(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】金属酸化物スイッチを含み小型蓄電コンデンサを備えた薄膜トランジスタ
(51)【国際特許分類】
G09F 9/30 20060101AFI20221108BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20221108BHJP
H01L 27/32 20060101ALI20221108BHJP
H05B 33/02 20060101ALI20221108BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20221108BHJP
H01L 29/786 20060101ALI20221108BHJP
【FI】
G09F9/30 338
G09F9/30 365
G09F9/30 348A
H05B33/14 A
H01L27/32
H05B33/02
H01L29/78 612Z
H01L29/78 618B
H01L29/78 617S
(21)【出願番号】P 2020538782
(86)(22)【出願日】2019-01-09
(86)【国際出願番号】 US2019012936
(87)【国際公開番号】W WO2019140007
(87)【国際公開日】2019-07-18
【審査請求日】2020-09-17
(32)【優先日】2018-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】キム, ユン ベ
(72)【発明者】
【氏名】イム, ドンギル
(72)【発明者】
【氏名】チェ, スー ヤン
(72)【発明者】
【氏名】チャオ, ライ
【審査官】新井 重雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-156963(JP,A)
【文献】特開2014-095897(JP,A)
【文献】特開2006-237447(JP,A)
【文献】特開2016-184165(JP,A)
【文献】特開2012-083733(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0243722(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0101418(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/30
H01L 51/50
H01L 27/32
H05B 33/02
H01L 21/336
H01L 29/786
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動TFT(thin film transistor)であって、
第1の導電性チャネル、
前記第1の導電性チャネルの上方に配置された第1のゲート、並びに、
前記第1の導電性チャネルに接続された第1のソース、及び、前記第1の導電性チャネルに接続された第1のドレイン
を含む駆動TFTと、
酸化物TFTである少なくとも1つのスイッチングTFTと、
少なくとも1つの蓄電コンデンサであって、
前記第1の導電性チャネルから絶縁された第2の導電性チャネル、
前記第2の導電性チャネルの上方に配置され、前記第1のゲートから絶縁された第2のゲート、及び
前記第2の導電性チャネルに接続された前記第1のソースのビア、及び、前記第1のソースを含み、約1fFと約55fFとの間の容量を有する、少なくとも1つの蓄電コンデンサと
を備え、
前記少なくとも1つのスイッチングTFTは、
前記第1のゲートと前記第1の導電性チャネルとの間、及び、前記第2のゲートと前記第2の導電性チャネルとの間に配置されたGI層であって、約100nmと約200nmとの間のGI厚さを有するGI層と、
約0.5μmと約3μmとの間の前記第1の導電性チャネルのチャネル長と、
約1μmと約4μmとの間の前記第1の導電性チャネルのチャネル幅と
をさらに有する、ディスプレイ用のサブピクセル回路。
【請求項2】
駆動TFT(thin film transistor)であって、
第1の導電性チャネル、
前記第1の導電性チャネルの上方に配置された第1のゲート、並びに、
前記第1の導電性チャネルに接続された第1のソース、及び、前記第1の導電性チャネルに接続された第1のドレイン
を含む駆動TFTと、
酸化物TFTである少なくとも1つのスイッチングTFTと、
少なくとも1つの蓄電コンデンサであって、
前記第1の導電性チャネルから絶縁された第2の導電性チャネル、
前記第2の導電性チャネルの上方に配置され、前記第1のゲートから絶縁された第2のゲート、及び
前記第2の導電性チャネルに接続された前記第1のソースのビア、及び、前記第1のソースを含み、約1fFと約55fFとの間の容量を有する、少なくとも1つの蓄電コンデンサと
を備え、
前記第1の導電性チャネル及び前記第2の導電性チャネルは、多結晶シリコン(LTPS)を含む、ディスプレイ用のサブピクセル回路。
【請求項3】
前記少なくとも1つのスイッチングTFTは、さらに
約1E-12(A)より小さいTFTリーク電流である、請求項1に記載のサブピクセル回路。
【請求項4】
積層体において形成されたサブピクセル回路であって、前記サブピクセル回路は、
駆動TFTであって、
前記積層体の上面の下方に配置されたソース、
前記積層体の前記上面の下方に配置されたドレイン、
前記積層体内に形成された第1のゲート、及び、
前記積層体の内部の前記第1のゲートの上方に形成された導電性チャネルであって、前記導電性チャネルは、第1の終端及び第2の終端を有し、前記第1の終端が前記ソースに電気的に結合され、前記第2の終端が前記ドレインに電気的に結合される、導電性チャネル
を含む、駆動TFTと、
少なくとも1つのスイッチングTFTと、
少なくとも1つの蓄電コンデンサであって、
第2のゲート、及び、
前記駆動TFTの前記ソースであって、前記駆動TFTから離れる方向に延在し、前記第2のゲートと重なり合う前記ソース
を含む、少なくとも1つの蓄電コンデンサと、
を備え、
前記積層体は、
第1のバッファ層を形成する第1の層と、
ゲート絶縁材料から形成された第2の層と、
第1の中間層誘電体を形成する第3の層と、
第2のバッファ層を形成する第4の層と、
第2の中間層誘電体を形成する第5の層と
を更に含む、積層体において形成されたサブピクセル回路。
【請求項5】
前記第1のゲート及び前記第2のゲートは、前記第3の層の内部に配置される、請求項4に記載のサブピクセル回路。
【請求項6】
前記蓄電コンデンサは、前記第4の層の下方を延在する、請求項4に記載のサブピクセル回路。
【請求項7】
前記スイッチングTFTの下方に配置された遮光体をさらに含む、請求項4に記載のサブピクセル回路。
【請求項8】
前記スイッチングTFTの下方に形成された第2のコンデンサをさらに含む、請求項4に記載のサブピクセル回路。
【請求項9】
前記駆動TFTの下方に形成された第3のコンデンサをさらに含む、請求項
8に記載のサブピクセル回路。
【請求項10】
ディスプレイであって、
複数のピクセルを含み、
前記ピクセルは、複数のサブピクセルを含み、前記複数のピクセルの各サブピクセルは、
OLED領域と、
サブピクセル回路と
を含み、
前記サブピクセル回路は、
駆動TFTであって、
導電性チャネル、
前記導電性チャネルの上方に配置されたゲート、並びに
前記導電性チャネルに接続されたソース、及び、前記導電性チャネルに接続されたドレイン
を含む、駆動TFTと、
酸化物TFTである少なくとも1つのスイッチングTFTと、
少なくとも1つの蓄電コンデンサであって、前記駆動TFTの範囲内に配置されており、前記ドレインに向かって延在しかつ前記ゲートと重なり合う前記ソースを含む少なくとも1つの蓄電コンデンサと
を含む、ディスプレイ。
【請求項11】
前記少なくとも1つの蓄電コンデンサは、約1fFと約55fFとの間の容量を有する、請求項
10に記載のディスプレイ。
【請求項12】
前記導電性チャネルは、多結晶シリコン(LTPS)又は酸化物を含む、請求項
10に記載のディスプレイ。
【請求項13】
駆動TFT(thin film transistor)であって、
第1の導電性チャネル、
前記第1の導電性チャネルの上方に配置された第1のゲート、並びに、
前記第1の導電性チャネルに接続された第1のソース、及び、前記第1の導電性チャネルに接続された第1のドレイン
を含む駆動TFTと、
酸化物TFTである少なくとも1つのスイッチングTFTと、
少なくとも1つの蓄電コンデンサであって、
前記第1の導電性チャネルから絶縁された第2の導電性チャネル、
前記第2の導電性チャネルの上方に配置され、前記第1のゲートから絶縁された第2のゲート、及び
前記第2の導電性チャネルに接続された前記第1のソースのビア、及び、前記第1のソースを含み、約1fFと約55fFとの間の容量を有する、少なくとも1つの蓄電コンデンサと
を備えた、ディスプレイ用のサブピクセル回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、小型化された蓄電コンデンサを有する薄膜トランジスタに関する。薄膜トランジスタは、有機発光ダイオード(OLED:organic light emitting diode)の表示画面といった、表示画面で利用されうる。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイ装置を含む入力装置は、様々な電子システムで利用されうる。ディスプレイの解像度は、画面が、水平方向及び垂直方向に何ピクセル表示しうるかを示している。ディスプレイ解像度は、N×Mの形式により記されている。この例では、画面は、水平方向にNピクセル、垂直方向にMピクセル示すことが可能である。同じサイズで解像度が異なる2つの画面を比較した場合に、解像度がより高い画面(ピクセル数がより多い画面)は、作業中のものをより多く示すことが可能であり、従って、それほどスクロールする必要がない。ディスプレイの解像度が高ければ高いほど、ディスプレイが生成する鮮明な画質の画像の詳細度が高くなる。
【0003】
600ppi(pixels per inch、インチあたりのピクセル数)を超える有機発光ダイオード(OLED)用の高解像度ディスプレイデバイスは、非常に小さなピクセルサイズを必要とする。各ピクセルは、ピクセルに或る色を設定するために、3つ以上のサブピクセルを有しうる。ピクセルサイズが下がると、高解像度ディスプレイでは、全てのものが小さくなる。例えば、サブピクセルを駆動する回路は、フットプリントがより小さくなる。サブピクセルを駆動する回路は、有機発光ダイオード(OLED)領域と共に、複数の薄膜トランジスタ及びコンデンサを有する。薄膜トランジスタ(TFT:thin film transistor)のサイズを、高解像度からのピクセルサイズの縮小に基づいて縮小することが可能である。しかしながら、TFT回路と関連付けられた蓄電コンデンサをより小型にすることは困難である。なぜならば、必要とされる蓄積容量が主に、フレームレート、及び、蓄積容量に接続されたTFTを通るリーク電流によって決定されるからである。従って、ピクセルフットプリントのさらなる縮小は困難である。
【0004】
結果的に、ピクセルフットプリントのサイズを縮小することが可能な新規の技術が開発されるべきである。
【発明の概要】
【0005】
本明細書では、ディスプレイ装置用のサブピクセル回路が開示される。一実施形態では、サブピクセル回路は、駆動TFTと、少なくとも1つのスイッチングTFTと、を有する。少なくとも1つのスイッチングTFTは、酸化物TFTである。サブピクセル回路は追加的に少なくとも1つの蓄電コンデンサを有し、蓄電コンデンサは、約1fFと約55fFとの間の容量を有する。
【0006】
他の実施形態では、サブピクセル回路が積層体において形成される。サブピクセル回路は、駆動TFTを有する。駆動TFTは、積層体の上面に配置されたソースと、積層体の上面に配置されたドレインと、積層体において形成された導電性チャネルと、を有する。導電性チャネルは、第1の終端及び第2の終端を有する。第1の終端はソースに電気的に結合され、第2の終端はドレインに電気的に結合される。サブピクセル回路は、少なくとも1つのスイッチングTFTを有する。サブピクセル回路は追加的に、少なくとも1つの蓄電コンデンサを有し、蓄電コンデンサは、駆動TFTの内部の、導電性チャネルの上方でかつ上記上面の下方に配置されている。
【0007】
他の実施形態では、ディスプレイは複数のピクセルを有する。上記ピクセルは、複数のサブピクセルを有する。複数のピクセルの各サブピクセルは、OLED領域と、サブピクセル回路と、を有する。サブピクセル回路は、駆動TFTと、少なくとも1つのスイッチングTFTと、を有し、少なくとも1つのスイッチングTFTは、酸化物TFTである。サブピクセル回路は追加的に少なくとも1つの蓄電コンデンサを有し、蓄電コンデンサは、約1fFと約55fFとの間の容量を有する。
【0008】
本開示の上記の特徴を詳細に理解することができるように、上記で簡単に要約した本開示のより具体的な説明を、実施形態を参照することによって行うことができ、そのいくつかを添付の図面に示す。しかしながら、添付の図面は例示的な実施形態のみを示しており、従ってその範囲を限定すると見なすべきではなく、他の等しく有効な実施形態を許容しうることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】1つ以上の実施形態に係る、アクティブマトリクス有機発光ダイオード(OLED)パネルの概略図である。
【
図2A】底面発光OLEDディスプレイを含む概略図を示す。
【
図2B】上面発光OLEDディスプレイを含む概略図を示す。
【
図3】1つ以上の実施形態に係る例示的なサブピクセル回路を示す。
【
図4】1つ以上の実施形態に係る他の例示的なサブピクセル回路を示す。
【
図5】1つ以上の実施形態に係る、スイッチングトランジスタの電圧の変化のグラフを示す。
【
図6A】1つ以上の実施形態に係る、基板に形成されたサブピクセル回路の例を示す。
【
図6B】1つ以上の実施形態に係る、基板に形成されたサブピクセル回路の例を示す。
【
図7A】1つ以上の実施形態に係る、基板に形成されたサブピクセル回路の例を示す。
【
図7B】1つ以上の実施形態に係る、基板に形成されたサブピクセル回路の例を示す。
【
図8A】1つ以上の実施形態に係る、基板に形成されたサブピクセル回路の例を示す。
【
図8B】1つ以上の実施形態に係る、基板に形成されたサブピクセル回路の例を示す。
【
図9A】1つ以上の実施形態に係る、基板に形成されたサブピクセル回路の例を示す。
【
図9B】1つ以上の実施形態に係る、基板に形成されたサブピクセル回路の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
理解を容易にするために、可能な場合には、複数の図に共通する同一の要素を指し示すのに同一の参照番号を使用した。一実施形態で開示される要素は、具体的な記載がなくとも、他の実施形態でも有益に利用されうると想定されている。本明細書で参照する図面は、別途記載のない限り、寸法通り描かれていると理解されるべきでない。また、図面はしばしば簡略化され、図示と説明のために細部や構成要素が省略される。図面及び記載は後述の原理を説明するために機能し、類似の符号は類似の要素を示している。
【0011】
以下の詳細な説明は、基本的に単に例示的なものであり、本開示又は本開示の適用及び利用を限定することを意図するものではない。さらに、前述の背景技術、発明の概要、又は、以下の詳細な記載に示される明示若しくは暗示される理論に拘束されることは意図されていない。
【0012】
金属酸化物(MOx:metal oxide)薄膜トランジスタ(TFT:thin film transistor)のオフリーク電流(Ioff:off leakage current)は、通常では、低温ポリシリコン(LTPS:low temperature polysilicon)TFTよりも3桁分小さい。MOx TFTにより作製されたスイッチングTFTは、OLEDピクセル素子の低いIoffに因り、蓄積容量を効率良く保持することが可能である。従って、LTPSよりもMOxを用いて作製されたスイッチングTFTを通るリーク電流がより小さいため、蓄積容量の大きさを小さくすることが可能である。
【0013】
OLED用の高解像度(即ち、600ppiより高い)のディスプレイ装置では、ピクセルサイズがより小さくなる。ピクセルサイズが縮小されるため、高解像度のディスプレイでは全てが縮小される。TFTのサイズは、高解像度によるピクセルサイズの縮小に基づき縮小されうる。しかしながら、蓄電コンデンサの容量、即ちサイズは、主に、フレームレートと、OLEDディスプレイ用の蓄電コンデンサに接続されたスイッチングTFTを通るリーク電流と、によって決定される。結果として、本明細書では、蓄電コンデンサのサイズがより小さい高解像度OLEDの作動を可能とするピクセル回路及び素子構造が開示される。
【0014】
MOxスイッチングTFTを用いて、LTPSスイッチングTFTと比べて三桁分低いオフリーク電流(Ioff)を実現することが可能である。従って、MOxスイッチングTFTは、LTPSスイッチングTFTと比べて、容量を失うことなく、1フレーム保持時間の間、蓄積容量を維持することが可能である。上記特性によって、蓄電コンデンサのサイズを約5~約10倍縮小することが可能である。コンデンサのサイズが縮小されると、より高いピクセル密度のための空間が提供される。より小さいコンデンササイズsを求めてのhigh kという解決法が、約1200ppiまでのOLEDについて有効であり、スイッチングMOx TFTが、1200ppiより高い解像度といったより高度な解像度に適用されうる。
【0015】
ディスプレイ用のOLEDピクセルのサブピクセルを作動させるためには、少なくとも2つのトランジスタ及び1つのコンデンサが必要である。スイッチングTFTは、データ電圧をコンデンサ(ストレージ)に渡す。蓄電コンデンサは、駆動TFTのためのゲートに接続されている。蓄積容量に接続された駆動TFTのゲート電圧によって、輝度を制御するために、駆動TFTのどのくらいの電流がOLEDに流れるのかが決定される。蓄電コンデンサの必要とされる容量は、フレームレートと、ディスプレイ用の駆動TFTの蓄電コンデンサとゲートとの両方に接続されたスイッチングTFTのリーク電流と、によって決定され、以下の数式で表される。
ΔQ=C×ΔV=リーク電流×Δt
【0016】
リーク電流が1桁分小さい場合には、静電容量(C)も1桁分小さくなりうる。従来のLTPSスイッチングTFTをMOxスイッチングTFTに置き換えることによって、リーク電流を少なくとも1~2桁分低減することが可能である。必要とされる容量も、同じレベルだけ低減することが可能である。従って、MOxスイッチングTFTを用いることで、蓄電コンデンサのサイズを小さくすることが可能である。本構成のさらなる説明が、以下の図面の記載において見出されうる。
【0017】
図1は、アクティブマトリクス有機発光ダイオード(OLED)パネル100の概略図である。OLEDパネル100は、行160及び列180に配列されたピクセル190のアレイ、即ち、第1のピクセル190
1、第2のピクセル190
2、第3のピクセル190
3等を有する。各ピクセル190は、ピクセル190の値を決定するための複数のサブピクセル150を有する。例えば、第1のピクセル1901は、第1のサブピクセル150
1A、第2のサブピクセル150
1B、及び第3のサブピクセル150
1Cを有する。各サブピクセル150は、各ピクセル190の1つの色成分である。しかしながら、第1のピクセル190
1は、3個より多いサブピクセル150を有してもよく、例えば、サブピクセル150
1Nであって、ここで、「1N」は、第1のピクセル190
1についての任意の数のサブピクセル150を表わしうる。OLEDパネル100の各行160は、ゲート線110を使用して、別々にアクセスすることが可能である。OLEDパネル100の各列180は、データ線120を使用してアクセスすることが可能である。第1のゲート線112及び第1のデータ線122がアドレス指定されると、OLEDパネル100の第1のピクセル190
1における第1のサブピクセル150
1Aがアクセスされる。各サブピクセル150が、OLEDパネル100において同様にアドレス指定されうる。様々な実施態様において、各サブピクセル150は、1つの選択線に接続されているものとして示されるが、各サブピクセルは、各サブピクセル150の更新を制御するために用いうる複数の選択線に接続されてよい。そのような実施形態では、選択線は、サブピクセル150の更新タイミングを制御するために、異なる時間に異なる選択信号により駆動されうる。
【0018】
1つ以上の実施形態において、OLEDパネル100は、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ装置であってよい。このような実施形態では、サブピクセル150のそれぞれが、1つ以上のトランジスタを介して対応する選択線及びデータ線に接続されたアノード電極を含みうる。サブピクセルデータ信号が、作動された各アノード電極に印加されて、アノード電極が特定の電圧レベルまで駆動される。OLEDディスプレイ装置は追加的に、ディスプレイ更新のための処理システムによって或る電圧レベルまで駆動されるカソード電極と、1つ以上の有機層と、を含む。更新のためにサブピクセルを駆動するために、供給電圧が各サブピクセルに印加される。一実施形態において、正の供給電圧はELVDDと称され、負の供給電圧はELVSSと称されうる。
【0019】
図2Aは、底面発光OLEDディスプレイを含む概略図を示している。OLEDは、サブピクセル回路220の上面に載置されている。OLEDからの光は、発光の方向に因り、下向きにサブピクセル回路領域220を透過しえない。単一のサブピクセル150は、第1のサブピクセル150
1Aであってよい。しかしながら、
図2Aに示される単一のサブピクセル150は、第1のサブピクセル150
1Aといった、サブピクセル150のそれぞれに共通しており、更なる検討は、共通のサブピクセル150に関するものとなる。サブピクセル150は、サブピクセル領域250を有する。サブピクセル領域250の一部は、有機発光ダイオード(OLED)領域210によって占められている。OLED領域210は、サブピクセル150の発光素子である。OLED領域210は、電流駆動発光素子である。サブピクセル領域250の残りの部分は、サブピクセル回路220によって占められており、このサブピクセル回路220は、1つ以上のトランジスタ、及び、コンデンサ、並びに、サブピクセル回路220を形成するためのトランジスタとコンデンサとを接続する金属ルーティングを有する。上記1つ以上のトランジスタ、コンデンサ、及び、金属ルーティングは、サブピクセル回路220の形成時に、基板(デバイス)の金属層であって、上記トランジスタ、コンデンサ、及び金属ルーティングの他の金属層とは異なる上記金属層の範囲内に配置されうる。サブピクセル回路220は、OLED領域210を制御し、サブピクセル150を駆動するため、即ち、発光し又は発光しないために必要な電力を供給する。
【0020】
図2Bは、上面発光OLEDディスプレイを含む概略図を示している。上面発光OLEDディスプレイのために、OLEDが、サブピクセル回路220の上面に載置されている。OLEDからの光の方向が上向きであるため、サブピクセル回路220が光を遮断しない。従って、上面発光OLEDディスプレイからのサブピクセル回路220の面積は、OLED領域210と同等であることが可能であり、これにより、底面発光OLEDディスプレイよりも高い密度が可能になる。
【0021】
図3及び
図4は、1つ以上の実施形態に係る、サブピクセル150のためのサブピクセル回路220の例示的な概略図を示している。サブピクセル回路220は、複数の薄膜トランジスタ(TFT)及び蓄電コンデンサを有する。しかしながら、サブピクセル回路220は、2つより多いトランジスタ及び/又は1つより多いコンデンサを有しうると理解されたい。概して、サブピクセル回路220は、スイッチングトランジスタ310、電流調整器又は駆動トランジスタ330、及び、蓄電コンデンサ320を含む。トランジスタ310、330は、酸化物トランジスタ、低温多結晶シリコン(LTPS:low-temperature polycrystalline silicon)トランジスタ、又は、LTPSと酸化物とのハイブリッド、即ちLTPOトランジスタといった、比較的リーク電流が小さいトランジスタでありうる。好ましくは、スイッチングトランジスタ310は、約10
-12A以下のリーク電流を有する。駆動TFT330は、p型LTPS TFT(Tp2)、又は、n型LTPS TFT、又はn型酸化物TFT(Tn2)であるうる。スイッチングTFT310は、酸化物TFT(Tn1)、又は、ハイブリッドLTPOでありうる。
【0022】
スイッチングTFT310のゲート(G1)は、選択走査線(Vscan)386に接続され、ソース-ドレインが、Vdata線384と、駆動TFT330のゲート(G2)と、の間に接続されている。フルカラーディスプレイにおいてサブピクセル150のOLED領域210内に配置されるOLED338が、駆動トランジスタ330に電気的に接続されている。OLED338のための回路は、さらに、低レベルの供給電圧(VSS)又は接地(GND)まで続いている。OLED388は、サブピクセル回路220によって制御され、共通の端子又は導体に接続されたカソードを有し、アノードが、駆動TFT330のソース-ドレインを介して、高レベル電源(VDD)382に接続されている。蓄電コンデンサ(Cst)320の役割は、駆動TFT(Tn2/Tp2)330のゲート電圧を保持するためのものである。
図3において、蓄電コンデンサ320は、VDD382と駆動TFT330のゲート(G2)との間に接続されている。
図4において、蓄電コンデンサ320は、OLED388と駆動TFT330のゲート(G2)との間に接続されている。
【0023】
選択信号がVscan線386上に現れ、データ信号がVdata線384上に現れると、OLED388がアドレス指定され又は選択される。トランジスタは、選択された線を介してトランジスタ310/330のゲートに選択信号を印加することによって、オン及びオフされうる。Vscan線386上の信号は、スイッチングトランジスタ310のゲート(G1)に印加され、トランジスタを「ON」にする。Vdata線384上のデータ信号は、スイッチングトランジスタ310のソース-ドレインを介してドライバトランジスタ330のゲート(G2)に印加され、データ信号の振幅及び/又は持続時間に従って、ドライバトランジスタ330を「オン」にする。次いで、ドライバトランジスタ330はOLED338に、概して駆動電流の形態による電力を供給し、OLED338により生成される光の輝度又は強度は、供給される電流の量及び/又は持続時間に依存しうる。蓄電コンデンサ320は、スイッチングトランジスタ310が「OFF」にされた後に、Vdata線384上の電圧を記憶する。
【0024】
図5は、1つ以上の実施形態に係る、スイッチングトランジスタの電圧の変化のグラフを示している。グラフ500は、時間570にわたるVdata線384及びVscan線386の電圧を示している。Vscan線386は、時間570にわたって、低いVscan電圧518と高いVscan電圧512との間を動く。Vdata線384は、同じ期間570にわたって、低いVdata電圧528と高いVdata電圧522との間を動く。ピクセル電圧がそれにより下げられる電圧値は、
図5のグラフの項目550で示すキックバック電圧(ΔVp)と称される。キックバック電圧550は、データ信号に基づいて変更され、ゲート信号が下がるとき、即ち、Vscan線386が高いVscan電圧512から低いVscan電圧518に動くときに誘起される。OLEDを駆動するためのゲート(G2)電圧(VG2)が、コンデンサ(Cst)320によって維持される。スイッチングTFT310での漏れによって、結果的にVG2の値が下がる。グラフ線530は、スイッチングTFT310(酸化物TFT-TN1)を通じた漏れのないVG2を示している。グラフ線540は、スイッチングTFT310(LTPS TFT-TN1)を通じて小さな漏れがあるVG2を示している。漏れがないVG2(線530)と漏れがあるVG2(線540)との間の電圧差560は、コンデンサCst320によって補償される。コンデンサCst320は、ゲート(G2)での電圧を維持するために、キックバック電圧及び漏れを補償するよう大きさが定められている。Cgd1が、G1とD1との間のTFTコンデンサであり、Cgs2が、G2とD2との間のTFTコンデンサである場合に、VG2とキックバック電圧(Vp)との両方を、以下の式で計算することが可能である。
VG2=(Vdata,High-Vdata,Low)×{(Cst+Cgs2)/(Cst+Cgd1+Cgs2)
ΔVp=(Vdata,High-Vdata,Low)×{(Cgd1)/(Cst+Cgd1+Cgs2)
【0025】
酸化膜TFTが、LTPS TFTの代わりにTn1として使用される場合には、Tn1を通るリーク電流がより小さいため、VG2の電圧降下を最小に抑えることが可能である。CstがCgd1よりもはるかに大きい場合には、キックバック電圧ΔVp、及び、Cgd1(G1とD1の間のTFTコンデンサ)により引き起こされるVG2の電圧降下を最小に抑えることが可能である。
【0026】
図3に戻って参照すると、酸化物TFTが、LTPS TFTの代わりにTn1として使用される場合には、Tn1を通るリーク電流がより小さいため、VG2電圧の降下を最小に抑えることが可能である。CstがCgd1よりもはるかに大きい場合には、キックバック電圧ΔVp、及び、Cgd1(G1とD1の間のTFTコンデンサ)により引き起こされる電圧降下VG2を最小に抑えることが可能である。ここでは、Tn1はn型酸化物TFTであり、Tn2はp型LTPS TFTである。少なくとも2つのTFTが利用され、一方は駆動TFT(Tp2)であり、他方はスイッチングTFT(Tn1)である。
【0027】
図4に戻って参照すると、酸化物TFTが、LTPS TFTの代わりにTn1として使用される場合には、Tn1を通るリーク電流がより小さいため、電圧降下VG2を最小に抑えることが可能である。CstがCgd1よりもはるかに大きい場合には、キックバック電圧ΔVp、及びCgd1(G1とD1の間のTFTコンデンサ)により引き起こされる電圧降下VG2を最小に抑えることが可能である。ここでは、Tn1はn型酸化物TFTであり、Tn2はn型LTPS TFT又はn型酸化物TFTである。従って、少なくとも1つのコンデンサ及び2つのTFTが、サブピクセル回路220のために利用され、ここで、2つのTFTは、1つの駆動TFT(Tp2)及び1つのスイッチングTFT(Tn1)を含んでいる。
【0028】
Cst320は、スイッチングTFT310を通るリーク電流と共に、ΔVp550を補償するよう大きさが定められている。ここで
図3及び
図4を参照すると、Cstの容量(サイズ)は、キックバック電圧を最小に抑えるために、Cgsより約9倍大きい必要があり、ここで、Cgsは、スイッチングTFT310のゲートとソースの間にあるコンデンサである。
【0029】
約10μmのTFT長、約40μmの幅、及び、約100nmのゲート酸化物の厚さ、及び、約0.50fF/μm2のCgsについて、好ましいCst値の範囲は、Cstよりも大きな約2.2fFと約55fF未満との間である。
【0030】
約10μmのTFT長、約40μmの幅、及び、約150nmのゲート酸化物の厚さ、及び、約0.34fF/μm2のCgsについて、好ましいCst値の範囲は、Cstよりも大きな約1.5fFと約37fF未満との間である。
【0031】
約10μmのTFT長、約40μmの幅、及び、約200nmのゲート酸化物の厚さ、及び、約0.25fF/μm2のCgsについて、好ましいCst値の範囲は、Cstよりも大きい約1.1fFと約28fF未満との間である。
【0032】
図6A及び
図6Bは、1つ以上の実施形態に係る、積層体650の内部に形成されたサブピクセル回路の例を示している。積層体650は、第1の層602を有する。第2の層604は、第1の層602に載置されている。一実施形態において、第2の層604は、第1の層602と接触している。第3の層606は、第2の層604に載置されている。一実施形態では、第3の層606は、第2の層604と接触している。第4の層608は、第3の層606に載置されている。一実施形態では、第4の層608は、第3の層606と接触している。第5の層610は、第4の層608に載置されている。一実施形態では、第5の層610は、第4の層608と接触している。第6の層612は、第5の層610に載置されている。一実施形態では、第6の層612は、第5の層610と接触している。
【0033】
第1の層602は、ガラス又は他の適切なフレキシブル基板でありうる。第2の層604は、第1のバッファ層である。第2の層604(バッファ1)は、p型シリコン(ホウ素ドープシリコン)、酸化バナジウム(V2O5)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化タングステン、他の金属酸化物若しくは金属窒化物、又はこれらの組み合わせといった材料で構成されてよい。第3層606は、ゲート絶縁層(GI)である。第3の層606(GI)は、例えば、二酸化ケイ素(SiO2)、ポリメチルシルセスキオキサン(PMSQ)、又は他の適切な材料といった材料で構成されてよい。第4の層608は、第1の中間層誘電体(ILD)である。第4の層608(ILD1)は、酸化物(ドープされた酸化物とドープされていない酸化物の両方)、窒化物、酸素窒化物、及び、シリコン系誘電体膜等の炭化物といった材料で構成されてもよい。第5層610は、第2バッファ層である。第5の層610(バッファ2)は、第2の層604(バッファ1)と実質的に同じ材料のリストから形成されうる。第6の層612は、第2の中間層誘電体(ILD)である。第6の層612(ILD2)は、第4の層608(ILD1)と実質的に同じ材料のリストから形成されうる。
【0034】
スイッチングTFT310は、第6の層612(ILD2)に示されている。スイッチングTFT310は、酸化物TFTである。スイッチングTFT310は、ILD2、即ち第6の層612の上面に配置されたソース(S1)及びドレイン(D1)を有する。ソース(S1)及びドレイン(D1)は、第6の層612の内部の、導電性チャネル(IGZO)へのビアに結合されており、本例では、導電性チャネルは、インジウムガリウム亜鉛酸化物(IGZO)から形成されるが、他の材料も等しく適しうる。導電性チャネル(IGZO)は、第5の層610(バッファ2)の上面に形成されている。ゲート絶縁(GI)材料が、第6の層612(ILD2)の内部の導電性チャネル(IGZO)上に形成されている。GI材料は、二酸化ケイ素(SiO2)、ポリメチルシルセスキオキサン(PMSQ)、又は他の適切な材料で構成される。ゲートG1の材料が、ゲート絶縁(GI)材料の上面に形成されている。ゲート(G1)は、金属導電性材料であり、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛、インジウムガリウム亜鉛酸化物(IGZO)、又は他の適切な材料である。
【0035】
駆動TFT330は、第3の層606から第6の層612(ILD2)までに示されている。駆動TFT330は、LTPS TFTである。駆動TFT330は、ILD2、即ち第6の層612の上面に配置されたソース(S2)及びドレイン(D2)を有する。ソース(S2)及びドレイン(D2)が、第6の層612及び第5の層610の内部のビアに結合されており、第2のソース(S2)664及び第2のドレイン(D2)が、第5の層610(バッファ2)の内部に配置されている。ビアはさらに、ILD1を通ってGI層の中を延びて、多結晶シリコン(LTPS)の導電性チャネル634まで延びている。導電性チャネル634は、第2の層604(バッファ1)の上面に形成されている。ゲート(G2)632が、導電性チャネル634の上方の第4の層608(ILD1)に、かつ第3の層606(GI)の上面に形成されている。G2材料は、二酸化ケイ素(SiO2)、ポリメチルシルセスキオキサン(PMSQ)、又は他の適切な材料で構成される。第3の層606(GI)は、導電性チャネル634とゲート(G2)632との間のゲート絶縁材料である。
【0036】
ここで厳密に
図6Aを参照すると、コンデンサ320が、駆動TFT330の隣の第3の層606(GI)、第4の層608(ILD1)及び第5の層610(バッファ2)に形成されている。第2のソース(S2)664は、第2のドレイン(D2)とは反対の方向に、第5の層610(バッファ2)内を横方向に延在している。ビア662が、第2のソース(S2)664から第4の層608(ILD1)を通って第3の層606(GI)の中へと延びている。ビア662は、多結晶シリコン(LTPS)の導電性チャネル640にまで延びている。導電性チャネル640は、第2の層604(バッファ1)の上面に配置されている。導電性チャネル634は、第3の層606のゲート絶縁材料によって導電性チャネル640から絶縁されている。ゲート(G2)670が、導電性チャネル640の上方の第4の層608(ILD1)に、かつ第3の層603(GI)の上面に形成されている。ゲート(G2)670は、ゲート(G2)623から、それらの間にあるビア662によって絶縁されている。
【0037】
ここで厳密に
図6Bを参照すると、コンデンサ320が、駆動TFT330の隣の第4の層608(ILD1)及び第5の層610(バッファ2)に形成されている。第2のソース(S2)664が、第2のドレイン(D2)から離れる方向に、第5の層610(バッファ2)内を横方向に延在している。ゲート(G2)670が、導電性チャネル640の上方の第4の層608(ILD1)に、かつ第3の層606(GI)の上面に形成されている。得られるコンデンサでは、
図6Aにおいて形成されたコンデンサから、もう1つのマスクが削減されている。
【0038】
先に
図6A及び
図6Bで示した利点は、もう1つのマスクの削減が可能であり、サブピクセル回路220の形成があまり複雑でないということである。
【0039】
図7A及び
図7Bは、1つ以上の実施形態に係る、基板に形成されたサブピクセル回路の例を示している。図示されたスイッチングTFT310は、酸化物型であり、
図6A及び
図6Bに関して上述したものと実質的に同様である。
【0040】
ここで厳密に
図7Aを参照すると、駆動TFT330は、第3の層606から第6の層612(ILD2)までに示されている。駆動TFT330は、LTPS TFTである。駆動TFT330は、ILD2、即ち第6の層612に上面に配置されたソース(S2)及びドレイン(D2)を有する。ソース(S2)及びドレイン(D2)が、第6の層612及び第5の層610の内部のビアに結合されており、第2のソース(S2)664及び第2のドレイン(D2)が、第5の層610(バッファ2)の内部に配置されている。ビアはさらに、ILD1を通ってGI層の中を延びて、多結晶シリコン(LTPS)の導電性チャネル634まで延びている。導電性チャネル634は、第2の層604(バッファ1)の上面に形成されている。ゲート(G2)632が、導電性チャネル634の上方の第4の層608(ILD1)に、かつ第3の層603(GI)の上面に形成されている。G2材料は、二酸化ケイ素(SiO
2)、ポリメチルシルセスキオキサン(PMSQ)、又は他の適切な材料で構成される。第3の層603(GI)は、導電性チャネル634とゲート(G2)632との間のゲート絶縁材料である。
【0041】
コンデンサ320が、駆動TFT330の範囲内の第4の層608(ILD1)及び第5の層610(バッファ2)に形成されている。第2のソース(S2)760が、第5の層610(バッファ2)内で、第2のドレイン(D2)に向かう方向に、かつ第4の層608(ILD1)内に形成されたゲート(G2)632の上方を横方向に延在している。得られたコンデンサは、駆動TFT330内に位置しており、サブピクセル回路220のためのフットプリントを縮小する。
【0042】
ここで厳密に
図7Bを参照すると、駆動TFT330は、第6の層612(ILD2)に示されている。駆動TFT330は、酸化物TFTである。駆動TFT330は、ILD2、即ち第6の層612に上面に載置されたソース(S2)762及びドレイン(D2)を有する。ソース(S2)及びドレイン(D2)は、第6の層612の内部の、導電性チャネル(IGZO)へのビアに結合されており、本例では、導電性チャネルは、インジウムガリウム亜鉛酸化物(IGZO)から形成されるが、他の材料も等しく適しうる。導電性チャネル(IGZO)は、第5の層610(バッファ2)の上面に形成されている。ゲート絶縁(GI)材料742が、第6の層612(ILD2)の内部の導電性チャネル(IGZO)上に形成されている。GI材料742は、二酸化ケイ素(SiO
2)、ポリメチルシルセスキオキサン(PMSQ)、又は他の適切な材料で構成される。ゲートG2の材料が、ゲート絶縁(GI)材料742の上面に形成されている。ゲート(G2)は、金属導電性材料であり、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛、インジウムガリウム亜鉛酸化物(IGZO)、又は他の適切な材料である。
【0043】
コンデンサ320が、駆動TFT330内に形成されている。ソース(S2)762が、第6の層612の上面に沿ってドレイン(D2)に向かって延在し、さらにゲート(G2)材料の上方に延在して、コンデンサを形成する。
【0044】
有利には、蓄電コンデンサ320は、駆動TFT330のより近くに形成され、その結果、ピクセル回路面積の縮小により、より高い解像度が得られる。
【0045】
図8A及び
図8Bは、1つ以上の実施形態に係る、基板に形成されたサブピクセル回路の例を示している。図示されたスイッチングTFT310は、酸化物型であり、
図6A及び
図6Bに関して上述したものと実質的に同様である。
図8Aにおいて、スイッチングTFT310は、導電性チャネル(IGZO)の下方の第5の層610(バッファ2)に形成された遮光体810を有する。
図8Bにおいて、スイッチングTFT310は、導電性チャネル(IGZO)の下方の第4の層680(ILD1)に形成された遮光体820を有する。遮光体810/820は、金属材料から形成されている。金属は、酸化物スイッチングTFT310の下方で用いられ、その安定性を向上させる。
【0046】
図8A及び8Bに示される駆動TFT330及びコンデンサ320は、
図7Aに関して先に検討した駆動TFT330に関して説明したように実質的に存在する。駆動TFT330は、LTPS TFTであり、第3の層606から第6の層612(ILD2)までに配置されている。コンデンサ320が、駆動TFT330の範囲内の第4の層608(ILD1)及び第5の層610(バッファ2)に形成されている。駆動TFT330内に位置する得られたコンデンサによって、サブピクセル回路220のためのフットプリントが縮小される。
【0047】
有利には、蓄電コンデンサ320が、駆動TFT330の近くに形成され、その結果、ピクセル回路面積の縮小により、より高い解像度が得られる。さらに、上述のように、遮光金属810/820は、スイッチングTFT310の安定性を向上させる。
【0048】
図9A及び
図9Bは、1つ以上の実施形態に係る、基板に形成されたサブピクセル回路の例を示している。図示されたスイッチングTFT310は、酸化物型であり、
図6A及び
図6Bに関して上述したものと実質的に同様である。遮光体810が、導電チャネル(IGZO)の下方の第5層610(バッファ2)に形成されている。加えて、ゲート材料(G2)934が、遮光体810の下方の第4の層680(ILD1)に形成されている。ゲート材料(G2)934は、金属材料から形成されている。遮光体810及びゲート材料(G2)934が、スイッチングTFT310の下方に第2のコンデンサ920を形成する。
【0049】
ここで厳密に
図9Aを参照すると、駆動TFT330及びコンデンサは、
図7Aに関して上述したようなものである。即ち、サブピクセル回路220を最小化するために、コンデンサ320が駆動TFT330の内部に形成されている。
【0050】
ここで厳密に
図9Bを参照すると、駆動TFT330及びコンデンサ320は、
図7Bに関して上述したようなものである。サブピクセル回路220を最小化するために、コンデンサ320が駆動TFT330内に形成されている。加えて、ゲート材料(G2)936が、ソース層(S2)950の下方の第4の層680(ILD1)に形成されている。ゲート材料(G2)936は、金属材料から形成されている。ソース層(S2)950及びゲート材料(G2)936は、駆動TFT330の下方にさらに別のコンデンサ991を形成する。
【0051】
有利には、蓄電コンデンサ320が、駆動TFT330の近くに形成され、その結果、ピクセル回路面積の縮小により、より高い解像度が得られる。遮光金属810が、スイッチングTFT310の安定性を向上させる。加えて、追加的な蓄電コンデンサ934が、スイッチングTFT310の下方に形成され、サブピクセル回路220のフットプリントを維持しながら、蓄積容量を増加させ、より長いフレームレートを可能にする。
【0052】
ピクセル回路は、1つの駆動TFT、少なくとも1つのスイッチングTFT及び少なくとも1つの蓄電コンデンサで構成される。スイッチングTFTは、駆動TFTのゲートと蓄電コンデンサの両方に接続されている。蓄電コンデンサのサイズは、スイッチングTFTとして酸化物TFTを用いることで、LTPS TFTと比較して2~3桁分小さなリーク電流のために、縮小することが可能である。しかしながら、蓄電コンデンサは、キックバック電圧のために非常に小さくすることは出来ない。先に示したように、提案される蓄電コンデンサ(Cst)のサイズは、約1fFと約55fFとの間である。ゲート絶縁膜の厚さは、約100nmと約200nmとの間である。TFTチャネル長は、約0.5umと約3umの間である。そして、TFTチャネル幅は、約1umと約4umとの間である。
【0053】
先に示したスイッチングTFTの素子構造では、多結晶シリコンとゲート金属との間に蓄電コンデンサが形成されている、蓄電コンデンサ及び駆動TFTが示された。代替的に、上記構造は、製造中にマスクの数を減らすためにゲート金属とソース金属との間に形成された蓄電コンデンサを示す。さらに別の代替例では、駆動トランジスタのゲート金属とソース金属とを重ね合わせることによって蓄電コンデンサが形成される、解像度構造が提供される。さらに別の代替例では、蓄電コンデンサが酸化物TFTの下方に形成される高解像度構造が提供される。さらに他の構造では、金属で形成された遮光体が、酸化物TFTの下方に追加される。これらの構造によって、リーク電流が1E-12(A)より小さい酸化物TFTが提供され、これにより、約7.5pA×(1/60秒)/0.35Vすなわち約36fFの蓄電コンデンサが可能とされた。
【0054】
可変リフレッシュレート(VRR:Variable Refresh Rate)[60Hz、30Hz、15Hz、1Hz]により、OLEDパネルの大幅な省電力化が実現される。しかしながら、60Hzより低いリフレッシュレートでは、結果的に、フリッカ、及び、輝度の急激な変化といった視覚的なアーチファクトが発生しうる。LCD及びOLEDにおけるデータ電圧保持のための蓄電コンデンサ(C1)を保持するよう接続されたスイッチングTFTを通るリーク電流がより小さいことにより、フリッカ及び輝度の急激な変化が最小に抑えられる。必要とされる蓄電コンデンサ(C1)の値が36fFよりも大きい場合には、
図9A及び
図9Bに見られるように、追加の蓄電コンデンサを設けることが可能である。蓄電コンデンサのサイズを2倍(例えば、72fF)にする場合には、ΔVGが約半分となり、つまり0.175V付近になる。従って、VG変動の低減による均一性の改善が達成される。さらに、リーク電流が半分である場合には、必要とされる蓄電コンデンサの値が半分となり、即ち約18fFとなる。ピクセル内での蓄電コンデンサの面積が、より高いPPIを可能とする回路のために、ピクセルサイズ面積の縮小により、以前のサイズの約半分にまで縮小される。
【0055】
これら及び他の利点は、記載された特定の実施形態及び他の変形例に従って実現されうる。上記の説明は、限定ではなく例示を意図するものであることを理解されたい。先の明細書の記載を検討すれば、特許請求の範囲の思想及び範囲内での多くの他の実施形態及び変更が、当業者には明らかとなろう。従って、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照し、且つ当該請求の範囲が権利付与される均等物の完全な範囲と共に、定められるべきである。以下の特許請求の範囲において、「第1の(first)」、「第2の(second)」、及び「第3の(third)」という用語は、単にラベルとして使用され、その対象物に数値的要件を課すことを意図していない。
また、本願は以下に記載する態様を含む。
(態様1)
ディスプレイ用のサブピクセル回路であって、
駆動TFT(thin film transistor)と、
酸化物TFTである少なくとも1つのスイッチングTFTと、
約1fFと約55fFとの間の容量を有する少なくとも1つの蓄電コンデンサと
を備えた、ディスプレイ用のサブピクセル回路。
(態様2)
前記少なくとも1つのスイッチングTFTは、
約100nmと約200nmとの間のGI厚さと、
約0.5umと約3umとの間のTFTチャネル長と、
約1umと約4umとの間のTFTチャネル幅と
をさらに有する、態様1に記載のサブピクセル回路。
(態様3)
前記少なくとも1つのスイッチングTFTは、さらに
約1E-12(A)より小さいTFTリーク電流である、態様2に記載のサブピクセル回路。
(態様4)
前記コンデンサは、前記駆動TFTのゲート金属とソース金属とを重ね合わせることによって形成される、態様1に記載のサブピクセル回路。
(態様5)
積層体において形成されたサブピクセル回路であって、前記サブピクセル回路は、
駆動TFTであって、
前記積層体の上面に配置されたソース、
前記積層体の前記上面に配置されたドレイン、及び、
前記積層体において形成された導電性チャネルであって、前記導電性チャネルは、第1の終端及び第2の終端を有し、前記第1の終端が前記ソースに電気的に結合され、前記第2の終端が前記ドレインに電気的に結合される、導電性チャネル
を含む、駆動TFTと、
少なくとも1つのスイッチングTFTと、
前記駆動TFTの内部の、前記導電性チャネルの上方でかつ前記上面の下方に配置された少なくとも1つの蓄電コンデンサと
を備えた、積層体において形成されたサブピクセル回路。
(態様6)
前記積層体は、
第1のバッファ層(バッファ1)を形成する第1の層と、
ゲート絶縁材料(GI)から形成された第2の層と、
第1の中間層誘電体(ILD1)を形成する第3の層と、
第2のバッファ層(バッファ2)を形成する第4の層と、
第2の中間層誘電体(ILD2)を形成する第5の層と
を更に含み、
前記少なくとも1つのスイッチングTFTは、酸化物TFTであり、前記少なくとも1つのスイッチングTFTは、前記第4の層の内部まで延在しない、態様5に記載のサブピクセル回路。
(態様7)
前記コンデンサは、前記駆動TFTのゲート金属とソース金属とを重ね合わせることによって形成される、態様5に記載のサブピクセル回路。
(態様8)
前記コンデンサは、ゲート絶縁体(G2)をさらに含み、前記コンデンサは、前記第4の層の内部まで延在しない、態様6に記載のサブピクセル回路。
(態様9)
前記コンデンサは、前記第4の層の下方に延在し、前記導電性チャネルは、前記第2の層の内部に存在する、態様6に記載のサブピクセル回路。
(態様10)
前記スイッチングTFTの下方に配置された遮光体をさらに含む、態様6に記載のサブピクセル回路。
(態様11)
前記スイッチングTFTの下方に形成された第2のコンデンサをさらに含む、態様6に記載のサブピクセル回路。
(態様12)
前記駆動TFTの下方に形成された第3のコンデンサをさらに含む、態様11に記載のサブピクセル回路。
(態様13)
ディスプレイであって、
複数のピクセルを含み、
前記ピクセルは、複数のサブピクセルを含み、
前記複数のピクセルの各サブピクセルは、
OLED領域と、
サブピクセル回路と
を含み、
前記サブピクセル回路は、
駆動TFTと、
酸化物TFTである少なくとも1つのスイッチングTFTと、
約1fFと約55fFとの間の容量を有する少なくとも1つの蓄電コンデンサと
を含む、ディスプレイ。
(態様14)
前記蓄電コンデンサは、前記駆動TFTの範囲内に形成される、態様13に記載のディスプレイ。
(態様15)
前記コンデンサは、前記駆動TFTのゲート金属とソース金属とを重ね合わせることによって形成される、態様14に記載のディスプレイ。