(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】ハブ型ブレード
(51)【国際特許分類】
B24D 5/12 20060101AFI20221108BHJP
B24D 3/00 20060101ALI20221108BHJP
B24D 3/06 20060101ALI20221108BHJP
B24D 5/16 20060101ALI20221108BHJP
H01L 21/301 20060101ALI20221108BHJP
【FI】
B24D5/12 Z
B24D3/00 320B
B24D3/06 B
B24D5/16
H01L21/78 F
(21)【出願番号】P 2021146163
(22)【出願日】2021-09-08
(62)【分割の表示】P 2018020292の分割
【原出願日】2017-02-13
【審査請求日】2021-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100142424
【氏名又は名称】細川 文広
(72)【発明者】
【氏名】星 純二
(72)【発明者】
【氏名】塚本 早紀
(72)【発明者】
【氏名】山中 紀幸
【審査官】須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-159175(JP,A)
【文献】特開平06-091547(JP,A)
【文献】特開平01-159176(JP,A)
【文献】特開2012-135833(JP,A)
【文献】実開昭62-035764(JP,U)
【文献】特開2008-302435(JP,A)
【文献】特開2010-052084(JP,A)
【文献】特開2012-152881(JP,A)
【文献】特開2017-022425(JP,A)
【文献】特開2004-009189(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24D3/00-99/00
B24B41/00-51/00
B28D1/00-7/04
H01L21/301;21/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線回りに回転可能に形成され前記軸線方向の一方側にブレード取付面が形成されたハブと、
前記ブレード取付面に配置されたブレード本体と、
前記ハブと前記ブレード本体の間に配置され前記ハブに前記ブレード本体を装着して接続する接続部と、
を備え、
前記接続部は、
前記ハブ側と前記ブレード本体側に位置される両面に粘着性を有する両面粘着テープにより構成されており、
前記ブレード取付面が、表面粗さRmaxが0~20μmに形成されていることを特徴とするハブ型ブレード。
【請求項2】
請求項1に記載のハブ型ブレードであって、
前記両面粘着テープは、
厚さ0.1mm以下に形成されていることを特徴とするハブ型ブレード。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のハブ型ブレードであって、
前記ハブは、
アルミニウム又はアルミニウム合金により形成されていることを特徴とするハブ型ブレード。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のハブ型ブレードであって、
前記ハブは、
マグネシウム又はマグネシウム合金により形成されていることを特徴とするハブ型ブレード。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載のハブ型ブレードであって、
前記ブレード本体は、
金属母材と、前記金属母材に分散された砥粒とを備えていることを特徴とするハブ型ブレード。
【請求項6】
請求項5に記載のハブ型ブレードであって、
前記金属母材は、ニッケル又はニッケル合金からなり、
前記砥粒は、ダイヤモンド超砥粒とされていることを特徴とするハブ型ブレード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体材料等の基板を切断してチップ状に個片化するのに用いられるハブ型ブレードに関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、半導体材料等の基板を切断してチップ状に個片化する際に、円形状に形成されたブレードが用いられ、ブレードを安定して回転させるための一形態として、ブレード本体を保持部材に保持させたハブ型ブレードが広く用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
ハブ型ブレード100は、
図13に示すように、例えば、アルミニウム合金からなるハブ101と、ハブ101の一方側の面にニッケルめっきによって形成した電鋳ブレード本体102とを備えていて、保持部材101と電鋳ブレード本体102とが一体的に接続された構成とされている。
【0004】
上記従来のハブ型ブレードは、例えば、
図14に示すように、ハブよりも大径のアルミ台金を準備(S101)し、アルミ台金のブレード形成面に前処理をしてニッケルめっきが可能な状態とする(S102)。そして、例えば、約5μmのダイヤモンド超砥粒を分散したニッケルめっき液に、マスキングを施したアルミ台金を浸漬して、ブレード形成面にニッケルめっきすることによって電鋳ブレード本体の原板を形成する(S103)。
【0005】
電鋳ブレード本体の原板は外周側の厚さが厚いので、円筒研削盤などを用いてアルミ台金を外径加工して、電鋳ブレード本体の原板の厚さを均一にする(S104)。次いで、外径加工したアルミ台金にマスキングを施してアルカリエッチングすることにより、アルミ台金の外周部分を溶解して外周に所定寸法のブレード本体を露出させる(S105)。
【0006】
その後、電解ドレス(S106)によってブレード本体の表面からニッケルを溶解してダイヤモンド超砥粒を露出させ、ダイサードレスによってブレード本体外周のダイヤモンド超砥粒を約2μm露出(S107)させて、ダイサープリカット(S108)、検査(S109)を経てからハブ型ブレードが完成する(S110)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来のハブ型ブレード及びハブ型ブレード製造方法は、以下に示すような問題がある。
(1)アルミニウムはニッケルに比べて熱膨張係数が大きいので、ニッケルめっき液内で約40℃~50℃の温度範囲でアルミ台金に形成された電鋳ブレード本体は、常温まで冷却される過程でアルミ台金の収縮に追従することができず、電鋳ブレード本体に圧縮応力が残留し、アルカリエッチングによってブレード本体を露出させると歪やそりが生じる虞れがある。ブレード本体の歪やそりは、ハブ型ブレードの切断の品位を大きく左右し、切断ラインの曲りや製品に欠けが生じさせる可能性があることから出荷することができず不良として廃棄されることから、仕損費が増加して製造コスト増大を招いている。
【0009】
(2)分散めっきにより形成した電鋳ブレード本体は、外周側の厚さが厚く形成されているので、厚い部分を外周加工によって除去して均一な厚さにする必要がある。さらに、外径加工する際には、ブレード本体に歪が発生するのを抑制するために、加工負荷を小さくしたうえで長い時間が必要である。その結果、コスト増大の原因となっている。
【0010】
(3)アルミ台金をアルカリエッチングしてブレード本体からダイヤモンド超砥粒を露出させることから、ブレード本体を所望の厚さや突き出し量に安定して仕上げることは容易ではない。
【0011】
(4)アルミ台金をアルカリエッチングする際には、約80℃のアルカリ液中に浸漬させる必要があり、さらなる膨張差を生じてアルミ台金とブレード本体の剥離を生じる虞がある。また、アルカリエッチングに非常に長い時間が費やされる。
【0012】
この発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、高精度なハブ型ブレードを効率的かつ安定して製造することが可能なハブ型ブレードを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
そこで、発明者らは、高精度なハブ型ブレードを効率的かつ安定して製造する技術を鋭意研究した結果、従来技術にとらわれることのない画期的なハブ型ブレードを開発した。
【0014】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
請求項1に記載の発明は、軸線回りに回転可能に形成され前記軸線方向の一方側にブレード取付面が形成されたハブと、前記ブレード取付面に配置されたブレード本体と、前記ハブと前記ブレード本体の間に配置され前記ハブに前記ブレード本体を装着して接続する接続部と、を備え、前記接続部は、前記ハブ側と前記ブレード本体側に位置される両面に粘着性を有する両面粘着テープにより構成されており、前記ブレード取付面が、表面粗さRmaxが0~20μmに形成されていることを特徴とする。
【0015】
この発明に係るハブ型ブレードによれば、ハブと、ブレード本体と、接続部とを備えていて、別々に形成したハブとブレード本体とが両面粘着テープ(接続部)によって装着されるので、ハブとブレード本体を個別に検査して、品質特性(例えば、砥粒の含有量、厚さ、そり、外観等)を満足したハブとブレード本体だけを用いて製造することができる。その結果、ブレード本体の品質不具合にともなう台金(ハブ)の廃棄がなくなり、製造コストを削減することができる。
また、ブレード本体を常温でハブに装着することにより、ブレード本体に温度履歴に基づく歪やそりがなくなり、ハブ型ブレードの品質を向上することができる。その結果、高精度なハブ型ブレードを効率的かつ安定して製造することができる。
また、ブレード本体がハブの外縁で急に屈曲されるのが緩和され、ブレード本体が加工対象物と当たった際に、ブレード本体が割れるのが抑制される。
また、ハブとブレード本体とを効率的かつ安定して装着することができる。
また、ブレード取付面が表面粗さRmax0~20μmとされているので、両面粘着テープがブレード取付面の全面にわたって密着して、両面粘着テープの接着能力を充分に発揮するとともに、ハブやブレード本体と両面粘着テープの間に、切断中に発生する微粒子等が侵入することが効果的に抑制される。したがって、当該ハブ型ブレードは、使用中においても、高精度が維持される。
【0016】
また、この発明に係るハブ型ブレードによれば、ブレード本体をハブから突き出す際に、加工又はエッチングによって台金を除去する必要がないので、材料ロスに起因する歩留低下が抑制されるとともに加工時間を短縮することができる。
その結果、製造にともなうリードタイムが大幅に短縮されるとともに、高精度な試作品を低コストかつ短いリードタイムで製作することができる。
【0017】
この発明に係るハブ型ブレードによれば、使用後のハブ型ブレードからブレード本体を取り除くことにより、ハブを容易に再利用することができる。
その結果、省資源を実現するとともに製造コストを削減することができる。
【0018】
また、ハブにブレード本体を一体的に形成する場合には、ブレード本体に分散めっきに起因する品質不具合が発生するとブレード本体とともに台金を廃棄することになるが、品質特性を満足したブレード本体を装着することにより分散めっきに起因するハブ型ブレードの品質不具合が抑制されるので、製造コストを削減することができる。
また、ブレード本体を常温でハブに装着することにより、ブレード本体に温度履歴に基づく歪やそりが生じるのが抑制されて、ハブ型ブレードの品質を向上することができる。
【0019】
また、ブレード本体を常温でハブに装着することにより、ブレード本体に温度履歴に基づく歪やそりが生じるのが抑制され、ハブ型ブレードの品質を向上することができる。その結果、高精度なハブ型ブレードを効率的かつ安定して製造することができる。
【0020】
また、めっきによってブレード本体を形成することができない材質のハブやめっきによって形成することができないブレード本体を備えたハブ型ブレードを構成することができる。
【0021】
この明細書において、ハブにブレード本体を装着するとは、別々に作成したハブとブレード本体とを接続して一体のハブ型ブレードを構成することをいい、例えば、ハブにめっきや蒸着等によりブレード本体を直接的に形成する以外のものを含む趣旨である。
【0022】
また、この明細書において、「ハブにブレード本体を装着する接続部」には、例えば、両面接着テープ(両面粘着テープを含む)、接着剤が硬化して形成された接着樹脂部(接着層)からなる接合部、超音波接合をはじめとする種々の拡散接合による接続部、スポット溶接によるナゲット、ろう付け等溶接による接続部、ハブとブレード本体とを締結する締結部材により構成される接続部、ハブにブレード本体を装着可能な種々の接続部が含まれる。
なお、両面接着テープとしては、両側の面が粘着性を有する両面粘着テープ、一方の面が粘着性を有し他方の面が硬化して接着する接着剤が配置されたもの、基材の両側の面に硬化して接着する接着剤が配置されたものが含まれる。
また、両面粘着テープとは、ハブとブレード本体の間に配置され、ハブ側とブレード本体側の両面に粘着性を有し、この粘着性によってハブとブレード本体とを接続するテープをいい、例えば、粘着性を有していないテープ基材の両面に粘着性を有する樹脂が配置されたもの、粘着性を有する樹脂(以下、粘着性樹脂という)がシート状に形成されることで両側の面に粘着性を有する構成とされたもの等、任意の構成のものが含まれる。
また、接着剤としては、流動性を有する接着樹脂、シート状に形成されたシート状接着樹脂、常温では流動性がなく温度等物理的条件により流動性を有して接着剤として機能するものが含まれる。
【0023】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のハブ型ブレードであって、前記両面粘着テープは、厚さ0.1mm以下に形成されていることを特徴とする。
【0024】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のハブ型ブレードであって、前記ハブは、アルミニウム又はアルミニウム合金により形成されていることを特徴とする。
【0025】
この発明に係るハブ型ブレードによれば、ハブが、アルミニウム又はアルミニウム合金により形成されているので高速回転が可能で効率的に切断することができる。
【0026】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載のハブ型ブレードであって、前記ハブは、マグネシウム又はマグネシウム合金により形成されていることを特徴とする。
【0027】
この発明に係るハブ型ブレードによれば、ハブが、マグネシウム又はマグネシウム合金により形成されていて比強度が大きいので高速回転が可能で効率的に切断することができる。
また、減衰能が優れているので振動の発生を抑制して安定的に切断することができる。
【0028】
請求項5に記載の発明は、請求項1~4のいずれか一項に記載のハブ型ブレードであって、前記ブレード本体は、金属母材と、前記金属母材に分散された砥粒とを備えていることを特徴とする。
【0029】
この発明に係るハブ型ブレードによれば、ブレード本体が、金属母材と、金属母材に分散された砥粒とを備えているので高速回転が可能で効率的に切断することができる。
【0030】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のハブ型ブレードであって、前記金属母材は、ニッケル又はニッケル合金からなり、前記砥粒は、ダイヤモンド超砥粒とされていることを特徴とする。
【0031】
この発明に係るハブ型ブレードによれば、金属母材が、ニッケル又はニッケル合金とされているので、例えば、ブレード本体の厚さを約30μm程度の薄肉としても切断に適した剛性が確保され、しかも砥粒がダイヤモンド超砥粒とされているので高速回転で効率的に切断することができる。
【発明の効果】
【0032】
この発明に係るハブ型ブレードによれば、高精度なハブ型ブレードを効率的かつ安定して製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るハブ型ブレードの概略構成の一例を説明する斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係るハブ型ブレードの概略構成を説明する図であり、
図1において矢視II-IIで示す断面図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係るハブ型ブレードの概略構成を説明する拡大した部分断面図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係るハブ型ブレード製造工程の概略を説明するフローチャートである。
【
図5】本発明の第1実施形態に係るハブ型ブレード製造工程の概略を説明する図であり、ブレード素材を製造する手順の概略を示すフローチャートである。
【
図6A】本発明の第1実施形態に係るハブ型ブレード製造工程を説明する図であり、ブレード素材の原板を製造する際のSUS台金準備の概略を示す概念図である。
【
図6B】本発明の第1実施形態に係るハブ型ブレード製造工程を説明する図であり、分散めっきによってブレード素材の原板が形成された状態の概略構成を示す概念図である。
【
図6C】本発明の第1実施形態に係るハブ型ブレード製造工程を説明する図であり、エッチング前のマスキングを施したブレード素材の原板の概略を説明する概念図である。
【
図6D】本発明の第1実施形態に係るハブ型ブレード製造工程を説明する図であり、エッチング処理後のブレード素材の原板の概略を説明する概念図である。
【
図6E】本発明の第1実施形態に係るハブ型ブレード製造工程を説明する図であり、ブレード素材の原板に対する内径加工の概略を説明する概念図である。
【
図7A】本発明の第1実施形態に係るハブ型ブレード製造工程における前処理工程後のアルミハブの概略構成の一例を説明する概念図である。
【
図7B】本発明の第1実施形態に係るハブ型ブレード製造工程において両面粘着テープが貼着された状態のアルミハブの概略構成を説明する概念図である。
【
図7C】本発明の第1実施形態に係るハブ型ブレード製造工程においてブレード素材が両面粘着テープによって貼着された状態の中間製品の概略構成を説明する概念図である。
【
図7D】本発明の第1実施形態に係るハブ型ブレード製造工程におけるブレード本体の外形加工の概略を説明する概念図である。
【
図8】本発明の第1実施形態に係るハブ型ブレード製造工程において外径加工工程後の中間製品の概略構成を説明する断面図である。
【
図9】本発明の第1実施形態に係るハブ型ブレード製造工程においてダイサードレス工程後の完成品の概略構成を説明する断面図である。
【
図10】本発明の第2実施形態に係るハブ型ブレードの概略構成を説明する図であり、
図1において矢視X-Xで示す断面図である。
【
図11】本発明の第2実施形態に係るハブ型ブレードの概略構成を説明する拡大した部分断面図である。
【
図12】本発明の第3実施形態に係るハブ型ブレードの概略構成の一例を説明する軸線を含む断面図である。
【
図13】従来のハブ型ブレードの概略構成の一例を説明する軸線を含む断面図である。
【
図14】従来のハブ型ブレード製造工程の概略の一例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
<第1実施形態>
以下、
図1~
図3を参照し、本発明の第1実施形態に係るハブ型ブレードについて説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るハブ型ブレードの概略構成の一例を説明する斜視図であり、
図2は、
図1において矢視II-IIで示す断面図であり、
図3は拡大した部分断面図である。
図1~3において、符号1はハブ型ブレードを、符号10はアルミハブを、符号20は両面粘着テープ(両面接着テープ)を、符号30はブレード本体を示している。
【0035】
ハブ型ブレード1は、
図1に示すように、例えば、アルミハブ10と、両面粘着テープ(両面接着テープ)20と、ブレード本体30とを備え、ウェーハ(半導体材料等の基板)を切断してICチップ(チップ状)等に個片化することが可能とされている。
【0036】
アルミハブ10は、
図1~
図3に示すように、例えば、最大外径55.4mmに形成され軸線O1方向の一方側にブレード取付面11Aが形成され軸線O1の他方側に向かうにしたがって縮径されるブレード取付部11と、ブレード取付部11の軸線O1方向の他方側に接続される駆動源接続部12とを備えている。また、アルミハブ10の内周には軸線O1に沿って円筒形状の取付孔10Hが形成されている。
【0037】
また、ハブ10は、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金により形成されている。アルミニウム合金の材質については、使用条件に基づいて任意に設定することが可能であるが、例えば、A2017、A5083、A7075(JIS規格)等が好適である。
【0038】
また、ブレード取付面11Aは、両面粘着テープ20の効果的な貼着を確保するために、例えば、研磨加工等によって、表面粗さRmax0~20μm(JIS B0601-1982)のスムースな仕上面とされていることが好適である。
【0039】
両面粘着テープ20は、
図3に示すように、例えば、テープ基材21と、テープ基材21の一方側の面に塗布された粘着性接着剤22と、他方側の面に塗布された粘着性接着剤23とを備え、外周がアルミハブ10の外径と対応するとともに、内周がブレード本体の内径(ブレード素材の内径)と対応するドーナツ状に形成されている。
【0040】
両面粘着テープ20は、この実施形態において、例えば、テープ基材21と、テープ基材21の一方側の面に塗布されて粘着性を有する粘着性接着剤22と、テープ基材21の他方側の面に塗布されて粘着性接着剤23とを備えている。
【0041】
また、両面粘着テープ20の外径、厚さ(例えば、0.1mm以下)、弾性係数、保持力(粘着力)等は、例えば、ブレード本体30の平面度(軸線O1に対する直角度)を保持することが可能とされ、かつハブ型ブレード1が対象物を切断する際の切断トルクによって生じるねじり変形がブレード本体30に破損を生じさせないように設定されていることが好適である。
【0042】
また、両面粘着テープ20は、導電性を有していることが好適である。
テープ基材21は、この実施形態では、例えば、厚さ25μmのアルミ箔により構成され、粘着性を有する粘着性接着剤22、23は、導電性粒子を混入したアクリル樹脂により構成されていて、両面粘着テープ20としての厚さ85μmとされている。
また、アルミハブ10とブレード本体30の間の電気抵抗は約4.5とされている。なお、両面粘着テープ20が導電性を有するかどうかは任意に設定することができる。
【0043】
テープ基材を有する両面粘着テープとしては、例えば、AL-25DC(商品名:3Mジャパン株式会社製)を適用することが可能である。また、T7620(商品名:デクセリアルズ株式会社製)や7848YCWB(商品名:積水化学工業株式会社製)等を適用してもよい。
【0044】
また、X-7001(商品名:3Mジャパン株式会社製)のように褶曲させた導電性布を基材とするものや、9720S(商品名:3Mジャパン株式会社製)のように不織布を基材とするものを適用してもよい。
【0045】
ブレード本体30は、例えば、外径55.05mm、刃厚0.015~0.04μm(例えば、20μm)の円板状とされ、内周側には軸線O1と同軸に直径42.00mmの円形穴30Hが形成されている。
【0046】
また、ブレード本体30は、例えば、ニッケル(Ni)又はニッケル合金を主成分とする合金からなる金属母材31と、金属母材31に分散されたダイヤモンド超砥粒(砥粒)32とを備えている。
金属母材を構成するニッケルを主成分とする合金としては、例えば、ニッケル-リン(Ni-P)、ニッケル-コバルト(Ni-Co)、ニッケル-ボロン(Ni-B)を適用することが好適である。
【0047】
また、ダイヤモンド超砥粒32は、例えば、3~10μm(平均粒径5μm)、集中度は50~125のダイヤモンドによって構成されている。
また、ダイヤモンド超砥粒32は、例えば、金属母材31の表面から約2μm程度露出している。
【0048】
また、ブレード本体30の内周側に位置されて、両面粘着テープ20を介してハブ10と接続される接続面30Tは、例えば、金属母材31の表面からダイヤモンド超砥粒32が突出することなく平坦面に形成されている。
【0049】
また、ブレード本体30においてアルミハブ10と反対側に位置される露出面30F及びブレード本体30の外周に位置される突出部は、ニッケルめっきからなる金属母材31からダイヤモンド超砥粒32が露出している。
【0050】
また、ブレード本体30の突出部には、例えば、軸線O1方向の一方側と他方側に面取り状の目立部30Cが形成されている。なお、
図3に示す目立部30Cは一例であり、目立部30Cの形態は切断対象物により適宜設定される。
【0051】
次に、
図4~
図9を参照して、本発明の第1実施形態に係るハブ型ブレード製造工程の概略を説明する。
図4は、第1実施形態に係るハブ型ブレード製造工程の概略を説明するフローチャートである。
図5は、第1実施形態に係るハブ型ブレード製造工程の概略を説明する図であり、ブレード素材を製造する手順の概略を示すフローチャートである。
ハブ型ブレード製造工程は、
図4に示すように、例えば、ブレード素材製造工程(S1)と、アルミハブ準備(S2)からハブ型ブレード(S9)を完成するまでの工程とを備えている。
【0052】
以下、
図5、
図6A~
図6Eを参照して、第1実施形態に係るハブ型ブレード製造工程におけるブレード素材の製造手順の概略について説明する。
図6A~
図6Eは、第1実施形態に係るハブ型ブレード製造工程を説明する図である。
図6A~
図6Eにおいて、符号SUSは、SUS台金(ステンレス鋼台金)を、符号W30はブレード素材を、符号W301、W302はブレード素材の原板を示している。
【0053】
ブレード素材製造工程は、
図5に示すように、例えば、SUS台金準備工程(S11)と、分散めっき工程(S12)と、マスキング工程(S13)と、エッチング工程(S14)と、内径加工工程(S15)とを備えていて、これら一連の工程を経ることによってブレード素材が完成される(S16)。
【0054】
(1)SUS台金準備工程
まず、アルミハブと対応する外径を有するブレード素材を形成するのに適したSUS台金(ステンレス鋼製台金)を準備する(S11)。
図6Aは、第1実施形態に係るブレード素材の原板を製造する際のSUS台金準備の概略を示す概念図である。
SUS台金SUSは、例えば、ステンレス鋼からなる円板により構成されていて、分散めっきによってブレード素材の原板を形成するニッケルめっき形成面S10は、鏡面処理されていることが好適である。
また、SUS台金SUSは、
図6Aに示すように、ブレード素材の形状に合わせてニッケルめっきが不要とされる部分にマスキングM1を施すことが好適である。
また、SUS台金SUSの外径は、例えば、SUS台金のニッケルめっき形成面S10に形成されるブレード素材の原板の外周側が厚めに形成されても、ブレード素材をアルミハブに装着して、外径加工、ダイサードレスした後に、ブレード本体の刃厚、歪等がハブ型ブレードの寸法公差内となるように設定されていることが好適である。
【0055】
(2)分散めっき工程
次に、SUS台金にダイヤモンドの超砥粒を含有する分散めっきをしてブレード素材の原板を形成する(S12)。
図6Bは、SUS台金SUSのニッケルめっき形成面S10に、分散めっきによってブレード素材の原板が形成された状態の概略構成を示す概念図である。
分散めっき工程では、ダイヤモンドの超砥粒を含有するニッケルめっき液を分散めっき装置(不図示)に貯留して、ニッケルめっき液にSUS台金SUSを配置する。そして、ニッケルめっき液を撹拌しながらSUS台金SUSのめっき形成面S10にニッケルをアノードとして電解めっき法によりニッケルめっきを成長させる。
その結果、
図6Bに示すように、ニッケルめっき形成面S10に、ブレード素材の原板W301をなす分散ニッケルめっき層(ダイヤモンド超砥粒が分散されたニッケル層)が形成される。
ブレード素材の原板W301は、SUS台金SUSから剥離した後に、ダイヤモンド含有量、刃厚、そり、外観等を検査する。
なお、ニッケルめっき液に代えて、ダイヤモンドの超砥粒を含有するNi-PやNi-Bめっき液を用いてブレード素材の原板を形成してもよい。また、分散ニッケルめっき層によりブレード素材の原板を形成する場合には熱処理は不要であるが、Ni-PやNi-Bめっき層によりブレード素材の原板を形成する場合には熱処理(例えば、250℃×1hr)が有効である。
また、電解めっき法に代えて、無電解めっき法によりめっき層を形成してもよい。
【0056】
(3)マスキング工程
次いで、SUS台金から剥離したブレード素材の原板においてエッチング処理が不要な部分にマスキングをする(S13)。
図6Cは、エッチング前のマスキングを施したブレード素材の原板の概略を説明する概念図である。
この実施形態では、
図6Cに示すように、ニッケルめっき形成面S10側に位置され、ニッケルめっきからなる金属母材31からダイヤモンド超砥粒32が突出することなく表面粗さが小さな鏡面状の平坦面とされた接続面30TにマスキングM2を施す。
【0057】
(4)エッチング工程
次に、マスキングを施したブレード素材の原板をエッチング処理することによりニッケルめっきからなる金属母材からダイヤモンド超砥粒を露出させて目立てをする(S14)。
図6Dは、エッチング処理後のブレード素材の原板W302の概略を説明する概念図である。
エッチング処理は、ブレード素材の原板W301をエッチング装置で逆電解することによりニッケルめっきからなる金属母材31からニッケルを溶解してダイヤモンド超砥粒32を露出させて、ブレード素材の原板W302を形成する。
ブレード素材の原板W302は、
図6Dに示すように、ハブ型ブレードにおいてアルミハブ10と反対側に位置される露出面30F及びブレード本体の突き出し部分は、ニッケルめっきからなる金属母材31からダイヤモンド超砥粒32が露出し、両面粘着テープが貼着される接続面30Tは、ダイヤモンド超砥粒32が金属母材31の内部に配置されて表面から突出することなく平坦に形成されている。
【0058】
(5)内径加工工程
次いで、エッチング工程で目立てをしたブレード素材の原板を内径加工してブレード素材を形成する(S15)。
図6Eは、ブレード素材の原板に対する内径加工の概略を説明する概念図である。
ブレード素材の原板W302の内径加工は、
図6Eに示すように、内径加工する部位に液体(例えば、水)を供給して冷却しながらレーザビームを照射してブレード素材W302に円形穴30Hを加工して、ブレード素材303を形成する。
なお、内径加工する部位に液体を供給する場合には、例えば、内径加工する部位に噴流液水柱(噴流水柱)Cを形成して、レーザビームLをこの噴流水柱C内で反射させながら加工部位に誘導して、加工部位に照射することが好適であり、そのため、噴流水柱(噴流液柱)Cを可能な限り凹凸の少ない層流としてレーザビームLを噴流水柱C内で全反射させるとより好適である。また、レーザビームLの波長は、例えば、200~700nmとすることが好適である。
なお、水を供給せずにレーザビームを照射してもよいし、レーザビーム加工に代えて放電加工やや研削等、周知の他の加工方法により内径加工してもよい。
【0059】
(6)ブレード素材完成
品質検査が満足していたらブレード素材W303が完成する。
なお、S11~S16の工程は、一例を示すものであり適宜変更又は省略することが可能である。
【0060】
次に、
図4、
図7A~
図7D、
図8、
図9を参照して、ハブ型ブレード製造工程におけるアルミハブ準備からハブ型ブレード完成(S2~S9)の詳細について説明する。
【0061】
(1)アルミハブ準備工程
まず、アルミハブ10を準備する(S2)。
図7Aは、第1実施形態に係るハブ型ブレード製造工程における前処理工程後のアルミハブの概略構成の一例を説明する概念図である。
アルミハブ10は、例えば、アルミニウム合金からなる丸棒を軸線回りに回転させながら切削加工するとともに、個々のアルミハブに切断することにより形成する。
その結果、
図7Aに示すようなアルミハブ10が形成される。
【0062】
(2)ブレード取付面の前処理工程
次に、アルミハブのブレード取付面に両面粘着テープを貼着するための前処理をして所定の表面粗さにする(S3)。
ブレード取付面11Aに対する前処理としては、例えば、個々のアルミハブ10に切断する際に切断面が所定の表面粗さになるように切断することでアルミハブ準備工程と兼ねることが好適である。なお、ブレード取付面11Aに研磨加工や放電加工を施して所定の表面粗さにしてもよい。
ブレード取付面の表面粗さは、例えば、表面粗さRmax0~20μmが好適である。 ブレード取付面を表面粗さRmax0~20μmとすることにより、両面粘着テープの粘着性接着剤22、23が、ブレード取付面11Aの全面にわたって密着して両面粘着テープの接着能力を充分に発揮するとともに、アルミハブ10やブレード本体30と両面粘着テープ20(20A)の間に切断中に発生する微粒子等が侵入することが効果的に抑制される。
【0063】
(3)両面粘着テープ貼着工程
次いで、アルミハブ10のブレード取付面に両面粘着テープを貼着する(S4)。
図7Bは、第1実施形態に係るハブ型ブレード製造工程において両面粘着テープが貼着された状態のアルミハブの概略構成を説明する概念図である。
アルミハブ10のブレード取付面11Aに両面粘着テープ20(20A)を貼着する際には、予めアルミハブ10の外径及びブレード素材W30の円形穴30Hと対応するドーナツ形状に形成された両面粘着テープ20(20A)を使用する。そして、例えば、治具によって両面粘着テープ20(20A)の中心をアルミハブ10の回転軸線O1に合わせて貼着する。
その結果、
図7Bに示すようなアルミハブ10の軸線O1と両面粘着テープ20(20A)が同軸な中間製品W101が形成される。
【0064】
(4)ブレード本体装着工程
次に、アルミハブにブレード素材を貼着する(S5)。
図7Cは、第1実施形態に係るハブ型ブレード製造工程においてブレード素材が両面粘着テープによって貼着された状態の中間製品の概略構成を説明する概念図である。
アルミハブ10にブレード素材W30を装着(貼着)する際には、例えば、平坦な定盤上にブレード素材W30を配置し、治具によりアルミハブ10の軸線O1とブレード素材30の円形穴30Hの中心軸O2を合わせながらアルミハブ10をブレード素材30に載置、押圧して両面粘着テープ20(20A)によって貼着、固定する。
その結果、
図7Cに示すようなアルミハブ10にブレード素材W30が貼着された中間製品が形成される。
【0065】
(5)外径加工工程
次いで、アルミハブに貼着されたブレード素材を外径加工する(S6)。
図7Dは、第1実施形態に係るハブ型ブレード製造工程におけるブレード本体の外形加工の概略を説明する概念図であり、
図8は、第1実施形態に係るハブ型ブレード製造工程において外径加工工程後の中間製品の概略構成を説明する断面図である。
ブレード素材W30の外径加工は、
図7Dに示すように、外径加工する部位に液体(例えば、水)を供給して冷却しながらレーザビームを照射してブレード素材W30の外径を加工する。
なお、加工部位に液体を供給する場合には、例えば、外径加工する部位に噴流液水柱(噴流液柱)Cを形成して、レーザビームLをこの噴流水柱C内で反射させながら加工部位に誘導して照射することが好適であり、そのため、噴流水柱(噴流液柱)Cを可能な限り凹凸の少ない層流としてレーザビームLを噴流水柱C内で全反射させるとより好適である。また、レーザビームLの波長は、例えば、200~700nmとすることが好適である。中間製品W102を外径加工することによって、ブレード素材W30の外周が切断され、
図8に示すような中間製品W103が形成される。
なお、水を供給せずにレーザビームを照射してもよいし、レーザビーム加工に代えて放電加工や研削等、周知の他の加工方法によって外径加工してもよい。
【0066】
(6)ダイサードレス工程
次に、外径加工したブレード本体をダイサードレスして目立てする(S7)。
図9は、第1実施形態に係るハブ型ブレード製造工程においてダイサードレス工程後の缶製品の概略構成を説明する断面図である。
ダイサードレス工程におけるブレード本体30の目立ては、例えば、中間製品W103をダイシングマシンにセットしてドレスボードを切断することにより行う。
中間製品W103をダイサードレスすることにより、中間製品W103のブレード本体30が目立てされて、
図9に示すような目立部30Cが形成される。
【0067】
(7)検査工程
その後、ハブ型ブレードの検査を実施する(S8)。
ハブ型ブレード1の検査は、例えば、シリコンウェーハをダイシングしてカーフ幅を測定する。そのほか、所定の検査を実施して検査規格を満足しているかどうかを検査する。 なお、検査工程において、ブレード本体30のハブ10の外周からの突き出し長さについては省略してもよい。
【0068】
(8)ハブ型ブレード完成
検査に合格することによりハブ型ブレードが完成する(S9)。
なお、S1~S9の工程は、一例を示すものであり適宜変更又は省略することが可能である。
【0069】
第1実施形態に係るハブ型ブレード1及びハブ型ブレード製造方法によれば、別々に形成したアルミハブ10とブレード本体30とが両面粘着テープ20によって接続された構成とされ、アルミハブ10とブレード本体30を個別に検査することが可能であるので、品質特性を満足したハブとブレード本体30だけを用いて製造することができる。
その結果、高精度なハブ型ブレード1を効率的かつ安定して製造することができる。
【0070】
また、第1実施形態に係るハブ型ブレード1によれば、ハブがアルミニウム又はアルミニウム合金により形成されているので軽量で高速回転(例えば、30000rpm以上)に容易に対応することができる。
【0071】
また、第1実施形態に係るハブ型ブレード1及びハブ型ブレード製造方法によれば、使用後のハブ型ブレード1からブレード本体30を取り除くことにより、アルミハブ10を再利用することができるので、省資源を実現するとともに製造コストを削減することができる。
【0072】
また、第1実施形態に係るハブ型ブレード1及びハブ型ブレード製造方法によれば、エッチングによってアルミハブの外周を除去してブレード本体30を突き出させる必要がないので、材料ロスに起因する歩留低下が抑制されるとともに加工時間を短縮することができる。また、ブレード本体30を突き出させるのにともなう加工時間をなくして製造時間を短縮することができる。
その結果、製造にともなうリードタイムが大幅に短縮されるとともに、高精度な試作品を低コストかつ短いリードタイムで製作することができる。
【0073】
また、第1実施形態に係るハブ型ブレード1及びハブ型ブレード製造方法によれば、ブレード本体30を常温でアルミハブ10に装着することにより、ブレード本体30に温度履歴に基づく歪やそりが生じるのが抑制され、ハブ型ブレード1の品質を向上することができる。
【0074】
第1実施形態に係るハブ型ブレード1によれば、ブレード本体30の接続面30Tが、金属母材31より内部にダイヤモンド超砥粒32が配置されて表面から突出することなく平坦面とされているので、ブレード本体30に両面粘着テープ20を安定して貼着することができる。
【0075】
また、第1実施形態に係るハブ型ブレード1によれば、ブレード本体30が両面粘着テープ20を介してハブ10と接続されているので、両面粘着テープ20の弾性によって、ブレード本体30がハブ10の外縁で急に屈曲されるのが緩和され、ブレード本体30が加工対象物と当たった際に、ブレード本体30が割れるのを抑制することができる。
【0076】
また、第1実施形態に係るハブ型ブレード1及びハブ型ブレード製造方法によれば、ブレード取付面11Aが、表面粗さRmax0~20μmに形成され、両面粘着テープ20を安定して貼着することができるので、ブレード本体30をアルミハブ10に安定して装着することができる。
【0077】
また、第1実施形態に係るハブ型ブレード製造方法によれば、アルミハブ10とブレード素材W30を共加工により外径加工するので、アルミハブ10とブレード本体30を効率的に同軸に構成することができる。
【0078】
第1実施形態に係るハブ型ブレード製造方法によれば、ブレード素材の原板W301に円形穴30Hを内径加工する際に、加工部位に噴流液柱Cを形成し、この噴流液柱CによってレーザビームLを誘導して加工部位に照射するので、ブレード本体30の円形穴30Hを高精度かつ効率的に形成することができる。
【0079】
第1実施形態に係るハブ型ブレード製造方法によれば、ブレード素材30を外径加工する際に、加工部位に噴流液柱Cを形成し、この噴流液柱CによってレーザビームLを誘導して加工部位に照射するので、高精度かつ効率的に外径加工する形成することができる。
【0080】
<第2実施形態>
以下、
図10、
図11を参照し、本発明の第2実施形態に係るハブ型ブレードについて説明する。
図10は、本発明の第2実施形態に係るハブ型ブレードの概略構成の一例を説明する斜視図であり、
図1において矢視X-Xで示す断面図である。また、
図11は、
図10においてXIで示す部分の拡大図である。
図10、
図11において、符号1Aはハブ型ブレードを、符号10はアルミハブを、符号20Aは両面粘着テープを、符号30はブレード本体を示している。
【0081】
ハブ型ブレード1Aは、
図10に示すように、例えば、アルミハブ10と、両面粘着テープ20Aと、ブレード本体30とを備えている。
【0082】
アルミハブ10、ブレード本体30については第1実施形態と同様であるので同じ符号を付して説明を省略する。
【0083】
両面粘着テープ20Aは、
図10、
図11に示すように、例えば、粘着性を有する樹脂をシート状に形成したテープ本体24のブレード本体30側に位置される一方側の面24Aと、ハブ10側に位置される他方側の面24Bが粘着性を有する構成とされた接着剤転写テープとされている。
【0084】
また、両面粘着テープ20Aの外径、厚さ、弾性係数、保持力(粘着力)等は、例えば、ブレード本体30の平面度(軸線O1に対する直角度)を保持することが可能とされ、かつハブ型ブレード1が対象物を切断する際の切断トルクによって生じるねじり変形がブレード本体30に破損を生じさせないように設定されていることが好適である。
また、両面粘着テープ20Aの厚さについては、例えば、厚さ100μm以下が好適であり、厚さ30μm以上50μm以下がより好適である。
【0085】
また、両面粘着テープ20Aは、導電性を有していることが好適であり、一例として、導電性接着剤転写テープ9707(商品名:3Mジャパン株式会社製)、9709S(商品名:3Mジャパン株式会社製)、T4420W(商品名:デクセリアルズ株式会社製)を適用することができる。
【0086】
なお、ハブ型ブレード1Aの製造方法に関して、両面粘着テープ20に代えて両面粘着テープ20Aを用いる点以外は第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0087】
第2実施形態に係るハブ型ブレード1Aによれば、別々に形成したアルミハブ10とブレード本体30とが両面粘着テープ20Aによって接続された構成とされ、品質特性を満足したアルミハブ10とブレード本体30だけを用いて製造することができるので、高精度なハブ型ブレード1を効率的かつ安定して製造することができる。
【0088】
また、第2実施形態に係るハブ型ブレード1Aによれば、両面粘着テープ20Aがテープ基材を備えない構成とされ、両面粘着テープの弾性が適度に抑制されて、ブレード本体30が蛇行するのが抑制され安定して切断することができる。
【0089】
<第3実施形態>
以下、
図12を参照し、本発明の第3実施形態に係るハブ型ブレードについて説明する。
図12は、第3実施形態に係るハブ型ブレードの概略構成の一例を説明する断面図であり、符号1Bはハブ型ブレードを、符号50は導電部材を示している。
【0090】
ハブ型ブレード1Bは、
図12に示すように、例えば、アルミハブ10と、両面粘着テープ20(20A)と、ブレード本体30と、導電部材50とを備え、ハブ10とブレード本体30の間が導電可能に構成されている。
【0091】
導電部材50は、例えば、銅(Cu)をはじめとする金属や種々の導電性材料により形成され、両面粘着テープ20(20Aの内周側に配置されるとともにハブ10とブレード本体30とを電気的に接続している。
また、導電部材50は、ろう付けやプリントにより形成することが可能であり、ハブ型ブレード1Bが安定して回転されるように、軸線O1に対称に形成されていることが好適である。なお、両面粘着テープ20(20A)の面内に貫通孔(不図示)を形成して、貫通孔を介して導電部材を形成してもよい。その他は、第1実施形態、第2実施形態と同様であるので同じ符号を付して説明を省略する。
【0092】
第3実施形態に係るハブ型ブレード1Bによれば、導電部材50を備えているので、両面粘着テープ20(20A)が導電性を有していない場合であっても、ブレード本体30が基板(不図示)と接触した場合に、ブレード本体30からハブ10に通電されて、ハブ型ブレード1Bが基板に接触したことを確実に検出することができる。
【0093】
なお、上記実施形態において記載した技術的事項については、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。
【0094】
例えば、上記実施形態においては、ハブ型ブレード1、1A、1Bを構成するハブ10が、アルミニウム合金で形成されている場合について説明したが、アルミニウム合金に代えて純アルミニウムによって形成してもよい。
【0095】
また、アルミニウム又はアルミニウム合金に代えて、ハブ10を、純チタン(Ti)(JIS1種等)やチタン合金、マグネシウム合金をはじめとする種々の金属材料により形成してもよく、チタン合金としては、例えば、αβ合金(Ti-6Al-6V-2Sn、Ti-6Al-4V等)、β合金(Ti‐3Al‐8V‐6Cr‐4Zr‐4Mo、Ti‐10V‐2Fe‐3Al、Ti-15V-3Cr-3Sn-3Al等)が好適である。
また、マグネシウム合金としては、例えば、MB3(Mg-8.4%Al-0.6%Zn-0.25%Mn)、MB5(Mg-3.3%Zn-0.6%Zr)、MB6(Mg-5.5%Zn-0.6%Zr)等が好適であり、ハブ10をマグネシウム又はマグネシウム合金により形成することで、ハブ10の減衰能が向上して、切断時に発生する振動を抑制して対象物を安定的に切断する効果が期待できる。
また、その他の金属材料としては、比強度が純アルミニウム((JIS規格 A1060-O)比強度25.9)以上であることが好適である。
また、ポリカーボネードをはじめとするエンジニアリングプラスチック、繊維強化プラスチック、アクリル樹脂等の汎用プラスチックをはじめとする実用可能な種々の樹脂材料によって形成してもよく、適用可能な範囲で任意に設定することが可能である。また、その他のめっきを施すことが困難な材料によりハブを形成してもよい。
【0096】
また、上記実施形態においては、ハブ10にブレード本体30を装着する接続部が両面粘着テープ20(20A)である場合について説明したが、両面粘着テープ20(20A)に代えて、接着剤が硬化して形成された接着樹脂部(接着剤)からなる接合部、超音波接合をはじめとする種々の拡散接合による接続部、スポット溶接によるナゲット、ろう付け等溶接による接続部、ハブとブレード本体とを締結する締結部材により構成される接続部等、ハブにめっきや蒸着等によりブレード本体を直接的に形成する以外の種々の接続部を用いてもよい。
また、両面粘着テープ20(20A)に代えて、いずれか一方の面または両面に接着剤が塗布された両面接着テープを用いてもよい。
【0097】
また、上記実施形態においては、アルミ箔からなるテープ基材21とテープ基材21の両面に粘着性接着剤(粘着性接着樹脂)22、23が配置(例えば、塗布)されて両側の面に粘着性を有する両面粘着テープ20と、シート状に形成された粘着性樹脂からなる粘着テープ本体24の両側の面に粘着性を有する粘着面24A、24Bが形成された両面粘着テープ20Aを用いる場合について説明したが、テープ基材21の材質、粘着性接着剤(粘着性接着樹脂)22、23の材質粘着テープ本体24の材質等両面粘着テープの構成については任意に設定することができる。
また、テープ基材21の材質、粘着性接着剤(粘着性接着樹脂)22、23の材質粘着テープ本体24が導電性物質等、種々の物質を含む構成とされてもよい。
【0098】
また、上記実施形態においては、ブレード本体30がニッケルめっきからなる金属母材31にダイヤモンド超砥粒32が分散されている場合について説明したが、例えば、Ni-Pめっき、Ni-CoめっきやNi-Bめっき、銅(Cu)や銅合金(例えば、Cu-Sn)をはじめとする適用可能な種々の金属母材に砥粒が分散されたメタルブレード、フェノール樹脂等からなるレジンブレード、砥粒を混合したセラミックス粉末を含むガラス粉末(無機材料)を焼成して形成したビトブレード、超硬合金により形成されたブレード等、種々のブレード本体を用いてもよい。
【0099】
また、上記実施形態においては、SUS台金に電解めっき法によって分散めっき層を形成することによりブレード素材W30の原板W301を形成する場合について説明したが、分散めっき層をSUS(ステンレス鋼)以外からなる台金(例えば、表面に酸化皮膜を形成し易いアルミニウムやチタン)に成長させてブレード素材の原板を形成してもよい。 また、電解めっきに代えて、無電解めっき法を適用して分散めっき層を形成してもよい。
【0100】
また、上記実施形態においては、アルミハブ10のブレード取付面11Aが、例えば、表面粗さRmax0~20μmのスムースな仕上面に研磨加工されている場合について説明したが、ブレード取付面11Aを表面粗さRmax0~20μmの範囲外に形成してもよいし、ブレード取付面11Aを研磨加工以外の方法によって形成してもよい。
【0101】
また、上記実施形態においては、ブレード本体30の接続面30Tが、例えば、金属母材(ニッケルめっき)31の表面からダイヤモンド超砥粒(砥粒)32が突出することなく平坦面に形成されている場合について説明したが、ブレード本体30の接続面30Tについては、両面粘着テープ20(20A)を適用可能な範囲で任意に表面形態に設定することができる。
【0102】
また、
図4、
図5に示したフローチャートは一例であり、適宜変更(省略、追加)することができる。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明に係るハブ型ブレードによれば、高精度なハブ型ブレードを効率的かつ安定して製造することができるので産業上利用可能である。
【符号の説明】
【0104】
1、1A、1B ハブ型ブレード
10 アルミハブ(ハブ)
11A ブレード取付面
20、20A 両面粘着テープ
21 テープ基材
22 粘着性接着剤(粘着性接着樹脂)
23 粘着性接着剤(粘着性接着樹脂)
24 粘着テープ本体
24A、24B 粘着面
30 ブレード本体
30T 接続面
31 金属母材(ニッケルめっき)
32 ダイヤモンド超砥粒(砥粒)
SUS SUS台金(ステンレス鋼台金)
S10 ニッケルめっき形成面
W30 ブレード素材
W301、W302 ブレード素材の原板