体装置の製造方法及びプログラム 図5
  • 特許-基板処理装置、半導体装置の製造方法及びプログラム 図6
  • 特許-基板処理装置、半導体装置の製造方法及びプログラム 図7
  • 特許-基板処理装置、半導体装置の製造方法及びプログラム 図8
  • 特許-基板処理装置、半導体装置の製造方法及びプログラム 図9
  • 特許-基板処理装置、半導体装置の製造方法及びプログラム 図10A
  • 特許-基板処理装置、半導体装置の製造方法及びプログラム 図10B
  • 特許-基板処理装置、半導体装置の製造方法及びプログラム 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-04
(45)【発行日】2022-11-14
(54)【発明の名称】基板処理装置、半導体装置の製造方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/205 20060101AFI20221107BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20221107BHJP
   H01L 21/02 20060101ALI20221107BHJP
【FI】
H01L21/205
C23C16/44 J
H01L21/02 Z
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020145475
(22)【出願日】2020-08-31
(65)【公開番号】P2021077862
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2020-09-08
(31)【優先権主張番号】P 2019198080
(32)【優先日】2019-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(72)【発明者】
【氏名】守田 修
(72)【発明者】
【氏名】久保 修一
(72)【発明者】
【氏名】山岡 雄治
【審査官】桑原 清
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-106575(JP,A)
【文献】国際公開第2013/146595(WO,A1)
【文献】特開2013-214726(JP,A)
【文献】特開2000-195805(JP,A)
【文献】国際公開第2017/175408(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/205
C23C 16/44
H01L 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理炉内の処理環境を整える前処理工程と、基板を処理する成膜工程と、後処理工程と、を有する半導体装置の製造方法であって、
前記成膜工程での前記基板の処理に影響が及ばない前記前処理工程の第一ステップで、前記処理炉内を構成する部材をメンテナンスする保守レシピをエラーの内容に応じて適宜選択して、前記保守レシピを実行するかどうか判定する、半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記前処理工程の第一ステップは、サブレシピを実行する工程を含み、
前記サブレシピの第一ステップで前記保守レシピを実行するか判定する請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記サブレシピの第一ステップでは、前記保守レシピを実行する設定を確認する工程と、予め設定されたメンテナンス項目の現在値と閾値とを比較する工程を有する請求項2記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記メンテナンス項目の現在値が前記閾値に到達していた場合、前記保守レシピを実行し、前記サブレシピの第一ステップの次のステップを実行するよう構成されている請求項3記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
更に、前記サブレシピは、基板を搬送する移載ステップを有し、
前記サブレシピの第一ステップ実行後、前記移載ステップを実行するよう構成されている請求項2記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記移載ステップ実行後、前記サブレシピを終了させて前記前処理工程の第一ステップの次のステップへ移行するよう構成されている請求項5記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記保守レシピが正常に終了しなかった場合、前記サブレシピを強制的に終了させ、前記後処理工程を実行させるよう構成されている請求項4記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記保守レシピ終了後、前記メンテナンス項目の現在値をゼロにするように構成されている請求項4記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記前処理工程の第一ステップにおいて、
前記保守レシピが設定されていれば、サブレシピを実行し、
前記保守レシピが設定されていなければ、サブレシピを実行しないで前記前処理工程を実行する請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記前処理工程は、基板を基板保持具に装填する工程、および処理炉の下側の基板保持具と基板が待機する移載環境を整える工程を少なくとも含む請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記保守レシピは、パージレシピ、ウォームアップレシピ、クリーニングレシピよりなる群から選択される少なくとも一つを含む請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記パージレシピは、処理炉内の温度や圧力が所定値に維持された状態で、パージガスを供給する工程が実行されるように構成される請求項11記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記パージレシピは、基板保持具を処理炉内に挿入する工程、および、処理炉から基板保持具を取り出す工程を含む請求項12記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記パージレシピは、前記基板保持具を冷却するための冷却工程を更に含む請求項13記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記メンテナンス項目は、「使用回数」「使用時間」「装置内滞在時間」「累積膜厚」「使用可能残枚数」「待機時間」「メンテナンス処理実行回数」「ダミーウェーハの使用回数」「ダミーウェーハ累積膜厚」よりなる群から少なくとも一つ以上が選択される請求項3記載の半導体装置の製造方法。
【請求項16】
前記保守レシピは、「指定なし」「アラーム報告」「ジョブ実行禁止」「メンテナンスジョブ手動スタート」「メンテナンスジョブ自動スタート」「アラームレシピ呼出」よりなる群から一つが選択される請求項9記載の半導体装置の製造方法。
【請求項17】
前記保守レシピとして、前記「アラームレシピ呼出」が選択される場合、サブレシピを実行する請求項16記載の半導体装置の製造方法。
【請求項18】
前記装置を構成する部品として、「FOUP」としてのポッド、「WAFER」としてのウエハ、「BOAT」としてのボート、「TUBE」としての反応管、「EQUIPMENT」としての処理装置、よりなる群から少なくとも一つが部品として選択される請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項19】
処理炉内の処理環境を整える前処理ステップと、基板を処理する成膜ステップと、後処理ステップと、を含むメインレシピ及び前記処理炉内を構成する部材をメンテナンスする保守レシピを少なくとも含むファイルを格納する記憶部と、前記メインレシピ及び前記保守レシピをエラーの内容に応じて、レシピ実行部に適宜選択して実行させる制御部と、を備えた基板処理装置で実行されるプログラムであって、前記成膜ステップでの前記基板の処理に影響が及ばない前記前処理ステップの第一ステップ、前記保守レシピを前記レシピ実行部に実行させるプログラム。
【請求項20】
処理炉内の処理環境を整える前処理ステップと、基板を処理する成膜ステップと、後処理ステップと、を含むメインレシピ、及び前記処理炉内を構成する部材をメンテナンスする保守レシピをエラーの内容に応じて、レシピ実行部に適宜選択して実行させる制御部を備えた基板処理装置であって、前記レシピ実行部は、前記成膜ステップでの前記基板の処理に影響が及ばない前記前処理ステップの第一ステップで、前記保守レシピを実行可能に構成されている基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置、半導体装置の製造方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
基板処理装置の一種である半導体製造装置において、成膜処理を実施する前もしくは実施した後には何かしらのメンテナンス処理が実施される。ここで、メンテナンス処理とは、炉内の副生成物を除去する処理や、炉内の環境を特定条件に維持するためのパージ処理など様々存在する。昨今、装置生産性を向上するために(装置ダウンタイムを短縮するために)、メンテナンス処理を自動実行する機能が必須となってきている。
【0003】
例えば、特許文献1には、監視対象の装置データの現在値が所定の条件に達するとアラームを発生させると共にクリーニングレシピを実行することが記載されている。また、例えば、特許文献2には、成膜ステップ前の準備ステップでエラーが発生しても、成膜ステップの先頭ステップでエラー処理を行うことが記載されている。
【0004】
しかしながら、現在値が所定の閾値に到達して、メンテナンス処理が自動で実行されてしまうと、成膜処理開始時の炉内の状況に変化が生じることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許2019-114783号公報
【文献】特許2015-162628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示の目的は、成膜処理開始時の炉内の状況を安定化させることが可能な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様によれば、
処理炉内の処理環境を整える前処理工程と、基板を処理する成膜工程と、後処理工程と、を有する技術であって、前記前処理工程の第一ステップでは、装置を構成する部品をメンテナンスする保守レシピを実行するかどうか判定可能な技術が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本開示の技術によれば、炉内の成膜前状況を同一条件にすることができ、成膜安定性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の一実施形態に好適に用いられる基板処理装置を示す横断面図の一例である。
図2】本開示の一実施形態に好適に用いられる基板処理装置を示す縦断面図の一例である。
図3】本開示の一実施形態に好適に用いられる基板処理装置の処理炉を示す縦断面図の一例である。
図4】本開示の一実施形態に好適に用いられるコントローラの機能構成を説明する図である。
図5】本開示の一実施形態に好適に用いられる処理フローを示す図である。
図6】本開示の一実施形態に好適に用いられるメンテナンス項目の図示例である。
図7】本開示の一実施形態に好適に用いられるメンテナンス処理を説明する図示例である。
図8図5の処理フローにおける前処理工程の詳細を示す図である。
図9図8の前処理工程において、メンテナンス処理判定工程の詳細を示す図である。
図10A】1つのジョブで複数回の成膜処理を実行する場合の比較例である。
図10B】本開示の一実施形態に好適に用いられる1つのジョブで複数回の成膜処理を実行する場合の処理フローを示す図である。
図11】本開示の一実施形態に好適に用いられる処理フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(基板処理装置の概要)
次に本開示の実施形態を図1図2に基づいて説明する。 本開示が適用される実施形態において、基板処理装置は、一例として、半導体装置(IC)の製造方法における処理装置を実施する基板処理装置として構成されている。尚、以下の説明では、基板処理装置として基板に酸化、拡散処理やCVD処理などを行う縦型の装置(以下、単に処理装置という)を適用した場合について述べる。
【0011】
図1図2に示すように、基板処理装置10は隣接する2つの後述する処理炉202としての処理モジュールを備えている。処理モジュールは数十枚の基板としてのウエハ200を一括して処理する縦型処理モジュールである。以下、処理装置10を構成する部品は、例えば、処理炉202内を構成する部品、搬送室6、移載室8にそれぞれ配置される部品等を含む他、処理装置10そのものも含む場合がある。
【0012】
処理炉202の下方には、準備室としての搬送室6A、6Bが配置されている。搬送室6A、6Bの正面側には、基板としてのウエハ200を移載する移載機125を有する移載室8が、搬送室6A、6Bに隣接して配置されている。尚、本実施形態では、搬送室6A、6Bの上方に後述する処理炉202がそれぞれ設けられた構成として説明する。
【0013】
移載室8の正面側には、ウエハ200を複数枚収容する収容容器としてのポッド(FOUP)110を収納する収納室9(ポッド搬送空間)が設けられている。収納室9の全面にはI/Oポートとしてのロードポート22が設置され、ロードポート22を介して処理装置2内外にポッド110が搬入出される。
【0014】
搬送室6A、6Bと移載室8との境界壁(隣接面)には、隔離部としてのゲートバルブ90A、90Bが設置される。移載室8内および搬送室6A、6B内には圧力検知器がそれぞれに設置されており、移載室8内の圧力は、搬送室6A、6B内の圧力よりも低くなるように設定されている。また、移載室8内および搬送室6A、6B内には酸素濃度検知器がそれぞれに設置されており、移載室8A内および搬送室6A、6B内の酸素濃度は大気中における酸素濃度よりも低く維持されている。好ましくは、30ppm以下に維持されている。
【0015】
移載室8の天井部には、移載室8内にクリーンエアを供給するクリーンユニット(図示しない)が設置されており、移載室8内にクリーンエアとして、例えば、不活性ガスを循環させるように構成されている。移載室8内を不活性ガスにて循環パージすることにより、移載室8内を清浄な雰囲気とすることができる。
【0016】
このような構成により、移載室8内に搬送室6A、6Bのパーティクル等が図示しない処理炉202に混入することを抑制することができ、移載室8内および搬送室6A、6B内でウエハ200上に自然酸化膜が形成されることを抑制することができる。
【0017】
収納室9の後方、収納室9と移載室8との境界壁には、ポッド110の蓋を開閉するポッドオープナ21が複数台、例えば、3台配置されている。ポッドオープナ21がポッド110の蓋を開けることにより、ポッド110内のウエハ200が移載室8内外に搬入出される。
【0018】
図2に示されているように、シリコン等からなる複数のウエハ200を収容し、ポッド110が使用されている基板処理装置10は、基板処理装置本体として用いられる筐体111を備えている。
【0019】
筐体111の正面壁の正面前方部にはメンテナンス可能なように設けられた開口部としての正面メンテナンス口(図示せず)が開設され、この正面メンテナンス口を開閉する正面メンテナンス扉がそれぞれ建て付けられている。また、正面壁にはポッド搬入搬出口が筐体111の内外を連通するように開設されている。ポッド搬入搬出口はフロントシャッタ(図示せず)によって開閉されるように構成されていてもよい。
【0020】
ポッド搬入搬出口には、搬入搬出部として用いられるロードポート22が設置されており、ロードポート22はポッド110を載置されて位置合わせするように構成されている。ポッド110はロードポート22上に工程内搬送装置によって搬入され、また、ロードポート22上から搬出されるようになっている。
【0021】
筐体111の正面後方側には、ポッド搬入搬出口の周辺の上下左右にわたってマトリクス状に収納棚(ポッド棚)棚)105が設置されている。ポッド棚105はポッドを載置する収納部としての載置部140が設置される。収納部は当該載置部140と、載置部140をポッド110が収納される待機位置とポッド110を受渡しする受渡し位置との間で水平移動させる水平移動機構(収容棚水平移動機構)より構成される。水平方向の同一直線上に並ぶ複数の独立した載置部140によってポッド棚105の一段が構成され、該ポッド棚が垂直方向に複数段設置されている。各載置部140は上下又は左右の隣り合う載置部140およびその他のどの載置部140とも同期させることなく独立して水平移動させることが可能である。そして、ポッド搬送装置130は、ロードポート22、ポッド棚105、ポッドオープナ21との間で、ポッド110を搬送するように構成されている。
【0022】
筐体111内でありサブ筐体119の正面側には、上下左右にわたってマトリクス状にポッド棚(収容棚)105が設置されている。筐体111の正面後方側のポッド棚105と同様に各ポッド棚105のポッドを載置する収納部としての載置部140は、水平移動可能となっており、上下又は左右の隣り合う載置部140と同期させることなく独立して水平移動させることが可能である。ポッド棚105は、複数の載置部140にポッド110をそれぞれ1つずつ載置した状態で保持するように構成されている。
【0023】
サブ筐体119の正面壁119aにはウエハ200をサブ筐体119内に対して搬入搬出するためのウエハ搬入搬出口120が一対、垂直方向に上下二段並べられて開設されており、上下段のウエハ搬入搬出口120には一対のポッドオープナ21がそれぞれ設置されている。本実施例において、ポッドオープナ21は上下二段に設置されているが、水平方向に左右2つ設置されていても良い。ポッドオープナ21はポッド110を載置する載置台122と、ポッド110のキャップを着脱するキャップ着脱機構123とを備えている。ポッドオープナ21は載置台122に載置されたポッド110のキャップをキャップ着脱機構123によって着脱することにより、ポッド110のウエハ出し入れ口を開閉するように構成されている。
【0024】
サブ筐体119はポッド搬送装置130やポッド棚105の設置空間から流体的に隔絶された移載室8を構成している。移載室8の前側領域にはウエハ移載機構125が設置されており、ウエハ移載機構125は、ウエハ200を水平方向に回転ないし直動可能なウエハ移載装置125a及びウエハ移載装置125aを昇降させるためのウエハ移載装置エレベータ125bとで構成されている。これら、ウエハ移載装置エレベータ125b及びウエハ移載装置125aの連続動作により、ウエハ移載装置125aのツイーザ(基板保持体)125cをウエハ200の載置部として、ボート(基板保持具)217に対してウエハ200を装填(チャージング)及び脱装(ディスチャージング)するように構成されている。
【0025】
移載室8の後側領域には、ゲートバルブ90を介してボート217を収容して待機させる待機部としての搬送室6が構成されている。搬送室6の上方には、処理室を内部に構成する処理炉202が設けられている。処理炉202の下端部は、炉口シャッタ147により開閉されるように構成されている。
【0026】
ボート217はボートエレベータ115(図示せず)によって昇降され処理炉内へ導入される。ボートエレベータ115の昇降台に連結された連結具としてのアーム(図示せず)には蓋体としてのシールキャップ219が水平に据え付けられており、蓋体219はボート217を垂直に支持し、処理炉202の下端部を閉塞可能なように構成されている。ボート217は複数本の保持部材を備えており、複数枚のウエハ200をその中心を揃えて垂直方向に整列させた状態で、それぞれ水平に保持するように構成されている。
【0027】
(基板処理装置の処理炉)
図3に示すように、処理炉202は加熱手段(加熱機構)としてのヒータ207を有する。ヒータ207は円筒形状であり、保持板としてのヒータベース(図示せず)に支持されることにより垂直に据え付けられている。
【0028】
ヒータ207の内側には、ヒータ207と同心円状に反応容器(処理容器)を構成する反応管203が配設されている。反応管203は、下端部が開放され、上端部が平坦状の壁体で閉塞された有天井の形状で形成されている。反応管203の内部には、円筒状に形成された筒部209と、筒部209と反応管203の間に区画されたノズル配置室222と、筒部209に形成されたガス供給口としてのガス供給スリット235と、筒部209に形成された第1ガス排気口236と、筒部209に形成され、第1ガス排気口236の下方に形成された第2ガス排気口237を備えている。筒部209は、下端部が開放され、上端部が平坦状の壁体で閉塞された有天井の形状で形成され、ウエハ200の直近にウエハ200を囲むように設けられている。筒部209の内部には、処理室201が形成されている。処理室201は、ウエハ200を水平姿勢で垂直方向に多段に整列した状態で保持可能な基板保持具としてのボート217を収容して、ウエハ200を処理可能に構成されている。
【0029】
反応管203の下端は、円筒体状のマニホールド226によって支持されている。マニホールド226の上端部にはフランジが形成されており、このフランジ上に反応管203の下端部を設置して支持する。このフランジと反応管203の下端部との間にはOリング等の気密部材220を介在させて反応管203内を気密状態にしている。
【0030】
マニホールド226の下端の開口部には、シールキャップ219がOリング等の気密部材220を介して気密に取り付けられ、反応管203の下端の開口部側、すなわちマニホールド226の開口部を気密に塞ぐようになっている。
【0031】
シールキャップ219上にはボート217を支持するボート支持台218が設けられている。ボート支持台218は、断熱部として機能すると共にボート217を支持する支持体となっている。ボート217は例えば石英やSiC等の耐熱性材料で構成されている。ボート217は図示しないボート支持台に固定された底板とその上方に配置された天板とを有しており、底板と天板との間に複数本の支柱が架設された構成を有している。ボート217には複数枚のウエハ200が保持されている。複数枚のウエハ200は、互いに一定の間隔をあけながら水平姿勢を保持しかつ互いに中心を揃えた状態で反応管203の管軸方向に多段に積載されボート217の支柱に支持されている。
【0032】
シールキャップ219の処理室201と反対側にはボートを回転させるボート回転機構267が設けられている。ボート回転機構267の回転軸265はシールキャップを貫通してボート支持台218に接続されており、ボート回転機構267によって、ボート支持台218を介してボート217を回転させることでウエハ200を回転させる。
【0033】
シールキャップ219は反応管203の外部に設けられた昇降機構としてのボートエレベータ115によって垂直方向に昇降され、これによりボート217を処理室201内に対し搬入搬出することが可能となっている。
【0034】
マニホールド226には、処理室201内に処理ガスを供給するガスノズルとしてのノズル340a~340dを支持するノズル支持部350a~350dが、マニホールド226を貫通するようにして設置されている。ここでは、4本のノズル支持部350a~350dが設置されている。ノズル支持部350a~350cの反応管203側の一端には処理室201内へガスを供給するガス供給管310a~310cがそれぞれ接続されている。また、ノズル支持部350dの反応管203側の一端には反応管203と筒部209の間に形成される間隙Sへガスを供給するガス供給管310dが接続されている。また、ノズル支持部350a~350dの他端にはノズル340a~340dがそれぞれ接続されている。
【0035】
ガス供給管310aには、上流方向から順に、第1処理ガスを供給する第1処理ガス供給源360a、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)320aおよび開閉弁であるバルブ330aがそれぞれ設けられている。ガス供給管310bには、上流方向から順に、第2処理ガスを供給する第2処理ガス供給源360b、MFC320bおよびバルブ330bがそれぞれ設けられている。ガス供給管310cには、上流方向から順に、第3処理ガスを供給する第3処理ガス供給源360c、MFC320cおよびバルブ330cがそれぞれ設けられている。ガス供給管310dには、上流方向から順に、不活性ガスを供給する不活性ガス供給源360d、MFC320dおよびバルブ330dがそれぞれ設けられている。ガス供給管310a,310bのバルブ330a,330bよりも下流側には、不活性ガスを供給するガス供給管310e,310fがそれぞれ接続されている。ガス供給管310e,310fには、上流方向から順に、MFC320e,320fおよびバルブ330e,330fがそれぞれ設けられている。
【0036】
主に、ガス供給管310a、MFC320a、バルブ330aにより第1処理ガス供給系が構成される。第1処理ガス供給源360a、ノズル支持部350a、ノズル340aを第1処理ガス供給系に含めて考えても良い。また、主に、ガス供給管310b、MFC320b、バルブ330bにより第2処理ガス供給系が構成される。第2処理ガス供給源360b、ノズル支持部350b、ノズル340bを第2処理ガス供給系に含めて考えても良い。また、主に、ガス供給管310c、MFC320c、バルブ330cにより第3処理ガス供給系が構成される。第3処理ガス供給源360c、ノズル支持部350c、ノズル340cを第3処理ガス供給系に含めて考えても良い。また、主に、ガス供給管310d、MFC320d、バルブ330dにより不活性ガス供給系が構成される。不活性ガス供給源360d、ノズル支持部350d、ノズル340dを不活性ガス供給系に含めて考えても良い。
【0037】
反応管203には排気口230が形成されている。排気口230は、第2ガス排気口237よりも下方に形成され、排気管231に接続されている。排気管231には処理室201内の圧力を検出する圧力検出器としての圧力センサ245および圧力調整部としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ244を介して真空排気装置としての真空ポンプ246が接続されており、処理室201内の圧力が所定の圧力となるよう真空排気し得るように構成されている。真空ポンプ246の下流側の排気管231は排ガス処理装置(図示せず)等に接続されている。なお、APCバルブ244は、弁を開閉して処理室201の真空排気・真空排気停止ができ、更に弁開度を調節してコンダクタンスを調整して処理室201の圧力調整をできるようになっている開閉弁である。主に、排気管231、APCバルブ244、圧力センサ245により排気部として機能する排気系が構成される。なお、真空ポンプ246を排気系に含めてもよい。
【0038】
反応管203内には温度検出器としての温度センサ(不図示)が設置されており、温度センサにより検出された温度情報に基づきヒータ207への供給電力を調整することで、処理室201内の温度が所望の温度分布となるように構成されている。
【0039】
以上の処理炉202では、バッチ処理される複数枚のウエハ200がボート217に対し多段に積載された状態において、ボート217がボート支持台218で支持されながら処理室201に挿入され、ヒータ207が処理室201に挿入されたウエハ200を所定の温度に加熱するようになっている。
【0040】
(コントローラ構成)
図4に示すように、制御システム240は、主制御部(メインコントローラ)であるコントローラ121と、レシピ実行ユニットとしてのプロセス系コントローラPMC(Process Module Controller)と、ジョブ実行ユニットとしての搬送系コントローラを少なくとも含む。また、コントローラ121は、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている記憶装置128やタッチパネル等として構成された表示部としての入出力装置127が接続されている。
【0041】
なお、図4は処理炉202が2つある場合の図示例である。以下、プロセス系コントローラPMCは、単にPMCと称する。PMC1,2は、それぞれ図3に示す処理炉202に接続されているが、PMC2では図示を省略している。
【0042】
記憶装置128内には、基板処理装置10の動作を制御する制御プログラム(ジョブ)や、基板処理の手順や条件等が記載された成膜レシピとしてのプロセスレシピ等が、読み出し可能に格納されている。プロセスレシピは、後述する基板処理工程における各手順をPMCに実行させ、所定の結果を得ることが出来るように組み合わされたものであり、また、メンテナンスレシピは、ウエハ200を装置内に投入しない状態で、メンテナンス工程における各手順をPMCに実行させ、例えば、部品を保守することができる保守レシピである。
【0043】
記憶装置128内には、また、後述するメンテナンス項目(図6)、メンテナンス処理(図7)を示すテーブルが格納されている。これらのテーブルは、上述の保守レシピに関連する。コントローラ121は、記憶部128から保守レシピと該保守レシピに関連するこれらのテーブルを読み出し、PMCにそれぞれダウンロードするように構成されている。PMCは、これらテーブル内のデータを保守レシピの実行に用いるよう構成されている。
【0044】
記憶装置128には、このプロセスレシピを含むジョブ(プロセスジョブ)が実行されることにより、装置を構成する各部品を動作させることで発生する装置データが格納されている。これら装置データには、コントローラ121のタイムスタンプ機能により時刻データが付加される。また、メンテナンスレシピ(保守レシピ)を含むジョブ(メンテナンスジョブ)についても同様である。なお、ジョブ(プロセスジョブやメンテナンスジョブ)は、以下、メインレシピとして扱われる場合がある。サブレシピは、このメインレシピを補助するレシピであり、例えば、簡単な所定のステップを繰り返し実行する場合等で使用される。これらはプログラムとして機能する。また、尚、本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、レシピ単体のみを含む場合、制御プログラム(ジョブ)単体のみを含む場合、または、それらの両方を含む場合がある。
【0045】
本実施形態においては、PMCが前処理、本処理、後処理の3つのステップで構成されるメインレシピを実行することにより、基板処理における一連の処理工程が行われる。ここで、メインレシピの本処理が基板処理工程に該当する。これら、前処理、本処理(基板処理工程)、後処理の各ステップについては後述する。
【0046】
ここで、保守レシピは、パージレシピ、ウォームアップレシピ、クリーニングレシピ等が挙げられ、エラーの内容に応じて、適宜選択して実行される。また、エラーが発生した箇所(部品)に応じて、予め保守レシピが設定されていてもよい。これら保守レシピ実行時の処理炉202内(処理室201)は、各々の保守レシピの内容に応じて、温度、ガス流量、電力、圧力等の制御パラメータのそれぞれが任意に設定される。
【0047】
ここで、装置データは、上述のようにジョブを実行するときに収集されるデータである。例えば、基板処理装置がウエハ200を処理するとき(プロセスレシピを実行するとき)の処理温度、処理圧力、処理ガスの流量など基板処理に関するデータ(例えば、設定値、実測値)や、製造した製品基板の品質(例えば、成膜した膜厚、及び該膜厚の累積値など)に関するデータや、基板処理装置1の構成部品(反応管、ヒータ、バルブ、MFC等)に関するデータ(例えば、設定値、実測値)など、基板処理装置がウエハ200を処理する際に各構成部品を動作させることにより発生するデータが含まれる。同様に、基板処理装置を保守するとき(メンテナンスレシピを実行するとき)に、各構成部品を動作させることにより発生するデータが、装置データに含まれる。
【0048】
コントローラ121は、入出力装置127からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置128からプロセスレシピ(または保守レシピ)を読み出すように構成されている。コントローラ121は、PMCを介してプロセスレシピの内容に沿うように、MFC320a~320fによる各種ガスの流量調整動作、バルブ330a~330fの開閉動作、APCバルブ244の開閉動作および圧力センサ245に基づくAPCバルブ244による圧力調整動作、真空ポンプ246の起動および停止、温度センサに基づくヒータ207の温度調整動作、ボート回転機構267によるボート217の回転および回転速度調節動作、ボートエレベータ115によるボート217の昇降動作等を制御するように構成されている。
【0049】
コントローラ121は、搬送系コントローラを介してプロセスジョブの内容に沿うように、ポッド搬送装置130によるロードポート22、ポッド棚105、ポッドオープナ21との間でのポッド110を搬送動作、ポッドオープナ21による載置台122に載置されたポッド110のキャップ着脱動作、ウエハ移載装置125によるウエハ移載装置エレベータ125b及びウエハ移載装置125aの連続動作により、ウエハ移載装置125aのツイーザ(基板保持体)125cをウエハ200の載置部として、ボート(基板保持具)217に対するウエハ200の装填(チャージング)動作及び脱装(ディスチャージング)動作等を制御するように構成されている。
【0050】
(基板処理工程)
次に、図3を用いて基板処理工程について説明する。所定枚数のウエハ200が載置されたボート217が反応管203内に挿入(ボートロード)され、シールキャップ219により、反応管203が気密に閉塞される。気密に閉塞された反応管203内では、ウエハ200が加熱されると共に、処理ガスが反応管203内に供給され、ウエハ200に所定の処理がなされる。
【0051】
所定の処理として、例えば、第1処理ガスとしてPH3ガスと、第2処理ガスとしてSiH4ガスを同時供給することにより、ウエハ200上にSi膜を形成する。
【0052】
まず、第1処理ガス供給系のガス供給管310aよりノズル340aのガス供給孔234a、ガス供給スリット235を介して処理室201にPH3ガスを供給すると共に、第2処理ガス供給系のガス供給管310bよりノズル340bのガス供給孔234b、ガス供給スリット235を介して処理室201にSiH4ガスを供給する。具体的には、バルブ330a、330b、330e、330fを開けることにより、キャリアガスと共に、ガス供給管310aからPH3ガスと供給管310bからSiH4ガスの処理室201への供給を開始する。このとき、APCバルブ244の開度を調整して、処理室201の圧力を所定の圧力に維持する。所定時間が経過したら、バルブ330a、330bを閉じ、SiH4ガスおよびPH3ガスの供給を停止する。
【0053】
処理室201内に供給されたSiH4ガスおよびPH3ガスは、ウエハ200に供給され、ウエハ200上を平行に流れた後、第1ガス排気口236を通って間隙Sを上部から下部へと流れ、第2ガス排気口237、排気口230を介して排気管231から排気される。
【0054】
バルブ330a、330bを閉じ、処理室201へのSiH4ガスおよびPH3ガスの供給を停止した後は、処理室201を排気し、処理室201に残留しているSiH4ガス、PH3ガスや反応生成物等を排除する。この時、ガス供給管310a,310b,310c,310dからN2等の不活性ガスをそれぞれ処理室201及び間隙Sに供給してパージすると、処理室201及び間隙Sからの残留ガスを排除する効果をさらに高めることができる。
【0055】
ウエハ200の処理が完了すると、上記した動作の逆の手順により、ボート217が反応管203内から搬出(ボートアンロード)される。
【0056】
ここで、Si膜を形成する際のプロセス条件を以下に記載する。
Siソース:SiH4(モノシラン)
成膜温度:520℃
圧力:0.68Torr
ガス流量:2.8SLM(モノシラン)
成膜時間:約15min
【0057】
上述の実施形態では、第1処理ガスと第2処理ガスとを同時に供給する場合について説明したが、本開示は、第1処理ガスと第2処理ガスとを交互に供給する場合にも適用することができる。
【0058】
次に、図5乃至図9を用いて、本実施形態におけるプロセスジョブ(メインレシピ)を実行する処理フローであり、特に、前処理ステップの先頭ステップでメンテナンス処理を実行可能にする処理フローについて、詳細に説明する。
【0059】
図5に示すように、プロセスジョブは、前処理(スタンバイステップ)と、本処理(成膜ステップ)と、後処理(エンドステップ)と、を含むメインレシピであり、本実施形態では、前処理ステップの第一ステップ(先頭ステップ)でアラーム処理(メンテナンス処理)を実行可能に構成されている。ここで、前処理ステップは、処理準備を整える工程であり、処理炉202内の処理環境(処理雰囲気)を整える工程、ウエハ200をボート217に装填(ウエハチャージ)する工程、処理炉202の下側のボート217とウエハ200が待機する移載環境(移載雰囲気)を整える工程を少なくとも含むステップである。
【0060】
具体的には、前処理ステップの第一ステップでサブレシピを実行し、このサブレシピの第一ステップでメンテナンス処理を実行するよう構成される。ここでは、メンテナンス処理は、基板を処理する処理炉202内を構成する部材をメンテナンスする保守レシピを示す。なお、このメンテナンス処理については後述する。
【0061】
図6に示すように、部品(パーツ)毎にメンテナンス項目が設定されている。なお、このメンテナンス項目は、例えば、表示部127に表示するようにして、画面上で任意に設定されるようにしてもよい。
【0062】
図6において、「FOUP」としてのポッド110、「WAFER」としてのウエハ200、「BOAT」としてのボート217、「TUBE」としての反応管203、「EQUIPMENT」としての基板処理装置10が、それぞれ部品として設定されている。
【0063】
図6において、「使用回数」「使用時間」「装置内滞在時間」「累積膜厚」「使用可能残枚数」「待機時間」「メンテナンス処理実行回数」「ダミーウェーハの使用回数」「ダミーウェーハ累積膜厚」がそれぞれメンテナンス項目として設定されている。これら部品やメンテナンス項目は、例えば、部品追加、メンテナンス項目削除等が任意に設定可能なように構成されている。なお、図6において、「-」は設定無効を示し、「○」が設定有効を示す。この有効「○」、無効「―」の設定も適宜編集可能に構成されている。
【0064】
例えば、対象とする部品「EQUIPMENT」のメンテナンス項目が「待機時間」である場合、ここで、「待機時間」は、基板処理装置10が待機(IDLE)となっている時間であり、例えば、連続処理している場合は、「待機時間」0minであり、次に仕掛けるロットがない場合は、処理後に待機(IDLE)となる。この基板処理装置10の待機時間が、例えば、1時間に到達し、炉内サイクルパージが実行される。この場合、メンテナンス処理を実行するための閾値は1時間と予め設定されている。
【0065】
例えば、対象とする部品「TUBE」のメンテナンス項目が「使用回数」である場合、ここで、「使用回数」は、処理炉202内のプロセス処理回数を意味し、例えば、レシピ内の特定ステップを実行すると1回とカウントする。この実行回数が予め決められた閾値に到達するとメンテナンス処理を実行する。例えば、メンテナンス処理時に実行される保守レシピとして炉内サイクルパージやクリーニングレシピが実行される。
【0066】
例えば、対象とする部品「BOAT」のメンテナンス項目が「累積膜厚」である場合、ここで、ボート217の累積膜厚というのは、処理炉202内にボート217が挿入されている状態で、例えば、レシピ内の特定ステップが実行された場合、そのステップにあらかじめ登録されている膜厚値の累積を示す。この累積膜厚があらかじめ決められた閾値に到達するとメンテナンス処理を実行する。例えば、メンテナンス処理時に実行される保守レシピとしてクリーニングレシピが実行される。
【0067】
そして、図6において「○」設定されたメンテナンス項目に対するメンテナンス処理が図7に定義されている。メンテナンス処理としては、「指定なし」「アラーム報告」「ジョブ実行禁止」「メンテナンスジョブ手動スタート」「メンテナンスジョブ自動スタート」「アラームレシピ呼出」がある。メンテナンス処理を実行するタイミングは、メンテナンス項目やメンテナンス処理によって適宜決定可能である。これにより、成膜処理終了後の後処理としてのメンテナンス処理、成膜処理開始前の前処理としてのメンテナンス処理を使い分けることができ、メンテナンス処理を効率的に実行することができる。
【0068】
図7に示す「指定なし」が選択されていると、メンテナンス処理は行われない。アラームが通知されている状態で、メンテナンス処理を「指定なし」に変更した場合、アラームは回復するようになっている。例えば、軽微なアラームが発生した場合は、「指定なし」を選択し強制的にアラームを回復させて処理を続行させることができる。
【0069】
次に「アラーム報告」が選択されていると、アラームを通知するように構成されている。このメンテナンス処理では、対象部品のメンテナンス項目の現在値を閾値以下に設定することで、アラームを回復することができる。通知は必要であるが処理を停止するほどでもない軽微なエラーで設定される。
【0070】
「ジョブ実行禁止」が選択されていると、現在実行中のジョブを実行終了したタイミングで、次のジョブ実行を一時停止するように構成されている。このメンテナンス処理は、対象部品のメンテナンス項目の現在値を閾値以下に設定することで、アラームを回復でき、次のジョブを実行することができる。
【0071】
「メンテナンスジョブ手動スタート」が選択されていると、メンテナンスジョブを自動生成し、次に実行するジョブの前に割り込ませるよう構成される。このメンテナンスジョブは手動スタート指定のため、スタート待ちとなり、スタート指示があれば、このメンテナンスジョブを実行するように構成されている。メンテナンスジョブ正常終了時、アラームを回復する。一方、メンテナンスジョブ異常終了時、アラームを回復しない。この場合、アラーム発生対象部品のメンテナンス項目の現在値を閾値以下に設定することで、アラームを回復することができる。また、「メンテナンスジョブ自動スタート」は、他に実行中のジョブが無ければ、メンテナンスジョブを、ジョブスタート待ちなく自動実行すること以外は、「メンテナンスジョブ手動スタート」と同じである。
【0072】
「アラームレシピ呼出」が選択されていると、前処理ステップとしてのスタンバイステップで実行されるサブレシピの第1ステップで、監視対象の部品に設定されたメンテナンス項目の現在値が閾値に到達している場合、指定のアラームレシピ処理を実行するように構成される。そして、アラームレシピ処理が正常終了時、アラームを回復し、アラームレシピ処理が異常終了時、アラームは回復しない。また、監視対象の部品に設定されたメンテナンス項目の現在値が閾値に到達していない場合は、何も実行せず次のステップを自動実行するように構成される。
【0073】
図7に定義されるメンテナンス処理の内容は、図6に示すメンテナンス項目と同様に適宜メンテナンス内容の変更、削除、追加が任意に設定可能に構成される。また、図7に示すメンテナンス処理も図6に示すメンテナンス項目と同様に表示部127に表示して、画面上で任意に設定可能にしてもよい。更に、上記アラームレシピを含むメンテナンスレシピ(保守レシピ)の内容が、ボートロード工程、メンテナンス工程、ボートアンロード工程に限定されない。例えば、回転機構267の回転軸265付近のパーティクル除去のための保守レシピは、本処理(ボートロード工程、N2パージ工程、ボートアンロード工程)にクーリング工程を含むように構成される。この保守レシピの詳細は後述する。
【0074】
図8は、図5における前処理で実行されるサブレシピの第一ステップを詳細に示すシーケンスである。図8に示すように、ジョブ実行ユニットTMから第一のレシピ実行指示がレシピ実行ユニットPMCに送信される。レシピ実行ユニットPMCは、レシピ本体(プロセスレシピ本体)を制御部121に要求し、制御部121は、レシピ本体(プロセスレシピ本体)のデータをレシピ実行ユニットPMCに送信する。
【0075】
次に、本実施形態では、レシピ実行ユニットPMCは、メンテナンス項目の状態を制御部121に要求し、制御部121は、メンテナンス項目の状態のデータ(例えば、現在値)をレシピ実行ユニットPMCに送信し、レシピ実行ユニットPMCは、メンテナンス項目の状態のデータを受付けると、ジョブ実行ユニットTMにレシピ取得完了を通知し、この通知を受付けたジョブ実行ユニットTMは、レシピ実行ユニットPMCに第二のレシピ実行指示を送信する。ここで、メンテナンス項目状態データの中身は、メンテナンス項目毎のメンテナンス処理方法が格納されている。図7に示す「アラームレシピ呼出」の場合、本実施の形態では、メンテナンス処理必要有無情報が格納されている。ここで、メンテナンス処理として「アラームレシピ呼出」が選択されていない場合、サブレシピを実行しないように構成してもよい。また、このメンテナンス処理必要有無情報にメンテナンス項目の現在値が閾値に達しているかの情報を含め、閾値に届いていなければ、サブレシピを実行しないように構成してもよい。
【0076】
次に、図9に示すアラーム処理の実行を判定する工程が実行される。レシピ実行ユニットは、アラームレシピとしての保守レシピの実行の設定確認と、予め設定されたメンテナンス項目の現在値と閾値との比較し、閾値に到達しているかを確認するよう構成されている。レシピ実行ユニットは、この現在値が閾値に到達していた場合、保守レシピを実行し、この現在値が閾値に到達していない場合、特に保守レシピを実行しないで本工程を終了する。
【0077】
図8に示すように、予め設定されたメンテナンス項目の現在値が閾値に到達していた場合、レシピ実行ユニットは、アラームレシピ実行開始時に制御部121へ処理開始する通知を送信し、アラームレシピ実行終了時に制御部121へ処理終了する通知を送信する。予め設定されたメンテナンス項目の現在値が閾値に到達していない場合、レシピ実行ユニットは、特に保守レシピを実行する必要が無いという判定なので、次ステップへ移行しレシピを継続するよう構成される。
【0078】
レシピ実行部は、アラームレシピが正常に終了しなかった場合、所定のエラー処理を実行するように構成されている。所定のエラー処理は、例えば、後処理に強制的に移行(ジャンプ)して後処理をするよう構成される。この場合、レシピ実行部は、図5に示すサブレシピ(クーリング処理やウエハ回収)は省略(スキップ)して、一時停止状態にする。もしくは、レシピ実行部は、アボートレシピを実行してアボート処理が行われる。この場合も同様に一次停止状態となる。どちらの場合も、発生した障害(エラー)に対しての処理を行い、その後生産処理に復旧となる。
【0079】
アラームレシピが正常に終了すると、サブレシピの第一ステップの次のステップを実行するように構成されている。図5に示すように、サブレシピは、基板を搬送する移載ステップを更に有しており、ウエハ200をボート217に移載する移載ステップを実行するように構成される。なお移載ステップが異常終了すると、前述のように一時停止状態となる。そして、この移載ステップが終了すると、サブレシピからメインレシピの第2ステップが開始される。そして、本処理(成膜ステップ)が開始される。ここで本処理は上述しているので省略する。
【0080】
また、制御部121は、アラームレシピが正常に終了すると、予め設定されたメンテナンス項目の現在値をゼロクリアするように構成されている。これにより、制御部121は、監視対象の部品に設定されたメンテナンス項目により発生したアラームを解除するように構成される。これにより、ジョブが2回連続して実行するように予め予約されていた場合、1回目のジョブが終了時に閾値に到達しても、2回目のジョブの前処理の第一ステップでアラームレシピを実行して正常に終了されれば、2回目のジョブを処理炉202内の雰囲気が整えられた状態で実行することができる。
【0081】
次に、後処理(エンドステップ)は、成膜後の後処理であり、炉内環境を次の成膜のために整える工程、処理済のボート217やウエハ200を冷却(クーリング)する工程、処理済のウエハ200をボート217から回収(ウエハディスチャージ)する工程を少なくとも含むステップである。
【0082】
具体的には、図5に示すように、制御部121は、後処理の第一ステップでサブレシピを実行し、後処理で実行されるサブレシピは、少なくとも処理済のウエハ200やボート217を冷却するクーリングステップと、ボート217から処理済のウエハ200を回収する移載ステップとを有するように構成される。そして、サブレシピが終了すると、後処理ステップに移行し次の成膜処理のために処理炉202内の処理環境を整える処理が行われる。
【0083】
(実施例1)
次に、基板処理装置10の動作について説明する。本実施形態においては、予約されていたプロセスジョブの実行処理開始時間になると、制御部121は、基板処理装置10を構成する各部の動作を制御してプロセスジョブを開始する。
【0084】
前処理の第一ステップ(先頭ステップ)で(ウエハ200の搬送処理前に)、メンテナンス処理を実行するか判定する工程が制御部121により実行される。具体的には、レシピ実行部PMCが、メンテナンス処理を実行する必要があるか否か判定する。例えば、レシピ実行部PMCより実行される閾値と予め設定されたメンテナンス項目の現在値が比較される。本実施形態では、予め設定されたメンテナンス項目の現在値がアラームレシピを実行する閾値に到達しているか比較される。なお、この比較は、図6において「○」設定されたメンテナンス項目のうち、メンテナンス処理項目が図7に示す「アラームレシピ呼出」に設定されているメンテナンス項目について行われるように構成してもよい。
【0085】
アラームレシピを実行する閾値に現在値が到達していない場合はメンテナンス処理不要と判定され、レシピ実行部PMCは次のステップへ移行しサブレシピを継続する。この場合、レシピ実行部PMCは、ジョブ実行ユニットとしての搬送系コントローラにサブレシピの第一ステップの終了を通知する。アラームレシピを実行する閾値に現在値が到達している場合はメンテナンス処理要と判定され、レシピ実行部PMCはサブレシピの第一ステップでメンテナンス処理を(アラームレシピを呼び出し)実行する。レシピ実行部PMCは、この際、アラーム処理開始通知および終了通知を制御部121に送信する。
【0086】
アラームレシピが正常に終了すると、上述のようにレシピ実行部PMCは、次のステップへ移行しサブレシピを継続させる。制御部121は、予め設定されたメンテナンス項目の現在値をゼロに戻し、発生していたアラームを解除するように構成される。
【0087】
アラームレシピが異常終了すると、レシピ実行部PMCは所定のエラー処理を実行させて、装置を一時停止状態にさせる。一方、制御部121は、予め設定されたメンテナンス項目の現在値をそのままに、アラームを保持させるように構成される。
【0088】
第一ステップの終了通知を受け付けた搬送系コントローラは、ウエハ200をボート217へ移載する移載ステップを実行するように構成される。つまり、前処理の移載ステップとしてウエハ200の搬送処理が搬送系コントローラにより行われる。ポッド110がロードポート22に供給されると、ロードポート22の上のポッド110はポッド搬入装置によって筐体111の内部へポッド搬入搬出口から搬入される。 搬入されたポッド110はポッド棚105の指定された載置部140へポッド搬送装置130によって自動的に搬送されて受け渡され、一時的に保管され後、ポッド棚105から一方のポッドオープナ21に搬送されて受け渡され載置台122に移載されるか、もしくは直接ポッドオープナ21に搬送されて載置台122に移載される。
【0089】
載置台122に載置されたポッド110はその開口側端面がサブ筐体119の正面壁119aにおけるウエハ搬入搬出口120の開口縁辺部に押し付けられるとともに、そのキャップがキャップ着脱機構123によって取り外され、ウエハ出し入れ口を開放される。ポッド110がポッドオープナ21によって開放されると、ウエハ200はポッド110からウエハ移載装置125aのツイーザ125cによってウエハ出し入れ口を通じてピックアップされ、移載室8の後方にある搬送室6へゲートバルブ90を介して搬入され、ボート217に装填(チャージング)される。この時、図示しないノッチ合わせ装置にてウエハを整合した後、チャージングを行っても良い。ボート217にウエハ200を受け渡したウエハ移載装置125aはポッド110に戻り、次のウエハ200をボート217に装填する。
【0090】
この一方(上段または下段)のポッドオープナ21におけるウエハ移載機構125によるウエハのボート217への装填作業中に、他方(下段または上段)のポッドオープナ21にはポッド棚105から別のポッド110がポッド搬送装置130によって搬送されて移載され、ポッドオープナ21によるポッド110の開放作業が同時進行される。
【0091】
予め指定された枚数のウエハ200がボート217に装填されると、プロセスレシピ (本処理)が実行される。このプロセスレシピは、基板を処理するためのレシピであり、コントローラ121により制御される。このプロセスレシピが開始されると、炉口シャッタ147によって閉じられていた処理炉202の下端部が、炉口シャッタ147によって、開放される。続いて、ウエハ200群を保持したボート217はシールキャップ219がボートエレベータ115によって上昇されることにより、処理炉202内へ搬入(ローディング)されて行く。
【0092】
ローディング後は、プロセス系コントローラにより処理炉202にてウエハ200に任意の処理が実施される。処理後は、概上述の逆の手順で、ウエハ200及びポッド110は筐体の外部へ搬出(アンローディング)される。
【0093】
(比較例)
図10Aに示すように、1つのジョブで複数回の成膜処理を実行する場合(例えば、N枚のウエハ200をN/2枚とN/2枚に分けて成膜処理を行う場合)で、かつ同じ処理室201(もしくは処理炉202)に対して連続成膜処理を行う場合、従来のメンテナンス処理は、図7に示す「アラームレシピ呼出」が無かったため、「メンテナンスジョブ自動スタート」が設定されていたとしても1つのプロセスジョブを実行するとき、2回連続してプロセスレシピを実行するので、1回目のプロセスレシピ実行中にスケジュールドメンテナンス閾値に到達しメンテナンスが必要であると装置が認識した(制御部121が判定した)としても、2回目のプロセスレシピが実行された後でなければ(プロセスジョブが終了しなければ)、メンテナンスジョブによる保守レシピが実行できなかった。このため、基板処理結果が悪いと分かっていても2回連続してプロセスレシピを実行しなければならず、基板処理結果の信頼性の低下が懸念されていた。
【0094】
(実施例2)
図10Bに示すように、1つのジョブで複数回の成膜処理を実行する場合(例えば、N枚のウエハ200をN/2枚とN/2枚に分けて成膜処理を行う場合)で、かつ同じ処理室201(もしくは処理炉202)に対して連続成膜処理を行う場合であっても、本実施形態では、図7に示す「アラームレシピ呼出」を設定することにより、2回目のプロセスレシピの前処理の先頭ステップでメンテナンス処理を実行させることができる。
【0095】
(実施例3)
ウエハ200にSi膜を形成する場合、バッチ処理を所定回数行うと、回転機構267の回転軸265付近にパーティクルが発生することがある。本実施形態では、メンテナンス処理は図7に示すアラームレシピ呼出が設定されており、図6に示すメンテナンス項目は、ウエハ200(WAFER)および反応管203(TUBE)の使用回数が設定されている。具体的には、ウエハ200(WAFER)および反応管203(TUBE)のうち少なくとも一方の使用回数が閾値に到達したときに、このパーティクル低減を目的とするメンテナンス処理(アラームレシピ)としてのパーティクル低減レシピ(図11のN2パージレシピ)が実行されるように構成されている。
【0096】
図11に示すN2パージレシピは、本処理(ボートロード工程、N2パージ工程、ボートアンロード工程)にクーリング工程を含む構成となっている。また、図11は、図5に示す保守レシピ(メンテナンス処理)を具体化した一実施例となっており、メインレシピ等の他のレシピに関しては、図5と全く同じである。
【0097】
従い、図11において、図5と同じ部分は説明を省略し、本実施例では、メンテナンス処理(アラームレシピ)として、図11に示すN2パージレシピについて記載する。
【0098】
ボートロード工程は、前述のボートロード工程とボート217を処理炉202内に挿入する動作は変わらないが、N2パージレシピのボートロード工程では、ウエハ200を装填されていない(空の)ボート217が処理炉202内に挿入される。なお、この工程では、ボート217を搭載しなくてもよく、反対に、ボート217に製品でない炉内調整用のウエハ200をボートに装填した状態でもよい。このボート217の有無及びボート217へのウエハ200の装填の有無は任意に設定可能に構成されている。
【0099】
次に、処理炉202内(処理室201)の圧力を調整する工程である。このとき、圧力だけでなく処理炉202内(処理室201)の温度も所定温度に調整されるのは言うまでもない。本実施例では、次に続くN2パージ工程や大気圧復帰工程でも、処理炉202内(処理室201)が所定温度、所定圧力に維持されるよう構成される。
【0100】
そして、処理炉202内(処理室201)の温度や圧力が所定値に維持された状態で、N2パージガス工程に移行される。ここでは、パージガスが処理炉202内(処理室201)に供給される。具体的には、不活性ガス供給系から不活性ガスが処理炉202内(処理室201)に供給される。第1処理ガス供給系、第2処理ガス供給系、第3処理ガス供給系のバルブ330a,330b,330cが閉じられる。このとき、第2処理ガス供給系、第3処理ガス供給系のバルブ330e,330fをそれぞれ開け、不活性ガスを処理炉202内(処理室201)に供給してもよい。なお、N2パージ工程では、回転機構267の回転軸265付近に供給するパージガスの流量が多く設定される。
【0101】
ここで、N2パージレシピのパージ条件の一例を以下に記す。
パージガス:N2ガス
温度:400℃
圧力:0.006Torr
【0102】
そして、処理炉202内(処理室201)の温度や圧力が所定値に維持された状態で、一定時間不活性ガスが供給されると、大気圧復帰工程に移行する。ここでは、処理炉202内(処理室201)の圧力が大気圧になるまで、パージガスが処理炉202内(処理室201)に供給される。また、同様に処理炉202内(処理室201)の温度も低下される。
【0103】
ある程度の温度(例えば、待機温度)まで低下されると、ボートアンロード工程に移行する。ここでは、ボート217が処理炉202内(処理室201)から取り出される。
【0104】
ボートアンロード後、少なくともボート217を冷却する工程を有する。これは、N2パージ時の温度によっては、ボート217の温度が高いまま、処理炉202内(処理室201)から取り出される場合があるためである。本実施例では、N2パージ時の温度が比較的高いため冷却工程が設けられている。具体的には、N2パージ条件の一つである温度が400℃と高く、冷却工程を設けずに移載ステップに移行してしまうと、ウエハ200を移載中に搬送障害が発生してしまう可能性があるためである。この冷却工程では、予め設定時間が設けられているが、搬送室6に温度センサを設け、温度センサより検知される温度が所定の温度より低くなれば、冷却工程を終了するようにしてもよい。また、一例として、N2パージレシピのトータル時間は15分程度である。
【0105】
そして、N2パージレシピが終了すると共にサブレシピの判定工程の次のステップに移行するように構成されている。その後、ウエハ200の移載ステップへ移行するように構成されている。この後に続く工程は、図5と同じ動作であるため説明はここでは省略する。
【0106】
本実施例では、基板処理結果に大きく影響するパーティクルを低減するため、ウエハ200および反応管203のうちどちらか一方の使用回数が閾値に到達したときにアラームレシピを実行するような設定にしている。しかしながら、このような設定に限定されず、メンテナンス目的に応じて図6に示すメンテナンス項目および図7に示すメンテナンス処理が適宜決定される。また、本実施例における保守レシピは、本処理(ボートロード工程、処理工程、ボートアンロード工程)とウエハ200およびボート217をそれぞれ冷却するクーリング処理の組合せで構成されている。このように、前処理に組み込まれる保守レシピは、本処理(ボートロード工程、処理工程、ボートアンロード工程)の構成に限定されず、メンテナンス内容に応じて適宜設定されるように構成されている。
【0107】
このように、N2パージレシピを実行することにより、回転軸265付近のパーティクルを除去することができる。例えば、シールカバーのデッドスペースにたまっているパーティクルを大流量の不活性ガスで吹き飛ばすことができる。
【0108】
本実施形態によれば、以下(1)乃至(6)に示す一つ以上の効果を奏する。
【0109】
(1)現在のプロセスジョブ実行後、保守レシピを実行したとしても次のプロセスジョブが実行されるまでの間の時間(以下、待機時間)が長くなると、従来は、1バッチ目の基板処理結果が悪くなっていた(2バッチ目以降は基板処理結果が安定)が、本実施形態によれば、プロセスジョブの前処理の先頭ステップで保守レシピを実行させることにより、1バッチ目から基板処理結果を安定化させることができる。
【0110】
(2)本実施形態では、プロセスジョブの前処理の先頭ステップで保守レシピを実行させることにより、本処理で実行されるプロセスレシピへの影響が及ばないので、基板処理結果への影響を極めて小さくすることができる。特に連続してバッチ処理を行う場合でも、常に保守レシピ実行時、プロセスレシピ実行までの時間が一定となるので、基板処理結果を安定させることができる。一方、メンテナンスレシピを終了後、次のプロセスジョブを実行する従来技術では、メンテナンスレシピ終了後にプロセスジョブの実行指示があるかどうか不明の段階でメンテナンスレシピが実行され、プロセスジョブ実行指示のタイミングによりプロセスレシピの実行までの時間がバラバラとなってしまい、基板処理結果への悪影響が懸念される。
【0111】
(3)本実施形態では、生産処理するプロセスジョブの前処理の先頭ステップにメンテナンス処理を組み込ませることができるので、前処理での事前アラームリカバリ―処理を行うことができる。これにより、メンテナンス項目の現在値がメンテナンス処理を実行する閾値を確認してからプロセスレシピを実行することができ、例えば、メンテナンス項目の現在値がメンテナンス処理を実行する閾値を超えていても、メンテナンス処理を実行し現在値をゼロにしてからプロセスレシピを実行するよう構成されるので、基板処理結果を安定させることができる。
【0112】
(4)本実施形態では、2回以上連続してプロセスレシピを実行している際に、1回目のプロセスレシピ実行中にスケジュールドメンテナンス閾値に到達しメンテナンスが必要であると装置が認識した(制御部121が判定した)としても、2回目のプロセスレシピの前処理の先頭ステップで保守レシピを実行させることができるので、2回目のプロセスレシピを実行する前に、監視対象のメンテナンス項目の現在値をゼロにすることができる。
【0113】
(5)本実施形態では、2回以上連続してプロセスレシピを実行している際に、1回目のプロセスレシピ実行中にスケジュールドメンテナンス閾値に到達しメンテナンスが必要であると装置が認識した(制御部121が判定した)としても、2回目のプロセスレシピの前処理の先頭ステップで保守レシピを実行させて監視対象のメンテナンス項目の現在値をゼロにした状態で、2回目のプロセスレシピを実行させることができるので、基板処理結果の信頼性を向上させることができる。
【0114】
(6)本実施形態では、N2パージレシピをサブレシピの先頭ステップで実行することにより、ウエハの移載前に、シールカバーのデッドスペースにたまっているパーティクル源を大流量の不活性ガスで吹き飛ばすことができる。
【0115】
本実施形態によれば、本処理(ボートロード工程、処理工程、ボートアンロード工程)での基板処理結果に影響を与えないようにするため、本処理開始(プロセスレシピ開始)時の炉内環境を一定にするように前処理の先頭ステップに保守レシピを組み込むように構成されている。それは、前処理の先頭ステップは、本処理の第1ステップから最も離れているステップであるから当然である。しかしながら、例えば、保守レシピ終了後から本処理の第1ステップを開始するまでの時間を所定時間以上にすれば、本処理(ボートロード工程、処理工程、ボートアンロード工程)の基板処理結果に影響を与えないことが分かっていれば、要するに、所定時間以上を保持できればよく、前処理の先頭ステップに保守レシピを組み込まなければならないということではない。
【0116】
本開示の実施形態における制御部121は、専用のコンピュータとして構成されている場合に限らず、汎用のコンピュータとして構成されていてもよい。例えば、上述のプログラムを格納した外部記憶装置(例えば、USBメモリ等の半導体メモリ等)を用意し、この外部記憶装置を用いて汎用のコンピュータにプログラムをインストールすること等により、本実施形態のコントローラ121を構成することができる。但し、コンピュータにプログラムを供給するための手段は、外部記憶装置を介して供給する場合に限らない。例えば、インターネットや専用回線等の通信手段を用い、外部記憶装置を介さずにプログラムを供給するようにしてもよい。記憶装置128や外部記憶装置は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成される。以下、これらを総称して、単に、記録媒体ともいう。本明細書において記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置128単体のみを含む場合、外部記憶装置単体のみを含む場合、または、それらの両方を含む場合がある。
【0117】
なお、本開示の実施形態に於ける基板処理装置10は、半導体を製造する半導体製造装置だけではなく、LCD(Liquid Crystal Display)装置の様なガラス基板を処理する装置でも適用可能である。又、露光装置、リソグラフィ装置、塗布装置、プラズマを利用した処理装置等の各種基板処理装置にも適用可能であるのは言う迄もない。
【符号の説明】
【0118】
10…基板処理装置、
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11