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特許7171640減圧治療を実施するためのシステムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】減圧治療を実施するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 27/00 20060101AFI20221108BHJP
【FI】
A61M27/00
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020048034
(22)【出願日】2020-03-18
(62)【分割の表示】P 2016534618の分割
【原出願日】2014-08-07
(65)【公開番号】P2020108804
(43)【公開日】2020-07-16
【審査請求日】2020-04-03
(31)【優先権主張番号】61/865,516
(32)【優先日】2013-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502032219
【氏名又は名称】スミス アンド ネフュー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム・ジョセフ・ジャクライン
(72)【発明者】
【氏名】フェリックス・シー・クインタナー
【審査官】鈴木 洋昭
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0078539(US,A1)
【文献】特表2010-504112(JP,A)
【文献】特表2010-517681(JP,A)
【文献】英国特許出願公開第02235877(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負圧創傷治療装置であって、
創傷の上に配置されるよう構成されるドレッシングであって、前記創傷から除去された滲出液を収集するよう構成されたドレッシングと、
前記ドレッシングと流体連通状態であるよう構成された負圧源であって、前記創傷へ負圧を提供するよう構成された負圧源と、
前記負圧源によって生成される圧力信号の一つ以上の特性をモニターするよう構成された圧力センサーと、
前記圧力信号のモニターされた一つ以上の特性に基づいて、前記ドレッシング内の滲出液の液位を特定するよう構成されたコントローラーと、
を具備する負圧創傷治療装置において、
前記コントローラーは、一つ以上の閾値に対して前記圧力信号のモニターされた一つ以上の特性を比較することに基づいて、前記ドレッシング内の前記滲出液の液位を特定するよう構成される、負圧創傷治療装置。
【請求項2】
前記圧力信号のモニターされた一つ以上の特性は前記圧力信号の大きさを含み、かつ、前記圧力信号の大きさは前記ドレッシング内の滲出液の液位が増大するにつれて増大する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ドレッシングはさらに、オーバーフローを防ぐために閉塞状態となるよう構成されたフィルターを備え、かつ、前記コントローラーはさらに、前記フィルターが閉塞状態となる前にドレッシング事前満杯状態を検出すると共にユーザーに前記ドレッシング事前満杯状態の指標を提供するよう構成される、請求項1または請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記コントローラーはさらに、前記圧力信号のモニターされた一つ以上の特性および前記負圧源の測定された活性レベルに基づいて、前記ドレッシング内の滲出液の液位を特定するよう構成される、請求項1~3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記ドレッシングおよび前記負圧源を流体的に接続するよう構成された流体流路をさらに備え、前記コントローラーはさらに、前記負圧源の活性レベルに基づいて、前記流体流路内の流体の漏れレートを特定するよう構成され、かつ、前記コントローラーは、前記圧力信号のモニターされた一つ以上の特性および特定された漏れレートに基づいて、前記ドレッシング内の滲出液の液位を特定するよう構成される、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記圧力信号のモニターされた一つ以上の特性は圧力信号の大きさおよび周波数を含み、かつ、前記コントローラーはさらに、前記圧力信号の大きさおよび周波数に基づいて、前記ドレッシング内の滲出液の液位を特定するよう構成され、前記圧力信号の大きさは前記ドレッシング内の滲出液の液位が増大するにつれて増大し、かつ、前記圧力信号の前記周波数は前記ドレッシング内の滲出液の液位が増大するにつれて減少する、請求項1~5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記コントローラーは、前記ドレッシングおよび前記負圧源を流体的に接続するよう構成された流体流路内に存在する漏れの強度に関係なく、前記ドレッシング内の滲出液の液位を特定するよう構成される、請求項1~6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記コントローラーは、前記圧力信号のモニターされた一つ以上の特性の変化に基づいて、前記ドレッシング内の前記滲出液の液位を特定するよう構成される、請求項1~7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
負圧創傷治療装置の作動方法であって、
圧力センサーが、創傷ドレッシングおよびキャニスターと流体連通状態の負圧源によって生成される圧力信号をモニターするステップと、
コントローラーが、モニターされる圧力信号の一つ以上の特性に基づいて、前記創傷ドレッシング内の吸引された滲出液の液位を特定するステップと、
前記コントローラーが、一つ以上の閾値に対して、前記圧力信号のモニターされる一つ以上の特性を比較することに基づいて、前記創傷ドレッシング内の前記滲出液の液位を特定するステップと、
を備える作動方法。
【請求項10】
前記圧力信号のモニターされる一つ以上の特性は前記圧力信号の大きさを含み、かつ、前記圧力信号の大きさは、前記創傷ドレッシング内の滲出液の液位が増大するにつれて増大する、請求項9に記載の作動方法。
【請求項11】
前記創傷ドレッシングは、オーバーフローを防ぐために閉塞状態となるよう構成されたフィルターを備え、かつ、前記作動方法はさらに、前記フィルターが閉塞状態となる前に、前記コントローラーが、ドレッシング事前満杯状態を検出するステップ、および前記コントローラーが、ユーザーに前記ドレッシング事前満杯状態の指標を提供するステップを備える、請求項9または請求項10に記載の作動方法。
【請求項12】
ポンプ制御プロセッサを介して、前記負圧源の活性レベルを測定するステップと、前記コントローラーを介して、前記圧力信号のモニターされる一つ以上の特性および測定された活性レベルに基づいて、前記創傷ドレッシング内の滲出液の液位を特定するステップと、をさらに備える、請求項9~11のいずれか1項に記載の作動方法。
【請求項13】
前記コントローラーが、前記負圧源の活性レベルに基基づいて、流路内の流体の漏れレートを特定するステップであって、流体の流路は前記創傷ドレッシングおよび前記負圧源を流体的に接続するものであるステップと、前記コントローラーが、前記圧力信号のモニターされる一つ以上の特性および特定された漏れレートに基づいて、前記創傷ドレッシング内の滲出液の液位を特定するステップと、をさらに備える、請求項12に記載の作動方法。
【請求項14】
前記圧力信号のモニターされる一つ以上の特性は圧力信号の大きさおよび周波数を含み、かつ、前記作動方法はさらに、前記コントローラーが、圧力信号の大きさおよび周波数に基づいて、前記創傷ドレッシング内の滲出液の液位を特定するステップを備え、前記圧力信号の大きさは前記創傷ドレッシング内の滲出液の液位が増大するにつれて増大し、かつ、前記圧力信号の前記周波数は前記創傷ドレッシング内の前記滲出液の液位が増大するにつれて減少する、請求項9~13のいずれか1項に記載の作動方法。
【請求項15】
前記コントローラーが、前記創傷ドレッシングおよび前記負圧源を流体的に接続する流体流路内に存在する漏れの強度に関係なく、前記創傷ドレッシング内の滲出液の液位を特定するステップをさらに備える、請求項9~14のいずれか1項に記載の作動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2013年8月13日に出願された米国仮出願第61/865,516号の利益を主張し、その開示はこの引用によってその全体が本明細書中に組み込まれる。
【0002】
本開示の実施形態は減圧治療または局所負圧(TNP)治療によって傷をドレッシングし、治療するための方法および装置に関する。特に、しかし限定するものではないが、本明細書に開示された実施形態は、負圧治療デバイス、TNPシステムの動作を制御するための方法、およびTNPシステムを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
本開示の実施形態は減圧治療または局所負圧(TNP)治療によって傷をドレッシングし、治療するための方法および装置に関する。特に、しかし限定するものではないが、本明細書に開示された実施形態は、負圧治療デバイス、TNPシステムの動作を制御するための方法、およびTNPシステムを使用する方法に関する。さらに、本明細書に開示された実施形態は、負圧治療デバイス用の取り付け機構またはシステムに関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
ある実施形態では、負圧創傷治療装置は、創傷ドレッシングと流体連通状態であるよう構成された負圧源であって、創傷へ負圧を提供するよう構成された負圧源と、ドレッシングおよび負圧源と流体連通状態であるよう構成されたキャニスターであって、創傷から除去された滲出液を収集するよう構成されたキャニスターと、負圧源によって生成される圧力信号の一つ以上の特性をモニターするよう構成された圧力センサーとを含む。装置はまた、圧力信号の測定された一つ以上の特性に、少なくとも部分的に基づいて、キャニスター内の滲出液のレベルを特定するよう構成されたコントローラーを含む。
【0005】
前段落の装置はまた、この段落に記載された、とりわけ本明細書に記載された以下の特徴の組み合わせを含んでもよい。圧力信号の測定された一つ以上の特性は圧力信号の大きさを含むことができ、かつ、圧力信号の大きさは、キャニスター内の滲出液のレベルが増大するにつれて増大してもよい。キャニスターは、当該キャニスターのオーバーフローを防ぐために閉塞状態となるよう構成されたフィルターを含むことができ、かつ、コントローラーはさらに、フィルターが閉塞状態となる前に、キャニスター事前満杯状態を検出するよう構成できる。コントローラーはまた、ユーザーにキャニスター事前満杯状態の指標を提供するよう構成できる。コントローラーは、圧力信号の測定された一つ以上の特性および負圧源の測定された活性レベルに、少なくとも部分的に基づいて、キャニスター内の滲出液のレベルを特定するよう構成できる。負圧源は真空ポンプを含むことができ、かつ、負圧源の活性レベルは真空ポンプの速度に対応する。本装置は、真空ポンプの速度を測定するよう構成されたタコメーターを含むことができる。
【0006】
前段落のいずれかの装置はまた、この段落に記載された、とりわけ本明細書に記載された以下の特徴の組み合わせを含んでもよい。当該装置は、ドレッシング、キャニスターおよび負圧源を流体的に接続するよう構成された流体流路をさらに含むことができ、かつ、コントローラーはさらに、負圧源の活性レベルに、少なくとも部分的に基づいて流路内の流体の漏れレートを特定すると共に、圧力信号の測定された一つ以上の特性および特定された漏れレートに、少なくとも部分的に基づいて、キャニスター内の滲出液のレベルを特定するよう構成できる。コントローラーは圧力信号の測定された一つ以上の特性からノイズを除去するよう構成できる。コントローラーは、一つ以上の閾値に対して圧力信号の測定された一つ以上の特性を比較することに、少なくとも部分的に基づいて、キャニスター内の滲出液のレベルを特定するよう構成できる。測定された一つ以上の特性は圧力パルスの大きさおよび周波数を含むことができ、かつ、コントローラーは、圧力信号の大きさおよび周波数に、少なくとも部分的に基づいて、キャニスター内の滲出液のレベルを特定するよう構成できる。圧力信号の大きさはキャニスター内の滲出液のレベルが増大するにつれて増大してもよく、かつ、圧力信号の周波数は、キャニスター内の滲出液のレベルが増大するにつれて減少してもよい。
【0007】
前段落のいずれかの装置はまた、この段落に記載された、とりわけ本明細書に記載された以下の特徴の組み合わせを含んでもよい。コントローラーは、ドレッシング、キャニスターおよび負圧源を流体的に接続するよう構成された流体流路内に存在する漏れの強度に関係なく、キャニスター内の滲出液のレベルを特定するよう構成できる。コントローラーは、圧力信号の測定された一つ以上の特性の変化に、少なくとも部分的に基づいて、キャニスター内の滲出液のレベルを特定するよう構成できる。本装置は、創傷上に配置されるよう構成された創傷ドレッシングを含むことができる。
【0008】
ある実施形態では、負圧創傷治療装置を動作させる方法は、創傷ドレッシングおよびキャニスターと流体連通状態の負圧源によって生成される圧力信号をモニターするステップと、モニターされる圧力信号の一つ以上の特性に、少なくとも部分的に基づいて、キャニスター内の吸引された滲出液のレベルを特定するステップとを含む。
【0009】
前段落の方法はまた、この段落に記載された、とりわけ本明細書に記載された以下の特徴の組み合わせを含んでもよい。モニターされる圧力信号の一つ以上の特性は圧力信号の大きさを含むことができ、かつ、圧力信号の大きさは、キャニスター内の滲出液のレベルが増大するにつれて増大してもよい。キャニスターは、当該キャニスターのオーバーフローを防ぐために閉塞状態となるよう構成されたフィルターを含むことができ、かつ、本方法はさらに、フィルターが閉塞状態となる前に、キャニスター事前満杯状態を検出するステップを含むことができる。ユーザーにキャニスター事前満杯状態の指標が提供されてもよい。本方法は、負圧源の活性レベルを測定するステップおよびモニターされた圧力信号の一つ以上の特性および測定された活性レベルに、少なくとも部分的に基づいて、キャニスター内の滲出液のレベルを特定するステップを含むことができる。負圧源は真空ポンプを含むことができ、かつ、負圧源の活性レベルは真空ポンプの速度に対応する。タコメーターを真空ポンプの速度を測定するために使用できる。本方法は、負圧源の活性レベルに、少なくとも部分的に基づいて、流路内の流体の漏れレートを特定するステップと、モニターされる圧力信号の一つ以上の特性および特定された漏れレートに、少なくとも部分的に基づいて、キャニスター内の滲出液のレベルを特定するステップとを含むことができる。流体流路は、創傷上に配置されたドレッシング、負圧源およびキャニスターを流体的に接続できる。
【0010】
前段落のいずれかの方法はまた、この段落に記載された、とりわけ本明細書に記載された以下の特徴の組み合わせを含んでもよい。本方法は、圧力信号測定値からノイズを除去するステップを含むことができる。本方法は、一つ以上の閾値に対してモニターされる圧力信号の一つ以上の特性を比較することに、少なくとも部分的に基づいて、キャニスター内の滲出液のレベルを特定するステップを含むことができる。モニターされる圧力信号の一つ以上の特性は圧力信号の大きさおよび周波数を含むことができ、かつ、本方法はさらに、モニターされる圧力信号の大きさおよび周波数に、少なくとも部分的に基づいて、キャニスター内の滲出液のレベルを特定するステップを備えることができる。圧力信号の大きさはキャニスター内の滲出液のレベルが増大するにつれて増大してもよく、かつ、圧力信号の周波数は、キャニスター内の滲出液のレベルが増大するにつれて減少してもよい。キャニスター内の吸引された滲出液のレベルの特定は、ドレッシング、キャニスターおよび負圧源を流体的に接続するよう構成された流体流路内に存在する漏れの強度に関係なく実施される。本方法は、モニターされる圧力信号の一つ以上の特性の変化に、少なくとも部分的に基づいて、キャニスター内の滲出液のレベルを特定するステップを含むことができる。
【0011】
さまざまな実施形態では、負圧創傷治療装置は、創傷の上に配置されるよう構成されるドレッシングであって、創傷から除去された滲出液を収集するよう構成されたドレッシングと、ドレッシングと流体連通状態であるよう構成された負圧源であって、創傷へ負圧を提供するよう構成された負圧源と、負圧源によって生成される圧力信号の一つ以上の特性をモニターするよう構成された圧力センサーとを含む。本装置はまた、圧力信号のモニターされた一つ以上の特性に、少なくとも部分的に基づいて、ドレッシング内の滲出液のレベルを特定するよう構成されたコントローラーを含む。
【0012】
前段落のいずれかの装置はまた、この段落に記載された、とりわけ本明細書に記載された以下の特徴の組み合わせを含んでもよい。圧力信号のモニターされた一つ以上の特性は圧力信号の大きさを含むことができ、かつ、圧力信号の大きさは、ドレッシング内の滲出液のレベルが増大するにつれて増大してもよい。ドレッシングは、オーバーフローを防ぐために閉塞状態となるよう構成されたフィルターを含むことができ、かつ、コントローラーはさらに、フィルターが閉塞状態となる前にキャニスター事前満杯状態を検出すると共にユーザーにドレッシング事前満杯状態の指標を提供するよう構成できる。コントローラーはさらに、圧力信号のモニターされた一つ以上の特性および負圧源の測定された活性レベルに、少なくとも部分的に基づいて、ドレッシング内の滲出液のレベルを特定するよう構成できる。本装置はさらに、ドレッシングおよび負圧源を流体的に接続するよう構成された流体流路をさらに含むことができ、かつ、コントローラーはさらに、負圧源の活性レベルに、少なくとも部分的に基づいて流路内の流体の漏れレートを特定すると共に、圧力信号のモニターされた一つ以上の特性および特定された漏れレートに、少なくとも部分的に基づいて、ドレッシング内の滲出液のレベルを特定するよう構成できる。
【0013】
前段落のいずれかの装置はまた、この段落に記載された、とりわけ本明細書に記載された以下の特徴の組み合わせを含んでもよい。コントローラーは、一つ以上の閾値に対して圧力信号のモニターされた一つ以上の特性を比較することに、少なくとも部分的に基づいて、ドレッシング内の滲出液のレベルを特定するよう構成できる。圧力信号のモニターされた一つ以上の特性は圧力パルスの大きさおよび周波数を含むことができ、かつ、コントローラーは、圧力信号の大きさおよび周波数に、少なくとも部分的に基づいて、ドレッシング内の滲出液のレベルを特定するよう構成できる。圧力信号の大きさはドレッシング内の滲出液のレベルが増大するにつれて増大してもよく、かつ、圧力信号の周波数は、ドレッシング内の滲出液のレベルが増大するにつれて減少してもよい。コントローラーは、ドレッシングおよび負圧源を流体的に接続するよう構成された流体流路内に存在する漏れの強度に関係なく、ドレッシング内の滲出液のレベルを特定するよう構成できる。コントローラーは、圧力信号のモニターされた一つ以上の特性の変化に、少なくとも部分的に基づいて、ドレッシング内の滲出液のレベルを特定するよう構成できる。
【0014】
ある実施形態では、負圧創傷治療装置を動作させる方法は、創傷ドレッシングおよびキャニスターと流体連通状態の負圧源によって生成される圧力信号をモニターするステップと、モニターされる圧力信号の一つ以上の特性に、少なくとも部分的に基づいて、ドレッシング内の吸引された滲出液のレベルを特定するステップとを含む。
【0015】
前段落のいずれかの方法はまた、この段落に記載された、とりわけ本明細書に記載された以下の特徴の組み合わせを含んでもよい。圧力信号のモニターされる一つ以上の特性は圧力信号の大きさを含み、かつ、圧力信号の大きさは、ドレッシング内の滲出液のレベルが増大するにつれて増大する。ドレッシングは、オーバーフローを防ぐために閉塞状態となるよう構成されたフィルターを含むことができ、かつ、本方法はさらに、フィルターが閉塞状態となる前に、ドレッシング事前満杯状態を検出するステップおよびユーザーにドレッシング事前満杯状態の指標を提供するステップを含むことができる。本方法はさらに、負圧源の活性レベルを測定するステップと、圧力信号のモニターされる一つ以上の特性および測定された活性レベルに、少なくとも部分的に基づいて、ドレッシング内の滲出液のレベルを特定するステップとを含むことができる。
【0016】
前段落のいずれかの方法はまた、この段落に記載された、とりわけ本明細書に記載された以下の特徴の組み合わせを含んでもよい。本方法は、負圧源の活性レベルに、少なくとも部分的に基づいて流路内の流体の漏れレートを特定するステップであって、流体流路はドレッシングおよび負圧源を流体的に接続するステップと、モニターされる圧力信号の一つ以上の特性および特定された漏れレートに、少なくとも部分的に基づいて、ドレッシング内の滲出液のレベルを特定するステップとを含むことができる。本方法は、一つ以上の閾値に対して、圧力信号のモニターされる一つ以上の特性を比較することに、少なくとも部分的に基づいて、ドレッシング内の滲出液のレベルを特定するステップを含むことができる。圧力信号のモニターされる一つ以上の特性は圧力信号の大きさおよび周波数を含むことができ、かつ、本方法はさらに、圧力信号の大きさおよび周波数に、少なくとも部分的に基づいて、ドレッシング内の滲出液のレベルを特定するステップを含むことができる。圧力信号の大きさはドレッシング内の滲出液のレベルが増大するにつれて増大してもよく、かつ、圧力信号の周波数はドレッシング内の滲出液のレベルが増大するにつれて減少してもよい。本方法はさらに、ドレッシングおよび負圧源を流体的に接続するよう構成された流体流路内に存在する漏れの強度に関係なく、ドレッシング内の滲出液のレベルを特定するステップを含むことができる。
[付記項1]
負圧創傷治療装置であって、
創傷ドレッシングと流体連通状態であるよう構成された負圧源であって、創傷へ負圧を提供するよう構成された負圧源と、
前記ドレッシングおよび前記負圧源と流体連通状態であるよう構成されたキャニスターであって、創傷から除去された滲出液を収集するよう構成されたキャニスターと、
前記負圧源によって生成される圧力信号の一つ以上の特性をモニターするよう構成された圧力センサーと、
前記圧力信号の測定された一つ以上の特性に、少なくとも部分的に基づいて、前記キャニスター内の滲出液のレベルを特定するよう構成されたコントローラーと、
を具備する負圧創傷治療装置。
[付記項2]
前記圧力信号の測定された一つ以上の特性は前記圧力信号の大きさを含み、かつ、前記圧力信号の大きさは、前記キャニスター内の滲出液のレベルが増大するにつれて増大する、付記項1に記載の装置。
[付記項3]
前記キャニスターは、前記キャニスターのオーバーフローを防ぐために閉塞状態となるよう構成されたフィルターを備え、かつ、前記コントローラーはさらに、前記フィルターが閉塞状態となる前に、キャニスター事前満杯状態を検出するよう構成される、付記項1または付記項2に記載の装置。
[付記項4]
前記コントローラーはさらに、ユーザーに前記キャニスター事前満杯状態の指標を提供するよう構成される、付記項3に記載の装置。
[付記項5]
前記コントローラーはさらに、前記圧力信号の測定された一つ以上の特性および前記負圧源の測定された活性レベルに、少なくとも部分的に基づいて、前記キャニスター内の滲出液のレベルを特定するよう構成される、付記項1ないし付記項4のいずれか1項に記載の装置。
[付記項6]
前記負圧源は真空ポンプを備え、かつ、前記負圧源の前記活性レベルは前記真空ポンプの速度に対応する、付記項5に記載の装置。
[付記項7]
前記真空ポンプの速度を測定するよう構成されたタコメーターをさらに備える、付記項6に記載の装置。
[付記項8]
前記ドレッシング、前記キャニスターおよび前記負圧源を流体的に接続するよう構成された流体流路をさらに備え、前記コントローラーは、前記負圧源の活性レベルに、少なくとも部分的に基づいて前記流路内の流体の漏れレートを特定するようさらに構成され、かつ、前記コントローラーは、前記圧力信号の測定された一つ以上の特性および特定された漏れレートに、少なくとも部分的に基づいて、前記キャニスター内の滲出液のレベルを特定するよう構成される、付記項5ないし付記項7のいずれか1項に記載の装置。
[付記項9]
前記コントローラーはさらに、前記圧力信号の測定された一つ以上の特性からノイズを除去するよう構成される、付記項1ないし付記項8のいずれか1項に記載の装置。
[付記項10]
前記コントローラーは、一つ以上の閾値に対して前記圧力信号の測定された一つ以上の特性を比較することに、少なくとも部分的に基づいて、前記キャニスター内の前記滲出液のレベルを特定するよう構成される、付記項1ないし付記項9のいずれか1項に記載の装置。
[付記項11]
前記測定された一つ以上の特性は圧力パルスの大きさおよび周波数を含み、かつ、前記コントローラーは、前記圧力信号の大きさおよび周波数に、少なくとも部分的に基づいて、前記キャニスター内の滲出液のレベルを特定するよう構成され、前記圧力信号の大きさは前記キャニスター内の滲出液のレベルが増大するにつれて増大し、かつ、前記圧力信号の前記周波数は前記キャニスター内の滲出液のレベルが増大するにつれて減少する、付記項1ないし付記項10のいずれか1項に記載の装置。
[付記項12]
前記コントローラーは、前記ドレッシング、前記キャニスターおよび前記負圧源を流体的に接続するよう構成された流体流路内に存在する漏れの強度に関係なく、前記キャニスター内の滲出液のレベルを特定するよう構成される、付記項1ないし付記項11のいずれか1項に記載の装置。
[付記項13]
前記コントローラーは、前記圧力信号の測定された一つ以上の特性の変化に、少なくとも部分的に基づいて、前記キャニスター内の滲出液のレベルを特定するよう構成される、付記項1ないし付記項12のいずれか1項に記載の装置。
[付記項14]
創傷上に配置されるよう構成された創傷ドレッシングをさらに備える、付記項1ないし付記項13のいずれか1項に記載の装置。
[付記項15]
負圧創傷治療装置を動作させる方法であって、
創傷ドレッシングおよびキャニスターと流体連通状態の負圧源によって生成される圧力信号をモニターするステップと、
モニターされる圧力信号の一つ以上の特性に、少なくとも部分的に基づいて、前記キャニスター内の吸引された滲出液のレベルを特定するステップと、
を備える方法。
[付記項16]
モニターされる圧力信号の一つ以上の特性は前記圧力信号の大きさを含み、かつ、前記圧力信号の大きさは、前記キャニスター内の滲出液のレベルが増大するにつれて増大する、付記項15に記載の方法。
[付記項17]
前記キャニスターは、前記キャニスターのオーバーフローを防ぐために閉塞状態となるよう構成されたフィルターを備え、かつ、前記方法はさらに、前記フィルターが閉塞状態となる前に、キャニスター事前満杯状態を検出するステップを備える、付記項15または付記項16に記載の方法。
[付記項18]
ユーザーに前記キャニスター事前満杯状態の指標を提供するステップをさらに備える、付記項17に記載の方法。
[付記項19]
前記負圧源の活性レベルを測定するステップと、モニターされた圧力信号の一つ以上の特性および測定された前記活性レベルに、少なくとも部分的に基づいて、前記キャニスター内の滲出液のレベルを特定するステップと、をさらに備える、付記項15ないし付記項18のいずれか1項に記載の方法。
[付記項20]
前記負圧源は真空ポンプを備え、かつ、前記負圧源の前記活性レベルは前記真空ポンプの速度に対応する、付記項19に記載の方法。
[付記項21]
タコメーターを用いて前記真空ポンプの速度を測定するステップをさらに備える、付記項20に記載の方法。
[付記項22]
前記負圧源の活性レベルに、少なくとも部分的に基づいて、流路内の流体の漏れレートを特定するステップと、モニターされる圧力信号の一つ以上の特性および特定された漏れレートに、少なくとも部分的に基づいて、前記キャニスター内の滲出液のレベルを特定するステップと、をさらに備え、流体の流路は、創傷上に配置されたドレッシング、前記負圧源および前記キャニスターを流体的に接続する、付記項19ないし付記項21のいずれか1項に記載の方法。
[付記項23]
前記圧力信号の測定値からノイズを除去するステップをさらに備える、付記項15ないし付記項22のいずれか1項に記載の方法。
[付記項24]
一つ以上の閾値に対してモニターされる圧力信号の一つ以上の特性を比較することに、少なくとも部分的に基づいて、前記キャニスター内の滲出液のレベルを特定するステップをさらに備える、付記項15ないし付記項23のいずれか1項に記載の方法。
[付記項25]
モニターされる圧力信号の一つ以上の特性は圧力信号の大きさおよび周波数を含み、かつ、前記方法はさらに、モニターされる圧力信号の大きさおよび周波数に、少なくとも部分的に基づいて、前記キャニスター内の滲出液のレベルを特定するステップを備え、前記圧力信号の大きさは前記キャニスター内の滲出液のレベルが増大するにつれて増大し、かつ、前記圧力信号の前記周波数は、前記キャニスター内の前記滲出液のレベルが増大するにつれて減少する、付記項15ないし付記項24のいずれか1項に記載の方法。
[付記項26]
前記キャニスター内の吸引された滲出液のレベルの特定は、前記ドレッシング、前記キャニスターおよび前記負圧源を流体的に接続する流体流れに存在する漏れの強度に関係なく実施される、付記項15ないし付記項25のいずれか1項に記載の方法。
[付記項27]
前記モニターされる圧力信号の一つ以上の特性の変化に、少なくとも部分的に基づいて、前記キャニスター内の滲出液のレベルを特定するステップをさらに備える、付記項15ないし付記項26のいずれか1項に記載の方法。
[付記項28]
負圧創傷治療装置であって、
創傷の上に配置されるよう構成されるドレッシングであって、前記創傷から除去された滲出液を収集するよう構成されたドレッシングと、
前記ドレッシングと流体連通状態であるよう構成された負圧源であって、前記創傷へ負圧を提供するよう構成された負圧源と、
前記負圧源によって生成される圧力信号の一つ以上の特性をモニターするよう構成された圧力センサーと、
前記圧力信号のモニターされた一つ以上の特性に、少なくとも部分的に基づいて、前記ドレッシング内の滲出液のレベルを特定するよう構成されたコントローラーと、
を具備する負圧創傷治療装置。
[付記項29]
前記圧力信号のモニターされた一つ以上の特性は前記圧力信号の大きさを含み、かつ、前記圧力信号の大きさは前記ドレッシング内の滲出液のレベルが増大するにつれて増大する、付記項28に記載の装置。
[付記項30]
前記ドレッシングはさらに、オーバーフローを防ぐために閉塞状態となるよう構成されたフィルターを備え、かつ、前記コントローラーはさらに、前記フィルターが閉塞状態となる前にドレッシング事前満杯状態を検出すると共にユーザーに前記ドレッシング事前満杯状態の指標を提供するよう構成される、付記項28または付記項29に記載の装置。
[付記項31]
前記コントローラーはさらに、前記圧力信号のモニターされた一つ以上の特性および前記負圧源の測定された活性レベルに、少なくとも部分的に基づいて、前記ドレッシング内の滲出液のレベルを特定するよう構成される、付記項28ないし付記項30のいずれか1項に記載の装置。
[付記項32]
前記ドレッシングおよび前記負圧源を流体的に接続するよう構成された流体流路をさらに備え、前記コントローラーはさらに、前記負圧源の活性レベルに、少なくとも部分的に基づいて、前記流路内の流体の漏れレートを特定するよう構成され、かつ、前記コントローラーは、前記圧力信号のモニターされた一つ以上の特性および特定された漏れレートに、少なくとも部分的に基づいて、前記ドレッシング内の滲出液のレベルを特定するよう構成される、付記項31に記載の装置。
[付記項33]
前記コントローラーは、一つ以上の閾値に対して前記圧力信号のモニターされた一つ以上の特性を比較することに、少なくとも部分的に基づいて、前記ドレッシング内の前記滲出液のレベルを特定するよう構成される、付記項28ないし付記項32のいずれか1項に記載の装置。
[付記項34]
前記圧力信号のモニターされた一つ以上の特性は圧力信号の大きさおよび周波数を含み、かつ、前記コントローラーはさらに、前記圧力信号の大きさおよび周波数に、少なくとも部分的に基づいて、前記ドレッシング内の滲出液のレベルを特定するよう構成され、前記圧力信号の大きさは前記ドレッシング内の滲出液のレベルが増大するにつれて増大し、かつ、前記圧力信号の前記周波数は前記ドレッシング内の滲出液のレベルが増大するにつれて減少する、付記項28ないし付記項33のいずれか1項に記載の装置。
[付記項35]
前記コントローラーは、前記ドレッシングおよび前記負圧源を流体的に接続するよう構成された流体流路内に存在する漏れの強度に関係なく、前記ドレッシング内の滲出液のレベルを特定するよう構成される、付記項28ないし付記項34のいずれか1項に記載の装置。
[付記項36]
前記コントローラーは、前記圧力信号のモニターされた一つ以上の特性の変化に、少なくとも部分的に基づいて、前記ドレッシング内の前記滲出液のレベルを特定するよう構成される、付記項28ないし付記項35のいずれか1項に記載の装置。
[付記項37]
負圧創傷治療装置を動作させる方法であって、
創傷ドレッシングおよびキャニスターと流体連通状態の負圧源によって生成される圧力信号をモニターするステップと、
モニターされる圧力信号の一つ以上の特性に、少なくとも部分的に基づいて、前記ドレッシング内の吸引された滲出液のレベルを特定するステップと、
を備える方法。
[付記項38]
前記圧力信号のモニターされる一つ以上の特性は前記圧力信号の大きさを含み、かつ、前記圧力信号の大きさは、前記ドレッシング内の滲出液のレベルが増大するにつれて増大する、付記項37に記載の方法。
[付記項39]
前記ドレッシングは、オーバーフローを防ぐために閉塞状態となるよう構成されたフィルターを備え、かつ、前記方法はさらに、前記フィルターが閉塞状態となる前に、ドレッシング事前満杯状態を検出するステップおよびユーザーに前記ドレッシング事前満杯状態の指標を提供するステップを備える、付記項37または付記項38に記載の方法。
[付記項40]
前記負圧源の活性レベルを測定するステップと、前記圧力信号のモニターされる一つ以上の特性および測定された活性レベルに、少なくとも部分的に基づいて、前記ドレッシング内の滲出液のレベルを特定するステップと、をさらに備える、付記項37ないし付記項39のいずれか1項に記載の方法。
[付記項41]
前記負圧源の活性レベルに、少なくとも部分的に基づいて、流路内の流体の漏れレートを特定するステップであって、流体の流路は前記ドレッシングおよび前記負圧源を流体的に接続するものであるステップと、前記圧力信号のモニターされる一つ以上の特性および特定された漏れレートに、少なくとも部分的に基づいて、前記ドレッシング内の滲出液のレベルを特定するステップと、をさらに備える、付記項40に記載の方法。
[付記項42]
一つ以上の閾値に対して、前記圧力信号のモニターされる一つ以上の特性を比較することに、少なくとも部分的に基づいて、前記ドレッシング内の前記滲出液のレベルを特定するステップをさらに備える、付記項37ないし付記項41のいずれか1項に記載の方法。
[付記項43]
前記圧力信号のモニターされる一つ以上の特性は圧力信号の大きさおよび周波数を含み、かつ、前記方法はさらに、圧力信号の大きさおよび周波数に、少なくとも部分的に基づいて、前記ドレッシング内の滲出液のレベルを特定するステップを備え、前記圧力信号の大きさは前記ドレッシング内の滲出液のレベルが増大するにつれて増大し、かつ、前記圧力信号の前記周波数は前記ドレッシング内の前記滲出液のレベルが増大するにつれて減少する、付記項37ないし付記項42のいずれか1項に記載の方法。
[付記項44]
前記ドレッシングおよび前記負圧源を流体的に接続する流体流路内に存在する漏れの強度に関係なく、前記ドレッシング内の滲出液のレベルを特定するステップをさらに備える、付記項37ないし付記項43のいずれか1項に記載の方法。
【0017】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しながら、単なる一例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】ある実施形態に係る減圧創傷治療システムを示す図である。
図2A】ある実施形態に係るポンプアセンブリおよびキャニスターを示す図である。
図2B】ある実施形態に係るポンプアセンブリおよびキャニスターを示す図である。
図2C】ある実施形態に係るポンプアセンブリおよびキャニスターを示す図である。
図2D】ある実施形態に係るポンプアセンブリおよびキャニスターを示す図である。
図2E】ある実施形態に係るポンプアセンブリおよびキャニスターを示す図である。
図3】ある実施形態に係る流体流路を示す図である。
図4】ある実施形態に係る圧力信号のグラフである。
図5A】ある実施形態に係る圧力信号のグラフである。
図5B】ある実施形態に係る圧力信号のグラフである。
図5C】ある実施形態に係る圧力信号のグラフである。
図5D】ある実施形態に係る圧力信号のグラフである。
図6A】ある実施形態に係る圧力信号のグラフである。
図6B】ある実施形態に係る圧力信号のグラフである。
図6C】ある実施形態に係る圧力信号のグラフである。
図6D】ある実施形態に係る圧力信号のグラフである。
図7A】ある実施形態に係る圧力信号のグラフである。
図7B】ある実施形態に係る圧力信号のグラフである。
図7C】ある実施形態に係る圧力信号のグラフである。
図7D】ある実施形態に係る圧力信号のグラフである。
図8A】ある実施形態に係る圧力信号のグラフである。
図8B】ある実施形態に係る圧力信号のグラフである。
図8C】ある実施形態に係る圧力信号のグラフである。
図8D】ある実施形態に係る圧力信号のグラフである。
図9】ある実施形態に係る検出された圧力の大きさのリップルを示すグラフである。
図10】ある実施形態に係る近位閉塞を検出するプロセスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書に開示される実施形態は、減圧によって創傷を治療するシステムおよび方法に関する。本明細書中で使用されるように、-XmmHgといった減圧あるいは負圧レベルは、760mmHg(または1atm、29.93inHg、101.325kPa、14.696psi等)に対応し得る通常の周囲大気圧に対する圧力レベルを表す。したがって、-XmmHgでの負圧値は760mmHgをXmmHg下回る絶対圧力を、すなわち(760-X)mmHgの絶対圧力を表す。さらに、XmmHgよりも「低い」あるいは「小さい」負圧は大気圧により近い圧力に対応する(例えば、-40mmHgは-60mmHgよりも低い)。-XmmHgよりも「高い」あるいは「大きい」負圧は大気圧から離れた圧力に対応する(例えば、-80mmHgは-60mmHgよりも高い)。ある実施形態では、局所周囲大気圧が基準点として使用され、そのような局所大気圧は、必ずしも、例えば760mmHgではないかもしれない。
【0020】
本発明の実施形態は、概して、局所負圧(「TNP」)または減圧治療システムでの使用に適用可能である。簡潔に言うと、負圧創傷治療は、組織浮腫を低減し、血流および粒状組織形成を促進し、かつ/または過剰な滲出液を除去することによって、数多くの形態の「治癒するのが難しい」創傷の閉鎖および治癒を助け、そして細菌負荷(したがって感染リスク)を軽減することができる。さらに、治療は、より迅速な治癒につながる創傷の少ない障害を可能とする。TNP治療システムはまた、流体を除去することによって、外科的に閉じられた創傷の治癒を助けることができる。ある実施形態では、TNP療法は、クロージャの並置位置で組織を安定化するのに役立つ。TNP療法のさらなる有益な使用は、過剰な流体の除去が重要でありかつ組織に対する移植片の近接性が組織の生存性を保証するために必要とされる移植片およびフラップにおいて見出すことができる。
【0021】
ある実施形態では、負圧創傷治療装置は、創傷上に配置されるよう構成されたドレッシングと、このドレッシングと流体連通状態となるよう構成された負圧の供給源とを含む。負圧の供給源は、創傷へ負圧を提供するよう構成される。本装置はまた、創傷から除去された滲出液を収集するよう構成されたキャニスターを含むことができる。このキャニスターは、ドレッシングおよび負圧源と流体連通状態となるよう構成することができる。本装置はまた、負圧源によって生成された圧力信号をモニターするよう構成された圧力センサーおよびコントローラーを含む。このコントローラーは、モニターされた圧力信号の一つ以上の特性に、少なくとも部分的に基づいて、キャニスター内の(またはドレッシング内の)滲出液のレベルを特定するよう構成できる。圧力信号の一つ以上の特性は、キャニスター内の滲出液のレベルが増大するにつれて変化し得る。
【0022】
さまざまな実施形態では、負圧創傷治療装置を動作させる方法は、ドレッシングおよびキャニスターと流体連通状態の負圧源によって生成されたモニタリング圧力信号を含む。本方法はまた、モニターされた圧力信号の一つ以上の特性に、少なくとも部分的に基づいて、キャニスター内の(またはドレッシング内の)滲出液のレベルを特定することを含む。圧力信号の一つ以上の特性は、キャニスター内の滲出液のレベルが増大するにつれて変化し得る。
【0023】
ある実施形態では、負圧の前方で流量制限または低減容積の量を特定するためのシステムおよび方法は、モニターされる圧力信号の一つ以上の特性を利用する。例えば、圧力信号の大きさは、流れに対する制限が増大するにつれて増大できるが、これは負圧源の前方で容積を効果的に低減する。負圧源の前方の容積は、創傷から除去された滲出液がキャニスターまたはドレッシングに充填されることによって減少することがある。
【0024】
負圧システム
図1は、創傷キャビティ110内に配置された創傷充填材130を備えた負圧または減圧創傷治療(またはTNP)システム100の実施形態を示しており、創傷キャビティは創傷カバー120によって密閉されている。創傷カバー120と組み合わされた創傷充填材130は創傷ドレッシングと呼ぶことができる。単一または複数のルーメンチューブまたは導管140が、低減圧力を供給するよう構成されたポンプアセンブリ150および創傷カバー120に接続されている。創傷カバー120は創傷キャビティ110と流体連通状態となることができる。本明細書に開示されたシステムの実施形態のいずれかにおいて、図1に示す実施形態におけるように、ポンプアセンブリはキャニスターレスポンプアセンブリであってもよい(創傷ドレッシング内に収集された滲出液は別の場所へと収集のためのチューブ140を介して移動されることを意味する)。しかしながら、本明細書に開示されたポンプアセンブリの実施形態のいずれかは、キャニスターを含むかあるいは支持するよう構成することができる。さらに、本明細書に開示されたシステムの実施形態のいずれかにおいて、ポンプアセンブリの実施形態のいずれかは、ドレッシングに対して取り付けられあるいはそれによって支持されても、あるいはドレッシングに隣接して取り付けられあるいはそれに隣接して支持されてもよい。創傷充填材130は、親水性または疎水性の発泡体、ガーゼ、膨張可能なバッグ等といった、いかなる好適なタイプのものであってもよい。創傷充填材130は、それが実質的に大気圧でキャビティを満たし、そしてまた負圧下にあるとき実質的に減少した圧縮体積を有し得るように、創傷キャビティに可能であってもよい。傷カバー120は、創傷キャビティ110上に実質的に流体不透過性シールを提供できる。ある実施形態では、創傷カバー120は上面および下面を有し、そして下面は創傷キャビティ110と接着方式で(またはその他の適切な方法で)密着する。導管140または本明細書に開示されるその他の導管は、ポリウレタン、PVC、ナイロン、ポリエチレン、シリコーンまたはその他の適切な材料から形成できる。
【0025】
創傷カバー120のある実施形態は、導管140の端部を受け入れるよう構成されたポート(図示せず)を有することができる。ある実施形態では、導管140は、別の状況では、創傷キャビティ内に所望のレベルの低減圧力が維持されるように創傷キャビティ110に低減圧力を供給するために創傷カバー120を貫通しかつ/またはその下を通過することができる。導管140は、創傷キャビティ110にポンプアセンブリ150によって提供される低減圧力が供給されるように、ポンプアセンブリ150と創傷カバー120との間に少なくとも実質的に密閉された流体流路を提供するよう構成された好適な物品であってもよい。
【0026】
創傷カバー120および創傷充填材130は、単一の物品または一体化された単一のユニットとして提供することができる。ある実施形態においては、創傷充填材が提供されず、かつ、創傷カバーは単独で創傷ドレッシングと見なすことができる。創傷ドレッシングは、この場合、ポンプアセンブリ150といった負圧の供給源に対して、導管140を介して接続することができる。ある実施形態では、必須ではないが、ポンプアセンブリ150は小型化されても、そして携帯可能であってもよいが、大型の従来式ポンプも使用可能である。
【0027】
創傷カバー120は、治療すべき創傷部位の上に配置することができる。創傷カバー120は、創傷部位の上で実質的に密閉されたキャビティまたはエンクロージャを形成することができる。ある実施形態では、創傷カバー120は、余剰液体の蒸発を可能とするために高い水蒸気透過性を有するフィルムを有するよう構成することができ、そして安全に創傷滲出液を吸収するために、そこに含まれる超吸収性材料を有することができる。本明細書を通じて創傷に対して言及がなされることに留意されたい。この意味で、創傷との用語は広く解釈されるべきであり、かつ、皮膚が裂け、切断され、あるいは穴があくか、あるいは外傷が挫傷を引き起こしている開放および閉鎖創傷、あるいは減圧治療から利益を得る患者またはその以外の皮膚におけるその他の表層またはその他の状態または欠陥を包含することを理解されたい。創傷は、したがって、流体が生成されるかあるいはされない組織の損傷領域として広く規定される。そのような創傷の例としては、これに限定されるわけではないが、急性創傷、慢性創傷、外科的切開および他の切開、亜急性および披裂創傷、外傷性創傷、フラップおよび皮膚移植、裂傷、擦過傷、挫傷、火傷、糖尿病性潰瘍、褥瘡、ストーマ、手術創、外傷および静脈性潰瘍などが挙げられる。ある実施形態では、本明細書に記載したTNPシステムの構成要素は、少量の創傷滲出液を滲出する切開創傷に特に適している。
【0028】
本システムのある実施形態は、滲出液キャニスターを使用せずに動作するように設計される。ある実施形態は滲出液キャニスターを支持するよう構成できる。ある実施形態では、チューブ140を迅速かつ容易にポンプアセンブリ150から取り外すことができるようにポンプアセンブリ150およびチューブ140を構成することによって、必要に応じて、ドレッシングまたはポンプ交換のプロセスを容易にあるいは改善することができる。本明細書に開示されたポンプの実施形態のいずれかは、チューブとポンプとの間に適切な接続を有するよう構成することができる。
【0029】
ある実施形態では、ポンプアセンブリ150は所望の負圧設定値で負圧を供給するよう構成することができ、これは、(例えば、ユーザーによって選択されるように)約-80mmHgであるか、または約-20mmHgと-200mmHgとの間にあるように選択またはプログラムすることができる。これらの圧力は通常の周囲大気圧に対して相対的であり、したがって-200mmHgは実際的な言い方では約560mmHgであろうことに留意されたい。ある実施形態では、圧力範囲は約-40mmHgないし-150mmHgであってもよい。代替的に、-75mmHgまでの、-80mmHgまでの、あるいは-80mmHg超の圧力範囲を使用することができる。また他の実施形態では、-75mmHg未満の圧力範囲を使用することができる。代替的に、約-100mmHgあるいは150mmHg超の圧力範囲さえ、ポンプアセンブリ150によって供給することができる。
【0030】
ある実施形態では、ポンプアセンブリ150は、連続的または断続的負圧療法を提供するよう構成される。連続治療は、-25mmHg超、-25mmHg、-40mmHg、-50mmHg、-60mmHg、-70mmHg、-80mmHg、-90mmHg、-100mmHg、-120mmHg、-140mmHg、-160mmHg、-180mmHg、-200mmHgまたは-200mmHg未満で提供することができる。断続的治療は、低および高負圧設定点間で提供することができる。低設定点は、0mmHg超、0mmHg、-25mmHg、-40mmHg、-50mmHg、-60mmHg、-70mmHg、-80mmHg、-90mmHg、-100mmHg、-120mmHg、-140mmHg、-160mmHg、-180mmHgまたは-180mmHg未満で設定することができる。高設定点は、-25mmHg超、-40mmHg、-50mmHg、-60mmHg、-70mmHg、-80mmHg、-90mmHg、-100mmHg、-120mmHg、-140mmHg、-160mmHg、-180mmHg、-200mmHgまたは-200mmHg未満で設定することができる。断続的な治療中、低い設定点における負圧を第1の持続時間にわたって供給することができ、そして第1の時間時間の満了時に、高い設定点での負圧を第2の持続時間にわたって供給することができる。第2の時間時間の満了時に、低い設定点での負圧を供給することができる。第1および第2の時間時間は同一または異なる値であってもよい。第1および第2の持続時間は、以下の範囲、すなわち2分未満、2分、3分、4分、6分、8分、10分または10分超から選択することができる。ある実施形態では、低および高設定点間のそしてその逆の切り替えは、ステップ波形、方形波、正弦波等に従って行うことができる。
【0031】
動作時、創傷充填材130は創傷キャビティ110内に挿入され、そして創傷カバー120が創傷キャビティを密閉するように配置される。ポンプアセンブリ150は、創傷カバー120に対して負圧の供給源を提供するが、これは創傷充填材130を介して創傷キャビティへと伝達される。流体(例えば創傷滲出液)は導管140を通って引き込まれ、そしてキャニスター内に貯蔵することができる。ある実施形態では、流体は、創傷充填材130または一つ以上の吸収層(図示せず)によって吸収される。
【0032】
ポンプアセンブリおよび本出願のその他の実施形態と共に利用することができる創傷ドレッシングは、Smith & Nephewから入手可能なRenasys-F、Renasys-G、Renasys AB、およびPico Dressingsが挙げられる。そのような創傷ドレッシングおよび本出願のポンプアセンブリおよびその他の実施形態と共に使用することができる負圧創傷治療装置のその他のコンポーネントのさらなる説明は、米国特許出願公開第2012/0116334号、第2011/0213287号、第2011/0282309号、第2012/0136325号、第2013/0110058号に見出され、これらは、その全体がこの引用によって本明細書中に組み込まれる。その他の実施形態では、その他の適切な創傷ドレッシングを利用することができる。
【0033】
ポンプアセンブリおよびキャニスター
図2Aは、ある実施形態に係るポンプアセンブリ230およびキャニスター220の正面図200Aを示している。図示されるように、ポンプアセンブリ230とキャニスターとは接続され、これによってデバイスが形成されている。ポンプアセンブリ230は、アラームを示すよう構成された視覚的インジケータ202およびTNPシステムの状態を示すよう構成された視覚的インジケータ204などの一つ以上のインジケータを含む。インジケータ202および204は、ユーザーに正常または適切な動作状態、ポンプの故障、ポンプに供給される電力または電力障害、創傷カバーまたは流路内の漏れの検出、吸引閉塞またはその他の類似のまたは適切な状態またはその組合せをユーザーに警告することを含む、さまざまなシステムの動作および/または障害の状態をユーザーに警告するように構成することができる。ある実施形態では、ポンプアセンブリ230は、追加のインジケータを含むことができる。ある実施形態では、単一のインジケータが使用される。他の実施形態では、複数のインジケータが使用される。ビジュアル、オーディオ、触覚インジケータといった適切なインジケータを使用することができる。インジケータ202は、キャニスター満杯(またはキャニスターレスシステムの場合にはドレッシング満杯)、電力低下、導管140切断、創傷シール120のシール破損等のアラーム条件を通知するよう構成することができる。インジケータ202は、ユーザーの注意を引くために、赤色の点滅光を表示するよう構成することができる。インジケータ204は、治療システムがOKである、漏れが検出された等の、TNPシステムの状態を通知するよう構成することができる。インジケータ204は、緑色、黄色等の一つ以上の異なる色の光を表示するよう構成することができる。例えば、TNPシステムが正常に動作しているときに緑色の光を発することができ、そして黄色の光は注意を示すために発することができる。
【0034】
ポンプアセンブリ230は、ポンプアセンブリのケース内に形成されるリセス208内に搭載されるディスプレイまたはスクリーン206を備える。ある実施形態では、ディスプレイ206はタッチスクリーンディスプレイであってもよい。ある実施形態では、ディスプレイ206は、教育ビデオ等のオーディオビジュアル(AV)コンテンツの再生をサポートすることができる。以下に説明するように、ディスプレイ206は、TNPシステムの動作を構成し、制御し、そしてモニターするための多数のスクリーンまたはグラフィカルユーザインタフェース(GUIs)を提供するよう構成することができる。ポンプアセンブリ230はポンプアセンブリのケース内に形成される把持部210を備える。把持部210は、例えばキャニスター220の取り外しの際に、ユーザーがポンプアセンブリ230を保持するのを支援するよう構成することができる。ある実施形態では、キャニスター220は、キャニスター220に滲出液が充填てしまったとき、別のキャニスターと交換することができる。キャニスター220は固化材料を含むことができる。
【0035】
ポンプアセンブリ230は、ユーザーがTNPシステムを動作させかつその動作をモニターすることを可能とするよう構成された一つ以上のキーまたはボタン212を備える。ある実施形態では、図示するように、これにはボタン212a,212bおよび212cが含まれる。ボタン212aはポンプアセンブリ230をオン/オフするための電源ボタンとして構成することができる。ボタン212bは負圧治療の供給のための運転/一時停止ボタンとして構成することができる。例えばボタン212bを押すことで治療を開始することができ、そしてその後、ボタン212bを押すことで治療を一時停止または終了させることができる。ボタン212cはディスプレイ206および/またはボタン212をロックするよう構成することができる。例えば、ユーザーが意図せずに治療の提供を変化させないようにボタン212cを押すことができる。ボタン212cは制御をロック解除するために押すことができる。その他の実施形態では、追加のボタンを使用することができ、あるいは図示のボタン212a,212bまたは212cの一つ以上を省略することができる。ある実施形態では、複数のキー押圧またはキー押圧の順序をポンプアセンブリ230を動作させるために使用することができる。
【0036】
ポンプアセンブリ230は、カバーに形成された一つ以上のラッチリセス222を含む。図示の実施形態では、二つのラッチリセス222をポンプアセンブリ230の側面に形成することができる。ラッチリセス222は、一つ以上のキャニスターラッチ221を使用して、キャニスター220の着脱を可能にするよう構成できる。ポンプアセンブリ230は、創傷キャビティ110から除去された空気を逃がすことを可能とするための空気アウトレット224を備える。ポンプアセンブリに入る空気は、抗菌フィルター等の一つ以上の適切なフィルターを通過することができる。これによってポンプアセンブリの再利用性を維持することができる。ポンプアセンブリ230は、ポンプアセンブリ230にキャリーストラップを接続するかあるいはクレードルを取り付けるための一つ以上のストラップマウント226を含む。図示の実施形態では、二つのストラップマウント226をポンプアセンブリ230の側面に形成することができる。ある実施形態では、さまざまなこれらの特徴が省略され、かつ/または、さまざまな追加的特徴がポンプアセンブリ230に追加される。
【0037】
キャニスター220は創傷キャビティ110から除去された流体(例えば滲出液)を保持するよう構成される。キャニスター220はポンプアセンブリ230にキャニスターを取り付けるための一つ以上のラッチ221を含む。図示の実施形態では、キャニスター220はキャニスターの側面に二つのラッチ221を備える。キャニスター220の外面は、キャニスターが実質的に不透明であり、キャニスターの内容物が普通の眺めから実質的に隠されるように、つや消しプラスチックから形成することができる。キャニスター220は、キャニスターのケースに形成される把持部214を備える。把持部214は、装置230からのキャニスターの取り外しの際などに、ユーザーがポンプアセンブリ220を保持することを可能とするよう構成できる。キャニスター220は実質的に透明な窓216を含み、これはまた容積目盛を含むことができる。例えば、図示の300mLキャニスター220は、50mL、100mL、150mL、200mL、250mL、300mLの目盛りを含む。キャニスターの他の実施形態は、異なる体積の流体を保持することができ、そして別の目盛りスケールを含むことができる。キャニスター220は、導管140に対する接続のためのチューブチャネル218を含む。ある実施形態では、把持部214といった、さまざまなこれらの特徴が省略され、かつ/またはさまざまな追加的特徴がキャニスター220に追加される。
【0038】
図2Bは、ある実施形態に係るポンプアセンブリ230とキャニスター220の背面200Bを示している。ポンプアセンブリ230は、音を発生させかつ/または放射するスピーカポート232を含む。ポンプアセンブリ230は、臭気フィルター、抗菌フィルター等の一つ以上のフィルターにアクセスし、交換するためのフィルターアクセスドア234を含む。一実施形態において、アクセスドア234は、その中にノイズ抑制または吸音材が配置されるチャンバー(例えばプレナムチャンバー)にアクセスするために使用することができる。チャンバーおよび吸音材は、負圧の供給源によって生成される騒音を抑制または吸収するために使用されるサイレンシングシステムの一部であってもよい。吸音材は、チャンバーを通って移動(または反響)する際、音波を破壊するよう機能できる。吸音材はさらに臭気抑制材として機能できる。一実施形態では、例えば、吸音材には、臭気抑制のための活性炭を含浸させることができる。アクセスドア234はさらに、チャンバーの気密閉鎖のためのシール(例えばシーリングガスケット)を含むことができる。消音システムのさらなる詳細は、その全体がこの引用によって組み込まれる米国特許出願公開第2010/0185165号に記載されている。
【0039】
ポンプアセンブリ230は、ポンプアセンブリのケースに形成された把持部236を備える。図示されるように、把持部236は、ポンプアセンブリ230の外側ケーシングに形成されたリセスである。ある実施形態では、把持部236は、ゴム、シリコーンなどのコーティングを含むことができる。把持部236は、キャニスター220の取り外し時などに、ユーザーがしっかりとポンプアセンブリ230を保持することを可能にするよう構成(例えば配置および寸法決め)することができる。ポンプアセンブリ230は、スクリューカバーおよび/または表面上にポンプアセンブリ230を配置するための脚あるいはプロテクターとして構成された一つ以上のカバー238を含む。カバー230は、ゴム、シリコーン、またはその他の適切な材料から形成できる。ポンプアセンブリ230はポンプアセンブリの内部バッテリーを充電しかつ再充電するための電力ジャック239を含む。ある実施形態では、電源ジャック239は直流(DC)ジャックである。ある実施形態では、電源ジャックが必要とされないように、ポンプアセンブリはバッテリーなどの使い捨て電源を含むことができる。
【0040】
キャニスター220は、表面上にキャニスターを配置するための一つ以上の脚244を含んでいる。脚244は、ゴム、シリコーン、またはその他の適切な材料から形成することができ、そして表面上に配置されたときキャニスター220が安定したままでいるように適切な角度で傾斜させることができる。キャニスター220は、一つ以上のチューブがデバイスの前面に出ることを可能とするよう構成されたチューブマウントリリーフ246を備える。キャニスター220は、それが表面上に配置されたときに、キャニスターを支持するためのスタンドまたはキックスタンド248を含む。以下に説明するように、スタンド248は開放位置と閉鎖位置との間で回動することができる。閉鎖位置では、スタンド248はキャニスター220に対して止めることができる。ある実施形態では、スタンド248は、プラスチックなどの不透明な材料から作ることができる。その他の実施形態において、キックスタンド248は透明材料から作ることができる。キックスタンド248は、当該キックスタンドに形成された把持部242を含む。把持部242は、ユーザーが閉位置にキックスタンド248を配置することができるよう構成することができる。キックスタンド248は、ユーザーが開位置にキックスタンドを配置することを可能にする孔249を含む。孔249は、ユーザーが指を使用してスタンドを展開することを可能にするようなサイズにすることができる。
【0041】
図2Cは、ある実施形態に係るキャニスター220から分離されたポンプアセンブリ230の眺め200Cを示している。ポンプアセンブリ230は、それを経て真空ポンプがキャニスター200に負圧を伝達する真空アタッチメントまたはコネクター252を含む。コネクター252はポンプアセンブリのインレットに対応し得る。ポンプアセンブリ230は、一つ以上のUSBポートへのアクセスを許容するよう構成されたUSBアクセスドア256を含む。ある実施形態では、USBアクセスドアが省略され、USBポートはドア234を経てアクセスされる。ポンプアセンブリ230は、SD、コンパクトディスク(CD)、DVD、FireWire、Thunderbolt、PCIExpressなどの追加のシリアル、パラレルおよび/またはハイブリッドデータ転送インタフェースへのアクセス可能とするよう構成された追加のアクセスドアを含むことができる。他の実施形態では、これらの追加ポートの一つ以上はドア234を経てアクセスされる。
【0042】
図2Dは、ある実施形態に係るポンプアセンブリ230の内部コンポーネントの眺め200Dを示している。ポンプアセンブリ230は、さまざまなコンポーネント、例えばシールリング253を含むキャニスターコネクター252、制御プリント回路基板(PCB)260、周辺PCB262(例えばUSB接続用)、電源PCB264、真空ポンプ266、電源268(例えば充電式電池)、スピーカー270およびライトガイドまたはパイプ272(例えば一つ以上のLEDによって放出された導光を使用した状態表示用)といった、さまざまなコンポーネント含むことができる。状態表示のさらなる詳細は、その全体が引用によって組み込まれる米国特許第8,294,586号において提供される。電気ケーブル、コネクター、チューブ、弁、フィルター、ファスナー、ねじ、ホルダー等の他のコンポーネントを含むことができる。ある実施形態では、ポンプアセンブリ230は代替的または追加のコンポーネントを含むことができる。
【0043】
図2Eは、ある実施形態に係るポンプアセンブリ230の内部コンポーネントの別の眺め200Eを示している。以下に説明するように、ポンプアセンブリ230はアンテナ276を含む。真空ポンプ266とキャニスター220との間のコネクター252は流量制限器278を含む。以下で説明するように、流量制限器278は、流体流路内の流量を測定するために、そして漏れ、閉塞、高圧(過真空)などのさまざまな動作条件を特定するために使用される較正流量制限器であってもよい。ある実施形態では、流量制限器の前後の圧力差(または圧力降下)を測定することによって流量制限器278を通過する流量を特定することができる。さまざまな実施形態において、流量制限器278を通過する流量は、高流量(例えば漏れによる)、低流量(閉塞またはキャニスター満杯による)、通常流量として特徴付けることができる。図示のように、圧力センサー284は制御PCB264上に搭載されたけられ電子圧力センサーであってもよい。管路またはルーメン286は流量制限器278の上流側と圧力センサー284とを接続できる。圧力センサー280および282は流量制限器278の下流側(あるいは真空ポンプ側)圧力を測定する。圧力センサー280および282は制御PCB264に搭載された電子圧力センサーであってもよい。管路またはルーメン288は、Yコネクター289を介して、流量制限器278の下流側と圧力センサー280および284とを接続できる。
【0044】
ある実施形態では、一次圧力センサーが不良または動作不能になった場合、圧力センサー280および282の一つを一次圧力センサーとして、他方がバックアップとして指定できる。例えば、圧力センサー280は一次圧力センサーとすることができ、かつ、圧力センサー282をバックアップ圧力センサーとすることができる。流量制限器の前後の圧力降下は、センサー282とセンサー284によって測定された圧力を減算することによって特定することができる。圧力センサー280が故障した場合、流量制限器の前後の圧力降下は、センサー282とセンサー284によって測定された圧力を減算することによって特定することができる。ある実施形態では、すなわち流路内の圧力が最大圧力閾値を超えたとき、バックアップ圧力センサーを高圧状態をモニターしかつ指し示すために使用することができる。ある実施形態では、一つ以上の差圧センサーを使用することができる。例えば、流量制限器278の上流側と下流側に接続された差圧センサーは、流量制限器の前後の圧力降下を測定することができる。ある実施形態では、流量制限器278のようなこれらコンポーネントの一つ以上は省略され、かつ/または、一つ以上の流量計等の追加コンポーネントが使用される。
【0045】
流量モニタリング
図3は、ある実施形態に係る流体流路300Aを示している。流路300Aは、創傷キャビティ310と、キャニスター320と、圧力センサー330と、負圧源340とを含む。流体の流れは左から右(例えば創傷310から負圧源340へ)である。図3は、ある実施形態に係る流体流路300Bを示している。流路300Bは、創傷キャビティ310と、圧力センサー330と、キャニスター320と、負圧源340とを含む。流体の流れは左から右(例えば創傷310から負圧源340へ)である。図示されるように、流路300Aと300Bとの間の差は圧力センサー330の配置である。流体流路300Aにおいては、圧力センサー330はキャニスター320の下流側に(例えば負圧源340のインレットに)配置され、一方、流体流路300Bにおいては、圧力センサー320はキャニスター320の上流側に配置される。
【0046】
システムのある実施形態はシステム内の流体の流れの速度をモニターしかつ/または特定する。特定の実施形態では、流量モニタリングはコントローラーまたはプロセッサによって実施できる。流量のモニタリングは、とりわけ、創傷に治療が適切に提供されることを保証するために、閉塞、キャニスター満杯(またはキャニスターレスシステムの場合にはドレッシング満杯)状態および/または流体流路の漏れ、高圧を検出するために、流量が非安全(例えば、危険なほど高い)ではないことを保証するため等に使用可能である。
【0047】
ある実施形態において、システムは、負圧源の活性を測定および/またはモニターすることにより間接的に流量モニタリングを実施する。例えば、真空ポンプモーターの速度は、例えばタコメーターを使用して測定することができる。ポンプ制御プロセッサは、ポンプからのタコメータフィードバックを使用してポンプ速度を連続的にモニターすることができる。ポンプ速度が、特定時間、例えば2分にわたって閾値を下回った場合、流路に、特に(例えば、制御された漏れの存在によって)最小ポンプ速度が期待されているシステムに閉塞が存在することが特定され得る。閉塞は、チューブまたはルーメンの閉塞、キャニスター(またはドレッシング)が満杯である等に起因し得る。アラームを起動でき、そしてシステムは、ユーザーが閉塞を解消するために一つ以上のアクションを取るのを待つことができる。ある実施形態では、負圧源の活性は、ポンプ速度センサー(例えばホールセンサー)を用いる、ポンプモーターによって生み出されるEMFを測り戻すなどの、一つ以上のその他の適切な技術によって測定することができる。ポンプ制御プロセッサは、ポンプが駆動されている電圧および/または電流を連続的にモニターでき、そしてモニターされた電圧および/または電流およびポンプへの負荷に基づいて負圧源の活性を特定することができる。ある実施形態では、パルス周波数(例えば圧力信号周波数)を、負圧源の活性を特定するために(例えば一つ以上の圧力センサーを使用して)モニターすることができる。例えば、圧力パルスのカウントは負圧源の活性のインジケータとして使用できる。
【0048】
さまざまな実施形態では、(例えば、平均化)タコメーターは、100msec毎に定期的に読み取ることができ、そして2.5秒、32秒、またはその他の適切な時間とったある持続時間にわたって行われる定期的な読み取り値は組み合わせることができる。組み合わせたタコメーター読み取り値(例えばカウントでの)は、現在の流量が特定されるように、一つ以上の変換式および/または表を使用して(例えばmL/minでの)流量に変換することができる。ある実施形態では、流量は次式に従って特定される。
【0049】
FR=C*F*P+C
【0050】
ここで、FRは流量であり、Fはポンプタコメータ信号の周波数であり、Pはポンプによって生み出される圧力(または圧力設定点)であり、CおよびCは適切な定数である。特定された流量は、閉塞、漏れおよび過真空などの特定の状態の存在を特定するために、閉塞閾値、漏れ閾値および最大流量閾値といったさまざまな流量閾値と比較することができる。
【0051】
流量を特定するためのその他の適切な方法を使用することができる。例えば、流量は、以下の式に従って、定期的に、例えば250ミリ秒またはその他の適切な時間値ごとに、定期的に計算することができる。
【0052】
FR=傾き(Slope)*タコメーター(Tachometer)+切片(Intercept)
【0053】
ここで、タコメーターは、最後の2.5秒にわたるかあるいはその他の適切な時間間隔にわたる(例えばHzでの)タコメーター読み取り値の平均値であり、傾きおよび切片は圧力設定値に基づく定数である。傾きおよび切片に関する値は、所与の真空ポンプタイプのための可能な圧力設定値(例えば、-25mmHg、-40mmHg、-50mmHg、-60mmHg、-70mmHg、-80mmHg、-90mmHg、-100mmHg、-120mmHg、-140mmHg、-160mmHg、-180mmHg、-200mmHg)について特定することができる。真空ポンプは低い流量でより効率的であるように設計できるので、ポンプ速度の関数としての流量は、単一の線としてベストフィットではないかもしれない。このために、傾きおよび切片の値は、さまざまな設定値やさまざまなポンプのために事前に計算することができる。流量は毎分標準リットル(SLPM)またはその他の適切な測定単位で測定することができる。
【0054】
ある実施形態では、特定された流量が閉塞閾値を下回ったとき閉塞状態が検出される。閉塞状態がある期間、例えば30秒にわたって存在する場合、閉塞アラームを作動可能にすることができる。特定された流量が閉塞閾値を超えたとき閉塞アラームを作動しないようにすることができる。ある実施形態において、システムは、チューブまたはルーメン内の閉塞とキャニスター(またはドレッシング)満杯状態とを区別することができる。ある実施形態では、漏れ状態は、特定された流量が漏れ閾値を超えたときに検出される。漏れ状態がある期間、例えば30秒にわたって存在する場合、漏れアラームを作動可能とすることができる。検出された流量が漏れ閾値を下回ったときに漏れアラームを作動しないようにすることができる。ある実施形態では、過真空状態を防止するために、例えば1.6リットル/minの最大流量が課される。電圧または電流信号といったポンプ駆動信号は、流量閾値を超えないよう制限することができる。
【0055】
特定の実施形態では、一つ以上の圧力センサーは流体流路内の適切な位置に配置することができる。一つ以上のセンサーによって測定された圧力は、それが所望の負圧レベルを達成するためのポンプ駆動信号を特定しかつ調整することができるようにシステム(例えばポンプ制御プロセッサ)に提供される。ポンプ駆動信号はPWMを用いて生成することができる。流量検出およびポンプ制御のさらなる詳細は、その全体がこの引用によって組み込まれる米国特許出願公開第2013/0150813号に開示されている。
【0056】
ある実施形態では、流量モニタリングは、流体流路の一部に配置された流量制限器を通る流れを測定することにより行われる。特定の実施形態では、図2Eに示される流量制限器278を使用することができる。流量制限器は、それが異なるタイプの創傷、ドレッシングおよび動作条件のための流量を確実にモニターするために使用することができるように較正できる。例えば、高精度シリコン流量制限器を使用することができる。別の例として、流量制限器はその他の適切な材料を使用して構築することができる。流量制限器は、負圧の供給源とキャニスターとの間、負圧の供給源の上流でかつキャニスターの下流といった、流路内の適切な位置に配置することができる。差圧センサーまたは二つの圧力センサーを流量制限器の前後での圧力降下を測定するために使用することができる。例えば、図2Eに関連して上で説明したように、流量制限器278の前後での圧力降下はセンサー282および284を用いて測定することができる。特定の実施形態では、圧力降下が圧力差閾値を下回った場合(これは低圧を指し示す)、測定された流量は流量閾値と比較される。測定された流量が流量閾値を下回った場合、閉塞状態が検出される。閉塞検出のさらなる詳細は、その全体がこの引用によって組み込まれる米国特許出願公開第2011/0071483号に開示されている。ある実施形態では、測定された流量は漏れ閾値と比較される。測定された流量が漏れ閾値を超えた場合、漏れが検出される。漏れ検出のさらなる詳細は、その全体がこの引用によって組み込まれる米国特許第8,308,714号に開示されている。
【0057】
閉塞検出
ある実施形態では、閉塞および一つ以上のチューブまたはルーメン内の滲出液の存在は、センサー280,282および284などの一つ以上の圧力センサーからのデータを処理することによって検出される。この検出は、ポンプによって提供される真空レベルを増大させる、真空レベルを減少させる、ポンプを停止させる、ポンプ速度を変化させる、ポンプのリズムを変化させるなど、真空ポンプの一つ以上の設定変更することによって向上させることができる。ある実施形態では、ポンプが作動するとき、それは、流体流路を介して伝搬される圧力パルスまたは信号を生成する。圧力信号は、ある実施形態に係る図4の圧力曲線402に示される。領域404に示されるように、流体流路内の圧力は、システムの通常動作中、(例えばユーザーによって選択されるような)特定の圧力設定値または設定点408の周りで変化あるいは振動する。領域406は、例えばキャニスター(またはドレッシング)が満杯になりかつ/またはキャニスターフィルターが遮られるかまたは閉塞するなど、負圧源の遠位に閉塞がある場合の流路内の圧力パルスを示している。図示されるように、遠位閉塞によって、キャニスター(またはドレッシング)の上流に低減体積が見られるようになり、そして圧力パルスの振幅が増大する。圧力信号の周波数は、ある実施形態では、低下または減少させられる。特定の実施形態では、圧力パルス信号の大きさ(または周波数)のこの変化または「バウンス」は、PWMパラメーターを調整するなど、ポンプ速度を変化させ、ポンプのリズムを変化させることによって拡大または増強することができる。ポンプ動作のそうした調整は必要とされないが短い時間にわたって実施することができ、そして変化は、システムの動作が比較的影響を受けないままであるように小さくすることができる。ある実施形態では、キャニスターフィルターは、空気の流れが許容されている間は液体の流れが実質的に遮断されるように疎水性であってもよい。流量検出のさらなる詳細は、その全体がこの引用によって組み込まれる米国特許出願公開第2012/0078539号に開示されている。
【0058】
ある実施形態では、キャニスターレスシステムは、創傷から除去された滲出液用の吸収性ドレッシングを使用する。このようなドレッシングは、それが負圧源内に吸引されないように、滲出液を収集および/または保持するために吸収材料または超吸収含むことができる。キャニスターフィルターと同様に、(疎水性であってもよい)ドレッシングフィルターが、滲出液が負圧源に達するの防止するために使用されてもよい。このようなシステムでは、ドレッシング満杯状態あるいは閉塞状態(であるかもしれない)ドレッシングフィルターの検出は、キャニスター満杯状態の検出と等価であってもよい。
【0059】
ある実施形態では、圧力信号の特性の変化は、遠位閉塞、キャニスター(またはドレッシング)における滲出液のレベル、キャニスター(またはドレッシング)満杯状態などを特定するために使用することができる。この特性は、信号の大きさ、周波数、形状(例えば包絡線)を含むことができる。ある実施形態では、システムは、キャニスター(またはドレッシング)事前満杯状態またはキャニスター(またはドレッシング)内の滲出液のレベルが所定の閾値に達したことを検出することができ、これは概ね100%満杯未満であってもよい。例えば、システムは、キャニスター(またはドレッシング)が75%満杯、80%満杯、95%などを検出することができる。有利なことに、そのような検出機構は、キャニスター(またはドレッシング)を交換する必要性のより早期の指標を提供すると共に治療の提供の長期中断を回避することができる。アラームの感度を向上させることができる。さまざまな実施形態では、流体流路内に存在する漏れのレベルは、キャニスター内の滲出液のレベルの正確な特定および/またはキャニスター(またはドレッシング)事前満杯または満杯状態の検出に影響を与えない。
【0060】
図5A~5Dは、ある実施形態に係る圧力信号のグラフを示している。図示のグラフは、40mmHgといった特定の圧力設定値に対応することができる。図示のグラフはまた、システムの漏れレートのさまざまな漏れレベルに対応することができる。例えば、図5Aは60mL/min漏れ(例えば低漏れ)に対応し、図5Bは150mL/min漏れに対応し、図5Cは450mL/min漏れに対応し、そして図5Dは1000mL/min漏れ(例えば非常に大きな漏れ)に対応することができる。図5Aは、ある時間にわたって一つ以上の圧力センサーによって検出された流路内の圧力信号の大きさ曲線502Aを示す。曲線502Aは、キャニスターが比較的空であるときに観測される信号に対応することができる。例えば、キャニスターは、750mLまでの流体体積を保持するよう構成することができ、曲線502Aは515mLの空容積に対応することができる。図示のように、曲線は実質的に平坦であるので圧力信号大きさ曲線502Aにおけるバウンスは比較的小さい。圧力信号のバウンスは、ピーク対トラフ変化を測定し、最大のバウンスを示すものとして最大のそのような変化を選択することなど、さまざまな技術を用いて測定することができる。曲線502Aは電圧読み取り、電流読み取り等に対応することができる。曲線504Aは(例えばタコメーター、PWM信号等によって測定されるような)ポンプ速度信号に対応する。
【0061】
図5Bは、ある時間にわたって一つ以上の圧力センサーにより検出された流路内の圧力信号の大きさ曲線502Bを示している。曲線502Bは、キャニスターが比較的満杯であるときに観測される信号に対応することができる。例えば、キャニスターは、750mLまでの体積を保持するよう構成することができ、曲線502Bは60mLの空容積に対応することができる。図示されるように、圧力信号大きさ曲線502Bにおけるバウンスは曲線502Aにおけるそれよりも大きい。曲線504Bはポンプ速度信号に対応する。図5Cは、ある時間にわたって一つ以上の圧力センサーによって検出された流路内の圧力信号の大きさ曲線502Cを示している。曲線502Cは、キャニスターがほぼ満杯であるときに観測される信号に対応することができる。例えば、キャニスターは750mLまでの体積を保持するよう構成されてもよく、曲線502Cは30mLの空容積に対応することができる。図示されるように、圧力信号大きさの曲線502Bにおけるバウンスは、曲線502Aおよび502Bよりも大きくなる。曲線504Cはポンプ速度信号に対応する。
【0062】
図5Dは、ある時間にわたって一つ以上の圧力センサーにより検出される流路内の圧力信号の大きさ曲線502Dを示している。曲線502Dは、キャニスターが約満杯であるときに観測される信号に対応することができる。例えば、キャニスターは、750mLまでの体積を保持するよう構成することができ、曲線502Dは15mLの空容積に対応することができる。図示するように、圧力信号大きさ曲線502Dのバウンスは、曲線502A,502Bおよび502Cにおけるそれよりも大きい。曲線504Dはポンプ速度信号に対応する。
【0063】
表1は、ある実施形態に係る曲線502A,502B,502Cおよび502Dに関して測定された(例えばVp-pによって示されるような電圧における)最大大きさバウンスまたはピーク対トラフ変化を示している。第1の行(行1)を参照すると、列Aは曲線502Aに対応しかつ0.010Vの最大変化を示し、列Bは曲線502Dに対応しかつ0.078Vの最大の変化を示し、列Cは曲線502Cに対応しかつ最大0.122Vの最大変化を示し、そして列Dは曲線502Dに対応しかつ0.170Vの最大変化を示している。これらの増大するバウンス値は、圧力信号大きさにおけるバウンスがキャニスターが満たされるにつれて増大することを確証する。キャニスター(またはドレッシング)における滲出液のレベルは、一つ以上の大きさの閾値と、特定された圧力の大きさのバウンスを比較することによって検出することができるが、これはさまざまなサイズのキャニスター(またはドレッシング)のために実験的に特定することができる。例えば、キャニスター(またはドレッシング)事前満杯状態は、30mL以下の空容積を有するキャニスターに対して設定されてもよい。表1を使用して、事前満杯閾値は、約0.12Vピーク対トラフバウンスに設定することができる。ある実施形態では、ピーク対トラフの他に、あるいはそれに加えて、平均バウンスなどの測定値を使用することができる。
【0064】
【表1】
【0065】
ある実施形態では、信号処理技術が検出された圧力信号に関して利用できる。例えば、検出された圧力値を、ノイズを除去するために、(例えば平均化による)ローパスフィルタリングすることができる。別の例として、検出された圧力信号は、例えば、高速フーリエ変換(FFT)を使用することによって、周波数領域へと変換することができる。信号は、周波数領域で処理し、分析することができる。
【0066】
図6A~6Dは、ある実施形態に係る圧力信号のグラフを示している。図5A~5Dと同様、これらのグラフは、515mL、60mL、30mLおよび15mLの未充填キャニスターに関する150mL/min漏れでの圧力大きさ曲線およびポンプ速度曲線を示している。図6A~6Dに示されかつ表1の第2の行(行2)の値によって確証されるように、圧力信号バウンスはキャニスターが満たされるにつれて増大する。図7A~7Dは、ある実施形態に係る圧力信号のグラフを示す。図5A~5Dと同様、これらのグラフは、515mL、60mL、30mLおよび15mLの未充填キャニスターに関する450mL/min漏れでの圧力大きさ曲線およびポンプ速度曲線を示している。図7A~7Dに示され、かつ、表1の第3の行(行3)の値によって確証されるように、圧力信号におけるバウンスはキャニスターが満たされるにつれて増大する。図8A~8Dは、ある実施形態に係る圧力信号のグラフを示す。図5A~5Dと同様、これらのグラフは、515mL、60mL、30mLおよび15mLの未充填キャニスター容積に関する1000mL/min漏れ(これは非常に大きな漏れである)での圧力大きさ曲線およびポンプ速度曲線を示している。図8A~8Dに示されておりかつ表1の第4の行(4行)の値によって確証されるように、圧力信号におけるバウンスはキャニスターが満たされるにつれて増大する。図5~8および表1の値から、キャニスター内(またはドレッシング内)の滲出液のレベルおよび/またはキャニスター(またはドレッシング)事前満杯状態の検出は、流体流路の漏れレートに関係なく実施できることが分かる。
【0067】
図5~8および表1に示されるように、観察された圧力大きさにおけるバウンスあるいはリップルはキャニスターが満たされるにつれて増大し、ポンプによって「見られる」容積は減少する。図9は、ある実施形態に係る検出された圧力大きさリップルを示す。y軸は、最大ピーク対トラフ電圧変化を表す。x軸は、キャニスター未充填容積(例えばポンプの前方あるいは上流の容積)に対応する。750mLキャニスターは、ある実施形態に従って使用される。40mmHg、80mmHg、120mmHgおよび200mmHgの目標圧力設定値に対応する四つの曲線が図示されている。曲線上の垂直バーが漏れレートの変化に起因する変動を表している。表2は、ある実施形態に係るプロット値を示している。図9および表2に示すように、圧力バウンスの大きさは、さまざまな圧力設定値の漏れレートに関係なくキャニスターが満杯なるにつれて増大する。
【0068】
【表2】
【0069】
ある実施形態では、キャニスター(またはドレッシング)における滲出液のレベルおよび/またはキャニスター(またはドレッシング)事前満杯状態を特定するための閾値は、さまざまな圧力設定値およびさまざまなキャニスター容量に関して決定できる。例えば、表3は、ある実施形態に係る80mmHgの圧力設定値に関する最大大きさバウンスあるいはピーク対トラフ変化を示している。同様の表をそれ以外の可能な圧力設定値のために構築することができる。キャニスター/ドレッシングにおける滲出液のレベル(したがって、キャニスター/ドレッシングがどのくらい空であるかの程度)、キャニスター/ドレッシング事前満杯状態および/またはキャニスター/ドレッシング満杯状態は、特別に選択された圧力設定値に対応する表をロードし、一つ以上の閾値とモニターされた圧力信号大きさバウンスとを比較することによって、稼働時間において特定できる。配列、リスト、インデックス、グラフといったその他の適切なデータ構造をテーブルの代わりに使用することができる。
【0070】
【表3】
【0071】
ある実施形態では、検出された圧力信号の周波数は、キャニスター(またはドレッシング)事前満杯状態の検出のために、かつ/または、キャニスター(またはドレッシング)中の滲出液のレベルを特定するために、振幅の変化に加えて、あるいはその代わりに使用することができる。例えば、表4は、ある実施形態に係るさまざまな漏れレートで、さまざまな未充填キャニスター容積に関する40mmHg圧力設定値での圧力信号周波数を示している。表4に示されるように、検出された圧力信号の周波数は、キャニスターが満杯になるにつれて減少あるいは低下する(例えば、515mL未充填キャニスターの容積に対応する列Aと、15mL未充填キャニスター容積に対応する列Dとを比較されたい)。漏れレートに関係なく周波数のこの変化は観察される。検出された圧力信号の周波数は一つ以上の周波数閾値と比較することができるが、これは、キャニスター(またはドレッシング)事前満杯状態を検出しかつ/またはキャニスター(またはドレッシング)中の滲出液のレベルを検出するために実験的に特定することができる。
【0072】
【表4】
【0073】
ある実施形態では、同様の表をその他の可能な圧力設定値のために構築することができる。例えば、表5は、ある実施形態に係るさまざまな漏れレートでのさまざまな未充填キャニスター容積のための80mmHg圧力設定値での圧力信号の周波数を示している。キャニスター(またはドレッシング)内の滲出液のレベル、キャニスター(またはドレッシング)事前満杯状態、および/またはキャニスター(またはドレッシング)満杯状態は、特別に選択された圧力設定値に対応する表(あるいは別な適切なデータ構造)をロードし、一つ以上の閾値とモニターされた圧力信号周波数とを比較することによって、稼働時間において特定できる。閾値は、さまざまなキャニスター(またはドレッシング)容積に関して実験的に特定することができる。
【0074】
【表5】
【0075】
ある実施形態では、追加の特徴を、キャニスター(またはドレッシング)事前満杯検出および/またはキャニスター(またはドレッシング)における滲出液のレベルの特定のために使用することができる。例えば、流路を通る流量を、圧力の大きさを分析することに加えて使用することができる。ある実施形態では、その全体がこの引用によって組み込まれる米国特許出願公開第2012/0001762号に開示されているように、ポンプの速度を測定しかつ分析することによって間接的に測定することができる。ある実施形態では、流量は、流量計を用いて直接測定することができる。ある実施形態では、圧力の大きさのバウンスの増加および流量の低下(例えば減速するタコメーターにより反映されるといったポンプ速度)はキャニスター(またはドレッシング)満杯状態を示す。ポンプ速度の減少は、単独では、キャニスター満杯状態の信頼できる指標ではないかもしれない。というのは、そうした減少は、漏れレートの低下を生じる改良されたシールによって引き起こされることがあるからである。さらに、流路内の僅かな漏れの存在によって、キャニスターがほぼ満杯あるいは満杯であってもポンプが動作を継続することがあり、これはキャニスター満杯状態の不正確な検出を引き起こすことがある。
【0076】
ある実施形態では、圧力信号の特性を利用したキャニスター(またはドレッシング)事前満杯および/または満杯の検出は、システムが、流路における閉塞状態と、キャニスター(またはドレッシング)内の閉塞とを区別することを可能とする。ある実施形態では、アラーム感度が高められる。例えば、圧力信号の特性を使用しないシステムにおけるキャニスター満杯検出機構は、キャニスターが満杯であるかどうかを特定するために、(例えばポンプ速度測定値によって示されるような)流量測定値にのみ依存してもよい。本明細書に開示されるような圧力信号の特性の使用は、かなり早くに、例えば20分以上前に、キャニスター満杯アラームを起動することができる。有利なことには、アラーム感度の向上は安全性および患者の快適性の増大をもたらし得る。なぜならキャニスターを、それが満杯になり治療が中断される前に適時変更することができるからである。
【0077】
図10は、ある実施形態に係る近位閉塞を検出するプロセス1000を示す。プロセス1000は、プロセッサの制御装置により実現することができる。プロセス1000は、例えば、ブロック1002において一つ以上の圧力信号特性を測定する。例えば、圧力信号の大きさ、周波数等を測定することができる。ブロック1004において、プロセス1000は、一つ以上の測定された圧力信号特性からノイズを除去する。例えば、圧力信号をローパスフィルタリングすることができる。ブロック1006において、プロセス1000は、一つ以上の圧力信号特性を一つ以上の閾値と比較する。ブロック1008において、プロセス1000が一つ以上の閾値が満たされたと(例えば超過したと)判定した場合、プロセスは、それが(例えばキャニスターが満杯であることに起因する)近位閉塞が存在することを判定するブロック1012へと移行する。プロセス1000は、一つ以上のアラームまたはインジケータを作動させることができる。ブロック1008において、プロセス1000が一つ以上の閾値が満たされていないと(例えば超過していないと)判定した場合、プロセスは、それが近位閉塞が存在しないと判定するブロック1010へと移行する。ある実施形態では、プロセス1000はブロック1008においてヒステリシスを使用できる。例えば、閾値がある継続期間または期間にわたって満たされた(例えば超過された)ことを条件として、プロセス1000はブロック1012へと移行することができる。ある実施形態では、プロセス1000によって利用される一つ以上の閾値は、キャニスター(またはドレッシング)事前満杯状態および/またはキャニスター(またはドレッシング)内の滲出液の特定のレベルを特定するために選択することができる。プロセス1000は、キャニスターを備えたシステムによって、またはキャニスターレスシステムによって実現することができる。
【0078】
ある実施形態では、次のようにして、キャニスター(またはドレッシング)満杯状態を検出することができる。それぞれある持続時間(例えば2秒またはサンプル期間の間で変化し得るその他の適切な持続時間)にわたって実施された複数の圧力センサーの読み取りが収集される。30あるいはその他の適切な数から25のサンプル期間といった、複数の読み取りのうちの多数の読み取りが、それぞれがキャニスターが満杯であることを示しているかどうかを判定するためにチェックされる。これは、特定のサンプル期間の持続時間にわたって捕捉された最大および最小圧力値を特定することによって実施できる。この値は、電圧、電流または圧力に対応するその他の適切な値であってもよい。特定のサンプル期間の最大および最小値間の差は、(圧力パルス振幅の変化を示す)ピーク対スルー圧力に対応する。特定のサンプル期間のピーク対スルー圧力が閾値圧力値を超えていると判定された場合、特定のサンプル期間はキャニスターが満杯であることを示す。
【0079】
閾値は、負圧設定点およびポンプの活性の現在のレベルに基づいて選択あるいは特定された値といった適切な圧力閾値であってもよく、これは、上述したように、(平均化されたタコメーター読み取り値または流量のその他の適切な測定値といった)タコメーター平均を用いて特定することができる。例えば、表1に示す閾値は、ピーク対スルー圧力に対する比較のために使用することができる。これらの値は、特定のポンプモーターおよび特定の圧力センサーに対応する。
【0080】
【表6】
【0081】
キャニスター満杯特定はスライディングウィンドウ根拠に基づいて実施できる。例えば、30サンプル期間から25ののスライディングウィンドウを解析でき、そして25のサンプル期間がキャニスターが満杯であることを示すように判定された場合、ポンプは、キャニスター(またはドレッシング)が満杯であると結論付ける。サンプル期間は2秒であると仮定すると、30のサンプル期間から25のスライディングウィンドウを使用することで、圧力パルス振幅の変化が60秒の閾値を超えているかどうかを特定することに効果的に帰着する。タコメーター平均が漏れ閾値(例えば流路内の漏れの存在に関連した流量)よりも大きくなるか、あるいは(圧力センサーによって測定された)キャニスター圧力が低真空圧力閾値(流路内の低真空状態に関連した流量)よりも小さくなる場合、キャニスター満杯検出は中断または終了することができる。例えば、各サンプル時間が2秒の持続時間を備えた30サンプル期間から25のスライディングウィンドウが使用される場合、タコメーター平均が漏れ閾値よりも大きくなるか、あるいはキャニスター圧力が低真空圧力閾値よりも小さくなることが特定されたとき、キャニスター満杯検出のための60秒のタイマーをリセットすることができる。これにより、不要な、そして望ましくないアラームの発生を防止することができる。
【0082】
代替的または追加的に、単一のサンプル時間がキャニスターが満杯であることを示す場合に、キャニスター満杯状態を検出することができる。だが、複数のサンプル時間を用いたキャニスター満杯検出の実施は、流体流路内の一つ以上の過渡状態または一つ以上の誤った圧力読み取りの影響を軽減することができる。代替的にまたは付加的に、キャニスター満杯検出は、検出された圧力信号の周波数を測定し、一つ以上の適切な閾値と測定された周波数とを比較することによって実施できる。
【0083】
ある実施形態では、追加または代替的な機構を近位閉塞を検出するために使用することができる。一つ以上の追加の圧力センサーを(例えばキャニスターインレットおよびアウトレットにおいて)キャニスターの前後の差圧を測定するために使用することができる。一つ以上の追加の導管(例えばデュアルルーメン)を別なルーメンによる検出のために一つのルーメンを介して信号を入力するために使用することができる。流速は直接的または間接的に測定でき、そしてキャニスター閉塞の検出に使用できる。バイアス漏れを流路内に導入することができ、そしてバイアス漏れ速度を下回る流量が流路内の閉塞の存在を示すように維持することができる。光学センサー、超音波センサーおよび/または重量センサーをキャニスター(またはドレッシング)における滲出液のレベルを特定するために使用することができる。レーザーを使用することもできる。静電容量センサーあるいは歪ゲージ等の圧力および/または流量の測定に関連しない一つ以上のセンサーを使用することができる。
【0084】
ある実施形態では、チューブおよび/またはルーメン内の流体のスラッグあるいはボーラスによる一時的な閉塞は、ポンプをオフにし、流体流路内の圧力変化をモニターすることによって検出される。ポンプは、システムの動作に影響を与えないように、短い時間だけオフにすることができる。流体のボーラスによるシステムにおける一時的な閉塞の存在は、遠位漏れを伴うシステムにおける不連続な「階段およびライザー」パターンを含むデバイス内で圧力減衰の検出可能な違いを引き起こすことがある。このような不連続な減衰パターンは、流体流路を通って移動すると共にキャニスターインレットに到達する流体のボーラスに起因するかもしれず、これは、圧力センサー(およびキャニスターまたはドレッシング)から見た容積を急激に変化させることがある。流体のボーラスが存在しない場合は、より連続的な減衰パターンを観察することができる。特定の実施形態では、不連続な「階段およびライザー」パターンが検出されたとき、システムは、ボーラスをきれいにするためにポンプによって生成される真空のレベルを増大させることができる。チューブおよび/またはルーメンをきれいにすることができない場合、アラームを発生することができる。
【0085】
ある実施形態では、一つ以上の流量センサーおよび/または流量計を、直接、流体流量を測定するために使用できる。ある実施形態では、システムは、上記流量モニタリング技術の一つ以上を利用できる。システムは、一つ以上のそのような技術が並列に実行される場合、複数の流量モニタリング技術を用いて特定された流量間で適切に調停するよう構成することができる。特定の実施形態では、システムは、ポンプ速度に基づく流量特定といった技術の一つを実施し、かつ、必要に応じて一つ以上のその他の技術を利用する。さまざまな実施形態では、システムは、特定された流量または流路状態が不正確または不確実であると認識される場合、一つ以上のその他の技術を利用できる。ある実施形態では、システムは、ドレッシング漏れ特性に対する変化を示唆しする流量の急激な変化を検出するための一つ以上の技術を利用することができる(例えば大量の漏れは漏れの進行を指し示し、かつ、少ない漏れは急激な制限あるいは閉塞を指し示す)。
【0086】
その他の変更
本明細書中に提供しかつ/または図面に示された大きさ、周波数、閾値、制限、持続時間の値は絶対的なものではなく、おおよそのものである。さらに、本明細書中に提供しかつ/または図面に示された大きさ、周波数、閾値、制限、持続時間は、自動的にまたはユーザーによって固定または変化させることができる。さらに、本明細書中に提供しかつ/または図面に示された大きさ、周波数、閾値、制限、持続時間の値は例示であり、実施形態に応じて変更させることができる。例えば、表(表1~5)に提供された値は、キャニスター(またはドレッシング)体積、センサーレンジなどに依存して変動し得る。本明細書で使用するように、基準値に関して、上回る、大きい、小さいなどの相対的な用語は基準値に等しいことをも包含するものである。例えば、正である基準値を超えることは、基準値と等しいかそれよりも大きいことを包含し得る。さらに、本明細書で使用するように、基準値に関して、上回る、大きい、小さいなどの相対的な用語は、基準値に関して、下回る、小さい、大きいといった開示された関係の逆をも包含するものである。
【0087】
特定の態様、実施形態または例と併せて説明された特徴、材料、特性またはグループは、矛盾しない限り、本明細書に記載されたその他の態様、実施形態または例に適用可能であることを理解されたい。(特許請求の範囲、要約書および図面を含む)本明細書に開示された特徴の全て、および/または(図10に示されるプロセスのような)そのように開示された方法またはプロセスのステップの全ては、そうした特徴および/またはステップの少なくともいくつかが相互に排他的である組み合わせを除いて、いかなる組み合わせで組み合わせることもできる。保護は、上記実施形態の詳細に限定されるものではない。保護は、(特許請求の範囲、要約書および図面を含む)本明細書に開示された特徴の新規なものまたは新規な組み合わせに、あるいはそのように開示された方法またはプロセスのステップの新規なものまたは新規な組み合わせに及ぶ。
【0088】
特定の実施形態について説明したが、これらの実施形態は例としてのみ提示されたものであり、保護の範囲を限定するものではない。実際、本明細書に開示された新規な方法およびシステムは他のさまざまな形で実施することができる。さらに、本明細書に記載された方法およびシステムの形態におけるさまざまな省略、置換、変化がなされ得る。当業者は、ある実施形態では、例示および/または開示されたプロセスにおいて採られる実際の手順は図に示すものと異なっていてもよいことを理解するであろう。実施形態によっては、上述したステップのあるものが除去されても、その他のものが付加されてもよい。例えば、開示されたプロセスにおいて採られる実際のステップおよび/またはステップの手順は、図に示すものとは異なっていてもよい。実施形態によっては、上述したステップのあるものが除去されても、その他のものが付加されてもよい。例えば、図に示すさまざまなコンポーネントは、ソフトウェアおよび/またはプロセッサ、コントローラー、ASIC、FPGAおよび/または専用ハードウェア上でのファームウェアとして具現化することができる。さらに、上記の特定の実施形態の特徴および属性は付加的な実施形態を形成するために異なる方法で組み合わせることができ、その全ては本開示の範囲内に包含される。
【0089】
本明細書で図示説明するユーザインタフェーススクリーンは追加および/または代替的のコンポーネントを含むことができる。これらのコンポーネントとしては、メニュー、リスト、ボタン、テキストボックス、ラベル、ラジオボタン、スクロールバー、スライダー、チェックボックス、コンボボックス、ステータスバー、ダイアログボックス、ウィンドウなどが挙げられる。ユーザインタフェーススクリーンは、追加および/または代替敵意の情報を含むことができる。コンポーネントは適切な順序で配置し、グループ化し、表示することができる。
【0090】
本開示は特定の実施形態、実施例および応用を含むが、本開示が具体的に開示された実施形態を超えて、本明細書に記載された特徴および利点の全てを提供しない実施形態を含む他の代替実施形態および/または用途および明白な変更およびその均等物にまで及ぶことは当業者にとって自明である。したがって本開示の範囲は、本明細書の好ましい実施形態の具体的な開示によって限定されるものではなく、本明細書にまたは将来的に提示される特許請求の範囲によって規定され得る。
【符号の説明】
【0091】
100 減圧創傷治療(TNP)システム
110 創傷キャビティ
120 創傷カバー
130 創傷充填材
140 チューブ
150 ポンプアセンブリ
200 キャニスター
202,204 視覚的インジケータ
206 ディスプレイ
208 リセス
210 把持部
212,212a~c ボタン
214 把持部
216 窓
218 チューブチャネル
220 キャニスター
221 キャニスターラッチ
222 ラッチリセス
224 空気アウトレット
226 ストラップマウント
230 ポンプアセンブリ
232 スピーカポート
234 アクセスドア
236 把持部
238 カバー
239 電源ジャック
242 把持部
244 脚
246 チューブマウントリリーフ
248 キックスタンド
249 孔
252 キャニスターコネクター
253 シールリング
256 アクセスドア
260 制御プリント回路基板(PCB)
266 真空ポンプ
268 電源
270 スピーカー
272 パイプ
276 アンテナ
278 流量制限器
280,282,284 圧力センサー
286,288 ルーメン
289 コネクター
300A,B 流体流路
310 創傷キャビティ
320 キャニスター
320,330 圧力センサー
340 負圧源
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図8C
図8D
図9
図10