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特許7171573半導体処理のための円錐形ウエハセンタリングおよび保持装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】半導体処理のための円錐形ウエハセンタリングおよび保持装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20221108BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20221108BHJP
   C23C 16/458 20060101ALI20221108BHJP
【FI】
H01L21/31 B
H01L21/68 N
C23C16/458
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2019532688
(86)(22)【出願日】2017-12-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-01-30
(86)【国際出願番号】 US2017066870
(87)【国際公開番号】W WO2018118718
(87)【国際公開日】2018-06-28
【審査請求日】2020-12-10
(31)【優先権主張番号】15/385,813
(32)【優先日】2016-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アガワル・プルキット
(72)【発明者】
【氏名】カリム・イシュタク
(72)【発明者】
【氏名】クマル・プルショッタム
(72)【発明者】
【氏名】ラボワ・アドリアン
(72)【発明者】
【氏名】キム・サン・ジェ
(72)【発明者】
【氏名】ブレイリング・パトリック
【審査官】長谷川 直也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0133504(US,A1)
【文献】特開2010-016183(JP,A)
【文献】特開平10-173032(JP,A)
【文献】特開2016-195108(JP,A)
【文献】特開2002-217171(JP,A)
【文献】特開2006-021990(JP,A)
【文献】特開2004-179510(JP,A)
【文献】特開2013-051290(JP,A)
【文献】特表2002-502117(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/31
H01L 21/683
C23C 16/458
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体システムであって、
チャンバと、
前記チャンバ内に配置されているペデスタルであって、基板の中央部分を支持するための中央領域を有するペデスタルと、前記中央領域は、前記基板の前記中央部分を支持するための最小接触面積支持体を少なくとも3つ有しており、
前記ペデスタルの前記中央領域を囲むよう構成されているフォーカスリングであって、前記フォーカスリングの内側エッジ面と前記フォーカスリングの外側エッジ面との間に広がる環状形状および上面を有するフォーカスリングと、前記上面は、前記内側エッジ面と前記外側エッジ面との間に傾斜を有し、前記上面は、前記中央領域および前記上面の上に存在する際に前記基板にナイフエッジ接触を提供することを備え、前記基板に対する前記ナイフエッジ接触は、前記上面における、前記最小接触面積支持体の頂部と一致する水平面によって規定される位置において生じる、システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、前記フォーカスリングの前記上面は、水平線に対して1度~25度の範囲の角度で配置される、システム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムであって、前記フォーカスリングの前記上面は、水平線に対して1度~15度の範囲の角度で配置される、システム。
【請求項4】
請求項1に記載のシステムであって、前記フォーカスリングの前記上面は、水平線に対して5度~10度の範囲の角度で配置される、システム。
【請求項5】
請求項1に記載のシステムであって、前記フォーカスリングの前記上面は、1~32Raの範囲の表面粗さを有する、システム。
【請求項6】
請求項1に記載のシステムであって、前記フォーカスリングの前記上面は、2~15Raの範囲の表面粗さを有する、システム。
【請求項7】
請求項1に記載のシステムであって、前記フォーカスリングは、金属材料、誘電材料、または、コーティングされた材料で構成されている、システム。
【請求項8】
請求項1に記載のシステムであって、前記フォーカスリングは、アルミニウムまたはステンレス鋼で構成されている、システム。
【請求項9】
請求項1に記載のシステムであって、前記フォーカスリングは、アルミナ(Al)またはイットリア(Y)で構成されている、システム。
【請求項10】
半導体システムであって、
チャンバと、
前記チャンバ内に配置されているポケットペデスタルであって、基板の中央部分を支持するための中央領域であって、前記基板の前記中央部分を支持するための最小接触面積支持体を少なくとも3つ有する中央領域と、前記中央領域を囲む環状フォーカス領域と、前記中央領域から前記環状フォーカス領域まで広がる環状傾斜領域とを有するポケットペデスタルと、前記環状傾斜領域は、前記中央領域および前記環状傾斜領域の上に存在する際に前記基板にナイフエッジ接触を提供する環状支持を規定すること、
を備え、前記基板に対する前記ナイフエッジ接触は、前記環状傾斜領域における、前記最小接触面積支持体の頂部と一致する水平面によって規定される位置において生じる、システム。
【請求項11】
請求項10に記載のシステムであって、前記環状傾斜領域は、円錐形構成を有する、システム。
【請求項12】
請求項10に記載のシステムであって、前記ポケットペデスタルの前記環状傾斜領域は、水平線に対して1度~25度の範囲の角度で配置される、システム。
【請求項13】
請求項10に記載のシステムであって、前記ポケットペデスタルの前記環状傾斜領域は、水平線に対して1度~15度の範囲の角度で配置される、システム。
【請求項14】
請求項10に記載のシステムであって、前記ポケットペデスタルの前記環状傾斜領域は、水平線に対して5度~10度の範囲の角度で配置される、システム。
【請求項15】
請求項10に記載のシステムであって、前記環状傾斜領域は、1~32Raの範囲の表面粗さを有する、システム。
【請求項16】
請求項10に記載のシステムであって、前記環状傾斜領域は、2~15Raの範囲の表面粗さを有する、システム。
【請求項17】
半導体システムであって、
チャンバと、
前記チャンバ内に配置されているペデスタルであって、基板の中央部分を支持するための中央領域と、前記中央領域を囲む外周領域とを有するペデスタルと、前記中央領域は、前記基板の前記中央部分を支持するための最小接触面積支持体を少なくとも3つ有しており、前記外周領域は、前記中央領域から一段下がっており、
前記ペデスタルの前記中央領域を囲むよう構成されているフォーカスリングであって、前記ペデスタルの前記外周領域の上に配置され、前記フォーカスリングの内側部分と前記フォーカスリングの外側部分との間に広がる環状支持領域を有するフォーカスリングと、前記環状支持領域は、水平線に対して1度~15度の範囲の角度で配置され、前記環状支持領域は、2~15Raの範囲の表面粗さを有し、前記環状支持領域は、前記中央領域および前記環状支持領域の上に存在する際に前記基板にナイフエッジ接触を提供すること、
を備え、前記基板に対する前記ナイフエッジ接触は、前記環状支持領域における、前記最小接触面積支持体の頂部と一致する水平面によって規定される位置において生じる、システム。
【請求項18】
請求項17に記載のシステムであって、前記フォーカスリングの前記環状支持領域と、存在する時の前記基板との間の前記ナイフエッジ接触は、裏面蒸着を低減するのに十分な程度まで前記基板の裏面へのガス化学物質のアクセスをシーリングして防止する、システム。
【請求項19】
請求項17に記載のシステムであって、前記フォーカスリングの前記環状支持領域は、水平線に対して5度~10度の範囲の角度で配置される、システム。
【請求項20】
請求項17に記載のシステムであって、前記フォーカスリングは、アルミニウム、ステンレス鋼、アルミナ(Al)、および、イットリア(Y)からなる群より選択された材料で構成されている、システム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
原子層堆積(ALD)では、膜が、連続的な供給および活性化工程によって一層ずつ蒸着される。ALDは、高アスペクト比の構造上に共形膜を生成するために用いられる。ALDの欠点の一つは、ウエハ裏面にアクセスする任意のギャップを通じて膜が蒸着されうるので、ウエハの裏面への膜蒸着を避けるのが難しいことである。裏面蒸着は、多くの理由で望まれず、その一つの理由は、ウエハの裏面上の余分な膜が、例えばウエハの搬送中に、剥離を起こしやすいことである。ウエハ裏面からの剥離物がウエハ(同じウエハまたは別のウエハのいずれか)と接触すると、ウエハは汚染され、欠陥が生じうる。
【0002】
容量結合プラズマチャンバにおいては、ペデスタルとウエハとの間に小さいギャップがあることが望ましい。このギャップは、ミクロスケールのペデスタル面のばらつきによって引き起こされるインピーダンスのばらつきを基本的に打ち消すのに十分なインピーダンスをウエハとペデスタルとの間に引き起こす。ペデスタルとウエハとの間に小さいギャップを作り出すために、最小接触面積(MCA)フィーチャを用いて、平坦なウエハ平面を保証する支持を備えた水平な仮想オフセット場所を作り出す。上述のように、ペデスタルとウエハとの間のギャップは、ウエハの裏面へのアクセスを提供することにより、ウエハの裏面上への膜蒸着を容易にする。
【0003】
従来のALDおよびプラズマ強化化学蒸着(PECVD)システムにおいて用いられるペデスタルは、通例、高さを調整可能な複数のMCAフィーチャを備える。現在のペデスタル設計ガイドラインは、これらのフィーチャによって形成される支持平面がペデスタルと平行にウエハを保持することを保証するのに十分なMCAフィーチャを利用することを規定する。実際、利用されるMCAフィーチャの数がウエハの歪みまたはたわみを許容する場合には、設計が不適切であると考えられる。したがって、一部のペデスタル設計では、30を超えるMCAフィーチャがウエハの支持のために用いられる。
【0004】
実施形態は、これに関連して発生する。
【発明の概要】
【0005】
一実施形態例において、半導体システムは、チャンバと、チャンバ内に配置されているペデスタルと、ペデスタルを囲むフォーカスリングとを備える。ペデスタルは、基板(例えば、ウエハ)の中央部分を支持するための中央領域を有する。フォーカスリングは、ペデスタルの中央領域を囲むよう構成されている。フォーカスリングは、フォーカスリングの内側部分とフォーカスリングの外側部分との間に広がる環状支持領域を有する。環状支持領域は、水平線に対してある角度で配置されており、ペデスタルの中央領域およびフォーカスリングの環状支持領域の上に存在する際に基板にナイフエッジ接触を提供する。
【0006】
一例において、フォーカスリングの環状支持領域は、1度~25度の範囲の角度で配置される。別の例において、フォーカスリングの環状支持領域は、1度~15度で範囲の角度に配置される。さらに別の例において、フォーカスリングの環状支持領域は、5度~10度の範囲の角度で配置される。
【0007】
一例において、環状支持領域は、1~32Raの範囲の表面粗さを有する。別の例において、環状支持領域は、2~15Raの範囲の表面粗さを有する。
【0008】
一例において、フォーカスリングは、金属材料、誘電材料、または、コーティングされた材料で構成されている。一例において、フォーカスリングは、アルミニウムまたはステンレス鋼で構成される。一例において、フォーカスリングは、アルミナ(Al)またはイットリア(Y)で構成されている。
【0009】
別の実施形態例において、半導体システムは、チャンバと、チャンバ内に配置されたポケットペデスタルとを備える。ポケットペデスタルは、中央領域と、環状フォーカス領域と、環状傾斜領域とを有する。ポケットペデスタルの中央領域は、基板の中央部分を支持するためのものである。環状フォーカス領域は、ポケットペデスタルの中央領域を囲んでいる。環状傾斜領域は、中央領域から環状フォーカス領域まで広がっており、中央領域および環状傾斜領域の上に存在する際に基板にナイフエッジ接触を提供する環状支持を規定する。
【0010】
一例において、環状傾斜領域は、円錐形構成を有する。一例において、ポケットペデスタルの環状傾斜領域は、1度~25度の範囲の角度で配置される。別の例において、ポケットペデスタルの環状傾斜領域は、1度~15度の範囲の角度で配置される。さらに別の例において、ポケットペデスタルの環状傾斜領域は、5度~10度の範囲の角度で配置される。
【0011】
一例において、環状傾斜領域は、1~32Raの範囲の表面粗さを有する。別の例において、環状傾斜領域は、2~15Raの範囲の表面粗さを有する。
【0012】
さらに別の実施形態例において、半導体システムは、チャンバと、チャンバ内に配置されたペデスタルと、ペデスタルを囲むフォーカスリングとを備える。ペデスタルは、基板(例えば、ウエハ)の中央部分を支持するための中央領域と、中央領域を囲む外周領域とを有する。外周領域は、中央領域から一段下がっている。フォーカスリングは、ペデスタルの中央領域を囲むよう構成される。フォーカスリングは、ペデスタルの外周領域の上に配置されており、フォーカスリングの内側部分とフォーカスリングの外側部分との間に広がる環状支持領域を有する。環状支持領域は、水平線に対して1度~15度の範囲の角度で配置されており、2~15Raの範囲の表面粗さを有する。環状支持領域は、ペデスタルの中央領域およびフォーカスリングの環状支持領域の上に存在する際に基板にナイフエッジ接触を提供する。
【0013】
一例において、フォーカスリングの環状支持領域と、存在する時の基板との間のナイフエッジ接触は、裏面蒸着を低減するのに十分な程度までウエハの裏面へのガス化学物質のアクセスをシーリングする。
【0014】
一例において、フォーカスリングの環状支持領域は、水平線に対して5度~10度の範囲の角度で配置される。一例において、フォーカスリングは、アルミニウム、ステンレス鋼、アルミナ(Al)、および、イットリア(Y)からなる群より選択された材料で構成されている。
【0015】
本開示のその他の態様および利点については、本発明の原理を例示す添付図面を参照しつつ行う以下の詳細な説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】一実施形態例に従って、ウエハの処理に利用される基板処理システムを示す概略図。
【0017】
図2】4つの処理ステーションが提供されたマルチステーション処理ツールの上面図。
【0018】
図3】入口ロードロックおよび出口ロードロックを備えたマルチステーション処理ツールの一実施形態を示す概略図。
【0019】
図4】一実施形態例に従って、図1に示すキャリアフォーカスリングおよびペデスタルの拡大断面を示す概略図。
【0020】
図5】一実施形態例に従って、フォーカスリングおよびペデスタルの拡大断面図を示す概略図。
【0021】
図6A】一実施形態例に従って、一体型フォーカスリングを備えたモノリシックポケットペデスタルを示す簡略な断面図。
【0022】
図6B】一実施形態例に従って、固定フォーカスリングを上に配置されたポケットペデスタルを示す簡略な断面図。
【0023】
図6C】一実施形態例に従って、一体型フォーカスリングを備えたモノリシックポケットペデスタルを示す簡略な斜視図。
【0024】
図7】一実施形態例に従って、ウエハエッジとフォーカスリングの上面との間のナイフエッジ接触を示す概略図。
【0025】
図8】一実施形態例に従って、ウエハエッジとポケットペデスタルの環状傾斜領域の上面との間のナイフエッジ接触を示す概略図。
【0026】
図9】一実施形態例に従って、ウエハエッジとペデスタルの環状傾斜領域の上面との間のナイフエッジ接触を示す概略図。
【0027】
図10】一実施形態例に従って、垂直延長部を備えたフォーカスリングを示す簡略な断面図。
【0028】
図11】一実施形態例に従って、処理システムを制御するための制御モジュールを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下の説明では、実施形態例の完全な理解を促すために、数多くの具体的な詳細事項が示されている。しかしながら、当業者にとって明らかなように、実施形態例は、これらの具体的な詳細事項の一部がなくとも実施することが可能である。また、処理動作および実装の詳細については、すでに周知であれば、詳述していない。
【0030】
図1は、ウエハ101を処理するために用いられる基板処理システム100を示す。システムは、下側チャンバ本体102bおよび上側チャンバ本体102aを有するチャンバ102を備える。中心柱119が、ペデスタル140を支持するよう構成されており、ペデスタル140は、一実施形態において、電力供給される電極である。ペデスタル140は、中心柱119を備えたペデスタルアセンブリと、基板支持面を備えたペデスタル本体とによって規定される。ペデスタル140は、整合回路網106を介して電源104に電気接続される。電源は、制御モジュール110(例えば、コントローラ)によって制御される。制御モジュール110は、処理入力/制御108を実行することによって、基板処理システム100を動作させるよう構成される。処理入力/制御108は、ALD法またはPECVD法によってウエハ101上に膜を蒸着または形成するために、電力レベル、タイミングパラメータ、処理ガス、ウエハ101の機械的移動などの処理レシピを備える。
【0031】
また、中央柱は、リフトピン120を備えることが図示されており、リフトピン120は、リフトピン制御部122によって制御される。リフトピン120は、エンドエフェクタがウエハを持ち上げ、エンドエフェクタによって配置された後にウエハ101を降ろすことを可能にするように、ペデスタル140からウエハ101を持ち上げるために用いられる。基板処理システム100は、さらに、処理ガス114(例えば、設備からのガス化学物質供給)に接続されたガス供給マニホルド112を備える。実行される処理に応じて、制御モジュール110は、ガス供給マニホルド112を通る処理ガス114の供給を制御する。次いで、選択されたガスは、シャワーヘッド150に流され、シャワーヘッド150とペデスタル140上にあるウエハ101との間に規定された空間に分散される。
【0032】
さらに、処理ガスは、予混合されてもされなくてもよい。処理の蒸着およびプラズマ処理の段階中に、正確なガスが供給されることを保証するために、適切なバルブおよびマスフロー制御メカニズムが利用されてよい。処理ガスは、流出口を介してチャンバから出る。真空ポンプ(例えば、1または2段の機械的乾式ポンプおよび/またはターボ分子ポンプなど)が、処理ガスを引き出し、スロットルバルブまたは振り子バルブなどの閉ループ制御された流量制限装置によってリアクタ内の適切な低圧を維持する。
【0033】
ペデスタル140の外側領域を取り囲むキャリアフォーカスリング200も図示されている。キャリアフォーカスリング200は、ペデスタル140の中央のウエハ支持領域から一段下がったリング支持領域上に載置されるよう構成される。キャリアフォーカスリング200は、そのディスク構造の外縁側(例えば、外径)と、ウエハ101の載置される場所に最も近いそのディスク構造のウエハエッジ側(例えば、内径)と、を備える。キャリアフォーカスリング200の上面200aは、1)可変温度ウエハセンタリングを可能にし、2)ウエハ裏面へのガス化学物質のアクセスを防ぐようにシーリングすることによってウエハ裏面の蒸着を低減するために、ウエハエッジ接触を可能にすると共にウエハスライド傾斜台として機能する円錐形ナイフエッジを提供するように傾斜されている。キャリアフォーカスリング(またはフォーカスリングまたはポケットペデスタル)の上面の構造および機能に関するさらなる詳細については、図4図10を参照して後述する。キャリアフォーカスリング200は、ウエハ101と共に持ち上げられ、例えば、マルチステーションシステムにおける別のステーションに向かって回転されることができる。上述のように、いくつかの実施形態において、キャリアフォーカスリング200は、スパイダフォーク226を用いてウエハ101を持ち上げるためには利用されない。それらの実施形態において、ウエハ101は、キャリアフォーカスリング200を移動させることなしに、エンドエフェクタ(図示せず)で持ち上げられる。
【0034】
図2は、4つの処理ステーションが提供されたマルチステーション処理ツールの上面図を示す。この上面図は、(例えば、上側チャンバ部分102aを図示のために取り除いた)下側チャンバ本体102bの図であり、ここで、4つのステーションは、スパイダフォーク226によってアクセスされる。1または複数のスパイダフォークの各々は、第1および第2アームを備えており、各アームは、ペデスタル140の各側の一部の周りに配置される。この図において、スパイダフォーク226は、キャリアリング200の下方にあることを示すために、点線で描かれている。スパイダフォーク226は、回転可能なスピンドル220に結合されており、スピンドル220は、さらなるプラズマ処理、処置、および/または、膜蒸着をそれぞれのウエハ101に行うことができるように、ステーションから(すなわち、キャリアフォーカスリング200の下面から)同時にキャリアフォーカスリング200を持ち上げ、次いで、次の位置に(キャリアフォーカスリングの内の少なくとも1つがウエハ101を支持する場所に)キャリアフォーカスリング200を降ろす前に1または複数のステーションを回転させるよう構成されている。
【0035】
図3は、入口ロードロック302および出口ロードロック304を備えたマルチステーション処理ツール300の一実施形態を示す概略図である。大気圧下にあるロボット306が、ポッド308を通してロードされたカセットから大気ポート310を介して入口ロードロック302内に基板を移動させるよう構成されている。入口ロードロック302は、大気ポート310が閉じられた時に、入口ロードロック302がポンプダウンされうるように、真空源(図示せず)に接続されている。入口ロードロック302は、処理チャンバ102bと結合されるチャンバ移動ポート316も備える。したがって、チャンバ移動ポート316が開かれると、別のロボット(図示せず)が、処理に向けて、入口ロードロック302から第1処理ステーションのペデスタル140(図2参照)へ基板を移動させてよい。
【0036】
図の処理チャンバ102bは、図3に示す実施形態において、1から4までの番号を付した4つの処理ステーションを備える。いくつかの実施形態において、処理チャンバ102bは、基板が、真空の中断および/または空気への暴露を経験することなしに、処理ステーション間でキャリアフォーカスリング200を用いて移動されうるように、低圧環境を維持するよう構成されてよい。図3に示す各処理ステーションは、処理ステーション基板ホルダ(ステーション1用が318と示されている)および処理ガス供給ライン流入口を備える。
【0037】
いくつかの実施形態において、「リングなし」基板移送が用いられてもよい。かかる実施形態において、キャリアリングは、1つのステーションに固定されたままである。ピンを用いてペデスタルから基板を持ち上げ、ウエハの下にパドルを挿入した後に、ピン上の基板を降ろすことで確実にパドルを基板に直接接触させることによって、基板を移動させる。この時点で、基板は、パドルを用いて別のステーションにインデックスされる。基板が、新しいステーションに来ると、基板がピンでペデスタルから持ち上げられ、パドルが回転または運び出され、ペデスタルに対する基板の直接接触を確実にするためにピンが降ろされる。これで、インデックスされた(すなわち、移動された)基板に対して新しいステーションで、基板処理が進行できる。システムが複数のステーションを有する場合、複数のリングなし基板移送に対して同じ方法で、基板(すなわち、ステーションに存在する基板)の各々が一緒に(例えば、同時に)移動されうる。
【0038】
図4は、図1に示すキャリアフォーカスリング200およびペデスタル140の拡大断面を示す概略図である。図4に示すように、キャリアフォーカスリング200は、ペデスタルの中央部分のウエハ支持領域140aを囲んでいる。キャリアフォーカスリング200は、ウエハ支持領域140aから一段下がったリング支持領域140b上に載置される。スパイダフォーク226は、スパイダフォークが、上述のようにキャリアフォーカスリングを持ち上げて回転させることができるように、キャリアフォーカスリング200の下に配置される。図4に示すように、スパイダフォーク226は、リング支持領域140bから一段下がって規定されたスペースSにおいてキャリアフォーカスリング200の下に配置される。ウエハ101は、ウエハの裏面と接触する最小接触面積(MCA)支持体224と、ウエハのエッジと接触するキャリアフォーカスリング200の上面200aとによって、ペデスタル140の上に支持される。2つのMCA支持体224が、図4の例で見られるが、当業者であれば、ウエハ101に支持を提供するために用いられるMCA支持体の数は、例えば、ウエハのサイズ、処理温度などによって変化することがわかる。例として、MCA支持体の数は、3~30の範囲でありうる。MCA支持体224は、通例はサファイアで形成され、通例は1~10ミル(1ミル=0.001インチ(0.0254mm))の範囲の距離だけペデスタル140のウエハ支持領域の表面の上でウエハ101を支持する。
【0039】
ペデスタル140およびフォーカスキャリアリング200は、様々な適切な材料で形成されうる。例えば、ペデスタルおよびフォーカスキャリアリングは、金属(例えば、アルミニウム(Al)、ステンレス鋼など)、誘電体(例えば、アルミナ(Al)、イットリア(Y)など)、または、コーティングされた材料(例えば、イットリアまたはアルミナでコーティングされたアルミニウム)で形成されてよい。ウエハ101は、適切な半導体材料(例えば、シリコン(Si))で形成される。半導体蒸着処理は、基板(例えば、ウエハ)上に蒸着される膜のタイプおよび膜を蒸着するために用いられる化学物質に応じて、幅広い温度で実行されうる。例えば、酸化物を蒸着するための蒸着温度は、約100℃未満であり、いくつかの実施形態においては、50℃未満である。窒化物または炭化物を蒸着するための蒸着温度は、通例、約400℃未満であるが、いくつかの実施形態においては、400℃を超える場合がある。そのため、概して、蒸着温度は、20℃~700℃の範囲内でありうる。一実施形態において、蒸着温度は、100℃~550℃の範囲内である。別の実施形態において、蒸着温度は、300℃~450℃の範囲内(例えば、約400℃)である。温度に関して本明細書で用いられているように、「約」という用語は、±10℃を意味する。したがって、例として、「約400℃」の温度は、390℃~410℃の温度を示す。
【0040】
搬送および処理中、ウエハ101が、例えば、フォーカスキャリアリング200上で滑ることによって、移動するのは望ましくない。このことを念頭に置くと、キャリアフォーカスリング200の上面200aの表面粗さは、上面によって提供される動摩擦が下向きの重力を相殺するように選択されることが好ましい。さらに、上面200aの粗さの程度は、ウエハ101のエッジで提供される接触シールが、ウエハの裏面へのガス化学物質のアクセスを効果的に制限することを可能にするだけではなく、ウエハが接触した時の粒子の生成も避けることが好ましい。上述の要素の有効なバランスを得るために、キャリアフォーカスリング200の上面200aは、比較的滑らかであることが好ましい。いくつかの実施形態において、キャリアフォーカスリング200の上面200aは、1~32Raの範囲の表面粗さを有する。一実施形態において、キャリアフォーカスリングの上面は、2~15Raの範囲(例えば、4Ra)の表面粗さを有する。
【0041】
図5は、一実施形態例に従って、フォーカスリングおよびペデスタルの拡大断面図を示す概略図である。図5に示す構成は、ペデスタル140-1が図4に示すスパイダフォーク226に対応するよう構成されていないことを除けば、図4に示す構成と同じである。したがって、フォーカスリング200-1は、ウエハ101を運ぶために利用されないが、キャリアフォーカスリング200(図4)は、ウエハを運ぶために利用される。この理由から、フォーカスリング200-1は、「フォーカスリング」と呼ばれ、キャリアフォーカスリング200は、「キャリアフォーカスリング」と呼ばれる。図5に示すように、フォーカスリング200-1は、ペデスタル140-1の中央部分のウエハ支持領域140a-1を囲んでいる。フォーカスリング200-1は、ウエハ支持領域140a-1から一段下がったリング支持領域140b-1上に載置される。フォーカスリング200-1の上面200a-1は、図4に示すキャリアフォーカスリング200の上面200aと同じ構成を有する。
【0042】
図6A図6B、および、図6Cは、ウエハをセンタリングして保持するために円錐形構成が実施されうるデバイスの他の例を示す。図6Aは、一体型フォーカスリングを備えたモノリシックポケットペデスタルを示す簡略な断面図である。図6Aに示すように、モノリシックポケットペデスタル140-2は、上面140x-2、環状面140y-2、および、ウエハ支持面140z-2を有する。上面140x-2は、環状面140y-2を囲む平坦な面であり、ポケットペデスタル140-2の環状フォーカス領域の境界を規定する。環状面140y-2は、本明細書に記載のように、ウエハ101を受け止めるための円錐形ナイフエッジフォームファクタを提供するように傾斜されている。ウエハ支持面140z-2には、ウエハ支持面の上にウエハ101を支持するための複数のMCA支持体224が設けられている。上述のように、MCA支持体224の数は、3~30の範囲であってよい。
【0043】
図6Aに示す構成によれば、モノリシックポケットペデスタル140-2は、フォーカスリングとして機能する。この構成において、ポケットペデスタル140-2の環状傾斜面140y-2および外側部分は、ポケットペデスタルと一体的に形成される。あるいは、別個のフォーカスリングが、図6Bを参照して以下で詳述するように、ポケットペデスタルに取り付けられてもよい。
【0044】
図6Bは、ポケットペデスタルと併用される固定フォーカスリングを備えたモノリシックポケットペデスタルを示す簡略な断面図である。図6Bに示すように、フォーカスリング200-2は、ポケットペデスタル140-3のウエハ支持領域140a-3を囲んでいる。一例において、フォーカスリング200-2は、ウエハ支持領域140a-3から一段下がったリング支持領域140b-3でポケットペデスタル140-3に取り付けられて、モノリシック構造を形成しうる。フォーカスリング200-2の上面200a-2は、本明細書に記載のように、ウエハ101を受け止めるための円錐形ナイフエッジフォームファクタを提供するように傾斜されている。適切な数のMCA支持体224が、ウエハ支持領域140a-3の上にウエハ101を支持するために提供されている。
【0045】
図6Cは、一体型フォーカスリングを備えたモノリシックポケットペデスタルを示す簡略な斜視図である。図6Cに示すアセンブリは、中心柱119-1上に支持されたモノリシックポケットペデスタル140-2を備えており、これは、図6Aに示すペデスタルと同様の構成を有する。ポケットペデスタル140-2は、上面140x-2、環状面140y-2、および、ウエハ支持面140z-2を有する。上面140x-2は、環状面140y-2を囲む平坦な面であり、ポケットペデスタル140-2の環状フォーカス領域の境界を規定する。環状面140y-2は、本明細書に記載のように、ウエハをセンタリングして支持するための円錐形ナイフエッジフォームファクタを提供するように傾斜されている。ウエハ支持面140z-2は、ウエハ支持面の上にウエハを支持するために、リフトピン穴250および複数のMCA支持体224(またはMCA支持体が中に配置されうる穴)を設けられる。リフトピン穴250は、通例、星形パターンに配置され、中心柱119-1内に配置されたリフトピンが、ウエハ支持面140z-2を貫通し、搬送に向けてウエハの底面(裏面)に係合することを可能にする。
【0046】
図7図9は、ウエハエッジとフォーカスリングまたはポケットペデスタルの上面との間のナイフエッジ接触に関するさらなる詳細を示す。図7は、ウエハエッジとフォーカスリングの上面との間のナイフエッジ接触を示す概略図であり、ウエハの拡大図も含む。図7に示すように、ウエハ101は、非エッジ面101a、エッジ面101b、および、底面101cを有する。非エッジ面101aは、ウエハ101のアクティブ上面であり、底面101cは、ウエハの裏面である。エッジ面101bは、エッジ移行が始まる点で始まり、これは、ゼロ度基準点を示すラベルを付された垂直の破線によって図7に示されている。エッジ面101bの中心点は、90度基準点を示すラベルを付された水平な破線によって示される。この水平な90度基準線は、ペデスタルのウエハ支持領域の上面(図7に破線140aで示されている)と実質的に平行である。フォーカスリング200の上面200aは、ウエハ101のエッジ面101bとフォーカスリングの上面との間のナイフエッジ接触を可能にするように傾斜されている。図7に示すように、上面は、水平線(例えば、図7に示す破線の水平90度基準線など)に対して角度θ1だけ傾斜されている。いくつかの実施形態において、角度θ1は、1度~25度の範囲内にある。当業者であれば、フォーカスリング200の上面200aの傾斜は、25度を超えてもよいが、かかる急な傾斜では、表面粗さの関数である動摩擦の競合力と重力との間バランスによっては、ウエハがフォーカスリングの上面で滑る可能性があることがわかる。フォーカスリング200の上面200a上でウエハ101が滑ることは、ウエハのセンタリングに悪影響を与えうるだけでなく、粒子生成の増加にもつながりうるため、望ましくない。したがって、一実施形態において、角度θ1は、1度~15度の範囲内にある。別の実施形態において、角度θ1は、5度~10度の範囲内にある。
【0047】
当業者であれば、フォーカスリング200の傾斜した上面200aは、フォーカスリングの環状の形状により、円錐形構成を有することがわかる。図7に示すように、ウエハ101のエッジ面101bは、破線101xに沿ってウエハの外縁の周りでフォーカスリング200の上面200aと接触する。エッジ面101bと上面200aとの間の接触部分に沿って、ウエハのエッジ面がフォーカスリングの上面と物理接触するところではどこでも、ウエハ101の底面101c(裏面)へのガス化学物質のアクセスがシーリングによって防止される。かかるナイフエッジ接触を用いてウエハ裏面へのガス化学物質のアクセスを防止することにより、裏面蒸着が低減される。
【0048】
多くのパラメータ(例えば、ウエハのサイズ、フォーカスリング(またはポケットペデスタル)の環状傾斜領域の角度(θ)、ウエハのエッジ面の曲率など)に応じて、ウエハのエッジ面とフォーカスリングの上面との間のナイフエッジ接触は、ウエハ101の下側エッジ部分400内の異なる位置で起こりうる。図7に示すように、ナイフエッジ接触が起こりうる下側エッジ部分内の領域は、ゼロ度基準点を示す垂直破線に対してわずかな角度に配置された破線402から45度基準点を示すラベルを付された破線までの角度φ1によって規定される。破線402は、水平90度基準線および垂直ゼロ度基準線の交点にある第1点と、エッジ面が、水平な底面101cから離れて、エッジ面とペデスタル200の上面200aとの間のナイフエッジ接触を可能にするのに十分な曲率に達する点に対応するエッジ面101b上の第2点とによって規定される。
【0049】
図7に示す例において、エッジ面101bと、フォーカスリング200の上面200aは、破線404がエッジ面と交わる点(二次元の図面で示す点)でナイフエッジ接触する。エッジ面101bと上面200aとの間のナイフエッジ接触は、破線101xで示すように、ウエハ101の外縁の周りに広がる(伸びる)。図7において、ナイフエッジ接触は、角度φ2で起こり、この角度は、下側エッジ部分400内の破線402および404によって規定される。
【0050】
図8は、ウエハエッジとポケットペデスタルの環状傾斜領域の上面との間のナイフエッジ接触を示す概略図であり、ウエハの拡大図も含む。図8に示すように、ウエハ101のエッジ面101bは、破線406がエッジ面と交わる点(二次元の図面で示す点)でポケットペデスタル140-2の環状傾斜領域(例えば、図4の環状面140y-2を参照)とナイフエッジ接触する。エッジ面101bと環状傾斜領域の面との間のナイフエッジ接触は、破線101xで示すように、ウエハ101の外縁の周りに広がる。ポケットペデスタル140-2の環状傾斜領域は、水平線(例えば、水平90度基準線)に対して角度θ2に配置される。図8において、ナイフエッジ接触は、角度φ3で起こり、この角度は、下側エッジ部分400内の破線402および406によって規定される。角度φ3は、図7に示す角度φ2よりも大きい。これは、図8に示すナイフエッジ接触が、図7に示すナイフエッジ接触よりもエッジ面101bの中心点の近くで起きることを意味する。
【0051】
図9は、ウエハエッジとペデスタルの環状傾斜領域の上面との間のナイフエッジ接触を示す概略図であり、ウエハの拡大図も含む。図9に示すように、フォーカスリング200-1は、ペデスタル140-1の中央部分のウエハ支持領域140a-1を囲んでいる。フォーカスリング200-1は、ウエハ支持領域140a-1から一段下がったリング支持領域140b-1上に載置される。ウエハ101のエッジ面101bは、破線408がエッジ面と交わる点(二次元の図面で示す点)でペデスタル140-1の環状傾斜領域(例えば、図5の上面200a-1を参照)とナイフエッジ接触する。エッジ面101bと環状傾斜領域の上面との間のナイフエッジ接触は、破線101xで示すように、ウエハ101の外縁の周りに広がる。フォーカスリング200-1の環状傾斜領域は、水平線(例えば、水平90度基準線)に対して角度θ3に配置される。図9において、ナイフエッジ接触は、角度φ4で起こり、この角度は、破線402および408によって規定される。当業者であれば、ナイフエッジ接触が起きる場所を示す角度(例えば、φ4)は、環状傾斜領域の角度(例えば、角度θ3)に関連することがわかる。例えば、角度を除くすべての関連パラメータが同じであると仮定すると、角度θ2(図8参照)が角度θ3(図9参照)よりも大きければ、角度φ3(図8参照)は角度φ4(図9参照)よりも大きくなる。
【0052】
ここで、図7を参照すると、フォーカスリング200の傾斜した上面200aは、ペデスタルに対して可変の高さにウエハを載置することを可能にしつつ、ウエハのエッジとフォーカスリングの上面との間のナイフエッジ接触を維持する。したがって、フォーカスリング200は、所与のウエハサイズのウエハ直径(例えば、200mm、300mm、および、450mm)の変動に対応しつつ、裏面蒸着を低減する。さらに、フォーカスリング200の傾斜した上面200aは、ウエハの可変なボウ(反り)を考慮するために可変温度処理を可能にすることができる。特に、ウエハのボウに関して、ウエハのエッジは、ウエハのボウが凸形であっても凹形であっても、フォーカスリングの上面とのナイフエッジ接触を維持する。当業者によって理解されるように、高い処理温度(例えば、約400℃)では、ウエハおよびフォーカスリングが、異なる膨張率で膨張する。なぜなら、これらの構成要素は、異なる材料から形成されており、それらの材料が、異なる熱膨張率を有するからである。概して、関連パラメータ(例えば、材料の選択、傾斜、表面の粗さなど)は、ウエハが処理中に平面状態(平坦)であること、または、中心が高い状態(ウエハのエッジがウエハの中心よりも低い状態)で反っていることを保証するように選択される。当業者であれば、上述の原理が、例えば、図8および図9に示す構成にも適用されることがわかる。
【0053】
フォーカスリングの円錐形上面は、フォーカスリングの導電率によっては、イオン集束にも役立ちうる。例えば、誘電材料または導電材料のいずれかから円錐形フォーカスリングを形成すると、円錐形フォーカスリングとウエハとの間にギャップがないため、従来の(非円錐形)フォーカスリングよりもイオン集束の方向に大きい影響がある。さらに、誘電体の円錐形フォーカスリングの場合、イオンが、ウエハから離れる方に方向付けられうる。高導電率フォーカスリングの場合、イオンが、ウエハに向かって方向付けられうる。さらに、チタンドープセラミックなどの材料が用いられる場合((例えば、チタンドーピングを変化させることによって)導電率を正確に制御できる)、イオン集束も制御できる。
【0054】
図10は、一実施形態例に従って、垂直延長部を備えたフォーカスリングを示す簡略な断面図である。図10に示すように、ウエハ101は、フォーカスリング200-3の傾斜した上面200a-3上に配置されている。垂直延長部200b-3は、傾斜した上面200a-3の外周Zに対して垂直に伸びる。したがって、垂直延長部200b-3は、図10に示す破線の上方に規定された環状領域を含む。垂直延長部200b-3は、処理領域内の処理ガスの流れベクトルを管理するための流体バッフル構造として機能することで、ウエハの安定化を助けうる。また、垂直延長部200b-3は、ガス流からのクーロン力または非対称なけん引力によってウエハが滑る場合に、障壁として機能する。当業者であれば、円錐形ナイフエッジフォームファクタを提供するための本明細書に記載の他の構造(例えば、ポケットペデスタル(例えば、図6Aおよび図6Cを参照))に、垂直延長部を組み込んでもよいことがわかる。
【0055】
図11は、上述のシステムを制御するための制御モジュール800を示す。一実施形態において、図1の制御モジュール110は、構成要素例の一部を備えてよい。例えば、制御モジュール800は、プロセッサと、メモリと、1または複数のインターフェースとを備えてよい。制御モジュール800は、検知された値に部分的に基づいて、システム内の装置を制御するために用いられてよい。単に例として、制御モジュール800は、検知された値およびその他の制御パラメータに基づいて、バルブ802、フィルタヒータ804、ポンプ806、および、その他の装置808の内の1または複数を制御してよい。制御モジュール800は、単に例として、圧力計810、流量計812、温度センサ814、および/または、その他のセンサ816から検知された値を受信する。制御モジュール800は、前駆体供給および膜蒸着の間に処理条件を制御するためにも用いられてもよい。制御モジュール800は、通例、1または複数のメモリデバイスと、1または複数のプロセッサとを備える。
【0056】
制御モジュール800は、前駆体供給システムおよび蒸着装置の動作を制御してよい。制御モジュール800は、特定の処理の処理タイミング、供給システムの温度、フィルタにわたる圧力差、バルブポジション、ガスの混合、チャンバ圧、チャンバ温度、ウエハ温度、RF電力レベル、ウエハチャックまたはペデスタルの位置、ならびに、その他のパラメータを制御するための命令のセットを含むコンピュータプログラムを実行する。制御モジュール800は、圧力差を監視し、蒸気前駆体の供給を1または複数の流路から1または複数のその他の流路に自動的に切り替えてもよい。制御モジュール800に関連するメモリデバイスに格納された他のコンピュータプログラムが、いくつかの実施形態において用いられてもよい。
【0057】
通例は、制御モジュール800に関連したユーザインターフェースが存在する。ユーザインターフェースは、ディスプレイ818(例えば、装置および/または処理条件の表示スクリーンおよび/またはグラフィカルソフトウェアディスプレイ)と、ポインティングデバイス、キーボード、タッチスクリーン、マイクなどのユーザ入力デバイス820とを含んでよい。
【0058】
処理シーケンスにおける前駆体の供給、蒸着、および、その他の処理を制御するためのコンピュータプログラムコードは、任意の従来のコンピュータ読み取り可能プログラミング言語、例えば、アセンブリ言語、C、C++、パスカル、フォートランなどで書くことができる。コンパイルされたオブジェクトコードまたはスクリプトが、プラグラム内に特定されたタスクを実行するために、プロセッサによって実行される。
【0059】
制御モジュールパラメータは、例えば、フィルタ圧力差、処理ガスの組成および流量、温度、圧力、プラズマ条件(RF電力レベルおよび低周波RF周波数など)、冷却ガス圧、ならびに、チャンバ壁の温度などの処理条件に関連する。
【0060】
システムソフトウェアは、多くの異なる方法で設計または構成されうる。例えば、本発明の蒸着処理を実行するのに必要なチャンバ構成要素の動作を制御するために、様々なチャンバ構成要素サブルーチンまたは制御オブジェクトが書かれてよい。このためのプログラムまたはプログラムセクションの例は、基板配置コード、処理ガス制御コード、圧力制御コード、ヒータ制御コード、および、プラズマ制御コードを含む。
【0061】
基板配置プログラムは、ペデスタルまたはチャック上に基板をロードするため、および、基板とチャンバの他の部品(ガス流入口および/またはガスターゲットなど)との間の間隔を制御するために用いられるチャンバ構成要素を制御するためのプログラムコードを備えてよい。処理ガス制御プログラムは、ガス組成および流量を制御するため、ならびに、任意選択的に、チャンバ内の圧力を安定させるために蒸着の前にチャンバ内にガスを流すためのコードを備えてよい。フィルタ監視プログラムは、測定された差を所定の値と比較するコードおよび/または流路を切り替えるためのコードを含む。圧力制御プログラムは、例えば、チャンバの排気システムのスロットルバルブを調節することにより、チャンバ内の圧力を制御するためのコードを備えてよい。ヒータ制御プログラムは、前駆体供給システム内の構成要素、基板、および/または、システムのその他の部分を加熱するための加熱ユニットへの電流を制御するためのコードを含んでよい。あるいは、ヒータ制御プログラムは、ウエハチャックへの熱伝導ガス(ヘリウムなど)の供給を制御してもよい。
【0062】
蒸着中に監視されうるセンサの例は、マスフローコントロールモジュール、圧力センサ(圧力計810など)、ならびに、供給システム、ペデスタル、または、チャックに配置された熱電対(例えば、温度センサ814)を含むが、これらに限定されない。適切にプログラムされたフィードバックアルゴリズムおよび制御アルゴリズムが、所望の処理条件を維持するためにこれらのセンサからのデータと共に用いられてよい。以上、単一チャンバまたはマルチチャンバの半導体処理ツールにおける本発明の実施形態の実施について説明した。
【0063】
したがって、実施形態例の開示は、以下の請求項およびそれらの等価物に記載される開示の範囲の例示を意図するものであるが、それらを限定するものではない。理解を深めるために、開示の実施形態例について、ある程度詳しく説明したが、添付の特許請求の範囲内でいくらかの変更および変形を行ってもよいことは明らかである。例えば、ペデスタルと組み合わせて用いる、または、ポケットペデスタルに組み込むことに加えて、ナイフエッジ接触を提供するフォーカスリングを、真空チャックと共に利用することができる。以下の特許請求の範囲において、要素および/または工程は、請求項の中で特に言及せず、また、本開示によって暗に求められていない限り、全く特定の動作順序を示すものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9
図10
図11