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特許7172049熱硬化性樹脂組成物、バルクモールディングコンパウンド及びその成形品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】熱硬化性樹脂組成物、バルクモールディングコンパウンド及びその成形品
(51)【国際特許分類】
   C08F 283/01 20060101AFI20221109BHJP
   C08J 5/04 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
C08F283/01
C08J5/04 CFD
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018016422
(22)【出願日】2018-02-01
(65)【公開番号】P2019131736
(43)【公開日】2019-08-08
【審査請求日】2021-01-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177471
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 眞治
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】蒋 建業
(72)【発明者】
【氏名】柴田 欧
【審査官】飛彈 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-095909(JP,A)
【文献】特開昭48-044383(JP,A)
【文献】特開昭48-056759(JP,A)
【文献】特開昭63-150335(JP,A)
【文献】米国特許第04692427(US,A)
【文献】特開平07-157519(JP,A)
【文献】国際公開第2013/179895(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0099827(US,A1)
【文献】特開2013-251510(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0138778(US,A1)
【文献】特開2002-036435(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 283/01
C08J 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱硬化性樹脂(A)、重合性単量体(B)、炭酸水素ナトリウムを含む無機フィラー(C)、及び有機過酸化物(D)を含有する熱硬化性樹脂組成物であって、熱硬化性樹脂(A)が、不飽和ポリエステル樹脂及びビニルエステル樹脂からなる群より選ばれる1種以上の樹脂であり、前記重合性単量体(B)がスチレンであり、前記有機過酸化物(D)が、ジアシルパーオキサイド系有機過酸化物、パーオキシエステル系有機過酸化物、パーオキシケタール系有機過酸化物からなる群より選ばれる1種以上の過酸化物であり、前記炭酸水素ナトリウムの含有量が、前記熱硬化性樹脂(A)及び前記重合性単量体(B)を必須成分とする樹脂成分100質量部に対して、105~400質量部であることを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
請求項1記載の熱硬化性樹脂組成物からなることを特徴とするバルクモールディングコンパウンド。
【請求項3】
請求項2記載のバルクモールディングコンパウンドを用いて得られた成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱硬化性樹脂組成物、バルクモールディングコンパウンド及びその成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂等の熱硬化性樹脂に、低収縮剤、禁止剤、硬化剤、充填材、離型剤、強化材等を加えて、混練機で混練した熱硬化性樹脂組成物は、電気絶縁性、耐熱性、難燃性、高剛性、寸法安定性等の利点があるため、家電、自動車等に関連する電子部品のパッケージ(封止材)に広く応用されている。前記熱硬化性樹脂組成物の中でも、バルク状にしたバルクモールディングコンパウンド(Bulk Molding Compound;以下、「BMC」と略記する。)は、圧縮成形、トランスファー成形、射出成形等の成形方法により、成形品にすることができる。
【0003】
近年、電子部品は、高出力(高密度化)、小型化(軽量化)が進んでいるため、内部に大量の熱が蓄積しやすくなっており、火災、あるいは火災発生後の延焼の恐れ等の課題を抱えている。
【0004】
このような中、熱硬化性樹脂組成物に難燃性を付与する方法として、水酸化アルミニウム等の無機フィラーを添加する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、これらの成形品は吸熱開始温度が高く、低温領域での吸熱性が不十分である問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2000-313785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、材料の混練性に優れ、成形品を成形する際の収縮率が低く、かつ、吸熱開始温度が低く、優れた難燃性を有する成形品を得ることのできる熱硬化性樹脂組成物、バルクモールディングコンパウンド及びその成形品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、上記の課題を解決するため鋭意研究した結果、熱硬化性樹脂、重合性単量体、炭酸水素ナトリウムを含む無機フィラー、及び有機過酸化物を含有する熱硬化性樹脂組成物は、吸熱開始温度が低く、優れた難燃性を有する成形品を得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明は、熱硬化性樹脂(A)、重合性単量体(B)、炭酸水素ナトリウムを含む無機フィラー(C)、及び有機過酸化物(D)を含有することを特徴とする熱硬化性樹脂組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、吸熱開始温度が低く、優れた難燃性を有する成形品を得られることから、家電、自動車等に用いられる電子部品の支持体、封止材に有用である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂(A)、重合性単量体(B)、炭酸水素ナトリウムを含む無機フィラー(C)、及び有機過酸化物(D)を含有するものである。
【0011】
前記熱硬化性樹脂(A)としては、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられるが、成形のハイサイクル化や樹脂粘度が低く、機能性フィラーの高充填による成形品の高機能化ができることから、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂が好ましい。なお、これらの熱硬化性樹脂(A)は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
【0012】
前記重合性単量体(B)としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ジビニルベンゼン、t-ブチルスチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、ジアリールフタレ-ト、トリアリールシアヌレ-ト、(メタ)アクリロイル基を有する単量体等が挙げられる。これらの重合性単量体は、1種で用いることも2種以上併用することもできる。
【0013】
前記(メタ)アクリロイル基を有する単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸i-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸トリデシル、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノブチルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノヘキシルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノ2-エチルヘキシルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ2-エチルヘキシルエーテル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレ-ト、ポリテトラメチレングリコールのジ(メタ)アクリレート、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ビス〔(メタ)アクリロイルオキシ〕-2-プロパノール、2,2-ビス〔4-(メタ)アクリルオキシエトキシフェニル〕プロパン、2,2-ビス〔4-(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル〕プロパン、2,2-ビス〔4-(メタ)アクリロイルオキシ・ポリエトキシフェニル〕プロパン、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸のエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートモノステアレート等が挙げられる。
【0014】
なお、本発明において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及びメタクリル酸の両方又は一方をいい、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートの両方又は一方をいい、「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイル及びメタクリロイルの両方又は一方をいう。
【0015】
本発明の熱硬化性樹脂組成物において、前記熱硬化性樹脂(A)と前記重合性単量体(B)との質量比[(A)/(B)]は、90/10~30/70の範囲が好ましく、80/20~40/60の範囲がより好ましく、70/30~50/50の範囲がさらに好ましい。
【0016】
また、本発明の熱硬化性樹脂組成物においては、収縮率を低減できることから、前記熱硬化性樹脂(A)及び前記重合性単量体(B)以外の樹脂成分として、熱可塑性樹脂を含有していることが好ましく、飽和ポリエステル樹脂を含有していることがより好ましい。
【0017】
前記熱可塑性樹脂の含有量は、樹脂成分中の5~40質量%の範囲が好ましく、10~30質量%の範囲がより好ましい。
【0018】
前記無機フィラー(C)は、吸熱開始温度が低く、優れた難燃性を有する成形品が得られることから、炭酸水素ナトリウムを含むことが重要である。
【0019】
炭酸水素ナトリウム以外の前記無機フィラー(C)としては、例えば、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等が挙げられる。
【0020】
前記無機フィラー(C)中の炭酸水素ナトリウムの含有量は、熱硬化性樹脂組成物の混練性及び成形品の吸熱性がより向上することから、20~80質量%の範囲が好ましく、25~75質量%の範囲がより好ましい。
【0021】
また、本発明の熱硬化性樹脂組成物において、前記無機フィラー(C)の含有量としては、前記熱硬化性樹脂(A)及び前記重合性単量体(B)を必須成分とする樹脂成分100質量部に対して、100~500質量部の範囲が好ましく、200~400質量部の範囲がより好ましい。
【0022】
前記有機過酸化物(D)は、本発明の熱硬化性樹脂組成物において、硬化剤となるものである。前記有機過酸化物(D)としては、例えば、ジアシルパーオキサイド系有機過酸化物、パーオキシエステル系有機過酸化物、ジアルキルパーオキサイド系有機過酸化物、ケトンパーオキサイド系有機過酸化物、パーオキシケタール系有機過酸化物、パーカーボネート系有機過酸化物等が挙げられる。
【0023】
前記有機過酸化物(D)の配合量は、前記熱硬化性樹脂(A)及び前記重合性単量体(B)を必須成分とする樹脂成分100質量部に対して、0.1~10質量部の範囲が好ましく、0.5~3質量部の範囲がより好ましい。
【0024】
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、上記の成分(A)~(D)以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、重合禁止剤、硬化促進剤、低収縮化剤、離型剤、補強材、顔料、難燃剤、着色剤、消泡剤等を配合してもよい。
【0025】
前記重合禁止剤としては、例えば、トルハイドロキノン、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、1,4-ナフトキノン、パラベンゾキノン、トルハイドロノン、p-t-ブチルカテコール、2,6-t-ブチル-4-メチルフェノール等が挙げられる。本発明の熱硬化性樹脂組成物に重合禁止剤を配合する際の配合量は、本発明の熱硬化性樹脂組成物中10~1500ppmの範囲が好ましい。
【0026】
前記低収縮化剤は、本発明の熱硬化性樹脂組成物の硬化後の収縮を抑制するために配合するものである。前記低収縮化剤としては、例えば、アクリル樹脂、ポリスチレン等の樹脂粒子が挙げられる。
【0027】
前記離型剤は、本発明の熱硬化性樹脂組成物を、金型を用いて成形した後、金型から得られた成形品の取り出しを容易にするためのものである。前記離型剤としては、例えば、不飽和脂肪酸アミド系離型剤、ポリエチレンワックス系離型剤、金属石鹸系離型剤、シリコーン系離型剤、フッ素系離型剤等が挙げられる。また、前記金属石鹸系離型剤としては、例えば、ラウリル酸亜鉛、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸亜鉛、モンタン酸カルシウム、モンタン酸亜鉛、モンタン酸アルミニウム、ベヘン酸カルシウム、ベヘン酸マグネシウム、ベヘン酸亜鉛等が挙げられる。
【0028】
前記補強材としては、例えば、ガラス繊維、ビニロン繊維、フェノール繊維、炭素繊維、ポリエステル繊維等の繊維状の材料が挙げられる。これらの中でも、入手容易性の観点からガラス繊維が好ましい。このガラス繊維は、ガラスチョップ、ミルドガラス、ロービングガラス等のいずれのものも用いることができる。
【0029】
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、上記の各成分をニーダー等の混練機を用いて混錬することにより製造することができる。また、得られる樹脂組成物がバルク状になるように、配合組成を調整することで、バルクモールディングコンパウンド(BMC)とすることができる。
【0030】
本発明の熱硬化性樹脂組成物をBMCとすることで、圧縮成形、トランスファー成形、射出成形等の成形方法により、容易に成形品にすることができる。
【実施例
【0031】
以下に実施例により本発明をより具体的に説明する。
【0032】
(製造例1:不飽和ポリエステルの製造)
温度計、撹拌機、不活性ガス導入口及び還流冷却器を備えた反応容器に、プロピレングリコール540質量部、イソフタル酸280質量部、無水マレイン酸510質量部を仕込み、窒素雰囲気中で220℃まで昇温し、7時間反応させ、固形分酸価25になったところで170℃まで冷却した後、ハイドロキノン0.13質量部を添加し、不飽和ポリエステルを得た。
【0033】
(製造例2:飽和ポリエステルの製造(1)の製造)
温度計、撹拌機、不活性ガス導入口、及び還流冷却器を備えた反応容器に、ジエチレングリコール320質量部、ジプロピレングリコール270質量部、イソフタル酸410質量部、アジピン酸380質量部を仕込み、窒素雰囲気中で230℃まで昇温し、8時間反応させ、固形分酸価7になったところで、170℃まで冷却した後、ハイドロキノン0.14質量部を添加し、飽和ポリエステルを得た。
【0034】
(実施例1:熱硬化性樹脂組成物(1)の調製)
製造例1で得られた不飽和ポリエステル46質量部、製造例2で得られた飽和ポリエステル20質量部、スチレン34質量部、炭酸水素ナトリウム(株式会社トクヤマ製;工業用グレード、平均粒径60μm)105質量部、炭酸カルシウム(日東粉化工業株式会社製「NS#100」;平均粒径2.1μm)110質量部、水酸化アルミニウム(昭和電工株式会社製「ハイジライトHC-32」;平均粒径8μm)120質量部、離型剤(ステアリン酸亜鉛;堺化学工業株式会社製「SZ-2000」)6質量部、及び硬化剤(有機過酸化物;日油株式会社製「パーキュアHO」)1.5質量部を、ニーダーを用いて8分間混錬した後、補強材(ガラス繊維/チョップドストランド;重慶国際複合材料有限公司製「ECS404-6」;繊維長6mm)49.5質量部を加えて、さらに6分間混錬することで、熱硬化性樹脂組成物(1)を得た。
【0035】
(実施例2~7)
表1に示した配合組成に変更した以外は実施例1と同様に行い、熱硬化性樹脂組成物(2)~(7)を得た。
【0036】
(比較例1~3)
表2に示した配合組成に変更した以外は実施例1と同様に行い、熱硬化性樹脂組成物(R1)~(R3)を得た。
【0037】
上記の実施例1~7及び比較例1~3で得られた熱硬化性樹脂組成物(1)~(7)及び(R1)~(R3)を用いて、それぞれ下記の評価を行った。
【0038】
[混錬性の評価]
得られた熱硬化性樹脂組成物の外観を目視で観察し、下記の基準にしたがって混錬性を評価した。
◎:バルク状になり、補強材の分散状態が優れているもの。
○:バルク状になり、補強材の分散状態が良好なもの。
×:バルク状にならず、補強材の分散状態が不良なもの。
【0039】
[成形収縮率の測定]
成形温度120℃、成形圧力10MPa、成形保圧時間180秒の条件で圧縮成形して、測定用試験片である収縮円盤を作製し、JIS K6911に基づいて成形収縮率を算出した。
【0040】
[吸熱開始温度及び吸熱量の測定]
成形温度120℃、成形圧力10MPa、成形保圧時間180秒の条件で圧縮成形して、300mm×300mm×厚さ3mmの平板を作製し、JIS K7122に基づいて、測定用サンプルを加工し、示差走査熱量計(TAインスツルメント社製「DSC Q-100」、昇温速度:10℃/分、窒素雰囲気)により、吸熱開始温度及び100~180℃の範囲における吸熱量を測定した。
【0041】
[酸素指数の測定]
成形温度120℃、成形圧力10MPa、成形保圧時間180秒の条件下で圧縮成形を行い、300mm×300mm×厚さ3mmの平板を作製し、JIS K7201に基づいて測定用試験片(長さ:130mm、幅:6.5mm、厚さ:3mm)を切り出し、酸素指数を測定した。
【0042】
上記で調製した熱硬化性樹脂組成物の組成及び評価結果を表1及び2に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
実施例1~7の本発明の熱硬化性樹脂組成物は混錬性に優れ、成形時の収縮率が低く、また得られる成形品の吸熱開始温度は低く、難燃性に優れることが確認された。
【0046】
一方、必須成分である炭酸水素ナトリウムを含有しない例である比較例1~3は、成形品の吸熱開始温度が高いことが確認された。