(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】膜プロフィール調整のためのシャワーヘッドカーテンガス方法及びシャワーヘッドガスカーテンシステム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/31 20060101AFI20221108BHJP
C23C 16/455 20060101ALI20221108BHJP
【FI】
H01L21/31 C
C23C16/455
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017113915
(22)【出願日】2017-06-09
【審査請求日】2020-06-05
(32)【優先日】2016-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イシュタク・カリム
(72)【発明者】
【氏名】アドリエン・ラボワ
【審査官】鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-036020(JP,A)
【文献】特開平05-218002(JP,A)
【文献】特開2009-135201(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0269968(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0068953(US,A1)
【文献】特開2010-206026(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/31
C23C 16/455
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチステーション型半導体処理チャンバの中で膜を堆積させる方法であって、
(a)前記チャンバの中で膜堆積を実行するための、前記チャンバの中の各ステーションの縁の周囲に流れるカーテンガスのフロー条件を含むプロセス条件を決定し、
(b)(a)で決定された前記プロセス条件にしたがって、膜堆積の最中に、前記チャンバの中の各ステーションに前記カーテンガスを流し、
(c)(b)の最中又は後に、基板の不均一性を決定し、
(d)前記基板の不均一性に基づいて、前記基板の不均一性を改善するために前記チャンバの中の前記カーテンガスの調節後フロー条件を決定し、
(e)(d)の後に、(d)で決定された前記調節後フロー条件にしたがって、膜堆積の最中に、前記カーテンガスを流す、
ことを備える方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記カーテンガスの前記フロー条件は、前記カーテンガスの流量であり、前記カーテンガスの前記調節後フロー条件は、前記カーテンガスの調節後流量である、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、
前記カーテンガスは、(e)の最中に、実質的に一定の流量で流される、方法。
【請求項4】
請求項2に記載の方法であって、
前記カーテンガスは、(e)の最中に、可変流量で流される、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、
前記カーテンガスの前記フロー条件は、前記カーテンガスの分圧であり、前記カーテンガスの前記調節後フロー条件は、前記カーテンガスの調節後分圧である、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、
前記プロセス条件は、前記チャンバの圧力を含み、前記チャンバの中の前記カーテンガスの前記調節後フロー条件は、前記チャンバの調節後圧力によって引き起こされる、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、
前記プロセス条件は、前記チャンバの排気率を含み、前記チャンバの中の前記カーテンガスの前記調節後フロー条件は、前記チャンバの調節後排気率によって引き起こされる、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、
前記カーテンガスの前記フロー条件は、前記
カーテンガスの流量及び前記
カーテンガスの分圧であり、
前記プロセス条件は、前記チャンバの圧力及び前記チャンバの排気率を含み、
前記チャンバの中の前記カーテンガスの前記調節後フロー条件は、前記チャンバの調節後圧力によって引き起こされた、及び前記チャンバの調節後排気率によって引き起こされた、前記カーテンガスの調節後流量、及び前記カーテンガスの調節後分圧のうちの、1つ以上である、方法。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか一項に記載の方法であって、
(e)は、前記膜堆積の一段階の最中に実行される、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、
前記(e)は、前記膜堆積の、各ステーションの中の基板を材料の前駆体に暴露する段階、前記前駆体の少なくとも一部を前記チャンバから除去する段階、各基板上における前記前駆体の反応を活性化する段階、及び前記反応の後に、前記チャンバの中の前記ガスの少なくとも一部を除去する段階のうちの、少なくとも1つの段階の最中に実行される、方法。
【請求項11】
請求項1ないし8のいずれか一項に記載の方法であって、
(e)は、前記膜堆積の全段階の最中に実行される、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、
(e)は、前記膜堆積の、各ステーションの中の基板を材料の前駆体に暴露する段階、前記前駆体の少なくとも一部を前記チャンバから除去する段階、各基板上における前記前駆体の反応を活性化する段階、及び前記反応の後に、前記チャンバの中の前記ガスの少なくとも一部を除去する段階の、全ての段階の最中に実行される、方法。
【請求項13】
請求項1ないし8のいずれか一項に記載の方法であって、
前記カーテンガスは、純粋な分子酸素を含む、方法。
【請求項14】
請求項1ないし8のいずれか一項に記載の方法であって、
(d)で決定された前記カーテンガスの前記調節後フロー条件は、(a)で流された前記カーテンガスの流れと比べて調節された酸素濃度を前記カーテンガス中に含む、方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、
(d)で決定された前記カーテンガスの前記調節後フロー条件は、純粋な分子酸素を含む、方法。
【請求項16】
請求項1ないし8のいずれか一項に記載の方法であって、
前記カーテンガスは、酸素と、アルゴン及び窒素からなる群より選択される第2の成分との混合を含む、方法。
【請求項17】
マルチステーション型半導体処理チャンバの中で膜堆積を実行するためのシステムであって、
ガス配送システムと、
少なくとも2つのステーションを含む処理チャンバと、
各ステーションは、前記ガス配送システムを共有し、
前記処理チャンバは、各ステーションの縁の周囲にカーテンガスを流すように構成され、
別々のステーションの中で処理される少なくとも2枚の基板上に材料を堆積させるように前記システムを制御するためのコントローラであって、
(a)前記チャンバの中で膜堆積を実行するための、前記チャンバの中の各ステーションの縁の周囲に流れるカーテンガスのフロー条件を含むプロセス条件にしたがって、膜堆積の最中に、前記チャンバの中の各ステーションに前記カーテンガスを流すための制御ロジックと、
(b)(a)の最中又は後に、基板の不均一性を決定するための制御ロジックと、
(c)前記基板の不均一性に基づいて、基板の不均一性を改善するために前記チャンバの中の前記カーテンガスの調節後フロー条件を決定するための制御ロジックと、
(d)(c)の後に、(c)で決定された前記調節後フロー条件にしたがって、膜堆積の最中に、前記カーテンガスを流すための制御ロジックと、
を含むコントローラと、
を備えるシステム。
【請求項18】
請求項17に記載のシステムであって、
前記カーテンガスの前記フロー条件は、前記
カーテンガスの流量であり、前記カーテンガスの前記調節後フロー条件は、前記カーテンガスの調節後流量である、システム。
【請求項19】
請求項17に記載のシステムであって、
前記カーテンガスの前記フロー条件は、前記カーテンガスの分圧であり、前記カーテンガスの前記調節後フロー条件は、前記カーテンガスの調節後分圧である、システム。
【請求項20】
請求項17に記載のシステムであって、
前記プロセス条件は、前記チャンバの圧力を含み、前記チャンバの中の前記カーテンガスの前記調節後フロー条件は、前記チャンバの調節後圧力によって引き起こされる、システム。
【請求項21】
請求項17に記載のシステムであって、
前記プロセス条件は、前記チャンバの排気率を含み、前記チャンバの中の前記カーテンガスの前記調節後フロー条件は、前記チャンバの調節後排気率によって引き起こされる、システム。
【請求項22】
請求項17ないし21のいずれか一項に記載のシステムであって、
前記コントローラは、更に、
(e)各ステーションの中の基板を材料の前駆体に暴露するための制御ロジックと、
(f)前記前駆体の少なくとも一部を前記チャンバから除去するための制御ロジックと、
(g)各基板上における前記前駆体の反応を活性化するための制御ロジックと、
(h)前記反応の後に、前記チャンバの中の前記ガスの少なくとも一部を除去するための制御ロジックと、
を含み、(d)は、(e)から(h)までのうちの1つ以上の最中に実行される、システム。
【請求項23】
請求項17ないし21のいずれか一項に記載のシステムであって、
前記コントローラは、更に、(i)前記チャンバの中で膜堆積を実行するための、前記カーテンガスの前記フロー条件を含むプロセス条件を決定するための制御ロジックを含む、システム。
【請求項24】
請求項17ないし21のいずれか一項に記載のシステムであって、更に、
前記処理チャンバの中の基板ホルダと、
前記処理チャンバ内へガスを流すためのシャワーヘッドと、
を備え、
前記処理チャンバは、更に、処理チャンバボディ、前記基板ホルダ、及び前記シャワーヘッドからなる群より選択されるコンポーネントから前記カーテンガスを流すように構成される、システム。
【請求項25】
マルチステーション型半導体処理チャンバにおいて膜を堆積させる方法であって、
(a)前記処理チャンバの中の各ステーションの外縁の周囲に流れるカーテンガスのフロー条件を含む、前記処理チャンバの中で膜堆積を実行するためのプロセス条件を決定し、
(b)(a)において決定された前記プロセス条件にしたがって、循環式堆積プロセスの1つ以上の堆積サイクルからなる第1の一連の堆積サイクルの最中に、前記処理チャンバの中の各ステーションに前記カーテンガスを流し、
(c)前記カーテンガスの前記フロー条件を、基板の不均一性を改善する調節後フロー条件に調節し、
(d)(c)の後に、(c)の前記調節後フロー条件にしたがって、前記堆積プロセスの1つ以上の堆積サイクルからなる第2の一連の堆積サイクルの最中に、前記カーテンガスを流して基板の不均一性を改善し、
前記カーテンガスの前記調節後フロー条件は、前記カーテンガスの調節後組成を含む、方法。
【請求項26】
請求項25に記載の方法であって、
前記カーテンガスの前記フロー条件は、前記カーテンガスの流量及び前記カーテンガスの組成であり、
前記カーテンガスの前記調節後フロー条件は、前記カーテンガスの調節後流量及び前記カーテンガスの調節後組成である、方法。
【請求項27】
請求項26に記載の方法であって、
前記カーテンガスの前記フロー条件を前記調節後フロー条件に調整することは、前記カーテンガスに1つ以上の成分を加えること、又は、前記カーテンガスから1つ以上の成分を減らすことを含む、方法。
【請求項28】
請求項25に記載の方法であって、
前記循環式堆積プロセスは、原子層堆積プロセスである、方法。
【請求項29】
請求項25に記載の方法であって、
(b)は、(d)の前に実行される、方法。
【請求項30】
請求項25に記載の方法であって、
(b)は、(d)の後に実行される、方法。
【請求項31】
請求項25に記載の方法であって、
前記カーテンガスは、分子酸素を含む、方法。
【請求項32】
請求項31に記載の方法であって、
前記カーテンガスの前記調節後組成は、前記カーテンガス中に調節された酸素濃度を含む、方法。
【請求項33】
請求項25に記載の方法であって、
前記マルチステーション型半導体処理チャンバは、シャンデリア型シャワーヘッドと、前記シャンデリア型シャワーヘッドの柄の周囲のシャワーヘッド環と、を含み、
前記カーテンガスは、前記シャワーヘッド環を通って前記処理チャンバに流れる、方法。
【請求項34】
請求項25に記載の方法であって、
前記カーテンガスは、酸素と、アルゴン及び窒素からなる群より選択される第2の成分との混合ガスを含み、
前記カーテンガスの前記調節後フロー条件は、前記カーテンガスの調節後組成を含む、方法。
【請求項35】
請求項25に記載の方法であって、
(b)の前記カーテンガスは、単一のガス成分であり、
前記カーテンガスの前記調節後組成は、前記単一のガス成分を含む、方法。
【請求項36】
請求項35に記載の方法であって、
前記単一のガス成分は、酸素であり
前記カーテンガスの前記調節後組成は、更に、アルゴン及び窒素のうちの1つ以上を含む、方法。
【請求項37】
請求項35に記載の方法であって、
前記単一のガス成分は、酸素、アルゴン、及び窒素からなる群より選択される、方法。
【請求項38】
請求項25に記載の方法であって、
(a)の前記カーテンガスは、単一のガス成分を含むガス混合であり、
(d)の前記カーテンガスは、前記単一のガス成分である、方法。
【請求項39】
請求項38に記載の方法であって、
前記単一のガス成分は、酸素、アルゴン、及び窒素からなる群より選択される、方法。
【請求項40】
請求項38に記載の方法であって、
前記単一のガス成分は、酸素であり、
(a)の前記カーテンガスは、酸素と、アルゴン及び窒素のうちの1つ以上とを含む、方法。
【請求項41】
マルチステーション型半導体処理ツールの中で膜堆積を実行するためのシステムであって、
ガス配送システムと、
少なくとも2つのステーションを含む処理チャンバと、
各ステーションは、前記ガス配送システムを共有し、
前記処理チャンバは、各ステーションの外縁の周囲にカーテンガスを流すように構成され、
別々のステーションの中で処理される少なくとも2枚の基板上に材料を堆積させるように前記システムを制御するためのコントローラであって、
(a)前記処理チャンバの中の各ステーションの外縁の周囲に流れるカーテンガスのフロー条件を含む、前記処理チャンバの中で膜堆積を実行するためのプロセス条件にしたがって、循環式堆積プロセスの1つ以上の堆積サイクルからなる第1の一連の堆積サイクルの最中に、前記処理チャンバの中の各ステーションに前記カーテンガスを流すための制御ロジックと、
(b)前記カーテンガスの前記フロー条件を、基板の不均一性を改善する調節後フロー条件に調節するための制御ロジックであって、前記カーテンガスの前記調節後フロー条件は、前記カーテンガスの調節後組成を含む、制御ロジックと、
(c)(b)の後に、(b)の前記調節後フロー条件にしたがって、前記循環式堆積プロセスの1つ以上の堆積サイクルからなる第2の一連の堆積サイクルの最中に、前記カーテンガスを流して基板の不均一性を改善するための制御ロジックと、
を含むコントローラと、
を備えるシステム。
【請求項42】
請求項41に記載のシステムであって、
前記カーテンガスの前記フロー条件は、前記カーテンガスの流量及び前記カーテンガスの組成であり、
前記カーテンガスの前記調節後フロー条件は、前記カーテンガスの調節後流量及び前記カーテンガスの調節後組成である、システム。
【請求項43】
請求項42に記載のシステムであって、
前記カーテンガスの前記フロー条件を前記調節後フロー条件に調節するための前記制御ロジックは、前記カーテンガスに1つ以上の成分を加えるための制御ロジック、又は、前記カーテンガスから1つ以上の成分を減らすための制御ロジックを含む、システム。
【請求項44】
請求項41に記載のシステムであって、
前記コントローラは、更に、前記循環式堆積プロセスの最中に、(a)、(b)、及び(c)を繰り返すための制御ロジックを含む、システム。
【請求項45】
請求項41に記載のシステムであって、
前記循環式堆積プロセスは、原子層堆積プロセスである、システム。
【請求項46】
請求項41に記載のシステムであって、
前記コントローラは、更に、
(c)の前に(a)を実行するための制御ロジックと、
(c)の後に(a)を実行するための制御ロジックと、
を含む、システム。
【請求項47】
請求項41に記載のシステムであって、
前記カーテンガスは、分子酸素を含む、システム。
【請求項48】
請求項41に記載のシステムであって、
前記カーテンガスの前記調節後組成は、前記カーテンガス中に調節後酸素濃度を含む、システム。
【請求項49】
請求項41に記載のシステムであって、更に、
前記処理チャンバにガスを流すためのシャンデリア型シャワーヘッドと、
前記シャンデリア型シャワーヘッドの柄の周囲のシャワーヘッド環と、を含み、
前記カーテンガスは、前記シャワーヘッド環を通って前記処理チャンバに流れる、システム。
【請求項50】
請求項41に記載のシステムであって、
前記コントローラは、更に、
(d)前記カーテンガスの第2のフロー条件を、基板の不均一性を改善する第2の調節後フロー条件に調節するための制御ロジックと、
(e)(d)の後に、(d)の前記第2の調節後フロー条件にしたがって、前記循環式堆積プロセスの1つ以上の堆積サイクルからなる第3の一連の堆積サイクルの最中に、前記カーテンガスを流して基板の不均一性を改善するための制御ロジックと、
を含む、システム。
【請求項51】
請求項41に記載のシステムであって、
(a)の前記カーテンガスは、単一のガス成分であり、
前記カーテンガスの前記調節後組成は、前記単一のガス成分を含む、システム。
【請求項52】
請求項51に記載のシステムであって、
前記単一のガス成分は、酸素であり、
前記カーテンガスの前記調節後組成は、更に、アルゴン及び窒素のうちの1つ以上を含む、システム。
【請求項53】
請求項52に記載のシステムであって、
前記単一のガス成分は、酸素、アルゴン、及び窒素からなる群より選択される、システム。
【請求項54】
請求項41に記載のシステムであって、
(a)の前記カーテンガスは、単一のガス成分を含むガス混合であり、
(c)の前記カーテンガスは、前記単一のガス成分である、システム。
【請求項55】
請求項54に記載のシステムであって、
前記単一のガス成分は、酸素、アルゴン、及び窒素からなる群より選択される、システム。
【請求項56】
請求項54に記載のシステムであって、
前記単一のガス成分は、酸素であり、
(a)の前記カーテンガスは、酸素と、アルゴン及び窒素のうちの1つ以上を含む、システム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
半導体産業において集積回路(IC)デバイス及び基板特徴のサイズが縮小し続けるにつれて、また、IC(例えば、IntelのTri-Gateトランジスタアーキテクチャ)設計における3Dデバイス構造の使用が増えるにつれて、薄い共形膜(下にある構造がたとえ非平面状であっても、その構造の形状に対して均一な厚さを有する材料膜)を堆積させる能力が、ますます重要性を増している。原子層堆積(ALD)は、その1つのサイクルが、1枚の薄い材料層を堆積させるのみであるゆえに、共形膜の堆積によく適した膜形成技術であり、ALDプロセスの結果には、1つ以上の膜前駆体の膜形成表面反応に先立って、それらの前駆体反応物の吸着制限層の形成が伴う。次いで、所望の厚さの膜を構築するために、複数の「ALDサイクル」が使用されてよく、結果として得られる膜は、各層が薄くて且つ共形であるゆえに、その下の基板特徴及び/又はデバイス構造の形状に実質的に合致する。
【0002】
しかしながら、半導体製造におけるALDプロセスの利用には、数多くの課題が伴う。これらの課題は、多くの場合、十分な厚さの膜を構築するために多数のALDサイクルが必要であるという事実に関係している。特殊な半導体処理ハードウェアによって、迅速なALDサイクル時間が促されるかもしれないが、これらの堆積装置及びこれらの装置で実行される膜形成動作が注意深く設計されないと、結果として得られるALD膜の均一性が損なわれる恐れがある。したがって、堆積膜の均一性を向上させる方法、システム、及び装置が求められている。
【図面の簡単な説明】
【0003】
【
図1】単一プロセスステーションを伴う処理チャンバを有する基板処理装置を示す断面図である。
【0004】
【
図2】1つ以上のマルチステーション型半導体処理ツールの中で膜堆積を実行するためのシステムであって、4ステーション型基板処理ツールと、2つのプロセスステーションに対して基板の出し入れを行うための基板取扱ロボットと、ツールを操作するための制御部とを有するシステムの図である。
【0005】
【
図3】シャワーヘッドとシャワーヘッド環とを有する単一ステーション型基板処理装置の処理チャンバの断面図であり、一次パージガス及び二次パージガスの流路を記している。
【0006】
【
図4】基板処理ツールの二重ステーション型処理チャンバの断面図であり、各ステーションは、基板ホルダと、シャンデリア型シャワーヘッドと、それに関連したシャワーヘッド環とを有する。
【0007】
【
図5】2つの異なるカーテンフローを使用して2枚の基板について測定された厚さのグラフである。
【0008】
【
図6】基板処理チャンバの中のシャワーヘッド及びシャワーヘッド環の更に詳細な断面図であり、やはり、一次パージガス及び二次パージガスの流路を例示している。
【0009】
【0010】
【
図8】
図7のシャワーヘッド環のための流体コネクタの一例の斜視図である。
【0011】
【
図9A】
図6のシャワーヘッドの板の一例の上面図である。
【
図9B】
図6のシャワーヘッドの板の一例の底面図である。
【0012】
【
図10】基板の一例の上面図であり、局所的プロセス条件が異なるだろう様々な(半径方向に画定された)処理表面エリアを例示している。
【0013】
【
図11】マルチステーション型半導体処理チャンバ及び/又は処理ツールの中で膜堆積を実行するための技術の第1の例を示すフローチャートである。
【0014】
【
図12】カーテンガスを処理チャンバ内へ放出するように構成されたシャワーヘッドを含む処理チャンバの一例の図である。
【0015】
【
図13】カーテンガスを処理チャンバ内へ放出するように構成された処理チャンバの第2の例の図である。
【0016】
【
図14】カーテンガスを処理チャンバ内へ放出するように構成された台座を含む処理チャンバの第3の例を示す図である。
【発明の概要】
【0017】
一実行形態では、マルチステーション型半導体処理チャンバの中で膜を堆積させる方法が提供されてよい。方法は、(a)チャンバの中で膜堆積を実行するための、チャンバの中の各ステーションの縁の周囲に流れるカーテンガスのフロー条件を含むプロセス条件を決定し、(b)(a)で決定されたプロセス条件にしたがって、膜堆積の最中に、チャンバの中の各ステーションにカーテンガスを流し、(b)の最中又は後に、基板の不均一性を改善するためにチャンバの中のカーテンガスの調節後フロー条件を決定し、(c)の後に、(c)で決定された調節後フロー条件にしたがって、膜堆積の最中に、カーテンガスを流す、ことを含んでいてよい。
【0018】
一部の実行形態では、カーテンガスのフロー条件は、現行ガスの流量であってよく、カーテンガスの調節後フロー条件は、カーテンガスの調節後流量であってよい。
【0019】
一部の更なる実行形態では、カーテンガスは、(d)の最中に、実質的に一定の流量で流されてよい。
【0020】
一部のその他の更なる実施形態では、カーテンガスは、(d)の最中に、可変流量で流されてよい。
【0021】
一部の実施形態では、カーテンガスのフロー条件は、カーテンガスの分圧であってよく、カーテンガスの調節後フロー条件は、カーテンガスの調節後分圧であってよい。
【0022】
一部の実施形態では、プロセス条件は、チャンバの圧力を含んでいてよく、チャンバの中のカーテンガスの調節後フロー条件は、チャンバの調節後圧力によって引き起こされてよい。
【0023】
一部の実施形態では、プロセス条件は、チャンバの排気率を含んでいてよく、チャンバの中のカーテンガスの調節後フロー条件は、チャンバの調節後排気率によって引き起こされてよい。
【0024】
一部の実施形態では、カーテンガスのフロー条件は、現行ガスの流量及び現行ガスの分圧であってよく、プロセス条件は、チャンバの圧力及びチャンバの排気率を含んでいてよく、チャンバの中のカーテンガスの調節後フロー条件は、チャンバの調節後圧力によって引き起こされる、及びチャンバの調節後排気率によって引き起こされる、カーテンガスの調節後流量、及びカーテンガスの調節後分圧のうちの、1つ以上であってよい。
【0025】
一部の実施形態では、(d)は、膜堆積の一段階の最中に実行されてよい。
【0026】
一部の更なる実施形態では、(d)は、膜堆積の、各ステーションの中の基板を材料の前駆体に暴露する段階、前駆体の少なくとも一部をチャンバから除去する段階、各基板上における前駆体の反応を活性化する段階、及び反応の後に、チャンバの中のガスの少なくとも一部を除去する段階のうちの、少なくとも1つの段階の最中に実行されてよい。
【0027】
一部の実施形態では(d)は、膜堆積の全段階の最中に実行されてよい。
【0028】
一部の更なる実施形態では、(d)は、膜堆積の、各ステーションの中の基板を材料の前駆体に暴露する段階、前駆体の少なくとも一部をチャンバから除去する段階、各基板上における前駆体の反応を活性化する段階、及び反応の後に、チャンバの中のガスの少なくとも一部を除去する段階を含みえる、全ての段階の最中に実行されてよい。
【0029】
一部の実施形態では、方法は、更に、(c)の前に、チャンバの中のステーションのうちの1つ以上によって堆積された膜の不均一性を特定することを含んでいてよく、(c)での決定は、少なくとも一部にはこの特定に基づいてよい。
【0030】
一部の実施形態では、(c)で決定されたカーテンガスの調節後フロー条件は、(a)で流されたカーテンガスの流れと比べて調節された酸素濃度をカーテンガス中に含んでいてよい。
【0031】
一部の更なる実施形態では、(c)で決定されたカーテンガスの調節後フロー条件は、純粋な分子酸素を含んでいてよい。
【0032】
一部の実施形態では、カーテンガスは、酸素と、アルゴン又は窒素などの第2の成分との混合を含む。
【0033】
一実施形態では、マルチステーション型半導体処理チャンバの中で膜堆積を実行するためのシステムが提供されてよい。システムは、ガス配送システムと、少なくとも2つのステーションを含む処理チャンバとを含んでいてよく、各ステーションは、ガス配送システムを共有し、処理チャンバは、各ステーションの縁の周囲にカーテンガスを流すように構成される。システムは、別々のステーションの中で処理される少なくとも2枚の基板上に材料を堆積させるようにシステムを制御するためのコントローラを含んでいてよく、コントローラは、(a)チャンバの中で膜堆積を実行するための、チャンバの中の各ステーションの縁の周囲に流れるカーテンガスのフロー条件を含むプロセス条件にしたがって、膜堆積の最中に、チャンバの中の各ステーションにカーテンガスを流すための制御ロジックと、(a)の最中又は後に、基板の不均一性を改善するためにチャンバの中のカーテンガスの調節後フロー条件を決定するための制御ロジックと、(c)(b)の後に、(b)で決定された調節後フロー条件にしたがって、膜堆積の最中に、カーテンガスを流すための制御ロジックとを含む。
【0034】
一部の実施形態では、カーテンガスのフロー条件は、現行ガスの流量であってよく、カーテンガスの調節後フロー条件は、カーテンガスの調節後流量であってよい。
【0035】
一部の実施形態では、カーテンガスのフロー条件は、カーテンガスの分圧であってよく、カーテンガスの調節後フロー条件は、カーテンガスの調節後分圧であってよい。
【0036】
一部の実施形態では、プロセス条件は、チャンバの圧力を含んでいてよく、チャンバの中のカーテンガスの調節後フロー条件は、チャンバの調節後圧力によって引き起こされてよい。
【0037】
一部の実施形態では、プロセス条件は、チャンバの排気率を含んでいてよく、チャンバの中のカーテンガスの調節後フロー条件は、チャンバの調節後排気率によって引き起こされてよい。
【0038】
一部の実施形態では、コントローラは、更に、(d)各ステーションの中の基板を材料の前駆体に暴露するための制御ロジックと、(e)前駆体の少なくとも一部をチャンバから除去するための制御ロジックと、(f)各基板上における前駆体の反応を活性化するための制御ロジックと、(g)反応の後に、チャンバの中のガスの少なくとも一部を除去するための制御ロジックとを含んでいてよく、(c)は、(d)から(g)までのうちの1つ以上の最中に実行される。
【0039】
一部の実施形態では、コントローラは、更に、(h)チャンバの中で膜堆積を実行するための、カーテンガスのフロー条件を含むプロセス条件を決定するための制御ロジックを含んでいてよい。
【0040】
一部の実施形態では、システムは、更に、処理チャンバの中の基板ホルダと、処理チャンバ内へガスを流すためのシャワーヘッドとを含んでいてよい。処理チャンバは、更に、処理チャンバボディ、基板ホルダ、又はシャワーヘッドからカーテンガスを流すように構成されてよい。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下の説明では、提示された概念の完全な理解を可能にするために、数々の具体的詳細が特定される。提示された概念は、これらの具体的詳細の一部又は全部を伴わずとも実行されえる。また、説明された概念を不必要に不明瞭にしないために、周知のプロセス動作は、詳細に説明されていない。一部の概念が、具体的な実装形態に関連付けて説明されるが、これらの実装形態は、限定的であることを意図していないことが理解される。
【0042】
本書では、多くの概念及び実装形態が説明及び例示される。本書で論じられる実装形態の、特定の特徴、属性、及び利点が説明及び例示されるが、これらの説明及び例示からは、本発明の、その他の、並びに異なる及び/又は類似の多くの実装形態、特徴、属性、及び利点が明らであることが、理解されるべきである。このように、以下の実装形態は、本開示の、可能性として考えられる幾つかの例に過ぎない。これらは、排外的であることを意図していない、即ち、開示された厳密な形式、技術、材料、及び/又は構成に開示内容を限定することを意図していない。この開示内容に照らして、多くの変更及び変形が可能である。その他の実装形態の利用及び動作上の変更が、本開示の範囲から逸脱することなくなされてよいことが理解される。このように、上記の実装形態の説明は、例示及び説明を目的として提示されるので、本開示の範囲は、以下の説明のみに限定されない。
【0043】
重要なのは、本開示が、いかなる1つの態様若しくは実装形態にも、又はそのような態様及び/若しくは実装形態のいかなる1つの組み合わせ及び/若しくは置き換えにも限定されないことである。更に、本開示の各態様及び/又はその各実装形態は、単独で用いられてよい、又はその他の態様及び/若しくはその実装形態の1つ以上と組み合わせて用いられてよい。簡潔を期するために、これらの置き換え及び組み合わせの多くは、本書で個別に議論及び/又は例示されることはない。
【0044】
本書で開示されるのは、マルチステーション型半導体基板処理チャンバの中で膜堆積を実行するための方法、システム、及び装置である。一部の半導体プロセスは、ウエハなどの基板上に1枚以上の材料層を堆積させるために使用される。本書で使用される「ウエハ」という用語は、通常は、大判のディスプレイ基板などのその他の形態の「基板」を含むと解釈できる。このような堆積プロセスの例として、化学気相成長(「CVD」)、プラズマ支援式CVD(「PECVD」)、原子層堆積(「ALD」)、低圧CVD、超高CVD、物理蒸着(「PVD」)、及び共形膜堆積(「CFD」)が挙げられる。
【0045】
例えば、一部のCVDプロセスは、膜前駆体及び副生成物を形成する1つ以上のガス反応物をリアクタ内へ流すことによって基板表面上に膜を堆積させてよい。前駆体は、ウエハ表面に運ばれ、そこでウエハによって吸着され、ウエハ内へ拡散し、化学反応によってウエハ上に堆積される。化学反応は、副生成物も生成し、これらの副生成物は、表面から及びリアクタから除去される。
【0046】
別の例として、一部の堆積プロセスは、それぞれが「個別の」膜厚を形成する複数の膜堆積サイクルを伴う。ALDが、このような膜堆積方法の1つであるが、繰り返される順次方式で使用されて薄い膜層を定着させるあらゆる技術が、複数の堆積サイクルを伴うものと見なせるだろう。
【0047】
以下で更に詳しく説明されるように、処理チャンバの中で基板上に1枚の材料層を堆積させるための基本的なALDサイクルは、(i)膜前駆体を、それが吸着制限層又は部分的な吸着制限層を形成するように基板上に吸着させ(例えば、投入し)、(ii)基板を保持しているプロセスステーションの近辺から、(存在するならば、)未吸着(脱離されたものを含む)膜前駆体(の少なくとも一部)を除去し(例えば、パージし)、(iii)未吸着膜前駆体を除去した後に、例えば、上記プロセスステーションの近辺でプラズマを点火させるなどによって、吸着膜前駆体を反応させて、基板上に膜の層を形成させる(例えば、反応させる)、ことを含んでいてよい(本書で言う「未吸着」膜前駆体は、脱着膜前駆体を含むと定義される)。一部の実装形態では、ALDプロセスは、真に「吸着制限された」投入動作を利用しない。投入段階は、吸着制限(表面飽和)に達する前に完了されてよい。多くの場合、ALDサイクルは、更に、(iv)吸着膜前駆体の反応の後に、堆積を施された基板を保持している上記プロセスステーションの近辺から脱着膜前駆体及び/又は膜前駆体反応副生成物を除去する(例えば、パージする)ことを伴う。動作(ii)及び(iv)における除去は、基板の付近をパージする、ポンプで基準圧力まで下げる(「ポンプで基準圧力にする」)等を通じてなされてよい。
【0048】
動作(iii)において表面反応を活性化させるために使用されるプラズマは、通常は、プラズマフィードガスによって維持されてよく、このガスは、例えば、1つ以上のシャワーヘッド(後ほど更に詳しく説明される)を通じて反応チャンバ内へ流されてよい。一部の実施形態では、プラズマフィードガスは、動作(ii)及び(iv)における除去を有効にするために、チャンバをパージするために使用されてよい。
【0049】
膜堆積装置の概要
半導体基板上に膜を堆積させるための動作は、通常は、
図1に示されるような基板処理装置の中で実行されてよい。以下で更に詳しく説明される
図1の装置100は、真空ポンプ118によって真空下に維持されえる内部空間内に1つの基板ホルダ108を伴う1つの処理チャンバ102を有する。チャンバには、(例えば)膜前駆体、キャリアガス及び/又はパージガス及び/又はプロセスガス、二次反応物等の配送のために、ガス配送システム101及びシャワーヘッド106も流体連通式に結合されている。
図1には、処理チャンバ内でプラズマを生成するための装備も示されており、以下で更に詳しく説明される。いずれにせよ、以下で詳しく説明されるように、
図1で図解される装置は、半導体基板に対してALDなどの膜堆積動作を実行するための基本装備を提供する。
【0050】
状況次第では、
図1のような基板処理装置で十分かもしれないが、時間がかかる膜堆積動作が関わる場合は、複数の堆積動作を複数の半導体基板に対して並行して同時に実行することによって基板処理スループットを高めることが有利であろう。この目的のために、
図2に図解されるようなマルチステーション型基板処理装置が用いられてよい。
図2の基板処理装置200は、やはり1つの基板処理チャンバ214を用いているが、処理チャンバの壁によって画定された1つの内部空間内に、複数の基板プロセスステーションがあり、各プロセスステーションは、そのプロセスステーションにおいてウエハホルダによって保持された基板に対して処理動作を実行するために使用されてよい。この特定の実施形態では、マルチステーション型基板処理装置200は、4つのプロセスステーション201、201、203、及び204を有するものとして示されている。装置は、また、プロセスステーション201及び202に基板を搭載するために、この場合は基板取扱ロボット226である基板搭載機器と、様々なプロセスステーション201、202、203、及び204の間で基板を移送するために、この場合は基板カルーセル290である基板移送機器とを用いている。その他の類似のマルチステーション基板処理装置では、実施形態、及び例えば所望の並列ウエハ処理レベル、サイズ/スペースの制約、コストの制約等に応じて、プロセスステーションが更に多くてよい又は少なくてよい。また、後ほど更に詳しく説明される
図2には、例えば原子層堆積(ALD)動作などのうちの効率的な基板堆積動作を実行するという目標にも有用なコントローラ250も示されている。
【0051】
留意すべきは、
図2に示されるようなマルチステーション型基板処理装置の使用を通じて、装備コスト及び運転費用の両方において様々な効率化が実現されえることである。例えば、4つ全てのプロセスステーション用に、1つの真空ポンプ(
図2には示されていないが、例えば
図1における118)が、1つの高真空環境を形成するために使用されてよく、これは、4つ全てのプロセスステーション用に、消費されたプロセスガス等を排出させるために使用されてもよい。実施形態によっては、各プロセスステーションが、ガス配送のために自身専用のシャワーヘッド(例えば、
図1における106を参照)を有していてよく、ただし、ガス配送システム(例えば、
図1における101)に関しては、同じものを共有していてよい。同様に、プロセスステーション間で、プラズマを生成する装備のうちの特定の構成要素(例えば、電源)が共有されてよく、ただし、実施形態によっては、(例えば、プラズマ生成電位を印加するためにシャワーヘッドが使用される場合は(以下の
図1の議論を参照)、)特定の側面がプロセスステーション特有であってよい。ただし、再度述べるが、このような効率性は、反応チャンバごとに2、3、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、又は16、又は更に多くなどのように、処理チャンバごとに更に多い又は少ない数のプロセスステーションを使用することによって、実現の程度が高められても又は抑えられてもよいことが理解されるべきである。
【0052】
プロセスステーションを容量的に隔離する、チャンバ壁への不所望の膜堆積を抑制する、及び寄生的なプラズマ生成を抑制するための、カーテンガスの実現及び適用
複数のプロセスステーションを伴う大型の処理チャンバの使用によって、上記の利点が得られるだろう一方で、小型の単一ステーション型処理チャンバの利用にも、特定の強みがあるのが一般的である。その1つが、チャンバ空間の迅速な循環であり、反応物や副生成物等を迅速に導入する及び除去することが可能である。これは、十分な厚さの膜を堆積させるために多数の堆積サイクルが必要とされそれゆえにチャンバ空間の循環に費やされる時間が極めて長くなりえるALDプロセスにおいて、とりわけ重要だろう。
【0053】
したがって、より大容積のマルチプロセスステーション型チャンバに伴うプラズマ電力の高さ(及びその他の利点)を、より小容量の単一プロセスステーション型チャンバに伴う空間循環時間の迅速さと組み合わせることが望ましいとされる。このやり方は、1つには、様々なプロセスステーションの間にガスのカーテンを流し、膜堆積動作の最中にプロセスステーションどうしを容量的に隔離することによって、大容量のマルチプロセスチャンバ内の空間を、より小容量の複数のチャンバ内空間に似せることである。
【0054】
例えば、一連のALDサイクルでは、各プロセスステーションで起きている反応性膜堆積プロセスに悪影響を及ぼすことなく反応物やプラズマフィードガス等の混ざり合いを防ぐために、このような「カーテンガス」がプロセスステーション間に流されてよい。これは、反応物を流す及び副生成物をパージすることを目的として小さい空間に「似せる」ことができるだろう一方で、大容積のチャンバに伴うプラズマ電力の高さ及び特定のコンポーネント費用の排除に関連した強みも損なわずに維持する。更に、前述の利点に加えて、カーテンフローを通じたプロセスステーション間の容量的隔離は、ALDサイクルを構成している一連の動作がプロセスステーション間で交互にずらされることを可能にしえる。このような互い違いのALDサイクルに伴う様々な利点が、2013年12月18日に出願され今現在は米国特許第8,940,646号である、名称を「SEQUENTIAL PRECURSOR DOSING IN AN ALD MULTI-STATION/BATCH REACTOR(ALDマルチステーション型/バッチ式リアクタにおける順次前駆体投入)」とする米国特許出願第14/133,246号(代理人整理番号第LAMRP059US)において説明されている。この出願は、その全体を、あらゆる目的のために参照によって本明細書に組み込まれる。
【0055】
しかしながら、留意すべきは、前述の利点が実現されるためには、必ずしも様々なプロセスステーションの間がカーテンフローによって完璧に互いに容量的に隔離される必要はないことである。また、一般的に、そうあることは期待されないだろう。したがって、本開示の状況において、カーテンフローを通じて1つのプロセスステーションを別のプロセスステーションから「容量的に隔離」することは、そのようなカーテンガスが用いられなかった場合に起きえるプロセスステーション間におけるガス混合を大幅に低減する働きをするプロセスステーション間のカーテンフローを意味すると解釈される。これは、各プロセスステーションがそれ自身の個別のプロセスチャンバ内にある場合に存在しえる「完全な」又は「完璧な」容量的隔離とは対照的であり、カーテンガスによる容量的隔離は、このような完璧な/完全な分離/隔離を示唆する又は必要とするものではない。
【0056】
プラズマをベースにしたALD動作において、カーテンガスは、プラズマフィードガスとは異なると見なされてよく、後者は、膜堆積を引き起こす反応を活性化させるためにALD動作(iii)(上記を参照)において点火されるプラズマを維持するために使用される。留意すべきは、一部の実施形態では、プラズマフィードガスが、様々なプロセスステーションの付近から必要に応じて非吸着膜前駆体(反応物)を除去するためのパージガスとしても使用されることである。したがって、カーテンガスが、(上記の動作(i)~(iv)などの)全てのALDサイクル動作の最中に処理ステーション内へ継続的に流されてよい(及び通常はそのように流されるだろう)一方で、プラズマフィードガスは、通常は、プラズマの活性化(及びもしパージガスとしても使用されるならばパージ動作)が特定のプロセスステーションにおいて行われている間に、その最中にのみ、処理チャンバ内へ及び更に具体的にはそれらのプロセスステーションへ流されるだろう。
【0057】
また、やはり留意すべきは、実施形態次第では、プロセスチャンバ内へのカーテンガスの流量が、プロセスチャンバ内へのプラズマフィードガスの流量とは異なってよいことである。一部の実施形態では、プラズマフィードガスは、各ステーションにおいて、ステーションごとに約5~50標準リットル/分(slm)の流量で、又は更に具体的にはステーションごとに約10~35slmの流量で、又は尚も更に具体的にはステーションごとに約15~20slmの流量で、プロセスチャンバ内へ流されてよい。一部の実施形態では、カーテンガスは、ステーションごとに約3~60標準リットル/分(slm)の流量で、又は更に具体的にはステーションごとに約10~50slmの流量で、又は尚も更に具体的にはステーションごとに約15~40slmの流量で、又はより尚も更に具体的にはステーションごとに約20~30slmの流量で、プロセスチャンバ内へ流されてよい。このようなカーテンガス流量は、プロセスステーションの付近から処理チャンバ内の遠隔エリア(シャワーヘッドの裏側など)への反応物及びプラズマフィードガスの逆拡散を低減する(及び/又は防ぐ)。
【0058】
一部の実施形態では、マルチステーション型膜堆積装置は、シャンデリア型シャワーヘッドを用いてよく、各シャワーヘッドは、それぞれ1つのプロセスステーションに関係付けられる。このようなシャンデリアシャワーヘッドは、一般的に、頭部分と柄部分とを含んでいてよく、頭部分の底面は、(例えば、上記のALD動作(i)における基板表面吸着のための)膜前駆体、(例えば、上記のALD動作(iii)におけるプラズマ活性化のための)プラズマフィードガス、及び可能性としてありえる別途のパージガスを、各プロセスステーションの付近において処理チャンバ内への流すための、孔を提供する。シャワーヘッドの柄部分は、処理チャンバ内において各プロセスステーションの上方で頭部分を支える/吊るために存在し、また、膜前駆体(及び/又はその他の反応物)やプラズマフィードガス等を頭部分の孔へ流すための流体経路/流体接続も提供する。一般的に、シャンデリア型シャワーヘッド設計は、流れの点源として機能する数本のノズルのみによって実現されるだろうよりも改善された優れた空間的均一性で膜前駆体フローを基板表面に対して分布させることを可能にすることがわかる。
【0059】
また、このようなシャワーヘッドは、(例えば、上記のALD動作(iii)において)膜形成堆積反応を活性化するために使用されるプラズマを各プロセスステーションにおいて生成(及び維持)する役割も果たすだろう。具体的に言うと、適切な電位の印加を受けて、各シャンデリアシャワーヘッドは、プラズマを生成するための2つの電極のうちの1つとして機能してよく、もう一方の電極は、基板ホルダ(例えば、台座)であり、両者の間に電位が印加される。シャンデリア設計は、基板表面の近くにシャワーヘッドを位置決め可能にし、これは、それによって基板のごく近くにおける効率的なプラズマ生成を可能にし、また、基板の近くに膜前駆体(反応物)を空間的に比較的均一に分布させることを意図している。また、上記のように、プラズマフィードガスがパージガスとしても使用されるならば、基板の付近へのその導入は、(例えば、上記のALD動作(ii)及び(iv)における)非吸着膜前駆体及び/又は反応物副生成物の効率的で且つ効果的なパージを可能にする。
【0060】
プラズマフィードガス及びカーテンガスは、異なる目的のために使用されるので、処理チャンバ内への進入地点が異なるのが一般的である。プラズマフィードガスが、(今述べたばかりの)シャワーヘッドの頭部分の底面の孔を経てチャンバに進入する一方で、カーテンガスは、様々なプロセスステーションのための容量的隔離の提供(及び可能性としてありえるその他の利点の提供)におけるその役割に適した進入地点から処理チャンバ内へ導入されてよい。例えば、プロセスステーション特有のシャンデリアシャワーヘッドを用いた実施形態では、カーテンガスは、各シャンデリアシャワーヘッドの頭部分の背後から、及び具体的には一部の実施形態では、シャワーヘッドの柄部分を取り巻くシャワーヘッド環内の孔を経て、プロセスチャンバ内へ放出されてよい。更に、このような特定の実施形態では、カーテンガスは、基板の面及び/又は頭部分の底面に実質的に平行な方向に、したがって、総じて最初は、シャワーヘッドの頭部分の底面から出る流れに垂直な方向に、これらの孔から流れてよい。このカーテンフローは、横方向に流れ続け、カーテンガスがシャワーヘッドの裏側(シャワーヘッドの頭部分の上面)の端に到達した地点で下向きに曲がってよく、シャワーヘッドの頭部分からのプラズマフィードフロー及び/又はパージフローに実質的に平行になる。
【0061】
説明されたように、マルチステーション型処理チャンバにおいて、このカーテンガスのフローパターンは、プロセスステーション間の容量的分離を提供するために使用されてよく、ただし、単一プロセスステーションの実施形態との関連においても、シャワーヘッドの頭部分の背後からのカーテンフローの確立において強みがあるだろう。先ず、より単純な、単一プロセスステーションの実施形態との関連において、このようなフローパターンを例示するために、
図3は、処理チャンバ102と、シャワーヘッド106と、シャワーヘッド環330とを有する単一ステーション型基板処理装置300の断面図を示しており、カーテンガス流路320と、プラズマフィードガス(及び反応物前駆体)流路310とを記している。
図3に示された構成では、これまでの説明と整合させると、プラズマフィードガス源312からのプラズマフィードガスが、シャワーヘッド106の頭部分の底面を経てチャンバ102内へ流され、カーテンガス源322からのカーテンガスが、シャワーヘッド106の柄部分を取り巻くシャワーヘッド環330内の孔を経てチャンバ102内へ流される。したがって、ここでのカーテンガス(なお、たとえステーションが1つの状況でも「カーテンガス」という説明的表現が維持されることに留意)は、シャワーヘッド106の裏側の中心軸の近くで処理チャンバ102内へ導入され、台座108上に保持された基板112の面に実質的に平行な(且つシャワーヘッド106の頭部分の底面に実質的に平行な)流れで導入される。このように導入されたカーテンガスは、(
図3において矢印で図解されるように、)次いで、シャワーヘッドの周囲に進み、シャワーヘッド及びステーションの縁の周囲を流れ、チャンバの側壁沿いに下り、クロス板103の付近でチャンバから出て行く。
【0062】
たとえプロセスステーションが1つの状況でも、シャワーヘッドの背後/上方の空間/空所に直接入るカーテンフローは、シャワーヘッドの裏側における及びシャワーヘッドの背後/上方のチャンバ壁における等の望ましくない堆積を最小限に抑える及び/又は阻止するだろうという点で、極めて有益だろう。同様に、側壁沿いに下るカーテンフローは、チャンバ102の内壁における堆積を低減及び/又は防ぐ働きをするだろう。一部の例では、シャンデリア型シャワーヘッドの背後の空所内へのカーテンフローは、ペクレ条件(通常は、ペクレ数が1よりも大きいこと)を満たしてよく、したがって、シャワーヘッドの底面から上記空所内への膜前駆体の逆拡散(又は逆流)が低減及び/又は阻止される。更なる利点は、やはり、たとえプロセスステーションが1つの況でも、膜前駆体の導入に先立つカーテンフローの確立が、(シャワーヘッドの裏側及びチャンバ壁における誤っているかもしれない堆積を低減又は阻止することに加えて、)反応性膜堆積プロセスのための望ましいチャンバ圧力を確立し、過剰な高価な膜前駆体の無駄使いによる適切なチャンバ圧力の確立を回避しえることである。要するに、より高いチャンバ圧力は、膜前駆体のためのエアカーテンとして機能し、そうして、基板領域における前駆体の分圧を高めつつ、その他の場所における前駆体の分圧を低減する。したがって、たとえプロセスステーションが1つの実施形態でも、シャワーヘッドの裏側からのカーテンフローは、チャンバ側壁及びシャワーヘッドの裏側における望ましくない堆積を低減しつつ、有効チャンバ容積を低減させる。
【0063】
ただし、上述されたように、マルチステーション型基板処理チャンバにおいて、カーテンガスは、プロセスステーション間の容量的隔離も更に提供しえる。
図4は、処理ツール400のマルチステーション型処理チャンバ402内の1対のプロセスステーション411及び412(
図4における破線を参照)を図解している。図中、フローの方向を示す矢印によって例示されるように、(ステーションが1つの状況における)
図3に示されたカーテンガスのフローパターンに加えて、ここでは、カーテンガス420は、更に、プロセスステーション411と412との間に流れてステーションどうしを互いから容量的に隔離している。留意すべきは、この図が、1対のプロセスステーションを断面で示すものであり、したがって、2ステーション型処理チャンバの実施形態を表しているかもしれないし、又は
図2で図解されたような4ステーション型処理チャンバの実施形態の断面を表しているかもしれないことである。いずれにせよ、対をなす各プロセスステーションは、
図3に示された1つのプロセスステーションに類似しており、したがって、
図3に付随する説明(及び参照符号)は、必要に応じて
図4にも適用され、その相違点は、1つには、
図4では1対のプロセスステーション411及び412があり、カーテンガス420の流れによってステーションどうしが互いから容量的に隔離/分離されていることである。
【0064】
カーテンガスの使用に伴う或る種の利点は、ALDプロセス動作において特に明白になる。例えば、カーテンガスは、ALDサイクルの1つ以上の段階/動作にわたって継続的に、シャワーヘッドの裏側で横方向に放出されてよい。したがって、プラズマフィードガスが、プラズマ活性化工程(上記のALD動作(iii))などの特定のALD動作の最中、及び可能性として、パージガスとして使用されるならば前駆体投入後除去工程(上記のALD動作(ii))の最中にのみ、シャワーヘッドから流されるのに対し、カーテンガスは、ALD動作の全過程を通して継続的に流されて、チャンバ内の遠隔エリアにカーテンガスを向かわせてよい。チャンバ内の遠隔エリア、即ち、基板表面のすぐ近くではない領域へのカーテンガスの流れは、過剰な未吸着膜前駆体を処理チャンバから除去するのに有用であり、更に、最初の事例では、膜前駆体がチャンバ内のこれらの遠隔エリアへ流れるのを阻止するにも有用だろう。再度述べるが、後者を有効にするには、カーテンガスは、膜前駆体がチャンバへ流される(及び基板上に吸着される)ALD前駆体投入動作(上記のALD動作(i))の最中にも活発に流されることになる。同様に、プラズマ活性化(動作(iii))の最中におけるカーテンガスの利用は、基板表面で起きる反応プロセスの最中にそこから前駆体が脱着されて、チャンバ側壁などのその他の場所で再び吸着されて反応を生じる結果として起きえる誤った堆積からチャンバの内表面を保護する。
【0065】
図3及び
図4に例示されたものと同様なマルチステーション型処理チャンバの中にプラズマフィードガス及びカーテンガスを提供するために利用できる適切なシャンデリアシャワーヘッドが、
図6~9Bとの関連のもとで、後ほど更に詳しく説明される。シャンデリア型シャワーヘッドの頭部の背後から処理チャンバへのガスの導入、及び関連の装置の詳細は、2012年10月24日に出願されて米国特許公報第2013/0344245号として公開された、名称を「SUPPRESSION OF PARASITIC DEPOSITION IN A SUBSTRATE PROCESSING SYSTEM BY SUPPRESSING PRECURSOR FLOW AND PLASMA OUTSIDE OF SUBSTRATE REGION(基板領域の外における前駆体フロー及びプラズマを抑制することによる、基板処理システムにおける寄生堆積の抑制)」とする先行する米国特許出願第13/659,231号、でも説明されている。該出願は、その全体を、あらゆる目的のために参照によって本明細書に組み込まれる。
【0066】
2015年8月17日に出願され名称を「COMPOSITION-MATCHED CURTAIN GAS MIXTURES FOR EDGE UNIFORMITY MODULATION IN LARGE-VOLUME ALD REACTORS(大容積ALDリアクタにおけるエッジ均一性調整のための、組成を整合されたカーテンガス混合物)」とする米国特許出願第14/828,291号、及び2014年7月30日に出願されて米国特許公報第2016/0035566号として公開された、名称を「METHODS AND APPARATUSES FOR SHOWERHEAD BACKSIDE PARASITIC PLASMA SUPPRESSION IN A SECONDARY PURGE ENABLED ALD SYSTEM(二次パージを可能にされたALDシステムにおいてシャワーヘッド裏側の寄生プラズマを抑制するための方法及び装置)」とする米国特許出願第14/447,203号において説明されるように、カーテンガスとしての分子酸素の使用には、それがカーテンガスとして単独であれ、又は混合物の一部であれ、幾つかの強みがあるだろう。これらの出願は、その全体を、あらゆる目的のために参照によって本明細書に組み込まれる。
【0067】
プロセスステーションの隔離のためのカーテンガスとしての分子酸素(O2)の使用が、アルゴン(Ar)を一例とする低破壊電圧の不活性ガスの使用に一般的に伴う寄生プラズマ生成の問題に対処しえる一方で、その他の課題が、この選択肢の結果として起きることが発見されている。これらの課題は、このような課題に対する幾つかの解決策候補とともに、上で言及された米国特許出願第14/828,291号で議論されている。
【0068】
一部のその他の実施形態では、カーテンガスは、台座から、シャワーヘッドから、又は処理チャンバ自体からなどの、処理チャンバ内のその他の進入地点からプロセスチャンバ内へ放出されてよい。例えば、ステーションの中の台座は、カーテンガスをプロセスチャンバ内へ放出するように構成された(例えば、カーテンガス源に流体接続された)、周縁及び/又は側壁に沿った孔及び/又はスロットを含んでいてよい。別の例では、シャワーヘッドは、カーテンガスをプロセスチャンバ内へ放出するように構成された、シャワーヘッドの周縁及び/又は表面(例えば、周側部又は頂部)に沿った孔及び/又はスロットを含んでいてもよい。更に別の例では、処理チャンバは、カーテンガスを各ステーションの周囲に放出するように構成されてよい。一部のこのような実施形態では、処理チャンバは、このようなカーテンガスを流すためにカーテンガス源に流体接続されたノズル、孔、スロット、又はその他の開口を含んでいてよく、このような開口は、様々なプロセスステーションのための容量的隔離を適切に提供するために、処理チャンバ内に配列及び配置されてよい。例えば、チャンバは、カーテンガスがプロセスチャンバ内へ及び各プロセスステーションの周囲に流れえるように各プロセスステーションの上方に円形パターンで配置された、一連の孔又はノズルを含んでいてよい。
【0069】
図12は、カーテンガスをプロセスチャンバ内へ放出するように構成されたシャワーヘッドを含む処理チャンバの一例を示している。
図12は、処理チャンバ120及びシャワーヘッド1206と、
図3で説明されて含められた一部の構成要素とを伴う装置1300を含むことがわかる。シャワーヘッド1206は、カーテンガス源322に流体接続され、破線で識別されたカーテンガス1220を処理チャンバ内へ流すように構成される。
図12は、シャワーヘッド1206から流れるカーテンガスの一般的概念を示すことを意図しており、したがって、
図12に描かれた構成要素の幾つかは、
図3のそれらと同様及び/又は同一であり、シャワーヘッド環のように、例示目的のために省略されたものもある。カーテンフローは、シャワーヘッドの周側壁、頂部、又は底部など、任意の1つ又は複数の部分から発してよい。
【0070】
同様に、
図13は、カーテンガスをプロセスチャンバ内へ放出するように構成された処理チャンバの第2の例を示している。
図13は、処理チャンバボディ1302と、
図3で説明されて含められた一部の構成要素とを伴う装置1300を含む。処理チャンバ1302は、カーテンガス源322に流体接続され、破線で識別されたカーテンガス1320を処理チャンバ内へ流すように構成される。
図13は、例えば処理チャンバの頂部など、処理チャンバボディから流れるカーテンガスの一般的概念を示すことを意図しており、したがって、図に描かれた特性の幾つかは、
図3のそれらと同様及び/又は同一であり、シャワーヘッド環のように、例示目的のために省略されたものもある。
【0071】
図14は、カーテンガスをプロセスチャンバ内へ放出するように構成された台座を含む処理チャンバの第3の例を示している。
図14は、台座1408と、
図3で説明されて含められた一部の構成要素とを伴う装置1400を含むことがわかる。台座1408は、カーテンガス源322に流体接続され、破線で識別されたカーテンガス1420を処理チャンバ内へ流すように構成される。
図14は、台座1408から例えば処理チャンバの頂部などへ流れるカーテンガスの一般的概念を示すことを意図しており、したがって、図に描かれた構成要素の幾つかは、
図3のそれらと同様及び/又は同一であり、シャワーヘッド環のように、例示目的のために省略されたものもある。
【0072】
カーテンガスを使用した、基板の不均一性の改善
基板のエッジの近くにおける1枚又は複数枚の堆積材料層の不均一性は、半導体処理に根強く残る問題である。不均一性の尺度の1つは、「半区間不均一性」と呼ばれ、また、NU%(R/2)とも呼ばれ、1/2×(最大厚さ-最小厚さ)/平均厚さ×100%として定義される。このような不均一性の尺度は、基板上に堆積された材料の厚さを基板の真中心から基板のエッジにかけて半径方向に検査したものであり、本書では、「半径方向厚さ」と呼ばれる。したがって、本書で使用される「半径方向厚さの不均一性」という用語は、基板上に堆積された材料の、基板の真中心から基板のエッジにかけての半径方向における厚さの不均一性を言う。
【0073】
CVDリアクタ及びALDリアクタなどの、多くの代表的なリアクタは、チャンバへの前駆体及び反応物ガスの両方の配送に、シャワーヘッドを使用する。シャワーヘッドは、基板の表面全体に反応物を均一に分布させることを意図しているが、実際は、プロセスチャンバ内における複雑な流体動力学ゆえに、シャワーヘッドを経て流れる反応物を確実に均一に分布させることは困難である。したがって、多くの代表的なシャワーヘッドは、基板の表面全域にわたって一貫性を持って且つ均一に反応物を分布させることはなく、半径方向厚さの不均一性の存在を許している。最大の不均一性は、多くの場合、基板の最も端のエッジで観察され、これは、例えば、基板のエッジから半径方向内側に約0~3ミリメートルのエリアであってよい。
【0074】
図5は、2つの異なるカーテンフローを使用して2枚の基板について測定された厚さのグラフを示している。縦軸は、オングストローム(Å)を単位とする測定された厚さを示し、横軸は、基板の真中心、即ち地点1から基板のエッジ、即ち地点50までの、基板に沿った概ね半径方向における測定地点の番号、即ち半径方向厚さを示している。具体的には、地点1は、中心であり、地点2~9は、約49mmの半径において方位角方向に相隔てられ、地点10~25は、約98mmの半径において方位角方向に相隔てられ、地点26~49は、約147mmの半径において方位角方向に相隔てられる。(円形の測定点及び破線で識別された)カーテンフロー1についてのデータは、代表的なプロセス条件下における基板へのALD堆積の場合のデータである。カーテンフロー2は、後ほど更に詳しく論じられる。カーテンフロー1からわかるように、基板の半径方向厚さは、基板の中心から遠く離れた地点であるほど大きくずれており、測定地点36~47付近の厚さのばらつきが最大である。要するに、半径方向厚さは、基板の中心からの距離が基板のエッジに向けて半径方向に増すにつれて増加する。例えば、2つの測定地点グループの間、即ち0~26と27~49との間には、半径方向厚さが不均一性であるエリアが見られる。例えば、測定地点39、40、及び41も、測定地点0~25及び26~34などのその他の多くの測定地点における厚さから大幅に変動している。カーテンフロー1の場合の厚さのばらつきは、おおよそ0.41%のNU%(R/2)になる。
【0075】
ダイ製作に利用可能なウエハ表面積は、ウエハの中心からの半径方向距離とともに増加するので、基板のエッジから半径方向に約0~3ミリメートルのエリアを含む基板のエッジ近くにおける不均一性は、特別な課題を提示する。
図10は、基板の様々な処理表面領域を示している。図からわかるように、基板1000の上面は、2つの網掛けエリアを伴って示されている。即ち、中心地点1002から第1の半径方向距離R1には、薄く網掛けして識別された第1の例の環状表面エリア1004が見られ、中心地点1002から第2の半径方向距離R2には、濃く網掛けして識別された第2の例の環状表面エリア1006が見られる。各例の環状表面エリアは、同じ半径方向厚さ(識別されていない)を有する。第2の半径方向距離R2は、第2の半径方向距離R1よりも大きいので、第2の例の環状表面エリア1006は、第1の例の環状表面エリア1004よりも表面積が大きく、したがって、第2の例の環状表面エリア1006では、より多くのダイが製作されることが可能であり、第1の例の環状表面エリア1004でよりも大きい歩留まりが得られる。
【0076】
現在では、或るプロセスが、許容できない不均一性を生じることがわかると、プロセス工学又は設計工学のチームが、複数の解決策を提案して検査し、製作のための修正されたプロセスレシピを設計し、修正を検証し、配備された及び/又は新しい製作機器にそれを実装しなければならない。この高コストで且つ面倒なプロセスには、1~2か月かかることが容易にあり、その間は、製作機器を生産ラインから外す必要があるだろう。不均一性に対処するための技術は、反応物及び/又は前駆体のガスタイプ及びガス混合(例えば、異なるガス又は混合や、異なる分圧等)、プラズマ電力、プラズマ周波数、台座温度、キャリアリング(即ち、台座上に座して基板を取り巻くように配置されたセラミックリング)の動き、並びにマルチステーション型半導体処理ツールの中の1つ以上のステーションに分配される電力の波形率(波形因子)のうちの、1つ以上を変更することを含むだろう。これらのプロセス条件調節は、例えば、基板エッジを標的にしていないゆえに、基板エッジの近くにおける不均一性を向上させる又は大幅に向上させることはないのが一般的である。
【0077】
更に、堆積プロセスにおける大半のプロセス条件は、プロセス応答Bにおける相違を相殺するためにプロセスパラメータAが調節されたならば、そのような調節がプロセス応答Cの効果に対して意図せず影響を及ぼすかもしれないなどのように、互いに依存し合っているのが通常である。例えば、不均一性を改善するためにステーションの中の温度が調節されてよいが、この温度変化は、膜の応力にも影響する恐れがある。したがって、1つ以上のプロセス条件の調節は、高度に相関し合った変数を伴う非常に複雑で且つ困難な最適化問題である。
【0078】
不均一性の補正が、シャワーヘッドの再設計などのハードウェアの再設計を伴うならば、新しいシャワーヘッドによって必要とされる再設計、製作、マルチステーション型半導体処理ツールへの設置、並びにプロセスの開発(例えば、プロセス条件の開発及び最適化)ゆえに、3か月以上が必要になる恐れがある。したがって、この高コストで且つ非常に時間がかかるハードウェア再設計も、やはり、半径方向厚さの不均一性に対処するための望ましい技術ではない。
【0079】
特定の実施形態では、半径方向厚さの不均一性は、各ステーションの周囲に流れる二次ガス、即ちカーテンガスに対して調節を行うことによって改善される。このようなカーテンガスは、ウエハのエッジの近くにおける堆積に影響を及ぼし、それに対する調節は、とりわけウエハのエッジの近くにおける不均一性を低減する。この状況では、各ステーションの周囲におけるカーテンフローは、処理チャンバの中の及び/又は各ステーションの中のプロセス条件の一環であると見なされてよく、したがって、この調節は、処理チャンバ及び/又はステーションの中のプロセス条件を調節するための追加の「つまみ」として機能するだろう。本開示の一部の実施形態では、カーテンガスは、シャワーヘッドの第2のプレナムのように機能しえる。この開示における装置、システム、及び技術は、CVD、PECVD、並びにALD(プラズマ及び熱的)などの上述されたものを含む任意の流体相堆積プロセスに適用されてよい。
【0080】
上述のように、カーテンガスは、ステーションの縁の周囲(例えば、ステーションの外周の周囲)において、(例えば、
図4における流路420と同様に、)台座上の基板の面に実質的に垂直だろう概ね鉛直下向きの方向に流れてよい。
図3及び
図4は、カーテンフローを直線状の流路として描いているが、このような表現は、実際のカーテンガス流路ではないことが理解されるべきである。むしろ、カーテンガス流路は、直線状、非直線状、又はこれらの組み合わせであってよい。カーテンフローは、層流、乱流、又は遷移流であってもよい。また、カーテンガスの一部は、基板の中心に向かって流れてよい。
【0081】
次に、不均一性を改善するためにカーテンガスを使用してマルチステーション型半導体処理ツールの中で膜堆積を実行するための技術の一例が論じられる。
図11は、マルチステーション型半導体処理チャンバ及び/又はマルチステーション型半導体処理ツールの中で膜堆積を実行するための第1の例の技術のフローチャートを示している。ブロック1150は、膜堆積を実行するためのプロセス条件を決定することを含む。このようなプロセス条件は、例えば、プラズマ電力、プラズマ周波数、(シャワーヘッドを通じて配送される)プロセスガスの条件、及びカーテンガスの条件を含む。膜堆積のこれらの及びその他の条件が、以下で更に詳しく論じられる。カーテンガスのプロセス条件は、その流体力学的条件(例えば、チャンバ内への体積流量、様々な場所のうちの任意における線流速、流路、及び乱流)と、その組成とを含み、これらは、アルゴン又は窒素などの不活性ガス、分子酸素(O
2)などの反応性ガス、及びトリメチルアルミニウム(TMA)などの膜前駆体などの、様々なガス成分の、分圧及び/又は流量として表されてよい。カーテンガスのこれらの条件は、チャンバの全体圧力及びチャンバの排気率(排気速度:例えば、基準圧力に対するポンプ圧力比)などの、チャンバ内のその他のプロセス条件によっても決定及び/又は影響されるだろう。例えば、チャンバの圧力の変化は、カーテンガスの速度及び/又は流路を変化させることによって、カーテンガスの流れに影響を及ぼすだろう。一部の実施形態では、初期プロセス条件は、計算によって及び/又は実験に基づいて決定されてよい。
【0082】
プロセス条件が決定された後、ブロック1152に示されるように、膜堆積が実行されてよい。図に示されるように、膜堆積は、ガス又はガス混合のタイプ、流量、及びカーテンガス成分の分圧などのカーテンガスの条件を含む事前に決定されたプロセス条件にしたがって、膜堆積の最中に、チャンバの中の各ステーションにカーテンガスを流すことを含む。例えば、カリフォルニア州フリーモント市のLam Researchから入手できるStriker(商標)(以前のVector(商標))に匹敵する容量を有する4ステーション型プロセスチャンバの場合は、カーテンガスは、ステーションごとに3~60標準リットル/分(slm)、ステーションごとに約10~50slm、ステーションごとに約15~40slm、又はステーションごとに約20~30slmの流量で、プロセスチャンバ内へ流されてよい。ブロック1152は、上述のように、膜堆積の実行中の一部又は全部で実行されてよい。例えば、或るALD堆積プロセスでは、カーテンガスが、反応動作(iii)の最中にのみ流されてよい一方で、別のALD堆積プロセスでは、カーテンガスが、吸着(Ii)段階及び反応(iii)段階の最中に流されてよい。また、カーテンガスは、パージ工程の最中に流れてもよい。カーテンガスが堆積プロセスの全段階中に流れる実施形態では、カーテンガスは、一定の条件(流体力学及び組成)下で流れてよい、又は段階ごとに異なる条件下で流れてよい。
【0083】
ブロック1154は、基板の不均一性を改善するためにチャンバの中のカーテンガスの調節後フロー条件を決定することを含む。一部の実装形態では、これは、ブロック1152の後に実行され、その他の一部の実装形態では、これは、ブロック1152の最中に実行される。カーテンガスの1つ以上のフロー条件が、様々な直接的な及び非直接的なやり方で調節されてよい。例えば、チャンバ内へのカーテンガスの流量は、ブロック1152におけるカーテンガスの流量から増加又は減少されてよい。留意すべきは、カーテンガスのフロー条件が、堆積プロセスの(例えば、CVD又はALDによって1枚の膜を堆積させる)過程にわたって一定であってよい又は変動してよいことである。様々な実施形態において、カーテンガスのフロー条件及びカーテンガスの調節後フロー条件は、全膜堆積の最中にわたって変動してよい、多段階堆積プロセスの段階ごとに変動してよい、及び特定の段階内で変動してよい。一部の実施形態では、カーテンガスの調節後流量(及び/又は初期流量)は、多段階堆積プロセスの1つ以上の段階にわたって及び各段階の最中に、実質的に一定(例えば、設定流量の±5%以内)である。例えば、反応段階(iii)の最中にカーテンガスが流されるALDプロセスでは、カーテンガスの調節後流量は、反応段階(iii)の全過程にわたって一定の流量であってよい。一部のその他の実施形態では、カーテンガスの調節後流量は、堆積プロセスの1つ以上の段階の最中に1つ以上の可変流量で流されてよい。
【0084】
また、カーテンガスのフロー条件に対する調節は、多様なやり方で堆積プロセスに適用されてよい。例えば、調節は、堆積プロセス全体に適用されてよい、CVDプロセスの一部など堆積プロセスの一部にのみ適用されてよい、ALDなどの多段階堆積プロセスのうちの1つ又は幾つかの段階にのみ適用されてよい、及び多段階ALDプロセスのうちの1つ又は複数の段階内に適用されてよい。例えば、吸着段階(i)及び反応段階(iii)の最中にカーテンガスが流されるALDプロセスでは、調節後流量のカーテンガスは、反応段階(iii)の最中にのみ流されてよい。別の例では、カーテンガスは、反応段階(iii)の後半の最中は初期プロセス条件にしたがって流される一方で、同じ反応段階(iii)の前半の最中は調節後流量で流されてよい。
【0085】
示唆されたように、カーテンガスの組成は、均一性を向上させるために調節されてよい。これは、カーテンガスの成分比を変更することによって実現されてよい。これは、また、初期のカーテンガスに1つ以上の成分を加える及び/又は初期のカーテンガスから1つ以上の成分を減らすことによって実現されてもよい。このような組成変更は、カーテンガス中の各種成分の分圧及び/又は流量に反映される。周知のように、個々のガスの分圧は、そのガスの全圧にそのガスのモル分率を乗じたものであり、ガス混合の分圧は、その混合内の各個別のガスの分圧の和である。したがって、カーテンガスの分圧は、そのカーテンガスを構成している1つ以上のガスの圧力及び/又はモル分率を変更することによって調節されてよい。したがって、カーテンガスの調節後条件は、組成調節であってよく、これは、モル分率、分圧、流量等の変化に反映されるだろう。
【0086】
示唆されるように、特定の実施形態では、カーテンガス組成に対する調節は、カーテンガス中の1つ以上の成分を変更することを含む。これは、1つのカーテンガス成分を別の1つのカーテンガス成分に置き換えること、1つのカーテンガス成分をガス混合に置き換えること、1つのガス混合を別の1つのガス混合に(新しい成分を加えること若しくは既存の成分を減らすことを伴って若しくは伴わずに)置き換えること、又は1つのガス混合を1つのガス成分に置き換えることを含んでいてよい。例として、カーテンガスは、アルゴンなどのガスから分子酸素などに調節されてよい、又は酸素にアルゴン若しくは窒素を加えた混合になるように調節されてよい。同様に、調節後のカーテンガスは、初期のカーテンガスと同じ成分を含むがそのうちの1つ以上の成分ガスの濃度が調節されたものであってよい。例えば、カーテンガスのこのような調節後フロー条件は、1152における酸素濃度がブロック1154における調節後酸素濃度と異なるように、カーテンガス中の酸素濃度が調節されたものであってよい。
【0087】
上記のように、カーテンガスの或る種の条件は、チャンバの全体条件などの別のプロセス条件を調節することによって間接的に影響を受けて、それによって調節されてよい。別の言い方をすると、プロセス条件に対する調節が、カーテンガスの1つ以上の条件の調節を引き起こしてよい。例えば、チャンバの全圧の調節が、カーテンガスの線流量や流路(軌道)等のフロー条件を変化させてよい。一部の実施形態では、本書で上述されたように、チャンバ圧力には、約10ミリトールから10トール、又は約20ミリトールから8トール、又は約50ミリトールから5トール、又は約100ミリトールから2トールの幅があってよい。一部の実施形態では、チャンバ圧力に対する調節は、これらの圧力範囲内でなされてよい。特定の実施形態では、チャンバ圧力の調節は、初期圧力の約5%から約20%の間である。特定の実施形態では、チャンバ圧力の調節は、約100ミリトールから約400ミリトールの間である。
【0088】
カーテンガスの調節後フロー条件は、チャンバの調節後排気率によって引き起こされてよい。上記のように、チャンバは、チャンバからガス及び/若しくは粒子を除去するために、チャンバ圧力をポンプによって下げるために、並びに/又はチャンバ圧力を維持するために、堆積プロセス中の1つ以上の動作の最中に排気されてよい。チャンバの排気は、通常は、特定の1つ又は複数の排気率でなされ、(例えば、1つ又は複数の排気ポンプのポンプ速度を高めることによる)この排気率の変化は、カーテンフローの1つ以上のフロー条件に影響を及ぼすだろう。例えば、カーテンガスが流れている間に排気率を増加させると、チャンバ内におけるカーテンガスの流量が増加するだろう。
【0089】
一部の実施形態では、ブロック1154におけるカーテンガスの調節後条件は、上述された調節、即ち、カーテンガスの調節後流量、カーテンガスの調節後組成、チャンバの調節後圧力のうちの1つ以上を含んでいてよい、及び/又はチャンバの調節後排気率によって引き起こされてよい。
【0090】
特定の実施形態において、本書で論じられるカーテンガスの調節後条件のうちの1つ以上は、基板上に堆積された1枚又は複数枚の層の半径方向厚さの不均一性を改善する調節である。例えば、
図5に戻り、(四角の測定点及び実線で識別された)カーテンフロー2は、カーテンフロー1のカーテンガスのフロー条件が、具体的には流量が、カーテンフロー2の流量がカーテンフロー1の流量を上回るように調節された後に形成された、半径方向厚さを示している。カーテンフロー1及びカーテンフロー2の組成は、ともに、100%分子酸素である。図からわかるように、カーテンフロー2の半径方向厚さの不均一性は、カーテンフロー1と比べて低減されており、ここでは、NU%(R/2)が、カーテンフロー1の場合の0.41%と比べて0.26%である。更に、半径方向厚さの不均一性の減少は、例えば、測定地点11~24及び25~50の付近で実現された。更に、カーテンフロー1の最大ばらつきが、(約786Åの低さと約792Åの高さとの間の)おおよそ6Åであったのに対し、カーテンフロー2の最大ばらつきは、(約786Åの低さと約790Åの低さとの間の)おおよそ4Åであった。
【0091】
様々な実施形態では、生産時に、カーテンガス調節が必要であるかどうか、及びもし必要である場合にどのくらいの調節が必要であるかを決定するために、堆積の均一性が監視又は検査される。監視又は検査は、連続して又は断続的に行われてよい。これは、(堆積チャンバ内における)in-situ検査によって、又は(インラインの)堆積後測定によって行われてよい。インライン検査は、生産実行間に、ウエハバッチ間に、又は同じバッチの個々のウエハ間に行われてよい。この監視は、1枚以上の基板における不均一性の識別をもたらすだろう。したがって、第1の例の技術の一部の実施形態は、ブロック1154の前に、チャンバの中の1つ以上のステーションによって堆積された膜の不均一性を識別し、少なくとも一部にはこの識別に基づいて、1154におけるカーテンガスの調節後フロー条件を得るという、追加の態様を含んでいてよい。上記のように、この識別は、インラインで又はin-situで起きてよい。
【0092】
図11に戻り、やはり留意すべきは、ブロック1150、1152、及び/又は1154が、通常の製作設定とは対照的に実験的設定で実行されてもよいことである。例えば、膜堆積のためのプロセス条件の初期決定及び初期設定が、例えばブロック1150においてなされてよく、その後、1つ以上の堆積プロセスが、例えばブロック1152において実行されてよい。1つ以上の堆積プロセスに続いて、特定の堆積プロセスのために、例えばブロック1154において、カーテンガスの1つ以上のフロー条件を調節するなどのようにプロセス条件を調節及び最適化するために測定がなされてよい。特定の堆積プロセスのために、ブロック1150、1152、及び/又は1154の更なる繰り返しが、望ましいプロセス条件が決定されるまで起きてよい。次いで、これらの実験的工程の後に、決定されたプロセス条件は、基板の製作又は製造のために使用されてよい。もちろん、調節後プロセス条件は、製作の進行に伴って決定されてよい。
【0093】
ブロック1156は、ブロック1154において決定された調節後フロー条件にしたがって、膜堆積の最中にカーテンガスを流すことを含む。調節後フロー条件にしたがってカーテンガスを流すことは、上で言及されたように、基板の製作又は製造の最中に起きてよい。一部の実施形態では、調節後のカーテンガスを流すことが、膜堆積プロセス全体にわたって実行されてよい。その他の実施形態では、調節後のカーテンガスを流すことが、膜堆積プロセスのうちの1つ以上の部分の最中にのみ実行される。その他の部分では、初期カーテンフローが使用される。ALD又はその他の多段階堆積プロセスの場合は、ブロック1156は、各ステーションの中の基板を材料の前駆体に暴露する段階(例えば、上記の(i))、前駆体の少なくとも一部をチャンバから除去する段階(例えば、上記の(ii))、各基板上における前駆体の反応を活性化する段階(例えば、上記の(iii))、及び反応の後に、チャンバの中のガスの少なくとも一部を除去する段階(例えば、上記の(iv))の最中に実行されてよい。一部のその他の実施形態では、調節後のカーテンガスは、例えば(i)~(iv)などの本書で挙げられた段階のうちの一段階などの、CVDプロセス又はALDプロセスのうちの1つ以上の段階の最中に使用されてよい。その他の段階は、調節されていないカーテンガスによって実行されてよい。
【0094】
一部のその他の実施形態では、ブロック1152、1154、及び/又は1156は、基板上における半導体デバイスの製作又は製造の最中に実行される。このような実施形態では、膜堆積は、プロセス条件にしたがって膜堆積の最中にカーテンガスを流す(例えば、ブロック1152)などのようにデバイスの製造の最中に起きてよく、膜堆積の最中の或る時点において、基板の不均一性を改善するためにカーテンガスの1つ以上のフロー条件が調節されてよい(例えば、ブロック1154)。例えば、ALDプロセスの場合は、プロセス条件にしたがってカーテンガスを流すことが、最初の或る数の堆積サイクルにわたって起きてよく、その後、調節後のフロー条件にしたがってカーテンガスを流すことが、次の或る数の堆積サイクルにわたって起きてよい(例えば、ブロック1156)。
【0095】
一部の実施形態では、調節後のカーテンフローは、純粋な分子酸素を用いてよい。一部の実施形態では、カーテンガスは、酸素と、アルゴン又は窒素などの不活性ガスなどの第2の成分との混合を含んでいてよい。調節後のフローは、1152において流される酸素濃度がブロック1154及び1156における調節後の酸素濃度と異なるように、調節された酸素濃度を含んでいてよい。調節後のカーテンフローは、純粋な分子酸素を用いてもよい。
【0096】
基板処理システムの詳細な説明
本書で説明される方法及び技術は、本書に組み込まれた上記特許出願のうちの、名称を「COMPOSITION-MATCHED CURTAIN GAS MIXTURES FOR EDGE UNIFORMITY MODULATION IN LARGE-VOLUME ALD REACTORS(大容積ALDリアクタにおけるエッジ均一性調整のための、組成を整合されたカーテンガス混合)」並びに「METHODS AND APPARATUSES FOR SHOWERHEAD BACKSIDE PARASITIC PLASMA SUPPRESSION IN A SECONDARY PURGE ENABLED ALD SYSTEM(二次パージを可能にされたALDシステムにおいてシャワーヘッド裏側の寄生プラズマを抑制するための方法及び装置)」とする少なくとも2つの特許出願で説明されたものなどの、マルチステーション型半導体処理ツール(例えば、任意の適切な半導体基板処理装置)の中で膜堆積を実行するための任意の適切なシステムによって実行されてよい。1つ以上のマルチステーション型半導体処理ツールの中で膜堆積を実行するためのシステムは、プロセス動作を実現するためのハードウェアと、本書で開示される処理技術にしたがってプロセス動作を制御するための機械読み取り可能命令を有する(又はそのような命令へのアクセスを有する)システムコントローラとを含む。
【0097】
したがって、一部の実施形態では、複数の半導体基板上に材料の膜を堆積させるのに適したシステムは、処理チャンバに収容されてそれぞれ基板ホルダを有している1つ以上のプロセスステーションからなる第1のプロセスステーション群と、処理チャンバに収容されてそれぞれ基板ホルダを有している1つ以上のプロセスステーションからなる第2のプロセスステーション群と、プロセスステーションへの膜前駆体の流れを制御するための1つ以上の弁と、1つ以上の処理チャンバに収容されたプロセスステーションを取り巻く空間から膜前駆体を除去するための1つ以上の弁操作式真空源とを含んでいてよい。そして、このようなシステムは、基板上に膜の材料を堆積させるために基板搭載機器、基板移送機器、1つ以上の弁、及び真空源を操作するための機械読み取り可能な命令を有する(又はそのような命令へのアクセスを有する)コントローラも含んでいてよい。
【0098】
したがって、一部の実施形態では、コントローラによって実行される上記命令は、処理チャンバに収容された複数のプロセスステーションにおいて複数の基板上に膜を形成するための命令を含んでいてよく、各基板上には、一連のALDサイクルによって複数の膜層が形成される。したがって、このような特定の実施形態では、コントローラによって実行される上記命令は、基板処理装置の複数のプロセスステーションにおいて複数の基板上に複数の膜層を形成するために、上述のようなALD動作(i)~(iv)を実行するための命令と、ALD動作(i)~(iv)を複数回にわたって繰り返すための命令とを含んでいてよい。
【0099】
したがって、
図1は、システムの一部であってよい基板処理ツール100の一実施形態を図示している。簡単のために、ツール100は、低圧環境を維持するためのプロセスチャンバボディ102を有する独立型のプロセスステーションとして描かれている。しかしながら、本書で説明されるように、複数のプロセスステーションが、例えば共通の反応チャンバ内などの共通のプロセスツール環境内に含まれてよいことがわかる。例えば、
図2は、マルチステーション型処理ツールを含むシステムの一実施形態を描いている。更に、一部の実施形態では、上で詳細に論じられたものを含む処理ツール100の1つ以上のハードウェアパラメータが、システムの一部である1つ以上のシステムコントローラによってプログラムで調節されてよいことがわかる。
【0100】
プロセスチャンバ102は、プロセスガスを分配シャワーヘッド106に配送するための反応物配送システム101と流体連通している。反応物配送システム101は、シャワーヘッド106への配送のためにプロセスガスを混ぜ合わせる及び/又は調整するための混合容器804を含む。1つ以上の混合容器入口弁120が、混合容器804へのプロセスガスの導入を制御してよい。
【0101】
一部の反応物は、気化及びそれに続くプロセスチャンバ102への配送に先立って、液体状態で貯蔵されてよい。
図1の実施形態は、混合容器804に供給される液体反応物を気化するための気化地点103を含む。一部の実施形態では、気化地点103は、加熱された液体注入モジュールであってよい。一部の実施形態では、気化地点103は、加熱された気化器であってよい。このようなモジュール/気化器から生成された飽和反応物蒸気は、適切な制御がなされないと(例えば、液体反応物を気化/霧化させるためにヘリウムが使用されないと)、下流の配送管の中で凝結する恐れがある。不適合性のガスが凝結反応物に触れると、小粒子が形成されることがある。これらの小粒子は、管を詰まらせたり、弁の動作を妨げたり、基板を汚染したりする恐れがある。これらの問題に対処する一部のアプローチは、残留反応物を除去するために配送管を一掃する及び/又は排気することを伴う。しかしながら、配送管の一掃は、プロセスステーションのサイクル時間を長引かせ、プロセスステーションのスループットを低下させる恐れがある。したがって、一部の実施形態では、気化地点103の下流の配送管が熱処理されてよい。一部の例では、混合容器804も熱処理されてよい。非限定的な一例では、気化地点103の下流の管が、おおよそ100℃から混合容器804におけるおおよそ150℃に向けて上昇する温度分布を有する。
【0102】
上記のように、一部の実施形態では、気化地点103は、加熱された液体注入モジュール(略して「液体注入器」)であってよい。このような液体注入器は、混合容器の上流のキャリアフローに液体反応物を一定間隔で注入してよい。或る状況では、液体注入器は、液体を高圧から低圧へ勢いよく流すことによって反応物を気化させてよい。別の状況では、液体注入器は、液体を霧化させて分散微滴にしてよく、これらの微滴は、引き続き、加熱された配送管内において気化される。なお、液滴は、小さいほど早く気化されて、液体注入と完全気化との間の遅延を短縮できるだろうことがわかる。気化が速いほど、気化地点803よりも下流の管の長さを短くできるだろう。或る状況では、液体注入器は、混合容器804に直接取り付けられてよい。別の状況では、液体注入器は、シャワーヘッド106に直接取り付けられてよい。
【0103】
一部の実施形態では、気化及び処理チャンバ102への配送のために液体の質量流量を制御するために、気化地点103の上流に液体流量コントローラ(LFC)が提供されてよい。例えば、LFCは、その下流に位置する熱質量流量計(MFM)を含んでいてよい。したがって、LFCのプランジャ弁は、MFMと電気的に通信している比例・積分・微分(PID)コントローラによって提供されるフィードバック制御信号を受けて調節されてよい。しかしながら、フィードバック制御を使用して液体の流れを安定化させるには、1秒又はそれを超える時間がかかるだろう。これは、液体反応物を投入するための時間を長引かせる恐れがある。したがって、一部の実施形態では、LFCは、フィードバック制御モードと直接制御モードとの間で動的に切り替えられてよい。一部の実施形態では、LFCは、LFCの検知管及びPIDコントローラを使用停止にすることによって、フィードバック制御モードから直接制御モードに動的に切り替えられてよい。
【0104】
ガス配送システム101は、カーテンガスを処理チャンバ102に流す及び配送するようにも構成されてよい。一部のこのような構成は、管、弁、及びカーテンガス源を含んでいてよい。本書で説明され、少なくとも
図3、
図6、及び
図12~14に示されるように、複数の半導体基板上に材料の膜を堆積させるのに適した、処理チャンバを含むシステムは、各シャンデリアシャワーヘッドの頭部分の後方から、台座から、シャワーヘッドから、及び/又はチャンバボディ(例えば、チャンバの上壁)から、様々なプロセスステーションのための容量的隔離の提供及び本書で説明されたようなその他の利点の提供におけるその役割に適した進入地点を経て、処理チャンバ内へカーテンガスを流すように構成されてよい。
【0105】
シャワーヘッド106は、プロセスステーションにおいて基板112に向かってプロセスガス及び/又は反応物(例えば、膜前駆体)を分配し、その流れは、シャワーヘッドよりも上流の1つ以上の弁(例えば、弁120、120A、105)によって制御される。
図1に示された実施形態では、基板112は、シャワーヘッド106の下に位置付けられ、台座108上に座した状態で示されている。なお、シャワーヘッド106は、任意の適切な形状であってよいこと、並びにプロセスガスを基板112に分配するのに適した任意の数及び配置のポートを有してよいことがわかる。
【0106】
一部の実施形態では、シャワーヘッド106の下に、小空間107が位置付けられる。処理チャンバの全空間内ではなく、プロセスステーションの中の基板近くの小空間内でALDプロセスを実行することによって、反応物の暴露時間及び一掃時間が短縮される、プロセス条件(例えば、圧力や温度等)を変更するための時間が短縮される、プロセスガスに対するプロセスステーションロボット機構の暴露が制限される等があるだろう。小空間の大きさの非限定的な例として、0.1リットルから2リットルの間の空間が挙げられる。
【0107】
一部の実施形態では、基板112を小空間107に暴露するために及び/又は小空間107の体積を変化させるために、台座108を上昇又は下降させてよい。例えば、基板移送の段階では、基板112が台座108に搭載されることを可能にするために、台座108が下降されてよい。基板への堆積のプロセス段階では、基板112を小空間107内で位置決めするために、台座108が上昇されてよい。一部の実施形態では、堆積プロセス中に高フローインピーダンスの領域を形成するために、小空間107が基板112はもちろん台座108の一部も完全に囲ってよい。
【0108】
随意として、小空間107内における処理圧力や反応物濃度等を調整するために、堆積プロセスの途中で台座108が下降及び/又は上昇されてよい。処理中に処理チャンバボディ102が基準圧力にとどまる状況では、台座108の下降が、空間107の排気を可能にするだろう。小空間対プロセスチャンバの体積比の例として、1:500~1:10の体積比が挙げられ、ただし、このような体積比に限定はされない。なお、一部の実施形態では、適切なシステムコントローラによって台座の高さがプログラムで調節されてよいことがわかる。
【0109】
別の状況では、台座108の高さ調節が、例えばALDプロセス又はCVDプロセスに含まれるプラズマ活性化サイクル及び/又はプラズマ処理サイクルの最中にプラズマ密度が変更されることを可能にするだろう。堆積プロセス段階の終わりには、台座108から基板112が取り除かれることを可能にするために、別の基板移送段階の最中に台座108が下降されてよい。
【0110】
本書で説明される小空間の変更例では、高さ調節可能な台座に言及しているが、実施形態によっては、小空間107の体積を変化させるために、台座108に相対的にシャワーヘッド806の位置が調節されてよいことがわかる。更に、台座108及び/又はシャワーヘッド106の垂直位置は、本開示の範囲内で任意の適切なメカニズムによって変更されてよいことがわかる。一部の実施形態では、台座108は、基板112の向きを回転させるための回転軸を含んでいてよい。一部の実施形態では、これらの調節例のうちの1つ以上が、上述された動作の全部又は一部を実行するための機械読み取り可能命令を有する1つ以上の適切なシステムコントローラによってプログラムで実行されてよいことがわかる。
【0111】
図1に示された実施形態に戻り、シャワーヘッド106及び台座108は、プラズマに電力供給するために、RF電力供給源114及び整合回路網116と電気的に通信する。一部の実施形態では、プラズマエネルギは、プロセスステーション圧力、ガス濃度、RF源電力、RF源周波数、及びプラズマ電力パルスタイミングのうちの1つ以上を制御することによって、(例えば、適切な機械読み取り可能命令を有するシステムコントローラを通じて)制御されてよい。例えば、RF電力供給部114及び整合回路網116は、所望の組成のラジカル種を有するプラズマを生成するために、任意の適切な電力で動作されてよい。適切な電力の例は、上で挙げられている。同様に、RF電力供給部114は、任意の適切な周波数のRF電力を提供してよい。一部の実施形態では、RF電力供給部114は、高周波数RF電力源及び低周波数RF電力源を互いに独立に制御するように構成されてよい。低周波数RF周波数の例として、50kHzから500kHzの間の周波数が挙げられ、ただし、このような周波数に限定はされない。高周波数RF周波数の例として、1.8MHzから2.45GHzの間の周波数が挙げられ、ただし、このような周波数に限定はされない。表面反応のためのプラズマエネルギを提供するために、任意の適切なパラメータが離散的に又は連続的に調整されてよいことがわかる。非限定的な一例では、プラズマ電力は、継続的に電力供給されるプラズマと比べて基板表面に対するイオン衝撃を減らすために、断続的にパルス状で提供されてよい。
【0112】
一部の実施形態では、プラズマは、1つ以上のプラズマモニタによってin-situで監視されてよい。或る状況では、1つ以上の電圧・電流センサ(例えば、VIプローブ)によって、プラズマ電力が監視されてよい。別の状況では、1つ以上の発光分析(OES)センサによって、プラズマ密度及び/又はプロセスガス濃度が測定されてよい。一部の実施形態では、このようなin-situプラズマモニタからの測定結果に基づいて、1つ以上のプラズマパラメータがプログラムで調節されてよい。例えば、プラズマ電力のプログラム制御を提供するためのフィードバックループにおいて、OESセンサが使用されてよい。なお、一部の実施形態では、プラズマ及びその他のプロセス特性を監視するために、その他のモニタが使用されてよいことがわかる。このようなモニタの例として、赤外線(IR)モニタ、音響モニタ、及び圧力変換器が挙げられ、ただし、このようなモニタに限定はされない。
【0113】
一部の実施形態では、プラズマは、入出力制御(IOC)シークエンシング命令を通じて制御されてよい。一例では、プラズマ活性化段階のためのプラズマ条件を設定するための命令が、プロセスレシピにおける対応するプラズマ活性化レシピ段階に含められてよい。場合によっては、プロセスレシピにおける段階は、或るプロセス段階のための全ての命令がそのプロセス段階に並行して実行されるように、順次配置されてよい。一部の実施形態では、1つ以上のプラズマパラメータを設定するための命令が、プラズマプロセス段階に先行するレシピ段階に含められてよい。例えば、第1のレシピ段階が、不活性(例えばヘリウム)ガス及び/又は反応物ガスの流量を設定するための命令と、プラズマ生成器を電力設定値に設定するための命令と、第1のレシピ段階のための時間遅延命令とを含んでいてよい。続く第2のレシピ段階は、プラズマ生成器を有効にするための命令と、第2のレシピ段階のための時間遅延命令とを含んでいてよい。第3のレシピ段階は、プラズマ生成器を無効にするための命令と、第3のレシピ段階のための時間遅延命令とを含んでいてよい。これらのレシピ段階は、本開示の範囲内で任意の適切なやり方で更に細分及び/又は反復されてよいことがわかる。
【0114】
一部の堆積プロセスでは、プラズマの打ち出しが、おおよそ数秒以上の長さにわたって持続する。本書で説明される特定の実装形態では、更に大幅に短い期間のプラズマ打ち出しが、処理サイクル中に適用されてよい。これらは、おおよそ50ミリ秒から1秒であってよく、一具体例は、0.25秒である。このような短期間のRFプラズマ打ち出しは、プラズマの迅速な安定化を必要とする。これを実現するために、プラズマ生成器は、インピーダンス整合が特定の電圧に事前に設定される一方で、周波数は変動可能であるように、構成されてよい。従来、高周波数プラズマは、約13.56MHzのRF周波数で生成される。本書で開示される様々な実施形態では、周波数は、この標準値とは異なる値に変動することを可能にされる。インピーダンス整合を所定の電圧に固定しつつ、周波数を変動可能にすることによって、プラズマは、更に大幅に迅速に安定化することが可能になり、このような結果は、ALDサイクルに伴う非常に短期間のプラズマ打ち出しを使用する場合に重要だろう。
【0115】
一部の実施形態では、台座108は、ヒータ110を通じて温度制御されてよい。更に、一部の実施形態では、バタフライ弁118などの1つ以上の弁操作式真空源によって、処理装置100のための圧力制御が提供されてよい。
図1の実施形態に示されるように、バタフライ弁118は、下流の真空ポンプ(不図示)によって提供される真空を絞り調節する。しかしながら、一部の実施形態では、処理装置100の圧力制御は、処理チャンバ102に導入される1つ以上のガスの流量を変化させることによって調節されてもよい。一部の実施形態では、バタフライ弁118などの1つ以上の弁操作式真空源は、適切なALD操作上動作中に、プロセスステーションを取り巻く空間から膜前駆体を除去するために使用されてよい。
【0116】
上述のように、マルチステーション型基板処理ツールには、1つ以上のプロセスステーションが含まれてよい。
図2は、共通の低圧処理チャンバ214の中に複数のプロセスステーション201、202、203、204を含むマルチステーション型処理ツール200を含むシステムの一例を図解している。各ステーションを低圧環境内に維持することによって、膜堆積プロセス間の真空破壊によって引き起こされる欠陥が回避されえる。
【0117】
図2に示されるように、システム200は、基板搭載ポート220と、ポッド228から搭載されたカセットから大気圧ポート220を通して基板を処理チャンバ214内へ移動させて最終的にプロセスステーションに載せるように構成された基板取扱ロボット226とを有する。具体的には、この場合、基板取扱ロボット226は、プロセスステーション201及び202に基板を搭載し、すると、この場合は基板カルーセル290である基板移送機器が、様々なプロセスステーション201、202、203、及び204の間で基板を移送する。
図2に示された実施形態では、基板搭載機器は、基板操作のためのアームを2本有する基板取扱ロボット226として描かれており、したがって、図に示されるように、ロボット226は、ステーション201及び202の両方に基板を搭載できるだろう(同時かもしれないし、又は順次かもしれない)。ステーション201及び202への搭載後、基板移送機器、即ち、
図2に示されたカルーセル290は、次いで、それらの2枚の基板をプロセスステーション201及び202からプロセスステーション203及び204に移送するために、(基板の面に実質的に垂直な(ページから突き出している)その中心軸を中心として、尚且つ基板間で実質的に等間隔に、)180度の回転を行うことができる。この時点で、取扱ロボット226は、新しい2枚の基板をステーション201及び202に搭載し、搭載プロセスを完了させることができる。取り出しのためには、これらの工程を逆行させればよく、ただし、4枚のウエハからなるウエハ群が複数群にわたって処理される場合は、取扱ロボット226によって2枚の基板を取り出すごとに、移送カルーセル290の180度回転に先立って新しく2枚の基板が搭載されるだろう。同様に、例えば201などの1つのステーションのみに基板を載置するように構成された1本アーム式の取扱ロボットは、カルーセル290を90度ずつ4回にわたって回転させて4つ全てのステーションに基板を搭載する4工程の搭載プロセスに使用されるだろう。
【0118】
図2に描かれた処理チャンバ214は、4つのプロセスステーション201、202、203、及び204を提供する。各ステーションは、加熱された台座(プロセスステーション901の場合は218で示されている)と、ガスライン入口とを有する。一部の実施形態では、各プロセスステーションが、異なる又は複数の目的を有していてよいことがわかる。例えば、一部の実施形態では、プロセスステーションは、ALD処理モードとCVD処理モードとの間で切り替え可能であってよい。加えて又は或いは、一部の実施形態では、処理チャンバ214は、1対以上のALD/CVDプロセスステーションを含んでいてよい。図に描かれた処理チャンバ214は、4つのプロセスステーションを備えているが、本開示にしたがった処理チャンバは、任意の適切な数のステーションを有してよいことが理解される。例えば、一部の実施形態では、処理チャンバは、1、若しくは2、若しくは3、若しくは4、若しくは5、若しくは6、若しくは7、若しくは8、若しくは9、若しくは10、若しくは11、若しくは12、若しくは13、若しくは14、若しくは15、若しくは16、若しくは更に多い数のプロセスステーションを有してよい(又は2~6のプロセスステーションを反応チャンバごとに、若しくは4~8のプロセスステーションを反応チャンバごとに、若しくは8~16のプロセスステーションを反応チャンバごとに有するなどのように、上記の任意の2つの値によって定められた範囲内の数のプロセスステーションを反応チャンバごとに有するものとして、一連の実施形態が説明されてよい)。
【0119】
上記のように、
図2は、処理チャンバ214内でプロセスステーション201、202、203、及び204の間で基板を移送するための基板移送機器290の一実施形態を示している。任意の適切な基板移送機器が用いられてよいことがわかる。非限定的な例として、ウエハカルーセル及び基板取扱ロボットが挙げられる。
【0120】
システムコントローラ
図2は、プロセスツール200のプロセス条件及びハードウェア状態を制御するために利用されるシステムコントローラ250を含むシステムの一実施形態も示している。システムコントローラ250は、1つ以上のメモリデバイス256と、1つ以上の大容量ストレージデバイス254と、1つ以上のプロセッサ252とを含んでいてよい。プロセッサ252は、CPU、ASIC、(1つ若しくは複数の)汎用コンピュータ及び/又は(1つ若しくは複数の)専用コンピュータ、1つ以上のアナログ及び/又はデジタル入力/出力接続、1つ以上のステッピングモータ制御盤等を含んでいてよい。
【0121】
一部の実施形態では、システムコントローラ250は、プロセスツール200の、その個々のプロセスステーションの動作を含む一部又は全部の動作を制御する。システムコントローラ250は、プロセッサ252上で機械読み取り可能システム制御命令258を実行してよく、これらのシステム制御命令258は、大容量ストレージデバイス254からメモリデバイス256に取り込まれる。システム制御命令258は、プロセスツール200によって実行される特定のプロセスの、タイミング、ガス状及び液状の反応物の混合、チャンバ及び/又はステーションの圧力、チャンバ及び/又はステーションの温度、ウエハの温度、目標電力レベル、RF電力レベル、RF暴露時間、基板台座、チャック、及び/又はサセプタの位置、並びにその他のパラメータを制御するための命令を含んでいてよい。これらのプロセスは、基板上への膜の堆積に関係したプロセスを含むが限定はされない様々なタイプのプロセスを含んでいてよい。システム制御命令258は、任意の適切な形に構成されてよい。例えば、様々なプロセスツールプロセスを行うために必要とされるプロセスツールコンポーネントの動作を制御するために、様々なプロセスツールコンポーネントサブルーチン又は制御オブジェクトが記述されてよい。システム制御命令258は、任意の適切なコンピュータ読み取り可能プログラミング言語でコード化されてよい。一部の実施形態では、システム制御命令258は、ソフトウェアとして実装されてよく、その他の実施形態では、命令は、例えば、ロジックとしてASIC(特殊用途向け集積回路)内にハードコード化されるなどハードウェアとして実装されてよい、又はその他の実施形態では、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせとして実装されてよい。
【0122】
一部の実施形態では、システム制御ソフトウェア258は、上述された様々なパラメータを制御するための入力/出力制御(IOC)命令を含んでいてよい。例えば、1つ又は複数の堆積プロセスにおける各段階が、システムコントローラ250によって実行されるための1つ以上の命令を含んでいてよい。例えば、膜堆積プロセス段階のためのプロセス条件を設定するための命令が、対応する堆積レシピに含まれてよく、膜キャップ堆積段階のための命令も、同様であってよい。一部の実施形態では、レシピ段階は、或るプロセス段階のための全ての命令がそのプロセス段階と並行して実行されるように、順次配置されてよい。
【0123】
一部の実施形態では、システムコントローラ250に関係付けられた大容量ストレージデバイス254及び/又はメモリデバイス256に格納されたその他のコンピュータ読み取り可能命令及び/又はプログラムが用いられてよい。プログラム又はプログラムセクションの例として、基板位置決めプログラム、プロセスガス制御プログラム、圧力制御プログラム、ヒータ制御プログラム、及びプラズマ制御プログラムが挙げられる。
【0124】
基板位置決めプログラムは、基板を台座218に搭載するために及び基板とプロセスツール200のその他のパーツとの間の間隔を制御するために使用されるプロセスツールコンポーネントのための命令を含んでいてよい。位置決めプログラムは、基板上に膜を堆積させる必要性に応じて反応チャンバに対して基板を適切に出し入れするための命令を含んでいてよい。
【0125】
プロセスガス制御プログラムは、ガスの組成及び流量を制御するための、並びに随意として、1つ以上のプロセスステーションを取り巻く空間内の圧力を安定化させるために堆積前にそれらの空間に例えばカーテンガスなどのガスを流し入れるための、命令を含んでいてよい。一部の実施形態では、プロセスガス制御プログラムは、基板上への膜の堆積中に、プロセスチャンバ内の1つ以上のプロセスステーションを取り巻く(1つ以上の)空間に特定のガスを導入するための命令を含んでいてよい。プロセスガス制御プログラムは、また、堆積されている膜の組成に応じて、同じ流量で、同じ持続期間で、又は異なる流量で、及び/又は異なる持続期間でこれらのガスを供給するための命令も含んでいてよい。プロセスガス制御プログラムは、また、加熱された注入モジュールの中でヘリウム又はその他の何らかのキャリアガスの存在下で液状反応物を霧化/気化させるための命令も含んでいてよい。
【0126】
圧力制御プログラムは、例えば、プロセスステーションの排気システム内の絞り弁やプロセスステーション内へのフロー等を調節することによってプロセスステーションの中の圧力を制御するための命令を含んでいてよい。圧力制御プログラムは、基板上への様々な膜タイプの堆積の最中に同じ又は異なる圧力を維持するための命令を含んでいてよい。
【0127】
ヒータ制御プログラムは、基板を加熱するために使用される加熱ユニットへの電流を制御するための命令を含んでいてよい。或いは又は加えて、ヒータ制御プログラムは、基板への(ヘリウムなどの)熱伝達ガスの配送を制御してよい。ヒータ制御プログラムは、基板上への様々な膜タイプの堆積の最中に反応チャンバ内及び/又はプロセスステーションを取り巻く空間内を同じ又は異なる温度に維持するための命令を含んでいてよい。
【0128】
プラズマ制御プログラムは、本書における実施形態にしたがって1つ以上のプロセスステーションの中のRF電力レベル、周波数、及び暴露時間を設定するための命令を含んでいてよい。一部の実施形態では、プラズマ制御プログラムは、基板上への膜堆積の最中に同じ又は異なるRF電力レベル及び/又は周波数及び/又は暴露時間を使用するための命令を含んでいてよい。
【0129】
一部の実施形態では、システムコントローラ250に、ユーザインターフェースが関連付けられてよい。ユーザインターフェースとして、ディスプレイ画面、装置及び/又はプロセス条件のグラフィックソフトウェア表示、並びにポインティングデバイス、キーボード、タッチ画面、マイクロフォン等のユーザ入力デバイスが挙げられる。
【0130】
一部の実施形態では、システムコントローラ250によって調節されるパラメータが、プロセス条件に関係していてよい。非限定的な例として、プロセスガスの組成及び流量、温度、圧力、プラズマ条件(RFバイアス電力レベルや暴露時間)等が挙げられる。これらのパラメータは、レシピの形でユーザに提供されてよく、ユーザインターフェースを用いて入力されてよい。
【0131】
プロセスを監視するための信号が、様々なプロセスツールセンサからシステムコントローラ250のアナログ入力接続及び/又はデジタル入力接続によって提供されてよい。プロセスを制御するための信号は、プロセスツール200のアナログ出力接続及び/又はデジタル出力接続に載せて出力されてよい。監視されえるプロセスツールセンサの非限定的な例として、質量流量コントローラ(MFC)、(圧力計などの)圧力センサ、熱電対等が挙げられる。これらのセンサからのデータと併せて、適切にプログラムされたフィードバック・制御アルゴリズムが、プロセス条件を維持するために使用されてよい。
【0132】
システムコントローラ250は、本書で説明された堆積プロセスを実行に移すための機械読み取り可能命令を提供してよい。これらの命令は、DC電力レベル、RFバイアス電力レベル、圧力、温度等などの多様なプロセスパラメータを制御してよい。命令は、本書で説明される様々な実装形態にしたがった膜積層体のin-situ堆積を動作させるために、パラメータを制御してよい。
【0133】
上述された様々な装置及び方法は、例えば、半導体デバイス、ディスプレイ、LED、光起電性パネルなどの製作又は製造のために、リソグラフィパターニングのツール及び/又はプロセスに関連付けて使用されてよい。必ずしもそうとは限らないが、このようなツール又はプロセスは、通常は、共通の製造設備のなかで併せて使用される又は同時に実行される。
【0134】
膜のリソグラフィパターニングは、通常は、(1)スピンオンツール又は噴き付けツールを使用して、例えばその上にシリコン窒化物の膜を形成された基板などの基板上にフォトレジストを塗布する動作、(2)加熱板又は加熱炉又はその他の適切な硬化ツールを使用して、フォトレジストを硬化させる動作、(3)ウエハステッパなどのツールによって、可視光又は紫外線又はX線にフォトレジストを暴露する動作、(4)レジストを選択的に除去してパターン形成するために、ウェットベンチ又は噴き付け現像器などのツールを使用して、レジストを現像する動作、(5)ドライ式又はプラズマ支援式のエッチングツールを使用することによって、レジストパターンをその下の膜又は基板に転写する動作、並びに(6)RF又はマイクロ波プラズマレジスト剥ぎ取り器などのツールを使用して、レジストを除去する動作の、一部又は全部を含み、各動作は、考えられる幾つかのツールによって可能にされる。一部の実施形態では、フォトレジストを塗布する前に、(非結晶質炭素層などの)アッシング可能なハードマスク層と、(反射防止層などの)別の適切なハードマスクとが堆積されてよい。
【0135】
基板処理システムにおける、カーテンガスを使用した基板の不均一性の改善
本書で論じられるシステムは、上述のようにカーテンガスを使用して基板の不均一性を制御するための技術を実現するために使用されてよい。一部のこのような実施形態では、マルチステーション型半導体処理ツールの中で膜堆積を実行するためのシステムが、
図1のガス配送システム101などの、本書で説明されるシステムのうちの1つ以上の態様を含んでいてよい。システムは、また、
図1のチャンバ102又は
図2の処理チャンバ214などの、少なくとも2つのステーションを含む処理チャンバも含んでいてよい。処理チャンバは、ガス配送システムを共有してよく、各ステーションの縁の周囲にカーテンガスを流すように構成されてよい。このような構成の一例が、本書で、並びに名称を「COMPOSITION-MATCHED CURTAIN GAS MIXTURES FOR EDGE UNIFORMITY MODULATION IN LARGE-VOLUME ALD REACTORS(大容積ALDリアクタにおけるエッジ均一性調整のための、組成を整合されたカーテンガス混合物)」並びに「METHODS AND APPARATUSES FOR SHOWERHEAD BACKSIDE PARASITIC PLASMA SUPPRESSION IN A SECONDARY PURGE ENABLED ALD SYSTEM(二次パージを可能にされたALDシステムにおいてシャワーヘッド裏側の寄生プラズマを抑制するための方法及び装置)」とする上記の組み込まれた特許出願で、説明されている。
【0136】
システムは、別々のステーションの中で処理される少なくとも2枚の基板上に材料を堆積させるようにシステムを制御するための、例えば
図2のシステムコントローラ250などの本書で説明されたシステムコントローラのようなコントローラも含んでいてよい。コントローラは、
図11に関連して上述された全態様を含む上述された技術の一部又は全部の態様を実現するための制御ロジックを含んでいてよい。一実施形態では、コントローラは、チャンバの中で膜堆積を実行するために、チャンバの中の各ステーションの縁に沿って流れるカーテンガスのフロー条件を含むプロセス条件にしたがって膜堆積の最中にチャンバの中の各ステーションにカーテンガスを流すための制御ロジックを含んでいてよい。このようにカーテンガスを流すことは、本書で上述された
図11のブロック1152と同じであってよく、このような説明は、本書に組み込まれる。
【0137】
コントローラは、また、基板不均一性を改善するためにチャンバの中のカーテンガスの調節後フロー条件を決定するための制御ロジックも含んでいてよい。カーテンガスの調節後フロー条件は、
図11のブロック1154に関連して本書で上述された調節後フロー条件と同様になされてよく、このような議論は、このシステムに適用され、本書に組み込まれる。例えば、カーテンガスの調節後フロー条件は、カーテンガスの調節後流量であってよく、これは、すぐ上で説明されたように、膜堆積の最中にプロセス条件にしたがってカーテンガスを流した後に起きてよい。
【0138】
コントローラは、更に、調節後フロー条件にしたがって膜堆積の最中にカーテンガスを流すための制御ロジックも含んでいてよい。再度述べるが、このようにカーテンガスを流すことは、ブロック1156と同じであってよく、このような議論は、本書に組み込まれる。更に、やはり上述されたのと同様に、これらの3つの態様のうちの1つ以上が実験的設定で実行されてよい一方で、その他の態様のうちの1つ以上は基板製造の最中に実行されてよい。例えば、プロセス条件にしたがって膜堆積の最中にカーテンガスを流すこと、及びカーテンガスの調節後フロー条件を決定すること(例えば、それぞれ
図11のブロック1152及びブロック1154)が実験的設定で起きてよい一方で、調節後フロー条件にしたがってカーテンガスを流すことは基板製造の最中に実行されてよい。
【0139】
一部の実施形態では、本書で論じられたように、システムのコントローラは、更に、例えばALDなどの循環式堆積プロセスの、各ステーションの中の基板を材料の前駆体に暴露する(例えば、投入する)段階、前駆体の少なくとも一部をチャンバから除去する(例えば、パージする)段階、各基板上における前駆体の反応を活性化させる(例えば、活性化させる)段階、及び反応の後に、チャンバの中のガスの少なくとも一部を除去する(例えば、パージする)段階を実行するための制御ロジックも含んでいてよい。調節にしたがって膜堆積の最中にカーテンガスを流すことは、上述のように、これらの段階の1つ以上の最中に実行されてよい。
【0140】
一部の実施形態では、システムのコントローラは、また、チャンバの中で膜堆積を実行するための、カーテンガスの流れなどのプロセス条件を決定するための制御ロジックも含んでいてよい。このような決定は、
図11のブロック1150と同様であってよく、このような議論は、本書に組み込まれる。
【0141】
原子層堆積技術及び堆積膜の詳細な説明
上述されたように、デバイスの小型化が進むにつれて、並びにICが3Dトランジスタ及びその他の3D構造の利用に移行するにつれて、正確な量(厚さ)の共形膜材料を堆積させる能力が、ますます重要性を増している。共形膜材料としては、特に誘電体が挙げられるが、様々なドーパント含有材料も可能である。原子層堆積は、共形膜の堆積を実現するための技術の1つであり、通常は、所望の厚さの膜を実現するために、複数の堆積サイクルを伴う。
【0142】
活性化された気相反応を使用して膜を堆積させる化学気相成長(CVD)プロセスとは対照的に、ALDプロセスは、表面介在性の堆積反応を使用して膜を一層ずつ堆積させる。例えば、ALDプロセスの一種では、第1の膜前駆体(P1)が気相の形で処理チャンバに導入され、基板に暴露され、基板の表面上(の通常は表面活性部位が集中しているところ)に吸着することを許される。P1の分子の一部は、基板表面上に、P1の化学吸着種及び物理吸着分子を含む凝縮相を形成するだろう。次いで、気相P1及び物理吸着P1を除去して化学吸着種のみを残留させるために、基板表面を取り巻く空間が排気される。次いで、第2の前駆体(P2)が、P2の分子の一部が基板表面に吸着するように処理チャンバに導入されてよい。処理チャンバ内において基板を取り巻く空間は、今度は未結合P2を除去するために、再び排気されてよい。続いて、基板に提供されるエネルギ(例えば、熱エネルギ又はプラズマエネルギ)が、吸着分子P1とP2との間の表面反応を活性化させて、膜層を形成する。最後に、基板を取り巻く空間は、未反応P1及び/若しくはP2、並びに/又は反応副生成物を、もしあるならば除去するために、再び排気され、ALDの1サイクルを終了させる。
【0143】
多様な化学物質を有する共形膜を堆積させるためのALD技術、及び基本的なALDプロセス手順に対する多くの変形例が、2011年4月11日に出願され名称を「PLASMA ACTIVATED CONFORMAL FILM DEPOSITION(プラズマによって活性化される共形膜堆積)」とする米国特許出願第13/084,399号(代理人整理番号第NOVLP405号)、2011年9月23日に出願されて今現在は米国特許第8,637,411号である、名称を「PLASMA ACTIVATED CONFORMAL DIELECTRIC FILM DEPOSITION(プラズマによって活性化される共形誘電体膜堆積)」とする米国特許出願第13/242,084号(代理人整理番号第NOVLP427号)、2011年9月1日に出願され発明の名称を「PLASMA ACTIVATED CONFORMAL DIELECTRIC FILM DEPOSITION(プラズマによって活性化される共形誘電体膜堆積)」とする米国特許出願第13/244,240号(代理人整理番号第NOVLP428号)、並びに2012年9月7日に出願され発明の名称を「CONFORMAL DOPING VIA PLASMA ACTIVATED ATOMIC LAYER DEPOSITION AND CONFORMAL FILM DEPOSITION(プラズマによって活性化される原子層堆積及び共形膜堆積を通じた共形ドーピング)」とする米国特許出願第13/607,386号(代理人整理番号第NOVLP488号)で詳しく説明されており、これらの各出願は、あらゆる目的のために、その全体を参照によって本明細書に組み込まれる。これらの先行出願に説明されるように、基板上に1枚の材料層を堆積させるための基本的なALDサイクルは、(i)プロセスステーションにおいて、膜前駆体を、それが吸着制限層を形成するように基板上に吸着させ、(ii)プロセスステーションの付近から、未吸着膜前駆体(「未吸着前駆体」は、脱着前駆体を含むと定義される)を、もし存在するならば除去し、(iii)吸着膜前駆体を反応させて、基板上に膜層を形成させ、並びに随意として、(iv)プロセスステーションの付近から、脱離膜前駆体及び/又は反応副生成物を除去する、ことを含んでいてよい。動作(ii)及び(iv)における除去は、基板を取り巻く空間をパージする、排気する、ポンプで基準圧力まで下げる(「ポンプで基準圧力にする」)などを通じてなされてよい。一部の実施形態では、パージガスは、主要なプラズマフィードガスと同じであってよい。上述された一連の動作(i)~(iv)は、結果として1枚の膜層を形成させる1つのALDサイクルを表している。しかしながら、ALDを通じて形成される1枚の膜層は、通常は非常に薄く、多くの場合、単分子の厚さに過ぎず、十分な厚さの膜を構築するために、複数のALDサイクルが順次繰り返される。したがって、例えばN層の膜(又は等しくは、N枚の膜層と言うかもしれない)の堆積が望まれるならば、複数のALDサイクル(動作(i)~(iv)がN回にわたって順次繰り返されてよい。
【0144】
留意すべきは、この基本的なALD動作手順(i)~(iv)が、必ずしも上述の例にあるような2種類の化学吸着反応種P1及びP2を伴う必要も、ましてや第2の反応種を伴う必要もないことであり、ただし、関係する所望の堆積化学物質次第では、これらの可能性/選択肢が採用されてよい。
【0145】
しかしながら、ALDの吸着制限特性ゆえに、ALDの1サイクルは、薄い材料膜を、多くの場合は1枚の単分子材料層のみを、堆積させるに過ぎない。例えば、膜前駆体投入動作の暴露時間及び(基板表面に対する)膜前駆体の粘着係数次第では、各ALDサイクルが、僅か約0.5~3オングストロームの厚さの膜層を堆積させるに過ぎない。したがって、代表的なALDサイクルにおける一連の動作、即ち、上でちょうど説明された動作(i)~(iv)は、所望の厚さの共形膜を形成するために、複数回にわたって繰り返されるのが一般的である。したがって、一部の実施形態では、動作(i)~(iv)は、少なくとも1回、又は少なくとも2回、又は少なくとも3回、又は少なくとも5回、又は少なくとも7回、又は少なくとも10回にわたって立て続けに連続して繰り返される。ALD膜は、ALDサイクルごとにおおよそ0.1Å以上で2.5Å以下の、又はALDサイクルごとにおおよそ0.2Å以上で2.0Å以下の、又はALDサイクルごとにおおよそ0.3Å以上で1.8Å以下の、又はALDサイクルごとにおおよそ0.5Å以上で1.5Å以下の、又はALDサイクルごとにおおよそ0.1Å以上で1.5Å以下の、又はALDサイクルごとにおおよそ0.2Å以上で1.0Å以下の、又はALDサイクルごとにおおよそ0.3Å以上で1.0Å以下の、又はALDサイクルごとにおおよそ0.5Å以上で1.0Å以下の速度で堆積されてよい。
【0146】
一部の膜形成化学物質には、「膜前駆体」と呼ばれるものに加えて、補助的反応物又は副反応物が用いられてもよい。このような特定の実施形態では、補助的反応物又は副反応物は、工程(i)~(iv)が繰り返される間に、工程(i)~(iv)の一部又は全部の最中に継続的に流されてよい。このその他の反応性化学種(補助的反応物や副反応物等)は、一部の実施形態では、(前駆体P1及びP2を伴う上述の例にあるように、)膜前駆体との反応に先立って膜前駆体とともに基板表面上に吸着されてよく、ただし、その他の実施形態では、それ自体が基板の表面上に事前に吸着されることなしに、吸着膜前駆体とはその接触時に反応してよい。また、一部の実施形態では、吸着膜前駆体を反応させる動作(iii)は、吸着膜前駆体をプラズマに接触させることを伴ってよい。プラズマは、基板表面上における膜形成反応を駆り立てるためのエネルギを提供するだろう。このような特定の実施形態では、プラズマは、適切なRF電極の印加によって反応チャンバの中で生成される(ただし、実施形態によっては遠隔的に生成されることもある)酸化プラズマであってよい。その他の実施形態では、酸化プラズマの代わりに不活性プラズマが使用されてよい。酸化プラズマは、O2、N2O、又はCO2などの1種以上の酸化剤で形成されてよく、随意として、Ar、N2、又はHeなどの1種以上の希釈剤を含んでいてよい。一実施形態では、酸化プラズマは、O2及びArで形成される。He又はArなどの1種以上の不活性ガスから、適切な不活性プラズマが形成されてよい。ALDプロセスに対する更なるヴァリエーションは、上記で引用された(尚且つ参照によって組み込まれた)先行する特許出願で詳しく説明されている。
【0147】
一部の実施形態では、多層堆積膜は、1種類の組成を有する複数の層を共形的に順次堆積させ、次いで、別の種類の組成を有する複数の層を共形的に順次堆積させ、次いで、恐らくはこれらの2つの手順を交替で繰り返すことによって形成された、交互に組成が異なる複数の領域/部分を含んでいてよい。堆積ALD膜が有するこれらの特性の一部が、例えば、2012年9月7日に出願され名称を「CONFORMAL DOPING VIA PLASMA ACTIVATED ATOMIC LAYER DEPOSITION AND CONFORMAL FILM DEPOSITION(プラズマによって活性化される原子層堆積及び共形膜堆積を通じた共形ドーピング)」とする米国特許出願第13/607,386号(代理人整理番号第NOVLP488号)で説明されており、該出願は、あらゆる目的のために、その全体を参照によって本明細書に組み込まれる。下にある対象IC構造又は基板領域をドーピングするために使用される膜などの、交互に組成が異なる部分を有する共形膜の更なる例、並びにこれらの膜を形成する方法が、2011年4月11日に出願され名称を「PLASMA ACTIVATED CONFORMAL FILM DEPOSITION(プラズマによって活性化される共形膜堆積)」とする米国特許出願第13/084,399号(代理人整理番号第NOVLP405号)、2011年9月23日に出願され今現在は米国特許第8,637,411号である、名称を「PLASMA ACTIVATED CONFORMAL DIELECTRIC FILM DEPOSITION(プラズマによって活性化される共形誘電体膜堆積)」とする米国特許出願第13/242,084号(代理人整理番号第NOVLP427号)、2011年9月1日に出願され名称を「PLASMA ACTIVATED CONFORMAL DIELECTRIC FILM DEPOSITION(プラズマによって活性化される共形誘電体膜堆積)」とする米国特許出願13/244,240号(代理人整理番号NOVLP428号)、2012年9月7日に出願され名称を「CONFORMAL DOPING VIA PLASMA ACTIVATED ATOMIC LAYER DEPOSITION AND CONFORMAL FILM DEPOSITION(プラズマによって活性化される原子層堆積及び共形膜堆積を通じた共形ドーピング)」とする米国特許出願第13/607,386号(代理人整理番号第NOVLP488号)、並びに2014年2月28日に出願され名称を「CAPPED ALD FILMS FOR FORMING FIN-SHAPED CHANNEL REGIONS OF 3-D IC TRANSISTORS(三次元ICトランジスタのフィン状チャネルを形成するためのキャップALD膜)」とする米国特許出願第14/194,549号で詳細に説明されており、これらの各出願は、あらゆる目的のために、その全体を参照によって本明細書に組み込まれる。
【0148】
言及された上記の明細書で詳述されるように、ALDプロセスは、多くの場合、共形のシリコン酸化物膜(SiOx)を堆積させるために使用されるが、組み込まれた上記の明細書でも開示されるように、その他の化学物質の共形誘電体膜を堆積させるために使用されてもよい。ALDによって形成された誘電体膜は、一部の実施形態では、シリコン炭化物(SiC)材料、シリコン窒化物(SiN)材料、シリコン炭窒化物(SiCN)材料、又はこれらの組み合わせを含んでいてよい。一部の実施形態におけるALD形成膜には、シリコン-炭素-酸化物、シリコン-炭素-酸窒化物、及びシリコン-炭素-窒化物が形成されてもよい。これらのタイプの膜を堆積させるための方法、技術、及び動作は、2012年6月12日に出願され名称を「REMOTE PLASMA BASED DEPOSITION OF SiOC CLASS OF FILMS(SiOCクラスの膜の、遠隔プラズマをベースにした堆積)」とする米国特許出願第13/494,836号(代理人整理番号第NOVLP466号/第NVLS003722号)、2013年5月31日に出願され発明の名称を「METHOD TO OBTAIN SiC CLASS OF FILMS OF DESIRED COMPOSITION AND FILM PROPERTIES(所望の組成及び膜特性を有するSiCクラスの膜を得るための方法)」とする米国特許出願第13/907,699号(代理人整理番号第LAMRP046/3149号)、名称を「GROUND STATE HYDROGEN RADICAL SOURCES FOR CHEMICAL VAPOR DEPOSITION OF SILICON-CARBON-CONTAINING FILMS(シリコン・炭素含有膜の化学気相成長のための基底状態水素ラジカル源)」とする米国特許出願第14/062,648号、並びに2014年2月28日に出願され名称を「CAPPED ALD FILMS FOR FORMING FIN-SHAPED CHANNEL REGIONS OF 3-D IC TRANSISTORS(三次元ICトランジスタのフィン状チャネルを形成するためのキャップALD膜」とする米国特許出願第14/194,549号で詳しく説明されており、これらの各出願は、あらゆる目的のために、その全体を参照によって本明細書に組み込まれる。
【0149】
ALDを通じた膜堆積のその他の例は、上で挙げられ参照によって組み込まれた特許出願(米国特許出願第13/084,399号、第13/242,084号、第13/224,240号、及び第14/194,549号)で説明されるような、ドーパント含有膜を堆積させるための化学物質を含む。これらの出願で説明されるように、ホウ素ドープケイ酸塩ガラス(BSG)の膜、リンドープケイ酸塩ガラス(PSG)の膜、ホウ素・リンドープケイ酸塩ガラス(BPSG)の膜、ヒ素(As)ドープケイ酸塩ガラス(ASG)の膜などの、ドーパント含有膜を形成するために、様々なドーパント含有膜前駆体が使用されてよい。ドーパント含有膜としては、B2O3、B2O、P2O5、P2O3、As2O3、As2O5などが挙げられる。したがって、ホウ素ではないドーパントを有するドーパント含有膜もありえる。例として、ガリウム系ドーパント、リン系ドーパント、若しくはヒ素系ドーパント、又は半導体基板のドーピングに適したその他の三価元素及び五価元素などのその他の元素が挙げられる。
【0150】
ALDプロセス条件に関しては、ALDプロセスは、様々な温度で実行されてよい。一部の実施形態では、ALD反応チャンバ内における適切な温度は、約25℃から450℃、又は約50℃から300℃、又は約20℃から400℃、又は約200℃から400℃、又は約100℃から350℃の幅があってよい。
【0151】
同様に、ALDプロセスは、様々なALD反応チャンバ圧力で実行されてよい。一部の実施形態では、反応チャンバ内における適切な圧力は、約10ミリトールから10トール、又は約20ミリトールから8トール、又は約50ミリトールから5トール、又は約100ミリトールから2トールの幅があってよい。
【0152】
動作(iii)においてプラズマが使用されるならば、プラズマを生成するために様々なRF電力レベルが用いられてよい。一部の実施形態では、適切なRF電力は、約100Wから10kW、又は約200Wから6kW、又は約500Wから3kW、又は約1kWから2kWの幅があってよい。
【0153】
動作(i)では、様々な膜前駆体流量が用いられてよい。一部の実施形態では、適切な流量は、約0.1mL/分以上で10mL/分以下、又は約0.5mL/分以上で5mL/分以下、又は約1mL/分以上で3mL/分以下の幅があってよい。
【0154】
各種の動作において、様々なガス流量が使用されてよい。一部の実施形態では、全体のガス流量は、約1mL/分以上で20mL/分以下、又は約2mL/分以上で10mL/分以下の幅があってよい。動作(ii)及び動作(iv)における随意の不活性パージ工程の場合、用いられるバースト流量は、約20mL/分以上で100mL/分以下、又は約40mL/分以上で60mL/分以下の幅があってよい。
【0155】
再度述べるが、一部の実施形態では、ポンプで基準圧力にする工程は、反応チャンバに1つ以上の真空ポンプを直接使用することによって反応チャンバをポンプで基準圧力まで下げることを言う。一部の実施形態では、基準圧力は、通常は、僅か数ミリトール(例えば約1ミリトールから20ミリトールの間)であってよい。更に、上記のように、ポンプで基準圧力にする工程は、不活性パージを伴っても又は伴わなくてもよく、したがって、キャリアガスは、真空ポンプに通じる経路が1つ以上の弁によって開かれたときに、流れても又は流れなくてもよい。
【0156】
また、再度述べるが、共形層の積層体を構築するために、複数のALDサイクルが繰り返されてよい。一部の実施形態では、各層が、実質的に同じ組成を有してよく、その他の実施形態では、ALDによって順次堆積された層が、異なる組成を有してよい、又はそのような特定の実施形態では、上述のように、組成が層ごとに交互に異なってよい、若しくは異なる組成を有する一連の層が順繰りに繰り返されてよい。したがって、これらの膜中のホウ素、リン、又はヒ素の濃度を調整するために、実施形態に応じて、上で挙げられ参照によって組み込まれた特許出願(米国特許出願第13/084,399号、第13/242,084号、及び第13/224,240号)で開示されるような特定の積層工学概念が使用されてよい。
【0157】
シャンデリアシャワーヘッド及びシャワーヘッド環の詳細な説明
ALDプロセスにおいて、膜前駆体は、一般的に、反応チャンバ内に存在するのと次いで排出されるのとを交互に繰り返される必要がある。寄生堆積を防ぐために、処理チャンバ内の余分な前駆体は、次の前駆体の導入前に処理チャンバ及び(シャワーヘッドの柄内などの)共通の前駆体通路から除去される。余分な前駆体の除去は、通例、供給通路及びチャンバを不活性ガスでパージすることによってなされる。しかしながら、シャンデリア型シャワーヘッドを使用するときは、シャワーヘッドの頭の底面からチャンバに流されたパージガス(プラズマフィードガスと同じであってよい)は、例えば柄の周囲でシャワーヘッドの後方に及び/又は背後に存在する余分な前駆体を効果的に除去できないだろう。したがって、シャワーヘッドの背後、上板上、及び/又は処理チャンバの壁上に、大量の寄生堆積が生じる恐れがある。シャワーヘッドの後方及び/又は背後のデッドスペースを固体の誘電体で満たすことは、大地へのRF結合を引き起こすことが多い/可能性が高いゆえに、不可能である及び/又は望ましくないのが一般的である。したがって、プロセスステーション間に流されて、それによってプロセスステーション間に或る程度の容量的分離を提供することを主目的とするカーテンガスの流れが、上記の容量的分離を提供することに加えて、シャワーヘッドの背後における寄生堆積を防ぐ働きもしえるように、カーテンガスが、シャワーヘッドの背後で処理チャンバに導入されてよい。このようなカーテンガスの放出を実現するためのハードウェアが、以下で詳しく説明される。
【0158】
図6を見ると、シャワーヘッド670を有する処理チャンバ660を含む基板処理システム650の一例が示されている。シャワーヘッド670は、柄部分672と、頭部分674とを含む。頭部分674は、内部空洞675を形成している。前駆体又はプラズマフィードガス又はパージガス(後者2つは全く同一であってよい)などの流体が、柄部分672を通って流れ、分散板676に達し、内部空洞675に入る。流体は、次いで、シャワーヘッドの頭部分674の底面の孔/離散穴678を通って処理チャンバに入る。
【0159】
シャワーヘッド670の柄部分672は、シャワーヘッド環680によって処理チャンバ660の上壁に接続される。シャワーヘッド環680は、全体として「T」字形の断面を有し、頭部分681と、柄部分683とを含む。シャワーヘッド環680は、シャワーヘッド670の柄部分672を収容する円筒状の内部空洞684を形成している。柄部分683には、内部空洞684からシャワーヘッド環の柄部分683の外表面へカーテンガスが流れることを可能にするための複数のスロット状の孔686が形成されている。
図6におけるスロット状の孔の向きと、
図3及び
図4に示された流線320とから明らかなように、カーテンガスは、基板の面に実質的に平行で且つシャワーヘッドの頭部分の底面の面に実質的に平行な方向に、シャワーヘッド環内の孔を経て処理チャンバ内へ流れてよい。
【0160】
シャワーヘッド環680の頭部分の端691には、流体コネクタ690が接続されてよく、カーテンガスなどの流体を供給するために使用される。流体コネクタ690は、総じて692で識別された1本以上の導管及び/又コネクタを含む。シャワーヘッド環680の頭部分681も、同様に、シャワーヘッド環680の内部空洞684に向けて(カーテンガスなどの)流体の流れを方向付けるための、総じて693で識別された導管及び/又はコネクタを含む。
【0161】
カーテンガス源695によって、例えば流体コネクタ690になどのように、シャワーヘッド環680にカーテンガスが供給されてよい。
【0162】
シャワーヘッド670の頭部分674と、シャワーヘッド環680との間には、板700が配される。板700は、上面704と、中心合わせ用の開口又は孔710と、底面714とを含む。一部の例では、板700は、セラミックで作成される。板700の厚さは、材料、及び大地への容量結合、即ち寄生プラズマを最小限に抑えるように選択されてよい。板700の上面704は、シャワーヘッド環680の底縁から、両者の間を流体が通ることを可能にするために間隔を空けられる。中心合わせ用の孔710も、柄部分672から、両者の間を流体が通ることを可能にするために間隔を空けられる。板の底面714は、シャワーヘッド670の上面から、両者の間を流体が流れることを可能にするために間隔を空けられる。一部の例では、板700は、省略されてよく、処理チャンバは、板700を伴わずとも動作されえる。
【0163】
様々なプロセスステーションのシャワーヘッドに関係付けられたシャワーヘッド環の柄部分の孔を通して処理チャンバ内へカーテンガスを流すことによって、(シャワーヘッドの裏側など)処理チャンバ内の遠隔エリアにおける望ましくない不所望の堆積が大幅に低減される及び/又は抑制される。スロット及びその他の隙間の寸法は、そこでのプラズマ点火を阻止するように、及び所望のガス流量に対してペクレ条件が満たされて逆拡散が阻止されることを可能にするように選択されてよい。
【0164】
次に、
図7を見ると、シャワーヘッド環680の一例が示されている。シャワーヘッド環680は、頭部分681と、柄部分683とを含む。スロット686は、弧状であってよく、柄部分683の周囲に配置されてよい。スロット686は、内部空洞684からスロット686を通して流体が流れることを可能にする。頭部分681は、流体コネクタ690上の対応する嵌め合い部分と嵌まり合う嵌め合い部分718を含んでいてよい。接続されたときに、シャワーヘッド環680の導管693は、流体コネクタ690の導管692と位置が揃う。
【0165】
次に、
図8を見ると、シャワーヘッド環680の流体コネクタ690の一例が示されている。流体コネクタ690は、第2の嵌め合い部分720と、導管730と、コネクタ732と、導管734と、コネクタ736とを含むものとして示されているが、その他の構成の流体コネクタも考えられる。
【0166】
次に、
図9A及び
図9Bを見ると、板700の例が示されている。
図9Aでは、板700の上面704は、全体として円形の断面と、板700の中心に配された中心合わせ用の孔710とを有するものとして示されている。中心合わせ用の孔710は、そこから半径方向に内向きに突き出した1つ以上の突出740を含む。突出740は、板700と柄部分672との間に均一な間隔を提供する。
図9Bには、板700の底面714が、処理チャンバの上部に相対的に下向きに突き出した突出744を含むものとして示されている。突出744は、板700の底面714と、シャワーヘッド670の頭部分674の上面との間に均一な間隔を提供する。やはり留意すべきは、RF隔離/抑制機器が、シャワーヘッドの裏側の空洞内の電場を低減させえることであり、これは、シャワーヘッドの裏側の領域における寄生プラズマ発生の可能性又は程度を更に抑えるのにも有用だろう。例えば、突出740及び744は、例えばおおよそ3mm以下の間隔が用いられるならば、寄生プラズマの発生を抑えるのに十分に狭い間隔を提供できるだろう。このような間隔は、代表的なプロセス条件下では、プラズマシースとともにプラズマが形成されるのに不十分な間隔(プラズマシース2枚分の長さ未満)になる。プラズマの形成は、プラズマ密度、プラズマ電子温度、及びシースにかかる電圧によって影響されるだろう。もちろん、詳しく上述されたように、シャワーヘッド環から発せられるカーテンガスとしてのArとO
2との混合の使用は、寄生プラズマの発生を阻止する/最小限に抑える(及び堆積膜の均一性を向上させる)ための有効な技術である。