(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】リグノセルロース素材の製造方法
(51)【国際特許分類】
C08L 1/00 20060101AFI20221108BHJP
B27N 3/00 20060101ALI20221108BHJP
C08K 5/1539 20060101ALI20221108BHJP
B32B 23/00 20060101ALI20221108BHJP
B32B 27/42 20060101ALI20221108BHJP
【FI】
C08L1/00
B27N3/00 D
C08K5/1539
B32B23/00
B32B27/42 102
B32B27/42 101
(21)【出願番号】P 2019515982
(86)(22)【出願日】2017-09-13
(86)【国際出願番号】 EP2017072987
(87)【国際公開番号】W WO2018054732
(87)【国際公開日】2018-03-29
【審査請求日】2020-09-11
(32)【優先日】2016-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ヴァインケッツ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-ピエール ベルカン リントナー
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ ルンクヴィッツ
(72)【発明者】
【氏名】クラウス フューガー
【審査官】尾立 信広
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-082323(JP,A)
【文献】特開2000-280209(JP,A)
【文献】特開昭58-036430(JP,A)
【文献】特表2015-506284(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00-13/08
B27N 1/00-9/00
B32B 1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法工程:
(Ia)混合物M1を製造することおよび
(Ib)場合により1つ以上の混合物M2を製造すること、
(II)混合物M1および場合により混合物M2を散布してマットにすること、
(III)場合により散布したマットを予備圧縮すること、ならびに
(IV)ホットプレスすること、
を含む、単層または多層のリグノセルロース素材の不連続式または連続式の製造方法において、
前記混合物M1は、
成分LCP-1としてリグノセルロース粒子
、および付加的に
a)
成分Aとして、有機カルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸塩化物またはこれらの混合
物0.005~0.5質量%、
b)
成分Bとして、少なくとも2つのイソシアナート基を有する有機イソシアナー
ト0.05~3質量%、および
c)
成分Cとして、アミノプラスト樹脂の群から選択される結合
剤5~15質量%、
d)
成分Dとして、硬化
剤0~2質量%および
e)
成分Eとして、添加
剤0~5質量%
を含み、
かつ前記混合物M2は、
成分LCP-2としてリグノセルロース粒子
、および付加的に
f)
成分Fとして、有機カルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸塩化物またはこれらの混合
物0~0.3質量%、
g)
成分G-1として、アミノプラスト樹脂、フェノプラスト樹脂、タンパク質を基礎とする結合剤および他のポリマーを基礎とする結合剤またはこれらの混合物からなる群から選択される結合
剤1~30質量%
、および
、成分G-2として、少なくとも2つのイソシアナート基を有する有機イソシアナー
ト0~3質量%、
h)
成分Hとして、硬化
剤0~2質量%および
i)
成分Iとして、添加
剤0~5質量%
を含み、
ただし、次の条件が満たされるものとする:
a
min<a<a
max
かつ
a
min=[(-1/6000・T)+(65/6000)]、好ましくはa
min=[(-1/4500・T)+(65/4500)]、特に好ましくはa
min=[(-1/3500・T)+(65/3500)]であり、
かつ
a
max=[(-1/2000・T)+(75/2000)]、好ましくはa
max=[(-1/2500・T)+(75/2500)]、特に好ましくはa
max=[(-1/3000・T)+(75/3000)]であり、
ここで、
Tは、℃で表される、方法工程(Ia)の後の混合物M1の温度であり、かつこの温度は10~65℃、好ましくは10~60℃、特に好ましくは15~58℃であり、
かつaは、mol/100gで表される、
成分Cの質量に対する
成分Aの酸等価体の量である
ことを特徴とする、単層または多層のリグノセルロース素材の不連続式または連続式の製造方法。
【請求項2】
方法工程(Ia)において、
成分A、または
成分Aと
成分Bとの混合物、または
成分Aと
成分Bと
成分Eとの混合物と、
-
成分Cまたは
-
成分Cと、
成分B、
Dまたは
Eの群から選択される1つ以上の成分との混合物とを、
(1)互いに別々に、または
(2)混合物として、混合物の製造後の0.1~3600秒の間に、
成分LCP-1に適用する、
ことを特徴とする、請求項1記載の単層または多層のリグノセルロース素材の不連続式または連続式の製造方法。
【請求項3】
成分LCP-1と接触させる前に、
成分Aを部分的にまたは完全に、
成分Bとまたは
成分Bの部分量と混合して
混合物ABにすることを特徴とする、請求項1または2記載の単層または多層のリグノセルロース素材の不連続式または連続式の製造方法。
【請求項4】
成分LCP-1と接触させる前に、
成分Aを完全に
成分Bまたは
成分Bの部分量と混合して
混合物ABにすることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の単層または多層のリグノセルロース素材の不連続式または連続式の製造方法。
【請求項5】
成分LCP-1と接触させる前に、
成分Aの部分量または全量を、好ましくは全量を、
成分Bまたは
成分Bの部分量および
成分Eまたは
成分Eの部分量と混合して
混合物ABEにすることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の単層または多層のリグノセルロース素材の不連続式または連続式の製造方法。
【請求項6】
成分B、
Dおよび
Eの群から選択される1つ以上の成分と混合された
成分Cと、
成分A、または
成分Aと
成分Bとの混合物、または
成分Aと
成分Bと
成分Eとの混合物とを、互いに別々にまたは混合物として、0.1~3600秒の間に、
成分LCP-1または
成分LCP-1と
成分B、
Dおよび
Eの群から選択される1つ以上の成分との混合物に添加することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の単層または多層のリグノセルロース素材の不連続式または連続式の製造方法。
【請求項7】
成分LCP-1に対し、
成分Cおよび
成分Dを一緒にまたは任意の順序で添加した後、
-
成分Eを添加し、引き続き
成分Aと
Bとを一緒にまたは任意の順序で、好ましくは一緒に添加するか、または
-
成分Aと
Bとを一緒にまたは任意の順序で、好ましくは一緒に添加し、引き続き
成分Eを添加する
ことを特徴とする、請求項
1記載の単層または多層のリグノセルロース素材の不連続式または連続式の製造方法。
【請求項8】
成分LCP-1に対し、
成分Aおよび
成分Bを一緒にまたは任意の順序で、好ましくは一緒に添加した後、
-
成分Eを添加し、引き続き
成分Cと
Dとを一緒にまたは任意の順序で、好ましくは一緒に添加するか、または
-
成分Cと
Dとを一緒にまたは任意の順序で、好ましくは一緒に添加し、引き続き
成分Eを添加する
ことを特徴とする、請求項
1記載の単層または多層のリグノセルロース素材の不連続式または連続式の製造方法。
【請求項9】
成分LCP-1に対し、
成分Eを添加した後、
-
成分Cと
成分Dとを一緒にまたは任意の順序で、好ましくは一緒に添加し、引き続き
成分Aと
Bとを一緒にまたは任意の順序で、好ましくは一緒に添加するか、または
-
成分Aと
Bとを一緒にまたは任意の順序で、好ましくは一緒に添加し、引き続き
成分Cと
成分Dとを一緒にまたは任意の順序で添加する
ことを特徴とする、請求項
1記載の単層または多層のリグノセルロース素材の不連続式または連続式の製造方法。
【請求項10】
成分LCP-1に対し、
成分Eを添加し、引き続き
成分Aと
Bと
Cと
Dとの混合物を添加することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の単層または多層のリグノセルロース素材の不連続式または連続式の製造方法。
【請求項11】
成分LCP-1に対し、
成分Aと
Bと
Cと
Dとの混合物を添加し、引き続き
成分Eを添加することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の単層または多層のリグノセルロース素材の不連続式または連続式の製造方法。
【請求項12】
成分LCP-1に対し、
成分Eの部分量を添加し、引き続き
成分Eの他の部分量と
成分Aと
Bと
Cと
Dとの混合物を添加することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の単層または多層のリグノセルロース素材の不連続式または連続式の製造方法。
【請求項13】
成分LCP-1に対し、
成分Eの部分量と
成分Aと
Bと
Cと
Dとの混合物を添加し、引き続き
成分Eの他の部分量を添加することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の単層または多層のリグノセルロース素材の不連続式または連続式の製造方法。
【請求項14】
成分Aとして、カルボン酸無水物、好ましくはC
4~C
8-カルボン酸無水物、例えば無水コハク酸、イタコン酸無水物、および無水マレイン酸(MSA)、特に好ましくは無水マレイン酸(MSA)を使用することを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項記載の単層または多層のリグノセルロース素材の不連続式または連続式の製造方法。
【請求項15】
成分Fとして、C
4~C
8-カルボン酸無水物、例えば無水コハク酸、イタコン酸無水物および無水マレイン酸(MSA)、特に好ましくは無水マレイン酸(MSA)を使用することを特徴とする、請求項1から14までのいずれか1項記載の単層または多層のリグノセルロース素材の不連続式または連続式の製造方法。
【請求項16】
混合物ABまたは
ABEは、
成分Aを50~99質量%、好ましくは70~97質量%、特に好ましくは80~95質量%、ことに85~92質量%、および
成分Bを1~50質量%、好ましくは3~30質量%、特に好ましくは5~20質量%、ことに8~15質量%、および
成分Eを0~49質量%、好ましくは0~10質量%、特に好ましくは0~5質量%含むことを特徴とする、請求項3から5までのいずれか1項記載の単層または多層のリグノセルロース素材の不連続式または連続式の製造方法。
【請求項17】
混合物ABまたは
ABEは、ほぼ水不含の混合物として使用されることを特徴とする、請求項3から5までおよび16のいずれか1項記載の単層または多層のリグノセルロース素材の不連続式または連続式の製造方法。
【請求項18】
成分LCP-1として木材チップを使用することを特徴とする、請求項1から17までのいずれか1項記載の単層または多層のリグノセルロース素材の不連続式または連続式の製造方法。
【請求項19】
請求項1から18までのいずれか1項記載の単層または多層のリグノセルロース素材の不連続式または連続式の製造方法により得られた単層または多層のリグノセルロース素材を用いる、チップボード
、ファイバーボード
または配向性ストランドボード(OSB)
の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混合物の温度に依存して特別な条件を維持する、単層または多層のリグノセルロース素材の製造方法に関する。
【0002】
欧州特許第1852231号明細書(EP-B-1 852 231)から、リグノセルロース含有材料の粉砕生成物と接着剤とからの木質素材の製造方法は公知であり、ここで、粉砕生成物はホットプレスの前に、無水マレイン酸、フマル酸、アクリル酸、ポリアクリラート、アクリル酸の同族体、またはこれらの混合物の群から選択される成分Cの少なくとも1つの添加剤が添加される。この場合、成分Cは、リファイナーの後方で、繊維に、例えば接着剤の吹込と一緒に混ぜ合わせることができる。接着剤として、とりわけ、尿素-ホルムアルデヒド樹脂(UF樹脂)のようなアミノプラスト樹脂、イソシアナート(PMDI)を基礎とする接着剤、またはこれらの混合物が挙げられる。
【0003】
国際公開第2015/000913号(WO-A-2015/000913)からは、木材チップを結合剤と硬化剤とで接着するリグノセルロース素材の製造方法が公知であり、この場合、硬化剤は、好ましくは結合剤の使用の直前に添加される。結合剤として、とりわけ、アミノプラスト樹脂、少なくとも2つのイソシアナート基を有する有機イソシアナート(例えばPMDI)、またはこれらの混合物が挙げられ、硬化剤として当業者に公知の全ての硬化剤またはこれらの混合物、ことにカルボン酸、スルホン酸、リン酸、ポリリン酸、またはこれらの塩、例えばハロゲン化物が挙げられる。
【0004】
これらの方法は、その製造プロセスに関して不満足な点がある。
【0005】
したがって、本発明の基礎となる課題は、上述の欠点を取り除くことである。
【0006】
したがって、方法工程
(Ia)混合物M1を製造することおよび
(Ib)場合により1つ以上の混合物M2を製造すること、
(II)混合物M1および場合により混合物M2を散布してマットにすること、
(III)場合により散布したマットを予備圧縮すること、ならびに
(IV)ホットプレスすること、
を含む、単層または多層のリグノセルロース素材を製造する新規のかつ改善された、不連続式または連続式の、好ましくは連続式の方法において、
混合物M1は、リグノセルロース粒子(成分LCP-1)および付加的に
a)有機カルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸塩化物またはこれらの混合物(成分A)0.005~0.5質量%、
b)少なくとも2つのイソシアナート基を有する有機イソシアナート(成分B)0.05~3質量%、および
c)アミノプラスト樹脂の群から選択される結合剤(成分C)5~15質量%、
d)硬化剤(成分D)0~2質量%、および
e)添加剤(成分E)0~5質量%
を含み、好ましくはこれらからなり、
かつ混合物M2は、リグノセルロース粒子(成分LCP-2)および付加的に
f)有機カルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸塩化物またはこれらの混合物(成分F)0~0.3質量%、
g)アミノプラスト樹脂、フェノプラスト樹脂、タンパク質を基礎とする結合剤および他のポリマーを基礎とする結合剤またはこれらの混合物からなる群から選択される結合剤(成分G-1)1~30質量%および少なくとも2つのイソシアナート基を有する有機イソシアナート(成分G-2)0~3質量%、
h)硬化剤(成分H)0~2質量%、ならびに
i)添加剤(成分I)0~5質量%
を含み、好ましくはこれらからなり、
ただし、次の条件が満たされるものとする:
amin<a<amax
かつ
amin=[(-1/6000・T)+(65/6000)]、好ましくはamin=[(-1/4500・T)+(65/4500)]、特に好ましくはamin=[(-1/3500・T)+(65/3500)]であり、
かつ
amax=[(-1/2000・T)+(75/2000)]、好ましくはamax=[(-1/2500・T)+(75/2500)]、特に好ましくはamax=[(-1/3000・T)+(75/3000)]であり、
ここで、
Tは、℃で表される、方法工程(Ia)の後の混合物M1の温度であり、かつこの温度は10~65℃、好ましくは12~62℃、特に好ましくは15~60℃であり、かつaは、mol/100gで表される、成分C)の質量に対する成分A)の酸等価体の量である
ことを特徴とする方法が見出された。
【0007】
成分A)の酸等価体の量とは、本発明において、カルボン酸の場合に、molで表されるカルボン酸基の量であり、カルボン酸塩化物の場合に、molで表されるカルボン酸塩化物基の量であると解釈される。カルボン酸無水物の場合には、molで表される酸等価体の量を得るために、molで表されるカルボン酸無水物基の量は二倍される。例えば酢酸が成分A)として使用される場合、成分A)の酸等価体の量は、酢酸x molあたりx molである。例えば無水マレイン酸が成分A)として使用される場合、成分A)の酸等価体の量は、無水マレイン酸x mol当たり、2x molである。
【0008】
成分C)の質量に対する成分A)の酸等価体の量とは、成分C)100g当たりの酸等価体の量であると解釈され、ここで、100gは、成分C)のアミノプラスト樹脂の固形分に関する。
【0009】
方法工程(Ia)の後の混合物M1の温度Tは、全ての成分A)~E)がLCP-1と混合した後で1~120秒、好ましくは1~60秒、特に好ましくは1~20秒、全く特に好ましくは10秒で生じる温度である。温度Tの測定は、接触式温度計または非接触式で測定する温度計を用いて、好ましくは非接触式で測定する温度計を用いて行うことができる。適切な測定機器は、例えば放射温度計、例えばHeitronix Infrarot Messtechnik GmbHのモデルKTXの放射温度計である。温度の測定は、この方法において早い時点でまたは後の時点で行い、かつこの温度から、例えば混合物M1の冷却挙動を考慮して、または添加される成分の温度を考慮して、温度Tを導き出すこともできる。
【0010】
本発明を具体的に説明するために、次にいくつかの例を示す:例えば50℃の温度Tを有する混合物M1を製造し、これにLCP-1)1000gおよび成分C)100gを使用する場合、例えばamin=[(1/3500・50)+(65/3500)]=0.00429は、成分C)100g当たり0.00429molより多い酸等価体を使用することを意味する。この場合、例えば酢酸(分子量=60.1g/mol)を成分A)として使用する場合、成分C)100g当たり、0.00429mol・60.1g/mol/1=0.258gより多い酢酸を使用することを意味する。酢酸の代わりに無水マレイン酸(分子量=98.1g/mol)を使用する場合、同じamin(=0.00429)で、成分C)100g当たり、0.00429mol・98.1g/mol/2=0.210gより多い無水マレイン酸を使用することになる。
【0011】
成分A)~E)またはF)~I)の質量%の表記は、リグノセルロース粒子(成分LCP-1または成分LCP-2)の乾燥質量を基準とした、その都度の成分の質量パーセントである。リグノセルロース粒子の乾燥質量は、この場合常に100質量%に設定される。成分A)~E)またはF)~I)の質量%は、合計で100質量%になる。リグノセルロース粒子の乾燥質量は、その中に含まれる水なしのリグノセルロース粒子の質量である。乾燥質量は、絶乾質量(絶対乾燥)ともいわれる。成分A)~E)およびF)~I)が水を含む場合、つまりこれらの成分は例えば水溶液または水性エマルションの形で使用される場合、この水は質量表記に考慮されていない。例えば、リグノセルロース粒子(乾燥質量)100kg当たり、成分D)として30%の硝酸アンモニウム溶液5kgを使用する場合、硝酸アンモニウム1.5質量%となる。アミノプラスト樹脂(成分CまたはG-1)の場合およびフェノプラスト樹脂(成分G-1)の場合、この質量は、固形分を基準とする。アミノプラスト樹脂またはフェノプラスト樹脂の固形分は、樹脂1gを秤量皿中に秤取し、120℃±2℃で2時間乾燥庫内で乾燥し、この残分をデシケーター内で室温に温度調節した後に秤量することにより決定される(Zeppenfeld, Grunwald, Klebstoffe in der Holz- und Moebelindustrie(木材工業および家具工業における接着剤), DRW Verlag, 第2版, 2005, 286頁)。
【0012】
さらに全ての層は水を含み、この水は質量表記に考慮されていない。
【0013】
水は、リグノセルロース粒子LCP-1)もしくはLCP-2)中に含まれる残留湿分に、結合剤B)、C)もしくはG-1)、G-2)(例えばイソシアナート含有結合剤が水性エマルションとして存在する場合または水性アミノプラスト樹脂が使用される場合)に、付加的に添加された水(例えば結合剤の希釈のためまたは外層を湿らせるため)に、添加剤E)もしくはI)(例えば水性パラフィンエマルション)に、または硬化剤D)もしくはH)(例えば水性アンモニウム塩溶液)に由来することがある。個々の層の含水率は、全乾燥質量100質量%を基準として、20質量%まで、つまり0~20質量%、好ましくは2~15質量%、特に好ましくは4~10質量%であってよい。好ましくは、外層DS-AおよびDS-C中の含水率は、コア-B中の含水率よりも大きい。
【0014】
多層のリグノセルロース素材の構造は、次のモデルに従う:
(A)外層(DS-A)、上側の外層
(B)コア(コア-B)および
(C)外層(DS-C)、下側の外層、
ここで、外層DS-AおよびDS-Cは、その都度、同じまたは異なる組成の、1以上の、つまり1~5つの、好ましくは1~3つの、特に好ましくは1または2つの層、全く特に好ましくは1つの層から構成されていてよく、かつ外層DS-AおよびDS-Cの組成は同じまたは異なり、好ましくは同じである。
【0015】
単層のリグノセルロース素材は、コア(コア-B)に相当する1つの層だけからなり、外層DS-AおよびDS-Cは有しない。
【0016】
好ましくは、多層の、全く特に好ましくは三層のリグノセルロース素材は、つまり、1つのコアと、上側の外層および下側の外層から構成されているリグノセルロース素材である。
【0017】
外層に対して付加的に、多層のリグノセルロース素材は、任意の組成を有する他の外側の「保護層」、好ましくは2つの他の外側の層、つまり外層DS-A(1つの層の場合)に隣接するかもしくは上側の外層DS-A(複数の層の場合)の最上の外層に隣接する上側の保護層と、外層DS-C(1つの層の場合)に隣接するかもしくは下側の外層DS-C(複数の層の場合)の最下の外層と隣接する下側の保護層を含むことができる。
【0018】
これらの保護層は、外層よりも明らかに薄い。保護層と外層との質量比は、10:90より小さく、好ましくは5:95より小さい。全く特に好ましくは、保護層は存在しない。
【0019】
単層のリグノセルロース素材は、コア-Bの層に対して付加的に、任意の組成を有する複数の保護層、好ましくは2つの他の外側の層、つまりコア-Bの層に隣接する上側の保護層と下側の保護層を含んでよい。保護層とコア-Bとの質量比は、5:95より小さく、好ましくは2:98より小さい。全く特に好ましくは、保護層は存在しない。
【0020】
単層または多層のリグノセルロース素材として、例えば、リグノセルロース粒子から製造された梁または板のような梁状または板状の製品、好ましくはリグノセルロース粒子から製造された板のような板状の製品が適している。
【0021】
リグノセルロース素材の本発明による製造方法は、次の方法工程を含む:
(Ia)単層のリグノセルロース素材用のまたは多層のリグノセルロース素材のコア用の成分を有するリグノセルロース粒子(成分LCP-1)の混合物を製造すること、
(Ib)場合により、多層のリグノセルロース素材の外側の層用の成分を有するリグノセルロース粒子(成分LCP-2)の混合物を製造すること、
(II)方法工程(Ia)および場合により(Ib)で製造された混合物を散布してマットにすること、
(III)場合により散布したマットを予備圧縮すること、および
(IV)場合により予備圧縮されたマットをホットプレスすること。
【0022】
0質量%であってもよい成分は、場合によってのみ、リグノセルロース素材中にもしくはここに記載された混合物中に含まれるにすぎない。
【0023】
本発明による方法は、次のように実施することができる:
方法工程(Ia)および(Ib) - 個々の層用の混合物の製造:
成分LCP-1)、A)、B)、C)、D)およびE)(コアの組成)および場合により成分LCP-2)、F)、G-1)、G-2)、H)およびI)(外層の組成)は、別々の混合手順で混合され、ここで、原則としてその都度、リグノセルロース粒子[成分LCP-1)または場合により成分LCP-2)]を装入し、残りの成分A)、B)、C)、D)およびE)または場合によりF)、G-1)、G-2)、H)およびI)を任意の順序で添加する。
【0024】
個々の成分A)、B)、C)、D)およびE)の混合物を使用することも可能であり、つまり例えば成分D)およびE)を、この両方の成分を一緒にリグノセルロース粒子LCP-1)と混合する前に混合することも可能である。成分A)、B)、C)、D)およびE)は、この場合、分量に分け、この分量を、異なる時点で、個別にまたは混合して、リグノセルロース粒子LCP-1)と混合することができる。分量に分けられたこれらの成分が、いくつかの異なる材料からなる場合、個々の分量は、異なる組成を有していてよい。この可能性は、多層の木質素材の場合に、外層中の成分F)、G-1)、G-2)、H)およびI)についても同様に存在する。
【0025】
好ましい実施形態の場合に、外層用に1つの混合物だけを製造し、この混合物を、両方の外層(DS-AおよびDS-C)用に、その質量比に応じて分ける。
【0026】
さらに、成分LCP-1)またはLCP-2)が、異なる木材種および/または粒子サイズの混合物から構成されていることも可能である。好ましい実施形態の場合に、多層の木質素材において、成分LCP-1)の平均粒子サイズが、成分LCP-2)の平均粒子サイズよりも大きい。
【0027】
方法工程(Ia) - 混合物M1の製造
場合により別個の工程で成分B)、D)およびE)の群から選択される1つ以上の成分と混合された成分C)と、成分A)、または成分A)と成分B)との混合物[混合物AB)]、または成分A)と成分B)および成分E)との混合物[混合物ABE)]とを、
(1)互いに別々に、または
(2)混合物として
好ましくは混合物として、リグノセルロース粒子LCP-1)に、またはリグノセルロース粒子LCP-1)と成分B)、D)およびE)の群から選択される1つ以上の成分との混合物に添加してよい。
【0028】
(1) 互いに別々の場合
互いに別々に行われる添加とは、この場合、成分C)[または成分C)と、成分B)、D)およびE)の群から選択される1つ以上の成分との混合物]と、成分A)または混合物AB)または混合物ABE)とを、別個の塗工装置、例えばノズルまたはアプリケータを用いて、リグノセルロース粒子LCP-1)、またはリグノセルロース粒子LCP-1)と、成分B)、D)およびE)の群から選択される1つ以上の成分との混合物に添加することであると解釈される。塗工装置は、この場合、成分C[または成分C)と、成分B)、D)およびE)の群から選択される1つ以上の成分との混合物]の添加と、成分A)または混合物AB)または混合物ABE)の添加とが、互いに任意の順序で順々に行われるように、空間的に配置されているかまたは時間的に切り替えられてよい。好ましくは、塗工装置は、成分C)[または成分C)と、成分B)、D)およびE)の群から選択される1つ以上の成分との混合物]と、成分A)または混合物AB)または混合物ABE)、好ましくは混合物AB)または混合物ABE)、全く特に好ましくは混合物AB)とは、リグノセルロース粒子LCP-1)またはリグノセルロース粒子LCP-1)と、成分B)、D)およびE)の群から選択される1つ以上の成分との混合物とに、同時に添加されるように配置されている。原則として、これは、塗工装置が直接空間的に近接していることにより実現される。この場合、塗工装置は、好ましい実施形態の場合に、これらの成分が、塗工装置からリグノセルロース粒子LCP-1)までの経路で部分的にまたは完全に混合されるように調整されていてもよい。
【0029】
成分B)は、成分C)と、成分B)、D)およびE)の群から選択される1つ以上の成分との混合物の構成要素、つまり混合物AB)または混合物ABE)の構成要素である場合、両方の混合物中にB)の部分量が使用されると解釈される。さらに、B)は、他の部分量として、別々に(つまりこれらの両方の混合物の構成要素としてではなく)使用されてもよい。
【0030】
(2)混合物としての場合
混合物としての添加は、例えば、成分C)または成分C)を含む混合物、および成分A)または成分A)を含む混合物または成分A)とB)とを含む混合物、好ましくは成分A)と成分B)とを含む混合物を、別個の容器から、混合装置、例えば混合容器またはスタティックミキサーに供給し、その中で混合し、こうして得られた混合物を、0.1~3600秒、好ましくは0.1~300秒、特に好ましくは0.1~60秒、ことに0.1~10秒、全く特に好ましくは0.1~2秒の間に、リグノセルロース粒子LCP-1)またはリグノセルロース粒子LCP-1)と、成分B)、D)およびE)の群から選択される1つ以上の成分との混合物に添加することにより行うことができる。表記された期間は、成分C)または成分C)を含む混合物が、成分A)、または成分A)を含む混合物、または成分A)と成分B)とを含む混合物と混合装置中で接触してから、混合装置内で製造された、C)とA)とを含む混合物が、リグノセルロース粒子LCP-1)と接触するまでの時間をいう。この混合物を、リグノセルロース粒子LCP-1)またはリグノセルロース粒子LCP-1)と、成分B)、D)およびE)の群から選択される1つ以上の成分との混合物に添加することは、通常の塗工装置、例えばノズルまたはアプリケータを用いて行うことができる。
【0031】
成分A)、B)、C)、D)およびE)は、部分量に分けられていてもよい。この部分量は、多様な時点で、および多様な成分と混合して添加されてよい。
【0032】
(1)互いに別々についての実施形態
例えば、成分LCP-1)を装入し、成分C)を混合し、引き続き
・ 成分D)を添加し、引き続き成分A)とB)とを一緒にまたは任意の順序で、好ましくは一緒に添加し、引き続き成分E)を添加するか、または
・ 成分E)を添加し、引き続き成分A)とB)とを一緒にまたは任意の順序で、好ましくは一緒に添加し、引き続き成分D)を添加するか、または
・ 成分D)とE)を一緒にまたは任意の順序で添加し、引き続き成分A)と成分B)とを一緒にまたは任意の順序で、好ましくは一緒に添加するか、または
・ 成分A)とB)を一緒にまたは任意の順序で、好ましくは一緒に添加し、引き続き成分D)とE)とを一緒にまたは任意の順序で添加することができる。
【0033】
例えば、成分LCP-1)を装入し、成分C)および成分D)を一緒にまたは任意の順序で混合し、引き続き
・ 成分E)を添加し、引き続き成分A)とB)とを一緒にまたは任意の順序で、好ましくは一緒に添加するか、または
・ 成分A)とB)とを一緒にまたは任意の順序で、好ましくは一緒に添加し、引き続き成分E)を添加することができる。
【0034】
例えば、成分LCP-1)を装入し、成分C)を混合し、引き続き
・ 成分D)を添加し、引き続き成分E)と、成分A)とB)との混合物とを一緒にまたは任意の順序で、好ましくは一緒に添加するか、または
・ 成分E)と、成分A)とB)との混合物とを一緒にまたは任意の順序で、好ましくは一緒に添加し、引き続き成分D)を添加することができる。
【0035】
例えば、成分LCP-1)を装入し、成分C)を混合し、引き続き
・ 成分D)と成分E)の部分量とを一緒にまたは任意の順序で添加し、引き続き成分E)の別の部分量と、成分A)とB)との混合物とを一緒にまたは任意の順序で、好ましくは一緒に添加するか、または
・ 成分E)の部分量と、成分A)とB)との混合物とを一緒にまたは任意の順序で、好ましくは一緒に添加し、引き続き成分E)の別の部分量と成分D)とを一緒にまたは任意の順序で添加することができる。
【0036】
例えば、成分LCP-1)を装入し、成分C)および成分D)および成分A)の部分量を一緒にまたは任意の順序で混合し、引き続き
・ 成分E)を添加し、引き続き成分A)の別の部分量と成分B)とを一緒にまたは任意の順序で、好ましくは一緒に添加するか、または
・ 成分A)の別の部分量と成分B)とを一緒にまたは任意の順序で、好ましくは一緒に添加し、引き続き成分E)を添加することができる。
【0037】
例えば、成分LCP-1)を装入し、成分E)および成分C)を一緒にまたは任意の順序で混合し、引き続き
・ 成分D)を添加し、引き続き成分A)とB)とを一緒にまたは任意の順序で、好ましくは一緒に添加するか、または
・ 成分A)とB)とを一緒にまたは任意の順序で、好ましくは一緒に添加し、引き続き成分D)を添加することができる。
【0038】
例えば、成分LCP-1)を装入し、成分A)および成分B)を一緒にまたは任意の順序で、好ましくは一緒に混合し、引き続き
・ 成分E)を添加し、引き続き成分C)とD)とを一緒にまたは任意の順序で、好ましくは一緒に添加するか、または
・ 成分C)とD)とを一緒にまたは任意の順序で、好ましくは一緒に添加し、引き続き成分E)を添加することができる。
【0039】
例えば、成分LCP-1)を装入し、成分E)を混合し、引き続き
・ 成分C)と成分D)とを一緒にまたは任意の順序で、好ましくは一緒に添加し、引き続き成分A)とB)とを一緒にまたは任意の順序で、好ましくは一緒に添加するか、または
・ 成分A)とB)とを一緒にまたは任意の順序で、好ましくは一緒に添加し、引き続き成分C)と成分D)とを一緒にまたは任意の順序で添加することができる。
【0040】
例えば、成分LCP-1)を装入し、成分A)および成分B)の第一の部分量を一緒にまたは任意の順序で、好ましくは一緒に混合し、引き続き
・ 成分E)を添加し、引き続き成分C)とD)とを一緒にまたは任意の順序で、好ましくは一緒に添加するか、または
・ 成分C)とD)とを一緒にまたは任意の順序で、好ましくは一緒に添加し、引き続き成分E)を添加することができ、
ここで、成分B)の第二の部分量を、任意の時点で、好ましくは成分A)と第一の部分量B)との添加の前または後で、特に好ましくは後で添加する。
【0041】
例えば、成分LCP-1)を装入し、成分E)を混合し、引き続き
・ 成分C)と成分D)とを一緒にまたは任意の順序で、好ましくは一緒に添加し、引き続き成分A)と成分B)の第一の部分量とを一緒にまたは任意の順序で、好ましくは一緒に添加するか、または
・ 成分A)と成分B)の部分量とを一緒にまたは任意の順序で、好ましくは一緒に添加し、引き続き成分C)と成分D)とを一緒にまたは任意の順序で添加することができ、
ここで、成分B)の第二の部分量を、任意の時点で、好ましくは成分A)と第一の部分量B)との添加の前または後で、特に好ましくは後で添加する。
【0042】
好ましくは、成分LCP-1)を装入し、成分C)および成分D)を一緒にまたは任意の順序で混合し、引き続き
・ 成分E)を添加し、引き続き成分A)とB)とを一緒にまたは任意の順序で、好ましくは一緒に添加するか、または
・ 成分A)とB)とを一緒にまたは任意の順序で、好ましくは一緒に添加し、引き続き成分E)を添加する。
【0043】
さらに好ましくは、成分LCP-1)を装入し、成分A)および成分B)を一緒にまたは任意の順序で、好ましくは一緒に混合し、引き続き
・ 成分E)を添加し、引き続き成分C)とD)とを一緒にまたは任意の順序で、好ましくは一緒に添加するか、または
・ 成分C)とD)とを一緒にまたは任意の順序で、好ましくは一緒に添加し、引き続き成分E)を添加する。
【0044】
さらに好ましくは、成分LCP-1)を装入し、成分E)を混合し、引き続き
・ 成分C)と成分D)とを一緒にまたは任意の順序で、好ましくは一緒に添加し、引き続き成分A)とB)とを一緒にまたは任意の順序で、好ましくは一緒に添加するか、または
・ 成分A)とB)とを一緒にまたは任意の順序で、好ましくは一緒に添加し、引き続き成分C)と成分D)とを一緒にまたは任意の順序で添加する。
【0045】
(2)混合物としてについての実施形態
例えば、成分LCP-1)を装入し、成分E)を混合し、引き続き成分A)とB)とC)とD)との混合物を添加することができる。
【0046】
例えば、成分LCP-1)を装入し、成分A)とB)とC)とD)との混合物を混合し、引き続き成分E)を添加することができる。
【0047】
例えば、成分LCP-1)を装入し、成分E)の部分量を混合し、引き続き成分E)の別の部分量と成分A)とB)とC)とD)との混合物を添加することができる。
【0048】
例えば、成分LCP-1)を装入し、成分E)の部分量と成分A)とB)とC)とD)との混合物を混合し、引き続き成分E)の別の部分量を添加することができる。
【0049】
例えば、成分LCP-1)を装入し、成分C)と成分A)との混合物を混合し、引き続き
・ 成分B)を添加し、引き続き
・ 成分D)とE)とを一緒にまたは任意の順序で添加することができる。
【0050】
例えば、成分LCP-1)を装入し、成分A)とC)とD)との混合物を混合し、引き続き成分B)とE)とを一緒にまたは任意の順序で添加することができる。
【0051】
例えば、成分LCP-1)を装入し、成分A)とB)とC)との混合物を混合し、引き続き成分D)とE)とを一緒にまたは任意の順序で添加することができる。
【0052】
例えば、成分LCP-1)を装入し、成分D)とE)との混合物を一緒にまたは任意の順序で混合し、引き続き成分A)とB)とC)との混合物を添加することができる。
【0053】
例えば、成分LCP-1)を装入し、成分D)を混合し、引き続き、成分A)とB)とC)との混合物を添加し、引き続き成分E)を添加することができる。
【0054】
例えば、成分LCP-1)を装入し、成分E)を混合し、引き続き成分A)とB)とC)との混合物を添加し、引き続き成分D)を添加することができる。
【0055】
例えば、成分LCP-1)を装入し、成分B)の第一の部分量と成分A)とC)との混合物を混合し、引き続き成分D)とE)とを一緒にまたは任意の順序で添加することができ、ここで、成分B)の第二の部分量を、任意の時点で、好ましくは成分D)とE)との添加の前に添加する。
【0056】
例えば、成分LCP-1)を装入し、成分D)およびE)を一緒にまたは任意の順序で混合し、引き続き成分B)の第一の部分量と成分A)とC)との混合物を添加することができ、ここで、成分B)の第二の部分量を、任意の時点で、好ましくは成分D)とE)との添加の後に添加する。
【0057】
例えば、成分LCP-1)を装入し、成分D)を混合し、引き続き成分B)の第一の部分量と成分A)とC)との混合物を添加し、引き続き成分E)を添加することができ、ここで、成分B)の第二の部分量を、任意の時点で、好ましくはE)の添加の前に添加する。
【0058】
例えば、成分LCP-1)を装入し、成分E)を混合し、引き続き成分B)の第一の部分量と成分A)とC)との混合物を添加し、引き続き成分D)を添加することができ、ここで、成分B)の第二の部分量を、任意の時点で、好ましくは成分D)の添加の前に添加する。
【0059】
例えば、成分LCP-1)を装入し、成分A)とC)とD)との混合物を混合し、引き続き成分B)とE)とを一緒にまたは任意の順序で添加することができる。
【0060】
好ましい実施形態の場合に、成分LCP-1)を装入し、成分E)を混合し、引き続き成分A)とB)とC)とD)との混合物を添加することができる。
【0061】
他の好ましい実施形態の場合に、成分LCP-1)を装入し、成分A)とB)とC)とD)との混合物を混合し、引き続き成分E)を添加することができる。
【0062】
他の好ましい実施形態の場合に、成分LCP-1)を装入し、成分E)の部分量を混合し、引き続き成分E)の別の部分量と成分A)とB)とC)とD)との混合物を添加することができる。
【0063】
他の好ましい実施形態の場合に、成分LCP-1)を装入し、成分E)の部分量と成分A)とB)とC)とD)との混合物を混合し、引き続き成分E)の別の部分量を添加することができる。
【0064】
方法工程(Ib) - 1つ以上の混合物M2の製造
場合により別個の工程で成分G-2)、H)およびI)の群から選択される1つ以上の成分と混合された成分G-1)と、成分F)、または成分F)と成分G-2)との混合物、または成分F)とG-2)とI)との混合物とを、
(1)互いに別々に、または
(2)混合物として
好ましくは混合物として、リグノセルロース粒子LCP-2)に、またはリグノセルロース粒子LCP-2)と、成分B)、D)およびE)の群から選択される1つ以上の成分との混合物に添加してよい。
【0065】
(1)互いに別々に、および(2)混合物としてとは、成分C)[またはC)を含む混合物]と、成分A)、もしくは成分A)とB)との混合物、もしくは成分A)とB)とE)との混合物との混合物についてすでに説明され、かつこれと相応することが当てはまると解釈される。
【0066】
成分F)、G-1)、G-2)、H)およびI)は、部分量に分けられてもよい。この部分量は、異なる時点で、および異なる成分と混合して添加されてよい。
【0067】
例えば、成分LCP-2)を装入し、成分G)(ここで、および以後、成分G)は、成分G-1)または成分G-1)およびG-2)を意味する)を一緒にまたは任意の順序で混合し、引き続き
・ 成分H)を添加し、引き続き成分F)を添加し、引き続き成分I)を添加するか、または
・ 成分H)とI)との混合物を一緒にまたは任意の順序で、好ましくはまず成分H)を添加して引き続き成分I)を添加し、引き続き成分F)を添加するか、または
・ F)とH)との混合物を一緒にまたは任意の順序で添加し、引き続き成分I)を添加することができる。
【0068】
例えば、成分LCP-2)を装入し、成分G)および成分H)を一緒にまたは任意の順序で混合し、引き続き
・ 成分F)を添加し、引き続き成分I)を添加するか、または
・ 成分I)を添加し、引き続き成分F)を添加することができる。
【0069】
例えば、成分LCP-2)を装入し、成分I)を混合し、引き続き成分G)を混合し、引き続き
・ 成分H)を添加し、引き続き成分F)を添加するか、または
・ 成分F)とH)との混合物を一緒にまたは任意の順序で、好ましくは最初に成分F)を添加して引き続き成分H)を添加するか、または
・ F)とH)との混合物を一緒にまたは任意の順序で添加することができる。
【0070】
例えば、成分LCP-2)を装入し、引き続き
・ 成分F)を添加し、引き続き成分G)、H)、I)を一緒にまたは任意の順序で、好ましくは一緒の混合物として添加するか、または
・ 成分G)、H)およびI)を一緒にまたは任意の順序で、好ましくは一緒の混合物として添加し、引き続き成分F)を添加することができる。
【0071】
特に好ましくは、LCP-2)を装入し、成分G)とH)との混合物を一緒にまたは任意の順序で混合し、引き続き成分F)を混合し、引き続き成分I)を混合するか、またはLCP-2)を装入し、成分G)とH)とI)との混合物を一緒にまたは任意の順序で混合し、引き続き成分Gを混合するか、またはLCP-2)を装入し、成分F)を混合し、引き続き成分G)とH)とI)との混合物を一緒にまたは任意の順序で混合する。
【0072】
成分A)~E)と成分LCP-1)との混合、またはF)~I)と成分LCP-2)との混合は、例えばM. Dunky, P. Niemz, Holzwerkstoffe und Leime, 118 - 119頁および145頁, Springer Verlag Heidelberg, 2002に記載されているような木質素材工業において公知の方法により行うことができる。
【0073】
この混合は、中空シャフトを介して接着剤添加する高速稼動するリングミキサー(内部接着)またはノズルを介して外部から接着剤添加する高速稼動するリングミキサー(外部接着)のような装置内で、成分または成分の混合物をリグノセルロース粒子に吹き付けることにより行うことができる。
【0074】
リグノセルロース繊維が成分LCP-1)またはLCP-2)として使用される場合、この吹き付けは、リファイナーの後のブローライン中で行われてもよい。
【0075】
リグノセルロースストリップ(ストランド)が成分LCP-1)またはLCP-2)として使用される場合、この吹き付けは、原則として大容量の低速稼動するミキサー中で行われる。
【0076】
この混合は、例えば独国特許出願公開第10247412号明細書(DE-A-10 247 412)または独国特許出願公開第10104047号明細書(DE-A-10 104 047)に記載されているように、降下シャフト内での吹き付けによって、またはDieffenbacher GmbHのEvojet技術で実現されているようなリグノセルロース粒子からなるカーテンの噴霧により行われてもよい。
【0077】
方法工程(II) - 方法工程(I)で製造された混合物を散布してマットにする
単層のリグノセルロース素材用に、得られた混合物LCP-1)、A)、B)、C)、D)およびE)を散布してマットにする。
【0078】
多層のリグノセルロース素材用に、成分LCP-1)、A)、B)、C)、D)およびE)の得られた混合物ならびにLCP-2)、F)、G)、H)およびI)の混合物を、互いに重ねて散布してマットにすることで、多層のリグノセルロース素材の[パターン(A)、(B)、(C)による]本発明による構造が生じる。この場合、原則として、下側の外層を、または最も外側の外層から始まりコアに接する下側の外層までの複数の下側の外層を、その上にコア層を、引き続きコアに接する上側の外層から始まり最も外側の外層までの複数の上側の外層を散布する。好ましくは、下側の外層を、その上にコア層を、引き続き上側の外層を散布する。コア層は、一段階または多段階で、好ましくは二段階で散布することができる。
【0079】
原則として、マット面積当たりの、コア用に使用された混合物M1の質量は、外層用に使用された混合物M2の質量よりも大きくなるように散布される。マット面積当たりの混合物M1およびM2の全質量は、リグノセルロース素材の目標とされる厚みおよび密度に基づいて生じる。
【0080】
単層または多層のリグノセルロース層が付加的な保護層を含むべき場合に、この保護層の形成のために必要な材料混合物を、その都度、マットの最も下側の層および最も上側の層として散布する。
【0081】
原則として、この混合物を、支持体、例えば成形ベルトに直接散布する。
【0082】
この散布は、機械式散布(Wurfsichtstreuung)または空気式散布(Windsichtstreuung)のような自体公知の方法により、または例えばロールシステム(例えば、M. Dunky, P. Niemz, Holz-Werkstoffe und Leime, 119 - 121頁, Springer Verlag Heidelberg, 2002参照)を用いて、不連続式にまたは連続式に、好ましくは連続式に実施することができる。
【0083】
方法工程(Ia)と方法工程(II)との間に、つまり混合物M1の仕上がりから散布の開始までに、3~60分、好ましくは4~45分、特に好ましくは5~25分の期間を置いてよい。この時間内で、混合物M1は、例えば混合装置から散布装置に輸送される。混合物は、例えば散布貯蔵庫中で中間貯蔵されてもよい。連続的なプロセスの場合に、記述された時間は平均滞留時間であると解釈される。混合物M1の温度は、この期間内で変化してもよい。原則として、この温度の変化は、10℃未満、好ましくは5℃未満、特に好ましくは3℃未満である。
【0084】
方法工程(III) - 場合による散布されたマットの予備圧縮
各個別の層の散布後に、予備圧縮を行ってよい。多層のリグノセルロース素材の場合、原則として、各個別の層の散布後に予備圧縮を行ってよく、好ましくは、全ての層を重ねて散布した後に予備圧縮が実施される。
【0085】
予備圧縮は、例えばM. Dunky, P. Niemz, Holzwerkstoffe und Leime, Springer Verlag Heidelberg, 2002, 819頁またはH.-J. Deppe, K. Ernst, MDF - Mitteldichte Faserplatte, DRW-Verlag, 1996, 44, 45および93頁またはA. Wagenfuehr, F. Scholz, Taschenbuch der Holztechnik, Fachbuchverlag Leipzig, 2012, 219頁に記載されているような当業者に公知の方法により行うことができる。
【0086】
予備圧縮の間またはその後でかつ方法工程(IV)の前に、予熱工程で1つ以上の任意のエネルギー源を用いてエネルギーをマット内に導入することができる。エネルギー源として、熱風、水蒸気、蒸気/空気混合物または電気エネルギー(高周波の高電圧場またはマイクロ波)が適している。マットは、この場合、コアにおいて40~130℃、好ましくは50~100℃、特に好ましくは55~75℃に加熱される。多層のリグノセルロース素材の場合の水蒸気および蒸気/空気混合物を用いた予熱は、外層だけが加熱され、コアは加熱されないように実施されてもよい。好ましくは、多層のリグノセルロース素材の場合であっても、コアと外層とが加熱される。
【0087】
予備圧縮後に予熱を行う場合、加熱の間のマットの反り(Auffedern)は、この加熱を上方および下方に制限された空間で実施することにより抑制することができる。この場合、制限面は、エネルギー導入が可能であるように構成されている。例えば、熱風、水蒸気または水蒸気-空気混合物の貫流を可能にする有孔プラスチックベルトまたはスチールネットが使用されてよい。場合により、この制限面は、加熱の間の反りを抑制するほど大きい圧力をマットに加えるように構成されている。
【0088】
原則として、予備圧縮後に予熱は行わない、つまり散布されたマットは方法工程(III)の後に、方法工程(III)より前の温度より低い温度または同じ温度を有する。
【0089】
圧縮は、1、2またはそれ以上の工程で行ってよい。
【0090】
本発明による方法は、また予備圧縮なしで実施されてもよい。しかしながら、好ましくは予備圧縮は行われる。
【0091】
予備圧縮は、原則として、1~30bar、好ましくは2~25bar、特に好ましくは3~20barの圧力で行われる。
【0092】
方法工程(II)の開始と方法工程(III)の開始との間に、つまり散布の開始から予備圧縮の開始までに、例えば1~120秒、好ましくは2~60秒、特に好ましくは3~20秒の期間を置いてよい。
【0093】
方法工程(IV) - 場合により予備圧縮されたマットのホットプレス
方法工程(IV)において、マットの厚みは、プレス圧力の印加により(さらに)低減される。この場合、マットの温度は、エネルギーの導入により高められる。最も簡単な場合には、一定のプレス圧力が印加され、かつ同時に一定の出力のエネルギー源により加熱される。エネルギー導入も、プレス圧力による圧縮も、その都度異なる時点でおよびいくつかの段階で行われてよい。方法工程(IV)におけるエネルギー導入は、原則として、
a)高周波電場を印加することにより、および/または
b)ホットプレスにより、つまりプレス工程の間に加熱された面、例えばプレスプレートからマットへの熱伝達により、好ましくはb)ホットプレスにより
行われる。
【0094】
a)高周波電場を印加することによるエネルギー導入
高周波電場の印加によるエネルギー導入の場合、マットは、方法工程(IV)において高周波電場の遮断後に、コアの層が90℃を超える温度を有するように加熱される。
【0095】
高周波電場が遮断される場合、コア内の温度は、少なくとも90℃、つまり90~170℃、好ましくは少なくとも100℃、つまり100~170℃、特に好ましくは少なくとも110℃、つまり110~170℃、ことに少なくとも120℃、つまり120~170℃である。
【0096】
印加される高周波電場は、マイクロ波放射、または高周波交流電圧場をプレートコンデンサに印加した後に2つのコンデンサプレートの間に生じる高周波電場であってよい。
【0097】
好ましい実施形態の場合に、まず、圧縮工程を、次に高周波交流電圧場の印加による加熱を実施することができる。
【0098】
このため、散布されかつ圧縮されたマットは、コンベアベルトを用いて、平行に配置されたプレートコンデンサの間の領域を通過するように案内されてよい。
【0099】
圧縮後に、同じ機械内で、高周波電場の印加による加熱を実現するための連続的なプロセス用の装置は、例えば国際公開第97/28936号(WO-A-97/28936)に記載されている。
【0100】
圧縮工程直後の加熱は、不連続式に稼動する高周波プレス中で、例えばHoefer Presstechnik GmbH社のPresse HLOP 170の高周波プレス中で行われてもよい。
【0101】
圧縮後に加熱を行う場合、加熱を上方または下方への制限された空間内で実施することにより、加熱の間のマットの反りを制限、最少化もしくは抑制することができる。この場合、制限面は、エネルギー導入が可能であるように構成されている。場合により、この制限面は、加熱の間の反りを抑制するほど大きい圧力をマットに加えるように構成されている。
【0102】
連続的なプロセス用の特別な実施形態の場合に、この制限面とは、ロールにより駆動されるプレスベルトである。このプレスベルトの後方に、コンデンサのプレートが配置されている。この場合、マットは、一対のコンデンサプレートを通るように案内され、ここで、マットと、上方のコンデンサプレートとの間に一方のプレスベルトが存在し、かつ下方のコンデンサプレートとの間に他方のプレスベルトが存在する。両方のコンデンサプレートの一方は接地されていてよいため、高周波加熱は、非対称給電の原理に従って稼動される。
【0103】
多層のリグノセルロース素材において、外層DS-AおよびDS-Cは、方法工程(IV)によりコア-Bとは異なる温度を有することができる。原則として、温度差は、0~50℃である。
【0104】
b)ホットプレスによるエネルギー導入
ホットプレスによるエネルギー導入は、通常では、80~300℃、好ましくは120~280℃、特に好ましくは150~250℃の温度を有する加熱されたプレス面との接触により行われ、ここで、エネルギー導入の間に1~50bar、好ましくは3~40bar、特に好ましくは5~30barの圧力で押圧される。このプレスは、当業者に公知の全ての方法(例えば「Taschenbuch der Spanplatten Technik」 H.-J. Deppe, K. Ernst, 第4版, 2000, DRW - Verlag Weinbrenner, Leinfelden Echterdingen, 232 - 254頁、および「MDF-Mitteldichte Faserplatten」 H.-J. Deppe, K. Ernst, 1996, DRW- Verlag Weinbrenner, Leinfelden-Echterdingen, 93 - 104頁参照)により行うことができる。好ましくは、例えば二重ベルトプレスを用いた連続的なプレス法が使用される。プレス時間は、プレートの厚み1mmあたり通常では2~15秒、好ましくは2~10秒、特に好ましくは2~6秒、ことに2~4秒である。
【0105】
方法工程(IV)におけるエネルギー導入を、a)高周波電場の印加により、およびb)ホットプレスにより行う場合、好ましくは、まず工程a)を、次いで工程b)を実施する。
【0106】
方法工程(II)の開始と方法工程(IV)の開始の間に、つまり散布の開始からホットプレスの開始までで、例えば5~300秒、好ましくは7~120秒、特に好ましくは10~60秒の期間が置かれてよい。
【0107】
コアの成分LCP-1)、A)、B)、C)、D)、E)および外層の成分LCP-2)、F)、G-1)、G-2)、H)、I)は、次の条件を有する。
【0108】
成分LCP-1)およびLCP-2):
リグノセルロース粒子LCP-1)およびLCP-2)用の原料としては、任意のあらゆる種類の木材またはこの木材の混合物、例えばトウヒ材、ブナ材、マツ材、カラマツ材、シナ材、ポプラ材、ユーカリ材、トリネコ材、クリ材、モミ材またはこれらの混合物、好ましくは、トウヒ材、ブナ材またはこれらの混合物、ことにトウヒ材が適しており、かつ例えば木材部分、例えば木材層、木材ストリップ(ストランド)、木材チップ、木材繊維、木材粉またはこれらの混合物、好ましくは木材チップ、木材繊維、木材粉、およびこれらの混合物、特に好ましくはチップボード、MDF(中密度ファイバーボード)およびHDF(高密度ファイバーボード)の製造用に使用されるような木材チップ、木材繊維またはこれらの混合物、全く特に好ましくは木材チップを使用することができる。リグノセルロース粒子は、木質の植物、例えば亜麻、大麻、穀類、または他の一年草、好ましくは亜麻または大麻に由来してもよい。特に好ましくは、チップボードの製造の際に使用されるような木材チップが使用される。
【0109】
リグノセルロース粒子用の出発材料は、通常では、丸材、間伐材、残余木材、森林廃材、工業用残余木材、使用済木材、木質素材生産からの生産廃材、使用済木質素材ならびにリグノセルロース含有植物である。所望のリグノセルロース含有粒子、例えば木材粒子、例えば木材チップまたは木材繊維に加工することは、自体公知の方法により行うことができる(例えばM. Dunky, P. Niemz, Holzwerkstoffe und Leime, 91 - 156頁, Springer Verlag Heidelberg, 2002)。
【0110】
リグノセルロース粒子のサイズは、広い範囲で変化してよく、かつ広い範囲で変動してよい。
【0111】
リグノセルロース粒子LCP-1)およびLCP-2)が、リグノセルロース繊維である場合、外層の成分LCP-2)の体積加重平均繊維長は、好ましくは、多層のリグノセルロース素材のコア中の成分LCP-1)の体積加重平均繊維長よりも小さいかまたは同じであり、特に好ましくは小さい。成分LCP-2)の体積加重平均繊維長(
【数1】
)の、成分LCP-1)の体積加重平均繊維長(
【数2】
)に対する比率は、広い範囲で変化してよく、かつ原則として0.1:1~1:1、好ましくは0.5:1~1:1、特に好ましくは0.8:1~1:1である。
【0112】
成分LCP-1)の体積加重平均繊維長(
【数3】
)は、原則として、0.1~20mm、好ましくは0.2~10mm、特に好ましくは0.3~8mm、全く特に好ましくは0.4~6mmである。
【0113】
体積加重平均繊維長
【数4】
は、デジタル画像分析により決定される。例えば、Retsch Technology社のCamsizer(登録商標)シリーズの機器を使用することができる。この場合、代表的な試料の各個別の繊維からX
Streckeは決定される。X
Streckeは、粒子投影の面積AとMartin直径X
Ma_minから計算される。この場合、X
Strecke=X
Ma_min/Aである。個々の値から、体積加重平均値
【数5】
が形成される。測定方法および評価は、Camsizer Handbuch(Bedienungsanleitung/Handbuch Korngroessenmesssystem CAMSIZER(登録商標), Retsch Technology GmbH, Version 0445.506, Release 002, Revision 009, 25.06.2010)に記載されている。
【0114】
リグノセルロース粒子LCP-1)およびLCP-2)が、リグノセルロースストリップ(ストランド)またはリグノセルロースチップである場合、外層の成分LCP-2)の体積加重平均粒径は、好ましくは、多層のリグノセルロース素材のコア中の成分LCP-1)の体積加重平均粒径よりも小さいかまたは同じであり、特に好ましくは小さい。成分LCP-2)の体積加重平均粒径
【数6】
の、成分LCP-1)の体積加重平均粒径
【数7】
に対する比率は、広い範囲で変化してよく、かつ原則として0.01:1~1:1、好ましくは0.1:1~0.95:1、特に好ましくは0.5:1~0.9:1である。
【0115】
成分LCP-1)の体積加重平均粒径
【数8】
は、原則として0.5~100mm、好ましくは1~50mm、特に好ましくは2~30mm、全く特に好ましくは3~20mmである。
【0116】
体積加重平均粒径
【数9】
は、デジタル画像分析により決定される。例えば、Retsch Technology社のCamsizer(登録商標)シリーズの機器を使用することができる。この場合、代表的な試料の各個別のリグノセルロースストリップ(ストランド)または各個別のリグノセルロースチップからX
Fe
maxは決定される。X
Fe
maxは、粒子の最大のフィレ径(多様な測定方向から算出される)である。個々の値から、体積加重平均値
【数10】
が形成される。測定方法および評価は、Camsizer Handbuch(Bedienungsanleitung/Handbuch Korngroessenmesssystem CAMSIZER(登録商標), Retsch Technology GmbH, Version 0445.506, Release 002, Revision 009, 25.06.2010)に記載されている。
【0117】
木材チップと他のリグノセルロース粒子との混合物、例えば木材チップと木材繊維との混合物、または木材チップと木材粉との混合物を使用する場合、成分LCP-1)もしくは成分LCP-2)の木材チップの割合は、原則として少なくとも50質量%、つまり50~100質量%、好ましくは少なくとも75質量%、つまり75~100質量%、特に好ましくは少なくとも90質量%、つまり90~100質量%である。
【0118】
成分LCP-1)およびLCP-2)の平均密度は、互いに無関係に、原則として0.4~0.85g/cm3、好ましくは0.4~0.75g/cm3、ことに0.4~0.6g/cm3である。これらの記述は、標準雰囲気(20℃、65%空気湿度)中での貯蔵後の標準粗密度に関する。
【0119】
成分LCP-1)およびLCP-2)は、互いに無関係に、0~10質量%、好ましくは0.5~8質量%、特に好ましくは1~5質量%の通常の少量の水を(0~0.5質量%、好ましくは0~0.4質量%、特に好ましくは0~0.3質量%の通常のわずかな変動幅で)含んでよい。この量の記述は、絶乾木材物質100質量%を基準とし、かつ乾燥(当業者に通常公知の方法による)後で成分A~E)またはF)~I)の適用および他の成分との混合前の成分LCP-1)もしくはLCP-2)の含水率を説明する。
【0120】
他の好ましい実施形態の場合に、外層用に、リグノセルロース粒子LCP-2)としてリグノセルロース繊維が、かつコア用に、リグノセルロース粒子LCP-1)としてリグノセルロースストリップ(ストランド)またはリグノセルロースチップ、特に好ましくはリグノセルロースチップ、ことに2~30mmの体積加重平均粒径
【数11】
を有するリグノセルロースチップが使用される。
【0121】
成分LCP-1)は、軽質充填剤、例えばコルク顆粒、ポップコーン、または膨張したプラスチック粒子を0~20質量%、好ましくは0~10質量%、特に好ましくは0~5質量%、全く特に好ましくは0質量%含んでもよい。
【0122】
質量%の表記は、この場合、成分LCP-1)の全乾燥質量に対する軽質充填剤(乾燥質量)の割合を意味する。したがって、軽質充填剤10質量%は、乾燥質量を基準とする成分LCP-1)が、軽質充填剤10質量%およびリグノセルロース粒子(上述されたような)90質量%を含むことを意味する。他の成分A)~E)の質量%の表記についての基準値は、100質量%のままである。
【0123】
ポップコーンとは、この場合、多様な植物種子、例えば穀物粒から、その中に含まれる水の急激な蒸発により製造される発泡状の材料であると解釈される。このための典型的な出発材料は、アマランサス粒、キノア粒、米粒、小麦粒およびトウモロコシ粒である。
【0124】
成分の膨張したプラスチック粒子として、10~150kg/m3、好ましくは30~130kg/m3、特に好ましくは35~110kg/m3、ことに40~100kg/m3の嵩密度(バラ材で充填された特定の体積の秤量によって測定される)を有する膨張したプラスチック粒子、好ましくは膨張した熱可塑性プラスチック粒子が適している。
【0125】
成分B)の膨張したプラスチック粒子は、原則として、0.01~50mm、好ましくは0.25~10mm、特に好ましくは0.4~8.5mm、ことに0.4~7mmの平均直径を有する球またはビーズの形で使用される。好ましい実施形態の場合には、この球は、体積当たりの小さな表面積を有し、例えば球状または楕円状の粒子の形であり、好ましくは独立気泡性である。DIN-ISO 4590による連続気泡率は、原則として、30%以下、つまり0~30%、好ましくは1~25%、特に好ましくは5~15%である。
【0126】
膨張したプラスチック粒子を基礎とする適切なポリマーは、原則として、全ての公知のポリマーまたはその混合物、好ましくは発泡することができる熱可塑性ポリマーまたはその混合物である。良好に適したこの種のポリマーは、例えばポリケトン、ポリスルホン、ポリオキシメチレン、PVC(硬質および軟質)、ポリカルボナート、ポリイソシアヌラート、ポリカルボジイミド、ポリアクリルイミドおよびポリメタクリルイミド、ポリアミド、ポリウレタン、アミノプラスト樹脂およびフェノール樹脂、スチレンホモポリマー(以後、「ポリスチレン」または「スチレン重合体」ともいう)、スチレンコポリマー、C2~C10-オレフィンホモポリマー、C2~C10-オレフィンコポリマーおよびポリエステルである。好ましくは、上述のオレフィンポリマーの製造のために、1-アルケン、例えばエチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテンが用いられる。
【0127】
さらに、成分B)の膨張可能なまたは膨張したプラスチック粒子を基礎とするポリマー、好ましくは熱可塑性プラスチックに、通常の添加物、例えばUV安定剤、酸化防止剤、被覆材料、疎水化剤、核生成剤、可塑剤、難燃剤、可溶性または不溶性の無機および/または有機着色剤が添加されていてよい。
【0128】
適切なポリマーは、膨張可能な媒体(「発泡剤」ともいう)を用いて、または膨張可能な媒体を含んで、マイクロ波エネルギー、熱エネルギー、熱風、好ましくは蒸気の作用によりおよび/または圧力変化により膨張させることもできる(しばしば、「発泡させる」ともいわれる)(Kunststoff Handbuch 1996, 4巻、「Polystyrol」, Hanser 1996, 640 - 673頁または米国特許第5112875号明細書(US-A-5 112 875))。この場合、原則として、発泡剤が膨張し、粒子はサイズが増加し、セル構造が生じる。この膨張は、通常の発泡装置(しばしば「予備発泡器」ともいわれる)内で実施することができる。膨張は、一段階でまたは多段階で実施されてよい。原則として、一段階の方法では、膨張可能なプラスチック粒子は、容易に所望の最終サイズに膨張させられる。原則として、多段階の方法では、膨張可能なプラスチック粒子は、まず中間サイズに膨張させられ、次いで1つ以上のさらなる段階で相応する多くの中間サイズを経て所望の最終サイズに膨張させられる。
【0129】
膨張可能なプラスチック粒子の膨張のために、当業者に公知の全ての発泡剤、例えば脂肪族C3~C10-炭化水素、例えばプロパン、n-ブタン、イソブタン、n-ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、シクロ-ペンタンおよび/またはヘキサンおよびそれらの異性体、アルコール、ケトン、エステル、エーテルまたはハロゲン化炭化水素、好ましくはn-ペンタン、イソペンタン、ネオペンタンおよびシクロペンタン、特に好ましくはn-ペンタンとイソペンタンとからなる市販のペンタン異性体混合物を使用することができる。
【0130】
好ましい実施形態の場合に、スチレン単独重合体(ここでは、単に「ポリスチレン」ともいう)、スチレン共重合体またはこれらの混合物を使用する。
【0131】
通常では、膨張可能なポリスチレンまたは膨張可能なスチレン共重合体または膨張させられたポリスチレンまたは膨張させられたスチレン共重合体は、帯電防止被覆を有する。
【0132】
膨張させられたプラスチック粒子が製造されるポリマーに、発泡の前またはその間に、顔料および粒子、例えばカーボンブラック、黒鉛またはアルミニウム粉末が添加剤として添加されてよい。
【0133】
成分C)およびG-1):
成分LCP-1の乾燥質量を基準とした、成分C)の結合剤の全体量は、5~15質量%、好ましくは6~13質量%、特に好ましくは7~11質量%の範囲内にある。
【0134】
成分LCP-2の乾燥質量を基準とした、成分G-1)の結合剤の全体量は、1~30質量%、好ましくは2~20質量%、特に好ましくは3~15質量%の範囲内にある。
【0135】
成分C)の結合剤は、アミノプラスト樹脂の群から選択される。
【0136】
成分G-1)の結合剤は、アミノプラスト樹脂、フェノプラスト樹脂、タンパク質を基礎とする結合剤および他のポリマーを基礎とする結合剤からなる群から選択されてよい。
【0137】
成分G-1)として、成分G-1)と同じまたは異なる結合剤もしくは結合剤混合物、好ましくは同じ、特に好ましくは両方ともアミノプラスト樹脂が使用されてよい。
【0138】
質量パーセントの記述は、アミノプラスト樹脂、フェノプラスト樹脂、タンパク質を基礎とする結合剤、および他のポリマーを基礎とする結合剤の場合に、相応する成分の固形分(Guenter Zeppenfeld, Dirk Grunwald, Klebstoffe in der Holz- und Moebelindustrie, 第2版, DRW-Verlag, 268頁による2hの間での120℃で水の蒸発により決定)を基準とする。
【0139】
フェノプラスト樹脂
フェノプラストは、フェノールのアルデヒドによる縮合により得られ、かつ場合により変性されていてよい合成樹脂である。非置換のフェノールの他に、フェノプラストの製造用にフェノール誘導体が使用されてもよい。これらの誘導体は、クレゾール、キシレノールまたは他のアルキルフェノール、例えばp-tert-ブチルフェノール、p-tert-オクチルフェノールおよびp-tert-ノニルフェノール、アリールフェノール、例えばフェニルフェノールおよびナフトール、または二価フェノール、例えばレゾルシノールおよびビスフェノールAであってよい。フェノプラストの製造のために最も重要なアルデヒドは、多様な形で使用することができる、例えば溶液として、またはパラホルムアルデヒドとして固体の形で、またはホルムアルデヒドを遊離する物質として使用することができるホルムアルデヒドである。他のアルデヒド、例えばアセトアルデヒド、アクロレイン、ベンズアルデヒドまたはフルフラールおよびケトンが使用されてもよい。フェノプラストは、メチロール基またはフェノール系ヒドロキシル基の化学反応により、および/または変性剤中での物理的分散により変性されてよい(EN ISO 10082)。
【0140】
好ましいフェノプラストは、フェノールアルデヒド樹脂、特に好ましくはフェノールホルムアルデヒド樹脂(「PF樹脂」ともいう)であり、例えば、Kunststoff-Handbuch, 第2版, Hanser 1988, 10巻、「Duroplaste」, 12 - 40頁から公知である。
【0141】
アミノプラスト樹脂
アミノプラスト樹脂として、当業者に、好ましくは木質素材の製造のための公知の全てのアミノプラスト樹脂が使用されてよい。この種の樹脂ならびにその製造は、例えばUllmanns Enzyklopaedie der technischen Chemie, 4.,改訂拡張版, Verlag Chemie, 1973, 403 - 424頁,「Aminoplaste」およびUllmann′s Encyclopedia of Industrial Chemistry, Vol. A2, VCH Verlagsgesellschaft, 1985, 115 - 141頁, 「Amino Resins」ならびにM. Dunky, P. Niemz, Holzwerkstoffe und Leime, Springer 2002, 251 - 259頁(UF樹脂)および303 - 313頁(MUFおよび少量のメラミンを有するUF )に記載されている。これは、原則として、少なくとも1つ、場合により部分的に有機基で置換されたアミノ基またはカルバミド基(カルバミド基はカルボキサミド基ともいわれる)、好ましくはカルバミド基を有する化合物、好ましくは尿素またはメラミンと、アルデヒド、好ましくはホルムアルデヒドとからなる重縮合生成物である。好ましい重縮合生成物は、尿素-ホルムアルデヒド樹脂(UF樹脂)、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂(MF樹脂)、またはメラミン含有尿素-ホルムアルデヒド樹脂(MUF樹脂)、特に好ましくは尿素-ホルムアルデヒド樹脂、例えばBASF SE社のKaurit(登録商標)接着剤タイプである。
【0142】
特に、尿素-ホルムアルデヒド樹脂(UF樹脂)およびメラミン含有尿素ホルムアルデヒド樹脂(MUF樹脂)が好ましく、ここで、ホルムアルデヒド対NH2基(尿素およびメラミンから)のモル比は、0.3:1~1:1、好ましくは0.3:1~0.6:1、特に好ましくは0.3:1~0.55:1、全く特に好ましくは0.3:1~0.5:1の範囲内にある。挙げられたアミノプラスト樹脂は、通常では、液状の形で、通常では25~90質量%の溶液として、好ましくは50~70質量%の溶液として、好ましくは水溶液もしくは水性懸濁液中で使用される。この水性アミノプラスト樹脂のpH値は、原則として6.5~9.5、好ましくは7.0~9.0、特に好ましくは7.2~8.8である。
【0143】
液状の水性アミノプラスト樹脂の固形分は、Guenter Zeppenfeld, Dirk Grunwald, Klebstoffe in der Holz- und Moebelindustrie, 第2版, DRW-Verlag, 268頁により決定することができる。
【0144】
タンパク質を基礎とする結合剤
適切なタンパク質を基礎とする結合剤は、例えばカゼイン接着剤、グルチン接着剤および血液アルブミン接着剤である。さらに、アルカリ性に加水分解されたタンパク質が結合剤成分として使用される結合剤が使用されてよい。このような結合剤は、M. Dunky, P. Niemz, Holzwerkstoffe und Leime, Springer 2002, 415 - 417頁に記載されている。
【0145】
特に、ダイズタンパク質を基礎とする結合剤が適している。典型的には、この結合剤はダイズ粉から製造される。ダイズ粉は、場合により変性されてよい。ダイズを基礎とする結合剤は、分散液として存在してよい。これは、リシン、ヒスチジン、アルギニン、チロシン、トリプトファン、セリンおよび/またはシステインのような多様な官能基を含む。特別な実施形態の場合に、ダイズタンパク質は、例えばフェノール樹脂、尿素樹脂またはPMDIと共重合される。全く特別な実施形態の場合に、ダイズに基づく結合剤は、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂(PAE)と、ダイズを基礎とする結合剤との組合せからなる。適切な結合剤は、例えば、市場で入手可能な結合剤系Hercules(登録商標)PTV D-41080 Resin(PAE樹脂)およびPTV D-40999(ダイズ成分)である。
【0146】
他のポリマーを基礎とする結合剤
適切なポリマーを基礎とする結合剤は、次のモノマーから構成されているポリマーNを含む水性結合剤である:
a)少なくとも1つのエチレン系不飽和モノカルボン酸および/またはジカルボン酸(モノマーN1)70~100質量%および
b)モノマーN1とは異なる少なくとも1つの他のエチレン系不飽和モノマー(モノマーN2)0~30質量%
および場合により、ヒドロキシ、カルボン酸およびその誘導体、第一級、第二級および第三級アミン、エポキシおよびアルデヒドの群から選択される少なくとも2つの官能基を有する、低分子量の架橋剤。
【0147】
ポリマーNの製造は、当業者に周知であり、かつことにラジカル開始溶液重合により例えば水中でまたは有機溶媒中で行われる(例えばA. Echte, Handbuch der Technischen Polymerchemie, 6章, VCH, Weinheim, 1993またはB. Vollmert, Grundriss der Makromolekularen Chemie, 1巻, E. Vollmert Verlag, Karlsruhe, 1988参照)。
【0148】
モノマーN1として、ことに3~6のC原子を有するα,β-モノエチレン系不飽和モノカルボン酸およびジカルボン酸、その可能な無水物、ならびにその水溶性塩、ことにそのアルカリ金属塩、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル酸、もしくはそれらの無水物、例えば無水マレイン酸、ならびに上述の酸のナトリウム塩またはカリウム塩が挙げられる。特に、アクリル酸、メタクリル酸および/または無水マレイン酸が好ましく、ここでアクリル酸、ならびにアクリル酸と無水マレイン酸もしくはアクリル酸とマレイン酸の2つの組合せがことに好ましい。
【0149】
モノマーN2として、容易にモノマーN1とラジカル共重合可能なエチレン系不飽和化合物、例えばエチレン、C3~C24-α-オレフィン、例えばプロペン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン;ビニル芳香族モノマー、例えばスチレン、α-メチルスチレン、o-クロロスチレンまたはビニルトルエン;ビニルハロゲン化物、例えば塩化ビニルまたは塩化ビニリデン;ビニルアルコールと1~18のC原子を有するモノカルボン酸とからなるエステル、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、n-酪酸ビニル、ラウリン酸ビニルおよびステアリン酸ビニル;3~6のC原子を有するα,β-モノエチレン系不飽和モノカルボン酸およびジカルボン酸、例えばことにアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸およびイタコン酸と、一般に1~12、好ましくは1~8、ことに1~4のC原子を有するアルカノールとのエステル、例えば特にアクリル酸およびメタクリル酸のメチルエステル、エチルエステル、n-ブチルエステル、イソブチルエステル、ペンチルエステル、ヘキシルエステル、ヘプチルエステル、オクチルエステル、ノニルエステル、デシルエステルおよび2-エチルヘキシルエステル、フマル酸およびマレイン酸のジメチルエステルまたはジ-n-ブチルエステル;α,β-モノエチレン系不飽和カルボン酸のニトリル、例えばアクリロニトリル、メタクリルニトリル、フマル酸ジニトリル、マレイン酸ジニトリルならびにC4~C8-共役ジエン、例えば1,3-ブタジエンおよびイソプレンが挙げられる。上述のモノマーは、原則として、モノマーN2の全体量を基準として、>50質量%、好ましくは>80質量%、ことに好ましくは>90質量%の割合を占める主要モノマーを形成するか、またはそれどころかモノマーN2の全体量を形成する。大抵は、これらのモノマーは、水中で、標準条件(20℃、1atm(絶対圧))で単に中程度~低い溶解度を有するにすぎない。
【0150】
しかしながら上述の条件下で水に対して高められた溶解度を有する他のモノマーN2は、少なくとも1つのスルホン酸基および/またはその相応するアニオン、または少なくとも1つのアミノ基、アミド基、ウレイド基もしくはN-複素環式基および/またはそれらの窒素でプロトン化されたまたはアルキル化されたアンモニウム誘導体を含むモノマーである。例えば、アクリルアミドおよびメタクリルアミド;さらにビニルスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸およびこれらの水溶性の塩ならびにN-ビニルピロリドン;2-ビニルピリジン、4-ビニルピリジン;2-ビニルイミダゾール;2-(N,N-ジメチルアミノ)エチルアクリラート、2-(N,N-ジメチルアミノ)エチルメタクリラート、2-(N,N-ジエチルアミノ)エチルアクリラート、2-(N,N-ジエチルアミノ)エチルメタクリラート、2-(N-tert-ブチルアミノ)エチルメタクリラート、N-(3-N′,N′-ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミドおよび2-(1-イミダゾリン-2-オニル)エチルメタクリラートが挙げられる。
【0151】
通常では、上述の水溶性モノマーN2は、変性されたモノマーとして、モノマーN2の全体量を基準として、<10質量%、好ましくは<5質量%、ことに好ましくは<3質量%の量で含まれている。
【0152】
通常ではポリマーマトリックスのフィルムの内部強度を高める他のモノマーN2は、通常、少なくとも1つのエポキシ基、ヒドロキシ基、N-メチロール基またはカルボニル基、または少なくとも2つの非共役エチレン系不飽和二重結合を有する。この例は、2つのビニル基を有するモノマー、2つのビニリデン基を有するモノマー、および2つのアルケニル基を有するモノマーである。この場合、二価アルコールとα,β-モノエチレン系不飽和モノカルボン酸とのジエステルが特に好ましく、その中でもアクリル酸またはメタクリル酸が好ましい。この種の2つの非共役エチレン系不飽和二重結合を有するモノマーの例は、アルキレングリコールのジアクリラートおよびジメタクリラート、例えばエチレングリコールジアクリラート、1,2-プロピレングリコールジアクリラート、1,3-プロピレングリコールジアクリラート、1,3-ブチレングリコールジアクリラート、1,4-ブチレングリコールジアクリラートおよびエチレングリコールジメタクリラート、1,2-プロピレングリコールジメタクリラート、1,3-プロピレングリコールジメタクリラート、1,3-ブチレングリコールジメタクリラート、1,4-ブチレングリコールジメタクリラートならびにジビニルベンゼン、ビニルメタクリラート、ビニルアクリラート、アリルメタクリラート、アリルアクリラート、ジアリルマレアート、ジアリルフマラート、メチレンビスアクリルアミド、シクロペンタジエニルアクリラート、トリアリルシアヌラートまたはトリアリルイソシアヌラートである。この関連で特に重要なのは、メタクリル酸およびアクリル酸のC1~C8-ヒドロアルキルエステル、例えばn-ヒドロキシエチルの、n-ヒドロキシプロピルの、もしくはn-ヒドロキシブチルのアクリラートおよびメタクリラート、ならびにジアセトンアクリルアミドおよびアセチルアセトキシエチルのアクリラートもしくはメタクリラートのような化合物でもある。
【0153】
頻繁に、上述の架橋性モノマーN2は、モノマーN2の全体量を基準としてそれぞれ、<10質量%の量で、好ましくは<5質量%の量で使用される。しかしながら、ことに好ましくは、この種の架橋性モノマーN2は、ポリマーNの製造のために使用されない。
【0154】
好ましいポリマーNは、モノマーN1だけの、特に好ましくはアクリル酸65~100質量%、全く特に好ましくは70~90質量%と、特に好ましくはマレイン酸もしくは無水マレイン酸0~35質量%、全く特に好ましくは10~30質量%とのラジカル開始溶液重合により得られる。
【0155】
有利に、ポリマーNは、1,000~500,000g/mol、好ましくは10,000~300,000g/mol、特に好ましくは30,000~120,000g/molの範囲内の重量平均分子量Mwを有する。
【0156】
ポリマーNの製造の際の重量平均分子量Mwの調節は当業者に周知であり、かつ好ましくはラジカル連鎖移動性化合物、いわゆるラジカル連鎖調節剤の存在でのラジカル開始水溶液重合により行われる。重量平均分子量Mwの決定も当業者に周知であり、例えばゲル浸透クロマトグラフィーにより行われる。
【0157】
ポリマーN用に良好に適した市販品は、例えばBASF SEのSokalan(登録商標)製品であり、この製品は、例えばアクリル酸および/またはマレイン酸を基礎とする。他の適したポリマーは、国際公開第99/02591号(WO-A-99/02591)に記載されている。
【0158】
良好に適した架橋剤は、30~10,000g/molの範囲内の(重量平均)分子量を有する架橋剤である。例えば、次のものが挙げられる:アルカノールアミン、例えばトリエタノールアミン;カルボン酸、例えばクエン酸、酒石酸、ブタンテトラカルボン酸;アルコール、例えばグルコース、サッカロースまたは他の糖、グリセリン、グリコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン;エポキシド、例えばビスフェノール-Aまたはビスフェノール-Fならびにこれらを基礎とする樹脂およびさらにポリアルキレンオキシド-グリシジルエーテルまたはトリメチロールプロパン-トリグリシジルエーテル。本発明の好ましい実施形態の場合に、使用された低分子量の架橋剤の分子量は、30~4,000g/molの範囲内、特に好ましくは30~500g/molの範囲内である。
【0159】
他の適したポリマーを基礎とする結合剤は、次のモノマー:
a.少なくとも1つのエポキシ基および/または少なくとも1つのヒドロキシアルキル基を含む少なくとも1つのエチレン系不飽和モノマー(モノマーM1)0~50質量%、および
b.モノマーM1とは異なる少なくとも1つの別のエチレン系不飽和モノマー(モノマーM2)50~100質量%
から構成されている1つ以上のポリマーを含む水性分散液である。
【0160】
ポリマーMは、相応するモノマーM1および/またはM2の水性媒体中のラジカル開始乳化重合により得られる。ポリマーMは、単相または多相で存在してよい。ポリマーMは、コア/シェル構造を有してよい。
【0161】
水性媒体中のエチレン系不飽和モノマーのラジカル開始乳化重合の実施は、何度も予め説明されていて、したがって当業者に十分公知である(例えばEmulsionspolymerisation in Encyclopedia of Polymer Science and Engineering, Vol. 8, 659頁以降 (1987); D.C. Blackley, High Polymer Latices, Vol. 1, 35頁以降 (1966); H. Warson, The Applications of Synthetic Resin Emulsions, 5章, 246頁以降 (1972); D. Diederich, Chemie in unserer Zeit 24, 135 - 142頁 (1990); Emulsion Polymerisation, Interscience Publishers, New York (1965); 独国特許出願公開第4003422号明細書(DE-A-40 03 422)およびDispersionen synthetischer Hochpolymerer, F. Hoelscher, Springer-Verlag, Berlin (1969)参照)。
【0162】
ラジカル開始水性乳化重合反応は、通常では、エチレン系不飽和モノマーを、分散助剤を併用しながら、水性媒体中でモノマー液滴の形で分散分布させ、ラジカル重合開始剤を用いて重合するように行われる。
【0163】
モノマーM1として、ことにグリシジルアクリラートおよび/またはグリシジルメタクリラート、ならびにC2~C10-ヒドロキシアルキル基、ことにC2~C4-ヒドロキシアルキル基および好ましくはC2~C3-ヒドロキシアルキル基を有するヒドロキシアルキルアクリラートおよびヒドロキシアルキルメタクリラート、例えば2-ヒドロキシエチルアクリラート、2-ヒドロキシエチルメタクリラート、3-ヒドロキシプロピルアクリラート、3-ヒドロキシプロピルメタクリラート、4-ヒドロキシブチルアクリラートおよび/または4-ヒドロキシブチルメタクリラートが挙げられる。特に好ましくは、次のモノマーM1:2-ヒドロキシエチルアクリラート、2-ヒドロキシエチルメタクリラート、グリシジルアクリラート、グリシジルメタクリラートの1つ以上、好ましくは1つまたは2つが使用される。
【0164】
本発明の場合に、場合により、重合容器中にモノマーM1の部分量または全体量を装入することが可能である。しかしながら、モノマーM1の全体量または場合により残りの残留量を重合反応の間に計量供給することも可能である。モノマーM1の全体量または場合により残りの残留量は、重合容器に、この場合、不連続式に1つ以上の分量で、または連続式に一定のまたは変化する流量で計量供給されてよい。ことに好ましくは、重合反応の間のモノマーM1の計量供給は、連続式に一定の流量で、ことに水性モノマーエマルションの構成要素として行われる。
【0165】
モノマーM2として、ことに容易にモノマーM1とラジカル共重合可能なエチレン系不飽和化合物、例えばエチレン;ビニル芳香族モノマー、例えばスチレン、α-メチルスチレン、o-クロロスチレンまたはビニルトルエン;ビニルハロゲン化物、例えば塩化ビニルまたは塩化ビニリデン;ビニルアルコールと1~18のC原子を有するモノカルボン酸とからなるエステル、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、n-酪酸ビニル、ラウリン酸ビニルおよびステアリン酸ビニル;好ましくは3~6のC原子を有するα,β-モノエチレン系不飽和モノカルボン酸およびジカルボン酸、例えばことにアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸およびイタコン酸と、一般に1~12、好ましくは1~8、ことに1~4のC原子を有するアルカノールとのエステル、例えば特にアクリル酸およびメタクリル酸のメチルエステル、エチルエステル、n-ブチルエステル、イソブチルエステル、ペンチルエステル、ヘキシルエステル、ヘプチルエステル、オクチルエステル、ノニルエステル、デシルエステルおよび2-エチルヘキシルエステル、フマル酸およびマレイン酸のジメチルエステルまたはジ-n-ブチルエステル;α,β-モノエチレン系不飽和カルボン酸のニトリル、例えばアクリロニトリル、メタクリルニトリル、フマル酸ジニトリル、マレイン酸ジニトリルならびにC4~C8-共役ジエン、例えば1,3-ブタジエンおよびイソプレンが挙げられる。上述のモノマーは、原則として、モノマーM2の全体量を基準として、>50質量%、好ましくは>80質量%、ことに好ましくは>90質量%の割合を占める主要モノマーを形成する。大抵は、これらのモノマーは、水中で、標準条件(20℃、1atm(絶対圧))で単に中程度~低い溶解度を有するにすぎない。
【0166】
上述の条件下で水に対して高められた溶解度を有するモノマーM2は、少なくとも1つの酸基および/またはその相応するアニオン、または少なくとも1つのアミノ基、アミド基、ウレイド基もしくはN-複素環式基および/またはそれらの窒素でプロトン化されたまたはアルキル化されたアンモニウム誘導体を含むモノマーである。例えば、3~6のC原子を有するα,β-モノエチレン系不飽和モノカルボン酸およびジカルボン酸、およびこれらのアミド、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリルアミドおよびメタクリルアミド;さらにビニルスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸およびこれらの水溶性塩ならびにN-ビニルピロリドン、2-ビニルピリジン、4-ビニルピリジン、2-ビニルイミダゾール、2-(N,N-ジメチルアミノ)エチルアクリラート、2-(N,N-ジメチルアミノ)エチルメタクリラート、2-(N,N-ジエチルアミノ)エチルアクリラート、2-(N,N-ジエチルアミノ)エチルメタクリラート、2-(N-tert-ブチルアミノ)エチルメタクリラート、N-(3-N′,N′-ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、2-(1-イミダゾリン-2-オニル)エチルメタクリラートおよびウレイドメタクリラートが挙げられる。通常の場合、上述の水溶性モノマーM2は、単に変性されたモノマーとして、モノマーM2の全体量を基準として、<10質量%、好ましくは<5質量%、ことに好ましくは<3質量%の量で含まれている。
【0167】
通常ではポリマーマトリックスのフィルムの内部強度を高める他のモノマーM2は、通常、少なくとも1つのN-メチロール基またはカルボニル基、または少なくとも2つの非共役エチレン系不飽和二重結合を有する。この例は、2つのビニル基を有するモノマー、2つのビニリデン基を有するモノマー、および2つのアルケニル基を有するモノマーである。この場合、二価アルコールとα,β-モノエチレン系不飽和モノカルボン酸とのジエステルが特に好ましく、その中でもアクリル酸またはメタクリル酸が好ましい。この種の2つの非共役エチレン系不飽和二重結合を有するモノマーの例は、アルキレングリコールジアクリラートおよびアルキレングリコールジメタクリラート、例えばエチレングリコールジアクリラート、1,2-プロピレングリコールジアクリラート、1,3-プロピレングリコールジアクリラート、1,3-ブチレングリコールジアクリラート、1,4-ブチレングリコールジアクリラートおよびエチレングリコールジメタクリラート、1,2-プロピレングリコールジメタクリラート、1,3-プロピレングリコールジメタクリラート、1,3-ブチレングリコールジメタクリラート、1,4-ブチレングリコールジメタクリラートならびにジビニルベンゼン、ビニルメタクリラート、ビニルアクリラート、アリルメタクリラート、アリルアクリラート、ジアリルマレアート、ジアリルフマラート、メチレンビスアクリルアミド、シクロペンタジエニルアクリラート、トリアリルシアヌラートまたはトリアリルイソシアヌラートである。この関連で重要であるのは、ジアセトンアクリルアミドおよびアセチルアセトキシエチルアクリラートもしくはアセチルアセトキシエチルメタクリラートのような化合物でもある。頻繁に、上述の架橋性モノマーM2は、モノマーM2の全体量を基準としてそれぞれ、<10質量%の量で、好ましくは<5質量%の量で、ことに好ましくは<3質量%の量で使用される。しかしながら、頻繁に、この種の架橋性モノマーM2は使用されない。
【0168】
本発明の場合に、場合により、重合容器中にモノマーM2の部分量または全体量を装入することが可能である。しかしながら、モノマーM2の全体量または場合により残りの残留量を重合反応の間に計量供給することも可能である。モノマーM2の全体量または場合により残りの残留量は、重合容器に、この場合、不連続式に1つ以上の分量で、または連続式に一定のまたは変化する流量で計量供給されてよい。ことに好ましくは、重合反応の間のモノマーM2の計量供給は、連続式に一定の流量で、ことに水性モノマーエマルションの構成要素として行われる。
【0169】
成分(II)の水性分散液の製造のために、頻繁に、分散助剤が併用され、この分散助剤は、モノマー液滴も、ラジカル開始重合により得られたポリマー粒子も水相内に分散分布したままにし、かつこうして生成された水性ポリマー組成物の安定性を保証する。このようなものとして、ラジカル水性乳化重合の実施のために通常使用される保護コロイドも、乳化剤も挙げられる。
【0170】
適切な保護コロイドは、例えばポリビニルアルコール、セルロース誘導体またはビニルピロリドンまたはアクリル酸を含む共重合体である。他の適した保護コロイドの詳細な説明は、Houben-Weyl, Methoden der organischen Chemie, XIV/1巻, Makromolekulare Stoffe, 411 - 420頁, Georg-Thieme-Verlag, Stuttgart, 1961に見られる。
【0171】
もちろん、乳化剤および/または保護コロイドの混合物を使用してもよい。頻繁に、分散助剤としてもっぱら乳化剤が使用され、その相対分子量は、保護コロイドとは異なり通常1000未満である。この分散助剤は、アニオン性、カチオン性または非イオン性であってよい。もちろん、界面活性物質の混合物を使用する場合には、個々の成分は互いに相溶性でなければならず、これは、疑わしい場合には、若干の予備試験を用いて調査されてよい。一般に、アニオン性乳化剤は互いにおよび非イオン性乳化剤と相溶性である。同じことが、カチオン性乳化剤についても当てはまるが、アニオン性乳化剤とカチオン性乳化剤とは大抵は互いに相溶性ではない。
【0172】
慣用の乳化剤は、例えばエトキシル化されたモノ-、ジ-およびトリ-アルキルフェノール(EO度:3~50、アルキル基:C4~C12)、エトキシル化された脂肪アルコール(EO度:3~50;アルキル基:C8~C36)、ならびにアルキルスルファート(アルキル基:C8~C12)の、エトキシル化されたアルカノール(EO度:3~30、アルキル基:C12~C18)およびエトキシル化されたアルキルフェノール(EO度:3~50、アルキル基:C4~C12)の硫酸半エステルの、アルキルスルホン酸(アルキル基:C12~C18)の、およびアルキルアリールスルホン酸(アルキル基:C9~C18)のアルカリ金属塩およびアンモニウム塩である。他の適切な乳化剤は、Houben-Weyl, Methoden der organischen Chemie, XIV/1巻, Makromolekulare Stoffe, 192 - 208頁, Georg-Thieme-Verlag, Stuttgart, 1961に見られる。
【0173】
好ましくは、本発明による方法にとって、非イオン性乳化剤および/またはアニオン性乳化剤が使用される。
【0174】
原則として、使用された分散助剤、ことに乳化剤の量は、モノマー混合物Mの全質量を基準にしてそれぞれ、0.1~5質量%、好ましくは1~3質量%である。保護コロイドを唯一の分散助剤として使用する場合には、この使用量は明らかにより高く、モノマー混合物Mの全体量を基準としてそれぞれ、通常では分散助剤5~40質量%、好ましくは10~30質量%である。
【0175】
本発明の場合に、場合により、重合容器中に分散助剤の部分量または全体量を装入することが可能である。しかしながら、分散助剤の全体量または場合により残りの残留量を重合反応の間に計量供給することも可能である。分散助剤の全体量または場合により残りの残留量は、重合容器に、この場合、不連続式に1つ以上の分量で、または連続式に一定のまたは変化する流量で計量供給されてよい。ことに好ましくは、重合反応の間の分散助剤の計量供給は、連続式に一定の流量で、ことに水性モノマーエマルションの構成要素として行われる。
【0176】
好ましいポリマーMは、a)少なくとも1つのエポキシ基および/または少なくとも1つのヒドロキシアルキル基を含む少なくとも1つのエチレン系不飽和モノマー(モノマーM1)0.01~50質量%、およびb)モノマーM1とは異なる少なくとも1つの他のエチレン系不飽和モノマー(モノマーM2)50~99.99質量%を含む。
【0177】
特に好ましいこの種のポリマーMは、C1~C8-アルコール、好ましくはメタノール、n-ブタノール、2-エチルヘキサノールのアクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステル10~30質量%、好ましくは15~22質量%と、スチレン40~70質量%、好ましくは55~65質量%および2-ヒドロキシエチルアクリラートおよび/または2-ヒドロキシエチルメタクリラートおよび/またはグリシジルアクリラートおよび/またはグリシジルメタクリラート5~50質量%、好ましくは20~30質量%とのラジカル開始溶液重合により得られ、ここで、これらの成分の合計は100質量%となる。
【0178】
さらに好ましいポリマーMは、モノマーM1を含まず、かつC1~C8-アルコール、好ましくはメタノール、n-ブタノール、2-エチルヘキサノールのアクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステル80~99質量%、好ましくは85~95質量%と、ウレイドメタクリラート0~5質量%、好ましくは1~3質量%および3~6のC原子を有するα,β-モノエチレン系不飽和モノカルボン酸およびジカルボン酸、好ましくはアクリル酸、メタクリル酸、および/またはこれらの酸のアミド0.5~5質量%、好ましくは1~4質量%とのラジカル開始溶液重合により得られ、ここで、これらの成分の合計は100質量%となる。
【0179】
さらに好ましいポリマーMは、欧州特許出願公開第1240205号明細書(EP-A-1240205)または独国特許出願公開第19991049592号明細書(DE-A-19991049592)に記載されているようなポリ(アクリル酸)を基礎とする分散助剤の使用により得られる。
【0180】
他の適した水性分散液は、ポリウレタン、ハロゲン化されたビニルポリマー、ビニルアルコールポリマーおよび/またはビニルエステルポリマー、ゴム、コロホニウム樹脂および炭化水素樹脂の群から選択される分散液である。このような分散液は、市場で入手可能であり、例えばWackerのVinnepas(登録商標)エチレン-酢酸ビニル分散液、またはEastman Chemical CompanyのTacylon-コロホニウム樹脂である。脂肪族および芳香族ポリウレタン、ポリビニルアセタートホモポリマーおよびポリビニルアセタートコポリマー、テルペンチン樹脂および炭化水素樹脂の水性分散液が好ましい。
【0181】
成分B)およびG-2):
成分LCP-1)を基準とした成分B)の量は、0.05~3質量%、好ましくは0.1~1質量%、特に好ましくは0.15~0.5質量%の範囲内にある。
【0182】
成分LCP-2)を基準とした成分G-2)の量は、0~3質量%、好ましくは0~1質量%、特に好ましくは0~0.1質量%の範囲内、全く特に好ましくは0質量%である。
【0183】
成分B)およびG-2)は、少なくとも2つのイソシアナート基を有する有機イソシアナートの群から選択することができる。
【0184】
少なくとも2つのイソシアナート基を有する有機イソシアナートとして、当業者に、好ましくは木質素材またはポリウレタンの製造のために公知の全ての有機イソシアナートまたはそれらの混合物が適している。この種の有機イソシアナート、ならびにその製造および適用は、例えばBecker/Braun, Kunststoff Handbuch, 改訂3版, 7巻, 「Polyurethane」, Hanser 1993, 17 - 21頁, 76 - 88頁および665 - 671頁に記載されている。
【0185】
好ましい有機イソシアナートは、2~10、好ましくは2~8のモノマー単位を有し、かつモノマー単位1つ当たり平均して少なくとも1つのイソシアナート基を有するオリゴマーのイソシアナートまたはそれらの混合物である。このイソシアナートは、脂肪族、脂環式または芳香族であってよい。特に、有機イソシアナートMDI(メチレンジフェニルジイソシアナート)またはオリゴマーの有機イソシアナートPMDI(ポリマーのメチレンジフェニレンジイソシアナート)またはMDIとPMDIとの混合物が好ましい。これらの有機イソシアナートは、ホルムアルデヒドとアニリンとの縮合および縮合の際に生じる異性体およびオリゴマーのホスゲン化によって得られる(例えばBecker/Braun, Kunststoff Handbuch, 改訂3版, 7巻, 「Polyurethane」, Hanser 1993, 18頁, 最後の段落から19頁, 第二段落および76頁, 第五段落参照)。BASF SEのLUPRANAT(登録商標)系列、ことにLUPRANAT(登録商標) M 20 FBの製品が全く特に好ましい。
【0186】
有機イソシアナートは、イソシアナート末端のプレポリマーであってもよく、これは、イソシアナート、例えばPMDIと1つ以上のポリオールおよび/またはポリアミンとの反応生成物である。
【0187】
エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、ペンタエリトリット、ソルビトールおよびそれらの混合物の群から選択されるポリオールを使用することができる。他の適切なポリオールは、ダイズ油、ナタネ油、ヒマシ油およびヒマワリ油からなるポリオールのようなバイオポリオールである。多官能性開始剤の存在で環式オキシド、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドまたはテトラヒドロフランの重合により得ることができるポリエーテルポリオールが適している。適切な開始剤は、活性水素原子を含み、かつ水、ブタンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トルエンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、フェニルジアミン、ジフェニルメタンジアミン、エチレンジアミン、シクロヘキサンジアミン、シクロヘキサンジメタノール、レゾルシノール、ビスフェノールA、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,6-ヘキサントリオール、ペンタエリトリット、またはこれらの混合物であってよい。他の適したポリエーテルポリオールは、ジオールおよびトリオール、例えばポリオキシプロピレンジオールおよびポリオキシプロピレントリオール、ならびにポリ(オキシエチレンオキシプロピレン)ジオールおよびポリ(オキシエチレンオキシプロピレン)トリオールを含み、これらは、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドと二官能性または三官能性開始剤との同時のまたは順々に行われる付加反応により製造される。先にすでに説明したようなポリオールと、ポリカルボン酸またはポリカルボン酸誘導体、例えばその無水物、ことにジカルボン酸またはジカルボン酸誘導体、例えばコハク酸、コハク酸ジメチルエステル、グルタル酸、グルタル酸ジメチルエステル、アジピン酸、アジピン酸ジメチルエステル、セバシン酸、フタル酸無水物、テトラクロロフタル酸無水物またはジメチルテレフタラートまたはこれらの混合物とのヒドロキシ末端の反応生成物のようなポリエステルポリオールも適している。
【0188】
エチレンジアミン、トルエンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ポリメチレンポリフェニルポリアミン、アミノアルコールおよびこれらの混合物の群から選択されるポリアミンを使用することができる。アミノアルコールの例は、エタノールアミンおよびジエタノールアミンである。
【0189】
有機イソシアナートは、水性エマルションとして使用されてもよい。好ましくは、水不含の有機イソシアナートが使用される。
【0190】
有機イソシアナートの場合の質量パーセント表記は、イソシアナート成分を基礎とし、つまり例えば乳化媒体としての水なしである。
【0191】
成分A)およびF):
成分LCP-1)を基準とした、成分A)の量は、原則として0.005~0.5質量%、好ましくは0.008~0.2質量%、特に好ましくは0.01~0.1質量%である。
【0192】
成分LCP-2)を基準とした、成分F)の量は、原則として0~0.3質量%、好ましくは0~0.1質量%、特に好ましくは0~0.05質量%、全く特に好ましくは0質量%である。
【0193】
成分A)およびF)は、それぞれ互いに無関係に、有機カルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸塩化物またはそれらの混合物の群から選択され、好ましくは有機カルボン酸およびカルボン酸無水物の群から選択され、特に好ましくは有機カルボン酸無水物の群から選択される。
【0194】
有機カルボン酸、カルボン酸無水物およびカルボン酸塩化物として、2,000g/mol未満、好ましくは1,000g/mol、特に好ましくは500g/molの分子量を有するものが適している。
【0195】
有機カルボン酸塩化物は、C2~C20-カルボン酸塩化物、例えば酢酸クロリドおよびフタル酸クロリド、好ましくはC2~C15-カルボン酸塩化物、全く特に好ましくはC2~C8-カルボン酸塩化物が適している。
【0196】
有機カルボン酸無水物として、C2~C50-カルボン酸無水物、例えば無水酢酸、無水コハク酸、無水フタル酸、グルタル酸無水物、ポリマレイン酸無水物、ペリレンテトラカルボン酸無水物、イタコン酸無水物、無水マレイン酸(MSA)、好ましくはC4~C15-カルボン酸無水物、例えば無水コハク酸、無水フタル酸、無水マレイン酸(MSA)、特に好ましくはC4~C8-カルボン酸無水物、例えば無水コハク酸、イタコン酸無水物および無水マレイン酸(MSA)、全く特に好ましくは無水マレイン酸(MSA)が適している。
【0197】
適切な有機カルボン酸は、C1~C15-カルボン酸、例えばギ酸、酢酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、イタコン酸、安息香酸、フタル酸およびセバシン酸である。好ましい有機カルボン酸は、マレイン酸、フマル酸、コハク酸および酢酸である。
【0198】
好ましい実施形態の場合に、成分LCP-1)と接触させる前に、成分A)の部分量または全量、好ましくは全量を、成分B)もしくは成分B)の部分量と混合して混合物AB)にする。
【0199】
他の好ましい実施形態の場合に、成分LCP-1)と接触させる前に、成分A)の部分量または全量、好ましくは全量を、成分B)もしくは成分B)の部分量とおよび成分E)もしくは成分E)の部分量と混合して混合物ABE)にする。
【0200】
他の好ましい実施形態の場合に、混合物AB)もしくはABE)のために、成分A)として、好ましくはカルボン酸またはカルボン酸無水物、特に好ましくはカルボン酸無水物を使用する。カルボン酸を使用する場合、混合と、混合物AB)もしくはABE)のリグノセルロース粒子LCP-1)への添加との間の期間は、原則として5分未満、好ましくは1分未満、特に好ましくは10秒未満である。
【0201】
混合物AB)またはABE)は、好ましくは
i)成分A)を50~99質量%、好ましくは70~97質量%、特に好ましくは80~95質量%、ことに85~92質量%、および
ii)成分B)を1~50質量%、好ましくは3~30質量%、特に好ましくは5~20質量%、ことに8~15質量%、および
iii)成分E)を0~49質量%、好ましくは0~10質量%、特に好ましくは0~5質量%含み、
ここで、成分E)は、この場合、好ましくは不活性希釈剤、界面活性剤およびトリアルキルホスファートの群から選択される。
【0202】
全く特に好ましくは、混合物AB)またはABE)は、ほぼ水不含の混合物として使用される。ほぼ水不含の混合物とは、ここでは、水を0~1質量%、好ましくは0~0.1質量%、特に好ましくは0~0.01質量%、全く特に好ましくは0~0.001質量%、ことに水0質量%含む混合物であると解釈される。
【0203】
さらに全く特に好ましい実施形態の場合に、混合物AB)またはABE)は溶液として存在する。
【0204】
混合物AB)またはABE)は、場合により、リグノセルロース粒子への添加が、成分C)とは別々に行われる場合に、リグノセルロース粒子LCP-1)への添加の直前に、またはリグノセルロースへの添加が混合物として行われる場合に、成分C)への添加の前に、構成要素の混合により製造することができる。製造と添加との間の期間は、この場合、3時間以下である。この期間は、極めて短くてもよく、かつ数分、例えば5分以下であってよい。この場合、混合は、構成要素が個別の容器から、混合装置、例えば混合容器またはスタティックミキサーに供給され、その中で混合されるように行うことができる。
【0205】
特に好ましい実施形態の場合に、使用される混合物AB)もしくはABE)中の成分A)の質量割合は、成分A)の質量割合が異なるいくつかの、好ましくは2つの混合物AB)および/またはABE)を互いに混合することにより調整することができる。この実施形態は、ことに連続式方法において好ましい、というのも、プロセス中の温度Tが変化する場合に、これらの混合物の混合比を変えることにより、サイズa[成分C)の質量に対する成分A)の酸等価体の量]を簡単にかつ迅速に合わせることができるためである。
【0206】
他の特に好ましい実施形態の場合に、使用される混合物AB)もしくはABE)中の成分A)の質量割合は、混合物AB)もしくはABE)を成分B)の部分量と混合することにより調節することができる。この実施形態は、同様に、ことに連続式方法において好ましい、というのも、プロセス中の温度Tが変化する場合に、混合比を変えることにより、サイズaを容易にかつ迅速に合わせることができるためである。
【0207】
成分D)およびH):
成分D)およびH)として、アンモニウム塩が使用される。これは、アミノプラスト樹脂の潜在的硬化を示し(M. Dunky, P. Niemz, Holzwerkstoffe und Leime, Springer 2002, 265 - 269頁)、かつしたがって潜在的硬化剤ともいわれる。ここで、潜在的、とは、硬化反応が、アミノプラスト樹脂と硬化剤との混合の直後に起こるのではなく、ようやく遅延して、もしくは例えば温度による硬化剤の活性化後に起こることを意味する。遅延された硬化は、アミノプラスト樹脂-硬化剤混合物の加工時間を増大させる。また、リグノセルロース粒子と、アミノプラスト樹脂、硬化剤および他の成分との混合のために、潜在的硬化剤の使用は好ましく作用することがある、というのも方法工程iv)の前にアミノプラスト樹脂のわずかな予備硬化を引き起こすことができるためである。好ましい潜在的硬化剤は、塩化アンモニウム、臭化アンモニウム、ヨウ化アンモニウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸アンモニウム、メタンスルホン酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、またはこれらの混合物、好ましくは硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウムまたはこれらの混合物、特に好ましくは硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウムまたはこれらの混合物である。
【0208】
アンモニウム塩に対して付加的に、成分D)およびH)は、少量の無機酸または無機酸の酸性塩、例えば硫酸、硝酸、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウムを含んでいてもよい。このような混合物を使用する場合、無機酸および/または無機酸の酸性塩の質量比は、10:90未満、好ましくは5:95未満であり、ここで、無機酸および/または無機酸の酸性塩の絶対量は、成分LCP-1)またはLCP-2)の乾燥質量を基準として、最大で0.1質量%、好ましくは最大で0.02質量%である。
【0209】
特に好ましい実施形態の場合に、アンモニウム塩だけを用いて、無機酸なしでおよび無機酸の塩なしで作業される。
【0210】
成分LCP-1)の全乾燥質量を基準として、成分D)の量は、0~2質量%、特に好ましくは0.05~1.0質量%、全く特に好ましくは0.1~0.5質量%の範囲内である。
【0211】
成分LCP-2)の全乾燥質量を基準として、成分H)の量は、0~2質量%、特に好ましくは0~0.5質量%、全く特に好ましくは0~0.2質量%の範囲内である。
【0212】
成分G-1)がアミノプラスト樹脂を含まない場合には、成分H)の量は、好ましくは0質量%である。
【0213】
成分E)およびI):
成分E)およびI)は、界面活性剤の群および/またはトリアルキルホスファートおよび/または当業者に公知の他の添加剤の群、例えば疎水化剤、例えばパラフィンエマルション、抗真菌剤、ホルムアルデヒドスカベンジャー、例えば尿素またはポリアミン、難燃剤、溶媒、例えばアルコール、グリコール、グリセリン、金属、炭素、顔料、染料、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、ハロゲン化物の群からなるアルカリ塩もしくはアルカリ土類塩、またはフェノール樹脂用の硬化剤(成分G-1)がフェノール樹脂を含む場合)またはこれらの混合物から選択されてよい。互いに無関係に、同じまたは異なる添加物は、リグノセルロース粒子LCP-1)もしくはLCP-2)の全乾燥質量を基準として、0~5質量%、好ましくは0.5~4質量%、特に好ましくは1~3質量%の量で使用されてよい。
【0214】
適切な界面活性剤は、アニオン性、カチオン性、非イオン性または両性界面活性剤、およびこれらの混合物である。特に非イオン性または両性界面活性剤およびそれらの混合物が好ましく、特に非イオン性界面活性剤が好ましい。
【0215】
界面活性剤の例は、McCutcheon′s, Vol.1 : Emulsifiers & Detergents, McCutcheon′s Directories, Glen Rock, USA, 2008 (International Ed.またはNorth American Ed.)に記載されている。
【0216】
適切なアニオン性界面活性剤は、スルホナート、スルファート、ホスファート、カルボキシラートのアルカリ塩、アルカリ土類塩またはアンモニウム塩、またはこれらの混合物である。スルホナートの例は、アルキルアリールスルホナート、ジフェニルスルホナート、α-オレフィンスルホナート、リグニンスルホナート、脂肪酸およびオレイン酸のスルホナート、エトキシル化されたアルキルフェノールのスルホナート、アルコキシル化されたアリールフェノールのスルホナート、ナフタレンスルホナート縮合物、ドデシルベンゼンスルホナートおよびトリデシルベンゼンスルホナート、ナフタレンスルホナートおよびシリルナフタレンスルホナートまたはスルホスクシナートである。スルファートの例は、脂肪酸およびオレイン酸のスルファート、エトキシル化されたアルキルフェノールスルファート、アルコールスルファート、エトキシル化されたアルコールのスルファートまたは脂肪酸エステルスルファートである。
【0217】
適切な非イオン性界面活性剤は、アルコキシラート、N-置換脂肪酸アミド、アミンオキシド、エステル、糖を基礎とする界面活性剤、ポリマーの界面活性剤、ブロックポリマーおよびこれらの混合物である。アルコキシラートの例は、1~50当量のアルキレンオキシドでアルコキシル化されたアルコール、アルキルフェノール、アミン、アミド、アリールフェノール、脂肪酸または脂肪酸エステルのような化合物である。アルコキシル化のために、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシド、好ましくはエチレンオキシドが使用されてよい。N-置換脂肪酸アミドの例は、脂肪酸グルカミドまたは脂肪酸アルカノールアミドである。エステルの例は、脂肪酸エステル、グリセリンエステルまたはモノグリセリドである。糖を基礎とする界面活性剤の例は、ソルビタン、エトキシル化されたソルビタン、サッカロースエステルおよびグルコースエステルまたはアルキルポリグルコシドである。ポリマーの界面活性剤の例は、ビニルピロリドン、ビニルアルコールまたはビニルアセタートのホモポリマーまたはコポリマーである。適切なブロックポリマーは、ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドからなるブロックを含むA-B型またはA-B-A型のブロックポリマー、またはアルコールならびにポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドからなるブロックを含むA-B-C型のブロックポリマーである。脂肪アルコールポリグリコールエーテルが好ましい。
【0218】
適切なカチオン性界面活性剤は、第四級界面活性剤、例えば1つまたは2つの疎水性基を有する第四級アンモニウム化合物または長鎖第一級アミンのアンモニウム塩である。
【0219】
適切な両性界面活性剤は、アルキルベタインおよびイミダゾリンである。
【0220】
特に好ましい界面活性剤は、脂肪アルコールポリグリコールエーテル、脂肪アルコールスルファート、スルホン化された脂肪アルコールポリグリコールエーテル、脂肪アルコールエーテルスルファート、スルホン化された脂肪酸メチルエステル、糖型界面活性剤、例えばアルキルグリコシド、アルキルベンゼンスルホナート、アルカンスルホナート、メチルエステルスルホナート、第四級アンモニウム塩、例えばセチルトリメチルアンモニウムブロミドおよびセッケンである。
【0221】
適切なトリアルキルホスファートは、構造R3PO4の化合物であり、ここで、三つ(3つ)の基Rの各々は、互いに無関係に、1、2、3、4、5または6の炭素原子を有するアルキル基であってよい。各々の基Rは、同じであるかまたは異なってよく、好ましくは同じ数の炭素原子を有してよい。同じ数の炭素原子は、同じ基または異性体基、好ましくは同じ基であってよい。
【0222】
例えば、トリメチルホスファート、トリエチルホスファート、トリプロピルホスファート、トリブチルホスファート、トリペンチルホスファート、トリヘキシルホスファートまたはこれらの混合物、好ましくはトリメチルホスファート、トリエチルホスファート、トリプロピルホスファートまたはこれらの混合物、特に好ましくはトリエチルホスファートが使用されてよい。
【0223】
フェノプラスト樹脂用の硬化剤として、例えばカルボナートまたはヒドロキシド、例えば炭酸カリウムまたは水酸化ナトリウムが使用されてよい。さらに、ヘキサメチレンテトラアミンが適している。フェノプラスト樹脂用の硬化剤の他の例は、M. Dunky, P. Niemz, Holzwerkstoffe und Leime, Springer 2002, 341 - 352頁から公知である。
【0224】
他の適切な添加剤は、例えばイソシアナート成分用の不活性希釈剤であってよい(成分B)およびG-2))。不活性希釈剤として、不活性液体、例えば芳香族化合物、例えばトルエン、ベンゼン、キシレン、ナフタレン、クロロベンゼン、有機溶媒、例えばアセトン、エーテル、酢酸エチル、THF、炭酸エステル(例えば炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジフェニル、炭酸プロピレン、炭酸エチレン)、アルカンおよびアルケン(例えばペンテン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン)、パラフィン油、ワックス、シリコーン油、好ましくは炭酸エステル、パラフィン油またはシリコーン油、特に好ましくは炭酸エステルまたはパラフィン油が適している。
【0225】
使用:
本発明による方法によって、多様な種類の単層および多層のリグノセルロース素材、特に好ましくは単層および多層のチップボードおよびファイバーボードおよび配向性ストランドボード(OSB)、全く特に好ましくは単層のチップボードおよびファイバーボードならびに多層のチップボード、ことに多層のチップボードを製造することができる。
【0226】
本発明による多層のリグノセルロース素材の厚みは、適用分野によって変わり、かつ原則として0.5~100mmの範囲内、好ましくは10~40mmの範囲内、ことに15~20mmの範囲内にある。
【0227】
本発明による単層および多層のリグノセルロース素材は、原則として、100~1000kg/m3、好ましくは400~850kg/m3の平均総密度を有する。
【0228】
本発明による多層のチップボードは、原則として、400~750kg/m3、特に好ましくは425~650kg/m3、ことに450~600kg/m3の平均総密度を有する。この密度は、製造後の24時間にEN 1058により決定される。
【0229】
本発明による方法により製造されたリグノセルロース素材、ことに単層および多層のチップボードおよび単層のファイバーボードは、とりわけ、建築において、内装工事において、店舗建設および展示場建設において、家具用の材料として、および包装材料として使用される。
【0230】
好ましい使用において、本発明による方法により製造されたリグノセルロース素材は、サンドイッチボード用の内側層として使用される。この場合、サンドイッチボードの外側層は、多様な素材、例えばアルミニウムまたは特殊鋼のような金属から、またはチップボードまたはファイバーボードのような薄い木質素材ボードから、好ましくは高圧縮ファイバーボード(HDF)から、または例えば高圧積層体(HPL)のような積層体からなっていてよい。
【0231】
他の好ましい使用の場合に、本発明による方法により製造されたリグノセルロース素材は、片面または両面が、例えば家具用シート、メラミンフィルム、化粧張り、プラスチックエッジまたは塗料で被覆される。
【0232】
建築、内装工事ならびに店舗建設および展示場建設において、本発明により製造されたリグノセルロース素材、または本発明により製造された被覆されたリグノセルロース素材、またはこのリグノセルロース素材から製造されたサンドイッチボードは、例えば屋根および壁の外板、インフィル、外装板、床、ドア内側層、隔壁または棚板として使用される。
【0233】
家具において、本発明による方法により製造されたリグノセルロース素材、または本発明による方法により製造された被覆されたリグノセルロース素材、またはこのリグノセルロース素材から製造されたサンドイッチボードは、例えば、箱型家具用の支持材料として、棚板として、ドア材として、作業ボードとして、キッチンフロントとして、机、椅子および布張り家具中の構成要素として使用される。