(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-04
(45)【発行日】2022-11-14
(54)【発明の名称】電源装置及び電子機器
(51)【国際特許分類】
G05F 1/613 20060101AFI20221107BHJP
【FI】
G05F1/613 310
(21)【出願番号】P 2022508720
(86)(22)【出願日】2020-03-18
(86)【国際出願番号】 JP2020012082
(87)【国際公開番号】W WO2021186635
(87)【国際公開日】2021-09-23
【審査請求日】2021-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】日清紡マイクロデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】奥田 弘樹
【審査官】麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-109736(JP,A)
【文献】特開2010-049482(JP,A)
【文献】特開昭60-032566(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05F 1/613
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧制御部と、少なくとも1個の電流制御部とを備え、
前記電圧制御部と前記各電流制御部とを互いに並列に接続して構成された電源装置であって、
前記電圧制御部は、
入力電圧に基づいて、所定の基準電圧を発生する基準電圧回路と、
前記電圧制御部の出力電圧が実質的に前記基準電圧に対応する電圧になるように前記電圧制御部の出力電流を制御することで、前記入力電圧に基づいて前記電圧制御部の出力電圧を発生して出力する電圧制御回路と、
前記電圧制御部の出力電流を検出して当該出力電流に対応する値を示す第1の電流検出信号を発生して出力する第1の電流検出回路とを備え、
前記各電流制御部は、
前記電流制御部の出力電流を検出して当該出力電流に対応する値を示す第2の電流検出信号を発生して出力する第2の電流検出回路と、
前記第2の電流検出信号が実質的に、前記第1の電流検出信号が示す値に対応する値になるように前記電流制御部の出力電流を制御する電流制御回路と
を備え、
前記電流制御回路は、前記電圧制御部からの出力電流と、前記各電流制御部からの出力電流との割合が所定値になるように設定する設定回路を備え、
前記設定回路は、前記第2の電流検出信号を所定の電流比で分流して前記電流制御回路に出力する第1の可変抵抗を備える、
電源装置。
【請求項2】
電圧制御部と、少なくとも1個の電流制御部とを備え、
前記電圧制御部と前記各電流制御部とを互いに並列に接続して構成された電源装置であって、
前記電圧制御部は、
入力電圧に基づいて、所定の基準電圧を発生する基準電圧回路と、
前記電圧制御部の出力電圧が実質的に前記基準電圧に対応する電圧になるように前記電圧制御部の出力電流を制御することで、前記入力電圧に基づいて前記電圧制御部の出力電圧を発生して出力する電圧制御回路と、
前記電圧制御部の出力電流を検出して当該出力電流に対応する値を示す第1の電流検出信号を発生して出力する第1の電流検出回路とを備え、
前記各電流制御部は、
前記電流制御部の出力電流を検出して当該出力電流に対応する値を示す第2の電流検出信号を発生して出力する第2の電流検出回路と、
前記第2の電流検出信号が実質的に、前記第1の電流検出信号が示す値に対応する値になるように前記電流制御部の出力電流を制御する電流制御回路と
を備え、
前記電流制御回路は、前記電圧制御部からの出力電流と、前記各電流制御部からの出力電流との割合が所定値になるように設定する設定回路を備え
前記設定回路は、前記第2の電流検出信号を所定の電圧比で分圧しかつ所定の電流比で分流して前記電流制御回路に出力する、互いに直列に接続された第1及び第2の可変抵抗を備える、
電源装置。
【請求項3】
前記電流制御回路は、前記第2の電流検出信号に基づいて、前記電圧制御部からの出力電流と、前記各電流制御部からの出力電流との割合が所定値になるように、前記設定回路を制御する制御回路をさらに備える、
請求項
1又は2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記電流制御回路は、
前記入力電圧に基づいて所定の定電流を発生する定電流源と、
前記第1の電流検出信号と前記第2の電流検出信号との間の第1の差信号を発生する第1の演算増幅回路と、
前記第1の電流検出信号と前記第2の電流検出信号との間の第2の差信号を発生する第2の演算増幅回路と、
前記第1の差信号を入力する制御端子を含み、前記第1の差信号に基づいて、前記電流制御部からの出力電流を制御する電流制御素子と、
前記第2の差信号が所定のしきい値以下になったときに、前記定電流を前記電流制御素子の制御端子に入力させるスイッチ素子とを備える、
請求項1~
3のうちのいずれか1つに記載の電源装置。
【請求項5】
請求項1~
4のうちのいずれか1つに記載の電源装置を備える、
電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば基準電圧回路を用いたリニアレギュレータである電圧制御部と、少なくとも1個の電流制御部とを備える電源装置と、前記電源装置を備える電子機器とに関する。
【背景技術】
【0002】
電源装置において、例えばリニアレギュレータを使用した場合に、入力電圧と出力電圧の差と、出力電流に応じて発熱する。その発熱は基板及びモールドによって許容量が決定される。すなわち、リニアレギュレータの出力電流に制限があり、要求する負荷電流値を満たさない場合がある。その対応策として、複数個のリニアレギュレータを並列に接続し電流を分散する、従来例1に係る電源装置が既に知られている。
【0003】
しかしながら、従来例1に係る電源装置では、複数個のリニアレギュレータを並列に接続し、各リニアレギュレータの入力端子を共通で電源電圧に接続し、各リニアレギュレータの出力端子を負荷に共通に接続している。当該電源装置において、製造プロセスのバラツキなどの影響により、各々異なった出力電圧をもつ複数のリニアレギュレータの出力電圧が存在することになる。そのため、出力電圧が一番高いリニアレギュレータから出力電流が供給される一方、出力電圧が低いリニアレギュレータでは、出力電圧を抵抗分圧した帰還電圧と、基準電圧を受けた差動増幅回路により、出力トランジスタに電流を流すアナログ信号を送る。しかし、あるリニアレギュレータの出力電圧よりも高い電圧に、共通の出力電圧が固定されるため、差動増幅回路は出力電流をとめるアナログ信号を出力トランジスタに出力する。
【0004】
その後、負荷電流が増加したことにより、共通の出力電圧が低下し、2番目に出力電圧が高いリニアレギュレータの電圧に到達したときに、2番目に出力電圧が高いリニアレギュレータの差動増幅回路は出力電流を出すアナログ信号を出力トランジスタに出力し、2番目に出力電圧が高いリニアレギュレータから出力電流の供給が開始される。最終的に共通の出力電圧が一番低いリニアレギュレータの出力電圧に到達するとすべてのリニアレギュレータから出力電流が供給される。
【0005】
しかし、出力電流の供給のバランスは不均一であり、出力電圧が一番高いリニアレギュレータが多くの出力電流を供給するため、出力電圧が低いリニアレギュレータは同等の出力電流を供給できない。その結果、要求する負荷電流値を満たせなくなる可能性がある。また信頼性の面において、電流に不均衡が生じると発熱にも不均衡が生じるため、出力電流が一番多いリニアレギュレータの寿命を加速させ、破壊に繋がる恐れがある。
【0006】
上記の課題を解決する手段として、各リニアレギュレータは出力電流に比例した電流を検出し、検出した電流値をアナログ電圧信号に変換し、当該アナログ電圧信号を各リニアレギュレータ自身のバス端子を介して、他のリニアレギュレータのバス端子に伝送する。これに応答して、他のリニアレギュレータは、前記アナログ電圧信号に基づいて出力電圧を調整する、従来例2に係る電源装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
従来例1に係る電源装置では、複数のリニアレギュレータを並列に接続した場合、上述の通り、共通の出力電圧より、出力電圧が低いリニアレギュレータでは、出力電流が供給されない。しかし、従来例2に係る電源装置では、各リニアレギュレータの出力電流に比例したアナログ電圧信号を、他のリニアレギュレータに送り、そのアナログ電圧信号を当該他のリニアレギュレータでのアナログ電圧信号と比較することで、間接的に各々の出力電流を比較することができる。ここで、出力電流の小さいリニアレギュレータの基準電圧を持ち上げるように制御する。この結果、出力電圧が低いリニアレギュレータでは、出力電圧を抵抗分圧した帰還電圧と、基準電圧を受けた差動増幅回路が、出力トランジスタに電流を供給するアナログ電圧信号を他のリニアレギュレータに送る。これに応答して、他のリニアレギュレータは出力電流を供給し始める。このように、バス端子を介して、各リニアレギュレータが基準電圧を調整することで複数の出力電流が互いに等しくなるように制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、出力電流を示すアナログ電圧信号が基準電圧に影響を及ぼすため、誤差増幅器の両入力端子に2つの制御信号が帰還されることとなり、帰還制御ループが混線する。この影響により制御系が複雑化し、十分な安定性をもった制御系を設計できず、発振に至ってしまい、電源装置として安定性に欠けるという問題点があった。
【0010】
本発明の目的は以上の問題点を解決し、従来技術に比較して安定な制御系を確立して、不要な発振を防止することができる電源装置及び、前記電源装置を備える電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る電源装置は、
電圧制御部と、少なくとも1個の電流制御部とを備え、
前記電圧制御部と前記各電流制御部とを互いに並列に接続して構成された電源装置であって、
前記電圧制御部は、
入力電圧に基づいて、所定の基準電圧を発生する基準電圧回路と、
前記電圧制御部の出力電圧が実質的に前記基準電圧に対応する電圧になるように前記電圧制御部の出力電流を制御することで、前記入力電圧に基づいて前記電圧制御部の出力電圧を発生して出力する電圧制御回路と、
前記電圧制御部の出力電流を検出して当該出力電流に対応する値を示す第1の電流検出信号を発生して出力する第1の電流検出回路とを備え、
前記各電流制御部は、
前記電流制御部の出力電流を検出して当該出力電流に対応する値を示す第2の電流検出信号を発生して出力する第2の電流検出回路と、
前記第2の電流検出信号が実質的に、前記第1の電流検出信号が示す値に対応する値になるように前記電流制御部の出力電流を制御する電流制御回路とを備える。
【発明の効果】
【0012】
従って、本発明に係る電源装置によれば、前記電圧制御部の制御系と、前記各電流制御部の制御系とを分離することができるので、従来技術に比較して安定な制御系を確立して、不要な発振を防止することができる電源装置等を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施形態1に係る電源装置101の構成例を示すブロック図である。
【
図2】実施形態2に係る電源装置102の構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図1及び
図2の電源装置101,102で用いられる電圧制御部1の構成例を示す回路図である。
【
図4】
図1及び
図2の電源装置101,102で用いられる電流制御部2,2-1~2-Nの構成例を示す回路図である。
【
図5】
図1の電源装置101の詳細構成を示す回路図である。
【
図6】
図4の電流制御部2,2-1~2-Nの実施例1に係る構成例を示す回路図である。
【
図7】
図4の電流制御部2,2-1~2-Nの実施例2に係る構成例を示す回路図である。
【
図8】
図4の電流制御部2,2-1~2-Nの実施例3に係る構成例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明にかかる実施形態について図面を参照して説明する。なお、同一又は同様の構成要素については同一の符号を付している。なお、明細書において、MOS(Metal-Oxide Semiconductor)電界効果トランジスタを、以下「MOSトランジスタ」という。
【0015】
(発明者の知見)
特許文献1に開示された従来例2に係る電源装置では、上述のように、制御系の複雑化によって回路の安定性を確保できず、発振してしまうという問題は解消できない。
【0016】
これに対して、本実施形態では、複数の制御部1,2(例えば、
図1の電圧制御部1及び電流制御部2をいう)の出力端子を並列に接続したときに、各制御部1,2からの複数の出力電流を互いに所定の比の値となるように、好ましくは例えば互いに等しくなるように分散制御することで、各制御部1,2における発熱を分散させることで、十分な安定性を確保した制御系を実現することを特徴としている。また、CMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)回路で電源装置を構成することで、従来技術に比較して低い消費電力を有する電源装置を実現することができる。
【0017】
(実施形態1)
図1は実施形態1に係る電源装置101の構成例を示すブロック図である。
【0018】
図1において、電源装置101は、電圧制御部1と、電流制御部2とを備えて構成される。ここで、電圧制御部1の入力端子T11と、電流制御部2の入力端子T21とは互いに接続されるとともに、入力電圧Vinの電圧源に接続される。また、電圧制御部1の出力端子T13と、電流制御部2の出力端子T23とは互いに接続されるとともに、負荷3に接続される。これにより、電圧制御部1と電流制御部2とは互いに並列に接続される。
【0019】
さらに、電圧制御部1の電流検出信号出力端子T12と、電流制御部2の電流検出信号入力端子T22とは互いに接続され、電圧制御部1の接地端子T14と、電流制御部2の接地端子T24は互いに接続されて接地される。
【0020】
なお、
図1等において、INは入力電圧の入力端子を示し、OUTは出力端子を示し、BSoutは電流検出信号BS1の出力端子を示し、BSinは電流検出信号BSの入力端子を示し、GNDは接地端子を示す。明細書においては、端子T11~T24等の符号を用いて説明する。
【0021】
以上のように構成された電源装置101において、入力電圧Vinは、電圧制御部1の入力端子T11及び電流制御部2の入力端子T21に入力される。電圧制御部1は、基準電圧回路を内蔵するリニアレギュレータであって、入力電圧Vinを基準電圧になるように制御する。電圧制御部1からの出力電流Iout0と、電流制御部2からの出力電流Iout1を加算した合計電流Iouttotalが負荷3に流れる。
【0022】
また、電圧制御部1は、出力電流Iout0に対して例えば比例するなど所定の相関を有して対応するアナログ電圧信号である電流検出信号BS1を発生して、電流検出信号出力端子T12から、電流制御部2の電流検出信号入力端子T22に出力する。これに応答して、電流制御部2は、出力電流Iout1に対して例えば比例するなど所定の相関を有して対応するアナログ電圧信号である電流検出信号を発生して、当該電流検出信号を入力される電流検出信号BS1と比較することにより、その差が実質的にゼロになるように制御し、すなわち、出力電流Iout0と出力電流Iout1が互いに、例えば等しくなるように、電流制御部2の出力電流Iout1を制御する出力トランジスタ(例えば
図3のMOSトランジスタQ11)のインピーダンスが制御される。
【0023】
負荷3は、電圧制御部1及び電流制御部2から電源電圧及び電源電流の供給を受ける、所定の機能を有する例えば電子機器であり、具体的には、電源供給を受ける自動車用の電子機器、もしくは、電源供給を受けるコピー機又はプリンタといった画像形成装置、パーソナルコンピュータ、タブレット、スマートホン、携帯電話機等である。
【0024】
以上のように構成された実施形態1によれば、電圧制御部1における電圧制御系と、電流制御部2における電流制御系とは分離されているので、互いに影響を及ぼすことがない。従って、従来技術に比較して安定な制御系を確立して、不要な発振を防止することができる電源装置101を実現できる。
【0025】
なお、実施形態1では、電圧制御部1の出力電流Iout0と、電流制御部2の出力電流Iout1が互いに等しくなるように、電流制御部2の出力電流Iout1を制御している。しかし、電圧制御部1の出力電流Iout0と、電流制御部2の出力電流Iout1との比の値が所定値になるように、電流制御部2の出力電流Iout1を電流分散して制御してもよい。
【0026】
(実施形態2)
図2は実施形態2に係る電源装置102の構成例を示すブロック図である。
【0027】
図2において、電源装置102は、
図1の電源装置101と比較して以下の点が異なる。
(1)電流制御部2に代えて、互いに並列に接続された複数N個の電流制御部2-1~2-Nを備える。なお、電流制御部2-1~2-Nは互いに同様に構成される。
以下、相違点について説明する。
【0028】
各電流制御部2-1~2-Nはそれぞれ、
図1の電流制御部2と同様に構成される。電圧制御部1からの電流検出信号BS1は、各電流制御部2-1~2-Nの電流検出信号入力端子T22に入力される。これに応答して、各電流制御部2-1~2-Nは、出力電流Iout
1~IoutNに対して例えば比例するなど所定の相関を有して対応するアナログ電圧信号である電流検出信号を発生して、当該電流検出信号を入力される電流検出信号BS1と比較することにより、その差が実質的にゼロになるように制御する。すなわち、出力電流Iout0と出力電流Iout1~IoutNが互いに、例えば等しくなるように、各電流制御部2-1~2-Nの出力電流Iout1~IoutNを制御する出力トランジスタ(例えば
図3のMOSトランジスタQ11)のインピーダンスが制御される。
【0029】
以上のように構成された電源装置102において、電圧制御部1の出力電流Iout0と電流制御部2-1~2-Nの出力電流Iout1~IoutNを加算した合計電流Iouttotalが負荷3に流れる。各電流制御部2-1~2-Nは、出力電流Iout0と出力電流Iout1が互いに、例えば等しくなるように、各電流制御部2の出力電流Iout1~IoutNを制御する。ここで、電圧制御部1における電圧制御系と、各電流制御部2-1~2-Nにおける各電流制御系とは分離されているので、互いに影響を及ぼすことがない。従って、従来技術に比較して安定な制御系を確立して、不要な発振を防止することができる電源装置102を実現できる。
【0030】
(電圧制御部1の構成例)
図3は
図1及び
図2の電源装置101,102で用いられる電圧制御部1の構成例を示す回路図である。
【0031】
図3において、電圧制御部1は、基準電圧回路11と、演算増幅回路12と、電流電圧変換回路13と、分圧抵抗R1,R2を含む電圧検出回路14と、PチャネルMOSトランジスタQ1,Q2を含むカレントミラー回路CM1とを備えて構成される。
【0032】
基準電圧回路11は公知の基準電圧回路(基準電圧源ともいわれる)であって、入力電圧Vinに基づいて所定の基準電圧Vrefを発生して、演算増幅回路12の反転入力端子に出力する。入力電圧Vinは、電源電圧として演算増幅回路12に入力されるとともに、電圧制御部1からの出力電流Iout0を制御するMOSトランジスタQ1のソース及びドレインを介して出力端子T13に出力される。出力端子T13は、互いに直列に接続された分圧抵抗R1,R2を介して接地される。出力端子T13の出力電圧Voutは、電圧検出回路14の分圧抵抗R1,R2により分圧され、分圧後の分圧抵抗R2の電圧(出力電圧Voutに比例する電圧)は帰還電圧Vfbとして演算増幅回路12の非反転入力端子に入力される。
【0033】
演算増幅回路12は、帰還電圧Vfbと基準電圧Vrefとの差電圧を出力電流制御信号としてMOSトランジスタQ1,Q2の各ゲート(制御端子)に出力する。ここで、電圧検出回路14と、演算増幅回路12と、MOSトランジスタQ1とにより電圧制御回路15を構成しており、帰還電圧Vfbを基準電圧Vrefとの差電圧が実質的に0になるように、すなわち、帰還電圧Vfbが実質的に基準電圧Vrefに一致するように、出力電流Iout0が制御される。これにより、電圧制御回路15は、出力電圧Voutが所定電圧値(=Vref・(R1+R2)/R2)になるように制御する。
【0034】
MOSトランジスタQ1,Q2はカレントミラー回路CM1を構成しており、MOSトランジスタQ2には、MOSトランジスタQ1に流れる出力電流Iout0に比例する検出電流a・Iout0が、ソースからドレインを介して電流電圧変換回路13に流れる。ここで、係数aは1に比較して十分に小さい値(無視可能な値)であって、例えば10,000分の1、少なくとも100分の1である。電流電圧変換回路13は入力される検出電流a・Iout0を、当該検出電流を示すアナログ電圧信号である電流検出信号BS1に変換して、電流検出信号出力端子T12から出力する。
【0035】
以上のように構成された電圧制御部1によれば、
(1)入力電圧Vinに基づいて、基準電圧Vrefを発生する基準電圧回路11と、
(2)電圧制御部1の出力電圧Voutが実質的に基準電圧Vrefに比例する電圧になるように、MOSトランジスタQ2が電圧制御部1の出力電流Iout0を制御することで、入力電圧Vinに基づいて電圧制御部1の出力電圧Voutを発生して出力する電圧制御回路15と、
(3)電圧制御部1の出力電流Iout0を検出して当該出力電流Iout0に対応する値を示す電流検出信号BS1を発生して出力する電流検出回路(MOSトランジスタQ2及び電流電圧変換回路13)とを備える。
【0036】
これにより、電圧制御部1は、入力電圧Vinを、基準電圧Vrefに比例する出力電圧Voutに変換して出力するとともに、出力電流Iout0に比例する値を示す電流検出信号BS1を出力する。
【0037】
(電流制御部2の構成例)
図4は
図1及び
図2の電源装置101,102で用いられる電流制御部2,2-1~2-N(以下、総称して、符号2を付す)の構成例を示す回路図である。
【0038】
図4において、電流制御部2は、演算増幅回路21と、電流電圧変換回路22と、PチャネルMOSトランジスタQ11,Q12を含むカレントミラー回路CM2とを備えて構成される。
【0039】
入力電圧Vinは、電源電圧として演算増幅回路21に入力されるとともに、電圧制御部1からの出力電流Iout1を制御するMOSトランジスタQ11のソース及びドレインを介して出力端子T23に出力される。
【0040】
MOSトランジスタQ11,Q12はカレントミラー回路CM2を構成しており、MOSトランジスタQ12には、MOSトランジスタQ11に流れる出力電流Iout1に比例する検出電流b・Iout1が、ソースからドレインを介して電流電圧変換回路22に流れる。ここで、係数bは1に比較して十分に小さい値(無視可能な値)であって、例えば10,000分の1、少なくとも100分の1である。電流電圧変換回路22は入力される検出電流b・Iout1を、当該検出電流を示すアナログ電圧信号である電流検出信号BS2に変換して、演算増幅回路21の非反転入力端子に出力する。ここで、係数bは係数aと等しく設定してもいいし、異なるように設定してもよい。
【0041】
演算増幅回路21は、電流検出信号BS2と電流検出信号BS1との差電圧信号を出力電流制御信号SS1としてMOSトランジスタQ11,Q12の各ゲート(制御端子)に出力する。ここで、演算増幅回路21とMOSトランジスタQ12と電流電圧変換回路22とは電流制御回路26を構成しており、電流検出信号BS2と電流検出信号BS1の差電圧が実質的に0になるように、すなわち、電流検出信号BS2が実質的に電流検出信号BS1に一致するように、出力電流Iout1が制御される。これにより、電流制御回路26は、出力電流Iout1が所定電流値(例えば、電圧制御部1の出力電流Iout0と等しくなるように、もしくは、電圧制御部1の出力電流Iout0に比例する電流値)になるように制御する。
【0042】
以上のように構成された電流制御部2によれば、
(1)電流制御部2の出力電流Iout1を検出して例えば当該出力電流Iout1に比例し、当該出力電流Iout1に対応する値を示す電流検出信号BS2を発生して出力する電流検出回路(MOSトランジスタQ12及び電流電圧変換回路22)と、
(2)電流検出信号BS2が実質的に、電流検出信号BS1が示す値に対応する値になるように電流制御部2の出力電流Iout1を制御する電流制御回路26とを備える。
【0043】
これにより、電流制御部2は、電流検出信号BS2が実質的に、電流検出信号BS1が示す値に対応する値になるように電流制御部2の出力電流Iout1を制御する。
【0044】
(電源装置101の詳細構成)
図5は
図1の電源装置101の詳細構成を示す回路図である。
図5の回路図は、
図3の電圧制御部1及び
図4の電流制御部2を
図1の電源装置101に挿入するように、図示したものである。
【0045】
図5において、電圧制御部1は、その出力電圧Voutを制御する電圧制御回路15の閉制御ループLmasterを有する。一方、電流制御部2は、その出力電流Iout1を制御する電流制御回路26の閉制御ループLslaveを有する。電源装置101では、閉制御ループLmasterと、閉制御ループLslaveとが重複しないため、それぞれの制御ループLmaster,Lslaveに対して、安定性を担保するように独立に設計ができ、複雑化しない。また、閉制御ループLsalveの応答が閉制御ループLmasterの応答に対して大きな影響を及ぼさない場合、実質的に閉制御ループLmasaterのみで位相余裕及びゲイン余裕を決定できる。
【実施例1】
【0046】
図6は、
図4の電流制御部2,2-1~2-N(実施例1において、総称して符号2を付す)の実施例1に係る構成例を示す回路図である。なお、
図6において、出力電流Iout1及び検出電流b・Iout1は、
図3の符号を用いる。
【0047】
図6において、実施例1に係る電流制御部2は、
図4の電流制御部2に比較して、以下の点が異なる。
(1)電流電圧変換回路22を可変抵抗VR1で構成した具体例を示した。
(2)電流電圧変換回路22の入力端の電圧をモニタ電圧Vmonitorとして端子T25を介して出力する。
(3)モニタ電圧Vmonitorに基づいて、可変抵抗VR1を制御する電流設定コントローラ4を、電源装置101,102が備えた。
以下、相違点について説明する。
【0048】
図6において、MOSトランジスタQ12により検出される検出電流b・Iout1は、可変抵抗VR1を介して接地され、可変抵抗VR1の両端電圧は電流検出信号BS2として演算増幅回路21の非反転入力端子に入力される。すなわち、可変抵抗VR1は、検出電流b・Iout1を入力して、所定の伝達インピーダンスを用いて、アナログ電圧信号に変換して電流検出信号BS2として出力する。なお、MOSトランジスタQ11の出力電流Iout1と、演算増幅回路21の非反転入力端子に印加される電流検出信号BS2の電圧との間の伝達インピーダンスは、MOSトランジスタQ11とMOSトランジスタQ12との電流比bと、可変抵抗VR1の抵抗値の絶対値とで決定される。
【0049】
ここで、可変抵抗VR1は、例えば以下の形態が考えられる。
(形態A)可変抵抗VR1は、互いに直列に接続され複数の抵抗素子と、各抵抗素子と並列に接続されたスイッチング素子とを備えて構成され、各スイッチング素子をオン又はオフすることで可変抵抗VR1の抵抗値を変化させて設定する。
(形態B)可変抵抗VR1は、互いに直列に接続され複数の抵抗素子と、各抵抗素子と並列に接続されたヒューズ素子とを備えて構成され、各ヒューズ素子をレーザトリミングすることで可変抵抗VR1の抵抗値を変化させて設定する。
【0050】
MOSトランジスタQ11と、MOSトランジスタQ12との間の電流比、及び可変抵抗VR1には多少のバラつきがある。このため、MOSトランジスタQ11の出力電流Iout1と、電流電圧変換回路22の電流検出信号BS2の電圧の間の伝達インピーダンスは、所定の値からずれてしまうことがあり、これにより、並列に接続された電圧制御部1及び各電流制御部2の各出力電流Iout0~IoutNにおいて差分が発生してしまう。そのような際に、可変抵抗VR1の抵抗値を調整することで、MOSトランジスタQ11と、演算増幅回路21の非反転入力端子との間の伝達インピーダンスを所定の値に調整することができ、電圧制御部1及び各電流制御部2の各出力電流Iout0~IoutNにおいて差分を低減することができる。
【0051】
図6の実施例1では、可変抵抗VR1のバラつきのみならず、前記伝達インピーダンスのバラつきを抑えるため、伝達インピーダンスに対応するモニタ電圧Vmonitorを測定するための端子T25を設けた。なお、
図3の電圧制御部1の電流電圧変換回路13では、電流検出信号BS1を利用することができる。
【0052】
電流設定コントローラ4は、モニタ電圧Vmonitorに基づいて、可変抵抗VR1の抵抗値を自動的に制御するための設定回路として設ける。この自動制御は、リアルタイムでもよいし、所定の周期で実行してもよい。
【0053】
電流設定コントローラ4は、CPU(Central Processing Unit)41と、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)42と、AD変換器(ADC)42と、インターフェース回路(I/F)43とを備えて構成される。なお、EEPROM41は使用形態によりROM(Read Only Memory)であってもよい。EEPROM41には、電圧制御部1の出力電流Iout0と各電流制御部2の出力電流Iout1~IoutNの設定電流比(互いに等しい場合と、異なる場合)に応じた、モニタ電圧Vmonitorに対する可変抵抗VR1の設定値の関係テーブルが予め格納される。
【0054】
AD変換器42はモニタ電圧Vmonitorをデジタル電圧値に変換してCPU40に出力する。CPU40は、入力されるモニタ電圧Vmonitorのデジタル電圧値に対応する可変抵抗VR1の抵抗値の設定値を、EEPROM41内の関係テーブルから検索してインターフェース回路43を介して可変抵抗VR1の抵抗値を設定する。可変抵抗VR1が例えば上記形態Aであれば、可変抵抗VR1の各スイッチング素子をオン又はオフすることで、可変抵抗VR1の抵抗値を所定値に設定する。
【0055】
電流設定コントローラ4は、上述の各素子のバラつきを加味した伝達インピーダンスを正確に測定でき、伝達インピーダンスを所定値に調整するように可変抵抗VR1の抵抗値を、インターフェース回路43を介して設定できる。これにより、係数bの値を変化することができ、電流制御部2の出力電流Iout1を調整して設定できる。
【0056】
以上のように構成された実施例1によれば、電圧制御部1からの出力電流と、各電流制御部2からの出力電流との割合が所定値になるように設定する電流設定コントローラ4をさらに備える。ここで、可変抵抗VR1は、MOSトランジスタQ12により検出された検出電流b・Ioutを所定の電流比で分流して演算増幅回路21に出力する。
【0057】
以上の
図6の実施例1では、電流設定コントローラ4を用いている。しかし、本発明はこれに限らず、電流設定コントローラ4を用いず、可変抵抗VR1を上記形態Bで構成し、例えば製造者がモニタ電圧Vmonitorを電圧計で測定しながら、レーザトリミング法により、可変抵抗VR1を調整して設定してもよい。ただし、レーザトリミング法によって伝達インピーダンスを調整する場合、可変抵抗VR1の抵抗値を増大させる方向への調整となるため、トリミング前の伝達インピーダンスは所定の値よりも少し低い値に設定し、トリミングによって所定の値に伝達インピーダンスを増加させるような構成を取ることが好ましい。
【0058】
なお、可変抵抗VR1は出荷前の製造時に調整を行った後、固定値として出荷してもよい。また、設計時の可変抵抗VR1の値が製造時の抵抗値と相違がないときは、可変抵抗VR1は固定抵抗であってもよい。
【0059】
また、
図6では、電流電圧変換回路22の具体例を示しているが、電圧制御部1の電流電圧変換回路13も同様に構成してもよい。さらに、
図6の電流設定コントローラ4はDSP(Digital Signal Processor)等で構成してもよい。
【実施例2】
【0060】
図7は、
図4の電流制御部2,2-1~2-N(実施例2において、総称して符号2を付す)の実施例2に係る構成例を示す回路図である。なお、
図7において、出力電流Iout1及び検出電流b・Iout1は、
図3の符号を用いる。
【0061】
図7において、実施例2に係る電流制御部2は、
図6の電流制御部2と比較して、以下の点が異なる。
(1)電流電圧変換回路22を、可変抵抗VR1及びVR2で構成した具体例を示した。
(2)電流設定コントローラ4に代えて、可変抵抗VR2も制御できるインターフェース回路44を備えた電流設定コントローラ4Aを備えた。
以下、相違点について説明する。
【0062】
図7において、電流電圧変換回路22、MOSトランジスタQ12により検出される検出電流b・Iout1を入力し、所定の伝達インピーダンスを用いて、アナログ電圧信号である電流検出信号BS2に変換して演算増幅回路21の非反転入力端子に出力する。ここで、MOSトランジスタQ11の出力電流Iout1と、演算増幅回路21の非反転入力端子に入力される電流検出信号BS2の電圧の間の伝達インピーダンスは、MOSトランジスタQ11と、MOSトランジスタQ12の電流比bと、可変抵抗VR1,VR2の分圧比及びその絶対値とで決定することができる。
【0063】
電流設定コントローラ4Aは、上述の各素子のバラつきを加味した伝達インピーダンスを正確に測定でき、伝達インピーダンスを所定値に調整するように可変抵抗VR1,VR2の抵抗値を、インターフェース回路43,44を介して設定できる。これにより、係数bの値を変化することができ、電流制御部2の出力電流Iout1を調整して設定できる。
【0064】
以上のように構成された実施例2によれば、電圧制御部1からの出力電流と、各電流制御部2からの出力電流との割合が所定値になるように設定する電流設定コントローラ4をさらに備える。ここで、可変抵抗VR1,VR2は、MOSトランジスタQ12により検出された検出電流b・Iout所定の分圧比で分圧しかつ所定の電流比で分流して演算増幅回路21に出力する。
【0065】
なお、実施例1の変形例を、実施例2に対して同様に適用できる。
【実施例3】
【0066】
図8は、
図4の電流制御部2,2-1~2-N(実施例3において、総称して符号2を付す)の実施例3に係る構成例を示す回路図である。なお、
図8において、出力電流Iout1及び検出電流b・Iout1は、
図3の符号を用いる。
【0067】
図8の実施例3に係る電流制御部2は、
図4の電流制御部2に比較して以下の点が異なる。
(1)演算増幅回路21は公知の演算増幅回路であって、4個のMOSトランジスタQ21~Q24と、いわゆるテール電流源と呼ばれる定電流源24と備えて構成される。
(2)入力電圧Vinと、演算増幅回路21の出力端子との間に、定電流源25と、スイッチング素子であるPチャネルMOSトランジスタQ13の直列回路が接続される。
(3)MOSトランジスタQ13のオン/オフを切り替える演算増幅回路23を備える。
以下、相違点について説明する。ここで、
図8の実施例3は、電源装置101,102の応答性を改善するための回路構成を提供する。
【0068】
図8において、入力電圧Vinは電源電圧として演算増幅回路23に入力され、電流検出信号BS1の電圧は、演算増幅回路21,23の各反転入力端子に入力される。また、電流電圧変換回路22の電流検出信号BS2の電圧は演算増幅回路23の非反転入力端子に入力される。演算増幅回路23は入力される2つの信号電圧に応じてスイッチ制御信号SS2を発生してMOSトランジスタQ13のゲートに出力する。
【0069】
ここで、電流検出信号BS1の電圧が所定のしきい値以下になるとき、演算増幅回路23はMOSトランジスタQ13をオンにするためのスイッチ制御信号をMOSトランジスタQ13のゲートに出力する。これにより、入力電圧Vinにより動作する定電流源25からの定電流をMOSトランジスタQ11に供給することで、出力電流Iout1の応答性を向上させる。
【0070】
電流検出信号BS1の電圧が所定のしきい値以下になるとき、すなわち、電流制御部2の出力電流Iout1が電圧制御部1の出力電流Iout0を上回るような場合に、MOSトランジスタQ13をオンにすることで、定電流源25の定電流を、演算増幅回路21の定電流源24の電流量に対し、十分に大きくすることによって応答性を向上させる。これによって、重負荷から軽負荷へ状態が遷移する際に発生する、電流制御部2の出力電流Iout1における応答遅れによる出力電圧Voutのオーバーシュートを抑制することができる。
【0071】
実施形態では、電流制御部2の単ループ化により、電圧制御部1と電流制御部2の応答特性が同一とはならず、応答が遅い方の特性によって重負荷から軽負荷時に切り替わる際の応答性が決定するため、これを改善する場合は応答の遅い方の特性を改善することが肝心となる。その際、電流制御部2の応答が電圧制御部1に比べて遅い場合は、電流制御部2の応答性を改善させる
図8の回路が必要となる。
【0072】
以上のように構成された実施例3によれば、
(1)入力電圧Vinに基づいて所定の定電流を発生する定電流源25と、
(2)出力電流制御信号SS1を入力するゲート(制御端子)を含み、出力電流制御信号SS1に基づいて、電流制御部2からの出力電流Iout1を制御する電流制御素子であるMOSトランジスタQ11と、
(3)電流検出信号SS2が所定のしきい値以下になったときに、前記定電流をMOSトランジスタQ11のゲートに入力させるスイッチ素子であるMOSトランジスタQ13とを備える。
【0073】
これにより、重負荷から軽負荷へ状態が遷移する際に発生する、電流制御部2の出力電流Iout1における応答遅れによる出力電圧Voutのオーバーシュートを抑制することができる。
【0074】
なお、実施例3の回路を実施例1又は2に適用してもよい。
【0075】
(実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、電圧制御部1と、各電流制御部2とを互いに並列に接続し、電圧制御部1の出力電流Iout0の一部を検出した電流検出信号BS1を、各電流制御部2に伝送し、電流検出信号BS1と、各電流制御部2の出力電流Iout1~IoutNの一部を検出した電流検出信号BS2との差信号に基づいて、各電流制御部2の出力電流Iout1~IoutNを制御するように構成した。これにより、
図5に示すように、電圧制御部1は出力電圧Voutを制御する閉制御ループLmasterのみを有し、各電流制御部2は出力電流Iout1~IoutNを制御する閉制御ループLslaveのみを有する。このため、電源装置101,102の内部回路で帰還制御ループが混線することがなく、電圧制御部1と各電流制御部2の構成を同一にせず、各応答周波数を分離でき、それぞれの応答の共振による安定性の喪失を防止できる。
【0076】
また、各電流制御部2の制御系は、電圧制御部1の応答周波数と異なる特性を実現でき、それぞれの応答周波数を分離できる。これにより、それぞれの応答の共振による安定性の損失を防止できる。
【0077】
さらに、出力電流検出信号BS1を電流検出信号BS2と比較する演算増幅回路23のオフセット電圧Voffset(
図8)が所定値以上に大きくなると、電圧制御部1と各電流制御部2の電流検出信号BS1,BS2の差信号が生まれ、出力電流量に差分が発生する。しかし、出力電流検出信号BS1の増幅率を増加させると、演算増幅回路23のオフセット電圧Voffsetの電流の差分への感度を下げ、CMOS回路での設計を容易にすることで、より低消費な構成を持った制御系を実現することができる。
【0078】
(変形例)
以上の実施形態では、電圧制御回路に使用した場合を例にして示したが、これは一例であり、本発明はこれに限定するものではなく、演算増幅回路を使用したすべての制御回路に適用することができる。例えば、電流制御回路に適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0079】
以上詳述したように、本発明に係る電源装置によれば、前記電圧制御部の制御系と、前記各電流制御部の制御系とを分離することができるので、従来技術に比較して安定な制御系を確立して、不要な発振を防止することができる電源装置等を提供できる。
【0080】
実施形態に係る電源装置101、102と、負荷3とを備えて、電子機器を構成してもよい。電子機器は例えば、電源供給を受ける自動車用の電子機器、もしくは、電源供給を受けるコピー機又はプリンタといった画像形成装置、パーソナルコンピュータ、タブレット、スマートホン、携帯電話機等である。
【符号の説明】
【0081】
1 電圧制御部
2,2-1~2-N 電流制御部
3 負荷
4,4A 電流設定コントローラ
11 基準電圧回路
12 演算増幅回路
13 電流電圧変換回路
14 電圧検出回路
15 電圧制御回路
21 演算増幅回路
22 電流電圧変換回路
23 演算増幅回路
24,25 定電流源
26 電流制御回路
40 CPU
41 EEPROM
42 AD変換器(ADC)
43,44 インターフェース回路(I/F)
101,102 電源装置
CM1,CM2 カレントミラー回路
Q1~Q24 MOSトランジスタ
R1,R2 分圧抵抗
T1~T25 端子
VR1,VR2 可変抵抗