(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-04
(45)【発行日】2022-11-14
(54)【発明の名称】選択的エッチング速度モニタ
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20221107BHJP
【FI】
H01L21/302 103
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021031809
(22)【出願日】2021-03-01
(62)【分割の表示】P 2019525878の分割
【原出願日】2017-10-16
【審査請求日】2021-03-30
(32)【優先日】2016-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】クラウス, フィリップ アレン
(72)【発明者】
【氏名】フランクリン, ティモシー ジェー.
【審査官】田付 徳雄
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-248042(JP,A)
【文献】特開昭52-127169(JP,A)
【文献】特開2007-115939(JP,A)
【文献】実開昭63-055535(JP,U)
【文献】特開2001-251160(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0283249(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第103023455(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
共振体、
前記共振体の第1の表面上に形成され、頂面を有する第1の電極、
前記共振体の第2の表面上に形成された第2の電極
、
前記第1の電極の前記頂面上に形成された犠牲層であって、前記第1の電極の前記頂面の一部分が前記犠牲層によってカバーされておらず、前記第1の電極の前記頂面の前記一部分が前記犠牲層の全周に連続しており、前記犠牲層が前記共振体と接していない、犠牲層、
及び
前記第1の電極上に形成された複数の追加の犠牲層であって、前記複数の追加の犠牲層のそれぞれは、互いに対して、前記犠牲層に対して、及び前記第1の電極に対して選択的にエッチングされる、複数の追加の犠牲層、
を備えるエッチング速度センサ。
【請求項2】
前記犠牲層は、ラジカルのみのエッチングプロセスにおいて前記第1の電極に対して選択的にエッチングされる材料である、請求項1に記載のエッチング速度センサ。
【請求項3】
前記犠牲層は、誘電材料、半導体材料、又は導電性材料である、請求項2に記載のエッチング速度センサ。
【請求項4】
前記犠牲層は前記第1の電極の略中心に形成され、前記追加の犠牲層は前記犠牲層の周りに略同心状のリングに形成される、請求項
1に記載のエッチング速度センサ。
【請求項5】
前記複数の犠牲層のそれぞれは、前記第1の電極の異なる領域上に形成されている、請求項
1に記載のエッチング速度センサ。
【請求項6】
前記共振体が、石英、サファイア、シリコン、ゲルマニウム、又はチタン酸ジルコン酸鉛である、請求項1に記載のエッチング速度センサ。
【請求項7】
前記第1の電極と前記第2の電極の間に電気的に接続される周波数ブリッジ
を更に備える、請求項1に記載のエッチング速度センサ。
【請求項8】
前記第1の電極は接地電位に電気的に接続される、請求項
7に記載のエッチング速度センサ。
【請求項9】
遠隔プラズマチャンバと、
前記遠隔プラズマチャンバに連結された主たる処理チャンバであって、上側部分及び下側部分を備え、前記上側部分がイオンフィルタによって前記下側部分から分離されている、主たる処理チャンバと、
前記主たる処理チャンバの前記下側部分に配置されたエッチング速度センサであって、
共振体、
前記共振体の第1の表面上に形成され、頂面を有する第1の電極、
前記共振体の第2の表面上に形成された第2の電極
、
前記第1の電極の前記頂面上に形成された犠牲層であって、前記第1の電極の前記頂面の一部分が前記犠牲層によってカバーされておらず、前記第1の電極の前記頂面の前記一部分が前記犠牲層の全周に連続しており、前記犠牲層が前記共振体と接していない、犠牲層、
及び
前記第1の電極上に形成された複数の追加の犠牲層であって、前記複数の追加の犠牲層のそれぞれは、互いに対して、前記犠牲層に対して、及び前記第1の電極に対して選択的にエッチングされる、複数の追加の犠牲層、
を備えるエッチング速度センサと、
を備える、プロセスツール。
【請求項10】
前記エッチング速度センサが、前記主たる処理チャンバの前記下側部分内のポートを貫通するプローブによって、前記主たる処理チャンバの外側のモニタに接続されている、請求項
9に記載のプロセスツール。
【請求項11】
ゲートバルブによって前記主たる処理チャンバの前記下側部分から分離されたアンティチャンバを更に備え、前記エッチング速度センサが、前記アンティチャンバと前記主たる処理チャンバの前記下側部分との間で移動可能なように、前記プローブが前記バルブを通って後退可能である、請求項
10に記載のプロセスツール。
【請求項12】
遠隔プラズマチャンバと、
前記遠隔プラズマチャンバに連結された主たる処理チャンバであって、上側部分及び下側部分を備え、前記上側部分がイオンフィルタによって前記下側部分から分離されている、主たる処理チャンバと、
前記主たる処理チャンバの前記下側部分に配置されたエッチング速度センサであって、前記エッチング速度センサが、前記主たる処理チャンバの前記下側部分内のポートを貫通するプローブによって、前記主たる処理チャンバの外側のモニタに接続されており、前記エッチング速度センサが、
共振体、
前記共振体の第1の表面上に形成された第1の電極、
前記共振体の第2の表面上に形成された第2の電極
、
前記第1の電極上に形成された犠牲層であって、前記第1の電極の少なくとも一部分が前記犠牲層によってカバーされていない、犠牲層、
及び
前記第1の電極上に形成された複数の追加の犠牲層であって、前記複数の追加の犠牲層のそれぞれは、互いに対して、前記犠牲層に対して、及び前記第1の電極に対して選択的にエッチングされる、複数の追加の犠牲層、
を備えるエッチング速度センサと、
ゲートバルブによって前記主たる処理チャンバの前記下側部分から分離されたアンティチャンバであって、前記エッチング速度センサが、前記アンティチャンバと前記主たる処理チャンバの前記下側部分との間で移動可能なように、前記プローブが前記バルブを通って後退可能である、アンティチャンバと、
を備える、プロセスツール。
【請求項13】
第1の表面、及び前記第1の表面とは反対側の第2の表面を有する共振体、
前記共振体の前記第1の表面上に形成され、頂面を有する第1の電極、
前記共振体の前記第2の表面上に形成された第2の電極、
前記第1の電極の前記頂面上に形成された第1の犠牲層、及び
前記第1の電極の前記頂面上に形成された第2の犠牲層であって、前記第1の犠牲層の組成とは異なる組成を有し、前記第1の犠牲層に接しない、第2の犠牲層
を備え
、
前記第2の犠牲層は、前記第1の犠牲層に対して、及び前記第1の電極に対して選択的にエッチングされる、
エッチング速度センサ。
【請求項14】
前記第1の犠牲層が円形状を有し、前記第2の犠牲層が前記第1の犠牲層の前記円形状の周りで同心状のリング形状を有する、請求項
13に記載のエッチング速度センサ。
【請求項15】
前記第1の犠牲層が第1の円形状を有し、前記第2の犠牲層が第2の円形状を有し、前記第2の円形状が前記第1の円形状から離れている、請求項
13に記載のエッチング速度センサ。
【請求項16】
前記第1の電極の前記頂面の一部分が、前記第1及び第2の犠牲層によってカバーされていない、請求項
13に記載のエッチング速度センサ。
【請求項17】
前記第1の電極の前記頂面の前記一部分が、前記第1及び第2の犠牲層の全周に連続している、請求項
16に記載のエッチング速度センサ。
【請求項18】
前記第1及び第2の犠牲層が前記共振体に接していない、請求項
13に記載のエッチング速度センサ。
【請求項19】
前記共振体が、石英、サファイア、シリコン、ゲルマニウム、又はチタン酸ジルコン酸鉛である、請求項
13に記載のエッチング速度センサ。
【請求項20】
前記第1の電極と前記第2の電極の間に電気的に接続される周波数ブリッジ
を更に備える、請求項
13に記載のエッチング速度センサ。
【請求項21】
前記第1の電極は接地電位に電気的に接続される、請求項
20に記載のエッチング速度センサ。
【請求項22】
前記第1の電極の前記頂面上に形成された第3の犠牲層であって、前記第1の犠牲層の組成と異なり且つ前記第2の犠牲層の組成と異なる組成を有する、第3の犠牲層
を更に備える、請求項
13に記載のエッチング速度センサ。
【請求項23】
第1の表面、及び前記第1の表面とは反対側の第2の表面を有する共振体、
前記共振体の前記第1の表面上に形成され、頂面を有する第1の電極、
前記共振体の前記第2の表面上に形成された第2の電極、
前記第1の電極の前記頂面上に形成された第1の犠牲層、及び
前記第1の電極の前記頂面上に形成された第2の犠牲層であって、前記第1の犠牲層のエッチング選択性とは異なるエッチング選択性を有し、前記第1の犠牲層に接しない、第2の犠牲層
を備え
、
前記第2の犠牲層は、前記第1の犠牲層に対して、及び前記第1の電極に対して選択的にエッチングされる、
エッチング速度センサ。
【請求項24】
前記第1の犠牲層が円形状を有し、前記第2の犠牲層が前記第1の犠牲層の前記円形状の周りで同心状のリング形状を有する、請求項
23に記載のエッチング速度センサ。
【請求項25】
前記第1の犠牲層が第1の円形状を有し、前記第2の犠牲層が第2の円形状を有し、前記第2の円形状が前記第1の円形状から離れている、請求項
23に記載のエッチング速度センサ。
【請求項26】
前記第1の電極の前記頂面の一部分が、前記第1及び第2の犠牲層によってカバーされていない、請求項
23に記載のエッチング速度センサ。
【請求項27】
前記第1の電極の前記頂面の前記一部分が、前記第1及び第2の犠牲層の全周に連続している、請求項
26に記載のエッチング速度センサ。
【請求項28】
前記第1及び第2の犠牲層が前記共振体に接していない、請求項
23に記載のエッチング速度センサ。
【請求項29】
前記共振体が、石英、サファイア、シリコン、ゲルマニウム、又はチタン酸ジルコン酸鉛である、請求項
23に記載のエッチング速度センサ。
【請求項30】
前記第1の電極と前記第2の電極の間に電気的に接続される周波数ブリッジ
を更に備える、請求項
23に記載のエッチング速度センサ。
【請求項31】
前記第1の電極は接地電位に電気的に接続される、請求項
30に記載のエッチング速度センサ。
【請求項32】
前記第1の電極の前記頂面上に形成された第3の犠牲層であって、前記第1の犠牲層のエッチング選択性と異なり且つ前記第2の犠牲層のエッチング選択性と異なるエッチング選択性を有する、第3の犠牲層
を更に備える、請求項
23に記載のエッチング速度センサ。
【請求項33】
第1の表面、及び前記第1の表面とは反対側の第2の表面を有する共振体、
前記共振体の前記第1の表面上に形成され、頂面を有する第1の電極、
前記共振体の前記第2の表面上に形成された第2の電極、
前記第1の電極の前記頂面上に形成された第1の犠牲層、及び
前記第1の電極の前記頂面上に形成された第2の犠牲層であって、前記第2の犠牲層が前記第1の犠牲層の組成とは異なる組成を有し、前記第1の犠牲層が円形状を有し、前記第2の犠牲層が前記第1の犠牲層の前記円形状の周りで同心状のリング形状を有する、第2の犠牲層
を備え
、
前記第2の犠牲層は、前記第1の犠牲層に対して、及び前記第1の電極に対して選択的にエッチングされる、
エッチング速度センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、半導体製造のためのエッチングプロセスの分野に関し、特に、ラジカルのみのエッチングプロセスにおいてリアルタイムのエッチング速度モニタリングを提供するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体エッチングプロセスでは、しばしば、エッチング速度をリアルタイムでモニタすることが困難である。そのようにして、エッチング速度は、通常、膜の開始厚さと膜の終了厚さとの間の差を計算すること、及び、その差を処理時間全体で割ることによって特定され得る。しかし、エッチング速度をリアルタイムでモニタリングすることによって、他の利点の中でもとりわけ、エッチングプロセスが精密であり且つより高い程度の再現性を有するように、エッチングプロセスを調整するために使用され得る更なる情報が提供されることが理解されるべきである。
【0003】
リアルタイムのエッチング速度モニタリングを提供するための幾つかの解決策が開発されてきた。例えば、発光分光法(OES)及び吸光分光法は、従来のプラズマエッチングチャンバ内で使用されてきた解決策である。OESでは、プラズマからの光学発光の強度が、エッチング速度と相互に関係し得る。吸光分光法では、処理量を通る見通し線経路が必要である。しかし、処理量を通る見通し線は、しばしば、大量生産設備では利用できない。
【発明の概要】
【0004】
実施形態は、リアルタイムエッチング速度センサ、及びリアルタイムエッチング速度センサを使用するための方法を含む。一実施形態では、リアルタイムエッチング速度センサが、共振システム及び導電性ハウジングを含む。共振システムは、共振体(resonating body)、共振体の第1の表面上にわたり形成された第1の電極、共振体の第2の表面上にわたり形成された第2の電極、及び第1の電極上にわたり形成された犠牲層を含み得る。一実施形態では、第1の電極の少なくとも一部分が、犠牲層によってカバーされていない。一実施形態では、導電性ハウジングが、共振システムを固定し得る。更に、導電性ハウジングは、第1の電極に接触し、導電性ハウジングの内縁の少なくとも一部分が、犠牲層から間隔を空けられ得る。
【0005】
更なる実施形態は、ラジカルのみのエッチングプロセスツールを含み得る。一実施形態では、ラジカルのみのエッチングプロセスツールが、遠隔プラズマチャンバ、及び遠隔プラズマチャンバに連結された主たる処理チャンバを含み得る。一実施形態では、主たる処理チャンバが、上側部分、及びイオンフィルタによって上側部分から分離された下側部分、並びに下側部分内のペデスタルの周りに形成されたポンプライナを含む。一実施形態では、ラジカルのみのエッチングプロセスツールが、主たる処理チャンバの下側部分内に位置付けられたリアルタイムエッチング速度センサも含み得る。一実施形態では、リアルタイムエッチング速度センサが、共振システム及び導電性ハウジングを含む。共振システムは、共振体、共振体の第1の表面上にわたり形成された第1の電極、共振体の第2の表面上にわたり形成された第2の電極、及び第1の電極上にわたり形成された犠牲層を含み得る。一実施形態では、第1の電極の少なくとも一部分が、犠牲層によってカバーされていない。一実施形態では、導電性ハウジングが、共振システムを固定し得る。更に、導電性ハウジングは、第1の電極に接触し、導電性ハウジングの内縁の少なくとも一部分が、犠牲層から間隔を空けられ得る。
【0006】
更なる実施形態は、閉ループプロセスレシピを用いて基板をエッチングするための方法を含み得る。一実施形態では、該方法が、処理チャンバ内の基板上でプロセスレシピを実行することを含み得る。プロセスレシピは、1以上のプロセスパラメータ、及び処理チャンバ内に位置付けられたリアルタイムエッチング速度センサから得られた出力から判定可能な終点基準を含み得る。該方法は、その後、リアルタイムエッチング速度センサからの1以上の出力を解析することによって、終点基準が満たされているか否かを判定することによって継続し得る。実施形態では、その後、終点基準が満たされるとプロセスレシピを終了することを含み得る。ある実施形態では、終点基準が除去される材料の全厚さであり、終点基準が満たされているか否かを判定するために使用されるリアルタイムエッチング速度センサからの1以上の出力が、プロセスレシピを実行する前のリアルタイムエッチング速度センサの共振周波数、及びプロセスレシピが開始された後のリアルタイムエッチング速度センサの現在の共振周波数であってよい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態による、ラジカルのみのエッチング処理を実施するための処理ツールの概略図である。
【
図2A】一実施形態による、リアルタイムのエッチング速度モニタリングを提供するために使用され得るセンサの断面図である。
【
図2C】更なる一実施形態による、2以上の材料に対するリアルタイムのエッチング速度モニタリングを提供するために使用され得るセンサの平面図である。
【
図2D】更なる一実施形態による、2以上の材料に対するリアルタイムのエッチング速度モニタリングを提供するために使用され得るセンサの平面図である。
【
図3A】一実施形態による、センサの位置を示すラジカルのみのエッチングプロセスを実施するための処理ツールの概略図である。
【
図3B】更なる一実施形態による、ポンプライナの中へ統合されたセンサを示すラジカルのみのエッチングプロセスを実施するための処理ツールの概略図である。
【
図4】一実施形態による、閉ループプロセス制御用のセンサを使用するためのプロセスを説明するプロセスフロー図である。
【
図5】一実施形態による、基板対基板フィードフォワードプロセス制御用のセンサを使用するためのプロセスを説明するプロセスフロー図である。
【
図6】一実施形態による、ラジカルのみのエッチングプロセスのエッチング速度をリアルタイムでモニタリングすることを含むプロセスと併せて使用され得る例示的なコンピュータシステムのブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
様々な実施形態による、ラジカルのみのエッチングプロセスにおいてリアルタイムのエッチング速度モニタリング用のセンサを使用するためのシステム及び方法が説明される。以下の説明では、実施形態の網羅的な理解を提供するために多数の具体的な詳細事項が明記される。実施形態は、これらの具体的な詳細がなくとも実践可能であることが、当業者には明らかになろう。他の事例では、実施形態が不必要に不明瞭にならないように、周知の態様については詳細に説明していない。更に、添付の図に示す様々な実施形態は、例示的な表現であり、必ずしも縮尺どおりには描かれていないことを理解されたい。
【0009】
上述されたように、リアルタイムのエッチング速度モニタリングにより、エッチングプロセスの様々なプロセス結果を改善するために使用され得る情報が提供される。OES及び吸光分光法が、プラズマエッチング動作において使用されてきたが、それらは、ラジカルのみのエッチングプロセスにおいて大幅に制限される。例えば、ラジカルのみのエッチングプロセスではOESが実行可能ではない。というのも、基板がエッチングされている処理量内のラジカル種からの著しい光学発光が存在しないからである。吸光分光法では、上述された見通し線の要件に加えて、エッチングのために使用される多くのラジカル種による光の吸収は、深紫外線(UV)周波数において最も強い。したがって、測定のために必要とされる光学素子は、複雑で高価である。更に、吸光分光法における信号対ノイズ比は良くない。何故ならば、背景の親分子と比較してラジカルが比較的少ないからである。
【0010】
本発明で使用される際に、ラジカルのみのエッチングプロセスは、材料を除去するためにラジカル種に実質的に依存するエッチングプロセスである。
図1は、一実施形態による、ラジカルのみのエッチングプロセスを実施するために使用され得る処理ツール100の概略断面図である。一実施形態では、処理ツール100が、遠隔プラズマを含み得る。1以上の処理ガスが、バルブ(図示せず)を通して遠隔プラズマチャンバ110の中へ流れ込んでよい。処理ガスは、イオン124及びラジカル126を含むプラズマを生成するために、電源(例えば、無線周波数源)を用いてイオン化され得る。その後、プラズマは、遠隔プラズマ移送領域112を通して主たる処理チャンバ116へ移送され得る。一実施形態では、主たる処理チャンバ116が、上側領域117及び下側領域118を含み得る。上側領域117と下側領域118は、イオンフィルタ122によって分離され得る。更なる一実施形態では、イオンフィルタ122が、移送領域112内、又は遠隔プラズマチャンバ110と主たる処理チャンバ116との間の別の中間チャンバ内にも位置付けられ得る。
【0011】
一実施形態によれば、イオンフィルタ122は、イオン124が主たる処理チャンバ116の下側領域118へ通過移動することを防止し得る。一方で、同時に、イオンフィルタ122は、ラジカル種126が主たる処理チャンバ116の下側領域118へ通過移動することを可能にする。例えば、上側領域117でのラジカル種126とイオン124の比は、近似的に1:1であり得る。そして、下側領域118でのラジカル種126とイオン124の比は、近似的に25,000:1以上であり得る。ある実施形態では、ラジカル種126とイオン124の比は、近似的に100,000:1以上であり得る。ラジカル126とイオン124の比が大きいので、そのような処理ツール100を使用するエッチングプロセスは、ラジカルのみのエッチングプロセスと考えられ得る。その後、ラジカル種126は、ペデスタル106に位置決めされた基板105の表面と相互作用し得る。一実施形態では、ラジカル126の流れを基板105に向けるために、ポンプライナ108が、ペデスタル106の外周の周りに形成されていてよい。
図1で示されているラジカルのみのエッチングプロセスツール100は、様々な実施形態の態様をあいまいにすることがないように、本質的に例示的であり、当業者に既知の構成要素(例えば、とりわけ真空ポンプ、加熱要素、電気部品)を除去することによってかなり単純化されていることが理解されるべきである。特定の実施形態では、ラジカルのみのエッチングプロセスツール100が、カリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアルズ社によって製造された、Producer(登録商標)Selectra(商標)Etchシステムであってよい。
【0012】
OES及び吸光分光法は、そのようなラジカルのみのエッチングプロセスにおけるリアルタイムのエッチング速度モニタリング用の有効な解決策ではないので、本明細書で説明される実施形態は、エッチング速度モニタリング用の共振システムを使用するセンサを含む。共振システムは、共振体の共振周波数の変化を測定する。共振システムの質量が変化すると、共振体の共振周波数が単調に変化する。そのようなセンサが、ラジカルのみのエッチングプロセスにおいてエッチング速度をモニタするために使用されるときに、共振システムは、共振体の一面上にわたり形成され処理ツール100内でラジカルに曝される犠牲膜を含み得る。ラジカルは犠牲膜をエッチングで除去し、共振システムの全体の質量が減少する。共振システムの質量の減少は、共振体の共振周波数を増加させる。その共振周波数はリアルタイムで測定され、共振周波数の変化率が共振システムの質量の変化率に変換される。その後、共振システムの質量の変化率は、膜の材料の密度が既知なので、厚さの変化率に変換され得る。
【0013】
共振システムを使用するセンサは、堆積プロセス(例えば、蒸着、スパッタリングなど)に対して堆積速度をリアルタイムで提供するために、過去に使用されてきた。しかし、以前のエッチングの解決策は、様々な理由で共振システムを使用するセンサを利用することができなかった。1つの理由は、以前のエッチングプロセス(例えば、反応性イオンエッチング(RIE))が、純粋に材料除去プロセスではないということである。例えば、材料が除去されている際に、更なる副産物が基板上に再堆積し得る。例えば、RIEを用いたシリコンエッチングでは、ポリマーが基板上に再堆積し得る。このポリマーは、異方性エッチングを改善するが、基板の質量を増やしもする。したがって、共振システムを有するセンサがそのようなエッチングプロセスで使用されるならば、除去された膜の全質量は正確に特定することができないだろう。というのも、ポリマーの再堆積を原因とした質量の増加も存在し得るからである。更に、プラズマ内のイオンの存在及びRF電源が、センサからの信号との著しい干渉を生成する。そのようにして、ラジカルのみのエッチングプロセスにおけるプロセス環境と比較して、適切な信号対ノイズ比を有する信頼できる測定値を得ることは、非常に難しい。
【0014】
次に、
図2Aを参照すると、一実施形態による、ラジカルのみのエッチングプロセス中のリアルタイムのエッチング速度モニタリングを提供するために使用され得るセンサ250の断面図が示されている。一実施形態では、センサ250が、共振システム261及びハウジング266を含み得る。実施形態は、共振体262、第1の電極264、第2の電極265、及び犠牲層270を含む、共振システム261を含み得る。
【0015】
共振体262は、共振システム261の質量が変化する際に共振周波数を変化させる材料であってよい。一実施形態では、共振体262が、圧電材料であってよい。例えば、共振体262は、石英、サファイア、(シリコン、ゲルマニウムなどの)半導体材料、又は他のIII-V半導体材料、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)などであってよい。
【0016】
一実施形態では、共振システム261が、共振体262の第1の表面上に形成された第1の電極264、及び第1の表面とは反対側の共振体262の第2の表面上に形成された第2の電極265を含み得る。第1の電極264及び第2の電極265は、任意の適切な導電性材料であってよい。一実施形態では、第1の電極264及び第2の電極265が、アルミニウムなどであってよい。図示されている実施形態では、第1の電極264及び第2の電極265が、共振体262の表面全体をカバーしないが、実施形態はそのような構成に限定されないことが理解されるべきである。例えば、ある実施形態では、第1の電極264及び第2の電極265が、共振体262の表面全体をカバーしてよい。更に、実施形態は、異なる表面積を有する第1の電極264と第2の電極265を含み得る。例えば、第2の電極265は、第1の電極264よりも小さい表面積を有してよい。更に別の一実施形態では、第1の電極264と第2の電極265の表面積が、実質的に同じであってよい。
【0017】
一実施形態では、共振システム261が、第1の電極264の表面上に形成された犠牲層270を含み得る。犠牲層270の追加が、共振システム261の質量を変更し、したがって、共振体262の共振周波数を変える。したがって、エッチングプロセス中に犠牲層270の厚さが低減される際に、上述されたように、共振体262の共振周波数が単調に変化する。一実施形態では、犠牲膜270が、ラジカルのみのエッチングプロセスでエッチングされるべき材料と同じ材料である。例えば、犠牲膜270は、誘電材料、半導体材料、又は金属材料であってよい。
【0018】
犠牲層270は、既知の厚さTを有するように形成され得る。一実施形態では、犠牲層270の厚さTは、処理されている基板から実質的にエッチングで除去されることとなる材料の厚さよりも大きくてよい。エッチングはサブトラクティブ(subtractive)プロセスなので、犠牲層270の厚さTは、センサ250が交換又は修理されることを必要とする前のセンサ250の寿命を増加させる。例えば、犠牲層270の厚さTは、センサ250の交換を必要とすることなしに、所与のエッチングプロセスレシピを複数回だけ実行するのに十分であり得る。一実施形態では、犠牲層270の厚さTが、犠牲層270が完全に除去される前にプロセスレシピが10回以上実行されることを可能にするように選択され得る。更なる実施形態は、犠牲層270が完全に除去される前にプロセスレシピが100回以上実行されることを可能にし得る。更なる実施形態は、犠牲層270が完全に除去される前にプロセスレシピが1000回以上実行されることを可能にし得る。ある実施形態では、犠牲層が、犠牲層270が完全に除去される前にプロセスレシピが10000回だけ実行されることを可能にする厚さTを有し得る。
【0019】
一実施形態では、第1の電極264の少なくとも一部分が露出されたままであるように、犠牲層270が、第1の電極264の一部分上にわたり形成される。第1の電極264に対する電気接触が行われ得る場所を提供するために、第1の電極の少なくとも一部分が露出される。例えば、犠牲層270が、第1の電極264の中央に形成され、犠牲層270の周縁の周りに第1の電極264の露出された部分を残す。
【0020】
一実施形態では、共振システム261が、ハウジング266によって固定され得る。一実施形態では、ハウジング266が、導電性材料であってよい。一実施形態では、ハウジング266が、周波数ブリッジ267と第1の電極264との間の電気接続を提供し得る。一実施形態では、第2の電極265が、周波数ブリッジ267と電気的に接続され得る。ある実施形態では、第1の電極264が接地電位で保持されるように、ハウジング266が接地され得る。
【0021】
次に、
図2Bを参照すると、一実施形態による、センサ250の上面図が示されている。一実施形態では、ハウジング266の内縁268が、間隙Gだけ犠牲層270から間隔を空けられている。間隙Gは、第1の電極264の一部分を露出させる。一実施形態では、間隙Gが、近似的に5mm以下であってよい。一実施形態では、間隙Gが、第1の電極264の半径の近似的に5%以下であってよい。示されている実施形態では、ハウジング266の内縁268と犠牲層の外周との間の間隙Gが、実質的に均一である。何故ならば、犠牲層270は、ハウジング266内の開口と同じ形状であり、ハウジング266の開口内の実質的に中央にあるからである。しかし、実施形態はそのような構成に限定されず、間隙Gは、ハウジングの内縁268と犠牲層270の外周との間の全ての点において実質的に同じである必要はないだろう。例えば、犠牲層270は、ハウジング266内の開口とは異なる形状を有し、且つ/又は、犠牲層270は、ハウジング266内の開口内の実質的に中央にはないだろう。実施形態では、ハウジング266と第1の電極264との間の接続が、内縁268に沿って連続的ではないが、そのような実施形態では、ハウジング266と第1の電極264との間の離散した接続位置のうちの1以上に対して、間隙Gが未だ存在している。
【0022】
第1の電極264は、ラジカルのみのエッチングプロセスにおいてラジカルに曝されるので、実施形態は、犠牲層270をエッチングするために使用されるラジカルのみのエッチングプロセスに対して実質的に耐性を有する材料で形成された第1の電極264を含む。そうでなければ、第1の電極264は、犠牲層270と共にエッチングされ、幾つかの問題が生じ得る。1つのそのような問題は、共振システム261の質量の変化が、第1の電極264の材料損失と犠牲層270の材料損失との合計であり得るということであろう。そのようにして、共振体262の共振周波数の変化が、犠牲層270のエッチング速度のみに対応しないこととなり得る。更に、ラジカルのみのエッチングプロセスによって第1の電極264及び/又はハウジング266を除去すると、センサ250の使用可能なサービス寿命が減少する。
【0023】
示されている実施形態では、単一の犠牲層270を含む共振システム261を有するセンサ250が図示されている。しかし、実施形態は、そのような構成に限定されない。例えば、第1の電極264上にわたり複数の犠牲層2701‐270nが形成され得る。そのような実施形態では、犠牲層の各々が互いに対して選択的に高いエッチングを有する限り、幾つかの異なるエッチングレシピに対するリアルタイムのエッチング速度を提供するために、単一のセンサ250が使用され得る。例えば、酸化ケイ素層の第1のエッチングがモニタされ、その後に、QCMセンサ250を変更する必要なしに、シリコン層の第2のエッチングがモニタされ得る。複数の犠牲層2701‐270nを含むある例示的な実施形態が、
図2C及び
図2Dの平面図で示されている。
【0024】
図2Cで示されている実施形態では、複数の犠牲層2702‐270nが、第1の犠牲層2701の周りに形成された同心リングである。一実施形態では、各犠牲層2701‐270nが、実質的に同じ厚さであってよい。更なる一実施形態では、犠牲層2701‐270nのうちの2以上が、異なる厚さを有してよい。異なる厚さを有する犠牲層を提供することにより、センサ250の修理が必要となる前のより長いサービス寿命を可能にし得る。例えば、半導体デバイスの製作で使用される処理は、第2の犠牲層2702に対応する第2の材料の厚さよりも大きい第1の犠牲層2701に対応する第1の材料の厚さを、除去することを含み得る。そのようにして、第2の犠牲層2702の厚さよりも大きい厚さを有する第1の犠牲層2701を有するセンサ250は、近似的に同じ数の基板が処理された後で、両方の犠牲層が完全に消費されることを保証し得る。
【0025】
更なる実施形態は、同心リングとは異なる第1の電極264の表面上にわたるパターンで形成された複数の犠牲層2701‐270nを含む。例えば、
図2Dでは、各犠牲層2701‐270nが、異なる領域内に形成されている。ある実施形態では、犠牲層2701‐270nの各々が、互いから間隔を空けられていてよい。他の実施形態では、犠牲層2701‐270nの各々が、1以上の他の犠牲層と接触し得る。更に、各犠牲層2701‐270nが、実質的に同じ面積を有するように図示されているが、実施形態はそのような構成に限定されるものではなく、各犠牲層2701‐270nの面積は、互いから異なっていてよい。
図2Cに関して説明された実施形態に類似して、各犠牲層2701‐270nの厚さは、互いに対して実質的に類似し得るか、又は、各犠牲層2701‐270nの厚さは、異なっていてよい。
【0026】
次に
図3Aを参照すると、一実施形態による、センサ250を含む処理ツール300の概略図が示されている。一実施形態では、センサ250が、プローブ382によって、処理ツール300の外側に位置付けられたモニタ383と電気的に接続され得る。モニタ383は、共振をモニタリングするための回路(例えば、周波数ブリッジ)、並びにリアルタイムでエッチング速度をモニタリングするために必要とされる任意の他の電気部品及び/又は回路を含み得る。更なる実施形態は、処理ツール300内のエッチングプロセスを制御するために使用されるコンピュータシステム(図示せず)と通信可能に接続されたモニタ383を含み得る。一実施形態では、プローブ382が、処理ツール300内のポート384を通して挿入され得る。例えば、プローブ382は、ペデスタル306の近傍の処理ツール300の下側領域318の中へ挿入され得る。センサ250を下側領域318内に位置付けることにより、センサ250は、遠隔プラズマ内で生成されたイオンと実質的に相互作用することなしに、ラジカルに曝されることとなる。一実施形態では、第1の電極の面が、処理中に基板(図示せず)がその上に置かれ得るところのペデスタル306の面と実質的に平行となるように、センサ250が方向付けられ得る。
図3Aでは示されていないが、実施形態は、ポンプライナとペデスタル306との間に又はポンプライナの外側に位置付けられたセンサ250を含み得る。一実施形態では、センサ250が、犠牲層270のエッチング速度が、ペデスタル上に位置決めされた基板上に形成された材料のエッチング速度を表し且つ相関することを可能にする、処理ツール300内の位置に置かれ得る。
【0027】
図3Bで示されている更なる一実施形態では、センサ250が、処理ツール300の下側領域318内のポンプライナ308の中へ統合され得る。図示されているように、プローブ382は、センサ250がポンプライナ308の開口内に位置している状態で、その開口を通って延在し得る。例えば、第1の電極の面は、ペデスタル306に向けて方向付けられ、処理中に基板がその上に置かれ得るところのペデスタル306の表面と実質的に垂直であり得る。センサ250をポンプライナ308と統合することによって、センサ250を通り過ぎるラジカルの流れが、処理ツール300内で処理される基板(図示せず)を通り過ぎるラジカルの流れと実質的に類似することが可能となる。一実施形態では、センサ250が、犠牲層270のエッチング速度が、ペデスタル上に位置決めされた基板上に形成された材料のエッチング速度を表し且つ相関することを可能にする、処理ツール300内の位置に置かれ得る。更なる一実施形態では、プローブ382を延伸させ又は後退させることによって、センサ250が、処理ツール300内で移動し得る。
図3Bの矢印によって示されているように、センサ250が、ゲートバルブ385を通り過ぎ、処理ツール300の下側領域318から除去されるように、プローブ382は後退され得る。例えば、バルブ385は、アンティチャンバ386から処理ツール300の下側領域318を分離し得る。一実施形態では、アンティチャンバ386が、下側領域318内のラジカルから孤立した、センサ250用のストレージチャンバであってよい。したがって、センサ250がアンティチャンバ386内に位置決めされたときに、センサは、犠牲層を除去するために使用されるエッチングプロセスに曝されないこととなる。一実施形態では、アンティチャンバ386が、アンティチャンバ386をパージするための真空ポンプ及びガスラインを含み得る。この構成は、センサ250の使用可能サービス寿命を増加させ得る、且つ/又は、センサ250の使用可能サービス寿命が超えられた後でセンサ250が交換されるときに、処理ツール300のダウンタイム(休止時間)を低減させる、という幾つかの更なる利点を提供する。
【0028】
例えば、ある実施形態では、処理ツール300内で処理されている全ての基板に対してリアルタイムのエッチング速度モニタリングを提供することは必要でないかもしれない(例えば、基板の各ロット内の単一の基板に対してのみリアルタイムのエッチング速度がモニタされ、2つおきに、3つおきに、4つおきに、5つおきに、などの基板に対してリアルタイムのエッチング速度がモニタされ、又は任意の他の所望のサンプリング計画が考えられ得る)。そのようにして、実施形態は、センサ250の使用可能サービス寿命を延ばすために、動的なエッチング速度モニタリングが必要とされないときはいつでも、センサ250をアンティチャンバ386の中へ後退させることを含む。アンティチャンバ386は、パージされ処理圧力へポンプダウンされることが可能なので(すなわち、アンティチャンバ386は、ロードロックと同様に機能し得る)、主たる処理チャンバは、センサ250の使用と使用との間に減圧される必要がない。更に、インシトゥチャンバ洗浄動作中に、センサ250は、アンティチャンバ386の中へ後退することによって保護され得る。そのようにして、そうでなければ侵食性のエッチング化学作用のためにセンサ250の使用可能サービス寿命を実質的に低減させ得る処理動作が、センサ250に損傷を与えることなしに実施され得る。
【0029】
更に、アンティチャンバ386及びゲートバルブ385を含む実施形態では、センサ250が、主たる処理チャンバを減圧し且つ/又はオープンする必要なしに交換され得る。その代わりに、アンティチャンバ386は、使用済のセンサ250を改修し、交換用センサ250を挿入するために、減圧されオープンされ得る。アンティチャンバ386は、主たる処理チャンバよりも小さいので、アンティチャンバ386を処理圧力まで戻すようにポンプダウンするために必要とする時間が低減される。更に、主たる処理チャンバは、オープンされる必要がなく、センサ250が交換された後に主たるチャンバを慣らす(season)必要がない。
【0030】
上述されたように、リアルタイムでエッチング速度をモニタする能力により、単一の基板又は複数の基板の処理中に使用される様々な処理結果を改善する幾つかの利点が提供される。例えば、ある実施形態では、リアルタイムでエッチング速度をモニタリングすることにより、エッチングプロセスレシピが除去された材料の実際の厚さに依存することを可能にする、閉ループプロセス制御が可能となり得る。別の一実施形態では、リアルタイムでエッチング速度をモニタリングすることが可能であるときに、単一の処理レシピを実行する複数の処理ツール間のチャンバマッチングが実施され得る。更なる実施形態は、基板対基板フィードフォワード制御を使用することによって、複数の基板が処理される際に、エッチングプロセスレシピを効率化することが可能となり得る。更なる実施形態は、プロセスツールの整備が何時必要になるかのより正確な決定を可能にする、チャンバ健全性モニタリングを可能にし得る。
【0031】
特定の一実施形態では、上述のものと実質的に類似したセンサ250が、閉ループプロセス制御を用いて実施されるエッチングプロセスレシピを可能にするために使用され得る。以前には、リアルタイムのエッチング速度モニタリングが実施可能でないときに、プロセスレシピは、予め設定された処理期間に依存していた。予め設定された期間に依存することは問題であり得る。何故ならば、(例えば、チャンバ条件のばらつき、下側領域の中へのラジカルの流れが一貫していないこと、基板上の以前の処理動作との不一致などにより)処理チャンバ内の条件が基板ごとに変動し得るからである。しかし、本明細書で説明されるものなどのセンサ250を含む実施形態は、時間に依存しない閉ループプロセス制御を実施するための能力を提供する。その代わりに、処理レシピの終点は、除去された材料の実際の厚さによって特定され得る。例えば、処理レシピが30nmの材料厚さを除去するように設計されているならば、時間に基づいて基板からの材料の除去を近似する代わりに、センサ250が30nmの材料厚さが基板から除去されたことを示す出力を生成すると、処理レシピが終了し得る。閉ループプロセス制御を使用する例示的なプロセスレシピが、
図4で示されているプロセスフローチャート490で示されている。
【0032】
処理動作491で開始して、実施形態は、ラジカルのみのエッチングプロセスレシピを実行することを含み得る。一実施形態では、処理レシピが、エッチングプロセスで使用される任意の数の処理パラメータを含み得る。例えば、処理レシピは、所望の基板温度、1以上の処理ガスの流量、処理チャンバ内の圧力などの、プロセスパラメータを含み得る。更に、処理レシピは、1以上の終点基準を含み得る。特定の一実施形態では、1つの終点基準が、センサ250から得られた出力から判定可能なパラメータであり得る。例えば、終点基準は、基板から除去される材料の全厚さであり得る。その厚さは、上述されたように、共振体262の共振周波数の変化によって特定され得る。
【0033】
次に、処理動作492を参照すると、実施形態は、1以上の終点基準が満たされたか否かを判定するために、センサ250から得られた出力を解析することによって継続し得る。例えば、センサ250は、(処理レシピの開始前の)共振体262の初期共振周波数を、共振体262の現在の共振周波数と比較することによって、材料の所望の厚さが基板から除去されたか否かを判定し得る。所望の終点基準が満たされていないときに、プロセス490は、処理動作491にループバックすることができ、処理レシピが実行され続ける。一実施形態では、処理動作492が、実質的に連続的に又は所定の間隔(例えば、5秒ごと若しくはそれ未満、1秒ごと若しくはそれ未満、0.01秒ごと若しくはそれ未満、又は任意の他の所望の間隔)で実施され得る。一実施形態によれば、所望の終点基準が満たされると、該プロセスは、処理動作493に進み、処理レシピは終了し得る。
【0034】
更なる一実施形態では、センサ250が、チャンバのマッチングを提供するために利用され得る。チャンバのマッチングは、複数の処理ツールが、複数の基板を並行して処理することを可能にする。適正にマッチングされたチャンバでは、たとえ複数の基板が異なるチャンバで処理されるとしても、各基板のプロセス結果が実質的に同じである。したがって、基板の異なるロット間又はバッチ間の差は最小化され、プロセスの均一性が改善され得る。例えば、
図4に関連して上述された処理に類似する閉ループ処理レシピを実施するために、各処理ツールがセンサ250を利用するときに、どの処理ツールが使用されるかに関わりなく、全ての基板から除去される材料の厚さが実質的に同じになる。そのようにして、処理条件のばらつきのために、たとえ処理ツールが異なるエッチング速度を有するとしても、プロセス結果は未だ高度に均一であり得る。
【0035】
更なる一実施形態によれば、センサ250を用いたリアルタイムのエッチング速度モニタリングは、処理レシピの基板対基板フィードフォワード制御も可能にし得る。そのような一実施形態は、特に有益であり得る。何故ならば、リアルタイムのエッチング速度モニタリングは、各基板が処理された後で処理レシピが修正されることを可能にするからである。したがって、たとえ(例えば、チャンバの清浄度などのために)処理ツール内の処理条件が変化するとしても、均一なプロセス結果が未だ得られ得る。処理レシピの基板対基板フィードフォワード制御を使用するためのプロセスの一実施例が、
図5のプロセスフロー590で示されている。
【0036】
一実施形態では、該プロセスが、処理チャンバ内で第1の基板に処理レシピを実行することによって、処理動作591で開始し得る。一実施形態では、処理レシピが、ラジカルのみのエッチングプロセスのためのレシピである。一実施形態では、処理レシピが、エッチングプロセスで使用される任意の数の処理パラメータを含み得る。例えば、処理レシピは、所望の基板温度、1以上の処理ガスの流量、処理チャンバ内の圧力などの、処理パラメータを含み得る。一実施形態では、プロセスレシピが、1以上の終点基準を含み得る。特定の一実施形態では、1つの終点基準が、センサ250から得られた出力から判定可能なパラメータであり得る。例えば、終点基準は、除去される材料の全厚さであり得る。その厚さは、上述されたように、共振体262の共振周波数の変化によって特定され得る。
【0037】
一実施形態では、プロセスフローが処理動作592に進み、終点基準が満たされたか否かを判定するために、センサ250の出力が解析される。終点基準が満たされていないならば、該プロセスは、図示されているように、動作591にループバックすることができる。所望の終点基準が満たされたときに、手順は、処理動作593に進み、プロセスレシピは終了する。その後、手順は、処理動作594に進み、第2の基板に対して使用されるための処理レシピを修正するために、第1の基板の処理からのデータが、フィードフォワードされ使用され得る。一実施形態では、プロセスレシピの処理パラメータのうちの1以上を変更することによって、処理レシピが修正され得る。例えば、処理レシピの実行中に終点基準に到達することが、予期されるよりも長い時間だけ必要とするならば、処理レシピの処理パラメータのうちの1以上は、(例えば、基板温度を高めること、処理ガスの流量を増やすことなどによって)終点基準に到達するために必要な時間を低減させるように修正され得る。したがって、実施形態は、第2の基板に対して使用されるためのプロセスレシピを修正するために、第1の基板に対して実行された処理レシピからのフィードフォワード情報を使用することを含み得る。そのようにして、プロセスレシピは、所望の結果がより効率的なやり方で得られることを可能にするために効率化され得る。
【0038】
更に、プロセスフロー590は、プロセスチャンバ健全性モニタリングを可能にするために延長され得る。具体的には、実施形態が、処理動作595で示されているように、チャンバの整備が必要とされるような十分なばらつきが存在するか否かを判定するために、修正されたプロセスレシピを元のプロセスレシピと比較する更なる動作を含み得る。例えば、修正されたプロセスレシピを元のプロセスレシピと比較することは、修正されたプロセスレシピ内の処理パラメータのうちの1以上と元のプロセスレシピ内の処理パラメータのうちの1以上との間の差を計算することを含み得る。一実施形態では、チャンバの整備が、チャンバ洗浄、又はサービス寿命の終わりにあると判定された1以上の構成要素の交換及び/若しくは修理などの、チャンバ条件に対する任意の調整を含み得る。
【0039】
一実施形態において、チャンバ洗浄が必要とされることを示す重大な変化は、修正されたプロセスレシピ内のプロセスパラメータのうちの1以上と元のプロセスレシピ内のプロセスパラメータのうちの1以上との間の差が、所定の閾値を超えたときであり得る。一実施形態では、所定の閾値が、所与のプロセスパラメータの最大変化率であってよい。例えば、所定の閾値は、所与のプロセスパラメータの25%以上の変動であってよい。一実施形態では、各プロセスパラメータが、異なる所定の閾値を有し得る。例えば、処理ガスの流量の変化率に対する所定の閾値は、基板の温度の変化率に対する所定の閾値よりも大きくてよい。更なる一実施形態では、所定の閾値が、所与のプロセスパラメータに対する最大値又は最小値であってよい。例えば、基板温度に対する所定の閾値は、最大温度であってよい。更なる別の一実施形態では、所定の閾値の種類が、プロセスパラメータに依存してよい。例えば、処理レシピ内の1以上のプロセスパラメータは、プロセスパラメータの最大変化率として与えられた所定の閾値を有し、処理レシピ内の他のプロセスパラメータは、最大値及び/又は最小値として与えられた所定の閾値を有し得る。
【0040】
次に、
図6を参照すると、一実施形態による、処理ツールの例示的なコンピュータシステム660のブロック図が示されている。一実施形態では、コンピュータシステム660が、処理ツールに接続され、処理ツール内の処理を制御する。コンピュータシステム660は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、イントラネット、エクストラネット、又はインターネットにおいて、他のマシンに接続され(例えば、ネットワーク化され)得る。コンピュータシステム660は、クライアント-サーバネットワーク環境においてはサーバ又はクライアントマシンの役割で、或いは、ピアツーピア(又は分散)ネットワーク環境においてはピアマシンとして動作し得る。コンピュータシステム660は、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットPC、セットトップボックス(STB)、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、携帯電話、ウェブアプライアンス、サーバ、ネットワークルータ、スイッチ又はブリッジ、或いは、そのマシンによって行われる動作を特定する(連続した又は別様な)指示命令のセットを実行可能な任意のマシンであり得る。更に、コンピュータシステム660として単一のマシンのみを示しているが、用語「マシン」は、本明細書に記載の方法のうちの任意の1以上を実施するために、指示命令のセット(又は複数のセット)を個々に、又は連携的に実行するマシン(例えば、コンピュータ)の任意の集合体を含むとも解釈すべきである。
【0041】
コンピュータシステム660は、指示命令が記憶された非一過性のマシン可読媒体を有するコンピュータプログラム製品、又はソフトウェア622を含んでいてよく、これらの指示命令は、実施形態による処理を実施するコンピュータシステム660(又は他の電子デバイス)をプログラムするために使用され得る。マシン可読媒体は、マシン(例えば、コンピュータ)によって可読な形態で情報を保存又は伝送するための任意の機構を含む。例えば、マシン可読(例えば、コンピュータ可読)媒体は、マシン(例えば、コンピュータ)可読記憶媒体(例えば、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイスなど)や、マシン(例えば、コンピュータ)可読伝送媒体(電気的形態、光学的形態、音響的形態、又はその他の形態の、例えば、赤外信号やデジタル信号といった伝播信号)などを含む。
【0042】
一実施形態では、コンピュータシステム660が、バス630を介して互いに通信し合う、システムプロセッサ602、メインメモリ604(例えば、読み出し専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、シンクロナスDRAM(SDRSM)、又はランバスDRAM(RDRSM)などのダイナミックランダムアクセスメモリ(DRSM)など)、スタティックメモリ606(例えば、フラッシュメモリ、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)など)、及び二次メモリ618(例えば、データ記憶装置)を含む。
【0043】
システムプロセッサ602は、マイクロシステムプロセッサ、中央処理装置などの1以上の汎用処理デバイスを表す。より詳細には、システムプロセッサが、複合命令セット演算(CISC)マイクロシステムプロセッサ、縮小命令セット演算(RISC)マイクロシステムプロセッサ、超長命令語(VLIM)マイクロシステムプロセッサ、他の指示命令セットを実行するシステムプロセッサ、又は指示命令セットの組み合わせを実行するシステムプロセッサであり得る。システムプロセッサ602は、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号システムプロセッサ(DSP)、ネットワークシステムプロセッサなどの、1以上の特殊用途処理デバイスでもあり得る。システムプロセッサ602は、本明細書に記載の動作を実行するための処理論理626を実施するように構成されている。
【0044】
コンピュータシステム660は、他のデバイス又はマシンと通信するためのシステムネットワークインターフェースデバイス608を更に含み得る。コンピュータシステム660は、ビデオディスプレイユニット610(例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオードディスプレイ(LED)、又は陰極線管(CRT))、英数字入力デバイス612(例えば、キーボード)、カーソル制御デバイス614(例えば、マウス)、及び信号生成デバイス616(例えば、スピーカ)も含み得る。
【0045】
二次メモリ618は、本明細書に記載の方法又は機能のうちの任意の1以上のものを具現化する、1以上の指示命令セット(例えば、ソフトウェア622)が記憶されている、マシンアクセス可能記憶媒体631(又は、より具体的には、コンピュータ可読記憶媒体)を含み得る。このソフトウェア622は、コンピュータシステム660によって実行されている間、完全に又は少なくとも部分的に、メインメモリ604及び/又はシステムプロセッサ602の中にも常駐していてよく、メインメモリ604及びシステムプロセッサ602は、マシン可読記憶媒体も構成し得る。このソフトウェア622は更に、システムネットワークインターフェースデバイス608を介してネットワーク620を経由して送信又は受信され得る。
【0046】
例示的な一実施形態では、マシンアクセス可能記憶媒体631を単一の媒体として示しているが、「マシン可読記憶媒体(machine-readable storage medium)」という語は、1以上の指示命令セットを記憶している単一の媒体又は複数の媒体(例えば、集中データベース若しくは分散データベース、並びに/又は、関連キャッシュ及びサーバ)を含むと、解釈すべきである。用語「マシン可読記憶媒体」はまた、マシンによって実施される指示命令のセットを記憶すること、又は符号化することが可能であり、且つ、方法のうちの任意の1以上をマシンに実施させる任意の媒体を含むとも解釈すべきである。従って、用語「マシン可読記憶媒体」は、固体メモリ、光媒体、及び磁気媒体を含むがそれらに限定されないと解釈すべきである。
【0047】
前述の明細書では、特定の例示的な実施形態が説明された。以下の特許請求の範囲から逸脱しない限り、例示の実施形態に様々な修正を加えることができることが明らかになろう。従って、本明細書及び図面を限定的と捉えるのではなく、例として見なすべきである。